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特許異議申立

2025-700558

上向流式イオン交換塔の運転方法

審判番号
2025-700558
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-127186
登録番号
7593448
請求日
2025年05月27日
審決日
2025年12月05日
公報発行日
2026年03月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】栗田工業株式会社
  • 【権利者代理人】重野 剛
  • 【権利者代理人】重野 隆之
  • 【異議申立人】黒崎 惇子
審判長/審判官
  • 審判長 原 賢一
  • 審判官 金 公彦
  • 審判官 田口 裕健
分類
P1651.121-YAA(B01J) / P1651.851-YAA(B01J) / P1651.853-YAA(B01J) / P1651.857-YAA(B01J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第3項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7593448号発明「上向流式イオン交換塔の運転方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7593448号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正することを認める。 特許第7593448号の請求項2~3に係る特許を維持する。 特許第7593448号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7593448号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~3に係る特許についての出願は、令和5年8月3日の出願であって、令和6年11月25日にその特許権の設定登録がされ、同年12月3日に特許掲載公報が発行され、その後、令和7年5月27日に、請求項1~3に係る特許について、特許異議申立人 黒崎 惇子(以下、「申立人」という。)により、甲第1~3号証を証拠方法として特許異議の申立てがなされ、同年7月29日付けで当審より取消理由が通知され、その指定期間内である同年9月18日に、特許権者より意見書の提出及び訂正の請求がされ、同年10月29日に、申立人より参考資料1~3を添付して意見書(以下、「申立人意見書」という。)が提出されたものである。 第2 本件訂正請求による訂正の適否 1 訂正の内容及び一群の請求項について 令和7年9月18日の訂正の請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)は、請求の趣旨を、「特許第7593448号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを求める。」とするものであって、その訂正の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所であり、当審が付与した。)。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に 「前記定常運転工程においては、前記イオン交換塔からの脱イオン水を流量調整バルブを介して脱イオン水タンクに導入し、該脱イオン水タンクから脱イオン水を脱イオン水の需要先に送水する上向流式イオン交換塔の運転方法であって、 該脱イオン水タンク内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブの開度及び/又は前記給水ポンプを制御する請求項1の上向流式イオン交換塔の運転方法。」と記載されているのを、 「下側の透水性仕切板と上側の透水性仕切板との間にイオン交換樹脂の充填床を有するイオン交換塔に、給水ポンプ(1)によって原水を上向流にて通水し、該イオン交換塔からの脱イオン水を配管(4)、第2ポンプ(5)、配管(6)、流量調整バルブ(7)及び配管(8)を介して脱イオン水タンク(9)に流入させて脱イオン水を製造する上向流式イオン交換塔の運転方法であって、 前記配管(6)に流量計(11)が設けられている第1態様、又は前記配管(6)に圧力計(14)が設けられ且つ前記配管(8)に流量計(11)が設けられている第2態様となっており、 通水開始当初に、イオン交換塔内に、該イオン交換塔内のイオン交換樹脂の充填床を押し上げるLVにて原水を通水して、該イオン交換塔内のイオン交換樹脂の充填床を押し上げ、該充填床の上側の透水性仕切板に押し当ててイオン交換樹脂の固定床を形成する固定床形成工程と、 その後、該固定床が維持される最小LVよりも大きいLVにて原水を通水し、かつ脱イオン水の需要量に応じて原水の通水量を制御する定常運転工程とを有し、 前記定常運転工程においては、前記イオン交換塔からの脱イオン水を流量調整バルブ(7)を介して脱イオン水タンク(9)に導入し、該脱イオン水タンク(9)から脱イオン水を脱イオン水の需要先に送水する上向流式イオン交換塔の運転方法であって、 前記第1態様の前記定常運転工程にあっては、該脱イオン水タンク(9)内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブ(7)の開度を調整し、且つ流量調整バルブ(7)の開度が調整された後の流量計(11)の検出流量が所定範囲(イオン交換塔内で固定床が維持される流量)となるように、給水ポンプ(1)又は第2ポンプ(5)の送水量を制御し、 前記第2態様の前記定常運転工程にあっては、該脱イオン水タンク(9)内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブ(7)の開度を調整し、且つ流量調整バルブ(7)の開度が調整された後の圧力計(14)の検出圧力と、流量計(11)の検出流量とのいずれか又は双方が所定範囲(イオン交換塔内で固定床が維持される範囲)となるように、給水ポンプ(1)及び第2ポンプ(5)の一方又は双方の回転数を制御する上向流式イオン交換塔の運転方法。」 に訂正する。 (3) 一群の請求項について 本件訂正前の請求項1の記載を請求項2~3が引用する関係にあるから、本件訂正前の請求項1~3は一群の請求項であり、訂正事項1~2に係る特許請求の範囲の訂正は、特許法第120条の5第3項及び第4項の規定に従い、前記請求項1~3を訂正の単位として請求されたものである。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、独立特許要件について (1) 訂正事項1 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2) 訂正事項2 訂正事項2には、訂正事項が複数存在するので、それぞれの訂正事項について分けて検討する。 ア 訂正事項2による請求項2の訂正のうち、「前記定常運転工程においては、」の前に、 「下側の透水性仕切板と上側の透水性仕切板との間にイオン交換樹脂の充填床を有するイオン交換塔に、給水ポンプ(1)によって原水を上向流にて通水し、該イオン交換塔からの脱イオン水を配管(4)、第2ポンプ(5)、配管(6)、流量調整バルブ(7)及び配管(8)を介して脱イオン水タンク(9)に流入させて脱イオン水を製造する上向流式イオン交換塔の運転方法であって、 前記配管(6)に流量計(11)が設けられている第1態様、又は前記配管(6)に圧力計(14)が設けられ且つ前記配管(8)に流量計(11)が設けられている第2態様となっており、 通水開始当初に、イオン交換塔内に、該イオン交換塔内のイオン交換樹脂の充填床を押し上げるLVにて原水を通水して、該イオン交換塔内のイオン交換樹脂の充填床を押し上げ、該充填床の上側の透水性仕切板に押し当ててイオン交換樹脂の固定床を形成する固定床形成工程と、 その後、該固定床が維持される最小LVよりも大きいLVにて原水を通水し、かつ脱イオン水の需要量に応じて原水の通水量を制御する定常運転工程とを有し、」 との記載を追記する訂正(以下、「訂正事項2-1」という。)は、本件訂正前の請求項2が請求項1を引用していたところ、訂正事項1により請求項1が削除されたことにともない、その引用関係を解消して独立形式の請求項に改めるに際して、請求項1を引用する請求項2を書き下したものであり、更に、その際、部材の名称に本件特許明細書及び図面に記載された部材の番号を併記して、発明の構成を明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 また、本件訂正前の請求項1には、 「下側の透水性仕切板と上側の透水性仕切板との間にイオン交換樹脂の充填床を有するイオン交換塔に、給水ポンプによって原水を上向流にて通水して脱イオン水を製造する上向流式イオン交換塔の運転方法であって、 通水開始当初に、イオン交換塔内に、該イオン交換塔内のイオン交換樹脂の充填床を押し上げるLVにて原水を通水して、該イオン交換塔内のイオン交換樹脂の充填床を押し上げ、該充填床の上側の透水性仕切板に押し当ててイオン交換樹脂の固定床を形成する固定床形成工程と、 その後、該固定床が維持される最小LVよりも大きいLVにて原水を通水し、かつ脱イオン水の需要量に応じて原水の通水量を制御する定常運転工程とを有する」 と記載されていたのを、訂正事項2-1は、前記請求項1の「上向流式イオン交換塔の運転方法」を、「該イオン交換塔からの脱イオン水を配管(4)、第2ポンプ(5)、配管(6)、流量調整バルブ(7)及び配管(8)を介して脱イオン水タンク(9)に流入させ」るものであって、「前記配管(6)に流量計(11)が設けられている第1態様、又は前記配管(6)に圧力計(14)が設けられ且つ前記配管(8)に流量計(11)が設けられている第2態様となって」いるものに更に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものでもある。 そして、本件特許明細書には、 「【0021】 図1は、本発明の上向流式イオン交換塔の運転方法が適用される純水製造装置の一例を示すものである。脱イオン処理される原水は、第1ポンプ1、配管2によりイオン交換装置3に供給され、イオン交換装置3に設けられたイオン交換塔に通水され、イオン交換樹脂と接触して脱イオン処理され、純水(脱イオン水)となる。イオン交換装置3のイオン交換塔には、原水が上向流通水される。 ・・・ 【0023】 イオン交換装置3からの純水は、配管4、第2ポンプ5、配管6、流量調整バルブ7及び配管8を経て純水タンク9に導入され、配管10を介して純水需要箇所へ送水される。配管6に流量計又は圧力計11が設置され、純水タンク9に水位計12が設置されており、各々の検出信号が制御器13に入力される。 ・・・ 【0029】 図2は、本発明の上向流式イオン交換塔の運転方法が適用される純水製造装置の別の一例を示すものである。 【0030】 図2の純水製造装置では、配管8に流量計又は圧力計11が設置され、配管6に圧力計14が設置されており、各々の検出信号と、純水タンク9の水位計12の検出信号とが制御器13に入力されている。 【0031】 図2のその他の構成は図1と同一であり、同一符号は同一部分を示している。