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特許異議申立

2023-701036

有機溶媒の不純物除去方法

審判番号
2023-701036
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-195467
登録番号
7248090
請求日
2023年09月28日
審決日
2024年09月30日
公報発行日
2025年01月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】栗田工業株式会社
  • 【権利者代理人】重野 剛
  • 【異議申立人】黒崎 惇子
審判長/審判官
  • 審判長 原 賢一
  • 審判官 増山 淳子
  • 審判官 金 公彦
分類
P1651.121-YAA(B01J) / P1651.537-YAA(B01J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7248090号発明「有機溶媒の不純物除去方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7248090号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。 特許第7248090号の請求項1~4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7248090号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、令和3年12月1日に出願され、令和5年3月20日にその特許権の設定登録がされ、同年同月29日に特許掲載公報が発行された。 その後、その請求項1~4に係る特許に対して、令和5年9月28日に特許異議申立人黒崎惇子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、令和6年2月5日付けで取消理由が通知され、同年4月4日に特許権者により意見書の提出及び訂正の請求がされ、同年5月24日に申立人により意見書の提出がされたものである。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和6年4月4日にされた訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)は、特許法第120条の5第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項1~4を訂正の単位として訂正することを求めるものであり、その内容(訂正事項)は、次のとおりである(訂正箇所に下線を付した。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「ポーラス型のイオン交換樹脂」と記載されていたのを、「イオン交換基として4級アンモニウム基を有し、比表面積が7~30m2/gであるポーラス型のイオン交換樹脂」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~4も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「含水率1,000ppm以下の有機溶媒」と記載されていたのを、「含水率1,000ppm以下のアルコール又はN-メチル-2-ピロリドンよりなる有機溶媒」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~4も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項2に「前記ポーラス型のイオン交換樹脂が、イオン交換基として、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、及び4級アンモニウム基からなる群から選ばれる1つ以上の官能基を有する」と記載されていたのを、「前記4級アンモニウム基がトリメチルアンモニウム基である」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3、4も同様に訂正する)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項3に「比表面積が1m2/g以上である」と記載されていたのを、「比表面積が15~30m2/gである」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4も同様に訂正する)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項4に「接着」と記載されていたのを、「接触」に訂正する。 2 訂正要件(訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について)の判断 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1に対して、本件の願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。)