特許異議申立
2025-700053
情報処理装置、情報処理方法、情報処理システム及びコンピュータプログラム
- 審判番号
- 2025-700053
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-148452
- 登録番号
- 7514148
- 請求日
- 2025年01月09日
- 審決日
- 2025年07月24日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社東芝
- 【権利者代理人】関根 毅
- 【権利者代理人】鈴木 順生
- 【権利者】東芝エネルギーシステムズ株式会社
- 【権利者代理人】関根 毅
- 【権利者代理人】鈴木 順生
- 【異議申立人】細江 進
- 審判長/審判官
- 審判長 松田 直也
- 審判官 藤原 拓也
- 審判官 安藤 一道
- 分類
- P1652.121-YAA(G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7514148号発明「情報処理装置、情報処理方法、情報処理システム及びコンピュータプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7514148号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2、4~13〕、20、21、24について訂正することを認める。
特許第7514148号の請求項1、4~12、18、19に係る特許を維持する。
特許第7514148号の請求項2、20、21に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7514148号の請求項1~23に係る特許についての出願は、令和2年9月3日に出願され、令和6年7月2日にその特許権の設定登録がされ、同年7月10日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対し、令和7年1月9日に特許異議申立人 細江進(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議申立て(対象請求項:請求項1、2、4~12、18~21)がなされた。
その後の手続の経緯は以下のとおりである。
同年3月28日付け :取消理由通知書(起案日)
同年5月22日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
なお、後述する訂正の内容は、請求項の削除と当該削除に伴う請求項の引用関係の訂正のみであり、特許異議申立人に対して相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与える必要がない特別の事情があることから、意見書を提出する機会を与えなかった。
第2 訂正請求について
1 請求の趣旨
特許第7514148号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2、4~13、20、21、24について訂正することを求める。
2 訂正の内容
(1) 訂正事項1について
特許請求の範囲の請求項2、20、21を削除する。
(2) 訂正事項2について
訂正前の特許請求の範囲の請求項4、6~10、12、13が請求項2を引用する記載であるところ、請求項2を引用しないように、請求項間の引用関係を解消するように引用関係を訂正する。
訂正後の請求項4を引用する請求項5、及び訂正後の請求項1、3~8のいずれか一項を引用する請求項11も同様に訂正する。
(3) 訂正事項3について
訂正前の特許請求の範囲の請求項13が請求項2の記載を引用する記載であるところ、請求項2を引用する部分について請求項間の引用関係を解消し、新たに請求項24を追加する。
3 別の訂正単位とする求めについて
訂正後の請求項4~13、24については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。
4 一群の請求項について
訂正前の請求項2、4~13について、請求項2、4~13はそれぞれ請求項2を直接的に又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項2、4~13に対応する訂正後の請求項2、4~13は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
5 訂正についての当審の判断
(1) 訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正に該当する。
また、訂正事項1に係る訂正は、訂正前請求項2を削除するものであるから、新規事項を追加するものではなく、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
なお、本件においては、請求項1、2、4~12、18~21について特許異議の申立てがなされているので、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(2) 訂正事項2について
ア 訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項4、6~10、12、13の記載が訂正前の請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正に該当する。
また、訂正前の請求項4、6~10、12、13が請求項2の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項2が削除されて請求項2を引用できなくなったことに伴い、請求項間の引用関係を解消する訂正である。そのため、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる請求項間の引用関係の解消(他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること)を目的とするものである。
さらに、訂正事項2は、訂正前の請求項4、6~10、12、13の記載が訂正前の請求項2の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用しないものとするものであるから、訂正事項2に係る訂正は、新規事項を追加するものではなく、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
なお、訂正後の請求項4を引用する請求項5、及び訂正後の請求項1、3~8のいずれか一項を引用する請求項11も同様に訂正する事項についても、上記とそれぞれ同様の判断である。
イ 本件においては、請求項1、2、4~12、18~21について特許異議の申立てがなされているので、訂正事項2に関する請求項4~12について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
ウ 他方、請求項13は、特許異議の申立てがなされていないため、独立特許要件について検討をする。
訂正後の請求項13に係る発明は、請求項1に係る発明を引用するものである。
そのため、請求項13に係る発明と後述する「第5」の1(2)のとおりの引用発明との間には、少なくとも後述する「第8」の1(5)のとおりの相違点1を有するものである。
そして、その相違点1は、後述する上記「第8」の1(6)のとおり、当業者が容易に想到することができたものではない。
よって、請求項13に係る発明は、当業者であっても、引用文献1(甲第2号証)に記載された発明及び引用用文献2~4(甲第1号証、甲第3号証、甲第4号証)に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合する。
(3) 訂正事項3について
ア 訂正事項3に係る訂正は、訂正事項1により削除された訂正前の請求項2を引用していた訂正前の請求項13を、請求項2を引用する部分について新たな請求項24として設けるものであるから、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるものであるといえ、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる請求項間の引用関係の解消(他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること)を目的とするものである。
また、訂正事項3に係る訂正は、新規事項を追加するものではなく、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
なお、訂正事項3は、請求項間の引用関係の解消を目的とする訂正であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
6 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、同第第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
