特許異議申立
2024-700653
不織布の製造装置
- 審判番号
- 2024-700653
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-015431
- 登録番号
- 7413802
- 請求日
- 2024年07月11日
- 審決日
- 2025年02月06日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】王子ホールディングス株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
- 【異議申立人】村上 兄
- 審判長/審判官
- 審判長 岩谷 一臣
- 審判官 藤井 眞吾
- 審判官 八木 誠
- 分類
- P1651.121-YAA(D04H) / P1651.113-YAA(D04H) / P1651.537-YAA(D04H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7413802号発明「不織布の製造装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7413802号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
特許第7413802号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
特許第7413802号の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和2年1月31日の出願であって、令和6年1月5日にその特許権の設定登録がされ、令和6年1月16日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和6年 7月11日 :特許異議申立人村上兄(以下「申立人」という。)による請求項1~6に係る特許に対する特許異議の申立て
令和6年 8月28日付け:取消理由通知書
令和6年10月30日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出(以下、この訂正請求書による訂正の請求を「本件訂正請求」といい、訂正自体を「本件訂正」という。)
なお、当審から令和6年11月7日付けで申立人に対して訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)を、期間を指定して行ったが、当該期間内に申立人からは応答がなかった。
第2 本件訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと、次のとおりである。
本件訂正前の請求項1に記載された、
「前記フィラメント集合体は、前記分散板と非接触状態で、前記分散板の下端部より前記搬送方向の上流側に位置する前記搬送手段に向けて放出されることを特徴とする不織布の製造装置」を、
「前記フィラメント集合体は、前記分散板と非接触状態で、前記分散板の下端部より前記搬送方向の上流側に位置する前記搬送手段に向けて放出され、
前記分散板は、前記搬送方向と直交する方向において、同一の断面形状となっていることを特徴とする不織布の製造装置」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~6も同様に訂正する)。
2 一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~6は、請求項2~6が、本件訂正請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項〔1~6〕について請求されたものである。
3 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
本件補正は、本件訂正前の請求項1に記載された「分散板」を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
本件補正は、本件特許の明細書の【0040】の記載に基づくものであるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、本件補正は、本件訂正前の請求項1に係る発明の発明特定事項をさらに限定するものであり、また、発明のカテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
4 本件訂正の適否のまとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正請求が認められたことから、本件特許の請求項1~6に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1~6の記載は、次のとおりである。
【請求項1】
溶融した熱可塑性樹脂をフィラメントから構成されるフィラメント集合体として押し出す
紡糸手段と、
前記フィラメント集合体を空気力学的に延伸させる延伸手段と、
前記フィラメント集合体を堆積させ所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、
を備え、
前記延伸手段は、吸引口と、吐出口と、前記吐出口を画定する前記搬送方向の上流側の内壁と連続的に接続する上端部、及び、前記搬送方向の上流側に向けて湾曲又は傾斜する下端部を有する分散板と、を備え、
前記フィラメント集合体は、前記分散板と非接触状態で、前記分散板の下端部より前記搬送方向の上流側に位置する前記搬送手段に向けて放出され、
前記分散板は、前記搬送方向と直交する方向において、同一の断面形状となっていることを特徴とする不織布の製造装置。
