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特許異議申立

2024-700781

自動車の周囲モニタリングシステム

審判番号
2024-700781
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-552574
登録番号
7436696
請求日
2024年08月19日
審決日
2025年06月27日
公報発行日
2025年10月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
  • 【権利者代理人】加藤 朝道
  • 【権利者代理人】内田 潔人
  • 【異議申立人】松岡 直之
審判長/審判官
  • 審判長 伊藤 隆夫
  • 審判官 宮下 誠
  • 審判官 木方 庸輔
分類
P1651.121-YAA(G06V) / P1651.536-YAA(G06V)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項第4号、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7436696号発明「自動車の周囲モニタリングシステム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7436696号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔3~32〕について訂正することを認める。 特許第7436696号の請求項1~32に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7436696号(以下「本件特許」という。)の請求項1~17に係る特許についての出願は、2021年(令和3年)3月2日を国際出願日(パリ優先権主張2020年(令和2年)3月2日(EP)欧州特許庁)とするものであって、令和6年2月13日にその特許権の設定登録がされ、同月22日に特許掲載公報が発行された。 その後、本件特許について、令和6年8月19日に特許異議申立人 松岡 直之は、特許異議の申立てを行った。この特許異議の申立てを以下「本件異議申立」といい、本件異議申立に係る特許異議申立書を以下「本件申立書」という。 本件異議申立後の主な手続は、以下のとおりである。 令和6年11月 6日(起案日) 取消理由通知書 令和7年 2月 5日 特許権者による意見書、訂正請求書 令和7年 2月25日(起案日) 訂正拒絶理由通知書 令和7年 4月18日 特許権者による意見書、手続補正書(訂正請求書に対する補正) 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正による訂正の内容は、以下の(1)~(3)のとおりである。 (1) 訂正前の請求項3が他の請求項「請求項1又は2」を引用するものであったところ、当該他の請求項の記載を引用しないものとして、請求項3及び請求項18に訂正すること。 (2) 訂正前の請求項4が他の請求項「請求項3」を引用するものであったところ、請求項3を引用する請求項4、及び、請求項18を引用する請求項19に訂正すること。 (3) 訂正前の請求項5が他の請求項「請求項1~4」を引用するものであったところ、「請求項3又は4」を引用する請求項5、及び、「請求項18又は19」を引用する請求項20に訂正すること。また、訂正前の請求項6~17についても、同様の訂正をすること。 本件訂正請求は、一群の請求項〔3~32〕に対して請求されたものである。 なお、本件異議申立は本件特許の全ての請求項に対して成されているから、本件特許に係る訂正請求は、全ての請求項に対して訂正をすることができる。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1) 訂正前の請求項3を訂正後の請求項3及び請求項18にする訂正について 本件特許の訂正前の請求項3を訂正後の請求項3及び請求項18に訂正する上記1(1)の訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、特許法第120条の5第2項第4号に該当する。 また、上記1(1)の訂正は、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更に該当しないことは明白であるから、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (2) 訂正前の請求項4を訂正後の請求項4及び請求項19にする訂正について 本件特許の訂正前の請求項4を訂正後の請求項4及び請求項19に訂正する上記1(2)の訂正は、訂正前の請求項4に明確でない記載はなく、また、訂正により削除された請求項を引用するものでもないから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものではない。 また、訂正後の請求項4及び請求項19は、依然として他の請求項(請求項3又は請求項18)を引用するものであるから、上記1(2)の訂正は、請求項4及び請求項19の記載のみを参酌すれば、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるとは、一見して、認められない。 しかし、上記1(2)の訂正は、訂正前の請求項4が引用する請求項3に上記1(1)の訂正をしたことに伴う訂正であり、その際に請求項の記載を簡潔にするために訂正後の請求項4及び請求項19において他の請求項を引用して記載したものであるから、特許請求の範囲全体を参酌すれば、上記1(1)の訂正が他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とした訂正であることに伴い、訂正前の請求項4を訂正後の請求項4及び請求項19に訂正したものと言える。 そうすると、上記1(2)の訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正に伴う訂正であり、特許法第120条の5第2項第4号に該当すると言える。 また、上記1(2)の訂正は、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更に該当しないことは明白であるから、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (3) 訂正前の請求項5~17を訂正後の請求項5~17及び請求項20~32にする訂正について 訂正前の請求項5を請求項5及び請求項20とする訂正は、訂正前の請求項5が請求項1を直接引用する請求項を含むものであったものを、訂正後の請求項5は訂正前の請求項3に記載の発明特定事項(下記「第3」において請求項3に記載されている「構成H」)を必ず含むものに限定されていることから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許法第120条の5第2項第1号に該当する。 なお、本件特許の訂正前の請求項5~17を訂正後の請求項5~17及び請求項20~32にする上記1(3)の訂正は、上記1(2)で述べたことと同様に、特許請求の範囲全体を参酌すれば、上記1(1)の訂正が他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とした訂正であることに伴い、訂正前の請求項5~17を訂正後の請求項5~17及び請求項20~32に訂正したものであり、同項第4号に該当すると言える。 また、上記1(3)の訂正は、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更に該当しないことは明白であるから、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 3 まとめ(訂正の適否についての判断) 上記1~2のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔3~32〕について訂正することを認める。 第3 本件特許に係る発明(本件発明) 本件特許の請求項1~32に係る特許発明(以下それぞれ「本件発明1」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~32に記載された事項により、以下のとおりに特定されるものである。 なお、当審にて本件発明1~32の記載を、それぞれA~Vに分説した。以下各記載を「記載A」等といい、当該記載により特定される構成をそれぞれ「構成A」等という。 