の【0026】の「ポーラス型のイオン交換樹脂のイオン交換基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム基・・・などがあるがこの限りではない・・・これらのイオン交換基のうち、不純物除去能の観点から、・・・4級アンモニウム基が特に好ましい。」との記載から、ポーラス型のイオン交換樹脂のイオン交換基を「4級アンモニウム基」に限定するものであり、本件明細書の【0027】の「ポーラス型のイオン交換樹脂の比表面積は・・・特に7m2/g以上であることが好ましい。なおポーラス型のイオン交換樹脂の比表面積は、強度維持の観点から通常30m2/g以下である。」との記載から、ポーラス型のイオン交換樹脂の比表面積を「7~30m2/g」に限定するものであるから、これらにより新たな技術的事項が導入されるものとはいえない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項1に対して、本件明細書の【0032】の「本発明の処理対象とする有機溶媒としては、特に限定はないが、その代表的なものを挙げれば次のものがある。 メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;・・・;N-メチル-2-ピロリド ン(NMP)」との記載から、有機溶媒を「アルコール又はN-メチル-2-ピロリドンよりなる」ものに限定するものであるから、これにより新たな技術的事項が導入されるものとはいえない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、訂正前の請求項2に対して、本件明細書の【0039】に、使用するイオン交換樹脂について、「イオン交換基:トリメチルアンモニウム基」と記載されていることから、イオン交換樹脂が、イオン交換基として「トリメチルアンモニウム基」を有するものに限定するものであり、訂正後の請求項1の「イオン交換基として4級アンモニウム基を有し」との記載と整合するように「前記4級アンモニウム基」が「トリメチルアンモニウム基」である、とするものである。よって、これにより新たな技術的事項が導入されるものとはいえない。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、訂正前の請求項3に対して、本件明細書の【0027】の「ポーラス型のイオン交換樹脂の比表面積は・・・特に7m2/g以上であることが好ましい。なおポーラス型のイオン交換樹脂の比表面積は、強度維持の観点から通常30m2/g以下である。」との記載、及び、本件明細書の【0039】に、使用するイオン交換樹脂について、「比表面積:15m2/g」と記載されていることから、ポーラス型のイオン交換樹脂の比表面積を「15~30m2/g」に限定するものであるから、これにより新たな技術的事項が導入されるものとはいえない。 したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)訂正事項5について 訂正事項5は、訂正前の請求項4の「接着」という記載を「接触」に訂正するものである。 これについて、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、 「【0021】 [5] [1]ないし[4]のいずれかに記載の有機溶媒の不純物除去材に、含水率1,000ppm以下の有機溶媒を接触させることを特徴とする有機溶媒の不純物除去方法。 【0022】 [6] 含水率が1,000ppmを超える有機溶媒を脱水処理して含水率1,000ppm以下とする脱水工程と、脱水された有機溶媒を[1]ないし[4]のいずれかに記載の有機溶媒の不純物除去材に接触させる不純物除去工程とを有する有機溶媒の不純物除去方法。」 「【0034】 本発明においては、このような有機溶媒を含水率1,000ppm以下として不純物除去材と接触させることを特徴とする。」 と記載されており、前記記載からみれば、「不純物除去工程」が「有機溶媒」を「不純物除去材」に「接触」させるものであることを理解できるから、訂正前の「接着」という記載が「接触」の誤記であることを理解できる。 してみれば、訂正事項5は、訂正前の請求項4において「接触」と記載すべきところを、「接着」と記載していたという誤記を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものであり、上述の通り、請求項4における「接着」は上記明細書の記載によれば「接触」の意であることが明らかであるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 3 小括 本件訂正は、特許法第120条の5第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項〔1~4〕について訂正することを求めるものであるところ、上記2に記載のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第2号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において読み替えて準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであるから、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。 