また、独立特許要件について、訂正事項1、3及び訂正事項2のうち請求項4~12については、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定は課されず、訂正事項2のうち請求項13については、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合するものである。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2、4~13〕、20、21、24について訂正することを認める。
そして、訂正事項2、3によって請求項2を引用しなくなった請求項4~13及び独立形式に改めた請求項24は、上記のとおり訂正が認められるので別の訂正単位とすることを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記「第2」のとおり、訂正請求による特許請求の範囲の訂正は認められることから、訂正後の特許請求の範囲は、令和7年5月22日に提出された訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲に記載された、次のとおりのものである。なお、訂正後の請求項1~24に係る発明を、以下、それぞれ、「本件発明1」~「本件発明24」という。
「 【請求項1】
説明変数と目的変数とを含むデータと、複数のモデル生成条件とに基づいて、前記目的変数に関する複数の第1予測モデルを生成し、
前記説明変数に基づく前記複数の第1予測モデルの予測値を前記複数の第1予測モデルの重みで重み付けした値と、前記目的変数との差分の総和と、
前記複数の第1予測モデルの前記重みを含む正則化項と、
を含む評価関数に基づき、前記重みを算出し、
前記複数の第1予測モデルを前記重みに基づき加算することで前記目的変数に関する第2予測モデルを生成する、処理部、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
説明変数と目的変数とを含むデータと、複数のモデル生成条件とに基づいて、前記目的変数に関する複数の第1予測モデルを生成する処理部と、
前記複数の第1予測モデルを記憶するモデル記憶部と、を備え、
前記処理部は、
前記説明変数に基づく前記複数の第1予測モデルの予測値と、前記目的変数との差分に基づき、前記複数の第1予測モデルを重み付けし、重み付した前記複数の第1予測モデルに基づき、前記目的変数に関する第2予測モデルを生成し、
前記複数のモデル生成条件を選択する条件を定めた情報を取得し、前記条件を満たすモデル生成条件については前記第1予測モデルを再生成し、前記条件を満たさないモデル生成条件に対しては、前記モデル記憶部に記憶されている前記第1予測モデルを用いることを決定する、
情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記差分に基づき、前記複数の第1予測モデルの前記重みを算出し、前記複数の第1予測モデルを前記重みに基づき加算することで前記第2予測モデルを生成する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、
前記複数の第1予測モデルの予測値を前記重みで重み付けした値と、前記目的変数との差分の総和と、
前記複数の第1予測モデルの前記重みを含む正則化項と、
を含む評価関数に基づき、前記重みを算出する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記説明変数と前記第2予測モデルとに基づき、前記目的変数の予測値を算出する、
請求項1、3~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記モデル生成条件は、前記第1予測モデルの種類を指定する情報を含む
請求項1、3~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記モデル生成条件は、複数の前記説明変数のうち前記第1予測モデルの生成に用いる前記説明変数を指定する情報を含む
請求項1、3~7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記モデル生成条件は、前記第1予測モデルの生成に用いる前記データの個数を指定する情報を含む
請求項1、3~8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記モデル生成条件は、前記第1予測モデルの生成に用いる前記データの期間を指定する情報を含む
請求項1、3~9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記処理部は、前記差分に基づき、前記複数の第1予測モデルから1つ以上の第1予測モデルを選択し、
前記処理部は、選択した前記第1予測モデルに基づき、前記第2予測モデルを生成する
請求項1、3~8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記説明変数は、気象に関する変数、曜日に関する変数、時刻に関する変数、地理に関する変数、及び前記第2予測モデルの予測値に基づいて制御される制御対象に関する変数のうちの少なくとも1つを含む
請求項1、3~11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記複数の第1予測モデルを記憶するモデル記憶部を備え、
前記処理部は、前記複数のモデル生成条件を選択する条件を定めた情報を取得し、前記条件を満たすモデル生成条件については前記第1予測モデルを再生成し、前記条件を満たさないモデル生成条件に対しては、前記モデル記憶部に記憶されている前記第1予測モデルを用いることを決定する、
請求項1、4~10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
説明変数と目的変数とを含むデータと、複数のモデル生成条件とに基づいて、前記目的変数に関する複数の第1予測モデルを生成する第1モデル生成部と、
前記説明変数に基づく前記複数の第1予測モデルの予測値と、前記目的変数との差分に基づき、前記複数の第1予測モデルを重み付けし、重み付した前記複数の第1予測モデルに基づき、前記目的変数に関する第2予測モデルを生成する第2モデル生成部と、
前記第2予測モデルに基づき、前記目的変数の予測値を算出する予測部と、
前記目的変数の予測値に基づいて、制御対象を制御する制御部と、
前記制御部による制御に応じて前記制御対象から出力される情報に基づいて、前記第1予測モデル又は前記第1予測モデルの生成元となるモデル生成条件を評価する評価部と、
前記評価部の評価結果に基づいて、前記モデル生成条件からモデル生成条件を選択するモデル選択部と、を備え、
前記第2モデル生成部は、選択された前記モデル生成条件に基づいて、前記第1予測モデルを生成する、
情報処理システム。
【請求項15】
前記制御対象を備えた請求項14に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記制御対象は、電力売買市場への入札を行う市場入札装置であり、
前記制御部は、電力の売電又は買電の入札量と入札価格とを含む指示情報を前記制御対象に提供する
請求項14又は15に記載の情報処理システム。
【請求項17】
前記制御対象は、発電装置であり、
前記制御部は、発電する電力を含む指示情報を前記制御対象に提供する
請求項14又は15に記載の情報処理システム。
【請求項18】
説明変数と目的変数とを含むデータと、複数のモデル生成条件とに基づいて、前記目的変数に関する複数の第1予測モデルを生成し、
前記説明変数に基づく前記複数の第1予測モデルの予測値を前記複数の第1予測モデルの重みで重み付けした値と、前記目的変数との差分の総和と、
前記複数の第1予測モデルの前記重みを含む正則化項と、
を含む評価関数に基づき、前記重みを算出し、
前記複数の第1予測モデルを前記重みに基づき加算することで前記目的変数に関する第2予測モデルを生成する
コンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項19】
説明変数と目的変数とを含むデータと、複数のモデル生成条件とに基づいて、前記目的変数に関する複数の第1予測モデルを生成するステップと、
前記説明変数に基づく前記複数の第1予測モデルの予測値を前記複数の第1予測モデルの重みで重み付けした値と、前記目的変数との差分の総和と、
前記複数の第1予測モデルの前記重みを含む正則化項と、
を含む評価関数に基づき、前記重みを算出し、
前記複数の第1予測モデルを前記重みに基づき加算することで前記目的変数に関する第2予測モデルを生成するステップと
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項20】
(削除)
【請求項21】
(削除)
【請求項22】
説明変数と目的変数とを含むデータと、複数のモデル生成条件とに基づいて、前記目的変数に関する複数の第1予測モデルを生成し、
前記複数の第1予測モデルをモデル記憶部に記憶し、
前記説明変数に基づく前記複数の第1予測モデルの予測値と、前記目的変数との差分に基づき、前記複数の第1予測モデルを重み付けし、重み付した前記複数の第1予測モデルに基づき、前記目的変数に関する第2予測モデルを生成し、
前記複数のモデル生成条件を選択する条件を定めた情報を取得し、前記条件を満たすモデル生成条件については前記第1予測モデルを再生成し、前記条件を満たさないモデル生成条件に対しては、前記モデル記憶部に記憶されている前記第1予測モデルを用いることを決定する、
コンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項23】
説明変数と目的変数とを含むデータと、複数のモデル生成条件とに基づいて、前記目的変数に関する複数の第1予測モデルを生成するステップと、
前記複数の第1予測モデルをモデル記憶部に記憶するステップと、
前記説明変数に基づく前記複数の第1予測モデルの予測値と、前記目的変数との差分に基づき、前記複数の第1予測モデルを重み付けし、重み付した前記複数の第1予測モデルに基づき、前記目的変数に関する第2予測モデルを生成するステップと、
前記複数のモデル生成条件を選択する条件を定めた情報を取得し、前記条件を満たすモデル生成条件については前記第1予測モデルを再生成し、前記条件を満たさないモデル生成条件に対しては、前記モデル記憶部に記憶されている前記第1予測モデルを用いることを決定するステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項24】
説明変数と目的変数とを含むデータと、複数のモデル生成条件とに基づいて、前記目的変数に関する複数の第1予測モデルを生成し、
前記説明変数に基づく前記複数の第1予測モデルの予測値と前記目的変数との差分に基づき、前記複数の第1予測モデルから1つ以上の第1予測モデルを選択し、
選択した前記第1予測モデルを重み付けし、重み付した第1予測モデルに基づき、前記目的変数に関する第2予測モデルを生成する、処理部と、
前記複数の第1予測モデルを記憶するモデル記憶部と、を備え、
前記処理部は、前記複数のモデル生成条件を選択する条件を定めた情報を取得し、前記条件を満たすモデル生成条件については前記第1予測モデルを再生成し、前記条件を満たさないモデル生成条件に対しては、前記モデル記憶部に記憶されている前記第1予測モデルを用いることを決定する、
情報処理装置。」
第4 取消理由の概要
訂正前の請求項2、4、6~12、20、21に係る特許に対して、当審において、令和7年3月28日付けで特許権者に通知された取消理由の要旨は、次のとおりである。
請求項2、4、6~12、20、21に係る発明は、引用文献1に記載された発明に、引用文献2に記載の技術事項を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項2、4、6~12、20、21に係る発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
<引用文献等一覧>
1.特開2019-125048号公報(甲第2号証)
2.特開2013-255390号公報(甲第1号証)
第5 引用文献
1 引用文献1(甲第2号証)
(1) 引用文献1の記載
取消理由で通知した特開2019-125048号公報(令和元年7月25日出願公開。以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審において付した。以下同様。)。
「【請求項1】
コンピュータに、
販売実績データによる需要予測を行う複数の予測モデルそれぞれについて、対象商品に関する商品情報、および、第1の期間の販売実績データによる各予測モデルの予測結果に基づき、各予測モデルの予測誤差をそれぞれ推定する複数の誤差予測モデルの学習を行い、
前記第1の期間より後の期間である第2の期間の販売実績データ、および、前記商品情報に基づき前記複数の誤差予測モデルを用いて生成された前記複数の予測モデルの複数の予測値の予測誤差から、前記複数の予測モデルの重み付け情報を生成し、
前記重み付け情報により組み合わせた前記複数の予測モデルの予測結果に基づき、需要予測を行う、
処理を実行させる需要予測プログラム。」
「【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、需要予測プログラム、需要予測方法および需要予測装置に関する。」
「【0012】
(構成について)
図1は、実施形態にかかる需要予測装置の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すように、需要予測装置1は、入力部10、学習部20、予測部50および出力部60を有し、入力された販売実績データ11を用いる、複数の予測モデル30を利用した需要予測を行う装置である。
【0013】
入力部10は、需要予測にかかる指示データ(予測期間や予測対象の商品など)や販売実績データ11などを入力データとして受け付け、受け付けた入力データを学習部20および予測部50へ出力する。販売実績データ11は、商品ごとの販売実績を示すデータであり、例えば各売上日における商品ごとの売上数が記述されたデータである。入力部10は、販売実績データ11について、第1の期間の売上日に該当する商品ごとの売上数が記述されたデータを学習部20へ出力する。また、入力部10は、販売実績データ11について、第1の期間より後の期間である第2の期間の売上日に該当する商品ごとの売上数が記述されたデータを予測部50へ出力する。
【0014】
なお、需要予測の対象となる商品については、経済活動において生産・流通・交換される財物などであればいずれであってもよい。例えば本実施形態では、スーパー等の店舗における食品や生活用品などへの適用例を例示しているが、電力会社が供給する電力や、郵便配達などのサービスの提供であってもよい。
【0015】
学習部20は、販売実績データ11をもとに、予測手法ごとの複数の予測モデル30と、複数の予測モデル30それぞれについて、予測モデル30の予測誤差を推定する複数の誤差予測モデル40との学習を行う。
【0016】
予測部50は、需要予測にかかる指示データ(予測期間や予測対象の商品など)に基づいて、予測対象となる商品の需要予測(売上日ごとの売上数の予測)を行う。具体的には、予測部50は、第2の期間における直近の販売実績データ11をもとに複数の予測モデル30と、複数の予測モデル30それぞれについての複数の誤差予測モデル40とを用いることで、予測期間において予測対象となる商品の需要予測を行う。」
「【0018】
(学習について)
学習部20は、予測モデル学習部21、予測誤差算出部22、特性算出部23および誤差予測モデル学習部24を有する。
【0019】
予測モデル学習部21は、販売実績データ11の一部を学習用データとして異なる複数の予測手法での学習を行い、予測手法ごとに予測モデル30A、30B…30Nを構築(生成)する。なお、予測モデル30A、30B…30Nについては、予測手法ごとに直近の販売実績から商品の需要予測を算出するために構築された回帰式などのモデルであり、特に区別しない場合は予測モデル30と称するものとする。
【0020】
予測モデル学習部21における複数の予測手法については、多様な商品特性に対応するために予め用意された公知の予測手法であってよい。例えば、予測手法には、ナイーブ予測(例えば前週同一曜日の値と同値と予測)、指数平滑法、ARIMA(Auto Regressive Integrated Moving Average(自己回帰和分移動平均モデル))、ARIMAX(ARIMA+回帰)、重回帰、一般化線形モデル(例えばGamma、Poissonなど)、動的線形モデルなどがある。
【0021】
予測誤差算出部22は、販売実績データ11の一部(学習用データと重複しない)を計算用データ(重み計算用データ)として複数の予測モデル30の予測誤差を算出する。
【0022】
具体的には、予測誤差算出部22は、予測モデル30を適用し、重み計算用データの期間について複数の予測モデル30それぞれについての予測値(需要予測の値)を算出する。次いで、予測誤差算出部22は、予測モデル30それぞれについての予測値と、重み計算用データ(正解)とを比較することで、複数の予測モデル30それぞれの予測誤差を算出する。
【0023】
特性算出部23は、過去の販売実績データ11における一部の学習用データをもとに、誤差予測モデル学習部24において誤差予測モデル40を学習する際に説明変数として用いる特性情報を算出する。具体的には、特性算出部23は、説明変数として用いる特性情報として、予測特性、静的な商品特性、動的な商品特性、ライフサイクル特性および直近の誤差などを学習用データから数量化する。」
「【0034】
ここで、学習部20における学習(第1の学習フェーズおよび第2の学習フェーズ)の詳細を説明する。まず、複数の予測モデル30の構築と、予測モデル30についての予測誤差の算出とを行う第1の学習フェーズについて説明する。図2は、第1の学習フェーズを例示するフローチャートである。
【0035】
図2に示すように、第1の学習フェーズが開始されると、学習部20は、過去の一定期間の販売実績データ11を学習用データと重み計算用データとに分割する(S11)。このデータ分割は、学習用データと重み計算用データとの組み合わせにおいて、互いのデータ期間が重複しないように行う。
【0036】
次いで、予測モデル学習部21は、学習用データを用いて各手法(ナイーブ予測、指数平滑法、ARIMA、ARIMAX、重回帰、一般化線形モデル、動的線形モデルなど)での予測モデル30を構築する(S12)。
【0037】
次いで、予測誤差算出部22は、予測モデル学習部21で得られた予測モデル30を適用し、重み計算用データの期間について、各手法における予測値(需要予測の値)を算出する(S13)。
【0038】
次いで、予測誤差算出部22は、重み計算用データ(正解)と、各手法における予測値とを比較することで、複数の予測モデル30それぞれの予測手法における予測誤差を算出する(S14)。
