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特許異議申立

2025-700061

液体タンク、便器装置、および便座装置

審判番号
2025-700061
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-023339
登録番号
7515267
請求日
2025年01月11日
審決日
2026年02月12日
公報発行日
2026年07月31日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社LIXIL
  • 【権利者代理人】及川 周
  • 【権利者代理人】川渕 健一
  • 【権利者代理人】松本 将尚
  • 【異議申立人】上原 弘子
審判長/審判官
  • 審判長 居島 一仁
  • 審判官 石川 信也
  • 審判官 有家 秀郎
分類
P1652.121-ZAA(E03D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7515267号発明「液体タンク、便器装置、および便座装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7515267号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6、8、9〕について訂正することを認める。 特許第7515267号の請求項1ないし6、8及び9に係る特許を取り消す。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7515267号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし9に係る特許についての出願は、令和2年2月14日に出願され、令和6年7月4日にその特許権の設定登録がされ、同月12日に特許掲載公報が発行されたものである。 その後、その特許に対し、令和7年1月11日に、特許異議申立人 上原 弘子(以下「申立人」という。)より、特許異議申立書(以下「申立書」という。)が提出され、本件特許の請求項1ないし6、8及び9に係る特許について、特許異議の申立てがされた。 その後の経緯の概要は、以下のとおりである。 ・令和7年 3月17日付け 取消理由通知書 ・ 同年 5月19日 特許権者より意見書及び訂正請求書の提出 ・ 同年 7月 3日 申立人より意見書の提出 ・ 同年 9月22日付け 取消理由通知書(決定の予告) ・ 同年11月28日 特許権者より意見書及び訂正請求書の提出 ・令和8年 1月10日 申立人より意見書の提出 なお、令和7年5月19日にされた訂正の請求は、同年11月28日に新たな訂正の請求がされたことにより、取り下げられたものとみなす(特許法120条の5第7項)。 第2 訂正の適否 1 訂正請求の趣旨と訂正の内容 令和7年11月28日に提出された訂正請求書(以下、「本件訂正請求書」という。)による訂正請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)の趣旨は、特許第7515267号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6、8及び9について訂正することを求めるものである。 本件訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。) <訂正事項1> 特許請求の範囲の請求項1に 「便座装置の機能部における液体タンクケースに着脱可能に取り付けられる液体タンク本体と、 前記液体タンク本体の上部に形成され、前記液体タンク本体内に溜められる液体を注入する注入口を有する液体注入部と、 前記液体注入部に着脱可能に取り付けられ、前記注入口を覆うとともに、便鉢に洗浄水を流す給水経路に前記注入口から前記液体を供給する液体供給部と、 を備え、 前記液体タンク本体の側面は、前記液体タンクケースに囲まれており、 前記液体タンク本体の上面には、前記上面から上方に突出して形成される把手が設けられる液体タンク。」 と記載されているのを、 「便座装置の機能部における液体タンクケースに着脱可能に取り付けられる液体タンク本体と、 前記液体タンク本体の上部に形成され、前記液体タンク本体内に溜められる液体を注入する注入口を有する液体注入部と、 前記液体注入部に着脱可能に取り付けられ、前記注入口を覆うとともに、便鉢に洗浄水を流す給水経路に前記注入口から前記液体を供給する液体供給部と、 を備え、 前記液体タンク本体の側面は、前記液体タンクケースに囲まれており、 前記液体タンク本体の上面には、前記上面のうち前記液体注入部が設けられている面より高い面から上方に突出して形成される把手が設けられる液体タンク。」 に訂正する(請求項1の記載を引用する、訂正後の請求項2~6、8及び9も同様に訂正する)。 2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び新規事項の追加の有無について (1)訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「前記液体タンク本体の上面」の「前記上面から上方に突出して形成される把手」に関し、「前記上面のうち前記液体注入部が設けられている面より高い面」から上方に突出して形成されることを限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。 (2)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 上記(1)で説示したとおり、訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に特定事項を付加して限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に適合する。 (3)新規事項の追加の有無について 願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「願書に添付した明細書等」という。)の段落【0020】及び段落【0021】には、次のとおり記載されている。 「【0020】 液体タンク本体5の上面50に把手9が設けられている。把手9は、上面から上方に突出して形成されている。把手9は、液体タンク1を液体タンクケース160に取り付け、および、取り外す際にユーザが把持する部分である。 【0021】 液体タンク本体5の上面50に傾斜面53を有する。傾斜面53は、上面50の中央部から一つの側面52に向かって下降する斜面である。液体注入部3および液体供給部2は、傾斜面53に設けられている。傾斜面は、隣り合う二つの側面に向かって下降する斜面であってもよい。」 また、願書に添付した明細書等の【図6】には、次の図示がある。 「 [図:0001437359000001.jpg] 」 願書に添付された明細書等の段落【0020】及び【0021】に、「液体タンク本体5」の「上面50」に「把手9」が「上方に突出して形成」されていること、「液体タンク5」の「上面50」は「下降する斜面」である「傾斜面53」を有すること、及び「液体注入部3」は「傾斜面53」に設けられていることが記載されている。また、【図6】には、「液体タンク本体5」の上面のうち、「把手9」が上方に突出する面は、「液体注入部3」が設けられている下降する「傾斜面53」より高い様子が、示されている。 したがって、訂正事項1に係る訂正により特定される構成は、願書に添付した明細書等に記載された事項から導出されるものである。 よって、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項の規定に適合する。 3 独立特許要件、及び訂正の単位について (1)独立特許要件について 本件においては、請求項1~6、8及び9について、特許異議の申立てがされているので、訂正事項1により、請求項1~6、8及び9について特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正の適否の要件として、訂正後の請求項1~6、8及び9に係る発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。 (2)訂正の単位について 本件訂正前の請求項1~6、8及び9に関し、請求項2~6、8及び9は請求項1を引用しており、訂正事項1により記載が訂正される請求項1に連動して訂正がされるから、請求項1~6、8及び9は「一群の請求項」である。 