特許異議申立
2025-700810
全固体電池用外装材及びこれを用いた全固体電池
- 審判番号
- 2025-700810
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-029521
- 登録番号
- 7631665
- 請求日
- 2025年08月08日
- 審決日
- 2025年10月01日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】TOPPANホールディングス株式会社
- 【権利者代理人】長谷川 芳樹
- 【権利者代理人】黒木 義樹
- 【権利者代理人】鈴木 洋平
- 【異議申立人】中村 絵美
- 審判長/審判官
- 審判長 涌井 智則
- 審判官 須原 宏光
- 審判官 ▲吉▼澤 雅博
- 分類
- P1651.121-Y (H01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特許第7631665号発明「全固体電池用外装材及びこれを用いた全固体電池」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7631665号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7631665号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし9に係る特許についての出願は、令和2年2月25日の出願であって、令和7年2月10日に特許権の設定登録がされ、令和7年2月19日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対して、令和7年8月8日に特許異議申立人 中村絵美により請求項1ないし9に係る特許に対する特許異議の申立てがなされたものである。
第2 本件特許発明
本件特許の請求項1ないし9に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明9」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
少なくとも基材層、バリア層、及び、シーラント層をこの順に備えた、硫化物系固体電解質を含む全固体電池用の外装材であって、
前記基材層と前記バリア層との間に配置された第1の接着剤層、前記バリア層と前記シーラント層との間に配置された第2の接着剤層、及び、前記バリア層と前記シーラント層との間に配置された接着性樹脂層のうちの少なくとも一層を更に備え、
前記第1の接着剤層、前記第2の接着剤層、前記接着性樹脂層及び前記シーラント層からなる群より選択される少なくとも一層が、硫化水素と反応して色が変化する顕色剤を含有し、
前記顕色剤が、CuSO4、Pb(CH3COO)2及びAg2SO4からなる群より選択される少なくとも一種を含む、全固体電池用外装材。
【請求項2】
少なくとも基材層、バリア層、及び、シーラント層をこの順に備えた、硫化物系固体電解質を含む全固体電池用の外装材であって、
前記基材層と前記バリア層との間に配置された第1の接着剤層、前記バリア層と前記シーラント層との間に配置された第2の接着剤層、及び、前記バリア層と前記シーラント層との間に配置された接着性樹脂層のうちの少なくとも一層と、前記基材層の前記バリア層側とは反対側の面上に配置された保護層と、を更に備え、
前記保護層、前記第1の接着剤層、前記第2の接着剤層、前記接着性樹脂層及び前記シーラント層からなる群より選択される少なくとも一層が、硫化水素と反応して色が変化する顕色剤を含有し、
前記顕色剤が、CuSO4、Pb(CH3COO)2及びAg2SO4からなる群より選択される少なくとも一種を含む、全固体電池用外装材。
【請求項3】
前記顕色剤を含有する層における前記顕色剤の含有量が、当該層全量を基準として0.01質量%以上30質量%以下である、請求項1又は2に記載の全固体電池用外装材。
【請求項4】
前記外装材を構成する層のうちの少なくとも一層が、前記顕色剤に該当しない硫化水素吸着物質を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の全固体電池用外装材。
【請求項5】
前記全固体電池用外装材の前記基材層側を外側、前記シーラント層側を内側とした場合に、前記バリア層よりも内側に配置された層のうちの少なくとも一層が前記顕色剤を含有し、且つ、前記顕色剤を含有する層及びそれよりも前記バリア層側に配置された層のうちの少なくとも一層が、前記硫化水素吸着物質を含有する、請求項4に記載の全固体電池用外装材。
【請求項6】
前記硫化水素吸着物質が酸化亜鉛及び/又は亜鉛イオンを含む、請求項4又は5に記載の全固体電池用外装材。
【請求項7】
前記顕色剤を含有する層における前記顕色剤及び硫化水素吸着物質の合計の含有量が、当該層全量を基準として0.01質量%以上30質量%以下である、請求項4~6のいずれか一項に記載の全固体電池用外装材。
【請求項8】
前記バリア層の一方又は両方の面に腐食防止処理層が設けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の全固体電池用外装材。
【請求項9】
硫化物系固体電解質を含む電池要素と、
前記電池要素から延在する電流取出し端子と、