【0039】
次いで、学習部20では、販売実績データ11の期間をずらしてS11~S14の処理を繰り返すことで、複数期間分の予測誤差を求める(S15)。次いで、予測誤差算出部22は、複数の予測モデル30それぞれの予測手法における予測誤差について、複数期間分の予測誤差から平均予測誤差を算出し(S16)、処理を終了する。
【0040】
図3は、複数の予測モデル30の学習を説明する説明図である。図3に示すように、予測モデル学習部21は、販売実績データ11における学習用データを用いることで、予測手法リスト(m1、m2…)における予測手法ごとに、予測モデル30を構築(学習)する。具体的には、期間(1)、期間(2)…のように販売実績データ11の期間をずらして学習することで、商品(p1、p2…)における各期間の需要予測(売上数など)求めるための予測モデル30を学習する。」
「【0048】
(予測について)
図1に戻り、予測部50は、予測値算出部51、予測誤差算出部52、重み生成部53および需要予測部54を有する。
【0049】
予測値算出部51は、需要予測の対象商品として指示された商品について、直近の販売実績データ11に複数の予測モデル30を適用することで、予測手法ごとの予測値(需要予測の値)を算出する。
【0050】
予測誤差算出部52は、需要予測の対象商品として指示された商品について、直近の販売実績データ11に複数の誤差予測モデル40を適用することで、複数の予測モデル30における予測手法ごとの予測誤差を算出する。
【0051】
重み生成部53は、複数の予測モデル30における予測手法ごとの予測誤差をもとに、複数の予測モデル30それぞれの予測値に対する重み付けを行う重み付け情報を生成する。具体的には、重み生成部53は、予測誤差の大きい予測モデル30の予測値については、複数の予測モデル30それぞれの予測値を統合する際に寄与する度合いが小さくなるような重み付け値とする。また、重み生成部53は、予測誤差の小さい予測モデル30の予測値については、複数の予測モデル30それぞれの予測値を統合する際に寄与する度合いが大きくなるような重み付け値とする。また、重み付け値については、予測誤差の正負に依存する値であってもよく、また例えばペナルティとなる負の量を設定してもよい。
【0052】
需要予測部54は、重み生成部53が生成した重み付け情報により組み合わせた複数の予測モデル30の予測結果に基づき、需要予測を行う。具体的には、需要予測部54は、予測値算出部51が算出した複数の予測モデル30それぞれの予測値について、重み生成部53が生成した重み付け情報をもとに選択あるいは合成する重み付き加算を行う。そして、需要予測部54は、重み付き加算した結果を需要予測の対象商品についての予測結果(例えば売上数)として出力する。
【0053】
ここで、予測部50における予測(予測フェーズ)の詳細を説明する。図7は、予測フェーズを例示するフローチャートである。
【0054】
図7に示すように、予測フェーズが開始されると、予測値算出部51は、需要予測の対象商品に対して直近の販売実績データ11を用いて予測手法ごとの予測値を算出する(S31)。
【0055】
次いで、予測誤差算出部52は、需要予測の対象商品に対して直近の販売実績データ11を用いて誤差予測モデル40に適用するための説明変数(対象商品の特性情報)を計算する(S32)。この説明変数の計算では、特性算出部23と同様にして行うことで、例えば予測特性、静的な商品特性、動的な商品特性、ライフサイクル特性および直近の誤差などを求める。
【0056】
次いで、予測誤差算出部52は、複数の誤差予測モデル40に計算した説明変数を適用し、予測手法ごとの予測誤差を予測(算出)する(S33)。重み生成部53は、算出した予測手法ごとの予測誤差をもとに、複数の予測モデル30それぞれの予測値に対する重み付けを行う重み付け情報を生成する。
【0057】
需要予測部54は、生成された重み付け情報をもとに、予測誤差の予測値の逆数を重みとして予測手法ごとの予測値を重み付け加算する(S34)。これにより、需要予測部54は、重み付き加算した結果を需要予測の対象商品についての予測結果として出力し、処理を終了する。
【0058】
なお、重み付き加算については、複数の予測モデル30それぞれの予測値について、重み付け情報における予測誤差の逆数を重み付け値として掛け合わせた上で統合する上記の手法に限定しない。例えば、複数の予測モデル30それぞれの予測値について、重み付け情報における重み付け値が所定の閾値以上の場合に1を、閾値以下の場合に0を掛け合わせた上で統合してもよい。」
「【0065】
このように、予測範囲の長短、予測平均数量の多少により、それぞれ精度の高い予測手法が異なる。例えば、予測範囲が短く予測平均数量が少ない場合、グラフG1のARIMAXとグラフG3の指数平滑法のどちらを選ぶべきだろうか。このように、予測範囲と、予測平均数量とのどちらを主とするかによっても、選ぶべき予測手法が異なってくる。
【0066】
本実施形態では、複数の予測モデル30それぞれについて、予測誤差を推定する複数の誤差予測モデル40の学習を行うことで、上記の販売に関する種々の状況がそれぞれの予測誤差に適用される。したがって、複数の誤差予測モデル40による予測誤差から複数の予測モデル30の予測結果に対する重み付けを行って需要予測を行うことで、グラフGに示すように誤差率の低い需要予測を行うことが可能となる。」
「【0073】
需要予測装置1で行われる各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよい。また、各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行されるプログラム上、またはワイヤードロジックによるハードウエア上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよいことは言うまでもない。また、需要予測装置1で行われる各種処理機能は、クラウドコンピューティングにより、複数のコンピュータが協働して実行してもよい。」
「【図1】
[図:0001427980000001.jpg]
」
「【図3】
[図:0001427980000002.jpg]
」
(2) 引用文献1に記載された発明
上記(1)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「需要予測装置1は、入力部10、学習部20、予測部50を有し、入力された販売実績データ11を用いる、複数の予測モデル30を利用した需要予測を行う装置であり(【0012】)、 入力部10は、需要予測にかかる指示データ(予測期間や予測対象の商品)や販売実績データ11を入力データとして受け付け、受け付けた入力データを学習部20および予測部50へ出力し、販売実績データ11は、商品ごとの販売実績を示すデータであり、各売上日における商品ごとの売上数が記述されたデータであり(【0013】)、
需要予測の対象となる商品については、電力会社が供給する電力の提供であってもよく(【0014】)、
学習部20は、予測モデル学習部21を有し(【0018】)、
予測モデル学習部21は、販売実績データ11の一部を学習用データとして異なる複数の予測手法での学習を行い、予測手法ごとに予測モデル30A、30B…30Nを構築(生成)し(【0019】)、
予測モデル学習部21における複数の予測手法には、ナイーブ予測(前週同一曜日の値と同値と予測)、指数平滑法、ARIMA(Auto Regressive Integrated Moving Average(自己回帰和分移動平均モデル))、ARIMAX(ARIMA+回帰)、重回帰、一般化線形モデル(Gamma、Poisson)、動的線形モデルがあり(【0020】)、
予測モデル学習部21は、販売実績データ11における学習用データを用いることで、予測手法リスト(m1、m2…)における予測手法ごとに、予測モデル30を構築(学習)するものであって、期間(1)、期間(2)…のように販売実績データ11の期間をずらして学習することで、商品(p1、p2…)における各期間の需要予測(売上数)求めるための予測モデル30を学習し(【0040】)、
予測部50は、予測値算出部51、予測誤差算出部52、重み生成部53および需要予測部54を有し(【0048】)、
予測値算出部51は、直近の販売実績データ11に複数の予測モデル30を適用することで、予測手法ごとの予測値(需要予測の値)を算出し(【0049】)、
予測誤差算出部52は、複数の予測モデル30における予測手法ごとの予測誤差を算出し(【0050】)、
重み生成部53は、複数の予測モデル30における予測手法ごとの予測誤差をもとに、複数の予測モデル30それぞれの予測値に対する重み付けを行う重み付け情報を生成するものであって、予測誤差の大きい予測モデル30の予測値については、複数の予測モデル30それぞれの予測値を統合する際に寄与する度合いが小さくなるような重み付け値とし、予測誤差の小さい予測モデル30の予測値については、複数の予測モデル30それぞれの予測値を統合する際に寄与する度合いが大きくなるような重み付け値とし(【0051】)、
重み付き加算については、複数の予測モデル30それぞれの予測値について、重み付け情報における重み付け値が所定の閾値以上の場合に1を、閾値以下の場合に0を掛け合わせた上で統合してもよく(【0058】)、
