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特許異議申立

2024-701154

静電チャック

審判番号
2024-701154
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-049641
登録番号
7494973
請求日
2024年11月28日
審決日
2025年06月30日
公報発行日
2025年10月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】TOTO株式会社
  • 【権利者代理人】鎌田 徹
  • 【権利者代理人】稲葉 良幸
  • 【権利者代理人】村井 賢郎
  • 【権利者代理人】津田 拓真
  • 【異議申立人】金 海松
審判長/審判官
  • 審判長 梶尾 誠哉
  • 審判官 中野 浩昌
  • 審判官 打出 義尚
分類
P1651.121-YAA(H01L) / P1651.537-YAA(H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7494973号発明「静電チャック」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7494973号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正することを認める。 特許第7494973号の請求項1~3に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許7494973号の請求項1~3に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和5年3月27日に出願され、令和6年5月27日にその特許権の設定登録がされ、同年6月4日に特許掲載公報が発行された。 その特許についての特許異議の申立ての経緯は次のとおりである。 令和6年11月28日 :特許異議申立人 金 海松(以下「申立人」という。)による請求項1~3に係る特許についての特許異議の申立て 令和7年 2月21日付け:取消理由通知 同年 4月11日 :意見書、訂正請求書の提出(特許権者) 同年 4月23日付け:訂正請求があった旨の通知 なお、申立人は、訂正請求があった旨の通知に対して、指定期間内に意見書を提出しなかった。 第2 訂正の適否について 1 訂正の内容 特許権者が令和7年4月11日に提出した訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(訂正箇所を示すため、当審において下線を付与した。) (1) 訂正事項1 訂正前の特許請求の範囲の請求項1の、 「被吸着物が載置される載置面を有し、当該載置面に対し垂直に貫通穴が形成された誘電体基板と、 前記誘電体基板の内部に埋め込まれた吸着電極と、 前記吸着電極とは異なる位置において、前記誘電体基板の内部に埋め込まれたRF電極と、を備え、 前記RF電極には、前記貫通穴と同心であり且つ前記貫通穴を包含する円形の開口が形成されており、 前記開口の半径が1.75mm以上であることを特徴とする静電チャック。」 との記載を、 「被吸着物が載置される載置面を有し、当該載置面に対し垂直に貫通穴が形成された誘電体基板と、 前記誘電体基板の内部に埋め込まれた吸着電極と、 前記吸着電極とは異なる位置において、前記誘電体基板の内部に埋め込まれたRF電極と、を備え、 前記RF電極には、前記貫通穴と同心であり且つ前記貫通穴を包含する円形の開口が形成されており、 前記開口の半径が1.75mm以上であり、 前記貫通穴のうち最も前記載置面側の部分、の半径が0.15mm以下であることを特徴とする静電チャック。」 に訂正する。(請求項1を引用する請求項2、3も同様に訂正する。) (2) 一群の請求項 本件訂正前の請求項1~3について、請求項2、3は、それぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項1による請求項1の訂正に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~3に対応する訂正後の請求項1~3は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 2 訂正の適否についての判断 以下、訂正事項1の訂正の適否について判断する。 