特許異議申立
2024-701150
路上路盤再生工事のモニタリングシステムと情報通信型スタビライザ
- 審判番号
- 2024-701150
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-124422
- 登録番号
- 7491877
- 請求日
- 2024年11月28日
- 審決日
- 2025年04月04日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】ニチレキ株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人須磨特許事務所
- 【異議申立人】上田 精一
- 審判長/審判官
- 審判長 松田 直也
- 審判官 下林 義明
- 審判官 古川 哲也
- 分類
- P1651.121-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7491877号発明「路上路盤再生工事のモニタリングシステムと情報通信型スタビライザ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7491877号の請求項1~19に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7491877号の請求項1~19に係る特許についての出願は、令和3年7月29日(優先権主張令和2年8月3日)の出願であって、令和6年5月20日にその特許権の設定登録がされ、同年5月28日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、同年11月28日に異議申立人 上田精一(以下、「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
特許第7491877号の請求項1~19の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~19に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(以下、それぞれ、「本件発明1」~「本件発明19」という。)
「【請求項1】
サーバを含む路上路盤再生工事モニタリングシステムであって、
前記サーバは、スタビライザから対象とする工事の識別情報とともに送信されてくるモニタリング情報を受信する手段と、受信した前記モニタリング情報を当該情報を送信したスタビライザ及び対象とする工事と対応づけて記憶する手段と、利用者のコンピュータから、工事を指定してモニタリング要求を受信したとき、当該工事について、前記モニタリング情報を表示する表示画面を利用者のコンピュータに送信する手段とを有しており、
前記モニタリング情報が、施工管理パラメータの設計値情報、単位時間経過ごとの当該スタビライザの位置情報、又は前記位置情報と同期した単位時間経過ごとの施工管理パラメータの実測値情報のいずれか一つ又は複数を含む情報である、路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項2】
利用者のコンピュータからの工事の前記指定が、当該工事の認証情報によって行われる、請求項1記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項3】
前記認証情報が、スタビライザの識別情報と工事に付されたパスワードの組合わせを含むものである請求項2記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項4】
前記施工管理パラメータの設計値情報が、スタビライザによる破砕混合深さの設計値についての情報を含み、前記施工管理パラメータの実測値情報が、スタビライザに装備されているセンサによって前記位置情報と同期した単位時間間隔で計測された当該スタビライザの破砕混合ロータの施工面からの沈降深さの実測値を含んでいる請求項1~3のいずれかに記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項5】
前記破砕混合ロータの施工面からの沈降深さの実測値が、前記破砕混合ロータのスタビライザ進行方向左側の沈降深さの実測値と右側の沈降深さの実測値を含んでいる請求項4記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項6】
前記施工管理パラメータの設計値情報が、単位面積あたりの添加材の散布量の設計値についての情報を含み、前記施工管理パラメータの実測値情報が、単位面積あたりの前記添加材の散布量の実測値を含んでいる請求項1~5のいずれかに記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項7】
前記施工管理パラメータの設計値情報がスタビライザの速度情報を含み、前記施工管理パラメータの実測値情報がスタビライザの速度情報を含んでいる請求項1~6のいずれかに記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項8】
前記施工管理パラメータの実測値情報がスタビライザの左右方向の傾き角度情報を含んでいる請求項1~7のいずれかに記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項9】
前記施工管理パラメータの実測値情報が、スタビライザの左右方向の傾き角度情報と、前記破砕混合ロータのスタビライザ進行方向左側の沈降深さの実測値と右側の沈降深さの実測値と、前記スタビライザの位置情報と、施工前の施工面についての三次元座標データとに基づいて求められたスタビライザの刃先面の三次元座標データを含んでいる請求項5記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項10】
前記スタビライザの刃先面の三次元座標データと、施工後の施工面についての三次元座標データとに基づいて、構築された再生路盤層の厚さを求める手段を備えている請求項9記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項11】
前記構築された再生路盤層の厚さと、設計処理厚とを、施工後の施工面上の任意の大きさの桝目状に区切られた領域ごとに比較し、両者の乖離の程度を、乖離の程度に応じた異なる形態で前記桝目状に区切られた領域ごとに表示する手段を備えている請求項10記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項12】
利用者のコンピュータに送信される前記表示画面が、単位時間経過ごとのスタビライザの位置情報に基づいて求められた任意の原点からのスタビライザの移動距離又は任意の開始時刻からの経過時間と、前記施工管理パラメータの実測値情報とを対応づけて表示する表示画面である請求項1~11のいずれかに記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項13】
前記サーバが、利用者のコンピュータに送信される前記表示画面に、前記移動距離又は前記経過時間の表示単位を前記単位時間の整数倍で変更する表示単位選択ボタンを表示する手段と、
前記表示画面上で選択された表示単位に基づいて、前記表示画面に表示する前記移動距離又は前記経過時間の表示単位を前記単位時間の整数倍で変更する手段を備えている請求項12記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項14】
破砕混合ロータと添加材の散布装置とコントロールコンピュータとを備えたスタビライザであって、
前記コントロールコンピュータが、施工対象工事の識別情報、当該工事についての施工管理パラメータの設計値情報、単位時間経過ごとの当該スタビライザの位置情報、又は前記位置情報と同期した単位時間経過ごとの施工管理パラメータの実測値情報のいずれか一つ又は複数を含むモニタリング情報を、ネットワーク上に存在するサーバに送信する手段を有しており、さらに、
前記コントロールコンピュータが、前記スタビライザに装備された受信アンテナが受信する測位信号に基づいて、単位時間経過ごとの前記スタビライザの位置情報を取得する手段と、
前記スタビライザに装備された前記破砕混合ロータの施工面からの沈降深さを計測する沈降量センサから、前記位置情報と同期した単位時間経過ごとに前記破砕混合ロータの沈降深さ情報を取得する手段と、
前記散布装置に供給される前記添加材の単位時間当たりの流量を計測する流量計から、前記位置情報と同期した単位時間経過ごとに前記添加材の単位時間あたりの流量情報を取得する手段と、
