特許拒絶査定不服審判
2025-000444
温熱清掃具
- 審判番号
- 2025-000444
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-057200外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2025年01月14日
- 審決日
- 2026年04月27日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小林製薬株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (A47L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 57200「温熱清掃具」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年10月13日出願公開、特開2022-154268〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年3月30日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 6年 7月31日付け:拒絶理由通知書
令和 6年 9月 4日 :意見書、手続補正書の提出
令和 6年10月29日付け:拒絶査定
令和 7年 1月14日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和7年1月14日提出の手続補正書でした補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和7年1月14日提出の手続補正書でした補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1~6の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示すためのものである。)
「 【請求項1】
少なくとも一面に清掃面を有する清掃部材と、
前記清掃部材の内部に又は前記清掃部材の前記清掃面と反対側の面に設けられた発熱部材と、
を備えた温熱清掃具であって、
前記発熱部材は、
最高温度が80℃以上に発熱する発熱剤であって、該温熱清掃具に添加される水分又は該温熱清掃具が保持する水分を加熱することで蒸気を発生させる発熱剤と、
前記発熱剤を収容する包材と、
を備え、
蒸気発生量が前記発熱剤1gあたり15分間の蒸気発生量で200mg以上であり、
前記発熱剤は、水と反応して発熱する組成物又は水の添加に加えて酸素と反応して発熱する組成物であり、
前記包材は、透湿度が7000g/m2/day以上であり、
前記清掃部材は、シート状を呈しており、該清掃部材を形成するシートは、透湿性の親水性繊維である、温熱清掃具。
【請求項2】
前記発熱剤は、最高温度が90℃以上に発熱する、請求項1に記載の温熱清掃具。
【請求項3】
前記包材は、粒径1μmの粒子の捕集率が70%以上である、請求項1又は2に記載の温熱清掃具。
【請求項4】
前記包材は、水を封入する水袋を収容しており、
前記水袋は、押圧力を受けることで開封して水を流出可能である、請求項1に記載の温熱清掃具。
【請求項5】
前記清掃面のみから蒸気が放出されるように構成されている、請求項1~4のいずれかに記載の温熱清掃具。
【請求項6】
少なくとも一面に清掃面を有する清掃部材と、
前記清掃部材の内部に又は前記清掃部材の前記清掃面と反対側の面に設けられた発熱部材と、
を備えた温熱清掃具であって、
前記発熱部材は、
最高温度が80℃以上に発熱する発熱剤であって、該温熱清掃具に添加される水分を加熱することで蒸気を発生させる発熱剤と、
前記発熱剤を収容する包材と、
を備え、
前記清掃部材は、水分を保持可能であり、
前記包材は、透水性を有することで前記清掃部材からの水分を透過させて内部の前記発熱剤に供給可能であり、かつ透湿性を有することで前記発熱剤により前記水分が加熱されることで生じる蒸気を該包材の外部に放出し、
前記発熱部材は、蒸気発生量が前記発熱剤1gあたり15分間の蒸気発生量で200mg以上である、温熱清掃具。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和6年9月4日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1~7の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
少なくとも一面に清掃面を有する清掃部材と、
前記清掃部材の内部に又は前記清掃部材の前記清掃面と反対側の面に設けられた発熱部材と、
を備えた温熱清掃具であって、
前記発熱部材は、
最高温度が80℃以上に発熱する発熱剤であって、該温熱清掃具に添加される水分又は該温熱清掃具が保持する水分を加熱することで蒸気を発生させる発熱剤と、
前記発熱剤を収容する包材と、
を備え、
蒸気発生量が前記発熱剤1gあたり15分間の蒸気発生量で200mg以上である、温熱清掃具。
【請求項2】
前記発熱剤は、最高温度が90℃以上に発熱する、請求項1に記載の温熱清掃具。
【請求項3】
前記発熱剤は、水と反応して発熱する組成物又は水の添加に加えて酸素と反応して発熱する組成物であり、
前記包材は、透湿度が7000g/(m2・day)以上である、請求項1又は2に記載の温熱清掃具。
【請求項4】
前記包材は、粒径1μmの粒子の捕集率が70%以上である、請求項1~3のいずれかに記載の温熱清掃具。
【請求項5】
前記包材は、水を封入する水袋を収容しており、
前記水袋は、押圧力を受けることで開封して水を流出可能である、請求項3に記載の温熱清掃具。
【請求項6】
前記清掃面のみから蒸気が放出されるように構成されている、請求項1~5のいずれかに記載の温熱清掃具。
【請求項7】
少なくとも一面に清掃面を有する清掃部材と、
前記清掃部材の内部に又は前記清掃部材の前記清掃面と反対側の面に設けられた発熱部材と、
を備えた温熱清掃具であって、
前記発熱部材は、
最高温度が80℃以上に発熱する発熱剤であって、該温熱清掃具に添加される水分を加熱することで蒸気を発生させる発熱剤と、
前記発熱剤を収容する包材と、
を備え、
前記清掃部材は、水分を保持可能であり、
前記包材は、透水性を有することで前記清掃部材からの水分を透過させて内部の前記発熱剤に供給可能であり、かつ透湿性を有することで前記発熱剤により前記水分が加熱されることで生じる蒸気を該包材の外部に放出し、
前記発熱部材は、蒸気発生量が前記発熱剤1gあたり15分間の蒸気発生量で200mg以上である、温熱清掃具。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項3に記載された発明を特定するために必要な事項である「清掃部材」について、「シート状を呈しており、該清掃部材を形成するシートは、透湿性の親水性繊維である」ことを限定し、本件補正後の請求項1の記載とする補正を含むものであって、本件補正前の請求項3に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、この補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、前記1(1)の請求項1に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載及び引用発明
