特許異議申立
2025-700251
ゴム組成物およびゴム組成物を加硫成形してなる防振ゴム
- 審判番号
- 2025-700251
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-159409
- 登録番号
- 7543051
- 請求日
- 2025年02月28日
- 審決日
- 2025年11月13日
- 公報発行日
- 2026年02月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】TOYO TIRE株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
- 【異議申立人】実川 栄一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 細井 龍史
- 審判官 浅野 裕之
- 審判官 藤井 勲
- 分類
- P1651.113-YAA(C08L) / P1651.121-YAA(C08L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7543051号発明「ゴム組成物およびゴム組成物を加硫成形してなる防振ゴム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7543051号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。
特許第7543051号の請求項1、3に係る特許を維持する。
特許第7543051号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7543051号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~3に係る特許についての出願は、令和2年9月24日を出願日とする出願(特願2020-159409号)であって、令和6年8月23日に特許権の設定登録(請求項の数:3)がされ、同年9月2日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許に対し、令和7年2月28日に、特許異議申立人である実川 栄一郎(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1~3)がされた。
その後の本件特許異議申立事件の主な手続の経緯は、次のとおりである。
令和7年 5月 8日付け 取消理由通知書
同年 6月27日提出 訂正請求書及び意見書(特許権者)
同年 7月17日付け 手続補正指令書(方式)
同年 同月31日提出 手続補正書(方式)
同年 8月 7日付け 通知書(申立人宛て)
同年 9月10日提出 意見書(申立人)
第2 訂正の適否
1 訂正請求書を補正する手続補正について
令和7年7月31日になされた、訂正請求書を補正する手続補正は、「3 訂正の請求に係る請求項の数」の欄における誤記、「6 請求の趣旨」の欄における誤記、「7 請求の理由」の欄における誤記、「8 指定立替納付」の欄の誤記、添付書類の「(1)訂正特許請求の範囲」における誤記を訂正したものであり、その要旨を変更するものでないから、上記補正を認める。
2 請求の趣旨
令和7年6月27日に提出され、同年7月31日に提出された手続補正書により補正された訂正請求書によって特許権者が行った訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを求める、というものである。
3 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は、訂正箇所であり、当審で付した。以下同様。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記ゴム組成物は、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、シランカップリング剤を1~10質量部含有するものであり、」
との限定事項を追加する訂正を行った。
請求項1の記載を引用する請求項3も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除した。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に、
「・・・である請求項1または2に記載の防振ゴム。」とあるのを、
「・・・である請求項1に記載の防振ゴム。」と訂正する。
(4)一群の請求項について
訂正前の請求項1~3について、請求項2、3は、それぞれ請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~3は一群の請求項である。
したがって、訂正前の請求項1~3に対応する訂正後の請求項1~3は、特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項である。
4 独立特許要件について