なお、特許異議の申立ては、上記第1のとおり、訂正前の請求項1~3に対してされているから、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 (1) 訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1に「前記貫通穴のうち最も前記載置面側の部分、の半径が0.15mm以下である」との事項を付加して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (2) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項1によって限定される「前記貫通穴のうち最も前記載置面側の部分、の半径が0.15mm以下である」との事項は、願書に添付した明細書の「貫通穴151は、貫通穴であるガス穴150のうち最も面110側の部分、すなわち、ガスの出口部分ということもできる。」(段落0039)との記載、「尚、貫通穴151の半径R0は、例えば0.15mmもしくはそれ以下である。」(段落0042)との記載、及び図2の記載に基づくものである。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。 (3) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「貫通穴」について、上記(1)のとおり、「前記貫通穴のうち最も前記載置面側の部分、の半径が0.15mm以下である」との事項を付加して限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6号に適合する。 3 小括 以上のとおり、本件訂正は適法にされたものであるから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~3に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明3」といい、まとめて「本件発明」ということがある。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 【請求項1】 被吸着物が載置される載置面を有し、当該載置面に対し垂直に貫通穴が形成された誘電体基板と、 前記誘電体基板の内部に埋め込まれた吸着電極と、 前記吸着電極とは異なる位置において、前記誘電体基板の内部に埋め込まれたRF電極と、を備え、 前記RF電極には、前記貫通穴と同心であり且つ前記貫通穴を包含する円形の開口が形成されており、 前記開口の半径が1.75mm以上であり、 前記貫通穴のうち最も前記載置面側の部分、の半径が0.15mm以下であることを特徴とする静電チャック。 【請求項2】 前記開口の半径は5.35mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の静電チャック。 【請求項3】 前記貫通穴がガス供給用の穴であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の静電チャック。 第4 申立理由と取消理由の概要 1 申立理由の概要 申立人は、証拠として甲第1号証~甲第5号証(以下、それぞれを「甲1」~「甲5」という。)を提出し、特許異議申立書に記載した申立理由により、本件特許の請求項1~3に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。 申立理由の概要は、以下のとおりである。 (1) 申立理由1(進歩性) 本件特許の請求項1~3に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2の記載に基づいて、又は甲1に記載された発明及び甲3の記載に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2) 申立理由2(サポート要件) 本件特許の請求項1~3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、請求項1~3に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 [証拠方法] 甲1:特開2021-40109号公報 甲2:特開2020-72262号公報 甲3:特許第3965258号公報 甲4:特開2017-31039号公報 甲5:特開2000-114239号公報 2 取消理由の概要 当審において通知した令和7年2月21日付け取消理由通知書に記載した取消理由の概要は、以下のとおりである。 (1) 取消理由1(進歩性) 本件特許の請求項1~3に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2、甲3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2) 取消理由2(サポート要件) 本件特許の請求項1~3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、請求項1~3に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 第5 当審の判断 1 進歩性(特許法第29条第2項)について いずれも甲1を主引例とする取消理由1(進歩性)及び申立理由1(進歩性)について、まとめて検討する。 (1) 甲号証について ア 甲1の記載と甲1に記載された発明 (ア) 甲1の記載 甲1には以下の記載がある。(引用箇所を示すため、当審において下線を付与した。) 「【0039】 図1は、実施形態に係る静電チャックを模式的に表す断面図である。 図1に表したように、静電チャック100は、セラミック誘電体基板10と、第1電極層11と、第2電極層12と、ベースプレート50と、を備える。」 「【0041】 セラミック誘電体基板10は、第1主面10aと、第2主面10bと、を有する。第1主面10aは、吸着の対象物Wが載置される面である。第2主面10bは、第1主面10aとは反対側の面である。吸着の対象物Wは、例えば、シリコンウェーハなどの半導体基板である。 【0042】 なお、本願明細書において、ベースプレート50からセラミック誘電体基板10に向かう方向をZ軸方向とする。Z軸方向は、例えば、各図に例示する通り、第1主面10aと第2主面10bとを結ぶ方向である。Z軸方向は、例えば、第1主面10a及び第2主面10bに対して略垂直な方向である。Z軸方向と直交する方向の1つをX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に直交する方向をY軸方向ということにする。本願明細書において、「面内」とは、例えばX-Y平面内である。 【0043】 セラミック誘電体基板10の内部には、第1電極層11及び第2電極層12が設けられる。第1電極層11及び第2電極層12は、第1主面10aと、第2主面10bと、の間に設けられる。すなわち、第1電極層11及び第2電極層12は、セラミック誘電体基板10の中に挿入されるように設けられる。第1電極層11及び第2電極層12は、例えば、セラミック誘電体基板10に一体焼結されることで内蔵されてもよい。 【0044】 第1電極層11は、Z軸方向において、第1主面10aと第2主面10bとの間に位置する。第2電極層12は、Z軸方向において、第1主面10aと第1電極層11との間に位置する。換言すれば、第1電極層11は、Z軸方向において、第2電極層12と第2主面10bとの間に位置する。」 「【0047】 第1電極層11は、高周波電源(図10の高周波電源504)と接続される。上部電極(図10の上部電極510)及び第1電極層11に高周波電源から電圧(高周波電圧)が印加されることで、処理容器501内部においてプラズマが発生する。第1電極層11は、換言すれば、プラズマを発生させるための下部電極である。高周波電源は、高周波のAC(交流)電流を第1電極層11に供給する。ここでいう「高周波」は、例えば、200kHz以上である。」 「【0049】 第2電極層12は、吸着用電源(図10の吸着用電源505)と接続される。静電チャック100は、吸着用電源から第2電極層12に電圧(吸着用電圧)を印加することによって、第2電極層12の第1主面10a側に電荷を発生させ、静電力によって対象物Wを吸着保持する。換言すれば、第2電極層12は、対象物Wを吸着させるための吸着電極である。吸着用電源は、直流(DC)電流またはAC電流を第2電極層12に供給する。吸着用電源は、例えば、DC電源である。吸着用電源は、例えば、AC電源であってもよい。」 「【0051】 第2電極層12には、セラミック誘電体基板10の第2主面10b側に延びる接続部20が設けられている。接続部20は、例えば、第2電極層12と導通するビア(中実型)やビアホール(中空型)である。接続部20は、ロウ付けなどの適切な方法によって接続された金属端子でもよい。」 「【0056】 セラミック誘電体基板10は、溝14と接続された貫通孔15を有する。貫通孔15は、第2主面10bから第1主面10aにかけて設けられる。すなわち、貫通孔15は、第2主面10bから第1主面10aまでZ軸方向に延び、セラミック誘電体基板10を貫通する。」 「【0058】 ベースプレート50には、ガス導入路53が設けられる。ガス導入路53は、例えば、ベースプレート50を貫通するように設けられる。ガス導入路53は、ベースプレート50を貫通せず、他のガス導入路53の途中から分岐してセラミック誘電体基板10側まで設けられていてもよい。また、ガス導入路53は、ベースプレート50の複数箇所に設けられてもよい。 【0059】 ガス導入路53は、貫通孔15と連通する。すなわち、ガス導入路53に流入した伝達ガス(ヘリウム(He)等)は、ガス導入路53を通過した後に、貫通孔15に流入する。 【0060】 貫通孔15に流入した伝達ガスは、貫通孔15を通過した後に、対象物Wと溝14との間に設けられた空間に流入する。これにより、対象物Wを伝達ガスによって直接冷却することができる。 