特許異議申立
2024-701089
積層体及び該積層体で構成される袋
- 審判番号
- 2024-701089
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-036671
- 登録番号
- 7479791
- 請求日
- 2024年11月08日
- 審決日
- 2025年02月04日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】大日本印刷株式会社
- 【権利者代理人】宮嶋 学
- 【権利者代理人】堀田 幸裕
- 【権利者代理人】岡村 和郎
- 【権利者代理人】高田 泰彦
- 【権利者代理人】柏 延之
- 【異議申立人】西森 由子
- 審判長/審判官
- 審判長 神山 茂樹
- 審判官 藤井 眞吾
- 審判官 一ノ瀬 覚
- 分類
- P1651.121-Y (B32B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7479791号発明「積層体及び該積層体で構成される袋」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7479791号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7479791号の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成31年2月28日(優先権主張 平成30年2月28日、平成30年8月9日、平成30年9月28日)に出願され、令和6年4月26日にその特許権の設定登録がされ、令和6年5月9日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和6年11月8日に特許異議申立人西森由子(以下「申立人」という。)により、請求項1~6に係る特許に対して本件特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
特許第7479791号の請求項1~6に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1~6の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
袋用の積層体であって、
第1延伸プラスチックフィルム、第2延伸プラスチックフィルム及びシーラントフィルムをこの順で少なくとも備え、
前記第1延伸プラスチックフィルム及び前記第2延伸プラスチックフィルムは、51質量%以上のポリエステルを含み、
前記第1延伸プラスチックフィルム又は前記第2延伸プラスチックフィルムは、流れ方向(MD)及び垂直方向(TD)において0.0017N以上のループスティフネスを有し、51質量%以上のポリエステルを含む高スティフネスポリエステルフィルムであり、
前記シーラントフィルムは、第1の熱可塑性樹脂と、第2の熱可塑性樹脂と、を含む単層の未延伸フィルムであり、
前記第1の熱可塑性樹脂は、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなり、
前記第2の熱可塑性樹脂は、α-オレフィン共重合体又はポリエチレンを少なくとも含み、
前記α-オレフィン共重合体においては、1-ブテン(C4)、1-ヘキセン(C6)、4-メチルペンテン(C6)又は1-オクテン(C8)からなるα-オレフィンが共重合されており、
前記第1の熱可塑性樹脂の質量比率は、前記第2の熱可塑性樹脂の質量比率よりも高く、
流れ方向における前記シーラントフィルムの引張伸度(%)と前記シーラントフィルムの厚み(μm)の積が、45000以上である、積層体。
【請求項2】
流れ方向における前記シーラントフィルムの引張弾性率(MPa)と前記シーラントフィルムの厚み(μm)の積が、38000以下である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記積層体の衝撃強度が700kJ/m以上であり、
前記衝撃強度は、内面同士が部分的にヒートシールされてシール部が形成された2枚の前記積層体からなる試験片に、ハンマーを用いて衝撃を加える評価において、一方の前記積層体と他方の前記積層体とが分離する際の衝撃値であり、
前記試験片は、50mmの長さ及び15mmの幅を有する長方形の形状を有し、
前記シール部は、長さ方向における前記試験片の端部から、長さ方向において10mmにわたって形成されており、
前記衝撃は、一方の前記積層体のヒートシールされていない部分と他方の前記積層体のヒートシールされていない部分を、前記シール部の面方向に対して直交する方向において互いに逆向きになるようにした後、一方の前記積層体のシールされていない部分の端部と他方の前記積層体のシールされていない部分の端部をそれぞれ治具に固定し、一方の前記積層体に固定された前記治具を、一方の前記積層体の前記第1延伸プラスチックフィルムの側の面から前記ハンマーで叩くことによって、前記試験片に加えられ、
前記試験片の前記シール部の面方向に対して直交する方向における、一方の前記積層体に固定された前記治具と他方の前記積層体に固定された前記治具との間の距離は40mmであり、
前記衝撃は、前記試験片の前記シール部の面方向に対して直交する方向において前記試験片に加えられる、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記積層体の衝撃強度が500kJ/m以上であり、前記積層体の突き刺し強度が16N以上であり、