訂正前の請求項1~3の全てについて特許異議の申立てがなされているので、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)は課されない。
5 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項2の「前記ゴム組成物が、さらにシランカップリング剤を含有する」事項に限定するとともに、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の段落【0019】における「・・・ゴム組成物中のシランカップリング剤の配合量は、ゴム成分の全量100質量部に対して、0.5~20質量部であることが好ましく、1~10質量部であることが好ましい。」との記載に基づいて、シランカップリング剤の含有量を限定するものである。
そうすると、訂正事項1は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そして、訂正事項1の「シランカップリング剤」、及びその含有量は、上述のとおり訂正前の請求項2及び本件明細書の段落【0019】に記載された事項であるから、本件明細書に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また、上記訂正事項1に係る訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除する訂正であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そして、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)訂正事項3
訂正事項3は、訂正事項2によって請求項2が削除されたことに伴い、引用する請求項の数を減少させるものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
6 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5号及び第6項の規定に適合するものである。
したがって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の特許請求の範囲の記載
本件訂正請求は認められたから、請求項1~3に係る発明(以下、順に「本件発明1」等といい、まとめて「本件発明」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
ゴム成分および再生カーボンブラックを含有するゴム組成物を加硫成形してなる防振ゴムであって、
前記ゴム組成物は、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、シランカップリング剤を1~10質量部含有するものであり、
前記再生カーボンブラックは、灰分量が13質量%以上であることを特徴とする防振ゴム。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
前記ゴム組成物は、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、前記再生カーボンブラックの含有量が5~60質量部である請求項1に記載の防振ゴム。」
第4 特許異議申立書に記載された申立理由と当審において通知した取消理由書に記載された取消理由
1 特許異議申立書(以下、「申立書」という。)に記載された申立理由
(1)申立理由1(新規性欠如)
本件発明1、3は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができないものであり、その特許は同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)申立理由2(進歩性欠如)
本件発明2は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 証拠方法
(1)申立人による証拠方法
ア 申立書に添付した証拠方法
・甲第1号証:米国特許出願公開第2013/0281581号明細書及びその抄訳
・甲第2号証:ASTM D1229-03, ‘Standard Test Method for Rubber Property-Compression Set at Low Temperatures’2003年, ASTM International及びその抄訳
・甲第3号証:ASTM D395-03, ‘Standard Test Method for Rubber Property-Compression Set’2003年, ASTM International及びその抄訳
イ 令和7年9月10日提出の意見書に添付した証拠方法
・甲第4号証:”Questions And Answers On Recovered Carbon Black”, 2020年9月23日保存,