需要予測部54は、予測値算出部51が算出した複数の予測モデル30それぞれの予測値について、重み生成部53が生成した重み付け情報をもとに選択あるいは合成する重み付き加算を行い、重み付き加算した結果を需要予測の対象商品についての予測結果として出力し(【0052】)、
各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよい(【0073】)、
需要予測装置1。」
2 引用文献2(甲第1号証)
(1) 引用文献2の記載
取消理由で通知した特開2013-255390号公報(平成25年12月19日出願公開。以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【請求項2】
電力需要量の予測に必要な情報を取得するデータ取得手段と、
電力需要量を各々異なる予測法に基づいて予測するM(Mは3以上の任意の自然数)個の予測手段を含む予測処理手段と、
上記予測処理手段により算出された複数の電力需要量の予測結果から最終的な1つの予測結果を導出する予測結果統合手段と、
上記データ取得手段により取得した情報に基づいてM個の上記予測手段からN(NはM未満かつ2以上の任意の自然数)個の予測手段を選択する予測法選択手段とを備え、
上記予測処理手段は、
上記予測法選択手段により選択されたN個の予測手段を用いて上記データ取得手段により取得した情報に応じた電力需要量の予測結果を各々算出し、上記予測結果統合手段に出力することを特徴とする電力需要予測装置。」
「【請求項8】
予測法選択手段は、
M個の予測手段の信頼度を算出し、該信頼度に基づいてM個の上記予測手段からN個の予測手段を選択し、
予測結果統合手段は、
予測処理手段により算出されたN個の電力需要量の予測結果に対し、上記予測法選択手段により算出された対応する信頼度を重み付けして加重平均をすることにより最終的な1つの予測結果を導出することを特徴とする請求項2記載の電力需要予測装置。」
「【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、需要予測プログラム、需要予測方法および需要予測装置に関する。」
「【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による電力需要予測装置を示す構成図である。
図示の電力需要予測装置は、例えば、一般的なコンピュータ(サーバ、パソコン等)やコントローラにより実現される。
図示の電力需要予測装置は、データ取得部101、データ記憶部102、予測法選択部103、予測法1041~104nを含む予測処理部104、予測結果出力部105を有する。
【0014】
データ取得部(データ取得手段)101は、予測に必要な情報(以下、入力情報)を取得する。
例えば、建物内のネットワーク(内部LAN)に接続し、気温計等のセンサーや分電盤、電力量計(電力メーター)、建物内の機器(空調や照明等)を管理するサーバ等の情報を取得しても良い。
又は、インターネットに接続し、気象庁等から情報を取得しても良い。
更に、キーボード等を介して、ユーザが直接入力して情報を取得することも可能である。
他にも、可搬型記憶媒体(メモリカード、CD-ROM等)からデータを読み出しても良い。
また、データ取得部101は、電力需要量の実測値を取得する。
取得の方法としては、例えば、上記の入力情報と同様に建物内のネットワーク(内部LAN)やインターネット、ユーザによる入力、可搬型記憶媒体から取得しても良い。
【0015】
データ記憶部(データ記憶手段)102は、データ取得部101に接続されており、データ取得部101から送信される入力情報と電力需要量の実測値を保存する。
また、データ記憶部102は、予測結果出力部105に接続されており、予測結果出力部105から送信される予測結果を保存する。
データ記憶部102の例としては、ハードディスクやメモリ等の記憶媒体である。
【0016】
予測法選択部(予測法選択手段)103は、データ取得部101から送信される入力情報を基に、予測処理部104に保持された予測法1041~104nのうちから最適な予測法を1つ選択する。
また、予測法選択部103は、データ取得部101から送信される入力情報のうちから最適な予測法に必要な情報のみを抽出し、抽出した情報と最適な予測法を予測処理部104に送信する。
更に、予測法選択部103は、データ記憶部102から送信される過去の入力情報と電力需要量の実測値を基に選択法の学習を行う。
(中略)
【0019】
次に動作について説明する。
以降では、実施の形態1の動作の流れを、データ取得部101、予測処理部104、及び予測結果出力部105が以下の表1の条件である場合を例に、図1及び図2を用いて説明する。
ここで、図2は、図1の予測処理部104が2つの予測法(予測法a、予測法b)を保持しているものとして説明する。
(中略)
【0024】
なお、図2の説明では、データ取得部101が取得する入力情報を、過去数日間の24時間分の電力需要量と最高気温、予測日の予想最高気温に限定しているが、予測処理部104に保持されている予測法1041~104nに合わせて、他の情報を取得しても良い。
他の入力情報としては、例えば、日付、曜日、時刻、天候、気温(最高気温の他に各時間帯の気温、平均気温、最低気温等)、湿度、季節等がある。
また、電力需要量を予測する対象がオフィスビルであるならば、出張者の数、来客者の数、特別な行事があったか否か、各時刻に建物内にいた人数、空調や照明、OA機器等の機器制御履歴等の情報もある。
なお、これらの入力情報は、過去の実測値だけではなく、未来の予測値(天気予報等)を用いても良い。」
「【0026】
データ取得部101にて取得した入力情報は、次に、予測法選択部103に送信される。
予測法選択部103では、予め設定された選択法と、入力情報に基づき最適な予測法104iを1つ選択する(ステップST203:予測法選択工程)。
最適な予測法104iとは、電力需要量を高精度に予測できる予測法のことであり、電力需要量は未知であるため、データ取得部101にて取得した入力情報から推測する。
なお、選択法の学習方法は図3にて説明する。」
「【0033】
図3は予測法選択部103にて実行される選択法の学習に関する処理の流れを示すフローチャートであり、選択する予測法1041~104nが表1の予測法aと予測法bである場合を例に示している。
選択法の学習開始は、事前に設定された任意の間隔(1ヶ月おきや1年おき等)で自動的に行われる処理である。
又は、ユーザがキーボード等を介して選択法の学習開始を指示することも可能である。
更に、最近の予測精度を検証し、予測精度の低下が見られる場合に、自動で選択法の学習を実行することも可能である(ステップST301)。
【0034】
選択法の学習が開始されると、予測法選択部103は、データ記憶部102より一定期間の入力情報(過去数日間の24時間分の電力需要量と最高気温、予測日の予想最高気温)と電力需要量の実測値を学習データとして取得する(ステップST302)。
【0035】
この一定期間とは事前に定められた任意の期間であり、例えば、これまでデータ記憶部102に保存されてきた全てのデータを用いることも可能である。
又は、過去数年や過去数ヶ月のデータを用いるように設定することも可能である。
更に、一定期間のデータは、必ずしも連続したデータである必要はなく、データ記憶部102から特定の条件で検索し、該当データのみを学習データとすることも可能である。
【0036】
次に、予測法選択部103では、データ記憶部102から受信した学習データの入力情報毎に、予測処理部104に保持されている予測法aと予測法bで電力需要量を予測し、データ記憶部102から受信した学習データの電力需要量の実測値を用いて予測精度を計算する(ステップST303)。
【0037】
計算後、予測法aと予測法bの予測精度を比較し、予測法aの精度の方が良いのであれば、現在の入力情報をクラスaのパターン、予測法bの精度の方が良いのであれば、クラスbのパターンとして分類する(ステップST304,ST305a,ST305b)。
【0038】
これらの処理(ステップST303~ステップST305)を学習データの全ての入力情報で繰り返し(ステップST306)、各入力情報で予測精度が最も良くなる予測法を特定し、各クラスに分類する。」
「【0043】
ステップST303では、予測処理部104に保持されている複数の予測法1041~104nを全て用いて電力需要量を予測し、精度を計算するものとなる。
また、ステップST304では、全ての予測法1041~104nの予測精度を比較し、各入力情報を予測精度が最も良くなる予測法のクラスに分類するものとなる。
更に、予測法1041~104nが2つであった場合、ステップST307は、2クラスの識別問題であったが、予測法1041~104nが3つ以上である場合は、3クラス以上の識別問題を最適化するものとなる。
3クラス以上の識別問題の最適化法としては、例えば、ニューラルネットワークや3クラス以上の識別に拡張したサポートベクターマシン等がある。
また、この最適化法に限定することなく、いずれの最適化法でも本発明は用いることができる。
【0044】
上記の処理(ステップST303、ステップST304、ステップST307)を変更することにより、図3の選択法の学習は、3つ以上の予測法1041~104nでも用いることができ、入力情報を基に複数の予測法1041~104nの中から最適な予測法104iを選択することが可能となる。」
「【0052】
実施の形態2.
