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特許異議申立

2025-700425

スパンレース不織布

審判番号
2025-700425
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-085221
登録番号
7566300
請求日
2025年04月15日
審決日
2025年08月20日
公報発行日
2025年09月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】新和産業株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人東海特許事務所
  • 【権利者代理人】弁理士法人Vesta国際特許事務所
  • 【異議申立人】柏木 里実
審判長/審判官
  • 審判長 小宮 慎司
  • 審判官 棚田 一也
  • 審判官 中野 浩昌
分類
P1651.113-Y (D04H) / P1651.121-Y (D04H) / P1651.537-Y (D04H)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7566300号発明「スパンレース不織布」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7566300号の請求項1~5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7566300号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、令和 2年 5月14日に出願され、令和 6年10月 4日にその特許権の設定登録がされ、同年同月15日に特許掲載公報が発行され、その後、本件特許の請求項1~5に係る特許について、令和 7年 4月15日に特許異議申立人柏木里実(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~5に係る発明(以下、「本件発明1~5」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「 【請求項1】 レーヨン繊維とポリエチレンテレフタレート繊維が絡合してなるスパンレース不織布であって、 前記レーヨン繊維は、その単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下の範囲内で、断面周囲が凹凸形状のビスコースレーヨンであり、 前記ポリエチレンテレフタレート繊維は、その単糸繊度が1.3dtex以上、4.0dtex以下の範囲内で、断面周囲が平滑な断面円形状であり、 前記ポリエチレンテレフタレート繊維と前記レーヨン繊維の単糸繊度の比率が、ポリエチレンテレフタレート繊維/レーヨン繊維=1.0~4.0の範囲内であることを特徴とするスパンレース不織布。 【請求項2】 前記レーヨン繊維は、重合度が200~400の範囲内であるビスコースレーヨンであることを特徴とする請求項1に記載のスパンレース不織布。 【請求項3】 前記レーヨン繊維は、その繊維長が、20~60mmの範囲内の短繊維であり、前記ポリエチレンテレフタレート繊維は、その繊維長が、20~60mmの範囲内の短繊維であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスパンレース不織布。 【請求項4】 前記レーヨン繊維は、40~80質量%の範囲内であり、前記ポリエチレンテレフタレート繊維は、20~60質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載スパンレース不織布。 【請求項5】 前記不織布は、その目付量が25~200g/m2の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載のスパンレース不織布。」 第3 特許異議の申立ての理由 申立人が主張する特許異議の申立ての理由(以下、「申立理由」という。)は、以下のとおりのものである。なお、申立人が提出した甲第1号証~甲第10号証を、以下、「甲1」~「甲10」という。 1 申立理由1(新規性) 請求項1~3、5に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~3、5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 2 申立理由2(進歩性) 請求項1~5に係る発明は、甲1に記載された発明と、甲3~6に記載された技術常識と、甲7~9に記載された周知技術とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 3 申立理由3(新規性) 請求項1~5に係る発明は、甲2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 4 申立理由4(進歩性) 請求項1~5に係る発明は、甲2に記載された発明と、甲4~6、10に記載された技術常識とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 5 申立理由5(サポート要件) 