<URL:https://web.archive.org/web/20200923224451/https://wolfersdorff.com/questions-and-answers-on-recovered-carbon-black/>
・甲第5号証:特開2020-128548号公報
・甲第6号証:特表2018-522996号公報
・甲第7号証:特開2011-105870号公報
以下、甲第1号証等を、番号に従って「甲1」等という。
(2)当審において職権調査により発見した証拠方法
・引用文献1:天然ゴム(NR)、株式会社十川ゴム ウェブページ
<URL:https://www.togawa.co.jp/products/knowledge/type/naturalrubbernr.html>
以下、引用文献1を「引1」という。
3 取消理由通知書に記載した取消理由
当審において、令和7年5月8日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は以下のとおりである。
(1)取消理由1(甲1による新規性欠如)
本件特許の請求項1、3に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、3に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(2)取消理由2(甲1による進歩性欠如)
本件特許の請求項1~3に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~3に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
第5 当審の判断
以下に述べるように、当審において通知した取消理由、及び、申立書に記載された申立理由によっては、本件発明1、3に係る特許を取り消すことはできない。
そして、本件特許の請求項2は、上記訂正請求書による訂正の請求により削除され、この請求項に係る特許に対する申立人による特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
取消理由1(甲1による新規性欠如)及び取消理由2(甲1による進歩性欠如)を検討するにあたり、これらの理由は、第4の1の(1)申立理由1及び(2)申立理由2と同様に、甲1に基づくものであるから、併せて検討する。
1 本件発明の技術的意義について
本件発明1及び3は、防振ゴムとした時の低動倍率化及び耐引裂性の両立が可能であるゴム組成物、及び該ゴム組成物を原料として加硫成形することにより得られる防振ゴムを提供するという課題(【0009】)を解決することを目的とするものである。
そして、本件明細書には、ゴム成分及び再生カーボンブラックを含有するゴム組成物であって、前記再生カーボンブラックは、灰分量が13質量%以上であること(【0010】)、上記ゴム組成物はゴム成分及び再生カーボンブラックを含有し、かかる再生カーボンブラックの灰分量を13質量%以上とすることで、その加硫ゴムは低動倍率化及び耐引裂性の両立が可能となり、特に防振ゴム用途に好適に使用できること(【0014】)、灰分量が13質量%以上である再生カーボンブラックとすることで、表面の活性化度を高め、ゴム組成物中、さらには加硫ゴム中での再生カーボンブラックの分散性を向上させること(【0018】)、上記ゴム組成物にさらにシランカップリング剤を含有すること(【0011】)、灰分量が13質量%以上である再生カーボンブラックと共に、ゴム組成物中にシランカップリング剤を含有する場合、加硫ゴムの耐引裂性を維持しつつ、さらなる低動倍率化が可能となること(【0015】)、ゴム組成物中にシランカップリング剤を含有することで、ゴム組成物中、さらには加硫ゴム中での再生カーボンブラックの分散性を向上させること、得られる加硫ゴムの耐引裂性を維持しつつ、さらなる低動倍率化を図るためには、ゴム組成物中のシランカップリング剤の配合量は、ゴム成分の全量100質量部に対して、0.5~20質量部であることが好ましく、1~10質量部であることがより好ましいこと(【0019】)が記載されている。
そして、本件明細書の実施例では、比較例1を基準とし、つまりゴム成分及びカーボンブラックを含むゴム組成物の耐引裂性(大きい指数ほど好ましい)及び動倍率(低い指数ほど好ましい)を各々100としたときに、比較例2では、ゴム成分及び再生カーボンブラック(灰分量11.9%)を含有するゴム組成物の耐引裂性が102、動倍率が96となり、比較例3では、ゴム成分及び再生カーボンブラック(灰分量11.9質量%)を含有するゴム組成物において、ゴム成分の全量100質量部に対して3.5質量部のシランカップリング剤を併用するゴム組成物とすることで、耐引裂性が104、動倍率が95となっている一方で、実施例1~8では、ゴム成分及び再生カーボンブラック(灰分量が14質量%又は20質量%)を含有するゴム組成物の耐引裂性が124~186、動倍率が90~94となり、実施例9~13では、ゴム成分及び再生カーボンブラック(灰分量14質量%)を含有するゴム組成物において、ゴム成分の全量100質量部に対して1~3.5質量部のシランカップリング剤を併用するゴム組成物とすることで、耐引裂性が128~181、動倍率が85~92となっている。