取得した前記流量情報と、前記位置情報又は当該スタビライザに搭載された速度センサから得られる速度情報と、別途入力される前記添加材の散布幅若しくは前記スタビライザに装備された散布ノズルの開閉状態に関する情報に基づいて、前記位置情報と同期した単位時間経過ごとの施工面の単位面積あたりの前記添加材の散布量を求める手段を有しており、
前記施工管理パラメータの実測値情報が、前記沈降深さ情報、及び前記単位面積あたりの前記添加材の散布量を含んでいる、情報通信型スタビライザ。
【請求項15】
前記沈降量センサが、スタビライザ進行方向左右における前記破砕混合ロータの施工面からの沈降深さを計測する沈降量センサであり、前記沈降深さ情報が、前記破砕混合ロータのスタビライザ進行方向左右における沈降深さについての情報である、請求項14記載の情報通信型スタビライザ。
【請求項16】
前記コントロールコンピュータが、単位時間経過ごとの当該スタビライザの位置情報又は当該スタビライザに搭載された速度センサに基づいて、当該スタビライザの速度を求める手段を有しており、前記施工管理パラメータの実測値情報が当該スタビライザの速度情報を含んでいる請求項14又は15に記載の情報通信型スタビライザ。
【請求項17】
当該スタビライザがスタビライザの進行方向左右の傾き角度を計測する角度センサを備えており、前記コントロールコンピュータが、前記角度センサが計測した傾き角度と、前記破砕混合ロータのスタビライザ進行方向左右における沈降深さと、当該スタビライザについての前記位置情報と、施工前の施工面についての三次元座標データとに基づいて、当該スタビライザの刃先面の三次元座標データを取得する手段を含んでいる請求項15記載の情報通信型スタビライザ。
【請求項18】
前記コントロールコンピュータが、当該スタビライザの前記刃先面の三次元座標データと、施工後の施工面についての三次元座標データとに基づいて、構築された再生路盤層の厚さを求める手段を備えている請求項17記載の情報通信型スタビライザ。
【請求項19】
前記コントロールコンピュータが、前記構築された再生路盤層の厚さと、設計処理厚とを、施工後の施工面上の任意の大きさの桝目状に区切られた領域ごとに比較し、両者の乖離の程度を、乖離の程度に応じた異なる形態で前記桝目状に区切られた領域ごとに表示する手段を備えている請求項18記載の情報通信型スタビライザ。」
第3 申立理由の概要
申立人は、概略、以下のとおり主張している。
1 証拠方法
甲第1号証 :梶原 覚 他、「クラウドを利用した舗装施工情報一元管理システム」、建設機械施工、Vol.70、No.10、2018年10月
甲第2号証 :「ICT舗装転圧施工機共有管理システム」、[online]、技術情報提供システム(NETIS)(国土交通省データベース)、インターネット<URL: https://www.netis.mlit.go.jp/netis/pubsearch/details?regNo=QS-190062%20>、NETIS登録番号:QS-190062-A、登録年月日2020年3月3日
甲第3号証 :「クラウド型転圧管理システム(SmartRoller)」、[online]、技術情報提供システム(NETIS)(国土交通省データベース)、インターネット<URL: https://www.netis.mlit.go.jp/netis/pubsearch/details?regNo=OK-170005%20>、NETIS登録番号:OK-170005-VE、登録年月日2018年3月12日
甲第4号証 :酒井重工業株式会社、「転圧管理システムCompaction Meister(CCV付)」、カタログ、2019年3月
甲第5号証 :鹿島建設株式会社、「動画像分析を活用したコンクリートの全量受入れ管理システムを開発 「コンクリート・アイ」によりコンクリートの状態・施工管理をデータで見える化!」、2019年12月25日
甲第6号証 :大成建設株式会社、「現場打ちコンクリート工事のCIMシステム「T-CIM/Concrete」を構築」、2016年11月22日
甲第7号証 :「アスファルト混合物の運搬車両位置情報と温度情報の自動取得システムを検証」、2020年1月7日
甲第8号証 :株式会社東洋スタビ、「STB500C」、カタログ、2017年11月
甲第9号証 :株式会社東洋スタビ、「STB550W」、カタログ、2016年5月
甲第10号証:aKT、「SmartRoller取扱説明書」
甲第11号証:酒井重工業株式会社、「PM550」、カタログ、2010年5月3日
甲第12号証:国土交通省、「施工履歴データを用いた出来形管理要領(路面切削工編)(案)」、令和2年3月
甲第13号証:特開2018-13016号公報
甲第14号証:特開2010-275851号公報
甲第15号証:Joseph Vogele AG、「取扱説明書 SUPER 1800-2 SJ/POSMAC 仕様」、2011年6月6日
甲第16号証:特開平10-307089号公報
(「甲第1号証」ないし「甲第16号証」を、以下、「甲1」ないし「甲16」という。)
2 申立理由の概要
申立人の主張する特許異議の申立理由(進歩性)の概要は以下のとおりである。
本件発明は、甲1~甲19に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。なお、より具体的には以下のとおりである。
(1)本件発明1、2は、甲1に記載された発明及び甲2~甲7、甲12、甲13に記載の事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本件発明3は、甲1に記載された発明及び甲2~甲7、甲10、甲12、甲13に記載の事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)本件発明4、5は、甲1に記載された発明及び甲2~甲8、甲10、甲12、甲13に記載の事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)本件発明6、7は、甲1に記載された発明及び甲2~甲13、甲15に記載の事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)本件発明8は、甲1に記載された発明及び甲2~甲13、甲15に記載の事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6)本件発明9~12は、甲1に記載された発明及び甲2~甲13、甲15に記載の事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(7)本件発明13は、甲1に記載された発明及び甲2~甲13、甲15、甲16に記載の事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(8)本件発明14~19は、甲1に記載された発明及び甲2~甲9、甲11~甲15に記載の事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 甲号証の記載
1 甲1(梶原 覚 他、「クラウドを利用した舗装施工情報一元管理システム」、建設機械施工、Vol.70、No.10、2018年10月)
(1)甲1の記載
甲1には、以下のとおりの記載がある。下線は、注目箇所に当審が付した。以下、同様。
ア「1.はじめに
2016年度より始まったi-ConstructionのICT土工は、「UAVによる測量」や「ICT建機による丁張りレス施工」、「ICT 機器による面での出来形検査」が生産性向上を目的として進められている。
一方、舗装工事にて求められる精度は「ミリメートル」単位であるため、使用される施工機械は当然ながら同様の精度が必要であり、それを実現するために早くからセンサー技術を活用したマシンコントロールが実施、導入されてきた。しかしながら舗装工事は主に、材料を外部から搬入して使用する場面が多く、マシンコントロールにより施工能力が向上しても、その材料の入荷状況が出来高に影響する特長をもっている。
また、舗装分野ではなじみの少ないCIM(Construction Information Modeling/Management)は、ライフサイクル全体を見通した情報マネジメントと、3次元モデルを活用した情報の見える化が並行して実践されている。土工においては後者の3次元モデルと属性情報の活用が有効であるが、舗装工事においては、むしろ前者の全体を見通した情報マネジメントが有効と考える。
これらを考慮し、今般、舗装版CIMの切り口として、生産性向上、省人・省力化を目指した舗装工事での舗装施工情報一元管理システム「N-P Manager」を開発した。以下にその概要と内容を示す。」
イ「2.舗装の品質管理