請求項1~5に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 <申立人が提出した甲号証> 甲1:特開2009-197385号公報 甲2:特開2013-256720号公報 甲3:本宮達也 他、「繊維の百科事典」、丸善株式会社、平成14年3月25日、第292頁 甲4:繊維学会、「化繊便覧」、丸善株式会社、昭和38年5月28日、第93~94頁 甲5:繊維学会、「繊維便覧」、丸善株式会社、平成16年12月15日、第56頁 甲6:繊維学会、「繊維便覧 原料編」、丸善株式会社、昭和43年11月30日、第474~475頁 甲7:特開平6-14858号公報 甲8:特開2020-63527号公報 甲9:国際公開第2014/132690号 甲10:日本繊維機械学会不織布研究会、「不織布の基礎と応用」、社団法人日本繊維機械学会、平成5年8月25日、第26頁 第4 甲号証について 1 甲1の記載、甲1に記載された発明 ア 甲1には、以下の記載がある。(下線は当審で付した。以下同じ。) 「【0001】 本発明は、使い捨てカイロをはじめとした使い捨て保温具の包材に用いる不織布の製造方法に関し、特に柔軟で保温性の良好な同保温具用不織布の製造方法に関するものである。」 「【0009】 本発明において、不織布に使用する繊維としては、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維が疎水性、強度あるいは可撓性の観点から好適であり、また保温性の観点から、熱を伝えにくく、熱伝導性が低いので好ましい。」 「【0016】 繊維の断面形状として、C型、Y型、V型等の異形断面糸を用いたり、捲縮繊維例えば、捲縮数が10~40個/インチを持つ複合系繊維あるいは異形で捲縮を持たせた繊維等を活用したりすることが嵩高性、保温性の観点から好ましい。」 「【0024】 [実施例1] ポリエステル短繊維(2.0dtex、53mm長)80%とレーヨン短繊維(1.2dtex、53mm長)20%で形成したカードウェブを80メッシュの金網に載せて、150rpm搖動する水流絡合装置(ノズル径0.15mm、ノズル間隔5mm×5列、水圧6MPa)に表裏3回通し、目付70g/m2のスパンレース不織布を得た。この不織布の性能は表1に示す。」 「【0027】 【表1】 [図:0001426853000001.jpg] 」 イ 上記アによれば、以下のことがいえる。 (ア)段落0024には「実施例1」として、「ポリエステル短繊維」「とレーヨン短繊維」「で形成したカードウェブを」「金網に載せて」、「水流絡合装置」「に表裏3回通し」、「スパンレース不織布を得た。」と記載され、段落0027の表1には、実施例1における「素材」として「PET/レーヨン」が記載されている。よって、実施例1における「ポリエステル」は、「PET」であるといえる。 (イ)上記ア及び(ア)によれば、甲1には、実施例1について次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。(なお、括弧内は、引用される段落番号等を示す。以下、同じ。) <甲1発明> 「PET短繊維(2.0dtex、53mm長)80%とレーヨン短繊維(1.2dtex、53mm長)20%で形成したカードウェブを80メッシュの金網に載せて、150rpm搖動する水流絡合装置(ノズル径0.15mm、ノズル間隔5mm×5列、水圧6MPa)に表裏3回通して得た、目付70g/m2のスパンレース不織布。(段落0024、上記(ア))」 2 甲2の記載、甲2に記載された発明 ア 甲2には、以下の記載がある。 「【0006】 本発明は、上記従来の問題を解決するため、再生セルロース繊維本来の物性を維持しつつ優れた光線遮蔽性を有する光線遮蔽性再生セルロース繊維、その製造方法及び繊維構造物を提供する。」 「【0025】 以下、図面を用いて説明する。図1Aは本発明の一実施例における光線遮蔽性再生セルロース繊維(繊維A)の断面を示す走査型電子顕微鏡(倍率1000倍)であり、図1Bは同繊維(繊維A)の側面を示す走査型電子顕微鏡(倍率1000倍)である。図1A~図1Bから本発明の光線遮蔽性再生セルロース繊維において、ルチル型酸化チタン系粒子はセルロース中に微分散されていることが分かる。」 「【0053】 (実施例1) [ビスコース原液条件] ルチル型酸化チタン系粒子(テイカ株式会社製「JR-1000」、アルミニウム成分の含有量1.24質量%、亜鉛成分の含有量0.302質量%、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンの含有量90質量%以上、平均粒子径0.701μm、1μm以上の粒子27%、0.5μm以下の粒子が26%)とポリカルボン酸型界面活性剤(保護剤)を、それぞれ、20質量%及び0.2質量%になるように水に添加した後、卓上型ホモミキサー(プライミクス株式会社製「T.K.MHOMOMIXER MARKII」)で撹拌、分散して酸化チタン系粒子の 水分散液を調製した。得られた酸化チタン系粒子の水分散液を酸化チタン系粒子がセルロースに対して1.8質量%となるようにビスコース原液中に添加し、混合機にて攪拌混合を行い、紡糸用ビスコース液を調製した。ビスコース原液としては、セルロースを8.5質量%、水酸化ナトリウムを5.7質量%、二硫化炭素を2.7質量%含むものを用いた。 [紡糸条件] 得られた紡糸用ビスコース液を、2浴緊張紡糸法により、紡糸速度50m/分、延伸50%で紡糸して、繊度1.4dtexの繊維を得た。第1浴(紡糸浴)としては、硫酸110g/L、硫酸亜鉛15g/L、硫酸ナトリウム350g/Lを含むミューラー浴(50℃)を用いた。また、ビスコースを吐出する紡糸口金には、孔径0.07mmのホールを4000個有するノズルを用いた。紡糸中、単糸切れ等の不都合は生じず、ビスコースの紡糸性は良好であった。 [精練条件] 得られたビスコースレーヨンの糸条を、38mmにカットし、精練処理を行った。精練工程は、熱水処理後に水洗を行い、その後圧縮ローラーで余分な水分を繊維から落とした後、水硫化ソーダにて処理し、水洗後、圧縮ローラーで水分を落とした。次いで次亜塩素酸ソーダにて処理後、硫酸にて処理し、水洗、圧縮ローラーにて水分を落とし、油剤処理後、圧縮ローラーにて水分を落とし、乾燥処理(60℃、7時間)を施して、繊維Aを得た。」 「【0057】 繊維A~Dの元素分析、繊維物性、染着性、透過率及び反射率の測定・評価を上記のように行い、その結果を下記表1に示した。 【0058】 【表1】 [図:0001426853000002.jpg] 」 「【0061】 (実施例3) 実施例1で得られたレーヨン繊維(繊維A)30質量%と、ポリエステル繊維(つや消し無し、帝人ファイバー製「ブライトポリエステル」、繊度1.7dtex、繊維長51mm)70質量%を混綿し、カードウェブを作製した。次に、カードウェブの片面に対して、孔径0.13mmφ、孔ピッチ1mm間隔で配列されたノズルから3MPaの水圧で柱状水流を噴射し、さらに同じ面に対して5MPaの水圧で柱状水流を噴射し、裏返して5MPaの水圧で柱状水流を噴射して、目付が120g/m2の水流交絡不織布を作製した。 【0062】 (実施例4) 実施例1で得られたレーヨン繊維(繊維A)50質量%と、ポリエステル繊維50質量%を混綿し、カードウェブを作製した以外は、実施例3と同様にして、目付が120g/m2の水流交絡不織布を作製した。」 「【図1A】 [図:0001426853000003.jpg] 」 イ 上記アによれば、以下のことがいえる。 (ア)段落0058の表1には、実施例1で得られた繊維Aの繊度が1.32dtexであることが記載され、段落0061及び段落0062には、実施例3及び4について「レーヨン繊維(繊維A)」と記載されている。 よって、実施例1、3及び4におけ「繊維A」又は「レーヨン繊維(繊維A)」の繊度は、1.32dtexであるといえる。 (イ)段落0025には、「図1Aは本発明の一実施例における」「繊維A」「の断面を示す走査型電子顕微鏡(倍率1000倍)で」「ある。」と記載され、図1Aから、繊維Aの断面周囲が凹凸形状であることが見て取れる。 (ウ)上記ア及び上記(ア)及び(イ)によれば、甲2には、実施例4について次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。 <甲2発明> 「ルチル型酸化チタン系粒子(テイカ株式会社製「JR-1000」、アルミニウム成分の含有量1.24質量%、亜鉛成分の含有量0.302質量%、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンの含有量90質量%以上、平均粒子径0.701μm、1μm以上の粒子27%、0.5μm以下の粒子が26%)とポリカルボン酸型界面活性剤(保護剤)を、それぞれ、20質量%及び0.2質量%になるように水に添加した後、卓上型ホモミキサーで撹拌、分散して酸化チタン系粒子の水分散液を調製し、得られた酸化チタン系粒子の水分散液を酸化チタン系粒子がセルロースに対して1.8質量%となるようにビスコース原液中に添加し、混合機にて攪拌混合を行い、紡糸用ビスコース液を調製し、 得られた紡糸用ビスコース液を、2浴緊張紡糸法により、紡糸速度50m/分、延伸50%で紡糸し、得られた繊度1.4dtexのビスコースレーヨンの糸条を、38mmにカットし、熱水処理後に水洗を行って精練処理を行い、その後圧縮ローラーで余分な水分を繊維から落とした後、水硫化ソーダにて処理し、水洗後、圧縮ローラーで水分を落とし、次いで次亜塩素酸ソーダにて処理後、硫酸にて処理し、水洗、圧縮ローラーにて水分を落とし、油剤処理後、圧縮ローラーにて水分を落とし、乾燥処理(60℃、7時間)を施して、断面周囲が凹凸形状である繊度1.32dtexのレーヨン繊維(繊維A)を得て、(段落0053、上記(ア)、(イ)) レーヨン繊維(繊維A)50質量%と、ポリエステル繊維(つや消し無し、帝人ファイバー製「ブライトポリエステル」、繊度1.7dtex、繊維長51mm)50質量%を混綿し、カードウェブを作製し、カードウェブの片面に対して、孔径0.13mmφ、孔ピッチ1mm間隔で配列されたノズルから3MPaの水圧で柱状水流を噴射し、さらに同じ面に対して5MPaの水圧で柱状水流を噴射し、裏返して5MPaの水圧で柱状水流を噴射して作製した、目付が120g/m2の水流交絡不織布。(段落0061、0062)」 3 甲3の記載 甲3には、以下の記載がある。 「 [図:0001426853000004.jpg] 」 4 甲4の記載 甲4には、以下の記載がある。 