【請求項1】(本件発明1) A 自動車(100)の周囲をモニタするためのシステムであって、該システムは、 B -少なくとも1つの画像認識装置(2)、但し、前記画像認識装置(2)は、前記周囲の認識領域(E1)を又は前記認識領域(E1)にある物体を認識するよう構成されている、 C -少なくとも1つの照明装置(3)、但し、前記少なくとも1つの画像認識装置(2)の認識領域(E1)は部分的に又は完全に前記照明装置(3)によって照明可能である、及び、 D -少なくとも1つの周囲認識装置(7)、但し、前記周囲認識装置(7)は、前記画像認識装置(2)の認識領域(E1)の少なくとも一部分を又は前記認識領域(E1)全体を認識するよう構成されており、前記少なくとも1つの周囲認識装置(7)は物体を検出するよう構成されている、 A を含み、 E -前記画像認識装置(2)は、 E1 ・前記少なくとも1つの画像認識装置(2)の検出領域に存在する物体を、この物体が検出されたとき、その物体タイプに関して分類するよう、及び、 E2 ・検出された物体の物体タイプが前記画像認識装置(2)によって正確に確定されることができる確度の大きさを表す信頼値即ちいわゆるKO信頼値(以下“KO”と称する)をその都度(1つ)求めるよう、 E 構成されており、 F 前記システムは、 F1 前記認識領域(E1)に物体(OBJ)が存在する場合において、 F2 -前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出されないとき、又は、 F3 -前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出されるが、 F4 ・前記画像認識装置(2)によって分類されることができないか、又は F5 ・前記画像認識装置(2)によって分類の際に求められるKOが所定の閾値を下回るとき、 F 当該物体(OBJ)の領域における照明強度が増大又は低減されるように前記照明装置(3)を制御するよう、構成されていること A を特徴とする、システム。 【請求項2】(本件発明2) G 請求項1に記載のシステムにおいて、 前記システムは、前記KOがKO信頼値についての所定の閾値KOminを下回る場合、物体(OBJ)の領域における照明強度を増大又は低減するよう、構成されていること を特徴とする、システム。 【請求項3】(本件発明3) A 自動車(100)の周囲をモニタするためのシステムであって、該システムは、 B -少なくとも1つの画像認識装置(2)、但し、前記画像認識装置(2)は、前記周囲の認識領域(E1)を又は前記認識領域(E1)にある物体を認識するよう構成されている、 C -少なくとも1つの照明装置(3)、但し、前記少なくとも1つの画像認識装置(2)の認識領域(E1)は部分的に又は完全に前記照明装置(3)によって照明可能である、及び、 D -少なくとも1つの周囲認識装置(7)、但し、前記周囲認識装置(7)は、前記画像認識装置(2)の認識領域(E1)の少なくとも一部分を又は前記認識領域(E1)全体を認識するよう構成されており、前記少なくとも1つの周囲認識装置(7)は物体を検出するよう構成されている、 A を含み、 E -前記画像認識装置(2)は、 E1 ・前記少なくとも1つの画像認識装置(2)の検出領域に存在する物体を、この物体が検出されたとき、その物体タイプに関して分類するよう、及び、 E2 ・検出された物体の物体タイプが前記画像認識装置(2)によって正確に確定されることができる確度の大きさを表す信頼値即ちいわゆるKO信頼値(以下“KO”と称する)をその都度(1つ)求めるよう、 E 構成されており、 F 前記システムは、 F1 前記認識領域(E1)に物体(OBJ)が存在する場合において、 F2 -前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出されないとき、又は、 F3 -前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出されるが、 F4 ・前記画像認識装置(2)によって分類されることができないか、又は F5 ・前記画像認識装置(2)によって分類の際に求められるKOが所定の閾値を下回るとき、 F 当該物体(OBJ)の領域における照明強度が増大又は低減されるように前記照明装置(3)を制御するよう、構成されている、 A システムにおいて、 H 前記システムは、 前記周囲認識装置(7)が、 当該周囲認識装置(7)によって認識され、前記照明装置(2)の認識領域に存在しかつ検出された物体をそのタイプに関し分類するよう、及び、 検出された物体の物体タイプが正確に確定された確度の大きさを表す更なる信頼値即ちいわゆるNKO信頼値(以下“NKO”と称する)を求めるよう、構成されている場合、 当該システムが、 ・前記物体(OBJ)についてのNKOに依存して、又は、 ・前記物体(OBJ)についてのKO及びNKOに依存して、又は、 KO<NKOのとき、 当該物体の領域における照明強度が増大又は低減されるように前記照明装置(3)を制御するよう、 構成されていること を特徴とする、システム。 【請求項4】(本件発明4) I 請求項3に記載のシステムにおいて、 前記システムは、前記KOが前記NKOより小さい場合、前記物体(OBJ)の領域における照明強度を増大又は低減するよう、構成されていること を特徴とする、システム。 【請求項5】(本件発明5) J 請求項3又は4に記載のシステムにおいて、 前記システムは、KO及び/又はNKOを求めるための信頼値計算手段(A1,A2)を含むこと を特徴とする、システム。 【請求項6】(本件発明6) K 請求項3~5の何れかに記載のシステムにおいて、 前記システムは、KO、又はNKO、又はKO及びNKOに依存して前記少なくとも1つの照明装置(3)を制御する少なくとも1つの制御装置(9)を含むこと を特徴とする、システム。 【請求項7】(本件発明7) L 請求項3~6の何れかに記載のシステムにおいて、 前記照明装置(3)は、自動車光分布又は自動車光分布の一部分を生成するよう構成されていること、 を特徴とする、システム。 【請求項8】(本件発明8) M 請求項3~7の何れかに記載のシステムにおいて、 前記照明装置(3)は、減光光用光分布を生成するための減光光用ライトモジュール(3)及び/又は遠方光用光分布を生成するための遠方光用ライトモジュール(4)又は減光光用光分布と遠方光用光分布を生成するための組み合わせモジュールを含むこと を特徴とする、システム。 【請求項9】(本件発明9) N 請求項3~8の何れかに記載のシステムにおいて、 前記周囲認識装置(7)は、RADAR及び/又はLIDAR及び/又は超音波型センサ及び/又はIRカメラ及び/又はTOFカメラ(“Time of Flight”)及び/又はMS(“Multispektral”)カメラ及び/又は熱画像カメラを含むこと を特徴とする、システム。 【請求項10】(本件発明10) O 請求項3~9の何れかに記載のシステムにおいて、 前記画像認識装置(2)は、1つ又は2つ以上のカメラないし1つ又は2つ以上のカメラシステムを含むこと を特徴とする、システム。 【請求項11】(本件発明11) P 請求項3~10の何れかに記載のシステムにおいて、 前記画像認識装置(2)は、可視光の波長領域において及び/又は非可視光の波長領域において作動すること を特徴とする、システム。 【請求項12】(本件発明12) Q 請求項3~11の何れかに記載のシステムにおいて、 前記照明装置(3)は、物体(OBJ)を持続的に照明するよう構成されること、又は、 前記照明装置(3)は、前記画像認識装置(2)がアクティブである場合にのみ物体が照明されるよう、駆動可能であること、又は、 前記照明装置(3)はフラッシュを物体へ放出するよう構成されること を特徴とする、システム。 【請求項13】(本件発明13) R 請求項3~12の何れかに記載のシステムにおいて、 前記照明装置(3)は、自動車投光装置(10)又は自動車(100)の構成要素であること を特徴とする、システム。 【請求項14】(本件発明14) S 自動車のための自動車投光装置であって、 前記自動車投光装置(10)は請求項3~13の何れかに記載のシステム(1)を含むこと を特徴とする、自動車投光装置。 【請求項15】(本件発明15) T 請求項14に記載の自動車投光装置において、 前記画像認識装置(2)は前記自動車投光装置(10)の側部の縁領域に配置されていること を特徴とする、自動車投光装置。 【請求項16】(本件発明16) U 請求項14又は15に記載の自動車投光装置を1つ又は2つ又は左側と右側に夫々1つ有する自動車。 【請求項17】(本件発明17) V 自動車の周囲をモニタする方法であって、 前記方法を実行するために、請求項3~13の何れかに記載のシステム、ないしは、少なくとも1つの又は2つの又は左側及び右側に夫々1つの請求項14又は15に記載の自動車投光装置が使用されること を特徴とする、方法。 