特許異議申立
2025-701006
管理システム
- 審判番号
- 2025-701006
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-095532
- 登録番号
- 7665294
- 請求日
- 2025年10月17日
- 審決日
- 2026年06月11日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】株式会社マースエンジニアリング
- 【権利者代理人】金本 哲男
- 【権利者代理人】萩原 康司
- 【権利者代理人】扇田 尚紀
- 【権利者代理人】齊藤 隆史
- 【権利者代理人】三根 卓也
- 【権利者代理人】矢田 充洋
- 【異議申立人】弁理士法人 もえぎ特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼川 康史
- 審判官 三橋 健二
- 審判官 小河 俊弥
- 分類
- P1652.113-Z (A63F) / P1652.121-Z (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7665294号発明「管理システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7665294号の請求項2~4に係る特許を取り消す。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7665294号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4の特許についての出願は、令和2年6月1日に出願されたものであって、令和7年4月11日にその特許権の設定登録がされ、同月21日に特許掲載公報が発行された。
本件特許の請求項2~4に係る特許に対して、令和7年10月17日に特許異議申立人弁理士法人もえぎ特許事務所(以下、単に「申立人」という。)より、特許異議の申立てがされた。
当審において、令和8年2月19日付けで、本件特許の請求項2~4に係る特許に対して取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者は応答しなかった。
第2 本件発明
本件特許の請求項2~4の特許に係る発明(以下「本件発明2」等ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項2~4に記載された事項により特定される次のとおりのものである(「A」等は分説のため当審で付した。)。
「【請求項2】
A 遊技客の状態に関わる情報を管理するシステムであって、
B 前記遊技客の状態を経時的に取得する状態取得部と、
C 前記状態取得部と通信可能に接続された管理装置と、
を有し、
D 前記管理装置は、
前記遊技客の周囲で起きる事象を把握する事象把握部と、
E 前記遊技客の状態と前記事象を関連付けた相関を導出する相関導出部と、
F 前記状態取得部で取得された前記遊技客の状態、前記事象把握部で把握された前記事象、及び前記相関導出部で導出された前記相関を記憶する記憶部と、
G 前記相関を出力する出力部と、
を有し、
H 前記事象把握部で把握された前記事象は、遊技機の遊技状態であることを特徴とする、管理システム。
【請求項3】
I 前記遊技客の状態は、当該遊技客の表情又は動作であり、
前記状態取得部は、前記遊技客を撮像する撮像手段を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項4】
J 前記管理装置は、前記遊技客の表情を表情度数として数値化する表情度数導出部をさらに有することを特徴とする、請求項3に記載の管理システム。」
第3 取消理由
1 取消理由の概要
当審において、本件発明2~4に係る特許に対して、令和8年2月19日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
取消理由1.(新規性)本件特許の請求項2~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの発明に対する特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
取消理由2.(進歩性)本件特許の請求項2~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明に対する特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 甲号証一覧
甲第1号証:特開2017-46798号公報
甲第2号証:特許第5788777号公報
(特許異議申立人が提出した各甲号証を、以下「甲1」等という。)
第4 各甲号証
1 甲1
(1) 甲1の記載事項
甲1には次の事項が記載されている(下線は合議体が付した。以下同様。)。
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用管理システムに関する。」
