特許異議申立
2024-700671
遊技機
- 審判番号
- 2024-700671
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-147680
- 登録番号
- 7480097
- 請求日
- 2024年07月17日
- 審決日
- 2025年07月22日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】重信 和男
- 【権利者代理人】石川 好文
- 【権利者代理人】林 修身
- 【権利者代理人】大久保 岳彦
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 秋田 将行
- 審判官 小林 俊久
- 審判官 島田 保
- 分類
- P1651.55 -YAA(A63F) / P1651.537-YAA(A63F) / P1651.851-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7480097号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7480097号の特許請求の範囲及び明細書を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲及び訂正明細書の通り、訂正後の請求項1について訂正することを認める。
特許第7480097号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7480097号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、令和3年9月10日の出願であって、令和5年11月21日付けで拒絶理由が通知され、令和6年1月31日に意見書及び手続補正書が提出され、令和6年4月16日付けで特許査定がなされるとともに同年同月26日に特許権の設定登録がなされ、同年5月9日に特許掲載公報が発行された。
本件特許の特許異議の申立ての経緯は次のとおりである。
令和6年7月17日 特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社
(以下、単に「特許異議申立人」という。)に
よる本件特許に対する特許異議の申立て
令和7年2月 5日付け 取消理由通知
4月 1日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同月16日付け 特許異議申立人への訂正請求があった旨の通知
第2 本件訂正請求について
1 訂正の内容
令和7年4月1日になされた訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)による訂正の内容は以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記第1対応演出は後退色の表示を行う演出であり、前記第2対応演出は進出色の表示を行う演出であり、」とあるのを、
「前記第1対応演出は青色の表示を行う演出であり、前記第2対応演出は赤色の表示を行う演出であり、」に訂正する。
(2) 訂正事項2
願書に添付した明細書(以下「特許明細書」という。)の段落0006に
「上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、
可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
可変表示がリーチ状態となった場合に、前記有利状態に制御されることを示唆する示唆演出として、第1キャラクタを表示する第1演出と、該第1演出の実行後に切り替えられる演出であって第2キャラクタを表示する第2演出と、該第2演出の実行後に切り替えられる演出であって前記第1キャラクタと前記第2キャラクタのいずれも表示しない第3演出と、を実行可能な示唆演出実行手段と、
前記第1演出に対応する第1対応演出と、前記第2演出に対応する第2対応演出と、前記第3演出に対応する第3対応演出と、を実行可能な対応演出実行手段と、を備え、
前記対応演出実行手段は、
前記第1演出において前記第1キャラクタが表示されているときに前記第1対応演出を実行可能であり、前記第2演出において前記第2キャラクタが表示されているときに前記第2対応演出を実行可能であり、
前記第1演出から前記第2演出に切り替えられる前に、前記第1演出において前記第1キャラクタが表示されているときに前記第2対応演出の実行を開始可能であり、
前記第1対応演出は後退色の表示を行う演出であり、前記第2対応演出は進出色の表示を行う演出であり、
前記第1演出の実行中に前記第2対応演出の実行が開始された場合に、前記第2演出が必ず実行される、
ことを特徴とする。
・・・」とあるのを、
「上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、
可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
可変表示がリーチ状態となった場合に、前記有利状態に制御されることを示唆する示唆演出として、第1キャラクタを表示する第1演出と、該第1演出の実行後に切り替えられる演出であって第2キャラクタを表示する第2演出と、該第2演出の実行後に切り替えられる演出であって前記第1キャラクタと前記第2キャラクタのいずれも表示しない第3演出と、を実行可能な示唆演出実行手段と、
前記第1演出に対応する第1対応演出と、前記第2演出に対応する第2対応演出と、前記第3演出に対応する第3対応演出と、を実行可能な対応演出実行手段と、を備え、
前記対応演出実行手段は、
前記第1演出において前記第1キャラクタが表示されているときに前記第1対応演出を実行可能であり、前記第2演出において前記第2キャラクタが表示されているときに前記第2対応演出を実行可能であり、
前記第1演出から前記第2演出に切り替えられる前に、前記第1演出において前記第1キャラクタが表示されているときに前記第2対応演出の実行を開始可能であり、
前記第1対応演出は青色の表示を行う演出であり、前記第2対応演出は赤色の表示を行う演出であり、
前記第1演出の実行中に前記第2対応演出の実行が開始された場合に、前記第2演出が必ず実行される、
ことを特徴とする。
・・・」に訂正する。
2 一群の請求項
