特許拒絶査定不服審判
2015-012866
ポータブルコンピュータの統合型トップケース
- 審判番号
- 2015-012866
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-223513外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年07月06日
- 審決日
- 2016年10月03日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アップル インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】西島 孝喜
- 【請求人代理人】弟子丸 健
- 【請求人代理人】田中 伸一郎
- 【請求人代理人】大塚 文昭
- 分類
- P18 .121-WZ (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-223513「ポータブルコンピュータの統合型トップケース」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月 1日出願公開、特開2014- 78240〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成21年10月12日(優先権主張 平成20年10月13日、米国 平成21年1月13日、米国)を国際出願日とする出願である特願2011-531246号の一部を平成25年10月28日に新たな特許出願としたものであって、平成26年10月10日付けで拒絶理由が通知され、平成27年1月15日付けて手続補正がなされたが、同年2月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年7月6日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに手続補正がなされ、平成28年3月1日付けで当審において、拒絶理由(以下、「当審の拒絶理由」という。)が通知され、同年8月8日付けで手続補正がなされたものである。
そして、本願の特許請求の範囲の請求項10に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年8月8日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項10に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項10】
ポータブルコンピュータの動作コンポーネントを包囲するように配置されたシームレスの金属ケースであって、
トップ壁及びサイド壁で画成される空洞を形成するように協働する一体的なトップ壁及びサイド壁と、
前記トップ壁と前記サイド壁少なくとも1つから前記空洞へと延びる機械的切削一体的特徴部であって、前記機械的切削一体的特徴部と前記シームレスの金属ケースとが共通の金属であり、前記機械的切削一体的特徴部の少なくとも1つが前記トップ壁から延びる構造リブであり、
かつ、その構造リブが延びるところの前記トップ壁の部分は、実質的に平坦な外面を有することを特徴とする、
シームレスの金属ケースを備えた、
ポータブルコンピュータのエンクロージャー。」
なお、本願の特許請求の範囲の請求項10冒頭には、「前記ポータブルコンピュータの動作コンポーネント」と記載されているが、当該記載は冒頭であってこれより前に記載がないこと、および、出願人が平成28年8月8日付け意見書において、「請求項10は請求項1と同様に技術的特徴事項を限定した独立請求項であります。」と主張していることより、「前記ポータブルコンピュータ」は「ポータブルコンピュータ」の誤記と認め、上記のように認定した。
2.引用例等
当審の拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された、特開2000-36668号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
a)「【請求項1】 金属製の上部筐体及び下部筐体が接合されることで構成される電子機器において、
上記上部筐体及び下部筐体の間には、これらに接触するように導電性を有する弾性部材が設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】 上記弾性部材は、上部筐体若しくは下部筐体のいずれかに形成された突出部材の突出端部に一端側が取り付られ、他端側が下部筐体若しくは上部筐体のいずれかと接触するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。」(【請求項1】~【請求項2】の記載。)(下線は、当審で特に注目した箇所に付与した。以下、同様。)
b)「【0015】請求項2の発明によると、弾性部材は、上部筐体若しくは下部筐体のいずれかに形成された突出部材の突出端部に一端側が取り付けられ、他端側が下部筐体若しくは上部筐体のいずれかと接触するように設けられているため、この筐体に通常設けられているリブを利用して弾性部材を取り付ける構成とすることができる。それによって、通常存するリブを利用でき、コスト的にもわざわざ突出部材を形成する手間を省くことが可能となる。」(【0015】の記載。)
