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特許異議申立

2024-700677

セラミックス回路基板

審判番号
2024-700677
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-523959外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
7420555
請求日
2024年07月18日
審決日
2024年09月19日
公報発行日
2024年10月25日
結論
維持
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-Y (H05K) / P1651.537-Y (H05K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第113条第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第113条第4号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7420555号発明「セラミックス回路基板」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7420555号の請求項1~3に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7420555号(以下「本件特許」という。)の請求項1~3に係る特許についての出願は、2018年(平成30年)6月7日(優先権主張 平成29年6月9日)を国際出願日とする出願であって、令和6年1月15日にその特許権の設定登録がされ、同年1月23日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和6年7月18日に特許異議申立人 廣瀬 妙子(以下「申立人」という。)は特許異議の申立てを行った。 前記特許異議の申立てのために申立人により提出された特許異議申立書を、以下では単に「申立書」という。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~3に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明3」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 窒化アルミニウムまたは窒化珪素を用いてなるセラミックス基板の両主面に、銅板がろう材を介して接合され、少なくとも一方の主面の銅板上に銀めっきが施されたセラミックス回路基板であって、銅板側面は銀めっきが施されておらず、銀めっきの厚みが0.1μmから1.5μmであり、銀めっき後の回路基板の表面粗さの算術平均粗さRaが0.1μmから1.5μmであり、銅板の厚みが0.8mm以上であることを特徴とするセラミックス回路基板。 【請求項2】 無電解の銀めっきを行うことを含む、請求項1に記載のセラミックス回路基板の製造方法。 【請求項3】 請求項1に記載のセラミックス回路基板の銀めっき上に銀ナノ粒子を用いて半導体素子が接合されたパワーモジュール。」 なお、本件発明1について、後の参照の便宜のために、以下のとおり分説し、「発明特定事項A」のようにして参照する。 【請求項1】 A 窒化アルミニウムまたは窒化珪素を用いてなるセラミックス基板の両主面に、銅板がろう材を介して接合され、少なくとも一方の主面の銅板上に銀めっきが施されたセラミックス回路基板であって、 B 銅板側面は銀めっきが施されておらず、 C 銀めっきの厚みが0.1μmから1.5μmであり、 D 銀めっき後の回路基板の表面粗さの算術平均粗さRaが0.1μmから1.5μmであり、 E 銅板の厚みが0.8mm以上である F ことを特徴とするセラミックス回路基板。 第3 申立ての理由の概要 申立書に記載された申立理由及び証拠方法は、次のとおりである。 1 申立理由 理由1 本件発明1~3は、甲第1号証~甲第6号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(特許法第113条第2号) 理由2 本件の特許請求の範囲の記載は、本件発明1~3が発明の詳細な説明に記載したものではないから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(特許法第113条第4号) 2 証拠方法 甲第1号証 特開2015-53414号公報 甲第2号証 特開2011-80147号公報 甲第3号証 特開2008-88493号公報 甲第4号証 特開2010-238965号公報 甲第5号証 特開2017-103382号公報 甲第6号証 特開2008-45218号公報 以下、申立人が提出した「甲第1号証」~「甲第6号証」を、それぞれ「甲1」~「甲6」という。 第4 理由1についての判断 理由1(進歩性)の有無を判断するために、まず、以下の1において甲1発明の認定を行い、以下の2において甲2~甲6技術の認定を行う。次いで、以下の3において本件発明1と甲1発明との対比を行い、以下の4において本件発明1と甲1発明との相違点について判断し、以下の5に小括する。 1 甲1発明の認定 (1)甲1の記載 甲1には、次の事項が記載されている。なお、下線は、甲1発明の認定に使用する箇所を示すことを目的に、当審で付した。 「【請求項1】 銅板または銅めっき板の一方の面に電子部品が搭載された電子部品搭載基板の製造方法において、銅板または銅めっき板の一方の面の表面粗さを0.4μm以上にする表面加工を行い、その面に銀ペーストを塗布して電子部品を配置した後、銀ペースト中の銀を焼結させて銀接合層を形成し、この銀接合層によって電子部品を銅板または銅めっき板の一方の面に接合することを特徴とする、電子部品搭載基板の製造方法。」 「【請求項10】 前記銅板または銅めっき板の一方の面の表面粗さが0.5~2.0μmであることを特徴とする、請求項9に記載の電子部品搭載基板。」 「【0001】 本発明は、電子部品搭載基板およびその製造方法に関し、特に、銅板また銅めっき板の一方の面がセラミックス基板に接合した金属-セラミックス接合基板の金属板の他方の面に半導体チップなどの電子部品が取り付けられた電子部品搭載基板およびその製造方法に関する。」 「【0002】 従来、電気自動車、電車、工作機械などの大電流を制御するために、パワーモジュールが使用されている。従来のパワーモジュールでは、ベース板と呼ばれている金属板または複合材の一方の面に金属-セラミックス絶縁基板が固定され、この金属-セラミックス絶縁基板の金属板上に半導体チップが半田付けにより固定されている。」 