特許異議申立
2023-701118
遊技機
- 審判番号
- 2023-701118
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-116583
- 登録番号
- 7261102
- 請求日
- 2023年10月19日
- 審決日
- 2024年08月13日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】重信 和男
- 【権利者代理人】石川 好文
- 【権利者代理人】林 修身
- 【権利者代理人】大久保 岳彦
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 長井 真一
- 審判官 小林 俊久
- 審判官 渋谷 知子
- 分類
- P1651.55 -YAA(A63F) / P1651.536-YAA(A63F) / P1651.537-YAA(A63F) / P1651.851-YAA(A63F) / P1651.855-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第36条、特許法第17条の2第3項、特許法第113条、特許法第120条の5第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7261102号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7261102号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第7261102号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7261102号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、令和1年6月24日の出願であって、令和5年3月24日付けで特許査定がなされるとともに同年4月11日に特許権の設定登録がなされ、同月19日に特許掲載公報が発行された。
本件特許の特許異議の申立ての経緯は次のとおりである。
令和5年10月19日 特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会
社(以下、単に「特許異議申立人」という。
)による本件特許に対する特許異議の申立て
令和6年 1月10日付け 取消理由通知
3月11日 特許権者による意見書の提出
4月 2日付け 取消理由通知(決定の予告)
6月 4日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
6月11日付け 特許異議申立人への訂正請求があった旨の通
知
7月16日 特許異議申立人による意見書の提出
第2 本件訂正請求について
1 訂正の内容
令和6年6月4日になされた訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)による訂正の内容は以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な有利状態制御手段と、」の前に
「通常状態に制御する通常状態制御手段と、」を加える。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1の「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な有利状態制御手段と、」の後に
「前記通常状態に制御される毎に、複数の範囲からいずれかの範囲を決定する範囲決定手段と、」を加える。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に
「開始条件成立後の単位遊技数が特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記有利状態に制御されることがあり、」とあるのを、
「前記有利状態制御手段は、前記通常状態のうち前記範囲決定手段により特定範囲が決定された第1通常状態において、開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に前記有利状態に制御し、前記通常状態のうち前記範囲決定手段により前記特定範囲より後の所定範囲が決定された第2通常状態において、前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のいずれにおいても前記有利状態に制御せず、前記開始条件成立後の単位遊技数が前記所定範囲の数のうちの一の数となった場合に前記有利状態に制御することにより、前記通常状態においては前記範囲決定手段により決定された範囲に応じて前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記有利状態に制御されることがあり、」に訂正する。
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に
「前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記特典が付与されることがあり、」とあるのを、
「前記特典付与手段は、前記第2通常状態において、前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に前記特典を付与可能とすることにより、前記通常状態においては前記範囲決定手段により決定された範囲に応じて前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記特典が付与されることがあり、」に訂正する。
(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項1に
「前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態へ制御される第1状況において、前記有利状態に制御される旨を報知する有利示唆演出を実行し、」とあるのを、
「前記第1通常状態において前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態へ制御される第1状況において、前記有利状態に制御される旨を報知する有利示唆演出を実行し、」に訂正する。