「【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、大規模なハード的な変更を伴うことなく遊技機から演出に関する詳細な遊技情報を収集することが可能で、遊技機で実行される演出に対して遊技者がどのような感情を抱き、どのような動向を示すのかについて分析可能なシステムを提供するものである。」
「【0009】
本発明の第2の態様の遊技場用管理システムは、遊技者の顔画像から表情を特定する表情特定手段を備えている。第2の態様の遊技場用管理システムは、実行された演出の種類を対応付けて特定された遊技者の表情を記憶し、出力可能である。」
「【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、音響透かし技術を利用して演出情報を外部出力可能な遊技機を含む遊技場用管理システム1に関する例である。この内容について、図1~図7を用いて説明する。
【0014】
遊技場用管理システム1は、図1のごとく、パチンコ台2やスロットマシン(図示略)など多数の遊技機を管理する管理装置41を中心として構築されたシステムである。この遊技場用管理システム1では、2台の遊技機毎に1台ずつ設置された中継装置42が、管理装置41、景品交換装置13、精算装置15等と共に通信ネットワーク40に接続されている。
【0015】
さらに、本例の遊技場用管理システム1では、遊技者の顔を撮影した顔画像に画像処理を施す画像処理装置100が通信ネットワーク40に接続されている。遊技場用管理システム1を適用する遊技場では、遊技者の顔画像を取得する顔画像取得手段としてのカメラ10が遊技機毎に設置され、4台のカメラ10毎に上記の画像処理装置100が1台ずつ設置されている。カメラ10は、パチンコ台2の側方の隣接する位置に目立たないように設置されている。」
「【0040】
遊技情報表示装置3は、以下の各手段としての機能を備えている。
(1)音響透かし取得手段:パチンコ台2が出力する音響透かしを取得する手段であり、マイク37により実現される。
(2)演出特定手段:遊技機が備える前記音響透かし出力手段から出力される音響透かしに基づいて演出情報を取得し、演出の種類を特定する手段。演出情報の取得は、CPU301が所定の演算処理(デコード処理)を音響透かしに適用して実現される。なお、CPU301の処理負荷を軽減して処理を高速化するために専用の音声処理チップ等を採用することもできる。
(3)遊技終了特定手段:遊技者が遊技を終了した遊技終了時点を特定する手段。」
「【0043】
画像処理装置100は、以下の各手段としての機能を備えている。
(1)表情特定手段:顔画像取得手段としてのカメラ10が取得した顔画像を分析することにより、遊技者の表情を特定する手段。表情特定手段は、カメラ10が取得した画像について顔の存否を判定し、顔が映っていればその表情の種類を特定する。
(2)認識情報出力手段:顔の存否、遊技者の表情などの画像処理結果を管理装置41に出力する手段。管理装置41で出力元の遊技機を特定できるよう、認識情報としての画像処理結果の出力時には、対応する遊技機の台番IDを対応付ける。」
「【0046】
管理装置41は、以下の各手段としての機能を備えている。
(1)演出記憶手段:遊技情報表示装置3が備える前記演出特定手段により特定された演出の種類を記憶する手段。演出記憶手段は、演出の種類別で実行回数等を集計し、その集計結果を併せて記憶する。
(2)表情記憶手段:演出記憶手段により記憶された演出の種類と対応付けて前記画像処理装置100が備える表情特定手段により特定された遊技者の表情を記憶する手段。
(3)遊技終了特定手段:遊技者が遊技を終了した遊技終了時点を特定する手段。
(4)終了契機演出特定手段:前記演出記憶手段により記憶された演出の種類の中で、前記遊技終了時点から遡った所定期間(本例では5分を設定)内に実行された演出の種類を終了契機演出として特定する手段。
(5)終了契機回数算出手段:終了契機演出特定手段により終了契機演出として特定された回数を、演出の種類別に終了契機回数として算出する手段。
(6)表情数算出手段:表情記憶手段により表情が記憶された回数を、演出の種類及び表情の種類に区分して表情数として算出する手段。
(7)終了契機演出出力手段:前記終了契機演出を出力する手段。
(8)終了契機回数出力手段:前記終了契機回数を出力する手段。
(9)出力手段:演出記憶手段に記憶された演出の種類と、前記表情記憶手段に記憶された表情に対応する情報とを出力する出力手段。
(10)表情数出力手段:前記表情数を出力する手段。」
「【0054】
(画像処理装置の動作)
画像処理装置100は、対応する遊技機が遊技中であるか否かに関わらず、接続された4台のカメラ10が撮像した画像を1秒毎に切り換えながら4秒周期で順番に取り込む。取り込んだ画像に対して所定の画像処理を施し、画像の中に遊技者の顔が存在するか否かを判定すると共に、顔が存在していればその表情を分析する。
【0055】
