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特許訂正審判

2023-390092

液晶媒体

審判番号
2023-390092
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2022-011420
登録番号
7274185
請求日
2023年07月07日
審決日
2023年09月12日
公報発行日
2023年12月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【請求人】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
  • 【請求人代理人】弁理士法人葛和国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 門前 浩一
  • 審判官 塩見 篤史
  • 審判官 亀ヶ谷 明久
分類
P141 .841-Y (C09K) / P141 .852-Y (C09K) / P141 .854-Y (C09K) / P141 .855-Y (C09K) / P141 .856-Y (C09K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条1項特許法126条5項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7274185号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第7274185号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件訂正審判に係る特許第7274185号(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成28年8月5日(パリ条約による優先権主張 2015年8月7日 ドイツ連邦共和国)に外国語書面出願された特願2016-154418号(以下「原出願」という。)の一部を、令和4年1月28日に新たな外国語書面出願としたものであって、令和5年5月8日に特許権の設定登録(請求項の数24)がなされたものである。 そして、同年7月7日に本件訂正審判の請求がされたものである。 第2 本件審判請求の趣旨及び内容 1 審判請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第7274185号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。 2 訂正の内容 訂正の内容は、以下のとおりである。 特許請求の範囲の請求項1において、「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルビニルであり」との記載を「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルであり」に訂正する(請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~24も同様に訂正する)。(以下「訂正事項1」という。) 第3 当審の判断 1 目的要件について 審判請求人は、訂正事項1について令和5年7月7日付けの審判請求書第2頁(3)アaにおいて、誤記の訂正を目的とするものである旨主張しているので、特許法第126条第1項ただし書第2号を目的とするか否かについて検討する。 (1)判断の枠組み 特許法第126条第1項ただし書第2号は,「誤記の訂正」を目的とする場合には、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすることを認めているが、ここで「誤記」というためには,訂正前の記載が誤りで訂正後の記載が正しいことが,当該明細書、特許請求の範囲若しくは図面の記載又は当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)の技術常識などから明らかで,当業者であればそのことに気付いて訂正後の趣旨に理解するのが当然であるという場合でなければならないものと解される(知的財産高等裁判所、平成28年(行ケ)第10154号、平成29年5月30日判決)。 (2)本件への当てはめ ア 訂正前の請求項1の記載は、次のとおり、 「【請求項1】 式1 【化1】 [図:0001404717000001.jpg] で表される1種以上の化合物と、式2 【化2】 [図:0001404717000002.jpg] で表される2種以上の化合物と、式3、4および5 【化3】 [図:0001404717000003.jpg] のいずれかで表される化合物の群から選択される1種以上の化合物と、式6または7 【化4】 [図:0001404717000004.jpg] で表される化合物の群から選択される1種以上の化合物と、式XIII 【化5】 [図:0001404717000005.jpg] で表される1種以上の化合物 式中、個々のラジカルはそれぞれの場合において同一であるかまたは異なる、およびそれぞれ独立して、以下のとおりに定義される: ”Alkenyl”は2~6個の炭素原子を有するアルケニルビニルであり、 Rxはn-プロピルであり、 ”Alkyl”は、1~6個の炭素原子を有するアルキルであり、 Lは、HまたはFであり、 R0は、1~15個の炭素原子を有する、非置換またはハロゲン化のアルキルまたはアルコキシ、ここでこれらのラジカルにおける1以上のCH2基はそれぞれ独立してまた、 【化6】 [図:0001404717000006.jpg] または-O-CO-により、酸素原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよく、 X0は、F、Clであるか、6個までの炭素原子を有するハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルコキシ、ハロゲン化アルケニルまたはハロゲン化アルケニルオキシであり、 R1およびR2はそれぞれ独立して、それぞれ6個までの炭素原子を有する、n-アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルである、 とを含むことを特徴とする、液晶媒体。」 である。 そして、前記訂正事項1は、「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルビニルであり」との記載を「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルであり」に訂正するものであるところ、誤記の訂正を目的としたものとして認められるためには、上述のとおり訂正前の「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルビニルであり」の記載が誤りで訂正後の「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルであり」の記載が正しいことが、願書に添付した明細書若しくは特許請求の範囲(以下「本件明細書等」という。)の記載又は当業者の技術常識などから明らかで,当業者であればそのことに気付いて訂正後の趣旨に理解するのが当然であることが必要である。 イ 訂正前の請求項1の「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルビニルであり」の記載が誤りであることが、本件明細書等又は当業者の技術常識などから明らかであるといえるかについて検討する。 「アルケニルビニル」なる用語について、「アルケニル」はC-C間の二重結合を1つ持つ「アルケン」から水素原子が除去されたときに形成される炭化水素の総称であり、炭素数が2である「ビニル」の上位概念を指す技術用語である。そして、「アルケニル」と「ビニル」を結合した炭化水素についても、上位概念の「アルケニル」と下位概念の「ビニル」を並列した「アルケニルビニル」と呼ばず、上位概念にまとめて「アルケニル」と呼ぶことは技術常識である。