この純水製造装置においても、イオン交換装置3への通水開始に際しては、イオン交換塔に高LVにてイオン交換塔に通水し、固定床を形成する。」(当審注:下線は当審が付与した。また、「・・・」は記載の省略を表す。以下、同様である。) と記載されているから、訂正事項2-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ 訂正事項2による請求項2の訂正のうち、 「前記定常運転工程においては、前記イオン交換塔からの脱イオン水を流量調整バルブを介して脱イオン水タンクに導入し、該脱イオン水タンクから脱イオン水を脱イオン水の需要先に送水する上向流式イオン交換塔の運転方法であって、 該脱イオン水タンク内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブの開度及び/又は前記給水ポンプを制御する」 と記載されていたのを、 「前記定常運転工程においては、前記イオン交換塔からの脱イオン水を流量調整バルブ(7)を介して脱イオン水タンク(9)に導入し、該脱イオン水タンク(9)から脱イオン水を脱イオン水の需要先に送水する上向流式イオン交換塔の運転方法であって、 前記第1態様の前記定常運転工程にあっては、該脱イオン水タンク(9)内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブ(7)の開度を調整し、且つ流量調整バルブ(7)の開度が調整された後の流量計(11)の検出流量が所定範囲(イオン交換塔内で固定床が維持される流量)となるように、給水ポンプ(1)又は第2ポンプ(5)の送水量を制御し、 前記第2態様の前記定常運転工程にあっては、該脱イオン水タンク(9)内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブ(7)の開度を調整し、且つ流量調整バルブ(7)の開度が調整された後の圧力計(14)の検出圧力と、流量計(11)の検出流量とのいずれか又は双方が所定範囲(イオン交換塔内で固定床が維持される範囲)となるように、給水ポンプ(1)及び第2ポンプ(5)の一方又は双方の回転数を制御する」 と訂正する訂正(以下、「訂正事項2-2」という。)は、「上向流式イオン交換塔の運転方法」を、「前記第1態様の前記定常運転工程にあっては、該脱イオン水タンク(9)内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブ(7)の開度を調整し、且つ流量調整バルブ(7)の開度が調整された後の流量計(11)の検出流量が所定範囲(イオン交換塔内で固定床が維持される流量)となるように、給水ポンプ(1)又は第2ポンプ(5)の送水量を制御し、前記第2態様の前記定常運転工程にあっては、該脱イオン水タンク(9)内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブ(7)の開度を調整し、且つ流量調整バルブ(7)の開度が調整された後の圧力計(14)の検出圧力と、流量計(11)の検出流量とのいずれか又は双方が所定範囲(イオン交換塔内で固定床が維持される範囲)となるように、給水ポンプ(1)及び第2ポンプ(5)の一方又は双方の回転数を制御する」ものに更に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、訂正事項2-2は、訂正事項2-1において、請求項1を引用する請求項2を書き下した際に、部材の名称に本件特許明細書及び図面に記載された部材の番号を併記して、発明の構成を明瞭にしたことに合わせて、部材の名称に本件特許明細書及び図面に記載された部材の番号を併記して、発明の構成を明瞭にしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものでもある。 そして、本件特許明細書には、更に、 「【0024】 制御器13は、水位計12で検出される水位が所定範囲となるように、流量調整バルブ7の開度をPID制御等により調整する。 【0025】 純水需要箇所の純水使用量に応じて、純水タンク9から純水需要箇所への送水量が変動し、これに伴って純水タンク9内の水位が変化するが、流量調整バルブ7の開度を制御することにより、純水タンク9内の水位が所定範囲となるように、原水の処理量が制御される。即ち、純水タンク9から配管10によって純水需要箇所に送水される水量に応じて、イオン交換装置3への通水量が制御される。 【0026】 また、制御器13は、流量調整バルブ7の開度が調整された後の流量計又は圧力計11の検出流量又は圧力が所定範囲となるように、第1ポンプ1又は第2ポンプ5の送水量(モータ回転数)をインバータ制御する。なお、この流量又は圧力の所定範囲は、イオン交換装置3のイオン交換塔内で固定床が維持される流量となるように設定される。 ・・・ 【0033】 この図2の純水製造装置では、水位計12の検出水位が所定範囲となるように流量調整バルブ7の開度が制御される。また、流量調整バルブ7の開度が調整された後の圧力計14の検出圧力と、流量計又は圧力計11の検出流量又は圧力とのいずれか又は双方が所定範囲(イオン交換塔の固定床を維持する範囲)となるように、第1ポンプ1及び第2ポンプ5の一方又は双方の回転数がインバータ制御される。」 と記載されているから、訂正事項2-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 訂正事項2による請求項2の訂正のうち、 「請求項1の上向流式イオン交換塔の運転方法」 と記載されていたのを、 「上向流式イオン交換塔の運転方法」 と訂正する訂正は、本件訂正前の請求項2が請求項1を引用していたところ、訂正事項1により請求項1が削除されたことにともない、その引用関係を解消して独立形式の請求項に改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 エ 前記ア~ウによれば、訂正事項2による請求項2の訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)独立特許要件について 本件特許異議の申立ては本件訂正前の全ての請求項についてされているので、訂正事項1~2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 3 小括 したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものに該当し、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正が認められることは前記第2に記載したとおりであるから、本件特許の請求項2~3に係る発明は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項2~3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(以下、請求項2~3に係る発明を、それぞれ「本件発明2」~「本件発明3」という。)。 「【請求項1】(削除) 【請求項2】 下側の透水性仕切板と上側の透水性仕切板との間にイオン交換樹脂の充填床を有するイオン交換塔に、給水ポンプ(1)によって原水を上向流にて通水し、該イオン交換塔からの脱イオン水を配管(4)、第2ポンプ(5)、配管(6)、流量調整バルブ(7)及び配管(8)を介して脱イオン水タンク(9)に流入させて脱イオン水を製造する上向流式イオン交換塔の運転方法であって、 前記配管(6)に流量計(11)が設けられている第1態様、又は前記配管(6)に圧力計(14)が設けられ且つ前記配管(8)に流量計(11)が設けられている第2態様となっており、 通水開始当初に、イオン交換塔内に、該イオン交換塔内のイオン交換樹脂の充填床を押し上げるLVにて原水を通水して、該イオン交換塔内のイオン交換樹脂の充填床を押し上げ、該充填床の上側の透水性仕切板に押し当ててイオン交換樹脂の固定床を形成する固定床形成工程と、 その後、該固定床が維持される最小LVよりも大きいLVにて原水を通水し、かつ脱イオン水の需要量に応じて原水の通水量を制御する定常運転工程とを有し、 前記定常運転工程においては、前記イオン交換塔からの脱イオン水を流量調整バルブ(7)を介して脱イオン水タンク(9)に導入し、該脱イオン水タンク(9)から脱イオン水を脱イオン水の需要先に送水する上向流式イオン交換塔の運転方法であって、 前記第1態様の前記定常運転工程にあっては、該脱イオン水タンク(9)内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブ(7)の開度を調整し、且つ流量調整バルブ(7)の開度が調整された後の流量計(11)の検出流量が所定範囲(イオン交換塔内で固定床が維持される流量)となるように、給水ポンプ(1)又は第2ポンプ(5)の送水量を制御し、 前記第2態様の前記定常運転工程にあっては、該脱イオン水タンク(9)内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブ(7)の開度を調整し、且つ流量調整バルブ(7)の開度が調整された後の圧力計(14)の検出圧力と、流量計(11)の検出流量とのいずれか又は双方が所定範囲(イオン交換塔内で固定床が維持される範囲)となるように、給水ポンプ(1)及び第2ポンプ(5)の一方又は双方の回転数を制御する上向流式イオン交換塔の運転方法。 【請求項3】 前記給水ポンプの制御頻度が7回/min以下である請求項2の上向流式イオン交換塔の運転方法。」 第4 特許異議申立理由の概要 1 特許法第29条第2項所定の規定違反(進歩性欠如)について 設定登録時の特許請求の範囲の請求項1~3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、又は、甲第1号証に記載された発明及び本件特許の出願日当時の周知技術(甲第2~3号証を引用)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、前記請求項1~3に係る発明の特許は、特許法第29条第2項所定の規定に違反してされたものである。 2 証拠方法 甲第1号証:特開2003-220387号公報 甲第2号証:特開平8-229551号公報 甲第3号証:特開2021-102206号公報 第5 取消理由の概要 設定登録時の特許請求の範囲の請求項1~3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、前記請求項1~3に係る発明の特許は、特許法第29条第2項所定の規定に違反してされたものである。 第6 特許異議申立理由及び取消理由についての当審の判断 事案に鑑み、前記第4の特許異議の申立て理由及び第5の取消理由についてまとめて検討する。 1 甲各号証の記載事項等 (1) 甲第1号証の記載事項及び甲第1号証に記載された発明 ア 甲第1号証には、以下の(ア)~(オ)の記載がある。 (ア) 「【特許請求の範囲】 ・・・ 【請求項3】 処理材1を介して原水の改質処理を行う水処理装置において、通水開始時、前記処理材1の収容部2内における原水の流量を調整するとともに、前記水処理装置からの処理水の取出しを停止しているとき、前記収容部2内への通水を継続する通水調整手段を備えていることを特徴とする水処理装置。 