【0061】 図2は、実施形態に係る静電チャックの一部を拡大して模式的に表す断面図である。 図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る静電チャックの第1電極層の一例を模式的に表す平面図及び断面図である。 図4(a)及び図4(b)は、実施形態に係る静電チャックの第1電極層の別の一例を模式的に表す平面図及び断面図である。 図5(a)及び図5(b)は、実施形態に係る静電チャックの第1電極層の別の一例を模式的に表す平面図及び断面図である。 図2は、図1に示す領域R1を拡大して示す。 図3(b)は、図3(a)に示したA1-A2線による断面図である。図4(b)は、図4(a)に示したB1-B2線による断面図である。図5(b)は、図5(a)に示したC1-C2線による断面図である。 なお、図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)、図5(a)、及び図5(b)においては、ガス導入路53及び接続部20を挿通させる孔部を省略している。」 「【図1】 [図:0001427977000001.jpg] 」 「【図3】 [図:0001427977000002.jpg] 」 (イ) 甲1に記載された発明 a 上記(ア)の記載について、【0061】の「図3(3a)、図3(3b)・・・においては、ガス導入路53及び接続部20を挿通させる孔部を省略している。」との記載によれば、図3に示されている第1電極層11は、ガス導入路53及び接続部20を挿通させる孔部を備えているといえる。さらに、【0059】の「ガス導入路53は、貫通孔15と連通する。」との記載、及び図1によれば、第1電極層11には、ガス導入路53と連通する貫通孔15を中心とし、該貫通穴15及び接続部20を挿通させる形状の孔部が形成されているといえる。 b 以上を踏まえると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。(括弧内は、引用箇所を示す。) [甲1発明] 「吸着の対象物Wが載置される第1主面10aと、第1主面10aとは反対側の面である第2主面10bを有し、第1主面10aに対して略垂直な方向であるZ軸方向に伸びる貫通孔15を有するセラミック誘電体基板10と、(【0041】、【0042】、【0056】) セラミック誘電体基板10の内部に設けられ、対象物Wを吸着させるための吸着電極であり、第2主面10b側に伸びる接続部20が設けられた第2電極層12と、(【0043】、【0049】、【0051】) セラミック誘電体基板10の内部に設けられ、Z軸方向において、第2電極層12と第2主面10bとの間に位置し、高周波電源から電圧(高周波電圧)が印加される第1電極層11と、(【0043】、【0044】、【0047】) を備え、 第1電極層11には、ガス導入路53と連通する貫通孔15を中心とし、該貫通孔15及び接続部20を挿通させる形状の孔部が形成されている(上記a) 静電チャック100。(【0039】、【図1】)」 イ 甲2の記載 甲2には以下の記載がある。 「【0045】 (第1の実施形態) 図1は、第1の実施形態に係る静電チャックを例示する模式的断面図である。 図1に表したように、本実施形態に係る静電チャック110は、セラミック誘電体基板11と、ベースプレート50と、第1多孔質部90と、を備える。」 「【0054】 また、セラミック誘電体基板11の第1主面11a側には、必要に応じてドット13が設けられており、ドット13の間に溝14が設けられている。すなわち、第1主面11aは凹凸面であり、凹部と凸部とを有する。第1主面11aの凸部がドット13に相当し、第1主面11aの凹部が溝14に相当する。溝14は、XY平面内において連続して延びている。静電チャック110に載置された対象物Wの裏面と溝14を含む第1主面11aとの間に空間が形成される。 【0055】 セラミック誘電体基板11は、溝14と接続された貫通孔15を有する。貫通孔15は、第2主面11bから第1主面11aにかけて設けられる。すなわち、貫通孔15は、第2主面11bから第1主面11aまでZ方向に延び、セラミック誘電体基板11を貫通する。」 「【0057】 ベースプレート50には、ガス導入路53が設けられる。ガス導入路53は、ベースプレート50を例えば貫通するように設けられる。ガス導入路53は、ベースプレート50を貫通せず、他のガス導入路53の途中から分岐してセラミック誘電体基板11側まで設けられていてもよい。また、ガス導入路53は、ベースプレート50の複数箇所に設けられてもよい。 【0058】 ガス導入路53は、貫通孔15と連通する。すなわち、ガス導入路53に流入したガス(ヘリウム(He)等)は、ガス導入路53を通過した後に、貫通孔15に流入する。 【0059】 貫通孔15に流入したガスは、貫通孔15を通過した後に、対象物Wと溝14を含む第1主面11aとの間に設けられた空間に流入する。