特許異議申立
2025-700730
制御方法、それに用いられるコンピュータプログラム、及び連携システム、並びにその連携システムに組み込まれるサービスシステム、それに用いられる制御方法、及びコンピュータプログラム
- 審判番号
- 2025-700730
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-210958
- 登録番号
- 7617666
- 請求日
- 2025年07月17日
- 審決日
- 2025年10月03日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社コナミアミューズメント
- 【権利者代理人】山本 晃司
- 【権利者代理人】小田原 敬一
- 【異議申立人】亀崎 伸宏
- 審判長/審判官
- 審判長 相崎 裕恒
- 審判官 古川 哲也
- 審判官 小池 堂夫
- 分類
- P1652.121-Y (G06Q) / P1652.537-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7617666号発明「制御方法、それに用いられるコンピュータプログラム、及び連携システム、並びにその連携システムに組み込まれるサービスシステム、それに用いられる制御方法、及びコンピュータプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7617666号の請求項1~3、6~8、12~20に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7617666号(以下「本件特許」という。)の請求項1~3、6~8、12~20に係る特許についての出願は、令和5年12月14日に出願され、令和7年1月9日にその特許権の設定登録がされ、同年同月20日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、同年7月17日に特許異議申立人 亀崎 伸宏(以下、「特許異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件特許発明
特許第7617666号の請求項1~3、6~8、12~20に係る発明(以下「本件特許発明1」などという。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~3、6~8、12~20に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
所定のサービスを提供するためのサービスシステムを、前記所定のサービスの対価が決済されるように決済システムと連携させるための連携システムに組み込まれるコンピュータに、
所定の認証の成功後に前記サービスシステム及び前記決済システムにおいて共用されるように発行される識別情報を介して前記サービスシステムと前記決済システムとの間に前記所定のサービスの対価を決済するための関係として前記所定の認証の成功後の状態を維持する連携関係を成立させる第1関係設定手順と、
前記連携関係が成立している状況において当該連携関係を所定の解除条件が満たされるまで維持することにより前記サービスシステムからの決済要求に応じて複数回の決済が許容されるように前記所定のサービスの対価を前記決済システムに決済させる対価決済手順と、
を実行させる、制御方法。
【請求項2】
前記決済システムは、ユーザ端末装置を介して前記所定のサービスの対価を決済するように構成され、
前記サービスシステムには、前記連携関係の成立に用いられる情報に含まれる前記所定のサービスに関する所定の情報を前記ユーザ端末装置に提供するための情報提供手段が設けられ、
前記第1関係設定手順は、前記ユーザ端末装置を介して前記所定の情報を取得する、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記サービスシステムは、サービス端末を介して前記所定のサービスを提供するように構成され、
前記情報提供手段として、前記サービス端末が機能する、請求項2に記載の制御方法。」
「【請求項6】
前記サービスシステムは、サービス端末を介して前記所定のサービスを、補助サービス端末を介して前記所定のサービスを補助する補助サービスを、それぞれ提供するように構成され、
前記補助サービス端末は、前記補助サービスを前記サービス端末と連携して提供するように前記サービス端末から当該サービス端末に関するサービス情報を取得するとともに、前記所定の情報を前記ユーザ端末装置に提供することにより前記情報提供手段として機能し、
前記対価決済手順は、前記サービス情報に基づいて前記補助サービス端末と前記サービス端末とが連携された後に、前記所定のサービスの対価を前記決済システムに決済させる、請求項2に記載の制御方法。
【請求項7】
前記サービスシステムは、複数のサービス端末を介して複数のサービスをそれぞれ前記所定のサービスとして提供するように構成され、
前記補助サービス端末は、各サービス端末の前記サービス情報に基づいて前記複数のサービス端末と連携され、
前記対価決済手順は、前記連携関係が成立している状況において前記複数のサービス端末がそれぞれ提供する複数のサービスの対価の決済が要求された場合に当該複数のサービスの対価をそれぞれ前記決済システムに決済させる、請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記ユーザ端末装置には、前記所定のサービスの対価を決済するための決済機能と、前記補助サービスを提供するための補助サービス機能とが設けられ、
前記補助サービス端末として、前記補助サービス機能を利用した前記ユーザ端末装置が利用される、請求項7に記載の制御方法。」
「【請求項12】
前記サービスシステムは、前記所定のサービスとしてゲームを提供する、請求項1~10のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項13】
前記連携システムとして、前記決済システムが機能する、請求項1~10のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項14】
前記サービスシステムは、前記複数回の決済を要求する場合において少なくとも二回目以降の決済において当該二回目以降の決済を承認するか否かユーザに確認する機会を省略するように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項15】