【請求項18】(本件発明18) A 自動車(100)の周囲をモニタするためのシステムであって、該システムは、 B -少なくとも1つの画像認識装置(2)、但し、前記画像認識装置(2)は、前記周囲の認識領域(E1)を又は前記認識領域(E1)にある物体を認識するよう構成されている、 C -少なくとも1つの照明装置(3)、但し、前記少なくとも1つの画像認識装置(2)の認識領域(E1)は部分的に又は完全に前記照明装置(3)によって照明可能である、及び、 D -少なくとも1つの周囲認識装置(7)、但し、前記周囲認識装置(7)は、前記画像認識装置(2)の認識領域(E1)の少なくとも一部分を又は前記認識領域(E1)全体を認識するよう構成されており、前記少なくとも1つの周囲認識装置(7)は物体を検出するよう構成されている、 A を含み、 E -前記画像認識装置(2)は、 E1 ・前記少なくとも1つの画像認識装置(2)の検出領域に存在する物体を、この物体が検出されたとき、その物体タイプに関して分類するよう、及び、 E2 ・検出された物体の物体タイプが前記画像認識装置(2)によって正確に確定されることができる確度の大きさを表す信頼値即ちいわゆるKO信頼値(以下“KO”と称する)をその都度(1つ)求めるよう、 E 構成されており、 F 前記システムは、 F1 前記認識領域(E1)に物体(OBJ)が存在する場合において、 F2 -前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出されないとき、又は、 F3 -前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出されるが、 F4 ・前記画像認識装置(2)によって分類されることができないか、又は F5 ・前記画像認識装置(2)によって分類の際に求められるKOが所定の閾値を下回るとき、 F 当該物体(OBJ)の領域における照明強度が増大又は低減されるように前記照明装置(3)を制御するよう、構成されており、 G 前記システムは、前記KOがKO信頼値についての所定の閾値KOminを下回る場合、物体(OBJ)の領域における照明強度を増大又は低減するよう、構成されている、 A システムにおいて、 H 前記システムは、 前記周囲認識装置(7)が、 当該周囲認識装置(7)によって認識され、前記照明装置(2)の認識領域に存在しかつ検出された物体をそのタイプに関し分類するよう、及び、 検出された物体の物体タイプが正確に確定された確度の大きさを表す更なる信頼値即ちいわゆるNKO信頼値(以下“NKO”と称する)を求めるよう、構成されている場合、 当該システムが、 ・前記物体(OBJ)についてのNKOに依存して、又は、 ・前記物体(OBJ)についてのKO及びNKOに依存して、又は、 KO<NKOのとき、 当該物体の領域における照明強度が増大又は低減されるように前記照明装置(3)を制御するよう、 構成されていること を特徴とする、システム。 【請求項19】(本件発明19) I 請求項18に記載のシステムにおいて、 前記システムは、前記KOが前記NKOより小さい場合、前記物体(OBJ)の領域における照明強度を増大又は低減するよう、構成されていること を特徴とする、システム。 【請求項20】(本件発明20) J 請求項18又は19に記載のシステムにおいて、 前記システムは、KO及び/又はNKOを求めるための信頼値計算手段(A1,A2)を含むこと を特徴とする、システム。 【請求項21】(本件発明21) K 請求項18~20の何れかに記載のシステムにおいて、 前記システムは、KO、又はNKO、又はKO及びNKOに依存して前記少なくとも1つの照明装置(3)を制御する少なくとも1つの制御装置(9)を含むこと を特徴とする、システム。 【請求項22】(本件発明22) L 請求項18~21の何れかに記載のシステムにおいて、 前記照明装置(3)は、自動車光分布又は自動車光分布の一部分を生成するよう構成されていること、 を特徴とする、システム。 【請求項23】(本件発明23) M 請求項18~22の何れかに記載のシステムにおいて、 前記照明装置(3)は、減光光用光分布を生成するための減光光用ライトモジュール(3)及び/又は遠方光用光分布を生成するための遠方光用ライトモジュール(4)又は減光光用光分布と遠方光用光分布を生成するための組み合わせモジュールを含むこと を特徴とする、システム。 【請求項24】(本件発明24) N 請求項18~23の何れかに記載のシステムにおいて、 前記周囲認識装置(7)は、RADAR及び/又はLIDAR及び/又は超音波型センサ及び/又はIRカメラ及び/又はTOFカメラ(“Time of Flight”)及び/又はMS(“Multispektral”)カメラ及び/又は熱画像カメラを含むこと を特徴とする、システム。 【請求項25】(本件発明25) O 請求項18~24の何れかに記載のシステムにおいて、 前記画像認識装置(2)は、1つ又は2つ以上のカメラないし1つ又は2つ以上のカメラシステムを含むこと を特徴とする、システム。 【請求項26】(本件発明26) P 請求項18~25の何れかに記載のシステムにおいて、 前記画像認識装置(2)は、可視光の波長領域において及び/又は非可視光の波長領域において作動すること を特徴とする、システム。 【請求項27】(本件発明27) Q 請求項18~26の何れかに記載のシステムにおいて、 前記照明装置(3)は、物体(OBJ)を持続的に照明するよう構成されること、又は、 前記照明装置(3)は、前記画像認識装置(2)がアクティブである場合にのみ物体が照明されるよう、駆動可能であること、又は、 前記照明装置(3)はフラッシュを物体へ放出するよう構成されること を特徴とする、システム。 【請求項28】(本件発明28) R 請求項18~27の何れかに記載のシステムにおいて、 前記照明装置(3)は、自動車投光装置(10)又は自動車(100)の構成要素であること を特徴とする、システム。 【請求項29】(本件発明29) S 自動車のための自動車投光装置であって、 前記自動車投光装置(10)は請求項18~28の何れかに記載のシステム(1)を含むこと を特徴とする、自動車投光装置。 【請求項30】(本件発明30) T 請求項29に記載の自動車投光装置において、 前記画像認識装置(2)は前記自動車投光装置(10)の側部の縁領域に配置されていること を特徴とする、自動車投光装置。 【請求項31】(本件発明31) U 請求項29又は30に記載の自動車投光装置を1つ又は2つ又は左側と右側に夫々1つ有する自動車。 【請求項32】(本件発明32) V 自動車の周囲をモニタする方法であって、 前記方法を実行するために、請求項18~28の何れかに記載のシステム、ないしは、少なくとも1つの又は2つの又は左側及び右側に夫々1つの請求項29又は30に記載の自動車投光装置が使用されること を特徴とする、方法。 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 訂正前の請求項1、2及び5~17に係る特許に対して、当審において、令和6年11月6日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 ・取消理由1 (進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内または外国において、公然実施された発明、頒布された刊行物に記載された発明、または、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条2項の規定に違反してされたものである。 記 <各甲号証> ・甲第1号証:特開2017-159871号公報 ・甲第2号証:特開2016-223872号公報 ・甲第3号証:再公表特許第2018/167879号 上記各甲号証は、本件特許異議申立人の提出した甲第1号証~甲第3号証である。以下、各甲号証をそれぞれ「甲1」等という。 <取消理由に対応する請求項> ・取消理由1(進歩性) 甲1~甲3に基づいて 請求項1、2、5~17及び20~32 2 各甲号証の記載、及び、各甲号証に記載された発明または技術 (1) 甲1の記載、及び、甲1に記載された発明(甲1発明) ア 甲1の記載 甲1には、以下の記載がある。 「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、自車両周辺に光を照射することで対象物に情報を提示する車両用照明装置の技術分野に関する。 【背景技術】 【0002】 この種の装置として、自車両周辺に存在する対象物に向けて光を照射することで、注意喚起を行うという技術が知られている。特許文献1では、車載カメラで検出した対象物に向けて、照射方向を前後方向及び左右方向に制御可能なライトを用いて光を照射することで、対象物に自車両の存在を認識させようとする技術が提案されている。」 「【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 上記特許文献1に記載の技術では、光を照射する前段階で、注意喚起を行うべき対象物となり得る物体の存在をカメラで検出することが要求される。しかしながら、可視光を利用して撮像を行うカメラでは、夜間等の周囲が暗い状況において、車両周辺に存在する物体を正確に検出できないおそれがある。具体的には、物体の存在を全く検出できない場合もあり得るし、物体の存在は検出できても属性(例えば、対象物が歩行者であるのか、車両であるのか等)までは検出できない場合もあり得る。」 「【0006】 本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、光を照射することで適切に注意喚起を行うことが可能な車両用照明装置を提供することを課題とする。」 「【0036】 <第1実施形態>(後略)」 「【0038】 図1において、実施形態に係る車両用照明装置10は、自動車等の車両に搭載されるものであり、注意喚起を行うべき対象物(例えば、歩行者等)に向けて光を照射することで自車両に対する注意喚起を行うことが可能に構成されている。車両用照明装置10は、車載カメラ110と、レーダ120と、ECU200と、照射部300とを備えて構成されている。 【0039】 車載カメラ110は、車両の前方領域(言い換えれば、運転者の視界に相当する領域)を撮像可能なカメラである。