図4は本発明の実施の形態2による電力需要予測装置を示す構成図である。
実施の形態1と異なる点は、実施の形態1の予測法選択部103では、1つの予測法104iを選択していたが、実施の形態2の予測法選択部(予測法選択手段)403では、複数の予測法、ここでは3つの予測法104i~104kを選択する点である。
【0053】
また、実施の形態1の予測処理部104は、予測法選択部103にて選択された1つの予測法104iを用いて電力需要量を予測していたが、実施の形態2の予測処理部(予測処理手段)404では、予測法選択部403にて選択された複数の予測法104i~104kを用いて複数の電力需要量の予測結果を算出する。
【0054】
実施の形態2では、上記の予測法選択部403と予測処理部404の変更に伴い、複数の予測結果を統合(選択もしくは平均)して1つの予測結果を求める予測結果統合部(予測結果統合手段)406が予測処理部404と予測結果出力部105の間に追加され、接続されている。
予測結果統合部406は、予測処理部404から複数の予測結果を受信し、統合(選択もしくは平均)することで、予測結果を1つ求める。
また、予測結果統合部406は、求めた1つの予測結果を、予測結果出力部105に送信する。
【0055】
次に動作について説明する。
図5は、本発明の実施の形態2による電力需要予測装置及び方法を用いて電力需要量を予測する処理の流れを示すフローチャートである。
データ取得部101にて入力情報を取得し、予測法選択部403に送信するまでの処理(ステップST501,ステップST502:データ取得工程)は、実施の形態1(図2のステップST201,ステップST202)と同様である。
【0056】
予測法選択部403では、予め設定された選択法と、入力情報に基づき最適な複数の予測法104i~104kを選択する(ステップST503:予測法選択工程)。
選択の方法は、例えば、データ取得部101にて取得した入力情報を基に予測処理部404で保持されている各予測法1041~104nの信頼度を計算し、信頼度が高い順に複数の予測法104i~104kを選択するようにしても良い。
また、信頼度が閾値以上の予測法を複数選択するようにしても良い。
【0057】
また、予測法選択部403では、実施の形態1(図2)と同様に、最適な複数の予測法104i~104kを選択すると同時に、データ取得部101から送信される入力情報のうちからそれぞれの最適な予測法104i~104kに必要な情報のみ抽出し、各予測法104i~104kに送信する。
【0058】
予測処理部404では、予測法選択部403から複数の最適な予測法104i~104kに必要な情報を受信し、予測法選択部403にて選ばれた複数の最適な予測法104i~104kを用いて電力需要量を予測する(ステップST504:予測処理工程)。その後、得られた複数の予測結果を予測結果統合部406に送信する。
【0059】
予測結果統合部406では、受信した複数の電力需要量の予測結果を統合して最終的な1つの予測結果を得る(ステップST505:予測結果統合工程)。
統合して最終的な1つの予測結果を得る方法としては、複数の電力需要量の予測結果から最終的な1つの予測結果を選択しても良い。
選択法としては、例えば、複数の予測結果の統計分布を基に、分布の中心に近い予測結果を選択しても良い。
また、統合の方法としては、例えば、加重平均して最終的な1つの予測結果を得ても良い。
重みの付け方としては、例えば、複数の電力需要量の予測結果に平等な重みを付ける単純平均でも良いし、複数の予測結果の統計分布を基に、分布の中心からに近いほど大きな重みを与えても良い。
【0060】
なお、予測法選択部403にて最適な複数の予測法104i~104kを選択する際(ステップST503)に、入力情報を基に各予測法1041~104nの信頼度を計算している場合は、その信頼度を各予測結果の重みとして加重平均しても良い。
しかし、信頼度を加重平均の重みとして用いる場合は、実施の形態2の構成図(図4)を変更する必要がある。
【0061】
図6は、信頼度を加重平均の重みとして最終的な1つの予測結果を得る場合の電力需要予測装置を示す構成図である。
予測法選択部(予測法選択手段)603は、最適な複数の予測法104i~104kを選択する際に、入力情報を基に各予測法1041~104nの信頼度を計算する。
また、予測結果統合部(予測結果統合手段)606は、その信頼度を各予測結果の重みとして加重平均する。
信頼度を加重平均の重みとして用いる場合は、予測法選択部603と予測結果統合部606を接続し、予測結果統合部606が予測法選択部603から各予測法1041~104nの信頼度を受信する必要がある。」
「【0063】
図7は、予測法選択部603で、最適な複数の予測法104i~104kを選択する際(ステップST503)に実行される予測法1041~104n毎の信頼度の計算方法について示したフローチャートである。
信頼度は、データ取得部101にて取得した入力情報と、各予測法1041~104nにて予測精度が高くなる代表入力情報との距離(誤差)で求めることができる。
代表入力情報の設定方法は、図8にて説明する。
【0064】
信頼度の計算開始(ステップST701)は、予測法選択部603にて最適な複数の予測法104i~104kを選択する際に、予測処理部404にて保持されている予測法1041~104n毎に実行される。
信頼度の計算では、データ取得部101にて取得した入力情報を受信し(ステップST702)、各予測法1041~104nの代表入力情報との距離(誤差)を計算する(ステップST703)。
計算する距離としては、例えば、標準ユークリッド距離等を用いても良い。
その後、計算した距離を信頼度とすることで、信頼度の計算は終了する(ステップST704)。
【0065】
代表入力情報は、各予測法1041~104nにて予測精度が良くなる入力情報であるので、データ取得部101にて取得した入力情報が代表入力情報と近ければ、その予測法を用いて電力需要量を予測することで、予測精度が良くなる可能性が高くなる。
そのため、データ取得部101にて取得した入力情報と各予測法1041~104nの代表入力情報との距離を信頼度として用いることが可能である。」
「【0071】
このように、本発明の実施の形態2によれば、予測法選択部403にて複数の予測法104i~104kを選択するようにし、予測結果統合部406を追加することにより、複数の電力需要量の予測結果を比較しつつ統合(選択又は平均)することで、最終的な予測結果を1つ得ることができるため、より高精度な予測が可能となる。
また、予測法選択部403を予測処理部404の前段に設置し、予測開始前に入力情報を基に最適な予測法104i~104kを選択することは変わらないため、従来の技術のように、複数の予測法1041~104nを全て用いて電力需要量を予測する必要はなく、リソースや計算量を減らす効果は保たれている。
なお、実施の形態1の場合、予測処理部104に保持されている予測法1041~104nの個数は任意であり、2つ以上であればいくつでも良かった。
本実施の形態2の場合、予測処理部404に保持されている予測法1041~104nの個数は任意であり、3つ以上であればいくつでも良く、また、予測法選択部403が選択する予測法の個数は、予測法1041~104nの個数よりも小さく、2つ以上であればいくつでも良い。
【0072】
本発明の実施の形態2も特許文献1や特許文献2のように、複数の予測法1041~104nを全て用いて電力需要量を予測する処理(図8)がある。
しかし、その処理は、特許文献1や特許文献2のように予測毎に実施するのではなく、予測法選択部603の選択法を学習(信頼度を計算するための代表入力情報を設定)する場合のみ実施する。
選択法の学習は、任意で実施されるが、予測処理より頻度は少ないため、リソースや計算量の大きな影響にはならない。」
「【図4】
[図:0001427980000003.jpg]
」
「【図6】
[図:0001427980000004.jpg]
」