【請求項2】
前記搬送手段の上面における前記搬送方向と直交する方向からみた、前記分散板の下端部の仮想延長線と前記搬送手段の上面とのなす角度を、30~89(°)とすることを特徴とする請求項1に記載の不織布の製造装置。
【請求項3】
前記分散板の下端部から前記搬送手段の上面への垂線長さを、50~300(mm)とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の不織布の製造装置。
【請求項4】
前記搬送手段の上面における前記搬送方向と直交する方向からみて、前記分散板の上端部から下端部に向かうにつれて、前記分散板における接線方向と前記搬送手段の上面とのなす角度が、一定となる又は漸減することを特徴とする請求項1~3に記載の不織布の製造装置。
【請求項5】
前記分散板は、単一又は複数の曲面形状、単一又は複数の平面形状、又は、これらの組み合わせからなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の不織布の製造装置。
【請求項6】
前記分散板は、前記搬送方向からみて、前記吐出口の下方を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の不織布の製造装置。
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
当審において、請求項1~6に係る特許に対して通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
取消理由(進歩性)
本件特許の請求項1~6に係る発明は、下記甲第1号証に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
<引用文献等一覧>
甲第1号証 特開2009-161889号公報(以下「甲1」という。)
2 取消理由(進歩性)について
(1)甲1に記載された発明
甲1(【請求項1】、【0011】、【0013】)には、特に【請求項1】のうち「空気分流装置」が「上流側のみ」に設けられたものに着目すると、次の発明が記載されている。
「多数の紡糸孔を有する紡糸口金と、
該紡糸口金から紡糸された合成樹脂製フィラメント群を空気流によって下方に牽引するためのエジェクターであって、該合成樹脂製フィラメント群を導入するための矩形入口と、該合成樹脂製フィラメント群を排出するための矩形出口とを備えた矩形筒体形状のエジェクターと、
該エジェクターの該矩形出口に設けられたコロナ帯電装置と、
該コロナ帯電装置の下方に連設された空気流分散装置と、及び
該矩形出口から該コロナ帯電装置及び該空気流分散装置を経て、該空気流と共に排出された該合成樹脂製フィラメント群を捕集すると共に、捕集されたスパンボンドウェブを上流側から下流側に搬送するための捕集コンベアと
を備えたスパンボンドウェブの製造装置において、
前記空気流分散装置は、前記矩形出口から排出される該合成樹脂製フィラメント群の前記上流側のみに設けられ、前記空気流の方向をコアンダ効果により前記上流側のみに変更させるための傾斜面を備えており、該傾斜面には第一傾斜ガイドと第二傾斜ガイドとが交互に複数形成されており、該第二傾斜ガイドの方が該第一傾斜ガイドよりも、傾斜が大きいスパンボンドウェブの製造装置であって(【請求項1】)、
前記紡糸口金には溶融した合成樹脂が供給され、各紡糸孔から溶融紡糸されることにより、前記合成樹脂製フィラメント群が吐出され(【0013】)、
前記合成樹脂製フィラメント群は、合成樹脂製フィラメント群が実質的に空気流分散装置と接触することがない(【0011】)、スパンボンドウェブの製造装置。」(以下「甲1発明」という。)
(2)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「多数の紡糸孔を有する紡糸口金」を「備え」、「前記紡糸口金には溶融した合成樹脂が供給され、各紡糸孔から溶融紡糸されることにより、合成樹脂製フィラメント群が吐出され」ることは、本件発明1の「溶融した熱可塑性樹脂をフィラメントから構成されるフィラメント集合体として押し出す紡糸手段」を「備え」ることに相当する。
甲1発明の「該空気流と共に排出された該合成樹脂製フィラメント群を捕集すると共に、捕集されたスパンボンドウェブを上流側から下流側に搬送するための捕集コンベア」を「備え」は、本件発明1の「前記フィラメント集合体を堆積させ所定の搬送方向に搬送する搬送手段」を「備え」に相当する。
甲1発明の「スパンボンドウェブの製造装置」は、本件発明1の「不織布の製造装置」に相当する。
甲1発明の「エジェクター」は、「合成樹脂製フィラメント群を空気流によって下方に牽引する」ためのものであるところ、合成樹脂フィラメント群を「延伸」までしているかは不明であるが、その機能にかんがみれば、本件発明1の「前記フィラメント集合体を空気力学的に延伸させる延伸手段」とは、フィラメント集合体を空気力学的に引っ張る引張手段という点に限りひとまず一致する。
甲1発明の「空気流分散装置」は、「前記矩形出口から排出される該合成樹脂製フィラメント群の前記上流側」において、「エジェクターの該矩形出口に設けられたコロナ帯電装置」の「下方に連設」されているところ、「前記空気流の方向をコアンダ効果により前記上流側のみに変更させるための傾斜面を備えて」いるものである。そうすると、甲1発明の「空気流分散装置」は、形状が板と呼べるかはさておき、また、エジェクターではなくコロナ帯電装置の下方に連設されているものではあるが、その配置や機能からみて、本件発明1の「前記吐出口を画定する前記搬送方向の上流側の内壁と連続的に接続する上端部、及び、前記搬送方向の上流側に向けて湾曲又は傾斜する下端部を有する」形状を有する分散装置であるという点で一致する。