舗装にて使用される材料は、大別してアスファルトとコンクリートの2種類がある。施工時の主な品質管理項目についてアスファルトは「温度」、コンクリートは「時間」であり、その作業工程の要所において管理される(図─1)。しかしながら現状では、その要所における管理担当者が異なるため、施工時点においてはそれぞれの担当者が個別に情報を所有し、共有されていない実情がある。特にコンクリートでは、練り混ぜ開始から打込み完了までの経過時間が規定されているため、その経過時間を把握する連続した時間管理が重要になってくる。これらのことより、このコンクリートの時間管理を見える化、共有化するシステム(N-P Manager-Co)の検討からはじめた。」
ウ「5.コンクリート施工情報一元管理システム(N-P Manager-Co)の特長
基本的な時間の管理方法はクラウド型グループウェアを活用した方法を踏襲し、その他の付加価値機能を追加した。今回開発したシステムの特徴を以下に記す。
(1)生コン車の運行状況や現場の進捗がリアルタイムに共有、確認ができる。
(2)インターネット上で使用することができ、端末に専用ソフトを必要としない。
(3)管理時刻(出荷、到着)が自動で記録されるため、人為的な操作ミスがない。
(4)経過時間が監視され、規定時間に近づくと警告表示をする。
(5)管理時刻と連携した簡易平面図により、施工の進捗状況が視覚的に確認できる。
(6)性状試験データや強度試験データも記録することができ、管理図に表示できる。
(7)記録したデータを帳票出力することができる。
(8)打設時の気象状況(気温、湿度)も同時に記録することができる(写真─3)。」(第57頁右欄~第58頁左欄)
エ「7.効果
(1)省人・省力効果
クラウド型グループウェアシステム活用の時にその効果は確認されていたが、人員によるデータ入力作業が不要になったことから人員を1名削減することができた。またインターネット上で動作するソフトであるため、上位管理者が事務所に居ながら進捗を確認することができ、現場と事務所の相互連絡する頻度が少なくなったため、お互いにストレスを感じることなく好評であった。また記録されたデータはそのまま出力することができるため、現場終了後の事務所作業を削減することができ、就労時間削減にも寄与した。」(第58頁左欄~右欄)
オ「(3)安全性の向上
出荷から到着までが、クラウドを通じリアルタイムで確認でき、ダンプや生コン車の搬入状況や適正な配車が出来るようになり、またWEB上のジオフェンスを通過した際に、メールを自動配信することにより、LED工事看板の表示を変えることも可能で、周辺交通の安全性も向上した。」(第59頁左欄)
カ「8. 課題と展望
(1) 出荷時間の正確性
規格で規定されている生コンの運搬時間は、「練り混ぜ」から「打込み」までの経過時間である。当該システムは生コンプラントを出発した時刻で管理しているため、本来の管理時刻とは異なる。生コンプラントにおける「練り混ぜ」から「出発」までの時間はほぼ一定であるため、時刻をマイナスオフセットすれば対応可能である。また今後生コン出荷伝票の電子化が進めば、生コンプラントから「練り混ぜ」時刻情報を入手し、対応可能になるものと思われる。
(2)アジテータ車管理番号とGPS端末の紐付け
生コンクリートは多種多様な使い方ができることから、様々な現場で使用される。そのため条件にもよるが、その日に自社の現場に入場するアジテータ車を固定することが難しい。このような状態であるためアジテータ車に設置するGPSトラッカーは、出発するときに渡し、戻ってきたら回収するという方法を取らざるを得なかった。外見ではどの生コン車にどのGPS端末が搭載されているか確認できないため、伝票にGPS端末の番号を記入して対応した。今後別の方法も検討する必要があると思われる。」(第58頁左欄、「8.課題と展望」)
(2)甲1に記載された発明
上記(1)によれば、甲1には、「コンクリート施工情報一元管理システム」に関する以下の発明(「甲1発明」という。)が記載されている。
「生産性向上、省人・省力化を目指した舗装工事での舗装施工情報一元管理システムであって、練り混ぜ開始から打込み完了までの経過時間が規定され、その経過時間を把握する連続した時間管理が重要なコンクリートについて、このコンクリートの時間管理を見える化、共有化するコンクリート施工情報一元管理システム(N-P Manager-Co)において、(ア、イ、ウ)
時間の管理方法はクラウド型グループウェアを活用し、
生コン車の運行状況や現場の進捗がリアルタイムに共有、確認ができ、
管理時刻(出荷、到着)が自動で記録され、
管理時刻と連携した簡易平面図により、施工の進捗状況が視覚的に確認でき、
記録したデータを帳票出力することができるものであって、(ウ)
上位管理者が事務所に居ながら進捗を確認することができ、(エ)
出荷から到着までが、クラウドを通じリアルタイムで確認でき、ダンプや生コン車の搬入状況や適正な配車が出来るようになり、(オ)
規格で規定されている生コンの運搬時間は、「練り混ぜ」から「打込み」までの経過時間であり、(カ)
アジテータ車に設置するGPS端末の番号を有するGPSトラッカーは、出発するときに渡し、戻ってきたら回収する、(カ)
コンクリート施工情報一元管理システム(N-P Manager-Co)。」
2 甲2(「ICT舗装転圧施工機共有管理システム」、技術情報提供システム(NETIS)(国土交通省データベース)<URL: https://www.netis.mlit.go.jp/netis/pubsearch/details?regNo=QS-190062%20>、NETIS登録番号:QS-190062-A、登録年月日2020年3月3日)
甲2には、以下のとおりの記載がある。
「
[図:0001422460000001.jpg]
」(第2頁)
「新規性及び期待される効果
○1どこに新規性があるのか?(従来技術と比較して何を改善したのか?)
・転圧重機の転圧回数管理を、オペレータの目視判断から、GNSSを活用した情報化施工に変えた。
・2次転圧重機では初期転圧重機のリアルタイムな転圧回数状況、仕上げ転圧では2次転圧重機のリアルタイムな転圧回数状況の情報を共有できるようにした。(最大3台までの施工に対応)
・転圧管理は、クラウドサーバを活用した面的データの一元管理とした。
・施工機械への搭載機材は、GNSS内蔵の一体型とした。
○2期待される効果は?(新技術活用のメリットは?)
・転圧回数管理を、GNSSに変えたことにより、転圧回数をリアルタイムに確認しながら走行できるため、転圧作業効率に優れる。
・転圧重機相互の情報を共有できることにより、前段階の転圧が確実に完了したを確認しながら転圧に入れるため、未転圧あるいは転圧回数不足に伴う品質低下を防止することができる。
・クラウドサーバを活用した転圧管理により、システムの初期設定や帳票出力が全てWeb上で運用できるため、省力化を図ることができる。
・施工機械への搭載機材を一体型としたことにより、システムの設置・撤去が容易となる。」(第3頁)(当審注:○1等は○囲い数字を示す。以下、同様。)
「施工方法
【準備(事務所)】
○1Web上で初期設定・施工エリアなどを設定(外部から設定・確認が可能)
【準備(現場)】
○2重機に機器を設置後、起動時に設定値が自動ダウンロードされる
【運用】
○3施工を行う(転圧管理の実施)
○4転圧管理データをアップロード
○5Web上で帳票を出力」(第7頁)
「
[図:0001422460000002.jpg]
」(第7頁)
3 甲3(「クラウド型転圧管理システム(SmartRoller)」、技術情報提供システム(NETIS)(国土交通省データベース)<URL: https://www.netis.mlit.go.jp/netis/pubsearch/details?regNo=OK-170005%20>、NETIS登録番号:OK-170005-VE、登録年月日2018年3月12日)
甲3には、以下のとおりの記載がある。
「○1何について何をする技術なのか?
・締固め機械の転圧管理(工法規定方式)について、クラウドサーバを活用して面的データの一元管理を行うシステム
○2従来はどのような技術で対応していたのか?
・砂置換法やRI計法による品質管理(品質規定方式)
○3公共工事のどこに適用できるのか?
・路体、路床、盛土等における締固め工
・舗装工におけるアスファルト舗装工および路盤工」(第2頁)
「
[図:0001422460000003.jpg]
」(第2頁)
「新規性及び期待される効果
○1どこに新規性があるのか?(従来技術と比較して何を改善したのか?)
・施工機械の走行軌跡管理を、オペレータの主観的判断から、GNSSあるいは自動追尾式トータルステーション(以下、TS)を活用した情報化施工に変えた。
・締固め後の品質管理を、砂置換法やRI計法(品質規定方式)から、転圧回数管理(工法規定方式)に変えた。
・転圧回数管理は、クラウドサーバを活用した面的データの一元管理とした。
・GNSSについては、1周波GNSS受信機を採用した。
・GNSSについては、1周波GNSS補正情報配信サービス「RINQ(リンク)」を受けることができる。
・施工機械への搭載機材は、GNSS内蔵の一体型とした。
○2期待される効果は?(新技術活用のメリットは?)