前記コンピュータに、前記サービスシステムのユーザによって前記連携関係を解除するための指示が実行された場合、及び前記連携関係の成立から所定時間経過した場合の少なくともいずれか一方の場合において前記決済システムに前記連携関係を解除させる連携解除手順を更に実行させる、請求項1~10のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項16】
所定のサービスを提供するためのサービスシステムを、前記所定のサービスの対価が決済されるように決済システムと連携させるための連携システムに組み込まれるコンピュータを、
所定の認証の成功後に前記サービスシステム及び前記決済システムにおいて共用されるように発行される識別情報を介して前記サービスシステムと前記決済システムとの間に前記所定のサービスの対価を決済するための関係として前記所定の認証の成功後の状態を維持する連携関係を成立させる第1関係設定手段、及び
前記連携関係が成立している状況において当該連携関係を所定の解除条件が満たされるまで維持することにより前記サービスシステムからの決済要求に応じて複数回の決済が許容されるように前記所定のサービスの対価を前記決済システムに決済させる対価決済手段として機能させるように構成された、コンピュータプログラム。
【請求項17】
所定のサービスを提供するためのサービスシステムを、前記所定のサービスの対価が決済されるように決済システムと連携させるための連携システムであって、
所定の認証の成功後に前記サービスシステム及び前記決済システムにおいて共用されるように発行される識別情報を介して前記サービスシステムと前記決済システムとの間に前記所定のサービスの対価を決済するための関係として前記所定の認証の成功後の状態を維持する連携関係を成立させる第1関係設定手段と、
前記連携関係が成立している状況において当該連携関係を所定の解除条件が満たされるまで維持することにより前記サービスシステムからの決済要求に応じて複数回の決済が許容されるように前記所定のサービスの対価を前記決済システムに決済させる対価決済手段と、
を備える、連携システム。
【請求項18】
所定のサービスを提供するためのサービスシステムを、前記所定のサービスの対価が決済されるように決済システムと連携させるための連携システムにおいて前記サービスシステムに組み込まれるコンピュータに、
所定の認証の成功後に前記サービスシステム及び前記決済システムにおいて共用されるように発行される識別情報を介して前記決済システムと前記所定のサービスの対価を決済するための関係として前記所定の認証の成功後の状態を維持する連携関係を成立させる第2関係設定手順と、
前記連携関係が成立している状況において当該連携関係を所定の解除条件が満たされるまで維持することによりユーザからの指示に従って複数回の決済が許容されるように前記所定のサービスの対価の決済を前記決済システムに要求する決済要求手順と、
を実行させる、制御方法。
【請求項19】
所定のサービスを提供するためのサービスシステムを、前記所定のサービスの対価が決済されるように決済システムと連携させるための連携システムにおいて前記サービスシステムに組み込まれるコンピュータを、
所定の認証の成功後に前記サービスシステム及び前記決済システムにおいて共用されるように発行される識別情報を介して前記決済システムと前記所定のサービスの対価を決済するための関係として前記所定の認証の成功後の状態を維持する連携関係を成立させる第2関係設定手段、及び
前記連携関係が成立している状況において当該連携関係を所定の解除条件が満たされるまで維持することによりユーザからの指示に従って複数回の決済が許容されるように前記所定のサービスの対価の決済を前記決済システムに要求する決済要求手段として機能させるように構成された、コンピュータプログラム。
【請求項20】
所定のサービスを提供するためのサービスシステムを、前記所定のサービスの対価が決済されるように決済システムと連携させるための連携システムの前記サービスシステムであって、
所定の認証の成功後に前記サービスシステム及び前記決済システムにおいて共用されるように発行される識別情報を介して前記決済システムと前記所定のサービスの対価を決済するための関係として前記所定の認証の成功後の状態を維持する連携関係を成立させる第2関係設定手段と、
前記連携関係が成立している状況において当該連携関係を所定の解除条件が満たされるまで維持することによりユーザからの指示に従って複数回の決済が許容されるように前記所定のサービスの対価の決済を前記決済システムに要求する決済要求手段と、
を備える、サービスシステム。」
第3 申立理由の概要
特許異議申立人が、請求項1~3、6~8、12~20に係る特許に対して申し立てた「申立理由及び主張の概要」及び「証拠方法(甲号証)」は以下のとおりである。
1 申立理由及び主張の概要
(1) 申立理由1(特許法29条2項(同法113条2号))
本件特許発明1~3、6~8、12~20に係る発明は、下記甲第1号証から甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1~3、6~8、12~20についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(特許異議申立書21頁~75頁)
(2) 申立理由2(特許法36条6項1号(同法113条4号))
本件特許発明1、16~20は発明の詳細な説明に記載したものではないから、本件特許発明1、16~20についての特許は、特許法36条6項1号の規定に違反してされたものである。(特許異議申立書75頁~78頁)
(3) 申立理由3(特許法36条6項2号(同法113条4号))
本件特許発明1~3、6~8、12~20は不明確であるから、本件特許発明1~3、6~8、12~20についての特許は、特許法36条6項2号の規定に違反してされたものである。(特許異議申立書78頁~79頁)
2 証拠方法
甲第1号証:特開2021-69705号公報
甲第2号証:特表2015-512068号公報
甲第3号証:「逆転オセロニア 公式WEBセール」
https://othellonia.com/event-campaign/I19EuhlwnxBnIqDvf2Ia(サイト内アドレス;https://app-pay.jp/app/othellonia)
甲第4号証:「モンハンNowウェブストアの課金方法・支払方法/クレカなしで購入OK」
https://web.archive.org/web/20240227062306/https://ultra-pay.co.jp/arekore/2579/
第4 甲号証の記載
特許異議申立の証拠方法として提出された甲第1号証から甲第4号証(以下、それぞれ「甲1」から「甲4」という。)には、それぞれ以下の事項が記載されている。
1 甲1(特開2021-69705号公報)
(1) 甲1の記載事項
