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特許拒絶査定不服審判

2024-007865

電子デバイスに組み込まれた認証システム

審判番号
2024-007865
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-151495
請求日
2024年05月10日
審決日
2025年02月18日
公報発行日
2025年08月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】アップル インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】弁理士法人大塚国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 須田 勝巳
  • 審判官 大塚 俊範
  • 審判官 山崎 慎一
分類
P18 .121-Z (G06F) / P18 .575-Z (G06F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第4項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-151495「電子デバイスに組み込まれた認証システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年12月13日出願公開、特開2022-184995〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2008年(平成20年)9月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2007年9月24日(以下、「優先日」という。)、米国)を国際出願日とする 特願2010-525891号の一部を新たな特許出願とした 特願2013-098406号の一部を新たな特許出願とした 特願2015-083696号の一部を新たな特許出願とした 特願2017-013383号の一部を新たな特許出願とした 特願2017-085582号の一部を新たな特許出願とした 特願2018-241505号の一部を新たな特許出願とした 特願2019-194603号の一部を新たな特許出願とした 特願2021-084065号の一部を新たな特許出願として 令和4年9月22日に出願されたものであって、以降の手続の経緯は以下のとおりである。 令和 4年10月13日 :翻訳文、出願審査請求書、手続補正書、 上申書の提出 令和 5年 9月25日付け :拒絶理由の通知 令和 5年11月27日 :意見書、手続補正書の提出 令和 6年 1月 5日付け :拒絶査定 令和 6年 5月10日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和 6年 6月 6日付け :前置報告 令和 6年 7月23日 :上申書の提出 第2 令和6年5月10日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年5月10日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「 【請求項1】 方法であって、 ディスプレイと、光センサと、加速度計及びジャイロスコープのうちの少なくとも1つとを有する電子デバイスにおいて、 前記電子デバイスがロックされた状態である間に、複数の入力を検出す ることであって、前記複数の入力は、 1つ以上の顔又は眼の特徴を検出するために前記光センサを使用する ことと、 前記電子デバイスの動きを検出するために前記加速度計又はジャイロ スコープのうちの前記少なくとも1つを使用することと、を含む、こと と、 前記複数の入力を検出したことに応答して、 前記複数の入力が認証基準を満たすとの判定に従って、前記電子デバ イスをロック解除することであって、前記複数の入力が認証基準を満た すとの前記判定は、 前記加速度計又はジャイロスコープのうちの前記少なくとも1つを 使用して検出された前記電子デバイスの前記動きが、事前に決定され たパターンに従うことと、 前記光センサを使用して検出された前記顔又は眼の特徴が、許可さ れた生体情報に一致することと、に基づく、ことと、 前記電子デバイスの前記検出された動きが前記事前に決定されたパタ ーンに従わないために前記複数の入力が前記認証基準を満たさないとの 判定に従って、前記電子デバイスがロック解除されていないことを示す ユーザインターフェースを表示することと、を有する方法。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和5年11月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「 【請求項1】 方法であって、 ディスプレイと、光センサと、加速度計及びジャイロスコープのうちの少なくとも1つとを有する電子デバイスにおいて、 前記電子デバイスがロックされた状態である間に、複数の入力を検出す ることであって、前記複数の入力は、 1つ以上の顔又は眼の特徴を検出するために前記光センサを使用する ことと、 前記電子デバイスの動きを検出するために前記加速度計又はジャイロ スコープのうちの前記少なくとも1つを使用することと、を含む、こと と、 前記複数の入力を検出したことに応答して、 前記複数の入力が認証基準を満たすとの判定に従って、前記電子デバ イスをロック解除することであって、前記複数の入力が認証基準を満た すとの前記判定は、 前記加速度計又はジャイロスコープのうちの前記少なくとも1つを 使用して検出された前記電子デバイスの前記動きが、事前に決定され たパターンに従うことと、 前記光センサを使用して検出された前記顔又は眼の特徴が、許可さ れた生体情報に一致することと、に基づく、ことと、 前記複数の入力が前記認証基準を満たさないとの判定に従って、前記 電子デバイスがロック解除されていないことを示すユーザインターフェ ースを表示することと、を有する方法。」 