・走行軌跡管理を、GNSSあるいはTSに変えたことにより、走行軌跡をリアルタイムに確認しながら走行できるため、転圧作業効率が向上する。
・品質管理を転圧回数の管理に変えたことにより、点的な評価から面的な評価が可能となるため、品質が向上する。
・クラウドサーバを活用した面的データの一元管理により、システムの初期設定や帳票出力が全てWeb上で運用できるため、省力化を図ることができる。
・1周波のGNSS受信機を採用したことにより、システムを安価で提供可能となる。
・1周波GNSS補正情報配信サービス「RINQ(リンク)」を受けることにより、同じ現場あるいは近くの現場で複数台に補正情報が配信されるため、経済性の負荷を軽減できる。
・施工機械への搭載機材を一体型としたことにより、システムの設置・撤去が容易となる。」(第2~3頁)
「
[図:0001422460000004.jpg]
」(第3頁)
「施工方法
システムの作業フローは以下のとおり。
ただし、事前に基地局等の通信環境整備を要する。
【事務所(施工前)】
○1Web上で初期設定・施工エリアなどを設定(外部から設定・確認が可能)
【現場(施工機)】
○2起動時に設定をダウンロード
○3施工(リモートでのリアルタイム状況確認が可能)
○4施工データをアップロード
【事務所(施工後)】
○5Web上で帳票出力」(第7~8頁)
「
[図:0001422460000005.jpg]
」(第8頁)
4 甲4(酒井重工業株式会社、「転圧管理システムCompaction Meister(CCV付)」、カタログ、2019年3月)
甲4には、以下のとおりの記載がある。
「●施工進捗は事務所でも確認可能」(第1頁)
「施工時 順次施工進捗の確認可能」(第2頁見開き右側)
「
[図:0001422460000006.jpg]
」(第2頁見開き右側)
「CCVとは
SAKAIは1990年代から土の締固め度の見える化を研究してきました。振動ローラで計測できるデータを解析して得られた数値は、乾燥密度が低いときには小さく、乾燥密度が高いときには大きくなることが分かりました。その数値をCCV(Compaction Control Value)として締固め度の指標としております。」(第3頁)
「CCVの測定原理
駆動輪にセンサを取り付け、駆動輪の動き(加速度)を計測します。転圧回数の増加に伴う加速度の変化を下図に示すと、
[図:0001422460000007.jpg]
転圧回数2回の軟らかいときはきれいな上下運動をしていますが、転圧回数8回の硬いときは上下運動に乱れが見られます。CCVは、この変化を捉えて数値化しています。」(第3頁)
5 甲5(鹿島建設株式会社、「動画像分析を活用したコンクリートの全量受入れ管理システムを開発 「コンクリート・アイ」によりコンクリートの状態・施工管理をデータで見える化!」、2019年12月25日)
甲5には、以下のとおりの記載がある。
「 鹿島(社長:押味至一)は、土木分野のコンクリート工事において、アジテータ車から荷卸しされるコンクリートの全量を連続的にモニタリングし、その動画像から施工性の良否をリアルタイムで判定するシステムを開発しました。本システムにより、施工性の悪いコンクリートを確実に排除し、配管閉塞などの施工時のトラブルや豆板などの初期欠陥を未然に防止します。
また、既存技術である連続RI水分計と組み合わせて用いることで、強度や耐久性も連続してモニタリングし、少人数で総合的な品質管理、コンクリート構造物の品質確保を実現します。」(第1頁)
「【システムの概要】
・・・
本システムを用いた管理の流れは下記の通りです。
○1 アジテータ車のシュートを撮影するビデオカメラと警告を発するパトランプ等を設置
○2 システムを搭載したPCに動画像が送信されるとAIで測定範囲を自動認識
○3 測定範囲内のコンクリートの性状・状態を分析し、施工性の良否をリアルタイムで判定
○4 施工性の悪いコンクリートを検知するとパトランプやブザーでアラートを発信
○5 性状判定結果を記録
[図:0001422460000008.jpg]
」(第2頁)
6 甲6(大成建設株式会社、「現場打ちコンクリート工事のCIMシステム「T-CIM/Concrete」を構築」、2016年11月22日)
甲6には、以下のとおりの記載がある。
「 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、施工関連情報を管理、共有するT-CIMシステムのうち、現場打ちコンクリート工事を対象とした「T-CIM/Concrete」を構築し、この度、施工現場への導入を開始しました。本システムの適用により、現場打ちコンクリート工事において必要となる様々な情報を電子化し、一元管理できるため、生産性向上と品質向上を図ることが可能になります。
従来、現場打ちコンクリート工事における打設管理では、生コンクリートの情報は、生コン工場からの出荷伝票や工事担当者が現場で記入する野帳情報で管理されており、現場関係者間でリアルタイムな打設情報管理を共有化できていない状況でした。
「T-CIM/Concrete」は、生コン工場での練り混ぜから打設完了までの生コンクリート情報を電子化し、これらをリアルタイムにインターネット上のWEBサーバで閲覧できるようにすることで、全ての工事関係者間で情報共有できるようにし、出荷管理、運搬管理、受入管理、打設管理、品質管理を支援し、現場打ちコンクリート工事の生産性向上、品質向上を目指したシステムです。(図-1参照)」
「
[図:0001422460000009.jpg]
」
7 甲7(「アスファルト混合物の運搬車両位置情報と温度情報の自動取得システムを検証」、2020年1月7日)
甲7には、以下のとおりの記載がある。
「大成ロテックは、アスファルト舗装の品質と安全性の向上を目的に、アスファルト混合の温度情報とアスファルト混合物の運搬車両の運行状況を、リアルタイムで取得し管理できるシステム(「T-CIM/Asphalt」+「TranSeeker」)の効果を、自社の施工現場で検証いたしました。
このシステムは大成建設、日建リース工業との共同開発であり、大成建設のT-CIMシリーズのひとつで、大成ロテックが開発したアスファルト舗装工事の温度管理システム「T-CIM/Asphalt」と日建リース工業の提供する運搬車両の位置情報システム「TranSeeker」とを連携させたシステムであり、運搬車の位置情報と混合物の温度情報は、大成グループ独自のクラウドに発信され、Web上で閲覧が可能であり、パソコンやタブレットなどの端末により誰でも情報を共有することができます。
このシステムにより車両の位置情報や走行ルートなどの運行状況がリアルタイムに把握できることから、現場到着時刻やプラント帰着時刻の予測が可能となります。また、アスファルト混合物の温度を、プラント出荷から現場到着まで常時確認することで、運搬中の温度低下を把握でき、迅速な出荷温度の調整などが可能となることから、温度低下によるアスファルト混合物の品質低下を防ぎ、アスファルト舗装工事の品質向上に有効であることが確認されました。」
8 甲8(株式会社東洋スタビ、「STB500C」、カタログ、2017年11月)
甲8には、以下のとおりの記載がある。
「STB500Cの特長
○1余裕ある混合深さ
最大で掘削・混合深さ1,150mmに対応します。
○2混合深さ自動制御システム採用
本来の姿勢を検出し、常に一定の深さでの混合を実現します。
○3ハイパワー混合
暫定4次排ガス規制に対応した370kw(500ps)の高出力エンジンを搭載しています。」(第2頁)
9 甲9(株式会社東洋スタビ、「STB550W」、カタログ、2016年5月)
甲9には、以下のとおりの記載がある。
「STB550Wの特長
○1抜群の破砕・混合性
2速段のローター回転数によりさまざまな施工条件に対して柔軟に対応します。
○2独自のロータシフト機構
左右500mmのロータシフト機能により、きめ細やかな施工や崩れやすい路肩作業などでの安全性を確保します。
○3施工品質の向上
破砕・混合作業と車両操作をロータフードの上部後方の運転席から集中ワンマンコントロールが可能です。
○4最大乳剤吐出量を大幅アップ
コントローラーに混合データを入力すると、乳剤散布量を作業速度に応じて自動制御します。」(第2頁)
「最大攪拌深さ 430mm」(第2頁、仕様)
「自動乳剤散布装置 0~300l/min」(第2頁、仕様)
10 甲10(aKT、「SmartRoller取扱説明書」)
甲10には、以下のとおりの記載がある。
「締固め施工機の位置をTS・RTK-GNSSで計測し、転圧回数をカウント、リアルタイムに転圧状況を運転席のコンピュータに記録・表示させます。転圧回数は、回数に応じて色分けされた任意サイズ(10cm~200cm)のメッシュで表示され、オペレータは運転席のコンピュータ画面を見ながら転圧状況が確認でき、転圧過不足の箇所などを把握することができるので、従来施工段階で不可能であった面的な管理を行うことができます。」(第1頁、はじめに)