ア 甲1には次の記載がある。(なお、下線は当審において付与した。以下、同様。)
「【0010】
図1を参照して本発明の一形態に係る連携システムの概要を説明する。図1に示すように、本形態は、第1のサービスシステムの一例としての第1のアミューズメントシステム1と、第2のサービスシステムの一例としての第2のアミューズメントシステム2とを対象とするものであって、第1のアミューズメントシステム1が提供する特定のサービスを第2のアミューズメントシステム2から利用できるように両アミューズメントシステム1、2を連携させる。以下、前提としてのアミューズメントシステム1、2について順に説明する。なお、以降の説明において、第1のアミューズメントシステム1を第1システム1と、第2のアミューズメントシステム2を第2システム2と略称する。」
「【0021】
一方、第2システム2は、第1システム1と同様に、サーバ20と、そのクライアント装置21とを備えたクライアント・サーバシステムとして構成されている。サーバ20は第2のサーバの一例である。サーバ20は、単一の物理的なサーバ装置によって構成されてもよいし、複数の物理的なサーバ装置を組み合わせた論理的なサーバとして構成されてもよい。さらに、サーバ20は、インターネット等のWAN上の複数のサーバ装置を組み合わせたクラウドサーバとして構成されてもよい。
【0022】
クライアント装置21としては、一例として、ゲーム機22と、ユーザ端末装置23とが設けられている。ゲーム機22は、ゲーム装置の一例であって、第1システム1のゲーム機12と同様に、ユーザによる所定の料金の支払いと引き換えに、ゲームと関連付けられた各種のサービスをそのユーザに提供する業務用ゲーム機として構成されている。ゲーム機22が提供するサービスも、ゲームをプレイさせるサービスに限らず、ゲームと関連する各種のサービス等が適宜に提供されてよい。ゲーム機22にてプレイされるゲームの種類等は特に制限されず、各種のゲームがゲーム機22にてプレイ可能であってよい。
【0023】
ユーザ端末装置23は、ユーザ端末装置15と同様にユーザの個人的用途に供される汎用の情報通信端末である。例えば、スマートフォン、タブレット、PC等がユーザ端末装置23として適宜に用いられてよい。なお、ユーザ端末装置23は、第1システム1にて利用されるユーザ端末装置15とは異なるクライアント装置であることを要しない。同一の情報通信端末装置が第1システム1及び第2システム2のそれぞれでユーザ端末装置15、23として利用されてよい。」
「【0029】
次に、第1システム1と第2システム2との連携について説明する。本形態では、第1システム1にて提供される電子通貨を用いた決済サービスを特定サービスの一例として、その決済サービスを第2システム2から利用できるように両システム1、2を連携させる。ただし、第1システム1及び第2システム2のそれぞれは互いに独立して設定されたユーザIDを用いてユーザを識別し、かつ第1システム1ではその第1システム1内で通用するユーザIDと関連付けて電子通貨の口座を管理している。したがって、第2システム2から第1システム1の決済サービスを利用するためには、第2システム2のユーザが第1システム1のいずれのユーザIDに対応するユーザであるかを特定することが必要である。一方、第2システム2から第1システム1の決済サービスを利用する都度に、ユーザがゲーム機22上で第1システム1のユーザIDやパスワードを入力することは手間がかかる。加えて、ゲーム機22は、不特定多数のユーザが利用可能であり、かつその設置場所も不特定多数の者が来場する店舗等の施設である。そのため、ゲーム機22上で別のシステム1のユーザ認証情報を入力させることはセキュリティの観点から好ましくない。
【0030】
そこで、本形態では、第1システム1と第2システム2とを連携させるために必要な設定(以下、連携設定と呼ぶことがある。)をユーザ端末装置23からのアクセスに基づいて実行し、ゲーム機22ではその連携設定に従って第1システム1におけるユーザ認証情報を入力することなくその決済サービスを利用可能としている。以下、図2を参照して連携の仕組みの概要を説明する。
【0031】
図2において、(a)~(c)はユーザ端末装置23からのアクセスに基づく連携設定の手順を、(d)はゲーム機22からの決済サービスの利用の手順をそれぞれ示している。連携設定では、まず前提として、ユーザ端末装置23と第2システム2のサーバ20との間でログイン処理が行われて第2システム2におけるユーザ認証が実行される。ユーザ認証の完了後、図2(a)に示すようにユーザ端末装置23から連携設定が要求されると、第2システム2のサーバ20を介して第1システム1のサーバ10に連携設定が要求される。これに伴って、ユーザ端末装置23のアクセス先が第1システム1のサーバ10に変更される。この段階で第2システム2のサーバ20から第1システム1のサーバ10に対して、連携設定を要求するユーザが第2システム2にて認証されたユーザであることを証明する情報が提供されてもよい。
【0032】
次に、同図(b)に示すように、ユーザ端末装置23と第1システム1のサーバ10との間でログイン処理が行われる。ログイン処理は、ユーザ端末装置23にてユーザが第1システム1のユーザ認証に必要な情報、すなわち第1システム1のユーザIDとパスワードとを入力し、サーバ10がこれを認証する処理である。ユーザが第1システム1のサーバ10にログインすると、第1システム1のサーバ10によって認証トークンが発行される。認証トークンは、第2システム2のユーザを認証して第2システム2のゲーム機22から決済サービスを利用させるために使用されるべきトークン情報の一例である。認証トークンは、連携設定が要求されるごとに発行される。認証トークンは、第1システム1にて認証されたユーザであること、及び決済サービスを利用する認可を第1システム1から受けていることを示す情報である。例えば、OpenID Connectにてユーザを認証するためのIDトークン、ユーザのアクセス権限の範囲を示すためのアクセストークンの仕様に従って認証トークンが発行されてよい。
【0033】
認証トークンが発行されると、第1システム1では、第1システム1におけるユーザIDと認証トークンとを関連付けて記録した第1の関連付けデータD1が、サーバ10にて参照可能な状態で保存される。例えば、関連付けデータD1は、連携管理データベースDB14(図1)に記録されてよい。また、発行された認証トークンは第2システム2のサーバ20に引き渡される。サーバ20では、第2システム2におけるユーザIDと、与えられた認証トークンとを関連付けて記録した第2の関連付けデータD2が、サーバ20にて参照可能な状態で保存される。例えば、関連付けデータD2は、連携管理データベースDB23(図1)に記録されてよい。