段落【0052】、【0056】及び【図4】の記載を参照すると、「電力需要予測装置は、データ取得部101、予測法選択部403、複数の予測法1041~104nを保持する予測処理部404、予測結果統合部406を備えている」ことが見て取れる。
(2) 引用文献2に記載の技術事項
上記(1)によれば、引用文献2には、次の技術事項が記載されているといえる。
「 電力需要予測装置は、データ取得部101、予測法選択部403、複数の予測法1041~104nを保持する予測処理部404、予測結果統合部406を備えており(【0052】、【0056】及び【図4】)、
データ取得部101が取得する入力情報は、過去数日間の24時間分の電力需要量と最高気温、予測日の予想最高気温、日付、曜日、時刻、天候、気温(最高気温の他に各時間帯の気温、平均気温、最低気温)、湿度、季節であり(【0024】)、
予測法選択部403では、予め設定された選択法と、入力情報に基づき最適な複数の予測法104i~104kを選択し、選択の方法は、データ取得部101にて取得した入力情報を基に予測処理部404で保持されている各予測法1041~104nの信頼度を計算し、信頼度が高い順に複数の予測法104i~104kを選択するものであり(【0056】)、
予測処理部404では、予測法選択部403から複数の最適な予測法104i~104kに必要な情報を受信し、予測法選択部403にて選ばれた複数の最適な予測法104i~104kを用いて電力需要量を予測し、得られた複数の予測結果を予測結果統合部406に送信し(【0058】)、
予測結果統合部406では、受信した複数の電力需要量の予測結果を統合して最終的な1つの予測結果を得るものであり、統合の方法としては、加重平均して最終的な1つの予測結果を得る(【0059】)、
電力需要予測装置。」
3 甲第3号証
(1) 甲第3号証の記載
特許異議申立人の提出した「複数の予測結果を利用した高精度予測を実現する負荷予測手法」、一般社団法人電気学会、平成16年3月17日発行(以下、「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア「
[図:0001427980000005.jpg]
」
イ「
[図:0001427980000006.jpg]
」
4 甲第4号証
(1) 甲第4号証の記載
特許異議申立人の提出した「オープンデータに基づく電力スポット市場のエリア価格予測-複数予測結果の統合アプローチの検討-」、一般社団法人電気学会、令和元年8月23日発行(以下、「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア「
[図:0001427980000007.jpg]
」
イ「
[図:0001427980000008.jpg]
」
第6 取消理由についての当審の判断
上記「第2」のとおり、本件訂正請求による訂正によって、訂正前請求項2、20、21は削除され、これにともない、訂正前請求項2を引用する請求項4、6~12については、すべて訂正前請求項2との引用関係が解消された。
よって、当審で指摘した取消理由の対象の請求項が存在しないものとなった。
第7 採用しなかった申立理由について
申立人がする上記「第4」以外の主張の概要は、次のとおりである。
請求項1、6~12、18、19に係る発明は、引用文献1~引用文献4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第8 採用しなかった申立理由に対する当審の判断
1 本件発明1について
請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)と、引用発明とを対比する。
(1)「説明変数と目的変数とを含むデータと、複数のモデル生成条件とに基づいて、前記目的変数に関する複数の第1予測モデルを生成し」について
ア 引用発明は、「予測モデル学習部21における複数の予測手法には、ナイーブ予測(前週同一曜日の値と同値と予測)、指数平滑法、ARIMA(Auto Regressive Integrated Moving Average(自己回帰和分移動平均モデル))、ARIMAX(ARIMA+回帰)、重回帰、一般化線形モデル(Gamma、Poisson)、動的線形モデルがあり」、「予測モデル学習部21は、販売実績データ11における学習用データを用いることで、予測手法リスト(m1、m2…)における予測手法ごとに、予測モデル30を構築(学習)するものであって、期間(1)、期間(2)…のように販売実績データ11の期間をずらして学習することで、商品(p1、p2…)における各期間の需要予測(売上数)求めるための予測モデル30を学習」するものであるから、引用発明において、予測モデル30の構築には、販売実績データ11が用いられ、構築された予測モデル30は各期間の需要予測(売上数)を算出するものである。そして、「販売実績データ11は、商品ごとの販売実績を示すデータであり、各売上日における商品ごとの売上数が記述されたデータ」であることを踏まえると、引用発明の「販売実績データ11」の「売上数」は、本件発明1の「目的変数」に相当し、引用発明の「販売実績データ11」のうち前記「売上数」以外のデータであって予測モデル30の構築に用いられるデータ(入力データ)は、本件発明1の「説明変数」に相当するといえるから、引用発明の「販売実績データ11」は、本件発明1の「説明変数と目的変数とを含むデータ」に相当する。
イ 「モデル生成条件」について
本件特許の発明の詳細な説明には、「各モデル生成条件には、学習手法(モデルの種類)、学習期間、説明変数の種類に関する情報が含まれている。」(【0038】)と記載されている。
また、引用発明の「学習部20」は、「予測モデル学習部21を有し」、「異なる複数の予測手法」を用いて、「予測手法リスト(m1、m2…)における予測手法ごとに、予測モデル30を構築(学習)するものであって、期間(1)、期間(2)…のように販売実績データ11の期間をずらして学習することで、商品(p1、p2…)における各期間の需要予測(売上数)求めるための予測モデル30を学習」するものである。
してみると、前記「異なる複数の予測手法」、「期間(1)、期間(2)…」は、「予測モデル30を学習」するための条件に他ならないから、本件発明1の「複数のモデル生成条件」に相当するといえ、引用発明「学習部20」は、かかる「複数のモデル生成条件」に基づいて、複数の「予測モデル30A、30B…30N」を生成するものである。
ウ 上記ア、イを踏まえると、引用発明の「学習部20」は、「説明変数と目的変数とを含むデータ」と「複数のモデル生成条件」とに基づいて、「売上数」を求めるための、予測法ごとに複数の「予測モデル30A、30B…30N」を生成するものであり、「売上数」を求めるための予測法ごとの複数の「予測モデル30A、30B…30N」は、本件発明1の「前記目的変数に関する複数の第1予測モデル」に相当するから、引用発明の「学習部20」は、「説明変数と目的変数とを含むデータと、複数のモデル生成条件とに基づいて、前記目的変数に関する複数の第1予測モデルを生成」しているといえる。
よって、本件発明1と引用発明は、「説明変数と目的変数とを含むデータと、複数のモデル生成条件とに基づいて、前記目的変数に関する複数の第1予測モデルを生成」する点で一致する。
(2)「前記説明変数に基づく前記複数の第1予測モデルの予測値を前記複数の第1予測モデルの重みで重み付けした値と、前記目的変数との差分の総和と、前記複数の第1予測モデルの前記重みを含む正則化項と、を含む評価関数に基づき、前記重みを算出し」について
本件発明1は、「前記説明変数に基づく前記複数の第1予測モデルの予測値を前記複数の第1予測モデルの重みで重み付けした値と、前記目的変数との差分の総和と、前記複数の第1予測モデルの前記重みを含む正則化項と、を含む評価関数に基づき、前記重みを算出」するものであるのに対して、引用発明はそのような構成を有していない点。
(3)「前記複数の第1予測モデルを前記重みに基づき加算することで前記目的変数に関する第2予測モデルを生成する」について