「■ログイン画面
ここから工事名の変更が出来ます。
・・・
[図:0001422460000010.jpg]
WEB上の専用サイトにアクセスしますと、アカウント情報を入力する画面になりますので弊社の発行いたしました、IDとパスワードを入力して下さい。」(第4頁)
「比較する層との層厚(高さ差)を表示する最大高さと最小高さを指定して、そのきざみを指定します。」(第37頁、「・表示色設定」の「層厚色」の欄)
「スケールは0.01m~10000mの間で選択できます。」(第41頁、「・帳票表示の中心座標、スケール、方位の設定」の欄)
11 甲11(酒井重工業株式会社、「PM550」、カタログ、2010年5月3日)
甲11には、以下のとおりの記載がある。
「●抜群の破砕・混合性
抜群の破砕性
2速段のロータ回転数により、さまざまな施工条件に対して柔軟に対応します。」(第2頁)
「●最大乳剤吐出量を大幅アップ
最大乳剤吐出量は配管抵抗の低減により、当社従来比約100L/minアップしました。
自動乳剤散布装置(AESC:オプション)
コントローラに所要混合データ(混合幅、混合深さ、混合目標密度、乳剤重量混合比など)を入力すると、乳剤散布量を作業速度に応じて自動制御します。また散布量はコントローラのディスプレイに表示され、データは記録されます。」(第3頁)
「●回転脱着式乳剤ノズルユニットとカバー
ノズルユニットを回転させることによって、メンテナンスが容易にできます。
[図:0001422460000011.jpg]
」(第5頁)
12 甲12(国土交通省、「施工履歴データを用いた出来形管理要領(路面切削工編)(案)」、令和2年3月)
甲12には、以下のとおりの記載がある。
「3)使用する建設機械
本要領を適用するためには、ICT建設機械として、刃先の履歴(切削位置と切削深さ(高さ))をリアルタイムに表示、記録できるシステムを使用する必要がある。」(第2頁、1-2 適用の範囲)
「【施工履歴データ】
ICT建設機械により施工しながら計測されるICT建設機械の作業装置の3次元座標、取得時刻、その時の建設機械の状態等の記録をいう。
・・・
【施工履歴データを用いた出来形管理】
施工履歴データを用いて被計測対象の3次元形状の取得を行うことで、出来形や数量を面的に算出、把握する管理方法である。
【3次元設計データ】
3次元設計データとは、道路中心線形又は法線(平面線形、縦断線形)、出来形横断面形状、工事基準点情報及び利用する座標系情報など設計図書に規定されている工事目的物の形状とともに、それらをTINなどの面データで出力したものである。
【TIN】
TIN(不等三角網)とは、Triangular Irregular Network の略。TINは、地形や出来形形状などの表面形状を3次元座標の変化点標高データで補間する最も一般的なデジタルデータ構造である。TINは、多くの点を3次元上の直線で繋いで三角形を構築するものである。TINは、構造物を形成する表面形状の3次元座標の変化点で構成される。」(第4頁、1-4 用語の解説)
「
[図:0001422460000012.jpg]
」(第5頁)
「【計測点群データ(ポイントファイル)】
施工履歴データから作業装置位置の3次元座標値以外の情報を削除した地形や地物を示す3次元座標値の計測点群データ。CSV やLandXML、LAS などで出力される点群処理ソフトウェアなどでのデータ処理前のポイントのデータである。
【出来形評価用データ(ポイントファイル)】
施工履歴データから抽出した計測点群データから不要な点を削除し、さらに出来形管理基準を満たす点密度に調整したポイントデータである。専ら出来形の評価と出来形管理資料に供する。
【出来形計測データ(TINファイル)】
施工履歴データから抽出した計測点群データから不要な点を削除し、不等三角網の面の集合体として出来形地形としての面を構築したデータのことをいう。数量算出に利用する。
【出来形管理資料】
3次元設計データと出来形評価用データを用いて、設計面と出来形評価用データの各ポイントの離れ等の出来形管理基準上の管理項目の計算結果(標高較差の平均値など)と出来形の良否の評価結果、及び設計面と出来形評価用データの各ポイントの離れを表した分布図を整理した帳票、もしくは3次元モデルをいう。」(第6頁、1-4 用語の解説)
「4-3 施工履歴データによる出来形計測
受注者は、ICT建設機械による施工後、施工履歴データを取出し、出来形部分の点群データを取得する。
・・・
2)計測頻度
システム上にてリアルタイムに施工機械(刃先)の位置と該当位置における設計標高値(深さ)と切削高さ(深さ)の表示が得られること。
3)計測密度
施工履歴データによる出来形計測は、計測対象範囲内で1m2(1m×1m メッシュ)あたり1点以上の計測点が得られる設定で計測を行う。
4)計測点群データの作成
受注者は、取得した施工履歴データから3次元座標、記録時刻等の点群データを抽出する。受注者は、点群データ処理ソフトウェアを使用し、点群データから出来形部分と関係のない不要点を削除後、出来形評価用データを作成する。」(第27頁)
13 甲13(特開2018-13016号公報)
甲13には、以下のとおりの記載がある。
「【請求項1】
車両に設けられて上記車両の走行に伴い路面を切削する路面切削機と、
上記路面切削機を昇降するアクチュエータと、
上記路面切削機により切削される路面深さを検出する切削深さ検出部と、
上記切削深さ検出部の検出値と設定した目標切削深さとの偏差が小さくなるように上記アクチュエータを制御する昇降制御部と、を備え、
上記昇降制御部は、上記車両の走行速度に応じて、上記偏差に対する上記アクチュエータの作動速度の比である作動速度比を変更し、相対的に、上記走行速度が遅い場合、上記走行速度が速い場合に比べて、上記作動速度比を大きく設定する作動速度比設定部を有することを特徴とする路面切削装置。」
「【0005】
また、路面切削車両は、特許文献2に記載のような路面切削自動制御部を備える。路面切削自動制御部は、路面切削機による現在の切削深さを検出し、検出した切削深さと設定した目標切削深さとの偏差が小さくなるように上記左右の昇降用油圧シリンダを昇降することで、路面表面からの切削深さが目標切削深さとなるように自動制御している。」
14 甲14(特開2010-275851号公報)
甲14には、以下のとおりの記載がある。
「【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、粉塵を発生させることなく、また、固化材スラリーを地盤表面に均一に散布でき、しかも表層地盤の改良工事を効率良く行うことのできる表層地盤改良工法を提案することにある。」
「【0038】
(実施の形態2)
本発明を適用した実施の形態2に係る表層地盤改良工法は、実施の形態1と同様の工程(図1参照)により地盤改良を行うものであるが、バックホー10の代わりにスタビライザを用いて地盤改良作業を行うようにしている。
【0039】
図7(a)~(d)は、実施の形態2の表層地盤改良工法に用いるスタビライザを示す平面図、側面図、正面図および背面図である。図8はスタビライザに取り付けたセメントミルク噴射ノズル(固化材スラリー散布ノズル)を示す説明図である。
【0040】
一般に、スタビライザは走行機と、走行機に搭載された掘削・攪拌混合用の作業機から構成されている。走行機はタイヤ式とクローラ式の2つの走行方式に大別され、作業機はロータドラム式とチェーン式に分けられる。図7に示すスタビライザ200は、クローラ式の走行機201の前端部に、ロータドラム式の掘削・攪拌混合用の作業機202が搭載された形式のものである。
【0041】
作業機202は、幅方向の両端が4節のリンク機構203を介して走行機201の前端部に取り付けられている作業機フレーム204を備えている。この作業機フレーム204には幅方向に水平に攪拌ロータ205のロータ軸205aが架け渡されており、ロータ軸205aには放射状にロータ翼205bが取り付けられている。ロータ軸205aの両端部は左右の駆動力伝達機構206、207を介して、作業機フレーム204に搭載されている左右の駆動モータ208、209に連結されている。また、攪拌ロータ205の上方には、これを覆う状態にフード210が作業機フレーム204に取り付けられている。さらに、作業機202は、走行機201に取り付けた起伏用の油圧シリンダ211によって図において想像線で示す位置から実線で示す位置までの間で起伏可能である。
【0042】