したがって、訂正事項1により、特許請求の範囲の請求項1~6、8及び9について訂正を行うことを求める、本件訂正請求は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項〔1-6、8、9〕について、一群の請求項ごとに訂正を請求するものである。 4 申立人の意見における主張について 申立人は、令和8年1月10日提出の意見書において、本件訂正の適否に関して特段の主張をしていない。 5 訂正の適否の結論 以上のとおり、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-6、8、9〕について、本件訂正を認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、請求項1ないし6、8及び9の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」などという。)は、それぞれ、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし6、8及び9に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認められる。 なお、当審において適宜に改行を整え、分説を付した。 【請求項1】 A: 便座装置の機能部における液体タンクケースに着脱可能に取り付けられる液体タンク本体と、 B: 前記液体タンク本体の上部に形成され、前記液体タンク本体内に溜められる液体を注入する注入口を有する液体注入部と、 C: 前記液体注入部に着脱可能に取り付けられ、前記注入口を覆うとともに、便鉢に洗浄水を流す給水経路に前記注入口から前記液体を供給する液体供給部と、 を備え、 D: 前記液体タンク本体の側面は、前記液体タンクケースに囲まれており、 E: 前記液体タンク本体の上面には、前記上面のうち前記液体注入部が設けられている面より高い面から上方に突出して形成される把手が設けられる F: 液体タンク。 【請求項2】 G: 可撓性を有し、前記液体供給部と前記給水経路とを接続する接続管を備える 請求項1に記載の液体タンク。 【請求項3】 H: 前記液体タンク本体の上部に傾斜面を有し、前記傾斜面に前記液体注入部が形成されている 請求項1または請求項2に記載の液体タンク。 【請求項4】 I: 前記液体供給部は、前記液体タンク本体内に挿入される管状のノズルを備え、 J: 前記ノズルは前記液体タンク本体の底面に対して傾斜して配置され、 K: 前記ノズルの下端開口が、前記ノズルの長手軸に対して傾斜した下端面に形成されており、 L: 前記ノズルの前記下端面が前記液体タンク本体の前記底面と平行に配置されている 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液体タンク。 【請求項5】 M: 前記液体タンク本体の下部が、下端部に向かって水平断面が小さくなるように形成されている 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の液体タンク。 【請求項6】 N: 前記液体タンク本体は、前記機能部の上部を覆う第一カバーと、前記液体タンクケースと、によって全面が覆われ、前記液体タンク本体は、前記機能部の開口に上側から挿入されることで取り付けられる 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の液体タンク。 【請求項8】 O: 便鉢を有する便器本体と、 P: 前記便器本体に設けられ、機能部品が設けられる前記機能部と、 Q: 前記便鉢に洗浄水を流す給水経路と、 R: 前記機能部に着脱可能に取り付けられ、前記液体供給部が前記給水経路に接続される請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の液体タンクと、 S: を備える便器装置。 【請求項9】 T: 便鉢を有する便器本体に取り付け可能な便座と、 U: 機能部品が設けられ、前記便座に連結される前記機能部と、 V: 前記機能部に着脱可能に取り付けられ、便器本体の便鉢に洗浄水を流す給水経路に前記液体供給部が接続される請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の液体タンクと、 W: を備える便座装置。 第4 証拠方法、特許異議申立理由の概要、及び先の取消理由通知書に記載した取消理由の概要 1 証拠方法 申立人が提出した証拠は、以下のとおりである。 (以下、申立人の提出した甲第1号証等を、「甲1」等という。申立人が参考資料として提出したものは、そのまま「参考資料1」等という。) (1)申立書に添付して提出 甲1: 特開2019-173417号公報 甲2: 特開2004-3234号公報 甲3: 特開2011-94324号公報 甲4: 登録実用新案第3169580号公報 甲5: 特開2009-257025号公報 (2)令和7年7月3日提出の意見書に添付して提出 参考資料1: 特開2015-148081号公報 参考資料2: 実公昭57-52515号公報 参考資料3: 実願昭52-135024号(実開昭54-60743号)のマイクロフィルム 参考資料4: 実願昭60-194453号(実開昭62-107237号)のマイクロフィルム 2 特許異議申立理由の概要 申立人が申立書において主張する申立理由の概要は、次のとおりである。 <甲1を主たる証拠とした新規性欠如及び進歩性欠如> 本件特許の請求項1、6、8及び9に係る発明は、甲1に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当する。 また、本件特許の請求項2ないし5に係る発明は、甲1に記載された発明、及び甲2~甲5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条1項または同条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 3 先の取消理由通知書に記載した取消理由の概要 当審が令和7年3月17日付けの先の取消理由通知書に記載した取消理由の概要は、次のとおりである。 <甲1を主たる証拠とした新規性欠如及び進歩性欠如> 本件特許の請求項1、8及び9に係る発明は、甲1に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当する。 また、本件特許の請求項1ないし6、8及び9に係る発明は、甲1に記載された発明、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条1項または同条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 4 先の取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由の概要 当審が令和7年9月22日付けの先の取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由の概要は、次のとおりである。 <甲1を主たる証拠とした新規性欠如及び進歩性欠如> 本件特許の請求項1、8及び9に係る発明は、甲1に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当する。 また、本件特許の請求項1ないし6、8及び9に係る発明は、甲1に記載された発明、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条1項または同条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 第5 当審の判断 1 証拠、引用発明及び周知技術について 事案に鑑み、証拠については、甲1~甲5についてみることとする。 (1) 甲1 ア 記載及び図示 甲1には、次の記載及び図示がある(下線は、当審において付した。以下、同様。)。 (ア)「【背景技術】 【0002】 便器装置に設けられた従来の洗剤タンクは、特許文献1に例示されているように、タンク内部から外部へ延びる流路を有しており、その流路を通じて、液状の洗剤をポンプで吸引して便器本体に設けたボウルに洗浄水に混入させる構成とされている。さらに、この洗剤タンクには、洗剤送出用の供給口とは別に、洗剤を洗剤タンクに補充するための補充口が設けられている。