具体的には、画像処理装置100は、取り込んだ画像について目や口等の顔のパーツが占有する領域の特定を試み、これらの領域が特定できたとき画像の中に遊技者の顔が存在していると判定する。そして、画像の中に顔が存在している場合には、目や口等の領域における目尻の相対高さや口角の相対高さ等を計測することで、(1)真顔の表情、(2)驚きの表情、(3)喜びの表情、(4)怒りの表情、(5)悲しみの表情、の中のいずれの種類に区別できるかを特定する。
【0056】
画像処理装置100は、画像を取得する毎に、画像処理結果である認識情報を管理装置41に送信する。認識情報は、画像中の顔の存否、及び表情の種類を示す情報であり、管理装置41側で対応する遊技機を特定できるよう、台番IDが対応付けられている。なお、遊技者が着席している場合であっても顔の向きや姿勢によっては遊技者の顔を検出できない場合もあり、このような場合には画像中に顔が存在していない旨の認識情報が送信される。」
「【0068】
(4)演出と遊技者動向の分析・管理
管理装置41は、遊技場に設置された遊技機のうち機種毎に、演出と遊技者動向との関係を明らかにするための分析を実行する。
・演出別表情数:演出の種類別の遊技者の5種類の各表情の検出回数。
・演出別終了契機回数:遊技終了の5分前以内に実行された演出の種類別の回数。
【0069】
具体的には、例えば機種Aの分析結果を例示する図6のように、演出の種類別にて、遊技者の上記の5種類の表情が検出された各回数を表情数としてそれぞれ集計して算出する。また、遊技終了時点を基準として5分前以内に実行された演出を終了契機演出として特定し、例えば図7に示すように、演出の種類別にて、終了契機演出として特定された回数(終了契機回数)を集計して算出する。」
「【図1】
[図:0001438298000001.jpg]
」
「【図6】
[図:0001438298000002.jpg]
」
(2) 甲1の認定事項
ア 認定事項ア
図1から「カメラ10は画像処理装置100に接続され、遊技情報表示装置3と画像処理装置100は通信ネットワーク40を介して管理装置41に接続されること」が看て取れる(以下「認定事項ア」という。)。
(3) 甲1発明
上記(1)、(2)より、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(符号a等は、本件発明の符号A等に概ね対応させて合議体が付した。また、引用箇所の段落番号、図番を併記した。以下、符号を付した事項を「特定事項a」等という。)。
「1a 遊技機から演出に関する詳細な遊技情報を収集することが可能で、遊技機で実行される演出に対して遊技者がどのような感情を抱き、どのような動向を示すのかについて分析可能であり(【0006】)、遊技者の顔画像から表情を特定する表情特定手段を備える遊技場用管理システムであって(【0009】)、遊技場用管理システムは、多数の遊技機を管理する管理装置41を中心として構築されたシステムであり(【0014】)、
1bci 遊技者の顔画像を取得するカメラ10が遊技機毎に設置され(【0015】)、画像処理装置100は、カメラ10が取得した顔画像を分析することにより遊技者の表情を特定する表情特定手段と、遊技者の表情を管理装置41に出力する認識情報出力手段を備え(【0043】)、カメラ10は画像処理装置100に接続され、画像処理装置100は通信ネットワーク40を介して管理装置41に接続され(認定事項ア)、
1dh 遊技情報表示装置3は、通信ネットワーク40を介して管理装置41に接続され(認定事項ア)、遊技機が備える前記音響透かし出力手段から出力される音響透かしに基づいて演出情報を取得し、演出の種類を特定する演出特定手段を備え(【0040】)、
1ef 管理装置41は、演出記憶手段により記憶された演出の種類と対応付けて画像処理装置100が備える表情特定手段により特定された遊技者の表情を記憶する表情記憶手段を備え(【0046】)、
1g 管理装置41は、前記演出記憶手段に記憶された演出の種類と、前記表情記憶手段に記憶された表情に対応する情報とを出力する出力手段を備え(【0009】、【0046】)、
1j 管理装置41は、遊技場に設置された遊技機のうち機種毎に、演出と遊技者動向との関係を明らかにするための分析を実行するもので、演出の種類別にて、遊技者の上記の5種類の表情が検出された各回数を表情数としてそれぞれ集計して算出する(【0068】、【0069】)、遊技場用管理システム(【0009】、【0013】)。」
2 甲2
(1) 甲2の記載事項
甲2には次の事項が記載されている。
「【0004】
しかしながら、遊技場では遊技者が個人個人で遊技を行っていることから、感情を表に出さずに遊技を行う遊技者が存在する。このような遊技者の場合、表情の変化が乏しく、遊技者の表情から遊技者の感情を特定することが困難である。つまり、効率良く遊技者の感情変化を特定する上で未だ改善の余地がある。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技者の感情変化を好適に特定可能な遊技者管理装置を提供することにある。」
「【0012】
本発明の一実施形態による遊技者管理装置について図1から図12を参照しながら説明する。