2 補正の適否 本件補正における「前記電子デバイスの前記検出された動きが前記事前に決定されたパターンに従わないために前記複数の入力が前記認証基準を満たさないとの判定に従って、前記電子デバイスがロック解除されていないことを示すユーザインターフェースを表示すること」との事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これらを「当初明細書等」という。)の段落【0032】、【0080】、及び図4、15等に記載されたものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合するものである。 また、本件補正前の「前記複数の入力が前記認証基準を満たさないとの判定」を、本件補正後の「前記電子デバイスの前記検出された動きが前記事前に決定されたパターンに従わないために前記複数の入力が前記認証基準を満たさないとの判定」とする補正(以下、「補正事項1」という。)は、“複数の入力が認証基準を満たさないと判定”する態様を限定するものであるから、上記補正事項1は、補正前の請求項1の発明特定事項を限定するものであり、本件補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明は、補正前の発明と単一性を満たすものである。(特許法第17条の2第4項) 上記のとおり、補正事項1は、補正前の請求項1の発明特定事項を限定するものであり、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献 ア 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由で(引用文献2として)引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2007-116602号公報(平成19年5月10日公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は当審で付加したものである。以下、同様。) (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、内蔵認証システムを備えた電子デバイスに関する。 【背景技術】 【0002】 電子デバイス、特に携帯型電子デバイスは、個人情報を格納するために用いられる。例えば、ユーザは、ユーザが用いる連絡先、電子メール、カレンダー情報、文書、および、その他の情報を格納するために、携帯電話、PDA、スマートフォン、または、その他の電子デバイスを用いてよい。この情報は、必ずしも秘密にしなくてもよいが、ユーザは、情報の少なくとも一部を他人に利用できなくするよう望んでもよい。許可されていない人物がユーザの個人情報にアクセスし閲覧することを防ぐ方法の1つとして、デバイス機能を有効にする前、または、デバイスリソースにアクセスする前に、パスワードまたはパスコードの提供を電子デバイスのユーザに要求する方法が挙げられる。例えば、電子デバイスは、デバイスのホームスクリーン(例えば、スプリングボード)またはメニューを表示する前に、4つの数字または4つの文字のPINを入力するよう、ユーザに要求してよい。別の例として、ユーザの指紋を検出するためまたはユーザの網膜を走査するための付属デバイスをデバイスに接続することによって、ユーザが、デバイスへのアクセス権を受ける前に、承認された指紋または網膜を最初に示さなければいけないようにしてもよい。 【0003】 これらの方法は両方とも有効でありうるが、パスワードまたはパスコードに基づくアクセス制限は、パスワードまたはパスコードを知っている他のユーザがいない限りは、効果的である。パスワードまたはパスコードが知られると、制限メカニズムは、効果がなくなりうる。また、パスワードまたはパスコードを忘れて、許可ユーザがデバイスにアクセスできなくなる場合もある。さらに、ユーザに指紋を提供するまたは網膜スキャンを受けるよう要求することは、ユーザがデバイスにアクセスできるまでに求めるステップを増やすため、時間がかかり、ユーザにとって煩わしい場合がある。この方法は、パスワードまたはパスコードの入力よりも安全であるが、ハードウェア(例えば、必要なスキャナ、検出器、または、リーダ)のコストと時間がかかる。したがって、例えば、ユーザがデバイスをオンにする、ロック解除する、または、起動する時に、デバイスが迅速かつシームレスにユーザを認証するように、生体認証および他の認証メカニズムを実装した電子デバイスを提供することが望ましい。 【発明の概要】 【0004】 電子デバイスのユーザを認証するための方法、電子デバイス、および、コンピュータ読み取り可能な媒体が提供されている。一部の実施形態において、電子デバイスは、ユーザをシームレスに認証しうる。電子デバイスは、ユーザから入力を受信してよく、その入力は、電子デバイスの入力メカニズムによって提供される。電子デバイスは、ユーザが、入力メカニズムの中またはその近傍に組み込まれた1または複数のセンサから入力を提供する時に、識別情報を検出してよい。電子デバイスは、検出した識別情報を、デバイスのライブラリに格納されている識別情報と比較することによって、ユーザを認証してよい。例えば、センサは、ユーザの皮膚の特長、または、ユーザの皮下の特長を検出するためのセンサを含んでよい。センサは、タッチスクリーン、ボタン(例えば、キーボードまたはマウスのボタン)、入力メカニズム近傍のデバイスの筐体(例えば、キーボードの近くのラップトップ筐体)、または、任意の他の適切な位置の少なくとも一カ所に組み込まれてよい。 【0005】 上記技術では、顔認証でロック解除を行う場合は、ユーザーが顔認証モードを起動する必要があり、操作に手間がかかっていた。あるいは、ロック解除しようとしてから顔認証に必要なカメラ起動及び認証機能起動を行うために、装置を操作できるようになるまでに時間がかかるという問題があった。 