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特許異議申立

2024-700930

溶接機

審判番号
2024-700930
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-545450外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
7457136
請求日
2024年09月26日
審決日
2025年07月17日
公報発行日
2025年10月31日
結論
訂正認容
審判長/審判官
分類
P1652.113-YAA(B23K) / P1652.121-YAA(B23K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7457136号発明「溶接機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7457136号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~21〕について訂正することを認める。 特許第7457136号の請求項1~6、8~21に係る特許を維持する。 特許第7457136号の請求項7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件特許異議申立事件に係る特許第7457136号(以下「本件特許」という。)の請求項1~21に係る特許についての出願は、2021年(令和3年)2月2日(パリ条約に基づく優先権主張 外国庁受理 2020年2月3日(以下「優先日」という。) (IT)イタリア共和国)を国際出願日とする国際特許出願であって、令和6年3月18日にその特許権の設定登録がされ、同月27日に特許掲載公報が発行されたものであって、本件特許に対する特許異議の申立て以降の主な経緯は、次のとおりである。 1 令和6年9月26日 特許異議申立人 スチールプランテック株式会社(以下「申立人」という。)による、本件特許の請求項1~2、4~5、7~10、14~15、18~21に係る特許に対する特許異議の申立て 2 令和6年10月17日付け 手続補正(方式)の指令 3 令和6年11月19日 申立人による、手続補正書の提出 4 令和6年12月12日 申立人による、手続補正書の提出(当該手続補正書により補正がされた特許異議申立書を以下「申立書」という。) 5 令和6年12月19日付け 上記3の手続補正書の返戻についての通知 6 令和7年1月23日付け(発送日:同月29日) 取消理由の通知(以下「取消理由通知」という。) 7 令和7年2月18~19日(同月19日作成の応対記録) 申立人と審判合議体との電子メール及び電話での応対(取消理由通知における取消理由の対象請求項の問合せと回答) 8 令和7年4月25日 特許権者 ダニエリ アンド シー.オフィス メカニケ エスピーエー(以下「特許権者」という。)による、訂正の請求(請求された訂正を以下「本件訂正」といい、本件訂正のために提出された訂正請求書を以下単に「訂正請求書」という。)、及び、意見書の提出 9 令和7年5月8日 申立人による、上申書(以下「上申書」という。)の提出 10 令和7年5月8日付け(発送日:同月13日) 訂正の請求があった旨の通知 なお、上記10の通知に対し、指定期間内に申立人からの意見書の提出はなかった。 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正の内容について 特許権者は、本件訂正により、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~21について訂正することを求めるところ、本件訂正の内容は、次のとおりである(訂正箇所に下線を付して示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「前記第1の部品(10)の横方向外側に配置された前記キャリッジ(1)の第2の部品(11)に支持される、」 と記載されているのを、 「前記第1の部品(10)の横方向外側に配置された前記キャリッジ(1)の第2の部品(11)に支持され、 溶接される縦方向金属製品がない場合、前記第1のクランプ手段(3、4)の間のスペースと前記第2のクランプ手段(6、7)の間のスペースの両方に下方から自由にアクセスできるように、前記導体(37、38、39、40)は、それぞれ前記第1の構造体(2)と前記第2の構造体(5)の下を通過する方式で、前記少なくとも1つの変圧器(36)を前記第1のクランプ手段(3、4)と前記第2のクランプ手段(6、7)にそれぞれ接続する、」 に訂正する。 (請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~6及び8~21も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項7を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項8に 「請求項1から7のいずれか一項」 と記載されているのを、 「請求項1から6のいずれか一項」 に訂正する。 (請求項8の記載を直接的又は間接的に引用する請求項18~21も同様に訂正する。)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項18に 「請求項1から17のいずれか一項」 と記載されているのを、 「請求項1から6及び8から17のいずれか一項」 に訂正する。 (請求項18の記載を直接的又は間接的に引用する請求項19~21も同様に訂正する。)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項19に 「請求項1から18のいずれか一項」 と記載されているのを、 「請求項1から6及び8から18のいずれか一項」 に訂正する。 (請求項19の記載を直接的又は間接的に引用する請求項20~21も同様に訂正する。)。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項20に 「請求項1から19のいずれか一項」 と記載されているのを、 「請求項1から6及び8から19のいずれか一項」 に訂正する。 (請求項20の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。)。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項21に 「請求項1から20のいずれか一項」 と記載されているのを、 「請求項1から6及び8から20のいずれか一項」 に訂正する。 2 一群の請求項について 本件訂正前の請求項1~21について、請求項2~21がそれぞれ請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する関係にあって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である請求項〔1~21〕について、訂正の請求をするものである。 3 訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び、独立特許要件について <一群の請求項〔1~21〕について> (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項1における「導体(37、38、39、40)」に関し、「溶接される縦方向金属製品がない場合、前記第1のクランプ手段(3、4)の間のスペースと前記第2のクランプ手段(6、7)の間のスペースの両方に下方から自由にアクセスできるように、前記導体(37、38、39、40)は、それぞれ前記第1の構造体(2)と前記第2の構造体(5)の下を通過する方式で、前記少なくとも1つの変圧器(36)を前記第1のクランプ手段(3、4)と前記第2のクランプ手段(6、7)にそれぞれ接続する」と限定するものである。したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 イ 新規事項の追加の有無について 訂正事項1における、「溶接される縦方向金属製品がない場合、前記第1のクランプ手段(3、4)の間のスペースと前記第2のクランプ手段(6、7)の間のスペースの両方に下方から自由にアクセスできるように、前記導体(37、38、39、40)は、それぞれ前記第1の構造体(2)と前記第2の構造体(5)の下を通過する方式で、前記少なくとも1つの変圧器(36)を前記第1のクランプ手段(3、4)と前記第2のクランプ手段(6、7)にそれぞれ接続する」との点は、本件訂正前の請求項7において特定された事項と実質的に同じであり、また、願書に添付した明細書の段落【0016】及び【0036】~【0038】、図2~3、5~6に記載された事項である。したがって、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてする訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に規定される要件に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1は、上記アのとおり、本件訂正前の請求項1において特定されていた事項である「導体(37、38、39、40)」に関して、具体的に限定するように訂正するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に規定される要件に適合するものである。 