特許異議申立
2024-701131
遊技機
- 審判番号
- 2024-701131
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-147679
- 登録番号
- 7529631
- 請求日
- 2024年11月21日
- 審決日
- 2025年12月01日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】重信 和男
- 【権利者代理人】石川 好文
- 【権利者代理人】林 修身
- 【権利者代理人】大久保 岳彦
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人武和国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 俊久
- 審判官 三橋 健二
- 審判官 太田 恒明
- 分類
- P1651.113-YAA(A63F) / P1651.121-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7529631号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7529631号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第7529631号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7529631号(以下「本件特許」という。)は、令和3年9月10日に出願され(特願2021-147679号)、令和6年7月29日にその特許権の設定登録がされ、令和6年8月6日に特許掲載公報が発行された。
その後、本件特許の請求項1に係る特許に対して、令和6年11月21日に特許異議申立人 日本電動式遊技機特許株式会社(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和7年5月20日付けで取消理由を通知し、特許権者は、その指定期間内である令和7年7月22日に意見書の提出及び訂正の請求を行った。
なお、令和7年7月22日提出の訂正の請求について、当審は申立人に対して訂正の請求があった旨の通知をし、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、期間内に申立人からの応答はなかった。
第2 訂正請求について
1 訂正の内容
令和7年7月22日提出の訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記対応表示の表示態様を、第1態様から、該第1態様よりも前記有利状態に制御される期待度が高い第2態様に変化させる変化演出をリーチ演出が実行される前において実行可能な変化演出実行手段と、」とあるのを、
「前記対応表示の表示態様を、第1態様から、該第1態様よりも前記有利状態に制御される期待度が高い第2態様に変化させる変化演出をリーチ演出が実行される前において実行可能な1回目変化演出実行手段と、」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に
「前記変化演出の実行が開始された以後に、前記第1態様に対応した履歴示唆演出をリーチ演出が実行されるまでの期間において実行可能な履歴示唆演出実行手段と、を備え、」とあるのを、
「前記1回目変化演出実行手段による変化演出の実行が開始され、前記第2態様に変化させた以後に、前記第2態様の前記対応表示を前記第1態様に対応した色で表示させる履歴示唆演出をリーチ演出が実行されるまでの期間において実行可能な履歴示唆演出実行手段と、を備え、」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に
「前記変化演出実行手段は、前記変化演出として第1変化演出と該第1変化演出とは異なる第2変化演出とを実行可能であり、
前記履歴示唆演出実行手段は、前記変化演出実行手段によって前記第1変化演出が実行される場合と前記第2変化演出が実行される場合のいずれであっても前記履歴示唆演出を実行可能である、」とあるのを、
「前記1回目変化演出実行手段は、前記変化演出として第1変化演出と該第1変化演出とは異なる第2変化演出とを実行可能であり、
前記履歴示唆演出実行手段は、前記1回目変化演出実行手段によって前記第1変化演出が実行される場合と前記第2変化演出が実行される場合のいずれであっても前記履歴示唆演出を実行可能であり、」に訂正する。
(4)訂正事項4
上記訂正事項3の「前記1回目変化演出実行手段は、前記変化演出として第1変化演出と該第1変化演出とは異なる第2変化演出とを実行可能であり、
前記履歴示唆演出実行手段は、前記1回目変化演出実行手段によって前記第1変化演出が実行される場合と前記第2変化演出が実行される場合のいずれであっても前記履歴示唆演出を実行可能であり、」の後に
「前記遊技機は、前記1回目変化演出実行手段による変化演出の後に、前記対応表示の表示態様を、前記第2態様から、該第2態様よりも前記有利状態に制御される期待度が高い第3態様に変化させる変化演出を前記リーチ演出が実行される前において実行可能な2回目変化演出実行手段をさらに備え、」を加える。
(5)訂正事項5