【0006】 例えば、携帯電話の使用に関してロックしていたものを顔認証により解除しようとした場合に、使用者が携帯電話を持ち、操作しようと起動キーを押す操作に応じて、端末側において顔認証用カメラの起動および認証機能の起動が行なわれ、その後はじめて顔認証ができるようになり、その後に、認証のための操作を行うことになる。 【0007】 このように、実際の操作ができるようになるまでにはいくつもの手順をふまなければならず、とても手間がかかる。 【0008】 本発明は、顔認証を行う機器における操作を簡単にするための技術を提供することを目的とする。」 (イ)「【実施例1】 【0013】 図1は本発明の実施例1による端末機器の一構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施例による端末機器は、カメラモジュール等の撮像部101と、液晶パネルなどの表示部102と、ユーザーが端末をつかんだり、動かしたことを感知することができるセンサー部104と、撮像部101からの画像と図示しないメモリに保存されている所有者の画像とに基づいて顔認証を行う、いわば機器の機能をロックするロック機構としての顔認証部105と、センサー部104からのデータをもとにユーザーが端末装置をつかんだり動かしたりしたイベントの発生の有無を判断するイベント発生判断部103と、発生したイベントのパターンを記憶するパターン記憶部106と、を有している。さらに、図示しないが、発生したイベントにおけるパターンと前記パターン記憶部に記憶されているパターンとを比較して使用者識別を行うパターン比較部を有している。ロック機構は機器の電源スイッチでも良い。 【0014】 図2は、ユーザーが端末装置をつかんだり動かしたりしたイベントの発生を感知する動作の流れを示すフローチャート図である。図2に示すように、ロックされた状態においてユーザーの動作が発生(Start)すると(ステップ200)、まず、センサー部104からセンサー情報を読み取る(ステップ201)。センサー情報をもとに、動きが検出されたか否かを判断する(ステップ202)。動きが検出されなかったら(No)ステップ201に戻る。動きが検出されると(Yes)、センサー部104による測定値をスタックする(ステップ203)。 【0015】 ユーザーが端末をつかんだり動かしたりしたと判断できるだけの値がたまったか否かを判断し(ステップ204)、まだそれだけの値がたまっていない場合には(No)センサー値を読み取り(ステップ209)、ステップ210において動きが検出されていれば(Yes)、ステップ203においてセンサー値をスタックする。動きが検出されなければ(No)、ステップ201に戻る。 【0016】 ユーザーが端末をつかんだり動かしたりしたことを判断できるだけの値がたまっている場合には(ステップ204でYes)、ステップ205において動作判断を行う。ここで、手で持ち上げたか否かの判断を行い(ステップ206)、手で持ち上げたのでなければ(No)ステップ201へ、手で持ち上げたと判断した場合には(Yes)カメラを起動し(ステップ207)、ロック機構の解除、例えば顔認証処理の準備を行う(ステップ208)。これにより、認証準備の動作が終了する(end:ステップ209)。 【0017】 以上に説明したように、本実施例による技術を用いると、端末装置の起動などの操作とは関係なく、ロックを解除可能かどうかについて自動的に判断し顔認証処理などを行うか否かを独立して判断することができる。従って、認証処理を迅速に、かつ、簡単な操作により実行することができるという利点がある。 【0018】 尚、加速度センサーを利用して使用者が端末を持ち上げたか否かを判断する場合には、例えば乗り物に乗っている時などにもセンサーは反応してしまう。そこで、使用者が端末を持ち上げる時の加速度のパターンをパターン記憶部106に記憶しておき、発生したイベントのパターンが記憶されたパターンに近い場合には使用者が端末を持ち上げたと推定し、ロック機構を解除するようにしても良い。この持ち上げるパターンにも個人差があるため、この個人差を認証の補助として利用することも可能である。」 (ウ)「【実施例2】 【0019】 次に、本発明の実施例2による端末装置について図面を参照しながら説明を行う。図4は、本実施例2による端末装置であって、ユーザーが端末装置をつかんだり動かしたりすることを感知するためのセンサーとして温度センサーを用いた場合、圧力センサーを用いた場合、抵抗率センサーを用いた場合の手順を示すフローチャート図である。例えば、端末装置の代表例である折り畳み型の携帯電話機に本実施例による技術を搭載した場合に、携帯電話機をユーザーが持つ場合には、図3に示すように、畳んだ状態では、サブ表示部が見えるようにして折り畳んだ状態に携帯電話機300の両側部を手で把持するように持つことになる。このような持ち方によりイベントの起動の契機を検出するためには、センサーに指が触れやすい位置、すなわち、端末装置の左右の側面に配置するのが好ましい。パターン記憶部に記憶するパターンとしては、このような持ち方をした場合の持ち方や指の長さ、圧力のかかり方の個人差に基づいて、真のユーザーであるか否かを識別することができる。他のセンサーの場合も同様である。本実施例では、端末装置の側部(左右)にセンサーを配置する例を示したが、指が触れやすい部分であれば、装置の使い方によって適切な位置にセンサーを配置するのが好ましい。 【0020】 センサーとして温度センサーを用いる場合には、左右の両方のセンサーが体温に近い値を示した場合に端末装置をつかんだものと判断することができる。 【0021】 また、図5に示す携帯電話機300のように、センサー373、383を携帯電話機300の側部に複数縦に並べて配置した場合には、センサー373,383が体温などを検出した位置によって、使用者が持ったのか単にさわっただけなのかなどの識別をより正確に行うことができる。 【0022】 判断方法としては、通常、携帯電話機を持ち上げる場合には、片側を親指一本で、もう片方を複数の指で把持して取り上げるため、そのような把持の仕方になっているかどうかをセンサーの位置(パターン)により識別すれば良い。