特許異議申立
2025-700965
情報収集システム、情報収集方法、及び情報収集プログラム
- 審判番号
- 2025-700965
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-157095
- 登録番号
- 7663814
- 請求日
- 2025年10月07日
- 審決日
- 2025年12月11日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社バッファロー
- 【権利者代理人】弁理士法人航栄事務所
- 【異議申立人】南 ヒメ子
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 智康
- 審判官 間野 裕一
- 審判官 岡北 有平
- 分類
- P1651.121-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7663814号発明「情報収集システム、情報収集方法、及び情報収集プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7663814号の請求項1~13に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7663814号の請求項1~13に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和3年9月27日に出願され、令和7年4月9日にその特許権の設定登録がされ、同年4月17日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、同年10月7日に特許異議申立人 南 ヒメ子(以下、「異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~13に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明13」という。)は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定される次のとおりのものである
「【請求項1】
機器の状態情報を取得する情報端末と、
前記情報端末から前記状態情報を受信するサーバと、
を含み、
前記情報端末は、所定の条件において、前記情報端末のユーザへの前記機器の異常の有無に関する問い合わせ処理を行い、前記機器の異常が有る旨の回答を受け付けた場合に、前記機器の異常を示す異常情報を前記サーバへ送信する、
情報収集システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報収集システムであって、
前記所定の条件は、前記機器の異常の可能性が検出されたことを含む、
情報収集システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報収集システムであって、
前記所定の条件は、前記状態情報が所定の期間、前記情報端末から前記サーバへ送信されていないことを含む、
情報収集システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報収集システムであって、
前記所定の期間は、前記状態情報に基づいて前記機器について設定された期間である、
情報収集システム。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載の情報収集システムであって、
前記所定の条件は、前記状態情報に基づいて予測された前記機器の異常発生時期となった
ことを含む、
情報収集システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報収集システムであって、
前記サーバは、前記所定の条件を満たすか否かを判断し、前記所定の条件を満たすと判断した場合に、前記情報端末に前記問い合わせ処理を実行させる制御を行う、
情報収集システム。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報収集システムであって、
前記情報端末は、前記所定の条件を満たすか否かを判断し、前記所定の条件を満たすと判断した場合に、前記問い合わせ処理を実行する、
情報収集システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報収集システムであって、
前記機器の異常が有る旨の回答は、前記機器の異常の種別の回答を含み、
前記異常情報は、前記機器の異常の種別を示す、
情報収集システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の情報収集システムであって、
前記機器の異常が有る旨の回答は、前記機器の異常の発生時期の回答を含み、
前記異常情報は、前記機器の異常の発生時期を示す、
情報収集システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の情報収集システムであって、
前記サーバに送信された前記状態情報及び前記異常情報は、前記機器と異なる機器を含む機器の異常予測モデルの教師データに用いられる、
情報収集システム。
【請求項11】
情報端末が、機器の状態情報を前記機器から取得し、
サーバが、前記情報端末から前記状態情報を受信し、
前記情報端末が、所定の条件において、前記情報端末のユーザへの前記機器の異常の有無に関する問い合わせ処理を行い、前記機器の異常が有る旨の回答を受け付けた場合に、前記機器の異常を示す異常情報を前記サーバへ送信する、
情報収集方法。
【請求項12】
機器の状態情報を前記機器から取得する情報端末と、前記情報端末から前記状態情報を受信するサーバと、を含む情報収集システムの制御プログラムであって、
前記情報端末と異なる装置に、
所定の条件において、前記情報端末のユーザへの前記機器の異常の有無に関する問い合わせ処理を前記情報端末に実行させ、
前記機器の異常が有る旨の回答を前記情報端末が受け付けた場合に、前記機器の異常を示す異常情報を前記情報端末から前記サーバへ送信させる、
制御を実行させるための情報収集プログラム。
【請求項13】
機器の状態情報を前記機器から取得する情報端末と、前記情報端末から前記状態情報を受信するサーバと、を含む情報収集システムの制御プログラムであって、
前記情報端末に、
所定の条件において、前記情報端末のユーザへの前記機器の異常の有無に関する問い合わせ処理を行い、
前記機器の異常が有る旨の回答を受け付けた場合に、前記機器の異常を示す異常情報を前記サーバへ送信する、
処理を実行させるための情報収集プログラム。」
第3 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要