(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項1に
「前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態に制御されず、前記特典が付与される第2状況において、前記有利状態に制御されない旨を報知する有利示唆演出を実行し、」とあるのを、
「前記第2通常状態において前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態に制御されず、前記特典が付与される第2状況において、前記有利状態に制御されない旨を報知する有利示唆演出を実行し、」に訂正する。
(7) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項1に
「前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態に制御されず、前記特典が付与されない第3状況において、前記有利示唆演出を実行せず、」とあるのを、
「前記第2通常状態において前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態に制御されず、前記特典が付与されない第3状況において、前記有利示唆演出を実行せず、」に訂正する。
(8) 訂正事項8
願書に添付した明細書の段落0006に
「請求項1の遊技機は、
遊技を行う遊技機において、
遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な有利状態制御手段と、
前記有利状態とは異なる特典を付与することが可能な特典付与手段と、
演出の制御を行う演出制御手段と、
を備え、
開始条件成立後の単位遊技数が特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記有利状態に制御されることがあり、
前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記特典が付与されることがあり、
前記演出制御手段は、
前記有利状態に制御される可能性を示唆するとともに、最終的に前記有利状態に制御されるか否かを報知する有利示唆演出を実行可能であり、
前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態へ制御される第1状況において、前記有利状態に制御される旨を報知する有利示唆演出を実行し、
前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態に制御されず、前記特典が付与される第2状況において、前記有利状態に制御されない旨を報知する有利示唆演出を実行し、
前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態に制御されず、前記特典が付与されない第3状況において、前記有利示唆演出を実行せず、
前記第2状況において前記有利示唆演出の実行後、前記特典が付与された旨を報知する
ことを特徴としている。
・・・」とあるのを、
「請求項1の遊技機は、
遊技を行う遊技機において、
通常状態に制御する通常状態制御手段と、
遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な有利状態制御手段と、
前記通常状態に制御される毎に、複数の範囲からいずれかの範囲を決定する範囲決定手段と、
前記有利状態とは異なる特典を付与することが可能な特典付与手段と、
演出の制御を行う演出制御手段と、
を備え、
前記有利状態制御手段は、前記通常状態のうち前記範囲決定手段により特定範囲が決定された第1通常状態において、開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に前記有利状態に制御し、前記通常状態のうち前記範囲決定手段により前記特定範囲より後の所定範囲が決定された第2通常状態において、前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のいずれにおいても前記有利状態に制御せず、前記開始条件成立後の単位遊技数が前記所定範囲の数のうちの一の数となった場合に前記有利状態に制御することにより、前記通常状態においては前記範囲決定手段により決定された範囲に応じて前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記有利状態に制御されることがあり、
前記特典付与手段は、前記第2通常状態において、前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に前記特典を付与可能とすることにより、前記通常状態においては前記範囲決定手段により決定された範囲に応じて前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記特典が付与されることがあり、
前記演出制御手段は、
前記有利状態に制御される可能性を示唆するとともに、最終的に前記有利状態に制御されるか否かを報知する有利示唆演出を実行可能であり、
前記第1通常状態において前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態へ制御される第1状況において、前記有利状態に制御される旨を報知する有利示唆演出を実行し、
前記第2通常状態において前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態に制御されず、前記特典が付与される第2状況において、前記有利状態に制御されない旨を報知する有利示唆演出を実行し、
前記第2通常状態において前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態に制御されず、前記特典が付与されない第3状況において、前記有利示唆演出を実行せず、
前記第2状況において前記有利示唆演出の実行後、前記特典が付与された旨を報知する
ことを特徴としている。
・・・」に訂正する。
2 一群の請求項
本件訂正請求は、二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をするものではないから、一群の請求項に係る特許法120条の5第4項の規定に適合するか否かの検討を要しない。