車載カメラ110は、可視光を利用して撮像を行うカメラである。車載カメラ110で撮像された画像データは、撮像範囲に存在する物体の存在を検出するため、或いは物体の属性を検出するために用いられる。車載カメラ110で撮像された画像データは、情報取得部210に出力される構成となっている。なお、車載カメラ110は、「第1検出手段」の一具体例である。 【0040】 レーダ120は、車両の前方領域に存在する物体を認識可能なレーダである。レーダ120は、ミリ波やレーザー等の電磁波を車両周辺に照射し、その反射電磁波を利用して車両周辺に存在している物体の位置や移動速度等を検出可能に構成されている。レーダ120は、例えばミリ波レーダ、レーザレーダ、ライダーなどである。レーダ120で検出された物体に関する情報は、情報取得部210に出力される構成となっている。なお、レーダ120は、「第2検出手段」の一具体例である。 【0041】 ECU200は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を有するコントローラユニットであり、車両における各種動作を制御可能に構成されている。本実施形態に係るECU200は特に、後述する照射光を照射して注意喚起を行うための各種制御を実施可能に構成されている。ECU200は、その内部に実現される論理的な又は物理的な処理ブロックとして、情報取得部210、検出判定部220、第1照射制御部230、照射対象判定部240、及び第2照射制御部250を備えている。 【0042】 情報取得部210は、車載カメラ110、レーダ120及び外界照度センサ130の各々から出力される情報を、周辺環境情報(即ち、車両の周辺環境を示す情報、特に車両周辺に存在する物体に関する情報)として取得可能に構成されている。情報取得部210で取得された周辺環境情報は、検出判定部220に出力される構成となっている。 【0043】 検出判定部220は、周辺環境情報に基づいて、自車両周辺において物体が検出されているか否かを判定可能に構成されている。なお、ここでの「物体」とは、注意喚起を行うべき対象物になり得る存在であり、典型的には、歩行者、自転車、及び他車両等の移動体である。検出判定部220は、判定結果に応じて、第1照射制御部230又は照射対象判定部240に、周辺環境情報(検出した物体に関する情報を含む)を出力可能に構成されている。 【0044】 第1照射制御部230は、検出判定部220から入力される情報に基づいて、車両周辺に存在する物体(或いは、物体が存在していると推定される位置)に、第1照射光を照射するための制御を実行可能に構成されている。第1照射光は、「第1の光」の一具体例であり、物体を明るく照らすことで、車載カメラ110による物体の検出を補助するための光である。ただし、第1の光は、検出を補助するという機能に加えて、物体に対して注意喚起を行う機能を有していてもよい。第1照射制御部230は、例えば第1照射光の照射方向、照射範囲、照射照度、照射色等を決定し、照射部300に第1照射光を照射させるための指令を出力する。なお、第1照射制御部230は、「第1制御手段」の一具体例である。 【0045】 照射対象判定部240は、検出判定部220から入力される情報に基づいて、車両の周辺に存在する物体が、注意喚起を行うべき対象物であるか否かを判定可能に構成されている。ここでの「対象物」とは、照射光を利用して注意喚起を行うべき対象であり、例えば自車両が走行している道路の前方を横断している歩行者等が一例として挙げられる。照射対象判定部240の判定結果は、物体(即ち、対象物)に関する情報と共に、第2照射制御部250に出力される構成となっている。なお、照射対象判定部240は「対象判定手段」の一具体例である。」 「【0047】 照射部300は、照射する光の照射方向、照射範囲、照射照度、照射色、点滅の有無を変更可能なライト(例えば、車両のヘッドライト等)を含んでおり、第1照射制御部230又は第2照射制御部250からの指令に応じて、第1照射光又は第2照射光を照射可能に構成されている。第1照射光及び第2照射光は、共通するライトから照射される光であってもよいし、別々のライトから照射される光であってもよい。また、照射部300は、自車両や対象物の移動に応じて、照射位置を適切な位置に変更する機能を有していてもよい。なお、照射部300は、「照射手段」の一具体例である。」 「【0049】 図2に示すように、車載カメラ110及びレーダ120は、自車両20の前方領域に存在する物体を検出することが可能に構成されている。また、車載カメラ110で物体を正確に検出することが可能な範囲(以下、適宜「カメラ検出範囲」と称する)は、レーダ120で物体を正確に検出することが可能な範囲(以下、適宜「レーダ検出範囲」と称する)と重複している。なお、車載カメラ110及びレーダ120の特性上、カメラ検出範囲はレーダ検出範囲よりも狭くなっている。」 「【図2】 [図:0001427954000001.jpg] 」 「【0069】 図4及び図5に示すように、第1照射光L1及び第2照射光L2は、自車両20の前方に存在する物体30に向けて照射される点では共通している。しかしながら、既に説明したように、第1照射光L1は、レーダ120で物体が検出された段階で照射されるものであり、車載カメラ110の検出結果を改善する効果が期待される。このため、第1照射光L1は、物体30の全体を照らせるように、照射範囲が広めに設定されている。一方で、第2照射L2光は、車載カメラ110で物体が検出された段階で照射されるものであり、物体30への注意喚起効果が期待される。このため、第2照射光L2は、物体30に対する指向性の高い(言い換えれば、照射範囲の狭い)光として照射される。」 「【図4】 [図:0001427954000002.jpg] 」 「【0085】 <第2実施形態> 次に、第2実施形態に係る車両用照明装置について、図9から図11を参照して説明する。なお、第2実施形態は、既に説明した第1実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみで、その他の多くは同様である。このため、以下では、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。」 「【0087】 図9において、第2実施形態に係る車両用照明装置10bは、第1実施形態の構成(図1参照)に加えて、外界照度センサ130を備えて構成されている。また、ECU200における検出判定部220に代えて、検出精度判定部260が備えられている。」 「【0094】 具体的には、検出精度判定部260では、レーダ120で検出された物体について、車載カメラ110で存在を検出できない場合に、車載カメラ110での検出結果が不十分であると判定される。このような状況は、例えば図2で示した物体Aを検出する際の状況が、車載カメラ110による可視光を利用した物体Aの撮像に悪影響を与えかねない情況(つまり、夜間等の周囲が暗い状況)であるような場合に成立し得る。この場合、本来であれば車載カメラ110から得られるはずの物体に関する情報が得られないことになる。 【0095】 或いは、検出判定部220(当審注:「検出精度判定部260」の誤記)では、レーダ120で検出された物体について、車載カメラ110の情報から物体の属性を判別できない場合に、車載カメラ110での検出結果が不十分であると判定されてもよい。具体的には、車載カメラ110により何かしらの物体が存在していることは検出できるが、画像データが鮮明でない等の理由により、その属性までは判別できないという状況である。この場合、車載カメラ110から物体に関する情報は多少得られるものの、本来得られるはずの情報と比較すると、情報が不足した状態となる。 【0096】 或いは、検出判定部220(当審注:「検出精度判定部260」の誤記)では、車載カメラ110の検出信頼度が所定閾値以下である場合に、車載カメラ110での検出結果が不十分であると判定されてもよい。なお、「検出信頼度」とは、車載カメラ110から得られた情報の確からしさを示すパラメータであり、所定の算出方法を用いて算出できる。」 「【0098】 図11に示すように、車載カメラ110の検出信頼度は、自車両20からの配光照度(具体的には、レーダ120で検出した物体の存在位置における配光照度)と、外界照度センサ130によって検出された外界照度とから算出される。より具体的には、検出信頼度は、自車両20からの配光照度が高いほど、又は外界照度が高いほど、高い値として算出される。なお、図11に示す例では、外界照度の高さに応じた3本の直線が描かれているが、このような直線は、外界照度の高さに応じてリニアに上下移動するものであってもよい。」 「【0100】 算出された検出信頼度が所定閾値よりも高い場合には、車載カメラ110での検出結果は十分なものであると判定される。一方で、算出された検出信頼度が所定閾値以下である場合には、車載カメラ110での検出結果は不十分なものであると判定される。」 「【0102】 以上説明した検出結果の判定は、検出可否、属性判別可否、及び検出信頼度の少なくとも1つに基づいて行われればよい。また、検出可否、属性判別可否、及び検出信頼度の各々に基づいて実行されるだけでなく、それらを組み合わせて実行されてもよい。また、ここで挙げていない条件を組み合わせて実行されても構わない。 