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特許異議申立

2022-700162

コントローラ、作業制御装置、多軸動作制御装置、及び駆動制御装置

審判番号
2022-700162
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2016-172295
登録番号
6925794
請求日
2022年02月25日
審決日
2023年06月08日
公報発行日
2023年09月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社安川電機
  • 【権利者代理人】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
  • 【異議申立人】川部 典子
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 貴雄
  • 審判官 刈間 宏信
  • 審判官 田々井 正吾
分類
P1651.121-YAA(G05B) / P1651.536-YAA(G05B) / P1651.537-YAA(G05B) / P1651.841-YAA(G05B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第36条、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第120条の5第7項、特許法第2条
データ出所
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特許第6925794号発明「コントローラ、作業制御装置、多軸動作制御装置、及び駆動制御装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6925794号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。 特許第6925794号の請求項1~5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6925794号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成28年9月2日に出願され、令和3年8月6日にその特許権の設定登録がされ、同年8月25日に特許掲載公報が発行された。 その後の本件特許異議の申立ての主な経緯は、次のとおりである。 令和4年 2月25日 :特許異議申立人 川部典子(以下「申立人」 という。)による請求項1~5に係る特許に 対する特許異議の申立て 同 年 5月10日付け:取消理由通知 同 年 7月 8日 :特許権者と審判合議体との面接 同 年 7月14日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同 年 8月25日 :申立人による意見書の提出 同 年10月26日付け:取消理由通知(決定の予告) 同 年12月13日 :特許権者と審判合議体との面接 同 年12月23日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和5年 2月10日 :申立人による意見書の提出 なお、令和4年7月14日にされた訂正の請求は、特許法120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和4年12月23日提出の訂正請求書により、特許権者は、以下の訂正(以下「本件訂正」という。)を請求した(下線は、訂正箇所を示すために当審で付したものである。)。 なお、訂正前の請求項1~5について、請求項2~5はそれぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~5に対応する訂正後の請求項1~5は、一群の請求項である。 (1)訂正事項1 ア 訂正事項1-1 特許請求の範囲の請求項1に 「前記作業制御部は、当該作業制御部の制御機能に対応して・・・を有し、」 と記載されているのを、 「前記作業制御部は、前記多軸制御機械に実行させる前記作業内容に適した機能を提供する第1の処理ブロックと、提供された前記機能を活用して前記作業内容を実現するために所定の時系列手順を規定したプログラムを実行する第2の処理ブロックと、当該作業制御部の制御機能に対応して・・・と、を有し、」 に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~5も同様に訂正する。)。 イ 訂正事項1-2 特許請求の範囲の請求項1に 「前記作業制御部は、・・・目的とする前記作業内容を実現するためのプログラムを選択的にインストール可能とする作業制御インターフェースを有し、前記プログラムを実行することで、入力された前記作業制御信号に基づき前記目的とする作業内容を時系列手順にしたがって実行するための動作制御信号を出力し、」 と記載されているのを、 「前記作業制御部は、・・・目的とする前記作業内容を実現するためのプログラムを、前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックにそれぞれ選択的にインストールすることで前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックの内容を書き換えることを可能とする作業制御インターフェースと、を有し、インストールされた前記目的とする作業内容を実現するためのプログラムを実行することで、入力された前記作業制御信号に基づき前記目的とする作業内容を前記時系列手順にしたがって実行するための動作制御信号を出力し、」 に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~5も同様に訂正する。)。 ウ 訂正事項1-3 特許請求の範囲の請求項1に 「給電駆動を制御する」 と記載されているのを、 「給電駆動を制御し、前記所定のインターフェース規格は、前記制御機能部どうしの間で前記制御信号を送受信するための接続バスの通信プロトコルよりも上位階層のプロトコルを用いたソフトウェア上の規格である」 に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~5も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 ア 訂正事項2-1 特許請求の範囲の請求項3に 「前記インターフェース規格は、」 と記載されているのを、 「前記所定のインターフェース規格は、」 に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4~5も同様に訂正する。)。 イ 訂正事項2-2 特許請求の範囲の請求項3に 「その仕様内容が公開されている」 と記載されているのを、 「その仕様内容がネットワーク通信若しくは記録媒体を介して入手可能なデータの形式、又は、頒布された冊子の形態で入手可能に公開されている」 に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4~5も同様に訂正する。)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に 「前記多軸動作制御部のインターフェース規格」 と記載されているのを、 「前記多軸動作制御部の前記所定のインターフェース規格」 に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に 「前記多軸動作制御部のインターフェース規格」 と記載されているのを、 「前記多軸動作制御部の前記所定のインターフェース規格」 に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 本件訂正について、訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否を検討する。 なお、本件においては、訂正前の請求項1~5について特許異議申立てがされているので、本件訂正に関して、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。 (1)訂正事項1について ア 訂正事項1-1について (ア)訂正の目的について 訂正事項1-1に係る訂正は、訂正前の「前記作業制御部」という事項について、「前記多軸制御機械に実行させる前記作業内容に適した機能を提供する第1の処理ブロックと、提供された前記機能を活用して前記作業内容を実現するために所定の時系列手順を規定したプログラムを実行する第2の処理ブロックと、・・・と、を有し、」と記載することで、「前記作業制御部」の構成をより具体的に特定するものである。 したがって、訂正事項1-1に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)新規事項の有無について 訂正事項1-1に係る訂正のうち、「前記作業制御部」が「第1の処理ブロック」を有することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)の「・・・上記の作業制御装置3・・・をそれぞれ構成する演算処理装置・・・は、・・・コンピュータであり、・・・コンピュータがソフトウェア処理によって・・・各処理ブロックを実行する。・・・作業制御装置3は、・・・アプリケーション実行13・・・の各処理ブロックを実行可能となっている。」(【0021】)という記載や、「アプリケーション実行13は、作業ロボット6に実行させる作業内容に適した機能を提供する処理ブロックである。・・・」(【0023】)という記載、「・・・上記のアプリケーション実行13の処理ブロック・・・」(【0027】)という記載に示すように、実質的に記載されている。 また、「前記作業制御部」が「第2の処理ブロック」を有することは、本件明細書等の「・・・作業制御装置3は、・・・モーションプログラム実行14・・・の各処理ブロックを実行可能となっている。」(【0021】)という記載や、「モーションプログラム実行14は、上記アプリケーション実行13で規定されている機能を活用して所定の作業内容を実現するために、・・・などの所定の時系列手順が記述されたファイルであるモーションプログラムを解釈して実行する。・・・」(【0025】)という記載、「・・・上記のモーションプログラム実行14の処理ブロック・・・」(【0027】)という記載に示すように、実質的に記載されている。 なお、これらの処理ブロックについて、「第1」、「第2」という序数の表現は本件明細書等に明記されていないが、2つの処理ブロックを区別するために形式的に番号を付したものであることは、当業者にとって自明である。 したがって、訂正事項1-1に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。 (ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1-1に係る訂正は、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項1-1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合する。 