【請求項4】 前記通水調整手段が、前記収容部2における原水流入部5と処理水取出部6との間に接続した循環ライン8であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の水処理装置。 ・・・ 【請求項8】 前記処理材1が、イオン交換樹脂または濾材であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の水処理装置。」 (イ) 「【0042】 【実施例】以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明の第一実施例の概略構成を示す断面説明図であり、図2は、第一実施例における前記樹脂筒内への通水開始時の状態を示す断面説明図であり、また図3は、第一実施例における前記樹脂筒内への通水状態を示す断面説明図である。ここで、この第一実施例の水処理装置は、ボイラなどへの給水から硬度分を除去する軟水器である。したがって、この第一実施例における処理材は、イオン交換樹脂である。また、この第一実施例の軟水器は、上向流通水方式の軟水器である。 【0043】まず、図1に基づいて、前記軟水器の基本構成について説明する。図1において、前記軟水器は、イオン交換樹脂1の収容部としての樹脂筒2を備えている。この樹脂筒2は、ほぼ円筒形状であって、その軸線が上下方向となるように配置されている。前記樹脂筒2内の上部には、前記イオン交換樹脂1の流出を防止するための上部フィルタ3が設けられており、また下部にも前記上部フィルタ3と同様の下部フィルタ4が設けられている。この下部フィルタ4上には、前記イオン交換樹脂1が前記樹脂筒2内の所定の高さ位置まで収容されている。この所定の高さ位置は、前記イオン交換樹脂1の膨潤による体積の増加を考慮して決められた高さである。したがって、前記イオン交換樹脂1の層の上部と、前記上部フィルタ3との間には、所定高さの上部空間(符号省略)が存在することとなる。 【0044】前記樹脂筒2の下部には、前記樹脂筒2内へ原水を供給するための原水ライン5が接続されており、また前記樹脂筒2の上部には、前記樹脂筒2内から処理水としての軟水を取り出すための軟水ライン6が接続されている。この軟水ライン6の下流側には、ボイラなどの軟水使用機器(図示省略)が接続されている。 【0045】つぎに、前記軟水器の基本動作について説明する。まず、前記軟水器への原水の供給が開始されると、この原水は、前記原水ライン5を介して前記樹脂筒2内へ流入する。すると、前記樹脂筒2内の前記イオン交換樹脂1は、前記樹脂筒2内へ流入した原水の流れによって押し上げられ、前記イオン交換樹脂1全体が浮上する。そして、前記イオン交換樹脂1全体が前記上部フィルタ3へ押し付けられ、前記イオン交換樹脂1の固定床7が形成された状態となる(図3参照)。 【0046】以後、前記樹脂筒2内への通水を継続している間、前記樹脂筒2内には、前記固定床7が形成された状態が維持されるので、前記樹脂筒2内への原水は、前記固定床7を通過する際に硬度分が除去され、前記軟水ライン6から軟水として取り出される。そして、この軟水は、前記軟水使用機器(図示省略)へ供給される。ここで、前記軟水器への原水の供給を継続することにより、前記樹脂筒2内への通水を継続すると、前記固定床7の上流側,すなわち下部側の前記イオン交換樹脂1から順にイオン交換能力がなくなるまで原水から硬度分を除去していく。そのため、前記固定床7においては、イオン交換能力がなくなったイオン交換樹脂(すなわち、破過したイオン交換樹脂)の層が前記固定床7の下部から上部へ向けて拡大していくこととなる。 【0047】つぎに、前記軟水使用機器の運転の停止に応じて前記軟水器の運転を停止する場合や、前記イオン交換樹脂の再生を行う場合などのように、前記樹脂筒2内への原水の通水を停止する場合について説明する。この場合、前記樹脂筒2内への通水を停止すると、原水の流れがなくなり、前記イオン交換樹脂1を前記上部フィルタ3へ向けて押し付ける力がなくなるので、前記イオン交換樹脂1は落下し始める。そして、前記イオン交換樹脂1全体が前記下部フィルタ4上に落下すると、前記樹脂筒2内には、前記上部空間が再び形成され、通水開始前の収容状態に戻る。そして、前記軟水使用機器の運転の再開に応じて前記軟水器の運転を再開したり、塩水などの再生材を用いて前記イオン交換樹脂1の再生を行う。 【0048】さて、つぎに、この第一実施例の軟水器の特徴部分について説明する。前記軟水器は、通水調整手段として循環ライン8を備えている。この循環ライン8は、前記樹脂筒2における原水流入部と処理水取出部,すなわち前記原水ライン5と前記軟水ライン6との間に接続されている。 【0049】前記循環ライン8には、前記軟水ライン6側から逆止弁9および循環ポンプ10が設けられている。まず、前記逆止弁9は、前記軟水ライン6から前記原水ライン5への流れを許容し、前記原水ライン5から前記軟水ライン6への流れを遮断するようになっている。つぎに、前記循環ポンプ10は、前記軟水ライン6から前記原水ライン5へ軟水を循環させるようになっている。また、前記循環ポンプ10は、前記循環ライン8内の軟水(以下、「循環水」と云う)を所定流量以上の流量で循環させることができるようになっている。この所定流量は、前記樹脂筒2内へ流入した循環水の流速が前記イオン交換樹脂1全体で形成された前記固定床7を維持し得る流速以上となるように、前記樹脂筒2の流路断面積に応じて求められた流量である。さらに、前記循環ポンプ10は、回転数の調整などによって、循環水の流量を調整することができるようになっている。 【0050】また、前記軟水ライン6における前記循環ライン8の接続部よりも下流側には、制御弁11が設けられている。この制御弁11は、開閉式の制御弁であって、前記軟水器への原水の供給を停止しているとき,すなわち前記軟水器からの軟水の取出しを停止しているとき、前記循環ライン8内の循環水が、前記軟水ライン6の下流側の前記軟水使用機器へ供給されるのを防止し、前記循環ライン8と前記樹脂筒2との間を確実に循環させるために設けられている。 【0051】つぎに、前記軟水器の制御構成について説明する。まず、前記循環ポンプ10および前記制御弁11は、回線12を介して制御器13にそれぞれ接続されている。また、前記原水ライン5における前記循環ライン8の接続部よりも上流側には、前記軟水器への原水の供給状態を検出するための流れ検出手段として、流量センサ14が設けられている。そして、この流量センサ14も前記回線12を介して前記制御器13に接続されている。 【0052】そして、前記制御器13は、予め設定されたプログラムにしたがい、前記流量センサ14からの流れの検出信号に基づいて、前記循環ポンプ10を制御するとともに、前記制御弁11を開閉制御することにより、前記樹脂筒2内における原水の流量を調整するようになっている。 【0053】さて、つぎに前記軟水器の運転内容について、前記制御器13の制御内容とともに説明する。ここで、以下の説明は、前記イオン交換樹脂1の再生が終了した時点からつぎの再生を行うまでの運転についての説明としている。また、前記イオン交換樹脂1の再生が終了した時点においては、前記循環ポンプ10は停止状態にあり、また前記制御弁11は閉状態にあるものとする。 【0054】さて、前記軟水器における前記イオン交換樹脂1の再生後、前記制御器13は、前記流量センサ14からの検出信号に基づいて、前記軟水器への原水の供給状態を監視している。そして、前記流量センサ14からの検出信号に基づいて、前記原水ライン5から前記軟水器へ原水が供給されたことが検出されると、前記制御器13は、前記循環ポンプ10を作動させるとともに、前記制御弁11を開状態に切り替える。このとき、前記循環ポンプ10は、前記所定流量以上の流量,好ましくは前記循環ポンプ10で可能な最大流量で循環水を循環するように制御される。 【0055】すると、前記原水ライン5から前記樹脂筒2内へ流入した原水は、前記樹脂筒2内の前記イオン交換樹脂1を押し上げながら、前記樹脂筒2内を上方へ向かって流れる。そして、前記イオン交換樹脂1との接触によって硬度分が除去され、軟水となって、前記軟水ライン6から取り出され、前記軟水使用機器(図示省略)へ供給される。前記軟水ライン6へ流入した軟水の一部は、循環水として前記循環ライン8を介して前記原水ライン5へ流入し、前記原水ライン5内の原水とともに、前記樹脂筒2内へ流入する。そのため、前記原水ライン5からの原水の流量に対して、前記樹脂筒2内における原水の流量が増加することとなり、前記樹脂筒2内における原水の流速が増加する。 【0056】したがって、この流速が増加した原水により、前記樹脂筒2内の前記イオン交換樹脂1全体が速やかに上方へ移動する(図2参照)。このとき、前記イオン交換樹脂1の移動は、短時間で行われるので、その際に前記イオン交換樹脂1がほとんど撹拌されることなく、前記固定床7が形成される。したがって、破過した樹脂と未破過の樹脂とが混ざり合っていない,すなわち前記再配列現象の生じていない前記固定床7が形成される(図3参照)。 【0057】つぎに、前記制御器13は、前記軟水器への原水の供給が開始されてから所定時間経過後、前記制御弁11を開状態としたまま、前記循環ポンプ10を停止させる。ここで、前記所定時間は、前記循環ライン8からの循環水によって、前記樹脂筒2内における原水の流速を増加させたときに、前記固定床7が形成されるのに必要な時間に基づいて設定された時間である。そして、以後、前記軟水器へ原水を供給することによって、前記樹脂筒2内への通水を継続することにより、前記固定床7が形成された状態が維持される。この通水の間、前記樹脂筒2内への原水は、前記再配列現象の生じていない前記固定床7を通過するため、硬度分が充分に除去された純度の高い軟水として、前記軟水使用機器へ供給される。 【0058】つぎに、前記軟水器からの軟水の取出しを停止した場合,すなわち前記軟水器への原水の供給を停止した場合について説明する。この場合、前記制御器13は、前記流量センサ14からの検出信号に基づいて、前記軟水器への原水の供給が停止されたことを検出すると、前記循環ポンプ10を作動させるとともに、前記制御弁11を閉状態に切り替える。また、前記制御器13は、前記循環ポンプ10の制御により、前記循環ライン8内の循環水の流量が前記所定流量となるように調整する。 【0059】すると、前記樹脂筒2からの軟水は、前記軟水使用機器への供給が停止されるので、前記循環ポンプ10の作動により、循環水として前記樹脂筒2と前記循環ライン8との間を循環し、前記樹脂筒2の下部から原水として流入する。このとき、循環水は、前記所定流量で前記樹脂筒2と前記循環ライン8との間を前記所定流量で循環しているので、前記軟水器への原水の供給を停止している間も、前記固定床7が形成された状態が維持される。 【0060】そして、再度、前記軟水器への原水の供給を開始すると、前記制御器13は、前記流量センサ14からの検出信号に基づいて、前記制御弁11を開状態とするとともに、前記検出信号に基づく、原水の流量の検出結果に応じて、前記循環ポンプ10をつぎのように制御する。 【0061】まず、前記原水ライン5から前記樹脂筒2内へ流入する原水の流量が前記所定流量以上の場合には、前記循環ポンプ10を停止させる。すると、この場合には、前記樹脂筒2内へ流入する原水によって、前記固定床7が形成された状態を維持することができる。