エ 独立特許要件について (ア)本件特許異議の申立ては、請求項1~2、4~5、7~10、14~15、18~21を対象としているので、訂正事項1による本件訂正後の請求項1~2、4~5、8~10、14~15、18~21については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される、いわゆる独立特許要件は課されない(なお、請求項7については、上記1(2)のとおり削除されているから、当然に独立特許要件は課されない。)。 (イ)一方、訂正事項1による本件訂正後の請求項3、6、11~13、16~17については、本件特許異議の申立てがされていない請求項であって、訂正事項1の訂正の目的が上記アのとおり特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、訂正事項1による本件訂正後の請求項3、6、11~13、16~17に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないため、以下検討する。 下記第6の1で検討するように、本件訂正後の請求項1に係る発明は、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。してみると、本件訂正後の請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3、6、11~13、16~17に係る発明は、請求項1における発明特定事項をすべて包含することから、本件訂正後の請求項1に係る発明と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。また、本件訂正後の請求項3、6、11~13、16~17に係る発明について、他に特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、請求項3、6、11~13、16~17を対象とする訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される要件(独立特許要件)に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2は、請求項7を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び、独立特許要件について 訂正事項2は、請求項7を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正である。また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。さらに、請求項7は、本件特許異議の申立てがされた請求項であるので、独立特許要件は課されない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に規定される要件に適合するものであり、また、同法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される要件は課されない。 (3)訂正事項3~7 ア 訂正の目的について 訂正事項3~7は、訂正事項2による請求項7の削除に伴い、請求項8及び18~21における引用請求項から請求項7を除くことで、特許請求の範囲の記載を整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び、独立特許要件について 訂正事項3~7は、訂正事項2による請求項7の削除に伴い、請求項8及び18~21における引用請求項から請求項7を単に除くものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正である。また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。さらに、請求項8及び18~21は、本件特許異議の申立てがされた請求項であり、また訂正事項3~7が「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものでもあるから、独立特許要件は課されない。 したがって、訂正事項3~7は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に規定される要件に適合するものであり、また、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される要件は課されない。 4 小括 上記3(1)~(3)のとおり、訂正事項1~7に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項、並びに、同法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条第7項に規定される要件に適合する。 よって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~21〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり本件訂正は認められることから、本件特許の請求項1~6、8~21に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明6」、「本件発明8」~「本件発明21」という。なお、請求項7は削除された。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6、8~21に記載された、以下の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 縦方向金属製品の送り方向(X)に沿って、第1の縦方向金属製品のテールと第2の縦方向金属製品のヘッドを共に溶接するための、フラッシュ溶接タイプの溶接機であって、前記送り方向(X)に沿ってスライドするように適合されたキャリッジ(1)を含み、前記キャリッジ(1)は、 前記キャリッジ(1)に接続された第1の構造体(2)と、 前記第1の構造体(2)に設けられて、前記第1の金属製品のテール又は前記第2の金属製品のヘッドのいずれかをクランプする第1のクランプ手段(3、4)と、 前記第1の構造体(2)及び前記キャリッジ(1)の両方に対して、前記送り方向に平行にスライドするように適合された第2の構造体(5)と、 前記第2の構造体(5)に設けられて、前記第2の金属製品のヘッド又は前記第1の金属製品のテールのいずれかをクランプする第2のクランプ手段(6、7)と、 前記テール及び前記ヘッドに電流を供給するために、それぞれ前記第1のクランプ手段(3、4)と前記第2のクランプ手段(6、7)に接続された導体(37、38、39、40)を備えた少なくとも1つの変圧器(36)と、を支持し、 前記第1の構造体(2)及び前記第2の構造体(5)は、前記送り方向(X)に平行な前記キャリッジ(1)の第1のビーム(9)及び第2のビーム(8)によって画定される前記キャリッジ(1)の第1の部品(10)に支持され、前記少なくとも1つの変圧器(36)は、前記キャリッジ(1)に固定され、前記第1の部品(10)の横方向外側に配置された前記キャリッジ(1)の第2の部品(11)に支持され、 溶接される縦方向金属製品がない場合、前記第1のクランプ手段(3、4)の間のスペースと前記第2のクランプ手段(6、7)の間のスペースの両方に下方から自由にアクセスできるように、前記導体(37、38、39、40)は、それぞれ前記第1の構造体(2)と前記第2の構造体(5)の下を通過する方式で、前記少なくとも1つの変圧器(36)を前記第1のクランプ手段(3、4)と前記第2のクランプ手段(6、7)にそれぞれ接続する、 溶接機。 【請求項2】 前記キャリッジ(1)の前記第2の部品(11)に完全に支持された1つのみの変圧器(36)又は2つ以上の変圧器が設けられる、請求項1に記載の溶接機。 【請求項3】 少なくとも2つの変圧器が設けられ、前記2つの変圧器のうちの第1の変圧器(36)は、前記キャリッジ(1)に固定され、前記キャリッジ(1)の前記第2の部品(11)に支持され、前記2つの変圧器のうちの第2の変圧器(36’)は、前記キャリッジ(1)に固定され、前記第2の部品(11)とは反対側で、前記第1の部品(10)の横方向外側に配置された前記キャリッジ(1)の第3の部品(11’)に支持される、請求項1に記載の溶接機。 【請求項4】 前記第2の部品(11)は、前記送り方向(X)に平行な前記キャリッジ(1)の前記第2のビーム(8)及び第3のビーム(7)によって画定される、請求項1に記載の溶接機。 【請求項5】 前記第2の部品(11)は、前記送り方向(X)に平行な前記キャリッジ(1)の前記第2のビーム(8)及び第3のビーム(7)によって画定され、前記第1のビーム(9)及び前記第3のビーム(7)は、前記キャリッジ(1)の周辺ビームであり、前記第2のビーム(8)は、中間ビームである、請求項2に記載の溶接機。 【請求項6】 前記第2の部品(11)は、前記送り方向(X)に平行な前記キャリッジ(1)の前記第2のビーム(8)及び第3のビーム(7)によって画定され、前記第3の部品(11’)は、前記第1のビーム(9)及び第4のビーム(7’)によって画定され、前記第4のビーム(7’)及び前記第3のビーム(7)は、前記キャリッジ(1)の周辺ビームであり、前記第1のビーム(9)及び前記第2のビーム(8)は、前記キャリッジの中間ビームである、請求項3に記載の溶接機。 