特許異議申立
2024-700972
粉体貯留器、溶融混練機、及び、粉体貯留方法、及び、熱可塑性樹脂組成物の製造方法
- 審判番号
- 2024-700972
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-502277
- 登録番号
- 7462607
- 請求日
- 2024年10月07日
- 審決日
- 2024年12月26日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】住友化学株式会社
- 【権利者代理人】長谷川 芳樹
- 【権利者代理人】清水 義憲
- 【権利者代理人】三上 敬史
- 【異議申立人】小松 一枝
- 【異議申立人】前田 知子
- 審判長/審判官
- 審判長 橿本 英吾
- 審判官 河原 正
- 審判官 植前 充司
- 分類
- P1651.113-Y (B29C) / P1651.121-Y (B29C) / P1651.537-Y (B29C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第113条第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第113条第4号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7462607号発明「粉体貯留器、溶融混練機、及び、粉体貯留方法、及び、熱可塑性樹脂組成物の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7462607号の請求項1~7に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7462607号(以下「本件特許」という。)の請求項1~7に係る特許についての出願(特願2021-502277号)は、2020年(令和2年)2月25日(先の出願に基づく優先権主張 平成31年(2019年)2月26日)を国際出願日とする国際出願であって、令和6年3月28日にその特許権の設定登録がされ、同年4月5日に特許掲載公報が発行された。
その後、特許掲載公報の発行の日から6月以内である令和6年10月7日に、本件特許の請求項1~7に係る特許に対し、特許異議申立人 小松 一枝及び前田 和子(以下、両者をまとめて「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年11月14日に手続補正書(補正対象:特許異議申立書)が提出された。
第2 本件特許発明
特許第7462607号の請求項1~7の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明7」といい、総称して「本件特許発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
粉体入口、粉体出口、及び、気体出口を有する容器と、
前記粉体入口に接続される筒と、を備える、粉体貯留器であって、
前記筒の下端における前記筒の軸に垂直な断面の断面積をAS[m2]、
前記気体出口の断面積をAB[m2]とした時に、下式を満たす、粉体貯留器。
AS/AB<4
【請求項2】
前記筒の軸と水平面とがなす角度が40~90°である、請求項1に記載の粉体貯留器。
【請求項3】
前記筒の下端の少なくとも一部は、前記容器の粉体入口と同じ高さに位置する、又は、前記粉体入口よりも下に位置している、請求項1または2に記載の粉体貯留器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の粉体貯留器を用いた粉体貯留方法であって、
前記筒の上端から供給した粉体を、前記筒内を流下させて前記筒の下端から前記容器内に供給する工程を備える、粉体貯留方法。
【請求項5】
前記筒を介して前記容器内に供給する前記粉体の供給流量をM[kg/s]、前記粉体のかさ密度をρp’[kg/m3]、前記粉体の終端速度をUr[m/s]としたときに、下式を更に満たす、請求項4に記載の粉体貯留方法。
AS>(M/(ρp’Ur))
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載の粉体貯留器と、前記粉体出口に接続されたシリンダと、前記シリンダ内に設けられたスクリューと、を有する、溶融混練機。
【請求項7】
請求項6に記載の溶融混練機を用いた熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
熱可塑性樹脂粉を、前記筒の上端から供給し、前記筒内を流下させて前記筒の下端から前記容器内に供給する工程と、添加剤粉を前記容器に供給する工程と、
前記容器内の熱可塑性樹脂粉及び添加剤粉を、前記粉体出口から前記シリンダ内に供給する工程と、
前記スクリューにより前記熱可塑性樹脂粉及び添加剤粉を溶融及び混練して熱可塑性樹脂組成物を得る工程と、を備える、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。」
第3 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要
令和6年10月7日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。
1 申立理由1(新規性)及び申立理由2(進歩性)
(1) 申立理由1(新規性)
本件特許の請求項1~4に係る発明は、優先権主張の基礎となった先の出願(以下、単に「先の出願」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許の請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
・申立理由1-1
請求項1~4:甲第1号証
・申立理由1-2
請求項1~4:甲第2号証
(2) 申立理由2(進歩性)
本件特許の請求項1~7に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、本件特許の請求項1~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
・申立理由2-1
請求項1~5:甲第1号証
請求項6~7:甲第1号証及び甲第3号証
・申立理由2-2
請求項1~5:甲第2号証
請求項6~7:甲第2号証及び甲第3号証
2 申立理由3(サポート要件)
本件特許の請求項1~7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、本件特許の請求項1~7に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであり、特許法第113条第4号に該当するから、取り消されるべきである。
3 証拠方法
甲第1号証:特開2005-263468号公報
甲第2号証:「GRAVIMETRIC FEEDER」,株式会社クボタ,2019年2月2日
甲第3号証:特開平8-244026号公報
甲第4号証:エア抜き|vol.14,[online],東洋ハイテック株式会社,[令和6年10月7日検索],インターネット<https://www.toyohi.co.jp/kona-topi/detail/16>
甲第5号証:ホッパー付スクリューフィーダー,[online],東洋ハイテック株式会社,[令和6年10月7日検索],インターネット<https://www.toyohitec.com/product/detail/59RR000159?kind_id=13>
