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特許異議申立

2024-700644

アレルギーの抗原およびそのエピトープ

審判番号
2024-700644
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-110700
登録番号
7420330
請求日
2024年07月10日
審決日
2025年07月08日
公報発行日
2025年10月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】学校法人藤田学園
  • 【権利者代理人】山本 修
  • 【権利者代理人】泉谷 玲子
  • 【権利者】ホーユー株式会社
  • 【権利者代理人】山本 修
  • 【権利者代理人】泉谷 玲子
  • 【異議申立人】シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
  • 【異議申立人代理人】結田 純次
  • 【異議申立人代理人】守安 智
審判長/審判官
  • 審判長 加々美 一恵
  • 審判官 萩田 裕介
  • 審判官 松本 隆彦
分類
P1652.113-YAA(G01N) / P1652.121-YAA(G01N) / P1652.537-YAA(G01N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7420330号発明「アレルギーの抗原およびそのエピトープ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 第7420330号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲とおり、訂正後の請求項〔1~10〕について訂正することを認める。 第7420330号の請求項1~5、8及び9に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7420330号(以下、「本件特許」という。)に係る出願は、令和元年6月13日の出願であって、令和6年1月15日に特許権の設定登録(請求項の数10)がされ、同年1月23日に特許掲載公報が発行され、その後、同年7月10日にシーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものであり、当審は、同年11月6日付けで取消理由通知を通知し、特許権者から、その指定期間内である令和7年1月9日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされたものである。 なお、当審は、令和7年2月12日付けで申立人に期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人からはその指定期間内に何らの応答もなかった。 第2 本件訂正請求について 1 本件訂正請求の内容 本件訂正請求の内容(以下、「本件訂正」という。)は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「(E3)配列番号191-195、199-202、205-212、214、217-221、223、225、226、228、230-232、234-237、239、241、242、244,246-248,251、254-257、260-265、267、268、270-272、274-279、および2881のアミノ酸配列から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド;」とあるのを、 「(E3)配列番号191、194、195、199、200、208-212、214、217、221、223、225、228、230-232、234-237、239、241、242、244,247、254-257、260-265、267、270、274-278、および2881のアミノ酸配列から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド;」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項8に 「請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチドを含む」とあるのを、 「請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチドの少なくとも一つを含む」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項9に 「請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチド」(2カ所)とあるのを、 「請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチドの少なくとも一つ」に訂正する。 2 一群の請求項について 訂正前の請求項2~4、請求項6~10は、「請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチド」と、請求項1に記載のポリペプチドを引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。また、訂正前の請求項5は、請求項4を直接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1のポリペプチドを引用する請求項4に連動して訂正されるものである。 したがって、本件訂正は、本件訂正前の請求項1~10についての訂正であり、本件訂正前の請求項2~10は、請求項1の記載を直接または間接的に引用するものであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対して請求されたものである。 3 訂正事項について (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1の(E3)のポリペプチドの選択肢のうち、特定のポリペプチド、具体的には、「配列番号192、193、201、202、205、206、207、218、219、220、226、246、248、251、268、271、272、279のアミノ酸配列から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド」を削除するものであり、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、訂正前の請求項1の(E3)のポリペプチドの選択肢のうち、特定のポリペプチド、具体的には、「配列番号192、193、201、202、205、206、207、218、219、220、226、246、248、251、268、271、272、279 のアミノ酸配列から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド」の削除するものである。よって、訂正事項1は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、訂正前の請求項1の(E3)のポリペプチドの選択肢のうち、特定のポリペプチド、具体的には、「配列番号192、193、201、202、205、206、207、218、219、220、226、246、248、251、268、271、272、279のアミノ酸配列から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド」の削除するものである。よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (2)訂正事項2、3 ア 訂正の目的 訂正事項2は、請求項8のテスター組成物に含まれる「請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチド」を、「請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチドの少なくとも一つ」と訂正するものであり、訂正事項3は、請求項9の「請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチド」(2か所)を、「請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチドの少なくともとも一つ」と、訂正するものである。 これらは、訂正前の上記各記載が、「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」の全てのペプチドを含むことを意味しているのか、それとも「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」の少なくともいずれか1つ以上のポリペプチドを含むことを意味しているのかが明確でなかったところ、後記ウのとおり、本来後者の意味であることが明らかであるから、それを明確にするよう訂正するものである。 よって、訂正事項2、3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とする。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと アで検討したように、訂正事項2、3は、訂正前の請求項8、9の記載を本来の意味であることを明確にするだけのものであるから、その範囲は、実質上、訂正前の請求項8、9の記載と変わりがない。 よって、訂正事項2、3は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること (ア)訂正事項2 本件特許の明細書の段落0265は、対象(ヒト等の生体)から得られた試料中におけるIgE抗体と抗原(タンパク質抗原又はエピトープ抗原)の間の結合を検出するための、抗原(タンパク質抗原又はエピトープ抗原)を含む組成物、即ち、請求項8のテスター組成物を記載している。 「【0265】 本発明はまた、・・・対象(ヒト等の生体)から得られた試料中におけるIgE抗体と抗原(タンパク質抗原又はエピトープ抗原)の間の結合を検出するための、抗原(タンパク質抗原又はエピトープ抗原)を含むキット又は組成物、対象(ヒト等の生体)から得られた試料中におけるIgE抗体と抗原(タンパク質抗原又はエピトープ抗原)の間の結合を検出するための、抗原(タンパク質抗原又はエピトープ抗原)を含むキット又は組成物の使用に関する。「抗原」等の各用語については上述した通りである。」 そして、例えば、以下に摘記する段落0200-0201等より、請求項8のテスター組成物に含まれるエピトープ抗原(ポリペプチド)は、少なくとも1つであれば足り、全ての種類のエピトープ抗原(ポリペプチド)が含まれる必要はないことが理解される。 「【0200】 非限定的に、本発明のエピトープ抗原は、好ましくは以下のポリペプチドの少なくとも1つを含む。 【0201】 ・・・ (E3)配列番号191-280(227,259,269及び273を除く)及び2881のアミノ酸配列から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド;」 よって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (イ)訂正事項3 「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」として特定されるポリペプチドは、一つ一つが、本件特許発明において見いだされたエピトープ抗原であり、本件特許の明細書の段落0252-0253(以下の摘記を参照。)は、「原料・加工品中の有無を判定する方法」について記載している。当該方法の一態様において、(E1)-(E50)のアミノ酸配列を含むポリペプチドの少なくとも一つに対する抗体を、原料・加工品(液体を含む)と接触させる、ことを記載していることから、「前記原料・加工品中に請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチドの少なくとも一つを検出」することが開示されていると認められる。 「【0252】 ポリペプチドの有無の判定方法(2) 本発明は、上記(E1)-(E50)のアミノ酸配列を含むポリペプチドの原料・加工品中の有無を判定する方法を含む。当該方法は、原料・加工品中に上記(E1)-(E50)のアミノ酸配列を含むポリペプチドのアミノ酸配列の全体又は部分を有するポリペプチドを検出することを含む。 【0253】 一態様において、本発明の方法は、上記(E1)-(E50)のアミノ酸配列を含むポリペプチドの少なくとも一つに対する抗体を、原料・加工品(液体を含む)と接触させることを含む、上記(E1)-(E50)のアミノ酸配列を含むポリペプチドの対象物質中の有無を判定する、工程を含む。」 したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正に相当し、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (3)独立特許要件 訂正事項1は、上記(1)アに示したとおり「特許請求の範囲の減縮」を目的とするところ、本件においては訂正前の請求項6、7、10は特許異議の申立てがされていないので、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定により、訂正後の請求項6、7、10に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。 そこで、訂正後の請求項6、7、10に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かを検討すると、後記「第3 本件発明」に示すとおり、訂正後の請求項6、7、10に係る発明は訂正後の請求項1を引用する発明であるところ、後記「第5 当審の判断」に示すとおり、訂正後の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号及び同条第2項に規定された特許要件を満たさないものとはいえず、また、同法第36条第6項第2号に規定された要件を満たさないものでもなく、さらに、他にこれら発明についての特許を取り消すべき理由も見いだせないことから、訂正後の請求項1を引用する訂正後の請求項6、7、10に係る発明が、独立特許要件を満たさないとする理由はない。 よって、訂正後の請求項6、7、10に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合する。 4 小括 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号および第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合し、同条第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合する。 よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正後の本件特許に係る発明 前記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正後の請求項1~10(以下「本件請求項1」~「本件請求項10」ということがある。)の記載は、令和7年1月9日受付の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された以下のとおりのものである(下線は本件訂正による記載の変更箇所を示す。)。 そして、本件請求項1~10に係る発明は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~10に記載された以下の事項により特定されるとおりのものであると認める(以下「本件発明1」~「本件発明10」といい、まとめて「本件発明」ということがある。)。 「【請求項1】 以下の(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)のポリペプチドの少なくとも一つを含む、アレルギーの診断キット。 (E1)配列番号29、36-39、44-46、48、50-56、59-66、68-71、73-75、77-91、93-100、103、104、107-110、112-118、120-130、および2880のアミノ酸配列から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド; (E3)配列番号191、194、195、199、200、208-212、214、217、221、223、225、228、230-232、234-237、239、241、242、244,247、254-257、260-265、267、270、274-278、および2881のアミノ酸配列から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド; (E8)配列番号562,564、565、569-572、575、576、578、580-583、585、587-597、599-627、および629-639のアミノ酸配列から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド; (E18)配列番号1209、1215、1218、1219、1223、1224、1226-1231、1234-1238、1241-1250、および1252-1256のアミノ酸配列から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド; あるいは、 (E39)配列番号2309、2311、2312、2314、2318、2321、2323、2325、2327、2332、2336、および2341のアミノ酸配列か ら選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド; 【請求項2】 アレルギーの診断用組成物であって、請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチドの少なくとも1つを含む、前記診断用組成物。 【請求項3】 対象のアレルギーを診断するための指標を提供する方法であって、以下の工程: (i)対象から得られた試料を抗原に接触させる、ここで当該試料はIgE抗体が含まれる溶液である; (ii)対象から得られた試料中のIgE抗体と当該抗原との結合を検出する; (iii)対象のIgE抗体と当該抗原との結合が検出された場合、対象がアレルギーであることの指標が提供される; を含み、ここで当該抗原は、請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチドの少なくとも一つである、前記方法。 【請求項4】 アレルギーの原因となる抗原であって、請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチドの少なくとも一つである、前記抗原。 【請求項5】 請求項4に記載の抗原の少なくとも一つを含む組成物。 【請求項6】 請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として 特定されるポリペプチドの少なくとも一つと結合する抗体を含む、対象における抗原の有無を判定するためのテスター組成物。 【請求項7】 請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチド、をコードする核酸の塩基配列の一部及び/またはその相補鎖の一部を含むプライマー、を少なくとも1つ含む、対象物における抗原の有無を判定するためのテスター組成物。 【請求項8】 請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチドの少なくとも一つを含む、対象におけるIgE抗体の有無を判定するためのテスター組成物。 【請求項9】 請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチドの少なくとも一つの原料・加工品中の有無を判定する方法であって、前記原料・加工品中に請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチドの少なくとも一つを検出する、ことを含む、前記方法。 【請求項10】 抗原を含有しないまたは含有量の少ない加工品の製造方法であって、当該加工品の製造過程で抗原が除去若しくは低減されていることを確認するステップを有し、ここで当該抗原は請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチドの少なくとも一つである、前記製造方法。」 第4 特許異議の申立ての理由の概要、取消理由の概要及び証拠方法 1 特許異議の申立ての理由の概要 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。 <申立理由1> (新規性)本件特許の以下の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された(2で後述する)刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 ・本件発明1~3、8に対して、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証又は甲第5号証 ・本件発明4、5に対して、甲第1号証又は甲第5号証 ・本件発明9に対して、甲第1号証又は甲第4号証 <申立理由2> (進歩性)本件特許の以下の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された(2で後述する)刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願(優先日)前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、以下の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 ・本件発明1~3に対して、甲第7号証、甲第8号証または甲第9号証、及び甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証のいずれか一つ ・本件発明4、5に対して、甲第1号証 ・本件発明8に対して、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証又は甲第4号証 ・本件発明9に対して、甲第1号証又は甲第4号証 <申立理由3> (明確性)本件特許の請求項8、9に係る発明は、特許請求の範囲の記載が以下の点で明確でないから、請求項8、9に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 請求項8、9の「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチド」という記載が、(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)のすべてのポリペプチドを指すのか、(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)のいずれか1つ以上のポリペプチドを指すのかが不明確である。 