ア.引用文献1
(ア)引用文献1の記載
原査定(令和6年10月29日付け拒絶査定)の拒絶の理由で引用された、この出願の出願前に頒布された刊行物である、米国特許出願公開第2018/0030391号明細書(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付与した。以下、同様である。)。
a.「[0008]The cleaning article may further include a venting structure adjacent to or surrounding the heat engine, which venting structure may include a material that is impermeable to moisture (e.g., and optionally air). One or more vents (e.g., holes) may be formed through the impermeable material, to allow steam and/or water vapor generated by the heat engine to be directed through the vent(s) to at least one surface of the cleaning article. For example, the venting structure may direct the steam and/or water vapor to the face of the cleaning article that the user presses against the surface being cleaned (e.g., tile, countertop, sink, bathtub, etc).」
(当審訳:[0008] 清掃用物品は、熱機関に隣接するか又は熱機関を取り囲む通気構造を更に含んでもよく、通気構造は、水分(例えば、及び任意選択的に空気)に対して不透過性である材料を含んでもよい。1つ以上の通気孔(例えば、穴)が不透過性材料を貫通して形成されて、熱機関によって生成された蒸気及び/又は水蒸気が通気孔を通って清掃用物品の少なくとも1つの表面に誘導されることを可能にしてもよい。例えば、通気構造は、蒸気及び/又は水蒸気を、使用者が清掃する表面(例えば、タイル、カウンタートップ、シンク、浴槽など)を押圧する清掃用物品の面に向けてもよい。)
b.「[0012] In any embodiment, the heat generator may heat the substrate material and the user may use the heated substrate for a wide variety of cleaning applications. In addition to heating the substrate, heated water vapor and/or steam may typically be emitted from the substrate, aiding in cleaning. The temperature provided by the heat engine, and the length of time that such heat is provided, may depend on the amount of reactive metal oxide and water provided with the heat generator.」
(当審訳:[0012]いずれの実施形態においても、熱発生器は、基板材料を加熱することができ、ユーザは、多種多様な洗浄用途のための加熱された基板を使用することができる。基板を加熱することに加えて、加熱された水蒸気及び/又は蒸気は、典型的には、基板から放出され、洗浄を助けることができる。熱機関によって提供される温度、およびそのような熱が提供される時間の長さは、熱発生器とともに提供される反応性金属酸化物組成物および水の量に依存し得る。)
c.「[0041] The present invention relates to the incorporation of heat engines into a cleaning article. The cleaning article may include a substrate (e.g., a non-woven wipe) including one or more layers. A heat engine may be incorporated into the cleaning article (e.g., into the layers of the wipe or pad). The heat engine may include a reactive metal oxide which upon contact with water, reacts to produce heat. The cleaning article may thus produce water vapor and/or steam upon activation of the heat engine. For example, an excess of water may be provided so that water not consumed in the reaction (e.g., in forming the metal hydroxide) is available to be heated, and emitted as steam and/or water vapor. A venting structure may be provided adjacent to or surrounding the heat engine that includes an impermeable material (e.g., impermeable to water and/or air), which includes one or more vents through at least one surface of the impermeable material. For example, the venting structure may direct water vapor and/or steam to a desired face of the cleaning article, while preventing or at least minimizing flow of water vapor and/or steam to other surfaces of the pad or other cleaning article. Such venting structure thus aids in delivering the water vapor and/or steam adjacent a cleaning or scrubbing surface of the cleaning article.