「 [図:0001426853000005.jpg] 」 「 [図:0001426853000006.jpg] 」 5 甲5の記載 甲5には、以下の記載がある。 「 [図:0001426853000007.jpg] 」 6 甲6の記載 甲6には、以下の記載がある。 「 [図:0001426853000008.jpg] 」 7 甲7の記載 甲7には、以下の記載がある。 「【0079】以下に、本発明の具体的な実施品を、比較品との比較において説明する。 (実施品1:図2に示すように基台シートの片面にのみ基布を配置したもので、不織布ネットを具備したもの)基布として、ポリエステル繊維1.5デニール、51mm及びレーヨン繊維1.5デニール、51mmをポリエステル繊維/レーヨン繊維=3/7の重量割合で混綿したものを用いて、常法のカードで坪量10g/m2の繊維ウェブを形成し、その繊維ウェブを6層(60g/m2)にラッピングし、ウォータージェット交絡で絡合させたものを用いた。その際、ウォータージェット交絡は、ノズルピッチ1.6mmのノズルヘッドがMD方向に対し4ブロックを備えたもので、水圧は、40kg/cm2、速度5m/minで行った。」 8 甲8の記載 甲8には、以下の記載がある。 「【請求項1】 レーヨン繊維及びポリエステル繊維を含む不織布で構成され、 前記レーヨン繊維の含有量が75~85質量%で、前記ポリエステル繊維の含有量が15~25質量%であり、 目付が55~85g/m2であること、 を特徴とする立体型布地。」 「【0038】 ここで、本実施形態の立体型布地1の代表的な製造方法について説明する。不織布2は、従来公知の方法によって製造することが可能であるが、レーヨン繊維及びポリエステル繊維を上記の混合割合で混繊し、例えばカード機により解繊することにより不織ウエブを形成する。」 「【0042】 次いで、得られた不織ウエブに高圧液体流処理(高圧液体流を噴出して不織ウエブに衝突させ、不織ウエブの構成繊維どうしを交絡させる処理)を施すことにより、構成繊維相互間に三次元交絡を形成して形態を保持させ、その後乾燥処理を施し、不織布2を得る。不織ウエブに高圧液体流による三次元交絡を施すに際しては、従来公知の技術を用いればよい。」 9 甲9の記載 甲9には、以下の記載がある。 「[0037] 上記した扁平多葉断面ポリエステル系繊維とセルロース系繊維を、カードで繊維ウェブ化する。扁平多葉断面ポリエステル系繊維とセルロース系繊維の混合率(質量比)は、前述のとおり、扁平多葉断面ポリエステル系繊維/セルロース系繊維=20/80~80/20であり、好ましくは扁平多葉断面ポリエステル系繊維/セルロース系繊維=30/70~70/30である。 [0038] カードで形成された繊維ウェブは、次に、フィードラチスによりスパンレース工程に送られ、高圧水流交絡処理されてシート状に加工される。スパンレース加工後の不織布は、コンベアで乾燥工程に送られ、前記の熱処理繊維を使用している場合には、熱接着繊維のみ溶融する温度で乾燥と同時に熱処理が施される。」 「[請求項1] 多葉扁平断面ポリエステル系繊維20~80質量%とセルロース系繊維20~80質量%からなる不織布であって、前記多葉扁平断面ポリエステル系繊維の横断面形状が円周上に6個以上の凸部を有する扁平形状であり、多葉扁平断面ポリエステル系繊維の横断面の最大長さをA、最大幅をB、最大凹凸部において隣り合う凸部の頂点間を結ぶ線の長さをC、そして前記凸部の頂点間を結ぶ線Cから凹部の底点に下ろした垂線の長さをDとするとき、下記式(1)の扁平度と下記式(2)の異形度を同時に満足することを特徴とする不織布。」 10 甲10の記載 甲10には、以下の記載がある。 「 [図:0001426853000009.jpg] 」 第5 当審の判断 1 甲1を主引用例とした新規性、進歩性について(申立理由1、2) (1)本件発明1について ア 対比 (ア)甲1発明の「PET短繊維」は、本件発明1の「ポリエチレンテレフタレート繊維」に相当し、甲1発明の「レーヨン短繊維」は、本件発明1の「レーヨン繊維」に相当する。 本件特許明細書の段落0001には、「レーヨン繊維及び合成繊維を水流絡合させてなるスパンレース不織布」と記載され、レーヨン繊維及び合成繊維を水流絡合させたものは、スパンレース不織布であるといえる。 そして、甲1発明の「スパンレース不織布」は、「PET短繊維」「とレーヨン短繊維」「で形成したカードウェブを」、「水流絡合装置」に「通して得た」ものであるから、レーヨン繊維とポリエチレンテレフタレート繊維が水流絡合したものである点で、本件発明1の「スパンレース不織布」と共通する。 (イ)a 本件特許明細書の段落0014には、「上記単糸繊度(dtex)は」、「多数の繊維の集積体である不織布の繊維(単糸)の1本の繊度を意味するものであり」と記載され、「単糸繊度(dtex)」は、集積して不織布となる繊維(単糸)の繊度を意味するものである。 b 一方、甲1発明は、「PET短繊維(2.0dtex」「)」「とレーヨン短繊維(1.2dtex」「)」「で形成したカードウェブを」、「水流絡合装置」に「通して得た」「スパンレース不織布」であり、甲1発明の「2.0dtex」及び「1.2dtex」は、絡合して不織布となる短繊維の繊度であるから、上記aを踏まえると、本件発明1の「単糸繊度(dtex)」に対応する値であるといえる。 