【請求項7】(削除) 【請求項8】 溶接される縦方向金属製品がない場合、前記第1のクランプ手段(3、4)の間のスペースと前記第2のクランプ手段(6、7)の間のスペースの両方に上方及び下方の両方から自由にアクセスできる、請求項1から6のいずれか一項に記載の溶接機。 【請求項9】 前記第1の構造体(2)及び前記第2の構造体(5)は、互いに実質的に平行に配置され、かつ前記第1のビーム(9)及び前記第2のビーム(8)に対して、横方向に、直交して配置される、請求項1に記載の溶接機。 【請求項10】 前記第1の構造体(2)及び前記第2の構造体(5)は、水平面に対して30°~70°の間の鋭角で傾斜したそれぞれの縦軸(Z、Z’)を規定し、或いは、前記第1の構造体(2)及び前記第2の構造体(5)は、実質的に水平に配置されたそれぞれの縦軸を規定する、請求項9に記載の溶接機。 【請求項11】 前記第1の構造体(2)及び前記第2の構造体(5)は、前記キャリッジ(1)に対して前記第1の構造体(2)及び前記第2の構造体(5)を前記送り方向(X)に対して横方向である平面に沿った回転によって共に持ち上げるように適合された持ち上げシステムによって、前記キャリッジ(1)の前記第1の部品(10)に支持される、請求項1、9又は10に記載の溶接機。 【請求項12】 前記持ち上げシステムは、リンケージタイプのものであり、 前記持ち上げシステムは、 前記キャリッジの前記第1のビーム(9)に平行でかつ近接し、かつ前記キャリッジの軸の周りに回転するように前記キャリッジに制限された第1の回転軸(19)と、 前記キャリッジの前記第2のビーム(8)に平行でかつ近接し、かつ前記キャリッジの軸の周りに回転するように前記キャリッジに制限された第2の回転軸(18)と、 前記キャリッジとは別個のものであり、前記第1の回転軸(19)及び前記第1のビーム(9)に平行でかつ近接し、場合によってはそれらの上方に配置された更なる第1のビーム(29)と、 前記キャリッジとは別個のものであり、前記第2の回転軸(18)及び前記第2のビーム(8)に平行でかつ近接し、場合によってはそれらの上方に配置された更なる第2のビーム(28)と、を含み、前記更なる第1のビーム(29)及び前記更なる第2のビーム(28)は、前記第1の構造体(2)と前記第2の構造体(5)の両方を支持し、前記第1の構造体(2)と前記第2の構造体(5)は、実質的に互いに平行に配置され、かつ前記更なる第1のビーム(29)及び前記更なる第2のビーム(28)に対して、横方向に 、直交して配置され、 前記第1の回転軸(19)は、少なくとも1つの第1のレバー(45)によって、前記更なる第1のビーム(29)に直接的又は間接的に接続され、 前記第2の回転軸(18)は、少なくとも1つの第2のレバー(46)によって、前記更なる第2のビーム(28)に直接的又は間接的に接続され、 前記第1の構造体(2)及び前記第2の構造体(5)を前記キャリッジ(1)に対して共に持ち上げることができるように、前記第1の回転軸(19)及び/又は前記第2の回転軸(18)を所定の角度回転させるように適合された少なくとも1つのアクチュエータ(47)が設けられる、請求項11に記載の溶接機。 【請求項13】 前記更なる第1のビーム(29)及び前記更なる第2のビーム(28)はそれぞれ、前記第1の構造体(2)に近接し、かつ前記第1の構造体(2)が一体的に固定される第1の部分と、前記第1の構造体(2)から遠位にあり、かつ前記第2の構造体(5)がスライド可能に接続される第2の部分とを有する、請求項12に記載の溶接機。 【請求項14】 前記第1の構造体(2)及び前記第2の構造体(5)は、前記キャリッジ(1)の前記第1のビーム(9)及び前記第2のビーム(8)によって、直接的に、前記キャリッジ(1)の前記第1の部品(10)に支持され、前記第1のビーム(9)及び前記第2のビーム(8)はそれぞれ、前記第1の構造体(2)に近接し、かつ前記第1の構造体(2)が一体的に固定される第1の部分と、前記第1の構造体(2)から遠位にあり、かつ前記第2の構造体(5)がスライド可能に接続される第2の部分とを有する、請求項1、9又は10に記載の溶接機。 【請求項15】 前記更なる第1のビーム(29)又は前記第1のビーム(9)の前記第2の部分は、前記第2の構造体(5)を前記更なる第1のビーム(29)又は前記第1のビーム(9)上にスライドさせるための第1のロール又はパッド(12)を内部に備えた、前記第2の構造体(5)の第1の貫通孔(21)に挿入され、また、前記更なる第2のビーム(28)又は前記第2のビーム(8)の前記第2の部分は、前記第2の構造体(5)を前記更なる第2のビーム(28)又は前記第2のビーム(8)上にスライドさせるための第2のロール又はパッド(13)を内部に備えた、前記第2の構造体(5)の第2の貫通孔(22)に挿入される、請求項13又は14に記載の溶接機。 【請求項16】 前記更なる第1のビーム(29)又は前記第1のビーム(9)の前記第2の部分と、前記第1の貫通孔(21)との両方は、四角形断面を有し、前記第1の貫通孔(21)は、2つの対向する内側のみに前記第1のロール又はパッド(12)を備え、一対の第1のロール(12)が前記2つの内側のそれぞれに設けられ、また、前記更なる第2のビーム(28)又は前記第2のビーム(8)の前記第2の部分と、前記第2の貫通孔(22)との両方は、四角形断面を有し、前記第2の貫通孔(22)は、その少なくとも3つの内側に少なくとも第2のロール又はパッド(13)を備え、 或いは、前記更なる第1のビーム(29)又は前記第1のビーム(9)の前記第2の部分と、前記第1の貫通孔(21)との両方は、円形断面を有し、前記第1の貫通孔(21)は、前記第1のパッド(12)を備え、また、前記更なる第2のビーム(28)又は前記第2のビーム(8)の前記第2の部分と、前記第2の貫通孔(22)との両方は、円形断面を有し、前記第2の貫通孔(22)は、前記第2のパッド(13)を備える、請求項15に記載の溶接機。 【請求項17】 前記第1のロール(12)は、アイドル状態にあり、前記第2の構造体(5)で得られるそれぞれのシートに収容され、前記第1の貫通孔(21)内に突出して、前記更なる第1のビーム(29)又は前記第1のビーム(9)の互いに対向する表面と接触し、 前記第2のロール(13)は、アイドル状態にあり、前記第2の構造体(5)で得られるそれぞれのシートに収容され、前記第2の貫通孔(22)内に突出して、前記更なる第2のビーム(28)又は前記第2のビーム(8)のそれぞれの側面と接触する、請求項16に記載の溶接機。 【請求項18】 前記キャリッジ(1)は、前記送り方向(X)に沿って少なくとも2つのスライドガイド(20、30)上にスライドするように適合され、少なくとも1つの前記スライドガイド(20、30)に設けられたラック(33)と噛み合うように適合された歯車(32)に接続された少なくとも1つのモータ(31)を備える、請求項1から6及び8から17のいずれか一項に記載の溶接機。 【請求項19】 前記送り方向(X)に沿って、前記第1の構造体(2)に向かって、又は前記第1の構造体(2)から離れるように前記第2の構造体(5)を移動させる調整手段(23、24)が設けられる、請求項1から6及び8から18のいずれか一項に記載の溶接機。 【請求項20】 前記第1のクランプ手段(3、4)と前記第2のクランプ手段(6、7)の両方は、前記第1の構造体(2)と前記第2の構造体(5)にそれぞれ設けられたそれぞれの移動システム(41、42、43、44)によって、位置が調整可能である、請求項1から6及び8から19のいずれか一項に記載の溶接機。 【請求項21】 メンテナンス対象となる前記溶接機の全ての構成要素は、アクセス可能であり、上方から持ち上げることができる、請求項1から6及び8から20のいずれか一項に記載の溶接機。」 第4 申立人が主張する申立ての理由の概要 1 申立書における申立ての理由について 申立人による申立ての理由は、以下のとおり整理することができる。 (1)申立ての理由1:請求項1~2、4~5、7~10、14~15、18~21 甲第1号証に記載された発明を主引用発明とし、甲第2号証又は甲第3号証に記載された事項を適用することの容易想到性に基づく、進歩性欠如(特許法第29条第2項、同法第113条第2号、申立書第2~19、22~51ページ) (2)申立ての理由2:請求項1~2 甲第2号証に記載された発明を主引用発明とした、新規性欠如(特許法第29条第1項第3号、同法第113条第2号、申立書第2~19、28~33、44~45、51ページ)、進歩性欠如(特許法第29条第2項、同法第113条第2号、申立書第45ページ) 2 証拠方法 申立人による証拠方法は、書証として申立書に添付して提出された甲第1号証~甲第11号証である。 (1)甲第1号証:特開2003-19502号公報 (2)甲第2号証:Virginio Pomettoほか、「W.E.R.T - WELDING ENDLESS ROLLING TECHNOLOGY」(発行者・発行日等の記載なし) (3)甲第2の2号証:甲第2の3号証が掲載された書籍の目次と表紙 (4)甲第2の3号証:Virginio Pomettoほか、「W.E.R.T - WELDING ENDLESS ROLLING TECHNOLOGY」、AIM、28° Convegno Nazionale AIM IL CONVEGNO DEL 2000(イタリア共和国)、2000年11月、p.605-613 (5)甲第3号証:Alberto Lainatiほか、「ERT-EBROS BILLET WELDING TECHNOLOGY FOR LONG PRODUCTS」、[online]、ABM、55th Rolling and Metal Forming Seminar(ブラジル連邦共和国)、2018年、[令和6年9月18日検索]、インターネット<URL:https://abmproceedings.com.br/en/article/ert-ebros-billet-welding-technology-for-long-products> (6)甲第4号証:甲第2の3号証が掲載された書籍の販売ウェブページの画面キャプチャ (7)甲第5号証: Virginio Pometto、「W.E.R.T. Welding Endless Rolling Technology」、Techint Pomini、28° Convegno Nazionale AIM IL CONVEGNO DEL 2000 プレゼンテーション資料(イタリア共和国)、2000年11月、p.1-43 (8)甲第6号証:甲第5号証のプロパティの画面キャプチャ (9)甲第7号証:甲第3号証が取得可能なウェブページの画面キャプチャ (10)甲第8号証:「Primetals Technologies、中国の山東永鋒鋼鉄向け棒鋼圧延機用ビレット溶接システムを受注」、[online]、Primetals Technologies、プレスリリース、2016年9月27日、[令和6年9月18日検索]、インターネット<URL:https://www.primetals.com/fileadmin/user_upload/press-releases/2016/20160927/PR2016091183jp.pdf> (11)甲第9号証:「アラブ首長国連邦のユニオン鋼鉄から棒鋼圧延機用ビレット溶接システムを受注」、[online]、Primetals Technologies、プレスリリース、2017年4月18日、[令和6年9月18日検索]、インターネット<URL:https://www.primetals.com/fileadmin/user_upload/press-releases/2017/20170418/PR2017041273jp.pdf> (12)甲第10号証:「イタリアのフェリエラ・バルサビア社向け棒鋼圧延機用 ビレット溶接システムを受注」、[online]、Primetals Technologies、プレスリリース、2017年11月30日、[令和6年9月18日検索]、インターネット<URL:https://www.primetals.com/fileadmin/user_upload/press-releases/2017/20171130/PR2017111511jp.pdf> (13)甲第11号証:2000年11月8日~10日に実施された公開のカンファレンス「28° Convegno Nazionale AIM」の当日プログラム(証拠説明書の立証の趣旨からみて甲第2号証~甲第2の3号証及び甲第4号証~甲第6号証に係る。) (以下、「甲第1号証」・「甲第2の2号証」等を「甲1」・「甲2の2」等といい、申立書に添付された「甲第2号証訳文」等を「甲2訳文」等という。 なお、甲8~甲10のURLは、当審が職権で調査したものである。) 第5 当審より通知した取消理由の概要 取消理由通知における、本件訂正前の請求項1~2、4~5、8~10、18~20に係る特許に対する取消理由は、上記第4の申立人が主張する申立ての理由(第4の1(1)~(2))に基づいて、合議体としての認定及び判断を記載したものであって、その要旨は以下のとおりである。 1 進歩性欠如について(主引用発明:甲2の3に記載された発明) 本件訂正前の請求項1~2、4~5、8~10、18~20に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲2の3に記載された発明、並びに、甲1、甲3及び甲5に記載された技術的事項に基づいて(以下の(1)~(3)を参照)、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~2、4~5、8~10、18~20に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (1)請求項1に対して引用する証拠方法: 甲2の3及び甲5 (2)請求項2、4~5、8~10、18に対して引用する証拠方法: 甲2の3及び甲5(並びに、甲3:請求項2に選択的事項として記載される「2つ以上の変圧器」にて発明が特定される場合) (3)請求項19~20に対して引用する証拠方法: 甲2の3、甲5及び甲1(並びに、甲3:請求項19~20で引用する請求項2の選択的事項が同上の場合) 2 進歩性欠如について(主引用発明:甲1に記載された発明) 本件訂正前の請求項1~2、4~5、8~10、18~20に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲1に記載された発明、並びに、甲2の3、甲3及び甲5に記載された技術的事項に基づいて(以下の(1)~(2)を参照)、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~2、4~5、8~10、18~20に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (1)請求項1に対して引用する証拠方法: 甲1及び甲5、又は、甲1、甲2の3及び甲5 (2)請求項2、4~5、8~10、18~20に対して引用する証拠方法: 甲1及び甲5、又は、甲1、甲2の3及び甲5(並びに、甲3:請求項2の選択的事項が同上の場合) なお、取消理由通知の理由欄において、取消理由の対象となる請求項の記載と、取消理由を発見しない請求項の記載が一部重複していたが、取消理由通知を全体としてみれば、上記1及び2のとおり、請求項1~2、4~5、8~10、18~20を取消理由の対象としたものであって、本件訂正前の請求項7、14~15、21に対して取消理由を発見していないことは、明らかである。また、権利者は、取消理由の対象となる請求項を正しく理解して、意見書を提出している。 第6 当審の判断 本件特許の請求項1~2、4~5、7~10、14~15、18~21に係る特許に対して特許異議の申立てがされていることから、本件訂正後の本件発明1~2、4~5、8~10、14~15、18~21について(なお、請求項7は削除された。)、取消理由通知にて示した進歩性欠如に係る取消理由(上記第5の1及び2)の有無を、以下判断するとともに、申立人による申立ての理由1及び2(上記第4の1(1)及び(2))についても併せて判断する。 1 本件発明1について (1)本件発明1の認定 本件発明1は、上記第3の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 (2)甲1に記載された発明の認定 ア 甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同様。)。 (ア)発明の詳細な説明(発明の実施の形態) 「【0051】 【発明の実施の形態】以下、本発明のいくつかの実施の形態を図面を用いて説明するが、本発明は図示の例に限定されるものでないことはいうまでもない。図1は本発明の連続圧延設備の一例を示す配置図である。この連続圧延設備は、上流側(矢印方向が下流側である。)より、第1のピンチロール1、デスケーラ2、溶接機3、バリ取り機4、加熱装置5、第2のピンチロール6、緊急切断機7、第1圧延スタンド8をこの順に配置し、各設備間に材料を搬送するための搬送ローラ装置9を配設したものである。材料のビレット10は、上流側の連続鋳造機(図示せず)により連続鋳造され、この連続圧延設備に供給される。また、本来の圧延設備は第1圧延スタンド8より下流側に配置されており、一般に粗圧延機列、中間圧延機列、仕上圧延機列からなる。ここでの第1圧延スタンド8は、粗圧延機列の第1スタンドを示している。ビレット搬送用の搬送ローラ装置9は、固定式の搬送ローラ91と、可動式の搬送ローラ92とからなっている。この可動式の搬送ローラ92は後で詳しく述べるように、溶接機3の前後に配置され、溶接機3の走行に伴いローラ間隔が変化するようになっている。 【0052】ビレット10は先行ビレット10Aの後端と後行ビレット10Bの先端を溶接機3により溶接接合することにより、連続した圧延材料となって第1圧延スタンド8に供給される。デスケーラ2は、主にビレット端部のスケールを溶接に先立って除去するためのものである。また、第1のピンチロール1は、後行ビレット10Bを溶接機3に送り込むためのものであるが、上流側に図示しない加熱炉を設置する場合にはその加熱炉よりビレットを引き出す装置としても働くものである。 【0053】本発明における溶接機3は、前述したように連続フラッシュ加熱式となっており、かつ、往復走行式となっているものである。この連続フラッシュ加熱式走間溶接機3においては、溶接工程が2つの主要な段階を含んでいる。すなわち、第1段階は、ビレット端部において連続的にフラッシュを発生させることにより該ビレット端部を加熱し平滑化する段階であり、これに続く第2段階は、後行ビレット10Bを先行ビレット10Aにアプセットして接合する段階である。これにより、ビレット端部を溶接前に切断することなく、十分な溶接強度でもって短時間に溶接することを可能にするものである。」 「【0060】図4は高出力電源システムとして、タップ切替方式のAC電源システムの例を示し、図5はインバータ方式のDC電源システムの例を、図6は三相整流式DC電源システムの例を示すものである。