これにより、対象物Wをガスによって直接冷却することができる。」 「【0062】 この例では、貫通孔15は、孔部15aと、孔部15b(第1孔部の一例に相当する)と、を有する。孔部15aの一端は、セラミック誘電体基板11の第2主面11bに位置する。」 「【0064】 孔部15bの径は、例えば0.05ミリメートル(mm)以上0.5mm以下である。孔部15aの径は、例えば1mm以上5mm以下である。なお、孔部15bは、孔部15aと間接的に連通していてもよい。すなわち、孔部15aと孔部15bとを接続する孔部15c(第2孔部の一例に相当する)が設けられてもよい。図2(a)に表したように、孔部15cは、セラミック誘電体基板11に設けることができる。孔部15cは、第1多孔質部90に設けることもできる。孔部15cは、セラミック誘電体基板11および第1多孔質部90に設けることもできる。すなわち、セラミック誘電体基板11および第1多孔質部90の少なくともいずれかは、孔部15bと第1多孔質部90との間に位置する孔部15cを有することができる。この場合、孔部15cがセラミック誘電体基板11に設けられていれば、孔部15cの周囲における強度を高くすることができ、孔部15cの周辺におけるチッピングなどの発生を抑制できる。そのため、アーク放電の発生をより効果的に抑制することができる。孔部15cが第1多孔質部90に設けられていれば、孔部15cと第1多孔質部90との位置合わせが容易となる。そのため、アーク放電の低減とガスの流れの円滑化との両立がより容易となる。孔部15a、孔部15b及び孔部15cのそれぞれは、例えば、Z方向に延びる円筒状である。」 「【図2】 [図:0001427977000003.jpg] 」 ウ 甲3の記載 甲3には以下の記載がある。 「【0017】 半導体ウエハーを静電チャックによって保持し、赤外線等によって加熱する場合や、静電チャック自体を発熱させて半導体ウエハーを加熱することにより、半導体ウエハーの表面に半導体膜を形成するような場合には、半導体ウエハーの表面の温度を均一に保持する必要がある。この表面温度が不均一であると、ウエハーの表面に堆積する半導体膜の厚さが不均一となり、半導体不良の原因となるからである。このため、静電チャックの供給面と半導体ウエハーとの間にバックサイドガスを流すことによって、半導体ウエハーの温度分布を小さくする方法が知られている。」 「【0026】 静電チャックの基体3には、背面3bに向かって開口する空隙部10が所定箇所に形成されている。空隙部10と供給面3aとの間には薄肉部15が形成されており、薄肉部15には複数のガス供給孔14が形成されている。各ガス供給孔14の一方の開口14aが設置面3aに設けられており、他方の開口14bが凹部10に面している。 【0027】 半導体ウエハーをプラズマエッチングあるいは成膜する際には、チャンバー内を真空にし、半導体ウエハー1を供給面3a上に設置し、電極6に直流電圧を供給して半導体ウエハー1を静電吸着し、次いでバックサイドガスを基体3の背面3b側に導入する。このガスは、空隙部10を通り、各ガス供給孔14内を矢印Dのように流れ、空間7へと吹き出す。そして、空間7から、各エンボス部の間のガス通路8内へと流出する。半導体ウエハー1と供給面6との間にバックサイドガスを供給した後に、チャンバー内へと成膜ガスあるいはエッチングガスを導入し、電極6へと、直流電圧に加えて高周波電圧を供給し、半導体ウエハー1上の空間にプラズマを発生させる。」 「【0041】 ガス供給孔の直径aは、本発明の作用効果を達成する上で、150μm以下が好ましく、100μm以下が更に好ましい。もっとも外側のガス供給孔とエンボス部との間隔fは、3mm以上が好ましい。エンボス部の高さgは0.005-0.05mmが好ましい。各薄肉部の厚さbは、ガス供給孔の内壁面のテーパーや段差を防止するために、1mm以下とすることが好ましい。空隙部10の直径eは3-5mmが好ましく、厚さdは3-25mmが好ましい。」 「【図3】 [図:0001427977000004.jpg] 」 エ 甲4の記載 甲4には以下の記載がある。 「【0018】 本発明の一実施例による静電チャック用セラミック組成物は、主成分のセラミック粉末と、導電性粉末と、を含む。」 「【0022】 上記導電性粉末の含量が2重量%未満であるとセラミック組成物で形成されたセラミック層の比抵抗値が高くなる可能性があり、上記導電性粉末の含量が6重量%を超過すると静電チャックの絶縁破壊電圧が減少して信頼性が低くなるおそれがある。」 オ 甲5の記載 甲5には以下の記載がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス基板を用いた電子デバイスの製造に利用されるドライエッチング方法に関し、特にガラス基板上に形成した絶縁膜上の導電性膜のエッチング処理に関するものである。」 