また、単に持ち上げたことを判断するのみではなく、所有者の携帯電話機の使用時における持ち方の癖を記憶しておくことにより、顔認識に先立って、本人以外の使用であるか否かを大まかに推測し、明らかに本人以外の場合は顔認識を行わないようにして使用を禁止することができる。」 (エ)「【0027】 以上に説明したように、本実施の形態による自動認証装置においては、予め撮影機能と顔認証機能とに関する準備を行っておくため、ユーザーの操作が簡易かつ迅速になり、使い勝手が向上する。尚、操作するパターンにも個人差があるので、それを認証の補助として使用することも可能である。 【0028】 ユーザーが端末を把持したり動かしたりすることを感知するためのセンサーとして加速度センサーを用いると、あらかじめカメラと顔認証機能との準備をしておけるため、ユーザーの操作が簡易かつ迅速になり、使い勝手が向上する。また、単に持ち上げたことを判断するだけでなく、所有者の使用中の持ち方の癖を記憶しておくことにより、本人確認の精度を向上させることができる。 【0029】 ユーザーが端末を把持したり、動かしたりしたことを感知するためのセンサーとして温度センサーを用いると、あらかじめ撮影機能と顔認証機能との準備をしておけるため、ユーザーの操作が簡易かつ迅速になり、使い勝手が向上する。また、持ち上げたことを判断するだけでなく、所有者の使用中の持ち方の癖を記憶しておくことで、認証精度を向上させることができる。 【0030】 ユーザーが端末を把持したり、動かしたりしたことを感知するためのセンサーとして圧力センサーを用いることで、あらかじめ撮影機能と顔認証機能との準備をしておけるため、ユーザーの操作が簡易かつ迅速になり、使い勝手が向上する。また、所有者の持ったときの圧力パターンを覚えておき、本人認証の精度を向上させることができる。 【0031】 ユーザーが端末を把持したり、動かしたりしたことを感知するためのセンサーとして抵抗率センサーを用いることにより、あらかじめ撮影機能と顔認証機能との準備をしておけるため、ユーザーの操作が簡易かつ迅速になり、使い勝手の向上につながる。 【0032】 ユーザーが端末をつかんだり、動かしたことを感知するためのセンサーとして加速度センサー、温度センサー、圧力センサー、抵抗率センサーのうち、2つ以上のセンサーを組み合わせて用いることにより、単一のセンサーで把持したり動かしたことを検知する場合よりも、高精度で検知することができ、あらかじめ撮影機能と顔認証機能との準備をしておけるため、ユーザーの操作が簡易になり、使い勝手が向上する。」 (オ)「【図1】 [図:0001425428000001.jpg] 」 (カ)「【図2】 [図:0001425428000002.jpg] 」 イ 引用発明 上記引用文献1の記載について検討する。 なお、引用文献1において、「端末機器」、「端末装置」及び「端末」は、いずれも、「端末」のことであると認められるから、引用発明の認定に当たっては、これらを統一して、「端末」と表記することとした。 (ア)上記ア(ア)の段落【0008】、同(イ)の段落【0013】、【0014】、【0018】及び同(カ)の図2の記載から、引用文献1には、顔認証を行う端末における操作を簡単にするために、“カメラモジュール等の撮像部101と、液晶パネルなどの表示部102と、ユーザーが端末をつかんだり、動かしたことを感知することができるセンサー部104として加速度センサーと、を有する端末において実行される方法”が記載されていると認められる。 (イ)上記ア(イ)の段落【0013】の「撮像部101からの画像と図示しないメモリに保存されている所有者の画像とに基づいて顔認証を行う」との記載、「センサー部104からのデータをもとにユーザーが端末装置をつかんだり動かしたりしたイベントの発生の有無を判断するイベント発生判断部103」との記載、段落【0014】の「ロックされた状態においてユーザーの動作が発生(Start)すると(ステップ200)」との記載、段落【0018】の「加速度センサーを利用して使用者が端末を持ち上げたか否かを判断する」との記載から、引用文献1には、“ロックされた状態において、ユーザーが端末をつかんだり動かしたりしたイベントの発生の有無を判断するために加速度センサーを利用することと、顔認証に用いる顔の画像を撮像するために撮像部101を使用すること”が記載されていると認められる。 (ウ)上記ア(イ)の段落【0014】の「ロックされた状態においてユーザーの動作が発生(Start)すると(ステップ200)、まず、センサー部104からセンサー情報を読み取る(ステップ201)。センサー情報をもとに、動きが検出されたか否かを判断する(ステップ202)。」「動きが検出されると(Yes)、センサー部104による測定値をスタックする(ステップ203)。」との記載、段落【0016】の「ユーザーが端末をつかんだり動かしたりしたことを判断できるだけの値がたまっている場合には(ステップ204でYes)、ステップ205において動作判断を行う。ここで、手で持ち上げたか否かの判断を行い(ステップ206)」、「手で持ち上げたと判断した場合には(Yes)カメラを起動し(ステップ207)、ロック機構の解除、例えば顔認証処理の準備を行う(ステップ208)」との記載、段落【0018】の「加速度センサーを利用して使用者が端末を持ち上げたか否かを判断する」、「使用者が端末を持ち上げる時の加速度のパターンをパターン記憶部106に記憶しておき、発生したイベントのパターンが記憶されたパターンに近い場合には使用者が端末を持ち上げたと推定」するとの記載、段落【0013】の「撮像部101からの画像と図示しないメモリに保存されている所有者の画像とに基づいて顔認証を行う顔認証部105」との記載から、引用文献1には、“ロックされた状態においてユーザーの動作が発生(Start)すると(ステップ200)、センサー部104からセンサー情報を読み取り(ステップ201)、センサー情報をもとに、動きが検出されたか否かを判断し(ステップ202)、動きが検出されると(Yes)、センサー部104による測定値をスタックし(ステップ203)、ユーザーが端末をつかんだり動かしたりしたことを判断できるだけの値がたまっている場合には(ステップ204でYes)、ステップ205において動作判断、すなわち、加速度センサーを利用して使用者が端末を持ち上げたか否かを判断することであって、使用者が端末を持ち上げる時の加速度のパターンをパターン記憶部106に記憶しておき、発生したイベントのパターンが記憶されたパターンに近い場合には使用者が端末を持ち上げたと推定すること(ステップ206)と、当該使用者が端末を持ち上げたと推定した場合には(Yes)カメラを起動し(ステップ207)、ロック機構の解除、例えば顔認証処理の準備を行い(ステップ208)、顔認証部105が、撮像部101からの画像とメモリに保存されている所有者の画像とに基づいて顔認証を行うこと”が記載されていると認められる。 