イ 訂正事項1-2について (ア)訂正の目的について 訂正事項1-2に係る訂正のうち、訂正前の「プログラムを選択的にインストール可能とする作業制御インターフェース」という事項についての訂正は、「プログラムを、前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックにそれぞれ選択的にインストールすることで前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックの内容を書き換えることを可能とする作業制御インターフェース」と記載することで、訂正事項1-1にて特定された「第1の処理ブロック」及び「第2の処理ブロック」に対応づけて、作業制御インターフェースの機能をより具体的に特定するものである。 また、訂正前の「前記作業制御部は、・・・前記プログラムを実行することで、」という事項についての訂正は、「前記作業制御部は、・・・インストールされた前記目的とする作業内容を実現するためのプログラムを実行することで、」と記載することで、「前記作業制御部」が実行するプログラムを具体的に特定するものである。 また、訂正前の「作業内容を時系列手順にしたがって実行する」という事項についての訂正は、「作業内容を前記時系列手順にしたがって実行する」と記載することで、「時系列手順」が前記されたものであることを明確にするものである。 したがって、訂正事項1-2に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 (イ)新規事項の有無について 訂正事項1-2に係る訂正は、次のa~eに示すように、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。 a 訂正事項1-2に係る訂正のうち、「目的とする前記作業内容を実現するためのプログラムを、前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックにそれぞれ選択的にインストールすることで前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックの内容を書き換えることを可能とする作業制御インターフェース」という事項について、技術常識をふまえると、「作業制御インターフェース」が「プログラムを、前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックに・・・インストールすること」、すなわち、作業制御インターフェースを介してプログラムをインストールすることの結果として、第1の処理ブロック及び第2の処理ブロックの内容を書き換えることを可能とする意味であると理解できる。 b この理解を前提として、本件明細書等を参照すると、「また特に作業制御装置3の作業制御インターフェース11においては、当該作業制御装置3のCPUに実行させる処理ブロックを任意にプログラミングできるよう、例えばC言語などの所定のプログラミング言語を外部から記述して記憶、実行できるインターフェース規格としてもよい。この場合には、上記コンソール2が作業制御装置3のプログラムをコーディングするインターフェースとして機能する。」(【0057】)との記載や、「作業制御インターフェース11は、コンソール2からの作業制御信号の入力を受け付けて対応する作業内容を他の処理ブロックに処理させる。」(【0022】)との記載から、「作業制御インターフェース11」が「コンソール2」からのプログラムや作業制御信号を受け付けること、すなわち、プログラムや作業制御信号は、作業制御インターフェース11を介して作業制御装置3が受信することを理解できる。 c また、本件明細書等の「作業制御装置3のコンピュータは、上記のアプリケーション実行13の処理ブロックと、上記のモーションプログラム実行14の処理ブロックについて、その内容を書き換えることができるように構成されている。つまり作業制御装置3のコンピュータは、これらの処理ブロックにそれぞれ、目的とする作業内容を実現するためのプログラムを選択的にインストールして実行することで、入力された作業制御信号に基づき目的とする作業内容に対応した動作制御信号を出力する。・・・」(【0027】)との記載から、「作業制御インターフェース11」を介して受信されたプログラム(上記b)が、「アプリケーション実行13の処理ブロック」と、「モーションプログラム実行14の処理ブロック」にインストールされ、その結果として、内容を書き換えることができることを理解できる。 したがって、訂正事項1-2に係る訂正のうち、上記aに示す事項は、本件明細書等の記載に基づいて導き出されるものといえる。 d 次に、訂正事項1-2に係る訂正のうち、「前記作業制御部は、・・・インストールされた前記目的とする作業内容を実現するためのプログラムを実行することで、入力された前記作業制御信号に基づき前記目的とする作業内容を前記時系列手順にしたがって実行するための動作制御信号を出力し、」という事項は、本件明細書等の「・・・つまり作業制御装置3のコンピュータは、これらの処理ブロックにそれぞれ、目的とする作業内容を実現するためのプログラムを選択的にインストールして実行することで、入力された作業制御信号に基づき目的とする作業内容に対応した動作制御信号を出力する。・・・」(【0027】)という記載や、「・・・作業制御装置3は、作業内容の時系列手順に従って多軸動作制御装置4に動作制御信号を出力する。・・・」(【0015】)という記載に基づいて導き出されるものといえる。 e したがって、訂正事項1-2に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものといえる。 (ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1-2に係る訂正は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲を減縮し、明瞭でない記載を釈明するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項1-2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合する。 ウ 訂正事項1-3について (ア)訂正の目的について 訂正事項1-3に係る訂正は、訂正前の「所定のインターフェース規格」という事項について、「前記所定のインターフェース規格は、前記制御機能部どうしの間で前記制御信号を送受信するための接続バスの通信プロトコルよりも上位階層のプロトコルを用いたソフトウェア上の規格である」との記載を付加することで、より具体的に特定するものである。 したがって、訂正事項1-3に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)新規事項の有無について 訂正事項1-3に係る訂正は、本件明細書等の「・・・各装置ユニットどうしの間で信号送受する接続バス・・・」(【0020】)という記載や、「・・・本実施形態におけるインターフェース規格とは、接続バスの通信プロトコルよりも上位階層のプロトコルを用いたソフトウェア上の規格であり、・・・」(【0055】)という記載に基づいて導き出されるものである。 したがって、訂正事項1-3に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。 (ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1-3に係る訂正は、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項1-3に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合する。 (2)訂正事項2について ア 訂正事項2-1について (ア)訂正の目的について 訂正事項2-1に係る訂正は、訂正前の請求項3において「前記インターフェース規格は、」と記載されているのを、「前記所定のインターフェース規格は、」と記載することにより、前記された「所定のインターフェース規格」を示すことを明確にするものである。 したがって、訂正事項2-1に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 (イ)新規事項の有無について 訂正事項2-1に係る訂正は、前記された「所定のインターフェース規格」を示すことを明確にするものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。 したがって、訂正事項2-1に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項の規定に適合する。 (ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項2-1に係る訂正は、明瞭でない記載を釈明するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項2-1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合する。 イ 訂正事項2-2について (ア)訂正の目的について 訂正事項2-2に係る訂正は、訂正前の「その仕様内容が公開されている」という事項について、「その仕様内容がネットワーク通信若しくは記録媒体を介して入手可能なデータの形式、又は、頒布された冊子の形態で入手可能に公開されている」と記載することで、公開の態様をより具体的に特定するものである。 したがって、訂正事項2-2に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)新規事項の有無について 訂正事項2-2に係る訂正は、本件明細書等の「・・・この公開とは、ネットワーク通信や記録媒体を介して入手可能なデータの形式や、広く頒布された冊子等の形態で、製品マニュアルや仕様書の態様としてだれでも容易に入手可能な状態となっていることである。・・・」(【0056】)という記載に基づいて導き出されるものである。 したがって、訂正事項2-2に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合する。 (ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項2-2に係る訂正は、特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項2-2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合する。 (3)訂正事項3及び4について ア 訂正の目的について 訂正事項3に係る訂正は、訂正前の請求項4において「前記多軸動作制御部のインターフェース規格」と記載されているのを、「前記多軸動作制御部の前記所定のインターフェース規格」と記載することにより、前記された「所定のインターフェース規格」を示すことを明確にするものである。 同様に、訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項5において「前記多軸動作制御部のインターフェース規格」と記載されているのを、「前記多軸動作制御部の前記所定のインターフェース規格」と記載することにより、前記された「所定のインターフェース規格」を示すことを明確にするものである。 