令和7年10月7日に異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。
1 異議申立人の提出した証拠
異議申立人は、次の甲第1号証~甲第7号証(以下、それぞれ、「甲1」~「甲7」という。)を証拠として提出している。
甲第1号証(甲1):特開2001-236115号公報
甲第2号証(甲2):特開2019-179300号公報
甲第3号証(甲3):特開2004-214785号公報
甲第4号証(甲4):特開2020-188394号公報
甲第5号証(甲5):特開2011-142383号公報
甲第6号証(甲6):特開2020-051722号公報
甲第7号証(甲7):特開2002-366023号公報
2 申立理由
異議申立人の主張する特許異議の申立理由の概要は以下のとおりである。
理由(進歩性)
本件発明1~13は、甲1~甲7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
第4 異議申立人の提出した証拠の記載
1 甲1
(1)甲1の記載
甲1には、以下の記載がある。(なお、下線は合議体にて付与した。以下同じ。)
「【要約】
【課題】 アラーム発生の機器がどのような状態でもリモート診断ができ、低コストで、より精度の高いリモート診断システム、方法を得る。
【解決手段】 工場等に設けられた複数の機器A、B・・に対して1台の管理装置20をLAN等で接続する。管理装置20とメーカ側等に設けられた診断センタは通信回線を介して接続される。管理装置20は、所定周期毎及びアラーム発生時、機器の状態を示すパラメータデータを読み取る。このパラメータデータ、問診処理を行い得られた問診データ、ファイル25~27に記憶するアラーム発生の機器の仕様等のデータを診断情報として診断センタに送信する。診断センタの診断装置30は、診断情報と保守管理マニュアルデータ(ファイル37~39)の各種データにより精度の高い診断を行う。診断結果を管理装置20又はアラーム発生の機器に送信する。機器が通信不能でも精度の高いリモート診断が可能となる。」
「【請求項1】 制御装置で制御される各種機器のリモート診断システムであって、複数の前記機器を有線又は無線でネットワークして統合するか、あるいは電子記憶媒体を介して前記機器の情報を入手可能とした管理装置を備え、前記機器にアラームが発生した場合、前記管理装置からアラームを発生した機器の診断情報を通信回線を通じて診断センタに送信し、前記診断センタは前記診断情報を受け取る受信サーバと診断機能を有する診断装置もしくは受信サーバ機能と診断機能を有する診断装置を備え、受け取った診断情報に基づいて前記診断装置で前記機器の診断を行い、その診断結果を前記管理装置もしくは前記アラームを発生した機器に送信するようにしたことを特徴とするリモート診断システム。」
「【請求項5】 前記管理装置は、問診機能を備え、機器からアラームが発生したとき、問診機能を作動させて問診に対して入力されたデータをも前記診断情報とする請求項2乃至4の内1項記載のリモート診断システム。」
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制御装置で制御される工作機械や装置等の機器のリモート診断システム(装置)及び診断方法に関する。」
「【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の各種リモート診断システムにおいて、診断される機器と診断を行うセンタ側の装置が通信回線等で直接接続されているものにおいては、機器自体に通信障害が発生したとき、この機器から診断を行うセンタ側に情報を送信することができない。そのため、このような場合の診断はできないことになる。一般に、工作機械等を制御する制御装置は、制御装置の一部に障害が発生した場合、安全のためにシステムが立ち上がらなくなり、通信できないようになっている。そのため、工作機械等の故障診断では、上述したような、工作機械の制御装置と通信回線を直接接続する方式では、十分な故障診断システムを構築できないことになる。」
「【0009】又、故障等を診断するには、単に機械の状態等の情報のみでは、原因を診断することは難しい。機械がアラームを発生して停止したとき等の機械の操作履歴や、オペレータの関与状態等、アラーム発生時における機械動作、作業に関する各種情報が多く集められれば、より正確に故障等のアラーム発生原因を診断することができる。しかし、上述した従来の技術では、単に機械情報を集めるだけで、的確な故障原因を診断するには不十分である。」
「【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のリモート診断システム(リモート診断装置)の要部ブロック図である。工場等のフィールドには、CNC工作機械やロボット、射出成形機等のコンピュータ内蔵の制御装置で制御される各種機器が配置されている。この複数の各種機器に対してこれらを管理する管理装置が1台配置されている。これら機器の制御装置と管理装置間は無線LANやイーサネット等のLANで接続されている。図1に示す例では、機器Aが無線LANで、又機器Bがイーサネットで管理装置20に接続されている例を示している。又、管理装置20と診断センサのLANは無線電話あるいは有線電話によりインターネットあるいは専用のネットワークで接続されるようになっている。工場等のフィールド側は、機器メーカが機器を納入したユーザ側であり、診断センタは機器を製造販売するメーカ側に通常設けられる。」
「【0020】診断センタもLAN構成とされ、該LANにはインターネットあるいは専用のネットワークに接続されるターミナルアダプタ35,無線電話用のターミナルアダプタ36を備え、該LANには、故障(アラーム)診断処理を行う診断制御装置30、管理装置20から送られてくる診断情報を受信する受信サーバ31及び電話機32が接続されている。なお、この実施形態では、診断制御装置30と受信サーバ31を独立に構成しLANで接続するようにしているが、診断制御装置30内にこの受信サーバを設けるようにしてもよい。
【0021】診断制御装置30には、複数の診断コンソール33,33・・・が接続され、複数のアラーム診断を効率よく処理できるようになっている。又、パーツセンタやサービスセンタ34も接続されている。さらに、この診断センタで診断を行う各種機器の構成、機構構造、制御システム構成、回路図、アラームコードとそのコードが意味する内容等の保守管理マニュアルデータを記憶す機器マニュアルファイル37、各機器のアラーム履歴を記憶するアラーム履歴ファイル38,過去の各機器の診断履歴を記憶する診断履歴ファイル39が接続されている。