同様に、比較例4では、ゴム成分及び再生カーボンブラック(灰分量11.9%)を含むゴム組成物の耐引裂性及び動倍率を各々100としたときに、実施例14では、ゴム成分及び再生カーボンブラック(灰分量14%)を含有するゴム組成物の耐引裂性が123、動倍率が95となり、実施例15では、ゴム成分及び再生カーボンブラック(灰分量14%)を含有するゴム組成物において、ゴム成分の全量100質量部に対して4.8質量部のシランカップリング剤とを併用するゴム組成物とすることで、耐引裂性が127、動倍率が89となっている。
これらの記載によると、本件発明1及び3は、ゴム成分及び再生カーボンブラックを含有するゴム組成物において、灰分量が13質量%以上である再生カーボンブラックを用い、さらに適量(ゴム成分の全量100質量部に対して1~10質量部)のシランカップリング剤を併用することで、防振ゴムとした時の低動倍率化及び耐引裂性の両立できるという、技術的意義を有するものである。
2 甲1に記載された発明
甲1は英語で記載されているため、甲1に記載された事項は抄訳の記載で示し、抄訳がない箇所については合議体による和訳を示す。
甲1の請求項1には、「1.少なくとも1種のポリマーと再生熱分解カーボンブラック(pCB)とを含むポリマー複合材料であって、pCBは多環式芳香族炭化水素(PAH)を約10μg/g未満で含む、ポリマー複合材料。」が記載されており、請求項12には、複合材として「振動減衰ゴムパッド複合材」が記載されている。
そして、甲1には、請求項1、12の具体例として、振動減衰(レールパッド)コンパウンドと、その配合処方が記載されている([0117]の表26及び表27)。
甲1の段落[0117]に、「鉄道分野(例えば地下鉄)における振動減衰用ゴムパッドコンパウンドが、N660又はN774 vCBおよびpCBバッチ2を使用して生成され、試験された。」と記載されていることを考慮すると、表27に記載された3つの振動減衰(レールパッド)コンパウンドのうち、「pCBバッチ2」とされているものは、表26の「pCBバッチ2」の配合処方によって得られたコンパウンドを評価したものであり、その評価項目のうち「圧縮永久ひずみ2」の評価は、表27脚注に記載された「2 ASTM D1229によるボタンの圧縮永久歪みの条件:25分間/300°Fで硬化させ、70時間/14°Fで経時させる。」という条件で評価したものである。
そして、甲1の段落[0070]の表4には、「pCBバッチ2」の灰分が16.3%であると記載されている。
これらのことからみて、表27の「pCBバッチ2」のコンパウンドにおいて、圧縮永久ひずみ2の評価において製造された「ボタン」に着目すると、甲1には次の発明が記載されていると認める。
「RSS1(リブドスモークシート)を100質量部、酸化亜鉛を5質量部、耐オゾン剤を3質量部、耐候性向上ワックスを2質量部、2-エチルヘキサン酸亜鉛を1質量部、灰分が16.3%のpCBバッチ2を20質量部、2-ベンゾチアゾリル-N-モルホリノスルフィドを1.2質量部、ビス(ジブチルチオカルボニル)ジスルフィドを0.5質量部、DPG(1,3-ジフェニルグアニジン)を0.5質量部、硫黄を0.5質量部含む配合処方のコンパウンドを、25分間/300°Fで硬化させ、70時間/14°Fで経時させ、ASTM D1229により測定した圧縮永久ひずみが2.5%である、振動減衰(レールパッド)コンパウンドのボタン。」(以下「甲1発明」という。)
3 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
ア 甲1発明の「RSS1(リブドスモークシート)」は、引1の2頁に「天然ゴムの品種の区分けには、外観的格付け(=色調、形状など)によるものと、技術的格付け(=物性面、ムーニー粘度など)によるものがあります。代表的なものにはRSS1(1号天然ゴム)やRSS3(3号天然ゴム)など(RSS:Ribbed Smoked Sheet=薫煙されたシート)があります。」と記載されるように、「1号天然ゴム」であるから、本件発明1の「ゴム成分」に相当する。
イ 甲1発明の「pCBバッチ2」は、甲1の請求項1に記載された「再生熱分解カーボンブラック(pCB)」の一種であるから、本件発明1の「再生カーボンブラック」に相当する。
そして、甲1発明の各成分が質量部を用いて表現されていることから、甲1発明の「灰分が16.3%のpCBバッチ2」は、本件発明1の「再生カーボンブラックは、灰分量が13質量%以上である」ことに相当する。
ウ 甲1発明の「ボタン」は、天然ゴムであるRSS1と加硫剤である硫黄を含むコンパウンドを、25分間/300°F(約149℃)で硬化させてボタン状にしたものであるから、本件発明1の「加硫成形してなる」「ゴム」に相当する。
このことは、甲1の圧縮永久ひずみの測定条件であるASTM D1229の内容を開示する甲2において、
「1.適用範囲