前記電流取出し端子を挟持し且つ前記電池要素を収容する、請求項1~8のいずれか一項に記載の全固体電池用外装材と、
を備える全固体電池。」
第3 申立理由の概要
請求項1、3、8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
請求項2、4-7、9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1-9に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
<証拠方法>
甲第1号証:特開2004-296174号公報
甲第2号証:特開2008-4506号公報
甲第3号証:特開2018-107062号公報
第4 甲号証の記載事項、引用発明
1 甲第1号証
(1)甲第1号証には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。以下同様。)。
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記積層体を使用した包装体にリチウムイオン電池を包装した場合、包装した電池の電解液の支持塩として用いたLiPF6 、LiBF4 、LiAsF6等のフッ化リチウム塩が水分と反応してフッ化水素を生成し、このフッ化水素が包装材料に悪影響を及ぼしたり、リチウムイオン電池の機能低下を促進させる原因となっていた。その為、現在のリチウムイオン電池の製造及び包装ラインは、低湿度環境下で生産し、水分の影響を極力抑える工夫がされている。従って、使用する包装材料にも包装後に外部からの水分の侵入が少ないバリア性機能が求められていた。前記問題点を改善するべく、接着性向上の為に表面処理を施したアルミニウム箔を使用し、そのアルミニウム箔の表面処理面にイソシアネート化合物からなる接着層と接着性樹脂層を介してポリプロピレン系樹脂フィルムを積層した積層材料が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。」
「【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のリチウムイオン電池用外装材を、実施の形態に沿って以下に詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施の形態を示す側断面図であり、厚み方向の順に、基材フィルム(1)、接着剤層(2)、金属箔(3)、アンカーコート層(4)、シーラント層(8)が積層されている。」
「【0020】
なお、前記アンカーコート層(4)のイソシアネート化合物中の-NCO基とシーラント層(5)の樹脂の高温溶融時に生成した-OH基がウレタン結合し、網状構造を形成すること等により、強固な密着性が得られ、各種の有機電解液などに対する優れた耐性を有することになる。
【0021】
前記シーラント層(8)は、密度0.92g/cm3 以上のポリエチレン樹脂層(5)と、密度0.92g/cm3 以上のポリエチレン樹脂90~60重量%と無機系吸湿剤10~40重量%を混合した混合樹脂層(6)と、密度0.92g/cm3 以上のポリエチレン樹脂層(7)の三層構成からなっており、積層方法は共押出ラミネート法などで積層する。」
(2)甲1発明
上記記載事項より、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。(括弧内は、甲第1号証における記載箇所を示す。)
「厚み方向の順に、基材フィルム(1)、接着剤層(2)、金属箔(3)、アンカーコート層(4)、シーラント層(8)が積層されているリチウムイオン電池用外装材であって(【0011】、【0012】)、
シーラント層(8)はポリエチレン樹脂層(5)と、ポリエチレン樹脂と無機系吸湿剤を混合した混合樹脂層(6)と、ポリエチレン樹脂層(7)の三層構成からなっている(【0021】)、
リチウムイオン電池用外装材。」
2 甲第2号証
甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
この発明はラミネートフィルムとプラスチック樹脂フレームで外装された非水電解質二次電池およびそれを用いた電池パック、ならびに非水電解質二次電池および電池パックの作製方法に関し、特に外装構造の体積率を最小化する技術によって放電容量を向上可能な非水電解質二次電池とそれを使用した電池パック、ならびに非水電解質二次電池および電池パックの作製方法に関する。
【背景技術】」
「【0073】
・・・
[樹脂フレーム]
【0074】
樹脂フレーム4は、図1に示されるような、4辺が連続して設けられた、水分吸収剤を含有する樹脂製のフレームであり、射出成型によって作製される。樹脂フレーム4の電池素子10から電極素子14を導出する導出辺に対向する部分には、例えば金属からなる接続用端子が設けられていることが好ましい。樹脂フレーム4の樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニルアルコール共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メチルメタクリル酸共重合体、アイオノマー、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレートホットメルト剤、ポリアミドホットメルト剤等を単独で用いるか、もしくは複数種を混合して用いてもよい。」