【0022】以上の構成により、機器A、B・・・からアラームが発生すると、管理装置20は、アラームが発生した機器の動作状態を示すパラメータデータや予め組み込まれている問診プログラムによって問診され、オペレータが回答した問診データ等を診断情報として診断センタに送信する。診断センタではこの診断情報、を受信サーバ31で受け取り、診断装置30によって、この診断情報、及び記憶手段32に記憶する機器マニュアルデータに基づいて診断を行い、その結果を管理装置20もしくは、直接アラーム発生の機器に送信するようになっている。
【0023】図2は、各機器A、B・・・と管理装置20がLAN等で直接接続されている実施形態において、管理装置20が所定周期毎行う、機器の動作状態を示すパラメータ等のデータの収集処理のフローチャートである。
【0024】管理装置20のプロセッサは、LAN接続された各機器A、B・・・に対して、図2に示す処理を所定周期毎実行する。まず、機器からアラーム信号が出力されているか判断し(ステップ201)、アラーム信号が発生していなければ、当該機器に対して図12に示すような機器の動作状態を示すパラメータの現在値のデータ及び操作履歴データを要求する(ステップ202)。
【0025】この実施形態では、機器として、後述するように、複数の射出成形機を管理装置20で管理する例を示しており、この場合、射出成形機の動作状態を示すパラメータのデータとしては、図12に示すように、運転開始からのショット数、射出中の射出スクリュを駆動するモータの最大電流値、型締め中の型締機構を駆動するモータの最大電流値、エジェクタ軸を駆動するモータの最大電流値、スクリュを回転駆動するモータの計量中の最大電流値、ピーク射出圧力、1成形サイクルの現在サイクルタイム、計量時間、射出時間、さらにアラームコード等であり、これらのデータは、各機器(射出成形機)の制御装置が検出し記憶しているデータである。又、当該機器に対して、オペレータが操作したその履歴も機器(射出成形機)の制御装置が記憶しており、前周期出力した操作履歴以後の操作履歴をも送信する。
【0026】一方、管理装置20のプロセッサは、当該機器から回答があるか判断し(ステップ203)、機器が正常に動作していれば、回答があり、要求した機器の上述の動作状態を示すパラメータのデータ、及び操作履歴が送られてくる。動作状態を示すパラメータのデータは、管理装置20内の記憶手段に設けられた記憶部D0に格納する(ステップ204)。又、操作履歴データは操作履歴ファイル27に順次格納する。なお、この操作履歴ファイル27は、最新の操作履歴データから所定数(例えば50個)の操作履歴データを循環的に記憶するようにしている。そしてアラーム発生状態を示すフラグALMをアラームなしとする「0」の値にセットする(ステップ206)。以下アラームが発生しなければ、上述した(ステップ201~204、206の処理を各機器毎に実行し、各機器の動作状態を示すパラメータの現在値データを記憶部D0に更新記憶し、又、操作履歴データを操作履歴ファイル27に記憶する。
【0027】又、機器からアラーム信号が発生していないが、ステップ203で、機器からのデータ要求に対する応答がない場合には、機器が完全にダウンして機能停止しているとして、アラーム発生状態を示すフラグALMを「2」にセットする(ステップ205)。一方、機器に異常が発生し、アラーム信号をステップ201で検出した場合には、アラーム情報(アラームコード)と共に、この時の機器の動作状態を示すパラメータの現在値データを先の記憶部D0とは異なる記憶部D1に格納する。又、このとき検出される操作履歴を操作履歴ファイル27に格納する(ステップ207)。そして、フラグALMを「1」にセットする。
【0028】図3は、アラームが発生したとき診断情報を診断センサに送信する管理装置のプロセッサの処理フローチャートで、この処理は、図2のタスク周期とは別のタスク周期で実行される。まず、フラグALMが「0」か判断し、「0」ならば、この処理はそのまま終了する。一方、「0」でない場合には、図7に示すような問い合わせデータ送信画面を管理装置20の表示手段(図示せず)の画面に表示する。そして、フラグALMが「1」か否か判断し、「1」の場合には、ステップ304へ、「1」でない場合(「2」の場合)はステップ305へ移行し、問診データの入力処理、及び機器の状態を示すデータのデータ送信用メモリ部へのセット処理を行う。
【0029】図7に示す問い合わせデータ送信画面の表示は、まず、この管理装置20の設置位置等を特定するための予め設定記憶されている表題事項71が表示される。この表題事項としては、アラームが発生し、診断情報を送信する時の日時、担当者名、この管理装置20が配置されている顧客名、その住所、電話番号、Eメールアドレス等である。
【0030】次に、管理装置20のプロセッサは、図8に示すQ&Aテーブルが設定記憶されており、このQ&Aテーブルに基づいて、質問を表示画面に表示し、予め設定記憶されているメニューの中から回答を選択するように、オペレータに入力をうながす。そして、その回答に基づいて次の質問と、予想回答を表示するようにする。以下これを繰り返しものである。
【0031】最初は、Q&Aテーブルで最初に指定される質問番号「0」の「不具合が発生した機器を選択下さい」を図7に示すように表示し、プルダウンリストボックスとメニューを選択するためのボタンを表示し、オペレータがメニュー選択用のボタンをマウス等のポインティングディバイスでクリックすると、この管理装置20に接続され管理している機器がプルダウンメニューとして表示される。この実施形態では、4台の射出成形機かこの管理装置に接続されているとして、図8のQ&Aテーブルの「0.不具合が発生した機器を選択下さい」に対応する、「問い合わせ候補」に設定されている1号機から4号機の射出成形機のリストがプルダウンメニューとして表示され、その中の、アラームを発生した機器を選択する。図7では「1」号機がアラームを発生したものとしてセットされている例を示している。「問い合わせ候補」に対してはそれぞれ次の質問が設定されており、図7に示す例では、「1」号機が選択され、この項目に対する次の質問番号が「1001」と設定されているので、1001の「不具合情報を入力して下さい」を選択し表示すると共に、プルダウンリストボックス、メニューを選択するためのボタン、実行指令のボタンを表示する。
【0032】そこで、オペレータがメニューを選択用ボタンをクリックすれば、図8のQ&Aテーブルの「1001.に対応する不具合情報を入力して下さい」に対応する「問い合わせ候補」にセットされている「手動入力」、「メモリカード」、「オンライン」をメニューとして表示し、オペレータに選択をうながす。この実施形態では管理装置20と各機器とがLANでオンライン接続されている場合であるから、オンラインが選択されることになる。図7では「オンライン」が選択された例を示している。そして、「実行」のボタンがクリックされると、送信するデータの取込を開始すると共に、次の質問の表示を行う。