したがって、訂正事項3及び4に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について 訂正事項3及び4に係る訂正は、前記された「所定のインターフェース規格」を示すことを明確にするものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。 したがって、訂正事項3及び4に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項3及び4に係る訂正は、明瞭でない記載を釈明するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項3及び4に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合する。 3 小括 以上のとおり、訂正事項1~4に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号又は3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、令和4年12月23日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~5に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 複数種の制御機能部を接続して多軸制御機械を制御するコントローラであって、 前記複数種の制御機能部のそれぞれは、 当該制御機能部の制御機能に対応して規定された所定のインターフェース規格に準拠する制御信号を、接続する他の制御機能部又は外部機器から受信して前記制御機能を実行し、 前記複数種の制御機能部は、 前記多軸制御機械に行わせる作業内容を制御する作業制御部と、 前記作業制御部による作業内容を実現するために、前記多軸制御機械が備える複数の駆動軸それぞれの動作内容を制御する多軸動作制御部と、 前記多軸動作制御部による動作内容を実現するために、前記複数の駆動軸それぞれに対する給電駆動を制御する駆動制御部と、 を有し、 前記作業制御部は、 前記多軸制御機械に実行させる前記作業内容に適した機能を提供する第1の処理ブロックと、提供された前記機能を活用して前記作業内容を実現するために所定の時系列手順を規定したプログラムを実行する第2の処理ブロックと、当該作業制御部の制御機能に対応して規定された前記所定のインターフェース規格に準拠する作業制御信号であって前記多軸制御機械に実行させる作業の種類を含む前記作業制御信号を接続する前記外部機器から受信し、目的とする前記作業内容を実現するためのプログラムを、前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックにそれぞれ選択的にインストールすることで前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックの内容を書き換えることを可能とする作業制御インターフェースと、を有し、インストールされた前記目的とする作業内容を実現するためのプログラムを実行することで、入力された前記作業制御信号に基づき前記目的とする作業内容を前記時系列手順にしたがって実行するための動作制御信号を出力し、 前記多軸動作制御部は、 当該多軸動作制御部の制御機能に対応して規定された前記所定のインターフェース規格に準拠する前記動作制御信号を前記作業制御部から受信する動作制御インターフェースを有し、当該動作制御信号及び前記多軸制御機械の機構条件に基づいて前記作業内容を実現するための軌道、及び、前記多軸制御機械に前記軌道を通過させるための前記複数の駆動軸に対する指令を演算し、当該指令を含む駆動制御信号を前記駆動制御部に出力し、 前記駆動制御部は、 当該駆動制御部の制御機能に対応して規定された前記所定のインターフェース規格に準拠する前記駆動制御信号を前記多軸動作制御部から受信する駆動制御インターフェースを有し、前記駆動制御信号に基づいて前記複数の駆動軸それぞれに対する給電駆動を制御し、 前記所定のインターフェース規格は、 前記制御機能部どうしの間で前記制御信号を送受信するための接続バスの通信プロトコルよりも上位階層のプロトコルを用いたソフトウェア上の規格である ことを特徴とするコントローラ。 【請求項2】 前記作業制御部、前記多軸動作制御部、及び前記駆動制御部は、それぞれ独立した装置ユニットとして構成され、相互に信号送受信可能に接続されている、 ことを特徴とする請求項1記載のコントローラ。 【請求項3】 前記所定のインターフェース規格は、その仕様内容がネットワーク通信若しくは記録媒体を介して入手可能なデータの形式、又は、頒布された冊子の形態で入手可能に公開されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコントローラ。 【請求項4】 前記作業制御部は、 前記多軸動作制御部の前記所定のインターフェース規格に準拠したAPI群(Application Programming Interface群)を実行可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコントローラ。 【請求項5】 前記作業制御部は、 前記多軸動作制御部の前記所定のインターフェース規格に準拠したラダープログラムを実行可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコントローラ。」 (以下、本件特許の各請求項に係る発明を「本件発明1」などという。) 第4 当審で通知した取消理由(決定の予告)について 1 取消理由(決定の予告)の概要 本件訂正が請求される前の請求項1~5、すなわち、令和4年7月14日提出の訂正請求書により訂正された請求項1~5に係る特許に対して、当審が令和4年10月26日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。 (以下、令和4年7月14日提出の訂正請求書により訂正された本件特許の各発明を「先の訂正による本件発明1」などという。) (1)理由1(実施可能要件)について(取消理由通知(決定の予告)第4の2(1)) 先の訂正による本件発明1~5に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が以下の点で、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 すなわち、発明の詳細な説明の記載は、先の訂正による本件発明1における「インターフェース規格」に包含される、個別の規格の一つであるMECHATROLINK(登録商標)について、当業者が実施できると理解できるものでない。 したがって、発明の詳細な説明は、先の訂正による本件発明1~5を当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。 (2)理由2(進歩性)について(取消理由通知(決定の予告)第5) 先の訂正による本件発明1~4は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、先の訂正による本件発明5は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~3号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、先の訂正による本件発明1~5に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 甲第1号証:特開2008-229800号公報 甲第2号証:特表2008-543578号公報 甲第3号証:特開平6-187017号公報 2 取消理由(決定の予告)についての判断 上記第2のとおり、本件訂正は認められるところ、本件発明1~5に係る特許が、上記1で示す取消理由(決定の予告)によって取り消されるべきものであるかについて、申立人が提出した次の証拠をふまえて検討する。 甲第1号証:特開2008-229800号公報 甲第2号証:特表2008-543578号公報 甲第3号証:特開平6-187017号公報 甲第4号証:特開2006-313559号公報 甲第5号証:特開2015-13351号公報 (以下、各甲号証を、それぞれ「甲1」などという。) 参考資料1:MECHATROLINK-II 説明、 MECHATROLINK協会、2006年7月、 1~41ページ 参考資料2:MECHATROLINK-III プロトコル説明書、 MECHATROLINK協会、2021年6月、 1~150ページ (1)理由1(実施可能要件)について ア 通信プロトコルの階層について 本件発明1の「所定のインターフェース規格」は、「接続バスの通信プロトコルよりも上位階層のプロトコルを用いたソフトウェア上の規格」と特定されているところ、国際標準化機構(ISO)によって策定された、いわゆるOSI参照モデルによれば、通信プロトコルは7つの階層に分けて定義されていることを理解できる。 そして、各種の通信プロトコル規格での階層は、このOSI参照モデルの階層に対応付けて説明されること(例えば、参考資料1の7ページ参照。)が多いことから、OSI参照モデルの7つの階層は、当業者にとって標準的であり、自明な事項であると解するのが相当である。 イ 接続バスの階層について 接続バスのような、物理的な通信線で直接つながる機器どうしでの通信処理は、OSI参照モデルにおいては第1~2層に対応するといえるから、本件発明1の「接続バスの通信プロトコル」の階層は、OSI参照モデルの第1~2層に相当すると理解できる。 ウ MECHATROLINK(登録商標)の実施可能要件について (ア)上記アのとおり、OSI参照モデルが当業者にとって自明な事項であることを前提とすれば、本件発明1の「接続バスの通信プロトコルよりも上位階層のプロトコルを用いたソフトウェア上の規格」が、OSI参照モデルの第3~7層の規格を意味することを理解できるから、個別の通信プロトコルの規格が特定されていなくても、当業者であれば、本件発明1を実施できるといえる。 (イ)他方、本件明細書等の【0020】において、「接続バス」の通信規格として例示されるMECHATROLINK(登録商標)については、OSI参照モデルの第1~2層に加え、第7層を規定する規格であることが一般的な技術常識(参考資料1の7ページ)であり、MECHATROLINK(登録商標)に含まれる第7層よりも上位の階層の通信プロトコルは存在しない。 (ウ)ここで、改めて【0020】を参照すると、「・・・接続バスには、例えばRS232C、Ethernet(登録商標)、PCI Express(登録商標)、MECHATROLINK(登録商標)など一般的な通信規格に準拠したものを用いることで・・・」と記載されており、当該記載は、接続バスの通信規格の一つとして、第1~2層を含む通信規格であるMECHATROLINK(登録商標)を例示するものといえる。 (エ)そうすると、【0020】では、接続バス(第1~2層)が準拠する規格の具体例としてMECHATROLINK(登録商標)を記載しているにすぎず、MECHATROLINK(登録商標)が、第1~2層に加えて、第7層を規定する規格である(すなわち、物理信号の伝達(第1~2層)を規定するだけでなく、メッセージ通信など(第7層)も規定する規格である)としても、そのことを根拠として、本件発明1の「接続バスの通信プロトコル」に第7層が含まれると解することはできない。 (オ)したがって、【0020】にMECHATROLINK(登録商標)が例示されていても、本件発明1の「接続バスの通信プロトコル」が第1~2層に相当するという理解(上記イ)と整合するものであり、当業者が本件発明1を実施できることは明らかである。 よって、取消理由(決定の予告)で通知した理由1により、本件発明1~5に係る特許を取り消すことはできない。 (2)理由2(進歩性)について ア 甲1の記載及び甲1発明 (ア)甲1の記載事項 甲1には、以下の事項が記載されている。 「【0002】 近年、アームを搭載した作業用の移動ロボットとして、従来の産業用だけでなく、周囲に人が存在するような環境、すなわち公共の施設内や家庭内での作業を行うことを想定したロボットが開発されている。」 「【0013】 図1中左側の一点鎖線で示した部分は、本体に搭載される搭載制御コントローラ部105の概略構成を示すブロック図であり、ロボット稼働時の作業命令に対する動作処理の流れも示している。 【0014】 人から、あるいはプログラムとして与えられたロボットへの一連動作の作業命令201が入力されると、ロボット動作計画部202で各作業プロセスに必要となる動作手順に分解される。ここで、作業命令201は、パネル表示されたものから入力したり、音声で指示しても良く、また、入力装置は、ロボットに装着されていても、有線或いは無線で通信可能になっていても良い。動作手順・動作コマンド生成部203は、ロボット動作計画部202で作成された動作手順に従って、該動作手順を、順次、アーム101や移動機構部103など各駆動部に対する動作コマンドレベルの命令列に展開する。軌道・目標値生成部204は、生成された各動作コマンドに応じて、アーム101や移動車輪、カメラ頭部等の各駆動部、関節部に対する各目標軌道、および目標値を算出し、各関節や車輪の駆動に対する目標指令値を出力する。各軸モータ駆動サーボ制御部205は、軌道・目標値生成部204からの目標指令値に従って、各部が作業に応じた動作を実行するように制御する。」 「【図1】 [図:0001401603000001.jpg] 」 (イ)甲1に記載された技術的事項 甲1の上記記載から、以下の事項a~事項jを理解できる。(括弧内に、参照箇所を付記した。) 事項a:アーム搭載移動ロボット100本体に搭載された搭載制御コントローラ部105が、当該アーム搭載移動ロボット100を制御する(【0013】)。 事項b:搭載制御コントローラ部105は、ロボット動作計画部202、動作手順・動作コマンド生成部203、軌道・目標値生成部204及び各軸モータ駆動サーボ制御部205を接続して構成される(図1)。 事項c:ロボット動作計画部202は、ロボットへの一連動作の作業命令201を入力装置から受信して所定の機能を実行する。 具体的には、受信した作業命令201を一連動作の各作業プロセスに必要となる動作手順に分解して、動作手順・動作コマンド生成部203に出力する(【0014】)。 また、ロボット動作計画部202は、作業命令201を受信するから、そのためのインターフェースを有することは自明である。 事項d:動作手順・動作コマンド生成部203は、動作手順をロボット動作計画部202から受信して所定の機能を実行する。 具体的には、受信した動作手順を、順次、各駆動部に対する動作コマンドレベルの命令列に展開して、軌道・目標値生成部204に出力する(【0014】)。 事項e:軌道・目標値生成部204は、動作コマンドレベルの命令列を動作手順・動作コマンド生成部203から受信して所定の機能を実行する。 具体的には、受信した動作コマンドレベルの命令列に応じて、各駆動部、関節部に対する各目標軌道、及び目標値を算出し、各関節や車輪の駆動に対する目標指令値を各軸モータ駆動サーボ制御部205に出力する(【0014】)。 また、軌道・目標値生成部204は、動作コマンドレベルの命令列を受信するから、そのためのインターフェースを有することは自明である。 事項f:各軸モータ駆動サーボ制御部205は、目標指令値を軌道・目標値生成部204から受信して所定の機能を実行する。 具体的には、受信した目標指令値に従って、各駆動部、関節部が作業に応じた動作を実行するように制御する(【0014】)。 また、各軸モータ駆動サーボ制御部205は、目標指令値を受信するから、そのためのインターフェースを有することは自明である。 事項g:上記事項c~事項fをまとめると、ロボット動作計画部202、動作手順・動作コマンド生成部203、軌道・目標値生成部204、各軸モータ駆動サーボ制御部205のそれぞれは、それぞれの所定の機能を実行するために用いる作業命令201、動作手順、動作コマンドレベルの命令列、目標指令値を、ロボット動作計画部202、動作手順・動作コマンド生成部203、軌道・目標値生成部204、又は、入力装置から受信して所定の機能を実行することを理解できる。 そして、ロボット動作計画部202、動作手順・動作コマンド生成部203、軌道・目標値生成部204及び各軸モータ駆動サーボ制御部205を合わせて、「複数種の所定の機能部」ということができる。 事項h:上記事項c~事項dから、ロボット動作計画部202及び動作手順・動作コマンド生成部203は、アーム搭載移動ロボット100の一連動作を制御するといえる。 事項i:上記事項e及び事項hから、軌道・目標値生成部204は、ロボット動作計画部202及び動作手順・動作コマンド生成部203による一連動作の制御を実現するために、アーム搭載移動ロボット100が備える各駆動部、関節部に対する動作内容を制御するといえる。 事項j:上記事項f及び事項iから、各軸モータ駆動サーボ制御部205は、軌道・目標値生成部204による動作内容を実現するために、各駆動部、関節部が作業に応じた動作を実行するように制御するといえる。 (ウ)甲1発明 上記事項a~事項jを総合すると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認めることができる。 「複数種の所定の機能部(上記事項g)を接続して(上記事項b)アーム搭載移動ロボット100を制御する搭載制御コントローラ部105であって(上記事項a)、 複数種の所定の機能部のそれぞれは、 それぞれの所定の機能を実行するために用いる作業命令201、動作手順、動作コマンドレベルの命令列、目標指令値を、ロボット動作計画部202、動作手順・動作コマンド生成部203、軌道・目標値生成部204、又は、入力装置から受信して所定の機能を実行し(上記事項g)、 複数種の所定の機能部は、 アーム搭載移動ロボット100の一連動作を制御するロボット動作計画部202及び動作手順・動作コマンド生成部203(上記事項h)と、 ロボット動作計画部202及び動作手順・動作コマンド生成部203による一連動作の制御を実現するために、アーム搭載移動ロボット100が備える各駆動部、関節部に対する動作内容を制御する軌道・目標値生成部204と(上記事項i)、 軌道・目標値生成部204による動作内容を実現するために、各駆動部、関節部が作業に応じた動作を実行するように制御する各軸モータ駆動サーボ制御部205(上記事項j)と、 を有し、 ロボット動作計画部202及び動作手順・動作コマンド生成部203は、 アーム搭載移動ロボット100の一連動作の各作業プロセスに必要となる動作手順に分解するロボット動作計画部202(上記事項c)と、ロボット動作計画部202で作成された動作手順を、順次、各駆動部に対する動作コマンドレベルの命令列に展開する動作手順・動作コマンド生成部203(上記事項d)と、アーム搭載移動ロボット100への一連動作の作業命令201を入力装置から受信するインターフェース(上記事項c)と、を有し、各駆動部に対する動作コマンドレベルの命令列に展開して出力し(上記事項d)、 軌道・目標値生成部204は、動作手順・動作コマンド生成部203で生成された各動作コマンドレベルの命令列を受信するインターフェースを有し、各駆動部、関節部に対する各目標軌道、及び目標値を算出し、各関節や車輪の駆動に対する目標指令値を各軸モータ駆動サーボ制御部205に出力し(上記事項e)、 各軸モータ駆動サーボ制御部205は、軌道・目標値生成部204からの目標指令値を受信するインターフェースを有し、各駆動部、関節部が作業に応じた動作を実行するように制御する(上記事項f)、 搭載制御コントローラ部105。」 イ 甲4の記載及び甲4記載の技術的事項 (ア)甲4の記載事項 甲4には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、数値制御工作機械側で、CAD(コンピュータ支援製図、本明細書では、単に「CAD」と言う)プログラムやCAM(コンピュータ支援製造、本明細書では、単に「CAM」と言う)プログラム等の工作機械用加工プログラム作成支援プログラムを持たなくても、各数値制御工作機械側でそうした工作機械用加工プログラム作成支援プログラムを仮想的に実行して、所定の加工を行うことの出来る、数値制御工作機械設備の運転方法に関する。」 「【0023】 主制御部22には、バス線23を介して前述の通信回線19の一つが接続される通信制御部25が接続しており、更に、バス線23にはアプリケーションプログラムメモリ26、複数の拡張用スロット27が接続されている。アプリケーションプログラムメモリ26には、旋盤用CAMプログラムPRO1、マシニングセンタ用CAMプログラムPRO2、レーザ加工機用CAMプログラムPRO3、三次元CADプログラム1PRO4、二次元CADプログラム1PRO5、前述の三次元CADプログラム1とは構成の異なる三次元CADプログラム2PRO6、前述の二次元CADプログラム1とは構成の異なる二次元CADプログラム2PRO7など、数値制御工作機械設備1を構成する各数値制御工作機械2で実行する可能性のある全ての工作機械用加工プログラム作成支援プログラムMRPが格納されている。この工作機械用加工プログラム作成支援プログラムMPRとは、各数値制御工作機械2で実行可能な加工プログラムを作成するために必要とされる、CAD、CAMプログラムなどの全ての支援プログラムを意味するものである。」 「【0025】 数値制御工作機械設備1は、以上のような構成を有するので、数値制御工作機械設備1中の、いずれかの数値制御工作機械2、例えば、「工作機械A」で、加工プログラムを作成する必要が生じた場合には、オペレータは、「工作機械A」の数値制御装置7のキーボード13を操作して、支援プログラム分配演算装置21に対して、オペレータがこれから加工プログラムを作成するに当たって使用、即ち、実行したいと思っている支援プログラムとしてのCADプログラムを選択するプログラム選択指令C1を入力する。」 「【0027】 主制御部22は、当該入力されたプログラム選択指令C1に格納された機械識別コードから、当該プログラム選択指令C1が出力された数値制御工作機械2を、支援プログラム分配演算装置21に接続された全ての数値制御工作機械2の中から判別し、アプリケーションプログラムメモリ26から当該選択指令C1で指示されたCADプログラムを選択し、当該プログラム選択指令C1が出力された数値制御工作機械2に対応して設けられているアプリケーションプログラム演算部29に選択的に分配インストールする。」 「【0033】 こうして、工場3の「工作機械A」の数値制御装置7のディスプレイ15を見ながら、支援プログラム分配演算装置21の「工作機械A」に対応するアプリケーションプログラム演算部29(B)で、三次元CADプログラム1PRO4を実行し、当該「工作機械A」で加工すべきワークの図面が作成される。