ここで、上記ア(ア)の段落【0002】の「許可されていない人物がユーザの個人情報にアクセスし閲覧することを防ぐ方法の1つとして、デバイス機能を有効にする前、または、デバイスリソースにアクセスする前に、パスワードまたはパスコードの提供を電子デバイスのユーザに要求する方法が挙げられる」、「別の例として、」「ユーザが、デバイスへのアクセス権を受ける前に、承認された指紋または網膜を最初に示さなければいけないようにしてもよい」との記載から、引用文献1には、背景技術として、“パスワードまたはパスコード提供した後に、デバイス機能を有効にすること”や“承認された指紋または網膜を示した後に、ユーザが、デバイスへのアクセス権を受けること”、すなわち、“認証が成功した場合に、端末のロックを解除すること”が記載されていると認められる。 そうすると、引用文献1に記載された“使用者が端末を持ち上げたと推定した場合には(Yes)カメラを起動し(ステップ207)、ロック機構の解除、例えば顔認証処理の準備を行い(ステップ208)、顔認証部105が、撮像部101からの画像とメモリに保存されている所有者の画像とに基づいて顔認証を行”った後、顔認証が成功した場合に、端末のロックを解除することは自明である。 したがって、引用文献1には、“使用者が端末を持ち上げたと推定されると、端末のロック機構を解除して顔認証を開始し、顔認証が成功した場合に、端末のロックを解除すること”が実質的に記載されているといえる。 (エ)上記ア(イ)の段落【0016】の「ステップ205において動作判断を行う。ここで、手で持ち上げたか否かの判断を行い(ステップ206)、手で持ち上げたのでなければ(No)ステップ201へ」との記載、段落【0014】の「センサー部104からセンサー情報を読み取る(ステップ201)」との記載、段落【0018】の「使用者が端末を持ち上げる時の加速度のパターンをパターン記憶部106に記憶しておき、発生したイベントのパターンが記憶されたパターンに近い場合には使用者が端末を持ち上げたと推定」との記載、及び同(カ)の図2の記載から、“発生したイベントのパターンが、記憶しておいた使用者が端末を持ち上げる時の加速度のパターンに近くない場合には使用者が端末を持ち上げたのではないと推定し、動作判断に用いるセンサー情報の読み取り(ステップ201)に戻ること”が記載されていると認められる。 上記(ア)~(エ)の検討から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (引用発明) カメラモジュール等の撮像部101と、液晶パネルなどの表示部102と、ユーザーが端末をつかんだり、動かしたことを感知することができるセンサー部104として加速度センサーと、を有する端末において実行される方法であって、 ロックされた状態において、 ユーザーが端末をつかんだり動かしたりしたイベントの発生の有無を判断するために加速度センサーを利用することと、 顔認証に用いる顔の画像を撮像するために撮像部101を使用することと、 ロックされた状態においてユーザーの動作が発生(Start)すると(ステップ200)、センサー部104からセンサー情報を読み取り(ステップ201)、センサー情報をもとに、動きが検出されたか否かを判断し(ステップ202)、動きが検出されると(Yes)、センサー部104による測定値をスタックし(ステップ203)、ユーザーが端末をつかんだり動かしたりしたことを判断できるだけの値がたまっている場合には(ステップ204でYes)、ステップ205において動作判断、すなわち、加速度センサーを利用して使用者が端末を持ち上げたか否かを判断することであって、使用者が端末を持ち上げる時の加速度のパターンをパターン記憶部106に記憶しておき、発生したイベントのパターンが記憶されたパターンに近い場合には使用者が端末を持ち上げたと推定すること(ステップ206)と、 当該使用者が端末を持ち上げたと推定した場合には(Yes)カメラを起動し(ステップ207)、ロック機構の解除、例えば顔認証処理の準備を行い(ステップ208)、顔認証部105が、撮像部101からの画像とメモリに保存されている所有者の画像とに基づいて顔認証を行うことと、 使用者が端末を持ち上げたと推定され、顔認証が成功した場合に、端末のロックを解除することと、 発生したイベントのパターンが、記憶しておいた使用者が端末を持ち上げる時の加速度のパターンに近くない場合には使用者が端末を持ち上げたのではないと推定し、動作判断に用いるセンサー情報の読み取り(ステップ201)に戻ることと、 を有する方法。 (3) 周知技術文献 ア 原査定の拒絶の理由で(引用文献3として)引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、国際公開第2004/104813号(平成16年12月2日公開。以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。 (ア)「 第10図は、機能をロックするときの手順を示すフローチャート、第11図から第13図はディスプレイ2へ表示される画面の例を示す正面図である。電源をON後(ステップ101)、図示しない通常メニューから第11図に示す機能ロックモードを表示させることができる(ステップ102)。