1.1 この試験方法は、室温で圧縮されたあと、低温(空気または二酸化炭素雰囲気)にさらされた加硫ゴムが、低温のままクランプ装置から取り出されたときに変形から回復する能力を評価することを対象とする。」
「5.圧縮ひずみ
5.1 この試験方法において、加硫物の圧縮永久ひずみとは、試験片の厚みの減少を元のたわみに対する百分率で表したものとする。」
「7.試験片
7.1 標準試験片は、試験方法D395に規定される、直径29.0±0.5mm(1.14±0.02in)、厚さ12.5±0.5mm(0.49±0.02in)円筒形ディスクとする。」
(なお、甲2は英語で記載されているため、甲2に記載された事項は抄訳の記載で示す。また、下線は当審において付したものである。)と記載され、ASTM D1229の試験では、加硫ゴムが圧縮されて円筒形ディスク(ボタン状)の試験片とされることからも理解できる。
エ 甲1発明の「振動減衰」は、本件発明1の「防振」に相当するから、甲1発明の「振動減衰(レールパッド)コンパウンドのボタン」は、本件発明1の「加硫成形してなる防振ゴム」に相当する。
そうすると、両者は
「ゴム成分および再生カーボンブラックを含有するゴム組成物を加硫成形してなる防振ゴムであって、
前記再生カーボンブラックは、灰分量が13質量%以上であることを特徴とする防振ゴム。」
である点において一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
「ゴム成分の全量を100質量部としたとき、シランカップリング剤」を、本件発明1は「1~10質量部」含有するものであるのに対し、甲1発明は含有していない点
(2)検討
相違点1について検討する。
ア 新規性について
甲1発明では、振動減衰(レールパッド)コンパウンドのボタンがシランカップリング剤を含有していないから、相違点1は実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は甲1発明であるとはいえない。
イ 進歩性について
甲1発明に基づいて、ゴム組成物が、ゴム成分の全量100質量部としたとき、シランカップリング剤を1~10質量部含有することが、当業者にとって容易であるか否かについて検討する。
(ア)甲1の段落[0001]~[0008]には、再生熱分解カーボンブラック(pCB)およびそのポリマー複合材料への利用に関して、カーボンブラックはゴムやプラスチックの充填剤・強化材として広く使用され、品質、一貫性、価格が重要視されているところ、廃タイヤの増加に伴い、熱分解による再生技術が注目されていること、従来の方法は経済性や品質面で課題、特にバッチ式熱分解では製品の一貫性が低く、汚染物質や多環芳香族炭化水素(PAH)の含有量が高いため、市販製品への利用が困難であるという課題があること、PAHは発がん性などのリスクがあり、規制強化により低PAHのpCBが求められており、未使用のカーボンブラックの代替として、品質、一貫性、低PAHを備えたpCBの開発が必要とされていたことが記載されている。
このような状況を受けて、甲1の段落[0009]~[0011]には、甲1発明の課題として、消費者がすぐに使用できる熱分解カーボンブラック及びそれから製造されるポリマー複合材料を提供すること、少なくとも1つのポリマーと再生熱分解カーボンブラック(pCB)を含み、該pCBは約10μg/g未満の多環芳香族炭化水素(PAH)を含むポリマー複合体を提供することが記載されている。
そして、甲1の段落[0035]には、ポリマー複合材が、エラストマー性複合材の特性をさらに向上させるために、1種以上のカップリング剤をさらに配合することができること、使用されるカップリング剤は、カーボンブラックまたはシリカなどの充填剤をエラストマーに結合させることができる化合物を含み、有用なカップリング剤には、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン(Si-69)などのシランカップリング剤が含まれることが記載されている。
ここで、シランカップリング剤は、分子内に有機材料および無機材料と結合する官能基(保護されたシラノール基)を併せ持ち、有機材料と無機材料を結びつける働きをするものであり、水酸基を有するシリカをエラストマーに結合させるために使用されるものであることは本件特許出願時の技術常識である。一方、カーボンブラックにはシランカップリング剤と結合しうる官能基が存在しないことから、カーボンブラックをエラストマーに結合させるためにシランカップリング剤を併用することは技術常識ではない。また、実際、甲1には、再生熱分解カーボンブラック及びシランカップリング剤を併用した具体的な試験例は記載されていないし、再生熱分解カーボンブラックにシランカップリング剤を併用した場合に動倍率が向上することは記載も示唆もされていない。
そうすると、シリカが配合されていない甲1発明において、シランカップリング剤を配合する動機付けは乏しいものである。
してみると、甲1発明を出発点として、耐引裂性を担保しつつ、動倍率を低くするために、ゴム成分の全量100質量部に対してシランカップリング剤を1~10質量部含有することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