[0042] In the context of the present invention, the terms “heat engine” and “heat generator” are used interchangeably with one another. A heat engine includes a composition of one or more reactive metal oxides and a source of activating water. Other constituents may be present within either the reactive metal oxide composition, the activating water composition, or both. By way of example, the reactive metal oxide composition may include calcium oxide. Other metal oxides that may be suitable for use include other alkaline earth oxides (e.g., magnesium oxide). Various alkali metal oxides (e.g., sodium oxide, and/or potassium oxide) may also be suitable for use. Various other reactive metal oxides that react with water exothermically may also be suitable for use. Combinations of any of the above may be employed.」
(当審訳:[0041]本発明は、熱機関の清掃用物品に組み込むことに関する。清掃用物品は、1つ以上の層を包含する基板(例えば、不織布拭き取り用品)を含むことができる。熱機関は、清掃用物品(例えば、ワイプ又はパッドの層に)に組み込むことができる。熱機関は、水と接触すると反応して熱を生成する反応性金属酸化物組成物を含むことができる。したがって、清掃用物品は、熱機関の作動時に水蒸気及び/又は蒸気を生成することができる。例えば、反応において(例えば、金属水酸化物を形成する際に)消費されない水が、加熱され、蒸気および/または水蒸気として放出されるために利用可能であるように、過剰の水が提供され得る。通気構造は、不透過性材料(例えば、水および/または空気に対して不透過性)を含む熱機関に隣接して、またはそれを包囲して提供されてもよく、これは、不透過性材料の少なくとも1つの表面を通る1つ以上の通気孔を含む。例えば、通気構造は、水蒸気及び/又は蒸気がパッド又は他の清掃用物品の他の表面に流れるのを防止又は少なくとも最小限に抑えながら、水蒸気及び/又は蒸気を清掃用物品の所望の面に導くことができる。そのような通気構造は、清掃用物品の洗浄又は清掃面に隣接して水蒸気及び/又は蒸気を供給するのに役立つ。
[0042]本発明の文脈において、用語「熱機関」および「熱発生器」は、互いに交換可能に使用される。熱機関は、1つ以上の反応性金属酸化物組成物と、活性化水源とを含む。他の成分は、反応性金属酸化物組成物、活性化水組成物のいずれか、または両方の中に存在してもよい。例として、反応性金属酸化物組成物は、酸化カルシウムを含み得る。使用に好適であり得る他の金属酸化物としては、他のアルカリ土類酸化物(例えば、酸化マグネシウム)が挙げられる。種々のアルカリ金属酸化物(例えば、酸化ナトリウムおよび/または酸化カリウム)もまた、使用に適切であり得る。発熱的に水と反応する様々な他の反応性金属酸化物組成物も使用に適している。上記のいずれかの組合せを使用することができる。)
d.「[0050] In an embodiment, the heat engine heats the cleaning article to a temperature that is above ambient temperature (e.g., at least about 70°F.). More typically, the temperature achieved may be from about 70° F. to about 220°F., from about 80°F. to about 212°F., from about 80°F. to about 180°F., from about 100°F. to about 160°F., from about 110°F. to about 160°F., from about 110°F. to about 150°F., from about 110°F. to about 140°F., from about 115°F. to about 130°F., from about 115°F. to about 160°F., from about 115°F. to about 150°F., from about 115°F. to about 160°F., or from about 120°F. to about 160°F. Various ranges between any of the disclosed end point temperatures are also contemplated. The actual temperature achieved may be selected based on the contemplated use. For example, for a hand-held article, the temperature may be lower than for an article provided with a handle, where there is less risk of a user accidentally touching the heated surface.」