図1は、遊技者管理装置を採用した遊技場用システム1の全体構成を概略的に示している。遊技場内には、複数台の遊技機2が設置されており、各遊技機2に対応して貸出装置3が設置されている。本実施形態では遊技機2として所謂パチンコ遊技機を想定しており、遊技媒体として玉(所謂パチンコ玉)を想定している。これら遊技機2及び貸出装置3は、2台ずつ中継装置4に接続している。遊技機2や貸出装置3等から出力される後述する遊技信号は、中継装置4を介して管理装置5(遊技者管理装置に相当する)に送信される。
【0013】
この管理装置5は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、LAN6を介して各中継装置4に接続しているとともに、出力手段としてのモニタ7や図示しないプリンタ等に接続している。尚、図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機2が管理装置5の管理対象となっている。また、遊技場用システム1は、遊技場内に設けられている図示しないスロットマシンや計数装置或いはPOS端末等も備えている。」
「【0017】
このような構成の遊技機2及びその周辺機器(以下、遊技機2側の機器と称する)は、遊技者による玉の打ち込みや始動入賞の発生等の遊技の進行に伴って、例えば、遊技者が遊技に使用した玉数を特定可能なアウト信号、入賞や所謂大当たり等に伴って遊技機2から遊技者に付与された玉数を特定可能なセーフ信号、始動口2cへの入賞(始動入賞)を特定可能な始動入賞信号、玉貸出操作に応じて遊技者に貸し出した玉数を特定可能な売上信号等の各種の遊技信号を出力する。尚、アウト信号やセーフ信号は、遊技機2の稼動状態を特定する稼動信号としても参照される。
【0018】
貸出装置3の顔認証用カメラ3d(遊技者特定手段に相当する)は、例えば周知のCMOSセンサやCCDセンサ等の撮像素子を有しており、遊技者を撮像する。つまり、顔認証用カメラ3dは、貸出装置3が設けられている遊技機2を遊技している遊技者の顔を撮像し、当該遊技者の顔画像を取得する。顔認証用カメラ3dで撮像された遊技者の顔画像は、管理装置5に送信される。尚、顔認証用カメラ3dは、遊技者の存在・不在に関わらず、概ね数秒毎に撮像を繰り返している。
カード挿入口3eは、その内部に図示しない読出装置が設けられており、会員カード8が挿入されると、会員カード8に記録されている会員情報等の情報を取得する。そのため、貸出装置3は、会員カード8が挿入されると、その会員カード8を所有する遊技者毎に集計された遊技情報の表示や他の遊技機2の遊技情報の表示等が可能になる。尚、会員カード8が挿入されない場合であって、一部の操作や表示が可能な構成としても良い。」
「【0020】
管理装置5(遊技者管理装置に相当する)は、図2に示すように、CPU5a、ROM5bやRAM5c、各種の情報の送受信を行う入出力手段としての入出力部5d及び記憶部5e等を備えたコンピュータにより構成されている。管理装置5は、例えば記憶部5e等に記憶されているコンピュータプログラムに従って作動し、入出力部5dに入力される遊技機2側の機器からの遊技信号に基づいて、遊技機2の稼動状態の特定、遊技機2毎及び遊技機2の機種(「遊技機の種類」に相当する)毎にデータを算出及び集計し、遊技情報として管理する。例えば、管理装置5は、遊技情報として、アウト、セーフ、差玉、スタート回数、特賞回数(大当たり回数)、出玉率或いは売上等の遊技情報を遊技機2毎に算出及び集計して管理する。尚、管理装置5が管理する遊技情報は上記にて例示したものに限定されない。
記憶部5eは、管理装置5を制御するためのコンピュータプログラム、上記した遊技情報、顔認証用カメラ3dで撮像した遊技者の顔画像、後述する笑顔度を判定するためのデータベース等を記憶する。
【0021】
これら、表情情報特定部5f、表情情報管理部5g、遊技終了特定部5hは、本実施形態ではCPU5aにより実行されるコンピュータプログラムによってソフトウェア的に実現されている。
表情情報特定部5fは、顔認証用カメラ3dで撮像した遊技者の顔画像(撮像結果)から遊技者の表情を数値化した情報である表情情報を特定する。本実施形態では、表情情報特定部5fは、遊技者の表情情報として、遊技者が笑顔である度合を示す笑顔度を特定する。」
「【0023】
表情情報管理部5gは、表情情報特定部5fで特定した表情情報を管理する。具体的には、表情情報管理部5gは、予め定められた所定期間(本実施形態では、遊技の開始から10分間)における遊技者の表情情報である基準表情情報を遊技者に対応付けて管理すると共に、基準表情情報とその遊技者が遊技を行っている場合の表情情報との乖離値又は乖離度合を示す乖離情報を管理する。また、表情情報管理部5gは、遊技者が遊技を終了する所定期間前(本実施形態では10分前)における表情情報と基準表情情報との乖離値又は乖離度合を乖離情報として管理すると共に、当該乖離情報を遊技結果の情報である遊技情報に対応付けて管理する。・・・」
「【0029】
遊技者を特定すると、管理装置5は、遊技を開始したのは新規の遊技者である