「【0004】 このように電子部品を基板上に固定する方法として、半導体素子の端子と基板の電極との間に低温で焼結するAgナノ粒子を介在させ、Agナノ粒子を焼結させて、半導体素子の端子と基板の電極とを接合する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。」 「【0007】 しかし、特許文献1~3の方法では、(電子部品搭載用)金属板として銅板または(アルミニウム板に銅めっきを施した)銅めっき板を使用して、銀ペーストからなる接合材によって、金属板上に半導体チップなどの電子部品を接合した場合、接合欠陥が少ない状態で接合することができず、接合後にヒートサイクルを付与すると、良好な接合状態を保持することができなかった。 【0008】 したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、銅板または銅めっき板上に電子部品を接合欠陥が少ない状態で接合して、ヒートサイクルを付与した後にも良好な接合状態を保持することができる、耐熱衝撃性に優れた電子部品搭載基板およ製造方法を提供することを目的とする。」 「【0017】 図1および図2に示すように、本発明による電子部品搭載基板の実施の形態では、平面形状が略矩形の(電子部品搭載用)金属板10の一方の主面に、(銀の焼結体を含む)銀接合層12により電子部品14が接合されている。また、金属板10の他方の主面に、平面形状が略矩形のセラミックス基板16の一方の主面を接合し、このセラミックス基板16の他方の主面に、平面形状が略矩形の放熱用金属板(金属ベース板)18を接合してもよい。また、金属板10の一方の主面に銅めっき皮膜20を形成し、その銅めっき皮膜20上に、銀接合層12により電子部品14を接合してもよい。 【0018】 なお、金属板10は、銅あるいは(銅めっき皮膜20を形成する場合には)アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、金属板10の一方の主面(または銅めっき皮膜20の表面)(電子部品14が接合される面)の表面粗さが0.4μm以上、好ましくは0.5~2.0μmになっている。また、金属板10の一方の主面(または銅めっき皮膜20の表面)(電子部品14が接合される面)のビッカース硬さHvが100以下であるのが好ましく、40以下であるのがさらに好ましい。 【0019】 また、電子部品14の金属板10の一方の主面(電子部品14が接合される面)(銅めっき皮膜20を形成する場合には銅めっき皮膜20の表面)に接合される面が、金、銀、銅およびパラジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属またはこれらの合金のように、銀接合層12で接合可能な金属で覆われているのが好ましく、金、銀およびパラジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属またはこれらの合金でめっきされているのが好ましい。」 「【0023】 また、金属板10の他方の主面に、平面形状が略矩形のセラミックス基板16の一方の主面を接合し、このセラミックス基板16の他方の主面に、平面形状が略矩形の放熱用金属板(金属ベース板)18を接合してもよい。この場合、これらの金属板10とセラミックス基板16の間およびセラミックス基板16と金属ベース板18の間の接合の後に、金属板10の一方の主面(または銅めっき皮膜20の表面)(電子部品14が接合される面)の表面加工を行い、その主面(または銅めっき皮膜20の表面)に銀ペーストを塗布して電子部品14を配置した後、銀ペースト中の銀を焼結させて銀接合層12を形成し、この銀接合層12によって電子部品14を金属板10の一方の主面(または銅めっき皮膜20の表面)に接合すればよい。 【0024】 なお、金属板10が銅板からなる場合には、金属板10とセラミックス基板16の間およびセラミックス基板16と金属ベース板18の間を直接接合してもよいし、ろう材を介して接合してもよい。これらの場合、金属板10とセラミックス基板16の間(およびセラミックス基板16と金属ベース板18の間)の接合の前に、金属板10の一方の主面(または銅めっき皮膜20の表面)の表面加工を行ってもよい。この場合、表面加工後に加熱処理による焼鈍をしなくても、接合の際に金属板10(または銅めっき皮膜20)が加熱されることにより、金属板10(または銅めっき皮膜20)のビッカース硬さHvを(小さくして)40以下に(軟らかく)することができる。 【0025】 また、金属板10がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる場合には、金属板10とセラミックス基板16の間およびセラミックス基板16と金属ベース板18の間の接合では、(図示しない)鋳型内にセラミックス基板16を配置した後、セラミックス基板16の両主面に接触するようにアルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯を注湯した後に溶湯を冷却して固化させることにより、セラミックス基板16の各々の主面に金属板10および金属ベース板18を形成して直接接合させるのが好ましい。」 「【0029】 なお、本明細書中において、「表面粗さ」とは、JIS B0601(2001年)に基づいて算出した算術平均粗さRaをいう。また、「銀粒子の平均一次粒径(D50径)」とは、レーザー回折法により測定した銀粒子の50%粒径(D50径)(累積50質量%粒径)をいい、「銀微粒子の平均一次粒子径」とは、透過型電子顕微鏡写真(TEM像)による銀微粒子の一次粒子径の平均値をいう。」 「【0031】 [実施例1] まず、48mm×57mm×0.25mmの無酸素銅からなる(電子部品搭載用)金属板と(放熱用)金属ベース板を用意した。 【0032】 次に、活性金属としてTiを含有するAg-Cu系ろう材を介して、(電子部品搭載用)金属板の一方の面を49mm×58mm×0.64mmのAlNからなるセラミックス基板の一方の主面に接合するとともに、(放熱用)金属ベース板をそのセラミックス基板の他方の面に接合して、金属-セラミックス接合基板を作製した。 【0033】 次に、ウエットブラスト装置(マコー株式会社製の型番NFR-737)により、金属-セラミックス接合基板の(電子部品搭載用)金属板の他方の面の表面処理を行った。なお、ウエットブラスト装置の処理条件として、エアー圧0.20MPa、処理速度0.3m/分、投射距離20mm、投射角度90°とし、水中に砥粒として平均粒径40μmのアルミナ#320を15体積%含む研磨材スラリーを使用した。