甲第5-1号証:ホッパー付スクリューフィーダー,[online],東洋ハイテック株式会社,[令和6年10月7日検索],インターネット<https://www.toyohitec.com/product/detail/59RR000159?kind_id=13>
甲第5-2号証:ホッパー付スクリューフィーダー,[online],東洋ハイテック株式会社,[令和6年10月7日検索],インターネット<https://www.toyohitec.com/product/detail/59RR000159?kind_id=13>
甲第5-3号証:ホッパー付スクリューフィーダー,[online],東洋ハイテック株式会社,[令和6年10月7日検索],インターネット<https://www.toyohitec.com/product/detail/59RR000159?kind_id=13>
甲第5-4号証:ホッパー付スクリューフィーダー,[online],東洋ハイテック株式会社,[令和6年10月7日検索],インターネット<https://www.toyohitec.com/product/detail/59RR000159?kind_id=13>
甲第5-5号証:ホッパー付スクリューフィーダー,[online],東洋ハイテック株式会社,[令和6年10月7日検索],インターネット<https://www.toyohitec.com/product/detail/59RR000159?kind_id=13>
(合議体注:「甲第1号証」を以下、「甲1」と略す。「甲第2号証」~「甲第5-5号証」についても以下同様。)
第4 合議体の判断
1 甲1を主引用例とする申立理由1(新規性)及び申立理由2(進歩性)
(1) 甲1に記載された事項
ア 甲1の記載
甲1は、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには以下の記載がある(なお、合議体が発明の認定等に用いた箇所に下線を付した。以下、同様。)。
(ア) 「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント、急結剤等の他、食品、化学品、薬品等の粉粒体を、ホッパを介して貯留容器内に投入する際等に発生する粉塵の飛散を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トンネル内で吹き付け用のモルタルを製造する場合、セメント、急結剤等の粉粒体を貯留タンクに貯留しておき、これをロータリーフィーダ等の定量切出し装置により切出し、圧縮空気に乗せてミキサーに対して圧送供給することが行われる。
・・・略・・・
【0005】
しかし、このように、粉粒体を落下投入すると、粉粒体がホッパ投入口および容器内に落下する際に飛散粉塵となり、周囲の作業環境を悪化させたり、歩留まりを低下させたりしていた。
【0006】
このため、従来、容器の側壁等に粉塵吸引口を設け、この粉塵吸引口を介して外部に設置した吸引装置および集塵装置により集塵を行う技術(例えば特許文献1参照)が提案されているが、容器内で発生した飛散粉塵がホッパを介して逆流し易い。特に容器内に貯留した粉粒体を圧縮空気に乗せて圧送する場合、ホッパ内に漏れ出た圧縮空気が容器内の飛散粉塵を伴ってホッパから逆流排出される事態を発生させており、改善が望まれていた。・・・略・・・
【0007】
そこで、本発明の主たる課題は、ホッパを介した粉塵の逆流を簡素な構成で効果的に防止することにある。また、他の課題は、既存装置にも容易に適用できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1>
供給口を有する容器内に粉粒体を投入するのに用いるホッパ装置であって、
投入口、およびこの投入口と連通する排出口、ならびにこの排出口に並設された粉塵吸引口を有するホッパ部と、
前記粉塵吸引口を介して吸引を行うとともに吸引した粉塵を集塵する吸引集塵装置とを備えた、
ことを特徴とする粉塵防止機能付ホッパ装置。
【0009】
(作用効果)
本発明では、ホッパ部の排出口に粉塵吸引口を並設しているので、飛散粉塵がホッパ部の排出口近傍で粉塵を吸引することができ、粉塵がホッパ部を逆流して投入口から放出され難くなる。またそれだけではなく、ホッパ部の排出口に並設した粉塵吸引口から吸引を行うと、粉塵吸引口の下側に空気の渦流が形成され、これに乗った粉塵の一部は遠心力により粉塵吸引口に入らずに容器内に戻される。よって、本発明では、粉塵が発生し難くなるだけでなく、単に集塵装置を用いる従来の技術よりも多くの粉粒体を容器内に供給できる。
・・・略・・・
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり本発明によれば、ホッパを介した粉塵の逆流を簡素な構成で効果的に防止できる、既存装置にも容易に適用できる等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。
図1は、セメント、急結剤等の粉粒体固化材を封入した袋Bを開封し、中身の粉粒体を本発明に係る粉塵防止機能付ホッパ装置1を用いて貯留タンク4(容器に相当)に供給し、貯留タンク4内の粉粒体固化材をロータリーフィーダ等の定量切出し装置5により切出し、圧縮空気に乗せて図示しないミキサーに対して圧送供給する場合の例を示している。
【0016】
粉塵防止機能付ホッパ装置1は、ホッパ部2と吸引集塵部3とに分けることができる。ホッパ部2は、図2及び図3に示すように、上部が末広がりの投入口21とされ且つ投入口21から連続する管状部22が下方に突出された形状(すなわち所謂漏斗状)の本体23と、この本体23の管状部22の周囲をその上端から下端まで所定の間隔をもって取り囲むように設けられた外筒部24とを有する。よって、本体23の管状部22の下端開口が投入材料の排出口25をなす。外筒部24の上端は本体23の外周面に気密に接触あるいは一体化されており、外筒部24の内面と管状部22の外面との間のスペース26は下端において、本体23の管状部22の下端排出口25を取り囲むように環状に開口される。この開口が粉塵吸引口27をなす。また、外筒部24の周壁には吸引集塵装置接続口28が形成されている。
【0017】
一方、吸引集塵装置3は、円筒状容器31と、その内部に同軸的に配置された筒状の通気性フィルタ装着軸32と、このフィルタ装着軸32の周面を気密に取り囲むように着脱自在に取り付けられた円筒状フィルタ33と、容器の一方の端面を貫通してフィルタ装着軸32内に連通接続された吸引ファン34とを備えており、吸引ファン34を作動させると、容器31内がフィルタ33を介して吸引され、粉塵Pはフィルタ33に捕捉されて容器31内に留まり、空気はフィルタ33を通過して外部に放出されるように構成されている。また、集塵した粉塵の取り出しを可能とするために、円筒状容器31の端面は蓋部材31aにより開閉可能とされる。・・・略・・・そして、円筒状容器31における他方の端面側の側面にはホッパ部接続口35が連通されており、このホッパ部接続口35がホッパ部2(当合議体注:「ホッパ部1」は「ホッパ部2」の誤記である。)の接続口28に対してホース等の管路36により接続され、外筒部24の内面と管状部22の外面との間のスペース26に対して連通される。
【0018】
かくして構成されたホッパ装置1は貯留タンク4に対して着脱自在に装着する構成を採用するのが好ましい。具体的に図示形態の場合、ホッパ部2の管状部22を貯留タンク4上面に開口する供給口41に挿入し、外筒部の下端は貯留タンク上面に接触させ、管状部22先端の排出口25ならびに粉塵吸引口27を貯留タンク4内に略気密に連通させる構造となっている。
・・・略・・・