かを判定し(A4)、新規の遊技者である場合には(A4:YES)、遊技者レコードを新規に作成する(A5)。新規の遊技者とは、当該遊技機2を直前まで遊技していた遊技者ではない場合も含んでいる。この遊技者レコードは、図4(a)に示すように、遊技者の個人データが記憶されているレコードである。この遊技者レコードには、遊技者の顔画像M1、遊技者情報M2、遊技情報及び乖離情報が対応付けられていた履歴データM3が記憶されている。図4(a)の場合、遊技者IDが777であり、機種Aの遊技機2において10時00分に遊技を開始したことが記憶されている。ここで、図4(a)に示す「差」は、差玉(セーフ-アウト)を示している。また、顔画像M1は、新規の遊技者の場合、ステップA3で遊技者を特定した時点で撮像された顔画像が記憶される。尚、会員カード8により遊技者を特定した場合には、例えば会員登録時などに遊技者の顔画像を撮像していればその顔画像を記憶させても良い。」
「【0040】
続いて、管理装置5は、笑顔度の集計を終了し(B7)、笑顔乖離度合の集計を終了して(B8)、リターンする。この時点における遊技者レコードには、図4(c)に示すように、終了10分前即ち10時20分における差玉が-1000玉(つまり、遊技者が負けている)、終了10分の笑顔度が60%、終了10分の笑顔乖離度合が-25%((60%-80%)÷80%で算出)であることが記憶されている。そして、笑顔度情報M4には、終了笑顔乖離度合(終了10分前笑顔乖離度合)として、-25%が記憶される。」
「【図4】
[図:0001438298000003.jpg]
」
(2) 甲2の認定事項
【0029】の「管理装置5は」「遊技者レコードを新規に作成する」、「この遊技者レコードは」「遊技者の個人データが記憶されているレコードである。」、「図4(a)に示す「差」は、差玉(セーフ-アウト)を示している。」という各記載と、図4(c)から「遊技者IDが777の遊技者の遊技者レコードに、10時20分において、差玉を示す「差」が「-1000玉」であることと「笑顔度」が「60%」であることとが表形式で同一の行に記録されること」が看取されることに照らせば、甲2には「管理装置5は、遊技者IDが777の遊技者について、遊技者レコードに、差玉と笑顔度とを表形式で同一の行に記録すること」が記載されていると認める(以下「認定事項イ」という。)。
(3) 甲2発明
上記(1)、(2)によれば、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲2発明)
「2a 遊技者の感情変化を特定可能な遊技者管理装置(【0004】)を採用した遊技場用システム1(【0012】)であって、
2bcij 顔認証用カメラ3dは、概ね数秒毎に撮像を繰り返し、撮像された遊技者の顔画像は、管理装置5に送信され(【0018】)、表情情報特定部5fは、顔認証用カメラ3dで撮像した遊技者の顔画像から遊技者の表情を数値化した情報である表情情報を特定(【0021】)し、
2dh 管理装置5は、遊技情報として、アウト、セーフ、差玉、スタート回数、特賞回数(大当たり回数)、出玉率或いは売上等の遊技情報を遊技機2毎に算出及び集計して管理(【0020】)し、
2ef 管理装置5は、遊技者IDが777の遊技者について、遊技者レコードに、差玉と笑顔度とを表形式で同一の行に記録し(認定事項イ)
2g 管理装置5は、出力手段としてのモニタ7やプリンタ等に接続する(【0013】)、
2h 遊技者管理装置を採用した遊技場用システム1(【0012】)。」
第5 取消理由1(新規性)について
1 本件発明2
(1)対比
本件発明2と甲2発明とを対比する。
ア 特定事項Bについて
甲2発明の特定事項2bcijの「遊技者の表情」は、本件発明2の特定事項Bの「前記遊技客の状態」に相当する。
そして、甲2発明の特定事項2bcijの「遊技者の表情」について「数値化した情報である表情情報」は「遊技者の表情」を情報として表すものであるから、甲2発明の特定事項2bcijにおいて「表情情報」を特定するため「遊技者の顔画像」を「撮像」する「顔認証用カメラ3d」は、本件発明2の特定事項Bの「前記遊技客の状態を」「取得する状態取得部」に相当する。
そして、甲2発明の特定事項2bcijの「概ね数秒毎に撮像を繰り返」すことは、本件発明2の特定事項Bの「経時的に取得する」ことに相当する。
したがって、甲2発明は本件発明2の特定事項Bに相当する構成を備える。
イ 特定事項Cについて
甲2発明の特定事項2bcijの「顔認証用カメラ3d」、「管理装置5」は、本件発明2の特定事項Cの「前記状態取得部」、「管理装置」にそれぞれ相当する。
そして、甲2発明の特定事項2bcijの「顔認証用カメラ3d」で「撮像された遊技者の顔画像」が「管理装置5」に「送信」されることから、「管理装置5」と「顔認証用カメラ3d」とが通信可能に接続されていることが明らかである。
したがって、甲2発明は本件発明2の特定事項Cに相当する構成を備える。
ウ 特定事項Dについて
甲2発明の特定事項2dhの「管理装置5」が「遊技機2毎に算出及び集計して管理」する「アウト、セーフ、差玉、スタート回数、特賞回数(大当たり回数)、出玉率或いは売上等の遊技情報」の一例である「差玉」は、遊技客が遊技する遊技機2で起こる勝ち負けの状態を特定する事柄、すなわち、遊技客の面前で起こる勝ち負けの状態を特定する事柄といえるから、本件発明2の特定事項Dの「前記遊技客の周囲で起きる事象」に相当する。