引用発明の「予測部50」は、「販売実績データ11に複数の予測モデル30を適用することで、予測手法ごとの予測値(需要予測の値)を算出し」、「複数の予測モデル30における予測手法ごとの予測誤差を算出し」、「予測誤差をもとに、複数の予測モデル30それぞれの予測値に対する重み付けを行」い、「複数の予測モデル30それぞれの予測値について、・・・重み付け情報をもとに選択あるいは合成する重み付き加算を行」うものである。
してみると、引用発明の「予測部50」は、「複数の予測モデル30」が「算出」した「予測値(需要予測の値)」に対して、「予測誤差をもとに」「重み付け」し、「選択あるいは合成する重み付き加算を行」うものであり、これは、結果として、「複数の予測モデル30」を「重み付け」することに他ならない。
そして、上記(1)で検討したとおり、引用発明の「予測モデル30A、30B…30N」は、本件発明1の「前記目的変数に関する複数の第1予測モデル」に相当するから、引用発明の「予測部50」は、「第1予測モデル」を「重みに基づいて加算」しているといえる。
一方、本件発明1は、「前記複数の第1予測モデルを前記重みに基づき加算することで前記目的変数に関する第2予測モデルを生成する」とのとおり、「第1予測モデルを重みに基づき加算」しているといえる。
以上を踏まえると、本件発明1と引用発明とは、下記相違点を除いて、「前記第1予測モデルを重み付け」する点で一致するといえる。
(4)「処理部」、「を備えた情報処理装置」について
引用発明は、「各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよい」ものであるから、「学習部20」と「予測部50」は、CPUによって実現されることは明らかである。
そして上記(1)で検討したとおり、引用発明の「学習部20」は、「説明変数と目的変数とを含むデータと、複数のモデル生成条件とに基づいて、前記目的変数に関する複数の第1予測モデルを生成」するものであって、上記(2)で検討したとおり、引用発明の「予測部50」は、「前記第1予測モデルを重み付け」するものであるから、引用発明の「学習部20」と「予測部50」とからなる構成は、下記相違点を除いて、本件発明1の「処理部」に相当する。
そうすると、引用発明の「需要予測装置1」は、「学習部20」と「予測部50」とからなる前記「処理部」を備えた情報処装置といえるから、下記相違点を除いて、本件発明1の「処理部、を備えた、情報処理装置」に相当する。
(5)一致点と相違点
上記(1)~(4)の検討を踏まえると、本件発明1と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
[一致点]
説明変数と目的変数とを含むデータと、複数のモデル生成条件とに基づいて、前記目的変数に関する複数の第1予測モデルを生成し、
前記第1予測モデルを重み付けする、処理部、
を備えた、情報処理装置。
[相違点1]
「処理部」に関して、本件発明1は、「前記説明変数に基づく前記複数の第1予測モデルの予測値を前記複数の第1予測モデルの重みで重み付けした値と、前記目的変数との差分の総和と、前記複数の第1予測モデルの前記重みを含む正則化項と、を含む評価関数に基づき、前記重みを算出」するものであるのに対して、引用発明は、そのような構成を有していない点
[相違点2]
上記相違点1に関連して、本件発明1は、前記第1予測モデルを「前記重み」に基づき加算することで「前記目的変数に関する第2予測モデルを生成する」ものであるのに対して、引用発明は、そのような構成を有していない点
(6)相違点の判断
ア 相違点1の判断
上記相違点1に係る構成に関しては、上記「第4 引用文献」に示した引用文献1~4のいずれにも記載されておらず、また本件特許の出願前において周知技術であるともいえない。
また、上記のとおりであるから、引用文献2に記載された技術的事項を主引用発明として、引用文献1、引用文献3及び引用文献4に記載された技術的事項を適用しても、相違点1の構成に至らないことは明らかである。
そうすると、引用文献1及び引用文献2~4を組み合わせても本件発明1が備える構成には至らないから、他の相違点について判断するまでもなく、本件発明1は、当業者であっても容易に発明ができたものとはいえない。
(7)特許異議申立人の主張について
ア 特許異議申立人の主張の概要
甲第3号証(引用文献3)には、予測値Fdayと実績値Adayとの誤差を複数の予測値Fdayについて合計した数値(総和)が最小化されるように各予測値Fdayの加重比riを算定すること(引用発明3)が記載されている。
また、甲第4号証(引用文献4)には、「重み(係数)の大きさに対して罰則を設定することで、本質的に重要でない説明変数に対する係数が0になりやすいスパース罰則付き線形回帰(Lasso)」が記載されている(引用発明4)。
特許異議申立人は、上記相違点1について、引用発明(甲第1号証(引用文献2)に記載された発明)と引用発明3及び引用発明4とは、複数の予測値を統合するという処理や予測精度の向上という課題が共通するから引用発明3及び引用発明4を引用発明に適用する動機づけが存在する。また、引用発明3及び引用発明4を引用発明に適用することを阻害する事情は何ら見当たらない、旨主張する(特許異議申立書42~43頁)。
イ 主張の検討
特許異議申立人の上記主張について検討をする。
引用文献3及び引用文献4には、それぞれ、上記「第5」の3及び4のとおりの記載があるものの、いずれも、「評価関数」が「前記説明変数に基づく前記複数の第1予測モデルの予測値を前記複数の第1予測モデルの重みで重み付けした値と、前記目的変数との差分の総和」、「前記複数の第1予測モデルの前記重みを含む正則化項」を含むことは記載されていない。
なお、引用文献4には、高次元データに対する過学習を防ぐメカニズムを有する代表的な予測種痘として「スパース罰則付き線形回帰(Lasso)」が挙げられているが、具体的な事項は記載されていないため、引用発明に引用文献4に記載された「スパース罰則付き線形回帰(Lasso)」に関する事項を適用しても、上記相違点1の構成に至らないことは明らかである。
よって、特許異議申立人の主張に理由はない。
(8)小括
したがって、本件発明1は、引用発明及び引用文献2~4に記載の技術に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。
2 本件発明6~12について
本件発明1を直接的又は間接的に引用する本件発明6~12も、本件発明1の相違点1の構成を備えるものであるから、本件発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2~4に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本件発明18~19について
本件発明18~19は、それぞれ、「情報処理方法」、「コンピュータプログラム」の発明であるものの、「情報処理装置」の発明である本件発明1と実質的にカテゴリーが異なるのみであるから、引用文献1に記載された発明との間には、少なくとも相違点1と同様の相違点がある。
そして、その相違点は上記1(6)のとおり、当業者が容易に想到することができたものではない。
よって、本件発明18、19は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2~4に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
第9 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1、4~12、18、19に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、4~12、18、19に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、特許異議申立人による特許異議申立てについて、請求項2、20、21に係る申立ては、訂正により請求項2、20、21が削除され、申立ての対象が存在しなくなったため、却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2025-700053