【0019】
使用に際しては、吸引集塵装置3を作動させ、管路36及びスペース26を介して粉塵吸引口27から吸引を行い、この状態でホッパ部2の投入口21に粉粒体Pを投入する。
この際、吸引によって、投入口21近傍から貯留タンク4内に向かう空気の流れと、貯留タンク内におけるホッパ部2の下端排出口25の周囲からスペース26内へ向かう空気の流れが発生しているため、投入口21近傍で発生した飛散粉塵は貯留タンク4内に引き込まれるとともに、この引き込まれた粉塵および貯留タンク4内で発生した飛散粉塵は粉塵吸引口27から吸引され、吸引集塵装置3において集塵される。よって、ホッパ部2を介した粉塵の逆流が効果的に防止されるとともに、外部の粉塵が拡散するのも防止される。
【0020】
特徴的には、ホッパ部2の下端排出口25の脇に粉塵吸引口27が開口しているため、粉塵吸引口27の下側に空気の渦流SPが形成され、この渦流SPの流れに乗った粉塵の一部は遠心力により粉塵吸引口に入らずに貯留タンク4内に戻される。つまり、空気流に乗った粉塵は吸引口27に入る所でその一部が分離され、貯留タンク4内に戻されるのである。また、この効果は遠心力に起因するため、重い粉粒体ほど(通常の場合大きい粒子ほど)貯留タンク4内に戻され易く、小さい粒子ほど貯留タンク4内により吸引され易くなる。よって、分級効果があるともいうことができる。いずれにせよ、本発明では、粉塵が発生し難くなるだけでなく、単に集塵装置を用いる従来の技術よりも多くの粉粒体を貯留タンク4内に留めることができるのである。なお、図示形態の装置を用いて、20kgの急結剤を供給する実験を行ったところ、集塵された粉塵量は10gと非常に少なく、また粉塵も殆ど発生しないことを確認した。・・・略・・・
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る粉塵防止機能付ホッパ装置の概要図である。
【図2】ホッパ部の縦断面図である。
【図3】図2のIII-III線断面図である。
・・・略・・・
【符号の説明】
【0027】
1・・・粉塵防止機能付ホッパ装置、2・・・ホッパ部、3・・・吸引集塵装置。」
(イ) 「【図1】
[図:0001419371000001.jpg]
【図2】
[図:0001419371000002.jpg]
【図3】
[図:0001419371000003.jpg]
」
(当合議体注:【図1】は、便宜のため90°右に回転させている。)
イ 甲1発明
上記アの甲1の記載から、甲1には、「粉塵防止機能付ホッパ装置1」を「着脱自在に装着」した「貯留タンク4」の発明として、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。
「 粉粒体を粉塵防止機能付ホッパ装置1を用いて貯留タンク4(容器に相当)に供給し、貯留タンク4内の粉粒体をロータリーフィーダ等の定量切出し装置5により切出し、圧縮空気に乗せて圧送供給するための、(【0015】)貯留タンク4であって、
貯留タンク4は、粉塵防止機能付ホッパ装置1を着脱自在に装着し、(【0018】)
粉塵防止機能付ホッパ装置1は、ホッパ部2と吸引集塵部3とに分けることができ、
下記のホッパ部の縦断面図である【図2】及び【図2】のIII-III線断面図である【図3】に示されるように、
ホッパ部2は、上部が末広がりの投入口21とされ且つ投入口21から連続する管状部22が下方に突出された形状(すなわち所謂漏斗状)の本体23と、この本体23の管状部22の周囲をその上端から下端まで所定の間隔をもって取り囲むように設けられた外筒部24とを有し、
本体23の管状部22の下端開口が投入材料の排出口25をなし、
外筒部24の上端は本体23の外周面に気密に接触あるいは一体化されており、外筒部24の内面と管状部22の外面との間のスペース26は下端において、本体23の管状部22の下端排出口25を取り囲むように環状に開口され、この開口が粉塵吸引口27をなし、外筒部24の周壁には吸引集塵装置接続口28が形成され、(【0016】)
吸引集塵装置3は、円筒状容器31を備え、円筒状容器31の側面にはホッパ部接続口35が連通されており、このホッパ部接続口35がホッパ部2の吸引集塵装置接続口28に対して管路36により接続され、外筒部24の内面と管状部22の外面との間のスペース26に対して連通され、(【0017】)
ホッパ部2の管状部22を貯留タンク4上面に開口する供給口41に挿入し、外筒部の下端は貯留タンク上面に接触させ、管状部22先端の排出口25ならびに粉塵吸引口27を貯留タンク4内に略気密に連通させる構造となっており、(【0018】)
使用に際しては、吸引集塵装置3を作動させ、管路36及びスペース26を介して粉塵吸引口27から吸引を行い、この状態でホッパ部2の投入口21に粉粒体を投入し、
吸引によって、投入口21近傍から貯留タンク4内に向かう空気の流れと、貯留タンク内におけるホッパ部2の下端排出口25の周囲からスペース26内へ向かう空気の流れが発生しているため、投入口21近傍で発生した飛散粉塵は貯留タンク4内に引き込まれるとともに、この引き込まれた粉塵および貯留タンク4内で発生した飛散粉塵は粉塵吸引口27から吸引され、吸引集塵装置3において集塵される、(【0019】)
粉塵防止機能付ホッパ装置1を着脱自在に装着した貯留タンク4。
【図2】
[図:0001419371000004.jpg]
【図3】
[図:0001419371000005.jpg]
」
(2) 本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と甲1発明を対比する。
(ア) 粉体入口及び筒
a 甲1発明の「粉塵防止機能付ホッパ装置1を着脱自在に装着し」た「貯留タンク4」は、
「粉塵防止機能付ホッパ装置1」の「ホッパ部2の管状部22を貯留タンク4上面に開口する供給口41に挿入し」、
「使用に際し」、「吸引集塵装置3を作動させ、管路36及びスペース26を介して粉塵吸引口27から吸引を行い、この状態でホッパ部2の投入口21に粉粒体を投入し」、「本体23の管状部22の下端開口が投入材料の排出口25をなして」、「粉粒体を」「貯留タンク4(容器に相当)に供給」するものである。
b 上記aより、甲1発明の「粉塵防止機能付ホッパ装置1を着脱自在に装着し」た「貯留タンク4」における(「粉塵防止機能付ホッパ装置1」の「ホッパ部2」の「本体23の管状部22の下端開口」である)「投入材料の排出口25」、及び、「粉塵防止機能付ホッパ装置1」の「ホッパ部2」の「本体23の管状部22」は、それぞれ本件特許発明1の「粉体入口」、及び、「前記粉体入口に接続される」とされる、「筒」に相当する(甲1発明の【図2】からも理解できることである。)。
(イ) 粉体出口
a 甲1発明の「粉塵防止機能付ホッパ装置1を着脱自在に装着し」た「貯留タンク4」は、「貯留タンク4内の粉粒体をロータリーフィーダ等の定量切出し装置5により切出し、圧縮空気に乗せて圧送供給するための」ものである。
b 上記aより、甲1発明の「貯留タンク4」には、「貯留タンク4内の粉粒体」を「定量切出し装置5」に送るための、「粉流体」出口が設けられていることは明らかである。
甲1発明の「粉塵防止機能付ホッパ装置1を着脱自在に装着し」た「貯留タンク4」における「貯留タンク4」に設けられた「粉流体」出口は、本件特許発明1の「粉体出口」に相当する。
(ウ) 気体出口
a 甲1発明の「粉塵防止機能付ホッパ装置1を着脱自在に装着し」た「貯留タンク4」は、