上記訂正事項4の「前記遊技機は、前記1回目変化演出実行手段による変化演出の後に、前記対応表示の表示態様を、前記第2態様から、該第2態様よりも前記有利状態に制御される期待度が高い第3態様に変化させる変化演出を前記リーチ演出が実行される前において実行可能な2回目変化演出実行手段をさらに備え、」の後に
「前記リーチ演出が実行されるまでの期間において、前記1回目変化演出実行手段による変化演出を実行した後、前記2回目変化演出実行手段による変化演出を実行する場合に、前記履歴示唆演出を終了してから所定期間経過後に、前記2回目変化演出実行手段による変化演出を開始する、」を加える。
(6)訂正事項6
願書に添付した明細書の段落0006に
「上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、
可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
可変表示に対応する対応表示を表示可能な対応表示手段と、
前記対応表示の表示態様を、第1態様から、該第1態様よりも前記有利状態に制御される期待度が高い第2態様に変化させる変化演出をリーチ演出が実行される前において実行可能な変化演出実行手段と、
前記変化演出の実行が開始された以後に、前記第1態様に対応した履歴示唆演出をリーチ演出が実行されるまでの期間において実行可能な履歴示唆演出実行手段と、を備え、
前記変化演出実行手段は、前記変化演出として第1変化演出と該第1変化演出とは異なる第2変化演出とを実行可能であり、
前記履歴示唆演出実行手段は、前記変化演出実行手段によって前記第1変化演出が実行される場合と前記第2変化演出が実行される場合のいずれであっても前記履歴示唆演出を実行可能である、
ことを特徴とする。
・・・」とあるのを、
「上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、
可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
可変表示に対応する対応表示を表示可能な対応表示手段と、
前記対応表示の表示態様を、第1態様から、該第1態様よりも前記有利状態に制御される期待度が高い第2態様に変化させる変化演出をリーチ演出が実行される前において実行可能な1回目変化演出実行手段と、
前記1回目変化演出実行手段による変化演出の実行が開始され、前記第2態様に変化させた以後に、前記第2態様の前記対応表示を前記第1態様に対応した色で表示させる履歴示唆演出をリーチ演出が実行されるまでの期間において実行可能な履歴示唆演出実行手段と、を備え、
前記1回目変化演出実行手段は、前記変化演出として第1変化演出と該第1変化演出とは異なる第2変化演出とを実行可能であり、
前記履歴示唆演出実行手段は、前記1回目変化演出実行手段によって前記第1変化演出が実行される場合と前記第2変化演出が実行される場合のいずれであっても前記履歴示唆演出を実行可能であり、
前記遊技機は、前記1回目変化演出実行手段による変化演出の後に、前記対応表示の表示態様を、前記第2態様から、該第2態様よりも前記有利状態に制御される期待度が高い第3態様に変化させる変化演出を前記リーチ演出が実行される前において実行可能な2回目変化演出実行手段をさらに備え、
前記リーチ演出が実行されるまでの期間において、前記1回目変化演出実行手段による変化演出を実行した後、前記2回目変化演出実行手段による変化演出を実行する場合に、前記履歴示唆演出を終了してから所定期間経過後に、前記2回目変化演出実行手段による変化演出を開始する、
ことを特徴とする。
・・・」に訂正する。
2 訂正の適否の判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、以下の訂正事項4において加える「2回目変化演出実行手段」と区別するために、訂正前の請求項1における発明特定事項である「変化演出実行手段」を「1回目変化演出実行手段」とする訂正である。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項1は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 新規事項
訂正事項1により訂正される事項は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)における【0312】~【0313】、及び【図10-39】に記載された事項であるから、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の請求項1における発明特定事項である「変化演出」、及び「履歴示唆演出」について、「変化演出」が「前記1回目変化演出手段」によるものであること、「履歴示唆演出」を実行するタイミングが「前記1回目変化演出実行手段による変化演出の実行が開始され、前記第2態様に変化させた以後」であること、及び「履歴示唆演出」が「前記第2態様の前記対応表示を前記第1態様に対応した色で表示させる」ものであることを限定する訂正である。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項2は、上記アのとおり、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項