甲1発明の「前記合成樹脂製フィラメント群は、合成樹脂製フィラメント群が実質的に空気流分散装置と接触することがない」は、本件発明1の「前記フィラメント集合体は、前記分散板と非接触状態で、前記分散板の下端部より前記搬送方向の上流側に位置する前記搬送手段に向けて放出され」るに相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「溶融した熱可塑性樹脂をフィラメントから構成されるフィラメント集合体として押し出す紡糸手段と、
前記フィラメント集合体を空気力学的に引っ張る引張手段と、
前記フィラメント集合体を堆積させ所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、
を備え、
前記引張手段は、吸引口と、吐出口と、前記吐出口を画定する前記搬送方向の上流側の内壁と連続的に接続する上端部、及び、前記搬送方向の上流側に向けて湾曲又は傾斜する下端部を有する分散装置と、を備え、
前記フィラメント集合体は、前記分散装置と非接触状態で、前記分散装置の下端部より前記搬送方向の上流側に位置する前記搬送手段に向けて放出される不織布の製造装置。」
[相違点1]
フィラメント集合体を空気力学的に引っ張る引張手段に関して、本件発明1は「前記フィラメント集合体を空気力学的に延伸させる延伸手段」であるのに対して、甲1発明は「合成樹脂製フィラメント群を空気流によって下方に牽引するためのエジェクター」であり、本件発明1のように「延伸させる」とまでいえるか不明である点。
[相違点2]
分散装置に関して、本件発明1は「分散板」として板形状であるのに対して、甲1発明の「空気流分散装置」は板形状とは言い難い点。
[相違点3]
本件発明1は「前記分散板は、前記搬送方向と直交する方向において、同一の断面形状となっている」のに対して、甲1発明の「空気流分散装置」はそのようなものではない点。
イ 判断
事案に鑑み、まず相違点3について検討する。
甲1発明は、「空気流分散装置」を「前記矩形出口から排出される該合成樹脂製フィラメント群の前記上流側のみに設けられ、前記空気流の方向をコアンダ効果により前記上流側のみに変更させるための傾斜面を備えており、該傾斜面には第一傾斜ガイドと第二傾斜ガイドとが交互に複数形成されており、該第二傾斜ガイドの方が該第一傾斜ガイドよりも、傾斜が大きい」構成とすることにより、「合成樹脂製フィラメント群はコロナ帯電装置で与えられた静電荷が放電することなく、上流側に開繊された合成樹脂製フィラメント群が、より上流側に二分割して開繊され、開繊性が相殺されることなく増長される。よって、本発明によれば、繊維密度がより均一でより地合の良好なスパンボンドウェブが得られるという効果を奏する。」(甲1の【0011】)というものである。
そうすると、甲1発明における「該傾斜面には第一傾斜ガイドと第二傾斜ガイドとが交互に複数形成されており、該第二傾斜ガイドの方が該第一傾斜ガイドよりも、傾斜が大きい」構成を、「前記搬送方向と直交する方向において、同一の断面形状とな」る構成とすることは、開繊性を相殺することになるため、通常、当業者がそのような変更をすることはない。
ウ 小括
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。
(3)本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記(2)と同様の理由により、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第5 取消理由通知に採用しなかった特許異議申立理由について
1 取消理由通知に採用しなかった特許異議申立理由の概要
(1)申立理由1(新規性)
本件特許の請求項1、4~6に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるため、請求項1、4~6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2)申立理由2(新規性・進歩性)
本件特許の請求項1、2、4~6に係る発明は、下記甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるため、請求項1、2、4~6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
また、本件特許の請求項1~6に係る発明は、下記甲第2号証に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3)申立理由3(明確性)
本件特許の請求項4の「・・・ことを特徴とする請求項1~3に記載の不織布の製造装置。」の記載について、請求項1~3を引用しており、その引用が択一的ではないから、本件特許の請求項4に係る発明は明確でない。
したがって、本件特許の特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に適合しないため、請求項4に係る特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
<引用文献等一覧>
甲第2号証 特開2005-146502号公報(以下「甲2」という。)
2 申立理由1についての当審の判断
上記第4の2(2)で示したとおり、本件発明1と甲1発明とは、相違点1~3で相違し、少なくとも相違点3は実質的な相違点であるから、本件発明1は甲1発明ではない。
また、本件発明4~6は、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明4~6は甲1発明ではない。
