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特許異議申立

2025-700002

積層体で構成される袋

審判番号
2025-700002
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-158766
登録番号
7505529
請求日
2024年12月20日
審決日
2025年03月14日
公報発行日
2025年04月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】大日本印刷株式会社
  • 【権利者代理人】宮嶋 学
  • 【権利者代理人】堀田 幸裕
  • 【権利者代理人】岡村 和郎
  • 【権利者代理人】高田 泰彦
  • 【権利者代理人】柏 延之
  • 【異議申立人】西森 由子
審判長/審判官
  • 審判長 岩谷 一臣
  • 審判官 一ノ瀬 覚
  • 審判官 長清 吉範
分類
P1651.121-Y (B65D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7505529号発明「積層体で構成される袋」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7505529号の請求項1~5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7505529号の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成31年2月28日(優先権主張 平成30年2月28日、平成30年8月9日、平成30年9月28日)に出願された特願2019-36671号の一部を令和4年9月30日に新たな特許出願としたものであって、令和6年6月17日にその特許権の設定登録がされ、令和6年6月25日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和6年12月20日に特許異議申立人西森由子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 特許第7505529号の請求項1~5の特許に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 袋であって、 外面及び内面を含む積層体と、 前記積層体の内面同士を接合するシール部と、を備え、 前記積層体は、第1延伸プラスチックフィルム、第2延伸プラスチックフィルム及びシーラントフィルムをこの順で少なくとも備え、 前記第1延伸プラスチックフィルム及び前記第2延伸プラスチックフィルムは、ポリエステルを主成分として含み、 前記シーラントフィルムは、ポリプロピレンを含み、 前記シーラントフィルムの厚みは、50μm以上60μm以下であり、 流れ方向における前記シーラントフィルムの引張伸度(%)と前記シーラントフィルムの厚み(μm)の積が、59000~66000であり、 前記積層体の衝撃強度が500kJ/m以上であり、前記積層体の突き刺し強度が16N以上であり、 前記シール部は、前記袋の内部の圧力の増加に伴って剥離される蒸気抜きシール部を含み、 前記蒸気抜きシール部は、10N以下の熱間シール強度を有し、 前記衝撃強度は、内面同士が部分的にヒートシールされてシール部が形成された2枚の前記積層体からなる試験片に、ハンマーを用いて衝撃を加える評価において、一方の前記積層体と他方の前記積層体とが分離する際の衝撃値であり、 前記試験片は、50mmの長さ及び15mmの幅を有する長方形の形状を有し、 前記シール部は、長さ方向における前記試験片の端部から、長さ方向において10mmにわたって形成されており、 前記衝撃は、一方の前記積層体のヒートシールされていない部分と他方の前記積層体のヒートシールされていない部分を、前記シール部の面方向に対して直交する方向において互いに逆向きになるようにした後、一方の前記積層体のシールされていない部分の端部と他方の前記積層体のシールされていない部分の端部をそれぞれ治具に固定し、一方の前記積層体に固定された前記治具を前記ハンマーで叩くことによって、前記試験片に加えられ、 前記試験片の前記シール部の面方向に対して直交する方向における、一方の前記積層体に固定された前記治具と他方の前記積層体に固定された前記治具との間の距離は40mmであり、 前記衝撃は、前記試験片の前記シール部の面方向に対して直交する方向において前記試験片に加えられ、 前記突き刺し強度は、固定されている状態の前記積層体の試験片に対して、前記外面側から、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を、50mm/分の速度で突き刺し、針が前記積層体を貫通するまでの応力を測定した場合の最大値であり、 前記熱間シール強度は、内面同士がヒートシールされてシール部が形成された2枚の前記積層体からなり、15mmの幅を有する試験片を用いて、JIS Z1707 7.5に準拠して測定される、100℃のときのシール強度である、袋。 