2 申立人が提出した証拠 申立人が提出した証拠は、次のとおりである。(以下、甲第1号証~甲第9号証を、それぞれ「甲1」~「甲9」という。) 甲第1号証:H. Matsuo et al., Molecular cloning, recombinant expression and IgE-binding epitope of ω-5 gliadin, a major allergen in wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis, FEBS Journal, 2005, vol.272, p.44331-4438 甲第2号証:H. Matsuo et al.、Sensitivity and specificity of recombinant ω-5 gliadin-specific IgE measurement for the diagnosis of wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis、Allergy, 2008, vol.63, p.233-236 甲第3号証:H. Matsumo et al. Identification of the IgE-binding Epitope in ω-5 Gliadin, a Major Allergen in Wheat-dependent Exercise-induced Anaphylaxis, The Journal of Biological Chemistry, 2004, vol.279, No.12135-12140 甲第4号証:N. Maruyama et al., Identification of major wheat allergens by means of the Escherichia coli expression system, Eur. J. Biochem., 1998, Vol.255, p.739-745 甲第5号証:特表2014-508517号公報 甲第6号証:H, Matsuo, et al. Common food allergens and their IgE-binding epitopes, Allergology International, 2015, vol.64, p.332-343 甲第7号証:再公表特許WO2017/209287号 甲第8号証:再公表特許WO2017/217128号 甲第9号証:特許第5894695号公報 3 取消理由の概要 当審において、令和6年11月6日付け取消理由通知書で通知した取消理由(以下「取消理由」という。)の概要は、以下のとおりである。 理由1:(新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 理由2:(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願(優先日)前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 理由3:(明確性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、特許請求の範囲の記載が下記の点で明確でないから、下記の請求項に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 記 ●理由1(新規性)及び理由2(進歩性) ・本件発明1~5、8に対して、甲1、甲2、甲3、甲4又は甲5に記載の発明 ・本件発明1~3に対して、甲7、甲8又は甲9に記載の発明、及び甲2~4のいずれかの記載事項 ・本件発明9に対して、甲1又は甲4に記載の発明 ●理由3(明確性) 本件特許の請求項8に「請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチドを含む、」と記載されている。この記載は、「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」の全てのペプチドを含むことを意味しているのか、それとも「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれか1つ以上のポリペプチドを含むことを意味しているのかが明確でない。 本件特許の請求項9の「前記原料・加工品中に請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチドを検出する」という記載についても同様に明確でない。 したがって、本件特許の請求項8、9に係る発明は明確ではない。 以上 第5 当審の判断 本件発明1~5、8、9に係る特許は、当審において通知した取消理由通知に記載した取消理由、及び、特許異議申立書に記載された申立理由によっては、取り消すことはできないと判断する。 その理由は以下のとおりであるが、申立理由1~3は、それぞれ取消理由1~3と同旨であるから、申立理由1~3は、それぞれ取消理由1~3とまとめて検討する。 1 取消理由1(申立理由1)、取消理由2(申立理由2)について (1)証拠について ア 甲1 (ア)甲1の記載 甲1には、以下の記載がある。 (甲1-1)(第4431頁アブストラクト) 「Wheat ω-5 gliadin has been identified as a major allergen in wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis. We have detected seven IgE-binding epitopes in primary sequence of the protein. We newly identified four additional IgE-binding epitope sequences, QQFHQQQ, QSPEQQQ, YQQYPQQ and QQPPQQ, in three patients with wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis in this study. Diagnosis and therapy of food allergy would benefit from the availability of defined recombinant allergens. However, because ω-5 gliadin gene has not been cloned, recombinant protein is currently unavailable. We sought to clone the ω-5 gliadin gene and produce the homogeneous recombinant protein for use in an in vitro diagnostic tool. Using a