【0034】
ゲーム機22から第1システム1の決済サービスを利用する場合には、前提として、ゲーム機22と第2システム2のサーバ20との間でログイン処理が行われて第2システム2におけるユーザ認証が実行されている必要がある。ユーザが認証されている状態で、図2(d)に示すようにゲーム機22からサーバ20に対して第1システム1の決済サービスの利用が要求されると、サーバ20にて関連付けデータD2に基づいてユーザのユーザIDに対応する認証トークンが判別され、得られた認証トークンを添えて第1システム1のサーバ10に決済サービスの利用が要求される。これを受けて、サーバ10では認証トークンに基づいてユーザが認証され、認証トークンに対応するユーザIDが関連付けデータD1から取得される。そのユーザIDに対応する口座IDがさらに判別されることにより、ゲーム機22からの決済要求に応じてユーザの口座から電子通貨を消費させる処理が行われる。」
「【0044】
なお、認証トークンを利用したユーザ認証は、認証トークンをキーとして連携管理データベースDB14を検索して認証トークンに対応するユーザIDを取得するといった簡素な手法で行われてもよい。認証トークンに関して有効性が判別されてもよい。例えば、前回の利用時からの経過時間が所定の時間長を超えた場合に認証トークンを無効としてユーザ認証を不成立としてもよい。あるいは、認証トークンに有効期限を設定し、その有効期限を経過している場合に認証トークンを無効としてユーザ認証を不成立としてもよい。認証トークンが無効な場合には、図3の処理により再び認証トークンを取得するようにユーザを誘導してもよい。認証トークンの有効性を示す情報(例えばフラグ情報)を連携管理データベースDB14に記録し、認証トークンを用いたログイン処理が要求されたときにその情報を参照して認証トークンの有効性を判断してもよい。」
「【0050】
認証トークンが盗用されるといった不正行為により、第1システム1に対して不適切なアクセスが発生した場合には、第1システム1側でユーザIDと認証トークンとの関連付けを解除して認証トークンを無効化すれば、それ以降は第2システム2から第1システム1の決済サービスを利用することができない。例えば、図5に示すように、第1システム1のサーバ10の認証処理部101により、関連付けを解除すべき対象のユーザIDを特定し(ステップS301)、そのユーザIDに対応する関連付けデータD1の認証トークンを破棄し、あるいは関連付けデータD1それ自体を削除することにより、ユーザIDと認証トークンとの関連付けを解除すればよい(ステップS302)。」
「【0052】
以上の形態においては、第1システム1のサーバ10の認証処理部101が図3のステップS123の処理を実行することによりトークン情報提供手段の一例として機能し、認証処理部101が図3のステップS123の処理を実行することにより第1の保存手段の一例として機能し、第2のシステム2の認証処理部201が図3のステップS118の処理を実行することにより第2の保存手段の一例として機能し、認証処理部201が図4のステップS212及びS213の処理を実行することにより利用要求手段の一例として機能し、認証処理部101が図4のステップS231及びS232の処理を実行することにより利用制御手段の一例として機能し、認証処理部101が図5のステップS301及びS302の処理を実行することにより解除手段の一例として機能する。さらに、サーバ10の認証処理部101及びサーバ20の認証処理部201のそれぞれに対して、図3及び図4に示した処理を実行させる機能を実装することにより、それらの認証処理部101、201が連携システムの一例を構成する。連携システムは、例えば、認証トークンの発行及びこれを用いたユーザ認証の機能をサーバ20から利用可能なAPIとしてサーバ10に実装し、サーバ20には、そのAPIを利用するために必要な機能を実装することにより実現することが可能である。」
「【0062】
上記態様において、連携システムは、前記第1の関連付けデータにおける前記トークン情報と前記第1の識別情報との関連付けを解除する解除手段(101、S301、S302)をさらに備えてもよい。これによれば、トークン情報が盗用されて第1のサービスシステムに不適切なアクセスが発生したような場合には、第1のサービスシステムの第1の識別情報とトークン情報との関連付けを解除することにより、特定サービスが不正に利用されるおそれを排除することができる。トークン情報と第1の識別情報との関連付けを解除した場合でも、第1又は第2の識別情報を用いた各サービスシステム内におけるユーザ認証には影響が生じない。そのため、各サービスシステム内にてサービスの提供を停止させるといった処置も不要である。」
「【図1】
[図:0001429045000001.jpg]
【図2】
[図:0001429045000002.jpg]
【図3】
[図:0001429045000003.jpg]
」
「【図5】
[図:0001429045000004.jpg]
」
イ 上記アで摘記した記載によると、甲1には、次の技術的事項が記載されている。
(ア) 甲1の段落【0010】、【0029】、【0030】、【図1】によると、甲1には、「第1システム1にて提供される電子通貨を用いた決済サービスを第2システム2のゲーム機22から利用できるように、第2システム2と第1システム1を連携させる連携システム」が記載されている。
(イ) 甲1の段落【0021】、【0022】によると、甲1には、「第2システム2は、サーバ20と、ゲーム機22を備えており、ゲーム機22は、ユーザによる所定の料金の支払いと引き換えに、ゲームと関連付けられた各種のサービスをそのユーザに提供」するものであることが記載されている。
(ウ) 甲1の段落【0031】~【0033】によると、甲1には、「連携設定の手順では、まず前提として、第2システム2におけるユーザ認証が実行され、次に、第1システム1のユーザ認証する処理が行われ、ユーザが第1システムのサーバ10にログインすると、第1システム1のサーバ10によって認証トークンが発行され、発行された認証トークンは第2システム2のサーバ20に引き渡される」ことが記載されている。
(エ) 甲1の段落【0034】によると、甲1には、「ゲーム機22から第1システム1の決済サービスを利用する場合に、ユーザが認証されている状態で、ゲーム機22からサーバ20に対して第1システム1の決済サービスの利用が要求されると、ゲーム機22からの決済要求に応じてユーザの口座から電子通貨を消費させる処理が行われる」ことが記載されている。