そしてその補充口には着脱自在な容器蓋が設けられている。 【0003】 このように、この便器装置の洗剤タンクは、補充口と供給口の2つの開口を有し、一方の開口では洗浄剤の補充ができ、他方の開口では洗剤の送出(ボウルの洗浄水への供給)ができる構成とされている。つまり、洗剤の補充と送出とを、個別の経路で行う構成とされている。 ・・・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、上記洗剤タンクには洗剤の開口が2つ存在するため、タンク構造が複雑化する。そのため、洗剤タンクを洗浄する際には手間がかかり、洗剤タンクおよび便器装置の製造面においてもコスト高となるおそれがある。また、洗剤タンクに2つの開口があれば当然に洗剤漏れも発生しやすくなるという懸念もある。 【0006】 本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、効率よく保守でき、製造コストを抑えられる洗剤タンクを備えた便器装置を提供することにある。」 (イ)「【0011】 本便器装置1は、便器本体10に着脱自在に取り付けられ、便器本体10に設けられたボウル11に供給される洗浄水に混入される洗剤を貯留する洗剤タンクAを備えた便器装置である。 【0012】 洗剤タンクAは、内部を貯留空間21とし、上部に補充口22を有したタンク部20と、補充口22に対し着脱自在に設けられた容器蓋30とを備えている。容器蓋30は、補充口22の閉塞/開放を自在とした蓋部31と、蓋部31の内面中央より下方に突出し、流路41を有した取り出し部40と、蓋部31の外面より側方に突出し、取り出し部40と連通する流路51を有した送出部50とを備えている。取り出し部40の流路41にはフィルター43が設けてある。 【0013】 ついで、図1に示した便器装置1および便器装置1に着脱自在に収容される洗剤タンクAについて詳述する。 【0014】 本便器装置1の便器本体10は、ボウル11と、ボウル11を側方より囲った周壁13と、便座12と、便蓋(不図示)と、便座12や便蓋、ボウル11の後方に配された本体後部14とを備えている。便座12および便蓋は回動により開閉自在とされている。 【0015】 本体後部14の下部には、後部側の周壁13に囲まれてトラップ装置(不図示)、配管(不図示)などが配されている一方、上部には、便座12、便蓋の回動軸が設けられ、さらにその後方にカバー付きの操作部14aが配されている。なお、図1(a)(b)においてはカバーを外した状態が図示してある。 【0016】 さらに、操作部14aの隣の、通常、カバーに覆われた部分にタンク収容部15が配されている。このタンク収容部15には、タンクホルダー16が収容され、そのタンクホルダー16に洗剤タンクAが着脱自在に配される収容構造とされている。 【0017】 タンク収容部15は、カバーを外した状態では上方に開口しており、その開口を介して洗剤タンクAを出し入れすることができる。タンク収容部15は、洗剤タンクAからポンプ(不図示)で吸引される液状の洗剤をボウル11へと送り込むための液導入口15aが形成されている。 【0018】 また、タンクホルダー16は、洗剤タンクAを収容できる形状とされ、後述する洗剤タンクAの送出部50の回動を禁止し、かつ送出部50から送出される洗剤をタンク収容部15の液導入口15aに誘導し固定できるようにした管固定部16bを備えている。また、タンクホルダー16の本体16aの底には水抜き孔16cが設けられ、洗剤タンクAから漏れ出た洗剤を排水できるようになっている。 【0019】 洗剤タンクAは、上述したように、タンク部20と、着脱自在の容器蓋30とを有してなる。タンク部20の上面には、上方に円筒状に突出した補充口22と、取っ手25とが設けてある。 ・・・・ 【0024】 このように、容器蓋30は、蓋部31がタンク部20の補充口22を閉塞した状態と、開放した状態との変更を自在とした構成であり、かつ取り出し部40と送出部50とが蓋部31を介して流通した構成とされている。すなわち、本洗剤タンクAは、タンク部20に設けた洗剤補充用の補充口22が、洗剤をボウル11へ供給するための供給口を兼ねた構成とされている。 【0025】 このように、本洗剤タンクAは、タンク部20に補充口22とは別に供給口が設けられておらず、つまり複数の開口が設けられていないため、タンク部20の洗浄はしやすくなり、そのため洗剤タンクAを効率よく保守することができる。また、洗剤タンクAの製造コストを抑えることもできる。さらに、タンク部20に複数の開口が設けられていないため、洗剤漏れの可能性も低い。」 (ウ)【図1】(a) 「 [図:0001437359000002.jpg] 」 (エ)【図1】(c) 「 [図:0001437359000003.jpg] 」 (オ)【図2】 「 [図:0001437359000004.jpg] 」 イ 図より看取される事項 (ア) 看取事項1 段落【0014】-【0015】の記載を踏まえると、上記【図1】(a)より、便座12は、ボウル11を有する便器本体10の本体後部14の上部の回動軸に取り付けられている様子が、看取される。 (イ) 看取事項2 段落【0012】及び【0016】の記載を踏まえると、上記【図1】(c)及び【図2】より、洗剤タンクAのタンク部20の側面は、タンク収容部15に収容した状態で、タンクホルダー16に囲まれることが、看取される。 (ウ) 看取事項3 段落【0019】の記載を踏まえると、上記【図2】より、洗剤タンクAのタンク部20の上面に設けられる取っ手25は、上方に突出して設けられることが、看取される。 ウ 記載された発明、発明の課題、及び課題を解決する構成 (ア) 「洗剤タンクA」に着目して 上記ア及びイより、甲1には、「洗剤タンクA」に着目して、次の発明(以下「甲1タンク発明」という。)が記載されている。なお、各構成に分説を付し、関連する段落番号等を括弧書きで付した。 <甲1タンク発明> 「a: 便器装置1の、便器本体10に着脱自在に取り付けられ、便器本体10に設けられたボウル11に供給される洗浄水に混入される洗剤を貯留する、洗剤タンクAであって、(【0011】) b: 洗剤タンクAは、内部を貯留空間21とし、上部に補充口22を有したタンク部20と、補充口22に対し着脱自在に設けられた容器蓋30とを備え、容器蓋30は、蓋部31と、蓋部31の内面より下方に突出し、流路41を有した取り出し部40と、蓋部31の外面より突出し、取り出し部40と連通する流路51を有した送出部50とを備え、(【0012】) c: 便器装置1の便器本体10は、ボウル11と、便座12と、ボウル11の後方に配された本体後部14とを備え、(【0014】) d: 本体後部14の下部には、後部側の周壁13に囲まれてトラップ装置、配管などが配され、上部には、便座12の回動軸が設けられ、さらにその後方に操作部14aが配され、操作部14aの隣の、通常、カバーに覆われた部分にタンク収容部15が配され、タンク収容部15には、タンクホルダー16が収容され、そのタンクホルダー16に洗剤タンクAが着脱自在に配されるものであり、(【0015】-【0016】) e: タンク収容部15は、カバーを外した状態では上方に開口しており、その開口を介して洗剤タンクAを出し入れすることができ、タンク収容部15には、洗剤タンクAから液状の洗剤をボウル11へと送り込むための液導入口15aが形成されており、洗剤タンクAの送出部50から送出される洗剤はタンク収容部15の液導入口15aに誘導され、(【0017】、【0018】) f: 洗剤タンクAのタンク部20の側面は、タンク収容部15に収容した状態で、タンクホルダー16に囲まれており、(看取事項2) g: 洗剤タンクAのタンク部20の上面には、上方に円筒状に突出した補充口22と、上方に突出する取っ手25とが設けてあり、(【0019】、看取事項3) h: 本洗剤タンクAは、タンク部20に設けた洗剤補充用の補充口22が、洗剤をボウル11へ供給するための供給口を兼ねた構成とされ、タンク部20に補充口22とは別に供給口が設けられておらず、つまり複数の開口が設けられていないため、タンク部20の洗浄はしやすくなり、そのため洗剤タンクAを効率よく保守することができ、また、洗剤タンクAの製造コストを抑えることもできる、(【0024】、【0025】) 洗剤タンクA。」 (イ)「便器装置1」に着目して また、甲1には、「便器装置1」に着目して、次の発明(以下「甲1便器発明」という。)が記載されている。 <甲1便器発明> i: ボウル11を有する便器本体10と、(【0014】) j: 便器本体10のボウル11の後方に配された本体後部14とを備え、本体後部14の上部には、操作部14aが配され、(【0014】、【0015】) k: 本体後部14の下部には、配管などが配され、洗剤タンクAに貯留される洗剤が便器本体10に設けられたボウル11に供給される洗浄水に混入される、便器装置1であって、(【0011】、【0015】) l: 甲1タンク発明に係る洗剤タンクAが、本体後部14のタンク収容部15のタンクホルダー16に着脱自在に配され、(【0015】、【0016】) m: タンク収容部15には、洗剤タンクAから液状の洗剤をボウル11へと送り込むための液導入口15aが形成されており、洗剤タンクAの送出部50から送出される洗剤はタンク収容部15の液導入口15aに誘導される、(【0017】、【0018】) n: 便器装置1。 (ウ)「便座12」に着目して また、甲1には、「便座12」に着目して、次の発明(以下「甲1便座発明」という。)が記載されている。 <甲1便座発明> o: ボウル11を有する便器本体10の本体後部14の上部の回動軸に取り付けられる便座12と、(看取事項1) p: 便座12が上部の回動軸に取り付けられるとともに、上部に操作部14aが配された、本体後部14とを備え、(【0015】、看取事項1) q: 甲1タンク発明に係る洗剤タンクAが、本体後部14のタンク収容部15のタンクホルダー16に着脱自在に配され、(【0015】、【0016】) r: タンク収容部15には、洗剤タンクAから液状の洗剤をボウル11へと送り込むための液導入口15aが形成されており、洗剤タンクAの送出部50から送出される洗剤はタンク収容部15の液導入口15aに誘導される、(【0017】、【0018】) s: 便座12、便器本体10の本体後部14、及び洗剤タンクA。 (エ)発明の課題、及び課題を解決する構成 以下、甲1タンク発明、甲1便器発明、及び甲1便座発明を、まとめて「甲1発明」という。 甲1における上記ア(ア)の記載より、甲1発明の課題は、補充口と供給口の2つの開口を有し、一方の開口では洗浄剤の補充ができ、他方の開口では洗剤の送出(ボウルの洗浄水への供給)ができる従来の洗剤タンクでは、開口が2つ存在するため、タンク構造が複雑化し、製造面においてもコスト高となる、ということであると認められる。 そして、上記の課題を解決するために、甲1発明は、構成bを採用し、「補充口22」に着脱する「容器蓋30」に、「下方に突出し、流路41を有した取り出し部40」及び「取り出し部40と連通する流路51を有した送出部50」を設けることで、構成hのとおり「タンク部20に設けた洗剤補充用の補充口22が、洗剤をボウル11へ供給するための供給口を兼ねた」ものとなって、上記の課題を解決するものと認められる。 (2)甲2 ア 記載及び図示 甲2には、次の記載及び図示がある。 (ア)「【0027】 図19以下に別の例を示す。これも洗浄液容器30が剛性を有する合成樹脂製の市販詰替容器である場合の例であるが、局部洗浄装置本体Aの袖部B内に収容されて、袖部Bに設けた開閉自在な蓋(図示せず)を開いて袖部B上面を開口させることで洗浄液容器30の着脱を行うことができるようになっている。また、接続口70にはシリコン製のホース状の接続部材67を介して吸入パイプ64が接続されているとともに、洗浄液容器30の口に装着されるキャップ(連結部)80にはポリプロピレンの押出ホースにて形成された吸入パイプ64が軸回りの回転が自在となる状態で差し込まれる孔が中央に設けられている。 【0028】 ここで、接続口70は図21(a)に示す状態で内部の弁(図示せず)が閉じ、図21(b)に示す状態で内部の弁が開くように構成されており、このように弁の開閉を行う時、ホース状の接続部材67は撓む方向が入れ替わるようにすることで、接続部材7の長さの最適化を図るとともに、着脱の際に折れ曲がらないようにしている。」 (イ)【図19】 「 [図:0001437359000005.jpg] 」 (ウ)【図20】 「 [図:0001437359000006.jpg] 」 (エ)【図21】 「 [図:0001437359000007.jpg] 」 イ 認定事項1 上記ア(ア)の記載、及び上記ア(イ)~(エ)の図示より、着脱する洗浄液容器30を、接続口70に接続するホース状の接続部材67を、撓むように形成することが、認定される。 (3)甲3 ア 記載及び図示 甲3には、次の記載及び図示がある。 (ア)「【0046】 洗剤タンク81は、内部に貯溜された液状の洗剤を外部から視認できるように透明又は半透明な材料で形成されている。洗剤タンク81は、図5に示されるように、平面視で略L字状に形成され、対応する下のサイドカバー57よりも便器内部に配置される内装部分810と、内装部分810の前部から便器外側方に向けて突出する突出部811とで構成されている。 【0047】 突出部811の上面部には洗剤を供給するための筒状供給口部812が形成されている。この筒状供給口部812は、図1乃至図5に示されるように、上方ほど洗剤タンク81のタンクホルダー9への差し込み方向とは反対方向に位置するように且つ上方ほど前部側に位置するように傾斜しており、洗剤タンク81が便器装置本体1に取り付けられた状態では、図6及び図10に示されるように、その筒状供給口部812の軸線(中心軸線)819が、上側ほど便器から外側方に離れる方向に傾斜すると共に、上方ほど便器装置の手前側に向かうように傾斜している。その上、図1に示されるように、筒状供給口部812は、その先端の開口端面が前記軸線に対して非直角となっており、しかも鉛直面に対して傾いた傾斜端面となっている。この傾斜端面は、傾斜端面の最下部を含み且つ前記軸線に対して直交する筒状供給口部812の仮想断面813を想定すると、傾斜端面の最上部を仮想断面813の最上部よりも上方に位置させるようにして傾斜している。 ・・・ 【0049】 この筒状供給口部812の先端には、通常は、図10等に示されるように、着脱自在の蓋816が設けられている。内装部分810の上面部の前部には、管c(図9参照)を介して洗剤タンク81内に連通する洗剤出口部817及び洗剤入口部818が設けられている。洗剤出口部817及び洗剤入口部818は便器内側方(左方)に向けて突出する接続継手からなり、対応する連結部31,32に対して抜き差し自在に挿入される。」 (イ)【図2】 「 [図:0001437359000008.jpg] 」 (ウ)【図3】 「 [図:0001437359000009.jpg] 」 イ 認定事項2 上記ア(ア)の記載、及び上記ア(イ)及び(ウ)の図示より、洗剤タンク81の上面部に下り傾斜した部分を設けるとともに、洗剤タンク81に設ける筒状供給口部812を、上面部のうち下り傾斜した部分に設けることが、認定される。 ウ 認定事項3 上記ア(ア)の記載、及び上記ア(イ)及び(ウ)の図示より、洗剤タンク81の下部について、下端に向かって水平断面を小さくしていることが、認定される。 (4)甲4 ア 記載及び図示 甲4には、次の記載及び図示がある。 (ア)「【0019】 容器本体12は、例えば、角柱状や円柱状のものが採用される。容器本体12の内部は、充填物Mが充填される。また、容器本体12の内部には、傾斜部としての傾斜部16が配置されている。傾斜部16は、容器本体12の内側面の所定の位置が最下部18となるように、傾斜して配置されている。傾斜部16は、傾斜しているものの、傾斜部16の表面は平坦面で構成されている。このため、充填物Mの残量が少なくなった場合には、僅かな残量が容器本体12の最下部18に溜まる。換言すれば、充填物Mの残量が少なくなると、充填物Mが重力の作用により傾斜部16の表面上を滑り落ちる。これにより、残り僅かの充填物Mは、傾斜部16と容器本体12内側面とで囲まれて形成された最下部18に溜まる。 【0020】 傾斜部16は、容器本体12の底部12Aの上方の位置に配置されている。このため、容器本体12の底部12Aを削るなどして窪みを形成しているものではないため、容器本体12の強度が維持される。 【0021】 なお。傾斜部16と容器本体12の底部12Aとの間は、中肉として肉厚状に形成してもよく、あるいは中空状に形成してもよい。また、容器本体12の底部12Aを取り除き、傾斜部16に底部としての機能を担持させるとともに、傾斜部16の底部に容器10を起立させるためのスタンドを取り付けてもよい。 ・・・・ 【0026】 第1実施形態の容器10によれば、図1及び図2に示すように、内容物である充填物Mの残量が僅かになった場合に、残り僅かな充填物Mを最下部18に導くことができる。