c)「【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態について、図1ないし図6に基づいて説明する。図2に本発明の電子機器用筐体をノート型パーソナルコンピュータ等のポータブルコンピュータ10に適用した場合について述べる。
【0018】ポータブルコンピュータ10は、コンピュータ本体11と、このコンピュータ本体11に回動自在に支持されたディスプレイユニット12とを備えている。コンピュータ本体11は、マグネシウム合金製の筐体20を備えており、この筐体20は、図3に示す下部筐体21と、図4に示す上部筐体22とが噛み合うことで構成されるものである。
【0019】なお、これら下部筐体21と上部筐体22は共に材質をマグネシウム合金として形成されており、その肉厚は略0.7~2mm程度と薄肉に形成されている。また、これら下部筐体21と上部筐体22等より構成されるポータブルコンピュータ10においては、厚み寸法が略20mm程度に定められた偏平な箱状を為しており、従来の一般的なポータブルコンピュータと比較して薄型化が実現されたものである。
【0020】このポータブルコンピュータを構成する主な構成要素について、以下に述べる。ポータブルコンピュータ10は、バッテリパック40を標準装備している。バッテリパック40は、例えば外部へこのポータブルコンピュータ10を携行する場合、或いは停電時等のように、通常使用されるコンセントから電源が得られない場合に使用するものである。
【0021】このバッテリパック40を装備するために、筐体20にはバッテリ収容部23が設けられている。バッテリ収容部23は、下部筐体21の底壁21aと後壁21b、及び必要とされる場合には側壁21cに連続して開放された凹所にて構成されている。」(【0017】~【0021】の記載。)
d)「【0025】上部筐体22においては、図4に示すように、パームレスト27とキーボード装着口28を備えている。パームレスト27は、上部筐体22の上壁22aの前半部において筐体20の幅方向に延びている。また、キーボード装着口28は、大面積に開放して設けられた開放部であり、このキーボード装着口28にキーボード29が取り付けられ、入力操作を行なえる構成となっている。
【0026】この筐体20の内部には、回路基板41が収納されている。回路基板41は、キーボード29やパームレスト27の下方において、底壁21aと平行に配置されている。この回路基板41の上面及び下面には、半導体パッケージ、コネクタ或いはスイッチのような各種の回路部品が実装されている。」(【0025】~【0026】の記載。)
e)「【0032】これら各種装置を備えた筐体20を構成する下部筐体21と上部筐体22とを連結して筐体20を構成するために、下部筐体21及び上部筐体22には、取付ボス50,51が適宜の寸法だけ突出形成されている。これら取付ボス50,51は、回路基板41を取付固定するためのものであり、例えばワッシャ等の間接部材を介してその間に回路基板41を挾持固定するものである。
【0033】このため、取付ボス50には窪み部52が形成されていて、さらにこの窪み部52の底部52aにはネジ53を貫挿させるための孔部54が形成されている。それにより、孔部54にネジ53を貫挿させ、このネジ53の頭部を底部52aで受け止めることで、ネジ53が外方に露出しない状態としている。
【0034】また、下部筐体21の取付ボス50に対応して突出形成された上部筐体22の取付ボス51には、ネジ孔55が形成されている。このネジ孔55には、ネジ溝が形成されており、それによって回路基板41を挾持した状態で、孔部54に貫挿されたネジ53を螺合固定することを可能としている。
【0035】この下部筐体21の取付ボス50よりも外壁側(図1においては、前壁21d側、図3においては、側壁21c側)には、適宜の高さだけリブ60が突出形成されている。そして、このリブ60の上端には、板バネ61がネジ62によって取付固定されている。
【0036】板バネ61は、導電性を有する金属をその材質として形成されており、またリブ60へのネジ62による取付固定を行なうために、リブ60と当接する下端側はL字状を為すように折り曲げて形成されている。
【0037】さらに、この板バネ61の長さは、十分に上部筐体22の上壁22aに接触するだけの寸法となっている。これと共に、板バネ61の上端部分は、下部筐体21側に向かい、丸められた形状に形成されている。このため、板バネ61の上端が上壁22aに接触した場合でも、この上壁22aに傷を生じさせない構成となっている。
【0038】なお、下部筐体21と上部筐体22を接合したときに、板バネ61が上壁22aに接触して撓み易い状態とすべく、この板バネ61は垂直方向から所定角度だけ傾斜して取り付けられている。
【0039】ここで、上述の図1においては、リブ60を突出形成した構成となっているが、このリブ60をわざわざ形成しなくても、例えば位置決め等のために通常形成されるリブ24等の突出部位を用いて、上述の板バネ61を取り付ける構成とすることもできる。」(【0032】~【0039】の記載。)