【0033】図8に示すQ&Aテーブルには、問い合わせ候補が「手動入力」であると、「1020」、「メモリカード」であると「1030」、「オンライン」であると「1030」の次の質問が選択されることになる。図8の例では、「オンライン」が選択されているから「1030」が選択され、「不具合状況の入力」として「発生時の状況を選択して下さい」を表示し、プルダウンリストボックス、メニューを選択するためのボタンを表示する。
【0034】オペレータがこのメニュー用ボタンをクリックすると、Q&Aテーブルの「1030.発生時の状況を選択して下さい」に対する問い合わせ候補「自動運転中」、「手動運転中」、「停止中」がプルダウンメニューとして表示される。この内の1つの候補を選択すれば、選択候補に対して設定されている次の質問が表示されるが、図7の例では、「自動運転中」が選択され、これに対応する次の質問番号「1110」の「現象を選択して下さい」を表示し、この項目に対応する問い合わせ候補「動作不良(動かない、異音など)」、「成形不良(計量不安定、バラツキなど)」、「操作・機能不良(表示・入力・制御できない)」をプルダウンメニューとして表示する。この問い合わせ候補の内1つを選択すれば、その選択候補に対する次の質問が表示されるが、図7の例では、「動作不良(動かない、異音など)」が選択され、これに対応する次の質問番号1120の「G:不良個所を選択して下さい」を表示し、問い合わせコードとして「射出部」、「型締部」をプルダウンメニューとして表示することになる。「射出部」が選択されれば、次の質問番号が「1200」、「型締部」が選択されれば、次の質問番号が「1250」となるが、図7の例では、「射出部」が選択され、質問番号「1200」の「射出部の不良現象を入力して下さい」を表示し、この項目に対応する問い合わせ候補「射出スクリュが動作しない」、「スクリュが回転しない」、「射出ユニットが動作しない」、「異音がする」をプルダウンメニューとして表示することになる。このうち1つを選択(図7では「射出スクリュが動作しない」)すると、選択項目に対して設定されている次の質問番号の質問事項が表示される。この場合、全ての項目に対して図8に示すQ&Aテーブルの例では、次の質問番号は「1500」であるから、「問い合わせ事項があれば入力して下さい」と図7に示すように表示する。オペレータは問い合わせ事項があればそれを文章で入力し、このオペレータとの問診データ入力処理は終了する。
【0035】そこで、送信ボタンをクリックすれば、こうして入力した問診データと、後述するデータ送信用メモリ部にセットした機器の状態を示すデータ等を診断情報として診断センタに送信することになる。そして、このオペレータとの問診データ入力処理は終了する。
【0036】一方、「実行」のボタンがクリックされたとき行う送信するデータの取込は、ステップ304では、機器から送られてきた記憶部D1に記憶する現在の機器の動作状態を示すパラメータの現在値データ(アラームコードも含む)、1周期前に検出し記憶部D0に記憶するを動作状態を示すパラメータのデータ、保存している出荷情報ファイル25,保守履歴ファイル26及び操作履歴ファイル27に記憶する、このアラーム発生の機器に対するデータをデータ送信用メモリ部にセットする。
【0037】又、フラグALMが「2」の場合でのステップ305の処理では、アラーム発生時の機器の動作状態を示すパラメータの現在値データは記憶されていないから、この場合には、記憶部D0に記憶する1周期前のデータと、上述した保存データをデータ送信用メモリ部にセットする。
【0038】図7に示す問い合わせデータ送信画面で、オペレータが「送信」のボタンをクリックすると、管理装置20のプロセッサは、これを検出し(ステップ306)、データ送信用メモリ部にセットされたデータ及び問診データを暗号化処理(ステップ307)し、診断センタに送信する(ステップ308)。そして診断センタから受付番号が送られてくるから、この番号を受信し(ステップ309)、図7に示す問い合わせデータ送信画面にこの受付番号を表示し(ステップ310)、この診断情報の送信処理は終了する。」
「【図1】
[図:0001431180000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001431180000002.jpg]
」
「【図3】
[図:0001431180000003.jpg]
」
「【図7】
[図:0001431180000004.jpg]
」
「【図8】
[図:0001431180000005.jpg]
」
(2)甲1に記載されているといえる事項
ア 段落【0001】の記載事項を踏まえると、甲1には、「制御装置で制御される工作機械や装置等の機器のリモート診断システム」との事項が記載されているといえる。
イ 段落【0016】、【図1】の記載事項を踏まえると、甲1には、「リモート診断システムは、複数の各種機器、複数の各種機器を管理する管理装置、診断センタを備える」との事項が記載されているといえる。
ウ 段落【0024】、【0026】、【0027】の記載事項を踏まえると、甲1には、「管理装置のプロセッサは、アラーム信号が発生していなければ、機器に対して機器の動作状態を示すパラメータの現在値のデータを要求し、回答があれば、パラメータのデータを管理装置内の記憶手段に設けられた記憶部D0に格納してアラーム発生状態を示すフラグALMをアラームなしとする「0」の値にセットし、応答がなければ、機器が完全にダウンして機能停止しているとして、アラーム発生状態を示すフラグALMを「2」にセットし、アラーム信号を検出した場合には、アラーム情報と共に、この時の機器の動作状態を示すパラメータの現在値データを記憶部D0とは異なる記憶部D1に格納し、フラグALMを「1」にセットする」との事項が記載されているといえる。
エ 段落【0028】、【0036】、【0037】の記載事項を踏まえると、甲1には、「管理装置のプロセッサは、フラグALMが「0」でない場合には、問い合わせデータ送信画面を管理装置の表示手段の画面に表示し、フラグALMが「1」の場合は、機器から送られてきた記憶部D1に記憶する現在の機器の動作状態を示すパラメータの現在値データ、1周期前に検出し記憶部D0に記憶されている機器の動作状態を示すパラメータのデータ等をデータ送信用メモリ部にセットし、フラグALMが「2」の場合は、記憶部D0に記憶する1周期前のデータ等をデータ送信用メモリ部にセットする」との事項が記載されているといえる。
オ 段落【0030】、【0034】、【0035】、【0038】の記載事項を踏まえると、甲1には、「オペレータは、不良箇所や不良現象等の質問に対して回答し、問診データを入力し、オペレータが送信ボタンをクリックすると、管理装置のプロセッサは、データ送信用メモリ部にセットされたデータ及び問診データを診断センタに送信する」との事項が記載されているといえる。