前記衝撃強度は、内面同士が部分的にヒートシールされてシール部が形成された2枚の前記積層体からなる試験片に、ハンマーを用いて衝撃を加える評価において、一方の前記積層体と他方の前記積層体とが分離する際の衝撃値であり、
前記試験片は、50mmの長さ及び15mmの幅を有する長方形の形状を有し、
前記シール部は、長さ方向における前記試験片の端部から、長さ方向において10mmにわたって形成されており、
前記衝撃は、一方の前記積層体のヒートシールされていない部分と他方の前記積層体のヒートシールされていない部分を、前記シール部の面方向に対して直交する方向において互いに逆向きになるようにした後、一方の前記積層体のシールされていない部分の端部と他方の前記積層体のシールされていない部分の端部をそれぞれ治具に固定し、一方の前記積層体に固定された前記治具を、一方の前記積層体の前記第1延伸プラスチックフィルムの側の面から前記ハンマーで叩くことによって、前記試験片に加えられ、
前記試験片の前記シール部の面方向に対して直交する方向における、一方の前記積層体に固定された前記治具と他方の前記積層体に固定された前記治具との間の距離は40mmであり、
前記衝撃は、前記試験片の前記シール部の面方向に対して直交する方向において前記試験片に加えられる、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項5】
前記第1延伸プラスチックフィルムと前記第2延伸プラスチックフィルムとの間に位置する第1接着剤層と、前記第2延伸プラスチックフィルムと前記シーラントフィルムとの間に位置する第2接着剤層と、を更に備え、
前記第1接着剤層及び前記第2接着剤層はいずれも、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を含み、且つ、2μm以上の厚みを有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
蒸気抜き機構を有する袋であって、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積層体を含む、袋。」
第3 申立理由の概要
申立人は、以下に示す甲第1号証~甲第11号証(以下「甲1」等という。)を提出し、本件発明1~6に係る特許は、以下の理由により、取り消すべきものである旨を主張する。
1 申立理由1(甲1を主引例とした進歩性)
本件発明1~6は、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 申立理由2(甲2を主引例とした進歩性)
本件発明1~6は、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
[引用文献等一覧]
甲第1号証 特開2006-143223号公報
甲第2号証 特開2017-178357号公報
甲第3号証 特許第6694613号公報
甲第4号証 特許第5672060号公報
甲第5号証 寺西正芳、外1名、“東レフィルム加工の高機能フィルム”、日本食品包装協会会報、一般社団法人日本食品包装協会、2016年12月28日発行、153号、インターネット
<URL:https://shokuhou.jp/wp-content/uploads/2016/12/a1004a9c214b1dac46edd933e9545749.pdf>
甲第6号証 松浦洋一、“ポリマーブレンドによる無延伸フィルムの開発”、コンバーテック、株式会社加工技術研究会、2017年2月発行、通巻527号、76~81ページ
甲第7号証 特開2003-1775号公報
甲第8号証 「包材構成100問100答」、改訂2版、株式会社東洋紡パッケージング・プラン・サービス、2008年2月15日、152ページ
甲第9号証 特開2005-313344号公報
甲第10号証 特開2015-134615号公報
甲第11号証 特開2015-168766号公報
第4 当審の判断
1 引用文献の記載等
(1)甲1
甲1(【0014】、【0020】、【0021】、【図1】)には、特に、「ポリブチレンテレフタレート系フィルム」として「2軸延伸ポリブチレンテレフタレート系フィルム」を使用し(【0020】)、「熱接着性樹脂層」として「未延伸ポリプロピレンフィルム」を使用した(【0021】)ものに着目すると、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
「外面から順に2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム11と接着層14と2軸延伸ポリブチレンテレフタレート系フィルム12と接着層14と未延伸ポリプロピレンフィルムを使用した熱接着性樹脂層13が積層された構成からなる、電子レンジ加熱用包装袋に使用する積層体10。」
(2)甲2
甲2(【請求項1】、【0014】)には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。
「基材層及び中間層が、それぞれ無機酸化物の蒸着膜を設けた二軸延伸されたポリエステルフィルム、シーラント層がポリオレフィンフィルムの積層フィルムからなり、前記基材層の無機酸化物の蒸着膜を前記中間層側に設け、前記基材層、中間層、シーラント層が接着剤を介して積層されている積層体。」
(3)甲7
甲7には次の記載がある。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】可塑剤を含有するポリエステルフィルムの両面に薄膜層が形成されていることを特徴とする柔軟化延伸ポリエステルフィルム。