本件訂正請求は、二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をするものではないから、一群の請求項に係る特許法120条の5第4項の規定に適合するか否かの検討を要しない。
3 本件特許の出願当初明細書の記載
本件訂正請求において、訂正事項1~2の訂正の根拠とされた、本件特許の願書に最初に添付した明細書(以下「出願当初明細書」という。)の記載は以下のとおりである(下線は当審合議体が付した。以下同様。)。
「【0271】
ステップAKS133のリーチ演出制御は、スーパーリーチとなるリーチ演出が実行される場合に、切替演出制御を含んでもよい。この場合に、大当り遊技状態に制御されることを示唆する示唆演出として、第1演出に含められる第1キャラクタ表示演出と、第1演出の実行後に切り替えられる第2演出に含められる第2キャラクタ表示演出と、を実行可能にする。そして、例えば第1キャラクタ紹介演出といった、第1演出に対応する第1対応演出と、例えば第2キャラクタ紹介演出といった、第2演出に対応する第2対応演出と、を実行可能にする。このような第1対応演出および第2対応演出を含めた対応演出の実行制御として、第1演出から第2演出に切り替えられる前に、第1演出の実行中に第2対応演出を実行可能にする。
・・・
【0316】
図10-40(B)は、演出実行例002AK301に続いて、味方キャラクタとなるキャラクタCH201を紹介する場合の演出実行例002AK302を示している。このときに、第1演出に含められる第1キャラクタ表示演出として、キャラクタCH201の表示による演出が実行される。また、第1演出に対応する第1対応演出に含められる第1キャラクタ紹介演出として、青色表示された表示領域にてキャラクタCH201を紹介するメッセージの表示による演出が実行される。これにより、第1演出と、第1演出に対応する第1対応演出と、を実行可能になる。
【0317】
図10-40(C)は、演出実行例002AK302の後に、味方キャラクタとなるキャラクタCH201を表示中の演出実行例002AK303を示している。この場合に、第1演出に含められる第1キャラクタ表示演出として、キャラクタCH201の表示による演出が継続している。その一方で、第1演出に対応する第1対応演出に含められる第1キャラクタ紹介演出は終了し、第2演出に対応する第2対応演出に含められる第2キャラクタ紹介演出として、赤色表示された表示領域にてキャラクタCH202を紹介するためのメッセージの表示による演出が実行される。これにより、第1演出から第2演出に切り替えられる前に、第1演出の実行中に第2対応演出の実行を開始することができる。
【0318】
図10-40(D)は、演出実行例002AK303の次に、敵方キャラクタとなるキャラクタCH202を表示する場合の演出実行例002AK304を示している。このときに、第2演出に含められる第2キャラクタ表示演出として、キャラクタCH202の表示による演出が実行される。また、第2演出に対応する第2対応演出に含められる第2キャラクタ紹介演出として、赤色表示された表示領域にてキャラクタCH202を紹介するメッセージの表示による演出が実行される。これにより、第1演出を切り替えた第2演出と、第2演出に対応する第2対応演出と、を実行可能になる。なお、演出実行例002AK303のように第1演出の実行中に第2対応演出の実行を開始する場合と、演出実行例002AK304のように第2演出に対応する第2対応演出を実行する場合とで、第2対応演出における演出態様の一部が異なっていてもよい。例えば、演出実行例002AK303と演出実行例002AK304とにおいて、メッセージの表示による演出が実行される表示領域を赤色表示とする部分は共通とする一方、表示領域のサイズ、形状、模様、表示領域に付加されるエフェクト表示の有無、サイズ、形状、模様、色彩、その他、任意の演出画像の表示態様が、異なる表示態様であってもよい。また、キャラクタCH202がセリフを発することによるメッセージの表示が行われる場合に、演出実行例002AK303ではキャラクタCH202のセリフが報知不可になり、演出実行例002AK304においてキャラクタCH202のセリフが報知可能になってもよい。
・・・
【0320】
演出実行例002AK304のような敵方キャラクタとなるキャラクタCH202を表示した後に、キャラクタCH201もキャラクタCH202も表示されない第3演出が実行されてもよい。このような第3演出が実行される場合に、第1対応演出の演出態様とも第2対応演出の演出態様とも異なる演出態様にて、第3対応演出が実行されてもよいし、第3対応演出が実行されず第3演出のみが実行されてもよい。第3演出は、例えば、画像表示装置5の表示画面をフラッシュ表示させるフラッシュ表示演出であってもよいし、遊技効果ランプ9や装飾用LEDといった発光部材を虹色に点灯させるレインボー点灯演出であってもよい。その他、第3演出の全部または一部は、画像表示装置5における演出画像の表示、スピーカ8L、8Rによる音声の出力、遊技効果ランプ9や装飾用LEDといった発光部材の点灯、可動体32を含む可動部材の動作、あるいは、これらの全部または一部の組合せといった、任意の演出装置を用いて実行可能であればよい。」
4 訂正の適否
(1) 訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「前記第1対応演出は後退色の表示を行う演出であり、前記第2対応演出は進出色の表示を行う演出であり、」とされた記載について、「後退色」を、一般的に「後退色」のうちの一つとして認識される「青色」に、また、「進出色」を、一般的に「進出色」のうちの一つとして認識される「赤色」に限定するものであるから、訂正事項1は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1の訂正については、上記3に摘記した、出願当初明細書の【0316】~【0318】の記載(例えば、「第1演出に対応する第1キャラクタ紹介演出として、青色表示された表示領域にて・・・メッセージの表示による演出が実行」(【0316】)、「第2演出に対応する第2対応演出に含められる第2キャラクタ紹介演出として、赤色表示された表示領域にて・・・メッセージの表示による演出が実行」(【0317】、【0318】)等)に基づくものであるから、本件特許の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「出願当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。また実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2) 訂正事項2について