第3 本件特許請求の範囲の記載(本件発明) 前記第2のとおり、本件訂正請求は適法にされたものであるから、本件特許請求の範囲の請求項1~4に係る発明は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるとおりの、次のとおりのものである(以下、各請求項に係る発明を、項番号に合わせて「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」という。)。 「【請求項1】 イオン交換基として4級アンモニウム基を有し、比表面積が7~30m2/gであるポーラス型のイオン交換樹脂よりなる有機溶媒の不純物除去材に、含水率1,000ppm以下のアルコール又はN-メチル-2-ピロリドンよりなる有機溶媒を接触させることにより、該有機溶媒中の不純物を除去する方法であって、 該不純物が、粒子径30nm以下のシリカ微粒子であることを特徴とする有機溶媒の不純物除去方法。 【請求項2】 請求項1において、前記4級アンモニウム基がトリメチルアンモニウム基であることを特徴とする有機溶媒の不純物除去方法。 【請求項3】 請求項1又は2において、前記ポーラス型のイオン交換樹脂の比表面積が15~30m2/gであることを特徴とする有機溶媒の不純物除去方法。 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項において、含水率が1,000ppmを超える有機溶媒を脱水処理して含水率1,000ppm以下とする脱水工程と、脱水された有機溶媒を前記有機溶媒の不純物除去材に接触させる不純物除去工程とを有する有機溶媒の不純物除去方法。」 第4 特許異議申立理由、取消理由の概要 1 特許異議申立理由の概要 申立人が主張する特許異議申立理由は、概略、以下のとおりである。 ここで、申立人が提出した証拠方法は、次のものである。 甲第1号証:特開2010-42395号公報 甲第2号証:特開2020-157249号公報 甲第3号証:特開2004-181352号公報 甲第4号証:高倉知征、「IPA中におけるフィルターの除粒子性能評価」、PALL NEWS、2017年、vol.125、 <https://www.pall.com/content/dam/pall/pall-corp/literature-library/non-gated/japan/PN125_SLSJP-ja.pdf> 甲第5号証:特開2021-171717号公報 甲第6号証:特開2013-23439号公報 甲第7号証:「イオン交換樹脂とその技術と応用(基礎編)」、改訂2版、1997年、オルガノ株式会社編、第37頁 甲第8号証:特表2003-535836号公報 甲第9号証:佐藤歩ら、「有機溶媒中における微粒子のゼータ電位」、化学工学会 第39回 秋季大会 講演予稿集、2007年、I216 以下、甲第1号証等を「甲1」等という。 なお、主たる証拠は甲1及び甲2であり、甲3は陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合イオン交換樹脂を用いて非水液状物から金属イオンを除去する方法に関するものであり、甲4~6は、有機溶媒中のシリカ微粒子が問題であることが周知の課題であることを示すものであり、甲7は比表面積が15m2/gのポーラス型イオン交換樹脂に関するものであり、甲6、8は、イソプロピルアルコールを脱水することで含水率1,000ppm未満とすることができることを示すものであり、甲9は、溶媒中のチタン酸バリウム粒子は、溶媒中の水分量が多いとプラスのゼータ電位を示すことに関するものである。 (1)申立理由1(甲1を主たる証拠とした進歩性欠如) 設定登録時の請求項1、2に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2~6、9に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、設定登録時の請求項3に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2~7、9に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、設定登録時の請求項4に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2~9に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2)申立理由2(甲2を主たる証拠とした進歩性欠如) 設定登録時の請求項1、2に係る発明は、甲2に記載された発明及び甲3~6、9に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、設定登録時の請求項3に係る発明は、甲2に記載された発明及び甲1、3~7、9に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、設定登録時の請求項4に係る発明は、甲2に記載された発明及び甲1、3~9に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (3)申立理由3(サポート要件違反) 設定登録時の請求項1~4に係る発明は、「機械部品、電子部品の製造及び洗浄工程、あるいは化学合成のためなどに用いられる有機溶媒中の不純物を高度に除去する」ことを課題としている。