(オ) 甲1の段落【0044】、【0050】によると、甲1には、「例えば、前回の利用時からの経過時間が所定の時間長を超えた場合や、認証トークンの有効期限を経過している場合、第1システム1に対して不適切なアクセスが発生した場合に、認証トークンを無効化すれば、それ以降は第2システム2から第1システム1の決済サービスを利用することができない」ことが記載されている。
(カ) 甲1の段落【0031】~【0034】、【0044】、【0050】、【図2】、【図3】によると、甲1には、上記(ウ)~(オ)を実現する処理をサーバ20に実行させる制御方法が記載されているといえる。
ウ 前記イから、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
<甲1発明>
第1システム1にて提供される電子通貨を用いた決済サービスを第2システム2のゲーム機22から利用できるように、第2システム2と第1システム1を連携させる連携システムであって(前記イ(ア))、
第2システム2は、サーバ20と、ゲーム機22を備えており、ゲーム機22は、ユーザによる所定の料金の支払いと引き換えに、ゲームと関連付けられた各種のサービスをそのユーザに提供するものであり(前記イ(イ))、
連携設定の手順では、まず前提として、第2システム2におけるユーザ認証が実行され、次に、第1システム1のユーザ認証する処理が行われ、ユーザが第1システムのサーバ10にログインすると、第1システム1のサーバ10によって認証トークンが発行され、発行された認証トークンは第2システム2のサーバ20に引き渡され(前記イ(ウ))、
ゲーム機22から第1システム1の決済サービスを利用する場合に、ユーザが認証されている状態で、ゲーム機22からサーバ20に対して第1システム1の決済サービスの利用が要求されると、ゲーム機22からの決済要求に応じてユーザの口座から電子通貨を消費させる処理が行われ(前記イ(エ))、
例えば、前回の利用時からの経過時間が所定の時間長を超えた場合や、認証トークンの有効期限を経過している場合、第1システム1に対して不適切なアクセスが発生した場合に、認証トークンを無効化すれば、それ以降は第2システム2から第1システム1の決済サービスを利用することができない(前記イ(オ))、
ことを実現する処理をサーバ20に実行させる、制御方法(前記イ(カ))。
2 甲2(特表2015-512068号公報)
(1) 甲2の記載事項
甲2には次の記載がある。
「【0015】
モバイルデバイス104は、ユーザの登録および認証用のアプリケーション112、114も含んでもよい。例えば、アプリケーション112は、サービスプロバイダ120とのアカウントおよびセキュリティアイデンティティを確立するために提供されてもよい。アプリケーション112は、ユーザが、デバイス上の(例えば)指紋リーダに彼の指をスキャンするとき、ユーザの指紋がデバイス104に対するIDとして、かつ、サービスプロバイダ120でのアカウント用のIDとして確立され、アプリケーション112がSP120での登録を提供しうるように、例えば、デバイス104とユーザ102を接続するユーザ102用のバイオメトリックアイデンティティを確立してもよい。端末(ハンドセット)製造者(例えば、デバイス104の製造者)は、この機能を提供することがあるが、オペレーティングシステム(OS)プロバイダもしくはサービスプロバイダ(SP120もしくは信頼されたサービスマネージャ(TSM)など)によって提供される可能性もある。登録プロセスは、SP120による将来のリスク管理を可能とする多数の種々の態様を含んでもよい。マスタートークンを生成するか可能とするために必要とされる多くのパラメータは、(例えば、登録時に)予め決定され、各SPは、その後、それらのサブトークンの生成に含まれるこれらの“共有”パラメータの全てもしくはほとんどを使用することができる。登録時に予め決定されたパラメータは、マスタートークン内に事前設定されたパラメータに対して、“チェックリスト”もしくは“ショッピングリスト”の様に使用されてもよい。ユーザが連続的購入をするとき、例えば、特別のセキュリティが必要とされるか否かの決定は、マスタートークンもしくはサブトークンから利用可能なパラメータによって、ならびに、サービスプロバイダによって予め決定されたリスクパラメータに基づいて誘発される可能性がある。」
「【0027】
サブトークンは、金融サービスプロバイダアプリ224用のサブトークン202に関連付けられたカウントダウンタイマー212などの特定の機能を与えられてもよい。当該実施例においては、マスタートークンによって提供される境界を特別な機能が踏み越えることができないことを保証するために、サブトークン自身のアプリではなくて“マスター”サービスプロバイダアプリがサブトークンを生成することが望ましい可能性がある。例えば、サブトークン202用のカウントダウンタイマーは、マスタートークン201用の有効期限よりも長い合計時間を有することが許可されず、それは、“マスター”サービスプロバイダアプリ(例えば、アプリ112、114)のみがサブトークン202を生成することを可能として、かつアプリ224が、それ自身のサブトークンを生成することを不可能とすることによって、実現することができる。」
3 甲3(逆転オセロニア 公式WEBセール)
(1) 甲3の記載事項
甲3には次の記載がある。
「
[図:0001429045000005.jpg]
」
「
[図:0001429045000006.jpg]
[図:0001429045000007.jpg]
[図:0001429045000008.jpg]
」
4 甲4(モンハンNowウェブストアの課金方法・支払方法/クレカなしで購入OK)
(1) 甲4の記載事項
甲4には次の記載がある。
「
[図:0001429045000009.jpg]
」
「
[図:0001429045000010.jpg]
」
「
[図:0001429045000011.jpg]
」
「
[図:0001429045000012.jpg]
」
第5 当審の判断
1 申立理由1 特許法29条2項について
(1) 本件特許発明1について
ア 甲1発明との対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
(ア) 「所定のサービスを提供するためのサービスシステムを、前記所定のサービスの対価が決済されるように決済システムと連携させるための連携システムに組み込まれるコンピュータ」に各手順を「実行させる、制御方法」について
甲1発明の「第2システム2」は、ゲーム機22を備えており、ゲーム機22は「ゲームと関連付けられた各種のサービスをそのユーザに提供するもの」であるから、「第2システム2」は、「所定のサービスを提供するための」ものといえる。そのため、甲1発明の「第2システム2」は、本件特許発明1の「所定のサービスを提供するためのサービスシステム」に相当する。