機能ロックモードでは、機能ロックモードの表示領域111の他、ロックされていない場合にはロック要否確認表示領域112とその回答表示領域113が表示され、使用者が携帯端末装置の各種機能をロックさせたい場合は、回答表示領域113で「はい」にカーソルを移動させて強く押し付ける等で指定すると、ロック要否確認表示領域112に表示された番号等のアドレス(ID)に登録されている指紋をロック解除用の認証指紋として、機能ロックされる。 機能がロックされている場合には、図示しない通常メニューから機能ロックモードを表示させると、第12図に示すようなロック解除メニューが表示される(ステップ103)。第12図は機能ロックの解除のときの表示例で、ディスプレイ2には、ロック解除表示領域121とメッセージ表示領域122とが表示される。メッセージ表示領域122には機能ロックを解除するために必要な指紋認証用の指紋のアドレス(ID)が表示され、該当する指を指紋センサ部へ押し付け指紋照合を行う(ステップ104)。押し付けられた指紋と登録された指紋とが一致するかどうかの判定を行い(ステップ105)、一致の場合は機能ロックが解除されて図示しないロック解除のメッセージを表示し(ステップ106)、図示しない通常メニューの表示に戻る(ステップ107)。ステップ105で一致しない場合には、第13図に示すようなロック解除不成功のメッセージを表示する(ステップ108)。第13図に示すディスプレイ2には、解除不成功のメッセージ表示領域131が表示される。使用者が正しい指を押し付けたにもかかわらず指紋認証時のエラ一があった可能性もあるので、再度指を押し付けて指紋認証をやりなおすことができる。」(第7頁第2行~第26行) (イ)「 [図:0001425428000003.jpg] 」 (ウ)「 [図:0001425428000004.jpg] 」 イ 上記より、以下の事項は、本願優先日前における周知技術であったと認められる。 (周知技術) 「携帯端末装置の機能ロックを解除する際、センサへ入力された情報と、登録された情報とが一致しない場合に、ロック解除不成功のメッセ一ジを表示すること。」 (4)引用発明との対比 本件補正発明と引用発明を対比する。 ア 引用発明の「液晶パネルなどの表示部102」、「カメラモジュール等の撮像部101」、「加速度センサー」、「端末」は、それぞれ、本件補正発明の「ディスプレイ」、「光センサ」、「加速度計」、「電子デバイス」に相当する。 そうすると、引用発明の「カメラモジュール等の撮像部101と、液晶パネルなどの表示部102と、ユーザーが端末機器をつかんだり、動かしたことを感知することができるセンサー部104として加速度センサーと、を有する端末」は、本件補正発明の「ディスプレイと、光センサと、加速度計及びジャイロスコープのうちの少なくとも1つとを有する電子デバイス」に相当する。 イ 引用発明の「カメラモジュール等の撮像部101と、液晶パネルなどの表示部102と、ユーザーが端末をつかんだり、動かしたことを感知することができるセンサー部104として加速度センサーと、を有する端末機器において実行される方法」は、後述する相違点を除いて、本件補正発明の「ディスプレイと、光センサと、加速度計及びジャイロスコープのうちの少なくとも1つとを有する電子デバイスにおいて」実行される「方法」に相当する。 ウ 顔認証に際して顔の特徴を用いることは本願優先日前における技術常識であるから、引用発明の「顔認証に用いる顔の画像を撮像するために撮像部101を使用すること」は、本件補正発明の「1つ以上の顔又は眼の特徴を検出するために前記光センサを使用すること」に相当する。 エ 引用発明の「ユーザーが端末をつかんだり動かしたりしたイベントの発生の有無を判断するために加速度センサーを利用すること」は、本件補正発明の「前記電子デバイスの動きを検出するために前記加速度計又はジャイロスコープのうちの前記少なくとも1つを使用すること」に相当する。 オ 引用発明の「ロックされた状態」は、端末がロックされた状態であることは明らかであるから、引用発明の「ロックされた状態において」は、本件補正発明の「電子デバイスがロックされた状態である間に」相当する。 カ 引用発明は「ロックされた状態において、ユーザーが端末をつかんだり動かしたりしたイベントの発生の有無を判断するために加速度センサーを利用することと、顔認証に用いる顔の画像を撮像するために撮像部101を使用すること」とを行うものであるから、端末がロックされた状態である間に、「加速度センサー」への入力と、「撮像部101」への入力を検出するものであるといえ、これらの入力は、本件補正発明の「複数の入力」に相当する。 キ 上記ウ~カより、引用発明の「ロックされた状態において、ユーザーが端末をつかんだり動かしたりしたイベントの発生の有無を判断するために加速度センサーを利用することと、顔認証に用いる顔の画像を撮像するために撮像部101を使用すること」は、本件補正発明の「前記電子デバイスがロックされた状態である間に、複数の入力を検出することであって、前記複数の入力は、1つ以上の顔又は眼の特徴を検出するために前記光センサを使用することと、前記電子デバイスの動きを検出するために前記加速度計又はジャイロスコープのうちの前記少なくとも1つを使用することと、を含む、こと」に相当する。 ク 引用発明の「パターン記憶部106に記憶」された「使用者が端末を持ち上げる時の加速度のパターン」は、使用者が端末を持ち上げたか否かを判断するために「加速度センサー」で測定された加速度のパターンと比較されるものであるから、本件補正発明の「事前に決定されたパターン」に相当する。 ケ 引用発明の「メモリに保存されている所有者の画像」は、「撮像部101」からの画像との比較を行って顔認証を行うための画像であるから、本件補正発明の「許可された生体情報」に相当する。 コ 引用発明の「ステップ205において動作判断、すなわち、加速度センサーを利用して使用者が端末を持ち上げたか否かを判断することであって、使用者が端末を持ち上げる時の加速度のパターンをパターン記憶部106に記憶しておき、発生したイベントのパターンが記憶されたパターンに近い場合には使用者が端末を持ち上げたと推定すること(ステップ206)」は、「ユーザーが端末をつかんだり動かしたりしたことを判断できるだけの値がたまっている場合」(ステップ204でYes)に判断されるものであるから、上記カの検討も踏まえると、“加速度センサーへの入力を検出したことに応答して”判定されるものと認められる。 