【請求項2】厚み10μm換算のループスティフネスが350μN/cm以下である請求項1の柔軟化延伸ポリエステルフィルム。」
「【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は可塑剤により柔軟化したポリエステルフィルムに関し、更に詳しくは、柔軟性の耐久性が良好で、安全性が高いポリエステル延伸フィルム、及びそれからなる包装用ラップフィルムに関する。」
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、製品として使用可能な柔軟化ポリエステルフィルムを提供することであるが、そのための課題の一つは柔軟性を与える可塑剤が安定的にポリエステル樹脂の中に留まり、高温時などの過酷な条件でも柔軟性を維持するポリエステルフィルムを提供することにある。更にもう一つの課題は、経時や加熱による透明性等の外観や形態の変化が実質的に無い柔軟化延伸ポリエステルフィルムを提供することにある。」
「【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明する。特に耐熱性良好であり好ましい例として代表的なポリエチレンテレフタレートを例にとって説明するが、もちろん本発明はこれに限定されない。
【0027】(ループスティフネスの測定方法)フィルムの厚さ10μm換算のループスティフネス(曲げ強さ指数)M:サンプルは測定方向に長さ150mm、幅10mmに切り出し、東洋精機製作所株式会社製ループスティフネステスタを用いて曲げ応力M1(μN)を測定した。ループ長は50mm、押しつぶし距離は5mmとした。曲げ応力の測定値M1(N)、サンプル厚さt(μm)から、下記の式を用いて厚さ10μmのループスティフネスM(μN/cm)を求めた。
【0028】M=M1×(10/t)3/(1.0)
測定は長手方向及び幅方向それぞれにつきサンプリング位置の異なるサンプル20個を用いて測定し、その平均値を求めた。」
「【0032】(硬さの評価)フィルムの硬さが包装材用フィルム、特にラップフィルムに関して、使用するに十分な柔らかさを◎、やや硬めであるが使用するに不都合ない柔らかさを○、柔さががやや劣るものを△、柔軟性が良くない物を×とした。」
「【0035】
【表1】
[図:0001420365000001.jpg]
【0036】
【表2】
[図:0001420365000002.jpg]
」
2 申立理由1について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
甲1発明の「2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム11」は本件発明1の「第1延伸プラスチックフィルム」に相当し、同様に、「2軸延伸ポリブチレンテレフタレート系フィルム12」は「第2延伸プラスチックフィルム」に、「未延伸ポリプロピレンフィルムを使用した熱接着性樹脂層13」は「シーラントフィルム」に、「電子レンジ加熱用包装袋に使用する」「積層体10」は「袋用の」「積層体」に相当する。
甲1発明において、「外面から順に2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム11と接着層14と2軸延伸ポリブチレンテレフタレート系フィルム12と接着層14と未延伸ポリプロピレンフィルムを使用した熱接着性樹脂層13が積層された構成からなる」ことは、本件発明1において、「第1延伸プラスチックフィルム、第2延伸プラスチックフィルム及びシーラントフィルムをこの順で少なくとも備え」ることに相当する。
甲1発明の「2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム11」及び「2軸延伸ポリブチレンテレフタレート系フィルム12」が「51質量%以上のポリエステルを含む」ことは明らかである。
甲1発明において、「未延伸ポリプロピレンフィルムを使用した熱接着性樹脂層13」であることと、本件発明1において、「前記シーラントフィルムは、第1の熱可塑性樹脂と、第2の熱可塑性樹脂と、を含む単層の未延伸フィルムであり、
前記第1の熱可塑性樹脂は、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなり、
前記第2の熱可塑性樹脂は、α-オレフィン共重合体又はポリエチレンを少なくとも含み、
前記α-オレフィン共重合体においては、1-ブテン(C4)、1-ヘキセン(C6)、4-メチルペンテン(C6)又は1-オクテン(C8)からなるα-オレフィンが共重合されており、
前記第1の熱可塑性樹脂の質量比率は、前記第2の熱可塑性樹脂の質量比率よりも高」いこととは、「シーラントフィルムは、未延伸フィルムである」限りで一致する。
そうすると、本件発明1と甲1発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「袋用の積層体であって、
第1延伸プラスチックフィルム、第2延伸プラスチックフィルム及びシーラントフィルムをこの順で少なくとも備え、
前記第1延伸プラスチックフィルム及び前記第2延伸プラスチックフィルムは、51質量%以上のポリエステルを含み、
前記シーラントフィルムは、未延伸フィルムである、積層体。」
[相違点1]
本件発明1は、「前記第1延伸プラスチックフィルム又は前記第2延伸プラスチックフィルムは、流れ方向(MD)及び垂直方向(TD)において0.0017N以上のループスティフネスを有し、51質量%以上のポリエステルを含む高スティフネスポリエステルフィルムであ」ると特定するのに対し、甲1発明は、このような特定はない点。