このウエットブラスト処理後の(電子部品搭載用)金属板について、超深度表面形状測定顕微鏡(株式会社キーエンス製のVK-8500)の線粗さ測定機能を使用して、金属板の表面の任意の100μm×100μmの正方形の領域の1辺に平行な長さ100μmの任意の直線に沿った線粗さを測定した結果から、JIS B0601(2001年)に基づいて表面粗さ(算術平均粗さRa)を算出したところ、0.81μmであった。なお、この金属板の他方の面のビッカース硬さHvを微小硬さ試験機(ヘルモートフィッシャー社製のフィッシャースコープHM2000)により300mN/10sの条件で測定したところ、97.8であった。 【0034】 次に、銀微粒子と銀粒子が分散媒に分散した銀ペーストとして、ソルビン酸で被覆された平均一次粒子径100nmの銀微粒子(銀ナノ粒子)の凝集体の乾燥粉末と平均一次粒径(D50径)1.0μmの球状銀粒子の粉末(DOWAエレクトロニクス株式会社製の2-1C球状銀粉末)とを分散剤とともに分散媒に混合した銀ペースト(DOWAエレクトロニクス株式会社製のPA-HT-1001L)を用意した。この銀ペーストを上記の金属-セラミックス接合基板の(電子部品搭載用)金属板の(表面処理した)表面の電子部品搭載部分に塗布し、その上に電子部品として底面(裏面)が金めっきされた(13mm×13mmの大きさの)Siチップを配置し、大気中において、100℃で10分間予備加熱した後、Siゴムシートを介して7MPaで加圧しながら260℃で2分間加熱して、(電子部品搭載用)金属板にSiチップを接合した。」 「【0043】 [実施例3] 鋳型内に78mm×95mm×0.64mmの大きさのAlNからなるセラミックス基板を配置し、このセラミックス基板の両主面に接触するように99.9質量%のアルミニウムの溶湯を注湯した後に溶湯を冷却して固化させることにより、セラミックス基板の各々の主面に68mm×85mm×0.2mmの大きさの(電子部品搭載用)金属板と68mm×85mm×0.2mmの大きさの(放熱用)金属ベース板を形成して、それぞれセラミックス基板の主面に直接接合させた。 【0044】 次に、実施例1と同様のウエットブラスト装置により(電子部品搭載用)金属板の表面処理を行った。なお、ウエットブラスト装置の処理条件として、エアー圧0.20MPa、処理速度0.3m/分、投射距離30mm、投射角度90°とし、水中に砥粒として平均粒径40μmのアルミナ#320を15体積%含む研磨材スラリーを使用した。このウエットブラスト処理後の(電子部品搭載用)金属板について、実施例1と同様の方法により、表面粗さ(算術平均粗さRa)を算出したところ、1.6μmであった。なお、この金属板のビッカース硬さHvは29.1であった。 【0045】 次に、表面処理後の(電子部品搭載用)金属板の表面の脱脂および化学研磨を行い、この脱脂および化学研磨後の(電子部品搭載用)金属板を、25℃の亜鉛置換液(奥野製薬工業株式会社製のサブスターZN-111)に30秒間浸漬して亜鉛置換を行い、水洗し、硝酸に室温で30秒間浸漬して酸洗し、水洗し、上記と同じ亜鉛置換液に30秒間浸漬して2回目の亜鉛置換を行った後、水洗することにより、(電子部品搭載用)金属板のダブルジンケート処理(2回亜鉛置換)を行った。 【0046】 次に、ダブルジンケート処理後の(電子部品搭載用)金属板を無電解ニッケルめっき液(奥野製薬工業株式会社製のトップニコロンTOM-LF)に浸漬することにより、(電子部品搭載用)金属板上に厚さ4~5μmのNiめっき層を形成した。 【0047】 次に、Niめっき層を形成した(電子部品搭載用)金属板を無電解銅めっき液(奥野製薬工業株式会社製のAIS-アドカッパーCT)に浸漬することにより、電子部品搭載用)金属板上のNiめっき層上に厚さ0.4~0.5μmのCuめっき層を形成した。 【0048】 なお、Cuめっき層を形成した後の(電子部品搭載用)金属板上のCuめっき層の表面の表面粗さ(算術平均粗さRa)は1.6μmであり、ビッカース硬さHvは29.1であった。 【0049】 次に、接合の際の圧力を5MPaとした以外は、実施例1と同様の方法により、」 「【0055】 [実施例4] 鋳型内に34mm×31mm×0.6mmの大きさのAlNからなるセラミックス基板を配置し、このセラミックス基板の各々の主面に30mm×27mm×0.4mmの大きさの(電子部品搭載用)金属板と30mm×27mm×0.4mmの大きさの(放熱用)金属ベース板を形成した以外は、実施例3と同様の方法により、セラミックス基板の各々の主面に金属板を直接接合させて金属-セラミックス接合基板を作製した後、金属板の表面処理およびダブルジンケート処理を行い、Niめっき層及びCuめっき層を形成した。なお、Cuめっき層を形成した後の(電子部品搭載用)金属板上のCuめっき層の表面の表面粗さ(算術平均粗さRa)は1.5μmであり、ビッカース硬さHvは29.0であった。 【0056】 次に、作製した金属-セラミックス接合基板の(電子部品搭載用)金属板上のCuめっき層の表面の電子部品搭載部分に、実施例1と同様の銀ペーストを塗布し、その上に電子部品としてSiチップ(底面(裏面)に下地層として厚さ1μmのTiめっき層と(その上の)厚さ3μmのNiめっき層が形成されるとともにこれらの下地層が金めっきされた(7mm×7mmの大きさの)Siチップ)を配置し、窒素雰囲気中において、昇温速度1℃/sで昇温させた後、6MPaで加圧しながら250℃で5分間加熱して、(電子部品搭載用)金属板上のCuめっき層にSiチップを接合した。」 「【図1】 [図:0001415341000001.jpg] 」 「【図2】 [図:0001415341000002.jpg] 」 ・図1及び2より、(電子部品搭載用)金属板10の側面は銅めっき皮膜20が形成されていないことが見てとれる。 (2)甲1に記載された発明 ア 甲1には、銅板または銅めっき板上の一方の面に、銀接合層により電子部品を接合することが記載されており(請求項1、【0007】、【0008】、【0017】等)、銅板を使用する場合と銅めっき板を使用する場合とが記載されている。 イ 甲1の実施例4(【0055】、【0056】)は、セラミックス基板、金属板、金属ベース板の大きさ以外は、実施例3(【0043】~【0049】と同様の方法により、金属-セラミックス接合基板を作製した後、Cuめっき層を形成することが記載されており、実施例4のCuめっき層の厚さは、実施例3と同様に、「0.4~0.5μm」(【0047】)であると認められる。 ウ 甲1において、「銅めっき皮膜20」と「Cuめっき層」とは同じものを意味することは自明であるところ、以下、両者を「銅めっき」と称する。 エ 前記ア~ウを踏まえ、銅めっき板を使用する場合に着目すると、前記(1)によれば、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、甲1発明を以下のa~mに分説し、「構成a」のようにして参照する。 