一方、前記樹脂筒2内へ流入する原水の流量が前記所定流量よりも少ない場合には、前記循環ポンプ10を作動させたままの状態を維持するとともに、前記循環ポンプ10の制御により、前記循環ライン8内の循環水の流量を調整する。この場合、前記循環ライン8内の循環水の流量は、前記所定流量に対して前記樹脂筒2内へ流入する原水の流量が不足する量を補うことができるように調整する。すると、前記原水ライン5からの原水に前記循環ライン8からの循環水が加わることによって、前記樹脂筒2内における原水の流量が前記所定流量となるため、前記固定床7が形成された状態を維持することができる。 【0062】つぎに、前記軟水器への原水の供給を行っているときに、この原水の流量が変化した場合について説明する。前記軟水器への原水の供給を行っている間も、前記制御器13は、前記のように、前記流量センサ14からの検出信号に基づいて、原水の流量を検出している。そして、この検出結果に応じて、前記循環ポンプ10の作動を制御する。 【0063】まず、前記原水ライン5から前記樹脂筒2内へ流入する原水の流量が前記所定流量よりも減少した場合について説明する。この場合には、前記流量センサ14からの検出信号に基づいて、原水の流量が前記所定流量よりも減少したと判断され、前記制御器13は、前記循環ポンプ10を作動させるとともに、前記循環ポンプ10の制御により、前記循環ライン8内の循環水の流量を調整する。このとき、前記循環ライン8内の循環水の流量は、前記樹脂筒2内へ流入する原水の流量が前記所定流量に対して不足する量を補うことができるように調整する。すると、前記原水ライン5からの原水に前記循環ライン8からの循環水が加わることによって、前記樹脂筒2内における原水の流量が前記所定流量となるため、前記固定床が形成された状態を維持することができる。 【0064】つぎに、原水の流量が前記所定流量以下の状態から増加した場合について説明する。この場合には、前記流量センサ14からの検出信号に基づいて、前記循環ポンプ10を制御し、原水の流量の増加に応じて、前記循環ライン8内の循環水の流量を減少させる。そして、原水の流量が前記所定流量に達したとき、前記循環ポンプ10を停止させる。 【0065】以後は、前記原水ライン5からの原水の流量の変化に応じて、前記循環ポンプ10の作動と、前記循環ポンプ10による循環水の流量を調整することにより、前記樹脂筒2内における原水の流量を少なくとも前記所定流量に維持するように制御する。すると、前記樹脂筒2内における原水の流速は、前記イオン交換樹脂1全体で前記固定床7が形成された状態を維持し得る流速以上となる。そのため、前記固定床7が形成された状態が維持され、前記流動床の発生を防止することができるので、前記再配列現象の発生による軟水の純度低下を防止することができる。」 (ウ) 「【図1】 [図:0001433102000001.jpg] 」 (エ) 「【図2】 [図:0001433102000002.jpg] 」 (オ) 「【図3】 [図:0001433102000003.jpg] 」 イ 前記ア(ア)の記載によれば、甲第1号証には、処理材1を介して原水の改質処理を行う水処理装置において、通水開始時、前記処理材1の収容部2内における原水の流量を調整するとともに、前記水処理装置からの処理水の取出しを停止しているとき、前記収容部2内への通水を継続する通水調整手段を備えている水処理装置が記載されており、当該水処理装置は、前記通水調整手段が、前記収容部2における原水流入部5と処理水取出部6との間に接続した循環ライン8であるものであり、前記処理材1が、イオン交換樹脂又は濾材であるものである(【請求項3】、【請求項4】、【請求項8】)。 また、前記ア(イ)~(オ)の記載によれば、前記水処理装置は、上向流通水方式の軟水器であって(段落【0042】、【図1】~【図3】)、前記軟水器は、イオン交換樹脂1の収容部としての樹脂筒2を備え、この樹脂筒2は、ほぼ円筒形状であり、その軸線が上下方向となるように配置されており、前記樹脂筒2内の上部には、前記イオン交換樹脂1の流出を防止するための上部フィルタ3が設けられており、また下部にも前記上部フィルタ3と同様の下部フィルタ4が設けられており、この下部フィルタ4上には、前記イオン交換樹脂1が前記樹脂筒2内の所定の高さ位置まで収容されており、この所定の高さ位置は、前記イオン交換樹脂1の膨潤による体積の増加を考慮して決められた高さであり、したがって、前記イオン交換樹脂1の層の上部と、前記上部フィルタ3との間には、所定高さの上部空間が存在することとなるものであり(段落【0043】)、前記樹脂筒2の下部には、前記樹脂筒2内へ原水を供給するための原水ライン5が接続されており、前記樹脂筒2の上部には、前記樹脂筒2内から処理水としての軟水を取り出すための軟水ライン6が接続されており、この軟水ライン6の下流側には、ボイラなどの軟水使用機器が接続されているものである(段落【0044】)。 そして、前記水処理装置の運転方法は、前記軟水器への原水の供給が開始されると、この原水は、前記原水ライン5を介して前記樹脂筒2内へ流入し、前記樹脂筒2内の前記イオン交換樹脂1は、前記樹脂筒2内へ流入した原水の流れによって押し上げられ、前記イオン交換樹脂1全体が浮上して、前記イオン交換樹脂1全体が前記上部フィルタ3へ押し付けられ、前記イオン交換樹脂1の固定床7が形成された状態となるものであり(段落【0045】)、前記樹脂筒2内への通水を継続している間、前記樹脂筒2内には、前記固定床7が形成された状態が維持されるので、前記樹脂筒2内への原水は、前記固定床7を通過する際に硬度分が除去され、前記軟水ライン6から軟水として取り出され、この軟水は、前記軟水使用機器へ供給されるものである(段落【0046】)。 ここで、前記樹脂筒2内への原水の通水を停止すると、原水の流れがなくなり、前記イオン交換樹脂1を前記上部フィルタ3へ向けて押し付ける力がなくなるので、前記イオン交換樹脂1は落下し始め、前記イオン交換樹脂1全体が前記下部フィルタ4上に落下すると、前記樹脂筒2内には、前記上部空間が再び形成され、通水開始前の収容状態に戻るものであり、その後、前記軟水使用機器の運転の再開に応じて前記軟水器の運転を再開したり、塩水などの再生材を用いて前記イオン交換樹脂1の再生を行うものである(段落【0047】)。 更に、前記軟水器は、通水調整手段として循環ライン8を備えており、この循環ライン8は、前記樹脂筒2における原水流入部と処理水取出部、すなわち前記原水ライン5と前記軟水ライン6との間に接続されており、前記循環ライン8には、前記軟水ライン6側から逆止弁9及び循環ポンプ10が設けられており、前記逆止弁9は、前記軟水ライン6から前記原水ライン5への流れを許容し、前記原水ライン5から前記軟水ライン6への流れを遮断するようになっており、前記循環ポンプ10は、前記軟水ライン6から前記原水ライン5へ軟水を循環させるようになっており、また、前記循環ポンプ10は、前記循環ライン8内の軟水(以下、「循環水」という)を所定流量以上の流量で循環させることができるようになっており、この所定流量は、前記樹脂筒2内へ流入した循環水の流速が前記イオン交換樹脂1全体で形成された前記固定床7を維持し得る流速以上となるように、前記樹脂筒2の流路断面積に応じて求められた流量であり、更に、前記循環ポンプ10は、回転数の調整などによって、循環水の流量を調整することができるようになっているものである(段落【0048】~【0049】)。 また、前記軟水ライン6における前記循環ライン8の接続部よりも下流側には、制御弁11が設けられており、この制御弁11は、開閉式の制御弁であって、前記軟水器への原水の供給を停止しているとき、すなわち前記軟水器からの軟水の取出しを停止しているとき、前記循環ライン8内の循環水が、前記軟水ライン6の下流側の前記軟水使用機器へ供給されるのを防止し、前記循環ライン8と前記樹脂筒2との間を確実に循環させるために設けられているものである(段落【0050】)。 更に、前記循環ポンプ10及び前記制御弁11は、回線12を介して制御器13にそれぞれ接続されており、前記原水ライン5における前記循環ライン8の接続部よりも上流側には、前記軟水器への原水の供給状態を検出するための流れ検出手段として、流量センサ14が設けられており、この流量センサ14も前記回線12を介して前記制御器13に接続されており、前記制御器13は、予め設定されたプログラムにしたがい、前記流量センサ14からの流れの検出信号に基づいて、前記循環ポンプ10を制御するとともに、前記制御弁11を開閉制御することにより、前記樹脂筒2内における原水の流量を調整するようになっているものである(段落【0051】~【0052】)。 そして、前記軟水器における前記イオン交換樹脂1の再生後、前記制御器13は、前記流量センサ14からの検出信号に基づいて、前記軟水器への原水の供給状態を監視しているものであり、前記流量センサ14からの検出信号に基づいて、前記原水ライン5から前記軟水器へ原水が供給されたことが検出されると、前記循環ポンプ10を作動させるとともに、前記制御弁11を開状態に切り替えるものであり、このとき、前記循環ポンプ10は、前記所定流量以上の流量、好ましくは前記循環ポンプ10で可能な最大流量で循環水を循環するように制御されるものであり、すると、前記原水ライン5から前記樹脂筒2内へ流入した原水は、前記樹脂筒2内の前記イオン交換樹脂1を押し上げながら、前記樹脂筒2内を上方へ向かって流れ、前記イオン交換樹脂1との接触によって硬度分が除去され、軟水となって、前記軟水ライン6から取り出され、前記軟水使用機器へ供給されるものであり、前記軟水ライン6へ流入した軟水の一部は、循環水として前記循環ライン8を介して前記原水ライン5へ流入し、前記原水ライン5内の原水とともに、前記樹脂筒2内へ流入するため、前記原水ライン5からの原水の流量に対して、前記樹脂筒2内における原水の流量が増加することとなり、前記樹脂筒2内における原水の流速が増加するものであり、この流速が増加した原水により、前記樹脂筒2内の前記イオン交換樹脂1全体が速やかに上方へ移動し、前記イオン交換樹脂1の移動は、短時間で行われるから、その際に前記イオン交換樹脂1がほとんど撹拌されることがないので、破過した樹脂と未破過の樹脂とが混ざり合っていない、すなわち前記再配列現象の生じていない前記固定床7が形成されるものである(段落【0054】~【0056】)。 次に、前記制御器13は、前記軟水器への原水の供給が開始されてから所定時間経過後、前記制御弁11を開状態としたまま、前記循環ポンプ10を停止させるものであり、前記所定時間は、前記循環ライン8からの循環水によって、前記樹脂筒2内における原水の流速を増加させたときに、前記固定床7が形成されるのに必要な時間に基づいて設定された時間であり、以後、前記軟水器へ原水を供給することによって、前記樹脂筒2内への通水を継続することにより、前記固定床7が形成された状態が維持され、この通水の間、前記樹脂筒2内への原水は、前記再配列現象の生じていない前記固定床7を通過するため、硬度分が充分に除去された純度の高い軟水として、前記軟水使用機器へ供給されるものである(段落【0057】)。 