【0103】 図10に戻り、車載カメラ110での検出が不十分であると判定された場合(ステップS203:YES)、第1照射光を照射するように、第1照射制御部230から照射部300へと指令が出力される(ステップS204)。これにより、検出された物体に第1照射光が照射されることになる。」 イ 甲1に記載された発明(甲1発明) 上記アの【図2】及び【図4】によれば、レーダ検出範囲及びカメラ検出範囲は、照射部300による第1照射範囲L1により、部分的に照射されることが読み取れる。 よって、上記アによれば、甲1には第2実施形態として、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 なお、甲1の段落【0085】には「第2実施形態は、既に説明した第1実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみ」であると記載されていることから、第1実施形態として説明されている部分も、第2実施形態の構成及び動作についても第2実施形態として引用しいている。 また、甲1発明を当審にてa~pに分説した。以下、分説した記載をそれぞれ「記載a」等という。なお、甲1における記載箇所を、各分説の末尾において( )内に示した。 (甲1発明) 「a 車両用照明装置10は、自動車等の車両に搭載され、車載カメラ110、レーダ120、ECU200、及び照射部300を備え、(【0038】) b 車載カメラ110は、可視光を利用して撮像を行うカメラであり、撮像された画像データは、撮像範囲に存在する物体の存在を検出するため、或いは物体の属性を検出するために用いられ、(【0039】) c レーダ120は、車両周辺に存在している物体の位置を検出可能に構成される、ミリ波レーダ、レーザレーダ、ライダーなどであり、(【0040】) d ECU200は、情報取得部210、及び検出判定部220を備え、(【0041】) e 情報取得部210は、周辺環境情報(車両の周辺環境を示す情報、車両周辺に存在する物体に関する情報)を取得可能に構成され、(【0042】) f 検出判定部220は、周辺環境情報に基づいて、自車両周辺において物体が検出されているか否かを判定し、物体とは、歩行者、自転車、及び他車両等であり、(【0043】) g 照射部300は、照射する光の照射方向、照射範囲を変更可能なライト(例えば、車両のヘッドライト等)を含んでおり、自車両や対象物の移動に応じて、照射位置を適切な位置に変更する機能を有し、第1照射光又は第2照射光を照射可能に構成され、(【0047】) h 車載カメラ110のカメラ検出範囲は、レーダ120のレーダ検出範囲と重複しており、(【0049】) i 第1照射光L1は、物体30の全体を照らせるように、照射範囲が広めに設定されており、(【0069】) j レーダ検出範囲及びカメラ検出範囲は、照射部300による第1照射範囲L1により、部分的に照射され、(【図2】、【図4】) k ECU200に、検出精度判定部260が備えられ、(【0087】) l 検出精度判定部260で、レーダ120で検出された物体について、車載カメラ110で存在を検出できない場合に、車載カメラ110での検出結果が不十分であると判定され、(【0094】) m 或いは、検出精度判定部260で、レーダ120で検出された物体について、車載カメラ110の情報から物体の属性を判別できない場合に、車載カメラ110での検出結果が不十分であると判定され、(【0095】) n 或いは、検出精度判定部260では、車載カメラ110の検出信頼度が所定閾値以下である場合に、車載カメラ110での検出結果が不十分であると判定され、(【0096】) o 車載カメラ110の検出信頼度は、自車両20からの配光照度が高いほど、又は外界照度が高いほど、高い値として算出され、(【0098】) p 車載カメラ110での検出が不十分であると判定された場合、第1照射光を照射するように、第1照射制御部230から照射部300へと指令が出力され、検出された物体に第1照射光が照射される(【0103】) a 車両用照明装置10(【0038】)。」 (2) 甲2の記載及び甲2に記載された技術(甲2技術) ア 甲2の記載 甲2には、以下の記載がある。 「【発明を実施するための形態】 【0009】 実施の形態1. 図1は本発明の実施の形態1に係る物体識別装置を示している。本実施の形態においては、物体を検出するセンサとしてレーダ1とカメラ2を備えており、それぞれの検出結果は処理部としてのCPU(Central Processing Unit)(処理部とも称す)3に入力されるようになっている。この物体識別装置は、自動車などに搭載され、前方に存在する物体を検出して種類を識別する。」 「【0016】 受信レベルAに対するカテゴリ毎のレーダ信頼度は、図3の確率密度を受信レベルAごとに合計が1となるように規格化した図4に示すようなものとして計算される。自動車についてのレーダ信頼度は太実線C3に示すようになり、オートバイについてのレーダ信頼度は点線B3に示すようになり、また歩行者についてのレーダ信頼度は太破線P3に示すようになる。例えば、受信レベルAが10である場合は、「自動車」のカテゴリのレーダ信頼度は0.12、「オートバイ」のカテゴリのレーダ信頼度は0.62、「歩行者」のカテゴリのレーダ信頼度は0.26となる。」 「【0022】 以上のようにして求められたカテゴリ毎の合致度を基に、カテゴリ毎のカメラ信頼度を求める方法について説明する。カテゴリ毎のカメラ信頼度は、カテゴリ毎の合致度に対し、それらの合計が1となるように規格化して求める。例えば、「自動車」のカテゴリの合致度が0%、「オートバイ」のカテゴリの合致度が42%、「歩行者」のカテゴリの合致度が78%であった場合は、「自動車」のカテゴリのカメラ信頼度は0、「オートバイ」のカテゴリのカメラ信頼度は0.35、「歩行者」のカテゴリのカメラ信頼度は0.65となる。」 イ 甲2に記載された技術(甲2技術) 上記アによれば、甲2には以下の技術(以下「甲2技術」という。)が記載されているといえる。 (甲2技術) 「物体識別装置は、自動車に搭載され、前方に存在する物体を検出して種類を識別するものであり、 求められたカテゴリ毎の合致度を基に、カテゴリ毎のカメラ信頼度は、カテゴリ毎の合致度に対し、それらの合計が1となるように規格化して求め、 例えば、カテゴリは、自動車、オートバイ、歩行者である、技術。」 (3) 甲3の記載及び甲3に記載された技術(甲3技術) ア 甲3の記載 甲3には、以下の記載がある。 「【0001】 この発明は、車両のヘッドライトの光量を調整する技術に関する。」 「【0008】 この発明では、非可視光センサにより検出された検出物体について視認性評価値を計算し、検出物体が存在する領域に照射されるヘッドライトの光量を調節する。これにより、移動体の前方にある物体の視認性の低下を防止することができる。」 「【0035】 (図2のステップS21:光量減少処理) 光量調整部24は、ヘッドライト駆動装置33を介して、ハイビームユニット411を構成する複数の光源とハイビームユニット421を構成する複数の光源とのうち、対象の検出物体の領域に光を照射する光源の光量を1段階減少させる。例えば、光量調整部24は、対象の検出物体の領域に光を照射する光源の輝度を1[cd]低くする。」 イ 甲3に記載された技術(甲3技術) 上記アによれば、甲3には以下の技術(以下「甲3技術」という。)が記載されているといえる。 (甲3技術) 「光量調整部がハイビームユニットを構成する複数の光源を備え、 光を照射する光源の光量を1段階減少させることで、 車両のヘッドライトの光量を調整することにより、視認性の低下を防止する技術。」 (4) 甲4の記載及び甲4に記載された技術(甲4技術) ア 甲4の記載 「【0007】 そこで、本発明の目的は、簡単な構成により、必要な時に、必要な場所へ、必要な量の光を照射できる車両用配光制御システムを提供することにある。」 「【0015】 以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示す車両Vは、運転者から見て右側の前照灯1Rと左側の前照灯1Lとを装備している。各前照灯1R,1Lには、一つのメインランプユニット11と、2つのサブランプユニット12,13と、一つのカメラ14が設けられている。カメラ14は、メインランプユニット11と水平方向の同じ位置(鎖線位置)に設置され、メインランプユニット11の上側から車両前方の光景を撮影する。」 イ 甲4に記載された技術(甲4技術) 上記アによれば、甲4には以下の技術(以下「甲4技術」という。)が記載されているといえる。 (甲4技術) 「車両Vは、右側の前照灯1Rと左側の前照灯1Lとを装備し、 各前照灯1R,1Lには、一つのメインランプユニット11と、2つのサブランプユニット12,13と、一つのカメラ14が設けられている、技術。」 3 対比・判断 (1) 本件発明1 ア 本件発明1と甲1発明の対比 (ア) 発明特定事項A 甲1発明の「車両用照明装置10」は、記載aによれば「自動車等の車両に搭載され」るものであり、「ECU200」を備えるものである。また、記載dによれば「ECU200」は「情報取得部210を備え」るものであり、記載eによれば「情報取得部210」は「周辺環境情報(車両の周辺環境を示す情報、車両周辺に存在する物体に関する情報)を取得可能に構成され」るものである。 