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特許拒絶査定不服審判

2025-000440

充電システム、充電装置、及び充電制御方法

審判番号
2025-000440
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2023-546346
請求日
2025年01月14日
審決日
2025年11月04日
公報発行日
2026年01月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】住友電気工業株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
  • 【請求人】住友電装株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
  • 【請求人】株式会社オートネットワーク技術研究所
  • 【請求人代理人】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 丸山 高政
  • 審判官 行武 哲太郎
  • 審判官 寺谷 大亮
分類
P18 .121-Z (H02J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第36条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2023-546346「充電システム、充電装置、及び充電制御方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年12月28日国際公開、WO2023/248386〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2022年(令和4年)6月22日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和 5年 8月10日 手続補正書 11月20日付け 拒絶理由通知書 令和 6年 3月21日 意見書・手続補正書 5月28日付け 拒絶理由通知書 7月24日 意見書 10月 9日付け 拒絶査定 令和 7年 1月14日 審判請求書 以下では、令和6年10月9日付け拒絶査定を「原査定」という。 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年3月21日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認める。 なお、後の参照の便宜のため、請求項1を以下の1A~1Eに分説し、「発明特定事項1A」のようにして参照する。 【請求項1】 1A バッテリを含む電動車と、 1B 前記電動車に接続された場合に、前記バッテリを充電するための充電運転を実行する充電装置と、 1C を備え、 1D 前記充電装置は、 1D1 前記電動車に設けられたインレットに接続可能なコネクタと、 1D2 前記インレットの側面に押されることによって移動する前記コネクタのラッチの位置に基づいて、前記ラッチが前記インレットの側面に押されている状態である半接続状態を検出するスイッチと、 1D3 前記スイッチの検出結果に基づいて、前記コネクタが前記インレットに接続されたと判定する接続判定部と、 1D4 前記コネクタが前記インレットに接続されたと前記接続判定部が判定した場合に、前記充電運転を開始する充電制御部と、 1D5 を含む、 1E 充電システム。 第3 原査定の概要 原査定の理由の概要は、以下のとおりである。 1 (進歩性)この出願の請求項1~7、9及び10に係る発明は、以下の文献1及び3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 この出願の請求項8に係る発明は、以下の文献1~3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 2 (明確性)この出願の請求項2~8の記載は、特許を受けようとする発明が明確ではないので、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。 文献1.特開2013-20732号公報 文献2.特開2021-65012号公報 文献3.特開2018-181974号公報 第4 本願発明の進歩性についての判断 1 引用文献の記載と引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された特開2013-20732号公報(以下「引用文献」という。)の記載は以下(1)のとおりである。また、当該記載に基づいて引用発明を以下(2)のとおり認定する。 (1)引用文献の記載 引用文献には、以下の記載がある。(下線は強調のため当審にて付与したものであり、以下特に注釈がなければ同様である。) ア 「【0011】 本発明の充電コネクタを装置側インレットに差し込んで蓄電池を充電する際の動作例を説明する。例えば、第1揺動アームの揺動動作に応じて接点が開閉する第1スイッチは、抜け止めフックが突出しない揺動位置では開状態となり、抜け止めフックが突出する揺動位置では閉状態となるように構成されている。そして、挿入部をインレットに差し込む前は、抜け止めフックが第1付勢部材により挿入部から突出しており、第1スイッチが閉状態となるが、充電コネクタとインレットとは電気的に接続されていない。次に、挿入部をインレットに差し込むと、抜け止めフックがインレットの内周面に当接して押し込まれることで、第1スイッチが開状態となる。