「【0077】
また、水分吸収剤としては、硫酸塩、ポリアクリル酸塩等の水和性の高い材料を単独または2種類以上選択して用いる。具体的に、水分吸収剤としては、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸ナトリウム、酸化アルミニウム、水素化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸銅、酸化ケイ素、酸化マグネシウム過塩素酸マグネシウム、ゼオライト、五酸化二リン、炭酸カルシウム、もしくは一般式が(-CH2-CH(COOM)-)nで示されるポリアクリル酸塩(式中、Mは、Na、K、Mg、Caから選択される。)などを用いることができる。」
3 甲第3号証
甲第3号証には、以下の事項が記載されている。
「【0032】
前記蓄電デバイス用外装材1は、金属箔層4の一方の面(上面)に第1接着剤層(外側接着剤層)5を介して基材層(耐熱性樹脂層)2が積層一体化されると共に、前記金属箔層4の他方の面(下面)に第2接着剤層(内側接着剤層)6を介してシーラント層(内側層)3が積層一体化され、前記基材層2における前記金属箔層4側とは反対側の面に保護層7が積層一体化された構成からなる(図1参照)。」
第5 当審の判断
1 本件特許発明1
(1)対比
本件特許発明1と甲1発明を対比すると、次のことがいえる。
ア 甲1発明の「基材フィルム(1)」、「金属箔(3)」、「シーラント層(8)」は、それぞれ、本件特許発明1の「基材層」、「バリア層」、「シーラント層」に相当する。
また、甲1発明の「リチウムイオン電池用外装材」は、本件特許発明1の「硫化物系固体電解質を含む全固体電池用の外装材」と、「電池用の外装材」である点で共通する。
したがって、甲1発明の「厚み方向の順に、基材フィルム(1)、接着剤層(2)、金属箔(3)、アンカーコート層(4)、シーラント層(8)が積層されているリチウムイオン電池用外装材」と本件特許発明1とは、「少なくとも基材層、バリア層、及び、シーラント層をこの順に備えた、電池用の外装材」である点で共通する。
但し、電池用の外装材が、本件特許発明1は「硫化物系固体電解質を含む全固体電池用」であるのに対して、甲1発明はそのような特定がない点で相違する。
イ 甲1発明の「接着剤層(2)」は、基材フィルム(1)と金属箔(3)の間に配置されているので、本件特許発明1の「前記基材層と前記バリア層との間に配置された第1の接着剤層」に相当する。
甲第1号証には、シーラント層(5)はアンカーコート層(4)とウレタン結合により強固な密着性が得られることが記載されているので(【0020】)、シーラント層(8)のうち金属箔(3)側の「ポリエチレン樹脂層(5)」は、本件特許発明1の「前記バリア層と前記シーラント層との間に配置された接着性樹脂層」に相当する。
したがって、本件特許発明1と甲1発明は、「前記基材層と前記バリア層との間に配置された第1の接着剤層、前記バリア層と前記シーラント層との間に配置された第2の接着剤層、及び、前記バリア層と前記シーラント層との間に配置された接着性樹脂層のうちの少なくとも一層を更に備え」ることで一致する。
但し、本件特許発明1は「前記第1の接着剤層、前記第2の接着剤層、前記接着性樹脂層及び前記シーラント層からなる群より選択される少なくとも一層が、硫化水素と反応して色が変化する顕色剤を含有し、前記顕色剤が、CuSO4、Pb(CH3COO)2及びAg2SO4からなる群より選択される少なくとも一種を含む」のに対して、甲1発明はそのような特定がない点で相違する。
以上によれば、本件特許発明1と甲1発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「少なくとも基材層、バリア層、及び、シーラント層をこの順に備えた、電池用の外装材であって、
前記基材層と前記バリア層との間に配置された第1の接着剤層、前記バリア層と前記シーラント層との間に配置された第2の接着剤層、及び、前記バリア層と前記シーラント層との間に配置された接着性樹脂層のうちの少なくとも一層を更に備える、電池用外装材。」
(相違点1)
電池用の外装材が、本件特許発明1は「硫化物系固体電解質を含む全固体電池用」であるのに対して、甲1発明はそのような特定がない点。
(相違点2)
本件特許発明1は「前記第1の接着剤層、前記第2の接着剤層、前記接着性樹脂層及び前記シーラント層からなる群より選択される少なくとも一層が、硫化水素と反応して色が変化する顕色剤を含有し、前記顕色剤が、CuSO4、Pb(CH3COO)2及びAg2SO4からなる群より選択される少なくとも一種を含む」のに対して、甲1発明はそのような特定がない点。
(2)判断
事案に鑑み、まず、上記相違点2について検討する。
甲1発明の「リチウムイオン電池用外装材」は、甲第1号証の【0003】に記載されているように、電解液を用いたリチウムイオン電池用であって、硫化物系固体電解質を含む全固体電池用でない。
そうすると、甲1発明は、硫化物系固体電解質から発生する硫化水素を検知する必要性がないので、甲1発明の「リチウムイオン電池用外装材」に硫化水素と反応して色が変化する顕色剤を含ませる動機がない。
また、甲第2号証は、そもそも非水電解質二次電池(【0001】)に関するものであるから、硫化物系固体電解質から発生する硫化水素を検知する顕色剤について記載されていない。