「ホッパ部2」の「本体23の管状部22の周囲をその上端から下端まで所定の間隔をもって取り囲むように設けられた外筒部24」「を有し」、「外筒部24の上端は本体23の外周面に気密に接触あるいは一体化されており、外筒部24の内面と管状部22の外面との間のスペース26は下端において、本体23の管状部22の下端排出口25を取り囲むように環状に開口され、この開口が粉塵吸引口27をなし」、「ホッパ部2の管状部22を貯留タンク4上面に開口する供給口41に挿入し、外筒部の下端は貯留タンク上面に接触させ、管状部22先端の排出口25ならびに粉塵吸引口27を貯留タンク4内に略気密に連通させる構造となっており」、
「使用に際し」、「粉塵吸引口27から吸引を行い」、「吸引によって、投入口21近傍から貯留タンク4内に向かう空気の流れと、貯留タンク内におけるホッパ部2の下端排出口25の周囲からスペース26内へ向かう空気の流れが発生」させて、「投入口21近傍で発生した飛散粉塵は貯留タンク4内に引き込まれるとともに、この引き込まれた粉塵および貯留タンク4内で発生した飛散粉塵は粉塵吸引口27から吸引され」るようになっている。
b 上記aより、甲1発明の「粉塵防止機能付ホッパ装置1」の「ホッパ部2」の「外筒部24の内面と管状部22の外面との間のスペース26」の「下端において」、「本体23の管状部22の下端排出口25を取り囲むように環状に開口され」た「粉塵吸引口27」は、「投入口21近傍から貯留タンク4内に向か」い、「貯留タンク内におけるホッパ部2の下端排出口25の周囲からスペース26内へ向かう空気」を、「貯留タンク4内で発生した飛散粉塵」とともに「吸引」するものと理解できる。
そうすると、甲1発明の「粉塵防止機能付ホッパ装置1を着脱自在に装着し」た「貯留タンク4」における(「粉塵防止機能付ホッパ装置1」の「ホッパ部2」の)「本体23の管状部22の下端排出口25を取り囲むように環状に開口され」た「粉塵吸引口27」は、本件特許発明1の「気体出口」に相当する(甲1発明の【図2】及び【図3】からも理解できることである。)。
(エ) 容器
甲1発明の「貯留タンク4」は、「容器に相当」するものである。
そうすると、上記(ア)~(ウ)より、甲1発明の「貯留タンク4」は、本件特許発明1の、「粉体入口、粉体出口、及び、気体出口を有する」とされる、「容器」に相当する。
(オ) 粉体貯留器
上記(ア)~(エ)より、甲1発明の「粉塵防止機能付ホッパ装置1を着脱自在に装着し」た「貯留タンク4」は、本件特許発明1の「粉体貯留器」に相当し、本件特許発明1と、甲1発明は、「容器と」、「前記粉体入口に接続される筒と、を備える」点で共通する。
イ 一致点及び相違点
上記アの対比結果を踏まえると、本件特許発明1と、甲1発明は、
「 粉体入口、粉体出口、及び、気体出口を有する容器と、
前記粉体入口に接続される筒と、を備える、粉体貯留器。」の構成で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1-1)
本件特許発明1は、「前記筒の下端における前記筒の軸に垂直な断面の断面積をAS[m2]」、「前記気体出口の断面積をAB[m2]とした時に」、「式」「AS/AB<4」「を満たす」のに対して、甲1発明は、これが上記式を満たすかどうか不明な点。
ウ 判断
相違点1-1について検討する
(ア) 新規性について
a 甲1発明は、「セメント、急結剤等の他、食品、化学品、薬品等の粉粒体を、ホッパを介して貯留容器内に投入する際等に発生する粉塵の飛散を防止する技術」(甲1の【0001】)に関するものであって、「ホッパを介した粉塵の逆流を簡素な構成で効果的に防止する」との課題を解決する「供給口を有する容器内に粉粒体を投入するのに用いるホッパ装置であって」、「投入口、およびこの投入口と連通する排出口、ならびにこの排出口に並設された粉塵吸引口を有するホッパ部と」、「前記粉塵吸引口を介して吸引を行うとともに吸引した粉塵を集塵する吸引集塵装置とを備えた」ことを特徴とする「粉塵防止機能付ホッパ装置。」(同【0008】)であるところ、甲1の図面は、設計図ではなく、甲1発明の上記「粉塵防止機能付ホッパ装置」の内容を明らかにするための説明図にとどまるものである。
そうすると、甲1発明の、「ホッパ部2」の縦断面図である【図2】及び【図2】のIII-III線断面図である【図3】は、これらの図面によって、「粉塵防止機能付ホッパ装置1」及び「ホッパ部2」を構成する構成部材の各部分の寸法や各部分同士の寸法の関係(寸法の比等)が特定できるものではない。
してみると、相違点1-1は実質的な相違点を構成する。
b そうすると、本件特許発明1は、甲1に記載された発明であるということはできない。
(イ) 進歩性について
a 甲1には、「粉塵防止機能付ホッパ装置1」の「本体23の管状部22」の下端の「管状部22」の軸に垂直な断面積(「投入材料の排出口25」の断面積)(「AS[m2]」)と「本体23の管状部22の下端排出口25を取り囲むように環状に開口され」た「粉塵吸引口27」(「気体出口」)の断面積(「AB[m2]」)の比「AS/AB」に着目し、AS/AB<4とすることは記載も示唆もされていないから、甲1発明において、筒の下端における前記筒の軸に垂直な断面の断面積をAS[m2]、気体出口の断面積をAB[m2]とした時に、AS/AB<4を満たす構成とする動機付けがない。
また、粉体入口、粉体出口、及び、気体出口を有する容器と、粉体入口に接続される筒と、を備える、粉体貯留器において、筒の下端における前記筒の軸に垂直な断面の断面積(AS[m2])、気体出口の断面積(AB[m2])の比AS/ABを4以下とすることは、特許異議申立人が提出した甲3に記載も示唆もされておらず、また、先の出願前に周知の技術であるとも当業者の技術常識であるということもできない。
b そうすると、甲1発明において、相違点1-1に係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるということはできない。
(ウ) 上記アの本件特許発明1と甲1発明の対比において、甲1発明の「粉塵防止機能付ホッパ装置1を着脱自在に装着し」た「貯留タンク4」における(「粉塵防止機能付ホッパ装置1」の「ホッパ部2」の)「本体23の管状部22の下端排出口25を取り囲むように環状に開口され」た「粉塵吸引口27」が、本件特許発明1の「気体出口」に相当するとして、一致点及び相違点を認定し、上記(ア)及び(イ)において新規性及び進歩性についての判断を行ったが、
本件特許発明1と甲1発明の対比において、甲1発明の「ホッパ部2」の「外筒部24の周壁に」「形成された」「吸引集塵装置接続口28」が、本件特許発明1の「気体出口」に相当すると考えて、一致点及び相違点を認定し、判断を行っても結論は同じである(すなわち、甲1発明の【図2】及び【図3】は、これらの図面によって、「粉塵防止機能付ホッパ装置1」及び「ホッパ部2」を構成する構成部材の各部分の寸法や各部分同士の寸法(の比)の関係が特定できるものではない。)。
(エ) 特許異議申立人の特許異議申立書における主張について
a 特許異議申立人は、特許異議申立書18頁下から10行~22頁5行において、
甲1の【図3】を元に、「管状部22」の内径を1として、管状部22の断面積を算出するとともに、「粉塵吸引口27」の外径及び内径を求めて「粉塵吸引口27」の断面積を算出する、あるいは、「吸引集塵装置接続口28」の内径を求めて「吸引集塵装置接続口28」を算出すると、違点1-1に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たす(蓋然性が高い)旨主張する。
b しかしながら、上記(ア)aにおいて述べたとおり、甲1の【図3】は、設計図ではなく、上記の甲1発明の「粉塵防止機能付ホッパ装置」の内容を明らかにするための説明図にとどまるから、【図3】から、「管状部22」の内径、「粉塵吸引口27」の外径、内径、「吸引集塵装置接続口28」の内径を読み取ることはできないし、甲1発明の「AS/AB」を求めることもできない。
