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特許異議申立

2025-700913

設計支援装置、設計支援プログラム、及び設計支援方法

審判番号
2025-700913
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-110239
登録番号
7649709
請求日
2025年09月19日
審決日
2025年12月15日
公報発行日
2026年01月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社LIXIL
  • 【権利者代理人】森下 賢樹
  • 【異議申立人】松岡 孝代
審判長/審判官
  • 審判長 松田 直也
  • 審判官 間野 裕一
  • 審判官 岡北 有平
分類
P1651.121-Y (G06Q) / P1651.537-Y (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7649709号発明「設計支援装置、設計支援プログラム、及び設計支援方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7649709号の請求項1~9に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7649709号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~9に係る特許についての出願は、令和3年7月1日に出願され、令和7年3月12日にその特許権の設定登録がされ、同年3月21日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、同年9月19日に特許異議申立人 松岡 孝代(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~9に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明9」という。また、これらの発明をまとめて「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 複数の便器が設置されるトイレ室に関する情報を取得するトイレ室情報取得部と、 前記トイレ室情報取得部により取得された情報に基づいて、前記トイレ室に設置することが推奨される便器の数を算定する器具数算定部と、 前記器具数算定部により算定された数の便器の前記トイレ室への配置の候補を生成する配置候補生成部と、 前記配置候補生成部により生成された配置の候補を提示する提示部と、 を備え、 前記配置候補生成部は、前記器具数算定部により算定された数の便器を図形埋め込みアルゴリズムにより前記トイレ室に配置し、前記便器の配置の良否を評価するための評価基準を用いて算出された評価値を適応度とした進化的アルゴリズムにより配置の候補を生成する 設計支援装置。 【請求項2】 前記トイレ室情報取得部は、前記トイレ室に設置される設置物に関する情報を更に取得し、 前記配置候補生成部は、便器と設置物の前記トイレ室への配置の候補を生成する 請求項1に記載の設計支援装置。 【請求項3】 前記配置候補生成部は、同じ種類の便器又は設置物をグループ化し、それぞれの便器又は設置物のグループを前記トイレ室に配置することにより、進化的アルゴリズムにおける初期集団を生成する 請求項1又は2に記載の設計支援装置。 【請求項4】 前記配置候補生成部は、進化的アルゴリズムにおいて、グループ内における便器又は設置物の数、形状、大きさ、若しくは位置関係、又はグループの形状、大きさ、若しくは位置を変更可能である 請求項3に記載の設計支援装置。 【請求項5】 前記評価基準は、想定される使用者が便器又は設置物を使用する際の利便性を表す基準を含む 請求項1から4のいずれかに記載の設計支援装置。 【請求項6】 前記配置候補生成部は、複数の基準のうち優先される基準の評価値が高い個体を優先して次世代に保存する 請求項5に記載の設計支援装置。 【請求項7】 前記提示部は、提示する配置の候補に関する説明を提示する 請求項1から6のいずれかに記載の設計支援装置。 【請求項8】 コンピュータを、 複数の便器が設置されるトイレ室に関する情報を取得するトイレ室情報取得部と、 前記トイレ室情報取得部により取得された情報に基づいて、前記トイレ室に設置することが推奨される便器の数を算定する器具数算定部と、 前記器具数算定部により算定された数の便器の前記トイレ室への配置の候補を生成する配置候補生成部と、 前記配置候補生成部により生成された配置の候補を提示する提示部と、 として機能させ、 前記配置候補生成部は、前記器具数算定部により算定された数の便器を図形埋め込みアルゴリズムにより前記トイレ室に配置し、前記便器の配置の良否を評価するための評価基準を用いて算出された評価値を適応度とした進化的アルゴリズムにより配置の候補を生成する 設計支援プログラム。 【請求項9】 コンピュータに、 複数の便器が設置されるトイレ室に関する情報を取得するステップと、 取得された情報に基づいて、前記トイレ室に設置することが推奨される便器の数を算定するステップと、 算定された数の便器の前記トイレ室への配置の候補を生成するステップと、 生成された配置の候補を提示するステップと、 を実行させ、 前記配置の候補を生成するステップは、 算定された数の便器を図形埋め込みアルゴリズムにより前記トイレ室に配置するステップと、 前記便器の配置の良否を評価するための評価基準を用いて算出された評価値を適応度とした進化的アルゴリズムにより配置の候補を生成するステップと、 を含む設計支援方法。」 