そうすると、甲1発明の「PET短繊維(2.0dtex」「)」は、本件発明1の「前記ポリエチレンテレフタレート繊維は、その単糸繊度が1.3dtex以上、4.0dtex以下の範囲内で」あることに相当し、また、甲1発明の「レーヨン短繊維(1.2dtex」「)」は、本件発明1の「前記レーヨン繊維は、その単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下の範囲内で」あることに相当する。 そして、甲1発明において「PET短繊維(2.0dtex」「)」及び「レーヨン短繊維(1.2dtex」「)」であることは、「PET短繊維」と「レーヨン短繊維」との単糸繊度の比率が2.0/1.2=1.7であるから、本件発明1の「前記ポリエチレンテレフタレート繊維と前記レーヨン繊維の単糸繊度の比率が、ポリエチレンテレフタレート繊維/レーヨン繊維=1.0~4.0の範囲内である」ことに相当する。 (ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、相違する。 <一致点> 「レーヨン繊維とポリエチレンテレフタレート繊維が絡合してなるスパンレース不織布であって、 前記レーヨン繊維は、その単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下の範囲内であり、 前記ポリエチレンテレフタレート繊維は、その単糸繊度が1.3dtex以上、4.0dtex以下の範囲内であり、 前記ポリエチレンテレフタレート繊維と前記レーヨン繊維の単糸繊度の比率が、ポリエチレンテレフタレート繊維/レーヨン繊維=1.0~4.0の範囲内であることを特徴とするスパンレース不織布。」 <相違点1> 本件発明1は、「前記レーヨン繊維は」「断面周囲が凹凸形状のビスコースレーヨンであ」るのに対し、甲1発明の「レーヨン短繊維」は、そのような限定がされていない点。 <相違点2> 本件発明1は、「前記ポリエチレンテレフタレート繊維は」「断面周囲が平滑な断面円形状であ」るのに対し、甲1発明の「PET短繊維」は、そのような限定がされていない点。 イ 相違点についての検討 事案に鑑み、相違点2から検討する。 (ア)甲5に「合成繊維,特に」「ポリエステルについては、その生産量の大部分を断面形状が真円である繊維が占めている.しかし」「断面形状を円形とは異なる形状にした繊維が製造されており、このような繊維を」「異形断面繊維と呼ぶ.」と記載されているように、ポリエステルにおいて、断面形状が真円である繊維の他に、断面形状が円形とは異なる異形断面繊維が製造されていることは技術常識である。そうすると、甲1発明の「PET短繊維」が断面円形状であるということはできない。 よって、相違点2は実質的なものである。 (イ)甲1には、段落0001に「本発明は、使い捨てカイロをはじめとした使い捨て保温具の包材に用いる不織布の製造方法に関し」と記載され、段落0009に「不織布に使用する繊維としては」「ポリエチレンテレフタレート」「等のポリエステル系繊維が疎水性、強度あるいは可撓性の観点から好適であり、また保温性の観点から」「好ましい。」と記載され、段落0016に「繊維の断面形状として、C型、Y型、V型等の異形断面糸を用いたり」「することが嵩高性、保温性の観点から好ましい。」と記載されている。そうすると、甲1発明において、不織布に使用する繊維としてポリエチレンテレフタレートがあげられ、繊維の断面形状としてC型、Y型、V型等の異形断面糸を用いることが嵩高性、保温性の観点から好ましいといえる。 よって、甲3~甲9の記載を参酌しても、甲1発明において、「PET短繊維」を断面周囲が平滑な断面円形状とし、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、嵩高性、保温性の観点から好ましくなく、動機がない。 ウ 小括 上記イのとおりであるから、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明ではなく、甲3~9の記載を参酌しても、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)本件発明2~5について 請求項2~5の記載は、請求項1の記載を引用するものであるところ、本件発明2~5は、本件発明1の構成をすべて備えるものであるから、本件発明2~5と甲1発明とは、少なくとも上記(1)ア(ウ)の相違点2と同様の点で相違する。 よって、上記(1)イ及びウにおける検討と同様に、本件発明2、3、5は、甲1発明ではなく、また、本件発明2~5は、甲3~9の記載を参酌しても、 甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 2 甲2を主引用例とした新規性、進歩性について(申立理由3、4) (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と、甲2発明とを対比する。 (ア)a 甲2発明の「レーヨン繊維(繊維A)」は、本件発明1の「レーヨン繊維」に相当する。 b また、甲2発明の「ポリエステル繊維」は、ポリエステル繊維がポリエチレンテレフタレート繊維を含む点で、本件発明1の「ポリエチレンテレフタレート繊維」と共通する。 (イ)a 本件特許明細書の段落0011には、「請求項1の発明のスパンレース不織布は」「レーヨン繊維と」「合成繊維が水流交絡により一体化してなるものである。」