審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2024-009035

吸口体およびこれを備えた電気掃除機

審判番号
2024-009035
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-066192
請求日
2024年05月30日
審決日
2025年09月26日
公報発行日
2025年12月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
審判長/審判官
  • 審判長 川口 真一
  • 審判官 関口 哲生
  • 審判官 永冨 宏之
分類
P18 .121-WZ (A47L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-66192「吸口体およびこれを備えた電気掃除機」拒絶査定不服審判事件〔令和4年6月21日出願公開、特開2022-92039〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 この出願(以下、「本願」という。)は、平成29年8月8日に出願した特願2017-152859号の一部を令和4年4月13日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、以下のとおりである 令和5年 4月20日付け 拒絶理由通知書 令和5年 7月 6日 意見書、手続補正書の提出 令和5年 9月13日付け 拒絶理由通知書(最後の拒絶理由通知) 令和5年11月16日 意見書、手続補正書の提出 令和6年 2月28日付け 補正の却下の決定(令和5年11月16日提出の手続補正書でした手続補正の却下) 令和6年 2月28日付け 拒絶査定 令和6年 5月30日 審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和6年5月30日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年5月30日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は補正箇所である。) 「【請求項1】 吸引力を発生する電気掃除機の本体に連通する吸口体であって、 左右方向に細長く形成された吸口本体と、 前記吸口本体の下面に設けられた開口部と、 前記吸口本体の下面の左右方向に沿って、前記開口部の後方に設けられた可動清掃体と、 前記吸口本体の左右下面に設けられた複数のサイド固定刷毛とを備え、 前記可動清掃体は、両端に軸部を有し、前記吸口本体に回動可能に支持され、 前記複数のサイド固定刷毛のうち第1のサイド固定刷毛は前記吸口本体の左右方向両端に配置され、 前記複数のサイド固定刷毛のうち第2のサイド固定刷毛は、前記吸口本体の左右方向において、前記可動清掃体の外側端部と前記第1のサイド固定刷毛の内側端部との間で、かつ、前記開口部の後方に設けられることを特徴とする吸口体。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和5年7月6日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1、3の記載は、次のとおりである。 「【請求項1】 吸引力を発生する電気掃除機の本体に連通する吸口体であって、 左右方向に細長く形成された吸口本体と、 前記吸口本体の下面に設けられた開口部と、 前記吸口本体の下面の左右方向に沿って、前記開口部の後方に設けられた可動清掃体と、 前記吸口本体の左右下面に設けられた複数のサイド固定刷毛とを備え、 前記可動清掃体は、両端に軸部を有し、前記吸口本体に回動可能に支持され、 前記複数のサイド固定刷毛のうち第1のサイド固定刷毛は前記吸口本体の左右方向両端に配置され、 前記複数のサイド固定刷毛のうち第2のサイド固定刷毛は、前記吸口本体の左右方向において、前記可動清掃体の外側端部と前記第1のサイド固定刷毛の内側端部との間に配置することを特徴とする吸口体。 【請求項3】 請求項1または2に記載の吸口体において、 前記第2のサイド固定刷毛は、前記吸口本体の前後方向において、前記開口部の後方に設けられることを特徴とする吸口体。」 (3)補正事項 上記(1)及び(2)によれば、本件補正は、本件補正前の請求項1に本件補正前の請求項3の「前記開口部の後方に設けられる」という事項を追加する補正(以下、「補正事項」という。)、を含むものである。 2 補正の適否 補正事項は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第2のサイド固定刷毛」について、「前記開口部の後方に設けられる」との事項を追加して限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、補正事項は、願書に最初に添付した図9等の記載に基づいたもので、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献1の記載及び引用発明 ア 引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由で引用された特開2016-202465号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審が付した。