走行機201の後端にはセメントミルク噴射ノズル212(固化材スラリー散布ノズル)が着脱可能に取り付けられている。セメントミルク噴射ノズル212は、走行機幅方向に水平に延びるノズル取付部材213に取り付けられており、ノズル取付部材213は、ボルトなどの締結用金具(図示せず)によって、走行機201の後端部201bに対して着脱可能となっている。セメントミルク噴射ノズル212は、たとえば60度のノズル開度でセメントミルク(固化材スラリー)を線状に噴射可能な左右一対のノズル口212a、212bと、これらのノズル口212a、212bが下向き状態で垂直に接続されている連通管212cとを備えている。連通管212cには、セメントミルク供給管214が接続されており、このセメントミルク供給管214は、固定した位置に設置されているスラリータンク(図示せず)に接続されている。
【0043】
ここで、スタビライザ200の各部には各種の検出器が取り付けられている。作業機202の攪拌ロータ205の深度を検出するために、油圧シリンダ211および駆動力伝達機構206の部分に、それぞれ、深度検出センサ215、216が取り付けられている。これらの深度検出センサ215としてはストローク量を検出するためのストロークセンサ、磁気スケールセンサなどを用いることができる。また、攪拌ロータ205の回転数を検出するためのセンサ217が取り付けられている。センサ217としては、近接センサ、磁気スケールセンサなどを用いることができる。さらに、スタビライザ200の移動量を検出するために、地盤面に設置した距離計スタンド218からの距離を測定するための距離計リール219が走行機201の後端側部に取り付けられている。一方、セメントミルク供給管214には電磁流量計220が取り付けられており、セメントミルク投入量を測定できるようになっている。
【0044】
スタビライザ200の運転室221には施工管理装置222およびプリンタユニット223が搭載されている。施工管理装置222は、図2に示す施工管理システム1におけるシーケンサー2と同様に機能する。すなわち、施工管理装置222は、スタビライザ200に取り付けた深度検出センサ215、216の出力からロータ掘削深度(攪拌深度)を検出する。また、電磁流量計220から、スラリータンクからセメントミルク噴射ノズル212に供給されるセメントミルク(固化材スラリー)の流量を表す信号が入力される。
【0045】
施工管理装置222は、スラリー散布工程S6(図1参照)においては、電磁流量計220からの信号に基づき、表層地盤に散布されるセメントミルクの量を管理する。また、攪拌混合工程S7(図1参照)においては、深度検出センサ215、216からの信号に基づき、攪拌ロータによる表層地盤の掘削深度を管理する。表層地盤が固い場合にはセメントミルク噴射ノズル212からセメントミルクを掘削場所の地盤に注入して所定の掘削深度が得られるようにする。また、作業員が目視によってセメントミルクの散布が不十分であると判断した部位にもセメントミルクを散布することができる。なお、攪拌混合工程S7において、継続して、あるいは断続的にセメントミルクを散布しながら、地盤の掘削、攪拌混合を行うこともできる。
【0046】
施工管理装置222は、表層地盤改良作業時における施工管理情報(掘削深度、セメントミルク投入量/平方メートル、投入量の積算値、攪拌ロータ回転数/1m当たりの区間回転数、施工日時、施工開始時刻、施工終了時刻など)を記録すると共に表示可能である。」
「【図7】
[図:0001422460000013.jpg]
」
15 甲15(Joseph Vogele AG、「取扱説明書 SUPER 1800-2 SJ/POSMAC 仕様」、2011年6月6日)
甲15には、以下のとおりの記載がある。
「
[図:0001422460000014.jpg]
」(第25頁)
「
[図:0001422460000015.jpg]
」(第27頁)
「
[図:0001422460000016.jpg]
」(第31頁)
「
[図:0001422460000017.jpg]
」(第33頁)
「
[図:0001422460000018.jpg]
」(第34頁)
「
[図:0001422460000019.jpg]
」(第46頁)
16 甲16(特開平10-307089号公報)
甲16には、以下のとおりの記載がある。
「【0013】上述のようにデータ処理項目として上降伏点荷重が選択されるのにともない、データ処理項目リストの右には3つのウィンドウが表示される。これらのウィンドウについて順次説明すると、パラメータウィンドウPWは、データの表示桁数や表示単位、そして印刷するときの印字位置について設定するためのものである。計算点ウィンドウCWは、上降伏点を求める際の計算点を設定するためのものである。合否判定ウィンドウJWは、試験片TP(図10)の試験結果に対して自動的に合否判定をするか否かを設定するためのもので、合否判定をする際には判定基準の上限および下限が設定可能となる。」
第5 申立理由についての当審の判断
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 本件発明1の「サーバを含む路上路盤再生工事モニタリングシステム」について
本件発明1の「路上路盤再生工事モニタリングシステム」がモニタリングする「路上路盤再生工事」に関し、本件明細書には「路上路盤再生工法は、老朽化したアスファルト舗装を現場において破砕し、セメント等の安定材やアスファルト又はアスファルト乳剤(以下、「アスファルト乳剤など」と呼ぶ。)を混合し、締め固めて、新たな路盤層として再生させる工法」(【0002】)であるとの記載があるように、本件発明1の「路上路盤再生工事モニタリングシステム」がモニタリングする「路上路盤再生工事」は、「アスファルト舗装」の再生に関する工事である。
これに対し、甲1発明の「コンクリート施工情報一元管理システム(N-P Manager-Co)」は、「舗装工事での舗装施工情報一元管理システムであって、練り混ぜ開始から打込み完了までの経過時間が規定され、その経過時間を把握する連続した時間管理が重要なコンクリートについて、このコンクリートの時間管理を見える化、共有化する」ものである。
そうすると、甲1発明の「コンクリート施工情報一元管理システム(N-P Manager-Co)」は、「道路舗装工事」に関する「モニタリングシステム」である点で、本件発明1の「路上路盤再生工事モニタリングシステム」と共通する。
また、甲1発明の「コンクリート施工情報一元管理システム(N-P Manager-Co)」は、時間の管理方法として「クラウド型グループウェア」を活用するものであり、当該「クラウド型グループウェア」が「クラウドサーバ」を活用するものであることは明らかである。
したがって、甲1発明の「コンクリート施工情報一元管理システム(N-P Manager-Co)」は、「サーバを含む道路舗装工事モニタリングシステム」である点で、本件発明1の「サーバを含む路上路盤再生工事モニタリングシステム」と共通する。
イ 本件発明1の「サーバ」が有する「スタビライザから対象とする工事の識別情報とともに送信されてくるモニタリング情報を受信する手段」について
甲1発明の「コンクリート施工情報一元管理システム(N-P Manager-Co)」は、「生コン車の運行状況や現場の進捗がリアルタイムに共有、確認ができ」るものであって、「アジテータ車に設置するGPS端末の番号を有するGPSトラッカーは、出発するときに渡し、戻ってきたら回収する」ものである。ここで、甲1発明における「生コン車」及び「アジテータ車」は、「コンクリート舗装」の工事において使用される車両であり、「アスファルト舗装」の再生に関する「路上路盤再生工事」に使用される車両である「スタビライザ」とは異なるものの、両者は「道路舗装工事車両」である点で共通する。
また、甲1発明の「コンクリート施工情報一元管理システム(N-P Manager-Co)」は、「時間の管理方法はクラウド型グループウェアを活用し、生コン車の運行状況や現場の進捗がリアルタイムに共有、確認ができ」るものであって、「生コン車の運行状況や現場の進捗」に関する情報は、スタビライザから対象とする工事の識別情報とともに受信するものではなく、後述するオのとおり、「単位時間経過ごとの当該スタビライザの位置情報」でもない点で相違するものの、本件発明1の「モニタリング情報」と、「管理情報」である点で共通する。さらに、甲1発明は、「クラウドサーバ」を活用することによって、「生コン車の運行状況や現場の進捗がリアルタイムに共有、確認ができ」るのであるから、甲1発明における「クラウドサーバ」は、道路舗装工事の現場における何らかの装置から「生コン車の運行状況や現場の進捗」に関する情報を受信する手段を有しているといえる。
したがって、甲1発明における「クラウドサーバ」が有する、道路舗装工事の現場における何らかの装置から「生コン車の運行状況や現場の進捗」に関する情報を受信する手段は、本件発明1の「スタビライザから対象とする工事の識別情報とともに送信されてくるモニタリング情報を受信する手段」と、「送信されてくる管理情報を受信する手段」である点で共通する。
ウ 本件発明1の「サーバ」が有する「受信した前記モニタリング情報を当該情報を送信したスタビライザ及び対象とする工事と対応づけて記憶する手段」について