と記載され、レーヨン繊維及び合成繊維を水流交絡により一体化したものは、スパンレース不織布であるといえる。 b そして、甲2発明の「水流交絡不織布」は、「レーヨン繊維(繊維A)」「と、ポリエステル繊維」「を混綿し、カードウェブを作製し、カードウェブの片面に対して」「3MPaの水圧で柱状水流を噴射し、さらに同じ面に対して5MPaの水圧で柱状水流を噴射し、裏返して5MPaの水圧で柱状水流を噴射して作製した」「水流交絡不織布」であり、「レーヨン繊維(繊維A)」及び「ポリエステル繊維」に柱状水流を噴射して作製した水流交絡不織布であるから、上記aを踏まえると、本件発明1の「スパンレース不織布」に相当する。 c そうすると、甲2発明の「繊度1.32dtex」及び「繊度1.7dtex」は、「レーヨン繊維(繊維A)」及び「ポリエステル繊維」の繊度であり、上記bによれば、甲2発明の「レーヨン繊維(繊維A)」及び「ポリエステル繊維」は、柱状水流が噴射されて水流交絡不織布となるものであるから、上記1(1)ア(イ)aを踏まえると、甲2発明の「繊度1.32dtex」及び「繊度1.7dtex」は、本件発明1の「単糸繊度(dtex)」に対応する値であるといえる。 d よって、甲2発明の「繊度1.32dtexのレーヨン繊維(繊維A)」は、本件発明1の「前記レーヨン繊維は、その単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下の範囲内で」あることに相当する。また、甲2発明の「ポリエステル繊維(」「繊度1.7dtex」「)」は、上記(ア)bを踏まえると、ポリエステル繊維の単糸繊度は、その単糸繊度が1.7dtexである点で、本件発明1の「前記ポリエチレンテレフタレート繊維は、その単糸繊度が1.3dtex以上、4.0dtex以下の範囲内で」あることと共通する。 (ウ)a 甲2発明の「レーヨン繊維(繊維A)」は、「ビスコースレーヨンの糸条を」「カットし」、「精練処理を行い、その後」「余分な水分を繊維から落とした後、水硫化ソーダにて処理し、水洗後、圧縮ローラーで水分を落とし、次いで次亜塩素酸ソーダにて処理後、硫酸にて処理し、水洗、圧縮ローラーにて水分を落とし、油剤処理後、圧縮ローラーにて水分を落とし、乾燥処理」「を施して」得たものであり、ビスコースレーヨンの糸条からなるものであるから、本件発明1の「ビスコースレーヨン」である「レーヨン繊維」に相当する。 b また、甲2発明の「断面周囲が凹凸形状である」「レーヨン繊維(繊維A)」は、上記aを踏まえると、本件発明1の「断面周囲が凹凸形状のビスコースレーヨン」に相当する。 (エ)甲2発明の「レーヨン繊維(繊維A)」及び「ポリエステル繊維」の繊度が「繊度1.32dtex」及び「繊度1.7dtex」であることは、ポリエステル繊維とレーヨン繊維の単糸繊度の比率が、ポリエステル繊維/レーヨン繊維=1.7/1.32=1.29である点で、本件発明1の「前記ポリエチレンテレフタレート繊維と前記レーヨン繊維の単糸繊度の比率が、ポリエチレンテレフタレート繊維/レーヨン繊維=1.0~4.0の範囲内である」ことと共通する。 (オ)上記(ア)~(エ)によれば、本件発明1と甲2発明とは、以下の点で一致し、相違する。 <一致点> 「レーヨン繊維とポリエステル繊維が絡合してなるスパンレース不織布であって、 前記レーヨン繊維は、その単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下の範囲内で、断面周囲が凹凸形状のビスコースレーヨンであり、 前記ポリエステル繊維は、その単糸繊度が1.3dtex以上、4.0dtex以下の範囲内で、断面周囲が平滑な断面円形状であり、 前記ポリエステル繊維と前記レーヨン繊維の単糸繊度の比率が、ポリエステル繊維/レーヨン繊維=1.0~4.0の範囲内であることを特徴とするスパンレース不織布。」 <相違点3> 本件発明1は、「レーヨン繊維とポリエチレンテレフタレート繊維が絡合してなるスパンレース不織布」であり、「前記ポリエチレンテレフタレート繊維と前記レーヨン繊維の単糸繊度の比率が、ポリエチレンテレフタレート繊維/レーヨン繊維=1.0~4.0の範囲内である」のに対し、甲2発明は、「レーヨン繊維(繊維A)」と「ポリエステル繊維」「を混綿し」、「柱状水流を噴射して作製した」「水流交絡不織布」であり、「ポリエステル繊維」と「レーヨン繊維」との繊度の比率が、1.7/1.32=1.29であるものの、「ポリエステル繊維」がポリエチレンテレフタレート繊維に限定されていない点。 <相違点4> 本件発明1は、「ポリエチレンテレフタレート繊維は、その単糸繊度が1.3dtex以上、4.0dtex以下の範囲内で、断面周囲が平滑な断面円形状」であるのに対し、甲2発明は、「ポリエステル繊維」の繊度が「1.7dtex」であるものの、「ポリエステル繊維」が「ポリエチレンテレフタレート繊維」に限定されず、「ポリエステル繊維」の断面周囲が平滑な断面円形状に限定されていない点。 イ 相違点についての検討 (ア)事案に鑑み、相違点4から検討する。 ポリエステルとして、PET以外に、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等があることは、技術常識である。