また、引用発明の「使用者が端末を持ち上げたと推定した場合には(Yes)カメラを起動し(ステップ207)、ロック機構の解除、例えば顔認証処理の準備を行い(ステップ208)、顔認証部105が、撮像部101からの画像とメモリに保存されている所有者の画像とに基づいて顔認証を行うことと、使用者が端末を持ち上げたと推定され、顔認証が成功した場合に、端末のロックを解除すること」は、上記カの検討も踏まえれば、“加速度センサーへの入力を検出し、使用者が端末を持ち上げたと推定した場合に、撮像部101への入力を検出したことに応答して”判定されるものと認められ、本件補正発明の「複数の入力を検出したことに応答して、前記複数の入力が認証基準を満たすとの判定に従って、前記電子デバイスをロック解除すること」に相当する。 サ 引用発明の「加速度センサーを利用して使用者が端末を持ち上げたか否かを判断すること」について、上記2(2)ア(イ)の段落【0018】には、「使用者が端末を持ち上げる時の加速度のパターンをパターン記憶部106に記憶しておき、発生したイベントのパターンが記憶されたパターンに近い場合には使用者が端末を持ち上げたと推定し、ロック機構を解除するようにしても良い。この持ち上げるパターンにも個人差があるため、この個人差を認証の補助として利用することも可能である。」との記載があり、上記2(2)ア(ウ)の段落【0019】には「ユーザーが端末装置をつかんだり動かしたりすることを感知するためのセンサーとして温度センサーを用いた場合、圧力センサーを用いた場合、抵抗率センサーを用いた場合」について、「パターン記憶部に記憶するパターンとしては、このような持ち方をした場合の持ち方や指の長さ、圧力のかかり方の個人差に基づいて、真のユーザーであるか否かを識別することができる。他のセンサーの場合も同様である。」との記載があるところ、上記段落【0018】における「この個人差を認証の補助として利用する」とは、“この個人差を利用して、真のユーザーであるか否かを識別する”ことを含む概念であるといえ、引用発明の「加速度センサーを利用して使用者が端末を持ち上げたか否かを判断すること」自体も「認証」の一環であると認められる。 そして、上記クの検討も踏まえると、引用発明の「ステップ205において動作判断、すなわち、加速度センサーを利用して使用者が端末を持ち上げたか否かを判断することであって、使用者が端末を持ち上げる時の加速度のパターンをパターン記憶部106に記憶しておき、発生したイベントのパターンが記憶されたパターンに近い」ことは、本件補正発明の「前記複数の入力が認証基準を満たすとの判定」のうちの“電子デバイスの動きを検出するため”の入力が認証基準を満たすとの判定における「前記加速度計又はジャイロスコープのうちの前記少なくとも1つを使用して検出された前記電子デバイスの前記動きが、事前に決定されたパターンに従うこと」に相当する。 シ “顔認証”において、“認証基準を満たす”とは、認証される顔画像と基準となる顔画像の顔の特徴が一致することであることは本願優先日前における技術常識であるから、引用発明の「顔認証部105が、撮像部101からの画像とメモリに保存されている所有者の画像とに基づいて顔認証を行うこと」は、本件補正発明の「前記複数の入力が認証基準を満たすとの判定」のうちの“1つ以上の顔又は眼の特徴を検出するため”の入力が認証基準を満たすとの判定が「前記光センサを使用して検出された前記顔又は眼の特徴が、許可された生体情報に一致すること」「に基づく」ことに相当する。 ス 上記コ~シより、引用発明の「ステップ205において動作判断、すなわち、加速度センサーを利用して使用者が端末を持ち上げたか否かを判断することであって、使用者が端末を持ち上げる時の加速度のパターンをパターン記憶部106に記憶しておき、発生したイベントのパターンが記憶されたパターンに近い場合には使用者が端末を持ち上げたと推定すること(ステップ206)と、当該使用者が端末を持ち上げたと推定した場合には(Yes)カメラを起動し(ステップ207)、ロック機構の解除、例えば顔認証処理の準備を行い(ステップ208)、顔認証部105が、撮像部101からの画像とメモリに保存されている所有者の画像とに基づいて顔認証を行うことと、使用者が端末を持ち上げたと推定され、顔認証が成功した場合に、端末のロックを解除すること」は、本件補正発明の「前記複数の入力を検出したことに応答して、前記複数の入力が認証基準を満たすとの判定に従って、前記電子デバイスをロック解除することであって、前記複数の入力が認証基準を満たすとの前記判定は、前記加速度計又はジャイロスコープのうちの前記少なくとも1つを使用して検出された前記電子デバイスの前記動きが、事前に決定されたパターンに従うことと、前記光センサを使用して検出された前記顔又は眼の特徴が、許可された生体情報に一致することと、に基づく、こと」に相当する。 セ 引用発明の「発生したイベントのパターンが、記憶しておいた使用者が端末を持ち上げる時の加速度のパターンに近くない場合には使用者が端末を持ち上げたのではないと推定し、動作判断に用いるセンサー情報の読み取り(ステップ201)に戻る」ことと、本件補正発明の「前記電子デバイスの前記検出された動きが前記事前に決定されたパターンに従わないために前記複数の入力が前記認証基準を満たさないとの判定に従って、前記電子デバイスがロック解除されていないことを示すユーザインターフェースを表示すること」とは、下記の点を除き、“電子デバイスの検出された動きが事前に決定されたパターンに従わないために前記複数の入力が前記認証基準を満たさないとの判定に従って、電子デバイスがロック解除されない”点で共通する。 