第3 申立理由の概要 申立人は、甲第1号証~甲第13号証を提出して、以下の理由1、2のとおりであるから、請求項1~9に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。なお、理由の番号は、当審で付与した。 1 証拠方法 申立人は、次の甲第1号証~甲第13号証を証拠として提出した。 甲第1号証:特開2005-71207号公報 甲第2号証:特開2020-123240号公報 甲第3号証:空気調和・衛生工学便覧 4 給排水衛生設備編、社団法人空気調和・衛生工学会、第14版、第246-247頁、2010年2月28日、社団法人空気調和・衛生工学会 甲第4号証:給排水・衛生設備の実務の知識(改訂第3版)、空気調和・衛生工学会、第3版、第208-209頁、昭和62年3月10日、株式会社オーム社 甲第5号証:特開2004-185444号公報 甲第6号証:米国特許出願公開第2002/0122067号明細書 甲第7号証:米国特許出願公開第2008/0094420号明細書 甲第8号証:特開2002-279337号公報 甲第9号証:中国特許出願公開第104239434号明細書 甲第10号証:「長谷工コーポレーションとインキュビットが、マンション設計業務におけるAI利活用を目指す共同研究を開始」、[online]、2021年3月12日、株式会社PR TIMES、[令和7年9月12日検索]、インターネット<https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000029074.html> 甲第11号証:「物流施設の平面プランをAIで自動生成、日鉄エンジが設計者支援で旺盛な需要に即応」、[online]、2021年5月31日、株式会社日経BP、[令和7年9月12日検索]、インターネット<https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00933/052400077/> 甲第12号証:「かーきアサヒの建築手記 建築デザインの時短術! A.I.技術による設計とは」、[online]、2020年3月16日、株式会社はてな、[令和7年9月12日検索]、インターネット<https://asahi-kaki.hatenablog.com/entry/2020/03/16/195444> 甲第13号証:「AI-SCHOLAR 建築デザインとAI。GANを用いた間取り図生成の紹介」、[online]、2019年5月13日、株式会社wevnal、[令和7年9月12日検索]、インターネット<https://ai-scholar.tech/articles/machine-learning/architecture-ai-143> また、甲第1号証~甲第13号証を、以下、それぞれ、「甲1」~「甲13」という。 2 理由1(特許法第29条第2項) (1)理由1-1 請求項1~9に係る発明は、甲第1号証及び甲第2、5~9号証記載の発明並びに甲第10~13号証記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)理由1-2 請求項1~9に係る発明は、甲第1号証及び甲第3~9号証記載の発明並びに甲第10~13号証記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 理由2(特許法第36条第6項第2号) (1)理由2-1 請求項1、8、9に記載されている「配置の良否を評価するための評価基準」について、「評価基準」の技術的範囲が不明確であるから、請求項1~9に係る発明は明確でない。 (2)理由2-2 請求項5に記載されている「前記評価基準は、想定される使用者が便器又は設置物を使用する際の利便性を表す基準を含む」について、「利便性」の技術的範囲が不明確であるから、請求項5~7に係る発明は明確でない。 第4 甲号証について 1 甲1に記載されている事項、甲1発明について (1)甲1に記載されている事項 ア 甲1には、次の事項が記載されている(下線は当審において加筆した。以下同じ。)。 「【0022】 図1に示すように、バリアフリートイレ設計支援システムは、トイレ室設計サーバ30と、データベースサーバ(以下、DBサーバという)50とから構成される。トイレ室設計サーバ30は、通信ネットワークを介しクライアントであるユーザ端末10からアクセスされる。なお、このようなサーバ、クライアント形式のシステム構成は、インターネット上からトイレ室設計サーバ30にアクセスする(すなわち、Webシステムを介する)形式で実現しても、スタンドアロンのコンピュータ内でトイレ室設計サーバ30とユーザ端末10を実現しても、内部ネットワークなどのネットワークを介してトイレ室設計サーバ30にアクセスする形式で実現しても良い。 【0023】 トイレ室設計サーバ30は、画像編集部31と、情報制御部32と、データベースクライアント(以下、DBクライアントという)33とから構成される。情報制御部32は、ユーザ端末10からのトイレ室設計に関する条件である躯体や使用対象者や建物用途などの情報を受信する。