そして、その最下部18に位置する吸引部14Aの先端部14A1から充填物Mを吸引して外部に排出させることができる。このように、充填物Mの残量が少なくなった場合でも、充填物Mを確実に吸引・排出することができ、使い切ることが可能になる。」 (イ)【図1】 「 [図:0001437359000010.jpg] 」 (ウ)【図2】 「 [図:0001437359000011.jpg] 」 (エ)【図7】 「 [図:0001437359000012.jpg] 」 イ 認定事項4 上記ア(ア)の記載、及び上記ア(イ)~(エ)の図示より、洗剤容器本体(12)の下部について、下端に向かって内部の水平断面を小さくしていることが、認定される。 ウ 認定事項5 上記ア(ア)の記載、及び上記ア(イ)~(エ)の図示より、洗剤容器本体(12)の内部に配置される吸引部(14A)について、下方では斜めとして、最下部(18)の底面に対して傾斜するように配置していることが、認定される。 エ 認定事項6 上記ア(ア)の記載、及び上記ア(エ)の図示より、洗剤容器本体(12)の内部に配置される吸引部(14A)の先端部(14A1)について、吸引部(14A)の長手軸に対して傾斜し、かつ洗剤容器本体(12)の最下部(18)の底面と略平行にすることが、認定される。 (5)甲5 ア 記載及び図示 甲5には、次の記載及び図示がある。 (ア)「【0069】 図13のように洗剤タンク41の上面部には洗剤補給口部とキャップ取付口部63とが設けてあり、洗剤補給口部には開閉自在な蓋19が取り付けてある。 【0070】 また、キャップ取付口部63にはキャップ62が着脱自在に取り付けてある。キャップ62には共に逆L状をした下流側接続管17a及び上流側接続管17bが装着してあり、キャップ62をキャップ取付口部63に取り付けることで、下流側接続管17a及び上流側接続管17bの夫々の縦管部がキャップ取付口部63から洗剤タンク41内に差し込まれると共に、下流側接続管17a及び上流側接続管17bの夫々の横管部17a1、17b1が洗剤タンク41の上端部から便器外郭体2内側の側方に向けて突出する。横管部17a1、17b1は接続口14a、14bに挿入することで接続され、この挿入方向は左右方向と平行である。そして、本実施形態ではこれら各横管部17a1、17b1で洗剤供給路84に着脱自在に連通接続される被接続部79を構成している。 ・・・ 【0074】 上記のように洗剤タンクホルダ15に取付けた洗剤タンク41は図17のように洗剤タンクホルダ15より外側方に突出し、この突出部分に前記洗剤補給口部及びこれに取付けた蓋19が位置することとなる。」 (イ)「【0090】 ・・・ 【図11】同上の洗剤タンクの断面図である。 ・・・ 【図17】同上のタンクカバーを取り外した便器装置の要部斜視図である。」 (ウ)【図11】 「 [図:0001437359000013.jpg] 」 (エ)【図17】 「 [図:0001437359000014.jpg] 」 イ 認定事項7 上記ア(ア)(イ)の記載、及び上記ア(ウ)(エ)の図示より、洗剤タンク41の下部について、下端に向かって内部の水平断面を小さくしていることが、認定される。 ウ 認定事項8 上記ア(ア)(イ)の記載、及び上記ア(エ)の図示より、洗剤タンク41の上面部に下り傾斜した部分を設けるとともに、開口の一つである洗剤補給口部及びこれに取付けた蓋19を、洗剤タンク41の上面部のうち下り傾斜した部分に設けることが、認定される。 (6)周知技術 ア 周知技術1 上記(2)イのとおり甲2から認定される認定事項1は、着脱する洗浄液容器を接続口に接続するうえで、特別な構成ではない。 したがって、着脱する洗浄液容器について、接続口に接続するホース状の接続部材を、撓むように形成することは、周知技術(以下「周知技術1」という。)であると認められる。 イ 周知技術2 上記(3)イのとおり甲3から認定される認定事項2、及び、上記(5)ウのとおり甲5から認定される認定事項8は、液体タンクの上部に供給口を設けるうえで、特別な構成ではない。 したがって、液体タンクの上面部に下り傾斜した部分を設けるとともに、液体タンクの上面部に設ける開口の一つである供給口を、上面部のうち下り傾斜した部分に設けることは、周知技術(以下「周知技術2」という。)であると認められる。 ウ 周知技術3 上記(4)ウのとおり甲4から認定される認定事項5は、液体容器の内部に配置される吸引部の配置として、特別な構成ではない。 また、上記(4)エのとおり甲4から認定される認定事項6は、液体容器の内部に配置される吸引部の先端部の構成として、特別な構成ではない。 したがって、液体容器本体の内部に配置される吸引部について、液体容器本体の最下部の底面に対して傾斜するように配置するとともに、吸引部の先端部について、吸引部の長手軸に対して傾斜し、かつ液体容器本体の最下部の底面と略平行にすることは、周知技術(以下「周知技術3」という。)である。 エ 周知技術4 上記(3)ウのとおり甲3から認定される認定事項3、上記(4)イのとおり甲4から認定される認定事項4、及び上記(5)イのとおり甲5から認定される認定事項7は、液体容器の下部の形状として、特別な構成ではない。 したがって、液体容器の下部を、下端に向かって水平断面が小さくなるようにすることは、周知技術(以下、「周知技術4」という。)である。 2 進歩性 (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1タンク発明とを対比する。 (ア) 構成Aについて 甲1タンク発明において、構成cの「便器本体10」の「ボウル11の後方に配された本体後部14」は、構成dより、「上部には、便座12の回動軸が設けられ」ているから、便座12と連結されており、また同構成dより、「さらにその後方に操作部14aが配され」ているから、機能的な部材が配置された機能部ということができる。そのため、甲1タンク発明における構成cの「本体後部14」は、本件発明1の構成Aにおける「便座装置の機能部」に、相当する。 甲1タンク発明において、構成dより「本体後部14」の「操作部14aの隣」の「タンク収容部15」に配された「タンクホルダー16」は、構成eより「洗剤タンクAから液状の洗剤」が「ボウル11へと送り込」まれることを踏まえると、「液状の洗剤」を貯留する「洗剤タンクA」を囲む「タンクホルダー16」が「本体後部14」に配置されていることが明らかであるから、本件発明1の構成Aにおける「機能部における液体タンクケース」に、相当する。 甲1タンク発明において、構成fより有する「洗剤タンクAのタンク部20」は、「側面は、タンク収容部15に収容した状態で、タンクホルダー16に囲まれ」ること、及び、構成dより「タンクホルダー16に洗剤タンクAが着脱自在に配される」ことを踏まえると、「洗剤タンクAのタンク部20」が「側面は・・・タンクホルダー16に囲まれ」る態様で「タンクホルダー16」に「着脱自在」であることが明らかであるから、本件発明1の構成Aにおける「液体タンクケースに着脱可能に取り付けられる液体タンク本体」に、相当する。 したがって、甲1タンク発明は、本件発明1の構成Aに相当する構成を有する。 (イ) 構成Bについて 甲1タンク発明において、構成bより「洗剤タンクA」の「タンク部20」が「上部」に有する「補充口22」は、「内部」の「貯留空間21」に貯留される「液状の洗剤」(構成e)を補充する補充口及び補充部として機能することが明らかであることを踏まえると、本件発明1の構成Bにおける、「前記液体タンク本体の上部に形成され、前記液体タンク本体内に溜められる液体を注入する注入口を有する液体注入部」に相当する。 したがって、甲1タンク発明は、本件発明1の構成Bに相当する構成を有する。 (ウ)構成Cについて 甲1タンク発明において、構成bより「タンク部20」の「補充口22に対し着脱自在に設けられた容器蓋30」は、本件発明1の構成Cにおける「前記液体注入部に着脱可能に取り付けられ、前記注入口を覆う」部材に、相当する。 甲1タンク発明において、構成eの「液導入口15a」は、「洗剤タンクAから液状の洗剤をボウル11へと送り込むため」のものであるから、「液導入口15a」は構成dにおける「本体後部14の下部」の「配管」に通じており、構成aの「ボウル11」に「洗剤」が混入された「洗浄水」を「供給」することが明らかである。そのため、甲1タンク発明における「液導入口15a」及び「液導入口15a」と通じる「配管」は、本件発明1の構成Cにおける「便鉢に洗浄水を流す給水経路」に、相当する。 