特許拒絶査定不服審判
2024-012286
フィルタ装置及び電気機器
- 審判番号
- 2024-012286
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-039389
- 請求日
- 2024年07月26日
- 審決日
- 2025年11月14日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】東芝ライフスタイル株式会社
- 【請求人代理人】樺澤 聡
- 【請求人代理人】山田 哲也
- 審判長/審判官
- 審判長 柿崎 拓
- 審判官 長馬 望
- 審判官 関口 哲生
- 分類
- P18 .113-Z (A47L) / P18 .121-Z (A47L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 39389「フィルタ装置及び電気機器」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 9月26日出願公開、特開2022-139137〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年3月11日の出願であって、令和6年2月9日付けの拒絶理由通知に対し、同年4月18日に意見書を提出すると共に、手続補正をしたが、同年7月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものであると認められる。
・本願発明1
「【請求項1】
集塵部と前記集塵部に含塵空気を吸引する吸引部との間に位置するフィルタ装置であって、
空気が通過する濾材部、前記濾材部を保形する保形部、及び、前記保形部に配置され、前記濾材部とオーバラップしない位置にある突出部を有するフィルタ部を備え、
前記集塵部と前記吸引部との間に位置する状態で、前記突出部が本体部の本体吸込口から前記集塵部及び前記フィルタ装置を介して前記吸引部へと至る風路部分の外部に位置する
ことを特徴とするフィルタ装置。」
第3 拒絶査定の理由
令和6年7月12付け拒絶査定の理由のうち、本願発明1に対するものは、概ね次のとおりである。
・拒絶査定の理由
本願発明1は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-147558号公報(以下、「引用文献1」という。)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また、引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 引用文献
1 引用文献1
(1)引用文献1に記載された事項
上記引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。以下同様。)。
ア 「【請求項1】
集塵室と電動送風機が内蔵された送風機室を仕切る隔壁を有した本体ケース、及びこの本体ケースに回動可能に取付けられて前記集塵室の上端開口を開閉し、かつ、全開状態で前記集塵室の上端開口の後部に上方から対向するように傾いて配置される集塵室蓋を備え、前記隔壁に前記両室を連通して設けられた連通部の両側に位置して上端及び前記連通部側が夫々開放された嵌合溝を前記隔壁とともに形成するL字状の側部リブ、及びこれら側部リブの下端部間に渡る底部リブが、前記集塵室に臨んで前記隔壁に設けられた掃除機本体と、
前記嵌合溝に嵌合して支持される側枠部と前記底部リブに支持される下枠部を有した部材ホルダ及びこのホルダに支持されたフィルタ部材を備えて、前記連通部を覆って前記隔壁に着脱可能に取付けられ、かつ、前記側枠部がこの側枠部の長手方向全長にわたり前記隔壁に接する平坦面からなる後側面を有するとともに、前記側枠部がこの側枠部の上端側を占める厚肉部位及びこの厚肉部位の下側に連続して前記側枠部の下端に達する薄肉部位を有し、前記厚肉部位の厚みが前記嵌合溝の溝幅に略等しいとともに、前記薄肉部位の厚みが前記厚肉部位より薄く、かつ前記厚肉部位の前面と前記薄肉部位の前面が斜面を介して連続されているフィルタと、
を具備することを特徴とする電気掃除機。」
イ 「【0001】
本発明は、電動送風機とこの送風機の上流側の集塵室とを連通する隔壁の連通部を、集塵室側から覆って電動送風機に吸い込まれる気流中の塵を捕捉するフィルタが、隔壁に着脱可能に取付けられた電気掃除機に関する。」