甲1発明の「第1システム1」は、「電子通貨を用いた決済サービス」を提供するシステムであるから、本件特許発明1の「決済システム」に相当する。
甲1発明の「連携システム」は「第1システム1にて提供される電子通貨を用いた決済サービスを第2システム2のゲーム機22から利用できるように、第2システム2と第1システム1を連携させる」ものであり、第2システム2のゲーム機22は、「ユーザによる所定の料金の支払いと引き換えに、ゲームと関連付けられた各種のサービスをそのユーザに提供する」ものであるから、甲1発明の「連携システム」は、本件特許発明1の「所定のサービスを提供するためのサービスシステムを、前記所定のサービスの対価が決済されるように決済システムと連携させるための連携システム」に相当する。
そして、以上の検討も踏まえると、甲1発明の「サーバ20」は、連携システムに組み込まれるコンピュータといえるから、甲1発明の、各「処理をサーバ20に実行させる、制御方法」は、本件特許発明1の「コンピュータ」に各手順を「実行させる、制御方法」に相当する。
(イ) 「所定の認証の成功後に前記サービスシステム及び前記決済システムにおいて共用されるように発行される識別情報を介して前記サービスシステムと前記決済システムとの間に前記所定のサービスの対価を決済するための関係として前記所定の認証の成功後の状態を維持する連携関係を成立させる第1関係設定手順」について
甲1発明の、「第2システム2」(サービスシステム)及び「第1システム1」(決済システム)における「ユーザ認証」は、本件特許発明1の「所定の認証」に相当する。
甲1発明の「認証トークン」は、ユーザを識別するものといえるから、本件特許発明1の「識別情報」に相当するといえる。
そして、甲1発明の「認証トークン」は、「第2システム2におけるユーザ認証が実行され、次に、第1システム1のユーザ認証する処理が行われ、ユーザが第1システムのサーバ10にログイン」した後に第1システム1のサーバ10によって発行され、「第2システム2のサーバ20に引き渡され」るものである。ここで、甲1発明の「第2システム2におけるユーザ認証が実行され、次に、第1システム1のユーザ認証する処理が行われ、ユーザが第1システムのサーバ10にログイン」することは、換言すれば、所定の認証が成功することである。また、甲1発明の「認証トークン」が、第1システム1のサーバ10から「第2システム2のサーバ20に引き渡され」ることは、両システムで「識別情報」が「共用される」ことにほかならない。以上の事項を踏まえると、甲1発明の「認証トークン」は、本件特許発明1の「所定の認証の成功後に前記サービスシステム及び前記決済システムにおいて共用されるように発行される識別情報」に相当する。
さらに、甲1発明の「連携設定の手順」は、「前記所定の認証の成功後の状態を維持する連携関係を成立させる」ものといえ、また、甲1発明において当該連携設定がされてユーザが認証されている状態のとき、「ゲーム機22からの決済要求に応じてユーザの口座から電子通貨を消費させる処理が行われ」る。そうすると、甲1発明の「連携設定の手順」は、「識別情報を介して前記サービスシステムと前記決済システムとの間に前記所定のサービスの対価を決済するための関係として前記所定の認証の成功後の状態を維持する連携関係を成立させる」ものといえる。
以上の事項を踏まえると、甲1発明の「連携設定の手順」は、本件特許発明1の「第1関係設定手順」に相当する。
(ウ) 「前記連携関係が成立している状況において当該連携関係を所定の解除条件が満たされるまで維持することにより前記サービスシステムからの決済要求に応じて複数回の決済が許容されるように前記所定のサービスの対価を前記決済システムに決済させる対価決済手順」について
甲1発明の「ユーザが認証されている状態」は、本件特許発明1の「連携関係が成立している状況」に相当し、このような状況において、甲1発明は、「ゲーム機22からサーバ20に対して第1システム1の決済サービスの利用が要求されると、ゲーム機22からの決済要求に応じてユーザの口座から電子通貨を消費させる処理が行われ」る、換言すれば、「サービスシステムからの決済要求に応じて決済が許容されるように所定のサービスの対価を決済システムに決済させる」ものといえる。
また、甲1発明の「例えば、前回の利用時からの経過時間が所定の時間長を超えた場合や、認証トークンの有効期限を経過している場合、第1システム1に対して不適切なアクセスが発生した場合」は、本件特許発明1の「所定の解除条件が満たされる」場合に相当する。そして、甲1発明は、このような解除条件が満たされる場合には、「認証トークンを無効化」し「それ以降は第2システム2から第1システム1の決済サービスを利用することができない」一方で、連携関係が成立している状況においては、「ゲーム機22からの決済要求に応じてユーザの口座から電子通貨を消費させる処理が行われ」るものであるから、甲1発明は、「当該連携関係を所定の解除条件が満たされるまで維持する」ものといえる。
以上によれば、本件特許発明1と甲1発明は、「前記連携関係が成立している状況において当該連携関係を所定の解除条件が満たされるまで維持することにより前記サービスシステムからの決済要求に応じて決済が許容されるように前記所定のサービスの対価を前記決済システムに決済させる対価決済手順」を実行する点で共通し、下記相違点において相違する。
イ 一致点及び相違点
上記アによれば、本件特許発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「所定のサービスを提供するためのサービスシステムを、前記所定のサービスの対価が決済されるように決済システムと連携させるための連携システムに組み込まれるコンピュータに、
所定の認証の成功後に前記サービスシステム及び前記決済システムにおいて共用されるように発行される識別情報を介して前記サービスシステムと前記決済システムとの間に前記所定のサービスの対価を決済するための関係として前記所定の認証の成功後の状態を維持する連携関係を成立させる第1関係設定手順と、
前記連携関係が成立している状況において当該連携関係を所定の解除条件が満たされるまで維持することにより前記サービスシステムからの決済要求に応じて決済が許容されるように前記所定のサービスの対価を前記決済システムに決済させる対価決済手順と、
を実行させる、制御方法。」
<相違点>
「対価決済手順」について、本件特許発明1では、「所定の認証の成功後の状態を維持する連携関係」が成立している状況において「複数回の決済が許容される」のに対し、甲1発明では、「複数回の決済が許容される」か否かが明らかでない点。
ウ 相違点に関する判断