図4のタップ切替方式のAC電源システムの場合は、三相交流電源303と溶接変圧器305の間にサイリスタタップ切替器304を設け、図3(b)の加熱・フラッシュ工程の後半で二次電圧を下げるように切り替えることにより溶接品質の向上を図ることもできる。もちろん、溶接品質をそれほど重視しない場合にはタップ切替なしに高電圧のままで溶接を行えばよい。また、図4の例では、溶接変圧器305の一次電圧と電流を検出器306により検出し、その検出値とシーケンスコントローラ307からの設定値との偏差に応じてプラテンコントローラ308により電気油圧サーボ弁302を制御することによって、プラテン301をフィードバック制御している。すなわち、検出値が設定値以上のときはプラテン301を引き、設定値以下のときは押す指令を高速度処理(例えば、10ms以下で処理)して電気油圧システムに出力している。なお、前記検出値は一次電力のほかに、一次電流、二次電流、二次電力等でもよい。図中、310は油圧ユニットである。このようなプラテン301のフィードバック制御により、5Hz以上の高応答性をもつ押し引き動作が可能となる。 【0061】図5のインバータ方式のDC電源システムの場合は、タップ切替機能を持つインバータユニット309を設けたものである。311は二次電圧のダイオード整流部、312はサーブアンプ、313はサーボモータである。このDCシステムの場合は、一次電流を電流検出器306により検出し、検出された電流値が設定電流値となるようにシーケンスコントローラ307によりサーボアンプ312を介して油圧シリンダ300の駆動用サーボモータ313をフィードバック制御している。このDCシステムの場合は、図4のACシステムと異なり回路のインダクタンスによらず高出力が可能となる。また、タップ切替なしで一定電圧としてもよい。また、高品質を狙う場合は、インバータ入力電圧をサイリスタ式点弧角制御による可変電圧制御可能とすることにより、フラッシュプロセス中の各ステージにおいて各々最適な電圧に変えることで溶接品質の向上を図ることができる。図6の三相整流式DC電源システムの場合も図5のDCシステムと同様の機能をもつ。 【0062】再び図1において、この連続フラッシュ加熱式走間溶接機3は、例えば100~150角ビレットの場合、所定のストロークSを20秒程度で前進しながらその間にビレットの溶接を完了し、10秒程度で元の位置に戻ってくる。したがって、ビレットの溶接サイクルは、30秒から40秒以下の範囲に設定できる。 【0063】溶接機3は、ピット100内で往復移動するようになっており、ピット100内において溶接機3の前後に前記可動式搬送ローラ92が配設されている。この可動式搬送ローラ92は、例えば特開平10-216818号公報に示されたショッピングカート式のローラ支持台を使用している。このローラ支持台は、複数の装置本体をワイヤ、チェーン94等で相互に、および溶接機走行台車30とピット100間を連結したもので、溶接機3の走行に伴い走行方向前方側のローラ支持台93は走行台車30によって押され、差込式に収納されてローラ間隔を縮小し、後方側のローラ支持台93は牽引されてローラ間隔を等間隔に拡張するようになっている。 【0064】図7、図8は溶接機3の側面図と正面図である。走行輪を備えた溶接機走行台車30上には、固定側クランプ装置33と移動側クランプ装置34が設置してあり、各クランプ装置はそれぞれ油圧シリンダ35、36によってビレットをクランプするための一対のジョー31、32を備えている。固定側クランプ装置33は、先行ビレット10Aの後端部をクランプし、移動側クランプ装置34は後行ビレット10Bの先端部をクランプする。また、移動側クランプ装置34はアプセット用油圧シリンダ37を介して固定側クランプ装置33に連結され、ガイド機構38に沿って移動する。このアプセット用油圧シリンダ37に対して図4~図6に示した電気油圧制御システムが適用される。各ビレットのクランプは電極からなるそれぞれ上下1組のジョー31、32によって行われ、図8に示すように、直角の2辺をもつL型の1組のジョー32a、32b(移動側クランプ装置のジョーを示すが、固定側クランプ装置のジョーも同様である。)がビレット10の対角方向に配設され、一方のジョー32aはクランプ装置本体に固定され、他方のジョー32bは油圧シリンダ36によりビレット10の対角方向に移動するようになっている。」 (イ)図面 「【図1】 [図:0001427962000001.jpg] 」 「【図6】 [図:0001427962000002.jpg] 」 「【図7】 [図:0001427962000003.jpg] 」 「【図8】 [図:0001427962000004.jpg] 」 イ 上記アから、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 「ビレットの送り方向に沿って、先行ビレット10Aのテールと後行ビレット10Bのヘッドを共に溶接するための、フラッシュ溶接タイプの溶接機3であって、送り方向に沿ってスライドするように適合された溶接機走行台車30を含み、溶接機走行台車30は、 溶接機走行台車30に接続された固定側クランプ装置33と、 固定側クランプ装置33に設けられて、先行ビレット10Aのテール又は後行ビレット10Bのヘッドのいずれかをクランプするジョー31と、 固定側クランプ装置33及び溶接機走行台車30の両方に対して、送り方向に平行にスライドするように適合された移動側クランプ装置34と、 移動側クランプ装置34に設けられて、後行ビレット10Bのヘッド又は先行ビレット10Aのテールのいずれかをクランプするジョー32(32a、32b)と、を支持し、 溶接機3は、テール及びヘッドに電流を供給するために、それぞれジョー31とジョー32(32a、32b)に接続された導体を備えた少なくとも1つの溶接変圧器305を備え、 固定側クランプ装置33及び移動側クランプ装置34は、溶接機走行台車30に支持され、 導体は、少なくとも1つの溶接変圧器305をジョー31とジョー32(32a、32b)にそれぞれ接続する、 溶接機3。」 (3)甲2の3に記載された発明 ア 甲2の3には以下の事項が記載されている。 なお、甲2と甲2の3とは、同一内容の学術論文である(甲2は甲2の3の「写し」に相当する)ことから、以下の原文及び図面のキャプチャ(摘記)は甲2から取得し、日本語訳は甲2訳文に基づく。 (ア)610ページ第1~9行 「 [図:0001427962000005.jpg] [図:0001427962000006.jpg] 」 <日本語訳> 「溶接機の説明 変圧器と補助装置を搭載した電動移動台車に取り付けられた溶接機(図10)には、ビレットをセンタリングするために、ビレット断面の2つの対角線の一方に平行な角度で配置された油圧作動のアングル・グリッパーが装備され、溶接バリを除去する装置が取り付けられている。 この変圧器は三相整流電流タイプであるため、供給網の負荷が均衡し、(単相ソリューションに比べて)線吸収が少なく、力率が高く、スパーク時の電圧調整が可能であるという利点がある。」 (イ)610ページ 図10 ワゴンと溶接機 「 [図:0001427962000007.jpg] 」 (ウ)611ページ第1~6行 「 [図:0001427962000008.jpg] 」 <日本語訳> 「溶接ラインの説明 圧延ラインのレイアウトに溶接装置を適用するための解決策は、このシステムが粗圧延トレインの前または後に存在し、新しいプラントの場合に想定されるか、または既存のプラントに挿入されるかもしれないことも考慮すると、多種多様である。以下では、溶接ラインが再加熱炉と粗圧延機の第1ケージとの間に配置された新工場のケースを参照する(図12)。」 (エ)611ページ 図12 炉と第一ケージの間に溶接システムを配置した圧延ラインの図 「 [図:0001427962000009.jpg] 」 (オ)611ページ第7~最終行 「 [図:0001427962000010.jpg] 」 <日本語訳> 「このシステムは、油圧式スケール除去装置、特殊ガイドに沿って摺動するキャリッジに取り付けられたバリ取り装置付き溶接機、および溶接機のストロークを引き込み可能なローラーウェイで構成されている(図13)。 炉の出口に設置された油圧式デスケーラーがビレットのスケールと表面酸化物を除去し、その後の圧延工程とビレットと溶接機のクランプ間の接触における電流の伝導を改善します。 溶接機の下流側のビレットは圧延機によって把持されるため、溶接作業は動きながら行われる。そのため、溶接機はモーター駆動のキャリッジ上に設置され、その速度を第1ケージの圧延速度と同期させながら、ガイド上を圧延機に向かって滑走するビレットに追従してその端部を溶接する。 溶接されるビレットのヘッドとテールは、溶接機のグリッパーによって把持・支持され、残りの部分は、溶接機のストロークに対応する部分で、溶接機の通過中にグリッパーとの干渉を避けるために、各ローラーが後退可能な動きをするローラーウェイによって支持される。 第一ケージまでのローラー通路は、特殊な蓋で断熱され、焼成されるビレットの熱損失を低減している。この熱損失は、オーブンと第一入口の間の距離を長くしなければならないため、従来の解決策に比べて発生する。 溶接サイクルの段階には、下流ビレットが圧延されている間に、次のビレットのドラフト、クランプによるヘッドとテールの把持、スパーク、再接着、周囲のバリの除去、クランプの再開、次のビレットの接合に備えて溶接機をサイクルの開始位置に素早く戻すこと(振り子サイクル)が含まれる。」 (カ)612ページ 図13 炉と第一ケージとの間に溶接システムを配置した圧延ラインのレイアウト 「 [図:0001427962000011.jpg] 」 (キ)上記(ア)の「変圧器と補助装置を搭載した電動移動台車に取り付けられた溶接機(図10)」との記述、並びに、図10参考図(下記(ク))及び図12参考図(下記(ケ))における実線囲み線の内側が、グリッパーを備えた溶接機であること、及び、図12参考図における破線囲み線内の筐体に板状の導体が接続され、導体の側面から斜め左上に延びるフレキシブル配線が看取されることを踏まえると、図10参考図及び図12参考図における破線囲み線内の筐体は、変圧器を含むものと理解できる。 また、図10参考図における実線囲み線内に、2組のグリッパ-(以下「グリッパーA」及び「グリッパーB」という。)と、グリッパーA及びグリッパーBがそれぞれ設けられた2つの構造体(以下「構造体A」及び「構造体B」という。)とを看取することができる。 (ク)図10参考図 図10に申立人が実線囲み線及び破線囲み線を付加したもの(申立書第30ページ) 「 [図:0001427962000012.jpg] 」 (ケ)図12参考図 図12に申立人が実線囲み線及び破線囲み線を付加したもの(申立書第31ページ) 「 [図:0001427962000013.jpg] 」 イ 上記アから、甲2の3には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているといえる。 「ビレットの送り方向に沿って、上流ビレットのテールと下流ビレットのヘッドを共に溶接するための、フラッシュ溶接タイプの溶接機であって、送り方向に沿ってスライドするように適合された電動移動台車を含み、電動移動台車は、 電動移動台車に接続された、グリッパーAが設けられた構造体Aと、 構造体Aに設けられて、上流ビレットのテール又は下流ビレットのヘッドのいずれかをクランプするグリッパーAと、 グリッパーAが設けられた構造体A及び電動移動台車の両方に対して、送り方向に平行にスライドするように適合された、グリッパーBが設けられた構造体Bと、 構造体Bに設けられて、下流ビレットのヘッド又は上流ビレットのテールのいずれかをクランプするグリッパーBと、 テール及びヘッドに電流を供給するために、それぞれグリッパーAとグリッパーBに接続された導体を備えた少なくとも1つの変圧器と、を支持し、 グリッパーA及びBがそれぞれ設けられた構造体A及びBは、電動移動台車の作業側(手前側)に支持され、 少なくとも1つの変圧器は、電動移動台車上であって、グリッパーA及びBがそれぞれ設けられた構造体A及びBが支持されている部分の駆動側(奥側)に支持され、 導体は、少なくとも1つの変圧器をグリッパーAとグリッパーBにそれぞれ接続する、 溶接機。」 (4)甲5に記載された技術的事項 ア 甲5には以下のスライドが示されている。なお、日本語訳は甲5訳文に基づく。 (ア)26枚目のスライド 「 [図:0001427962000014.jpg] 」 <日本語訳スライド> 「 [図:0001427962000015.jpg] 」 (イ)28枚目のスライド 「 [図:0001427962000016.jpg] 」 <日本語訳スライド> 「 [図:0001427962000017.jpg] 」 イ 上記アのスライドからわかること (ア)上記ア(ア)のスライドのタイトルから、当該スライドには、溶接機と変圧器が主に描画されているといえ、ビレットをクランプするグリッパーを備えた図中左奥の構造体が溶接機であること、及び、右手前の筐体に板状の導体が接続され、導体の側面から斜め右上にフレキシブル配線が接続されていることが図示されており、更には、上記ア(イ)のスライド中の左上の筐体に「電気機器及び補助機器 溶接機設備」との説明が付されていることを踏まえると、上記ア(ア)のスライドの右手前の筐体は、変圧器を備えたものである、といえる。そうすると、甲5には、「変圧器を、グリッパーを備えた溶接機を支持する部分の横方向外側(キャリッジ駆動システム側)に支持すること。」(以下「甲5記載の技術的事項1」という。)が記載されている、といえる。 (イ)上記ア(ア)及び(イ)のスライドから、溶接機及び変圧器は、床よりも低い凹部内に敷設された3本のレールの上に設けられたキャリッジに支持されていることが把握され、さらに上記ア(イ)のスライド中、中央部に3つ描かれる破線矩形は、技術常識に照らせば、ビレット送り方向(3本のレールの敷設方向)に平行なキャリッジの3本のビームの断面を示しているから、両スライドからは、中央と右側のビームで溶接機を、中央と左側のビームで変圧器をそれぞれ支持していることが看取される。そうすると、甲5には、「グリッパーを備えた溶接機を2本のビームによって画定されるキャリッジに支持すること。」(以下「甲5記載の技術的事項2」という。)が記載されている。 (5)甲3に記載された技術的事項 ア 甲3には、次の事項が記載されている。 (ア)第3ページ 図02 ERT-EBROSの溶接ユニット 「 [図:0001427962000018.jpg] 」 (イ)第3ページ第2~5行 「 [図:0001427962000019.jpg] 」 <日本語訳> 「隣接する2つのビレットのテールとヘッドは、正しい相対位置で確実にクランプされ、接合部には非常に強い電流が流れます。材料の溶解速度は、溶解によって生じるビレット間のギャップを動的に調整することによって制御されます。」 (ウ)第4ページ 図05 横行車付き溶接ユニット 「 [図:0001427962000020.jpg] 」 イ 上記アからわかること 上記ア(ウ)の図05に図示された4個の“TRAFO”の部材は、変圧器であるといえるから、甲3には次の技術的事項(以下「甲3記載の技術的事項」という。)が記載されているといえる。 「横行車付き溶接ユニットにおいて、2つ以上の変圧器を備えること。」 なお、同図05に図示される溶接ユニットの中央には、クランプされたビレットの四角形状の断面が看取されるから、上記ア(ア)図02と併せてみれば、甲3記載の技術的事項における「変圧器」は、ビレットの送り方向に配置されたものであって、ビレットの送り方向に対して横方向外側に配置されたものであるとはいえない。 (6)甲2発明を主引用発明とした新規性・進歩性 事案に鑑み、まず、甲2発明を主引用発明とした新規性・進歩性の有無について検討する。 ア 相当関係 本件発明1と甲2発明とを対比すると、次の相当関係があるといえる。 (ア)甲2発明における「ビレット」、「上流ビレット」、「下流ビレット」及び「電動移動台車」は、その構造・機能・作用からみて、本件発明1における「縦方向金属製品」、「第1の縦方向金属製品」、「第2の縦方向金属製品」及び「キャリッジ(1)」に、それぞれ相当する。また、甲2発明における、「グリッパーAが設けられた構造体A」及び「グリッパーBが設けられた構造体B」並びに「グリッパーA」及び「グリッパーB」は、その構造・機能・作用からみて、本件発明1における「第1の構造体(2)」及び「第2の構造体(5)」並びに「第1のクランプ手段(3、4)」及び「第2のクランプ手段(6、7)」に、それぞれ相当する。さらに、甲2発明における「導体」及び「変圧器」は、本件発明1における「導体(37、38、39、40)」及び「変圧器(36)」のそれぞれに相当する。 (イ)甲2発明における「グリッパーA及びBがそれぞれ設けられた構造体A及びBは、電動移動台車の作業側(手前側)に支持され」る点は、 「前記第1の構造体(2)及び前記第2の構造体(5)は、前記キャリッジの第1の部品に支持され」る点の限りにおいて、 本件発明1における「前記第1の構造体(2)及び前記第2の構造体(5)は、前記送り方向(X)に平行な前記キャリッジ(1)の第1のビーム(9)及び第2のビーム(8)によって画定される前記キャリッジ(1)の第1の部品(10)に支持され」る点に一致する。 (ウ)甲2発明における「少なくとも1つの変圧器は、電動移動台車上であって、グリッパーA及びBがそれぞれ設けられた構造体A及びBが支持されている部分の駆動側(奥側)に支持され」る点は、本件発明1における「前記少なくとも1つの変圧器(36)は、前記キャリッジ(1)に固定され、前記第1の部品(10)の横方向外側に配置された前記キャリッジ(1)の第2の部品(11)に支持され」る点に相当する。 (エ)甲2発明における「導体は、少なくとも1つの変圧器をグリッパーAとグリッパーBにそれぞれ接続する」点は、 「前記導体は、前記少なくとも1つの変圧器を前記第1のクランプ手段と前記第2のクランプ手段にそれぞれ接続する」点の限りにおいて、 本件発明1における「溶接される縦方向金属製品がない場合、前記第1のクランプ手段(3、4)の間のスペースと前記第2のクランプ手段(6、7)の間のスペースの両方に下方から自由にアクセスできるように、前記導体(37、38、39、40)は、それぞれ前記第1の構造体(2)と前記第2の構造体(5)の下を通過する方式で、前記少なくとも1つの変圧器(36)を前記第1のクランプ手段(3、4)と前記第2のクランプ手段(6、7)にそれぞれ接続する」点に一致する。 イ 一致点 上記アを踏まえると、本件発明1と甲2発明とは以下の点で一致する。 