ウ 「【0017】
図1中符号1は例えばキャニスタ型の電気掃除機を示している、電気掃除機1は、掃除機本体2と、電動送風機9(図2参照)と、上流側集塵体例えば集塵パック13(図2参照)と、下流側集塵体をなすフィルタ31(図5等参照)と、吸塵風路部材41を備えている。」
エ 「【0019】
図2に示すように本体ケース3は、下部ケース3aと、この下部ケース3aの後部上側に連結された上部ケース3bを有している。下部ケース3aに隔壁7が設けられている。隔壁7の下端は下部ケース3aの底壁に例えば一体に連続し、隔壁7の幅方向両端(掃除機本体2の前側から後側に見て左右の端)は、下部ケース3aの幅方向両側壁に例えば一体に連続されている。そのため、隔壁7は下部ケース3aの底壁から鉛直に起立していて、図6及び図7に示すように掃除機本体2内を、隔壁7より前側の集塵室2aと、隔壁7より後側の送風機室2bとに仕切っている。」
オ 「【0021】
送風機室2bには電動送風機9(図2参照)が内蔵されているとともに、図示しないコードリールが内蔵されている。電動送風機9は、その吸気口を隔壁7に向けて設置されている。
【0022】
掃除機本体2の前端側部位例えば下部ケース3aの前端部に、本体吸込み口11(図3~図6参照)が前後方向に貫通して設けられている。集塵室2a内でかつ本体吸込み口11の上方に位置して係合体12(図3~図5参照)が設けられている。この係合体12は、集塵室2a内にその上端開口を通して収容された集塵パック13を集塵室2a内に固定するものであり、それにより、この集塵パック13の内部が本体吸込み口11に連通された状態に保持されるようになっている。又、係合体12を人為的に操作して前記保持状態を解除することにより、前記上端開口を通して集塵室2a外に集塵パック13を取出し可能である。」
カ 「【0026】
図3に示すように隔壁7にこれを貫通した通孔からなる連通部18が設けられていて、この連通部18により隔壁7の前側の集塵室2aと後側の送風機室2bが連通されている。連通部18には縦横の桟19が格子状に設けられている。
【0027】
図3に示すように集塵室2aに臨んだ隔壁7の前面にフィルタホルダ21が設けられている。このフィルタホルダ21は、一対の側部リブ22と、一つの底部リブ23とからなる。
【0028】
各側部リブ22は、連通部18の左右両側に位置して隔壁7の前面から集塵室2aに突出して隔壁7に一体成形されている。これら側部リブ22は、上下方向に延びていて互に平行であるとともに、隔壁7に対して直角に突出されたベース部と、隔壁7の前面と平行にベース部から側方に折れ曲がった片部を有してL字状をなしていて、隔壁7との間に嵌合溝22aを形成して設けられている。嵌合溝22aの上端及び連通部18側は夫々開放されている。そのため、左右一対の側部リブ22は、その側面開放を向かい合わせて設けられている。言い換えれば、左右一対の嵌合溝22aは向かい合っている。
【0029】
底部リブ23は、連通部18の下側に位置して隔壁7から集塵室2aに突出して隔壁7に一体成形されている。底部リブ23は、左右の側部リブ22の下端間に渡って左右方向に延びている。この底部リブ23は、下部ケース3aの底壁から起立されていて、これと隔壁7との間に嵌合溝23aを形成して設けられている。嵌合溝23aの左右両端は、左右の嵌合溝22aの下端に連続されている。」
キ 「【0031】
図8に示すようにフィルタ31は、部材ホルダ32及びこれに支持されたフィルタ部材36を備えている。
【0032】
図9に示すように部材ホルダ32は、枠体部及びこの枠体部の内側に一体に設けられた格子32aからなる。前記枠体部は、上枠部33、下枠部34、上枠部33及び下枠部34と一体でこれらの端間にわたる左右の側枠部35を有して形成されている。格子32aは縦横に交叉した複数の桟で形成されている。これらの桟の端部は前記枠体部に一体に接続されているとともに、前記各桟の端部以外の部分は前記枠体部よりも前側に位置されている(図10等参照)。言い換えれば、前記各桟の端部は、これらの端部間の格子部位に対して後向きに曲がって前記枠体部に一体に接続されており、そのため、部材ホルダ32は厚みが薄くかつ目が粗い笊のような構造をなしている。
【0033】
フィルタ部材36にはスポンジを平板状に形成したものが使用されている。フィルタ部材36は、図8に示すように部材ホルダ32の内側に、この部材ホルダ32の後側(図8では前側)から着脱可能に納められている。このフィルタ部材36の外れ止めをするためのストッパ凸部37が、下枠部34及び左右の側枠部35の夫々から前記枠体部の内側に一体に突設されている。