「a 電子部品搭載基板は、(電子部品搭載用)金属板10の一方の主面に銅めっき(銅めっき皮膜20)を形成し、その銅めっき上に、銀接合層12により電子部品14が接合されており、金属板10の他方の主面に、セラミックス基板16の一方の主面を接合し、このセラミックス基板16の他方の主面に、放熱用金属板(金属ベース板)18を接合しており、(【0017】) b 金属板10は、銅めっき(銅めっき皮膜20)を形成する場合には、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、銅めっきの表面(電子部品14が接合される面)の表面粗さ(算術平均粗さRa)が好ましくは0.5~2.0μmになっており、(【0018】、【0029】) c 金属板10がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる場合には、金属板10とセラミックス基板16の間およびセラミックス基板16と金属ベース板18の間を直接接合させるのが好ましく、(【0025】) d 34mm×31mm×0.6mmの大きさのAlNからなるセラミックス基板の両主面に接触するようにアルミニウムの溶湯を注湯した後に溶湯を冷却して固化させることにより、セラミックス基板の各々の主面に30mm×27mm×0.4mmの大きさの(電子部品搭載用)金属板と30mm×27mm×0.4mmの大きさの(放熱用)金属ベース板を直接接合させて金属-セラミックス接合基板を作製した後、厚さ0.4~0.5μmの銅めっき(Cuめっき層)を形成し、銅めっきを形成した後の(電子部品搭載用)金属板上の銅めっきの表面の表面粗さ(算術平均粗さRa)は1.5μmである、(【0055】、【0043】、【0047】) e (電子部品搭載用)金属板10の側面は銅めっき(銅めっき皮膜20)が形成されていない、(図1及び2) f 電子部品搭載基板。」 2 甲2~甲6技術の認定 (1)甲2技術の認定 ア 甲2の記載 甲2には次の事項が記載されている。なお、下線は、甲2技術の認定に使用する箇所を示すことを目的に、当審で付した。 「【請求項1】 マイクロトラック粒度分布測定装置で測定される、平均一次粒径(D50径)0.5~3.0μmである金属サブミクロン粒子と、平均一次粒子径が1~200nmであって、炭素数6~8の有機化合物で被覆された金属ナノ粒子と、これらを分散させる分散媒を含む接合材。」 「【請求項5】 前記金属サブミクロン粒子および前記金属ナノ粒子の金属は銀である、請求項1から4のいずれか一項に記載の接合材。」 「【0001】 本発明は、接合材およびそれを用いた接合方法、特に金属間接合に金属ナノ粒子を用いたものに関する。」 「【0065】 しかし、本発明の接合材には金属ナノ粒子の表面に有機化合物により被覆、あるいは結合しているので、これらの有機化合物が脱離や分解する際にガスが発生する。図1には、本発明の接合材を用いた場合の接合過程を模式的に示す。図1(a)では、接合対象物1および2の間に接合材3が塗布されている状態を示した。なお、接合対象物の表面には本接合材との濡れ性を高めるための薄膜層が形成されていてもよい。薄膜層は例えばめっきや蒸着、若しくはスパッタ等で形成させることもできる。」 「【0094】 銅無垢材に対して、本発明に従うペーストを適用させた、実施例1~4は接合強度39.43~78.40MPa、ばらつきを表すCV値が3.47~17.24%と良好な接合特性を示し、さらに銅無垢材に対して銀めっきを施した部材に対して、接合させた実施例5~7は、接合強度が70.40~105.80MPaで、CV値が6.01~12.10%と極めて良好な接合体の形成が可能であることを示した。」 「【0103】 本願発明に従う接合材は、非絶縁型半導体装置、ベアチップ実装組み立て技術への応用、パワーデバイス(整流ダイオード、パワートランジスタ、パワーMOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、サイリスタ、ゲートターンオフサイリス、トライアックの製造時の接合工程への応用も可能である。また、表面をクロム処理したガラス上への接合材としても可能であり、LEDを使った照明装置の電極やフレームの接合材としても利用可能である。」 イ 甲2に記載された技術 前記アによれば、甲2には、次の技術(以下「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。 「金属サブミクロン粒子と、金属ナノ粒子と、これらを分散させる分散媒を含む接合材は、 前記金属サブミクロン粒子および前記金属ナノ粒子の金属は銀であり、 銅無垢材に対して銀めっきを施した部材に対して、接合させた実施例は、接合強度が極めて良好であり、 非絶縁型半導体装置、ベアチップ実装組み立て技術への応用、パワーデバイスの製造時の接合工程への応用も可能であること。」 (2)甲3技術の認定 ア 甲3の記載 甲3には次の事項が記載されている。なお、下線は、甲3技術の認定に使用する箇所を示すことを目的に、当審で付した。 「【請求項1】 少なくとも0.2μmの平均膜厚を有する銀めっき膜からなる下層と、前記銀めっき膜の表面上に形成された銀めっき層であって表面の平均結晶粒径が0.5μm以上、表面粗さRmaxが10~40μmである上層とで構成される銀めっき構造を最表面に持つ金属部材。」 「【0001】 本発明は、ワイヤーボンディング性および樹脂接着性を兼備し、さらに耐食性、耐摩耗性を改善した銀めっき金属部材およびその製造法に関する。」 「【0018】 銀めっきを施すための金属基材としては、材質に特に制限はなく、種々の金属材料が採用できる。電子部品用であれば、銅、銅合金、ニッケル合金等が好適な対象となる。上記の下層と上層からなる銀めっき構造を最表面に形成するための下地処理を、金属基材の種類に応じて適宜実施することが好ましい。例えば、下地にはニッケルめっきや銅めっきを施すことができる。また、上記銀めっき構造の直下には、置換析出防止を目的として銀ストライクめっき(例えば平均膜厚は0.05μm以下)を施すことができる。」 イ 甲3に記載された技術 前記アによれば、甲3には、次の技術(以下「甲3技術」という。)が記載されていると認められる。 「銀めっきを施すための金属基材としては、銅が対象となり、下層と上層からなる銀めっき構造を最表面に形成するための下地にはニッケルめっきや銅めっきを施すことができ、上記銀めっき構造の直下には、銀ストライクめっきを施すことができること。」 (3)甲4技術の認定 ア 甲4の記載 甲4には次の事項が記載されている。なお、下線は、甲4技術の認定に使用する箇所を示すことを目的に、当審で付した。 「【請求項1】 セラミックス基板と、このセラミックス基板の一方の面上に配設され、銅または銅合金からなる回路層と、を備え、 前記セラミックス基板が、Si3N4または強化Al2O3のいずれかで構成されており、 前記回路層の厚さtcが、0.8mm≦tc≦2.0mmの範囲内に設定されるとともに、前記セラミックス基板の一方の面の面積の25%以上60%以下を占めるように構成されていることを特徴とするパワーモジュール用基板。」 