3 本件特許の明細書及び図面の記載
本件訂正請求において、訂正事項1~8の訂正の根拠とされた、本件特許の明細書及び図面の記載は以下のとおりである(下線は当審合議体が付した。以下同様。)。
「【0100】
メイン制御部41は、通常区間内で行われたゲームにおいて、有利区間移行役が内部抽選で当選した場合に、次ゲームから有利区間に移行させる。有利区間は、通常状態、前兆状態、CZ(チャンスゾーン)状態、AT状態から構成される。
【0101】
通常状態は、ナビ報知が行われない状態であり、相対的に遊技者にとって不利な状態である。前兆状態は、通常状態の終了後に移行し、ナビ報知が行われない状態であるが、その後、必ずCZ状態に移行する状態であり、この点において通常状態よりも遊技者にとって有利な状態である。CZ状態は、前兆状態の終了後に移行し、ナビ報知が行われるとともに、AT状態に移行し得る状態であり、通常状態及び前兆状態よりも遊技者にとって有利な状態である。AT状態は、長期間にわたりナビ報知が行われる状態であり、有利区間において最も遊技者にとって有利な状態である。
【0102】
メイン制御部41は、通常区間において有利区間移行役が当選し、有利区間に移行する場合に、モード抽選、ゲーム数抽選を行う。モード抽選では、その後制御される通常状態のモードが決定される。ゲーム数抽選では、モード抽選にて決定されたモードに応じて複数のゲーム数の範囲(以下、ゾーンと呼ぶ。)からいずれかのゾーンを決定し、さらに決定されたゾーンから終了ゲーム数が決定される。」
「【0105】
メイン制御部41は、加算後の通常ゲーム数がゲーム数抽選にて決定された終了ゲーム数に到達したか否かを判定し、終了ゲーム数に到達している場合には、通常状態を終了させて所定期間(本実施例では、10~16ゲーム)にわたり前兆状態に制御する。そして、前兆状態が終了すると、CZ状態に制御する。」
「【0115】
CZ状態終了後のモード抽選では、有利区間移行役当選後のモード抽選と同様に、その後制御される通常状態のモードが決定されることとなるが、有利区間移行役当選後のモード抽選とは決定対象となるモードが異なり、通常1モード、通常2モード、通常3モード、天国モードが決定対象となる。また、CZ状態の終了後、有利区間が継続する場合に、当該CZ状態へ移行する前の通常状態のモードが天国準備モードであった場合には、天国モードが100%の確率で決定されるようになっている。また、ゲーム数抽選は、有利区間移行役当選後のゲーム数抽選と同様であり、CZ状態終了後のモード抽選にて決定されたモードに応じて複数のゾーンからいずれかのゾーンを決定し、さらに決定されたゾーンから終了ゲーム数が決定される。」
「【0123】
通常状態では、ゲーム数抽選により、0~99G(ゾーン1)、100~199G(ゾーン2)、200~299G(ゾーン3)、300~399G(ゾーン4)、400~499G(ゾーン5)、500~599G(ゾーン6)、600~699G(ゾーン7)、700~799G(ゾーン8)の各ゾーンのうち、いずれかのゾーンを決定し、決定したゾーンに含まれるゲーム数からいずれかのゲーム数を終了ゲーム数として均等な確率で決定する。また、通常状態では、終了ゲーム数の最大値、いわゆる天井は799Gであることから、799Gが含まれる700~799G(ゾーン8)がゾーンの天井となる。
【0124】
通常1モードにおけるゲーム数抽選において各ゾーンの当選確率は、0~99G(ゾーン1)が10%、100~199G(ゾーン2)が0%、200~299G(ゾーン3)が10%、300~399G(ゾーン4)が0%、400~499G(ゾーン5)が10%、500~599G(ゾーン6)が0%、600~699G(ゾーン7)が10%、700~799G(ゾーン8)が60%となっており、通常1モードが選択された場合には、ゾーン1、3、5、7、8に含まれるゲーム数で通常状態が終了する可能性があり、通常状態が終了するまでの平均ゲーム数が約590Gとなる。」
「【0134】
図8に示すように、メイン制御部41は、通常状態において、ポイントを付与可能なポイント抽選として、第1ポイント抽選と、第2ポイント抽選と、第3ポイント抽選を行う。第1ポイント抽選は、通常状態のうち後述する特化ゾーン以外の状態において1ゲーム毎に実行され、内部抽選の結果に応じてポイントが付与されるか否か及び付与されるポイント数が決定される。第2ポイント抽選は、複数のゾーンのうち終了ゲーム数が含まれないゾーンであり、かつモード毎に割り当てられた抽選対象期間に含まれるゲーム数から選択されたポイント付与ゲームにおいて実行され、モード及びその抽選対象期間に対して割り当てられた抽選種別に応じてポイントが付与されるか否か及び付与されるポイント数が決定される。第3ポイント抽選は、通常状態のうち後述する特化ゾーンにおいて1ゲーム毎に実行され、内部抽選の結果に応じてポイントが付与されるか否か及び付与されるポイント数が決定され、第1ポイント抽選よりも優遇された条件でポイントの付与が決定される。尚、第3ポイント抽選は、CZ状態のうちポイントアップゲームにおいても1ゲーム毎に実行される。」
「【0150】
[ゾーン別のポイント付与について]
図7に示すように、第2ポイント抽選が行われる抽選対象期間は、モード毎に割り当てられているとともに、さらにモード毎の抽選対象期間に対して抽選種別A~Cのいずれかが割り当てられている。
【0151】
通常1モードでは、0~99G(ゾーン1)、200~299G(ゾーン3)、400~499G(ゾーン5)、600~699G(ゾーン7)に抽選対象期間が割り当てられ、そのうちゾーン1、3に対して50%の確率でポイントが付与される抽選種別Aが割り当てられ、ゾーン5、7に対して80%の確率でポイントが付与される抽選種別Bが割り当てられている。」
「【0208】