そしてその情報に基づいて、条件にあうトイレレイアウト図面や構成品などトイレ室設計図に必要なデータを、DBクライアント33を介してDBサーバ50に要求する(すなわち、データ検索を要求する)。 【0024】 DBクライアント33は、情報制御部32からのデータ検索の要求をうけ、DBサーバ50にデータ検索要求を行ない、検索した結果を情報制御部32に返却する。」 「【0044】 図11及び図12は、トイレ室設計サーバ30が行なうトイレ室設計処理の流れを示す。図13~図25は、主要なグラフィカルユーザインターフェースウィンドウ画面の例を示す。 【0045】 まず、図13に示すように、ユーザ端末10にファイルの新規・修正選択ウィンドウが表示される(図11:S1)。新規作成を選択し、「次の画面」ボタンを押下すると、図14のように、物件情報入力ウィンドウが表示される。画面指示に従い作成者のID、パスワード、物件名、顧客名、図面作成部署、図面作成者、営業担当部署、営業担当者などの諸データを入力する(図11:S2)。「次の画面」ボタンを押下すると、図15に示すように、躯体条件入力ウィンドウが表示される。躯体条件入力ウィンドウは、トイレ室の躯体条件を入力するためのものであり、例えば中心線、壁、出入口、柱、梁のシートから構成されており、図15は躯体条件入力ウィンドウの「中心線」タグを選択し、中心線に関する情報を入力しているウィンドウの例である。中心線に関する情報入力では、例えば、芯か、内寸かの選択をし、X方向、Y方向についてのサイズ(寸法)を入力する。続いて、図16のように、「壁」タグを選択し、壁に関する情報を入力する。壁に関する情報入力では、例えば、壁の厚みなどを入力する。図17に示すように、「出入口」タグを選択し、出入口に関する情報を入力する。出入口に関する情報入力では、例えば、出入口の位置や有効開口を入力する。図18に示すように、「柱」タグを選択し、柱に関する情報を入力する。柱に関する情報入力では、例えば、柱の位置や設置場所などを入力する。「梁」タグを選択し、図19に示すように、梁情報を入力する。梁情報では、梁の位置や設置場所などを入力する。以上図15~図19が躯体条件入力ウィンドウである。これにより、躯体条件を入力することが可能となる(図11:S3)。 【0046】 躯体条件入力ウィンドウ(図15~図19)の「次の画面」ボタンを押下すると、情報制御部32は、上記入力した躯体条件を画像編集部31に送信し、画像編集部31は、トイレ室の躯体を作図する。画像編集部31は、作図したデータを情報制御部32に返却し、情報制御部32は、台紙ウィンドウ(図20の大きいウィンドウ)にトイレ室の躯体図面を表示する(図11:S4)。さらに、対象入力ウィンドウ(図20の小さいウィンドウ)が表示される。 【0047】 図20に示すように、対象入力ウィンドウ(図20の小さいウィンドウ)では、建物用途、使用対象者に関する情報を入力する。建物用途は例えば、オフィス、商業施設、学校、劇場などを選択することができる。対象者選択では例えば、車椅子使用者、杖使用者、高齢者、妊婦、オストメイト、乳幼児連れ、子供連れなどが選択でき、車椅子の中でも手動型車椅子での自立者、電動車椅子での自立者、電動車椅子での要介護者などに分けて設定可能となっている。複数使用者(電動車椅子使用者とオストメイトなど)を条件として設定可能となっている(図11:S5)。 【0048】 ユーザが「次の画面」ボタンを押下すると、情報制御部32は、DBクライアントを介してDBサーバから必要なデータを取得し、図21に示すレイアウト選択ウィンドウを表示する(図11:S6)。以下にレイアウト選択ウィンドウを表示するまでの処理について説明する。 【0049】 情報制御部32は、入力された躯体条件のうち特にトイレのサイズに基づいてプランA番号情報テーブル61からプラングループAに属する入力トイレサイズに対応するプラン番号を検索する。 【0050】 情報制御部32は、検索された全ての(例えば10個の)プラン番号について、入力された躯体条件の中の残りのデータ(出入口位置など)に適合するか否かを判断し、適合しないプランについては選択候補から除外する。例えば、プラン番号A044RとA044Lのうち、入力された出入口位置に適合するのがA044Rだけであれば、適合しないA044Lは選択候補から除外されれる。 【0051】 情報制御部32は、検索された全てのプラン番号について、プラン構成テーブル58から、それぞれのプランに含まれる全ての器具グループ及び個別器具の図面IDと図面位置と簡易図面を取得する。さらに、情報制御部32は、取得した全ての器具グループの図面IDに関して、それぞれの種類の器具グループの図面テーブル、例えば便器周り図面テーブル53、洗面周り図面テーブル54、ベビーシート周り図面テーブル56などから、それぞれの器具グループを構成する器具の品番などの情報を取得する。 【0052】 情報制御部32は、検索された全てのプラン番号について、上記のようにプラン構成テーブル58や器具グループ図面テーブル53、54、56などから取得したそれぞれのプランを構成する器具の情報に基づいて、それぞれのプランが、入力された建物用途に必要でない器具を含んでいるかどうかをチェックする。ここで、入力された建物用途に必要でない器具が何であるかは、図3に例示した建物用途・器具相関テーブル52を参照することで把握される。