【請求項2】 流れ方向における前記シーラントフィルムの引張弾性率(MPa)と前記シーラントフィルムの厚み(μm)の積が、38000以下である、請求項1に記載の袋。 【請求項3】 前記積層体の衝撃強度が700kJ/m以上である、請求項1又は2に記載の袋。 【請求項4】 前記シーラントフィルムは、主成分であるプロピレン・エチレンブロック共重合体と、α-オレフィン共重合体とを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の袋。 【請求項5】 前記第1延伸プラスチックフィルムと前記第2延伸プラスチックフィルムとの間に位置する第1接着剤層と、前記第2延伸プラスチックフィルムと前記シーラントフィルムとの間に位置する第2接着剤層と、を更に備え、 前記第1接着剤層及び前記第2接着剤層はいずれも、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を含み、且つ、2μm以上の厚みを有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の袋。」 第3 申立理由の概要 申立人は、主たる証拠として甲第1号証及び従たる証拠として甲第2号証~甲第6号証を提出し、請求項1~5に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1~5に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。 甲第1号証:特開2013-136403号公報 甲第2号証:特開平7-188432号公報 甲第3号証:特開2016-93894号公報 甲第4号証:寺西正芳、松浦洋一、「東レフィルム加工の高機能フィルム」、一般社団法人 日本食品包装協会 会報153号(2017年1月)、一般社団法人 日本食品包装協会、平成28年12月28日、5.論文-4 甲第5号証:特開2005-313344号公報 甲第6号証:特開2015-168766号公報 (甲○号証につき、以下「甲○」等という。) 第4 当審の判断 1 甲号証の記載 (1) 甲1には、特に【0001】、【0079】、【0082】【表1】の比較例2に着目すると、 「電子レンジ用加熱袋であって、前後2面の壁面フィルム用積層体と、ヒートシールされた左右側縁部、底部(【0001】、【0074】参照)及び易蒸通手段(【0076】参照)とを備え、 前記積層体は、ポリエステルフィルム(ユニチカ製、エンブレットPET、厚さ16μm)(【0068】参照)、バリアフィルム(大日本印刷(株)製IB-PET-RB、厚さ12μm)及び無延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工製トレファンNO ZK93M、厚さ60μm)(【0070】参照)をこの順で備え、 前記ポリエステルフィルム(ユニチカ製、エンブレットPET、厚さ16μm)、バリアフィルム(大日本印刷(株)製IB-PET-RB、厚さ12μm)は、ポリエステルを主成分として含み、 前記積層体の突き刺し強度が18.1Nであり(【0082】【表1】参照)、 前記シール部は、易蒸通手段を含み(【0076】、【0051】参照)、 前記シール部は、9.8Nのシール強度(90℃;JIS―Z1707)(【0081】(4)、【0082】【表2】参照)を有し、 前記突き刺し強度は、針先端の曲率半径0.5mm、突き刺し速度50mm/minの条件で、袋の外側から内側に向かって突き刺し試験を行い、最大突き刺し荷重を突き刺し強度としたもの(【0081】(3)参照)であり、 前記90℃でのシール強度は、シール部分をサンプル幅15mmに切り取り、引っ張り試験機でJIS-Z1707に準じた試験方法で測定したもの(【0081】(4)参照)である、電子レンジ加熱用袋。」 の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 また、甲1の【0049】に記載された「シーラント層間のシール強度は、輸送や保管時に加わる圧力や衝撃によって剥離することがないように、常温(23℃)で23N/15mm以上のシール強度」という事項から、甲1に記載された発明における常温でのシール強度は衝撃等を考慮したものであると認められる。 (2) 甲2には、伸度を有し、完全生分解性を有するフィルム及び製函適性、耐衝撃性を有し、かつ完全生分解性を有する積層体(【0001】参照)において、耐水性が「×」で水漏れが発生したものや耐衝撃性が「×」で水漏れが発生したものは、いずれも引張伸度20%未満のものであり、引張伸度と耐水性、耐衝撃性には相関があること(【0026】【表2】、【0027】参照)が技術的事項として記載されている。 (3) 甲3には、内容物の浸透による層間接着強度の低下を防止する積層体及び非吸着性包装容器(【0001】参照)において、包装容器のシーラント層を、内容物の吸着を防ぐために薄くすると、シール強度が低下し、容器の耐衝撃性が低下すること(【0012】参照)が技術的事項として記載されている。 (4) 甲4には、東レフィルム加工の高機能フィルム(表題参照)であるハイレトルトCPPフィルムにおいて、ポリマーブレンドによる低温下での耐衝撃性の改良等を行った製品が記載(II.(3)の記載及び表6参照)されていると共に、「ZK207」、「ZK500」に関する落体強度のCPP厚み依存性のグラフからはCPP厚みが増すと、50%破袋率となるまでの落下回数が増加すること(図13参照)が技術的事項として記載されている。 (5) 甲5には、シーラントの材料、物性および成膜方法の表において、樹脂材料LLDPEのものはMD方向の引張弾性率が110~330(MPa)であること(【0146】【表1】参照)が技術的事項として記載されている。 (6) 甲6には、厚さ12μmのPETフィルムと厚さ15μmのONフィルムと厚さ9μmのアルミニウム箔とポリプロピレン系フィルムとをウレタン系接着剤を用いて通常のドライラミネート法で貼合わせることで、積層体構成:PET/接着剤/ON/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ポリプロピレン系フィルムとなる厚さ115μmの積層体(【0065】参照)が技術的事項として記載されている。 2 本件発明1について 本件発明1と甲1発明とを対比すると、両発明は少なくとも以下の相違点を含むものである。 本件発明1は「衝撃強度は、内面同士が部分的にヒートシールされてシール部が形成された2枚の積層体からなる試験片に、ハンマーを用いて衝撃を加える評価において、一方の前記積層体と他方の前記積層体とが分離する際の衝撃値であり、 前記試験片は、50mmの長さ及び15mmの幅を有する長方形の形状を有し、 前記シール部は、長さ方向における前記試験片の端部から、長さ方向において10mmにわたって形成されており、 前記衝撃は、一方の前記積層体のヒートシールされていない部分と他方の前記積層体のヒートシールされていない部分を、前記シール部の面方向に対して直交する方向において互いに逆向きになるようにした後、一方の前記積層体のシールされていない部分の端部と他方の前記積層体のシールされていない部分の端部をそれぞれ治具に固定し、一方の前記積層体に固定された前記治具を前記ハンマーで叩くことによって、前記試験片に加えられ、 前記試験片の前記シール部の面方向に対して直交する方向における、一方の前記積層体に固定された前記治具と他方の前記積層体に固定された前記治具との間の距離は40mmであり、 前記衝撃は、前記試験片の前記シール部の面方向に対して直交する方向において前記試験片に加えられ」たものにおいて「前記積層体の衝撃強度が500kJ/m以上」という事項を含むのに対し、甲1発明はそのような衝撃強度であるかどうか不明である点。 当該相違点について検討するに、本件発明1に含まれる、このような衝撃強度による値が500kJ/m以上となる積層体は、甲1~6のいずれにも何ら開示されていない。また、甲2~4に記載の技術的事項からみて、衝撃強度を考慮していることは読み取れるが、衝撃強度そのものを向上させるものではなく、ましてその具体的数値は記載も示唆もない。そうすると、甲1発明における衝撃強度として相違点に係る本件発明1の数値範囲の値を採用することが容易想到ないし設計的事項ということはできない。 したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲2~6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 申立人は、甲1に記載の発明に対して、甲2~4に記載の周知技術を考慮して、積層体の衝撃強度を向上させることは、当業者であれば容易になし得たことであり、その値をどの程度にするかは、必要な耐低温衝撃性等に基づいて当業者が適宜設定し得た事項であり、「積層体の衝撃強度が500kJ/m以上」という数値についても臨界的意義が明らかでないから、容易である旨、主張する。 しかしながら、この点に関する判断は上述のとおりであるから、臨界的意義を検討するまでもなくかかる主張は採用できない。 3 本件発明2~5について 本件発明2~5は、本件発明1に対して、さらに限定事項を付したものである。 よって、上記2に示した理由と同様の理由により、本件発明2~5は、甲1に記載された発明及び甲2~6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 小括 以上のとおり、請求項1~5に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないから、申立理由は理由がない。 第5 むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700002

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