「【0007】この絶縁破壊を回避するには、供給する高周波電力を小さくしてプラズマ密度をコントロールするととともに、電極の自己バイアス電圧をコントロールすることにより、基板に入射するイオン及び電子を減らし、基板に帯電される電荷量を少なくすることが最も有効であり、そのため供給する電力の大きさを調整することによって対応していた。」 (2) 本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明を対比する。 (ア) 甲1発明の「静電チャック100」は、後述の相違点を除き、本件発明1の「静電チャック」に相当する。 (イ) 甲1発明の「セラミック誘電体基板10」は、本件発明1の「誘電体基板」に相当する。また、甲1発明の「セラミック誘電体基板10」は、「吸着の対象物Wが載置される第1主面10aと、」「第1主面10aに対して略垂直な方向であるZ軸方向に伸びる貫通孔15を有する」ところ、「吸着の対象物W」及び「第1主面10a」は、それぞれ本件発明1の「被吸着物」及び「載置面」に相当し、さらに、甲1発明の「第1主面10aに対して略垂直な方向であるZ軸方向に伸びる貫通孔15」は、本件発明1の「当該載置面に対し垂直に」「形成された」「貫通穴」に相当する。したがって、甲1発明の「セラミック誘電体基板10」は、本件発明1の「被吸着物が載置される載置面を有し、当該載置面に対し垂直に貫通穴が形成された誘電体基板」に相当する。 (ウ) 甲1発明の「第2電極層12」は、「セラミック誘電体基板10の内部に設けられ」たものであり、「対象物Wを吸着させるための吸着電極」であるから、本件発明1の「前記誘電体基板の内部に埋め込まれた吸着電極」に相当する。 (エ) 甲1発明の「第1電極層11」は、「セラミック誘電体基板10の内部に設けられ、Z軸方向において、第2電極層12と第2主面10bとの間に位置」するから、第2電極層12とは異なる位置で、セラミック誘電体基板10の内部に設けられたものである。さらに、甲1発明の「第1電極層11」は、「高周波電源から電圧(高周波電圧)が印加される」ものであるから、RF電極といえる。したがって、甲1発明の「第1電極層11」は、本件発明1の「前記吸着電極とは異なる位置において、前記誘電体基板の内部に埋め込まれたRF電極」に相当する。 (オ) 甲1発明の「第1電極層11」に形成された「孔部」は、「貫通孔15及び接続部20を挿通させる」から、「貫通孔15」を包含する形状の開口といえ、該開口の中心は、貫通孔15の中心と同じであるといえる。そうすると、甲1発明の「第1電極層11には、ガス導入路53と連通する貫通孔15を中心とし、該貫通孔15及び接続部20を挿通させる形状の孔部が形成されている」ことと、本件発明1の「前記RF電極には、前記貫通穴と同心であり且つ前記貫通穴を包含する円形の開口が形成され」ていることとは、「前記RF電極には、前記貫通穴と同心であり且つ前記貫通穴を包含する」形状の「開口が形成され」ている点で共通する。 (カ) 以上によれば、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。 [一致点] 被吸着物が載置される載置面を有し、当該載置面に対し垂直に貫通穴が形成された誘電体基板と、 前記誘電体基板の内部に埋め込まれた吸着電極と、 前記吸着電極とは異なる位置において、前記誘電体基板の内部に埋め込まれたRF電極と、を備え、 前記RF電極には、前記貫通穴と同心であり且つ前記貫通穴を包含する形状の開口が形成された 静電チャック。 [相違点] <相違点1> RF電極に形成された貫通穴を包含する開口について、本件発明1では、前記貫通穴と同心の「円形」であり、「半径が1.75mm以上である」と特定されているのに対し、甲1発明では、これらの点が特定されていない点。 <相違点2> 貫通穴について、本件発明1では、「前記貫通穴のうち最も前記載置面側の部分、の半径が0.15mm以下である」と特定されているのに対し、甲1発明では、この点が特定されていない点。 イ 判断 相違点1及び相違点2について、合わせて検討する。 甲2及び甲3の記載はそれぞれ上記(1)イ及びウのとおりであるところ、甲2及び甲3には、相違点2に係る貫通穴のうち最も載置面側の部分の半径を0.15mm以下とする構成とともに、相違点1に係るRF電極に形成された開口の半径を1.75mm以上とする構成を備えることについて、記載も示唆もされていない。 そうすると、本件発明1において、相違点1及び2の構成を採用することは、当業者であっても容易に想到するものではない。 そして、本件発明1は、相違点1及び相違点2に係る構成を備えることにより、後記2(3)で述べる作用効果を奏するものである。 したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2、甲3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 本件発明2及び3について 請求項2及び3は請求項1を引用する請求項であるから、本件発明2及び3は、本件発明1の構成を全て備えるものである。 そうすると、本件発明2及び3は、上記(2)アの相違点1及び相違点2に係る構成を備えている。 したがって、本件発明2及び3は、本件発明1についての上記(2)イの判断と同様に、甲1発明及び甲2、甲3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 サポート要件(特許法第36条第6項第1号)について (1) 取消理由2(サポート要件)の概要 請求項1には、貫通穴の半径を特定するための構成が記載されていないから、本件特許の請求項1~3に係る発明は、「開口の縁が貫通穴の内面から十分に遠い位置である」とはいえないものを含んでいる。そうすると、課題を解決できないものを含む請求項1~3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 (2) 申立理由2(サポート要件)の概要(特許異議申立書26頁3行~29頁7行) 貫通穴の大きさが特定されておらず、誘電体基板の材料が具体的に特定されておらず、かつRF電極に印可される電力の大きさが具体的に特定されていない請求項1に係る発明は、静電チャックにおいて、絶縁破壊が生じる可能性を抑制することができない形態を含む。 したがって、貫通穴を通じて絶縁破壊が生じる可能性を従来よりも低く抑えるとする発明の課題を解決するための手段が反映されていない本件特許の請求項1~3に係る発明は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たしていない。 (3) 判断 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを比較し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断するのが相当である。 そこで、以下、この判断基準に基づいて検討する。 本件特許についての出願の願書に添付した明細書の発明の詳細な説明には、本件発明が解決しようとする課題について、基板の処理中においては、吸着電極は高電位となる一方で、RF電極は所定の低い電位に保たれ、このとき、貫通穴においては、吸着電極からRF電極の開口の縁に向かって、強い電界が生じ、このような電界の方向は貫通穴の伸びる方向と概ね同じであるから、貫通穴を通じた経路で絶縁破壊が起こってしまう可能性があること(【0006】)が記載されている。 そして、発明の詳細な説明には、本件発明と同様、RF電極には、貫通穴と同心であり且つ貫通穴を包含する円形の開口が形成されており、開口の半径が1.75mm以上であること(【0008】)、及び、貫通穴の半径を0.15mm以下(【0042】)とするにより、開口の縁は貫通穴の内面から十分に遠い位置にあり、貫通穴においては、高電位の部分から開口の縁に向かう電界のうち、貫通穴の伸びる方向に沿った成分が小さくなり、これにより、貫通穴を通じて絶縁破壊が生じる可能性を従来よりも低く抑えることができる(【0009】)という作用効果を奏するものであることが記載されている。 したがって、本件発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の前記課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、特許法第36条第6項第1号の要件を満たしている。 (4) 申立人の主張について 申立人は、上記(2)のとおり、本件発明では、貫通穴の大きさに加え、誘電体基板の材料やRF電極に印可される電力の大きさも具体的に特定されておらず、絶縁破壊が生じる可能性を抑制することができない形態を含んでいるから、本件発明は、発明の課題を解決するための手段が反映されていない旨主張する。 しかしながら、上記(3)のとおり、本件発明は、貫通穴の半径、すなわち、貫通穴の大きさに着目し、「前記貫通穴のうち最も前記載置面側の部分、の半径が0.15mm以下である」と特定することによって、発明の課題を解決することができるから、本件発明は、発明の課題を解決するための手段が反映されたものであるということができる。 したがって、申立人の主張は、上記(3)の判断を左右するものではない。 第6 むすび 以上の次第であるから、取消理由通知に記載した理由、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、特許第7494973号の請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-701154

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