すなわち、図3の建物用途・器具相関テーブル52で、或る建物用途に対してOFFになっているものが、その建物用途に必要でない器具である。そして、入力された建物用途では不必要とされている器具が含まれているプランが検出された場合、情報制御部32は、そのプランを選択候補から除外する。例えば、入力建物用途がオフィスであった場合、オフィスでは不必要とされるベビーチェアやベビーシートが含まれたプランは、選択候補から除外される。 【0053】 さらに、情報制御部32は、検索された全てのプラン番号について、上記のようにプラン構成テーブル58や器具グループ図面テーブル53、54、56などから取得したそれぞれのプランを構成する器具の情報に基づいて、それぞれのプランが、入力された使用対象者に必要な器具の全てを含んでいるかどうかをチェックする。ここで、入力された使用対象者に必要な器具が何であるかは、図2に例示した対象者・器具相関テーブル51を参照することで把握される。すなわち、図2の対象者・器具相関テーブル51で、或る使用対象者に対してONになっているものが、その使用対象者に必要な器具である。そして、入力された使用対象者では必要とされている器具が1種類でも含まれていないプランが検出された場合、情報制御部32は、そのプランを選択候補から除外する。例えば、入力された使用対象者がオストメイトであった場合、オストメイト配慮器具が含まれていないプランは、選択候補から除外される。なお、複数の使用対象者が入力されている場合、全ての使用対象者に関して同様のチェックが行なわれ、全ての入力使用対象者が必要とする器具の全てを含んでいるプランだけが選択候補となる。 【0054】 さらに、情報制御部32は、上記のチェックで選択候補として決定されたプランについて、車椅子使用者への適合レベルを判断する。この判断は、例えばプラングループAに属するプランについては、プラン番号A対象者適合レベルテーブル60を参照して、そのプランに対応するトイレサイズの適合レベルを取得することで行われ、他のプラングループB~Eのプランについても、図示しないそれぞれのプラングループの対象者適合レベルテーブルを参照して同様の方法で行われる。なお、この判断は、使用対象者として車椅子使用者が入力されている場合にのみ行なわれてもよいし、或いは、車椅子使用者が入力されていない場合にも行なわれてもよい。使用対象者として車椅子使用者が入力された場合には、車椅子使用者への適合レベルが不可(図7でバツ印)と判断されたプランは、選択候補から除外される(車椅子使用者が入力されていない場合には適合レベルが不可でも選択候補から除外されない)。 【0055】 以上のチェック及び判断により、結局、検索されたプランのうち、入力された建物用途で不必要な器具を含んでおらず、且つ、入力された全ての使用対象者が必要とする器具の全てを含んでおり、且つ、使用対象者に車椅子使用者が含まれている場合には、車椅子使用者への適合レベルが不可でないプランだけが、選択候補として決定されることになる。 【0056】 以上のチェックや判断を行った後、情報制御部32は、検索された全てのプラン(つまり、選択候補のプランだけでなく、選択候補から除外されたプランも含んだ、入力されたトイレサイズに適合する全てのプラン)の簡易図面を、図21内の小さいウィンドウに例示するようにしてレイアウト選択ウィンドウに一覧表示する。」 「【図1】 [図:0001431175000001.jpg] 」 「【図21】 [図:0001431175000002.jpg] 」 イ 段落【0048】の「以下にレイアウト選択ウィンドウを表示するまでの処理について説明する。」との記載に基づいて、段落【0049】~【0056】の記載を参照すると、段落【0048】の「情報制御部32は、DBクライアントを介してDBサーバから必要なデータを取得し、図21に示すレイアウト選択ウィンドウを表示する」との記載から、甲1には、「レイアウト選択ウィンドウを表示するために、DBクライアント33を介してDBサーバ50から必要なデータを取得すること」が記載されているといえる。 (2)甲1に記載された発明 上記(1)から、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 「トイレ室設計サーバ30と、DBサーバ50とから構成されるバリアフリートイレ設計支援システムにおけるトイレ室設計サーバ30であって、(【0022】) トイレ室設計サーバ30は、画像編集部31と、情報制御部32と、DBクライアント33とから構成され、(【0023】) 情報制御部32は、 ユーザ端末10からのトイレ室設計に関する条件である躯体や使用対象者や建物用途などの情報を受信し、その情報に基づいて、条件にあうトイレレイアウト図面や構成品などトイレ室設計図に必要なデータを、DBクライアント33を介してDBサーバ50に要求し(すなわち、データ検索を要求し)、(【0023】) レイアウト選択ウィンドウを表示するために、DBクライアント33を介してDBサーバ50から必要なデータを取得することであって、((1)イ) 入力された躯体条件のうちトイレのサイズに基づいて入力トイレサイズに対応するプラン番号を検索し、(【0049】) 検索された全てのプランの簡易図面を、小さいウィンドウに例示するようにしてレイアウト選択ウィンドウに一覧表示する、(【0056】) トイレ室設計サーバ30。」 2 甲2に記載されている事項、甲2技術について (1)甲2に記載されている事項 甲2には、次の事項が記載されている。 