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特許拒絶査定不服審判

2016-010038

タッチパネル式入力装置

審判番号
2016-010038
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-008588外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年07月04日
審決日
2017年04月05日
公報発行日
2017年07月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G06F) / P18 .575-Z (G06F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-  8588「タッチパネル式入力装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月 1日出願公開、特開2013-149049〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続きの経緯 本願は、平成24年1月19日の出願であって、平成27年10月7日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成27年12月11日付けで手続補正がされ、平成28年3月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成28年7月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がされたものである。 第2 平成28年7月4日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成28年7月4日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (1)補正の内容 本件補正は、請求項1を、 「【請求項1】 キーボードを表示して入力を行うタッチパネルと、 前記タッチパネル上にキーを表示する表示制御部と、 前記タッチパネル上に指が接触した位置を検知する接触検知部と、 接触した位置から入力されたキーを判定する入力判定部と、 前記タッチパネルに対して離接する指の位置および前記タッチパネルからの距離を検知する3次元センサとを備え、 前記表示制御部は、 前記3次元センサが接近する指を検知したときにその位置を中心としてキーを拡大して表示すると共に、前記接触検知部が指の接触を検知したときにキーを標準の大きさに戻し、 前記接近する指を検知したときにその位置を中心としてキーを拡大して表示する際には、当該位置を含む前記キーボードの一部に含まれる複数のキーのそれぞれを同じ拡大率で拡大して表示し、当該キーボードの他部に含まれる複数のキーは拡大しない ことを特徴とするタッチパネル式入力装置。」と補正する補正事項を含むものである。(下線は、補正箇所を示す。) (2)補正の適否 本件補正の上記補正事項は、補正前の請求項1を引用する請求項5の「キーを拡大して表示する際に、部分的に拡大して表示する、または全体的に拡大する」について、択一的な記載である「または全体的に拡大する」を削除し、「キーを拡大して表示する際に、部分的に拡大して表示する」を「前記接近する指を検知したときにその位置を中心としてキーを拡大して表示する際には、当該位置を含む前記キーボードの一部に含まれる複数のキーのそれぞれを同じ拡大率で拡大して表示し、当該キーボードの他部に含まれる複数のキーは拡大しない」と限定するものであって、補正前の請求項5に記載した発明と補正後の請求項1に記載した発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。 ア.引用文献 (1)引用文献・引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2009/069392号(以下、「引用文献」という。)には、以下の記載がある。(下線は当審において注目する部分を示す。) a.「[0025](第1実施形態) 図1は、本発明の第1実施形態における端末の構成を示すブロック図である。 [0026][構成の説明] 図1において、端末100は、ディスプレイ装置101と、タッチパネル装置102と、ソフトウェアキーボード制御部103と、表示制御部104と、選択候補キー記憶部105とを含む。ソフトウェアキーボード制御部103と、表示制御部104と、選択候補キー記憶部105は、制御部106に含まれる。 ・・・中略・・・ [0037]ディスプレイ装置101は、ユーザに対して情報を表示する。