【0034】
・・・図8~図10中符号39はフィルタ31の摘みを示している。この摘み39は、上枠部33の中央部に上向きに突設されている。
【0035】
図9に示すように下枠部34は、略水平方向に延びていて、前記嵌合溝23aに上方から挿脱可能に嵌合される大きさに形成されている。下枠部34には、その中央部から長手方向一端側に寄せて下向きの係合凸部40が一体に突設されている。係合凸部40の先端側ほど先細りとなるように係合凸部40の下部前面は、図8~図10に示すように傾斜されている。この係合凸部40は前記図示しない呼び込み溝に挿脱されるようになっている。
【0036】
左右の側枠部35の後側面35aは、これら側枠部35の長手方向全長にわたる平坦面で形成され、この後側面35aは前記隔壁7の前面に接するようになっている。左右の側枠部35は、厚肉部位35b、薄肉部位35c、及び斜面35dを有している。
【0037】
厚肉部位35bは、側枠部35の上端側を占めており、側枠部35の上端から側枠部35全長の例えば略1/3を占める長さで設けられている。なお、この厚肉部位35b更に長くすることも可能である。厚肉部位35bの前後方向の厚みは、前記嵌合溝22aの前後方向の溝幅A(図3参照)に略等しい。薄肉部位35cは、厚肉部位35bの下側に連続して側枠部35の下端に達していて、本実施形態では薄肉部位35cは厚肉部位35bより上下方向に長く形成されている。この薄肉部位35cの前後方向の厚みは溝幅Aより薄い。斜面35dは例えば薄肉部位35cの厚肉部位35b側の前面に設けられていて、この斜面35dを介して厚肉部位35bの前面と薄肉部位35cの前面が連続されている。なお、この斜面35dは薄肉部位35cの少なくとも厚肉部側の前面に設けてあればよい。
【0038】
フィルタ31は、その側枠部35を隔壁7の嵌合溝22aに嵌合させるとともに、下枠部34を嵌合溝23aに嵌合させることにより、隔壁7と側部リブ22及び底部リブ23とで支持され、連通部18を集塵室2a側から覆って隔壁7の前面に取付けられている。
【0039】
この取付け状態では係合凸部40が下枠部34に連続した図示しない呼び込み溝に嵌入されている。それにより、フィルタ31が部材ホルダ32に支持されるとともに、フィルタ31の枠体部の後面(この面は後側面35aを含んでいる。)が隔壁7の前面に接するように寄せられた状態にフィルタ31が保持されている。」
ク 「【0044】
電動送風機9の運転に伴い、吸込み口体44の下面に開口している吸込み開口(図示しない)を通って吸込まれた含塵空気が、吸込み口体44、延長管43、吸塵ホース42を、この記載順に通過して掃除機本体2の集塵室2a内に導かれる。それにより、集塵室2aに収められた集塵パック13で空気と塵が分離されて、塵が集塵パック13内に溜められる一方で、連通部18を通って電動送風機9に吸込まれてこの電動送風機9から排出された空気が掃除機本体2の外部に放出される。こうした掃除において、集塵パック13を通過した微細塵、及び集塵室2aに対して集塵パック13を着脱する際に、この集塵パック13から集塵室2aに毀れた塵は、連通部18をその上流側(集塵室2a側)から覆ったフィルタ31のフィルタ部材36で捕捉される。」
ケ 「【0048】
こうしてフィルタ31の側枠部35の下端部が嵌合溝22aに嵌入された後には、引き続いて、フィルタ31を後方に押して鉛直となるように起こしながら、このフィルタ31が真っ直ぐに落ちるように下方へ移動させる操作をする。それにより、フィルタ31の側枠部35の後側面35aが隔壁7の前面に接しながら嵌合溝22aに沿って下方に移動され、このフィルタ31の下枠部34が、隔壁7の底部リブ23と隔壁7の前面とで形成された嵌合溝23aに嵌合して底部リブ23に支持される。
【0049】
フィルタ31の底部リブ23が下枠部34に支持される前の状態で、既述のようにフィルタ31の側枠部35の厚肉部位35bが嵌合溝22aの上端部に嵌入される。この場合、厚肉部位35bと薄肉部位35cの前面が斜面35dを介して連続されているので、厚肉部位35bが側部リブ22の上端に引っ掛かることなく、斜面35dにより厚肉部位35bが嵌合溝22aの上端部に円滑に嵌入される。これとともに、側枠部35の少なくとも上端部側が隔壁7の前面に接するように移動される。こうしたフィルタ31の後側方向への移動後に、図示されない前記呼び込み溝への係合凸部40の挿入がなされて、これらの係合により側枠部35の後側面35aが隔壁7の前面に接するようになる。」