訂正事項2により限定される事項は、本件明細書等における【0309】に記載された事項であるから、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3は、以下の訂正事項4において加える「2回目変化演出実行手段」と区別するために、訂正前の請求項1における発明特定事項である「前記変化演出実行手段」を「前記1回目変化演出実行手段」とする訂正、及び以下の訂正事項4の訂正を行うことに対して、整合させるための訂正である。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項3は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項
訂正事項3により訂正される事項は、本件明細書等における【0312】~【0313】、及び【図10-39】に記載された事項であるから、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4は、
訂正前の請求項1における発明特定事項である「遊技機」について「前記1回目変化演出実行手段による変化演出の後に、前記対応表示の表示態様を、前記第2態様から、該第2態様よりも前記有利状態に制御される期待度が高い第3態様に変化させる変化演出を前記リーチ演出が実行される前において実行可能な2回目変化演出実行手段をさらに備え」ることを限定するものである。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項4は、上記アのとおり、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項
訂正事項4により限定される事項は、本件明細書等における【0141】、【0256】、【0309】~【0313】、【図10-38】、及び【図10-39】に記載された事項であるから、訂正事項4に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的
訂正事項5は、
訂正前の請求項1における発明特定事項である「遊技機」について「前記リーチ演出が実行されるまでの期間において、前記1回目変化演出実行手段による変化演出を実行した後、前記2回目変化演出実行手段による変化演出を実行する場合に、前記履歴示唆演出を終了してから所定期間経過後に、前記2回目変化演出実行手段による変化演出を開始する」ことを限定するものである。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項5は、上記アのとおり、発明特定事項を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項
訂正事項5により限定された事項は、本件明細書等における【0309】~【0313】、【図10-38】及び【図10-39】に記載された事項であるから、訂正事項5に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(6)訂正事項6について
ア 訂正の目的
訂正事項6は、訂正事項1~5に係る訂正により、本件特許明細書の【0006】の記載が特許請求の範囲の請求項1の記載と整合が取れなくなったことを是正することで、明瞭でない記載の釈明をしようとするものである。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張、変更
訂正事項6は、訂正事項1~5に係る訂正により、本件特許明細書の【0006】の記載が特許請求の範囲の請求項1の記載と整合が取れなくなったことを是正するものであるから、訂正事項1~5と同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項
訂正事項6は、訂正事項1~5に係る訂正により、本件特許明細書の【0006】の記載が特許請求の範囲の請求項1の記載と整合が取れなくなったことを是正するものであるから、訂正事項6に係る訂正は、訂正事項1~5と同様に、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(7)独立特許要件について
訂正前の全請求項が特許異議の申立ての対象とされており、本件訂正請求による訂正において、上記(2)、(4)、及び(5)のとおり特許請求の範囲の減縮が行われていても、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
上記第2のとおり、本件訂正請求による訂正は認められるから、本件訂正請求による訂正後の請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された、次の事項により特定されるとおりのものである。なお、符号1A等は分説のため当審で付与した。以下、分説された本件訂正発明の発明特定事項を、符号に基づき「本件発明特定事項1A」等という。
「【請求項1】
A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示に対応する対応表示を表示可能な対応表示手段と、
C 前記対応表示の表示態様を、第1態様から、該第1態様よりも前記有利状態に制御される期待度が高い第2態様に変化させる変化演出をリーチ演出が実行される前において実行可能な1回目変化演出実行手段と、