例えば、ディスプレイ装置101は、複数のオブジェクトを表示する。本実施形態では、ディスプレイ装置101は、複数のキーからなるソフトウェアキーボードを表示する。各キーは、一般的にオブジェクトと呼ぶことができる。なお、オブジェクトは、ソフトウェアキーボードのキーに限らず適宜変更可能である。 [0038]ディスプレイ装置101での表示の内容は、表示制御部104によって任意に変更可能である。 [0039]タッチパネル装置102は、一般的に検出手段と呼ぶことができる。 [0040]タッチパネル装置102は、ユーザによって指示された、ディスプレイ装置101上の位置を検出する。 [0041]タッチパネル装置102は、ディスプレイ装置101上に設置される。ディスプレイ装置101上の座標は、タッチパネル装置102上の座標と対応づけられている。 [0042]タッチパネル装置102は、ユーザが指またはスタイラス等の物体でタッチパネル装置102に接触した位置を示す座標を、電極抵抗膜や赤外線などを用いて検知する。 [0043]タッチパネル装置102は、物体が接触した場合、その接触位置(座標)を、ユーザによって指示されたディスプレイ装置101上の位置(座標)として検出する。 [0044]タッチパネル装置102は、ユーザが端末100に対して様々な入力をする際に用いられる。具体的には、ユーザは、選択したいキー(オブジェクト)を、タッチパネル装置102を介して押すことによって、そのオブジェクトの入力を行う。 ・・・中略・・・ [0046]ソフトウェアキーボード制御部103は、タッチパネル装置102への入力を検知し、入力内容に応じて、ソフトウェアキーボードの表示を制御する。 [0047] 例えば、ソフトウェアキーボード制御部103は、ソフトウェアキーボードが有する複数のキーのそれぞれの位置を管理する。 [0048]ソフトウェアキーボード制御部103は、タッチパネル装置102によって検出された位置に存在するキーを、被検出キーとして特定する。なお、被検出キーは、一般的に被検出オブジェクトと呼ぶことができる。」 b.「[0103] <リリース時の表示> 図6は、ユーザがタッチパネル装置102から指を離したときの動作を説明するためのフローチャートである。 [0104]ユーザがタッチパネル装置102から指を離すと、ステップ601でタッチパネル装置102は、タッチ位置との接触が開放されたことを示す開放情報を、ソフトウェアキーボード制御部103に渡す。 ・・・中略・・・ [0107] 開放の直前に選択候補として選定されていたキー202aがある場合、ソフトウェアキーボード制御部103は、選択候補のキー202aに対応する文字が選択されて入力されたと判断し、ステップ603で、キーボード入力を待っているアプリケーションソフト(例えば、ワープロソフトウェア)に、入力文字を渡す。 [0108] また、ソフトウェアキーボード制御部103は、ソフトウェアキーボード202の配置をデフォルト(図2に示した状態)に戻すために、表示制御部104に、ソフトウェアキーボード202のデフォルトの配置を示す情報を渡す。なお、ソフトウェアキーボード制御部103は、ソフトウェアキーボード202のデフォルトの配置を示す情報を、予め記憶している。 [0109] 続いて、ステップ604で、表示制御部104は、渡されたデフォルトのキーボード配置に応じて、ソフトウェアキーボード202の表示をデフォルトの状態に変更する。」 c.「[0171](第5実施形態) 本発明の第5実施形態は、その基本的構成は第1実施形態と同様であるが、入力デバイスとして単純なタッチパネル装置102ではなく、指が接近したことを検知できる接近検出装置901も利用される。このため、さらに、ユーザの利便性を高められる。 [0172] 図11は、第5実施形態における端末100Dの構成を示すブロック図である。なお、図11において、図1に示したものと同一のものには同一符号を付してある。以下、第5実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。 [0173] 接近検出装置901は、一般的に接近検出手段と呼ぶことができる。 [0174] 接近検出装置901は、タッチパネル装置102と同様にディスプレイ装置101上に設置される。 [0175] 接近検出装置901は、ディスプレイ装置101に接近する指(物体)とディスプレイ装置101との距離を検出する。また、接近検出装置901は、ディスプレイ装置101上の位置のうち、指と最も近い位置(座標)を、ディスプレイ装置101上の指示された位置(座標)として検出する。 [0176] なお、接近検出装置901は、例えば、静電容量変化センサーまたはカメラによって実現される。 [0177] ソフトウェアキーボード制御部103Dは、一般的に形状制御手段と呼ぶことができる。 [0178] ソフトウェアキーボード制御部103Dは、タッチパネル装置102と接近検出装置901の出力に基づいて、ソフトウェアキーボード202の表示を制御する。 [0179] 制御部106Dは、一般的に制御手段と呼ぶことができる。 [0180] 制御部106Dは、ディスプレイ装置101に接近する指とディスプレイ装置101との距離に応じて、複数のキー202aの表示サイズを制御する。 ・・・中略・・・ [動作の説明] ディスプレイ装置101の通常時の表示は、第1実施形態と同様で、図2に示される通りである。 [0183] 図12は、端末100Dの動作を説明するためのフローチャートである。 [0184] 以下、図12を用いて端末100Dの動作を説明する。 [0185] ユーザが、ディスプレイ装置101に指を近づけると、ステップ1201で、接近検出装置901が指の位置を検出する [0186] 具体的には、接近検出装置901は、指とディスプレイ装置101の間の距離と、指の直下に対応するタッチパネル装置102上の位置(以下「接近位置」と称する)の座標(以下「接近座標」と称する。)を検出する。接近検出装置901は、検出された距離と接近座標の情報(接近座標情報)を、ソフトウェアキーボード制御部103Dに渡す。 [0187] 続いて、ステップ1202で、ソフトウェアキーボード制御部103Dは、接近座標情報にて示される近接座標がディスプレイ装置101に表示されているソフトウェアキーボード202上の座標であるかどうかを判定する。 [0188] 接近座標がソフトウェアキーボード202上にある場合、ソフトウェアキーボード制御部103Dは、ソフトウェアキーボード202の表示を変更する必要があると判断する。 [0189] 一方、近接座標がソフトウェアキーボード202上に無ければ、ソフトウェアキーボード制御部103Dは、ソフトウェアキーボード202の表示の変更は不要と判定し、表示変更動作を行わず動作を終了する。 [0190] 接近座標がソフトウェアキーボード202上にある場合、ステップ1203で、ソフトウェアキーボード制御部103Dは、各キー202aの表示位置および表示サイズの再計算を行う。 [0191] ソフトウェアキーボード制御部103Dは、キー202aの表示サイズについては、ユーザの指からディスプレイ装置101までの距離と、接近座標から各キー202aまでの距離に応じて変更する。 [0192] 例えば、ソフトウェアキーボード制御部103Dは、指からディスプレイ装置101までの距離が短いほどキー202aの表示サイズ(または拡大率)が大きくなり、また、接近座標からキー202aまでの距離が短いほどキー202aの表示サイズ(または拡大率)が大きくなるように、キー202aの表示サイズを計算する。 [0193] また、ソフトウェアキーボード制御部103Dは、それぞれのキー202aが互いに大きく重ならないように(例えば、それぞれのキー202aが互いに重ならないように、または、または、各キー202aの重なりが20%以下となるように)、各キー202aの表示位置を計算して、キー202aごとの座標を決定する。なお、20%という数値は適宜変更可能である。 [0194] 例えば、ソフトウェアキーボード制御部103Dは、第1実施形態と同様に、キー202aのサイズを、接近座標を中心とした二次元ガウス分布の確率密度関数(式1)を利用し、二次元ガウス分布の標準偏差σを、指からディスプレイ装置101までの距離に連動して定めてもよい。 [0195] すなわち、ソフトウェアキーボード制御部103Dは、指がディスプレイ装置101に近づくほどσが小さく、指がディスプレイ装置101から離れるほどσが大きくなるように、(式1)を定めてもよい。 [0196] これにより、ユーザは、指とディスプレイ装置101との距離を視覚的に把握できるようになる。 [0197] ソフトウェアキーボード制御部103Dは、指の直下座標(接近座標)が、いずれかのキー202aの表示領域に含まれるかどうかを判定する。 [0198] 指の直下座標がいずれかのキー202aの表示領域に含まれる場合には、ソフトウェアキーボード制御部103Dは、指の直下座標を表示領域に含むキー202が選択候補として選定されているものと判断して、選択候補キー記憶部105に、該当のキー202aを表すキー情報を記憶する。 [0199] 続いて、ソフトウェアキーボード制御部103Dは、キー202aごとに、表示位置を表す座標情報と、表示サイズを表すサイズ情報とを、表示制御部104に渡す。 [0200] 続いて、ステップ1204で、表示制御部104は、各キー202aの表示を、キーごとの座標情報およびサイズ情報に基づいて変更する。 [0201] また、ステップ1203において、選択候補として選定されていると判定されたキー202aがある場合、ソフトウェアキーボード制御部103Dは、該当するキー202aを強調表示するための強調情報を生成する。 [0202] 続いて、ソフトウェアキーボード制御部103Dは、強調情報を、表示制御部104に提供する。 [0203] 表示制御部104は、強調情報を受け付けると、その強調情報に基づいて、選択されたキー202aを強調表示する。 [0204] この場合、選択キーの視認性を高めることができる。 [0205] 上記の処理は、ユーザの指が移動されるごとに実行され、ソフトウェアキーボード202の表示はリアルタイムに変更される。 [0206] 上記ステップの動作中にユーザの指がディスプレイ装置101に接触した場合は、第1実施形態と同様の動作が実行される。 [0207] すなわち、指が移動するにつれて、指の周辺のキーが大きく(拡大率が大きく)、遠方のキーが小さく(拡大率が小さく)なり、指を離した時点で選択候補として選定されていたキーが選択されて入力される。 [0208] 本実施形態によれば、制御部106Dは、接近検出装置901が検出した、指とディスプレイ装置101との距離に応じて、複数のキーの表示サイズを制御する。 [0209] このため、ユーザは、指とディスプレイ装置101との距離を視覚的に把握できるようになる。 [0210] また、ソフトウェアキーボード制御部103Dは、キー202aが指で選択候補として選定されている状況が一定時間継続した場合、選択候補のキー202aに対応する文字が選択されて入力されたものと確定し、キーボード入力を待っているアプリケーションソフトに、入力文字を渡してもよい。」 上記下線部の記載から、引用文献には、第5実施形態の入力装置(「発明の名称」等の記載。)について、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「接近検出装置901は、タッチパネル装置102と同様にディスプレイ装置101上に設置され、 上記接近検出装置901は、例えば、カメラによって実現され、ディスプレイ装置101に接近する指(物体)とディスプレイ装置101との距離と、ディスプレイ装置101上の位置のうち、指と最も近い位置(座標)を、ディスプレイ装置101上の指示された位置(座標)として検出し、 ソフトウェアキーボード制御部103Dは、タッチパネル装置102と接近検出装置901の出力に基づいて、ソフトウェアキーボード202の表示を制御し、 ユーザが、ディスプレイ装置101に指を近づけると、指とディスプレイ装置101の間の距離と、指の直下に対応するタッチパネル装置102上の位置(以下「接近位置」と称する)の座標(以下「接近座標」と称する。)を検出し、検出された距離と接近座標の情報(接近座標情報)を、ソフトウェアキーボード制御部103Dに渡し、 ソフトウェアキーボード制御部103Dは、接近座標情報にて示される近接座標がディスプレイ装置101に表示されているソフトウェアキーボード202上の座標であるかどうかを判定し、接近座標がソフトウェアキーボード202上にある場合、キー202aの表示サイズについて、ユーザの指からディスプレイ装置101までの距離と、接近座標から各キー202aまでの距離に応じて変更、例えば、指からディスプレイ装置101までの距離が短いほどキー202aの表示サイズ(または拡大率)が大きくなり、また、接近座標からキー202aまでの距離が短いほどキー202aの表示サイズ(または拡大率)が大きくなるように、キー202aの表示サイズを計算し、また、それぞれのキー202aが互いに大きく重ならないように、各キー202aの表示位置を計算して、キー202aごとの座標を決定し、指の直下座標(接近座標)が、いずれかのキー202aの表示領域に含まれるかどうかを判定し、指の直下座標がいずれかのキー202aの表示領域に含まれる場合には、指の直下座標を表示領域に含むキー202が選択候補として選定されているものと判断して、選択候補キー記憶部105に、該当のキー202aを表すキー情報を記憶し、キー202aごとに、表示位置を表す座標情報と、表示サイズを表すサイズ情報とを、表示制御部104に渡し、 表示制御部104は、各キー202aの表示を、キーごとの座標情報およびサイズ情報に基づいて変更し、 ユーザの指がディスプレイ装置101に接触した場合は、指が移動するにつれて、指の周辺のキーが大きく(拡大率が大きく)、遠方のキーが小さく(拡大率が小さく)なり、指を離した時点で選択候補として選定されていたキーが選択されて入力され、表示制御部104は、ソフトウェアキーボード202の配置をデフォルトに戻す、入力装置。」 (2)周知技術を示す文献 (a)拒絶査定において引用された国際公開2011/118602号(以下、「周知文献1」という。)には、以下の記載がある。 