・・・」 (イ) 甲4記載の技術的事項 上記(ア)から、甲4には次の技術的事項(以下「甲4記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 「工作機械用加工プログラム作成支援プログラムを仮想的に実行することができる数値制御工作機械設備の運転方法に関して、いずれかの数値制御工作機械2で、加工プログラムを作成する必要が生じた場合には、主制御部22は、アプリケーションプログラムメモリ26からCADプログラムを選択し、当該数値制御工作機械2に対応して設けられているアプリケーションプログラム演算部29に選択的に分配インストールすること。」 ウ 甲5の記載及び甲5記載の技術的事項 (ア)甲5の記載事項 甲5には、以下の事項が記載されている。 「【0018】 ファイル提供装置300は、ロボット100の動作を定義するモーションファイルを複数格納する外部格納装置の一例である。通信端末200は、ファイル提供装置300から通信ネットワーク10を介して少なくとも1つのモーションファイルを受信し、受信したモーションファイルに従って制御命令をロボット100に出力する。ロボット100は、通信端末200からの制御命令に従ってモーションファイルに従った動作をする。」 「【0021】 本実施形態によれば、ファイル提供装置300に格納されている複数のモーションファイルの中から選択されたモーションファイルに従ってロボット100を動作させることができる。ユーザは、ロボット100に実行させたい動作に応じて複数のモーションファイルの中から適宜少なくとも1つのモーションファイルを選択できる。モーションファイルを変更することで、ロボット100は、異なる動作を実行できる。よって、汎用性の高いロボット100を提供することができる。」 「【0026】 アクチュエータ駆動部112は、入出力部130を介して通信端末200から制御命令を取得し、取得した制御命令に従ってアクチュエータ120を駆動させる。アクチュエータ駆動部112は、ロボット100を制御するロボット制御部の一例である。」 「【0033】 命令取得部207は、モーションファイル受信部204および命令生成部206を含む。モーションファイル受信部204は、通信ネットワーク10を介して、選択部202が選択した少なくとも1つのモーションファイルを受信する。命令生成部206は、モーションファイル受信部204が受信した少なくとも1つのモーションファイルから、少なくとも1つのモーションファイルで定義される動作をロボット100に実行させるための制御命令を生成する。命令生成部206は、モーションファイルからロボット100の駆動機構の特性に応じてアクチュエータ120の回転量などを示す制御命令を生成するインタプリンタとして機能する。 【0034】 入出力部208は、USBケーブルなどの有線またはBluetooth(登録商標)などの無線でロボット100と通信する。入出力部208は、ロボット100の入出力部130を介してアクチュエータ駆動部112に対して、命令生成部206が生成した制御命令を出力する。」 「【0051】 図4は、モーションファイルの一例を示す。モーションファイルは、ロボット100に実行させるための動作を示す。図4のモーションファイルにおいて、行番号「0000」は、ロボット100が予め定められた位置を示すホーム位置に移動する動作を示す。行番号「0001」は、ロボット100が瞑想の姿勢をして、ゆっくり移動する動作を示す。行番号「0002」は、タッチセンサ124がオフなら、行番号「0004」に示す「jump1」に遷移することを示す。行番号「0003」は、タッチセンサ124がオンなら、行番号「0012」に示す「banzai」に遷移することを示す。 【0052】 行番号「0005」は、ロボット100が「こんにちは」という音声を出力する動作を示す。行番号「0006」は、モーションファイルで定義されている表示ファイル群の中から1ページ目の表示ファイルを、通信端末200が備える表示部またはロボット100が備える表示部に表示させる動作を示す。行番号「0007」は、ロボット100が右腕を60度移動させる動作を示す。行番号「0008」は、ロボット100が左腕を30度移動させる動作を示す。行番号「0009」は、ロボット100が首を水平に45度回転させる動作を示す。行番号「0010」は、ロボット100が首を垂直に?15度傾ける動作を示す。行番号「0011」は、モーションファイルによるロボット100の動作を終了することを示す。 【0053】 行番号「0013」は、ロボット100が万歳の姿勢をして、早く移動する動作を示す。行番号「0014」は、ロボット100が予め定められた「微笑1」の表情をする動作を示す。行番号「0015」は、ロボット100が右目を閉じる動作を示す。行番号「0016」は、ロボット100が現在の状態のまま1秒待機する動作を示す。行番号「0017」は、ロボット100が右目を開ける動作を示す。行番号「0018」は、サブルーチンリターンを示す。」 (イ)甲5記載の技術的事項 上記(ア)から、甲5には次の技術的事項(以下「甲5記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 「通信端末200は、ロボット100に実行させるための動作を示すモーションファイルを選択して受信し、受信したモーションファイルから制御命令を生成し、制御命令をアクチュエータ駆動部112に対して出力することで、ロボット100に異なる動作を実行させること。」 エ 本件発明1と甲1発明の対比 本件発明1と甲1発明の対比は、以下のとおりである。(なお、下線は、相違する部分の理解を容易とするために、当審で付したものである。) (ア)甲1発明の「複数種の所定の機能部を接続」することは、本件発明1の「複数種の制御機能部を接続」することに相当し、同様に、「アーム搭載移動ロボット100」は「多軸制御機械」に、「搭載制御コントローラ部105」は「コントローラ」に、それぞれ相当する。 (イ)甲1発明の「それぞれの所定の機能」は、ロボット動作計画部202、動作手順・動作コマンド生成部203、軌道・目標値生成部204及び各軸モータ駆動サーボ制御部205(複数種の制御機能部)のそれぞれが、ロボットを制御するために実行する機能であるから、本件発明1の「制御機能部の制御機能」に相当する。 また、甲1発明の「それぞれの所定の機能を実行するために用いる作業命令201、動作手順、動作コマンドレベルの命令列、目標指令値」は、ロボット動作計画部202、動作手順・動作コマンド生成部203、軌道・目標値生成部204及び各軸モータ駆動サーボ制御部205(複数種の制御機能部)のそれぞれが、所定の機能(制御機能)を実行するために、所定の機能に対応して規定されるものであるところ、本件発明1の「当該制御機能部の制御機能に対応して規定された所定のインターフェース規格に準拠する制御信号」と対比すると、「当該制御機能部の制御機能に対応して規定された制御信号」という点で一致する。 また、甲1発明において、当該制御信号を「ロボット動作計画部202、動作手順・動作コマンド生成部203、軌道・目標値生成部204、又は、入力装置から受信」することは、本件発明1において、制御信号を「接続する他の制御機能部又は外部機器から受信」することに相当し、同様に、「所定の機能を実行」することは「前記制御処理を実行」することに相当する。 (ウ)甲1発明の「アーム搭載移動ロボット100の一連動作」は、本件発明1の「前記多軸制御機械に行わせる作業内容」に相当し、同様に、「ロボット動作計画部202及び動作手順・動作コマンド生成部203」は「作業制御部」に相当する。 また、甲1発明において「ロボット動作計画部202及び動作手順・動作コマンド生成部203による一連動作の制御を実現」することは、本件発明1において「前記作業制御部による作業内容を実現」することに相当し、同様に、「アーム搭載移動ロボット100が備える各駆動部、関節部」は「前記多軸制御機械が備える複数の駆動軸」に、「軌道・目標値生成部204」は「多軸動作制御部」に、それぞれ相当する。 また、甲1発明において「軌道・目標値生成部204による動作内容を実現」することは、本件発明1において「前記多軸動作制御部による動作内容を実現」することに相当し、同様に、「各駆動部、関節部が作業に応じた動作を実行するように制御する」ことは「前記複数の駆動軸それぞれに対する給電駆動を制御」することに、「各軸モータ駆動サーボ制御部205」は「駆動制御部」に、それぞれ相当する。 (エ)a 甲1発明の「アーム搭載移動ロボット100の一連動作の各作業プロセスに必要となる動作手順」は、本件発明1の「前記多軸制御機械に実行させる前記作業内容に適した機能」に相当し、同様に、「分解する」ことは「提供する」ことに、「ロボット動作計画部202」は「第1の処理ブロック」に、それぞれ相当する。 b また、甲1発明の「ロボット動作計画部202で作成された動作手順」は、本件発明1の「提供された前記機能」に相当し、同様に、「順次、各駆動部に対する動作コマンドレベルの命令列に展開する」ことは「活用して前記作業内容を実現するために所定の時系列手順を規定したプログラムを実行」することに、「動作手順・動作コマンド生成部203」は「第2の処理ブロック」に、それぞれ相当する。 c また、甲1発明の「アーム搭載移動ロボット100への一連動作の作業命令201」は、ロボット動作計画部202及び動作手順・動作コマンド生成部203の機能に対応して作成され、それらの機能を実行するための信号であって、アーム搭載移動ロボット100に実行させる動作を含む信号であることは明らかであるから、本件発明1の「当該作業制御部の制御機能に対応して規定された前記所定のインターフェース規格に準拠する作業制御信号であって前記多軸制御機械に実行させる作業の種類を含む前記作業制御信号」と対比すると、「当該作業制御部の制御機能に対応して規定された作業制御信号であって前記多軸制御機械に実行させる作業の種類を含む前記作業制御信号」という点で一致する。 d また、甲1発明の「入力装置から受信するインターフェース」と、本件発明1の「接続する前記外部機器から受信し、目的とする前記作業内容を実現するためのプログラムを、前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックにそれぞれ選択的にインストールすることで前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックの内容を書き換えることを可能とする作業制御インターフェース」を対比すると、「接続する前記外部機器から受信する、作業制御インターフェース」という点で一致する。 e また、甲1発明の「各駆動部に対する動作コマンドレベルの命令列に展開して出力」することは、入力装置から入力された一連動作の作業命令201に基づく制御信号を出力することであるから、本件発明1の「インストールされた前記目的とする作業内容を実現するためのプログラムを実行することで、入力された前記作業制御信号に基づき前記目的とする作業内容を前記時系列手順にしたがって実行するための動作制御信号を出力」することと対比すると、「入力された前記作業制御信号に基づき前記目的とする作業内容を前記時系列手順にしたがって実行するための動作制御信号を出力」することに相当する。 (オ)甲1発明の「軌道・目標値生成部204」は、本件発明1の「多軸動作制御部」に相当する(上記(ウ))ところ、甲1発明の「動作手順・動作コマンド生成部203で生成された各動作コマンドレベルの命令列」は、軌道・目標値生成部204の機能に対応して生成される制御信号であることは明らかであるから、本件発明1の「当該多軸動作制御部の制御機能に対応して規定された前記所定のインターフェース規格に準拠する前記動作制御信号」と対比すると、「当該多軸動作制御部の制御機能に対応して規定された前記動作制御信号」という点で一致する。 また、甲1発明において「受信するインターフェースを有」することが、本件発明1において「前記作業制御部から受信する動作制御インターフェースを有」することに相当し、同様に、「各駆動部、関節部に対する各目標軌道、及び目標値を算出」することが「当該動作制御信号及び前記多軸制御機械の機構条件に基づいて前記作業内容を実現するための軌道、及び、前記多軸制御機械に前記軌道を通過させるための前記複数の駆動軸に対する指令を演算」することに、「各関節や車輪の駆動に対する目標指令値を各軸モータ駆動サーボ制御部205に出力」することが「当該指令を含む駆動制御信号を前記駆動制御部に出力」することに、それぞれ相当する。 (カ)甲1発明の「各軸モータ駆動サーボ制御部205」は、本件発明1の「駆動制御部」に相当する(上記(ウ))ところ、甲1発明の「軌道・目標値生成部204からの目標指令値」は、「各軸モータ駆動サーボ制御部205」の機能に対応して生成される制御信号であることは明らかであるから、本件発明1の「当該駆動制御部の制御機能に対応して規定された前記所定のインターフェース規格に準拠する前記駆動制御信号」と対比すると、「当該駆動制御部の制御機能に対応して規定された前記駆動制御信号」という点で一致する。 また、甲1発明において「受信するインターフェースを有」することが、本件発明1において「前記多軸動作制御部から受信する駆動制御インターフェースを有」することに、「各駆動部、関節部が作業に応じた動作を実行するように制御」することが「前記駆動制御信号に基づいて前記複数の駆動軸それぞれに対する給電駆動を制御」することに、それぞれ相当する。 オ 一致点及び相違点 したがって、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「複数種の制御機能部を接続して多軸制御機械を制御するコントローラであって、 前記複数種の制御機能部のそれぞれは、 当該制御機能部の制御機能に対応して規定された制御信号を、接続する他の制御機能部又は外部機器から受信して前記制御機能を実行し、 前記複数種の制御機能部は、 前記多軸制御機械に行わせる作業内容を制御する作業制御部と、 前記作業制御部による作業内容を実現するために、前記多軸制御機械が備える複数の駆動軸それぞれの動作内容を制御する多軸動作制御部と、 前記多軸動作制御部による動作内容を実現するために、前記複数の駆動軸それぞれに対する給電駆動を制御する駆動制御部と、 を有し、 前記作業制御部は、 前記多軸制御機械に実行させる前記作業内容に適した機能を提供する第1の処理ブロックと、提供された前記機能を活用して前記作業内容を実現するために所定の時系列手順を規定したプログラムを実行する第2の処理ブロックと、当該作業制御部の制御機能に対応して規定された作業制御信号であって前記多軸制御機械に実行させる作業の種類を含む前記作業制御信号を接続する前記外部機器から受信する、作業制御インターフェースと、を有し、入力された前記作業制御信号に基づき前記目的とする作業内容を前記時系列手順にしたがって実行するための動作制御信号を出力し、 前記多軸動作制御部は、 当該多軸動作制御部の制御機能に対応して規定された前記動作制御信号を前記作業制御部から受信する動作制御インターフェースを有し、当該動作制御信号及び前記多軸制御機械の機構条件に基づいて前記作業内容を実現するための軌道、及び、前記多軸制御機械に前記軌道を通過させるための前記複数の駆動軸に対する指令を演算し、当該指令を含む駆動制御信号を前記駆動制御部に出力し、 前記駆動制御部は、 当該駆動制御部の制御機能に対応して規定された前記駆動制御信号を前記多軸動作制御部から受信する駆動制御インターフェースを有し、前記駆動制御信号に基づいて前記複数の駆動軸それぞれに対する給電駆動を制御する、 コントローラ。」 [相違点1] 多軸制御機械に行わせる作業内容を制御する作業制御部について、本件発明1は、一つの「作業制御部」であるのに対して、甲1発明は、「ロボット動作計画部202」及び「動作手順・動作コマンド生成部203」である点。 [相違点2] 本件発明1の作業制御部は、「目的とする前記作業内容を実現するためのプログラムを、前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックにそれぞれ選択的にインストールすることで前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックの内容を書き換えることを可能とする」作業制御インターフェースを有し、さらに、「インストールされた前記目的とする作業内容を実現するためのプログラムを実行することで、」動作制御信号を出力するものであるのに対して、甲1発明の「ロボット動作計画部202」及び「動作手順・動作コマンド生成部203」は、インターフェースを有してはいるものの、プログラムをインストールすることで処理ブロックの内容を書き換えることを可能とするかどうか不明であり、さらに、インストールされたプログラムを実行するかどうか不明な点。 [相違点3] 複数種の制御機能部における制御信号(作業制御信号、動作制御信号、駆動制御信号)について、本件発明1は、「前記制御機能部どうしの間で前記制御信号を送受信するための接続バスの通信プロトコルよりも上位階層のプロトコルを用いたソフトウェア上の規格」である「所定のインターフェース規格」に準拠するものであるのに対して、甲1発明は、当該「所定のインターフェース規格」に準拠するものかどうか不明な点。 カ 相違点2の判断 (ア)事案に鑑みて、相違点2を検討すると、相違点2に係る本件発明1の構成において「・・・プログラムを・・・インストールすることで・・・処理ブロックの内容を書き換えることを可能とする作業制御インターフェース」という記載は、技術常識をふまえると、作業制御インターフェースを介してプログラムをインストールすることの結果として、第1の処理ブロック及び第2の処理ブロックの内容を書き換えることを可能とする意味であると理解できる(上記第2の2(1)イ(イ)a)。 (イ)そして、相違点2に係る「目的とする前記作業内容を実現するためのプログラムを、前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックにそれぞれ選択的にインストールすることで前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックの内容を書き換えることを可能とする」という構成は、以下に示すように、甲4~5には示されていない。 (ウ)甲4記載の技術的事項は、「工作機械用加工プログラム作成支援プログラムを仮想的に実行することができる数値制御工作機械設備の運転方法に関して、いずれかの数値制御工作機械2で、加工プログラムを作成する必要が生じた場合には、主制御部22は、アプリケーションプログラムメモリ26からCADプログラムを選択し、当該数値制御工作機械2に対応して設けられているアプリケーションプログラム演算部29に選択的に分配インストールすること。」(上記第4の2(2)イ(イ))というものであるところ、アプリケーションプログラム演算部29にインストールされるのは、CADプログラム、すなわち、数値制御工作機械2で加工するワークの図面を作成するためのプログラムである(甲4の【0033】、上記第4の2(2)イ(ア))。 これに対して、本件発明1の相違点2に係る「目的とする前記作業内容を実現するためのプログラム」は、当該プログラムを実行することで、入力された作業制御信号に基づき目的とする作業内容を時系列手順にしたがって実行するための動作制御信号を出力するものであるから、甲4記載の技術的事項のCADプログラムが、相違点2に係る「目的とする前記作業内容を実現するためのプログラム」に相当するものでないことは明らかである。 また、甲4には、相違点2に係る「前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロック」のような、相互に関連する2つの処理ブロックにプログラムをインストールすることについても、記載や示唆はない。 したがって、甲4には、相違点2に係る上記構成が示されているとはいえない。 (エ)次に、甲5記載の技術的事項は、「通信端末200は、ロボット100に実行させるための動作を示すモーションファイルを選択して受信し、受信したモーションファイルから制御命令を生成し、制御命令をアクチュエータ駆動部112に対して出力することで、ロボット100に異なる動作を実行させること。」(上記第4の2(2)ウ(イ))というものであるところ、当該「モーションファイル」は、具体的には「ロボット100に実行させるための動作を示す」(甲5の【0051】、上記第4の2(2)ウ(ア))ものであって、その「モーションファイル」によりロボット100が異なる動作を実行するから、本件発明1の「前記多軸制御機械に実行させる作業の種類を含む前記作業制御信号」に相当するものというほかなく、当該「モーションファイル」は、相違点2に係る「目的とする前記作業内容を実現するためのプログラム」に相当するとはいえない。 また、甲5には、相違点2に係る「前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロック」のような、相互に関連する2つの処理ブロックにプログラムをインストールすることについても、記載や示唆はない。 したがって、甲5には、相違点2に係る上記構成が示されているとはいえない。 (オ)そして、相違点2に係る上記構成は、申立人が提出した甲2~3及び参考資料1~2のいずれにも示されていない。 (カ)したがって、上記相違点2に係る上記構成は、甲1発明、並びに、甲2~5及び参考資料1~2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到できたものとはいえない。 キ 理由2(進歩性)の小括 以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、並びに、甲2~5及び参考資料1~2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、本件発明2~5は、本件発明1を直接又は間接に引用する発明であって、本件発明1の発明特定事項を全て含むから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2~5は、甲1発明、並びに、甲2~5及び参考資料1~2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 よって、取消理由(決定の予告)で通知した理由2により、本件発明1~5に係る特許を取り消すことはできない。 第5 取消理由通知(決定の予告)に採用しなかった特許異議申立理由について 1 特許異議申立理由の概要 本件特許異議の申立てにおいて、申立人が主張した特許異議申立理由のうち、令和4年10月26日付け取消理由通知(決定の予告)に採用しなかった理由の概要は、次のとおりである。 (1)サポート要件に係る理由 訂正前の本件発明1~5に係る特許は、特許請求の範囲の記載が以下の点で、特許法36条6項1号に規定する要件(サポート要件)を満たしていない特許出願に対してされたものである。