更に、前記軟水器からの軟水の取出しを停止した場合、前記制御器13は、前記流量センサ14からの検出信号に基づいて、前記軟水器への原水の供給が停止されたことを検出すると、前記循環ポンプ10を作動させるとともに、前記制御弁11を閉状態に切り替え、また、前記制御器13は、前記循環ポンプ10の制御により、前記循環ライン8内の循環水の流量が前記所定流量となるように調整するものであり、すると、前記樹脂筒2からの軟水は、前記軟水使用機器への供給が停止されるので、前記循環ポンプ10の作動により、循環水として前記樹脂筒2と前記循環ライン8との間を循環し、前記樹脂筒2の下部から原水として流入し、このとき、循環水は、前記所定流量で前記樹脂筒2と前記循環ライン8との間を前記所定流量で循環しているので、前記軟水器への原水の供給を停止している間も、前記固定床7が形成された状態が維持されるものである(段落【0058】~【0059】)。 そして、再度、前記軟水器への原水の供給を開始すると、前記制御器13は、前記流量センサ14からの検出信号に基づいて、前記制御弁11を開状態とするとともに、前記検出信号に基づく、原水の流量の検出結果に応じて、前記循環ポンプ10を次のように制御するものである。 すなわち、前記原水ライン5から前記樹脂筒2内へ流入する原水の流量が前記所定流量以上の場合には、前記循環ポンプ10を停止させるものであり、この場合には、前記樹脂筒2内へ流入する原水によって、前記固定床7が形成された状態を維持することができるものであり、一方、前記樹脂筒2内へ流入する原水の流量が前記所定流量よりも少ない場合には、前記循環ポンプ10を作動させたままの状態を維持するとともに、前記循環ポンプ10の制御により、前記循環ライン8内の循環水の流量を調整するものであり、この場合、前記循環ライン8内の循環水の流量は、前記所定流量に対して前記樹脂筒2内へ流入する原水の流量が不足する量を補うことができるように調整するものであり、すると、前記原水ライン5からの原水に前記循環ライン8からの循環水が加わることによって、前記樹脂筒2内における原水の流量が前記所定流量となるため、前記固定床7が形成された状態を維持することができるものである(段落【0060】~【0061】)。 更に、前記軟水器への原水の供給を行っているときに、この原水の流量が変化した場合、例えば、前記原水ライン5から前記樹脂筒2内へ流入する原水の流量が前記所定流量よりも減少した場合、前記流量センサ14からの検出信号に基づいて、原水の流量が前記所定流量よりも減少したと判断され、前記制御器13は、前記循環ポンプ10を作動させるとともに、前記循環ポンプ10の制御により、前記循環ライン8内の循環水の流量を調整するものであり、このとき、前記循環ライン8内の循環水の流量は、前記樹脂筒2内へ流入する原水の流量が前記所定流量に対して不足する量を補うことができるように調整するので、前記原水ライン5からの原水に前記循環ライン8からの循環水が加わることによって、前記樹脂筒2内における原水の流量が前記所定流量となるため、前記固定床が形成された状態を維持することができるものであり、原水の流量が前記所定流量以下の状態から増加した場合には、前記流量センサ14からの検出信号に基づいて、前記循環ポンプ10を制御し、原水の流量の増加に応じて、前記循環ライン8内の循環水の流量を減少させるものであり、そして、原水の流量が前記所定流量に達したとき、前記循環ポンプ10を停止させるものである(段落【0062】~【0064】)。 そして、以後は、前記原水ライン5からの原水の流量の変化に応じて、前記循環ポンプ10の作動と、前記循環ポンプ10による循環水の流量を調整することにより、前記樹脂筒2内における原水の流量を少なくとも前記所定流量に維持するように制御するものであり、すると、前記樹脂筒2内における原水の流速は、前記イオン交換樹脂1全体で前記固定床7が形成された状態を維持し得る流速以上となるため、前記固定床7が形成された状態が維持され、前記流動床の発生を防止することができるので、前記再配列現象の発生による軟水の純度低下を防止することができるものである(段落【0065】)。 ウ 前記イにおける水処理装置の運転方法に注目すると、甲第1号証には、以下の発明が記載されているといえる。 「処理材を介して原水の改質処理を行う水処理装置の運転方法であって、前記水処理装置は、通水開始時、前記処理材の収容部内における原水の流量を調整するとともに、前記水処理装置からの処理水の取出しを停止しているとき、前記収容部内への通水を継続する通水調整手段を備えている水処理装置であり、 前記通水調整手段が、前記収容部における原水流入部と処理水取出部との間に接続した循環ラインであり、 前記処理材が、イオン交換樹脂又は濾材であり、 前記水処理装置は、上向流通水方式の軟水器であり、前記軟水器は、イオン交換樹脂の収容部としての樹脂筒を備え、この樹脂筒は、ほぼ円筒形状であり、その軸線が上下方向となるように配置されており、前記樹脂筒内の上部には、前記イオン交換樹脂の流出を防止するための上部フィルタが設けられており、また下部にも前記上部フィルタと同様の下部フィルタが設けられており、この下部フィルタ上には、前記イオン交換樹脂が前記樹脂筒内の所定の高さ位置まで収容されており、この所定の高さ位置は、前記イオン交換樹脂の膨潤による体積の増加を考慮して決められた高さであり、したがって、前記イオン交換樹脂の層の上部と、前記上部フィルタとの間には、所定高さの上部空間が存在することとなるものであり、 前記樹脂筒の下部には、前記樹脂筒内へ原水を供給するための原水ラインが接続されており、前記樹脂筒の上部には、前記樹脂筒内から処理水としての軟水を取り出すための軟水ラインが接続されており、この軟水ラインの下流側には、ボイラなどの軟水使用機器が接続されているものであり、 前記水処理装置の運転方法は、前記軟水器への原水の供給が開始されると、この原水は、前記原水ラインを介して前記樹脂筒内へ流入し、前記樹脂筒内の前記イオン交換樹脂は、前記樹脂筒内へ流入した原水の流れによって押し上げられ、前記イオン交換樹脂全体が浮上して、前記イオン交換樹脂全体が前記上部フィルタへ押し付けられ、前記イオン交換樹脂の固定床が形成された状態となるものであり、 前記樹脂筒内への通水を継続している間、前記樹脂筒内には、前記固定床が形成された状態が維持されるので、前記樹脂筒内への原水は、前記固定床を通過する際に硬度分が除去され、前記軟水ラインから軟水として取り出され、この軟水は、前記軟水使用機器へ供給されるものであり、 前記樹脂筒内への通水を停止すると、原水の流れがなくなり、前記イオン交換樹脂を前記上部フィルタへ向けて押し付ける力がなくなるので、前記イオン交換樹脂は落下し始め、前記イオン交換樹脂全体が前記下部フィルタ上に落下すると、前記樹脂筒内には、前記上部空間が再び形成され、通水開始前の収容状態に戻るものであり、その後、前記軟水使用機器の運転の再開に応じて前記軟水器の運転を再開したり、塩水などの再生材を用いて前記イオン交換樹脂の再生を行うものであり、 前記軟水器は、通水調整手段として循環ラインを備えており、この循環ラインは、前記樹脂筒における原水流入部と処理水取出部、すなわち前記原水ラインと前記軟水ラインとの間に接続されており、前記循環ラインには、前記軟水ライン側から逆止弁及び循環ポンプが設けられており、前記逆止弁は、前記軟水ラインから前記原水ラインへの流れを許容し、前記原水ラインから前記軟水ラインへの流れを遮断するようになっており、 前記循環ポンプは、前記軟水ラインから前記原水ラインへ軟水を循環させるようになっており、また、前記循環ポンプは、前記循環ライン内の軟水(以下、「循環水」という。)を所定流量以上の流量で循環させることができるようになっており、この所定流量は、前記樹脂筒内へ流入した循環水の流速が前記イオン交換樹脂全体で形成された前記固定床を維持し得る流速以上となるように、前記樹脂筒の流路断面積に応じて求められた流量であり、更に、前記循環ポンプは、回転数の調整などによって、循環水の流量を調整することができるようになっているものであり、 前記軟水ラインにおける前記循環ラインの接続部よりも下流側には、制御弁が設けられており、この制御弁は、開閉式の制御弁であって、前記軟水器への原水の供給を停止しているとき、すなわち前記軟水器からの軟水の取出しを停止しているとき、前記循環ライン内の循環水が、前記軟水ラインの下流側の前記軟水使用機器へ供給されるのを防止し、前記循環ラインと前記樹脂筒との間を確実に循環させるために設けられているものであり、 前記循環ポンプ及び前記制御弁は、回線を介して制御器にそれぞれ接続されており、前記原水ラインにおける前記循環ラインの接続部よりも上流側には、前記軟水器への原水の供給状態を検出するための流れ検出手段として、流量センサが設けられており、この流量センサも前記回線を介して前記制御器に接続されており、前記制御器は、予め設定されたプログラムにしたがい、前記流量センサからの流れの検出信号に基づいて、前記循環ポンプを制御するとともに、前記制御弁を開閉制御することにより、前記樹脂筒内における原水の流量を調整するようになっているものであり、 前記軟水器における前記イオン交換樹脂の再生後、前記制御器は、前記流量センサからの検出信号に基づいて、前記軟水器への原水の供給状態を監視しているものであり、前記流量センサからの検出信号に基づいて、前記原水ラインから前記軟水器へ原水が供給されたことが検出されると、前記循環ポンプを作動させるとともに、前記制御弁を開状態に切り替えるものであり、このとき、前記循環ポンプは、前記所定流量以上の流量、好ましくは前記循環ポンプで可能な最大流量で循環水を循環するように制御されるものであり、すると、前記原水ラインから前記樹脂筒内へ流入した原水は、前記樹脂筒内の前記イオン交換樹脂を押し上げながら、前記樹脂筒内を上方へ向かって流れ、前記イオン交換樹脂との接触によって硬度分が除去され、軟水となって、前記軟水ラインから取り出され、前記軟水使用機器へ供給されるものであり、 前記軟水ラインへ流入した軟水の一部は、循環水として前記循環ラインを介して前記原水ラインへ流入し、前記原水ライン内の原水とともに、前記樹脂筒内へ流入するため、前記原水ラインからの原水の流量に対して、前記樹脂筒内における原水の流量が増加することとなり、前記樹脂筒内における原水の流速が増加するものであり、この流速が増加した原水により、前記樹脂筒内の前記イオン交換樹脂全体が速やかに上方へ移動し、前記イオン交換樹脂の移動は、短時間で行われるから、その際に前記イオン交換樹脂がほとんど撹拌されることがないので、破過した樹脂と未破過の樹脂とが混ざり合っていない、すなわち再配列現象の生じていない前記固定床が形成されるものであり、 前記制御器は、前記軟水器への原水の供給が開始されてから所定時間経過後、前記制御弁を開状態としたまま、前記循環ポンプを停止させるものであり、前記所定時間は、前記循環ラインからの循環水によって、前記樹脂筒内における原水の流速を増加させたときに、前記固定床が形成されるのに必要な時間に基づいて設定された時間であり、以後、前記軟水器へ原水を供給することによって、前記樹脂筒内への通水を継続することにより、前記固定床が形成された状態が維持され、この通水の間、前記樹脂筒内への原水は、前記再配列現象の生じていない前記固定床を通過するため、硬度分が充分に除去された純度の高い軟水として、前記軟水使用機器へ供給されるものであり、 