この状態は、最終的に挿入部がインレットの奥まで完全に差し込まれるまでの間、即ち充電コネクタのインレットへの差し込み中において、維持される。この状態で、充電コネクタとインレットとが電気的に接続されたとしても、第1スイッチが開状態のため、信号線路が開状態となる。次に、挿入部をインレットの奥まで完全に差し込むと、抜け止めフックがインレットの内周面に設けられた凹部に対応する位置に位置して、第1付勢部材により挿入部から突出することで、第1スイッチが閉状態となり、このとき、信号線路も閉状態となる。そのため、信号線路の状態を監視することで、抜け止めフックがインレットの凹部に突出せず係合していない半嵌合状態を検知することができる。よって、充電コネクタが半嵌合状態の場合は、充電器からの充電を禁止(中止)することができ、安全性が高い。換言すれば、装置側インレットとの接続が機械的・電気的に確実に行われている場合のみ充電器からの充電を許可することができる。」 イ 「【0034】 (実施の形態1) 図1に示す車両用充電コネクタ(以下、単に「充電コネクタ」と呼ぶ場合がある)100は、図示しない電気自動車のインレット(車両側インレット)に接続して、電気自動車の蓄電池に充電するために利用される。この充電コネクタ100は、図示しない充電器から延びるケーブル200の先端に取り付けられ、二つ割れのアルミ合金製カバー(右カバーと左カバー)で外装されている。充電コネクタ100は、L字状の本体部1と、本体部1の先端に設けられる挿入部2と、本体部1の背面に形成されるハンドル部3とを備え、本体部1の後端からケーブル200が導入されている。本体部1の先端側(挿入部2側)には、外方(上方)に膨出する突出部6が形成されている。挿入部2は、車両側インレットに差し込まれる部分であり、この挿入部2の外周面(上面)に切欠き41が形成されると共に、この切欠き41により抜け止めフック11が外周面(上面)から突出している(図2参照)。この抜け止めフック11は、突出部6に左右方向に設けられた軸挿通部63に挿通された軸13を支点として本体部1に対して揺動自在に支持される第1揺動アーム10(後述)の先端部に設けられている。ハンドル部3は、C字状であり、一端側が本体部1の上面に沿って延長するように形成され、他端側が本体部1の後端に連結されている。このハンドル部3の上面にはスライドスイッチ4の一部が露出するように配置され、ハンドル部3の背面下方にはLEDランプ5が埋め込まれている。」 ウ 「【0055】 また、充電コネクタ100は、車両側インレットと電気的に接続されることで電気信号が流れる信号線路(図示せず)を備え、信号線路として、充電コネクタ100と車両側インレットとの電気的接続状態を確認するための接続確認信号が流れる接続確認信号線路と、ソレノイド50に通電する駆動信号が流れるソレノイド駆動信号線路とを有する。接続確認信号線路は、充電コネクタ100と車両側インレットとが電気的に接続されることで形成され、一方のソレノイド駆動信号線路は、充電器からソレノイド50に通電する回路を形成する。そして、この例では、上記第1スイッチ81及び第2スイッチ82が接続確認信号線路に設けられている。」 エ 「【0057】 まず、挿入部2を差し込む前の初期状態では、抜け止めフック11及び突起部21が第1付勢部材12及び第2付勢部材22による付勢により挿入部2から突出している(図6、7参照)。また、当止部33が第2揺動アーム20の後端部に当て止めされることで、第3付勢部材31による付勢に抗して、スライド棒30の後退が阻止されている。そのため、スライド棒30の後端部に連結されているスライドスイッチ4が挿入部2側にスライドした(押し込まれた)状態で固定される。」 オ 「【0059】 このとき、第1スイッチ81は、第1揺動アーム10の揺動位置が抜け止めフック11が挿入部2から突出する位置であることから、第1揺動アーム10の張出部17によりボタンが押され、閉状態となる。ただし、図14(A)に示すように、充電コネクタ100の端子100tと車両側インレット300の端子300tとが接触しておらず、充電コネクタ100と車両側インレット300とが電気的に接続されていないため、信号線路C(ここでは、接続確認信号線路)は開状態である。また、第2スイッチ82は、スライド棒30が挿入部2側にスライドした状態で固定されていることから、スライド棒30のトリガー部34によりレバーが押されず、開状態となる。 【0060】 〈差し込み操作〉 挿入部2を車両側インレットに差し込むと、まず、抜け止めフック11が車両側インレットの内周面に当接し、第1付勢部材12による付勢に抗して、抜け止めフック11が押し込まれる(図8参照)。抜け止めフック11は傾斜面を有するので、挿入部2から突出していても、車両側インレットに挿入し易い。この状態は、充電コネクタ100の差し込み中の状態であり、抜け止めフック11が車両側インレットの凹部に突出せず係合していない半嵌合状態である。 【0061】 このとき、第1スイッチ81は、抜け止めフック11が押し込まれて第1揺動アームの揺動位置が抜け止めフック11が挿入部2から突出しない位置であることから、第1揺動アーム10の張出部17によりボタンが押されず、開状態となる。この状態で、図14(B)に示すように、充電コネクタ100の端子100tと車両側インレット300の端子300tとが接触し、充電コネクタ100と車両側インレット300とが電気的に接続されたとしても、第1スイッチ81が開状態のため、信号線路Cは開状態となる。つまり、車両側インレット300との電気的接続が確立されていても、機械的接続が不完全な半嵌合状態の場合は、信号線路Cは開状態となる。また、第2スイッチ82は、スライド棒30が挿入部2側にスライドしていることから、スライド棒30のトリガー部34によりレバーが押されず、開状態となる。 