また、サブ制御部91は、CZ状態に移行する可能性を示唆する前兆演出、CZ状態に移行する可能性を示唆するとともに、最終的にCZ状態に移行するか否かを報知する連続演出を実行可能である。そして、サブ制御部91は、特定のゾーンにおいてCZ状態に移行する状況において、前兆演出及びCZ状態に移行する旨を報知する連続演出(あたり)を実行し、特定のゾーンにおいてCZ状態に移行せず、第2ポイント抽選によりポイントが付与される状況において、前兆演出及びCZ状態に移行しない旨を報知する連続演出(はずれ)を実行し、特定のゾーンにおいてCZ状態に移行せず、第2ポイント抽選によりポイントも付与されない状況において、前兆演出も連続演出(はずれ)も実行しないようになっている。そして、サブ制御部91は、特定のゾーンにおいてCZ状態に移行せず、第2ポイント抽選によりポイントが付与される状況においては、前兆演出及び連続演出(はずれ)の実行後、ポイント示唆演出を実行し、ポイントが付与された旨を報知するようになっている。」
「
[図:0001416466000001.jpg]
」
4 訂正の適否
(1) 訂正事項1~2について
訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な有利状態制御手段と、」の前に「通常状態に制御する通常状態制御手段と、」を加えることで、「遊技機」の遊技状態として、「遊技者にとって有利な有利状態」とは異なる「通常状態」を有し、当該「通常状態」の制御を行うために「遊技機」が備える手段を特定して限定するものであり、訂正事項2は、「前記通常状態に制御される毎に、複数の範囲からいずれかの範囲を決定する範囲決定手段と、」を加えることで、訂正前に記載の「特定範囲」が「前記通常状態に制御される毎に、複数の範囲から」「決定」されるものであり、「遊技機」が備えるそのための手段について特定して限定したものであるから、訂正事項1及び2は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1~2の訂正については、上記3に摘記した、本件特許の明細書の【0100】、【0101】、【0102】及び【0115】の記載に基づくものであるから、本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。また実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2) 訂正事項3について
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「開始条件成立後の単位遊技数が特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記有利状態に制御されることがあり、」とあるのを、「前記有利状態制御手段は、前記通常状態のうち前記範囲決定手段により特定範囲が決定された第1通常状態において、開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に前記有利状態に制御し、前記通常状態のうち前記範囲決定手段により前記特定範囲より後の所定範囲が決定された第2通常状態において、前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のいずれにおいても前記有利状態に制御せず、前記開始条件成立後の単位遊技数が前記所定範囲の数のうちの一の数となった場合に前記有利状態に制御することにより、前記通常状態においては前記範囲決定手段により決定された範囲に応じて前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記有利状態に制御されることがあり、」に訂正した訂正事項3の訂正は、訂正前の「開始条件成立後の単位遊技数が特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記有利状態に制御されることがあ」ることについて、訂正事項1~2により請求項1において新たに特定された「通常状態」を、同じく訂正事項1~2により新たに特定された「複数の範囲からいずかの範囲を決定する範囲決定手段」との関係で、「特定範囲が決定された第1通常状態」と「特定範囲より後の所定範囲が決定された第2通常状態」に場合分けして、それぞれの状態における「有利状態」の「制御」の契機を特定して限定したものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項3の訂正については、上記(1)で示した段落に加えて、本件特許の明細書の【0105】、【0123】、【0124】及び【図7】の記載に基づくものであるから、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。また実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3) 訂正事項4について
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記特典が付与されることがあり、」とあるのを、「前記特典付与手段は、前記第2通常状態において、前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に前記特典を付与可能とすることにより、前記通常状態においては前記範囲決定手段により決定された範囲に応じて前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記特典が付与されることがあり、」に訂正した訂正事項4の訂正は、訂正前の「前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記特典が付与されることがあ」るのが、訂正事項1~2により請求項1において新たに特定された「通常状態」であって、同じく訂正事項1~2により新たに特定された「複数の範囲からいずかの範囲を決定する範囲決定手段」との関係で場合分けした「第2通常状態」においてであることを特定して限定したものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項4の訂正については、上記(1)で示した段落に加えて、本件特許の明細書の【0134】、【0150】及び【図7】の記載に基づくものであるから、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。また実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4) 訂正事項5~7について