また、「アルケニルビニル」なる用語が何らかの炭化水素自体あるいは技術事項を特定する用語であるという技術常識もない。 そして、本件明細書等においても、請求項1の記載のほかに、「アルケニルビニル」なる用語は記載されておらず、「”Alkenyl”」は「2~6個の炭素原子を有するアルケニル」(【0026】)、「ビニル、プロパ-1-エニル、プロパ-2-エニルまたはブタ-3-エニル」(【0036】、【0040】)と記載されている。 仮に、「アルケニルビニル」の記載が誤りでなく、「アルケニル」と「ビニル」を結合した炭化水素であると解した場合、当該炭化水素の炭素数の合計は4以上となり、「2~6の炭素原子を有する」との記載と整合しなくなる。 してみれば、「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルビニルであり」との記載が誤りであることが、本件明細書等又は当業者の技術常識などから明らかであるといえる。 ウ 前記イのとおり訂正前の記載が誤りであることに気付いた当業者が、訂正後の「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルであり」の記載の趣旨に理解するのが当然であるといえるかについて検討する。 本件明細書等には、「”Alkenyl”」は「2~6個の炭素原子を有するアルケニル」(【請求項11】、【0026】)、「ビニル、プロパ-1-エニル、プロパ-2-エニルまたはブタ-3-エニル」(【0036】、【0040】)と記載されている。なお、本件特許は出願時から明細書の補正がなされていない。このうち、「ビニル、プロパ-1-エニル、プロパ-2-エニルまたはブタ-3-エニル」は「2~6個の炭素原子を有するアルケニル」の好ましい化合物として挙げられたものであり、これらの個々の化合物が炭素原子2~6個の数値範囲を有するものではない。そして、「”Alkenyl”」として、「2~6の炭素原子を有するアルケニル」以外の他の化合物あるいは技術的事項を指すことを示す記載は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に存在しない。 また、令和4年2月28日に提出された上申書は、本件特許の出願後に提出された令和4年2月28に提出された手続補正書と同時に提出されたものであり、上申書の「(1)補正について」の項で「令和4年2月28日付手続補正書には、原出願の分割直前の特許請求の範囲の対応する請求項、すなわち令和3年4月1日付手続補正書に記載の請求項からの変更箇所に下線を施しました。請求項1において、原出願の分割直前の明細書の段落[0026]に依拠して、”Alkenyl”の定義「ビニル」を、「2~6個の炭素原子を有するアルケニル」に変更しました。」と補正の趣旨を説明している。これによれば、令和4年2月28日提出の手続補正書において、訂正事項1に対応する請求項1の「”Alkenyl”」の定義に関する箇所について、原出願の分割直前の「”Alkenyl”」の定義である「ビニル」からの変更箇所である「2~6の炭素原子を有するアルケニル」に下線を施すことを目的としていたものであって、「2~6の炭素原子を有するアルケニルビニル」への補正を目的としていなかったことは明らかであり、また、補正前である本件特許の出願当初の請求項1に記載された「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニル」について実体的な補正を意図していなかったことは明らかである。 してみれば、「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルビニルであり」との記載に誤りがあると気付いた当業者は、「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルであり」の趣旨に理解するのが当然であるといえる。 エ 小括 以上のとおり、請求項1の訂正前の「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルビニルであり」の記載が誤りで訂正後の「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルであり」の記載が正しいことが、本件明細書等の記載又は当業者の技術常識などから明らかで,当業者であればそのことに気付いて訂正後の趣旨に理解するのが当然であるといえる。 よって、訂正前の「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルビニルであり」を「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルであり」とする訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものと認められる。 2 特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の存否について 上記1で述べたとおり、訂正事項1は特許請求の範囲の誤記の訂正を目的とするものであり、「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルであり」との記載は登録時に記載されていたといえるものであるから、訂正の前後で実質上特許請求の範囲の拡張又は変更があるとはいえない。 したがって、本件訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 3 新規事項の追加の有無について (1)上記1で述べたとおり、訂正事項1は特許請求の範囲の誤記の訂正を目的とするものである。 (2)特許法第126条第5項のかっこ書きの規定により、誤記の訂正を目的とする訂正の場合には、新規事項の基準明細書は願書に最初に添付された明細書等であるが、本件特許は外国語書面出願であることから、対応する外国語書面が新規事項の基準明細書となる。 (3)「”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニルであり」との記載は、外国語書面の明細書第7頁第9行に「”Alkenyl” is alkenyl having 2 to 6 carbon atoms」(当審仮訳:”Alkenyl”は2~6の炭素原子を有するアルケニル)との記載があるから、新たな技術的事項が導入されているとはいえない。したがって、本件訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願に係る特許にあつては、外国語書面)に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。 (4)したがって、本件訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 4 訂正後の発明の独立特許要件について 本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とする訂正を含むので、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が同条第7項に適合するものであるかを検討する。 そこで、この点を検討したところ、本件訂正後における特許請求の範囲の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとする新たな理由は見当たらない。 したがって、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書2号に掲げる事項を目的とするものに該当し,かつ、同条第5項~第7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-390092

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