そして、甲2発明の特定事項2dhの「管理装置5」における「遊技情報」を「算出及び集計して管理」する機能を発揮する部分は、本件発明2の特定事項Dの「前記遊技客の周囲で起きる事象を把握する事象把握部」に相当する。
したがって、甲2発明は本件発明2の特定事項Dに相当する構成を備える。
エ 特定事項Eについて
上記ア、ウでの検討のとおり、甲2発明の特定事項2bcijの「遊技者の表情」が本件発明2の「前記遊技客の状態」に相当し、甲2発明の特定事項2dhの「遊技情報」の一例である「差玉」が本件発明2の「前記遊技客の周囲で起きる事象」に相当する。
そして、甲2発明の特定事項2efの「管理装置5」が「遊技者について」「差玉と笑顔度とを表形式で同一の行に記録」する機能を発揮する部分は、「遊技情報」の一例である「差玉」と「遊技者の表情」の具体例である「笑顔度」とを「表形式で同一行に」関連付ける機能を含むから、本件発明2の特定事項Eの「前記遊技客の状態と前記事象を関連付けた相関を導出する相関導出部」に相当する。
したがって、甲2発明は本件発明2の特定事項Eに相当する構成を備える。
オ 特定事項Fについて
上記エでの検討を踏まえると、「管理装置5」が「遊技者について」「遊技者レコードに」「差玉と笑顔度とを表形式で同一の行に記録」する機能を発揮する部分は、本件特許発明2の特定事項Fの「前記状態取得部で取得された前記遊技客の状態、前記事象把握部で把握された前記事象、及び前記相関導出部で導出された前記相関を記憶する記憶部」に相当する。
したがって、甲2発明は本件発明2の特定事項Fに相当する構成を備える。
カ 特定事項Gについて
甲2発明の管理装置5は、記録された情報を出力可能であることは明らかであるから、上記オを踏まえると、甲2発明の特定事項2gの「出力手段」は、本件発明2の特定事項Gの「前記相関を出力する出力部」に相当する。
したがって、甲2発明は本件発明2の特定事項Gに相当する構成を備える。
キ 特定事項Aについて
上記アでの検討を踏まえると、甲2発明の特定事項2bcijの「表情情報」が本件発明2の特定事項Aの「遊技客の状態に関わる情報」に相当する。そして、上記エ、オでの検討により、「遊技情報」の一例である「差玉」と「遊技者の表情」の具体例である「笑顔度」とを「管理装置5」が「記録」することから、甲2発明の特定事項2aの「遊技者管理装置を採用した遊技場用システム1」は、本件発明2の特定事項Aの「遊技客の状態に関わる情報を管理するシステム」に相当する。
ク 特定事項Hについて
上記ウの検討を踏まえると、甲2発明の構成2dhの「差玉」は、遊技客の面前で起こる勝ち負けの状態を特定する事柄であるから、本件発明2の構成Hの「遊技機の遊技状態」に相当する。
したがって、甲2発明は本件発明2の構成Hに相当する構成を備える。
(2)一致点、相違点
上記ア~クによれば、本件発明2と甲2発明は、全ての構成において一致し、相違する点はない。
(3)小括
上記(1)、(2)から、本件発明2は、甲2発明である。
2 本件発明3
(1)対比
本件発明3と甲2発明とを対比する。
ア 特定事項Iについて
上記1(1)イでの検討を踏まえると、甲2発明の特定事項2bcijの「遊技者の表情」、「顔認証用カメラ3d」は、本件発明3の特定事項Iの「前記遊技客の状態」、「前記状態取得部」にそれぞれ相当する。
そして、甲2発明の特定事項2bcijの「顔認証用カメラ3d」は、「遊技者の顔画像」を「撮像」するものであるから、本件発明3の特定事項Iの「前記遊技客を撮像する撮像手段」に相当する。
したがって、甲2発明は本件発明3の特定事項Iに相当する構成を備える。
(2)一致点、相違点
上記アによれば、本件発明3と甲2発明は、全ての構成において一致し、相違する点はない。
(3)小括
上記(1)、(2)から、本件発明3は、甲2発明である。
3 本件発明4
(1)対比
本件発明4と甲2発明とを対比する。
ア 特定事項Jについて
甲2発明の特定事項2bcijの「遊技者の表情を数値化した情報である表情情報」は、本件発明4の構成Jの「前記遊技客の表情を表情度数として数値化する表情度数」に相当する。
そして、甲2発明の特定事項2bcijの「遊技者の表情を数値化した情報である表情情報を特定」する「表情情報特定部5f」が、本件発明4の構成Jの「表情度数導出部」に相当する。
したがって、甲2発明は本件発明4の特定事項Jに相当する構成を備える。
(2)一致点、相違点
上記アによれば、本件発明4と甲2発明は、全ての構成において一致し、相違する点はない。
(3)小括
上記(1)、(2)から、本件発明4は、甲2発明である。
4 まとめ
以上のとおりであるから、甲2発明は本件発明2~4の全ての特定事項を備えるから、本件発明2~4と甲2発明とは相違するところがなく、本件発明2~4は甲2発明である。
第6 取消理由2(進歩性)について
1 本件発明2
(1)対比
本件発明2と甲1発明とを対比する。
ア 特定事項Bについて