3 申立理由2についての当審の判断
(1)甲2に記載された発明
甲2の【請求項12】、【0027】~【0033】、【0038】、【図1】~【図4】、【図10】を参酌すると、次の発明が記載されている。
「フィラメントをコレクタ上に堆積させ、それによって不織ウェブを形成するスパンボンド装置であって、
熱可塑性材料からフィラメントを形成することができる紡糸パックと、
前記紡糸パックから前記フィラメントを受け取る入口、出口、及び前記入口から前記出口まで延在するスロット付き通路を有する延伸装置であって、該フィラメント延伸装置は、前記フィラメントを繊細化するのに有効な高速空気流を前記入口と前記出口との間の前記通路内に加え、前記フィラメント及び前記空気流は、前記出口から放出方向に放出される、延伸装置と、
前記出口付近に位置して第1列に並んだ第1の複数のガイドであって、該第1の複数のガイドの各々は、前記放出方向に対して第1角度で傾斜している、第1の複数のガイドと、
前記フィラメント延伸装置の前記出口付近に位置して第2列に並んだ第2の複数のガイドであって、該第2の複数のガイドの各々は、前記第1の複数のガイドの隣接した1対の間に位置し、また、該第2の複数のガイドの各々は、前記放出方向に対して第2角度で傾斜している、第2の複数のガイドと、
を備えており、
前記第1の複数のガイド及び前記第2の複数のガイドにより、前記空気流及び前記フィラメントが前記放出方向からずれるようにしたスパンボンド装置。(【請求項12】)」(以下「甲2発明」という。)
(2)本件発明1について
本件発明1と甲2発明とを対比すると、両者は少なくとも次の点で相違する。
[相違点A]
本件発明1は「前記分散板は、前記搬送方向と直交する方向において、同一の断面形状となっている」のに対して、甲2発明は「前記出口付近に位置して第1列に並んだ第1の複数のガイドであって、該第1の複数のガイドの各々は、前記放出方向に対して第1角度で傾斜している、第1の複数のガイドと、前記フィラメント延伸装置の前記出口付近に位置して第2列に並んだ第2の複数のガイドであって、該第2の複数のガイドの各々は、前記第1の複数のガイドの隣接した1対の間に位置し、また、該第2の複数のガイドの各々は、前記放出方向に対して第2角度で傾斜している、第2の複数のガイドと、を備えて」いる点。
当該相違点について検討するに、甲2発明は、「前記出口付近に位置して第1列に並んだ第1の複数のガイドであって、該第1の複数のガイドの各々は、前記放出方向に対して第1角度で傾斜している、第1の複数のガイドと、前記フィラメント延伸装置の前記出口付近に位置して第2列に並んだ第2の複数のガイドであって、該第2の複数のガイドの各々は、前記第1の複数のガイドの隣接した1対の間に位置し、また、該第2の複数のガイドの各々は、前記放出方向に対して第2角度で傾斜している、第2の複数のガイドと、を備えて」いることによって「前記第1の複数のガイド及び前記第2の複数のガイドにより、前記空気流及び前記フィラメントが前記放出方向からずれるようにした」ものであり、当該構成によって、「延伸装置のガイドが、下降するシートまたはカーテン状の空気搬送フィラメントを、流れ方向(装置のウェブ搬送方向)に間隔をおいた2つの個別シートまたはカーテンに分離する。安定化機構の個々のガイドにより、渦を抑制し、それによって渦が延伸装置の出口から捕集装置に伝播するのを防止するバリヤ作用が促進される。このことは、乱流をなくすか、少なくとも大幅に減少させることによって、フィラメント軌道のランダム性を低減させる。」(甲2の【0012】)というものである。
そうすると、甲2発明における「前記出口付近に位置して第1列に並んだ第1の複数のガイドであって、該第1の複数のガイドの各々は、前記放出方向に対して第1角度で傾斜している、第1の複数のガイドと、前記フィラメント延伸装置の前記出口付近に位置して第2列に並んだ第2の複数のガイドであって、該第2の複数のガイドの各々は、前記第1の複数のガイドの隣接した1対の間に位置し、また、該第2の複数のガイドの各々は、前記放出方向に対して第2角度で傾斜している、第2の複数のガイドと、を備えて」いる構成を、「前記搬送方向と直交する方向において、同一の断面形状とな」る構成とすることは、下降するシートまたはカーテン状の空気搬送フィラメントにランダム性を生じさせることになるため、通常、当業者がそのような変更をすることはない。
よって、本件発明1と甲2発明は、少なくとも相違点Aの点で実質的に相違し、この点を容易に想到できたものではないので 、本件発明1は、甲2発明ではなく、また、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明2~6について
本件発明2~6は、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記(2)と同様の理由により、本件発明2、4~6は、甲2に記載された発明ではなく、また、本件発明2~6は、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 申立理由3についての当審の判断
請求項4における「請求項1~3に記載の不織布の製造装置」の記載は、請求項1~3に記載のそれぞれの不織布の製造装置を意味するから、明確である。
第6 むすび
以上のとおり、請求項1~6に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由、並びに特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、取り消すことはできない。また、他に請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700653