(特許異議申立書(以下「申立書」という。)の26~28ページ) ア サポート要件の1(所定のインターフェース規格の規定) 訂正前の本件発明1は、「所定のインターフェース規格」と規定されているが、訂正前の本件発明1には、発明の詳細な説明に具体的に記載された「接続バスの通信プロトコルよりも上位階層のプロトコルを用いたソフトウェア上の規格」以外の「通信プロトコルに対応して規定される規格」が包含されている。 したがって、訂正前の本件発明1~5は、発明の詳細な説明に記載された課題解決手段が反映されていないため、発明の詳細に記載したものではない。 イ サポート要件の2(所定のインターフェース規格の公開) 訂正前の本件発明1は、「所定のインターフェース規格」と規定されているが、発明の詳細な説明に記載された「その仕様内容が公開されているもの」以外に、「その仕様内容が公開されていないもの」が包含されており、その場合、課題が解決できない。 したがって、訂正前の本件発明1~2、4~5(ただし、請求項4~5については、請求項1~2を引用するものに限る。)は、発明の詳細な説明に記載された課題解決手段が反映されていないため、発明の詳細に記載したものではない。 (2)明確性要件に係る理由 訂正前の本件発明3~5に係る特許は、特許請求の範囲の記載が以下の点で、特許法36条6項2号に規定する要件(明確性要件)を満たしていない特許出願に対してされたものである。(申立書の28~30ページ) ア 明確性要件の1 訂正前の本件発明3において、「前記インターフェース規格」と記載されているが、「インターフェース規格」が前記されておらず、不明確であるから、訂正前の本件発明3~5は明確でない。 イ 明確性要件の2 訂正前の本件発明3において、「その仕様内容が公開されている」という記載の「公開」の内容が明確でないから、訂正前の本件発明3~5は明確でない。 ウ 明確性要件の3 訂正前の本件発明1~2を引用する訂正前の本件発明4において、「前記多軸動作制御部のインターフェース規格」と記載されているが、「多軸動作制御部のインターフェース規格」が前記されていないから、不明確である。 エ 明確性要件の4 訂正前の本件発明1~2を引用する訂正前の本件発明5において、「前記多軸動作制御部のインターフェース規格」と記載されているが、「多軸動作制御部のインターフェース規格」が前記されていないから、不明確である。 2 上記1の特許異議申立理由に対する判断 本件発明1~5(上記第3)に係る特許が、上記1の特許異議申立理由によって、取り消されるべきものであるか、検討する。 (1)サポート要件に係る理由について ア サポート要件の1(所定のインターフェース規格の規定)について 本件発明1には、「前記所定のインターフェース規格は、前記制御機能部どうしの間で前記制御信号を送受信するための接続バスの通信プロトコルよりも上位階層のプロトコルを用いたソフトウェア上の規格である」と記載されているから、本件発明1は、本件明細書等の【0055】において本件発明の課題解決手段として具体的に記載された「所定のインターフェース規格」が「接続バスの通信プロトコルよりも上位階層のプロトコルを用いたソフトウェア上の規格」である場合に特定されている。 したがって、本件発明1~5には、発明の詳細な説明に記載された課題解決手段が反映されており、サポート要件の1に係る特許異議申立理由によって、本件発明1~5に係る特許を取り消すことはできない。 イ サポート要件の2(所定のインターフェース規格の公開)について 本件発明1の「所定のインターフェース規格」は、「規格」という用語の意味に鑑みれば、複数の機種の間で標準化されたインターフェースである、と理解できるから、そのような「所定のインターフェース規格」に準拠する制御信号を送受信するのであれば、装置ユニットの組み合わせを変更することが可能となって互換性を向上できると理解できる。 そうすると、「所定のインターフェース規格」に準拠する制御信号を送受信するという構成を有するのであれば、「所定のインターフェース規格」が公開されていなくとも、互換性を一定程度高められると解するのが自然であり、「互換性を高めるとともに汎用性を向上させたコントローラ・・・を提供すること」という課題が解決されるというべきである。 したがって、本件発明1~2、4~5には、発明の詳細な説明に記載された課題解決手段が反映されており、サポート要件の2に係る特許異議申立理由によって、本件発明1~2、4~5に係る特許を取り消すことはできない。 (2)明確性要件に係る理由について ア 明確性要件の1について 本件発明3は「前記所定のインターフェース規格」と記載され、「所定のインターフェース規格」は前記されているから、「前記」の内容は明確である。 したがって、本件発明3~5は明確であり、明確性要件の1に係る特許異議申立理由によって、本件発明3~5に係る特許を取り消すことはできない。 イ 明確性要件の2について 本件発明3は「その仕様内容がネットワーク通信若しくは記録媒体を介して入手可能なデータの形式、又は、頒布された冊子の形態で入手可能に公開されている」と記載されている。 この記載から、公開の態様が「ネットワーク通信若しくは記録媒体を介したデータ」又は「頒布された冊子」であることは明確であり、且つ、公開の範囲は「データを入手可能な者」及び「冊子を入手可能な者」であることが明確である。 したがって、本件発明3~5は明確であり、明確性要件の2に係る特許異議申立理由によって、本件発明3~5に係る特許を取り消すことはできない。 ウ 明確性要件の3について 本件発明4は「前記多軸動作制御部の前記所定のインターフェース規格」と記載され、「所定のインターフェース規格」は前記されているから、「前記」の内容は明確である。 したがって、本件発明4は明確であり、明確性要件の3に係る特許異議申立理由によって、本件発明4に係る特許を取り消すことはできない。 エ 明確性要件の4について 本件発明5は「前記多軸動作制御部の前記所定のインターフェース規格」と記載され、「所定のインターフェース規格」は前記されているから、「前記」の内容は明確である。 したがって、本件発明5は明確であり、明確性要件の4に係る特許異議申立理由によって、本件発明5に係る特許を取り消すことはできない。 3 小括 上記2のとおり、本件特許異議の申立てにおいて、申立人が主張した特許異議申立理由であって、令和4年10月26日付け取消理由通知(決定の予告)に採用しなかった理由によって、本件発明1~5に係る特許を取り消すことはできない。 第6 申立人の意見書における主張について 1 申立人の主張の概要 申立人は、令和5年2月10日提出の意見書(以下「意見書」という。)において、次の(1)~(11)の主張をしている。 (1)主張1(訂正事項1-2に係る訂正の新規事項の追加) ア 本件明細書等には、訂正事項1-2で特定される「作業制御インターフェース」が、「目的とする作業内容を実現するためのプログラムを選択的にインストールする」ことで、「アプリケーション実行13の処理ブロックとモーションプログラム実行14の処理ブロックの内容を書き換える」ことは記載されていない。(意見書4~6ページ) イ 本件明細書等の【0027】の「・・・これらの処理ブロックにそれぞれ、目的とする作業内容を実現するためのプログラムを選択的にインストールして実行することで、・・・」との記載は、プログラムを選択すること(選択する対象がプログラムであること)を示しており、第1の処理ブロック及び第2の処理ブロックにそれぞれ選択的にインストールすること(選択する対象が処理ブロックであること)を示していない。 したがって、本件明細書等には、訂正事項1-2で特定される「プログラムを、前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックにそれぞれ選択的にインストールすること」(選択する対象が処理ブロックであること)は記載されていない。(意見書7~8ページ) ウ 上記ア~イから、訂正事項1-2に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合しない。 (2)主張2(訂正事項1-2に係る訂正の特許請求の範囲の変更) 訂正事項1-2に係る訂正では、作業制御インターフェースが可能とする対象について、訂正前の「プログラムを選択的にインストール」することから「前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックの内容を書き換えること」に変更されている。 したがって、訂正事項1-2に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合しない。(意見書8~9ページ) (3)主張3(訂正事項1-3に係る訂正の新規事項の追加) 訂正事項1-3に係る訂正を含む本件発明1は、各制御機能部において使用するOSI参照モデルにおける階層の異同につき何ら限定されていないため、各制御機能部において使用するOSI参照モデルの階層がそれぞれ異なる態様を包含している。 そして、各制御機能部において使用するOSI参照モデルの階層がそれぞれ異なる態様では、通信における互換性が担保できない。そうすると、当該態様は、本件特許の課題である「互換性を高める」ことができない態様に該当するため、本件明細書等に記載した事項の範囲内とはいえない。 したがって、訂正事項1-3に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合しない。(意見書9~11ページ) (4)主張4(サポート要件) 上記(1)で示すように、訂正事項1-2に係る訂正は、新規事項の追加に該当するから、当該訂正を含む本件発明1~5は、発明の詳細な説明に記載されたものでない。 したがって、本件発明1~5に係る特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(意見書11ページ) ) (5)主張5(明確性) 本件発明1の「前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックの内容を書き換える」との発明特定事項について、「前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックの内容」の「何を」「どのように」書き換えているのか明らかでないため、本件発明1~5は明確でない。 したがって、本件発明1~5に係る特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(意見書11~13ページ) (6)主張6(実施可能要件) 本件明細書等の【0023】~【0025】、【0027】及び【0057】には、本件発明1の「前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックの内容を書き換え」ることに関する記載が、極めて概念的になされているのみであるため、「前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックの内容」の何をどのように書き換えればよいのか、当業者が発明の本件明細書等と本件特許の出願時の技術常識とに基づいても本件発明1~5を実施することはできない。 