(3)甲1に記載されている発明
上記(1)及び(2)によれば、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
(甲1発明)
「制御装置で制御される工作機械や装置等の機器のリモート診断システムであって(上記ア)、
リモート診断システムは、複数の各種機器、複数の各種機器を管理する管理装置、診断センタを備え(上記イ)、
管理装置のプロセッサは、アラーム信号が発生していなければ、機器に対して機器の動作状態を示すパラメータの現在値のデータを要求し、回答があれば、パラメータのデータを管理装置内の記憶手段に設けられた記憶部D0に格納してアラーム発生状態を示すフラグALMをアラームなしとする「0」の値にセットし、応答がなければ、機器が完全にダウンして機能停止しているとして、アラーム発生状態を示すフラグALMを「2」にセットし、アラーム信号を検出した場合には、アラーム情報と共に、この時の機器の動作状態を示すパラメータの現在値データを記憶部D0とは異なる記憶部D1に格納し、フラグALMを「1」にセットし(上記ウ)、
管理装置のプロセッサは、さらに、フラグALMが「0」でない場合には、問い合わせデータ送信画面を管理装置の表示手段の画面に表示し、フラグALMが「1」の場合は、機器から送られてきた記憶部D1に記憶する現在の機器の動作状態を示すパラメータの現在値データ、1周期前に検出し記憶部D0に記憶されている機器の動作状態を示すパラメータのデータ等をデータ送信用メモリ部にセットし、フラグALMが「2」の場合は、記憶部D0に記憶する1周期前のデータ等をデータ送信用メモリ部にセットし(上記エ)、
オペレータは、不良箇所や不良現象等の質問に対して回答し、問診データを入力し、オペレータが送信ボタンをクリックすると、管理装置のプロセッサは、データ送信用メモリ部にセットされたデータ及び問診データを診断センタに送信する(上記オ)、
リモート診断システム。」
2 甲2
甲2には、以下の記載がある。
「【要約】
【課題】動作履歴を含む近時データを利用して機器を診断し、機器の故障の兆候又は擬故障を検知したらユーザに通知する。
【解決手段】演算部を有するサーバであって、ネットワークを介して情報を取得する通信部を介して機器の動作履歴を取得して記憶部に記憶させ、演算部は、動作履歴を含む近時データを利用して機器を診断して、機器の故障の兆候又は擬故障を検知した場合、機器のユーザの出力部又はコールセンタに通知する。」
「【請求項1】
演算部を有するサーバであって、
ネットワークを介して情報を取得する通信部を介して機器の動作履歴を取得して記憶部に記憶させ、
前記演算部は、前記動作履歴を含む近時データを利用して前記機器を診断して、前記機器の故障の兆候及び/又は擬故障を検知した場合、前記機器のユーザの出力部及び/又はコールセンタに通知することを特徴とするサーバ。
【請求項2】
前記演算部は、前記機器の故障の兆候の有無を診断し、
該診断は、ユーザの要求以外をきっかけとして開始されることを特徴とする請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記演算部は、
前記機器と同一又は類似する種別の機器の異常種別と、該異常種別を生じた又はその兆候を生じた時間帯を含む動作履歴としての教師データを含む異常教師データを学習または参照可能であり、
前記学習または参照の結果を利用して前記被診断データが前記機器の故障の兆候及び/又は擬故障の有無を分類することを特徴とする請求項1又は2に記載のサーバ。」
「【請求項 5】
前記点検依頼のお願い出力は、前記コールセンタへの点検依頼を補助する及び/又は促す点検依頼補助出力を含むことを特徴とする請求項4に記載のサーバ。
【請求項6】
ユーザからの要求以外をきっかけとした前記診断の開始が可能で、
前記機器の擬故障を検知した場合、確認のお願い出力を前記出力部に出力させ、
該確認のお願い出力は、
当該サーバが検知した擬故障の種類に応じて決定され、前記ユーザに具体的な作為を求める指示出力を含むことを特徴とする請求項1乃至5何れか一項に記載のサーバ。」
「【0005】
上記事情に鑑みてなされた本発明のサーバは、
演算部を有するサーバであって、
ネットワークを介して情報を取得する通信部を介して機器の動作履歴を取得して記憶部に記憶させ、
前記演算部は、前記動作履歴を含む近時データを利用して前記機器を診断して、前記機器の故障の兆候及び/又は擬故障を検知した場合、前記機器のユーザの出力部及び/又はコールセンタに通知することを特徴とする。
【0006】
また、上記事情に鑑みてなされた本発明の第1のプログラムは、
機器の故障の兆候及び/又は擬故障の有無の診断の実行結果を、前記機器又は端末に出力させるプログラムであって、
前記機器の擬故障を検知した場合、擬故障の確認のお願い出力を出力させ、
該擬故障の確認お願い出力は、検知した擬故障の種類に応じて決定され、ユーザに具体的な作為を求める指示出力を含むことを特徴とする。」
「【0062】
本教師データには、好ましくは、サービスパーソンによって描かれた、冷却器温度53の急上昇の近似直線54,55が特徴量として入力されていても良い。また、時刻tn-2までは正常であるという情報とともに学習させても良い。
【0063】
演算部32は、その他種々の異常種別について、1以上の異常教師データを用いて学習済である。
【0064】
[故障の兆候又は擬故障の診断結果の通知]
図7は本実施形態のサーバ3の診断処理の流れを示すフローチャートである。サーバ3は、例えばコールセンタ7が準備した異常教師データのうち未学習のものがある場合(ステップS100,Yes)、それを演算部32の例えば人工知能に学習させる(ステップS110)。本実施形態では、未学習の異常教師データがなくなってからそれ以後の処理を行うように表現しているが、必ずしもこれに限られず、或る程度の学習を終えているのであれば、残りの学習とそれ以後の処理(診断処理)とを並行して実行したり交互に実行したりして良い。また、サーバ3が異常教師データを学習するのではなく各異常教師データを参照して被診断データとの類似度を演算する場合は、ステップS100,S110は必要ない。
【0065】
サーバ3は、冷蔵庫1から送信される動作履歴を逐次受信する間(ステップS120)、冷蔵庫1の診断時期が到来したと判断すると(ステップS200,Yes)、記憶部31に蓄積した被診断データを利用して、診断対象の冷蔵庫1の擬故障や故障の予兆の有無を診断する(ステップS210)。この診断は、学習済の演算部32によって被診断データを分類するものでも良いし、演算部32が被診断データとそれぞれの異常教師データとを比較して類似度を算出し、類似度が高い異常教師データがあれば、その異常種別が生じていると判断しても良い。類似度の算出としては、種々公知の方法を採用できる。