甲2~甲4には、上記第4の2~4のとおりの事項が記載されているものの、「複数回の決済が許容される」点については、甲2~甲4のいずれにも記載されておらず、甲1発明及び甲2~甲4に記載の事項に基づいて当該相違点の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
また、上記相違点の構成とすることで、「複数回の決済に対するユーザの手間暇を低減することができ、ひいては例えばプライズゲームにおける連続的なプレイ等、複数回の決済を促進することができる。」(段落【0128】)との格別顕著な作用効果を奏するものである。
エ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、特許異議申立書66頁~67頁において、
「甲第2号証には、決済手順において、「c2 連携関係が成立している状況において当該連連携関係を有効期限が超過(段落0027)するまで維持することにより商業的エンティティアプリ234からの決済要求に応じて連続的購入(段落0015)が許容(ログインプロセスを飛び越え)されるようにサービスプロバイダアプリ224に決済させる手順」が記載されている。
そうすると、前記相違点1に係る構成はすべて甲2号証に記載されていると認められる。」
と述べたうえで、甲1発明に甲2に示される技術的事項を適用し上記相違点に係る構成とすることは、当業者にとって容易に想到し得たものであると主張している。
しかしながら、上記主張の根拠となる甲2の段落【0015】「ユーザが連続的購入をするとき、例えば、特別のセキュリティが必要とされるか否かの決定は、マスタートークンもしくはサブトークンから利用可能なパラメータによって、ならびに、サービスプロバイダによって予め決定されたリスクパラメータに基づいて誘発される可能性がある。」との記載における「連続的購入」は、その文脈から、ユーザの登録及び認証の後に購入することを意味し、「複数回の決済が許容される」ことを意味するものではないのは明らかである。そして、甲2には、その他の箇所の記載を参酌しても、上記相違点にあたる「複数回の決済が許容される」点は記載されていない。
よって、特許異議申立人の当該主張に理由はない。
なお、参考として、甲2に対応する国際公開第2013/101843号には、甲2の上記記載に対応するものとして、以下のとおり記載されている。
「When the user makes a subsequent purchase, for example, a decision whether or not to require extra security could be triggered by parameters available from the master token or sub-token and based on risk parameters pre-determined by the service provider.」(6頁4~7行)
(当審訳:例えば、ユーザがその後に購入を行う際、追加のセキュリティが必要かどうかの判断は、マスタートークンまたはサブトークンから利用可能なパラメータと、サービスプロバイダによって事前に決定されたリスクパラメータに基づいて、トリガーされる可能性がある。)
オ 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲1発明及び甲2~甲4に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2) 本件特許発明2~3、6~8、12~20について
本件特許発明2~3、6~8、12~15は、本件特許発明1の構成に他の技術的事項を追加したものであり、本件特許発明16~20は、本件特許発明1と対応する構成を有するものである。これらの発明は、いずれも、上記(1)イに示した相違点に係る構成を有しているから、上記(1)に示した理由と同様の理由により、本件特許発明2~3、6~8、12~20は、甲1発明及び甲2~甲4に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 申立理由2 特許法36条6項1号について
(1) 「所定のサービス」について
特許異議申立人は、特許異議申立書(75頁~78頁)において、本件特許の請求項1、16~20には、「所定のサービス」と記載されており、当該記載はあまねく任意の「サービス」を包含する一方で、本件特許の明細書(段落【0015】~【0017】)には、精々「モバイルゲームの提供;プライズゲームを含むアーケードゲームの提供及びアイテム等の各種コンテンツを有償で販売するサービス;自動販売機による商品の販売;ユーザ端末装置によるゲームで利用するアイテム等の各種コンテツの購入」が記載されているにとどまるものであり、また当該任意の事項として解釈すべき理由も見受けられないから、本件特許発明1、16~20は、出願時の技術常識に照らしても、その請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない旨主張している。
当該主張について検討する。
本件特許の明細書には、以下のとおり記載されている。
「【0004】
特許文献1のシステムを含む決済分野では、連続的な複数の決済に対するニーズがある。例えば、いわゆるクレーンゲームのようなプライズゲームでは、一度のプレイにて獲得を目指す景品の位置を変え、二度目、三度目のプレイにて実際の獲得を図るといった戦略が用いられる場合がある。…」
「【0013】
(連携システムの概要)
図1を参照して本発明の一形態に係る連携システムの概要を説明する。図1は、本発明の一形態に係る連携システムが組み込まれたネットワークシステムの構成の一例を示す図である。図1に示すように、本形態では、サービスシステムの一例としてのアーケードシステム1と、決済システム2との連携に連携システムが適用される場合を示している。…」
上記記載を参照すれば、発明の詳細な説明において、特許異議申立人が主張する段落【0015】~【0017】のサービスは単なる例示に過ぎず、これらのサービスに限定されていないのは明らかである。
そして、サービスの内容に関わらず、本件特許発明1、16~20の構成により、本件特許の「複数回の決済に対するユーザの手間暇を低減することができる制御方法等を提供する」(段落【0004】)という課題の解決が可能であるから、本件特許発明1、16~20は、発明の詳細な説明の記載により当該課題を解決することができることを当業者が認識できる範囲のものといえる。
したがって、本件特許発明1、16~20は、発明の詳細な説明に記載されたものである。
よって、特許異議申立人の当該主張に理由はない。
(2) 「所定の認証」について