【0062】 次いで、挿入部2を車両側インレットの奥まで差し込むと、抜け止めフック11が車両側インレットの内周面に設けられた凹部に対応する位置に位置することになり、第1付勢部材12による付勢により抜け止めフック11が挿入部2から突出する(図9参照)。これにより、充電コネクタ100と車両側インレットとが完全に嵌合して、抜け止めフック11が車両側インレットの凹部に係合することから、充電コネクタ100と車両側インレットとの機械的接続が確実に行われる。さらに、第2揺動アーム20の突起部21が車両側インレットの周縁に当接し、第2付勢部材22による付勢に抗して、突起部21が押し込まれる(図10参照)。突起部21は傾斜面を有するので、挿入部2から突出していても、車両側インレットに本体部1が突き当たるまで挿入し易い。そして、突起部21が押し込まれることで、第2揺動アーム20の後端部が上昇するように第2揺動アーム20が揺動することにより、当止部33と第2揺動アーム20との当止状態が解除され、スライド棒30が第3付勢部材31による付勢により後退限まで後退する(図9、10参照)。以上により、充電コネクタ100の車両側インレットへの差し込み操作が完了する。 【0063】 このとき、第1スイッチ81は、抜け止めフック11が挿入部2から突出することから、第1揺動アーム10の張出部17によりボタンが押され、閉状態となる。また、第2スイッチ82も、スライド棒30が後退限まで後退することから、スライド棒30のトリガー部34によりレバーが押され、閉状態となる。よって、図14(C)に示すように、信号線路Cは閉状態となる。このように、車両側インレット300と機械的・電気的に確実に接続されている場合にのみ、信号線路Cは閉状態となるため、信号線路Cの状態を監視することで、充電コネクタ100の半嵌合状態を検知することができる。」 カ 「【0074】 以上説明した実施の形態1に係る充電コネクタ100は、次の効果を奏する。 【0075】 信号線路の途中に、第1揺動アーム10の揺動動作に応じて接点が開閉する第1スイッチ81を備えることで、抜け止めフック11が挿入部2から車両側インレットの凹部に突出せず係合していない半嵌合状態を検知することができる。よって、車両側インレットとの電気的接続が確立されていても、機械的接続が不完全な半嵌合状態の場合は、充電器からの充電を禁止(中止)することができ、安全性が高い。また、信号線路の途中に、スライド棒30のスライド動作に応じて接点が開閉する第2スイッチ82を備えることで、スライド棒30がスライド操作されたことを検知することができる。よって、充電中、使用者が充電器の充電中止操作する前に、スライド棒30を操作して充電コネクタ100を車両側インレットから引き抜こうとしたとき、充電器からの充電を中止することができるので、より安全性を高めることが可能である。」 (2)引用発明の認定 前記(1)の記載によれば、引用文献には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、引用発明を1a~1hに分説し、「構成1a」のようにして参照する。 1a 電気自動車のインレットに接続して電気自動車の蓄電池に充電するために利用される、車両用充電コネクタ100であって、(【0034】) 1b この充電コネクタ100は、充電器から延びるケーブル200の先端に取り付けられ、本体部1の先端に設けられた挿入部2を備え、(【0034】) 1c 挿入部2を差し込む前の初期状態では、抜け止めフック11が挿入部2から突出しており、(【0057】) 1c1 このとき、第1スイッチ81はボタンが押され閉状態となり、充電コネクタ100の端子100tと車両側インレット300の端子300tとが接触しておらず、充電コネクタ100と車両側インレット300とが電気的に接続されていないため、信号線路C(ここでは、接続確認信号線路)は開状態であり、(【0059】) 1d 挿入部2を車両側インレットに差し込むと抜け止めフック11が車両側インレットの内周面に当接し抜け止めフック11が押し込まれ、この状態は、充電コネクタ100の差し込み中の状態であり抜け止めフック11が車両側インレットの凹部に突出せず係合していない半嵌合状態であり、(【0060】) 1d1 このとき、第1スイッチ81はボタンが押されず開状態となり、充電コネクタ100の端子100tと車両側インレット300の端子300tとが接触し、充電コネクタ100と車両側インレット300とが電気的に接続されたとしても、第1スイッチ81が開状態のため、信号線路Cは開状態となり、(【0061】) 1e 挿入部2を車両側インレットの奥まで差し込むと抜け止めフック11が挿入部2から突出し、充電コネクタ100と車両側インレットとが完全に嵌合して抜け止めフック11が車両側インレットの凹部に係合することから、充電コネクタ100と車両側インレットとの機械的接続が確実に行われ、(【0062】) 1e1 このとき、第1スイッチ81は、抜け止めフック11が挿入部2から突出することからボタンが押され閉状態となり、第2スイッチ82も閉状態となり信号線路Cは閉状態となり、(【0063】) 1f 車両側インレット300と機械的・電気的に確実に接続されている場合にのみ、信号線路Cは閉状態となるため、信号線路Cの状態を監視することで、充電コネクタ100の半嵌合状態を検知することができ、(【0063】) 1g 充電コネクタ100は、車両側インレットとの電気的接続が確立されていても、機械的接続が不完全な半嵌合状態の場合は、充電器からの充電を禁止(中止)することができ、装置側インレットとの接続が機械的・電気的に確実に行われている場合のみ充電器からの充電を許可することができる、(【0074】、【0075】及び【0011】) 1h 車両用充電コネクタ100。