以下同様。)。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、電気掃除機の吸口体及びこれを備えた電気掃除機に関する。」 (イ)「【0008】 本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、効率(吸込仕事率)の低下を防げ、集塵効率を向上させることができる吸口体およびそれを用いた電気掃除機を提供することを目的とする。」 (ウ)「【0009】 上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、下面に開口部を備え、吸口本体の内部と外部とを連通する吸気口を備える吸口本体と、該吸口本体に設けられ、前記吸口本体の下面の前方向の気密を保持する第一の気密保持手段と、前記吸口本体の下面の後方向の気密を保持する第二の気密保持手段と、を有し、前記第一の気密保持手段と前記第二の気密保持手段の間に、前記吸気口から前記開口部に向けたノズル開口を備えたことを特徴とする。」 (エ)「【発明の効果】 【0010】 本発明によれば、効率(吸込仕事率)の低下を抑えつつ、集塵効率を向上させることができる吸口体およびそれを用いた電気掃除機を提供することができる。」 (オ)「【0014】 図1は本発明の第一の実施形態例に係る電気掃除機の外観図である。電気掃除機1は、掃除機本体2と、ホース部3と接続し手元操作スイッチSW等が設けられた操作管4と、伸縮自在に設けられた延長管5と、吸口体6とで構成されている。 【0015】 掃除機本体2は、吸引力発生手段としての電動送風機2a、この電動送風機2aの吸引力で集塵した塵埃を収容する集塵部2bなどを備えている。尚、本実施形態例では、いわゆるサイクロン式の電気掃除機を例に挙げて説明するが、吸引力発生手段を備えた他の形態の電気掃除機(例えば、紙パック式の電気掃除機)に適用してもよい。」 (カ)「【0020】 図2は、本実施形態例の吸口体の上面図である。図2に示すように、吸口体6は、上面視において略T字形状を呈する吸口ケース10と、吸口ケース10に連結される吸口継手13とを備えている。 【0021】 吸口ケース10は、上面視において、左右方向(幅方向)に細長く形成された吸口本体11と、吸口本体11の左右方向の中央部に吸口継手13と連結される連結部12とを備えている。連結部12には、吸口本体11と吸口継手13とを連通させる流路R(図3参照)が形成されている。」 (キ)「【0028】 図3は、本実施形態例の吸口体の下面図である。図3に示すように、吸口体6は、気密保持作用とともに、ゴミの搬送作用を有する第一回転清掃体20と、第二回転清掃体30を備えている。吸口ケース10(吸口本体11)には、下面(清掃面に対峙する面)に開口部を有するブラシ室Qと、同じく下面に開口部を有する気密室Pとが形成されている。 【0029】 第一回転清掃体20は、吸口本体11の左右方向に沿って前後方向の前側に配置され、ブラシ室Q内に回転可能に支持されている。また、第一回転清掃体20は、吸口本体11の左右方向(第一回転清掃体20の軸方向)の一端側から他端側まで連続して設けられており、モータ40(図4参照)によって駆動される(詳細は後述)。モータ40は、操作管4(図1参照)の手元操作スイッチSWによって、「運転」と「停止」を選択でき、「運転」が選択された場合には、第一回転清掃体20がモータ40によって駆動され、気密保持作用、ゴミの搬送作用に加えて、操作力軽減作用、清掃面の塵埃掻き上げ作用、磨き(拭き)作用などが得られる。 【0030】 第一回転清掃体20は、硬さが異なるブラシ等複数種類のブラシ20a、20b、20cを備え、各ブラシ20a、20b、20cがらせん状に配設されており、尚、本実施形態では、3種類のブラシ20a、20b、20cを配設した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、2種類以下、あるいは、4種類以上であってもよい。また、例えば、らせん状に配置されたブラシ間にゴムなどの弾性材料からなるブレード部材を配置したり、ブラシ間あるいはブラシの代わりに刷毛体を配置する構成としてもよい。さらに、本実施形態例の吸口体では、各ブラシをらせん状に配設することで操作性を向上させているが、本発明の目的や本発明が奏する作用効果を阻害しない範囲であれば、各ブラシを直線状に配設する等、他の形態に適宜変更することができる。」 (ク)「【0031】 第二回転清掃体30は、第一回転清掃体20の直径よりも小径で、刷毛体により覆われており、第一回転清掃体20に対して後方且つ平行に配置されている。また、第二回転清掃体30は、第一回転清掃体20の軸方向(吸口本体11の左右方向)の一端側から他端側にかけて連続して設けられている。 