また、上記1(1)イ(ア)のとおり、ポリエステルを含む合成繊維において、断面形状が真円である繊維の他に、断面形状が円形とは異なる異形断面繊維が製造されていることも技術常識である。したがって、甲2発明の「ポリエステル繊維」がポリエチレンテレフタレート繊維であり、かつ、断面周囲が平滑な断面円形状であるということはできない。 よって、相違点4は実質的なものである。 (イ)a 甲2の段落0006には、「再生セルロース繊維本来の物性を維持しつつ優れた光線遮蔽性を有する光線遮蔽性再生セルロース繊維、その製造方法及び繊維構造物を提供する。」と記載されており、甲2発明が解決しようとする課題は、再生セルロース繊維本来の物性を維持しつつ優れた光線遮蔽性を有する光線遮蔽性再生セルロース繊維の繊維構造物を提供することである。 b 一方、甲10には、ポリエステルは不織布に極めて広汎に使用されている繊維であることが記載されている。また、表2・7には、不織布にPET短繊維を用いた場合の改質例として、改質目的と、その目的に応じて選定されるファイバータイプが記載されており、そのうち「嵩高性/超嵩高性/ソフト性」を力学的特性の改質目的とする場合には、「断面形状(丸/異形/丸中空/異形中空)」のファイバータイプを用いることが記載されている。 c 甲10の記載から、不織布に用いるポリエステルとしてPET短繊維を選ぶことは適宜なし得ることであるといえる。しかし、上記bで挙げた甲10に記載された断面形状に対応する改質目的は、上記aで挙げた甲2発明が解決しようとする課題と共通していない。また、断面形状も「丸/異形/丸中空/異形中空」と羅列され、特定の形状とされていない。そうすると、断面形状が丸のファイバータイプの不織布用PET短繊維を採用し、本件発明1の「断面周囲が平滑な断面円形状」とする動機はない。 d さらに、甲4~6には、断面周囲が平滑な断面円形状であるポリエチレンテレフタレート繊維を不織布に用いることは記載されておらず、甲4~6の記載は、上記判断を変えるものではない。 e 以上のとおりであるから、甲4~6、10の記載を参酌しても、甲2発明を、相違点4に係る本件発明1の構成を備えるものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。 ウ 小括 上記イのとおりであるから、本件発明1は、甲2発明ではなく、甲4~6、10の記載を参酌しても、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)本件発明2~5について 請求項2~5の記載は、請求項1の記載を引用するものであるところ、本件発明2~5は、本件発明1の構成をすべて備えるものであるから、本件発明2~5と甲2発明とは、少なくとも上記(1)ア(オ)の相違点3、4と同様の点で相違する。 よって、上記(1)イ及びウにおける検討と同様に、本件発明2~5は、甲2発明ではなく、また、甲4~6、10の記載を参酌しても、 甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 3 サポート要件について(申立理由5) (1)申立人の主張 申立人は、令和7年4月15日提出の特許異議申立書第22頁下から9行~第23頁下から2行において、本件発明は、低コストであり、かつ、汚れ等の拭き取り用途として使用する場合には、高い拭き取り性と軽い力で拭ける作業性・操作性を両立でき、また、払拭面を傷付け難く、化粧料等を肌に付与する化粧料含浸パックシートの用途として使用する場合には、柔らかさと取扱性を両立できるスパンレース不織布の提供を課題とするところ([0010])、本件特許明細書の実施例において課題が解決できることが確かめられているのは、繊維長が38~40mmであり単糸繊度が1.2~1.3dtexであるレーヨン繊維(単一繊維、非分割型繊維)と、繊経長が38~40mmであり単糸繊度が1.5dtexでレーヨン繊維の単糸繊度に対する単糸繊度の比率が1.15~1.25であるPET繊維(単一繊維、非分割型繊維)を使用した態様のみであり([0065]、[0066]、[0069])、単糸繊度が1.3dtexを超えているレーヨン繊維と、単糸繊度が1.5dtexを超えており、レーヨン繊維の単糸繊度に対する単糸繊度の比率が1.25を超えるPET繊維を使用した場合でも上記課題を解決できることは示されていないから、実施例1の態様を、本件発明1~5の範囲まで拡張ないし一般化することはできない旨主張している。 (2)当審の判断 ア 本件特許明細書の段落0010には、「本発明は、低コストであり、かつ、汚れ等の拭き取り用途として使用する場合には、高い拭き取り性と軽い力で拭ける作業性・操作性を両立でき、また、払拭面を傷付け難く、化粧料等を肌に付与する化粧料含浸パックシートの用途として使用する場合には、柔らかさと取扱性を両立できるスパンレース不織布の提供を課題とするものである。」と記載されている。 よって、本件発明が解決しようとする課題は、低コストであり、かつ、汚れ等の拭き取り用途として使用する場合には、高い拭き取り性と軽い力で拭ける作業性・操作性を両立でき、また、払拭面を傷付け難く、化粧料等を肌に付与する化粧料含浸パックシートの用途として使用する場合には、柔らかさと取扱性を両立できるスパンレース不織布を提供することである。 