コ 「【0054】
掃除中は、フィルタ31が吸気負圧で後方に引き動かされて、側枠部35の後側面35a及び上枠部33と下枠部34の後側面が夫々隔壁7の前面に密接するようになるので、これらの後側面と隔壁7の前面との間を塵が通過することを抑制できる。」
サ 引用文献1には、次の図が図4、図8及び図9として、記載されている。
[図:0001430709000001.jpg]
[図:0001430709000002.jpg]
(2)引用発明
上記(1)より、次の事項が引用文献1に記載されていると認められる。
ア 引用文献1には、フィルタ31について記載(特に、【0017】(上記(1)ウ)、【0031】から【0039】(上記(1)キ)、【0044】(上記(1)ク)参照。)されている。このフィルタ31は、「電動送風機9の運転に伴い」、「吸込まれた含塵空気が、・・・集塵室2a内に導かれ」、「集塵室2aに収められた集塵パック13で空気と塵が分離され」、空気が「連通部18を通って電動送風機9に吸込まれ」るものにおいて、「連通部18をその上流側・・・から覆」うことにより、「集塵パック13を通過した微細塵」及び「集塵室2aに毀れた塵」を補捉するもの(【0044】(上記(1)ク))であるから、集塵パック13と前記集塵パック13に含塵空気を吸込む電動送風機9との間の連通部18をその上流側から覆ったフィルタ31である。
イ 引用文献1に記載されたフィルタ31は、部材ホルダ32とフィルタ部材36を備えている(【0031】(上記(1)キ))。さらに、部材ホルダ32は、枠体部及び格子32aからなり、この枠体部は、上枠部33を有しており(【0032】(上記(1)キ))、この上枠部33の中央部に上向きに摘み39が突設されている(【0034】(上記(1)キ))から、フィルタ31は、フィルタ部材36、部材ホルダ32、及び摘み39を有している。そして、フィルタ部材36は、「フィルタ部材36にはスポンジを平板状に形成したもの」(【0033】(上記(1)キ))で「集塵パック13から集塵室2aに毀れた塵は、連通部18をその上流側(集塵室2a側)から覆ったフィルタ31のフィルタ部材36で捕捉される」(【0044】(上記(1)ク))ものであるから、空気が通るものである。また、フィルタ部材36は、部材ホルダ32に支持されたものである(【0031】(上記(1)キ))から、部材ホルダ32は、フィルタ部材36を支持するものである。また、フィルタ部材36は部材ホルダ32の内側に納められている(【0033】(上記(1)キ))のに対し、摘み39は、部材ホルダ32の上枠部33に上向きに突設されている(【0034】(上記(1)キ))。これらのことから、フィルタ31は、空気が通るフィルタ部材36、前記フィルタ部材36を支持する部材ホルダ32、及び、フィルタ部材36が部材ホルダ32の内側に納められているのに対し、部材ホルダ32の上枠部33に上向きに突設されている摘み39を有している。
ウ フィルタ31が「連通部18を集塵室2a側から覆って隔壁7の前面に取付けられている」(【0038】(上記(1)キ))状態は、フィルタ31のフィルタ部材36が集塵パック13と電動送風機9との間の連通部18をその上流側から覆った状態(【0044】(上記(1)ク))である。この状態で、連通部18を覆うフィルタ部材36を内側に納め(【0033】(上記(1)キ))、連通部18を設けた隔壁7の前面に後面が接する部材ホルダ32(【0032】、【0039】(上記(1)キ))の上枠部33に、摘み39は、上向きに突設されている(【0034】(上記(1)キ))。
以上の事項を考慮すると、引用文献1には、次の引用発明が記載されていると認められる。
・引用発明
「集塵パック13と前記集塵パック13に含塵空気を吸込む電動送風機9との間の連通部18をその上流側から覆ったフィルタ31であって、
空気が通るフィルタ部材36、前記フィルタ部材36を支持する部材ホルダ32、及び、前記部材ホルダ32の上枠部33に突設され、前記フィルタ部材36が前記部材ホルダ32の内側に納められているのに対し、前記部材ホルダ32の前記上枠部33に上向きに突設されている摘み39を有しているフィルタ31を備え、