D 前記1回目変化演出実行手段による変化演出の実行が開始され、前記第2態様に変化させた以後に、前記第2態様の前記対応表示を前記第1態様に対応した色で表示させる履歴示唆演出をリーチ演出が実行されるまでの期間において実行可能な履歴示唆演出実行手段と、を備え、
E 前記1回目変化演出実行手段は、前記変化演出として第1変化演出と該第1変化演出とは異なる第2変化演出とを実行可能であり、
F 前記履歴示唆演出実行手段は、前記1回目変化演出実行手段によって前記第1変化演出が実行される場合と前記第2変化演出が実行される場合のいずれであっても前記履歴示唆演出を実行可能であり、
G 前記遊技機は、前記1回目変化演出実行手段による変化演出の後に、前記対応表示の表示態様を、前記第2態様から、該第2態様よりも前記有利状態に制御される期待度が高い第3態様に変化させる変化演出を前記リーチ演出が実行される前において実行可能な2回目変化演出実行手段をさらに備え、
H 前記リーチ演出が実行されるまでの期間において、前記1回目変化演出実行手段による変化演出を実行した後、前記2回目変化演出実行手段による変化演出を実行する場合に、前記履歴示唆演出を終了してから所定期間経過後に、前記2回目変化演出実行手段による変化演出を開始する、
I ことを特徴とする遊技機。」
第4 証拠方法、特許異議申立理由の概要、及び取消理由の概要
1 証拠方法
申立人により、特許異議申立書とともに提出された証拠は、次のとおりである。
甲第1号証:特開2019-205892号公報
2 特許異議申立理由の概要
申立人による異議申立理由の概要は、次のとおりである。
理由1
特許法第29条第1項第3号について(同法第113条第2号)
本件特許発明は、その出願前に日本国内において頒布された甲第1号証に記載された発明と同一のものである。
したがって、本件特許は、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
理由2
特許法第29条第2項について(同法第113条第2号)
本件特許発明は、その出願前に日本国内において頒布された甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件特許は、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
3 取消理由の概要
当審が令和7年5月20日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
「1.(新規性)本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。そして、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2.(進歩性)本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そして、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。」
第5 当審の判断
1 甲1について
(1)記載事項
特許異議申立人が甲第1号証として提出した特開2019-205892号公報(以下「甲1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。
ア 「【0060】
次に、図5(a)~(d)を用いて、パチンコ機100´の特図1表示装置212´、特図2表示装置214´、装飾図柄表示装置208´、普図表示装置210´が停止表示する特図および普図の種類について説明する。図5(a)は特図1の停止図柄態様の一例を示したものであり、図5(b)は特図2の停止図柄態様の一例を示したものである。特図1始動口230´に球が入球したことを第1始動口センサが検出したことを条件として特図1変動遊技が開始され、特図2始動口232´に球が入球したことを第2始動口センサが検出したことを条件として特図2変動遊技が開始される。特図1変動遊技が開始されると、特図1表示装置212´は、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「特図1の変動表示」を行う。また、特図2変動遊技が開始されると、特図2表示装置214´は、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「特図2の変動表示」を行う。これらの「特図1の変動表示」および「特図2の変動表示」が本実施形態にいう図柄の変動表示の一例に相当する。
【0061】
そして、特図1の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図1表示装置212´は特図1の停止図柄態様を停止表示し、特図2の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図2表示装置214´は特図2の停止図柄態様を停止表示する。したがって、「特図1の変動表示」を開始してから特図1の停止図柄態様を停止表示するまで、あるいは「特図2の変動表示」を開始してから特図2の停止図柄態様を停止表示するまでが本実施形態にいう図柄変動停止表示の一例に相当し、以下、この「特図1または2の変動表示」を開始してから特図1または2の停止図柄態様を停止表示するまでの一連の表示を図柄変動停止表示と称する。図柄変動停止表示は複数回、連続して行われることがある。