「【0025】 消防設備配置支援システム1は、図1に示すように、ネットワーク3を通じて複数のクライアント端末4と、サーバ5と、が互いに通信可能に接続され、クライアント端末4から入力される各種の情報に基づいて、サーバ5が建物の消防設備配置に関する情報をクライアント端末4側に出力するシステム1である。」 「【0032】 図3に戻って、入力処理において図面情報入力処理を完了すると(S101)、次に建物情報入力処理を行う(S102)。建物情報入力処理は、図7に示すように、クライアント端末4のディスプレイ44上に建物情報入力画面7を表示し、画面上に示される各欄に共同住宅2の建物情報を入力する。」 「【0056】 以上のような処理を外壁36、界壁33、間仕切壁37、又は開口部34などによって隔てられた空間及び屋外共用部についてそれぞれの空間毎に処理を行うことで、共同住宅2に必要な消防設備の数及び設置場所を判断する。」 「【0060】 消防設備算出処理を完了すると(S400)、次に、消防設備配置情報出力処理を行う(S500)。消防設備配置情報出力処理は、図15に示すように、消防設備判断処理(S300)において、判断された消防設備の配置位置に各消防設備を示す識別表示9を配置した図面情報をクライアント端末4のディスプレイ44に表示する。」 (2)甲2に記載された技術的事項 上記(1)から、甲2には、次の技術的事項(以下、「甲2技術」という。)が記載されているといえる。 「クライアント端末4から入力される各種の情報に基づいて、サーバ5が建物の消防設備配置に関する情報をクライアント端末4側に出力する消防設備配置支援システム1において、クライアント端末4のディスプレイ44上に建物情報入力画面7を表示し、画面上に示される各欄に共同住宅2の建物情報が入力されると、外壁36、界壁33、間仕切壁37、又は開口部34などによって隔てられた空間及び屋外共用部についてそれぞれの空間毎に処理を行うことで、共同住宅2に必要な消防設備の数及び設置場所を判断し、判断された消防設備の配置位置に各消防設備を示す識別表示9を配置した図面情報をクライアント端末4のディスプレイ44に表示すること。」 3 甲3に記載されている事項 甲3には、「図8・1 設置器具の算定手順」に、トイレ室の設計において、建物の用途、定員、床面積から、単位時間当りの器具の使用数(単位時間当りの到着時間(到着率))を算定し、別途設定する器具の占有時間を併せて、設置器具数を算定することが記載されている。 4 甲4に記載されている事項 甲4には、「第8・17表 法規などによる必要器具数」及び「第8・3図 便所・洗面所の器具回りのスペース(日本建築学会)」に、トイレ室の設計において、建築物の種類や人員によって、大便器や小便器の設置器具数を算定することが記載されている。 5 甲5~9に記載されている事項 (1)甲5には、水回り部品の配置案を進化的アルゴリズムの一種である遺伝的アルゴリズムで生成していることが記載されている。 (2)甲6には、アルバムページに画像を割り当てるのに、進化的アルゴリズムの一種である遺伝的アルゴリズムを用いていることが記載されている。 (3)甲7には、アルバムページに画像を割り当てるのに、進化的アルゴリズムの一種である遺伝的アルゴリズムを用いていることが記載されている。 (4)甲8には、大規模集積回路の設計において、進化的アルゴリズムの一種である遺伝的アルゴリズムを用いていることが記載されている。 (5)甲9には、データマイニングで、進化的アルゴリズムの一種である遺伝的アルゴリズムを用いることが記載されている。 6 甲10~13に記載されている事項 甲10~13のそれぞれには、設計業務において、AI技術を活用して画像生成を行うことが記載されている。 第5 当審の判断 1 理由1(進歩性)について 1-1 本件発明1について (1)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 ア 「設計支援装置」について (ア)甲1発明の「情報制御部32」は、ユーザ端末10から受信したトイレ室設計に関する条件などの情報に基づいて、条件に合うトイレレイアウト図面などのデータを検索し、検索されたプランの簡易図面を一覧表示するものである。 (イ)上記(ア)を踏まえれば、甲1発明の「トイレ室設計サーバ30」は、以下の相違点を除き、本件発明1の「設計支援装置」に相当する。 イ 「複数の便器が設置されるトイレ室に関する情報を取得するトイレ室情報取得部と、」について (ア)甲1発明の「トイレ室」と、本件発明1の「複数の便器が設置されるトイレ室」とは、「便器が設置される場所」である点で共通する。 (イ)甲1発明は、「情報制御部32」が、ユーザ端末10から「トイレ室設計に関する条件である躯体や使用対象者や建物用途などの情報」を受信しており、甲1発明の「トイレ室設計に関する条件である躯体や使用対象者や建物用途などの情報」は、本件発明1の「複数の便器が設置されるトイレ室に関する情報」と、「便器が設置される場所に関する情報」である点で共通する。 (ウ)そして、上記ア及び(ア)を踏まえれば、甲1発明の「情報制御部32」は、本件発明1の「トイレ室情報取得部」と、「便器が設置される場所に関する情報を取得する便器設置場所情報取得部」であるとの点で共通する。 しかしながら、「便器が設置される場所」が、本件発明1では「複数の便器が設置されるトイレ室」であるのに対し、甲1発明では「トイレ室」ではあるものの「複数の便器が設置される」ものではない点で相違する。 