そして、そのような課題を解決することが示されているのは、有機溶媒が「イソプロピルアルコール」であり、イオン交換樹脂のイオン交換基が「トリメチルアンモニウム基」であり、除去されるシリカ微粒子が「粒子径30nm」のものであり、有機溶媒の含水率が639ppmであり、イオン交換樹脂の比表面積が15m2/gである場合のみであるが、当該請求項にそのような特定はなく、そうすると、当該請求項に係る発明は課題を解決するものとはいえず、発明の詳細な説明に記載されているとはいえない。 したがって、当該請求項に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (4)申立理由4(明確性要件違反) 設定登録時の請求項3には、イオン交換樹脂の比表面積について、「1m2/g以上である」と記載されており、比表面積の上限が規定されていないため、発明の範囲が不明確である。 したがって、当該請求項に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2 取消理由の概要 取消理由(サポート要件違反) 設定登録時の請求項1~4は「機械部品、電子部品の製造及び洗浄工程、あるいは化学合成のためなどに用いられる有機溶媒中の不純物を、除去率40%の以上で高度に除去することができる有機溶媒の不純物除去材及び有機溶媒の不純物除去方法を提供すること」を課題としている。 そして、発明の詳細な説明は、イオン交換基がトリメチルアンモニウム基を有し、比表面積は15m2/g~30m2/gであるポーラス型のイオン交換樹脂を用い、有機溶媒は含水率が1,000ppm以下のアルコールである場合以外について、本件発明の課題を解決することが記載されているとはいえない。そうすると、このような特定のない当該請求項に係る発明は、課題を解決するものとはいえず、発明の詳細な説明に記載されたているとはいえない。 したがって、当該請求項に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 第5 各証拠について 1 甲1について 甲1には、以下のことが記載されている(下線は当審で付した。以下、同様。)。 (1)「【請求項1】 マクロポーラス型のイオン交換樹脂であって、 水銀圧入法で測定したときの細孔容積が、該イオン交換樹脂の乾燥重量1gあたり0.5mL/g以上であり、 水銀圧入法で測定したときの細孔半径が、0.1μm以上であり、かつ、 該イオン交換樹脂の振とう濁度試験で溶出する濁度成分が、45ppm以下である ことを特徴とする、イオン交換樹脂。 ・・・ 【請求項16】 請求項1~9のいずれか1項に記載のイオン交換樹脂を用いる ことを特徴とする、懸濁性金属腐蝕生成物の除去方法。」 (2)「【0003】 近年、発電所プラント停止時に一次系系統水から放射性物質のうちの懸濁性金属腐蝕生成物を除去することが、作業員の被曝低減の観点から課題となっている。 水中に存在する極微量の金属不純物は、燃料から放射される中性子の照射を受けて原子核反応を起こし、コバルト60、コバルト58、クロム51、マンガン54等の放射性核種を形成する。これらの放射性核種は、主として酸化物の形態で構成部材に付着して存在するが、酸化物の溶解度に応じて水中に再溶解するか、不溶性の懸濁性金属腐蝕生成物として水中に放出される。 ・・・ 【0016】 ・・・ 即ち、本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、その目的は、クラッドおよびコロイド微粒子を含む懸濁性金属腐蝕生成物の除去性能に優れ、かつ溶出が少なく、かつ機械的強度の大きいイオン交換樹脂を提供することを目的とする。」 (3)「【0030】 また、上記の細孔と表面積の関係から、水銀圧入法で測定したときの、イオン交換樹脂の細孔の比表面積が、前記アニオン交換樹脂の乾燥重量1gあたり2m2/g以上であり、かつ、水銀圧入法で測定したときの平均細孔半径が0.1μm以上1μm以下であることを特徴とするアニオン交換樹脂がさらに好ましい。イオン交換樹脂の細孔の比表面積は、通常2m2/g以上、好ましくは3m2/g以上、さらに好ましくは5m2/g以上、さらに好ましくは7m2/g以上である。また、通常1000m2/g以下、好ましくは500m2/g以下、さらに好ましくは250m2/gである。」 2 甲2について 甲2には、以下のことが記載されている。 (1)「【請求項1】 電子部品製造工程で使用される有機溶媒から微粒子を除去する有機溶媒の処理方法において、 水中において正、あるいは負の荷電を有し、含水率が3質量%以上である処理材と該有機溶媒とを接触させる工程を有することを特徴とする有機溶媒の処理方法。」 (2)「【0016】 本発明方法では、電子部品製造工程で使用される有機溶媒を液体状態において、水中において正又は負の荷電を有し、含水率が3質量%以上である処理材と接触させて、微粒子を除去する。微粒子としては、シリカ微粒子のほか、各種の無機又は有機物微粒子、特に負又は正の荷電を有する微粒子が挙げられる。」 (3)「【0019】 この処理材は、好ましくは、カチオン交換基又はアニオン交換基が付与されたポリマーよりなる。 ・・・ 【0021】 ポリマーにイオン交換能を与える場合、イオン交換基としては、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、カルボン酸基、水酸基、フェノール基、4級アンモニウム基、1~3級アミン基、ピリジン基、アミド基、などがあるがこの限りではない。」 (4)「【0027】 本発明が処理対象とする電子部品製造工程で使用される有機溶媒としては、特に限定はないが、その代表的なものを挙げれば次のものがある。即ち、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;・・・N-メチル-2-ピロリドン(NMP)。 【0028】 本発明は、特に、イソプロピルアルコール(以下、IPAと記載することがある。)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)など、半導体製造プロセスで使用される有機溶媒の処理に好適である。」 (5)「【実施例】 【0030】 以下、実施例及び比較例について説明する。 【0031】 以下の実施例1~4及び比較例1では、次のIPA系試験液を下記の処理材を用い、下記の接触方法1で接触させた。 【0032】 <試験液> 試験液1:IPA(関東化学社製高純度IPA)にシリカ微粒子(コアフロント社製sicastar:粒径30nm)を50mg/L添加したもの。 【0033】 試験液2:上記IPAと超純水とを50:50の割合で混合し、上記シリカ微粒子を上記量添加したもの。 【0034】 <処理材> 処理材A:環境浄化研究所製イオン交換繊維DMAEMA繊維20m(7.7g) 処理材B:アストム社製アニオン交換膜AHA約30cm×20cm、厚さ220μm(湿潤状態で16g) 【0035】 <接触方法> 処理材をポリエチレン容器(250mL容)に充填し、試験液を100mL注入し、30分浸漬する。 【0036】 [実施例1~4,比較例1,2] 上記試験液1又は2を、下記のように処理した各処理材と、上記接触方法1に従って接触させた。接触後のシリカ濃度をモリブデン吸光光度法によって測定し、シリカ除去率を算出した。結果を表1に示す。 【0037】 実施例1:上記処理材A(処理せず、そのまま使用) 実施例2:上記処理材B(処理せず、そのまま使用) 実施例3:ポリエチレン容器(250mL容)に処理材B及び超純水100mLを収容し、30分間浸漬した後、超純水を排出した水接処理品 実施例4:上記処理材A(処理せず、そのまま使用) 比較例1:処理材Aを110℃で24時間乾燥した乾燥処理品 比較例2:処理材Bを110℃で24時間乾燥した乾燥処理品 【0038】 【表1】 [図:0001418216000001.jpg] 【0039】 [考察] 含水率が3%以上であるコンディショニング状態で行った実施例1,2では、比較例1,2よりも良好なシリカ除去率が得られる。 【0040】 さらに処理材の含水率をさらに高める(実施例3)と、より高いシリカ除去率が得られる。 【0041】 また、IPA中へ超純水を添加することで、処理材Aへの水コンディショングを実施していなくても、非常に良好なシリカ除去率を得られる。」 第6 当審の判断 1 取消理由及び申立理由3について (1)サポート要件の判断手法 特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号所定のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを比較し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断するのが相当である。 (2)本件発明の課題 発明の詳細な説明には、【発明が解決しようとする課題】の項目の後の【0014】に、「本発明は、上記従来技術に鑑み、機械部品、電子部品の製造及び洗浄工程、あるいは化学合成のためなどに用いられる有機溶媒中の不純物を高度に除去することができる有機溶媒の不純物除去材及び有機溶媒の不純物除去方法を提供することを目的とする。」との記載がある。 そうすると、本件発明の課題は「機械部品、電子部品の製造及び洗浄工程、あるいは化学合成のためなどに用いられる有機溶媒中の不純物を高度に除去することができる有機溶媒の不純物除去材及び有機溶媒の不純物除去方法を提供すること」であるといえる。 (3)発明の課題に対応する本件明細書の発明の詳細な説明の記載 ア 発明の詳細な説明には、以下の記載がある。 (ア)「【0015】 本発明者らは、含水率1,000ppm以下の有機溶媒に対して、ポーラス型のイオン交換樹脂が、高度な不純物除去性能を発揮することを見出した。 ・・・有機溶媒の含水率を1,000ppm以下にすることにより、これまで20%以下であった不純物除去率を40%以上に向上させることができることを見出した。」 (イ)「【0026】 ポーラス型のイオン交換樹脂のイオン交換基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、水酸基、フェノール基、ピリジン基、アミド基などがあるがこの限りではない。これらの官能基はH型、OH型だけでなく、Cl、Naなどの塩型であってもよい。本発明では、これらの官能基が少なくとも一種類以上導入されたイオン交換樹脂を使用してもよいし、それぞれ異なったイオン交換基が導入されたイオン交換樹脂を複数種用いて、異なるイオン交換基をもつ混合イオン交換樹脂としてもよい。 これらのイオン交換基のうち、不純物除去能の観点から、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム基が好ましく、4級アンモニウム基が特に好ましい。」 (ウ)「【0027】 ポーラス型のイオン交換樹脂の比表面積は、不純物除去能の観点から大きい方が好ましく、水銀圧入法で測定される比表面積として1m2/g以上、特に7m2/g以上であることが好ましい。なおポーラス型のイオン交換樹脂の比表面積は、強度維持の観点から通常30m2/g以下である。」 (エ)「【0030】 このような本発明の不純物除去材で除去する有機溶媒中の不純物としては、各種の無機微粒子、有機微粒子や金属微粒子、イオン、ゲル、ウイルスなどが挙げられるが、本発明は特に粒子径30nm以下の微粒子、とりわけシリカ微粒子の除去に有効である。」 (オ)「【0032】 本発明の処理対象とする有機溶媒としては、特に限定はないが、その代表的なものを挙げれば次のものがある。 メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロルエチレン、パクロルエチレン、1,1,1-トリクロルエタン、フロン113、クロルベンゼン、o-、m-、p-ジクロルベンゼン、o-、m-、p-ジクロルベンゼン、o-、m-、p-クロルトルエンなどのハロゲン化炭化水素;エチルエーテルなどのエーテル類;PO、BOなどのエポキシ類;ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類;アセトン、MEK、MIBKなどのケトン類;酢酸エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどのエステル類;N-メチル-2-ピロリドン(NMP);上記有機溶媒の2種以上の混合溶媒。」 イ 上記ア(ア)によれば、「含水率1,000ppm以下の有機溶媒」に対して、「ポーラス型のイオン交換樹脂」を用いることで、高度な不純物除去性能を発揮し、これまで20%以下であった不純物除去率を40%以上に向上させることができること、すなわち、本件発明の課題を解決できることが記載されているといえる。 また、同(イ)によれば、イオン交換基として4級アンモニウム基が好ましいことが記載されており、 同(ウ)によれば、比表面積は7~30m2/gであればよいことが記載されており、 同(エ)によれば、シリカ微粒子の粒子径は30nm以下であればよいことが記載されており、 同(オ)によれば、有機溶媒はアルコールやN-メチル-2-ピロリドンでありうることが記載されている。 (4)特許請求の範囲の記載と本件明細書の発明の詳細な説明との比較 上記(3)イによれば、上記(2)の本件発明の課題を解決するには、「含水率1,000ppm以下の有機溶媒」に対して、「ポーラス型のイオン交換樹脂」を用いることが必要であるのに対し、本件発明は、「ポーラス型のイオン交換樹脂」を用い、「含水率が1,000ppm以下の有機溶媒」を処理することが特定されている。 さらに、本件発明は、上記ア(イ)~(オ)に記載された、本件発明の課題を解決する上で好ましい、又は、採用可能であるとされる構成、すなわち、イオン交換樹脂は、その比表面積が7~30m2/gであり、イオン交換基として4級アンモニウム基を有し、有機溶媒はアルコールやN-メチル-2-ピロリドンであり、除去対象の粒子は粒子径30nm以下のシリカ粒子である、という構成を有するものである。そうすると、これらの特定を有する本件発明は、上記(1)のサポート要件の判断手法に従えば、本件発明の課題を解決するものであることが理解される。 そして、本件発明は本件明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであるともいえる。 よって、本件発明は発明の課題を解決するものであり、発明の詳細な説明に記載されたものである。 したがって、取消理由及び申立理由3は、理由がない。 