そうすると、特許異議申立書における特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。
(オ) 小括
本件特許発明1は、甲1に記載された発明であるということはできない。
また、本件特許発明1は、甲1に記載された発明、あるいは、甲1に記載された発明及び甲3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(3) 本件特許発明2~7について
本件特許発明2~7は、本件特許発明1の構成を全て具備し、これに限定を加えたものである。
そうすると、上記(2)ウのとおり、本件特許発明1は、甲1に記載された発明であるということはできない、または、本件特許発明1は、甲1に記載された発明、あるいは、甲1に記載された発明及び甲3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない以上、本件特許発明2~7は、甲1に記載された発明であるということはできない、または、本件特許発明1は、甲1に記載された発明、あるいは、甲1に記載された発明及び甲3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
2 甲2を主引用例とする申立理由1(新規性)及び申立理由2(進歩性)
(1) 甲2、甲4及び甲5等に記載された事項
ア 甲2の記載
甲2には、以下の記載がある。
(ア) 6頁
「
[図:0001419371000006.jpg]
[図:0001419371000007.jpg]
[図:0001419371000008.jpg]
[図:0001419371000009.jpg]
[図:0001419371000010.jpg]
」
(イ) 14頁
「
[図:0001419371000011.jpg]
[図:0001419371000012.jpg]
[図:0001419371000013.jpg]
[図:0001419371000014.jpg]
[図:0001419371000015.jpg]
[図:0001419371000016.jpg]
」
(ウ) 26頁
「
[図:0001419371000017.jpg]
」
(エ) 26頁
「
[図:0001419371000018.jpg]
」
イ 甲4の記載
甲4には、「エア抜き」に関して、以下の記載がある。
(ア) 1/10頁
「
[図:0001419371000019.jpg]
」
(イ) 2/10頁
「
[図:0001419371000020.jpg]
・・・略・・・
[図:0001419371000021.jpg]
」
ウ 甲5等の記載
甲5(及び令和6年11月14日提出の手続補正書に添付された甲5-1~甲5-5)には、「ホッパー付スクリューフィーダー」について、以下の画像が記載されている。
(ア) 甲5(及び同甲5-1)
「
[図:0001419371000022.jpg]
」
(イ) 甲5(及び同甲5-2)
「
[図:0001419371000023.jpg]
」
(ウ) 甲5(及び同甲5-3)
「
[図:0001419371000024.jpg]
」
(エ) 甲5(及び同甲5-4)
「
[図:0001419371000025.jpg]
」
(オ) 甲5(及び同甲5-5)
「
[図:0001419371000026.jpg]
」
エ 甲2発明
上記アの甲2の記載(特に、14頁)より、甲2には、「振動式ウェイングフィーダCE-V-1D-MP」の発明として、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「以下の(構成図)に示された構成及び(外径寸法図)において実線で示された外形寸法を有する振動式ウェイングフィーダCE-V-1D-MP。
(構成図)
[図:0001419371000027.jpg]
(外径寸法図)
[図:0001419371000028.jpg]
」
(2) 本件特許発明1について
ア 対比
(ア) ホッパの蓋部には、粉体等の材料を投入する開口やエア(空気)抜きのための開口が設けられていること、エア抜きの構造として、構造がシンプルで安価、集塵ロスが少ないなどのメリットを有する簡易エア抜き手段である「ろ布」を用いることは、当業者の技術常識である(例えば、甲2の26頁(上記ア(ウ)及び(エ))、甲5(同甲5-1~甲5-4)(上記ウ(ア)~(エ))及び甲4(上記イ(ア)及び(イ)を参照。)。
(イ) 上記(ア)で示した技術常識及び甲2発明の構成図、外形寸法図に基づけば、甲2発明の「振動式ウェイングフィーダCE-V-1D-MP」は、「計量ホッパ」の「蓋」の中心部に、粉体等の材料を投入する開口として第1の開口が形成され、「計量ホッパ」の「蓋」の中心部から外れた位置に、(濃い黒で示された)筒状の部材(ろ布)が接続された、エア抜きのための開口として第2の開口が形成されていると、当業者は理解できる。
(ウ) 粉体入口
上記(イ)より、甲2発明の「計量ホッパ」の「蓋」の中心部に形成された第1の開口は、本件特許発明1の「粉体入口」に相当する。
(エ) 気体出口
上記(イ)より、甲2発明の、「計量ホッパ」の「蓋」の中心部から外れた位置に形成された(筒状の部材(ろ布)が接続された)第2の開口は、本件特許発明1の「気体出口」に相当する。
(オ) 粉体出口
甲2発明は、「振動式ウェイングフィーダ」であって、「計量部」で粉体等の材料を重量を計量し、「振動フィーダ」で送出するものでああるから、「計量ホッパ」下方に粉体等の材料を振動フィーダ及び計量部に送り出すための粉体等の材料出口を有していることは明らかである。
甲2発明の「計量ホッパ」下方の粉体等の材料出口は、本件特許発明1の「粉体出口」に相当する。
(カ) 容器
上記(イ)~(オ)より、甲2発明の「蓋」を含む「計量ホッパ」は、本件特許発明1の、「粉体入口、粉体出口、及び、気体出口を有する」とされる、「容器」に相当する。
(キ) 粉体貯留器
上記(イ)~(カ)より、甲2発明の「振動式ウェイングフィーダCE-V-1D-MP」は、本件特許発明1の「粉体貯留器」に相当し、本件特許発明1と、甲2発明は、「容器」「を備える」点で共通する。
イ 一致点及び相違点
上記アの対比結果を踏まえると、本件特許発明1と甲2発明は、
「 粉体入口、粉体出口、及び、気体出口を有する容器を備える粉体貯留器。」の構成で一致し、以下の点で相違する。
(相違点2-1)
本件特許発明1は、「前記粉体入口に接続される筒」「を備え」、「前記筒の下端における前記筒の軸に垂直な断面の断面積をAS[m2]」、「前記気体出口の断面積をAB[m2]とした時に」、「式」「AS/AB<4」「を満たす」のに対して、甲2発明は、「粉体入口に接続される筒」を備えておらず、上記「式」も満たさない点。
ウ 判断
(ア) 新規性について
甲2発明の「振動式ウェイングフィーダCE-V-1D-MP」は、「粉体入口に接続される筒」を備えておらず、当然に上記「式」も満たさない点(相違点2-1)で本件特許発明1と、甲2発明は、実質的に相違するから、本件特許発明1は、甲2発明であるということはできない。
(イ) 進歩性について
相違点2-1について検討する。
a 甲2発明の粉体等の材料を投入する第1の開口の直径については、外径寸法図から、「φ114.3mm」であることが把握できる。
また、甲2発明の「振動式ウェイングフィーダ」を使用するにあたっては、例えば、甲2の26頁に画像で示されるように、第1の開口に材料を供給する管が接続(挿入含む)されること、また、第1の開口に接続(挿入)される管の下端の直径は、第1の開口の直径「φ114.3mm」以下となることは、当業者にとって容易に把握できることである。