PCR-based strategy we isolated two full-length ω-5 gliadin genes, designated ω-5 and ω-5b, from wheat genomic DNA and determined the nucleotide sequences. The protein encoded by ω-5a was predicted to be 439 amino acids long with a calculated mass of 53 kDa; the ω-5b gene would encode a 393 amino acid, but it contains two stop codons indicating that ω-5b is pseudogene. The C-terminal half (178 amino acids) of the ω-5a gliadin protein, including all 11 IgE-binding epitope sequences, was expressed in Escherichia coli by means of the pET system and purified using RP-HPLC. Western blot analysis and dot blot inhibition assay of recombinant and native ω-5 gliadin purified from wheat flour demonstrated that recombinant protein had IgE-binding ability. Our results suggest that the recombinant protein can be a useful tool for identifying patients with wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis in vitro.」(摘記中の下線は当審が付したものである。以下同様。) (下線部当審訳)「コムギω-5グリアジンは、コムギ依存性運動誘発性アナフィラキシーの主要なアレルゲンとして同定されている。・・・PCR法を用いて、コムギゲノムDNAからω-5とω-5bと命名した2つの完全長ω-5グリアジン遺伝子を単離し、ヌクレオチド配列を決定した。ω-5aによりコードされるタンパク質は439アミノ酸長で、計算質量は53kDaであると予測された。・・・すべての11のIgE結合エピトープ配列を含むω-5aグリアジンタンパク質のC末端半分(178アミノ酸)をpETシステムにより大腸菌で発現させ、RP-HPLCを用いて精製した。組換えおよび小麦粉から精製した天然ω-5グリアジンのウェスタンブロット分析およびドットブロット阻害アッセイにより、組換えタンパク質がIgE結合能を有することが示された。これらの結果から、組換えタンパク質はin vitroでコムギ依存性運動誘発性アナフィラキシー患者を同定するための有用なツールとなり得ることが示唆された。」 (甲1-2)(第4432頁左欄下から第8行~右欄第8行) 「Identification of IgE-binding epitopes in ω-5 gliadin The IgE-binding epitopes of ω-5 gliadin were analysed in three patients with WDEIA. The detected amino acid sequences of IgE-binding epitopes are summarized in Table 1. The serum IgE antibodies of patient one reacted to QQIPQQQ, QQLPQQQ, QQFPQQQ, QQSPEQQ, QQSPQQQ, QQYPQQQ and QQPPQQ. The serum of patient two had specific IgE antibodies to QQIPQQQ, QQFPQQQ, QQSPEQQ, QQSPQQQ and YQQYPQQ. The serum of patient three had specific IgE antibodies to QQFPQQQ, QSPEQQQ, YQQYPQQ and QQFHQQQ. Among these IgE binding epitope sequences, QQPPQQ, YQQYPQQ, QSPEQQQ and QQFHQQQ, were newly detected in this study.」 (当審訳)「ω-5グリアジン中のIgE結合エピトープの同定 WDEIAの3人の患者でω-5グリアジンのIgE結合エピトープを分析した。検出されたIgE結合エピトープのアミノ酸配列を表1にまとめた。症例1の血清中IgE抗体はQQIPQQQ、QQLPQQQ、QQFPQQQ、QQSPEQQ、QQSPQQQ、QQYPQQQ、QQPPQQに反応した。症例2の血清はQQIPQQQ、QQFPQQQ、QQSPEQQ、QQSPQQQ、YQQYPQQに対する特異的IgE抗体を有していた。症例3の血清はQQFPQQQ、QSPEQQQ、YQQYPQQ、QQFHQQQに対する特異的IgE抗体を有していた。これらのIgE結合エピトープ配列のうち、QQPPQQ、YQQYPQQ、QSPEQQQ、QQFHQQQは本研究で新たに検出された。」 (甲1-3)(第4432頁左欄表1) [図:0001427947000001.jpg] (当審訳)「表1 WDEIA患者のIgE結合エピトープ配列。白丸は、この研究でIgE結合エピトープが示されたことを示している。」 (甲1-4)(第4432頁右欄第9行~第4434頁左欄第8行) 「Molecular cloning and sequence of ω-5 gliadin gene Many kinds of genes encoding gliadins such as a-gliadin, c-gliadin and ω-gliadin, have been cloned from common wheat (T. aestivum) and sequenced. The sequence data of gliadin genes showed that the gliadin gene contains no introns [11-16]. It was therefore decided to clone genomic gene encoding ω-5 gliadin using PCR method. To amplify the coding region of the ω-5 gliadin gene, PCR primers were designed at the position of the initiation and termination codons of the gene based on the nucleotide sequences extracted from a database of wheat expressed sequence tags (ESTs). A high-fidelity DNA polymerase was used to reduce the risk of introducing errors into the sequence. Amplification of genes from wheat genomic DNA produced two products designated