「[0026] これにより、キーボードの各キーの内、ユーザが意図したキーが選択しやすくなり、通常リリース時点で文字が確定するところを、タッチ時点での確定を可能とし、ユーザーの文字入力の利便性を向上するとともに高速なキー入力を可能とする。」 「[0028] こうすることで、目的のキーが選択しやすくなり、通常リリース時点で文字が確定するところを、タッチ時点での確定を可能となり、ユーザーがキーボード画面を用いて文字入力する際の利便性が大幅に向上するとともに高速なキー入力が可能となる。」 (b)拒絶査定において引用された特開2005-352924号公報(以下、「周知文献2」という。)には、以下の記載がある。 「【0044】 以上のように、本実施の形態によれば、ユーザ操作領域に対する接触操作(第1のユーザアクセス)によりボタンを拡大表示するなどしてどのボタンが操作されているのかをユーザに確認させ、更にその接触操作に続いて行われるユーザ操作領域に対する押下操作(第2のユーザアクセス)により入力確定させる。ユーザからしてみれば、押下により入力を確定させる前にボタンに接触した時点で押下しようとしているボタンが拡大表示されるので、誤入力を防止することができる。仮に、ボタンを押下する前に、すなわちユーザ操作領域に接触した時点で誤ったボタンを操作しようとしていることを視認した場合には、操作をやり直せばよい。この際に指先が液晶画面3から離れたとしても、この操作を入力確定操作とみなされることはない。」 「【0069】 すなわち、本実施の形態においては、図14(a)に示したように、タッチパネル40に近づいて接触しようとした指先が静電容量の変化により検出されたとき、その接触しようとした非接触操作を第1のユーザアクセスとして検出する。そして、図14(b)に示したように、指先がタッチパネル40に更に近づきタッチパネル40に接触したとき、この接触操作を第2のユーザアクセスとして検出する。この第2のユーザアクセスの検出に関しては、実施の形態2と同じである。」 上記周知文献1、2の記載によれば、「タッチパネルに表示されたソフトウェアキーボードの各キーに対するユーザによる接触を検知したときに、当該キーの入力を確定する技術」(以下、「周知技術1」という。)は、本出願前周知の技術と認められる。 (c)当審において新たに引用する特開2006-31499号公報(以下、「周知文献3」という。)には、図3とともに以下の記載がある。 「【0024】 次に、図3を参照しながら、本実施形態における情報入力表示装置の拡大表示の表示例を説明する。ユーザが選択アイコン50aに指を近づけると、制御装置4は、赤外線スイッチ3によりアイコン選択物体の接近を検出し、表示画面10の画面表示を、検出されたアイコン選択物体の位置近傍の選択アイコン50aを拡大表示する拡大表示画面に切り換える。拡大表示画面で拡大する範囲は任意に設定できるが、図3(b)に示す例では、指を近づけた選択アイコン「て」を中心として1つ隣の選択アイコン50aまで拡大表示している。」 (d)拒絶の理由に引用された特開2006-85218号公報(以下、「周知文献4」という。)には、図7(b)とともに以下の記載がある。 「【0031】 一方で、操作ボタン等の表示面積が接触面積よりも小さい場合(ステップS.16のNOの場合)、CPU8は、該当するディスプレイ画面2a上の位置の操作ボタンが拡大サイズの操作ボタン等に置き換えられた表示画像を、ディスプレイ部2に表示させるように画像処理部3を制御する(ステップS.17)。例えば、図7(b)左図に示す表示画面において、操作者の指11が閾値以下の距離までディスプレイ画面2aの操作ボタン等9bに近づいた場合、CPU8は、操作ボタン9bの表示面積が指11の先端の接触面積よりも小さいと判断して、図7(b)右図に示すように操作ボタン9bを拡大表示させる。」 上記周知文献3(図3)、4(図7b)の記載によれば、「接近する指を検知したときにキーを拡大して表示する際に、キーボードの一部に含まれる複数のキーのそれぞれを同じ拡大率で拡大して表示し、当該キーボードの他部に含まれる複数のキーは拡大しない技術」(以下、「周知技術2」という。)は、本出願前周知の技術と認められる。 イ.対比 補正発明と引用発明を対比する。 (ア)引用発明の「タッチパネル装置102」は、「ディスプレイ装置101上に設置され」ており、「ディスプレイ装置101」には、「ソフトウェアキーボード202が表示され」、「ソフトウェアキーボード202」の「各キー202a」で入力を行うことは明かであるから、引用発明の「ソフトウェアキーボード202」、「ディスプレイ装置101」と「タッチパネル装置102」は、それぞれ、補正発明の「キーボード」、「キーボードを表示して入力を行うタッチパネル」に相当する。 (イ)引用発明の「表示制御部104」は、「各キー202aの表示を、キーごとの座標情報およびサイズ情報に基づいて変更」しているから、補正発明の「前記タッチパネル上にキーを表示する表示制御部」に相当する。 (ウ)引用発明の「タッチパネル装置102」は、補正発明の「前記タッチパネル上に指が接触した位置を検知する接触検知部」に相当する。 (エ)引用発明の「接近検出装置901」は、「例えば、カメラによって実現され、ディスプレイ装置101に接近する指(物体)とディスプレイ装置101との距離と、ディスプレイ装置101上の位置のうち、指と最も近い位置(座標)を、ディスプレイ装置101上の指示された位置(座標)として検出」するから、補正発明の「前記タッチパネルに対して離接する指の位置および前記タッチパネルからの距離を検知する3次元センサ」に相当するといえる。 (オ)引用発明の「接近座標情報にて示される近接座標がディスプレイ装置101に表示されているソフトウェアキーボード202上の座標であるかどうかを判定し、接近座標がソフトウェアキーボード202上にある場合、キー202aの表示サイズについて、ユーザの指からディスプレイ装置101までの距離と、接近座標から各キー202aまでの距離に応じて変更、例えば、指からディスプレイ装置101までの距離が短いほどキー202aの表示サイズ(または拡大率)が大きくなり、また、接近座標からキー202aまでの距離が短いほどキー202aの表示サイズ(または拡大率)が大きくなるように、キー202aの表示サイズを計算し、」「キー202aごとに、表示位置を表す座標情報と、表示サイズを表すサイズ情報とを、表示制御部104に渡」す「ソフトウェアキーボード制御部103D」と、「各キー202aの表示を、キーごとの座標情報およびサイズ情報に基づいて変更し」、「指を離した時点で選択候補として選定されていたキーが選択されて入力され」ると「ソフトウェアキーボード202の配置をデフォルトに戻す」「表示制御部104」とは、補正発明の「前記3次元センサが接近する指を検知したときにその位置を中心としてキーを拡大して表示すると共に、前記接触検知部が指の接触を検知したときにキーを標準の大きさに戻し、前記接近する指を検知したときにその位置を中心としてキーを拡大して表示する際には、当該位置を含む前記キーボードの一部に含まれる複数のキーのそれぞれを同じ拡大率で拡大して表示し、当該キーボードの他部に含まれる複数のキーは拡大しない」「表示制御部」と、「前記3次元センサが接近する指を検知したときにその位置を中心としてキーを拡大して表示すると共に、後にキーを標準の大きさに戻し、前記接近する指を検知したときにその位置を中心としてキーを拡大して表示する際には、当該位置を含む前記キーボードの一部に含まれる複数のキーのそれぞれを拡大して表示し、当該キーボードの他部に含まれる複数のキーは拡大しない」「表示制御部」である点では共通するといえる。 (カ)引用発明の「表示制御部104」は、から、補正発明の「表示制御部は、」「接触検知部が指の接触を検知したときにキーを標準の大きさに戻す」構成と、「表示制御部は、」「標準の大きさに戻す」構成 引用発明の「入力装置」は、補正発明と同様に「タッチパネル式入力装置」といい得るものである。 したがって、両者は、以下の一致点、相違点を有する。 <一致点> 「キーボードを表示して入力を行うタッチパネルと、 前記タッチパネル上にキーを表示する表示制御部と、 前記タッチパネル上に指が接触した位置を検知する接触検知部と、 接触した位置から入力されたキーを判定する入力判定部と、 前記タッチパネルに対して離接する指の位置および前記タッチパネルからの距離を検知する3次元センサとを備え、 前記表示制御部は、 前記3次元センサが接近する指を検知したときにその位置を中心としてキーを拡大して表示すると共に、後にキーを標準の大きさに戻し、 前記接近する指を検知したときにその位置を中心としてキーを拡大して表示する際には、当該位置を含む前記キーボードの一部に含まれる複数のキーのそれぞれを拡大して表示し、当該キーボードの他部に含まれる複数のキーは拡大しない ことを特徴とするタッチパネル式入力装置。」 <相違点1> 「表示制御部」が「後にキーを標準の大きさに戻」すのが、補正発明では、「前記接触検知部が指の接触を検知したとき」であるのに対し、引用発明では、「ディスプレイ装置101」から、「指を離した時点で選択候補として選定されていたキーが選択されて入力」されるときである点。 <相違点2> 「接近する指を検知したときにその位置を中心としてキーを拡大して表示する際に」、補正発明では、「当該位置を含む前記キーボードの一部に含まれる複数のキーのそれぞれを同じ拡大率で拡大して表示」しているのに対し、引用発明は、「指からディスプレイ装置101までの距離が短いほどキー202aの表示サイズ(または拡大率)が大きくなり、また、接近座標からキー202aまでの距離が短いほどキー202aの表示サイズ(または拡大率)が大きくなる」ものである点。 