【0062】
図5(a)には、特図1の図柄変動停止表示における停止図柄態様として「特図A」~「特図E」の5種類の特図が示されている。図5(a)においては、図中の白抜きの部分が消灯するセグメントの場所を示し、黒塗りの部分が点灯するセグメントの場所を示している。「特図A」は15ラウンド(15R)特別大当り図柄であり、「特図B」は15R大当り図柄である。本実施形態のパチンコ機100では、特図変動遊技における大当りか否かの決定はハードウェア乱数の抽選によって行い、特別大当りか否かの決定はソフトウェア乱数の抽選によって行う。大当りと特別大当りの違いは、次回の特図変動遊技で、大当りに当選する確率が高い(特別大当り)か低い(大当り)かの違いである。以下、この大当りに当選する確率が高い状態のことを特図高確率状態(以下、「特図確変」または単に「確変」という場合がある)と称し、その確率が低い状態のことを特図低確率状態と称する。また、15R特別大当り遊技終了後および15R大当り遊技終了後にはいずれも時短状態(電サポ状態)に移行する。時短については詳しくは後述するが、時短状態のことを普図高確率状態(以下、「普図確変」という場合がある)と称し、時短状態でない状態のことを普図低確率状態と称する。15R特別大当り図柄である「特図A」は、特図高確率普図高確率状態であり、15R大当り図柄である「特図B」は、特図低確率普図高確率状態である。これらの「特図A」および「特図B」は、遊技者に対する有利度が相対的に大きくなる図柄である。」
イ 「【0231】
図23は、変動アイコン表示制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。……
【0232】
ステップS1303´では、変動アイコン抽選処理を行う。変動アイコン抽選処理では、例えば、後述する変動アイコン表示態様抽選用テーブル(図30)を参照して、開始された特図変動遊技に対応する保留アイコンの変動開始直前(保留消化直前)の表示グループ(保留アイコンの変動開始直前の表示態様が白、青、赤のいずれかであれば「球系」、箱または千両箱であれば「箱系」)、開始された特図変動遊技に対応する変動タイマ、および変動アイコン表示態様抽選用乱数値に基づき、開始された特図変動遊技についての変動アイコンの表示態様を抽選で決定する。本例の変動アイコンの表示態様には、「白」、「青」、「赤」、「金」、「煙」、「酒」、「刀」、「家紋」がある。……」
ウ 「【0258】
本例の保留アイコンの表示態様は、球系の保留アイコン表示グループでは信頼度(大当り信頼度)の高い方から「赤」、「青」、「白」となっており、箱系の保留アイコン表示グループでは信頼度の高い方から「千両箱」、「箱」となっている。図23~図26に示す保留アイコン表示態様抽選テーブルでは、当り時に選択されるタイマグループ3、5、7の方が、はずれ時に選択されるタイマグループ1、2、4、6よりも信頼度の高い表示態様が選択され易く、また、信頼度の高い表示態様に変化し易くなっている。
……
【0260】
図30は、変動アイコン表示制御処理の変動アイコン抽選処理(ステップS1303´)で用いられる変動アイコン表示態様抽選用テーブルの一例を示している。図30に示す変動アイコン表示態様抽選用テーブルでは、開始される特図変動遊技に対応する保留アイコンの最終的な表示態様(保留アイコン表示グループ)と、当該特図変動遊技の変動タイマと、変動アイコン表示態様抽選用乱数値とに基づいて、当該変動アイコンの表示態様が決定される。変動アイコン表示態様抽選用乱数値は、RAM508´に設けられた乱数カウンタから取得される。本例の変動アイコン表示態様抽選用乱数値のとり得る範囲は0~99(数値範囲の幅は100)である。
……
【0262】
また例えば、開始される特図変動遊技に対応する保留アイコンの最終的な表示態様が箱(保留アイコン表示グループが箱系)であり、当該特図変動遊技の変動タイマがタイマ14である場合、当該変動アイコンの表示態様は、2%の確率(乱数範囲0~1)で「煙」(例えば、空箱であることを示唆するために箱の中から煙が出てくる態様)が選択され、33%の確率(乱数範囲2~34)で「酒」(例えば、箱の中から酒が出てくる態様)が選択され、30%の確率(乱数範囲35~64)で「刀」(例えば、箱の中から刀が出てくる態様)が選択され、35%の確率(乱数範囲65~99)で「家紋」(例えば、箱の中から家紋が出てくる態様)が選択される。……
【0263】
球系の保留アイコンに対応する変動アイコンの表示態様は、信頼度の高い方から「金」、「赤」、「青」、「白」となっている。箱系の保留アイコンに対応する変動アイコンの表示態様は、信頼度の高い方から「家紋」、「刀」、「酒」、「煙」となっている。……」
エ 「【0850】
<変動アイコンと保留アイコンの表示例1>
【0851】
次に、他の実施形態に係るパチンコ機の変動アイコンと保留アイコンの表示例について説明する。図145は、変動アイコンと保留アイコンの表示例1を示した図である。
【0852】
他の実施形態に係るパチンコ機は、装飾図柄表示装置208に、装飾図柄を表示するための図柄表示領域のほかに、変動アイコンを表示するための特図変動中表示領域208s0と、保留アイコン1を表示するための第1特図保留表示領域208s1と、保留アイコン2を表示するための第2特図保留表示領域208s2と、保留アイコン3を表示するための第3特図保留表示領域208s3と、保留アイコン4を表示するための第4特図保留表示領域208s4を配置している。