「【0020】 以下に、本発明の実施形態について添付した図面を参照して説明する。図1、図2に本発明の第1の実施形態であるパワーモジュール用基板及びパワーモジュールを示す。 このパワーモジュール1は、回路層12が配設されたパワーモジュール用基板10と、回路層12の表面にはんだ層2を介して接合された半導体チップ3と、を備えている。ここで、はんだ層2は、例えばSn-Ag系、Sn-In系、若しくはSn-Ag-Cu系のはんだ材とされている。なお、本実施形態では、回路層12とはんだ層2との間にNiメッキ層(図示なし)が設けられている。 【0021】 パワーモジュール用基板10は、セラミックス基板11と、このセラミックス基板11の一方の面(図2において上面)に複数配設された回路層12と、を備えている。本実施形態においては、ひとつのセラミックス基板11の上に、3つの回路層12が配設されている。 回路層12とセラミックス基板11は、例えばAg-Cu-Ti系のろう材によって接合されている。」 イ 甲4に記載された技術 前記アによれば、甲4には、次の技術(以下「甲4技術」という。)が記載されていると認められる。 「セラミックス基板と、このセラミックス基板の一方の面上に配設され、銅または銅合金からなる回路層と、を備え、前記回路層の厚さtcが、0.8mm≦tc≦2.0mmの範囲内に設定されるパワーモジュール用基板であって、 回路層12とはんだ層2との間にNiメッキ層が設けられており、 回路層12とセラミックス基板11は、ろう材によって接合されている、 パワーモジュール用基板。」 (4)甲5技術の認定 ア 甲5の記載 甲5には次の事項が記載されている。なお、下線は、甲5技術の認定に使用する箇所を示すことを目的に、当審で付した。 「【請求項1】 セラミック基板に形成された金属回路に複数の金属がめっきされた電子基板であって、 前記金属回路に半導体素子を搭載及び接合する半導体素子搭載部として第1金属がめっきされた第1金属めっき部と、 前記金属回路の前記半導体素子搭載部を含まない部分に第2金属がめっきされた第2金属めっき部を備える電子基板。」 「【請求項4】 前記金属回路は、銅及び/又はアルミニウムであり、 前記第1金属は、銀であり、 前記第2金属は、Ni、Ni-P及びNi-Bの一部又は全部である、請求項1から3のいずれかに記載の電子基板。 【請求項5】 セラミック基板に形成された金属回路に複数の金属をめっきして電子基板を生産する電子基板生産方法であって、 半導体素子を搭載及び接合する半導体素子搭載部を含めて前記金属回路に第1金属をめっきする第1めっきステップと、 前記金属回路の前記半導体素子搭載部以外の一部又は全部の前記第1金属を除去する除去ステップと、 前記金属回路の前記半導体素子搭載部とは異なる部分に第2金属をめっきする第2めっきステップを含む電子基板生産方法。」 「【0001】 本発明は、電子基板及び電子基板生産方法に関し、特に、セラミック基板上に形成された金属回路に複数の金属がめっきされた電子基板等に関する。 【背景技術】 【0002】 図4は、従来の電子基板の概要の一例を示す。(a)を参照して、セラミック基板101に金属回路103が形成されている。金属回路103上に、金属回路103とは異なる金属105がめっきされている。金属回路103は、電気特性が良好な金属(例えばCuやAlなど)が用いられる。金属105には、はんだ濡れ性やワイヤーボンディング(W.B.)性などはんだ素子とのはんだによる接合を考慮してNiめっき(Ni、Ni-P、Ni-B)が用いられる。 【0003】 今後、作動環境の高温化が予想されている(非特許文献1参照)。半導体素子は、SiチップからSiCチップに変更され、接合方法も、従来のはんだ接合では対応が難しく、CuやAgからなる金属ナノ粒子による接合が注目されている。図4の(b)及び(c)は、このような高温化に対応するための基盤の一例を示す。図4(b)では、セラミック基板111に形成された金属回路113上に、金属ナノ粒子と同種の金属115がめっきされている。図4(c)では、セラミック基板121形成された金属回路123上に、はんだによる接合を考慮した金属125を全面にめっきし、さらに金属ナノ粒子と同種の金属127を部分的にめっきして、めっきを重ねている。」 「【0005】 しかしながら、図4(a)では、作動環境の高温化に対応することが困難である。図4(b)及び(c)では、作動環境の高温化に対応することはできるが、図4(b)では、W.B.強度不足や、エレクトロマイグレーションの不具合がある。図4(c)では、めっきを重ねてこれらの問題を解決することができるが、金属125と金属127の間の密着性が悪いという問題が生じる。」 「【0017】 電子基板1は、セラミック基板3(本願請求項の「セラミック基板」の一例)に金属回路5(本願請求項の「金属回路」の一例)が形成されている。金属回路5上に、半導体素子を搭載及び接合するための第1金属7(本願請求項の「第1金属」の一例)が部分的にめっきされている。金属回路5上の他の部分は、エレクトロマイグレーションを防止するための第2金属9(本願請求項の「第2金属」の一例)がめっきされている。なお、以下では、金属回路5並びに第1金属7及び第2金属9は、それぞれ、銅並びに銀及びニッケルとして説明するが、複数であってもよい。 【0018】 第1金属7は、半導体素子を搭載及び接合するためのものであり、例えば半導体素子を金属ナノ粒子により接合する場合に、この金属ナノ粒子と同種の金属である。これにより、半導体素子が高温で動作しても、接合の信頼性が損なわれない。第1金属7は、金属回路5の中央部に部分的にめっきされている。第1金属7と金属回路5の端部との間には、空間がある。また、この第1金属7は金属回路5と密着性が良好である。第1金属7を、第2金属9に重ねることなく、金属回路5に直接めっきすることにより、密着性を向上させることができる。」 イ 甲5に記載された技術 前記アによれば、甲5には、次の技術(以下「甲5技術」という。)が記載されていると認められる。 「(ア)セラミック基板に形成された金属回路に複数の金属がめっきされた電子基板は、 前記金属回路に半導体素子を搭載及び接合する半導体素子搭載部として第1金属がめっきされた第1金属めっき部と、前記金属回路の前記半導体素子搭載部を含まない部分に第2金属がめっきされた第2金属めっき部を備え、 前記金属回路は銅であり、前記第1金属は銀であり、 第1金属7は、半導体素子を搭載及び接合するためのものであり、半導体素子を金属ナノ粒子により接合する場合に、この金属ナノ粒子と同種の金属であること、 (イ)半導体素子の接合方法として、Agからなる金属ナノ粒子による接合が注目されていること。」 (5)甲6技術の認定 ア 甲6の記載 甲6には次の事項が記載されている。なお、下線は、甲6技術の認定に使用する箇所を示すことを目的に、当審で付した。 「【請求項1】 セラミック基板上に金属板を接合してなる金属セラミック複合部材に、所定の開口部を有するマスキング部材を密着させた後、前記開口部にの所定の部分に、メッキ液を接触させることによりメッキを施すことを特徴とする、金属セラミック複合部材に対するメッキ方法。」 「【請求項6】 前記金属板がアルミニウム、銅、アルミニウムの合金または銅の合金、よりなることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の金属セラミック複合部材のメッキ方法。 【請求項7】 前記メッキとして、Ni、Au、Cu、Ag、Pd、Snまたはこれらの合金から選ばれる1種類以上のメッキを行うことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の金属セラミック複合部材に対するメッキ方法。 【請求項8】 前記メッキを、電解めっきおよび/または無電解めっきで行うことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の金属セラミック複合部材に対するメッキ方法。」 「【0001】 本発明は、主に金属セラミック複合部材に対するメッキ方法、パターン製造方法、および湿式処理装置、並びにこれらによって得られたパワーモジュール用部材に関する。」 イ 甲6に記載された技術 前記アによれば、甲6には、次の技術(以下「甲6技術」という。)が記載されていると認められる。 「セラミック基板上に金属板を接合してなる金属セラミック複合部材の所定の部分に、メッキを施すことであって、 前記金属板が銅よりなり、 前記メッキとして、Agのメッキを行うこと。」 3 本件発明1と甲1発明との対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (1)発明特定事項A「窒化アルミニウムまたは窒化珪素を用いてなるセラミックス基板の両主面に、銅板がろう材を介して接合され、少なくとも一方の主面の銅板上に銀めっきが施されたセラミックス回路基板であって、」について ア 甲1発明は「AlNからなるセラミックス基板の両主面に接触するようにアルミニウムの溶湯を注湯した後に溶湯を冷却して固化させることにより、セラミックス基板の各々の主面に」「(電子部品搭載用)金属板と」「(放熱用)金属ベース板を直接接合させて金属-セラミックス接合基板を作製」している(構成d)。 そうすると、甲1発明の「AlNからなるセラミックス基板」は、本件発明1の「窒化アルミニウム」「を用いてなるセラミックス基板」に相当する。 また、甲1発明の「(電子部品搭載用)金属板」及び「(放熱用)金属ベース板」は、ともに金属板であるところ、本件発明1と甲1発明とは、「セラミックス基板の両主面に、金属板が接合され」る点で共通する。 イ 甲1発明は「金属-セラミックス接合基板を作製した後、」「(電子部品搭載用)金属板上」に「銅めっき(Cuめっき層)を形成」している(構成d)。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「少なくとも一方の主面の金属板上に金属めっきが施された」点で共通する。 ウ 甲1発明の「金属-セラミックス接合基板」に「めっき」(めっき層)を形成した構成が、本件発明1の「セラミックス回路基板」に相当する。 エ 前記ア~ウによれば、本件発明1と甲1発明とは、「窒化アルミニウムまたは窒化珪素を用いてなるセラミックス基板の両主面に、金属板が接合され、少なくとも一方の主面の金属板上に金属めっきが施されたセラミックス回路基板」である点で共通する。 ただし、本件発明1は、金属板が「銅板」であり、セラミックス基板の両主面に「ろう材を介して」接合されるのに対し、甲1発明は、金属板が「アルミニウム」板であり、セラミックス基板の両主面に「直接」接合される点で相違する。また、金属めっきについて、本件発明1は「銀めっき」であるのに対し、甲1発明は「銅めっき」である点で相違する。 (2)発明特定事項B「銅板側面は銀めっきが施されておらず、」について 甲1発明は「(電子部品搭載用)金属板10の側面は銅めっき(銅めっき皮膜20)が形成されていない」(構成e)。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「金属板側面は金属めっきが施されて」いない点で共通する。 (3)発明特定事項C「銀めっきの厚みが0.1μmから1.5μmであり、」について 甲1発明は「厚さ0.4~0.5μmの銅めっき(Cuめっき層)を形成」している(構成d)。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「金属めっきの厚みが0.1μmから1.5μm」である点で共通する。 (4)発明特定事項D「銀めっき後の回路基板の表面粗さの算術平均粗さRaが0.1μmから1.5μmであり、」について 甲1発明は「銅めっきを形成した後の(電子部品搭載用)金属板上の銅めっきの表面の表面粗さ(算術平均粗さRa)は1.5μmである」(構成d)。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「金属めっき後の回路基板の表面粗さの算術平均粗さRaが0.1μmから1.5μm」である点で共通する。 (5)発明特定事項E「銅板の厚みが0.8mm以上である」について 甲1発明の「30mm×27mm×0.4mmの大きさの(電子部品搭載用)金属板」、「30mm×27mm×0.4mmの大きさの(放熱用)金属ベース板」(構成d)は、その厚みが「0.4mm」であると推測されるが、「0.8mm以上」とすることは特定されていない。 (6)発明特定事項F「セラミックス回路基板」について 前記(1)ウのとおり、甲1発明の「金属-セラミックス接合基板」に「めっき」(めっき層)を形成した構成が、本件発明1の「セラミックス回路基板」に相当する。 (7)一致点及び相違点 前記(1)~(6)によれば、本件発明1と甲1発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「 窒化アルミニウムまたは窒化珪素を用いてなるセラミックス基板の両主面に、金属板が接合され、少なくとも一方の主面の金属板上に金属めっきが施されたセラミックス回路基板であって、金属板側面は金属めっきが施されておらず、金属めっきの厚みが0.1μmから1.5μmであり、金属めっき後の回路基板の表面粗さの算術平均粗さRaが0.1μmから1.5μmであるセラミックス回路基板。」 <相違点1> 本件発明1は、金属板が「銅板」であり、セラミックス基板の両主面に「ろう材を介して」接合されるのに対し、甲1発明は、金属板が「アルミニウム」板であり、セラミックス基板の両主面に「直接」接合される点。 <相違点2> 金属めっきについて、本件発明1は「銀めっき」であるのに対し、甲1発明は「銅めっき」である点。 <相違点3> 本件発明1は「銅板の厚みが0.8mm以上である」のに対し、甲1発明には、その点が特定されていない点。 4 本件発明1と甲1発明との相違点についての判断 前記3(7)で示した相違点について、以下、検討する。 (1)相違点1について ア 甲1には、銅板を使用する場合と銅めっき板を使用する場合とが記載されている。 そして、銅めっき板を使用する場合の甲1発明には、「金属板10は、銅めっき(銅めっき皮膜20)を形成する場合には、アルミニウムまたはアルミニウム合金」からなることが特定されている(構成b)。 一方、甲1には、銅板を使用する場合は、「金属板10は、銅」からなることが記載されている(【0018】)。 上記のとおり、甲1において、銅板を使用する場合と銅めっき板を使用する場合とで、金属板10に使用する材料が区別されているところ、甲1発明の「アルミニウム」からなる金属板(「(電子部品搭載用)金属板」及び「(放熱用)金属ベース板」)(構成b、d)を銅からなる金属板とする動機付けは見いだせない。 イ さらに、銅めっき板を使用する場合の甲1発明には、「金属板10がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる場合には、金属板10とセラミックス基板16の間およびセラミックス基板16と金属ベース板18の間を直接接合させる」ことが特定されている(構成c)。 一方、甲1には、銅板を使用する場合は、「金属板10が銅板からなる場合には、金属板10とセラミックス基板16の間およびセラミックス基板16と金属ベース板18の間を直接接合してもよいし、ろう材を介して接合してもよい。」ことが記載されている(【0024】)。 上記のとおり、甲1において、銅板を使用する場合と銅めっき板を使用する場合とで、金属板10及び金属ベース板18とセラミックス基板16の接合方法が区別されているところ、甲1発明の「アルミニウム」からなる金属板(「(電子部品搭載用)金属板」及び「(放熱用)金属ベース板」)をセラミックス基板に「直接接合」させる態様(構成b~d)をろう材を介して接合させる態様とする動機付けは見いだせない。 ウ 前記ア及びイによれば、当該相違点1は、当業者といえども、甲1発明から容易に想到し得たものとは認められない。 エ 申立人は、当該相違点1について、以下のとおり主張する。 「 甲第1号証の段落[0017]、[0018]、[0023]、[0031]等の記載から、甲第1号証に記載の「金属板10」、「金属ベース板18」は、本件特許発明1における「銅板」に相当します。」(申立書の14頁) 「 さらに、甲第1号証の段落[0001]、[0017]、[0024]等の記載から、甲第1号証に記載の「ろう材を介して金属板10とセラミックス基板16の間およびセラミックス基板16と金属ベース板18の間を接合し、金属板10の一方の主面に銅めっき皮膜20を形成したもの」は、本件特許発明1における「窒化アルミニウムまたは窒化珪素を用いてなるセラミックス基板の両主面に、銅板がろう材を介して接合され、少なくとも一方の主面の銅板上に銀めっきが施されたセラミックス回路基板」と比較して「窒化アルミニウムまたは窒化珪素を用いてなるセラミックス基板の両主面に、銅板がろう材を介して接合され、少なくとも一方の主面の銅板上に金属めっきが施されたセラミックス回路基板」である点で一致します。」(申立書の14~15頁) 以下、当該主張について検討する。 甲1において、銅板を使用する場合と銅めっき板を使用する場合とで、金属板10に使用する材料が区別されているところ、甲1には、銅めっき板を使用する場合に、金属板10が銅からなることは記載も示唆もされてないので、甲1に記載の「金属板10」、「金属ベース板18」は、本件発明1における「銅板」に必ずしも相当するとはいえない。 また、甲1において、銅板を使用する場合と銅めっき板を使用する場合とで、金属板10及び金属ベース板18とセラミックス基板16の接合方法が区別されているところ、甲1には、銅めっき板を使用する場合に、ろう材を介してセラミックス基板と接合することは記載も示唆もされてない(甲1には「ろう材を介して金属板10とセラミックス基板16の間およびセラミックス基板16と金属ベース板18の間を接合し、金属板10の一方の主面に銅めっき皮膜20を形成したもの」は記載されていない)ため、本件発明1と比較して、申立人の主張する点で一致しない。 したがって、当該主張は採用できない。 (2)相違点2について ア 甲1には、銅板または銅めっき板上に、銀接合層により電子部品を接合する場合の課題を解決することが記載されており(【0007】、【0008】)、銅板または銅めっき板を使用し、銀ペーストによって接合する場合の課題を解決することを目的としている。 したがって、甲1において、銅板または銅めっき板以外を使用することは、全く想定されていないどころか、前記目的に反するものといえる。 イ そうすると、甲1発明の「銅めっき」(構成d)を銀めっきとする動機付けはなく、さらに、「銅めっき」に代えて銀めっきとすることは、前記目的に反するものとなり、阻害要因があるから、当該相違点2は、当業者といえども、甲1発明から容易に想到し得たものとは認められない。 ウ 申立人は、当該相違点2について、以下のとおり主張する。 「 銅板上に銀めっきを施す構成は、例えば甲第5号証の段落[0003]、[0005]、[0017]等に記載された周知技術であります。甲第5号証の<・・・中略・・・>つまり、銀ナノ粒子を接合する箇所に銀めっきを用いることが示されています。また、銅めっきの代わりに銀めっきを用いることは、例えば甲第2号証の段落[0065]、[0094]、[0103]や甲第6号証の[請求項7]等に記載された周知技術であります。<・・・中略・・・>銅板に銀めっきを施すことが公知であること自体は特許権者も認めています。」(申立書の16~17頁) 以下、当該主張について検討する。 申立人の主張のとおり、銅板上に銀めっきを施す構成が周知技術であり、銅めっきの代わりに銀めっきを用いることが周知技術であるとしても、前記イのとおり、甲1発明の「銅めっき」を変更する動機はなく、さらに、これを変更することには阻害要因があるから、甲1発明に対し、これらの周知技術を適用することはできない。 したがって、当該相違点2は、甲1と、甲1と同一の技術分野である甲2ないし甲6に基づいて容易になし得たものとは認められず、当該主張は採用できない。 (3)本件発明1と甲1発明との相違点についての小括 前記(1)及び(2)によれば、本件発明1と甲1発明との相違点1及び2は、甲1発明及び甲2~甲6技術から容易に想到し得たものではない。 また、当該相違点1及び2は、その他の証拠及び技術常識によっても容易に想到し得たものではない。 5 理由1についての小括 (1)本件発明1と甲1発明とは、前記3(7)で示した相違点1~3を有し、前記4のとおり、少なくとも相違点1及び2は容易に想到し得たものではないから、相違点3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲6技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 (2)本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、さらに別の発明特定事項を備えるものである。 そうすると、本件発明2及び3と甲1発明とは、少なくとも前記3(7)に示した相違点を有し、当該相違点については前記4のとおりであるから、本件発明2及び3も、甲1発明及び甲2~甲6技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 (3)以上によれば、理由1には理由がない。 第5 理由2についての判断 理由2(サポート要件違反)の有無を判断する。 1 本件発明1のサポート要件についての判断 以下、本件の特許請求の範囲の記載は、本件発明1が発明の詳細な説明に記載したものであるか否かについて検討する。 (1)本件発明1を特定する発明特定事項は、いずれも本件の発明の詳細な説明に記載されたものである。 (2)本件の発明の詳細な説明の【0012】(「本発明者は、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、導体側面に銀めっきが施されている場合、銀のマイグレーションによる導体間ショートが発生する可能性があること、また導体側面は傾斜形状となるため、樹脂に気孔が生じやすいことを見出し、側面から銀めっきが除去された構造とすることで、耐マイグレーション性およびモジュール用封止樹脂との密着性を向上させる技術を確立した。」)、実施例1~13及び比較例14~20(特に【0040】の表1)、【0041】(「表1に示す通り、導体表面に銀めっきが施され且つその側面は銀めっきが施されていない構造とすることで、耐マイグレーション性およびモジュール用封止樹脂との高密着性を有することを確認した。」)によれば、本件発明1の発明特定事項B(「銅板側面は銀めっきが施されておらず、」)により、本件発明が解決しようとする課題(「耐マイグレーション性およびモジュール用封止樹脂との密着性向上を具備した回路基板を提供すること」(【0011】))を解決すると認識できる。 (3)前記(1)及び(2)によれば、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載したものであると認められる。 2 本件発明2及び3のサポート要件についての判断 本件発明2及び3は、本件発明1の発明特定事項を全て備えているから、前記1(2)のとおり、本件発明2及び3も本件発明が解決しようとする課題を解決すると認識できる。 また、請求項2及び3で特定される発明特定事項は、いずれも発明の詳細な説明に記載されたものである。 よって、本件発明2及び3は、発明の詳細な説明に記載したものであると認められる。 3 申立人の主張についての判断 申立人は、本件発明1のサポート要件について、以下のとおり主張する。 (1)「本件特許発明1では、銅板の厚みが0.8mm以上であることが規定されております。 一方、発明の詳細な説明の実施例では、銅板の厚みに関する記載が無く、銅板の厚みが0.8mm以上である場合に上記課題を解決できると認められる具体的な記載がありません。」(申立書の22頁) (2)「本件特許発明1では、銅板側面は銀めっきが施されていないことが規定されておりますが、銅板側面のその他の特徴については記載されておらず、例えば、甲第5号証の第2金属9のように、銅板側面に銀めっき以外の金属めっきが施される構造も包含されるものといえます。 一方、本件特許明細書の発明の詳細な説明の実施例では、銀めっき以外の金属めっきが施される構造に関する記載が無く、銀めっき以外の金属めっきが施される場合に上記課題を解決できると認められる具体的な記載がありません。」(申立書の22~23頁) (3)「本件特許発明1では、少なくとも一方の主面の銅板上に銀めっきが施されることが記載されておりますが、銅板上に直接的に銀めっきを施すことについて記載されておらず、例えば、銅板と銀めっきとの間に別の層を介在させる構造も包含されるものといえます。 一方、本件特許明細書の発明の詳細な説明の実施例では、銅板と銀めっきとの間に別の層を介在させる構造に関する記載が無く、別の層を介在させる場合に上記課題を解決できると認められる具体的な記載がありません。」(申立書の23頁) 以下、当該主張について検討する。 前記1(2)のとおり、本件発明1の発明特定事項B(「銅板側面は銀めっきが施されておらず、」)により、本件発明が解決しようとする課題(「耐マイグレーション性およびモジュール用封止樹脂との密着性向上を具備した回路基板を提供すること」(【0011】))を解決すると認識できる。 そうすると、前記(1)のように発明特定事項E(「銅板の厚みが0.8mm以上である」)を有しようと、前記(2)のように銅板側面に銀めっき以外の金属めっきが施される構造であろうと、前記(3)のように銅板と銀めっきとの間に別の層を介在させる構造であろうと、導体側面に銀めっきが施される場合に比べて、導体側面に銀めっきが施されない場合の方が、耐マイグレーション性およびモジュール用封止樹脂との高密着性を有するので、課題を解決できると認められる。(なお、このように認めることは、本件の発明の詳細な説明の記載(【0019】には、「放熱性の観点から」銅板の厚みを0.8mm以上とすることが記載されているが、耐マイグレーション性およびモジュール用封止樹脂との密着性の観点からそうすることは記載されていない。)とも整合する。) したがって、前記(1)~(3)を根拠に、本件発明1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないとする主張は、採用できない。 4 理由2についての小括 前記1~3によれば、本件の特許請求の範囲の記載は、本件発明1~3が発明の詳細な説明に記載したものと認められる。 以上によれば、理由2には理由がない。 第6 むすび 前記第4及び第5によれば、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700677

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