ω-5a and ω-5b, of 1.4 and 1.2 kb, respectively (Fig. 1). Both genes were cloned into Escherichia coli XL-10 Gold and the nucleotide sequence was determined. The ω-5a gene consists of 1413 bp and has an ORF throughout the entire 1317 bp coding region. The nucleotide and deduced amino acid sequences are shown in Fig. 2. The nucleotide sequence of the ω-5b gene ) which has 1275 bp ) is almost identical to that of ω-5a gene except that the repetitive domain is 138 bp shorter. It has a 1179-bp ORF, but there are stop codons at positions 288 and 1170. The nucleotide sequences obtained from this study have been deposited in the DDBJ database under accession numbers AB181300 and AB181301. The protein encoded by the ω-5a gene is found to have 439 amino acid residues with a putative signal peptide of 19 amino acids. The molecular mass of the protein without the signal sequence was calculated to be 50 900.」 (下線部当審訳)「ω-5グリアジン遺伝子の分子クローニングおよび配列決定 ・・・ω-5a遺伝子は1413bpからなり、1317bpのコード領域全体にORFが存在する。ヌクレオチド配列と推定アミノ酸配列を図2に示す。・・・」 (甲1-5)(第4433頁図2) [図:0001427947000002.jpg] (当審訳)「図2 ω-5aとω-5bグリアジン遺伝子の塩基配列とアミノ酸配列。ストップコドンはアスタリスクで示す。ダッシュはアラインメントのギャップを示す。シグナル配列は下線で示す。矢印は組換え発現タンパク質の領域を示す。」 (甲1-6)(第4434頁左欄第9行~右欄第13行) 「Expression in E. coli and purification of recombinant ω-5 gliadin As DNA encoding the full-length ω-5a gliadin protein could not subcloned into the E. coli expression vector because of plasmid instability we tried to produce half of the protein: the C-terminal 178 amino acids, at position 813-1346 in ω-5a gene in Fig. 2, includes all of the detected IgE-binding epitope sequences. After amplification of the DNA encoding this half of the ω-5a gliadin protein by PCR, the DNA fragment was inserted into the expression vector pET-21a. E. coli Rosetta (DE3) was used as a host strain as the ω-5a gene has a lot of rare E. coli codons. As shown in Fig. 3 lane 2 a high level of expression of recombinant protein, designated rO5GC, was obtained. The ω-5 gliadin purified from wheat flour is slightly soluble in water and soluble in 70% ethanol, whereas the rOG5C protein is soluble in both water and 70% ethanol. Therefore the recombinant protein was extracted with TBS buffer and then 70% ethanol, and was separated to homogeneity by RP-HPLC (Fig. 3, lane 4). The apparent molecular mass (27.2 kDa) of the rOG5C determined by SDS-PAGE was higher than the molecular mass (21.7 kDa) calculated from the amino acid sequence. It was confirmed that the first 10 amino acids from the N terminus was MQQQFPQQQS-identical to that deduced from the nucleotide sequence of ω-5a gene except the first methionine. Approximately 2.4 mg recombinant protein was purified from 1 L bacterial culture.」 (下線部当審訳)「大腸菌における発現および組換えω-5グリアジンの精製 ・・・図2のω-5a遺伝子の813-1346位のC末端178アミノ酸には、検出されたIgE結合エピトープ配列がすべて含まれていた。このω-5aグリアジンタンパク質の半分をコードするDNAをPCRで増幅した後、DNA断片を発現ベクターpET-21aに挿入した。ω-5a遺伝子には希少なE.coliコドンが多く含まれていることから、E.coli Rosetta(DE3)を宿主株として用いた。図3レーン2に示すように、rO5GCと命名された組換えタンパク質の高レベルの発現が得られた。小麦粉から精製したω-5グリアジンは水に溶けにくく、70%エタノールには溶けるが、rOG5Cタンパク質は水と70%エタノールの両方に溶けた。したがって、組換えタンパク質をTBS緩衝液、次いで70%エタノールで抽出し、RP-HPLCで均一に分離した(図3レーン4)。SDS/PAGEで測定したrOG5Cの見かけの分子質量(27.2kDa)は、アミノ酸配列から計算した分子質量(21.7kDa)よりも高かった。N末端から最初の10アミノ酸は、第一メチオニンを除いて、ω-5a遺伝子のヌクレオチド配列から推定されたものとMQQQFPQQQS的に同一であることが確認された。