b しかしながら、甲2に記載された「外形寸法」図は、装置の高さ、幅等の外形寸法、計量ホッパ(あるいは蓋)の直径、蓋中央部の材料投入口の直径等の装置の代表的な部分の(外形)寸法を数字で示したものであって、設計図ではない。そうすると、甲2発明の外形寸法図に、材料投入口の直径(φ114.3mm)あるいは計量ホッパの直径(φ400mm)等の振動式ウェイングフィーダの外径寸法値が記載されているとしても、これらの外径寸法値を基準として当該外径寸法図の実測により、甲2発明におけるエア抜きのための(第2の)開口の直径や断面積(「気体出口の断面積」)を求めることはできない。
c また、甲2には、計量ホッパ及び蓋の「投入材料の排出口25」の断面積(「AS[m2]」)と、「気体出口」の断面積(「AB[m2]」)の比「AS/AB」に着目し、AS/AB<4とすることは記載も示唆もされていない。そうすると、甲2発明において、筒の下端における前記筒の軸に垂直な断面の断面積をAS[m2]、気体出口の断面積をAB[m2]とした時に、AS/AB<4を満たす構成とする動機付けがない。
さらに、粉体入口、粉体出口、及び、気体出口を有する容器と、粉体入口に接続される筒と、を備える、粉体貯留器において、筒の下端における前記筒の軸に垂直な断面の断面積(AS[m2])と気体出口の断面積(AB[m2])の比AS/AB<4とすることは、特許異議申立人が提出した甲3~甲5には記載も示唆もされておらず、また、先の出願前に周知の技術であるとも当業者の技術常識であるということもできない。
d してみると、甲2発明において、相違点2-1に係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるということはできない。
(ウ) 上記(1)エにおいては、甲2に記載の「振動式ウェイングフィーダCE-V-1D-MP」に基づき、甲2発明を認定し、対比、新規性及び進歩性についての判断を行ったが、これに替えて、甲2の6頁に記載された「スクリュ式ウェイングフィーダNX-S50E」の発明に基づき、甲2発明を認定し、対比、判断を行っても結論は同じである(甲2の6頁の外形寸法図からは、甲2発明におけるエア抜きのための(第2の)開口の直径や断面積(「気体出口の断面積))を求めることはできない。)。
(エ) 特許異議申立人の特許異議申立書における主張について
a 特許異議申立人は、特許異議申立書25頁下から20行~27頁9行において、
甲第2号証の第6,14頁には、ウェイングフィーダCE-V-1D-MPおよびNX-S5OEの外形寸法がそれぞれ記載されており、粉体投入口の直径が114.3mmであることが記載されている、
そして、粉体投入口の断面積は、1.0×10-2(m2)と算出され、ウェイングフィーダCE-V-1D-MPおよびNX-S50Eに装着される筒の断面積は1.0×10-2(m2)以下であり、
次に、気体排出口の断面積について、甲第2号証の第6,14頁には、ウェイングフィーダCE-V-1D-MPおよびNX-S50Eの外形寸法がそれぞれ記載されており、気体出口の直径は、実測により、それぞれ、62.2mmおよび62.7mmであることがわかる、
そして、CE-V-1D-MPおよびNX-S50Eの気体排出口の断面積(m2)は、それぞれ、3.0×10-3(m2)、3.1×10-3(m2)と算出される、
以上より、ウェイングフィーダCE-V-1D-MPおよびNX-S50Eの「粉体投入口の断面積/気体排出口の断面積」の値は、それぞれ、1.0×10-2(m2)/3.0×10-3(m2)=約3.4、及び、1.0×10-2(m2)/3・1×10-3(m2)(約3.3)と算出され、
そして、「筒の下端における前記筒の軸に垂直な断面の断面積」は「粉体投入口の断面積」以下である蓋然性が高く、「粉体投入口の断面積」を「筒の下端における前記筒の軸に垂直な断面の断面積の最大値」とみなすことができる、
よって、本件特許発明1のAS/ABに相当する「筒の下端における前記筒の軸に垂直な断面の断面積/気体排出口の断面積」の値は、約3.4以下(CE-V-1D-MP)、および、約3.3以下(NX-S50E)であり、いずれも、本件特許発明1の「4」末満であることは明らかである、
よって、本件特許発明1と、甲第2号証に記載された発明とは、同一の発明である、
と主張する。
b しかしながら、甲2の6頁、14頁の外径寸法(図)に「振動式ウェイングフィーダCE-V-1D-MP」及び「スクリュ式ウェイングフィーダNX-S50E」の外形寸法値が記載されているとしても、これらの外形寸法図は、設計図ではないから、記載された外径寸法値を基準として外径寸法図の実測により、甲2発明における気体排出口の直径、断面積を求めることができないことは既に述べたとおりである。
さらに、甲2の外径寸図からは、エア抜きのための(第2の)開口に接続された筒状の部材(ろ布)までは把握できるが、蓋に形成されたエア抜きのための(第2の)開口までは把握できないから、仮に、筒状の部材の直径、断面積を実測により基づき求めることができたとしても、当該断面積がエア抜きのための(第2の)開口の断面積に対応するわけではない(上記ウ(ウ)及び(エ)の甲5の画像からも理解されるように、筒状の部材(ろ布)の直径、断面積がエア抜きの開口の直径、断面積と同じとはいえない。)。
そうすると、特許異議申立書における特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。
(オ) 小括
本件特許発明1は、甲2に記載された発明であるということはできない。
また、本件特許発明1は、甲2に記載された発明、あるいは、甲2に記載された発明及び甲3~甲5に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(3) 本件特許発明2~7について
本件特許発明2~7は、本件特許発明1の構成を全て具備し、これに限定を加えたものである。
そうすると、上記(2)ウのとおり、本件特許発明1は、甲2に記載された発明であるということはできない、または、本件特許発明1は、甲2に記載された発明、あるいは、甲2に記載された発明及び甲3~甲5に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない以上、本件特許発明2~7は、甲2に記載された発明であるということはできない、または、本件特許発明1は、甲2に記載された発明、あるいは、甲2に記載された発明及び甲3~甲5に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
3 申立理由3(サポート要件)
(1) 申立理由3(サポート要件)についての特許異議申立人の主張
特許異議申立人は、特許異議申立書35~36頁において、
発明が解決しようとする課題は「粉体を、筒内を流下させながら容器に供給する際の気体出口からの粉体の飛び出しを抑制すること」であるところ、明細書の段落【0029】の記載によれば、当該課題は、AS/AB<4を満たすようにすることにより解決される、
ここで、気体中の粉体粒子の挙動は、粉体の種類や、大きさ、かさ密度等の様々なパラメータにより大きく影響されることが出願時の技術常識である、
しかし、請求項1-6では、粉体の種類や性状については特定されておらず、また、請求項7では粉体が熱可塑性樹脂粉および添加剤粉であることしか特定されていない、