(当審訳:[0050]一実施形態では、熱機関は、清掃用物品を周囲温度(例えば、少なくとも約70°F)以上の温度に加熱する。より典型的には、達成される温度は、約70°F~約220°F、約80°F~約212°F、約80°F~約180°F、約100°F~約160°F、約110°F~約160°F、約110°F~約150°F、約110°F~約140°F、約115°F~約130°F、約115°F~約160°F、約115°F~約150°F、約115°F~約160°F、または約120°F~約160°Fであってもよい。開示されているエンドポイントの任意の温度の間の種々の範囲も検討される。達成される実際の温度は、検討する用途に基づいて選択することができる。例えば、携帯物品のためには、温度は、ハンドルを備えた物品よりも低くすることができる。この場合、加熱された表面に誤って触れてしまう危険性が少ない。)
e.「[0068] FIGS. 4-6 illustrate another example of a cleaning article configured as a pad 200, without any handle, e.g., configured for hand-held use. Cleaning article or pad 200 may be similarly configured to cleaning pad 100 in many respects. For example, FIG. 5 shows an exploded view, showing various layers and components that may be present. As shown in FIG. 5, a substrate 204 may be provided, including one or more layers. For example, a porous, absorbent, non-woven fibrous web bottom layer 204b may be provided. For example, the heat engine 210, and impermeable vent layer 206 including vent holes 208 may be surrounded by substrate layers 204b (at bottom) and layer 204a (at top). During manufacture, the various layers may be heat sealed or otherwise attached together (e.g., bonded with an adhesive). Combinations of such attachment mechanisms may of course be employed. Such heat sealing or other attachment may of course apply to the other embodiments described herein, as well.
[0069] In the illustrated embodiment, the heat engine 210 is shown as including a pouch of the reactive metal oxide composition 210a, adjacent to a pouch of water 210b. The heat engine components 210a and 210b are shown as packaged within their own pouch 210c (e.g., a non-woven, porous, permeable pouch that would allow escape of steam and/or water vapor therefrom). In an embodiment, pouch 210c may be impermeable, and one or more corners of pouch 210c may be clipped, so as to be open, providing a vent within pouch 210c through which generated steam and/or water vapor may exit. The length or surface area of the cut corners or other vents in such a pouch may be selected to provide a desired force at which the water vapor and/or steam is vented (e.g., smaller and/or fewer cuts may result in steam and/or water vapor emission that appears more intense). An optional cleaning composition pouch 220 is also illustrated in FIG. 5, which may function similar to cleaning composition 120 described above.」