……
【0861】
続いて、同図(i)~(l)に示すように、主制御部300は、第1特図表示装置212において、同図(b)の入賞時における保留2に対応する特図1の変動表示を行い、第1副制御部400は、図柄表示領域において装飾図柄の変動表示を行い、特図1変動遊技の保留数が1から0に減少したため、第1特図保留表示領域208s1に表示していた「千両箱」の保留アイコン1を特図変動中表示領域208s0の方向に移動させる表示を行い、所定のタイミングで、当該「千両箱」を変動アイコン抽選で選択した「家紋」に変化させて、当該「家紋」を特図変動中表示領域208s0に表示する。」
オ 「【図30】
[図:0001433066000001.jpg]
」
カ 「【図145】
[図:0001433066000002.jpg]
」
(2)認定事項
ア 認定事項1
甲1における【0861】、【図145】(j)~(l)の記載から、以下の事項が示されているといえる。
「すべての装飾図柄が変動表示を行っている間に特図変動中表示領域208s0に表示された「千両箱」を「家紋」に変化させる場合に、「家紋」のほかに「千両箱」が表示されているときがあること。」(以下「認定事項1」という。)
(3)甲1発明
以上のことから、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が開示されていると認められる。なお、引用箇所の段落番号等を併記し、また、本件発明特定事項A等に概ね対応させたa等を含む符号を付した。
「a
特図1始動口230´に球が入球したことを第1始動口センサが検出したことを条件として特図1変動遊技が開始され、特図1変動遊技が開始されると、「特図1の変動表示」を行うパチンコ機であって(【0060】)、
特図1の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図1表示装置212´は特図1の停止図柄態様を停止表示し(【0061】)、
特図1の図柄変動停止表示における停止図柄態様として「特図A」~「特図E」の5種類の特図があり、「特図A」は15ラウンド(15R)特別大当り図柄であり、「特図B」は15R大当り図柄であり、15R特別大当り図柄である「特図A」は、特図高確率普図高確率状態であり、15R大当り図柄である「特図B」は、特図低確率普図高確率状態であり、これらの「特図A」および「特図B」は、遊技者に対する有利度が相対的に大きくなる図柄であり(【0062】)、
cア,e,f
変動アイコン抽選処理では、変動アイコン表示態様抽選用テーブルを参照して、開始された特図変動遊技に対応する保留アイコンの変動開始直前(保留消化直前)の表示グループ(保留アイコンの変動開始直前の表示態様が白、青、赤のいずれかであれば「球系」、箱または千両箱であれば「箱系」)、開始された特図変動遊技に対応する変動タイマ、および変動アイコン表示態様抽選用乱数値に基づき、開始された特図変動遊技についての変動アイコンの表示態様を抽選で決定し、変動アイコンの表示態様には、「白」、「青」、「赤」、「金」、「煙」、「酒」、「刀」、「家紋」があり(【0232】)、
保留アイコンの表示態様は、球系の保留アイコン表示グループでは信頼度(大当り信頼度)の高い方から「赤」、「青」、「白」となっており、箱系の保留アイコン表示グループでは信頼度の高い方から「千両箱」、「箱」となっており(【0258】)、
変動アイコン表示制御処理の変動アイコン抽選処理において、開始される特図変動遊技に対応する保留アイコンの最終的な表示態様(保留アイコン表示グループ)と、当該特図変動遊技の変動タイマと、変動アイコン表示態様抽選用乱数値とに基づいて、当該変動アイコンの表示態様が決定され(【0260】)、
例えば、開始される特図変動遊技に対応する保留アイコンの最終的な表示態様が箱(保留アイコン表示グループが箱系)であり、当該特図変動遊技の変動タイマがタイマ14である場合、当該変動アイコンの表示態様は、2%の確率(乱数範囲0~1)で「煙」(例えば、空箱であることを示唆するために箱の中から煙が出てくる態様)が選択され、33%の確率(乱数範囲2~34)で「酒」(例えば、箱の中から酒が出てくる態様)が選択され、30%の確率(乱数範囲35~64)で「刀」(例えば、箱の中から刀が出てくる態様)が選択され、35%の確率(乱数範囲65~99)で「家紋」(例えば、箱の中から家紋が出てくる態様)が選択され(【0262】)、
球系の保留アイコンに対応する変動アイコンの表示態様は、信頼度の高い方から「金」、「赤」、「青」、「白」となっており、箱系の保留アイコンに対応する変動アイコンの表示態様は、信頼度の高い方から「家紋」、「刀」、「酒」、「煙」となっており(【0263】)、
b
装飾図柄表示装置208に、装飾図柄を表示するための図柄表示領域のほかに、変動アイコンを表示するための特図変動中表示領域208s0と、保留アイコン1を表示するための第1特図保留表示領域208s1と、保留アイコン2を表示するための第2特図保留表示領域208s2と、保留アイコン3を表示するための第3特図保留表示領域208s3と、保留アイコン4を表示するための第4特図保留表示領域208s4を配置しており(【0852】)、