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態へ制御される第1状況において、前記有利状態に制御される旨を報知する有利示唆演出を実行し、」とあるのを、「前記第1通常状態において前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態へ制御される第1状況において、前記有利状態に制御される旨を報知する有利示唆演出を実行し、」に訂正(訂正事項5)し、「前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態に制御されず、前記特典が付与される第2状況において、前記有利状態に制御されない旨を報知する有利示唆演出を実行し、」とあるのを、「前記第2通常状態において前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態に制御されず、前記特典が付与される第2状況において、前記有利状態に制御されない旨を報知する有利示唆演出を実行し、」に訂正(訂正事項6)し、「前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態に制御されず、前記特典が付与されない第3状況において、前記有利示唆演出を実行せず、」とあるのを、「前記第2通常状態において前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態に制御されず、前記特典が付与されない第3状況において、前記有利示唆演出を実行せず、」に訂正(訂正事項7)した訂正事項5~7の訂正は、「第1状況」において「有利状態に制御される旨を報知する有利示唆演出を実行」すること、「第2状況」において「有利状態に制御されない旨を報知する有利示唆演出を実行」すること、「第3状況」において「有利示唆演出を実行せず」とすることのそれぞれが、訂正事項1~2により請求項1において新たに特定された「通常状態」であって、訂正事項3により場合分けした「第1通常状態」と「第2通常状態」のいずれの状態におけることであるのかを特定して限定したものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項5~7の訂正については、上記(1)で示した段落に加えて、本件特許の明細書の【0105】、【0123】及び【0208】の記載に基づくものであるから、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。また実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5) 訂正事項8について
訂正事項8に係る訂正は、本件特許の特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲と整合させるために行う明細書の訂正であるので、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記(1)~(4)で検討したように、訂正事項1~7に係る訂正については、本件特許の明細書の【0100】~【0102】、【0105】、【0115】、【0123】~【0124】、【0134】、【0150】~【0151】、【0208】及び図面の【図7】の記載に基づくものであるから、訂正事項8に係る訂正も、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。また実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
5 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正事項1~8に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号又は3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
また、訂正事項1~7の訂正については、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであるが、訂正事項1~7は、特許異議の申立てがされている請求項1に係る訂正であり、訂正事項1~7による特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正後の請求項1に係る発明について、同条9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
したがって、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、本件訂正請求の訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
第3 本件特許発明
前記第2のとおり、訂正後の特許請求の範囲について本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1に係る特許(以下「本件特許発明」という。)は、本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
通常状態に制御する通常状態制御手段と、
遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な有利状態制御手段と、
前記通常状態に制御される毎に、複数の範囲からいずれかの範囲を決定する範囲決定手段と、
前記有利状態とは異なる特典を付与することが可能な特典付与手段と、
演出の制御を行う演出制御手段と、
を備え、
前記有利状態制御手段は、前記通常状態のうち前記範囲決定手段により特定範囲が決定された第1通常状態において、開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に前記有利状態に制御し、前記通常状態のうち前記範囲決定手段により前記特定範囲より後の所定範囲が決定された第2通常状態において、前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のいずれにおいても前記有利状態に制御せず、前記開始条件成立後の単位遊技数が前記所定範囲の数のうちの一の数となった場合に前記有利状態に制御することにより、前記通常状態においては前記範囲決定手段により決定された範囲に応じて前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記有利状態に制御されることがあり、