前記軟水器からの軟水の取出しを停止した場合、前記制御器は、前記流量センサからの検出信号に基づいて、前記軟水器への原水の供給が停止されたことを検出すると、前記循環ポンプを作動させるとともに、前記制御弁を閉状態に切り替え、また、前記制御器は、前記循環ポンプの制御により、前記循環ライン内の循環水の流量が前記所定流量となるように調整するものであり、すると、前記樹脂筒からの軟水は、前記軟水使用機器への供給が停止されるので、前記循環ポンプの作動により、循環水として前記樹脂筒と前記循環ラインとの間を循環し、前記樹脂筒の下部から原水として流入し、このとき、循環水は、前記所定流量で前記樹脂筒と前記循環ラインとの間を前記所定流量で循環しているので、前記軟水器への原水の供給を停止している間も、前記固定床が形成された状態が維持されるものであり、 再度、前記軟水器への原水の供給を開始すると、前記制御器は、前記流量センサからの検出信号に基づいて、前記制御弁を開状態とするとともに、前記検出信号に基づく、原水の流量の検出結果に応じて、前記循環ポンプを次のように制御するものであり、 すなわち、前記原水ラインから前記樹脂筒内へ流入する原水の流量が前記所定流量以上の場合には、前記循環ポンプを停止させるものであり、この場合には、前記樹脂筒内へ流入する原水によって、前記固定床が形成された状態を維持することができるものであり、一方、前記樹脂筒内へ流入する原水の流量が前記所定流量よりも少ない場合には、前記循環ポンプを作動させたままの状態を維持するとともに、前記循環ポンプの制御により、前記循環ライン内の循環水の流量を調整するものであり、この場合、前記循環ライン内の循環水の流量は、前記所定流量に対して前記樹脂筒内へ流入する原水の流量が不足する量を補うことができるように調整するものであり、すると、前記原水ラインからの原水に前記循環ラインからの循環水が加わることによって、前記樹脂筒内における原水の流量が前記所定流量となるため、前記固定床が形成された状態を維持することができるものであり、 前記軟水器への原水の供給を行っているときに、この原水の流量が変化した場合、例えば、前記原水ラインから前記樹脂筒内へ流入する原水の流量が前記所定流量よりも減少した場合、前記流量センサからの検出信号に基づいて、原水の流量が前記所定流量よりも減少したと判断され、前記制御器は、前記循環ポンプを作動させるとともに、前記循環ポンプの制御により、前記循環ライン内の循環水の流量を調整するものであり、このとき、前記循環ライン内の循環水の流量は、前記樹脂筒内へ流入する原水の流量が前記所定流量に対して不足する量を補うことができるように調整するので、前記原水ラインからの原水に前記循環ラインからの循環水が加わることによって、前記樹脂筒内における原水の流量が前記所定流量となるため、前記固定床が形成された状態を維持することができるものであり、 原水の流量が前記所定流量以下の状態から増加した場合には、前記流量センサからの検出信号に基づいて、前記循環ポンプを制御し、原水の流量の増加に応じて、前記循環ライン内の循環水の流量を減少させ、原水の流量が前記所定流量に達したとき、前記循環ポンプを停止させるものであり、 以後は、前記原水ラインからの原水の流量の変化に応じて、前記循環ポンプの作動と、前記循環ポンプによる循環水の流量を調整することにより、前記樹脂筒内における原水の流量を少なくとも前記所定流量に維持するように制御するものであり、すると、前記樹脂筒内における原水の流速は、前記イオン交換樹脂全体で前記固定床が形成された状態を維持し得る流速以上となるため、前記固定床が形成された状態が維持され、前記流動床の発生を防止することができるので、前記再配列現象の発生による軟水の純度低下を防止することができるものである、水処理装置の運転方法。」(以下、「甲1発明」という。) (2) 甲第2号証の記載事項 甲第2号証には、以下のア~エの記載がある。 ア 「【特許請求の範囲】 ・・・ 【請求項3】軟水器へ原水を導入する原水配管と軟水器より軟水タンクへ軟水を送る軟水配管を軟水器へ接続し、軟水器内のイオン交換樹脂によって軟化処理を行う構成で、軟水器への通水は断続的に行われる軟水器システムにおいて、軟水タンク内水位を複数の高さで検出する水位検出装置と、軟水器への通水量を増減する通水量調整手段をそれぞれ設け、軟水タンク内水位が低位側の水位検出部よりも低い場合には軟水器への通水量を最大とし、水位が低位側水位検出部と高位側水位検出部の間にある場合には、軟水器への通水量を減少させることを特徴とする硬度漏れ防止軟水器システム。」 イ 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明はイオン交換樹脂を使用する軟水器に関するものであり、詳しくは軟水器の樹脂層への通水が停止することによって発生する硬度漏れを防止することのできる軟水器システムに関するものである。 【0002】 【従来の技術】ボイラー用給水など水の軟化処理を行う必要がある場合、軟化処理にはイオン交換樹脂の間を通水させることで硬度成分を除去する軟水器が広く使用されている。ところが、この軟水器の場合、樹脂層に通水が行われていないと硬度もれを起こしてしまい、軟水供給再開時には硬度漏れを起こした水が軟水使用機器へ送られていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、硬度漏れを起こした水が給水されることを防止することができる軟水器システムを提供することにある。 ・・・ 【0011】図3は請求項3に関する一実施例のフロー図であり、図4は一実施例でのタイムチャートである。軟水器(3)へ原水を供給する原水配管(1)と、軟水器(3)より軟水を取り出し軟水タンク(9)へ送る軟水配管(2)が設けられており、軟水配管(2)途中に開度を全開・半開・全閉に調整することのできる通水量制御弁(11)を設ける。また、軟水タンク(9)には通水停止水位E1および通水減少水位E2の異なる高さで水の有無を検出する水位検出装置(10)が設けられており、通水量制御弁(11)の開度を調整する制御装置(8)は、軟水タンク(9)の水位によって通水量制御弁(11)の開度を調整する。 【0012】水位検出装置(10)によって、水位E1で水無し、水位E2で水有りが検出された時、制御装置(8)は通水量制御弁(11)の開度を半開とし、少量の通水を行う。水位が上昇し、水位E1でも水有りが検出されると通水量制御弁(11)を閉じ通水を遮断する。逆に水位が低下し水位E2が水無しを検出した場合には通水制御弁を全開し、軟水量を確保する。通水量制御弁(11)を半開にし、少量の通水を行わせることで、通水を停止する時間を短くすることができ、硬度漏れは発生しにくくなる。」 ウ 「【図3】 [図:0001433102000004.jpg] 」 エ 「【図4】 [図:0001433102000005.jpg] 」 (3) 甲第3号証の記載事項 甲第3号証には、以下のア~エの記載がある。 ア 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 逆浸透膜と電気脱イオン装置と前記電気脱イオン装置の前段に設けられた給水ポンプとを有する一次純水システムと、前記電気脱イオン装置の後段に配置された水位計測手段が付設された貯水タンクと、前記一次純水システムで製造された一次純水をさらに処理するサブシステムとを備えた超純水製造装置の制御方法であって、 前記水位計測手段で計測される貯水タンクの水位を略一定に保持するように前記電気脱イオン装置に供給する給水の水量を制御する、超純水製造装置の制御方法。」 イ 「【0003】 例えば、図1に示すように、超純水製造装置1は、前処理装置2、一次純水製造装置3、及び二次純水製造装置(サブシステム)4といった3段の装置で構成されている。このような超純水製造装置1の前処理装置2では、原水Wの濾過、凝集沈殿、精密濾過膜などによる前処理が施され、主に懸濁物質が除去される。 【0004】 一次純水製造装置3は、前処理水W1を処理する逆浸透膜装置5と、脱気膜装置6と、紫外線酸化装置7と、電気脱イオン装置9と、この電気脱イオン装置9に給水を供給する給水ポンプ8とを有する。この一次純水製造装置3で前処理水W1中の大半の電解質、微粒子、生菌等の除去を行うとともに有機物を分解する。 ・・・ 【0006】 上述したような超純水製造装置1では、所定の水質の一次純水を安定して供給するために、あらかじめ過剰量の一次純水W2を製造して、サブタンク11に必要量のみ供給し、余剰分は循環利用するなどの制御を行っていた。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 しかしながら、上述したような超純水製造装置1の従来の制御方法では、電気脱イオン装置9などに必要量以上の給水を供給して処理することになるので、エネルギー効率の点で改善の余地があった。そこで、一次純水製造装置3の処理量をユースポイント15の使用量に応じて電気脱イオン装置9の処理量を変動させることが考えられるが、ユースポイント15での使用量の変動に追従するのが困難であるばかりか、電気脱イオンでの脱塩水の水質の低下をきたす、という問題点があった。 【0008】 本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、サブシステムでの使用量に応じて、一次純水を製造可能な超純水製造装置の制御方法を提供することを目的とする。」 ウ 「【0025】 (超純水製造装置の制御方法) 上述の超純水製造装置の制御方法について以下説明する。 図2に示すように給水W1を、給水ポンプ8を介して電気脱イオン装置9に供給する。このとき、レベルスイッチ21によりサブタンク11の水位を計測し、この水位データに基づき制御装置28は、この水位がほぼ一定の値(あらかじめ定めておいた基準値に対して所定の範囲であってもよい)より少なければ、給水W1の電気脱イオン装置9の送り流量を増やす一方、多ければ送り流量を減らすように給水ポンプ8をインバータ制御する。そして、この給水W1の水量に応じて、制御装置28により、コントロール弁23及びコントロール弁26を制御して、電気脱イオン装置9の脱塩水(一次純水)W2と濃縮水W5の流量を制御すればよい。例えば、濃縮水W5の水量を一定として、回収率が変動するように脱塩水(一次純水)W2の量を調整すればよい。 【0026】 このように電気脱イオン装置9の後段に配置された貯水タンクとしてのサブタンク11の水位に応じて、給水ポンプ8による電気脱イオン装置9への給水Wの送り水量を制御することにより、給水ポンプ8の駆動電力を削減することができるだけでなく、電気脱イオン装置9の運転効率を最適化することができ、これらにより超純水製造装置1の運転に要する電力量を削減することができる。」 エ 「【図2】 [図:0001433102000006.jpg] 」 2 特許法第29条第2項所定の規定違反(進歩性欠如)の判断 (1) 対比 ア 本件発明2と甲1発明とを対比すると、甲1発明における「下部フィルタ」、「上部フィルタ」、「イオン交換樹脂」及び「樹脂筒」は、それぞれ、本件発明2における「下側の透水性仕切板」、「上側の透水性仕切板」、「イオン交換樹脂の充填床」及び「イオン交換塔」に相当し、甲1発明において、「前記樹脂筒内の上部には、前記イオン交換樹脂の流出を防止するための上部フィルタが設けられており、また下部にも前記上部フィルタと同様の下部フィルタが設けられており、この下部フィルタ上には、前記イオン交換樹脂が前記樹脂筒内の所定の高さ位置まで収容されており」、「前記樹脂筒の下部には、前記樹脂筒内へ原水を供給するための原水ラインが接続されており、前記樹脂筒の上部には、前記樹脂筒内から処理水としての軟水を取り出すための軟水ラインが接続されており」、「前記軟水器への原水の供給が開始されると、この原水は、前記原水ラインを介して前記樹脂筒内へ流入し」、「硬度分が除去され、前記軟水ラインから軟水として取り出され」ることは、本件発明2において、「下側の透水性仕切板と上側の透水性仕切板との間にイオン交換樹脂の充填床を有するイオン交換塔に」、「原水を上向流にて通水し」「て脱イオン水を製造する」ことに相当し、甲1発明における「水処理装置の運転方法」は、前記「水処理装置」が「上向流通水方式の軟水器」であることからみれば、本件発明2における「上向流式イオン交換塔の運転方法」に相当する。 