「縦方向金属製品の送り方向に沿って、第1の縦方向金属製品のテールと第2の縦方向金属製品のヘッドを共に溶接するための、フラッシュ溶接タイプの溶接機であって、前記送り方向に沿ってスライドするように適合されたキャリッジを含み、前記キャリッジは、 前記キャリッジに接続された第1の構造体と、 前記第1の構造体に設けられて、前記第1の金属製品のテール又は前記第2の金属製品のヘッドのいずれかをクランプする第1のクランプ手段と、 前記第1の構造体及び前記キャリッジの両方に対して、前記送り方向に平行にスライドするように適合された第2の構造体と、 前記第2の構造体に設けられて、前記第2の金属製品のヘッド又は前記第1の金属製品のテールのいずれかをクランプする第2のクランプ手段と、 前記テール及び前記ヘッドに電流を供給するために、それぞれ前記第1のクランプ手段と前記第2のクランプ手段に接続された導体を備えた少なくとも1つの変圧器と、を支持し、 前記第1の構造体及び前記第2の構造体は、前記キャリッジの第1の部品に支持され、前記少なくとも1つの変圧器は、前記キャリッジに固定され、前記第1の部品の横方向外側に配置された前記キャリッジの第2の部品に支持され、 前記導体は、前記少なくとも1つの変圧器を前記第1のクランプ手段と前記第2のクランプ手段にそれぞれ接続する、 溶接機。」 ウ 相違点 一方、本件発明1と甲2発明とは以下の相違点1~2で相違する。 (ア)相違点1 「前記第1の構造体及び前記第2の構造体」を支持する「前記キャリッジの第1の部品」に関して、 本件発明1においては、第1の部品(10)が「前記送り方向(X)に平行な前記キャリッジ(1)の第1のビーム(9)及び第2のビーム(8)によって画定される」のに対し、 甲2発明においては、2つの構造体A及びBを支持する電動移動台車の作業側(手前側)が「第1のビーム及び第2のビームによって画定される」か、不明である点。 (イ)相違点2 「前記少なくとも1つの変圧器を前記第1のクランプ手段と前記第2のクランプ手段にそれぞれ接続する」「前記導体」に関して、 本件発明1においては、前記導体(37、38、39、40)が、「溶接される縦方向金属製品がない場合、前記第1のクランプ手段(3、4)の間のスペースと前記第2のクランプ手段(6、7)の間のスペースの両方に下方から自由にアクセスできる」ように、「それぞれ前記第1の構造体(2)と前記第2の構造体(5)の下を通過する方式」で、それぞれ接続するものであるのに対し、 甲2発明においては、導体が、変圧器とグリッパーA及びBとをそれぞれどのように接続するか、不明である点。 エ 新規性欠如に対する当審の判断 本件発明1と甲2発明とは、少なくとも相違点2にて相違するから、上記第4の1(2)の甲2に記載された発明を主引用発明とした申立ての理由2のうち、「新規性欠如」を理由として、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 オ 進歩性欠如(上記相違点)に対する当審の判断 事案に鑑み、相違点2について検討する。 (ア)甲2発明における導体が、少なくとも1つの変圧器をグリッパーAとグリッパーBにそれぞれ接続するにあたり、「グリッパーAが設けられた構造体AとグリッパーBが設けられた構造体Bの下を通過する方式」で接続するものであることについて、甲2の3から導出することはできない。 すなわち、甲2発明において、変圧器と、グリッパーA及びグリッパーBとがどのように導体にて接続されているか、甲2の3には明記されていない。また、あえて甲2の3に開示された事項から判断するならば、甲2の3の図12(上記(3)ア(エ)参照)には、変圧器(上方中央の直方体)と、グリッパーA及びBが設けられた構造体A及びB(上方の変圧器の左側の部材)との間の空中位置に、導体と解される部材が描かれていることが看取されるのみである(次の図12の拡大図の実線囲み線内を参照)。 「図12の拡大図(当審にて実線囲み線を追加) [図:0001427962000021.jpg] 」 してみると、甲2発明においては、導体が、「グリッパーAが設けられた構造体AとグリッパーBが設けられた構造体Bの下を通過する方式」であるとは認めることができず、また上記図12の拡大図のように配置された導体を、「グリッパーAが設けられた構造体AとグリッパーBが設けられた構造体Bの下を通過する方式」に変更することについて、甲2の3には記載も示唆もない。 (イ)次に、甲5に記載された技術的事項を適用することで相違点2に係る本件発明1の構成を容易に想到し得たかについて以下検討する。 取消理由通知(当該通知の14ページ第3の1(3)参照)にて述べたように、甲2の3は、2000年11月8日から10日に実施された公開のカンファレンス「28° Convegno Nazionale AIM」(以下、「2000年カンファレンス」という。)においてVirginio Pometto氏等から発表された論文資料であり、甲5は、当該2000年カンファレンスにおいて、Virginio Pometto氏が甲2の3の内容を発表した際のプレゼンテーション資料であって、甲2の3と甲5とは、2000年カンファレンスにて同一の者に発表された同一技術が記載されていると認められる。 そして、甲5の26枚目のスライド(上記(4)ア(ア)参照)には、変圧器(中央の直方体)と、グリッパーA及びBが設けられた構造体A及びB(変圧器の左上側の部材)との間の空中位置に、上記アの図12の拡大図と同様の、導体と解される部材が描かれ、また、甲5の28枚目のスライド(上記(4)ア(イ)参照)には、当該位置に導体と解される部材が配置されていることが看取される(次のスライド28の日本語訳スライドの拡大図の実線囲み線内を参照) 「スライド28の日本語訳の拡大図(当審にて実線囲み線を追加) [図:0001427962000022.jpg] 」 してみると、甲5に接した当業者は、甲5記載の技術的事項1~2の変圧器や溶接機に接続される導体と解される部材については、空中位置に配置すると理解するのが自然であるから、甲2発明に甲5記載の技術的事項1~2を適用したとしても、導体を、「グリッパーAが設けられた構造体AとグリッパーBが設けられた構造体Bの下を通過する方式」に変更することは、容易に想到し得たということができない。 (ウ)さらに、甲1発明、及び、甲3記載の技術的事項を参酌しても、甲2発明における導体を、「グリッパーAが設けられた構造体AとグリッパーBが設けられた構造体Bの下を通過する方式」に変更することを、当業者が容易に想到し得たとする、十分な理由は見出せない。 カ 甲2発明を主引用発明とする新規性欠如・進歩性欠如についての小括 したがって、本件発明1は、甲2発明であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当するということはできない。 また、本件発明1は、少なくとも相違点2に係る本件発明1の構成については、甲2発明、甲5記載の技術的事項1~2、甲1発明及び甲3記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではないから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明、甲5記載の技術的事項1~2、甲1発明及び甲3記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 (7)甲1発明を主引用発明とした進歩性 次に、甲1発明を主引用発明とした進歩性の有無について検討する。 ア 相当関係 本件発明1と甲1発明とを対比すると、次の相当関係があるといえる。 (ア)甲1発明における「ビレット」、「先行ビレット10A」、「後行ビレット10B」、「溶接機3」及び「溶接機走行台車30」は、その構造・機能・作用からみて、本件発明1における「縦方向金属製品」、「第1の縦方向金属製品」、「第2の縦方向金属製品」、「溶接機」及び「キャリッジ(1)」に、それぞれ相当する。また、甲1発明における、「固定側クランプ装置33」、「ジョー31」、「移動側クランプ装置34」及び「ジョー32(32a、32b)」は、その構造・機能・作用からみて、本件発明1における「第1の構造体(2)」、「第1のクランプ手段(3、4)」、「第2の構造体(5)」及び「第2のクランプ手段(6、7)」に、それぞれ相当する。さらに、甲1発明における「導体」及び「溶接変圧器305」は、本件発明1における「導体(37、38、39、40)」及び「変圧器(36)」のそれぞれに相当する。 (イ)甲1発明における「溶接機3は、テール及びヘッドに電流を供給するために、それぞれジョー31とジョー32(32a、32b)に接続された導体を備えた少なくとも1つの溶接変圧器305を備え」る点は、 「前記溶接機は、前記テール及び前記ヘッドに電流を供給するために、それぞれ前記第1のクランプ手段と前記第2のクランプ手段に接続された導体を備えた少なくとも1つの変圧器を備え」る点の限りにおいて、 本件発明1における、「前記キャリッジ(1)は、」「前記テール及び前記ヘッドに電流を供給するために、それぞれ前記第1のクランプ手段(3、4)と前記第2のクランプ手段(6、7)に接続された導体(37、38、39、40)を備えた少なくとも1つの変圧器(36)」「を支持」する点に一致する。 (ウ)甲1発明における「固定側クランプ装置33及び移動側クランプ装置34は、溶接機走行台車30に支持され」る点は、 「前記第1の構造体及び前記第2の構造体は、前記キャリッジに支持され」る点の限りにおいて、 本件発明1における「前記第1の構造体(2)及び前記第2の構造体(5)は、前記送り方向(X)に平行な前記キャリッジ(1)の第1のビーム(9)及び第2のビーム(8)によって画定される前記キャリッジ(1)の第1の部品(10)に支持され」る点に一致する。 (エ)甲1発明における「導体は、少なくとも1つの溶接変圧器305をジョー31とジョー32(32a、32b)にそれぞれ接続する」点は、 「前記導体は、前記少なくとも1つの変圧器を前記第1のクランプ手段と前記第2のクランプ手段にそれぞれ接続する」点の限りにおいて、 本件発明1における「溶接される縦方向金属製品がない場合、前記第1のクランプ手段(3、4)の間のスペースと前記第2のクランプ手段(6、7)の間のスペースの両方に下方から自由にアクセスできるように、前記導体(37、38、39、40)は、それぞれ前記第1の構造体(2)と前記第2の構造体(5)の下を通過する方式で、前記少なくとも1つの変圧器(36)を前記第1のクランプ手段(3、4)と前記第2のクランプ手段(6、7)にそれぞれ接続する」点に一致する。 イ 一致点 上記アを踏まえると、本件発明1と甲1発明とは以下の点で一致する。 「縦方向金属製品の送り方向に沿って、第1の縦方向金属製品のテールと第2の縦方向金属製品のヘッドを共に溶接するための、フラッシュ溶接タイプの溶接機であって、前記送り方向に沿ってスライドするように適合されたキャリッジを含み、前記キャリッジは、 前記キャリッジに接続された第1の構造体と、 前記第1の構造体に設けられて、前記第1の金属製品のテール又は前記第2の金属製品のヘッドのいずれかをクランプする第1のクランプ手段と、 前記第1の構造体及び前記キャリッジの両方に対して、前記送り方向に平行にスライドするように適合された第2の構造体と、 前記第2の構造体に設けられて、前記第2の金属製品のヘッド又は前記第1の金属製品のテールのいずれかをクランプする第2のクランプ手段と、を支持し、 前記溶接機は、前記テール及び前記ヘッドに電流を供給するために、それぞれ前記第1のクランプ手段と前記第2のクランプ手段に接続された導体を備えた少なくとも1つの変圧器を備え、 前記第1の構造体及び前記第2の構造体は、前記キャリッジに支持され、 前記導体は、前記少なくとも1つの変圧器を前記第1のクランプ手段と前記第2のクランプ手段にそれぞれ接続する、 溶接機。」 ウ 相違点 一方、本件発明1と甲1発明とは以下の相違点3~5で相違する。 (ア)相違点3 前記第1の構造体及び前記第2の構造体を支持する前記キャリッジに関し、 本件発明1においては、「前記送り方向(X)に平行な前記キャリッジ(1)の第1のビーム(9)及び第2のビーム(8)によって画定される前記キャリッジ(1)の第1の部品(10)」によって支持するのに対し、 甲1発明においては、固定側クランプ装置33及び移動側クランプ装置34を支持する溶接機走行台車30がどのような構造を有しているか、不明である点。 (イ)相違点4 溶接機に備えられる少なくとも1つの変圧器に関し、 本件発明1においては、「前記キャリッジ(1)に固定され、前記第1の部品(10)の横方向外側に配置された前記キャリッジ(1)の第2の部品(11)に支持される」のに対し、 甲1発明においては、少なくとも1つの溶接変圧器305が溶接機3のどこにどのように支持されているか、不明である点。 (ウ)相違点5 「前記少なくとも1つの変圧器を前記第1のクランプ手段と前記第2のクランプ手段にそれぞれ接続する」「前記導体」に関して、 本件発明1においては、前記導体(37、38、39、40)が、「溶接される縦方向金属製品がない場合、前記第1のクランプ手段(3、4)の間のスペースと前記第2のクランプ手段(6、7)の間のスペースの両方に下方から自由にアクセスできる」ように、「それぞれ前記第1の構造体(2)と前記第2の構造体(5)の下を通過する方式」で、それぞれ接続するものであるのに対し、 甲1発明においては、導体が、溶接変圧器305とジョー31及びジョー32(32a、32b)とをそれぞれどのように接続するか、不明である点。 エ 相違点に対する当審の判断 事案に鑑み、相違点5について検討する。 (ア)相違点5に係る本件発明1は、実質的に、相違点2に係る本件発明1と同様の構成であるところ、上記(6)オで検討したように、当該相違点2に係る本件発明1は、甲2発明、甲5記載の技術的事項1~2、甲1発明及び甲3記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるということができない以上、相違点5に係る本件発明1についても、甲1発明、甲2発明、甲5記載の技術的事項1~2及び甲3記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるということができない。 (イ)なお申立人は、申立書において、本件訂正前の請求項7について、次の旨を主張する。 「甲1の図4~6、段落【0060】には、「導体によって少なくとも1つの変圧器(36)(当審注:甲1においては「溶接変圧器305」である。)をジョー31とジョー32にそれぞれ接続する」ことが記載されている。ここで、溶接されるビレットがない場合、ジョー31の間のスペースとジョー32の間のスペースの両方に下方から自由にアクセスできるように、導体を、それぞれ固定側クランプ装置33と移動側クランプ装置34の下を通過する方式とすることは、一定の課題を解決するための技術の具体的適用に伴う設計変更や設計的事項の採用である。」 しかしながら、甲1においては、導体が接続される溶接変圧器305が溶接機3のどこに設けられているか、明確に特定されていない以上、上記相違点4に係る本件発明1の構成のように、溶接機走行台車30の横方向外側に配置された部分に溶接変圧器305を配置するためには、甲2発明や甲5記載の技術的事項を参照する必要がある(取消理由通知の第3の2(3)イを参照。)。 そして、甲1発明に甲2発明又は甲5記載の技術的事項1~2を適用する場合、当業者は、導体を上記(6)オ(ア)及び(イ)で示した位置に配置することを想到するといえるところ、その位置から、「グリッパーAが設けられた構造体AとグリッパーBが設けられた構造体Bの下を通過する方式」に変更することについて、甲2の3、甲5、更には甲3を参照しても、記載も示唆もない。また、仮に公知の文献等に当該方式に関する示唆があったとしても、甲1発明に、甲2発明又は甲5記載の技術的事項1~2を適用し、さらに当該示唆に基づく変更を要することとなるため、相違点5に係る本件発明1を想到するには、多段階の改変が必要となる。 オ 甲1発明を主引用発明とする進歩性欠如についての小括 したがって、本件発明1は、少なくとも相違点5に係る本件発明1の構成については、甲1発明、甲2発明、甲5記載の技術的事項1~2及び甲3記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではないから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2発明、甲5記載の技術的事項1~2及び甲3記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 (8)請求項1に係る特許についてのまとめ 上記(6)のとおり、本件発明1は、甲2発明とは少なくとも相違点2にて相違し、甲2に記載された発明であるとはいえないし、本件発明1は、甲2発明、甲5記載の技術的事項1~2、甲1発明及び甲3記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 また、上記(7)のとおり、本件発明1は、甲1発明、甲2発明、甲5記載の技術的事項1~2及び甲3記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 2 本件発明2、4~5、8~10、14~15、18~21について 本件発明2、4~5、8~10、14~15、18~21は、請求項1の記載を引用するものであるところ、本件発明1が上記1のとおり、甲2発明を主引用例として新規性及び進歩性が欠如するとはいえず、及び甲1発明を主引用例として進歩性が欠如するとはいえないことから、本件発明2、4~5、8~10、14~15、18~21についても同様に、甲2発明を主引用例として新規性及び進歩性が欠如するとはいえず、及び甲1発明を主引用例として進歩性が欠如するとはいえない。 なお、申立人は、上申書において、取消理由通知に対し、本件訂正前の請求項21に係る発明について、進歩性欠如である旨の更なる主張をする。 しかしながら、本件訂正後の本件発明21は、本件訂正前の請求項7に記載された事項で限定された本件発明1の発明特定事項を全て包含するものであって、本件発明1が上記1のとおり当業者が容易に想到し得たものでない以上、本件発明21についても当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 したがって、本件特許の請求項2、4~5、8~10、14~15、18~21に係る特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 第7 むすび 以上のとおり、本件特許の請求項1~2、4~5、8~10、14~15、18~21に係る特許は、取消理由通知に示した取消理由(上記第5及び第6を参照。)、又は、申立書に記載された申立ての理由(上記第4及び第6を参照。)によっては、取り消すことはできない。また、本件特許の請求項1~2、4~5、8~10、14~15、18~21に係る特許を取り消すべき他の理由も発見しない。 そして、本件特許の請求項7は、上記第2及び第3のとおり、本件訂正により削除された。これにより、申立人による本件特許の請求項7に係る特許に対する特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700930

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