(【0034】) 2 本願発明と引用発明との対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)発明特定事項1Eについて 事案にかんがみ、先に発明特定事項1Eについて対比する。 発明特定事項1Eは、「充電システム。」というものである。 引用発明において、「充電器から」は「ケーブル200」が「延び」ており(構成1b)、その「先端に取り付けられ」ている「充電コネクタ100」(構成1b)は、「電気自動車のインレットに接続して電気自動車の蓄電池に充電するために利用される」もの(構成1a)である。ゆえに、引用発明は、「充電コネクタ100」、「充電器」及び「ケーブル200」からなる構成を有しており、当該構成が「電気自動車」「に接続」された場合に「蓄電池」を「充電するため」のものであるから、引用発明は「充電システム」を構成していることは明らかである。 (2)発明特定事項1Aについて 発明特定事項1Aは、「バッテリを含む電動車と、」というものである。 引用発明の「電気自動車」(構成1a)は、本願発明の「電動車」に相当する。 引用発明の「蓄電池」(構成1a)は、本願発明の「バッテリ」に相当する。 引用発明の「車両用充電コネクタ100」は、「電気自動車のインレットに接続して電気自動車の蓄電池に充電するために利用される」もの(構成1a)であるから、「電気自動車」は「蓄電池」を含んでいることは明らかである。 よって、本願発明の「電動車」と引用発明の「電気自動車」は、いずれも「バッテリを含む電動車」という点で一致している。 (3)発明特定事項1Bについて 発明特定事項1Bは、「前記電動車に接続された場合に、前記バッテリを充電するための充電運転を実行する充電装置と、」というものである。 引用発明の「電気自動車」(構成1a)は、本願発明の「電動車」に相当することは、前記(2)のとおりである。 引用発明の「蓄電池」(構成1a)は、本願発明の「バッテリ」に相当することは、前記(2)のとおりである。 引用発明は、「充電コネクタ100」、「充電器」及び「ケーブル200」からなる構成を有していることは前記(1)のとおりであり、当該構成は、全体として充電するための装置を構成しているから、本願発明の「充電装置」に相当する。また、当該構成が、「電気自動車」「に接続」された場合に、「蓄電池」を「充電するため」の充電運転を実行するものであることも前記(1)のとおりである。 よって、本願発明の「充電装置」と引用発明の「充電コネクタ100」、「充電器」及び「ケーブル200」からなる構成は、いずれも「前記電動車に接続された場合に、前記バッテリを充電するための充電運転を実行する充電装置」という点で一致している。 (4)発明特定事項1Cについて 発明特定事項1Cは、「を備え、」というものである。これは、本願発明が、発明特定事項1A及び1Bを備えることを特定している。 本願発明と引用発明は、前記(2)及び(3)のとおり、いずれも発明特定事項1A及び1Bを「備え」という点で一致している。 (5)発明特定事項1D、1D1及び1D5について 発明特定事項1D、1D1及び1D5は、「前記充電装置は、」「前記電動車に設けられたインレットに接続可能なコネクタと、」「を含む、」というものである。 引用発明の「充電コネクタ100」、「充電器」及び「ケーブル200」からなる構成は、本願発明の「充電装置」に相当することは、前記(3)のとおりである。 引用発明の「充電コネクタ100」(構成1a)は、本願発明の「コネクタ」に相当する。 引用発明の「インレット」(構成1a)は、本願発明の「インレット」に相当する。 引用発明において、「充電コネクタ100」は、「電気自動車のインレットに接続」するもの(構成1a)であるから、「電気自動車」に設けられた「インレット」に接続可能であることは明らかである。 よって、本願発明の「充電装置」と引用発明の「充電コネクタ100」、「充電器」及び「ケーブル200」からなる構成は、いずれも「前記電動車に設けられたインレットに接続可能なコネクタ」を「備え」ている点で一致している。 (6)発明特定事項1D、1D2及び1D5について 発明特定事項1D、1D2及び1D5は、「前記充電装置は、」「前記インレットの側面に押されることによって移動する前記コネクタのラッチの位置に基づいて、前記ラッチが前記インレットの側面に押されている状態である半接続状態を検出するスイッチと、」「を含む、」というものである。 以下、順番に検討する。 ア 対比済の構成について 引用発明の「充電コネクタ100」、「充電器」及び「ケーブル200」からなる構成は、本願発明の「充電装置」に相当することは、前記(3)のとおりである。 引用発明の「インレット」(構成1a)は、本願発明の「インレット」に相当することは、前記(5)のとおりである。 引用発明の「充電コネクタ100」(構成1a)は、本願発明の「コネクタ」に相当することは、前記(5)のとおりである。 イ 「側面」について 引用発明の「インレット」の「内周面」(構成1d)は、本願発明の「インレット」の「側面」に相当する。 ウ 「ラッチ」について 本願発明の「ラッチ」の「ラッチ」とは、「留金」(広辞苑より)であると解される。一方、引用発明の「抜け止めフック11」は、「充電コネクタ100と車両側インレットとの機械的接続」を「確実に行」うもの(構成1e)であるから、留金の役割を果たしていることは明らかである。ゆえに、引用発明の「抜け止めフック11」は、本願発明の「ラッチ」に相当する。 エ 「半接続状態」について 本願発明の「半接続状態」に関し、本願の明細書に「図5Bは、コネクタ300のプラグ301がインレット120のソケット121に挿入される途中の状態、すなわち、半接続状態を示している。」