甲1発明の特定事項1bciの「遊技者の顔画像を取得する」することや「取得した顔画像を分析することにより遊技者の表情を特定する」ことは、本件発明2の特定事項Bの「前記遊技客の状態を」「取得する」ことに相当する。
そして、甲1発明の「遊技者の顔画像を取得する」する「カメラ10」や「取得した顔画像を分析することにより遊技者の表情を特定する」「画像処理装置100」の「表情特定手段」は、本件発明2の特定事項Bの「前記遊技客の状態を」「取得する状態取得部」に相当する。
したがって、甲1発明の特定事項1bciは本件発明2の特定事項Bと「前記遊技客の状態を取得する状態取得部」を有する点で共通する。
イ 特定事項Cについて
上記アの検討に加え、甲1発明の特定事項1bciの「管理装置41」が本件発明2の特定事項Bの「管理装置」に相当する。 そして、甲1発明の特定事項1bciの「カメラ10は画像処理装置100に接続され、画像処理装置100は通信ネットワーク40を介して管理装置41に接続され」ることは、本件発明2の特定事項Cの「前記状態取得部」と「管理装置」とが「接続された」ことに相当する。
したがって、甲1発明は本件発明2の特定事項Cに相当する構成を備える。
ウ 特定事項Aについて
上記アでの検討を踏まえると、甲1発明の特定事項1bciの「遊技者の表情」が本件発明2の特定事項Aの「遊技客の状態」に相当する。
そして、甲1発明において、遊技機毎に設置された「遊技者の顔画像を取得するカメラ10」と、「カメラ10が取得した顔画像を分析することにより遊技者の表情を特定する表情特定手段と、遊技者の表情を管理装置41に出力する認識情報出力手段を備え」た「画像処理装置100」と、通信ネットワーク40を介して当該画像処理装置100と接続された「管理装置41」を中心として構築された、甲1発明の特定事項1aの「遊技場用管理システム」は、本件発明2の特定事項Aの「遊技客の状態に関わる情報を管理するシステム」に相当する。
したがって、甲1発明は本件発明2の特定事項Aに相当する構成を備える。
エ 特定事項Dについて
甲1発明の特定事項1dhの「遊技情報表示装置3」により「遊技機が備える前記音響透かし出力手段から出力される音響透かしに基づいて」「種類」が「特定」される「演出」は、遊技客が遊技する遊技機で実行される演出、すなわち、遊技客の面前にある遊技機で実行される演出といえるから本件発明2の特定事項Dの「前記遊技客の周囲で起きる事象」に相当する。
そして、甲1発明の特定事項1dhの「管理装置41」に接続される「遊技情報表示装置3」による「演出の種類を特定する演出特定手段」は、本件発明2の特定事項Dの「前記遊技客の周囲で起きる事象を把握する事象把握部」に相当する。
したがって、甲1発明の特定事項1dhは本件発明2の特定事項Dと「前記遊技客の周囲で起きる事象を把握する事象把握部」を備える点で共通する。
オ 特定事項Eについて
上記ア、エでの検討に加え、甲1発明の特定事項1efの「管理装置41」が備える「演出記憶手段により記憶された演出の種類と」「表情特定手段により特定された遊技者の表情」とを「対応付けて」「記憶する表情記憶手段」は、「演出」の種類と「遊技者の表情」とを「対応付け」るものであるから、本件発明2の特定事項Eの「前記遊技客の状態と前記事象を関連付けた相関を導出する相関導出部」に相当する。
したがって、甲1発明は本件発明2の特定事項Eに相当する構成を備える。
カ 特定事項Fについて
上記オでの検討を踏まえると、甲1発明の特定事項1efの「管理装置41」が備える「演出記憶手段により記憶された演出の種類と」「表情特定手段により特定された遊技者の表情」とを「対応付けて」「記憶する表情記憶手段」は、「演出」の種類と「遊技者の表情」とを「対応付け」て「記憶」するものであるから、本件発明2の特定事項Fの「前記状態取得部で取得された前記遊技客の状態、前記事象把握部で把握された前記事象、及び前記相関導出部で導出された前記相関を記憶する記憶部」に相当する。
したがって、甲1発明は本件発明2の特定事項Fに相当する構成を備える。
キ 特定事項Gについて
上記カでの検討のとおり、「演出の種類」と「遊技者の表情」とは対応付けられたものであるから、甲2発明の特定事項1gの「演出の種類と、」「表情に対応する情報とを出力する出力手段」は、本件発明2の特定事項Gの「前記相関を出力する出力部」に相当する。
したがって、甲1発明は本件発明2の特定事項Gに相当する構成を備える。
ク 特定事項Hについて
上記エにおいて検討したとおり、甲1発明の構成1dhの「演出」が本件発明2の構成Dの「前記遊技客の周囲で起きる事象」に相当するところ、当該「演出」は、遊技において実行される当否の状態や期待度の状態を直接的あるいは間接的に示すものであるから、本件発明2の構成Hの「遊技機の遊技状態」に相当する。
したがって、甲1発明は本件発明2の構成Hに相当する構成を備える。
(2)一致点、相違点、判断
上記ア~クからみて、本件発明2と甲1発明は、次の一致点で一致し、次の相違点で相違する。
ア 一致点
A 遊技客の状態に関わる情報を管理するシステムであって、
B’ 前記遊技客の状態を取得する状態取得部と、
C前記状態取得部と通信可能に接続された管理装置と、
を有し、