2 申立理由1について (1)甲1に記載された発明 上記第5の1(1)、(3)によれば、甲1には、マクロポーラス型のイオン交換樹脂であって、比表面積が7~250m2/gであるものが記載されている(同(3)では「好ましくは250m2/g」とされているが「好ましくは250m2/g以下」の誤記と認める。)。 同(2)によれば、甲1には、一次系統水から放射性物質のうちの懸濁性金属腐蝕生成物を除去するイオン交換樹脂を提供することを課題としていること、すなわち、イオン交換樹脂により、「水」中の懸濁性金属腐蝕生成物を除去することが記載されているといえる。 そうすると、甲1には、以下の発明が記載されているといえる(以下、「甲1発明」という。)。 「比表面積が7~250m2/gであるマクロポーラス型のイオン交換樹脂により、水中の懸濁性金属腐蝕生成物を除去する方法。」 (2)本件発明1について ア 対比 甲1発明の「マクロポーラス型のイオン交換樹脂」は、本件発明1の「ポーラス型のイオン交換樹脂」に相当する。 また、甲1発明の「懸濁性金属腐蝕生成物」は水中から除去する対象であるから、本件発明1の「不純物」に相当し、甲1発明の「マクロポーラス型のイオン交換樹脂」は、「懸濁性金属腐蝕生成物を除去する」のであるから、本件発明1の「不純物除去材」にも相当する。 そして、甲1発明において、イオン交換樹脂により水中の懸濁性金属腐蝕生成物を除去する際に、イオン交換樹脂と水を接触させることは明らかである。 また、甲1発明の「水」と本件発明1の「有機溶媒」は、「溶媒」である点で共通する。 そうすると、両者は、 「ポーラス型のイオン交換樹脂よりなる溶媒の不純物除去材に、溶媒を接触させることにより溶媒の不純物を除去する、 溶媒の不純物除去方法」で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 本件発明1では、イオン交換樹脂がイオン交換基として「4級アンモニウム基」を有するのに対し、甲1発明ではイオン交換基が特定されていない点。 <相違点2> 本件発明1では、イオン交換樹脂の比表面積が「7~30m2/g」であるのに対し、甲1発明では「7~250m2/g」である点。 <相違点3> 本件発明1では、溶媒が「含水率1,000ppm以下のアルコール又はN-メチル-2-ピロリドンよりなる有機溶媒」であるのに対し、甲1発明では溶媒が「水」である点。 <相違点4> 本件発明1では、除去される不純物が「粒子径30nm以下のシリカ微粒子」であるのに対し、甲1発明では「懸濁性金属腐蝕生成物」である点。 イ 相違点について 事案に鑑み、相違点3について検討する。 上記第5の1(2)によれば、甲1には「発電所プラント停止時に一次系系統水から放射性物質のうちの懸濁性金属腐蝕生成物を除去することが、・・課題となっている。」と記載されているとおり、甲1発明は、水から懸濁性金属腐蝕生成物を除去することを課題とするものである。 そうすると、甲1発明は、もっぱら、水を処理対象とするものであり、有機溶媒を処置対象とすることは想定されていないといえ、甲1発明において、処理対象を水から有機溶媒に変更する動機付けはない。 そして、甲1において、有機溶媒を処理対象とすることは想定されていないのであるから、甲2~9の記載の如何にかかわらず、処置対象を水から有機溶媒にすることは当業者が容易に想到し得るものではない。 よって、甲1発明において、相違点3に係る本件発明1の構成をなすことは、当業者といえども容易に想到し得ないものである。 したがって、上記相違点1、2、4について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~9に記載された事項から当業者が容易に発明することができたとはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立人は、特許異議申立書において、甲2には、イオン交換樹脂よりなる有機溶媒の不純物除去材によって有機溶媒中のシリカ微粒子を除去する方法が記載されており、甲4~6によれば有機溶媒中のシリカ微粒子が問題であることは周知の課題であるから、甲1発明に甲2に記載の技術を適用し、「有機溶媒」中の不純物を除去することとするのは当業者にとって容易である旨主張している(異議申立書26頁第1段落~第4段落)。 しかし、上記イに記載したとおり、甲1において、有機溶媒を処理対象とすることは想定されていないのであるから、甲2、4~9の記載の如何にかかわらず、処置対象を水から有機溶媒にすることは当業者が容易に想到し得るとはいえない。 したがって、上記申立人の主張は採用されない。 (3)本件発明2~4について 本件発明2~4は、本件発明1の全ての特定事項を含むものであるから、上記(2)で検討したのと同様の理由により、本件発明2~4は甲1発明及び甲2~9に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえない。 (4)小括 以上のとおりであるから、申立理由1は理由がない。 