上記ア~セの検討から、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 方法であって、 ディスプレイと、光センサと、加速度計及びジャイロスコープのうちの少なくとも1つとを有する電子デバイスにおいて、 前記電子デバイスがロックされた状態である間に、複数の入力を検出す ることであって、前記複数の入力は、 1つ以上の顔又は眼の特徴を検出するために前記光センサを使用する ことと、 前記電子デバイスの動きを検出するために前記加速度計又はジャイロ スコープのうちの前記少なくとも1つを使用することと、を含む、こと と、 前記複数の入力を検出したことに応答して、 前記複数の入力が認証基準を満たすとの判定に従って、前記電子デバ イスをロック解除することであって、前記複数の入力が認証基準を満た すとの前記判定は、 前記加速度計又はジャイロスコープのうちの前記少なくとも1つを 使用して検出された前記電子デバイスの前記動きが、事前に決定され たパターンに従うことと、 前記光センサを使用して検出された前記顔又は眼の特徴が、許可さ れた生体情報に一致することと、に基づく、ことと、 前記電子デバイスの前記検出された動きが前記事前に決定されたパタ ーンに従わないために前記複数の入力が前記認証基準を満たさないとの 判定に従って、前記電子デバイスがロック解除されないことと、を有す る方法。 [相違点1] 本件補正発明は、前記電子デバイスの前記検出された動きが前記事前に決定されたパターンに従わないために前記複数の入力が前記認証基準を満たさないとの判定に従って、前記電子デバイスがロック解除されていないことを示すユーザインターフェースを表示するものであるのに対して、引用発明は、電子デバイスの前記検出された動きが前記事前に決定されたパターンに従わずロック解除されない場合に、ロック解除されていないことを示すユーザインターフェースを表示することが明示的に特定されていない点。 (5)判断 上記相違点について検討する。 ア 相違点1について (ア)上記(3)によれば、携帯端末装置の機能ロックを解除する際に、センサへ入力された情報と、登録された情報とが一致しない場合に、ロック解除不成功のメッセ一ジを表示することは、本願優先日前における周知技術であったところ、引用発明において、発生したイベントのパターンが、記憶しておいた使用者が端末を持ち上げる時の加速度のパターンに近くない場合には使用者が端末を持ち上げたのではないと推定し、動作判断に用いるセンサー情報の読み取り(ステップ201)に戻るに際して、表示部102にロック解除不成功のメッセージを表示、すなわちロック解除されていないことを示すユーザインターフェースを表示するように構成することは、当業者が容易に想到しえたことである。 (イ)そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものに過ぎず、格別顕著なものということはできない。 (ウ)したがって、本件補正発明は、引用発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (6)請求人の主張について ア 請求人は、審判請求書において以下のとおり主張をしている。(下線は、当審で付与したものである。) (ア)引用文献2には、ユーザが端末を持ち上げた後に顔認証が実行されうることが記載されています(段落0016)。しかし、引用文献2には、事前に決定されたパターンで端末が動いていない場合に端末がロック解除されていないことを示すユーザインターフェースを端末が表示することは記載されていません。 さらに、拒絶査定によれば、引用文献2では、端末をロック解除するためには顔認証に成功する必要があります。言い換えると、ユーザが端末を持ち上げ、顔認証に失敗するまで、端末は、顔認証に失敗した(すなわち、端末をロック解除できない)と判定しません。しがたって、引用文献3を引用文献2に組み合わせたとしても、顔認証に失敗した後にのみ、端末がロック解除されていないことを示すユーザインターフェースを表示することが得られるに過ぎず、本願発明の上述の特徴は得られません。 イ 請求人の主張について検討する。 (ア)上記ア(ア)について 上記(4)サで指摘したとおり、「加速度センサーを利用して使用者が端末を持ち上げたか否かを判断すること」自体も「認証」の一環であると認められるから、引用発明も、“顔認証に失敗する”前に、“端末をロック解除できない”と判定しているといえる。 そして、引用発明において、発生したイベントのパターンが、記憶しておいた使用者が端末を持ち上げる時の加速度のパターンに近くない場合には使用者が端末を持ち上げたのではないと推定し、動作判断に用いるセンサー情報の読み取り(ステップ201)に戻るに際して、表示部102にロック解除不成功のメッセージを表示、すなわちロック解除されていないことを示すユーザインターフェースを表示するように構成することは、当業者が容易に想到しえたことであることは、上記(5)において判断したとおりである。 したがって、請求人の主張は採用することができない。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和6年5月10日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和5年11月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開2007-116602号公報 引用文献2:国際公開第2004/104813号 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、2の記載事項は、上記第2の[理由]2(2)、(3)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、補正事項1に係る限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2の[理由]2(4)、(5)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-007865

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