【0066】
擬故障を検知すると(ステップS300,Yes)、後述の図8に示すような確認のお願いを診断対象の冷蔵庫1のユーザに通知する。(ステップS310)。
【0067】
また、故障の予兆を検知すると(ステップS400,Yes)、後述の図9に示すような点検依頼のお願いを診断対象の冷蔵庫1のユーザに通知する(ステップS410)。また、この場合はコールセンタ7に故障予兆を示した冷蔵庫1の識別番号を通知する(ステップS420)。なお、識別番号に紐付けてユーザの連絡先(端末5のメールアドレスや冷蔵庫1のIPアドレスなど)を参照可能にすることで、ユーザに連絡することができることは当業者に明らかである。
【0068】
[擬故障の確認のお願い出力70]
図8は本実施形態の冷蔵庫1に擬故障が検知された場合に通知される確認のお願い出力70を示す図である。サーバ3は、擬故障を検知すると、診断対象の冷蔵庫1のユーザの端末5や入力部101の出力部に通知する。
【0069】
出力部はその内容をユーザが知覚可能に出力すればよく、画像や動画の表示に限らず音声の発音でもよい。また、出力部を通じてユーザに知覚可能に情報を送信することを「ユーザに通知する」という。
【0070】
確認のお願い出力70には、確認依頼事項出力71、指示出力72、異常残存時指示73、お願い削除出力74が含まれている。
【0071】
確認依頼事項出力71は、検知した擬故障の種類に応じてユーザに擬故障の種類やその場所を表示するものである。本実施形態のように、識別番号XXXXの冷蔵室が「扉開継続」であると判断された場合は、例えば、「識別番号XXXX冷蔵庫の冷蔵室の扉が開きっぱなしではありませんか?」という質問文が表示される。
【0072】
指示出力72は、検知した擬故障の種類に応じて、ユーザに具体的な作為を求めるものである。本実施形態では、冷蔵室の扉が閉められているか確認してほしい旨を表示する。指示出力72は、機器の確認対象部分をビジュアル表示する画像や動画を含ませても良い。本実施形態では、冷蔵庫1の冷蔵室扉を強調表示した画像を出力している。
【0073】
異常残存時指示73は、指示出力72で求められた作為によっても擬故障が解消しないとか、ユーザがどうすればよいかわからないとかの場合にコールセンタ7に連絡することを補助するものである。本実施形態では、異常残存時指示73を通じた操作をすることで、コールセンタ7への連絡画面(不図示)に遷移することができる。
【0074】
お願い削除出力74は、確認のお願い出力70を削除することができるものである。擬故障が解消した場合、その後サーバ3に本冷蔵庫1の近時データが送信されていき、改めて診断処理を実行すれば擬故障の解消をサーバ3は検知できるため、それを以て確認のお願い出力70を削除するように処理できる。しかしこの場合、或る程度長期にわたってユーザ側にこの通知が残存してしまうため、ユーザはお願い削除出力74を通じた操作をすることで、お願い出力70を削除することができる。」
「【図1】
[図:0001431180000006.jpg]
」
「【図7】
[図:0001431180000007.jpg]
」
「【図8】
[図:0001431180000008.jpg]
」
したがって、甲2には、以下の技術事項(以下、「甲2記載の技術事項」という。)が記載されているといえる。
(甲2記載の技術事項)
「擬故障を検知すると、ユーザの端末5に通知すること、擬故障が解消した場合、確認のお願い出力70を削除することができること、擬故障が解消せず、異常残存時指示73を通じた操作をした場合、コールセンタ7への連絡画面に遷移すること」
3 甲3
甲3には、以下の記載がある。
「【要約】
【課題】被管理機器に対する故障検出及び故障予測に好適な機器状態情報を収集して被管理機器の故障検出及び故障予測を正確に行うことができる機器管理システムを提供する。
【解決手段】センターサーバ200は、通信回線300、ゲートウェイ101及び宅内通信ネットワーク103を介して各建物100a,100b,…内の家電機器102a~102cに通信可能に接続され、センター機器状態取得指令部203は、センター通信処理部201を用いて、取得する機器状態データ及びサンプリング周期を設定する指令を家電機器102a~102cに通知し、家電機器102a~102cは、通知された機器状態データを通知されたサンプリング周期で取得する。」
「【0056】
しかしながら、家電機器102aが発売されてから所定期間経過した後には、家電機器102aのメーカーは、当該家電機器の故障に関する情報を自社の実験室や市場等から取得することができるので、機器状態データの特性と故障検出及び故障予測との関連を解析することができる。
【0057】
ここで、解析の結果、機器状態取得部14により取得される機器状態データの中から、ある機器状態データ、例えば、センサ16a~16eを初期値より遅くしても家電機器102aの故障検出及び故障予測を行うことができることが判明した場合、センターサーバ200のオペレータは、家電機器102aにおけるセンサ16aの機器状態データのサンプリング周期を遅くするように設定変更の入力操作を行う。」
4 甲4
甲4には、以下の記載がある。
「【要約】
【課題】無線通信システムにおける盗聴のリスクを判定可能にする端末を提供する。
【解決手段】端末は、生成部と、送信部と、判定部と、を含む。生成部は、サービング基地局とは異なる基地局にハンドオーバが実行されるようなメジャメントレポートを生成する。送信部は、生成されたメジャメントレポートをサービング基地局に送信する。判定部は、サービング基地局からメジャメントレポートへの応答が送信されたか否かに応じて、サービング基地局の種別を判定する。」
「【請求項6】
前記判定部は、
前記サービング基地局から前記メジャメントレポートへの応答が所定の期間内に送信された場合に前記サービング基地局は前記正規な基地局であると判定し、
前記サービング基地局から前記メジャメントレポートへの応答が前記所定の期間内に送信されない場合に前記サービング基地局は前記不正規な基地局であると判定する、請求項5に記載の端末。」
「【0067】
このように、基地局判定部310は、サービング基地局からメジャメントレポートへの応答が送信されたか否かに応じて、サービング基地局が正規な基地局及び不正規な基地局のいずれかであるか判定する。具体的には、基地局判定部310は、サービング基地局からメジャメントレポートへの応答が所定の期間内(タイマーが満了する前)に送信された場合にサービング基地局は正規な基地局であると判定する。一方、基地局判定部310は、サービング基地局からメジャメントレポートへの応答が所定の期間内に送信されない場合にサービング基地局は不正規な基地局であると判定する。」