cイ,dア
第1副制御部400は、図柄表示領域において装飾図柄の変動表示を行い、特図1変動遊技の保留数が1から0に減少したため、第1特図保留表示領域208s1に表示していた「千両箱」の保留アイコン1を特図変動中表示領域208s0の方向に移動させる表示を行い、所定のタイミングで、当該「千両箱」を変動アイコン抽選で選択した「家紋」に変化させて、当該「家紋」を特図変動中表示領域208s0に表示し(【0861】)、
cウ,dイ
すべての装飾図柄が変動表示を行っている間に特図変動中表示領域208s0に表示された「千両箱」を「家紋」に変化させる場合に、「家紋」のほかに「千両箱」が表示されているときがある(認定事項1)、
g
パチンコ機(【0060】)。」
2 対比
(1)本件発明特定事項Aについて
甲1発明の「特図1の変動表示」、「パチンコ機」は、それぞれ、本件訂正発明の「可変表示」、「遊技機」に相当する。
また、甲1発明では、「特図1の図柄変動停止表示における停止図柄態様として「特図A」~「特図E」の5種類の特図があ」るところ「「特図A」および「特図B」は、遊技者に対する有利度が相対的に大きくなる図柄であ」るから、甲1発明の「パチンコ機」は、本件訂正発明の「遊技機」と同様に、「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能」であるといえる。
よって、甲1発明は、本件発明特定事項Aに相当する構成を有する。
(2)本件発明特定事項Bについて
甲1発明の「変動アイコン」、「保留アイコン1」、「保留アイコン2」、「保留アイコン3」及び「保留アイコン4」は、本件訂正発明の「可変表示に対応する対応表示」に相当する。
また、甲1発明の「変動アイコンを表示するための特図変動中表示領域208s0と、保留アイコン1を表示するための第1特図保留表示領域208s1と、保留アイコン2を表示するための第2特図保留表示領域208s2と、保留アイコン3を表示するための第3特図保留表示領域208s3と、保留アイコン4を表示するための第4特図保留表示領域208s4を配置して」いる「装飾図柄表示装置208」は、本件訂正発明の「可変表示に対応する対応表示を表示可能な対応表示手段」に相当する。
よって、甲1発明は、本件発明特定事項Bに相当する構成を有する。
(3)本件発明特定事項Cについて
甲1発明の「保留アイコンの表示態様」における「千両箱」、「変動アイコンの表示態様」における「家紋」は、いずれも、本件訂正発明の「前記対応表示の表示態様」に相当する。また、甲1発明の「千両箱」は、本件訂正発明の「前記対応表示の表示態様」における「第1態様」に相当し、甲1発明の「家紋」は、本件訂正発明の「前記対応表示の表示態様」における「第2態様」に相当する。
また、甲1発明では、「第1副制御部400は、図柄表示領域において装飾図柄の変動表示を行い、特図1変動遊技の保留数が1から0に減少したため、第1特図保留表示領域208s1に表示していた「千両箱」の保留アイコン1を特図変動中表示領域208s0の方向に移動させる表示を行い、所定のタイミングで、当該「千両箱」を変動アイコン抽選で選択した「家紋」に変化させて、当該「家紋」を特図変動中表示領域208s0に表示」するから、甲1発明「第1副制御部400」は、本件訂正発明の「1回目変化演出実行手段」と同様に、「前記対応表示の表示態様を、第1態様から、」「第2態様に変化させる変化演出を」「実行可能」であるといえる。ここで、甲1発明では、「すべての装飾図柄が変動表示を行っている間に特図変動中表示領域208s0に表示された「千両箱」を「家紋」に変化させる」ところ、「すべての装飾図柄が変動表示を行っている間」は「リーチ演出」が実行されていないことが明らかであるから「リーチ演出」が実行される前の状態が含まれることを踏まえると、甲1発明は本件訂正発明と同様に、「前記対応表示の表示態様を、第1態様から、」「第2態様に変化させる変化演出をリーチ演出が実行される前において実行可能な1回目変化演出実行手段」を備えるといえる。
よって、甲1発明は本件訂正発明と、「前記対応表示の表示態様を、第1態様から、」「第2態様に変化させる変化演出をリーチ演出が実行される前において実行可能な1回目変化演出実行手段」を備える点で共通する。
(4)本件発明特定事項Dについて
甲1発明の「特図変動中表示領域208s0に表示された「千両箱」を「家紋」に変化させる」ことは、本件訂正発明の「前記変化演出」に相当する。
また、甲1発明の「千両箱」、「家紋」は、それぞれ、本件訂正発明の「前記第1態様」、「前記第2態様」に相当する。
また、甲1発明の「「家紋」のほかに「千両箱」が表示されている」ことは、本件訂正発明の「前記第2態様の前記対応表示を前記第1態様に対応し」て「表示させる履歴示唆演出」に相当する。
ここで、甲1発明では、「すべての装飾図柄が変動表示を行っている間に特図変動中表示領域208s0に表示された「千両箱」を「家紋」に変化させる場合に、「家紋」のほかに「千両箱」が表示されているときがある」ところ、上記(3)で述べたことを踏まえると、このときは、「「千両箱」を「家紋」に変化させる場合」であるから「前記1回目変化演出実行手段による変化演出の実行が開始され」た「以後」であり、かつ、すでに「「家紋」が表示されている」から「前記第2態様に変化させた以後」であるといえる。