(イ)また、甲4の3頁の図、甲5の段落【0068】、甲6の段落【0068】)によると、再生熱分解カーボンブラックの灰分には、シリカが含まれる可能性もあるため、灰分に含まれるシリカに対し、シランカップリング剤を併用する場合について、以下検討する。
甲1発明は、「RSS1(リブドスモークシート)」100質量部に、pCBバッチ2(再生熱分解カーボンブラック)20質量部を含有するものであるところ、該pCBバッチ2の灰分が16.3%であるから、pCBバッチ2中の灰分は3.26(=20×0.163)質量部である。
ここで、甲7には、未使用のカーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤を含有する防振ゴムにおいて、シランカップリング剤との配合量はシリカの配合量に対して1~10質量%であること(請求項1、請求項6、【0016】)が記載されており、甲1の振動減衰(レールパッド)コンパウンドのボタンと甲7の防振ゴムとは、防振ゴムという技術分野で共通するものであるから、上述のシリカの配合量に対してシランカップリング剤の配合量が1~10質量%である関係を借用して計算してみることにする。
上記pCBバッチ2は3.26質量部の灰分を含有するところ、この灰分全部がシリカであると仮定して計算すると、シランカップリング剤の含有量が0.0326~0.3268質量部となるから、ゴム成分の全量100質量部に対して、シランカップリング剤を0.0326~0.3268質量部含有することになる。ここで、実際の灰分はシリカのみからなるものではないから(甲4の3頁の図)、シリカの含有量は3.26質量部より少量であり、その結果としてシランカップリング剤の含有量も上述の計算値よりも小さい値となり、本件発明1で特定しているシランカップリング剤の含有量の下限(1質量部)よりも少ないものとなる。
そうすると、甲1発明において、甲7に記載された事項を参考にして、再生熱分解カーボンブラックとシランカップリング剤を併用する場合を想定したとしても、相違点1で特定しているシランカップリング剤の含有量にはならない。
また、上記1で述べたように、本件発明1は、ゴム成分及び再生カーボンブラックを含有するゴム組成物において、灰分量が13質量%以上である再生カーボンブラックを用い、さらに適量(ゴム成分の全量100質量部に対して1~10質量部)のシランカップリング剤を併用することで、防振ゴムとした時の低動倍率化及び耐引裂性の両立できるという、技術的意義を有するものの、甲1には、低動倍率化及び耐引裂性を両立することを課題とするものではないため、甲1発明において、低動倍率化及び耐引裂性への影響を考慮して、シランカップリング剤の含有量(ゴム成分の全量100質量部に対して)を最適化しようとする動機付けを有しない。
ウ 本件発明1の効果について
本件発明1の効果は、ゴム成分及び再生カーボンブラックを含有し、かかる再生カーボンブラックは灰分量が13質量%以上であるため、その加硫ゴムは低動倍率化及び耐引裂性の両立が可能となり、特に防振ゴム用途に好適に使用可能であること(【0014】)、灰分量が13質量%以上である再生カーボンブラックと共に、ゴム組成物中にシランカップリング剤を含有する場合、加硫ゴムの耐引裂性を維持しつつ、さらなる低動倍率化が可能となること(【0015】)であると認められる。
このような効果は、実施例において、ポリマー(ゴム成分)100質量部、カーボンブラック35質量部を含むゴム組成物を加硫成形してなる防振ゴム(比較例1)又はポリマー(ゴム成分)100質量部、再生カーボンブラック(灰分量11.9%)35質量部を含むゴム組成物を加硫成形してなる防振ゴム(比較例2)よりも、ポリマー(ゴム成分)100質量部、カーボンブラック0~25質量部、再生カーボンブラック(灰分量14%又は20%)10~35質量部(カーボンブラックと再生カーボンブラックの総量で35質量部)を含むゴム組成物を加硫成形してなる防振ゴム(実施例1~8)の方が低動倍率化及び耐引裂性が両立することを示している。
同様に、ポリマー(ゴム成分)100質量部、再生カーボンブラック(灰分量:11.9質量%)35質量部、シランカップリング剤3.5質量部を含むゴム組成物を加硫成形してなる防振ゴム(比較例3)よりも、ポリマー(ゴム成分)100質量部、カーボンブラック10~25質量部、再生カーボンブラック(灰分量14%又は20%)10~35質量部(カーボンブラックと再生カーボンブラックの総量で35質量部)、シランカップリング剤1~3.5質量部を含むゴム組成物を加硫成形してなる防振ゴム(実施例9~13)の方が低動倍率化及び耐引裂性が両立することを示している。
そして、上記実施例1~8と実施例9~13において、各成分の配合割合が等しいもの同士を対比してみると(例えば、実施例1と実施例9、実施例2と実施例12など)、再生カーボンブラックとシランカップリング剤とを併用した実施例の方が、低動倍率化及び耐引裂性が両立することを示している。