【0021】の記載を考慮すれば、図3には、下部筐体21は、底壁21aと直交する後壁21bおよび側壁21cを有することが示されており、【0035】の記載および図3を考慮すれば、図1には、下部筐体21は、リブ60が外面が平坦な底壁21aより突出形成され、底壁21aと直交する前壁21dを有することが示されているといえるから、下部筐体21は、外面が平坦な底壁21aと、当該底壁21aと直交する後壁21b、側壁21c、前壁21dとを有すると共に、リブ60が外面が平坦な底壁21aより突出形成されているといえる。
また、図1及び図6によれば、上部筐体22は、外面が平坦な上壁22aと、該上壁22aと直交する前壁である22dと、下部筐体21の側壁21cに噛み合う側壁とを有することが示されているといえる。
してみると、引用例1には以下の発明(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。
「コンピュータ本体11は、マグネシウム合金製の筐体20を備えており、この筐体20は、下部筐体21と、上部筐体22とが噛み合うことで構成されるものであり、
上部筐体22は、外面が平坦な上壁22aと、当該上壁22aと直交する前壁22dと、側壁とを有し、
下部筐体21は、外面が平坦な底壁21aと、当該底壁21aと直交する後壁21b、側壁21c、前壁21dとを有し、
筐体20の内部には、回路基板41が収納され、
筐体20を構成する下部筐体21と上部筐体22とを連結して筐体20を構成するために、下部筐体21及び上部筐体22には、取付ボス50,51が適宜の寸法だけ突出形成され、
これら取付ボス50,51は、回路基板41を取付固定するためのものであり、例えばワッシャ等の間接部材を介してその間に回路基板41を挾持固定するものであり、
下部筐体21の取付ボス50に対応して突出形成された上部筐体22の取付ボス51には、ネジ孔55が形成され、
下部筐体21の取付ボス50よりも外壁側(前壁21d側、側壁21c側)には、適宜の高さだけリブ60が外面が平坦な底壁21aより突出形成され、
このリブ60の上端には、板バネ61がネジ62によって取付固定され、
リブ60をわざわざ形成しなくても、例えば位置決め等のために通常形成されるリブ24等の突出部位を用いて、上述の板バネ61を取り付ける構成とすることもできる
筐体20。」
当審の拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された、特開2003-298271号公報(以下「周知例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
f)「【請求項1】 互いに電磁的に遮蔽する必要がある複数個の部品又は回路が実装された回路基板を収納する筐体構造において、
上記回路基板の片面に密着して配置され熱伝導性を有するベース板と、このベース板が配置されている側とは逆側の面に実装されている部品又は回路を覆うよう上記回路基板に被せられ導電性を有する箱状のケースと、を備え、更に、
上記ケースの内部空間を複数の電磁遮蔽室に仕切るリブ状の仕切を、上記ケースと一体に形成したことを特徴とする筐体構造。
中略
【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか一項記載の筐体構造において、
上記ケースが、金属ブロックからの削り出し又は金属材料による鋳造によって製造されたケースであることを特徴とする筐体構造。」(【請求項1】~【請求項4】の記載。)
g)「【0006】ブロック40、42及び44は、それぞれ、図12に示すように、ケース46の内底面・内部空間に、部品・配線50が搭載された回路基板を固定し、リッド48をネジ54で固定し閉蓋した構造を有している(簡略化のため回路基板は図示を省略)。ケース46は、図13に示すように例えばアルミニウムブロック56から削り出すことによって、或いは鋳造(ダイカスト等)によって作成された導体のケースである。また、これらのブロックと個別の機能を有する部品(方向性結合器18等)は、いずれも、図12に示すように必要な個数のコネクタ52を備えており、それらの間はケーブルであるいはケーブルを介さず直接に接続される。高周波信号用のケーブル及びコネクタとしては、高周波同軸ケーブル及びコネクタを用いる。先に述べたとおり遅延線26,20も高周波同軸ケーブルで作成する。なお、図11においては、歪検出ループ歪除去ループ制御回路34、監視制御回路36及び電源回路38並びにそれに関連するコネクタ、配線(ワイヤハーネス)等は、図示を省略している。」(【0006】の記載。)
h)「【0023】ユニット66においては、回路基板70の片面にケース68をかぶせもう片面にベース板72を密着させた構造を有している。ケース68は、例えば、アルミニウムのブロックからの削り出しや鋳造(ダイカスト)により製作された導電性の部材である。また、ケース68の内部空間を複数の室68bに区画する仕切68aは、ケース68と一体に形成されている。ネジドメ等により事後的に一体化するのではない。ベース板72は、回路基板70からヒートシンク或いは外気へと効率的に熱を逃がすため、良好な熱伝導性を有する材料によってかつ回路基板70に密着できるよう、形成された平板状の部材である。