(【0053】)との記載があることから、「半接続状態」とは、「コネクタ」が「インレット」に挿入される途中の状態であると解される。 そして、引用発明において「半嵌合状態」とは、「充電コネクタ100の差し込み中の状態であり抜け止めフック11が車両側インレットの凹部に突出せず係合していない」状態(構成1d)であるから、「充電コネクタ100」が「インレット」に挿入される途中の状態であることは明らかである。 ゆえに、引用発明の「半嵌合状態」は、本願発明の「半接続状態」に相当する。 オ 「スイッチ」について 引用発明の「第1スイッチ81」(構成1d1)は、本願発明の「スイッチ」に相当する。 カ 発明特定事項1D、1D2及び1D5全体の対比 以上のア~オを踏まえ、対比を行う。 引用発明において、「第1スイッチ81」は、「半嵌合状態」(構成1d)「のとき」、「ボタンが押されず開状態とな」るもの(構成1d1)である一方、「第1スイッチ81」は、「挿入部2を差し込む前の初期状態」(構成1c)「のとき」は、「ボタンが押され閉状態であり」(構成1c1)、「挿入部2を車両側インレットの奥まで差し込」まれ「充電コネクタ100と車両側インレットとが完全に嵌合し」た(構成1e)「とき」は、「ボタンが押され閉状態とな」るもの(構成1e1)である。すなわち、「第1スイッチ81」は、「半嵌合状態」のときは「ボタンが押されず開状態」であり、それ以外の際は「ボタンが押され閉状態」であるから、「半嵌合状態」を検出するものであることは明らかである。また、「半嵌合状態」のときは「挿入部2を車両側インレットに差し込むと抜け止めフック11が車両側インレットの内周面に当接し抜け止めフック11が押し込まれ」ているため(構成1d)、「抜け止めフック11」が「インレットの内周面」に押されていることは明らかである。ゆえに、引用発明において、「第1スイッチ81」は、「抜け止めフック11」が「インレットの内周面」に押されている状態である「半嵌合状態」を検出するものであることは明らかである。 さらに、引用発明は、「挿入部2を車両側インレットに差し込むと抜け止めフック11が車両側インレットの内周面に当接し抜け止めフック11が押し込まれ、この状態は」「半嵌合状態」であり(構成1d)、「このとき、第1スイッチ81はボタンが押されず開状態とな」るもの(構成1d1)であるから、「押し込まれ」た「抜け止めフック11」は押されることによって位置が移動していることは明らかであることも踏まえれば、当該検出は、「インレットの内周面」に押されることによって移動する「充電コネクタ100」の「抜け止めフック11」の位置に基づいていることも明らかである。 よって、本願発明の「充電装置」と引用発明の「充電コネクタ100」、「充電器」及び「ケーブル200」からなる構成は、いずれも「前記インレットの側面に押されることによって移動する前記コネクタのラッチの位置に基づいて、前記ラッチが前記インレットの側面に押されている状態である半接続状態を検出するスイッチ」を「備え」ている点で一致している。 (7)発明特定事項1D、1D3及び1D5について 発明特定事項1D、1D3及び1D5は、「前記充電装置は、」「前記スイッチの検出結果に基づいて、前記コネクタが前記インレットに接続されたと判定する接続判定部と、」「を含む、」というものである。 引用発明の「充電コネクタ100」、「充電器」及び「ケーブル200」からなる構成は、本願発明の「充電装置」に相当することは、前記(3)のとおりである。 引用発明の「信号線路C」に関し、「挿入部2を差し込む前の初期状態」(構成1c)「のとき」は「信号線路C(ここでは、接続確認信号線路)は開状態であり」(構成1c1)、「半嵌合状態」(構成1d)「のとき」は、「第1スイッチ81が開状態のため、信号線路Cは開状態となり」(構成1d1)、「挿入部2を車両側インレットの奥まで差し込」まれ「充電コネクタ100と車両側インレットとが完全に嵌合し」た(構成1e)「とき」は、「第1スイッチ81は、抜け止めフック11が挿入部2から突出することからボタンが押され閉状態となり」「信号線路Cは閉状態とな」るもの(構成1e1)である。すなわち、引用発明の「信号線路C」が「閉状態とな」るのは、「充電コネクタ100と車両側インレットとが完全に嵌合し」た「とき」であり、それ以外の際は「開状態」である。これを踏まえると、「車両側インレット300と機械的・電気的に確実に接続されている場合にのみ、信号線路Cは閉状態となるため、信号線路Cの状態を監視することで、充電コネクタ100の半嵌合状態を検知することができ」る(構成1f)とは、実質的には、「信号線路Cの状態を監視すること」で、「充電コネクタ100と車両側インレットとが完全に嵌合し」た状態「を検知すること」であり、これは「充電コネクタ100」が「インレット」に接続されたと判定することであることは明らかである。そして、当該判定は、引用発明が構成する「充電システム」(前記(1))の中で、「充電を禁止(中止)」し、また「充電を許可する」ものである「充電器」(構成1g)の部分にて行っていることは自明であり、当該部分は、本願発明の「接続判定部」に相当する。 また、前述を踏まえれば、引用発明において、「第1スイッチ81」の開閉状態は「信号線路C」の開閉状態と関連しているのは明らかであるから、当該判定は、「第1スイッチ81」の開閉状態すなわち検出結果に基づいていることは明らかである。 よって、本願発明の「充電装置」と引用発明の「充電コネクタ100」、「充電器」及び「ケーブル200」からなる構成は、いずれも「前記スイッチの検出結果に基づいて、前記コネクタが前記インレットに接続されたと判定する接続判定部」を「備え」ている点で一致している。 (8)発明特定事項1D、1D4及び1D5について 発明特定事項1D、1D4及び1D5は、「前記充電装置は、」「前記コネクタが前記インレットに接続されたと前記接続判定部が判定した場合に、前記充電運転を開始する充電制御部と、」「を含む、」というものである。 引用発明の「充電コネクタ100」、「充電器」及び「ケーブル200」からなる構成は、本願発明の「充電装置」に相当することは、前記(3)のとおりである。 引用発明の「充電器」は、「充電を禁止(中止)」し、また「充電を許可する」もの(構成1g)であるから、充電を制御する部分を有していることは自明であり、当該部分は、本願発明の「充電制御部」に相当する。 引用発明は、前記(7)のとおり、「充電コネクタ100」が「インレット」に接続されたと判定する部分を有していることは明らかである。そして、引用発明においては、「充電コネクタ100」と「装置側インレットとの接続が機械的・電気的に確実に行われている場合のみ充電器からの充電を許可することができる」もの(構成1g)であるから、「充電コネクタ100」が「インレット」に接続されたと判定した場合には、「充電を許可することができる」ものと認められるものの、充電運転の開始については特定されていない。 よって、本願発明の「充電装置」と引用発明の「充電コネクタ100」、「充電器」及び「ケーブル200」からなる構成は、いずれも「前記コネクタが前記インレットに接続されたと前記接続判定部が判定した場合に、前記充電運転」を制御する「充電制御部」を「備え」ている点で一致している。 一方、「充電制御部」での「前記コネクタが前記インレットに接続されたと前記接続判定部が判定した場合」の制御とは、本願発明は「前記充電運転を開始する」ことであるのに対し、引用発明においては充電を許可することである点で相違している。 (9)一致点及び相違点について 前記(1)~(8)によれば、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。 ア 一致点 バッテリを含む電動車と、 前記電動車に接続された場合に、前記バッテリを充電するための充電運転を実行する充電装置と、 を備え、 前記充電装置は、 前記電動車に設けられたインレットに接続可能なコネクタと、 前記インレットの側面に押されることによって移動する前記コネクタのラッチの位置に基づいて、前記ラッチが前記インレットの側面に押されている状態である半接続状態を検出するスイッチと、 前記スイッチの検出結果に基づいて、前記コネクタが前記インレットに接続されたと判定する接続判定部と、 前記コネクタが前記インレットに接続されたと前記接続判定部が判定した場合に、前記充電運転を制御する充電制御部と、 を含む、 充電システム。 イ 相違点 「充電制御部」での「前記コネクタが前記インレットに接続されたと前記接続判定部が判定した場合」の制御とは、本願発明は「前記充電運転を開始する」ことであるのに対し、引用発明においては充電を許可することである点。(発明特定事項1D4) 3 相違点についての判断 前記2(9)イに示した相違点について検討する。 引用発明では、「車両用充電コネクタ100」について、「挿入部2を差し込む前の初期状態」(構成1c)、「挿入部2を車両側インレットに差し込む」こと(構成1d)、そして「挿入部2を車両側インレットの奥まで差し込む」こと(構成1e)が特定されている。この一連の動作は「車両用充電コネクタ100」を「インレット」に繋ぐものであり、当該動作はそれ自体、充電運転を開始したいときに普通に行うことである。そして、引用発明は、「充電コネクタ100」が「装置側インレットとの接続が機械的・電気的に確実に行われている場合のみ充電器からの充電を許可することができる」もの(構成1g)である。 してみると、引用発明においても、充電運転を開始したいとき行う「車両用充電コネクタ100」を「インレット」に繋ぐという一連の動作に続き、「装置側インレットとの接続が機械的・電気的に確実に行われて」「充電器からの充電を許可」された場合に充電運転を開始することとすることに何ら困難性はなく、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が適宜なし得たことである。 4 効果についての判断 本願明細書の記載及びそれに対する当審の判断は以下のとおりである。 (1)本願の明細書の記載 本願発明の効果に関し、本願の明細書には以下の記載がある。 「【0002】 特許文献1には、電気自動車、プラグインハイブリッド車等の電動車に対して自動充放電運転を行う充放電制御方法が開示されている。特許文献1に開示された充放電制御方法では、充放電運転を行う予定時間帯(運転時間帯)が予め設定され、現在時刻が運転時間帯に含まれる場合においてのみ、充放電装置に設けられたリレーがオンされる。リレーがオンされると、充放電装置と電動車との間でCAN(Controller Area Network)通信が行われ、充放電運転が行われる。」 「【0007】 <本開示が解決しようとする課題> 特許文献1に開示された充放電制御方法では、運転時間帯を外れると、手動でリレーをオンさせない限り、充放電運転を行うことができない。 【0008】 <本開示の効果> 本開示によれば、時間的な制限なく電動車の自動充電が可能である。 【0009】 <本開示の実施形態の概要> 以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。 【0010】 (1) 本実施形態に係る充電システムは、バッテリを含む電動車と、前記電動車に接続された場合に、前記バッテリを充電するための充電運転を実行する充電装置と、を備え、前記充電装置は、前記電動車に設けられたインレットに接続可能なコネクタと、前記コネクタの前記インレットに対する半接続状態を検出するスイッチと、前記スイッチの検出結果に基づいて、前記コネクタが前記インレットに接続されたか否かを判定する接続判定部と、前記コネクタが前記インレットに接続されたと前記接続判定部が判定した場合に、前記充電運転を開始する充電制御部と、を含む。