甲1発明の「コンクリート施工情報一元管理システム(N-P Manager-Co)」は、「生コン車の運行状況や現場の進捗がリアルタイムに共有、確認ができ、管理時刻(出荷、到着)が自動で記録され」るものであることから、上記イを踏まえると、甲1発明における「クラウドサーバ」は、受信した「生コン車の運行状況や現場の進捗」に関する情報を記憶する手段を有しているといえる。
また、甲1発明においては、「アジテータ車に設置するGPS端末の番号を有するGPSトラッカーは、出発するときに渡し、戻ってきたら回収する」ものである。ここで、甲1発明においては、当該「GPSトラッカー」が設置された「アジテータ車」の運行状況について、「リアルタイムに共有、確認」ができることは明らかである。
さらに、上記イを踏まえると、甲1発明における「クラウドサーバ」が有する、受信した「生コン車の運行状況や現場の進捗」に関する情報を記憶する手段は、本件発明1の「受信した前記モニタリング情報を当該情報を送信したスタビライザ及び対象とする工事と対応づけて記憶する手段」と、「受信した前記管理情報を記憶する手段」である点で共通する。
エ 本件発明1の「サーバ」が有する「利用者のコンピュータから、工事を指定してモニタリング要求を受信したとき、当該工事について、前記モニタリング情報を表示する表示画面を利用者のコンピュータに送信する手段」について
甲1発明の「コンクリート施工情報一元管理システム(N-P Manager-Co)」は、「時間の管理方法はクラウド型グループウェアを活用し、生コン車の運行状況や現場の進捗がリアルタイムに共有、確認ができ、管理時刻(出荷、到着)が自動で記録され、管理時刻と連携した簡易平面図により、施工の進捗状況が視覚的に確認でき、記録したデータを帳票出力することができる」ものであって、「施工の進捗状況が視覚的に確認でき」る表示画面は、上記イ、ウを踏まえると、「前記管理情報を表示する表示画面」であり、甲1発明における「クラウドサーバ」は、「施工の進捗状況が視覚的に確認でき」る表示画面を提供する手段を有するものであるといえ、甲1発明の当該提供する手段は、本件発明1の「前記モニタリング情報を表示する表示画面を利用者のコンピュータに送信する手段」と、「前記管理情報を表示する表示画面を利用者のコンピュータに送信する手段」との点で共通する。
そして、甲1発明において、「生コン車の運行状況や現場の進捗がリアルタイムに共有、確認ができ」るように、「施工の進捗状況が視覚的に確認でき」る表示画面を提供する提供先が、「クラウドサーバ」とネットワークを介して接続された「上位管理者」等の工事関係者のコンピュータであることは明らかであるから、甲1発明における「クラウドサーバ」は、そのような「上位管理者」等の「コンピュータ」に「施工の進捗状況が視覚的に確認でき」る「表示画面」を送信する手段を有しているといえる。
したがって、甲1発明における「クラウドサーバ」が有する、「施工の進捗状況が視覚的に確認でき」る表示画面を、ネットワークを介して接続された「上位管理者」等の「コンピュータ」に送信する手段は、本件発明1の「サーバ」が有する「利用者のコンピュータから、工事を指定してモニタリング要求を受信したとき、当該工事について、前記モニタリング情報を表示する表示画面を利用者のコンピュータに送信する手段」と、「サーバ」が有する「前記管理情報を表示する表示画面を利用者のコンピュータに送信する手段」である点で共通する。
オ 本件発明1の「前記モニタリング情報が、施工管理パラメータの設計値情報、単位時間経過ごとの当該スタビライザの位置情報、又は前記位置情報と同期した単位時間経過ごとの施工管理パラメータの実測値情報のいずれか一つ又は複数を含む情報である」について
上記イのとおり、甲1発明における「生コン車の運行状況や現場の進捗」に関する情報は、本件発明1の「モニタリング情報」と、「管理情報」との点で共通し、甲1発明の「生コン車」及び「アジテータ車」は、本件発明1の「スタビライザ」と「道路舗装工事車両」である点で共通する。そして、甲1発明の「アジテータ車」には「GPS端末の番号を有するGPSトラッカー」が設置されており、当該「GPSトラッカー」が位置情報を送信することにより、「アジテータ車」の位置情報を送信するといえるから、甲1発明においては、「生コン車の運行状況や現場の進捗」に関する情報に「道路舗装工事車両の位置情報」を含むものであるといえる。
したがって、甲1発明において、「アジテータ車」に設置された「GPS端末の番号を有するGPSトラッカー」から位置情報を送信することは、本件発明1の「前記モニタリング情報が、施工管理パラメータの設計値情報、単位時間経過ごとの当該スタビライザの位置情報、又は前記位置情報と同期した単位時間経過ごとの施工管理パラメータの実測値情報のいずれか一つ又は複数を含む情報である」と、「前記管理情報が、当該道路舗装工事車両の位置情報を含む情報である」点で共通する。
カ 以上、ア~オによると、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
「サーバを含む道路舗装工事モニタリングシステムであって、
前記サーバは、送信されてくる管理情報を受信する手段と、受信した前記管理情報を記憶する手段と、前記管理情報を表示する表示画面を利用者のコンピュータに送信する手段とを有しており、
前記管理情報が、当該道路舗装工事車両の位置情報を含む情報である、路上路盤再生工事モニタリングシステム。」
[相違点1-1]
本件発明1は、「スタビライザ」によって行われる「路上路盤再生工事」をモニタリングする「路上路盤再生工事モニタリングシステム」であるのに対し、甲1発明は、「生コン車」や「アジテータ車」といった「道路舗装工事車両」によって行われる「コンクリート施工」による「道路舗装工事」をモニタリングするものであって、「路上路盤再生工事」をモニタリングする「路上路盤再生工事モニタリングシステム」ではない点。
[相違点1-2]
サーバが有する「送信されてくる管理情報を受信する手段」に関し、本件発明1は、「管理情報」が、「モニタリング情報」であって、モニタリング情報が「施工管理パラメータの設計値情報、単位時間経過ごとの当該スタビライザの位置情報、又は前記位置情報と同期した単位時間経過ごとの施工管理パラメータの実測値情報のいずれか一つ又は複数を含む」ものであって、受信する手段が「スタビライザから対象とする工事の識別情報とともに」「モニタリング情報を受信する」のに対し、甲1発明は、「管理情報」が、「生コン車の運行状況や現場の進捗」であって、「単位時間経過ごとの当該スタビライザの位置情報」や他の情報ではなく、受信する手段が「アジテータ車」から「生コン車の運行状況や現場の進捗」を「スタビライザから対象とする工事の識別情報とともに」受信するものではない点。
[相違点1-3]
サーバが有する「受信した前記管理情報を記憶する手段」に関し、本件発明1は、「当該情報を送信したスタビライザ及び対象とする工事と対応づけて」記憶するのに対し、甲1発明の「クラウドサーバ」は、そのような特定がない点。
[相違点1-4]
サーバが有する「前記モニタリング情報を表示する表示画面を利用者のコンピュータに送信する手段」に関し、本件発明1は「利用者のコンピュータから、工事を指定してモニタリング要求を受信したとき、当該工事について」当該表示画面を送信するのに対し、甲1発明の「クラウドサーバ」は、そのような特定がない点。
(2)相違点に関する判断
事案に鑑み、上記[相違点1-1]と[相違点1-2]をまとめて検討する。
本件特許明細書には、「路上路盤再生工事モニタリングシステム」について、「路上路盤再生工法において、施工時における施工管理パラメータの実測値とその推移を、スタビライザの運転席や現場周辺だけではなく、現場から離れた遠隔地からでも、実時間で、又は随時に確認することができる路上路盤再生工事モニタリングシステムと、それを可能にする情報通信型スタビライザを提供することを課題とする。」(【0008】)とし、「路上路盤再生工法」とは、「路上路盤再生工法は、老朽化したアスファルト舗装を現場において破砕し、セメント等の安定材やアスファルト又はアスファルト乳剤(以下、「アスファルト乳剤など」と呼ぶ。)を混合し、締め固めて、新たな路盤層として再生させる工法」(【0002】)である、と記載されている。
そして、上記相違点1-1で言及したとおり、本件発明1は、「路上路盤再生工事モニタリングシステム」の発明であって、「路上路盤再生工法」において「スタビライザ」によって行われる工事を含み、当該「スタビライザ」から送信される「モニタリング情報」を受信する「サーバ」において、「路上路盤再生工事」をモニタリングするものである。
甲2~甲16には、上記第4の2~16のとおりの事項が記載されているものの、「モニタリング情報」を「サーバ」に送信する機能を有する「スタビライザ」に関しては、甲2~甲16のいずれにも記載されていない。