前記集塵パック13と前記電動送風機9との間の前記連通部18をその上流側から前記フィルタ部材36が覆った状態で、前記フィルタ部材36を内側に納め、前記連通部18を設けた隔壁7の前面に後面が接する前記部材ホルダ32の上枠部33に、前記摘み39は、上向きに突設されている
フィルタ31。」
第5 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「集塵パック13」は、本願発明1の「集塵部」に相当する。引用発明の「吸込む」ことは、本願発明1の「吸引する」ことに相当し、引用発明の「電動送風機9」は、本願発明1の「吸引部」に相当する。また、引用発明の「フィルタ31」は、本願発明1の「フィルタ装置」に相当し、引用発明の「集塵パック13と」「電動送風機9との間の連通部18をその上流側から覆った」ことは、集塵パック13と電動送風機9との間に位置して、連通部18を覆うことになるから、本願発明1の「集塵部と」「吸引部との間に位置する」ことに相当する。したがって、引用発明の「集塵パック13と前記集塵パック13に含塵空気を吸込む電動送風機9との間の連通部18をその上流側から覆ったフィルタ31」は、本願発明1の「集塵部と前記集塵部に含塵空気を吸引する吸引部との間に位置するフィルタ装置」に相当する。
引用発明の「空気が通る」ことは、本願発明1の「空気が通過する」ことに相当し、引用発明の「フィルタ部材36」は、本願発明1の「濾材部」に相当する。また、引用発明の「部材ホルダ32」により「支持する」ことによりフィルタ部材36の形が保たれることは、明らかであるから、引用発明の「支持する」ことは、本願発明1の「保形する」ことに相当し、引用発明の「部材ホルダ32」は、本願発明1の「保形部」に相当する。さらに、引用発明の「前記部材ホルダ32の上枠部33に突設され」ることは、本願発明1の「前記保形部に配置され」ることに相当し、引用発明の「摘み39」は、本願発明1の「突出部」に相当する。そして、引用発明において、摘み39が「前記フィルタ部材36が前記部材ホルダ32の内側に納められているのに対し、前記部材ホルダ32の前記上枠部33に上向きに突設されている」ことは、部材ホルダ32の内側に納められているフィルタ部材36と部材ホルダ32の上枠部に上向きに突設された摘み39は、重ならない位置、すなわちオーバラップしない位置にあることとなるから、本願発明1の突出部が「前記濾材部とオーバラップしない位置にある」ことに相当し、引用発明の「有している」ことは、本願発明1の「有する」ことに相当する。また、引用発明の「フィルタ31」は、上記のように本願発明1の「フィルタ装置」に相当するものであるが、本願発明1の「濾材部」に相当する「フィルタ部材36」、本願発明1の「保形部」に相当する「部材ホルダ」、及び、本願発明1の「突出部」に相当する「摘み39」を有しているものでもあるから、本願発明1の「フィルタ部」にも相当する。したがって、引用発明の「空気が通るフィルタ部材36、前記フィルタ部材36を支持する部材ホルダ32、及び、前記部材ホルダ32の上枠部33に突設され、前記フィルタ部材36が前記部材ホルダ32の内側に納められているのに対し、前記部材ホルダ32の前記上枠部33に上向きに突設されている摘み39を有しているフィルタ31」は、本願発明1の「空気が通過する濾材部、前記濾材部を保形する保形部、及び、前記保形部に配置され、前記濾材部とオーバラップしない位置にある突出部を有するフィルタ部」に相当する。
引用発明の「前記集塵パック13と前記電動送風機9との間の前記連通部18をその上流側から前記フィルタ部材36が覆った状態」は、本願発明1の「前記集塵部と前記吸引部との間に位置する状態」に相当する。
以上のことから、本願発明1と引用発明1とは、次の一致点及び一応の相違点を有する。
・一致点
「集塵部と前記集塵部に含塵空気を吸引する吸引部との間に位置するフィルタ装置であって、
空気が通過する濾材部、前記濾材部を保形する保形部、及び、前記保形部に配置され、前記濾材部とオーバラップしない位置にある突出部を有するフィルタ部を備える、
フィルタ装置。」
・相違点
フィルタ装置が「前記集塵部と前記吸引部との間に位置する状態で」、本願発明1は、「前記突出部が本体部の本体吸込口から前記集塵部及び前記フィルタ装置を介して前記吸引部へと至る風路部分の外部に位置する」のに対し、引用発明は、「前記フィルタ部材36を内側に納め、前記連通部18を設けた隔壁7の前面に後面が接する前記部材ホルダ32の上枠部33に、前記摘み39は、上向きに突設されている」点。