また、甲1発明において、「前記軟水器への原水の供給が開始」されたとき、「前記樹脂筒内の前記イオン交換樹脂」が、「前記樹脂筒内へ流入した原水の流れによって押し上げられ、前記イオン交換樹脂全体が浮上して、前記イオン交換樹脂全体が前記上部フィルタへ押し付けられ、前記イオン交換樹脂の固定床が形成された状態となる」ことは、「前記樹脂筒内の前記イオン交換樹脂」が「原水の流れによって押し上げられ」ることからみれば、このときの「原水」の「LV」は「該イオン交換塔内のイオン交換樹脂の充填床を押し上げるLV」といえるから、本件発明2における、「通水開始当初に、イオン交換塔内に、該イオン交換塔内のイオン交換樹脂の充填床を押し上げるLVにて原水を通水して、該イオン交換塔内のイオン交換樹脂の充填床を押し上げ、該充填床の上側の透水性仕切板に押し当ててイオン交換樹脂の固定床を形成する固定床形成工程」に相当する。 更に、甲1発明において、「前記樹脂筒内への通水を継続している間、前記樹脂筒内には、前記固定床が形成された状態が維持される」ことは、「原水」の「通水」によって「前記イオン交換樹脂の固定床が形成された状態が維持」されるのであるから、このときの「原水」の「LV」は「該固定床が維持される最小LVよりも大きいLV」といえるし、「前記樹脂筒内への通水を継続」する運転は「定常運転」といえるので、本件発明2において「その後、該固定床が維持される最小LVよりも大きいLVにて原水を通水」する「定常運転工程」に相当する。 また、甲1発明において、「前記樹脂筒内への通水を継続している間、前記樹脂筒内に」、「前記固定床が形成された状態が維持される」ことは、本件発明2において、「前記定常運転工程にあっては」、「前記イオン交換塔の固定床が維持されるように」「制御する」ことに相当する。 イ 前記アによれば、本件発明1と甲2発明とは、 「下側の透水性仕切板と上側の透水性仕切板との間にイオン交換樹脂の充填床を有するイオン交換塔に、原水を上向流にて通水して脱イオン水を製造する上向流式イオン交換塔の運転方法であって、 通水開始当初に、イオン交換塔内に、該イオン交換塔内のイオン交換樹脂の充填床を押し上げるLVにて原水を通水して、該イオン交換塔内のイオン交換樹脂の充填床を押し上げ、該充填床の上側の透水性仕切板に押し当ててイオン交換樹脂の固定床を形成する固定床形成工程と、 その後、該固定床が維持される最小LVよりも大きいLVにて原水を通水する定常運転工程とを有し、 前記定常運転工程にあっては、前記イオン交換塔の固定床が維持されるように制御する上向流式イオン交換塔の運転方法。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点:「上向流式イオン交換塔の運転方法」が、本件発明2においては、「原水」が「給水ポンプ(1)によって」「イオン交換塔」に「通水」され、「該イオン交換塔からの脱イオン水を配管(4)、第2ポンプ(5)、配管(6)、流量調整バルブ(7)及び配管(8)を介して脱イオン水タンク(9)に流入させて脱イオン水を製造する」ものであって、「前記配管(6)に流量計(11)が設けられている第1態様、又は前記配管(6)に圧力計(14)が設けられ且つ前記配管(8)に流量計(11)が設けられている第2態様となっており」、「前記定常運転工程」が、「脱イオン水の需要量に応じて原水の通水量を制御する」とともに、「前記イオン交換塔からの脱イオン水を流量調整バルブ(7)を介して脱イオン水タンク(9)に導入し、該脱イオン水タンク(9)から脱イオン水を脱イオン水の需要先に送水する」ものであり、「前記第1態様の前記定常運転工程にあっては、該脱イオン水タンク(9)内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブ(7)の開度を調整し、且つ流量調整バルブ(7)の開度が調整された後の流量計(11)の検出流量が所定範囲(イオン交換塔内で固定床が維持される流量)となるように、給水ポンプ(1)又は第2ポンプ(5)の送水量を制御し、前記第2態様の前記定常運転工程にあっては、該脱イオン水タンク(9)内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブ(7)の開度を調整し、且つ流量調整バルブ(7)の開度が調整された後の圧力計(14)の検出圧力と、流量計(11)の検出流量とのいずれか又は双方が所定範囲(イオン交換塔内で固定床が維持される範囲)となるように、給水ポンプ(1)及び第2ポンプ(5)の一方又は双方の回転数を制御する」ものであるのに対して、甲1発明においては、「原水」が「給水ポンプ(1)によって」「イオン交換塔」に「通水」されるものとはいえず、「該イオン交換塔からの脱イオン水を配管(4)、第2ポンプ(5)、配管(6)、流量調整バルブ(7)及び配管(8)を介して脱イオン水タンク(9)に流入させて脱イオン水を製造する」ものではなく、「前記配管(6)に流量計(11)が設けられている第1態様、又は前記配管(6)に圧力計(14)が設けられ且つ前記配管(8)に流量計(11)が設けられている第2態様となっており」、「前記定常運転工程」が、「脱イオン水の需要量に応じて原水の通水量を制御する」とともに、「前記イオン交換塔からの脱イオン水を流量調整バルブ(7)を介して脱イオン水タンク(9)に導入し、該脱イオン水タンク(9)から脱イオン水を脱イオン水の需要先に送水する」ものであり、「前記第1態様の前記定常運転工程にあっては、該脱イオン水タンク(9)内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブ(7)の開度を調整し、且つ流量調整バルブ(7)の開度が調整された後の流量計(11)の検出流量が所定範囲(イオン交換塔内で固定床が維持される流量)となるように、給水ポンプ(1)又は第2ポンプ(5)の送水量を制御し、前記第2態様の前記定常運転工程にあっては、該脱イオン水タンク(9)内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブ(7)の開度を調整し、且つ流量調整バルブ(7)の開度が調整された後の圧力計(14)の検出圧力と、流量計(11)の検出流量とのいずれか又は双方が所定範囲(イオン交換塔内で固定床が維持される範囲)となるように、給水ポンプ(1)及び第2ポンプ(5)の一方又は双方の回転数を制御する」ものでもない点。 なお、本件発明2における「給水ポンプ(1)」、「第2ポンプ(5)」、「流量調整バルブ(7)」、「脱イオン水タンク(9)」、「流量計(11)」及び「圧力計(14)」といった部材の構成と、「定常運転工程」における制御の態様とは、密接に関連して一体不可分のものといえるから、これらを一体のものとして相違点とするのが妥当であるので、本件発明2と甲1発明との間の相違点を前記のとおりに認定した。 (2) 判断 ア 以下、前記(1)イの相違点の容易想到性について検討すると、前記1(2)ア~エの記載によれば、甲第2号証に記載された硬度漏れ防止軟水器システムにおける軟水器(3)は、イオン交換樹脂を使用するものであるから、「イオン交換塔」といえ、軟水配管(2)の途中に設けられた、開度を全開・半開・全閉に調整することのできる通水量制御弁(11)は、「イオン交換塔からの脱イオン水」の流量を調整する「流量調整バルブ」といえ、軟水タンク(9)は、「脱イオン水タンク」といえ、硬度漏れ防止軟水器システムにおいて、前記通水量制御弁(11)を設けた軟水配管(2)により、軟水器(3)より軟水を取り出して軟水タンク(9)へ送ることは、「イオン交換塔からの脱イオン水を流量調整バルブ」「を介して脱イオン水タンク」「に導入」することといえる。 また、前記硬度漏れ防止軟水器システムにおいて、脱イオン水を軟水使用機器へ送ることは、「該脱イオン水タンク」「から脱イオン水を脱イオン水の需要先に送水する」ことといえる。 更に、前記硬度漏れ防止軟水器システムにおいて、軟水タンク(9)に通水停止水位E1及び通水減少水位E2の異なる高さで水の有無を検出する水位検出装置(10)が設けられており、通水量制御弁(11)の開度を調整する制御装置(8)は、軟水タンク(9)の水位によって通水量制御弁(11)の開度を調整し、水位検出装置(10)によって、水位E1で水無し、水位E2で水有りが検出された時、制御装置(8)は通水量制御弁(11)の開度を半開とし、少量の通水を行い、水位が上昇し、水位E1でも水有りが検出されると通水量制御弁(11)を閉じ通水を遮断し、逆に水位が低下し水位E2が水無しを検出した場合には通水制御弁を全開し、軟水量を確保することは、軟水タンク(9)内の水位が水位E1及び水位E2の間の所定範囲となるように、通水量制御弁(11)の開度を制御するものといえるから、「該脱イオン水タンク内の水位が所定範囲となるように」、「該流量調整バルブの開度を調整」することといえる。 そして、前記硬度漏れ防止軟水器システムは、そうすることにより、硬度漏れを防止することができるものである。 イ 前記アによれば、甲第2号証には、「イオン交換塔」の運転において、「前記イオン交換塔からの脱イオン水を流量調整バルブ」「を介して脱イオン水タンク」「に導入し、該脱イオン水タンク」「から脱イオン水を脱イオン水の需要先に送水」し、更に「該脱イオン水タンク」「内の水位が所定範囲となるように」、「該流量調整バルブ」「の開度を調整」することにより、硬度漏れを防止することができることが開示されているといえる。 ところが、甲第2号証には、そこから進んで、「原水」を「給水ポンプ(1)によって」「イオン交換塔」に「通水」し、「該イオン交換塔からの脱イオン水を配管(4)、第2ポンプ(5)、配管(6)、流量調整バルブ(7)及び配管(8)を介して脱イオン水タンク(9)に流入させて脱イオン水を製造する」ものとし、「前記配管(6)に流量計(11)が設けられている第1態様、又は前記配管(6)に圧力計(14)が設けられ且つ前記配管(8)に流量計(11)が設けられている第2態様となっており」、「前記定常運転工程」を、「前記第1態様の前記定常運転工程にあっては、該脱イオン水タンク(9)内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブ(7)の開度を調整し、且つ流量調整バルブ(7)の開度が調整された後の流量計(11)の検出流量が所定範囲(イオン交換塔内で固定床が維持される流量)となるように、給水ポンプ(1)又は第2ポンプ(5)の送水量を制御し、前記第2態様の前記定常運転工程にあっては、該脱イオン水タンク(9)内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブ(7)の開度を調整し、且つ流量調整バルブ(7)の開度が調整された後の圧力計(14)の検出圧力と、流量計(11)の検出流量とのいずれか又は双方が所定範囲(イオン交換塔内で固定床が維持される範囲)となるように、給水ポンプ(1)及び第2ポンプ(5)の一方又は双方の回転数を制御する」ものとすることは、記載も示唆もされていないから、甲1発明を、前記相違点に係る本件発明2の発明特定事項を有するものとすることは、甲第2号証に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得ることではない。 