(当審訳:[0068]図4-6は、例えば、手持ち使用のために構成された任意のハンドルを有していないパッド200として構成された清掃用物品の他の例を示すものである。清掃用物品又はパッド200は、多くの点で、クリーニングパッド100と同様に構成されてもよい。例えば、図5は分解図であり、存在してもよい様々な層および構成要素を示している。図5に示すように、基板204は、1つまたは複数の層を含むことができる。例えば、多孔性吸収性不織繊維ウェブの底部層204bを設けることができる。例えば、熱機関210、及び通気孔208を含む不透過性通気層206は、基板層204b(底部)及び層204a(上部)によって囲まれてもよい。製造中、様々な層をヒートシールするか、又は他の方法で互いに取り付ける(例えば、接着剤で接着する)ことができる。このような取り付け機構の組み合わせは、もちろん使用され得る。そのようなヒートシールまたは他の取り付けは、当然ながら、本明細書に説明される他の実施形態にも同様に適用され得る。
[0069]図示の実施形態では、熱機関210は、水のパウチ210bに隣接する反応性金属酸化物組成物のパウチ210aを含むものとして示されている。熱機関部品210aおよび210bは、それらのパウチ210c(例えば、そこから蒸気および/または水蒸気の脱出を可能にする不織多孔質、透過性パウチ)内にパッケージングされたものとして示されている。一実施形態では、パウチ210cは不透過性であってもよく、パウチ210cの1つ以上の角部は、開放されるようにクリップ留めされてもよく、発生した蒸気及び/又は水蒸気がそこを通って出てもよい通気孔をパウチ210c内に提供する。そのようなパウチにおける切断された角または他の通気孔の長さまたは表面積は、水蒸気および/または蒸気が通気される所望の力を提供するように選択されてもよい(例えば、より小さいおよび/またはより少ない切断は、より強く見える蒸気および/または水蒸気放出をもたらし得る)。任意選択の洗浄組成物パウチ220も図5に示されており、これは上述の洗浄組成物120と同様に機能し得る。)
f.「[0077] In order to activate the heat engine 210, the user need only rupture the pouch 110b(当審注:「pouch 210b」の誤記と認められる。) containing the activating water. Upon rupture, the water contacts the reactive metal oxide 210a, leading to generation of the desired heat. While a separate cleaning composition pouch 220 is shown, it will be appreciated that such cleaning composition components could be incorporated into the water pouch 110b (当審注:「pouch 210b」の誤記と認められる。), rather than provided within a separate pouch, or could be separately disposed on any desired substrate layer. Such an embodiment would only require bursting of the pouch of activating water, and the cleaning composition provided either in the activating water composition or elsewhere within the substrate layers would be entrained within the flow of generated steam and/or water vapor, for delivery to the desired surface.」
(当審訳:[0077]熱機関210を作動させるために、ユーザは、作動水を収容するパウチ210bを破裂させるだけでよい。破裂すると、水は反応性金属酸化物組成物210aと接触し、所望の熱を発生させる。別個の洗浄組成物のパウチ220が示されているが、このような洗浄組成物成分は水のパウチ210bに組み込まれるのではなく、別個のパウチ内に設けてもよいし、または任意の所望の基板層上に別々に配置され得ることが理解されよう。このような実施形態は、活性化水のパウチの破裂のみを必要とし、活性化水組成物中又は基板層内の他の場所のいずれかに提供される洗浄組成物は、所望の表面への送達のために、生成された蒸気及び/又は水蒸気の流れ内に同伴される。)
g.「[0083] In an embodiment, the substrate may include one or more layers that act as an absorbent material, to aid in holding liquid water that may be associated with the heat engine, a cleaning composition, or other liquid that may be present. For example, such an absorbent material may be used in connection with the venting structure to absorb, capture, regulate (e.g., slowly release) water to keep it from dripping or escaping from the heated cleaning article in an undesirable or unsafe manner.」