[相違点2]
「シーラントフィルムが未延伸フィルムである」ことに関し、本件発明1は、「前記シーラントフィルムは、第1の熱可塑性樹脂と、第2の熱可塑性樹脂と、を含む単層の未延伸フィルムであり、
前記第1の熱可塑性樹脂は、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなり、
前記第2の熱可塑性樹脂は、α-オレフィン共重合体又はポリエチレンを少なくとも含み、
前記α-オレフィン共重合体においては、1-ブテン(C4)、1-ヘキセン(C6)、4-メチルペンテン(C6)又は1-オクテン(C8)からなるα-オレフィンが共重合されており、
前記第1の熱可塑性樹脂の質量比率は、前記第2の熱可塑性樹脂の質量比率よりも高」いものであると特定するのに対し、甲1発明は、「未延伸ポリプロピレンフィルムを使用した熱接着性樹脂層13」である点。
[相違点3]
シーラントフィルムの物理的性質に関し、本件発明1は、「流れ方向における前記シーラントフィルムの引張伸度(%)と前記シーラントフィルムの厚み(μm)の積が、45000以上である」と特定するのに対し、甲1発明は、このような特定はない点。
イ 判断
まず、相違点1について検討する。
甲1や他の証拠には、相違点1に係る本件発明1の構成について、記載も示唆もされておらず、また本件特許の出願前において知られたものであったともいえない。
したがって、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成とすることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
ウ 申立人の主張について
(ア)申立人の主張の概要
相違点1に関して、申立人は、甲7には、プラスチックフィルムのループスティフネスが約0.0008~0.0032N/15mmであることが開示され、甲1、甲7に記載されたものは、いずれも包装用の袋を構成する積層体に関するものであり、そのような用途において突き刺し強度の向上が求められているから、甲1に開示される積層体において、相違点3(当審注:上記相違点1)に係る本件発明1のシーラントフィルムの構成とすることは、当業者が容易に行うことができたものである旨主張する(特許異議申立書36ページ下から2行~37ページ下から3行、45ページ5~15行)。
(イ)相違点1に係る本件発明1の構成の技術的意義
本件特許明細書の【0047】、【0060】の記載によると、相違点1に係る本件発明1の構成により、積層体の突き刺し強度を高めることができる。
(ウ)申立人の上記主張について
甲7には、柔軟化延伸ポリエステルフィルムの厚み10μm換算のループスティフネスを350μN/cm以下とすること(【請求項2】)、フィルムのループスティフネスが(130×(9.9/10)3)~(340×(10.2/10)3)μN/cm(0.00019~0.00054N/15mm)程度であれば、包装材としての硬さが、「使用するに十分な柔らかさ」又は「やや硬めであるが使用するに不都合ない柔らかさ」を有していること(【0027】、【0028】、【0032】、【0035】)、フィルムのループスティフネスが520×(9.9/10)3μN/cm(0.00076N/15mm)程度であれば、包装材として「柔軟性が良くない物」であること(【0027】、【0028】、【0032】、【0036】)は開示されているといえるものの、申立人が主張するような、「プラスチックフィルムのループスティフネスが約0.0008~0.0032N/15mmであること」が開示されているとはいえないし、「包装用の袋を構成する積層体」のような「用途において突き刺し強度の向上」を課題とすることが開示されているともいえない。
したがって、甲7を参照したとしても、甲1発明において、積層体の突き刺し強度を高めるために、甲1発明の「2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム11」又は「2軸延伸ポリブチレンテレフタレート系フィルム12」を、「流れ方向(MD)及び垂直方向(TD)において0.0017N以上のループスティフネスを有」する構成とする着想は得られない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
エ 小括
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記(1)イと同様の理由により、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 申立理由2について
本件発明1と甲2発明とを対比すると、少なくとも上記相違点1と同じ点で相違し、その点、上記2(1)イで説示したとおりである。
したがって、本件発明1及び本件発明1の発明特定事項を全て含む本件発明2~6は、甲2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第5 むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。また、他に請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由は発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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