このため、甲1発明に、甲2~甲16に記載された事項を適用しても、上記相違点2の構成にはいたらない(相違点1-2)。
また、甲1発明は、「コンクリート」舗装における管理に関する発明であって、「コンクリート」のこれを「アスファルト」についての「路上路盤再生工法」にしようとする動機付けはなく、このため、甲1発明の「生コン車」や「アジテータ車」に代えて「スタビライザ」にしようとする動機付けもない(相違点1-1、相違点1-2)。
したがって、甲1発明及び甲2~甲16に記載の事項に基づいて、当業者が上記相違点1-1及び相違点1-2に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。
また、上記相違点1-1、相違点1-2の構成とすることで「本発明の路上路盤再生工法モニタリング装置によれば、既に施工された路上路盤再生工事はもとより、現に施工されつつある路上路盤再生工事に関しても、その施工管理パラメータの実測値とその変化とを、ネットワークを介して、遠隔地からでもリアルタイムで確認することができるので、施工内容を「見える化」することができるという優れた利点が得られる。また、施工管理パラメータの実測値が、スタビライザの位置情報と同期したタイミングで得られるので、スタビライザの進行に即した施工管理パラメータの変化を、任意原点からのスタビライザの移動距離或いは移動経路と対応づけて、また、任意の開始時点からの施工時間の経過と対応づけて利用者のコンピュータに表示することができるので、施工の進行状況を施工対象区間や施工時間と対応づけて、具体的かつ詳細に見て取ることができるという利点がえられる。」(【0012】)との格別顕著な作用効果を奏するものである。
(3)申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書45頁で、「甲1発明は、タイトルにもあるように、「クラウドを利用した舗装施工情報一元管理システム」であり、クラウドの実現のために、当然に「サーバを含む路上路盤再生工事モニタリングシステム」に相当する。」と主張する。
しかしながら、甲1発明の「コンクリート施工情報一元管理システム(N-P Manager-Co)」は、「道路舗装工事」に関する「モニタリングシステム」であって、出荷から到着までが、クラウドを通じリアルタイムで確認でき、ダンプや生コン車の搬入状況や適正な配車が出来るようにするものである。そのため、甲1発明の「舗装施工情報一元管理システム」は、本件発明1の「路上路盤再生工事モニタリングシステム」と異なることは明らかである。
よって、申立人の主張に理由はない。
(4)小括
以上のとおりであるから、上記[相違点1-3]、上記[相違点1-4]について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲16に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本件発明2~本件発明13について
本件発明2~本件発明13は、本件発明1の構成に限定を加えて減縮したものであり、これらの請求項に係る発明は、いずれも、上記1(1)カに示した上記相違点1-1、相違点1-2に係る構成を有しているから、上記1に示した理由と同様の理由により、本件発明2~本件発明13は、甲1に記載された発明及び甲2~甲16に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 本件発明14について
(1)本件発明14と甲1に記載された発明とを対比する。
ア 本件発明14の「破砕混合ロータと添加材の散布装置とコントロールコンピュータとを備えたスタビライザ」について
甲1に記載された発明における「生コン車」、「アジテータ車」は、上記1(1)イで示したとおり、「コンクリート舗装」の工事において使用される車両であり、本件発明14の「破砕混合ロータと添加材の散布装置とコントロールコンピュータとを備えたスタビライザ」とは異なるものの、両者は「道路舗装工事車両」である点で共通する。
イ 本件発明14のその他の構成について
上記アのとおりであるから、甲1発明の「生コン車」や「アジテータ車」は、「破砕混合ロータと添加材の散布装置とコントロールコンピュータ」を有していないため、本件発明14の「前記コントロールコンピュータが、施工対象工事の識別情報、当該工事についての施工管理パラメータの設計値情報、単位時間経過ごとの当該スタビライザの位置情報、又は前記位置情報と同期した単位時間経過ごとの施工管理パラメータの実測値情報のいずれか一つ又は複数を含むモニタリング情報を、ネットワーク上に存在するサーバに送信する手段を有しており、さらに、
前記コントロールコンピュータが、前記スタビライザに装備された受信アンテナが受信する測位信号に基づいて、単位時間経過ごとの前記スタビライザの位置情報を取得する手段と、
前記スタビライザに装備された前記破砕混合ロータの施工面からの沈降深さを計測する沈降量センサから、前記位置情報と同期した単位時間経過ごとに前記破砕混合ロータの沈降深さ情報を取得する手段と、
前記散布装置に供給される前記添加材の単位時間当たりの流量を計測する流量計から、
前記位置情報と同期した単位時間経過ごとに前記添加材の単位時間あたりの流量情報を取得する手段と、
取得した前記流量情報と、前記位置情報又は当該スタビライザに搭載された速度センサから得られる速度情報と、別途入力される前記添加材の散布幅若しくは前記スタビライザに装備された散布ノズルの開閉状態に関する情報に基づいて、前記位置情報と同期した単位時間経過ごとの施工面の単位面積あたりの前記添加材の散布量を求める手段を有しており、
前記施工管理パラメータの実測値情報が、前記沈降深さ情報、及び前記単位面積あたりの前記添加材の散布量を含んでいる」との構成を有しない点で相違することは明らかである。
(2)以上、(1)によると、本件発明14と甲1に記載された発明とは、「道路舗装工事車両」である点で一致するものの、他に一致点はなく、その余の点で相違する。
そして、本件発明14は「情報通信型スタビライザ」に関する発明であるところ、上記1(2)で検討したとおり、甲1~甲16のいずれにも、「モニタリング情報」を送信する機能を有する「スタビライザ」については記載されておらず、甲1発明は、「コンクリート」舗装における管理に関する発明であって、「コンクリート」のこれを「アスファルト」についての「路上路盤再生工法」にしようとする動機付けはなく、このため、甲1発明の「生コン車」や「アジテータ車」に代えて「スタビライザ」にしようとする動機付けもないため、本件発明14は、甲1に記載された発明及び甲2~甲16に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
そして、当該相違点により奏する効果は、上記1(2)でみたとおりである。
なお、スタビライザの発明が記載されている甲14を主引用発明としても、甲14には、スタビライザが「モニタリング情報」を送信する機能については記載されておらず、また、「路上路盤再生工事」の施工時における施工管理パラメータと実測値とその推移を実時間で随時確認することについて、記載も示唆もない。
このため、甲14に記載された発明に、甲1を適用しようとする動機付けはなく、仮に、甲1~甲13、甲15、甲16を適用することができたとしても、甲1~甲13、甲15、甲16には、「路上路盤再生工事」の施工時における施工管理パラメータと実測値とその推移を実時間で随時確認するために、スタビライザが「モニタリング情報」を送信する機能を持たせることが記載されていないため、当該相違点の構成には至らない。
よって、本件発明14は、甲1に記載された発明及び甲2~甲16に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 本件発明15~本件発明19について
本件発明15~本件発明19は、本件発明14の構成に限定を加えて減縮したものであり、これらの請求項に係る発明は、いずれも「情報通信型スタビライザ」に関する発明であるところ、上記3(2)で検討したとおり、甲1~甲16のいずれにも、「モニタリング情報」を送信する機能を有する「スタビライザ」については記載されていないため、上記3と同様の理由により、本件発明15~本件発明19は、甲1に記載された発明及び甲2~甲16に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5 まとめ
以上によれば、本件発明1~本件発明19は、甲1~甲16に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~19に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~19に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-701150