上述の関係は、ポリマー(ゴム成分)100質量部、再生カーボンブラック(灰分量11.9%)60質量部を含むゴム組成物を加硫成形してなる防振ゴム(比較例4)、ポリマー(ゴム成分)100質量部、再生カーボンブラック(灰分量14%)60質量部を含むゴム組成物を加硫成形してなる防振ゴム(実施例14)、ポリマー(ゴム成分)100質量部、再生カーボンブラック(灰分量14%)60質量部、シランカップリング剤4.8質量部を含むゴム組成物を加硫成形してなる防振ゴム(実施例15)においても同様のことがいえる。
これらの記載によると、未使用のカーボンブラック又は灰分量が13質量%未満である再生カーボンブラックを含むゴム組成物を加硫成形してなる防振ゴムとするよりも、灰分量が13質量%以上である再生カーボンブラックを使用する場合の方が低動倍率化及び良好な耐引裂性を両立でき、さらにシランカップリング剤を適量含有することで、より一層の低動倍率化及び耐引裂性を両立できることが理解できる。
そうすると、動倍率に着目していない甲1発明では、シランカップリング剤を適量用いることを想定し得ないものであって、低動倍率化及び耐引裂性を両立するという効果を予測することはできない。
エ 小括
したがって、相違点1のように構成することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
以上から、本件発明1は、甲1に記載された発明ではないし、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
オ 申立人の意見書における主張について
申立人は、意見書において、次の主張をしている。
(ア)再生カーボンブラックは、甲4~甲6に見られるように、灰分中にシリカを含有するから、再生カーボンブラックが含有するシリカの含有量を考慮してシランカップリング剤のゴム組成物における含有量を決めることは当業者が容易にできることであり、甲7には防振ゴム組成物におけるカーボンブラックの含有量範囲、カーボンブラック(a)とシリカ(b)との配合割合(a)/(b)の範囲、シリカに対するシランカップリング剤の配合割合の範囲についての記載を踏まえると、シランカップリング剤の配合量を決定することは当業者が容易にできたことである。
(イ)防振ゴムとした時の低動倍率化及び耐引裂性の両立が十分であることは、シランカップリング剤を配合しない再生カーボンブラックを含有するあらゆる加硫ゴム(従来技術)に比べて、シランカップリング剤及び再生カーボンブラックを含有する加硫ゴムにおいて示されるべきものであるところ、実施例4と比較して両立できているのは、実施例11、13のみであり、実施例9、10、12のような、再生カーボンブラックの含有量が少なく、シリカの含有量も少ないと、シランカップリング剤による補強効果も相対的に小さくなり、両立できないこと。
(ウ)灰分量及び再生カーボンブラックの配合量が近似していることから、甲1発明にほぼ相当するといえる実施例3(耐引裂性148、動倍率92)に比べて、シランカップリング剤を配合した実施例9(耐引裂性128、動倍率92)の方が甲1発明の効果よりも劣るものであり、実施例10(耐引裂性151、動倍率90)は実施例3よりも優れるが、これは当業者が予測できない程度の効果の差であるのか不明であること。
(エ)再生カーボンブラックを含有する加硫ゴムにおいて、シランカップリング剤の配合効果として十分に効果があるのは、再生カーボンブラックがシリカを含有する場合であると推察されるところ、本件発明1では、シリカを含有しない再生カーボンブラックをも含み得るものであって、この場合に本件発明の課題を解決することができるか不明であり、サポート要件違反であること。
順に検討する。
(ア)について
甲7は、ジエン系ゴムと、充填材としてカーボンブラックとシリカとを含有する防振ゴム組成物であること(請求項1)、シランカップリング剤を含有すること(請求項6)、低動倍と高い耐久性とを両立し得る防振ゴム組成物、及び該ゴム組成物を硬化させてなる防振ゴムを提供すること(【0006】)、シランカップリング剤の配合量はシリカの配合量に対して1~10質量%であること(【0016】)、実施例の表1において、実施例1~12では天然ゴム100質量部に対してカーボンブラック10~32質量部、シリカ10~30質量部、シランカップリング剤1~3質量部(シリカの配合量の10質量%)を含む防振ゴム組成物を加硫硬化して防振ゴムを得たことが記載されている。
しかしながら、上記(2)イ(ア)に示したように、シランカップリング剤は、水酸基を有するシリカをエラストマーに結合させるために用いられるものであるところ、甲1発明には、シリカが含まれていないことから、シランカップリング剤を用いる動機付けを有しない。
そして、甲1発明において、再生熱分解カーボンブラック(の灰分が含むシリカ)にシランカップリング剤を適用する場合を想定したとしても、上記(2)イ(イ)に示したように、甲7は、シリカの配合量に対して1~10質量%のシランカップリング剤を配合するものであるから、甲1発明において、ゴム成分100質量部に対してシランカップリング剤は1質量部にも満たない含有量にしかならないものである。