D’ 前記遊技客の周囲で起きる事象を把握する事象把握部と、
E 前記遊技客の状態と前記事象を関連付けた相関を導出する相関導出部と、
F 前記状態取得部で取得された前記遊技客の状態、前記事象把握部で把握された前記事象、及び前記相関導出部で導出された前記相関を記憶する記憶部と、
G 前記相関を出力する出力部と、
を有し、
H 前記事象把握部で把握された前記事象は、遊技機の遊技状態である管理システム。
イ 相違点
(ア)相違点1(特定事項B)
遊技客の状態を取得する状態取得部に関して、本件発明2は、遊技客の状態を経時的に取得するのに対し、甲1発明は、遊技者の表情の取得が経時的であるかは不明である点。
(イ)相違点2(特定事項D)
遊技客の周囲で起きる事象を把握する事象把握部を有する主体が、本件発明2は、管理装置であるのに対し、甲1発明は、管理装置41に接続される遊技情報表示装置3である点。
ウ 判断
(ア)相違点1(特定事項B)
上記「第5」の1(1)アで対比したとおり、甲2発明は、本件発明2の特定事項Bに相当する構成、すなわち、上記相違点1に係る本件発明2の構成に相当する構成を備える。
そして、甲1発明、甲2発明はともに、遊技者の表情を取得して管理に用いるシステムに関するものであるから、甲1発明の顔画像の取得に、甲2発明の特定事項2bcijを適用して上記相違点1に係る特定事項Bとなすことは当業者が容易に想到できたことである。
(イ)相違点2(特定事項D)
上記「第5」の1(1)キで対比したとおり、甲2発明は「管理装置が遊技に関する情報を管理する」ものである。
そして、甲1発明と甲2発明は、遊技機に関する情報及び遊技者の表情を取得し、管理に用いる点で共通するから、甲1発明における遊技機に関する情報である「演出」について、その「種類の特定する演出特定手段」を有する主体として、「管理装置41に接続される遊技情報表示装置3」で行うことに代えて、甲2発明にならって「管理装置」で行うようなすことは当業者が容易に想到できたことである。
(3)小括
以上のことから、本件発明2は甲1発明及び甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 本件発明3
(1)対比
本件発明3と甲1発明とを対比する。
ア 特定事項Iについて
上記1(1)アでの検討を踏まえると、甲1発明の特定事項1bciの「遊技者の表情」、「カメラ10」は、本件発明3の特定事項Iの「前記遊技客の状態」、「前記状態取得部」にそれぞれ相当する。
そして、甲1発明の特定事項1bciの「カメラ10」は、「遊技者の顔画像」を「取得」するものであるから、本件発明3の特定事項Iの「前記遊技客を撮像する撮像手段」に相当する。
したがって、甲1発明は本件発明3の特定事項Iに相当する構成を備える。
(2)一致点、相違点、判断
ア 一致点、相違点
上記アからみて、本件発明3と甲1発明は、上記相違点1、2で相違する。
イ 判断
相違点1についての判断は、上記1の(2)ウ(ア)に記載したとおりであり、相違点2についての判断は、上記1の(2)ウ(イ)に記載したとおりである。
(3)小括
以上のことから、本件発明3は甲1発明及び甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 本件発明4
(1)対比
本件発明4と甲1発明とを対比する。
ア 特定事項Jについて
甲1発明の特定事項1jの「管理装置41」が「遊技者の」「5種類の表情が検出された各回数を表情数として」「集計して算出する」機能は、「遊技者の」「5種類の表情」についてその検出された回数を集計することで数値化するものであるから、本件発明4の特定事項Iの「前記管理装置は、前記遊技客の表情を表情度数として数値化する表情度数導出部」に相当する。
したがって、甲1発明は本件発明4の特定事項Jに相当する構成を備える。
(2)一致点、相違点、判断
ア 一致点、相違点
上記アからみて、本件発明4と甲1発明は、上記相違点1、2で相違する。
イ 判断
相違点1についての判断は、上記1の(2)ウ(ア)に記載したとおりであり、相違点2についての判断は、上記1の(2)ウ(イ)に記載したとおりである。
(3)小括
以上のことから、本件発明4は甲1発明及び甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 まとめ
以上のとおりであるから、本件発明2~4は甲1発明及び甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本件発明2~4は甲2発明であるから、本件特許の請求項2~4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件発明2~4は甲1発明及び甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項2~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
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2025-701006