(当審訳:[0083]一実施形態では、基板は、熱機関、洗浄組成物、又は存在し得る他の液体、又は存在し得る他の液体と関連し得る液体の水を保持するのを助ける1つ以上の層を含んでもよい。例えば、そのような吸収性材料は、水を吸収、捕捉、調節(例えば、緩徐に放出)して、望ましくない又は危険な方法で加熱された清掃用物品から水が滴る又は逃げるのを防ぐために、通気構造と関連して使用されてもよい。)
h.「[0100] One or more layers of the substrate may comprise natural fibers, synthetic fibers, or combinations thereof. Exemplary fibers include, but are not limited to polypropylene, polyethylene, polyester, PET, wood pulp, regenerated cellulose, nylon, cotton, bicomponent fibers, continuous fibers, and combinations thereof including blends or layers of one or more of the above fibers.」
(当審訳:[0100]基板の1つ以上の層は、天然繊維、合成繊維、又はこれらの組み合わせを含むことができる。例示的な繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、PET、木材パルプ、再生セルロース、ナイロン、綿、複合繊維、連続繊維、及び上記繊維の1つ以上のブレンド又は層を含むこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。)
i.図4には、次の事項が図示されている。
[図:0001436896000001.jpg]
j.図5には、次の事項が図示されている。
[図:0001436896000002.jpg]
k. 図6には、次の事項が図示されている。
[図:0001436896000003.jpg]
l.上記eの段落[0068]、上記jの図5、上記kの図6より、基板層204bは清掃面を有することがわかる。また、基板層204bの清掃面と反対側の面に不透水性通気層206を介して熱機関210が設けられていることがわかる。
m. 上記eの段落[0068]、上記jの図5、上記kの図6より、基板層204bは、シート状を呈していることがわかる。
(イ)引用発明
上記aないしmから、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 清掃面を有する基板層204bと、
前記基板層204bの前記清掃面と反対側の面に不透水性通気層206を介して設けられた熱機関210と、
を備えたパッド200であって、
前記熱機関210は、
達成される温度が約70°F~約220°Fである反応性金属酸化物組成物210aであって、該パッド200の構成要素である水のパウチ210bの水が接触し、所望の熱を発生させ、蒸気を生成させる反応性金属酸化物組成物210aと、
前記反応性金属酸化物組成物210aがパッケージングされたパウチ210cと、
を備え、
前記反応性金属酸化物組成物210aは、水と接触すると反応して熱を生成する組成物であり、
前記パウチ210cは、蒸気および/または水蒸気の脱出を可能にする不織多孔質、透過性パウチであり、
前記基板層204bは、シート状を呈しており、該基板層204bを形成するシートは、木材パルプ、綿などの天然繊維からなる多孔性吸収性不織繊維ウェブである、パッド200。」
(3)対比
以下、本件補正発明と引用発明とを、その機能に照らして対比する。
ア 引用発明の「基板層204b」は、本件補正発明の「清掃部材」に相当し、以下同様に、「熱機関210」は「発熱部材」に、「パッド200」は「温熱清掃具」に、「反応性金属酸化物組成物210a」は「発熱剤」に、「パウチ210c」は「包材」に、それぞれ相当する。また、引用発明の「清掃面を有する基板層204b」は、本件補正発明の「少なくとも一面に清掃面を有する清掃部材」に相当する。
イ 引用発明の「前記基板層204bの前記清掃面と反対側の面に不透水性通気層206を介して設けられた熱機関210」は、本件補正発明の「前記清掃部材の内部に又は前記清掃部材の前記清掃面と反対側の面に設けられた発熱部材」と、「前記清掃部材の前記清掃面と反対側に設けられた発熱部材」という点で共通する。
ウ 引用発明の「達成される温度が約70°F~約220°Fである反応性金属酸化物組成物210a」は、約70°F~約220°Fは、摂氏に換算すると、21℃~104℃となることから、本件補正発明の「最高温度が80℃以上に発熱する発熱剤」に相当する。
エ 引用発明の「該パッド200の水のパウチ210bの水が接触し、所望の熱を発生させ、蒸気を生成させる反応性金属酸化物組成物210a」は、本件補正発明の「該温熱清掃具に添加される水分又は該温熱清掃具が保持する水分を加熱することで蒸気を発生させる発熱剤」に相当する。
オ 引用発明の「前記反応性金属酸化物組成物210aがパッケージングされたパウチ210c」は、本件補正発明の「前記発熱剤を収容する包材」に相当する。