そうすると、甲1発明の「車両用照明装置10」は、自動車に搭載される装置であり、かつ、そのECU200に情報取得部210を備えることで「周辺環境情報を取得する」ものである。 ここで、「車両周辺に存在する物体に関する情報を取得する」ことは、「自動車の周囲をモニタする」ことと言える。 よって、甲1発明の「車両用照明装置10」は、本件発明1の発明特定事項Aである「自動車(100)の周囲をモニタするためのシステム」に相当する。 (イ) 発明特定事項B 本件発明1の発明特定事項Bには、画像認識装置(2)が「前記周囲の認識領域(E1)を又は前記認識領域(E1)にある物体を」認識すると記載されているから、以下の選択的発明特定事項B-1又はB-2を含むものである。 (選択的発明特定事項B-1) 画像認識装置(2)が「前記周囲の認識領域(E1)を」認識すること。 (選択的発明特定事項B-2) 画像認識装置(2)が「前記認識領域(E1)にある物体を」認識すること。 甲1発明の「車両用照明装置10」は、記載aによれば「車載カメラ110」及び「ECU200」を備え、記載dによれば「ECU200」は「検出判定部220」を備える。 また、甲1発明の「車載カメラ110」は記載bによれば撮像された画像データによって「撮像範囲に存在する物体の存在を検出するため、或いは物体の属性を検出するために用いられ」、甲1発明の「ECU200」の「検出判定部220」は記載fによれば「周辺環境情報に基づいて、自車両周辺において、物体が検出されているか否かを判定」する。 ここで、甲1発明の「車載カメラ110」の「撮像範囲」は、本件発明1の「認識領域(E1)」に相当し、甲1発明の「検出判定部220」は、「物体」を「検出」することから、本件発明1の「物体」を認識することに相当する。 そうすると、甲1発明の「車載カメラ110」、及び、「ECU200」の「検出判定部220」からなる構成は、本件発明1の発明特定事項Bのうちの選択的発明特定事項B-2である「前記認識領域(E1)にある物体」を認識する「画像認識装置(2)」に相当する。 また、発明特定事項Bは、画像認識装置(2)を「少なくとも1つ」と特定している。一方で、甲1発明は、本件発明1の画像認識装置(2)に相当する車載カメラ110を備えるから、甲1発明が車載カメラ110を1つ備えることは明白である。 よって、選択的発明特定事項B-1の有無に関わらず、甲1発明の「ECU200」は、本件発明1の発明特定事項Bで特定される「画像認識装置(2)」に相当する。 (なお、本件発明1の発明特定事項Bは画像認識装置(2)を「少なくとも1つ」と特定していることから、画像認識装置(2)を複数備える構成を含むものである。しかし、甲1発明において、画像認識装置(2)に相当する車載カメラ110を複数備える構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項と認められる。) (ウ) 発明特定事項C 本件発明1の発明特定事項Cは、画像認識装置(2)の認識領域(E1)が「部分的に又は完全に」照明装置(3)によって照明可能と記載されているから、以下の選択的発明特定事項C-1又はC-2を含むものである。 (選択的発明特定事項C-1) 画像認識装置(2)の認識領域(E1)が「部分的に」照明可能である照明装置(3)。 (選択的発明特定事項C-2) 画像認識装置(2)の認識領域(E1)が「完全に」照明可能である照明装置(3)。 甲1発明の「車両用照明装置10」は、記載aによれば「照射部300」を備える。また、甲1発明の「照射部300」は、記載gによれば「照射する光の照射方向、照射範囲を変更可能なライト(例えば、車両のヘッドライト等)を含んでおり、自車両や対象物の移動に応じて、照射位置を適切な位置に変更する機能を有し」、「第1照射光」を「照射」するものである。更に、記載iによれば「第1照射光L1は、物体30の全体を照らせるように、照射範囲が広めに設定され」ており、記載jによれば「レーダ検出範囲及びカメラ検出範囲は、照射部300による第1照射範囲L1により、部分的に照射され」るものである。 そうすると、甲1発明のカメラ検出範囲を「部分的に」照射する「照射部300」は、本件発明1の発明特定事項Cのうちの選択的発明特定事項C-1である「画像認識装置(2)の認識領域(E1)は部分的に」照明する「前記照明装置(3)」に相当する。 また、発明特定事項Cは、照明装置(3)を「少なくとも1つ」と特定している。一方で、甲1発明は、本件発明1の照明装置(3)に相当する照射部300を備えるから、甲1発明が照射部300を1つ備えることは明白である。 よって、選択的発明特定事項C-2の有無に関わらず、甲1発明の「照射部300」は、本件発明1の発明特定事項Cで特定される「照明装置(3)」に相当する。 (なお、本件発明1の選択的発明特定事項C-2によれば、照明装置(3)が画像認識装置(2)の認識領域(E1)を「完全に」照明可能であることを含むものである。 一方で、甲1発明の「照射部300」は、記載iによれば「第1照射光L1は、物体30の全体を照らせるように、照射範囲が広めに設定され」るものである。そうすると、甲1発明において「第1照射光L1」を発する「照射部300」の照射範囲を広めに設定する目的で、「部分的に」を「全体に」とすることは、当業者が甲1発明を具体的に実現する際に、適宜なし得る設計事項である。よって、甲1発明において、本件発明1の選択的発明特定事項C-2である、照明装置(3)が認識領域(E1)を「完全に」照明装置(3)によって照明する構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項と認められる。 また、本件発明1の発明特定事項Cは「照明装置(3)」を「少なくとも1つの」と特定していることから、照明装置(3)を複数備える構成を含むものである。しかし、甲1発明において、照明装置(3)に相当する照射部300を複数備える構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項と認められる。) (エ) 発明特定事項Dについて 本件発明1の発明特定事項Dは、周囲認識装置(7)が画像認識装置(2)の「前記認識領域(E1)の少なくとも一部分を又は前記認識領域(E1)全体を」認識すると記載されているから、以下の選択的発明特定事項D-1又はD-2を含むものである。 (選択的発明特定事項D-1) 周囲認識装置(7)が画像認識装置(2)の前記認識領域(E1)の「少なくとも一部分を」認識する。 (選択的発明特定事項D-2) 周囲認識装置(7)が画像認識装置(2)の前記認識領域(E1)「全体を」認識する。 甲1発明の「車両用照明装置10」は、記載aによれば「レーダ120」を備える。また、甲1発明の「レーダ120」は、記載cによれば「車両周辺に存在している物体の位置を検出」するものである。また、記載hによれば「車載カメラ110」の「カメラ検出範囲」は「レーダ120」の「レーダ検出範囲と重複」する。 ここで、領域が「重複」していることは、共通する領域が「少なくとも一部分」又は「全体」であることを意味している。 そうすると、甲1発明の、車載カメラ110のカメラ検出範囲と「重複する」レーダ検出範囲である「レーダ120」は、本件発明1の選択的発明特定事項D-1である、画像認識装置(2)の「認識領域(E1)の少なくとも一部分を」認識するよう構成される「周囲認識装置(7)」、及び、選択的発明特定事項D-2である、画像認識装置(2)の「認識領域(E1)の全体を」認識するよう構成される「周囲認識装置(7)」に相当する。 また、発明特定事項Dは、周囲認識装置(7)を「少なくとも1つ」と特定している。一方で、甲1発明は、本件発明1の周囲認識装置(7)に相当するレーダ120を備えるから、甲1発明がレーダ120を1つ備えることは明白である。 よって、甲1発明の「レーダ120」は、本件発明1の発明特定事項Dで特定される「周囲認識装置(7)」に相当する。 (なお、本件発明1の発明特定事項Cは「周囲認識装置(7)」を「少なくとも1つの」と特定していることから、周囲認識装置(7)を複数備える構成を含むものである。しかし、甲1発明において、周囲認識装置(7)に相当するレーダ120を複数備える構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項と認められる。) (オ) 発明特定事項E及びE1について 甲1発明は、上記(イ)で検討したとおり、記載bによれば「車載カメラ110で撮像された画像データ」が「物体の属性を検出するために用いられ」るものであり、記載fによれば「検出判定部220」は「自車両周辺において物体が検出されているか否かを判定」するものである。そうすると、甲1発明の「検出判定部220」は、本件発明1の発明特定事項E及びE1である 「E -前記画像認識装置(2)は、 E1 ・前記少なくとも1つの画像認識装置(2)の検出領域に存在する物体を、この物体が検出されたとき、その物体タイプに関して分類するよう、」 「E 構成されており」との発明特定事項に相当する。 (カ) 発明特定事項E及びE2について 本件発明1の発明特定事項E及びE2は、 「E -前記画像認識装置(2)は、」 「E2 ・検出された物体の物体タイプが前記画像認識装置(2)によって正確に確定されることができる確度の大きさを表す信頼値即ちいわゆるKO信頼値(以下“KO”と称する)をその都度(1つ)求めるよう、 E 構成されており」という事項である。 