ウ.判断 ・相違点1について 周知文献1には、通常リリース時点で文字が確定するところを、タッチ時点で確定することが記載されており、引用発明において、指を離して、開放の直前に選択されていたキーを入力とすることに代え、上記周知技術1を採用し、接触検知部が指の接触を検知したときにキーを選択して入力するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 そして、引用発明は、「ユーザの指がディスプレイ装置101に接触した場合は、指が移動するにつれて、指の周辺のキーが大きく(拡大率が大きく)、遠方のキーが小さく(拡大率が小さく)なり、指を離した時点で選択候補として選定されていたキーが選択されて入力される」ものであって、「ユーザがタッチパネル装置102から指を離すと、開放の直前に選択候補として選定されていたキー202aがある場合、ソフトウェアキーボード制御部103は、選択候補のキー202aに対応する文字が選択されて入力されたと判断し、ワープロソフトウェア等に入力文字を渡し、ソフトウェアキーボード制御部103は、ソフトウェアキーボード202の配置をデフォルトに戻す」(引用文献1の[0103]~[0109]の記載参照。)ものといえるから、引用発明において、上記周知技術1を採用し、接触検知部が指の接触を検知したときにキーを選択して入力するようにする際に、接触検知部が指の接触を検知したときにキーを標準の大きさに戻すことは、単なる設計事項にすぎない。 ・相違点2について 引用発明は、「指からディスプレイ装置101までの距離が短いほどキー202aの表示サイズ(または拡大率)が大きくなり、また、接近座標からキー202aまでの距離が短いほどキー202aの表示サイズ(または拡大率)が大きくなる」ようにするのであるから、引用発明において、上記周知技術2を適用することにより、接近する指を検知したときにその位置を中心としてキーを拡大して表示する際に、当該位置を含む前記キーボードの一部に含まれる複数のキーのそれぞれを同じ拡大率で拡大して表示し、当該キーボードの他部に含まれる複数のキーは拡大しないようにすることは、当業者が容易になし得ることである。 そして、補正発明の奏する作用効果も、引用発明及び周知技術1、2から、当業者であれば予想できる範囲内のものである。 したがって、補正発明は、引用発明および周知技術1、2に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができない発明である。 エ.結論 以上のとおり、本件補正は,特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであり、同法159条1項で準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明について (1)本願発明 以上のとおり、平成28年7月4日付けの手続補正は却下されたので、本願発明は、平成27年12月11日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項5に記載された以下のとおりのものであると認められる。 「【請求項1】 キーボードを表示して入力を行うタッチパネルと、 前記タッチパネル上にキーを表示する表示制御部と、 前記タッチパネル上に指が接触した位置を検知する接触検知部と、 接触した位置から入力されたキーを判定する入力判定部と、 前記タッチパネルに対して離接する指の位置および前記タッチパネルからの距離を検知する3次元センサとを備え、 前記表示制御部は、 前記3次元センサが接近する指を検知したときにその位置を中心としてキーを拡大して表示すると共に、前記接触検知部が指の接触を検知したときにキーを標準の大きさに戻すことを特徴とするタッチパネル式入力装置。 【請求項5】 前記表示制御部は、キーを拡大して表示する際に、部分的に拡大して表示するか、または、全体的に拡大して表示することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のタッチパネル式入力装置。」 (2)引用文献・引用発明 引用文献・引用発明は、前記「第2 平成28年7月4日付の手続補正についての補正却下の決定」、[補正却下の決定の結論]、「(2)補正の適否」、「ア.引用文献」の「(1)引用文献・引用発明」の欄で説明したとおりである。 (3)対比 本願発明と引用発明を対比する。 (ア)引用発明の「タッチパネル装置102」は、「ディスプレイ装置101上に設置され」ており、「ディスプレイ装置101」には、「ソフトウェアキーボード202が表示され」、「ソフトウェアキーボード202」の「各キー202a」で入力を行うことは明かであるから、引用発明の「ソフトウェアキーボード202」、「ディスプレイ装置101」と「タッチパネル装置102」は、それぞれ、本願発明の「キーボード」、「キーボードを表示して入力を行うタッチパネル」に相当する。 (イ)引用発明の「表示制御部104」は、「各キー202aの表示を、キーごとの座標情報およびサイズ情報に基づいて変更」しているから、本願発明の「前記タッチパネル上にキーを表示する表示制御部」に相当する。 (ウ)引用発明の「タッチパネル装置102」は、本願発明の「前記タッチパネル上に指が接触した位置を検知する接触検知部」に相当する。 (エ)引用発明の「接近検出装置901」は、「例えば、カメラによって実現され、ディスプレイ装置101に接近する指(物体)とディスプレイ装置101との距離と、ディスプレイ装置101上の位置のうち、指と最も近い位置(座標)を、ディスプレイ装置101上の指示された位置(座標)として検出」するから、本願発明の「前記タッチパネルに対して離接する指の位置および前記タッチパネルからの距離を検知する3次元センサ」に相当するといえる。 (オ)引用発明の「接近座標情報にて示される近接座標がディスプレイ装置101に表示されているソフトウェアキーボード202上の座標であるかどうかを判定し、接近座標がソフトウェアキーボード202上にある場合、キー202aの表示サイズについて、ユーザの指からディスプレイ装置101までの距離と、接近座標から各キー202aまでの距離に応じて変更、例えば、指からディスプレイ装置101までの距離が短いほどキー202aの表示サイズ(または拡大率)が大きくなり、また、接近座標からキー202aまでの距離が短いほどキー202aの表示サイズ(または拡大率)が大きくなるように、キー202aの表示サイズを計算し、」「キー202aごとに、表示位置を表す座標情報と、表示サイズを表すサイズ情報とを、表示制御部104に渡」す「ソフトウェアキーボード制御部103D」と、「各キー202aの表示を、キーごとの座標情報およびサイズ情報に基づいて変更し」、「指を離した時点で選択候補として選定されていたキーが選択されて入力され」ると「ソフトウェアキーボード202の配置をデフォルトに戻す」「表示制御部104」とは、本願発明の「前記3次元センサが接近する指を検知したときにその位置を中心としてキーを拡大して表示すると共に、前記接触検知部が指の接触を検知したときにキーを標準の大きさに戻し、」「キーを拡大して表示する際に、部分的に拡大して表示するか、または、全体的に拡大して表示する」「表示制御部」と、「前記3次元センサが接近する指を検知したときにその位置を中心としてキーを拡大して表示すると共に、後にキーを標準の大きさに戻し、キーを拡大して表示する際に、部分的に拡大して表示するか、または、全体的に拡大して表示する」「表示制御部」である点では共通するといえる。 (カ)引用発明の「入力装置」は、本願発明と同様に「タッチパネル式入力装置」といい得るものである。 したがって、両者は、以下の一致点、相違点を有する。 <一致点> 「キーボードを表示して入力を行うタッチパネルと、 前記タッチパネル上にキーを表示する表示制御部と、 前記タッチパネル上に指が接触した位置を検知する接触検知部と、 接触した位置から入力されたキーを判定する入力判定部と、 前記タッチパネルに対して離接する指の位置および前記タッチパネルからの距離を検知する3次元センサとを備え、 前記表示制御部は、 前記3次元センサが接近する指を検知したときにその位置を中心としてキーを拡大して表示すると共に、後にキーを標準の大きさに戻し、 キーを拡大して表示する際に、部分的に拡大して表示するか、または、全体的に拡大して表示することを特徴とするタッチパネル式入力装置。」 <相違点> 「表示制御部」が「後にキーを標準の大きさに戻」すのが、本願発明では、「前記接触検知部が指の接触を検知したとき」であるのに対し、引用発明では、「ディスプレイ装置101」から、「指を離した時点で選択候補として選定されていたキーが選択されて入力」されるときである点。 (4)判断 上記相違点は、前記「第2 平成28年7月4日付の手続補正についての補正却下の決定」、[補正却下の決定の結論]、「(2)補正の適否」、「イ.対比」の欄で説明した<相違点1>と同じであるから、同様の理由により、本願発明は、引用発明および周知技術1に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)むすび 本願発明は、引用発明および周知技術1に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-010038

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