カ 引用発明の「前記反応性金属酸化物組成物210aは、水と接触すると反応して熱を生成する組成物」は、本件補正発明の「前記発熱剤は、水と反応して発熱する組成物又は水の添加に加えて酸素と反応して発熱する組成物」に相当する。
キ 引用発明の「パウチ210cは、蒸気および/または水蒸気の脱出を可能にする不織多孔質、透過性パウチであ」る態様と、本件補正発明の「前記包材は、透湿度が7000g/m2/day以上であ」る態様とは、「前記包材は、一定以上の透湿度を有」する点で共通する。
ク 引用発明の「該基板層204bを形成するシートは、木材パルプ、綿などの天然繊維からなる多孔性吸収性不織繊維ウェブである」構成は、木材パルプ、綿などの天然繊維は、透湿性の親水性繊維であることから、本件補正発明の「該清掃部材を形成するシートは、透湿性の親水性繊維である」構成に相当する。
ケ そうすると、本件補正発明と引用発明とは、以下の<一致点>で一致し、<相違点>で相違する。
<一致点>
「 少なくとも一面に清掃面を有する清掃部材と、
前記清掃部材の前記清掃面と反対側に設けられた発熱部材と、
を備えた温熱清掃具であって、
前記発熱部材は、
最高温度が80℃以上に発熱する発熱剤であって、該温熱清掃具に添加される水分又は該温熱清掃具が保持する水分を加熱することで蒸気を発生させる発熱剤と、
前記発熱剤を収容する包材と、
を備え、
前記発熱剤は、水と反応して発熱する組成物又は水の添加に加えて酸素と反応して発熱する組成物であり、
前記包材は、一定以上の透湿度を有し、
前記清掃部材は、シート状を呈しており、該清掃部材を形成するシートは、透湿性の親水性繊維である、温熱清掃具。」
<相違点1>
発熱部材に関して、本件補正発明は、「前記清掃部材の内部に又は前記清掃部材の前記清掃面と反対側の面に設けられ」ているのに対し、引用発明は、基板層204bの清掃面と反対側ではあるものの、基板層204bの清掃面と反対側の面に不透水性通気層206を介して設けられている点。
<相違点2>
本件補正発明は、「蒸気発生量が前記発熱剤1gあたり15分間の蒸気発生量で200mg以上であ」るのに対し、引用発明は、そのような構成であるか不明な点。
<相違点3>
本件補正発明は、「包材は、透湿度が7000g/m2/day以上であ」るのに対し、引用発明のパウチ210cは一定以上の透湿度を有するものの、透湿度が7000g/m2/day以上であるか不明な点。
(4)判断
ア 相違点について
以下、<相違点1>、<相違点2>、<相違点3>について検討する。
a <相違点1>について
本件補正発明の発熱部材が、「前記清掃部材の前記清掃面と反対側の面に設けられ」た構成は、清掃部材の清掃面と反対側の面に「直接」設けられたものに限定されていないから、引用発明の熱機関210が、基板層204bの清掃面と反対側の面に不透水性通気層206を介して設けられた構成と相違せず、実質的な相違点とはいえない。
仮に、本件補正発明の発熱部材が、清掃部材の清掃面と反対側の面に直接設けられているものに限定されているとしても、引用文献1の段落[0008]には、「清掃用物品は、熱機関に隣接するか又は熱機関を取り囲む通気構造を更に含んでもよく、通気構造は、水分(例えば、及び任意選択的に空気)に対して不透過性である材料を含んでもよい。」と記載されているように、引用発明において、不透水性通気層206を設けることは、任意付加的事項であると認められるので、引用発明において、コスト等を考慮して、不透水性通気層206を省略して、基板層204bの清掃面と反対側の面に熱機関210を直接設ける構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。
b <相違点2>について
引用発明は、達成される温度が約70°F~約220°Fである反応性金属酸化物組成物210aが、パッド200の構成要素である水のパウチ210bの水と接触し、所望の熱を発生させ、蒸気を生成させるものであり、「発熱体は、基板材料を加熱することができ、ユーザは、多種多様な洗浄用途のための加熱された基板を使用することができる。基板を加熱することに加えて、加熱された水蒸気及び/又は蒸気は、典型的には、基板から放出され、洗浄を助けることができる。熱機関によって提供される温度、およびそのような熱が提供される時間の長さは、熱発生器とともに提供される反応性金属酸化物組成物および水の量に依存し得る。」(引用文献1の[0012]参照。)という記載を参照すると、反応性金属酸化物組成物や水の量を調整することによって、熱機関によって提供される温度や熱が提供される時間の長さを変化させ、すなわち蒸気発生量を調整する点が示唆されている。そして、引用発明において、洗浄性能の向上という一般的な課題を解決するために、蒸気発生量を調整する際に、反応性金属酸化物組成物や水の量のみならず、反応性金属酸化物組成物の種類・粒径・配合比等から定まる蒸気発生量も最適化することは、当業者が当然考慮し得ることである。また、本件補正発明は、発熱剤1gあたり15分間で200mg以上の蒸気発生量であるが、引用発明において、清掃効果を勘案すると、蒸気量が少なすぎると清掃効果が期待できず、一定量以上の蒸気量が必要であることは明らかであることから、反応性金属酸化物組成物(発熱剤)からの蒸気発生量を一定値以上とすることも当業者が当然なし得ることであり、発熱剤1gあたり15分間で200mg以上という数値に臨界的意義も認められない。以上によると、引用発明において、発熱剤1gあたり15分間で200mg以上の蒸気発生量とすることは、当業者にとって格別困難なことではない。
以上のとおりであるから、引用発明において、前記相違点2に係る本件補正発明の構成を備えることは、当業者が容易に想到し得たものである。
c <相違点3>について