ウ 「前記トイレ室情報取得部により取得された情報に基づいて、前記トイレ室に設置することが推奨される便器の数を算定する器具数算定部と、」について 本件発明1と甲1発明との間には、上記イ(ウ)のとおりの相違点があることから、甲1発明は、「前記トイレ室情報取得部により取得された情報に基づいて、前記トイレ室に設置することが推奨される便器の数を算定する器具数算定部」を備えていない点で、本件発明1と相違する。 エ 「前記器具数算定部により算定された数の便器の前記トイレ室への配置の候補を生成する配置候補生成部と、」について (ア)甲1発明の「情報制御部32」は、ユーザ端末10から受信したトイレ室設計に関する条件である躯体などの情報に基づいてトイレ室設計図に必要なデータを検索要求して取得するものであって、検索して取得された全てのプランの簡易図面を、レイアウト選択ウィンドウに一覧表示するものであるから、上記アを踏まえれば、甲1発明の「検索された全てのプランの簡易図面」と、本件発明1の「前記トイレ室への配置の候補」とは、「前記便器が設置される場所への配置の候補」である点で共通する。 (イ)そして、上記ア~ウ及び(ア)を踏まえれば、甲1発明の「情報制御部32」は、本件発明1の「配置候補生成部」と、「便器の前記便器が設置される場所への配置の候補を特定する配置候補特定部」であるとの点で共通する。 しかしながら、本件発明1は、「前記器具数算定部により算定された数の便器の前記トイレ室への配置の候補」を「生成」し、「前記トイレ室への配置の候補」は「前記器具数算定部により算定された数の便器」を配置したものであるのに対し、甲1発明は、「簡易図面の候補」は、「取得」されたものであって「生成」されたものではなく、「前記器具数算定部により算定された数の便器」を配置したものではない点で相違する。 オ 「前記配置候補生成部により生成された配置の候補を提示する提示部と、」について (ア)甲1発明の「情報制御部32」は、上記エ(ア)のとおり、特定された簡易図面の候補をレイアウト選択ウィンドウに一覧表示することにより提示しているといえる。 (イ)上記ア、エ及び(ア)を踏まえれば、甲1発明の「情報制御部32」は、本件発明1の「提示部」と、「前記配置候補特定部により特定された配置の候補を提示する提示部」であるとの点で共通する。 カ 「前記配置候補生成部は、前記器具数算定部により算定された数の便器を図形埋め込みアルゴリズムにより前記トイレ室に配置し、前記便器の配置の良否を評価するための評価基準を用いて算出された評価値を適応度とした進化的アルゴリズムにより配置の候補を生成する」について 甲1発明は、「情報制御部32」が、「前記器具数算定部により算定された数の便器を図形埋め込みアルゴリズムにより前記トイレ室に配置し、前記便器の配置の良否を評価するための評価基準を用いて算出された評価値を適応度とした進化的アルゴリズムにより配置の候補を生成する」機能を有していない点で、本件発明1と相違する。 キ そうすると、本件発明1と甲1発明との間には、次のとおりの一致点及び相違点がある。 <一致点> 「便器が設置される場所に関する情報を取得する便器設置場所情報取得部と、 便器の前記便器が設置される場所への配置の候補を特定する配置候補特定部と、 前記配置候補特定部により特定された配置の候補を提示する提示部と、 を備える 設計支援装置。」 <相違点> (相違点1) 「便器が設置される場所に関する情報を取得する便器設置場所情報取得部」について、「便器が設置される場所」が、本件発明1では「複数の便器が設置されるトイレ室」であるのに対し、甲1発明では「トイレ室」ではあるものの「複数の便器が設置される」ものではない点。 (相違点2) 本件発明1の「設計支援装置」は、「前記トイレ室情報取得部により取得された情報に基づいて、前記トイレ室に設置することが推奨される便器の数を算定する器具数算定部」を備えるのに対し、甲1発明では、「便器が設置される場所」が「複数の便器が設置される」ものではないから、設置することが推奨される便器の数を算定していない点。 (相違点3) 本件発明1は、「前記器具数算定部により算定された数の便器の前記トイレ室への配置の候補」を「生成」し、「前記トイレ室への配置の候補」は「前記器具数算定部により算定された数の便器」を配置したものであるのに対し、甲1発明は、「簡易図面の候補」は、「取得」されたものであって「生成」されたものではなく、「前記器具数算定部により算定された数の便器」を配置したものではない点。 (相違点4) 本件発明1では、「配置候補特定部」が「前記器具数算定部により算定された数の便器を図形埋め込みアルゴリズムにより前記トイレ室に配置し、前記便器の配置の良否を評価するための評価基準を用いて算出された評価値を適応度とした進化的アルゴリズムにより配置の候補を生成する」のに対し、甲1発明では、「情報制御部32」が、「前記器具数算定部により算定された数の便器を図形埋め込みアルゴリズムにより前記トイレ室に配置し、前記便器の配置の良否を評価するための評価基準を用いて算出された評価値を適応度とした進化的アルゴリズムにより配置の候補を生成する」機能を有していない点。 (2)判断 ア 相違点1、2について 事案に鑑み、上記相違点1、2についてまとめて検討する。 