【0024】同じ室68b内に配置又は形成された部品同士の間は、回路基板70の表面又は内層の導体を介して或いはそれら導体間を接続するワイヤを介して接続することとし、原則として高周波同軸ケーブル・コネクタは使用しない。互いに異なる室68bに設けられている部品・回路間は、回路接続上の必要に応じ、回路基板70の表面又は内層導体を用いる、リブ状の仕切68aに孔又は切欠を設けて導線を通す等の手段によって接続される。ユニット66の表面には、図2に示すようにコネクタ74等を設けて、高周波同軸ケーブル76等を介し他の回路例えば出力フィルタやアンテナ等に接続できるようにする(入力端子10又は出力端子24として用いる)。図ではケース68の側面に「U」字状の切欠を設けてコネクタ74を配置しているが、ケース68の頂面に孔を設けコネクタを配置する、ベース板72に貫通孔を設けてコネクタを配置する、「U」字切欠ではなく孔とする等、他の手段・他の個所による接続形態でもよい。これは、顧客仕様監視制御回路64や電源回路38との接続に関しても本質的に同様である。図6に示すように、ベース板72、回路基板70に対しケース68を小さくして、回路基板70のうちケース68外にはみ出した部分に外部への接続端子やコネクタ74Aを設けてもよい。」(【0023】~【0024】の記載。)
周知例1の【0006】の記載及び図12によれば、「ケース46の内底面・内部空間に、部品・配線50が搭載された回路基板を固定し、リッド48をネジ54で固定し閉蓋した構造」(以下、「周知例1記載の構造」という。)が記載されている。
また、上記周知例1には、「複数個の部品又は回路が実装された回路基板を収納する筐体構造において、導電性を有する箱状のケースを備え、更に、上記ケースの内部空間を複数の電磁遮蔽室に仕切るリブ状の仕切を、上記ケースと一体に形成し、ケースは、例えば、アルミニウムのブロックからの削り出しにより製作された導電性の部材であり、ケースの内部空間を複数の室に区画する仕切は、ケースと一体に形成され、ネジドメ等により事後的に一体化するのではない」ものとする技術(以下、「周知例1記載の技術」という。)が記載されている。
本願の優先日前に頒布された、特開2002-18626号公報(以下「周知例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
i)「【請求項1】マグネシウム合金の成形品を機械加工等により切削し、成形肉を除去して薄肉化、軽量化することを特徴とするマグネシウム合金の成形品。
【請求項2】成形品の成形肉を除去して薄肉化した部分の機械的強度を保持するために、リブや格子状に成形肉を残してなる請求項1記載のマグネシウム合金の成形品。」(【請求項1】~【請求項2】の記載。)
j)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はノート型パソコンの外郭構成部品等に用いられるマグネシウム合金の成形品に関するものである。」(【0001】の記載。)
k)「【0016】図7及び図8は図4の成形品1に薄肉軽量化のための機械加工を施した状態を示しており、裏面の平面部11bをエンドミル13により切削して薄肉加工を行ない、その周囲に所定の強度を保持するために格子状に成形肉2を残している。 この場合、所定の強度を保持するためのリブや格子状の成形肉2は特に形状にこだわるものではない。」(【0016】の記載。)
上記周知例2には、「マグネシウム合金の成形品を機械加工等により切削し、成形肉を除去して薄肉化、軽量化し、機械的強度を保持するために、リブや格子状に成形肉を残した、ノート型パソコンの外郭構成部品」とする技術(以下、「周知例2記載の技術」という。)が記載されている。
3.対比
本願発明と引用例記載の発明とを対比する。
あ)引用例記載の発明の「コンピュータ本体11は、マグネシウム合金製の筐体20を備えており、この筐体20は、下部筐体21と、上部筐体22とが噛み合うことで構成されるものであり」、「筐体20の内部には、回路基板41が収納され」るものであるから、引用例記載の発明の「上部筐体22」は、「回路基板41」の周辺に配置されているといえ、また、引用例記載の発明の「回路基板41」は本願発明の「動作コンポーネント」に相当するから、引用例記載の発明の「上部筐体22」は、本願発明の「ポータブルコンピュータの動作コンポーネントを包囲するように配置されたシームレスの金属ケース」と、「ポータブルコンピュータの動作コンポーネントの周辺に配置された金属ケース」である点では一致するといえる。
い)引用例記載の発明の「上部筐体22」は、「外面が平坦な上壁22aと、当該上壁22aと直交する前壁22dと、側壁とを有し」、空洞ともいい得る「回路基板14」が収納される空間を形成する部材の1つであるから、引用例記載の発明の「上部筐体22」は、「上壁22aと、当該上壁22aと直交する前壁22dと、側壁とで画成される空洞を形成するように協働する上壁22aと、当該上壁22aと直交する前壁22dと、側壁と」を有するものといえる。
そして、引用例記載の発明の「上壁22a」は本願発明の「トップ壁」に、引用例記載の発明の「前壁22dと、側壁」は本願発明の「サイド壁」にそれぞれ相当し、引用例記載の発明の「上部筐体22」は、本願発明の「トップ壁及びサイド壁で画成される空洞を形成するように協働する一体的なトップ壁及びサイド壁」と、「トップ壁及びサイド壁で画成される空洞を形成するように協働するトップ壁及びサイド壁」である点では一致する構成を有するといえる。
う)引用例記載の発明の「上部筐体22」の「外面が平坦な上壁22a」は、本願発明の「前記トップ壁の部分は、実質的に平坦な外面を有すること」に相当する。