これにより、コネクタがインレットに接続されれば、充電運転を自動的に開始することができる。したがって、時間的な制限なく電動車の充電が可能となる。」 「【0012】 (3) 上記(2)において、前記スイッチは、前記コネクタのラッチが前記インレットの側面に押されていることに基づいて半接続状態を検出してもよい。これにより、ラッチの状態によってコネクタのインレットに対する半接続状態を検出することができる。」 (2)当審の判断 本願発明において、「前記コネクタが前記インレットに接続されたと前記接続判定部が判定した場合に、前記充電運転を開始する充電制御部と、」(発明特定事項1D4)と特定されており、また当該判定に関しては「前記スイッチの検出結果に基づいて、前記コネクタが前記インレットに接続されたと判定する接続判定部と、」(発明特定事項1D3)と特定されていることも踏まえれば、時間とは無関係に充電運転は開始できるものであると認められる。ゆえに、「運転時間帯を外れると、手動でリレーをオンさせない限り、充放電運転を行うことができない」(【0007】)という課題を解決し、「時間的制限なく電動車の充電が可能となる」(【0008】)という効果を奏するものであると認められる。 一方、引用発明においては、「装置側インレットとの接続が機械的・電気的に確実に行われている場合のみ充電器からの充電を許可することができる」もの(構成1g)であり、ここで「車両側インレット300と機械的・電気的に確実に接続されている」かは「信号線路Cの状態を監視する」ことで行われること(構成1f)を踏まえれば、時間とは無関係に充電の許可ができるものであると認められる。 そして、引用発明において、「装置側インレットとの接続が機械的・電気的に確実に行われて」「充電器からの充電を許可」された場合(前記3)とした発明においては、時間とは無関係に充電運転は開始できるものであることも明らかであるから、当該課題を解決し、また当該効果を奏するものであるというべきである。 また、本願発明において、発明特定事項1D2より、「ラッチの状態によってコネクタのインレットに対する半接続状態を検出することができる」ものであるとも認められるが、引用発明においても構成1dより同様と認められるから、この点においても効果の観点から差異を見出すことはできない。 なお、段落【0008】に「自動充電が可能」と記載されており、また、段落【0010】に「充電運転を自動的に開始することができる」と記載されている一方、本願発明において「自動充電」及び「充電運転を自動的に開始すること」はいずれも特定されていないため、これらに基づく効果については参酌することはできない。 (3)小括 以上のとおりであるから、本願発明の効果は、引用発明に比して、格別のものとは認められない。 5 請求人の主張 審判請求書での請求人の主張及びそれに対する当審の判断は以下のとおりである。 (1)審判請求人の主張 審判請求人は、審判請求書にて、以下の点を主張している。 ア 本願発明はコネクタのインレットへの接続判定を簡易な判定にて行っている点(審判請求書の【請求の理由】3.(2)(2-1)(i)) 引用発明では、第1スイッチ81が閉状態になり、且つ、第2スイッチ82が閉状態になった場合に、信号線路Cに接続確認信号が流れる(段落【0063】)。 引用発明では、充電コネクタ100の本体1と、本体部1の先端に設けられる挿入部2(段落【0034】)との境界から突出可能な突起部21(段落【0041】)が、挿入部2が車両側インレットに奥まで差し込まれたとき、車両側インレットの周縁に当接し、挿入部2に押し込まれる(段落【0048】)。充電コネクタ100の車両側インレットへの挿入前は、突起部21が設けられた第2揺動アーム20が、第2スイッチ82を開閉するスライド棒30を係止した状態(当止状態)であるが、挿入部2が車両側インレットに奥まで差し込まれ、突起部21が押し込まれると、スライド棒30の当止状態が解除され、スライド棒30が第3付勢部材31による付勢により後退限まで後退する(段落【0048】)。スライド棒30が後退限まで後退することにより、第2スイッチ82が閉状態となる(段落【0063】)。すなわち、第2スイッチ82は、充電コネクタ100の挿入部2が車両側インレットに奥まで差し込まれたときにのみ、閉状態となる。 したがって、引用発明は、充電コネクタ100が車両側インレットに完全に挿入された(つまり、機械的・電気的に接続された)場合にのみ充電を開始可能である。そのために、引用発明では、第2揺動アーム20及びスライド棒30等の非常に複雑な構成を必要としている。 これに対して、本願発明における接続判定部は、このような正確な接続/非接続の判定を行うのではなく、一定程度妥当性のある接続/非接続の判定を行う。本願発明においては、上述したように、接続判定部によるコネクタがインレットに接続されたとの判定は、上述したように充電運転の開始のためのトリガであり、実際にコネクタがインレットに接続されていない場合であっても、コネクタがインレットに接続されたと接続判定部が判定することも許容される。本願発明では、コネクタがインレットに接続されている蓋然性が高いタイミングにおいて、充電運転を自動的に開始する。このために、本願発明では、実際にコネクタがインレットに接続されたことの正確な判定ではなく、簡易な構成のスイッチによってコネクタがインレットに接続されたことの簡易な判定を行う(コネクタがインレットに接続されている蓋然性が高いタイミングを決定する)ことを特徴としている。 