前記特典付与手段は、前記第2通常状態において、前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に前記特典を付与可能とすることにより、前記通常状態においては前記範囲決定手段により決定された範囲に応じて前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記特典が付与されることがあり、
前記演出制御手段は、
前記有利状態に制御される可能性を示唆するとともに、最終的に前記有利状態に制御されるか否かを報知する有利示唆演出を実行可能であり、
前記第1通常状態において前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態へ制御される第1状況において、前記有利状態に制御される旨を報知する有利示唆演出を実行し、
前記第2通常状態において前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態に制御されず、前記特典が付与される第2状況において、前記有利状態に制御されない旨を報知する有利示唆演出を実行し、
前記第2通常状態において前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態に制御されず、前記特典が付与されない第3状況において、前記有利示唆演出を実行せず、
前記第2状況において前記有利示唆演出の実行後、前記特典が付与された旨を報知する、遊技機。」
第4 取消理由通知(決定の予告)及び特許異議の申立てについて
1 令和6年4月2日付け取消理由通知書(決定の予告)について
(1) 取消の理由の要旨
本件訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審合議体が令和6年4月2日付けで特許権者に通知した取消理由通知書(決定の予告)に記載された取消の理由の要旨は次のとおりである。
「(取消理由1:サポート要件) 本件特許は、特許請求の範囲の請求項1の記載が、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしておらず、同法113条4号に該当し、取り消すべきものである。
(取消理由2:新規事項) 令和5年3月22日に提出した手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、本件特許は、同法113条1号に該当し、取り消すべきものである。」
(2) 取消の理由についての当審合議体の判断
上記(1)の取消理由1(サポート要件)及び取消理由2(新規事項)は、いずれも、訂正前の請求項1における「開始条件成立後の単位遊技数が特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記有利状態に制御されることがあり」、「前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記特典が付与されることがあり」、「前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となり、前記有利状態へ制御される第1状況において、前記有利状態に制御される旨を報知する有利示唆演出を実行し」とされた特定事項のすべてを満たす「特定範囲」に対応する事項(特定のゾーン)が、発明の詳細な説明に記載されているとはいえず、また、当該「特定範囲」を請求項1に追加した補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではないという指摘であった。
上記した特定事項を含めた請求項1の記載については、前記第2の1(1)~(7)に示したように、本件訂正請求による訂正事項1~7の訂正がなされており、これら訂正事項1~7の訂正が、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは前記第2の4(1)~(4)で述べたとおりであり、また、訂正の根拠とされる、前記第2の3に摘記した段落及び図面に記載された事項は補正されておらず、出願当初の明細書及び図面の記載と同じ記載であるから、訂正事項1~7の訂正は出願当初の明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
そして、上記(1)の取消理由1(サポート要件)及び取消理由2(新規事項)は、上記訂正事項1~7の訂正により解消した。
(3) 特許異議申立人の意見について
ア 特許異議申立人の意見
特許異議申立人は、本件訂正請求について概略次の意見を述べている。
(訂正事項2、3及び4の訂正について)
「ここで、出願当初、「特定数」という唯一個の数の値が特定されていたものを、「特定の範囲の数のうちの一の数」と補正して特許登録されたのであるから、特許登録時点での特許請求の範囲の「特定の範囲の数のうちの一の数」の意味は、全体として唯一個の「範囲」(ゾーン)における唯一個の「一の数」が特定されたものと解するのが至当である点に注意を向けていただきたい。・・・本件訂正前の「特定の範囲の数のうちの一の数」が、当初明細書の「特定値」という唯一個の数の値を敷衍したものであったのを、本件訂正後は、通常状態に制御される「毎に」特定される「範囲」(ゾーン)における「一の数」を意味することとなり、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明としては、「範囲」(ゾーン)毎に定まる、複数の数を意味するものに変更となった。したがって、訂正後の請求項1は、訂正前の請求項1の記載を実質的に拡張または変更したものであるから、・・・本件訂正は、不適法なものとして認められるべきものではない。」(特許異議申立人が令和6年7月16日に提出した意見書の7ページ下から7行~8ページ15行)
イ 当審合議体の判断
上記アに挙げた特許異議申立人の意見について検討する。
本件訂正前の請求項1において特定された「特定の範囲の数のうちの一の数」については、もとより、唯一個の範囲における唯一個の数であると限定して解釈することに合理的な理由があるとはいえず、出願当初は「特定数」としていた記載を、特許登録前に「特定の範囲の数のうちの一の数」に補正したことを、そのように解釈する根拠とすることは妥当ではない。