甲2には、上記第4の2(2)のとおりの甲2技術が記載されており、甲2技術は、クライアント端末から入力される各種の情報に基づいて、サーバが建物の消防設備配置に関する情報をクライアント端末側に出力する消防設備配置支援システムにおいて、共同住宅に必要な消防設備の数及び設置場所を判断しているものの、設置することが推奨される便器の数を算定するものではないから、当該甲2技術を甲1発明に適用したとしても、相違点1、2の構成とはならない。 また、上記第4の3、4のとおり、甲3、甲4には、トイレ室の設計において、建物の用途、定員、床面積、単位時間当りの器具の使用数、建築物の種類や人員等から、便器の設置器具数を算定することが記載されているものの、甲1発明の「便器が設置される場所」は、レイアウト選択ウィンドウに一覧表示される個々の簡易図面で示されるように、便器が1つだけ設置される場所(トイレの個室自体)を想定していることから、甲1発明には、そのような場所に複数の便器を設置しようとする動機付けがなく、甲1発明に甲3、甲4に記載されている事項を適用することには阻害要因がある。 さらに、上記第4の5、6のとおり、甲5~13にも、トイレ室に設置することが推奨される便器の数を算定することは記載されていない。 してみれば、相違点1、2の構成は、甲1発明、甲2技術、甲5~13に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではなく、また、甲1発明、甲3~13に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものでもない。 そして、本件発明1は、上記相違点1、2の構成によって、「便器が設置される設置場所の設計をより適切に支援する」(本件特許明細書の段落【0006】)という顕著な作用効果を奏するものである。 イ 申立人の主張について 申立人は、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)で次のように主張する。 「甲第2号証には、外壁36、界壁33、間仕切壁37、又は開口部34などによって隔てられた空間及び屋外共用部についてそれぞれの空間毎に処理を行うことで、共同住宅2に必要な消防設備の数及び設置場所を判断している。 すなわち、甲第2号証には、所定の空間内に必要な消防設備の数を算定する設計支援装置が記載されている。 甲第1号証と甲第2号証とは、ともに設計支援装置に関するものである。 したがって、甲第2号証に記載の消防設備の数を算定する算定方法を、トイレ室の便器の数を算定する算定方法として転用させることは、当業者が容易になし得ることである。」(申立書43~44頁。以下、「主張1」という。) 「甲第3号証には、空気調和・衛生工学便覧として、トイレ室設計において、建物の用途、定員、床面積から、単位時間当りの器具の使用数(単位時間当りの到着時間(到着率))を算定し、別途設定する器具の占有時間を併せて、設置器具数を算定する考えが記載されている。 また、甲第4号証には、給排水・衛生設備の実務の知識として、トイレ室設計において、建築物の種類や人員によって、大便器や小便器の設置器具数を算定する考えが記載されている。 したがって、甲第3号証及び甲第4号証に記載のトイレ室の設置器具数を算定する算定方法を、コンピュータで実行させることは、当業者が容易になし得ることである。」(申立書45~46頁。以下、「主張2」という。) しかしながら、トイレ室の便器の数の算定方法と消防設備の数の算定方法とは、技術的に大きく異なるものであるから、申立人の主張1に理由はない。 また、上記アのとおり、甲1発明の「便器が設置される場所」は便器が1つだけ設置される場所を想定しており、この場所に複数の便器を設置するようにする動機付けはなく、甲1発明に甲3、4に記載された事項を適用することについては、むしろ阻害要因があることから、申立人の主張2に理由はない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 (3)小括 以上のとおりであるから、相違点3、4を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2技術、甲5~13に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく(本件発明1についての理由1-1)、また、甲1発明、甲3~13に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない(本件発明1についての理由1-2)。 1-2 本件発明2~7について 本件発明2~7は、本件発明1を引用する発明であり、いずれも、本件発明1の相違点1~4の構成を備えるものである。 よって、上記1-1と同じ理由で、本件発明2~7は、いずれも、甲1発明、甲2技術、甲5~13に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく(本件発明2~7についての理由1-1)、また、甲1発明、甲3~13に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない(本件発明2~7についての理由1-2)。 1-3 本件発明8、9について 本件発明8は、本件発明1に対応する「設計支援プログラム」の発明であり、本件発明9は、本件発明1に対応する「設計支援方法」の発明である。 