訂正事項2に係る訂正は、本件特許の特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲と整合させるために行う明細書の訂正であるので、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記(1)で検討したように、訂正事項1に係る訂正については、出願当初明細書の記載に基づくものであるから、訂正事項2に係る訂正も、出願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、出願当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。また実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
5 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正事項1~2に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号又は3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
また、訂正事項1の訂正については、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであるが、訂正事項1は、特許異議の申立てがされている請求項1に係る訂正であり、訂正事項1による特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正後の請求項1に係る発明について、同条9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
したがって、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、本件訂正請求の訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
第3 本件特許発明
前記第2のとおり、訂正後の特許請求の範囲について本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1に係る特許(以下「本件特許発明」という。)は、本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
可変表示がリーチ状態となった場合に、前記有利状態に制御されることを示唆する示唆演出として、第1キャラクタを表示する第1演出と、該第1演出の実行後に切り替えられる演出であって第2キャラクタを表示する第2演出と、該第2演出の実行後に切り替えられる演出であって前記第1キャラクタと前記第2キャラクタのいずれも表示しない第3演出と、を実行可能な示唆演出実行手段と、
前記第1演出に対応する第1対応演出と、前記第2演出に対応する第2対応演出と、前記第3演出に対応する第3対応演出と、を実行可能な対応演出実行手段と、を備え、
前記対応演出実行手段は、
前記第1演出において前記第1キャラクタが表示されているときに前記第1対応演出を実行可能であり、前記第2演出において前記第2キャラクタが表示されているときに前記第2対応演出を実行可能であり、
前記第1演出から前記第2演出に切り替えられる前に、前記第1演出において前記第1キャラクタが表示されているときに前記第2対応演出の実行を開始可能であり、
前記第1対応演出は青色の表示を行う演出であり、前記第2対応演出は赤色の表示を行う演出であり、
前記第1演出の実行中に前記第2対応演出の実行が開始された場合に、前記第2演出が必ず実行される、
ことを特徴とする遊技機。」
第4 取消理由通知及び特許異議の申立てについて
1 令和7年2月5日付け取消理由通知について
(1) 取消の理由の要旨
本件訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審合議体が令和7年2月5日付けで特許権者に通知した取消理由通知に記載された取消の理由の要旨は次のとおりである。
「取消理由1(新規事項) 令和6年1月31日に提出した手続補正書でした補正(以下「本件手続補正」という。)は、出願当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、本件特許は、同法113条1号に該当し、取り消すべきものである。
取消理由2(サポート要件) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしておらず、同法113条4号に該当し、取り消すべきものである。」
(2) 取消の理由についての当審合議体の判断
上記(1)の取消理由1(新規事項)及び取消理由2(サポート要件)は、本件訂正前の請求項1における「前記第1対応演出は後退色の表示を行う演出であり、前記第2対応演出は進出色の表示を行う演出であり、」とされた記載について、「第1対応演出」が「後退色の表示を行う演出」であり、かつ、「第2対応演出」が「進出色の表示を行う演出」であるとした特定事項を請求項1に追加した補正は、出願当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、また、当該特定事項は、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではないことを指摘したものであった。
上記した特定事項を含めた請求項1の記載については、上記第2の1(1)に示したように、本件訂正請求による訂正事項1の訂正がなされており、当該訂正事項1の訂正が、出願当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは上記第2の4(1)で述べたとおりであり、また、訂正の根拠とされる、上記第2の3に摘記した段落の記載は出願当初の記載であるところ、当該記載は、本件手続補正による補正も、本件訂正による訂正もなされておらず、特許明細書においても同じであるから、訂正事項1により訂正された事項は、特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであるといえる。