え)引用例記載の発明の「コンピュータ本体11は、マグネシウム合金製の筐体20を備えており、この筐体20は、下部筐体21と、上部筐体22とが噛み合うことで構成される」ものであるから、引用例記載の発明の「筐体20」は、本願発明の「シームレスの金属ケースを備えた、ポータブルコンピュータのエンクロージャー」と、「金属ケースを備えた、ポータブルコンピュータのエンクロージャー」である点では一致するといえる。
よって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。
〈一致点〉
「ポータブルコンピュータの動作コンポーネントの周辺に配置された金属ケースであって、
トップ壁及びサイド壁で画成される空洞を形成するように協働するトップ壁及びサイド壁と、
前記トップ壁は、実質的に平坦な外面を有することを特徴とする、
金属ケースを備えた、
ポータブルコンピュータのエンクロージャー。」である点。
〈相違点1〉
本願発明は、金属ケースが、「動作コンポーネントを包囲するように配置された」ものであるのに対し、引用例記載の発明の「上部筐体22」は、「回路基板14」を収納する「筐体20」を構成するものではあるものの、「回路基板14」を包囲する形状とはされていない点。
〈相違点2〉
本願発明は、金属ケースが、「一体的なトップ壁及びサイド壁」からなる「シームレスの金属ケース」であるのに対し、引用例記載の発明は、「上部筐体22」の「上壁22aと、当該上壁22aと直交する前壁22dと、側壁」が一体的なものとは特定されておらず、また、「上部筐体22」がシームレスであるとも特定されていない点。
〈相違点3〉
本願発明は、金属ケースが、「前記トップ壁と前記サイド壁少なくとも1つから前記空洞へと延びる機械的切削一体的特徴部であって、前記機械的切削一体的特徴部と前記シームレスの金属ケースとが共通の金属であり、前記機械的切削一体的特徴部の少なくとも1つが前記トップ壁から延びる構造リブ」である「機械的切削一体的特徴部」を有しており、「かつ、その構造リブが延びるところの前記トップ壁の部分は、実質的に平坦な外面を有する」ものであるのに対し、引用例記載の発明は、「下部筐体21」に「適宜の高さだけリブ60が外面が平坦な底壁21aより突出形成」され、「通常形成されるリブ」も突出形成されているものの、「上部筐体22」に「リブ」が形成されるとはされていない点。
4.判断
〈相違点1について〉
周知例1記載の構造のように、電子機器を収納するケースを箱状部材と蓋とにより形成し、当該箱状部材により電子機器を包囲することは本願の優先日前普通に行われていたことであり、引用例記載の発明の「上部筐体22」を「回路基板14」(動作コンポーネント)を包囲する形状とし、本願発明の上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
〈相違点2,3について〉
周知例1記載の技術、周知例2記載の技術のように、金属材料を機械的切削することにより、内部へ延びるリブを有する箱状のケースを一体的に形成することは、本願の優先日前周知技術であったものと認められる。
そして、マグネシウム合金製の筐体である引用例記載の発明においても、上記周知技術は有用かつ採用可能であり、また、採用を妨げる事情はないから、引用例記載の発明に上記周知技術を適用して、「上壁22a」と、「当該上壁22aと直交する前壁22dと、側壁」と、内部へ突出する「リブ」とを機械的切削により一体的に形成することは、当業者が容易になし得たことである。
また、ケースの平面内側に機械的強度を保持するためにリブを設けることは普通に行われることにすぎず、引用例1には、「弾性部材は、上部筐体若しくは下部筐体のいずれかに形成された突出部材の突出端部に一端側が取り付けられ、・・・筐体に通常設けられているリブを利用して弾性部材を取り付ける構成とすることができる」(【0015】)と、上部筐体にリブを設けることが示唆され、下部筐体21は底壁21aにリブが設けられていることを考慮すれば、上部筐体22の上壁22aにリブを設けることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
そして、引用例記載の発明に上記周知技術を適用するにあたり、「上壁22a」にリブを形成したものは、「上壁22a」と、「当該上壁22aと直交する前壁22d、側壁」とが一体的なシームレスの「上部筐体22」を有し、また、「リブ60」が「上壁22a」と一体的に機械的切削により形成された「シームレスの金属ケース」と共通の金属によるものとなり、本願発明の上記相違点2および3に係る構成を有するといえる。
したがって、引用例記載の発明に上記周知技術を適用して、上記相違点2,3に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。
そして、本願発明が奏する作用、効果についてみても、引用例記載の発明に上記周知技術を適用したものから当業者が予想できる程度のものである。
5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例記載の発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願は、その他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2015-012866