5 甲5
甲5には、以下の記載がある。
「【要約】
【課題】パケットネットワークにおいてデュアルホーミング冗長切替を実現するシステムを提供する。
【解決手段】パケットネットワークにより構成された現用系パスおよび予備系パスと、それら両方に接続するアクセススイッチと、現用系サービスノードと接続している現用系中継スイッチとを含む情報伝送システムにおいて、前記現用系中継スイッチは、前記現用系サービスノードが提供するサービスの導通状態を監視する状態検出部30と、その導通状態に異常を検出した場合に、前記状態検出部に前記現用系サービスノードに対してサービスノードの変更を指示する現用系冗長用制御部32と、前記アクセススイッチとの間でOAMを送受信する現用系冗長用OAM制御部54とを含む。前記冗長用OAM制御部54は、前記導通状態に異常が生じた場合に前記OAMの送信を停止し、それを契機として前記アクセススイッチは前記現用系パスを前記予備系パスに切り替える。」
「【請求項2】
前記現用系冗長用OAM制御部は、前記アクセススイッチからのOAMが所定の期間送信されない場合には、OAMが途切れた旨を前記現用系冗長用制御部に通知し、
前記現用系冗長用制御部は、前記現用系冗長用OAM制御部からOAMが途切れた旨を受信した場合、前記現用系状態検出部に前記現用系サービスノードに対してサービスノードの変更を通知させることを特徴とする請求項1に記載の情報伝送システム。」
「【0009】
前記現用系冗長用OAM制御部は、前記アクセススイッチからのOAMが所定の期間送信されない場合には、OAMが途切れた旨を前記現用系冗長用制御部に通知し、前記現用系冗長用制御部は、前記現用系冗長用OAM制御部からOAMが途切れた旨を受信した場合、前記現用系状態検出部に前記現用系サービスノードに対してサービスノードの変更を通知させてもよい。」
6 甲6
甲6には、以下の記載がある。
「【要約】
【課題】圧縮機の異常を判定するための特別な運転を不要とする異常判定装置、この異常判定装置を備える冷凍装置、及び圧縮機の異常判定方法を提供する。
【解決手段】冷凍装置の圧縮機の異常の有無を判定し、又は、異常発生時期を予測する異常判定装置60は、冷凍装置の運転に関するデータに基づいて圧縮機の正常状態からの乖離度合を算出する算出部66と、算出部66の算出結果に基づいて圧縮機の異常の有無を判定し、又は、異常発生時期を予測する判定部67とを有する。算出部66は、第1期間の冷凍装置の運転に関するデータから算出される第1指標値と、第1期間とは長さが異なる第2期間の冷凍装置の運転に関するデータから算出される第2指標値とに基づいて、圧縮機の正常状態からの乖離度合を算出する。判定部67は、圧縮機の正常状態からの乖離度合に基づいて圧縮機の異常の有無を判定し、又は、異常発生時期を予測する。」
7 甲7
甲7には、以下の記載がある。
「【要約】
【課題】制御装置の構成部位の異常発生時期を高精度に予測し、あるいは、異常点検時期を的確に設定する。
【解決手段】処理部64は、経時劣化予測部90において、取得したライディングシミュレーション装置10の構成部位の時系列データと、過去の故障履歴データとを比較し、経時劣化予測日を求める。また、メンテナンス時期予測部92において、ライディングシミュレーション装置10の累計使用時間をメンテナンス適応基準と比較し、メンテナンス時期予測日を求める。そして、これらの経時劣化予測日とメンテナンス時期予測日との中、早い方の時期を異常点検時期として設定する。」
第5 当審の判断
1 理由1(進歩性)について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)「機器の状態情報を取得する情報端末」について
甲1発明の「制御装置で制御される工作機械や装置等の機器」は、本件発明1の「機器」に相当する。
また、甲1発明の「機器の動作状態を示すパラメータ」は、機器の状態情報といえるから、本件発明1の「状態情報」に相当する。
そうすると、甲1発明の「管理装置」は、機器に対して「機器の動作状態を示すパラメータ」を要求し、取得するものであることを踏まえると、本件発明1の「機器の状態情報を取得する情報端末」に相当する。
(イ)「前記情報端末から前記状態情報を受信するサーバ」について
甲1発明の「診断センタ」は、管理装置から、データ送信用メモリ部にセットされたデータ及び問診データを受信するものである。
また、「データ送信用メモリ部にセットされたデータ」は、フラグALMが1か2にかかわらず、「機器の動作状態を示すパラメータ」(状態情報)を含むものである。
してみると、甲1発明の「診断センタ」は、本件発明1の「前記情報端末から前記状態情報を受信するサーバ」に相当する。
(ウ)「前記情報端末は、所定の条件において、前記情報端末のユーザへの前記機器の異常の有無に関する問い合わせ処理を行い、前記機器の異常が有る旨の回答を受け付けた場合に、前記機器の異常を示す異常情報を前記サーバへ送信する」について
甲1発明の「管理装置」は、フラグALMが「0」でない場合において、問い合わせデータ送信画面を管理装置の表示手段の画面に表示し、オペレータに問診データの入力を行わせるものである。
ここで、甲1発明の「オペレータ」は、本件発明1の「情報端末のユーザ」に相当し、また、甲1発明の「フラグALMが「0」でない場合」は、本件発明1の「所定の条件」に相当する。
また、甲1発明において「問い合わせデータ送信画面を管理装置の表示手段の画面に表示する」ことは、問い合わせデータ送信画面を通じて、オペレータへの機器の不具合に関する問い合わせ処理を行うことといえる。
そして、甲1発明において、「データ送信用メモリ部にセットされたデータ及び問診データ」は、機器の動作状態を示すパラメータや、不良箇所や不良現象等の質問に対するオペレータの回答に関する情報を含むことを踏まえると、本件発明1の「機器の異常を示す異常情報」に相当する。
してみると、甲1発明において、「管理装置が、フラグALMが「0」でない場合に問い合わせデータ送信画面を管理装置の表示手段の画面に表示し、データ送信用メモリ部にセットされたデータ及び問診データを診断センタへ送信する」ことは、本件発明1と、「前記情報端末は、所定の条件において、前記情報端末のユーザへの前記機器の異常に関する問い合わせ処理を行い、前記機器の異常を示す異常情報を前記サーバへ送信する」点で共通しており、一方、両者は以下の点で相違する。
本件発明1の「情報端末」は、「機器の異常の有無に関する問い合わせ処理を行う」のに対し、甲1発明には、「管理装置」が、機器の「異常の有無」に関する問い合わせ処理を行うことは特定されていない点。