よって、上記1-1と同じ理由で、本件発明8、9は、いずれも、甲1発明を「プログラム」又は「方法」に書き替えた発明、甲2技術、甲5~13に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく(本件発明8、9についての理由1-1)、また、甲1発明を「プログラム」又は「方法」に書き替えた発明、甲3~13に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない(本件発明8、9についての理由1-2)。 2 理由2(明確性)について 2-1 理由2-1について (1)申立人が主張する取消理由の概要 申立人は、申立書で次のように主張する。 「(ア)本件特許発明1の構成要件1F、本件特許発明8の構成要件8G、及び本件特許発明9の構成要件9Gに記載れている「評価基準」について、その技術的範囲が不明確である。 本件明細書中には、トイレ設備の配置計画に関する具体的な図(図12(a)、(b)や、評価のためのデータ取得や配置候補生成、評価結果生成といったステップ(図12のフローチャート)が「評価基準」の一例として記載されている。 しかしながら、本件明細書中には、「評価基準」の定義や、その範囲を特定するための一般的なルールや原則は、記載されていない。 そうすると、本件特許発明1、8、9に記載された「評価基準」は、その技術的範囲が不明確である。 したがって、本件特許発明2及びこれを引用する本件特許発明2~7、本件特許発明8、本件特許発明9は、不明確である。」(申立書53~54頁) (2)明確性についての判断 本件特許明細書には、「評価基準」について、「本実施の形態の設計支援装置は、便器及び設置物の配置の良否を評価するための評価基準を用いて算出された評価値を適応度とした進化的アルゴリズムにより配置の候補を生成する。評価基準は、想定される使用者が便器又は設置物を使用する際の利便性などを表す基準を含む。これにより、使用者の利便性が高い配置の候補を優先的に保存しながら配置を進化させて、最適な配置の候補の近似解を効率良く探索することができる。」(段落【0011】)、「配置候補生成部64は、各個体の適合度として、便器及び設置物の配置の良否を評価するための評価基準を用いて算出された評価値を算出する。評価基準は、配慮を必要とする使用者が便器又は設置物を使用する際の利便性を表す配慮事項評価基準を含む。・・・配慮事項評価基準として、車椅子に乗車したまま扉から便器付近まで移動するための空間が十分に確保されているか、車椅子が方向転換するための空間が十分に確保されているか、車椅子と便器との間で移動するための空間が十分に確保されているか、車椅子と便器との間で移動する際に手が届く範囲に手すりが有るか、車椅子に乗車したまま手を洗うことが可能な洗面器が有るか、などの基準が含まれてもよい。・・・評価基準は、更に、便器及び設置物の間の干渉の有無又は程度、便器及び設置物を施工、保守、又は清掃する際の作業効率などを含んでもよい。」(段落【0034】)のように具体的に例示されている。 そして、請求項1、8、9の記載のみからも、「評価基準」は、「便器の配置の良否を評価するため」のものであって、「進化的アルゴリズムにより配置の候補を生成する」ときの「適応度」とするための「評価値」を算出するために用いられるものとして特定されており、この記載は技術的に十分に明確であるとともに、上記明細書の記載とも整合している。 したがって、本件発明1、8、9における「評価基準」について、その技術的範囲が不明確であるとはいえず、本件発明1~9は明確であるから、申立人の上記主張は採用できない。 2-2 理由2-2について (1)申立人が主張する取消理由の概要 申立人は、申立書で次のように主張する。 「(イ)本件特許発明5の構成要件5A「前記評価基準は、想定される使用者が便器又は設置物を使用する際の利便性を表す基準を含む」に記載された「利便性」について、不明確である。 本件明細書中には、男子大便器、男子小便器、男子洗面、女子大便器、女子洗面などの「占有時間」に関するグラフが、「利便性」の一例として記載されている。 しかしながら、本件明細書中には、「利便性」の定義や、その範囲を特定するための一般的なルールや原則は、記載されていない。 そうすると、本件特許発明5に記載された「利便性」は、その技術的範囲が不明確である。 したがって、本件特許発明5及びこれを引用する本件特許発明6、7は、不明確である。」(申立書54頁) (2)明確性についての判断 本件発明5における「利便性」の記載については、「前記評価基準は、想定される使用者が便器又は設置物を使用する際の利便性を表す基準を含む」との記載において、「評価基準」が何を含むのかを特定するものであるから、「利便性を表す基準」というまとまりとして解釈すべきである。 そうすると、「利便性を表す基準」は、上記2-1(2)において、その技術的範囲が明確であると判断された「評価基準」に含まれるものであるから、「利便性を表す基準」の技術的範囲も明確であるといえ、その文脈で用いられる「利便性」の技術的範囲も明確である。 したがって、本件発明5における「利便性」について、その技術的範囲が不明確であるとはいえず、本件発明5~7は明確であるから、申立人の上記主張は採用できない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700913

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