第6 判断
1 相違点について
相違点について検討する。
(1)新規性について
引用発明は、集塵パック13と電動送風機9との間の隔壁7に設けた連通部18をフィルタ部材36が覆った状態とし、このフィルタ部材36を内側に納める部材ホルダ32の後面が隔壁7の前面に接するようにしている。したがって、電動送風機9により吸引される空気は、部材ホルダ32の内側のフィルタ部材36及び連通部18を通って電動送風機に9に吸引されることとなり、フィルタ部材36の外側に位置することとなる部材ホルダ32及びそのさらに外側の部分は、この空気が流れることが想定されていない部分である。この点は、引用発明の部材ホルダ32の後面が隔壁7の前面に密接し(引用文献1の【0054】(上記第4・1(1)コ参照))、部材ホルダ32と隔壁7との間を塵を含んだ空気が流れないようにしていることとも整合する。
そうすると、引用発明の「部材ホルダ32の上枠部33に」「上向きに突設されている」摘み39は、空気が流れることが想定されていない部材ホルダ32の外側の部分に位置することとなる。そして、引用発明において「前記集塵パック13と前記電動送風機9との間の前記連通部18をその上流側から前記フィルタ部材36が覆った状態」における部材ホルダ32の内側のフィルタ部材36及び連通部18を通って電動送風機に9に吸引される空気は、掃除機本体2の本体吸込み口11から集塵パック13及び前記フィルタ部材36を介して前記電動送風機9に空気が吸込まれるものである(引用文献1の【0044】(上記第4・1(1)ク参照)及び図4(上記第4・1(1)サ参照))から、引用発明の摘み39は、掃除機本体2の本体吸込み口11から集塵パック13及び前記フィルタ部材36を介して前記電動送風機9に空気が流れることが想定されている経路の外側に位置するものであって、上記相違点は、実質的な相違点ではない。また、引用発明の摘み39は、前記した電動送風機9に空気が流れることが想定されている経路の一部である連通部18の外側に位置するものであるから、経路(風路)の一部、すなわち風路部分の外部に位置するともいえ、このことからも上記相違点は、実質的な相違点ではない。
よって、本願発明1は、引用発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2)進歩性について
以下、上記相違点が実質的な相違点であるとして、検討する。
引用発明において形成される、空気が流れることが想定されている経路について、その境界をどのように構成するかは、当業者が適宜設定し得た設計事項にすぎず、また、摘み39を含むフィルタ31を集塵パック13と電動送風機9との間のどのような位置に配置するかは、当業者が適宜定める事項であり、上記のように、部材ホルダ32及び摘み39を含む部材ホルダ32よりさらに外側の部分は、空気が流れることが想定されていない部分であるから、摘み39等を掃除機本体2に設けられた本体吸込み口11から集塵パック13及び前記フィルタ部材36を介して前記電動送風機9に空気が流れる部分の外部、すなわち風路部分の外部に位置するようにし、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得た事項である。
よって、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願発明の有する効果は、引用発明から当業者が容易に予測し得る範囲のものであり、格別なものとはいえない。
2 審判請求人の主張について
審判請求人は、「引用文献1に記載された発明の場合、集塵室2aは、掃除機本体2の本体吸込み口11から集塵パック13及びフィルタ31を介して電動送風機9に至る風路部分をなし、その風路部分をなす集塵室2a中に、摘み39を含むフィルタ31全体が位置する構成となっている」と主張する(審判請求書の【本願発明が特許されるべき理由】、(2)本願発明と引用発明との対比、(請求項1について)参照)。しかし、上記のように、引用発明において、フィルタ部材36の外側に位置することとなる部材ホルダ32及びそのさらに外側の部分は、含塵空気が流れることが想定されていない部分、すなわち、風路部分の外側であるから、請求人の主張は、採用することができない。
第7 結論
以上のとおり、本願発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-012286