そうすると、上記(1)の取消理由1(新規事項)及び取消理由2(サポート要件)は、上記訂正事項1の訂正により解消したことになる。
(3) 特許異議申立人の意見について
上記第1の手続の経緯で述べたように、令和7年4月1日に特許権者により訂正請求書が提出されたので、同月16日付けの通知で、特許異議申立人に訂正請求に対する意見の機会を与えたが、特許異議申立人からは何ら応答がなされなかった。
(4) 小括
上記(2)で述べたとおりであって、取消理由通知に記載した取消の理由は解消した。
2 特許異議の申立ての理由について
(1) 特許異議の申立ての理由の要旨
特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由の要旨は次のとおりである。
「理由1(新規事項要件違反)
1)請求項1における「進出色」及び「後退色」との技術的事項は、出願当初明細書等に記載されたものではなく、また、その記載から自明の事項でもないから、そのような技術的事項を追加する補正は、出願当初明細書等に記載した事項の範囲内において、新たな技術的事項を導入するものである。
2)請求項1の「前記第1演出の実行中に前記第2対応演出の実行が開始された場合に、前記第2演出が必ず実行される」における「必ず」との技術的事項は、出願当初明細書等に記載されたものではなく、また、その記載から自明の事項でもないから、そのような技術的事項を追加する補正は、出願当初明細書等に記載した事項の範囲内において、新たな技術的事項を導入するものである。
3)請求項1における「第3演出に対応する第3対応演出」との技術的事項は、出願当初明細書等に記載されたものではなく、また、その記載から自明の事項でもないから、そのような技術的事項を追加する補正は、出願当初明細書等に記載した事項の範囲内において、新たな技術的事項を導入するものである。
理由2(サポート要件違反)
理由1(新規事項要件違反)について述べたとおり、出願当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない手続補正により補正された事項は、特許明細書にも記載されていないから、特許請求の範囲の請求項1に記載された発明は、特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではない。」
(2) 特許異議の申立ての理由についての当審合議体の判断
ア 理由1の1)について
本件特許が、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていることについての当審合議体の判断は、上記1(2)で述べたとおりである。
そうすると、特許異議の申立ての理由のうち、理由1の1)には理由がない。
イ 理由1の2)について
上記3に摘記した出願当初明細書の【0271】には、「第1演出から第2演出に切り替えられる前に、第1演出の実行中に第2対応演出を実行可能にする」ことが記載されるように、「第1演出から第2演出に切り替えられる」にあたって、「第1演出の実行中」に「第2対応演出」の実行を経て「第2演出」が実行される場合と、「第1演出の実行中」に「第2対応演出」を実行せずに「第2演出」を実行する場合があるところ、「第2対応演出」が実行されると、続いて「第2演出」が実行されることが想定されており、請求項1における、「前記第1演出の実行中に前記第2対応演出の実行が開始された場合に、前記第2演出が必ず実行される」技術的事項は、出願当初明細書の記載に基づいているといえるから、当該技術的事項を追加する補正は、出願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしている。
そうすると、特許異議の申立ての理由のうち、理由1の2)には理由がない。
ウ 理由1の3)について
上記3に摘記した出願当初明細書の【0320】には、「演出実行例002AK304のような敵方キャラクタとなるキャラクタCH202を表示した後に、キャラクタCH201もキャラクタCH202も表示されない第3演出が実行されてもよい。このような第3演出が実行される場合に、第1対応演出の演出態様とも第2対応演出の演出態様とも異なる演出態様にて、第3対応演出が実行されてもよいし、第3対応演出が実行されず第3演出のみが実行されてもよい。」とされるように、「第3演出」、及び、「第3演出が実行される場合に」「実行され」る演出としての「第3対応演出」が記載されているといえて、「第3演出に対応する第3対応演出」に係る技術的事項は、出願当初明細書の記載に基づいているから、当該技術的事項を追加する補正は、出願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしている。
そうすると、特許異議の申立ての理由のうち、理由1の3)には理由がない。
エ 理由2について
理由2は、特許請求の範囲の請求項1に記載された発明が、特許明細書の発明の詳細な説明に記載された発明ではないとしたものであり、理由2の根拠は、理由1の新規事項要件違反についての根拠と実質的に同じものである。
そして、本件特許発明が、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていることについての当審合議体の判断は上記ア~ウで述べたとおりであって、上記アについて上記1(2)で述べたことに加え、上記イ~ウについても、関連する出願当初明細書等の記載(【0271】、【0320】)は、本件手続補正による補正も、本件訂正による訂正もなされておらず、特許明細書においても同じであるから、「前記第1演出の実行中に前記第2対応演出の実行が開始された場合に、前記第2演出が必ず実行される」技術的事項(上記イ)及び「第3演出に対応する第3対応演出」に係る技術的事項(上記ウ)は、特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであるといえて、同法36条6項1号に規定する要件を満たしている。
そうすると、特許異議の申立ての理由のうち、理由2には理由がない。
(3) 小括
上記(2)ア~エで述べたとおりであって、特許異議の申立ての理由には理由がない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消の理由及び特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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