このことは、以下に述べる点からも明らかである。
前記第2の1(2)で示したように、訂正事項2は、「前記通常状態に制御される毎に、複数の範囲からいずれかの範囲を決定する範囲決定手段と、」を加えたものであり、当該訂正事項2が、特許請求の範囲の減縮を目的としており、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、また実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは、同じく前記第2の4(1)で述べたとおりである。すなわち、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の「遊技機」には、「通常状態に制御される毎に、複数の範囲からいずれかの範囲を決定する範囲決定手段」を備えるものを含むことが想定されるところ、「通常状態に制御される毎」に「いずれかの範囲」から「決定」される「特定範囲」に含まれる、「特定範囲の数のうちの一の数」が、「特定範囲」と同様に、「通常状態に制御される毎」に異なるものとなり得ることも、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の「遊技機」に含まれていたということができる。加えて、上記3に摘記した【0102】及び【0105】には、「ゲーム数抽選」で複数のゲーム数の範囲(ゾーン)からいずれかのゾーンが決定され、さらに決定されたゾーンから終了ゲーム数が決定される実施例が記載されている。
上に述べたとおりであるから、訂正後の請求項1は、訂正前の請求項1の記載を実質的に拡張又は変更したものであるとした特許異議申立人の主張は妥当ではない。
2 特許異議の申立ての理由について
(1) 特許異議の申立ての理由の要旨
特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由の要旨は次のとおりである。
「(理由1) 本件特許は、本件特許に係る特許出願の令和5年3月22日提出の手続補正書による補正が、新規事項の追加を含むものであるので、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。また、本件特許は、特許を受けようとする発明が、発明の詳細な説明に、記載されていないだけでなく、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法36条6項1号及び同法同条4項1号に規定する要件も満たしていない特許出願に対してされたものである。したがって、本件特許は、特許法113条1号又は4号の規定に該当し、同法114条2項の規定により取り消されるべきものである。
(理由2) 本件特許は、その特許請求の範囲の記載が、特許を受けようとする発明を明確に記載したものではないので、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願についてされたものである。したがって、本件特許は、特許法113条4号の規定に該当し、同法114条2項の規定により取り消されるべきものである。」
(2) 特許異議の申立ての理由についての当審合議体の判断
特許異議の申立ての理由のうちの理由1は、令和5年3月22日提出の手続補正書による補正が、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていないこと、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されていないだけでなく当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法36条6項1号及び同法同条4項1号に規定する要件を満たしていないことをその理由としたものであり、ここで、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていないことについての根拠は、特許法17条の2第3項及び同法36条6項1号に規定する要件を満たしていないことについての根拠と実質的には同様である。
そして、本件特許が、特許法17条の2第3項及び同法36条6項1号に規定する要件を満たしていることについての当審合議体の判断は、上記1(2)及び(3)で述べたとおりであり、同法36条4項1号に規定する要件についても同様に満たしているといえる。
そうすると、特許異議の申立ての理由のうちの理由1には理由がない。
次に、特許異議の申立ての理由のうちの理由2については、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「開始条件成立後の単位遊技数が特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記有利状態に制御されることがあり、前記開始条件成立後の単位遊技数が前記特定範囲の数のうちの一の数となった場合に、前記特典が付与されることがあり」とされた記載では、特定の制御の態様(有利状態に制御されること又は特典が付与されること)が存在する可能性のみを示しているところ、そのような制御の態様が請求項1に係る発明を特定するために必要な事項であるか否かが明確ではないことを指摘したものであるが、前者の「有利状態」の制御については、本件訂正請求の訂正事項3の訂正により、有利状態に制御されることが、「特定範囲」と「所定範囲」のいずれかのうち、「特定範囲」における「一の数」であるときにも可能性が「ある」ことが明確にされたということができ、また、後者の「特典」を付与することについては、上記3に摘記した【0134】に「第2ポイント抽選は、・・・ポイント付与ゲームにおいて実行され、・・・ポイントが付与されるか否か及び付与されるポイント数が決定される」とした実施例が記載されるように、そのときの抽選により可否が決定されることで、「特定範囲」のうちの一の数となった場合に付与される可能性が「ある」とすることには、もとより矛盾がなかったということができる。
そうすると、特許異議の申立ての理由のうちの理由2には理由がない。
よって、特許異議の申立ての理由には理由がない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701118