3 申立理由2について (1)甲2に記載された発明 上記第5の2(1)によれば、甲2には、含水率が3質量%以上である処理材と有機溶媒とを接触させることで有機溶媒から微粒子を除去することが記載されており、同(2)によれば、除去する微粒子がシリカ微粒子であることが記載されており、同(3)によれば、処理材はイオン交換基として4級アンモニウムを含有するポリマーであることが記載されており、同(4)によれば、有機溶媒はアルコールやN-メチル-2-ピロリドンであることが記載されている。 そうすると、甲2には、以下の発明が記載されているといえる(以下、「甲2発明」という。)。 「含水率が3質量%以上であり、イオン交換基として4級アンモニウムを有するポリマーである処理材に、アルコール又はN-メチル-2-ピロリドンである有機溶媒を接触させることにより、該有機溶媒からシリカ微粒子を除去する方法。」 (2)本件発明1について ア 対比 甲2発明の「イオン交換基として4級アンモニウムを有するポリマーである処理材」は、本件発明1の「イオン交換基として4級アンモニウムを有」する「イオン交換樹脂」に相当し、甲2発明の「シリカ微粒子」は「有機溶媒から」「除去」されるものであるから、本件発明1の「不純物」に相当し、甲2発明の「有機溶媒からシリカ微粒子を除去する」ものである「処理材」は本件発明1の「有機溶媒の不純物除去材」に相当し、甲2発明の「有機溶媒からシリカ微粒子を除去する方法」は、本件発明1の「該不純物が、シリカ微粒子である有機溶媒の不純物除去方法」に相当する。 そうすると、両者は 「イオン交換基として4級アンモニウムを有するイオン交換樹脂よりなる有機溶媒の不純物除去材に、アルコール又はN-メチル-2-ピロリドンよりなる有機溶媒を接触させることにより、該有機溶媒中の不純物を除去する方法であって、 該不純物が、シリカ微粒子である有機溶媒の不純物除去方法」で一致し、以下の点で相違する。 <相違点5> 本件発明1では、イオン交換樹脂の比表面積が「7~30m2/g」であるのに対し、甲2発明ではイオン交換樹脂の比表面積が不明な点。 <相違点6> 本件発明1では、イオン交換樹脂が「ポーラス型」のものであるのに対し、甲2発明ではイオン交換樹脂がポーラス型であることは特定されていない点。 <相違点7> 本件発明1では、有機溶媒は「含水率が1,000ppm以下」であるのに対し、甲2発明では有機溶媒の含水率が特定されていない点。 <相違点8> 本件発明1では、シリカ微粒子の粒子径が「30nm以下」であるのに対し、甲2発明ではシリカ微粒子の粒径が特定されていない点。 イ 相違点について 事案に鑑み、相違点7について検討する。 甲2発明は、「含水率が3質量%以上」のイオン交換樹脂を用いるものである。 また、上記第5の2(5)によれば、「処理材の含水率をさらに高めると、より高いシリカ除去率が得られる」こと、及び、「IPA中へ超純水を添加することで、処理材Aへの水コンディショングを実施していなくても、非常に良好なシリカ除去率を得られる」ことが記載されている。そうすると、甲2には、有機溶媒を処理材で処理する際に、処理材や有機溶媒の含水率を高めることで、高いシリカ除去率が得られること、すなわち、有機溶媒の含水率を低くすると、シリカ除去率が低下するため、好ましくないことが記載されているといえる。してみれば、甲2発明において、有機溶媒の含水率を低くして、1,000ppm以下とすることに、動機付けはない。 よって、甲2発明において、相違点7に係る本件発明1の構成をなすことは、当業者といえども容易に想到し得ないものであるし、甲2発明において、仮に有機溶媒の含水率を低くすると甲2発明における効果が得られなくなってしまうのであるから、甲1、3~9に記載された事項によらず、相違点7に係る本件発明1の構成をなすことは、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。 したがって、上記相違点5、6、8について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び甲1、3~9に記載された事項から当業者が容易に発明することができたとはいえない。 (3)本件発明2~4について 本件発明2~4は、本件発明1の全ての特定事項を含むものであるから、上記(2)で検討したのと同様の理由により、本件発明2~4は甲2発明及び甲1、3~9に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえない。 (4)小括 以上のとおりであるから、申立理由2は理由がない。 4 申立理由4について 本件訂正により、本件発明3では、比表面積が「15~30m2/g」とされたため、申立理由4は理由がない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、請求項1~4に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由、及び、取消理由通知書に記載した取消理由によっては、取り消すことができない。 また、他に請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701036

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