本件特許発明の明細書において上記課題が解決され得ることが具体的に示されているのは、ポリプロピレン粉体(平均粒子径750μm、密度950kg/m3、かさ密度450kg/m3)、活性アルミナ(平均粒子径3mm、密度1600kg/m3、かさ密度860kg/m3)、透明化剤(凝集粒径270μm、かさ密度200kg/m3)を用いた場合のみであり、当業者は、AS/AB<4を満たしさえすれば、任意の種類および曲状の粉体について上記課題が解決し得ることを認識できない、
したがって、出願時の技術常識に照らしても、請求項1-7に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとは言えない、
さらに、粒子径の小さい粉体(微粉)は供給時に舞い上がりやすく、ホッパの気体出口から気体と共に飛び出しやすいことが出願時の技術常識である、
そのため、例えば甲第3号証では、微粉材料の舞い上がりを抑制するために、微粉材料を供給するための供給管をフィードホッパの内部に差し込み、供給管の開口端を材料供給口の近傍の二軸スクリュ間に位置させている(【請求項1】、【図1】を参照)、
粉体が高い位置から落下した場合、底に衝突した際のエネルギーは増加し、粉体が細かく粉砕され、発塵が増加することは技術常識である、
また、粉体が落下する際、周囲の空気を巻き込み、落下高さが大きいほど、巻き込まれる空気の呈が増え、粉体の粒子が空気中に拡散しやすくなることも技術常識である、
よって、微粉の舞い上がりを抑制して気体出口からの飛び出しを抑制するためには、筒の下端は粉体入り口の位置よりも下に位置させることが必須である、
しかし、請求項1-7では、供給される材料の大きさは特定されておらず、筒の下端を粉体入り口と同じ高さに位置させた状態で微粉を供給する場合も含まれている。この点、明細書の実施例においても筒の下端の位置は不明であり、筒の下端を粉体入り口と同じ高さに位置させた場合であっても上記課題が解決し得ることは示されていない、
したがって、請求項1-7は、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである、
よって、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるとは言えない、
と主張する。
(2) サポート要件についての判断
ア サポート要件の判断基準
特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号所定の要件(サポート要件)に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものであると解される。
これを本件特許発明についてみると以下のとおりとなる。
イ 本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載
本件特許明細書の発明の詳細な説明には以下の記載がある。
(ア) 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粉体を、筒内を流下させながら容器に供給する際、供給される粉体に同伴して空気などの気体も筒を介して容器に供給される。容器には、流入する気体を逃がすための気体出口が設けられており、同伴気体の流量が多すぎると、容器内で粉体が舞い上がって気体出口から排出されてしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、粉体を、筒内を流下させながら容器に供給する際の気体出口からの粉体の飛び出しを抑制することを目的とする。」
(イ) 「【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る粉体貯留器は、粉体入口、粉体出口、及び、気体出口を有する容器と、
前記粉体入口に接続される筒と、を備える。ここで、前記筒の下端における前記筒の軸に垂直な断面の断面積をAS[m2]、前記気体出口の断面積をAB[m2]とした時に
、下式を満たす。
【0007】
AS/AB<4
・・・略・・・
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、粉体を容器に貯留する際の粉体の飛び出しを抑制することができる。」
(ウ) 「【発明を実施するための形態】
【0017】
・・・略・・・
【0027】
筒70は上端70t及び下端70bにそれぞれ開口を有する。筒70の下端70bは、第1粉体入口18Aと接続されている。具体的には、下端70bの少なくとも一部が第1粉体入口(粉体入口)18Aと同じ高さか、又は、第1粉体入口18Aよりも下に位置するように配置されている。好ましくは、筒70の下端70bの全部が、第1粉体入口18Aと同じ高さか、又は、第1粉体入口18Aよりも下に位置するように配置されている。最も好ましいのは、筒70の下端70bの全部が、第1粉体入口18Aよりも下に位置するように配置されている、すなわち、下端70bの全体がホッパ42内に挿入されている態様である。
・・・略・・・
【0029】
本実施形態では、筒70の下端70bにおける筒70の軸に垂直な断面の断面積をAS[m2]、気体出口18Bの断面積をAB[m2]とした時に、下式を満たす。
【0030】
AS/AB<4 ・・・(A)
AS/AB≦2.0であることが好ましく、AS/AB≦1.0であることがより好ましく、AS/AB≦0.3であることが更に好ましく、AS/AB≦0.2であることが特に好ましい。AS/ABは0より大きく、0.02<AS/ABであることが好ましい。
AS/ABは0より大きく、0.02<AS/ABであることが好ましい。
・・・略・・・
【0032】
(粉体貯留方法及び熱可塑性樹脂組成物の製造方法)
まず、フィーダ100を用いて、筒70の上端70tから筒内に第1粉体を定量供給する。そして、筒70の上端70tから供給した第1粉体を、筒70内を流下させて筒70の下端70bから排出させ、ホッパ(容器)42内に供給する。
【0033】
供給する第1粉体の種類に特段の限定はない。粉体の例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂粉、アルミナ、シリカ、等のセラミック粉、アルミニウム、鉄等の金属粉である。
【0034】
第1粉体の平均粒子径に特に限定は無いが1.5mm以下であると効果が高い。・・・略・・・。なお、凝集した粒子の場合は、凝集粒径が1.5mm以下の原料に適用した場合に効果が高い。
【0035】
粉体の粒子密度に特に限定は無いが、0.2g/cm3以上である場合に、効果が高い。
【0036】
筒70を介して供給する粉体の供給流量Mが1kg/hr以上の場合に、同伴気体の流量が多くなるので効果が高い。
・・・略・・・
【0039】
さらに、通常、第2粉体の供給流量は、第1粉体の供給流量よりも十分少なく、例えば、第1粉体の供給流量の1/10以下、あるいは、1/20以下であるため、添加剤粉の供給に伴って第2粉体用の筒80から同伴する気体の流量は、第1粉体に同伴する気体の量に比べてほぼ無視できるレベルである。
・・・略・・・
【0040】
第2粉体の平均粒子径及び粒子密度は第1粉体と同様とすることができる。第2粉体の供給は、通常、第1粉体の供給と同時におこなう。
・・・略・・・
【0042】
本実施形態によれば、AS/ABが上述の関係を満たしているので、第1粉体を、筒70を介してホッパ42内に供給する際に、粉体が気体出口18Bから飛び出してホッパ42内から失われにくくなる。
【0043】