よって、甲1発明は本件訂正発明と、「前記1回目変化演出実行手段による変化演出の実行が開始され、前記第2態様に変化させた以後に、前記第2態様の前記対応表示を前記第1態様に対応し」て「表示させる履歴示唆演出をリーチ演出が実行されるまでの期間において実行可能な履歴示唆演出実行手段」を備える点で共通する。
(5)本件発明特定事項Iについて
甲1発明の「パチンコ機」は、本件訂正発明の「遊技機」に相当する。
よって、甲1発明は、本件発明特定事項Iに相当する構成を有する。
(6)一致点・相違点
以上のことから、本件訂正発明と甲1発明とは、
「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示に対応する対応表示を表示可能な対応表示手段と、
C’前記対応表示の表示態様を、第1態様から、第2態様に変化させる変化演出をリーチ演出が実行される前において実行可能な1回目変化演出実行手段と、
D’前記1回目変化演出実行手段による変化演出の実行が開始され、前記第2態様に変化させた以後に、前記第2態様の前記対応表示を前記第1態様に対応して表示させる履歴示唆演出をリーチ演出が実行されるまでの期間において実行可能な履歴示唆演出実行手段と、を備える、
I 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1(本件発明特定事項C)>
本件訂正発明と甲1発明は、「前記対応表示の表示態様を、第1態様から、」「第2態様に変化させる変化演出をリーチ演出が実行される前において実行可能な1回目変化演出実行手段」を備える点で共通するものの、
本件訂正発明では、「第2態様」が「第1態様よりも前記有利状態に制御される期待度が高い」のに対し、
甲1発明では、「家紋」が「千両箱」よりも「前記有利状態に制御される期待度が高い」か否かが明らかでない点。
<相違点2(本件発明特定事項D)>
本件訂正発明と甲1発明とは、1回目変化演出実行手段による変化演出の実行が開始され、第2態様に変化させた以後に、第2態様の対応表示を第1態様に対応して表示させる履歴示唆演出をリーチ演出が実行されるまでの期間において実行可能な履歴示唆演出実行手段と、を備える点で共通するものの、
本件訂正発明では、「履歴示唆演出」が「前記第2態様の前記対応表示を前記第1態様に対応した色で表示させる」のに対し、
甲1発明では、そのように構成されていない点。
<相違点3(本件発明特定事項E、F)>
本件訂正発明と甲1発明とは、変化演出を実行可能な変化演出実行手段と履歴示唆演出を実行可能な履歴示唆演出実行手段を備える点で共通するものの、
本件訂正発明では、「前記変化演出実行手段は、前記変化演出として第1変化演出と該第1変化演出とは異なる第2変化演出とを実行可能であり、
前記履歴示唆演出実行手段は、前記変化演出実行手段によって前記第1変化演出が実行される場合と前記第2変化演出が実行される場合のいずれであっても前記履歴示唆演出を実行可能である」のに対し、
甲1発明では、そのように構成されているか否かが明らかでない点。
<相違点4(本件発明特定事項G)>
本件訂正発明では、「前記遊技機は、前記1回目変化演出実行手段による変化演出の後に、前記対応表示の表示態様を、前記第2態様から、該第2態様よりも前記有利状態に制御される期待度が高い第3態様に変化させる変化演出を前記リーチ演出が実行される前において実行可能な2回目変化演出実行手段をさらに備え」るのに対し、
甲1発明では、そのように構成されていない点。
<相違点5(本件発明特定事項H)>
本件訂正発明では、「前記リーチ演出が実行されるまでの期間において、前記1回目変化演出実行手段による変化演出を実行した後、前記2回目変化演出実行手段による変化演出を実行する場合に、前記履歴示唆演出を終了してから所定期間経過後に、前記2回目変化演出実行手段による変化演出を開始する」のに対し、
甲1発明では、そのように構成されていない点。
3 判断
(1)相違点2について
事案に鑑み、相違点2について検討する。
甲1発明では、「変動アイコン」(本件訂正発明の「対応表示」に相当。)の表示態様を「千両箱」(本件訂正発明の「第1態様」に相当。)から「家紋」(本件訂正発明の「第2態様」に相当。)に変化させるところ、変化前の「変動アイコン」である「千両箱」は形状によって期待度を示すものであり、色によって期待度を示すものではない。すなわち、変化前の「千両箱」は、形状に特徴があり色には特徴がない。そうすると、甲1発明では、変化前の「千両箱」に対応した色によって、変化前の「変動アイコン」が「千両箱」であったことを示唆することもできない。
したがって、甲1発明を出発点として相違点2に係る本件訂正発明の構成に至ることはできないから、相違点2に係る本件訂正発明の構成をなすことは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
(2)小括
以上のとおり、相違点2に係る本件訂正発明の構成をなすことは、当業者が容易になし得たことであるとはいえないから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1に係る特許は、特許異議申立理由、及び取消理由によっては取り消すことができない。
また、他に本件特許の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-701131