したがって、当該主張は妥当でない。
(イ)及び(ウ)について
(イ)及び(ウ)は、本件発明の実施例に係るものであるから、併せて検討する。
本件発明1は、ゴム成分及び灰分量が13質量%以上の再生カーボンブラックを含有するゴム成分を加硫成形してなる防振ゴムであって、ゴム成分の全量を100質量部としたとき、シランカップリングを1~10質量部含有するものであって、着目すべきは、再生カーボンブラックの灰分量と、ゴム成分の全量100質量部に対するシランカップリング剤の含有量である。
本件明細書の実施例の表1は、いずれもポリマー(ゴム成分)100質量部であるので、それ以外の組成が等しいもの同士に着目すると、比較例1と実施例1~3との対比から、カーボンブラック全量(35質量%)に対する、灰分量が14質量%の再生カーボンブラック2の含有量が増えると、低動倍率化及び耐引裂性が向上すること、比較例2と実施例4、8は、いずれも再生カーボンブラックを35質量%含有するものであるが、これらの対比から、灰分量を11.9質量%の再生カーボンブラック1から、14質量%の再生カーボンブラック2又は20質量%の再生カーボンブラック3に変更すると、低動倍率化及び耐引裂性が向上すること、比較例3と実施例11,13は、いずれも再生カーボンブラックを35質量%、シランカップリング剤を3.5質量部含有するものであるが、これらの対比から、灰分量を11.9質量%の再生カーボンブラック1から、14質量%の再生カーボンブラック2又は20質量%の再生カーボンブラック3に変更すると、低動倍率化及び耐引裂性が向上すること、さらには、実施例1と実施例9、実施例2と実施例12、実施例3と実施例10、実施例4と実施例11、13とを対比すると、シランカップリング剤を添加することにより、低動倍率化及び耐引裂性を両立することが理解できる。
ここで、申立人は、シランカップリング剤を含有しない実施例4と、シランカップリング剤を含有する実施例9~13とを対比し、実施例9、10、12は、実施例4に比べて低動倍率化及び耐引裂性の両立が認められないと主張するので、以下に検討する。
実施例4と、実施例9、10、12とは、再生カーボンブラックの含有量が異なるものであり、それぞれのゴム組成物における各成分の配合量が同じではないから、比較するには適切でないものである。要は、シランカップリング剤の有無について対比するのであれば、実施例4における組成及びその含有量が同じである実施例11、13と比べるべきであるところ、該実施例11、13は、実施例4に比べて、低動倍率化及び耐引裂性を両立させている。
したがって、申立人の主張は妥当でない。
(エ)について
本件明細書の段落【0014】には、ゴム成分及び灰分量13質量%以上の再生カーボンブラックを含有するゴム組成物であることで、その加硫ゴムが低動倍率化及び耐引裂性の両立が可能となることが記載され、実施例1~9、14において、ゴム成分及び灰分量13質量%以上の再生カーボンブラックを含有するゴム組成物を加硫成形した加硫ゴムが低動倍率化及び耐引裂性の両立を達成していることが示されている。
さらに、本件明細書の段落【0015】には、灰分量が13質量%以上である再生カーボンブラックと共にシランカップリング剤を含有する場合、加硫ゴムの耐引裂性を維持しつつ、さらなる低動倍率化が可能となることが記載され、実施例10~13、15において、ゴム成分及び灰分量13質量%以上の再生カーボンブラック及びシランカップリング剤を含有するゴム組成物を加硫成形した加硫ゴムが低動倍率化及び耐引裂性の両立を達成していることが示されている。
これらの記載によると、再生カーボンブラックのシリカの有無にかかわらず、灰分量が13質量%以上の再生カーボンブラックを含有すること、さらにはシランカップリング剤を含有することで、本件発明の課題が達成することが理解できる。
また、申立人は、シリカを含有しない再生カーボンブラックでは、本件発明の課題を解決しない場合が存在すると主張するも、具体的な技術的証拠を何ら提出していないため、当該主張は上述の判断に影響しない。
したがって、申立人の主張は妥当でない。
以上から、申立人の主張はいずれも採用できない。
4 本件発明3について
本件発明3は、本件発明1を引用するものであり、上記3(2)と同様の理由により、甲1に記載された発明ではないし、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5 まとめ
したがって、本件発明1、3は、甲1に記載された発明ではないし、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
第6 むすび
以上のとおり、本件特許の請求項1、3に係る特許は、当審において通知した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1、3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700251