特許異議申立人は、特許異議申立書(75頁~78頁)において、本件特許の請求項1、16~20には、「所定の認証」と記載されており、当該記載はあまねく任意の「認証」を包含する一方で、本件特許の明細書(【0019】~【0020】、【0030】~【0031】)には、精々「ユーザID及び暗証情報による認証」が記載されているにとどまるものであり、また当該任意の事項として解釈すべき理由も見受けられないから、本件特許発明1、16~20は、出願時の技術常識に照らしても、その請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない旨主張している。
当該主張について検討する。
本件特許の発明の詳細な説明に明示的に記載されているのは、「ユーザID及び暗証情報による認証」のみではあるものの、認証の手段に関わらず、本件特許発明1、16~20の構成により、本件特許の「複数回の決済に対するユーザの手間暇を低減することができる制御方法等を提供する」(段落【0004】)という課題の解決が可能であるから、本件特許発明1、16~20は、発明の詳細な説明の記載により当該課題を解決することができることを当業者が認識できる範囲のものといえる。
したがって、本件特許発明1、16~20は、発明の詳細な説明に記載されたものである。
よって、特許異議申立人の当該主張に理由はない。
(3) 「決済」について
特許異議申立人は、特許異議申立書(77頁~78頁)において、本件特許の請求項1、16~20には、「決済」と記載されており、あまねく任意の「決済」を包含するものである一方で、本件特許の明細書(【0032】)には、精々「電子マネー(前払いタイプ、後払いタイプ);暗号(仮想)通貨等の各種電子価値;各種ポイント等の電子的価値;クレジットカード、デビットカード」による決済手法が記載されているにとどまるものであり、また当該任意の事項として解釈すべき理由も見受けられないから、本件特許発明1、16~20は、出願時の技術常識に照らしても、その請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない旨主張している。
当該主張について検討する。
本件特許の明細書の段落【0032】に記載された決済手法はあくまで例示と解され、本件特許発明1、16~20の構成のうち、他の一般的な決済方法を採用した場合においても、本件特許の「複数回の決済に対するユーザの手間暇を低減することができる制御方法等を提供する」(段落【0004】)という課題の解決が可能であるから、本件特許発明1、16~20は、発明の詳細な説明の記載により当該課題を解決することができることを当業者が認識できる範囲のものといえる。
したがって、本件特許発明1、16~20は、発明の詳細な説明に記載されたものである。
よって、特許異議申立人の当該主張に理由はない。
3 申立理由3 特許法36条6項2号について
(1) 「サービス、対価、決済、連携」、「認証、共用、発行、識別情報」、「解除条件、許容」について
特許異議申立人は、特許異議申立書(78頁~79頁)において、本件特許の請求項1、16~20の「サービス、対価、決済、連携」、「認証、共用、発行、識別情報」、「解除条件、許容」なる発明特定事項は、1)そもそも、上記各発明特定事項自体の技術的意味が、出願時の技術常識を考慮したとしても当事者が理解できるものではなく、2)その結果、上記各発明特定事項同士の技術的関連が不明りょうであるから、本件特許発明1、16~20及びこれらの請求項を引用する本件特許発明2~3、6~8、12~15は明確でない旨主張している。
しかしながら、特許異議申立人が主張する用語は、いずれも当該技術分野における一般的な技術用語であり、当業者であれば技術的意味を理解することができる。その結果、各発明特定事項同士の技術的関連が不明確となることもない。そのため、当該記載によって、本件特許発明1~3、6~8、16~20が第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
よって、特許異議申立人の当該主張に理由はない。
(2) 「第1関係設定手順」について
特許異議申立人は、特許異議申立書(78頁~79頁)において、本件特許の請求項1の「所定の認証の成功後にサービスシステム及び決済システムにおいて共用されるように発行される識別情報を介してサービスシステムと決済システムとの間に所定のサービスの対価を決済するための関係として所定の認証の成功後の状態を維持する連携関係を成立させる第1関係設定手順と、」との記載及び請求項16~20の対応する記載において、当該「所定の認証の成功後に」行われる処理は、「共用」であるのか、「発行」であるのか、「決済」であるのか、が不明りょうであるから、本件特許発明1、16~20及びこれらの請求項を引用する本件特許発明2~3、6~8、12~15は明確でない旨主張している。
しかしながら、請求項1、16~20の当該記載は、「所定の認証の成功後に」、「発行される」ことを意味することが明らかである。また、特許異議申立人が「所定の認証の成功後に」行われる処理の候補として列記している「共用」、「発行」、「決済」は、いずれも「所定の認証の成功後に」行われる事が明らかなので、いずれに解釈したとしても第三者に不測の不利益を及ぼすものではない。
したがって、当該記載により本件特許発明1~3、6~8、16~20が第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
よって、特許異議申立人の当該主張に理由はない。
(3) 「第2関係設定」について
特許異議申立人は、特許異議申立書(79頁)において、本件特許の請求項18~20に「第2関係設定」と記載されているが、当該請求項において「第1関係設定」が記載されておらず、上記「第2関係設定」とは、「第1関係設定」の誤記であるのか、当該「第2関係設定」とは別の「第1関係設定」を備えるものであるのか、あるいは別の事項を表しているのか、が不明りょうであるから、本件特許発明18~20は明確でない旨主張している。
しかしながら、請求項18~20の「第2関係設定手順」及び「第2関係設定手段」は単なる手順及び手段の名称に過ぎず、請求項18~20に「第1関係設定手順」、「第1関係設定手順」が記載されていない以上、「第1関係設定手順」、「第1関係設定手順」を備えないものを含むことは明らかである。
よって、特許異議申立人の当該主張に理由はない。
第6 むすび
以上によれば、特許異議の申立ての理由及び特許異議申立人の提出した証拠によっては、本件特許の請求項1~3、6~8、12~20に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~3、6~8、12~20に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700730