甲1発明の「検出精度判定部260」は、記載nによれば「車載カメラ110の検出信頼度が所定閾値以下である場合に、車載カメラ110での検出結果が不十分であると判定され」るものであり、記載oによれば「車載カメラ110の検出信頼度は、自車両20からの配光照度が高いほど、又は外界照度が高いほど、高い値として算出され」るものであるから、甲1発明において、車載カメラの検出信頼度は、物体が検出されているかいないかに関わらず、外界照度に応じて決定されるものである。 一方で、本件発明1の発明特定事項E2における「KO」(KO信頼値)は、「検出された物体の物体タイプが前記画像認識装置(2)によって正確に確定されることができる確度の大きさを表す信頼値」であるから、本件発明1の「KO」は、検出された物体に対して決定されるものである。 そうすると、甲1発明は、本件発明1の「KO」(KO信頼値,検出された物体の物体タイプが画像認識装置(2)によって正確に確定されることができる確度の大きさを表す信頼値)を利用するものではない。 よって、本件発明1の画像認識装置(2)は、発明特定事項E2で特定されるとおり「検出された物体の物体タイプが前記画像認識装置(2)によって正確に確定されることができる確度の大きさを表す信頼値即ちいわゆるKO信頼値(以下“KO”と称する)をその都度(1つ)求める」のに対し、甲1発明の車載カメラ110には、そのような特定がない点で相違する。(相違点1) (キ) 発明特定事項F(F1~F5)について 本件発明1の発明特定事項Fは「前記システム」が「前記認識領域(E1)に物体(OBJ)が存在する場合において」(発明特定事項F1)、「当該物体(OBJ)の領域における照明強度が増大又は低減されるように前記照明装置(3)を制御する」(発明特定事項F)との制御を行うものであり、当該制御は、以下の(a)~(c)の3つの条件のいずれか1つが満たされる場合に所定の動作が行われるものである。 (a) (発明特定事項F2) 前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出されないとき。 (b) (発明特定事項F3かつF4) 前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出されるが、 前記画像認識装置(2)によって分類されることができないとき。 (c) (発明特定事項F3かつF5) 前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出されるが、 前記画像認識装置(2)によって分類の際に求められるKOが所定の閾値を下回るとき。 また、本件発明1の発明特定事項Fは、照明装置(3)の制御により照明強度を「増大又は低減」するとの選択的発明特定事項を含むものである。 甲1発明の「車両用照明装置10」は、記載aによれば「ECU200」を備え、記載kによれば「ECU200に、検出精度判定部260が備えられ」るから、甲1発明の「検出精度判定部260」による動作は、「車両用照明装置10」の動作である。そして、甲1発明の「車両用照明装置10」は上記(ア)のとおり本件発明の「システム」(発明特定事項F)に相当する。よって、甲1発明の「車両用照明装置10」による制御は、本件発明の「システム」(発明特定事項F)による制御と認められる。 ここで、甲1発明の「検出精度判定部260」は、記載lによれば「レーダ120で検出された物体について、車載カメラ110で存在を検出できない場合に、車載カメラ110での検出結果が不十分であると判定」するから、甲1発明のこの条件は、本件発明1の「前記認識領域(E1)に物体(OBJ)が存在する場合において」(発明特定事項F1)、「前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出されないとき」(発明特定事項F2)との条件に相当する。 さらに、甲1発明の「検出精度判定部260」は、記載mによれば「レーダ120で検出された物体について、車載カメラ110の情報から物体の属性を判別できない場合に、車載カメラ110での検出結果が不十分であると判定」するから、甲1発明のこの条件は、本件発明1の「前記認識領域(E1)に物体(OBJ)が存在する場合において」(発明特定事項F1)、「前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出されるが」(発明特定事項F3)、「前記画像認識装置(2)によって分類されることができない」(発明特定事項F4)との条件に相当する。 また、甲1発明の「検出精度判定部260」は、記載pによれば、車載カメラ110での検出が不十分であると判定された場合に「第1照射光を照射するように」「照射部300へと指令が出力され」「第1照射光が照射される」との動作を行う。そうすると、甲1発明の検出判定部260の動作は、本件発明1の発明特定事項Fにおける選択的発明特定事項に係る動作のうち「当該物体(OBJ)の領域における照明強度が増大」「されるように前記照明装置(3)を制御する」(以下「発明特定事項F’」という。)との動作に相当する。 よって、甲1発明と本件発明1は、発明特定事項F及びF1~F5のうち、以下の発明特定事項F’及びF1~F4の点で共通する。 「F 前記システムは、 F1 前記認識領域(E1)に物体(OBJ)が存在する場合において、 F2 -前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出されないとき、又は、 F3 -前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出されるが、 F4 ・前記画像認識装置(2)によって分類されることができない」とき 「F’ 当該物体(OBJ)の領域における照明強度が増大されるように前記照明装置(3)を制御する」よう、構成されていること。 一方で、甲1発明は、上記(カ)で検討したとおり、本件発明1の「KO」に係る構成がない。よって、本件発明1は、発明特定事項Fにおける判定の条件として、「前記認識領域(E1)に物体(OBJ)が存在する場合において」(発明特定事項F1)、「前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出される」(発明特定事項F3)場合に、発明特定事項F5である「前記画像認識装置(2)によって分類の際に求められるKOが所定の閾値を下回るとき」を判定するのに対し、甲1発明では、そのような条件を判定しない点で相違する。(相違点2) また、本件発明1の車両用照明装置10は、発明特定事項Fによれば、照明装置(3)を制御することにより照明強度を「低減する」ものを含むが、甲1発明は、そのような制御を含むとの特定がない点で相違する。(相違点3) イ 本件発明1と甲1発明の一致点と相違点 上記アのとおりであるから、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。 (一致点) A 自動車(100)の周囲をモニタするためのシステムであって、該システムは、 B -少なくとも1つの画像認識装置(2)、但し、前記画像認識装置(2)は、前記周囲の認識領域(E1)を又は前記認識領域(E1)にある物体を認識するよう構成されている、 C -少なくとも1つの照明装置(3)、但し、前記少なくとも1つの画像認識装置(2)の認識領域(E1)は部分的に又は完全に前記照明装置(3)によって照明可能である、及び、 D -少なくとも1つの周囲認識装置(7)、但し、前記周囲認識装置(7)は、前記画像認識装置(2)の認識領域(E1)の少なくとも一部分を又は前記認識領域(E1)全体を認識するよう構成されており、前記少なくとも1つの周囲認識装置(7)は物体を検出するよう構成されている、 A を含み、 E -前記画像認識装置(2)は、 E1 ・前記少なくとも1つの画像認識装置(2)の検出領域に存在する物体を、この物体が検出されたとき、その物体タイプに関して分類するよう、 E 構成されており、 F 前記システムは、 F1 前記認識領域(E1)に物体(OBJ)が存在する場合において、 F2 -前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出されないとき、又は、 F3 -前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出されるが、 F4 ・前記画像認識装置(2)によって分類されることができないか、又は F’ 当該物体(OBJ)の領域における照明強度が増大されるように前記照明装置(3)を制御するよう、構成されていること A を特徴とする、システム。 (相違点) 相違点1 (発明特定事項E2) 本件発明1の前記画像認識装置(2)は「検出された物体の物体タイプが前記画像認識装置(2)によって正確に確定されることができる確度の大きさを表す信頼値即ちいわゆるKO信頼値(以下“KO”と称する)をその都度(1つ)求める」のに対し、甲1発明の車載カメラ110には、そのような特定がない点。 