また、甲1タンク発明において、構成bより、「容器蓋30」が「蓋部31の外面より突出し、取り出し部40と連通する流路51を有した送出部50とを備え」るとともに、構成eより、「洗剤タンクAの送出部50から送出される洗剤はタンク収容部15の液導入口15aに誘導され」ることは、本件発明1の構成Cにおいて、「前記注入口を覆う」部材が「便鉢に洗浄水を流す給水経路に前記注入口から前記液体を供給する液体供給部」である構成に、相当する。 したがって、甲1タンク発明は、本件発明1の構成Cに相当する構成を有する。 (エ)構成Dについて 甲1タンク発明において、構成fより「洗剤タンクAのタンク部20の側面は、タンク収容部15に収容した状態で、タンクホルダー16に囲まれ」ることは、本件発明1の構成Dにおいて、「前記液体タンク本体の側面は、前記液体タンクケースに囲まれ」ることに、相当する。 したがって、甲1タンク発明は、本件発明1の構成Dに相当する構成を有する。 (オ)構成Eについて 本件発明1の構成Eにおいて、「前記液体タンク本体の上面には、前記上面のうち前記液体注入部が設けられている面より高い面から上方に突出して形成される把手が設けられる」ことと、甲1タンク発明において、構成gより「洗剤タンクAのタンク部20の上面には、・・・、上方に突出する取っ手25とが設けてある」こととは、「前記液体タンク本体の上面には、前記上面から上方に突出して形成される把手が設けられる」点で、共通する。 (カ)構成Fについて 甲1タンク発明において、構成a及び末尾の構成である「洗剤タンクA」は、構成eより「洗剤タンクAから液状の洗剤をボウル11へと送り込む」ことを踏まえると、本件発明1の構成Fにおける「液体タンク」に、相当する。 したがって、甲1タンク発明は、本件発明1の構成Fに相当する構成を有する。 (キ)対比の小括 上記(ア)~(カ)より、本件発明1と甲1発明とは、次の一致点で一致する。 <一致点> A: 便座装置の機能部における液体タンクケースに着脱可能に取り付けられる液体タンク本体と、 B: 前記液体タンク本体の上部に形成され、前記液体タンク本体内に溜められる液体を注入する注入口を有する液体注入部と、 C: 前記液体注入部に着脱可能に取り付けられ、前記注入口を覆うとともに、便鉢に洗浄水を流す給水経路に前記注入口から前記液体を供給する液体供給部と、 を備え、 D: 前記液体タンク本体の側面は、前記液体タンクケースに囲まれており、 E’: 前記液体タンク本体の上面には、前記上面から上方に突出して形成される把手が設けられる F: 液体タンク。 そして両者は、次の相違点1において相違する。 <相違点1> 「把手」が「上方に突出」して形成される「面」に関し、 本件発明1においては、「前記上面のうち前記液体注入部が設けられている面より高い面」と特定されているのに対し、 甲1タンク発明においては、「上方に突出する取っ手25」が設けられる面は、「上方に円筒状に突出した補充口22」が設けられているのと同じ「洗剤タンクAのタンク部20の上面」である点。 イ 判断 上記相違点1について、判断する。 (ア)相違点1に係る構成の技術的意義 本件発明1において、「把手」が「上方に突出」して形成される「面」を、「前記上面のうち前記液体注入部が設けられている面より高い面」とする、相違点1に係る構成が、どのような技術的意義を有するのかについて、本件特許の願書に添付された明細書(以下、図面とあわせて「本件明細書等」という。)には、特段の記載がない。 「液体注入部」を設ける面に関し、本件明細書等の段落【0033】には、「液体注入部3は、液体タンク本体5の傾斜面53に形成されているため、注入口31の開口面積を広く確保できる。注入口31の開口面積が広いため、洗剤等の液体が容易に注入できる。」と記載されており、また段落【0042】には、「上記液体タンク1は、傾斜面53に注入口31が形成されているため、広い注入口31を形成できる。その結果、液体タンク本体5に液体を容易に注入できる。液体タンク1は、傾斜面53に注入口31が形成されているため、液体タンク1が機能部170に取り付けた際に、液体供給部2が他の部材に干渉し難い。」と記載されている。 しかしながら、「開口面積を広く確保できる」等の効果は、「液体注入部」を設ける面を「傾斜面」とした場合の効果であって、相違点1に係る本件発明1の構成のように、「把手」を形成する面を「液体注入部」が設けられる面より「高い」面とすることに依拠した効果ではない。 そして、「把手」を形成する面と「液体注入部」が設けられる面との高さに関する相違点1に係る構成に関し、当該構成とする目的や当該構成に依拠した効果、及び当該構成の技術的意義に関する記載は、本件明細書等には何ら示されていない。 本件発明1における上記相違点1に係る構成は、上記第2の1に示したとおり、本件訂正により導入された構成であるところ、上述したとおり本件明細書等に当該構成に関する課題、効果及び技術的意義に関する記載が存在しないことを踏まえると、本件訂正により特定された相違点1に係る構成は、甲1タンク発明に係る「洗剤タンクA」の具体例との形状の差異を特定した構成であって、当該構成に依拠した特段の技術的意義などを有するものではないと理解される。 (イ)相違点1に係る構成の技術的意義を踏まえた判断 甲1タンク発明は、構成gより「洗剤タンクAのタンク部20の上面」に「上方に円筒状に突出した補充口22」と「上方に突出する取っ手25」とを設けており、また構成bより「補充口22」には「蓋部31の外面より突出し、取り出し部40と連通する流路51を有した送出部50」等を備えた「容器蓋30」が着脱されるから、「タンク部20の上面」からは、「取っ手25」、及び「送出部50」等を備えた「容器蓋30」が着脱される「補充口22」の両者が、上方に突出することとなる。 ここで、甲1タンク発明は、上記1(1)ウ(エ)に示したとおり、補充口と供給口の2つの開口を有する従来の洗剤タンクでは構造が複雑化しコスト高となる、という課題を解決するために、「洗剤補充用の補充口22が、洗剤をボウル11へ供給するための供給口を兼ねた」構成を採用したものであるから、甲1タンク発明における課題及び課題を解決するための構成からみて、2つの開口を1つの開口にまとめた「補充口22」を設ける位置を、必ずしも「洗剤タンクA」の最も上面としたり、「取っ手25」と同じ高さの面とする必要があるわけではない。 そして、甲1タンク発明において、「取っ手25」を掴んで「洗剤タンクA」を出し入れするうえで、「送出部50」等を設けた「容器蓋30」を取り付けた「補充口22」が「タンク部20の上面」から上方に突出していても、上から「取っ手25」を掴むこと簡易とする一般的な観点から、具体的なタンク形状を設計する際に、「タンク部20の上面」のうち「取っ手25」を設ける部分の高さを、「補充口22」を設ける部分の高さより若干高いものに調整し、もって上記相違点1に係る本件発明1の構成に相当する構成とすることは、当業者であれば適宜になし得た設計事項程度である。 また、そうしたことによる効果は、上記(ア)のとおり相違点1に係る構成の技術的意義が本件明細書等に示されていないことを踏まえると、格別のものとはいえない。 (ウ)本件明細書等における具体例を考慮しての判断 相違点1に係る本件発明1の構成に関し、本件明細書等に示される具体例は、上記第2の2(3)に摘記した願書に添付した明細書等の段落【0020】、【0021】及び【図6】(当審注;明細書及び図面は本件訂正によって訂正されていない)に示されるように、液体タンク本体5の上面50のうち、把手9を設けた面から下降する傾斜面53に液体注入部3を設けることにより、把手9を設ける面を、液体注入部3が設けられている面より高い面とするものである。 上記本件明細書等に示される具体例を考慮して、相違点1に係る本件発明1の構成に関し、液体注入部を下り傾斜面に設けることで、把手を設ける面を液体注入部を設ける面より高い面とする場合について、さらに判断する。 上記(イ)で説示したとおり、甲1タンク発明における課題及び課題を解決するための構成からみて、甲1タンク発明では、2つの開口を1つの開口にまとめた「補充口22」を設ける位置を、必ずしも「洗剤タンクA」の最も上面としたり、「取っ手25」と同じ高さの面とする必要があるわけではない。 そして、上記1(6)イに示したとおり、液体タンクの上面部に設ける開口の一つである供給口を、上面部のうち下り傾斜した部分に設けることは、甲3及び甲5に示される周知技術2である。 