したがって、本件発明1~5に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(意見書13~14ページ) (7)主張7(明確性) 本件発明1の「前記作業制御部は、前記多軸制御機械に実行させる前記作業内容に適した機能を適用する第1の処理ブロック」との発明特定事項について、「作業内容に適した機能」を提供するためには、ソフトウェア的な要素だけでなく、ハードウェア的な要素が必要であるところ、「前記作業内容に適した機能」の範囲も態様も明らかでないため、本件発明1~5は明確でない。 したがって、本件発明1~5に係る特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(意見書14~15ページ) (8)主張8(実施可能要件) 本件明細書等の【0023】~【0024】には、本件発明1の「前記作業制御部は、前記多軸制御機械に実行させる前記作業内容に適した機能を適用する第1の処理ブロック」に関する記載が、極めて概念的になされているのみであるため、「第1の処理ブロック」をどのように構成すれば「前記多軸制御機械に実行させる前記作業内容に適した機能を提供する」のか、当業者が発明の本件明細書等と本件特許の出願時の技術常識とに基づいても本件発明1~5を実施することはできない。 したがって、本件発明1~5に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(意見書16~17ページ) (9)主張9(実施可能要件) ア 参考資料1~2を鑑みても、MECHATROLINK(登録商標)は、OSI参照モデルの第7層に対応する通信プロトコルを規定せずに第1~2層のみに対応する通信プロトコルを規定して、「接続バス」として使用できるものになっていない。 イ 本件明細書等の【0020】の記載を、「接続バス」のOSI参照モデルの第1~2層に対応する通信プロトコルが含まれる通信規格が例示されているにすぎないと理解することは、MECHATROLINK(登録商標)について、第7層まで含めて規定するという一般的な技術常識を超えた理解である。 ウ 上記ア~イから、「接続バス」として、OSI参照モデルの「第7層」まで含めて規定するMECHATROLINK(登録商標)を採用する場合、接続バスの通信プロトコルの階層が、OSI参照モデルの第1~2層に相当するという内容と整合せず、さらに、「接続バス」として、OSI参照モデルの「第7層」まで含めて規定するMECHATROLINK(登録商標)を採用する場合、本件発明1の「接続バスの通信プロトコルよりも上位階層のプロトコル」は、OSI参照モデルにおける第7層よりも上位の階層を示すこととなり、本件発明1における「接続バスの通信プロトコルよりも上位階層のプロトコル」が、OSI参照モデルの第3~7層の規格を意味するという理解とも整合しない。 したがって、個別の規格の一つであるMECHATROLINK(登録商標)については、技術的に整合しない内容を含むこととなるため、本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1~5を実施できるほど詳細に記載されていない。 よって、本件発明1~5に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(意見書17~20ページ) (10)主張10(サポート要件) 本件発明1において、「前記所定のインターフェース規格」は、「当該制御機能部の制御機能に対応して規定された」ものであるとしか規定されておらず、例えば、各制御機能部において使用するOSI参照モデルの階層がそれぞれ異なる態様を包含している。 そして、各制御機能部において使用するOSI参照モデルの階層がそれぞれ異なる態様では、通信における互換性が担保できない。そうすると、当該態様は、本件特許の課題である「互換性を高める」ことができない態様に該当する。 したがって、本件発明1は、課題を解決できない態様を包含していることから、本件発明1~5において、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求している。 したがって、本件発明1~5に係る特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(意見書20~21ページ) (11)主張11(進歩性) ア 甲1には、作業命令に対応するプログラムがロボット動作計画部202に与えられ、ロボット動作計画部202が保持するプログラム及び動作手順・動作コマンド生成部203が生成する命令列が、与えられたプログラムにより書き換わることが記載されている(【0014】)。 したがって、「目的とする前記作業内容を実現するためのプログラムを、前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックにそれぞれ選択的にインストールすることで前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックの内容を書き換えることを可能とする作業制御インターフェースと、を有し、インストールされた前記目的とする作業内容を実現するためのプログラムを実行することで、」という構成は、甲1から自明である。 イ また、仮に、上記アの構成が甲1から自明でなくとも、甲4~5に開示された周知慣用の事項であるから、本件発明1~5は、甲1~2、甲4~5に基づき進歩性を有していない。 したがって、本件発明1~5に係る特許は、特許法29条2項の記載に違反してされたものである。(意見書21~33ページ) 2 申立人の主張の検討 申立人の上記主張1~11について検討する。 (1)主張1について ア 訂正事項1-2に係る訂正のうち、「目的とする前記作業内容を実現するためのプログラムを、前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックにそれぞれ選択的にインストールすることで前記第1の処理ブロック及び前記第2の処理ブロックの内容を書き換えることを可能とする作業制御インターフェース」という事項は、技術常識をふまえると、作業制御インターフェースを介してプログラムをインストールすることの結果として、第1の処理ブロック及び第2の処理ブロックの内容を書き換えることを可能とする意味であると解するのが相当である(上記第2の2(1)イ(イ)a)。 そして、当該事項が本件明細書等の記載に基づいて導き出されるものといえることは、本件訂正の新規事項の有無を検討した際に説示したとおりである(上記第2の2(1)イ(イ))。 したがって、申立人の上記主張1のアは採用できない。 イ また、技術常識をふまえれば、第1の処理ブロックにインストールされるプログラムは、第1の処理ブロックで機能するように作成され、同様に、第2の処理ブロックにインストールされるプログラムは、第2の処理ブロックで機能するように作成されるということができ、インストールされるプログラムと処理ブロックは、1対1に対応するものと解される。 そして、プログラムと処理ブロックが1対1に対応するのであるから、プログラムを選択すること(選択する対象がプログラムであること)と、処理ブロックを選択すること(選択する対象が処理ブロックであること)は、実質的に同じ意味であるといえる。 したがって、申立人の上記主張1のイは採用できない。 (2)主張2について 訂正事項1-2に係る訂正について、訂正後の「インストールすること」は、訂正前の「インストール可能とする」ことを当然の前提として含んでいることは明らかである。 また、訂正事項1-2に係る訂正のうち、上記(1)に示す事項は、プログラムをインストールすることの結果として、第1の処理ブロック及び第2の処理ブロックの内容を書き換えることを可能とする意味であるから、訂正事項1-2に係る訂正により、特許請求の範囲が変更されたとはいえない。 したがって、上記第2の2(1)イ(ウ)のとおりであって、申立人の上記主張2は採用できない。 (3)主張3について 訂正事項1-3に係る訂正は、本件明細書等の【0020】及び【0055】の記載に基づいて導き出される構成である(上記第2の2(1)ウ(イ))。 したがって、申立人の上記主張3は採用できない。 (4)主張4について 主張4は、訂正事項1-2に係る訂正が新規事項の追加に該当することを前提とするものであるが、訂正事項1-2に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものといえる(上記第2の2(1)イ(イ))から、主張4は前提において誤っており、失当である。 したがって、申立人の上記主張4は採用できない。 (5)主張5~8について 特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 また、物の発明における発明の実施とは、その物の生産、使用等をする行為をいうから(特許法2条3項1号)、物の発明について実施可能要件を充足するか否かについては、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を製造し、使用することができる程度の記載があるか否かによるというべきである。 そして、本件発明1~5の記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえず、また、本件特許の出願時の技術常識を考慮すると、本件明細書等の記載が、実施に際して過度の試行錯誤を要するほどに当業者が理解できないものとはいえないから、申立人の上記主張5~8は採用できない。 (6)主張9について 主張9は、本件発明1の「接続バス」として、MECHATROLINK(登録商標)を採用する場合、本件発明1の「接続バスの通信プロトコル」が第7層を含むことになるなどというものであるが、取消理由(決定の予告)についての判断(上記第4の2(1)ウ)で説示するとおり、本件発明1の「接続バスの通信プロトコル」が第7層を含むと解することはできない。 したがって、申立人の上記主張9は採用できない。 (7)主張10について 本件特許は、制御機能部間で通信を行うものであるから、所定のインターフェース規格を、各制御機能部どうしの間において、通信可能なように、各制御機能部において使用するOSI参照モデルの階層を一致させることは当然である。 したがって、申立人の上記主張10は採用できない。 (8)主張11について 甲1の【0014】には「人から、あるいはプログラムとして与えられたロボットへの一連動作の作業命令201が入力される・・・」(上記第4の2(2)ア(ア))と記載されるように、申立人が甲1に記載されていると主張する「作業命令に対応するプログラム」は、具体的には、プログラムとして与えられた「作業命令201」であるところ、当該「作業命令201」は、本件発明1の「前記多軸制御機械に実行させる作業の種類を含む前記作業制御信号」に相当する(上記第4の2(2)エ(エ)c)ものであって、「目的とする前記作業内容を実現するためのプログラム」に相当するものではないから、申立人が主張11でいう構成は、甲1から自明とはいえない。 また、当該構成が甲4~5には示されていないことは、取消理由(決定の予告)についての判断(上記第4の2(2)カ)で説示したとおりである。 したがって、申立人の上記主張11は採用できない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に、本件請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700162

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