イ また、本件特許明細書の段落0035には、「レーヨン繊維の繊度が1.0dtex以下のものでは、後述する不織布の製造ラインにおいてウェブ形成時におけるカード機を詰まらせやすく」、「コスト上昇を招いてしまう。」、「レーヨン繊維の繊度が1.5dtexを超えるものでは、不織布の高い緻密性、絡合強度が得られず、機械的強度が低下し、柔軟さがあっても破れやすいものとなる。また、低密で絡合強度が弱くなるうえ、伸びやすくもなるから、クリーニングシート等の拭き取り用途では」、「拭き取り性能に劣るものとなる。特に、不織布が伸びやいと」「不織布がヨレやすい。不織布にヨレが生じると」「操作性、作業性が悪くなるから、使い勝手が悪いものとなる。」と記載され、同じく段落0036には、「合成繊維とレーヨン繊維の単糸繊度の比率(合成繊維の単糸繊度/レーヨン繊維の単糸繊度)が1.0未満のものでは」「破れやすいものとなる。更に、コシがなくなり、フェイスマスク等のスキンケア用途では、取扱い難いものとなる。」「合成繊維とレーヨン繊維の単糸繊度の比率(合成繊維の単糸繊度/レーヨン繊維の単糸繊度)が4.0を超えると、レーヨン繊維及び合成繊維の繊度差が大き過ぎることで」「細繊度のレーヨン繊維と合成繊維との絡みが少なくなり、地合いが低下する。」「また、化粧料等を肌に付与するフェイスマスク等の用途では、柔らかさが低下し、肌当たり感や肌触り感に欠けるものとなる。」と記載され、段落0050には、「合成繊維が太すぎると」、「拭き取り性能が低下する。また」、「滑り性も悪くなる。一方で、繊維が細すぎるものは、コスト高となり、また、コシが低下し、繊維が切れやすくもなる。更に」「滑り性が低下する。」「合成繊維の単繊維繊度が、好ましくは、1.3~4.0dtexの範囲内であれば、適度な柔らかさ、しなやかさと」、「コシのある機械的強度とがバランスし、汚れ等の拭き取り用途では、拭き取り性と軽い力で拭ける操作性、作業性が安定して得られ、また、フェイスマスク等のスキンケア用途では、柔らかくもコシがある特性により薄くしても取扱い時に破れ難いものとなる。」と記載されている。 ウ したがって、本件特許明細書には、レーヨン繊維の繊度が小さ過ぎると、製造ラインにおいてカード機を詰まらせやすく、コスト上昇を招き、レーヨン繊維の繊度が大きすぎると、不織布の高い緻密性、絡合強度が得られず、拭き取り用途で拭き取り性能に劣り、かつ、操作性及び作業性が悪くなることが記載されると共に、単糸繊度/レーヨン繊維の単糸繊度が小さすぎると、破れやすく、コシがなくなり、スキンケア用途で取り扱い難いものとなり、単糸繊度/レーヨン繊維の単糸繊度が大きすぎると、細繊度のレーヨン繊維と合成繊維との絡みが少なくなり、フェイスマスク等の用途で柔らかさが低下することが記載され、さらに、合成繊維が太すぎると、拭き取り性能が低下すると共に滑り性が悪くなり、繊維が細すぎると、コスト高となると共に、コシが低下し、繊維が切れやすくなり、滑り性が低下すること、及び、合成繊維の単繊維繊度が、1.3~4.0dtexの範囲内であれば、適度な柔らかさ、しなやかさと、コシのある機械的強度とがバランスし、拭き取り用途では、拭き取り性と軽い力で拭ける操作性、作業性が安定して得られ、また、スキンケア用途では、柔らかくもコシがある特性により薄くしても取扱い時に破れ難いものとなることが記載されている。 エ そうすると、当業者は、「前記レーヨン繊維は、その単糸繊度が1.0dtexを超え、1.5dtex以下の範囲内で、断面周囲が凹凸形状のビスコースレーヨンであり、前記ポリエチレンテレフタレート繊維は、その単糸繊度が1.3dtex以上、4.0dtex以下の範囲内で、断面周囲が平滑な断面円形状であり、前記ポリエチレンテレフタレート繊維と前記レーヨン繊維の単糸繊度の比率が、ポリエチレンテレフタレート繊維/レーヨン繊維=1.0~4.0の範囲内である」ことが特定されている本件発明1は、上記アの課題を解決できると理解できる。 オ ここで、上記(1)の申立人の主張を検討すると、上述のとおり本件がサポート要件を満たすものであり、また、レーヨン繊維の繊度(dtex)が1.0以上1.2以下及び1.3以上1.5以下の範囲であり、ポリエチレンテレフタレート繊維(dtex)が1.0以上1.5未満、及び1.5超4.0未満の範囲であり、さらに、PET繊維の単糸繊度/レーヨン繊維の単糸繊度の比率が1.0以上1.15未満及び1.25以上4.0未満の範囲である場合に、上記アの課題を解決できない特段の事情を認めることはできない。 カ 以上のとおりであるから、請求項1に係る発明の範囲まで、本件特許明細書の発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化することができないとはいえない。 請求項1を引用する請求項2~5に係る発明についても同様である。 よって、申立人の主張は採用できない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、申立人が主張する特許異議の申立ての理由によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に、請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700425

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