甲1タンク発明において、「取っ手25」を掴んで「洗剤タンクA」を出し入れすることを考慮して、2つの開口を1つの開口にまとめた「補充口22」を設ける位置を、従来から開口の一つが設けられていた上面部のうちの下り傾斜した面とし、もって「取っ手25」を設けた面を「補充口22」を設けた下り傾斜する面より高い面として、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、周知技術2に基づいて、当業者であれば想到容易である。 また、そうしたことによる効果は、上記(ア)に示した本件明細書等の段落【0033】及び【0042】の記載のように、傾斜面に開口を設けることで水平面に投影した開口面積より傾斜面上の開口面積が大きくなること、及び、他の部材との干渉が設計に応じて緩和され得ることを考慮しても、格別顕著なものとは認められない。 ウ 特許権者の意見書における主張について 特許権者は、令和7年11月28日提出の意見書において、相違点1に係る構成は甲1を含む各証拠に記載または示唆されておらず、設計事項とする根拠もなく、液体注入部が邪魔をしにくい位置に把手を設けることができる等の効果を奏するから、本件発明1は進歩性を有する旨を主張している(同意見書第5頁下から10行~第6頁5行)。 しかしながら、上記特許権者の主張について考慮しても、相違点1に係る構成の容易想到性について、上記イの判断を変更すべき事情は見いだせない。 エ 本件発明1の進歩性のまとめ したがって、本件発明1は、甲1タンク発明に基づいて、または甲1タンク発明及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本件発明1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号の規定により取り消されるべきものである。 (2)本件発明2について ア 対比・判断 本件発明2は、本件発明1の構成を有し、さらに構成Gを付加したものである。 (ア)構成Gについて 本件発明2において付加された構成Gについて、対比・判断する。 上記1(6)アに示したとおり、着脱する洗浄液容器を接続口に接続するホース状の接続部材を、撓むように形成することは、甲2に示される周知技術1である。 甲1タンク発明において、構成bの「蓋部31の外面より突出し、取り出し部40と連通する流路51を有した送出部50」について、構成eの「洗剤タンクAから液状の洗剤をボウル11へと送り込むための液導入口15a」まで「送出部50から送出される洗剤」を「誘導」すれば足りる観点から、上記周知技術1を適用し、撓むことができるホース状の接続部材を用いることとし、もって本件発明2において付加された構成Gに相当する構成に至ることは、当業者であれば想到容易である。 (イ)その余の構成について 本件発明2が有する本件発明1の構成については、上記(1)に対比・判断したとおりである。 イ 本件発明2の進歩性のまとめ したがって、本件発明2は、甲1タンク発明及び周知技術1に基づいて、または、甲1タンク発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本件発明2に係る特許は、特許法29条2項に違反してされたものであり、同法113条2号の規定により取り消されるべきものである。 (3)本件発明3について ア 対比・判断 本件発明3は、本件発明1または本件発明2の構成を有し、さらに構成Hを付加したものである。 (ア)構成Hについて 本件発明3において付加された構成Hについて、対比・判断する。 上記(1)イ(ウ)において、相違点1に係る本件発明1の構成に関し、液体注入部を上面のうち下り傾斜面に設ける場合について判断したのと同じ理由で、本件発明3において付加された構成Hに相当する構成とすることは、周知技術2に基づいて当業者であれば想到容易である。 (イ)その余の構成について 本件発明3が有する本件発明1または本件発明2の構成については、上記(1)及び(2)に対比・判断したとおりである。 イ 本件発明3の進歩性のまとめ したがって、本件発明3は、甲1タンク発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本件発明3に係る特許は、特許法29条2項に違反してされたものであり、同法113条2号の規定により取り消されるべきものである。 (4)本件発明4について ア 対比・判断 本件発明4は、本件発明1~本件発明3のいずれかの構成を有し、さらに構成I~Lを付加したものである。 (ア)構成Iについて 本件発明4において付加された構成のうち、構成Iについて、対比・判断する。 甲1タンク発明において、構成bより「送出部50」を有する「容器蓋30」が、「蓋部31の内面より下方に突出し、流路41を有した取り出し部40」を有する構成は、「流路41を有した取り出し部40」が管状であることが明らかであること、及び、「下方に突出」した「取り出し部40」が「ノズル」と言い得ることを踏まえると、本件発明4において付加された構成Iの「前記液体供給部は、前記液体タンク本体内に挿入される管状のノズルを備え」ることに、相当する。 したがって、甲1タンク発明は、本件発明4において付加された構成のうち、構成Iに相当する構成を有する。 (イ)構成J~Lについて 本件発明4において付加された構成のうち、構成J~Lについて、対比・判断する。 上記1(6)ウに示したとおり、液体容器本体の内部に配置される吸引部について、液体容器本体の最下部の底面に対して傾斜するように配置するとともに、吸引部の先端部について、吸引部の長手軸に対して傾斜し、かつ液体容器本体の最下部の底面と略平行にすることは、甲4に示される周知技術3である。 甲1タンク発明において、構成bの「蓋部31の内面より下方に突出し、流路41を有した取り出し部40」の具体的な構造として、上記周知技術3を適用し、もって本件発明4において付加された構成J~Lに相当する構成に至ることは、当業者であれば想到容易である。 (ウ)その余の構成について 本件発明4が有する本件発明1~本件発明3のいずれかの構成については、上記(1)~(3)に対比・判断したとおりである。 イ 本件発明4の進歩性のまとめ したがって、本件発明4は、甲1タンク発明及び周知技術1~3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本件発明4に係る特許は、特許法29条2項に違反してされたものであり、同法113条2号の規定により取り消されるべきものである。 (5)本件発明5について ア 対比・判断 本件発明5は、本件発明1~本件発明4のいずれかの構成を有し、さらに構成Mを付加したものである。 (ア)構成Mについて 本件発明5において付加された構成Mについて、対比・判断する。 上記1(6)エに示したとおり、液体容器の下部を、下端に向かって水平断面が小さくなるようにすることは、甲3、甲4及び甲5に示される周知技術4である。 甲1タンク発明において、構成bの「タンク部20」の形状について、上記周知技術4を適用し、もって本件発明5において付加された構成Mに相当する構成に至ることは、当業者であれば想到容易である。 (イ)その余の構成について 本件発明5が有する本件発明1~本件発明4のいずれかの構成については、上記(1)~(4)に対比・判断したとおりである。 イ 本件発明5の進歩性のまとめ したがって、本件発明5は、甲1タンク発明及び周知技術1~4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本件発明5に係る特許は、特許法29条2項に違反してされたものであり、同法113条2号の規定により取り消されるべきものである。 (6)本件発明6について ア 対比・判断 本件発明6は、本件発明1~本件発明5のいずれかの構成を有し、さらに構成Nを付加したものである。 (ア)構成Nについて 本件発明6において付加された構成Nについて、対比・判断する。 甲1タンク発明において、構成eより、「タンク収容部15は、カバーを外した状態では上方に開口しており、その開口を介して洗剤タンクAを出し入れすることができ」る構成は、本件発明6において付加された構成Nのうち、「前記液体タンク本体は、前記機能部の開口に上側から挿入されることで取り付けられる」という後半部の構成に、相当する。 