本件補正発明は、発熱剤を収容する包材の透湿度を7000g/m2/day以上とするものであるが、引用発明において、清掃効果を勘案すると、蒸気量が少なすぎると清掃効果が期待できず、一定量以上の蒸気量が必要であることは明らかであることから、パウチ210c(包材)の透湿度を一定値以上とすることも当業者が当然なし得ることであり、7000g/m2/day以上という数値に臨界的意義も認められない。さらに、発熱剤により蒸気を発生させる蒸気発生装置において、発熱剤を収容する包材の透湿度を7000g/m2/day以上とすることは、周知技術である。(例えば、原査定(令和6年10月29日付け拒絶査定)の拒絶の理由で引用された、この出願の出願前に頒布された刊行物である、特開2000-42125号公報(以下、「引用文献2」という。)の[0015]-[0017]、特開平11-342147号公報(以下、「引用文献3」という。)の[0015]-[0018]、[0029]、[0036]等参照。)
してみると、引用発明において、所望の蒸気発生量を得るために、上記周知技術を採用して、前記相違点3に係る本件補正発明の構成を備えることは、当業者が容易に想到し得たものである。
イ 本件補正発明の作用効果について
本件補正発明の作用効果については、引用発明及び引用文献2、3に記載された周知技術から当業者が予測できる範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない
ウ 審判請求人の主張について
a.審判請求人は、審判請求書の【請求の理由】において、「しかしながら、本願請求項1は、先ず、「蒸気発生量が前記発熱剤(4)1gあたり15分間の蒸気発生量で200mg以上」と多量であり、そのため、「前記包材(5)は、透湿度が7000g/m2/day以上」と、高い値に設定するものであります。
そうすることで、本願請求項1では、蒸気は包材(5)の内部に留まらずに、包材(5)の外部に放出され易くなり、充分な清掃効果を発揮するとともに、本願温熱清掃具(1)の使用中に蒸気と共に発熱剤(4)が外部へ漏出する(吹出す)ことを効果的に防止することが可能になります。この点、引用文献1では、包材に当たるpouch 210cは、特に透湿度が規定されておりません。これは、引用文献1のpouch 210cは、外側をlayer 204で覆われているため、仮に、pouch 210cから発熱剤が外に出ても、外部へ漏出することないために考えられます。よって、引用文献1を見た当業者であれば、pouch 210cは、その周りがlayer 204aの層で囲われていることから発熱剤が外へ漏れる心配がないので、pouch 210cの材質を特定のものに選択する動機付けはございません。」などと主張している。
しかしながら、発熱剤が外部に漏出することは、包材のフィルター性(粒子の捕集率)と関連することと考えられるが、本件補正発明においては、包材のフィルター性(粒子の捕集率)についての限定はされておらず、上記審判請求人の主張は、請求項の記載に基づくものとは認められない。
したがって、審判請求人の主張は、採用できない。
b.審判請求人は、審判請求書の【請求の理由】において、「このように、引用文献1の清掃面は疎水性繊維であるのに対し、本願請求項1に係る発明は、今般の補正で限定致しました通り、親水性繊維でありますので、透湿性は全く異なると想定されます。したがって、当業者であっても、清掃面が疎水性繊維である引用文献1から、清掃面が親水性である本願請求項1に係る発明を容易に相当することはできません。」などと主張している。
しかしながら、前記(2)(3)に示したとおり、引用発明の清掃部材は、透湿性の親水性繊維である構成を備えているものである。
したがって、審判請求人の主張は、採用できない。
(5)まとめ
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2、3に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和7年1月14日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の各請求項に係る発明は、令和6年9月4日に手続補正がされた特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項3に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項3に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由1(進歩性)の概略は、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:米国特許出願公開第2018/0030391号明細書
引用文献2:特開2000-42125号公報
引用文献3:特開平11-342147号公報
3 引用文献の記載及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載及び引用発明は、前記第2の[理由]2(2)アに記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「清掃部材」について、限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)~(5)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2、3に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2、3に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-000444