そうすると、上記相違点2に係る構成は、甲1発明及び甲第2号証に記載された技術に基づいて当業者が容易になし得たこととはいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(3)特許異議申立人の主張について
ア 特許異議申立人の主張の概要
甲第1号証の混合樹脂層6は、ポリエチレン樹脂と無機系吸湿剤を混合した混合樹脂により形成されている。一方、甲第2号証には、非水電解質二次電池に使用される水分吸収剤として、硫酸銅(CuS04)も記載されており、硫酸銅が無機系以湿剤として使用されることは周知技術である。また、硫酸銅(CuS04)は、本件発明1の記載からも、顕色剤である。
従って、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された技術的事項に対して、進歩性を備えていない旨を主張している。(特許異議申立書第19,20頁)
イ 上記主張について検討する。
まず、甲第1号証及び甲第2号証には、硫化物系固体電解質から発生する硫化水素を検知する顕色剤について記載も示唆も無いことは、上記「(2)」のとおりである。
そして、甲第2号証に記載された非水電解質二次電池は水分吸収剤を有しているが、水分吸収剤は樹脂フレームに含有させたものであり(【0074】)、特性の異なる外装材のシーラント層に適用する動機がない。そうすると、甲第2号証に記載された水分吸収剤を、甲1発明のシーラント層(8)である混合樹脂層(6)に適用することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
さらに、甲第2号証には水分吸収剤として、硫酸銅(CuS04)も記載されているが、硫酸銅は、「水分吸収剤としては、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸ナトリウム、酸化アルミニウム、水素化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸銅、酸化ケイ素、酸化マグネシウム過塩素酸マグネシウム、ゼオライト、五酸化二リン、炭酸カルシウム、もしくは一般式が(-CH2-CH(COOM)-)nで示されるポリアクリル酸塩(式中、Mは、Na、K、Mg、Caから選択される。)などを用いることができる。」(【0077】)と多数列記された水分吸収剤のうちの一つであり、そのなかから、あえて硫酸銅を選択する理由も記載されていないので、甲第2号証に記載された硫酸銅を甲1発明の混合樹脂層(6)に適用することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
いずれにしても、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された技術的事項から、当業者が容易に発明をすることができたものでなく、上記主張を採用することができない。
2 本件特許発明2
(1)対比
本件特許発明1と甲1発明との対比(上記「1(1)」参照)を踏まえると、本件特許発明2と甲1発明とは、次の相違点を有する。
(相違点3)
電池用の外装材が、本件特許発明2は「硫化物系固体電解質を含む全固体電池用」であるのに対して、甲1発明はそのような特定がない点。
(相違点4)
本件特許発明2は「前記基材層の前記バリア層側とは反対側の面上に配置された保護層と、を更に備え」るのに対して、甲1発明はそのような特定がない点。
(相違点5)
本件特許発明2は「前記保護層、前記第1の接着剤層、前記第2の接着剤層、前記接着性樹脂層及び前記シーラント層からなる群より選択される少なくとも一層が、硫化水素と反応して色が変化する顕色剤を含有し、前記顕色剤が、CuSO4、Pb(CH3COO)2及びAg2SO4からなる群より選択される少なくとも一種を含む」のに対して、甲1発明はそのような特定がない点。
(2)判断
事案に鑑み、まず、上記相違点5について検討する。
上記相違点5に係る構成は、上記相違点2の構成に加えて、「保護層」が「顕色剤」を含有することを選択できるようにしたものである。
甲第1号証~甲第3号証には、「保護層」が「顕色剤」を含有することは記載されていないので、上記相違点2と同様な理由により、上記相違点5に係る構成は、甲1発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載された技術に基づいて当業者が容易になし得たこととはいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
3 本件特許発明3-9
本件特許発明3-9は、本件特許発明1又は本件特許発明2の構成を全て含み、更に他の構成を付加したものであるから同様の理由により、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証に記載された技術に基づいて、又は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
4 まとめ
以上のとおりであるから、請求項1-9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるということができず、同法第113条第2号により取り消すことができない。
第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700810