特に、第1粉体の粒径が小さい場合(例えば、平均粒子径300μm以下)、あるいは、第1粉体の粒径が大きい場合であっても、第2粉体を供給する場合においては第2粉体の粒径が小さい場合(例えば、平均粒子径300μm以下)に、気体出口18Bからの粒子の飛び出しが起こりやすく、本実施形態の効果が高い。本実施形態によれば、粉体原料をロス無く熱可塑性樹脂組成物の原料として使用することができて効率的である。本実施形態によれば、ホッパ42に複数の粉体を供給する混合する場合には、組成のコントロールされた可塑性樹脂組成物を得ることができる。すなわち、第1粉体及び第2粉体のホッパ42への供給流量の比と、得られる熱可塑性樹脂組成物における第1粉体及び第2粉体の配合比を実質的に同一とすることができる。
【0044】
第2粉体を用いない場合、第1粉体の平均粒子径の範囲は50~1000μmであることが好ましく、第2粉体を用いる場合、第1粉体及び第2粉体の少なくとも一方の平均粒子径の範囲は50~1000μmであることができる。この場合における平均粒子径とは、凝集粒子の場合には凝集粒径である。・・・略・・・
上記の好適な粒径範囲に対応する、粒子密度(凝集粒子の場合は凝集粒子のみかけ密度)の好適な範囲は、0.1g/cm3以上である。」
ウ 「【実施例】
【0049】
複数の胴径のアルミ製のホッパ42、複数の径の塩ビ樹脂製の円筒直管形状を有する筒70(β=60°)を用意した。各実施例及び比較例において、ホッパと筒との組み合わせを表1のようにした。表1には、筒70の断面積AS、気体出口18Bの直径DB及び断面積AB、及び、AS/ABを示す。
【0050】
クマエンジニアリング社製のスクリューフィーダを用いて、筒70の上端70tから第一粉体を一定の供給流量Mで供給した。第一粉体には、ポリプロピレン粉体(平均粒子径750μm、密度950kg/m3、かさ密度450kg/m3)、活性アルミナ(平均粒子径3mm、密度1600kg/m3、かさ密度860kg/m3)を使用した。第一粉体の供給と並行して、第2粉体入口18Cから第2粉体として透明化剤(凝集粒径270μm、かさ密度200kg/m3)を供給流量M2でホッパ42内に供給した。
・・・略・・・
【0051】
続いて、スクリューを回して、ホッパ42内の粉体混合物をシリンダ44内で溶融及び混練し、熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0052】
熱可塑性樹脂組成物を分析し、ホッパ42内に供給した全粉体における第2粉体の質量濃度に対する、熱可塑性樹脂組成物における添加剤の質量濃度の比を、添加剤通過率として求めた。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
[図:0001419371000029.jpg]
【0054】
比較例に比べて、実施例では飛び出しが抑制された。」
(3) 本件特許発明の課題
上記(2)アによれば、本件特許発明は、「粉体を、筒内を流下させながら容器に供給する際、供給される粉体に同伴して空気などの気体も、筒を介して容器に供給される」ところ、「容器には、流入する気体を逃がすための気体出口が設けられており、同伴気体の流量が多すぎると、容器内で粉体が舞い上がって気体出口から排出されてしまう」との問題に鑑みなされたものであり、本件特許発明が解決しようとする課題は、「粉体を、筒内を流下させながら容器に供給する際の気体出口からの粉体の飛び出しを抑制する」(本件特許明細書の【0004】及び【0005】)ことであると認められる。
(4) 課題解決手段に係る本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載及び当該記載から理解される技術的事項
ア 本件特許明細書の発明の詳細な説明の【0006】~【0007】には、課題を解決する手段として、「本発明に係る粉体貯留器は、粉体入口、粉体出口、及び、気体出口を有する容器と」、「前記粉体入口に接続される筒と、を備え」、「前記筒の下端における前記筒の軸に垂直な断面の断面積をAS[m2]、前記気体出口の断面積をAB[m2]とした時に」、「AS/AB<4」「を満たす」ことが記載され、同【0042】には、AS/ABが上述の関係を満たしていると、第1粉体を、筒70を介してホッパ42内に供給する際に、粉体が気体出口18Bから飛び出してホッパ42内から失われにくくなること、が記載されている。
イ また、本件特許明細書の発明の詳細な説明の【0049】~【0054】には、第1粉体として、ポリプロピレン粉体(平均粒子径750μm、密度950kg/m3、かさ密度450kg/m3)又は活性アルミナ(平均粒子径3mm、密度1600kg/m3、かさ密度860kg/m3)を使用し、第2粉体として透明化剤(凝集粒径270μm、かさ密度200kg/m3)を使用し、異なる第1粉体の供給量M、異なる第2粉体の供給量M2、複数の胴径及び気体出口の直径、断面積のアルミ製のホッパ、複数の径及び断面積の塩ビ樹脂製の筒を組み合わせて、
筒70の上端70tから第一粉体を一定の供給流量Mで供給し、第一粉体の供給と並行して、第2粉体入口18Cから第2粉体を供給流量M2でホッパ42内に供給し、ホッパ42内の粉体混合物をシリンダ44内で溶融及び混練し、熱可塑性樹脂組成物を得るようにした、AS(筒の断面積)/AB(気体出口の断面積)が2.60E-02~1.27の本発明の実施例1~実施例4において、その添加剤透過率(ホッパ内に供給した全粉体における第2粉体の質量濃度に対する、熱可塑性樹脂組成物における添加剤の質量濃度の比)が51.1wt%~100wt%となって、AS/ABが4.22、添加剤透過率が43wt%の比較例1や、AS/ABが6.50、添加剤透過率39wt%の比較例2と比較して、粉体を、筒内を流下させながら容器に供給する際の気体出口からの粉体の飛び出しが抑制されていることが、実施例と比較例との対比をもって具体的に示されている。
ウ そうすると、上記のア及びイの発明の詳細な説明の記載に基づけば、粉体入口、粉体出口、及び、気体出口を有する容器と、前記粉体入口に接続される筒と、を備える粉体貯留器において、前記筒の下端における前記筒の軸に垂直な断面の断面積をAS[m2]、前記気体出口の断面積をAB[m2]とした時、AS/AB<4とすることにより、上記(3)で述べた、「粉体を、筒内を流下させながら容器に供給する際の気体出口からの粉体の飛び出しを抑制する」との課題を解決できると、当業者は認識できる。
すなわち、粉体貯留器において、粉体の種類、粒子径あるいは密度が特定されていなくても、AS/AB<4を満たす構成とすることにより、そうしない場合(AS/AB<4としない場合)と比較して、気体出口からの粉体の飛び出しを抑制することができると、当業者は認識できる。同様に、実施例において筒の下端の位置が不明であったとしても、実施例1~4と比較例1~2を対比することにより、粉体貯留器において、AS/AB<4とすれば、そうしない場合と比較して、気体出口からの粉体の飛び出しを抑制することができると、当業者は認識できるから、粉体貯留器において、筒の下端を粉体入り口の位置よりも下に位置させることが特定されていなくても、AS/AB<4を満たしさえすれば、気体出口からの粉体の飛び出しを抑制することができると、当業者は認識できる。
エ 前記ウで述べた、発明の詳細な説明の記載等から理解される、課題を解決するための構成は、いずれも、本件特許発明1が具備する発明特定事項であるから、本件特許発明1は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載したものではないということはできない。本件特許発明2~7についても同様である。
してみると、特許異議申立書における特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。
第7 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700972