ウ また、前記1(3)ア~エの甲第3号証の記載事項によれば、甲第3号証には、超純水製造装置の制御方法において、電気脱イオン装置9の後段に配置された貯水タンクとしてのサブタンク11の水位に応じて、給水ポンプ8による電気脱イオン装置9への給水Wの送り水量を制御することにより、給水ポンプ8の駆動電力を削減することができるだけでなく、電気脱イオン装置9の運転効率を最適化することができ、これらにより超純水製造装置1の運転に要する電力量を削減することができることが記載されているに過ぎないから、「イオン交換塔」の運転において、前記相違点に係る発明特定事項が記載も示唆もされていないことは、甲第2号証と変わりはない。 そうすると、前記相違点に係る本件発明2の発明特定事項が、甲第2~3号証を引用して、本件特許の出願日当時の周知技術であるということはできないから、甲1発明を、前記相違点に係る本件発明2の発明特定事項を有するものとすることは、本件特許の出願日当時の周知技術(甲第2~3号証を引用)に基づいて当業者が容易になし得ることではない。 エ 前記イ及びウによれば、甲1発明を、前記相違点に係る本件発明2の発明特定事項を有するものとすることは、甲第2号証に記載された事項に基づいて、又は、本件特許の出願日当時の周知技術(甲第2~3号証を引用)に基づいて、当業者が容易になし得ることではないから、本件発明2は、甲1発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、又は、甲1発明及び本件特許の出願日当時の周知技術(甲第2~3号証を引用)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 更に、本件発明3は本件発明2の発明特定事項を全て有するものであるから、本件発明3について検討しても事情は同じである。 (3) 申立人の主張について ア 申立人意見書における申立人の主張は、概略、以下のとおりである。 (ア) 本件発明2の「該イオン交換塔からの脱イオン水を配管(4)、第2ポンプ(5)、配管(6)、流量調整バルブ(7)及び配管(8)を介して脱イオン水タンク(9)に流入させ」る、との発明特定事項(以下、「発明特定事項1」という。)について、甲第2号証には、図1に示されるように、軟水機3から軟水タンク9の間に、軟水配管2及び通水制御弁4が設置されており、甲第2号証の軟水配管2は、本件発明2における「配管(4)」、「配管(6)」及び「配管(8)」に相当し、甲第2号証の通水制御弁4は、本件発明2における「流量調整バルブ(7)」に相当し、甲第2号証の軟水タンク9は、本件発明2における「脱イオン水タンク(9)」に相当する。 また、本件発明2の「第2ポンプ(5)」については、イオン交換塔から排出された処理水をポンプによってタンクに供給することは当業者が通常行う範囲のことといえるから、甲1発明を前記発明特定事項1を有するものとすることは、当業者にとって容易である。 (イ) 本件発明2の「前記配管(6)に流量計(11)が設けられている第1態様、又は前記配管(6)に圧力計(14)が設けられ且つ前記配管(8)に流量計(11)が設けられている第2態様となって」いる、との発明特定事項(以下、「発明特定事項2」という。)について、配管に流量計や圧力計を設置して、配管に流れる水の流量や圧力を計測できるようにすることは、下記参考資料1~3に記載されているとおり、本件特許の出願日当時の周知技術であるから、甲1発明を前記発明特定事項2を有するものとすることは、当業者にとって容易である。 (ウ) 本件発明2の「前記第1態様の前記定常運転工程にあっては、該脱イオン水タンク(9)内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブ(7)の開度を調整し、且つ流量調整バルブ(7)の開度が調整された後の流量計(11)の検出流量が所定範囲(イオン交換塔内で固定床が維持される流量)となるように、給水ポンプ(1)又は第2ポンプ(5)の送水量を制御し、前記第2態様の前記定常運転工程にあっては、該脱イオン水タンク(9)内の水位が所定範囲となるように、かつ前記イオン交換塔の固定床が維持されるように、該流量調整バルブ(7)の開度を調整し、且つ流量調整バルブ(7)の開度が調整された後の圧力計(14)の検出圧力と、流量計(11)の検出流量とのいずれか又は双方が所定範囲(イオン交換塔内で固定床が維持される範囲)となるように、給水ポンプ(1)及び第2ポンプ(5)の一方又は双方の回転数を制御する」、との発明特定事項(以下、「発明特定事項3」という。)について、令和7年7月29日付けの取消理由通知書(以下、「取消理由通知書」という。)の第2の3(1)ア(イ)には、「本件発明1と甲1発明とは、「・・・該固定床が維持される最小LVよりも大きいLVにて原水を通水する定常運転工程・・・」の点で一致」することが記載され、同第2の3(2)エには、「前記ウによれば、甲第2号証には、「イオン交換塔」の運転において、「前記イオン交換塔からの脱イオン水を流量調整バルブを介して脱イオン水タンクに導入し、該脱イオン水タンクから脱イオン水を脱イオン水の需要先に送水」し、更に「該脱イオン水タンク内の水位が所定範囲となるように」、「該流量調整バルブの開度及び/又は前記給水ポンプを制御する」・・・ことが開示されているといえる。」と記載され、更に、「給水ポンプ」や「第2ポンプ」は、本件特許の出願時における周知技術である。 してみると、「定常運転工程」を実施する際に、「脱イオン水タンク」内の水位が所定範囲となるように、かつ前記「イオン交換塔」の「固定床」が維持されるように、「流量調整バルブ」の「開度を調整する」ことは容易であるし、「流量調整バルブ」の「調整」後、周知技術である「給水ポンプ」及び「第2ポンプ」を「イオン交換塔内で固定床が維持される」範囲で制御することは当然に行われることといえる。 また、ポンプの制御は「送水量」や「回転数」の制御であることは当たり前のことであり、バルブ及びポンプにより「イオン交換塔内で固定床が維持される」範囲で制御されれば、「流量計」の「検出流量」や「圧力計」の「検出圧力」が「イオン交換塔内で固定床が維持される」範囲となることも当たり前のことであるから、甲1発明を前記発明特定事項3を有するものとすることは、甲1発明と甲第2号証に記載された事項の組合せにより、当業者が容易になし得ることである。 (エ) したがって、本件発明2~3は、依然として進歩性を有しない。 参考資料1:特開2023-3198号公報 参考資料2:特開2023-34710号公報 参考資料3:特開2010-201325号公報 イ 事案に鑑み、始めに、前記ア(ウ)の主張について検討すると、前記ア(ウ)の主張は、総じて、「イオン交換塔」の「配管」に、「給水ポンプ(1)」、「第2ポンプ(5)」、「流量計(11)」及び「圧力計(14)」を設けることは本件特許の出願時における周知技術であり、このことと、取消理由通知書の記載からみれば、甲第1号証に記載された発明を前記発明特定事項3を有するものとすることは容易想到であるので、本件発明2~3は進歩性を有しないことをいうものといえる。 ところが、「イオン交換塔」の「配管」に設けた「給水ポンプ(1)」、「第2ポンプ(5)」、「流量計(11)」及び「圧力計(14)」を、どのように組合せていかなる制御を行うかは、制御の目的等に応じて様々な態様となり得るものである。 そして、甲第1~2号証及び参考資料1~3(摘記は省略する)には、いずれも、前記発明特定事項3において特定された制御を行うことは記載されていないし、前記発明特定事項3において特定された制御を行うことが本件特許の出願時の周知技術であったことを裏付ける証拠もないから、仮に、「イオン交換塔」の「配管」に、「給水ポンプ(1)」、「第2ポンプ(5)」、「流量計(11)」及び「圧力計(14)」を設けることが本件特許の出願時における周知技術であるとしても、単にそれだけで、前記発明特定事項3において特定された制御を行うことが容易想到であるとはいえない。 また、取消理由通知書に記載されたように、本件発明2と甲1発明とが、該固定床が維持される最小LVよりも大きいLVにて原水を通水する定常運転工程の点で一致するとしても、更に、甲第2号証に、「イオン交換塔」の運転において、「前記イオン交換塔からの脱イオン水を流量調整バルブを介して脱イオン水タンクに導入し、該脱イオン水タンクから脱イオン水を脱イオン水の需要先に送水」し、更に「該脱イオン水タンク内の水位が所定範囲となるように」、「該流量調整バルブの開度及び/又は前記給水ポンプを制御する」ことが開示されているといえるとしても、甲第1~2号証及び参考資料1~3には、いずれも、前記発明特定事項3において特定された制御を行うことは記載されていないことに変わりはないから、甲第1号証に記載された発明を前記発明特定事項3を有するものとすることが、容易想到であるとはいえない。 したがって、前記発明特定事項3についての主張は、前記ア(ウ)の主張だけであるところ、前記ア(ウ)の主張は採用できないから、前記ア(ア)、(イ)の主張について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明、甲第2号証に記載された事項及び本件特許の出願時における周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないので、進歩性を有しないとはいえない。 更に、本件発明3について検討しても事情は同じである。 3 小括 よって、本件発明2~3は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、又は、甲第1号証に記載された発明及び本件特許の出願日当時の周知技術(甲第2~3号証を引用)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、前記第4の1の特許異議の申立て理由及び前記第5の取消理由はいずれも理由がない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、申立人の特許異議申立書に記載した特許異議の申立て理由及び取消理由通知書に記載した取消理由によっては、本件発明2~3に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明2~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件訂正により請求項1は削除されたから、請求項1に係る特許異議の申立てについては対象となる請求項が存在しなくなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700558

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