特許訂正審判
2025-390134
シール部材および防水コネクタ
- 審判番号
- 2025-390134
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2020-061740
- 登録番号
- 7347298
- 請求日
- 2025年09月22日
- 審決日
- 2026年02月13日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社オートネットワーク技術研究所
- 【請求人代理人】弁理士法人上野特許事務所
- 【請求人】住友電装株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人上野特許事務所
- 【請求人】住友電気工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人上野特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 中屋 裕一郎
- 審判官 伊藤 紀史
- 審判官 石井 孝明
- 分類
- P141 .852-Y (C09K) / P141 .854-Y (C09K) / P141 .855-Y (C09K) / P141 .856-Y (C09K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7347298号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7347298号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許第7347298号(以下、「本件特許」という。)は、令和2年3月31日に出願され、令和5年9月11日に特許権の設定登録がされたものであって、令和7年9月22日に本件訂正審判が請求され、同年10月6日に審判請求書を対象とする手続補正書(方式)が提出されたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第7347298号の明細書及び特許請求の範囲を、審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
本件訂正の内容は以下の訂正事項1~2のとおりである(なお、下線は訂正箇所を示すため請求人が付したものである。)。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「kJ/mm2」と記載されているのを、「kJ/m2」に訂正する(請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項2~6も同様に訂正する)。
2 訂正事項2
明細書の段落【0010】に1か所、段落【0015】に1か所、段落【0016】に1か所、段落【0036】に1か所、段落【0037】に2か所、段落【0059】に3か所、段落【0060】に1か所、「kJ/mm2」と記載されているのを、「kJ/m2」に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正事項1について
(1) 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1において、「-60℃におけるノッチなしシャルピー衝撃強さ」に付す単位を「kJ/mm2」としていたところ、「kJ/m2」と訂正し、請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項2~6も同様に訂正するものである。
訂正事項1の訂正内容に鑑み「-60℃におけるノッチなしシャルピー衝撃強さ」に着目すると、訂正前の明細書には、「本実施形態においては、シール部材10を構成するシリコーンゴムが有すべき特性として、低温でのシャルピー衝撃強さが規定されている。具体的には、シリコーンゴムは、-60℃でのシャルピー衝撃強さ(以下、「低温シャルピー衝撃強さ」と称する場合がある)が、11.5kJ/mm2以上となっている。ここで、シャルピー衝撃強さは、ノッチなしシャルピー衝撃試験によって評価される値である。シャルピー衝撃試験としては、JIS K7111-1:2012に規定される試験を採用することができる。公称振り子エネルギーは、例えば1.00Jとすればよい。」(【0036】)、「(低温シャルピー衝撃強さ) 各試料においてシール部材の構成材料として用いたシリコーンゴムについて、低温シャルピー衝撃強さを測定した。測定は、-60℃にて、JIS K7111-1:2012に規定されるノッチなしシャルピー衝撃試験によって行った。公称振り子エネルギーは、1.00Jとした。」(【0053】)、「[評価結果] 下の表2に、各試料について、シリコーンゴムの低温シャルピー衝撃強さおよび粘弾性の計測値とともに、各形状のシール部材に対して得られた、裂けの発生および止水性の評価結果を示す。」(【0057】)、「低温シャルピー衝撃強さ(kJ/m2)」(【0058】【表2】)との記載が認められるところ、「JIS K7111-1:2012に規定される試験」における「ノッチなしシャルピー衝撃強さ」は「キロジュール/平方メートル(kJ/m2)で表す」こととなっているから(請求人が提出した甲第1号証「日本工業規格 JIS K7111-1:2012 プラスチック-シャルピー衝撃特性の求め方- 第1部:非計装化衝撃試験」3ページ)、当業者であれば、「-60℃におけるノッチなしシャルピー衝撃強さ」の単位としては、上記「低温シャルピー衝撃強さ(kJ/m2)」が正しいことが理解できる。
そうすると、訂正前の本件特許明細書及び特許請求の範囲に記載された「kJ/mm2」は誤りで訂正後の「kJ/m2」が正しいことが、本件明細書、特許請求の範囲若しくは図面の記載全体から客観的に明らかで、当業者であればそのことに気付いて訂正後の趣旨に理解するのが当然であるといえる。
したがって、訂正事項1は、明らかな字句・語句の誤りを、その意味内容の字句・語句に正すことを目的とする、すなわち、誤記の訂正を目的とするものであるといえる。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
(2)訂正事項1が願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
願書に最初に添付した明細書の段落【0058】の表2には、「低温シャルピー衝撃強さ」の欄に、単位として「kJ/m2」と記載されているから、訂正事項1は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項に規定する要件に適合する。
(3)訂正事項1が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項1は、上記(1)で述べたとおり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであり、本件特許明細書の段落【0058】の表2には、「低温シャルピー衝撃強さ」の欄に単位として「kJ/m2」と記載されている。
そして、訂正事項1は、明らかな字句・語句の誤りを、その意味内容の字句・語句に正すことを目的とするものであるから、実質上特許請求範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。
(4) 独立特許要件について
訂正事項1は、上記(1)で述べたとおり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とする訂正を含むから、同条第7項に規定する、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないところ、訂正後の請求項1~6に係る発明について、特許を受けることができないと判断するに足る理由を見いだすことはできない。
したがって、訂正事項1による訂正後の請求項1~6に係る発明は、独立特許要件を満たすものであり、訂正事項1は、特許法第126条第7項に規定する要件に適合する。
2 訂正事項2について
(1) 訂正の目的
訂正事項2は、明細書内において、「-60℃におけるノッチなしシャルピー衝撃強さ」に付す単位を「kJ/mm2」としていたところ、「kJ/m2」と訂正するものである。
「kJ/mm2」との記載を「kJ/m2」に訂正することについては、上記1(1)で検討したとおりであるから、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
(2)訂正事項2が願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
願書に最初に添付した明細書の段落【0058】の表2には、「低温シャルピー衝撃強さ」の欄に、単位として「kJ/m2」と記載されているから、訂正事項2は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項に規定する要件に適合する。
(3)訂正事項2が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項2は、上記(1)で述べたとおり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであり、本件特許明細書の段落【0058】の表2には、「低温シャルピー衝撃強さ」の欄に単位として「kJ/m2」と記載されている。
そして、訂正事項2は、明らかな字句・語句の誤りを、その意味内容の字句・語句に正すことを目的とするものであるから、実質上特許請求範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。
(4) 独立特許要件について
訂正事項2は、上記(1)で述べたとおり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とする訂正を含むから、同条第7項に規定する、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないところ、訂正後の請求項1~6に係る発明について、特許を受けることができないと判断するに足る理由を見いだすことはできない。
したがって、訂正事項2による訂正後の請求項1~6に係る発明は、独立特許要件を満たすものであり、訂正事項2は、特許法第126条第7項に規定する要件に適合する。
第5 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1~2による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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