相違点2 (発明特定事項F5) 本件発明1は、発明特定事項Fにおける判定の条件として、「前記認識領域(E1)に物体(OBJ)が存在する場合において」(発明特定事項F1)、「前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出される」(発明特定事項F3)場合に、発明特定事項F5である「前記画像認識装置(2)によって分類の際に求められるKOが所定の閾値を下回るとき」を判定するのに対し、甲1発明では、そのような条件を判定しない点。 相違点3 (発明特定事項F) 本件発明1のシステムは、発明特定事項Fによれば、周囲認識装置(7)における検出または分類が不十分な場合に、照明装置(3)を制御することにより照明強度を「低減する」ものを含むが、甲1発明は、そのような制御を含むとの特定がない点。 ウ 判断 上記イで示した相違点について検討する。 (ア) 相違点1及び2について 上記1(2)イのとおり、甲2には、次の甲2技術が記載されている。 「物体識別装置は、自動車に搭載され、前方に存在する物体を検出して種類を識別するものであり、 求められたカテゴリ毎の合致度を基に、カテゴリ毎のカメラ信頼度は、カテゴリ毎の合致度に対し、それらの合計が1となるように規格化して求め、 例えば、カテゴリは、自動車、オートバイ、歩行者である、技術。」 ここで、甲2技術の「物体識別装置」は、本件発明1の「画像認識装置」に相当する。また、甲2技術の「検出された物体の種類」又は「カテゴリ」は、本件発明1の「物体タイプ」に相当するから、甲2技術の「カテゴリ毎のカメラ信頼度」は、本件発明1の「KO」(KO信頼値、検出された物体の物体タイプが画像認識装置(2)によって正確に確定されることができる確度の大きさを表す信頼値)に相当する。 そうすると、甲2技術の物体識別装置は、検出された物体に対して「カメラ信頼度」を求めるものであるから、甲2技術の物体識別装置は、検出された物体について、カテゴリ毎のカメラ信頼度が決定されるものであるから、本件発明1の画像認識装置(2)がKOを「その都度(1つ)求める」よう構成されたものである。 一方で、甲1発明は、「検出精度判定部260」において、「物体の属性」を検出するものであるから、物体の属性を検出する際に、甲2技術の「カメラ信頼度」を適用することは、当業者が容易に想到し得たものであり、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 また、上記ア(キ)において本件発明1の発明特定事項F3についての検討でも述べたとおり、甲1発明は、記載mによれば「検出精度判定部260で、レーダ120で検出された物体について、車載カメラ110の情報から物体の属性を判別できない場合に、車載カメラ110での検出結果が不十分であると判定」するものである。 そうすると、甲1発明に甲2技術の「カメラ信頼度」による識別を適用する際に、発明特定事項Fの動作を行う条件として、「前記認識領域(E1)に物体(OBJ)が存在する場合において」(発明特定事項F1)、「前記周囲認識装置(7)が当該物体を検出しかつこの物体が前記画像認識装置(2)によって検出される」(発明特定事項F3)場合に、本件発明1の発明特定事項F5である「前記画像認識装置(2)によって分類の際に求められるKOが所定の閾値を下回るとき」を判定することも、当業者が当該適用する際に適宜為すべき設計事項である。 (イ) 相違点3について 取消理由通知書に記載した取消理由では引用しなかった甲4技術を含め、甲2技術~甲4技術について検討すると、甲2技術~甲4技術は、上記2の(2)~(4)のとおりであり、いずれも、相違点3の構成である、検出または分類が不十分であると判定された場合に照明強度を低減する構成を、開示していない。 また、甲1発明は、記載pによれば「車載カメラ110での検出が不十分であると判定された場合」「検出された物体に第1照射光が照射される」ものであるから、照射されていない物体に照射する構成である。そうすると、相違点3に係る「照明強度を低減する」構成とする動機がない。 すなわち、本件発明1は、照射強度を制御する際に、「増大又は低減」されるように制御するものであり、この点は、本件特許の明細書の段落【0020】~【0023】において、「夜間、悪天候」(増大)又は「眩惑減少」(減少)の際にも信頼性のある検出及び分類を達成することができるとの旨の記載があることからも裏付けられるものである。 エ まとめ(本件発明1) 上記ウの(ア)及び(イ)のとおりであるから、本件発明1は甲1発明並びに甲2技術~甲4技術に基づいても当業者が容易になし得たものではない。 (2) 本件発明2、5~17及び20~32について 上記(1)のとおり、本件発明1は甲1発明並びに甲2技術~甲4技術に基づいても当業者が容易になし得たものではないから、本件発明1の構成を全て備える本件発明5及び20も同様に、当業者が容易になし得たものではない。また、請求項1、5又は20を引用する請求項2、6~17及び21~32も同様に、当業者が容易になし得たものではない。 4 まとめ(取消理由通知に記載した取消理由について) 上記1~3のとおり、本件特許の請求項1、2、5~17及び20~32に係る発明は、特許法第29条第2項の規定に違反しないものであるから、同法第113条第2号に該当せず、特許を取り消すことはできない。 第5 特許異議の申立ての理由の概要 1 取消理由で通知していない特許異議申立人が申し立てた申立ての理由について 上記「第4」で検討した上記取消理由において通知しなかった、特許異議申立人が申し立てた申立ての理由の概要は、以下のとおりである。 [申立ての理由] (1) (新規性) 請求項1、2、6、7、9~13、16、17、21、22、24~28、31及び32に係る特許は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号により取り消すべきものである。 (2) (実施可能要件) 本件特許の明細書の記載は、請求項1、3及び18、並びに、これらの請求項を引用する請求項2、4~17及び19~32に記載された発明を当業者が実施することができる程度に記載していないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、当該請求項に係る発明は、同法第113条第4号により取り消すべきものである。 2 当審の判断 (1) 上記1(1)の新規性について 上記「第4」の3(1)ウのとおり、本件発明1は、甲1発明と相違点があり、甲1に記載された発明とは言えない。 また、本件発明1の構成を全て含む本件発明2、6、7、9~13、16、17、21、22、24~28、31及び32についても同様である。 よって、請求項1、2、6、7、9~13、16、17、21、22、24~28、31及び32に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反しておらず、同法第113条第2号により取り消すべきものではない。 (2) 上記1(2)の実施可能要件について 上記1(2)の申立理由は、即ち、本件発明1の「画像認識装置」が「検出された物体の物体タイプが前記画像認識装置(2)によって正確に確定されることができる確度の大きさを表す信頼値即ちいわゆるKO信頼値(以下“KO”と称する)をその都度(1つ)求める」について、明細書には「KO信頼値」を求める具体的な演算方法が記載されておらず、実施可能要件を満たさないとするものである。 しかし、本件発明1については、「KO」の具体的な演算方法を特定していなくても、当業者にとっては「検出された物体の物体タイプが前記画像認識装置(2)によって正確に確定されることができる確度の大きさを表す信頼値」として、画像認識の技術分野における認識の確度を示す周知の指標を適宜選定すれば良いことは明白であり、実施可能と認められる。 また、請求項1(本件発明1)を引用する請求項2(本件発明2)についても同様に、実施可能と認められる。 更に、上記1(2)の申立理由は、本件発明3及び本件発明18の「NKO値」についても同様に実施可能要件を満たさないとするものであるが、「KO値」について上述したことと同様の理由により、実施可能と認められる。 また、請求項3(本件発明3)又は請求項18(本件発明18)を引用する請求項4~17及び19~32(本件発明4~17及び19~32)についても同様に、実施可能と認められる。 よって、本件特許の明細書の記載は、請求項1~32に記載された発明を当業者が実施することができる程度に記載しているから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしており、当該請求項に係る発明は、同法第113条第4号により取り消すべきものではない。 第6 むすび 上記のとおりであるから、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおりの訂正後の請求項〔3~32〕に訂正することを認める。そして、本件特許の請求項1~32に係る特許は、申立ての理由によって取り消すことはできない。 また、本件申立書で申し立てられた理由の他に、本件特許の請求項1~32に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700781

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