また、甲1タンク発明において、構成fより、「洗剤タンクAのタンク部20の側面は、タンク収容部15に収容した状態で、タンクホルダー16に囲まれ」るところ、構成eの「カバー」を「本体後部14」の上部を覆うものとし、「カバー」を外さない状態では「カバー」と「タンクホルダー16」とによって「洗剤タンクAのタンク部20」の全面が覆われるようにして、本件発明6において付加された構成Nのうち、「前記液体タンク本体は、前記機能部の上部を覆う第一カバーと、前記液体タンクケースと、によって全面が覆われ」るという、前半部の構成に相当する構成とすることは、当業者であれば適宜になし得た設計事項程度である。 (イ)その余の構成について 本件発明6が有する本件発明1~本件発明5のいずれかの構成については、上記(1)~(5)に対比・判断したとおりである。 イ 本件発明6の進歩性のまとめ したがって、本件発明6は、甲1タンク発明及び周知技術1~4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本件発明6に係る特許は、特許法29条2項に違反してされたものであり、同法113条2号の規定により取り消されるべきものである。 (7)本件発明8について ア 対比・判断 本件発明8と甲1便器発明とについて、対比・判断する。 (ア)構成Oについて 甲1便器発明において、構成iの「ボウル11を有する便器本体10」は、本件発明8において、構成Oの「便鉢を有する便器本体」に、相当する。 (イ)構成Pについて 甲1便器発明において、構成jの「本体後部14」は、「上部には、操作部14aが配され」ているから、機能的な部材が配置された機能部ということができ、本件発明8の構成Pにおける、「機能部品が設けられる前記機能部」に、相当する。 また、甲1便器発明において、構成jより「本体後部14」が「便器本体10のボウル11の後方に配された」ことは、本件発明8の構成Pにおいて、「前記機能部」が「前記便器本体に設けられ」たことに、相当する。 したがって、甲1便器発明は、本件発明8の構成Pに相当する構成を有する。 (ウ)構成Qについて 甲1便器発明において、構成mの「液導入口15a」は、「洗剤タンクAから液状の洗剤をボウル11へと送り込むため」のものであるから、「液導入口15a」は構成kにおける「本体後部14の下部」の「配管」に通じており、構成aの「ボウル11」に「洗剤」が混入された「洗浄水」を「供給」することが明らかである。そのため、甲1便器発明における「液導入口15a」及び「液導入口15a」と通じる「配管」は、本件発明8の構成Qにおける「便鉢に洗浄水を流す給水経路」に、相当する。 (エ)構成Rのうち、「液体タンク」が「請求項1から7のいずれか一項に記載の」ものであること以外の構成について 甲1便器発明において、構成lより「甲1タンク発明に係る洗剤タンクAが、本体後部14のタンク収容部15のタンクホルダー16に着脱自在に配され」ることは、本件発明8の構成Rのうち、「液体タンク」が「前記機能部に着脱可能に取り付けられ」ることに、相当する。 甲1便器発明において、構成mより「タンク収容部15には、洗剤タンクAから液状の洗剤をボウル11へと送り込むための液導入口15aが形成されており、洗剤タンクAの送出部50から送出される洗剤はタンク収容部15の液導入口15aに誘導される」ことは、上記(ウ)のとおり甲1便器発明の「液導入口15a」及び「液導入口15a」と通じる「配管」が本件発明8の「便鉢に洗浄水を流す給水経路」に相当することを踏まえると、本件発明8の構成Rのうち、「液体タンク」の「前記液体供給部が前記給水経路に接続される」ことに、相当する。 したがって、甲1便器発明は、本件発明8の構成Rのうち、「液体タンク」が「請求項1から7のいずれか一項に記載の」ものであること以外の構成に、相当する構成を有する。 (オ)構成Rのうち、「液体タンク」が「請求項1から7のいずれか一項に記載の」ものである構成について 本件発明8が有する本件発明1~6の「液体タンク」に係る構成については、上記(1)~(6)に対比・判断したとおりである。 (カ)構成Sについて 甲1便器発明における構成nの「便器装置1」は、本件発明8における構成Sの「便器装置」に、相当する。 イ 本件発明8の進歩性のまとめ 上記アのとおり、本件発明1ないし本件発明6を引用する本件発明8は、甲1便器発明及び周知技術1~4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本件発明8に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号の規定により取り消されるべきものである。 (8)本件発明9について ア 対比・判断 本件発明9と甲1便座発明とについて、対比・判断する。 (ア)構成Tについて 甲1便座発明において、構成oの「ボウル11を有する便器本体10の本体後部14の上部の回動軸に取り付けられる便座12」は、本件発明9において、構成Tの「便鉢を有する便器本体に取り付け可能な便座」に、相当する。 (イ)構成Uについて 甲1便座発明において、構成pの「本体後部14」は、「上部に操作部14aが配され」ているから、機能的な部材が配置された機能部ということができ、本件発明9の構成Uにおける、「機能部品が設けられ」た「機能部」に、相当する。 また、甲1便座発明において、構成pより「本体後部14」の「上部の回動軸」に「便座12」が」「取り付けられ」ることは、本件発明9の構成Uにおいて、「前記機能部」が「前記便座に連結される」ことに、相当する。 したがって、甲1便座発明は、本件発明9の構成Uに相当する構成を有する。 (ウ)構成Vのうち、「液体タンク」が「請求項1から7のいずれか一項に記載の」ものであること以外の構成について 甲1便座発明において、構成qより「甲1タンク発明に係る洗剤タンクAが、本体後部14のタンク収容部15のタンクホルダー16に着脱自在に配され」ることは、本件発明9の構成Vのうち、「液体タンク」が「前記機能部に着脱可能に取り付けられ」ることに、相当する。 甲1便座発明において、構成rの「液導入口15a」は、「洗剤タンクAから液状の洗剤をボウル11へと送り込むため」のものであるから、「液導入口15a」の先は「ボウル11」まで通じる配管があることが明らかである。そのため、甲1便座発明における「液導入口15a」及び「液導入口15a」から「ボウル11」まで通じる配管は、本件発明9の構成Vにおける「便器本体の便鉢に洗浄水を流す給水経路」に、相当する。 甲1便座発明において、構成rより「タンク収容部15には、洗剤タンクAから液状の洗剤をボウル11へと送り込むための液導入口15aが形成されており、洗剤タンクAの送出部50から送出される洗剤はタンク収容部15の液導入口15aに誘導される」ことは、本件発明9の構成Vのうち、「液体タンク」の「前記液体供給部」が「便器本体の便鉢に洗浄水を流す給水経路」に「接続される」ことに、相当する。 したがって、甲1便座発明は、本件発明9の構成Vのうち、「液体タンク」が「請求項1から7のいずれか一項に記載の」ものであること以外の構成に、相当する構成を有する。 (エ)構成Vのうち、「液体タンク」が「請求項1から7のいずれか一項に記載の」ものである構成について 本件発明9が有する本件発明1~6の「液体タンク」に係る構成については、上記(1)~(6)に対比・判断したとおりである。 (オ)構成Wについて 甲1便座発明における構成sの「便座12、便器本体10の本体後部14、及び洗剤タンクA」は、「便座12」が構成oより「本体後部14の上部の回動軸に取り付けられ」ること、及び、構成qより「洗剤タンクAが、本体後部14のタンク収容部15のタンクホルダー16に着脱自在に配され」ることから、「便座12」に直接または間接的に取り付けられた一連の装置ということができ、本件発明9における構成Wの「便座装置」に、相当する。 イ 本件発明9の進歩性のまとめ 上記アのとおり、本件発明1ないし本件発明6を引用する本件発明9は、甲1便座発明及び周知技術1~4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本件発明9に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号の規定により取り消されるべきものである。 第6 結び 以上のとおり、本件発明1ないし6、8及び9に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号の規定により取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700061

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