【0032】 また、第二回転清掃体30は、第一回転清掃体20の回転軸21と平行な軸部30a(軸)を有し、軸部30aが吸口ケース10(吸口本体11)に回転可能に支持されている。尚、第二回転清掃体30は、モータ40によって駆動されるものではなく、吸口体6を後方に移動させたときの被掃除面M(図5参照)との摩擦力によって回転するように構成されたものである。このように、第二回転清掃体30は、軸部30aを介して吸口本体11に支持されるものであるので、第二回転清掃体30の構成を簡略化することができる。尚、吸口体6を前方に移動させた場合には、図示しない回転規制手段により、第二回転清掃体30は回転しないようにしているので、吸口体6の前方から取り込まれた塵埃が気密室Pで集塵されずに第二回転清掃体30を通過して後方に飛び出すことは阻止される。 【0033】 以上の第一回転清掃体20及び第二回転清掃体30は何れも可撓性を有するブラシ材、刷毛体により覆われているので、比較的大きいゴミ(米粒など)が第一回転清掃体20及び第二回転清掃体30に到達した場合であっても、回転動作により気密室P内に向けて搬送することが可能となる。」 (ケ)「【0037】 軸受押え部材31は、第一回転清掃体20の回転軸および第二回転清掃体30の軸部30aの一端を支持するものであり、吸口ケース10にねじを用いて固定されている。 【0038】 軸受押え部材32は、第一回転清掃体20の回転軸および第二回転清掃体30の軸部30aの他端を支持するものであり、取り外し可能となるように吸口ケース10にロック機構(図示せず)を用いて固定されている。 【0039】 軸受押え部材31、32の下面には、側方からの気流の流入を抑制する気密保持部材として刷毛体81、82が配設されている。 【0040】 吸口体6の気密室Pには、図3中に矢印で示すように前方、後方、及び、側方(左右)から気流が流入する。具体的には前方からは、バンパ66の下方の隙間を抜けた流れが、第一回転清掃体20、前方隔壁63の下方の隙間を経て気密室Pに流入する。後方からは、第二回転清掃体30の下方を通過後、ブレード60(図5参照)が配設されていない中央付近に向けて流れが形成され、気密室Pに流入する。また、一部の流れはブレード60と被掃除面Mの隙間を抜けて気密室Pに流入する。側方については、刷毛体81と82の間の隙間から気流が気密室Pに流入する。」 (コ)「【0048】 図5中に矢印で示すように、被掃除面M近傍には前方と後方から流入する気流が生じるが、前方からの気流に対しては、バンパ66、第一回転清掃体20、及び、前方隔壁63が気密室Pへの流入を制限するように作用し、後方からの気流に対しては、第二回転清掃体30、及び、ブレード60が気密室Pへの流入を制限するように作用する。これらの被掃除面M近傍に生じる気流に対して、気密室Pへの流入を制限するように作用する構成を気密保持手段と称する。特に、前方から気密室Pへの気流の流入を制限するように作用するバンパ66、第一回転清掃体20、及び前方隔壁63の内の一つ又は複数を、第一の気密保持手段と称し、後方から気密室Pへの気流の流入を制限するように作用する第二回転清掃体30、及びブレード60の内の一つ又は複数を、第二の気密保持手段と称する。尚、気密保持手段の作用の有無は、対象とする構成部材の有無で気密室P内の圧力(静圧)を比較することで確認できる。具体的には、対象とする構成部材を取り外した場合に負圧が低下(静圧は上昇)すれば、当該構成部材は気密保持手段として作用していることになる。また、側方には気密保持手段として刷毛体81、82(図3参照)が備えられており、側方からの気流の流入は、刷毛体81と82の間に形成される隙間に制限される。」 (サ)引用文献1には、以下の図面が示されている。 「【図1】 [図:0001429603000001.jpg] 【図2】 [図:0001429603000002.jpg] 【図3】 [図:0001429603000003.jpg] 【図5】 [図:0001429603000004.jpg] 」 (シ)前記(キ)及び図3の記載から、第二回転清掃体30が開口部の後方に設けられていることは明らかである。 (ス)図3の記載から、吸口本体11の左右下面に複数の刷毛体81、82が設けられ、刷毛体82は前記吸口本体11の左右方向両端に配置され、また、刷毛体81は、吸口本体11の左右方向において、第二回転清掃体30の外側端部であり、かつ、開口部の後方に設けられていることは明らかである。 イ 引用発明 前記(ア)~(ス)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「吸引力を発生する電気掃除機1の掃除機本体2に連通する吸口体6であって、 左右方向に細長く形成された吸口本体11と、 前記吸口本体11の下面に設けられた開口部と、 前記吸口本体11の下面の左右方向に沿って、前記開口部の後方に設けられた第二回転清掃体30と、 前記吸口本体11の左右下面に設けられた複数の刷毛体81、82とを備え、 前記第二回転清掃体30は、両端に軸部30aを有し、前記吸口本体11に回転可能に支持され、 前記複数の刷毛体81、82のうち刷毛体82は前記吸口本体11の左右方向両端に配置され、 前記複数の刷毛体81、82のうち刷毛体81は、前記吸口本体11の左右方向において、前記第二回転清掃体30の外側端部であり、かつ、開口部の後方に設けられる吸口体6。」 (3)引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「掃除機本体2」は本件補正発明の「本体」に相当し、以下同様に、「吸口体6」は「吸口体」に、「吸口本体11」は「吸口本体」に、「第二回転清掃体30」は「可動清掃体」に、「刷毛体81、82」は「サイド固定刷毛」に、「軸部30a」は「軸部」に、「回転可能」は「回動可能」に、「刷毛体82」は「第1のサイド固定刷毛」に、「刷毛体81」は「第2のサイド固定刷毛」に、それぞれ相当する。 そして、引用発明の「刷毛体81は、前記吸口本体11の左右方向において、前記第二回転清掃体30の外側端部であり、かつ、開口部の後方に設けられる」と本願発明の「第2のサイド固定刷毛は、前記吸口本体の左右方向において、前記可動清掃体の外側端部と前記第1のサイド固定刷毛の内側端部との間で、かつ、前記開口部の後方に設けられる」とは、「第2のサイド固定刷毛は、前記吸口本体の左右方向において、前記可動清掃体の外側端部であり、かつ、前記開口部の後方に設けられる」の点で共通する。 イ 一致点及び相違点 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「吸引力を発生する電気掃除機の本体に連通する吸口体であって、 左右方向に細長く形成された吸口本体と、 前記吸口本体の下面に設けられた開口部と、 前記吸口本体の下面の左右方向に沿って、前記開口部の後方に設けられた可動清掃体と、 前記吸口本体の左右下面に設けられた複数のサイド固定刷毛とを備え、 前記可動清掃体は、両端に軸部を有し、前記吸口本体に回動可能に支持され、 前記複数のサイド固定刷毛のうち第1のサイド固定刷毛は前記吸口本体の左右方向両端に配置され、 前記複数のサイド固定刷毛のうち第2のサイド固定刷毛は、前記吸口本体の左右方向において、前記可動清掃体の外側端部であり、かつ、前記開口部の後方に設けられる吸口体。」 (相違点) 第2のサイド固定刷毛の配置について、本件補正発明は、吸口本体の左右方向において、「前記可動清掃体の外側端部と前記第1のサイド固定刷毛の内側端部との間」であるのに対し、 引用発明は、吸口本体11の左右方向において、第二回転清掃体30の外側端部であるものの、前記第二回転清掃体30の外側端部と刷毛体82の内側端部との間ではない点。 (4)判断 以下、相違点について検討する。 引用文献1の段落0039(前記(2)ア(ケ)を参照)に「軸受押え部材31、32の下面には、側方からの気流の流入を抑制する気密保持部材として刷毛体81、82が配設されている。」と、また、段落0048に「側方には気密保持手段として刷毛体81、82(図3参照)が備えられており、側方からの気流の流入は、刷毛体81と82の間に形成される隙間に制限される。」(前記(2)ア(コ)参照)と記載されるように、刷毛体81、82は、側方からの気流が流入するのを抑制するための複数の気密保持部材であるところ、いずれの気密保持部材を、どこまで延ばして配置するか等、気密保持部材の形状や配置を設計変更することは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。 そして、引用文献1の図3には、刷毛体81が、第二回転清掃体30の外側端部と刷毛体82の後方端部の間に生じた隙間を塞ぐように配置することが示されているところ、引用発明において、一方の気密保持部材である刷毛体82を第二回転清掃体30の外側端部近傍まで延ばして構成し、あるいは、他方の気密保持部材である刷毛体81を、一方の気密保持部材である刷毛体82の内側まで延ばして構成し、刷毛体81が、第二回転清掃体30の外側端部と刷毛体82の内側端部との間に生じる隙間を塞ぐように構成することは、当業者が適宜設定し得た設計事項にすぎず、そのように構成して、本件補正発明の上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (5)作用効果について 前記相違点を勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明が奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (6)審判請求人の主張に対して ア 審判請求人は審判請求書で、「引用文献1に記載された発明は、前記した本願発明の「前記複数のサイド固定刷毛のうち第2のサイド固定刷毛は、前記吸口本体の左右方向において、前記可動清掃体の外側端部と前記第1のサイド固定刷毛の内側端部との間で、かつ、前記開口部の後方に設けられる」という効果について、本願発明よりも低い効果しか得ることができないものである。」(「3.(c)」を参照)と主張する。 しかし、単に、引用発明が、「本願発明よりも低い効果しか得ることができない」と主張するにとどまり、具体的にどのような点で低い効果しか得られないのか、何ら説明がされていない。