すなわち、引用文献には、上記の本願発明の特徴事項は一切記載されていない。よって引用発明は、上記のような本願発明の顕著な効果を奏することはない。 (なお、下線は審判請求人が付した箇所に対応する部分に付した。) イ 引用発明は充電コネクタが装置側インレットと機械的・電気的に接続されている場合にのみ、充電が開始可能とされている点(審判請求書の【請求の理由】3.(2)(2-1)(ii)) 原査定において、審査官は、「引用文献1記載の発明が、充電器の充電開始操作と装置側インレットとの電気的接続状態の確認後、コネクタの接続状態(装置側インレットと電気的に接続されている場合)のみに充電運転が開始されることを示している記載ではない。」と主張している。しかしながら、上述のように、引用文献には、充電コネクタ100が車両側インレットに完全に挿入され、機械的・電気的に接続された場合にのみ充電を開始可能な構成が記載されている。ソレノイドへの駆動信号の通電のトリガが、充電器の充電開始操作以外を含みうるとしても、段落【0018】の記載は、充電コネクタが装置側インレットと電気的に接続されている場合にのみ、ソレノイドに通電する駆動信号が流れることを意味している。したがって、審査官の上記主張は妥当ではないと思料する。 (なお、下線は審判請求人が付した箇所に対応する部分に付した。) ウ 引用発明において、第1スイッチ81のみの状態に基づいて充電開始するよう改変することは阻害要因がある点(審判請求書の【請求の理由】3.(2)(2-1)(iii)) 引用発明は、「しかし、充電コネクタと車両側インレットとの機械的接続が不完全な半嵌合状態であっても、充電コネクタと車両側インレットとの間で端子同士の電気的接続が確立されていれば、充電を開始することができる。そのため、使用者が不慣れな場合など、車両側インレットとの機械的接続が確実に行われたかどうかを十分に確認せず、充電コネクタが半嵌合状態のまま充電を開始してしまうことがあり、充電中に充電コネクタが車両側インレットから抜け落ちることがある。」(段落【0006】)という課題を解決するために、第1スイッチ81と第2スイッチ82とが共に閉である場合に限り、充電が開始可能となる構成としているのであり、このような引用発明において、第1スイッチ81のみの状態に基づいて充電を開始するように改変すると、コネクタと車両側インレットとの電気的・機械的接続状態が確実に行われていない状態における充電運転の開始を許容することになり、その目的に反することになる。すなわち、引用発明を上記のように改変することには、阻害要因がある。 (2)審判請求人の主張についての検討 ア 本願発明はコネクタのインレットへの接続判定を簡易な判定にて行っている点(前記(1)ア) 本願発明において「前記スイッチの検出結果に基づいて、前記コネクタが前記インレットに接続されたと判定する接続判定部と」(発明特定事項1D3)と特定されている。この特定によれば、「前記コネクタが前記インレットに接続されたと判定する」のは、「前記スイッチの検出結果に基づいて」いれば、それ以外の任意の構成に基づいても構わないものと認められる。そうすると、接続判定部は、当該任意の構成を備えることにより、コネクタがインレットに完全に挿入された(つまり、機械的・電気的に接続された)場合にのみ充電開始可能とするもの、すなわち、正確な接続/非接続の判定を行う態様をも包含するものである。また、接続判定部は、当該任意の構成に基づいても構わないものであるから、コネクタがインレットに接続されている蓋然性が高いタイミングにおいて充電運転を自動的に開始するとは限らず、自動的に開始しない態様をも包含するものである。 ゆえに、請求人の主張は、その前提が特許請求の範囲の記載に基づくものではなく、また、本願発明は、請求人が主張するような効果を奏さない態様を含むものである。 イ 引用発明は充電コネクタが装置側インレットと機械的・電気的に接続されている場合にのみ、充電が開始可能とされている点(前記(1)イ) 前記アのとおり、本願発明は、「前記コネクタが前記インレットに接続されたと判定する」のは、「前記スイッチの検出結果に基づいて」いれば、それ以外の任意の構成に基づいても構わないものであり、接続判定部は、当該任意の構成を備えることにより、コネクタがインレットに完全に挿入された(つまり、機械的・電気的に接続された)場合にのみ充電開始可能とするものを含むものである。ゆえに、引用発明が、充電コネクタ100が車両側インレットに完全に挿入された(つまり、機械的・電気的に接続された)場合にのみ充電が開始可能とされている点は、そもそも相違点ではない。 ウ 引用発明において、第1スイッチ81のみの状態に基づいて充電開始するよう改変することは阻害要因がある点(前記(1)ウ) 本願発明において「前記スイッチの検出結果に基づいて、前記コネクタが前記インレットに接続されたと判定する接続判定部と、」(発明特定事項1D3)及び「前記コネクタが前記インレットに接続されたと前記接続判定部が判定した場合に、前記充電運転を開始する充電制御部と、」(発明特定事項1D4)と特定されている一方、スイッチの検出結果のみに基づいて充電運転を開始するとは特定されていない。そして、本主張は、本願発明が、スイッチの検出結果のみに基づいて充電運転を開始することを前提とするものであるから、その前提において失当である。 (3)小括 以上のとおりであるから、審判請求人の主張は、いずれも採用することができない。 6 小括 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-000440

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