本件発明1は、「前記機器の異常が有る旨の回答を受け付けた場合」に、前記機器の異常を示す異常情報を前記サーバへ送信するものであるのに対し、甲1発明には、データ送信用メモリ部にセットされたデータ及び問診データを診断センタへ送信する場合として「前記機器の異常が有る旨の回答を受け付けた場合」との特定がなされていない点。
(エ)「情報収集システム」について
甲1発明の「リモート診断システム」は、各機器の動作状態を示すパラメータ等の情報を収集するシステムといえるから、「情報収集システム」と称し得るものである。
イ 一致点及び相違点
上記(1)で対比した事項を踏まえると、本件発明1と甲1発明は、
「機器の状態情報を取得する情報端末と、
前記情報端末から前記状態情報を受信するサーバと、
を含み、
前記情報端末は、所定の条件において、前記情報端末のユーザへの前記機器の異常に関する問い合わせ処理を行い、前記機器の異常を示す異常情報を前記サーバへ送信する、
情報収集システム。」
という点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点1)
本件発明1の「情報端末」は、「機器の異常の有無に関する問い合わせ処理を行う」のに対し、甲1発明には、「管理装置」が、機器の「異常の有無」に関する問い合わせ処理を行うことは特定されていない点。
(相違点2)
本件発明1は、「前記機器の異常が有る旨の回答を受け付けた場合」に、前記機器の異常を示す異常情報を前記サーバへ送信するものであるのに対し、甲1発明には、データ送信用メモリ部にセットされたデータ及び問診データを診断センタへ送信する場合として「前記機器の異常が有る旨の回答を受け付けた場合」との特定がなされていない点。
ウ 判断
相違点1について検討する。
甲1発明は、機器が正常に動作しており、要求した機器の動作状態を示すパラメータのデータ及び操作履歴が送られてくる場合にはフラグALMが「0」にセットされ(段落【0026】)、機器からアラーム信号が発生していないが、機器からのデータ要求に対する応答がない場合には、フラグALMが「2」にセットされ(段落【0027】)、機器に異常が発生し、アラーム信号を検出した場合には、フラグALMが「1」にセットされるものである。
すなわち、甲1発明は、オペレータに問い合わせ処理を行わずとも、フラグALMを用いることで機器の異常の有無を把握できるものである。
そうすると、甲1発明において、機器の異常の有無に関する問い合わせ処理を行うように設計変更する動機付けは認められない。
また、甲2~甲7には、上記第4の2~7に示したとおりの記載があるのみで、上記相違点に係る構成は記載されていない。
そして、上記相違点1に係る構成が本件特許の出願時の技術常識に鑑みて、周知技術であった又は当業者であれば自明であるとの合理的な理由もない。
したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲7に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
エ 異議申立人の主張について
異議申立人は、特許異議申立書において、本件発明1と甲1発明との対比について「甲1でも管理装置20は機器からのアラーム信号がある場合、または機器にデータ要求をして回答がない場合、問い合わせデータ送信画面を表示する(甲1明細書段落[0027]-[0028])。」と記載し(特許異議申立書第28頁第8~12行)、甲1には特許発明1の「前記情報端末は、所定の条件において、前記情報端末のユーザヘの前記機器の異常の有無に関する問い合わせ処理を行い」に対応する構成が記載されていると主張している。
上記主張について検討する。
甲1の段落【0027】~【0028】に記載のとおり、甲1において問い合わせデータ送信画面が表示されるのは、機器からアラーム信号が発生していないが機器からのデータ要求に対する応答がない場合(機器が完全にダウンして機能停止している場合)またはアラームが発生した場合である。
すなわち、甲1には、機器に何らかの不具合が生じている場合に問い合わせデータ送信画面を表示することが記載されているのみであり、機器の異常の有無に関する問い合わせ処理を行うことについては記載がない。
したがって、異議申立人の上記主張は採用できない。
オ 小括
上記ウ~エより、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲7に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件発明2~10について
本件発明2~10は、本件発明1の構成に限定を加えて減縮したものであり、これらの請求項に係る発明は、いずれも、上記(1)イに示した上記相違点1に係る構成を有しているから、上記「(1)本件発明1について」で示したのと同様の理由により、甲1発明、甲2~甲7記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件発明11について
本件発明11は、本件発明1に対応する「情報収集方法」に係る発明であり、本件発明1で検討した相違点1に係る事項を備えるものであるから、上記「(1)本件発明1について」で検討したのと同様に、甲1発明、甲2~甲7に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)本件発明12について
本件発明12は、本件発明1の「情報収集システム」に係る発明を、「情報収集プログラム」として表現し、さらに、情報端末ではなく、「情報端末と異なる装置」に、「所定の条件において、前記情報端末のユーザへの前記機器の異常の有無に関する問い合わせ処理を前記情報端末に実行させ、前記機器の異常が有る旨の回答を前記情報端末が受け付けた場合に、前記機器の異常を示す異常情報を前記情報端末から前記サーバへ送信させる」ものである。
そして、本件発明12も、本件発明1で検討した相違点1に係る事項を備えるものであるから、上記「(1)本件発明1について」で検討したのと同様に、甲1発明、甲2~甲7に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件発明13について
本件発明13は、本件発明1に対応する「情報収集プログラム」に係る発明であり、本件発明1で検討した相違点1に係る事項を備えるものであるから、上記「(1)本件発明1について」で検討したのと同様に、甲1発明、甲2~甲7に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 むすび
以上によれば、特許異議の申立ての理由(特許法29条2項)及び異議申立人の提出した証拠によっては、本件特許の請求項1~13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-700965