そして、前記(4)でも示したように、引用発明において、本件補正発明の上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであり、本件補正発明が奏する効果は、説明がされていない程度の効果にすぎず、当業者であれば予測可能な程度の効果にすぎない。 以上によれば、審判請求人の上記主張は、採用できない。 (7)まとめ したがって、本件補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 本件補正についてのむすび 以上によれば、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、本件補正前の、令和5年7月6日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定は、以下の理由を含むものである。 この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3 引用文献1及び引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、前記「第2[理由]2(2)」に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記「第2[理由]2(3)」で検討した本件補正発明から、第2のサイド固定刷毛について、「前記開口部の後方に設けられる」という、配置に関する限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明と引用発明との相違点は、前記「第2[理由]2(3)イ」における相違点となる。 本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「第2[理由]2(4)」に記載したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様に、本願発明も、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2024-009035

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決69件(日立グローバルライフソリューションズ株式会社)
  • 2024-014758拒絶査定不服審判 / 2026-08-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)貯蔵庫並びに貯蔵庫及び撮影装置が行う撮影方法
    同じ当事者: 日立グローバルライフソリューションズ株式会社
  • 2024-005998拒絶査定不服審判 / 2026-03-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)電気掃除機
    同じ当事者: 日立グローバルライフソリューションズ株式会社
  • 2024-008339拒絶査定不服審判 / 2025-11-14 / 原査定取消(特許/登録すべき)電気掃除機セット
    同じ当事者: 日立グローバルライフソリューションズ株式会社
  • 2024-005049拒絶査定不服審判 / 2025-10-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)電気掃除機
    同じ当事者: 日立グローバルライフソリューションズ株式会社
  • 2023-016939拒絶査定不服審判 / 2025-01-16 / 請求不成立冷蔵庫
    同じ当事者: 日立グローバルライフソリューションズ株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)354件(121・A47L)
  • 2024-015339拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)洗浄装置
    共通の審決分類: 121・A47L
  • 2025-011313拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)清掃装置
    共通の審決分類: 121・A47L
  • 2025-008383拒絶査定不服審判 / 2026-07-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)装置ベース、貯水可能な装置及び清掃ロボット
    共通の審決分類: 121・A47L
  • 2024-016797拒絶査定不服審判 / 2026-06-22 / 原査定取消(特許/登録すべき)電動機器
    共通の審決分類: 121・A47L
  • 2025-000349拒絶査定不服審判 / 2026-06-22 / 請求不成立清掃用シート及び掃除部材
    共通の審決分類: 121・A47L

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存