・・・」 (甲1-7)(第4434頁右欄第14~34行) 「IgE-binding reactivity of native and recombinant ω-5 gliadin The native ω-5 gliadin (nO5G) was purified from a gliadin mixture by RP-HPLC and we confirmed that the N-terminal sequence (S GRMLSPRG) was identical to that of ω-5 gliadin reported previously [9]. Immunoblot analysis was performed on serum from each of the three patients with WDEIA and who had been diagnosed by provocation test, to compare the IgEbinding ability of nOG5 and rOG5C. The IgE antibodies in the sera of all three patients recognized both nOG5 and rOG5C whereas no IgE reactivity was observed in normal controls (Fig. 4). In a further step we investigated whether rOG5C shares the IgE-binding epitopes in nOG5 by dot blot inhibition experiments with sera of the three patients. The binding of IgE to nOG5 was completely inhibited by increasing amounts of rOG5C in all patients. At an inhibitor concentration of 0.1 and 1 lμg・mL-1, nOG5 inhibited IgE binding more effectively than rOG5C (Fig. 5).」 (当審訳)「天然および組換えω-5グリアジンのIgE結合反応性 天然のω-5グリアジン(nO5G)をグリアジン混合物からRP-HPLCにより精製し、N末端配列(S/GRMLSPRG)が以前に報告されたω-5グリアジンと同一であることを確認した。誘発試験で診断されたWDEIAの3人の患者のそれぞれの血清についてイムノブロット分析を行い、nOG5とrOG5CのIgE結合能を比較した。すべての3人の患者の血清中のIgE抗体はnOG5とrOG5Cの両方を認識したが、正常対照ではIgE反応性は観察されなかった(図4)。 さらに、rOG5CがnOG5のIgE結合エピトープを共有しているかどうかを、3人の患者の血清を用いたドットブロット阻害実験により調べた。nOG5へのIgEの結合は、すべての患者でrOG5Cの量を増やすことによって完全に阻害された。阻害剤濃度0.1および1μg・mL-1では、nOG5はrOG5Cよりも効果的にIgE結合を阻害した(図5)。」 (甲1-8)(第4436頁右欄第23~29行) 「Identification of IgE-binding epitope inω-5 gliadin Overlapping peptides of ω-5 gliadin were synthesized on SPOTs membranes (Sigma-Genosys, The Woodlands, TX, USA); sera from three patients with WDEIA and a positive provocation test result were used to probe the membrane as described previously [4].」 (当審訳)「ω-5グリアジン中のIgE結合エピトープの同定 ω-5グリアジンの重複ペプチドをSPOT膜(Sigma-Genosys、The Woodlands、TX、USA)上で合成し、WDEIAおよび陽性誘発試験結果を有する3人の患者からの血清を用いて、以前に記載されたように膜をプローブした。」 (甲1-9)(第4437頁右欄第13~28行) 「SDS-PAGE and immunoblotting SDS -PAGE was performed with 12.5% acrylamide gel and fractionated proteins were visualized by staining with Coomassie brilliant blue staining. For western blotting, the fractionated protein was transferred electrophoretically to a polyvinylidene difluoride membrane (Immobilon-P, Millipore, Billerica, MA, USA) and blocked with 5% skim milk in TBST (50 mm Tris-bufferd, sa1ine 1 % Tween 20, pH 4.7). The membrane was washed three times with TBST and then probed with a 1 : 10 dilution of the patients’ serum. After washing with TBST, the membrane was incubated with horseradish peroxidase-conjugated goat antihuman IgE (BioSource, Camarillo, CA, USA). To detect human IgE binding, ECL Plus Western blotting detection reagents (Amersham Biosciences, London, UK) was used. The resulting light was detected on autoradiography film.」 (当審訳)「SDS/PAGEおよびイムノブロット法 12.5%アクリルアミドゲルを用いてSDS/PAGEを行い、分画されたタンパク質をクーマシーブリリアントブルー染色で染色して可視化した。ウェスタンブロット法では、分画されたタンパク質をポリビニリデンジフルオリド膜(Immobilon-P、Millipore、Billerica、MA、USA)に電気泳動的に転写し、TBST(50mm Tris-bufferd、sa 1%Tween 20、pH4.7)中の5%スキムミルクでブロックした。膜をTBSTで3回洗浄し、患者血清の1:10希釈でプローブした。TBSTで洗浄した後、膜を西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgE(BioSource、Camarillo、CA、USA)とインキュベートした。ヒトIgE結合を検出するために、ECL Plusウェスタンブロット検出試薬(Amersham Biosciences、London、UK)を用いた。得られた光をオートラジオグラフィーフィルムで検出した。」 (甲1-10)(第4437頁右欄第29~41行) 「Dot blot immunoassay for inhibition test Dot blots were performed by applying 2 lg of the native ω-5 gliadin onto a polyvinylidene difluoride membrane (Immobilon-P) using a dot-blot manifold. After blocking with 5% skim milk in TBST the blots were washed three times with TBST for 10 min. The membrane was then incubated with a 1 : 10 dilution of the patients’ serum that had been previously incubated with different concentrations of purified recombinant or native ω-5 gliadin overnight at 4 ℃. After washing with TBST, the bound IgE antibodies were detected as described above. After scanning the film, the spot intensities were measured using the Gel-Pro Analyzer software (Media Cybernetics Inc., Silver Spring, MD, USA).」 (当審訳)「阻害試験のためのドットブロットイムノアッセイ ドットブロットは、ドットブロットマニホールドを使用して、ポリビニリデンジフルオリド膜(Immobilon-P)上に2μgの天然のω-5グリアジンを適用することによって実施した。TBST中の5%スキムミルクでブロックした後、ブロットをTBSTで10分間3回洗浄した。次いで、膜を、予め異なる濃度の精製された組換えまたは天然のω-5グリアジンと4℃で一晩インキュベートした患者の血清の1:10希釈とインキュベートした。TBSTで洗浄した後、結合したIgE抗体を上記のように検出した。フィルムを走査した後、Gel-Pro Analyzerソフトウェア(Media Cybernetics Inc.、Silver Spring、MD、USA)を用いてスポット強度を測定した。」 (イ)甲1に記載の発明の認定 a 甲1-1発明 甲1には、コムギ依存性運動誘発性アナフィラキシー(以下、「WDEIA」ともいう。)患者の血清中に存在するIgEであって、ω-5グリアジンに対して結合性を有するものを検出するためのドットブロットイムノアッセイについて記載されている(摘記事項(甲1-7)、(甲1-10))。 具体的には、甲1には、上記患者血清中のω-5グリアジン結合性IgEを検出するにあたり、天然のω-5グリアジン、ポリビニリデンジフルオリド膜、スキムミルク、TBST、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgE、ウェスタンブロット検出試薬を使用した点が記載されている(摘記事項(甲1-7)、(甲1-9)、(甲1-10))。 さらに、甲1には、ω-5グリアジンの推定アミノ酸配列が、甲の第4431頁図2においてω-5aとして記載されている(摘記事項(甲1-5))。 そうすると、甲1には、以下の発明が記載されているといえる。 「WDEIA患者の血清中に存在し、ω-5グリアジンに対して結合性を有するIgEを検出するための物品の集合であって、ω-5グリアジン、ポリビニリデンジフルオリド膜、スキムミルク、TBST、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgE、ウェスタンブロット検出試薬等を含み、ω-5グリアジンが、甲1の第4431頁図2にω-5aとして示されたアミノ酸配列を含む、前記物品の集合。」(以下、「甲1-1発明」という。) b 甲1-2発明 甲1には、WDEIA患者の血清中に存在するIgEであって、ω-5グリアジンに対して結合性を有するものの検出について記載されている(摘記事項(甲1-8))。 具体的には、甲1には、上記患者血清中のω-5グリアジン結合性IgEを検出するにあたり、ω-5グリアジンの重複ペプチド、SPOT膜等を使用した点が記載されている(摘記事項(甲1-8))。 さらに、甲1の第4432頁左欄表1には、上記ω-5グリアジンの重複ペプチドに含まれるアミノ酸配列であって、WDEIA患者の血清IgEと反応するエピトープのアミノ酸配列が記載されている(摘記事項(甲1-2)、(甲1-3))。 そうすると、甲1には、以下の発明も記載されているといえる。 「WDEIA患者の血清中に存在し、ω-5グリアジンに対して結合性を有するIgEを検出するための物品の集合であって、ω-5グリアジンの重複ペプチド、SPOT膜等を含み、ω-5グリアジンの重複ペプチドが、甲1の第4432頁左欄表1に示されたアミノ酸配列を含む、物品の集合。」(以下、「甲1-2発明」という。) c 甲1-3発明 甲1には、WDEIA患者の血清中に存在するIgEであって、ω-5グリアジンに対して結合性を有するものを検出するためのSDS/PAGEおよびイムノブロット法について記載されている(摘記事項(甲1-7)、(甲1-9))。 具体的には、甲1には、上記患者血清中のω-5グリアジン結合性IgEを検出するにあたり、ω-5グリアジンのC末端半分(178アミノ酸)からなる組換えタンパク質(rOG5C、以下、「甲1組換えタンパク質」ともいう。)、ポリビニリデンジフルオリド膜、スキムミルク、TBST、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgE、ウェスタンブロット検出試薬等を用いて検出した点が記載されている(摘記事項(甲1-6)、(甲1-9))。 また、甲第1号証の第4433頁図2にはω-5グリアジンの推定アミノ酸配列がω-5aとして記載されている(摘記事項(甲1-3))。 そうすると、甲第1号証には、以下の発明も記載されているといえる。 「WDEIA患者の血清中に存在し、ω-5グリアジンに対して結合性を有するIgEを検出するための物品の集合であって、甲1組換えタンパク質、ポリビニリデンジフルオリド膜、スキムミルク、TBST、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgE、ウェスタンブロット検出試薬等を含み、前記組換えタンパク質が甲1の第4433頁図2にω-5aとして示されたアミノ酸配列のうちC末端から178個(第262~439位)のアミノ酸を含む、物品の集合。」(以下、「甲1-3発明」という。) d 甲1-4発明~甲1-6発明 上記ア~ウと同様にして、甲1-1発明、甲1-2発明及び甲1-3発明に対応するものとして、以下の発明が認定される。 「WDEIA患者の血清中に存在し、ω-5グリアジンに対して結合性を有するIgEを検出するためのω-5グリアジンであって、甲1の第4431頁図2にω-5aとして示されたアミノ酸配列を含む、前記ω-5グリアジン。」(以下、「甲1-4発明」という。) 「WDEIA患者の血清中に存在し、ω-5グリアジンに対して結合性を有するIgEを検出するためのω-5グリアジンの重複ペプチドであって、甲1の第4432頁左欄表1に示されたアミノ酸配列を含む、前記重複ペプチド。」(以下、「甲1-5発明」という。) 「WDEIA患者の血清中に存在し、ω-5グリアジンに対して結合性を有するIgEを検出するための甲1組換えタンパク質であって、甲1の第4433頁図2にω-5aとして示されたアミノ酸配列のうちC末端から178個(第262~439位)のアミノ酸を含む、甲1組換えタンパク質。」(以下、「甲1-6発明」という。) e 甲1-7発明 甲1には、WDEIA患者の血清中のω-5グリアジンに対して結合性を有するIgEを検出するためのイムノブロット試験が記載されている(摘記事項(甲1-7)、(甲1-9))。 具体的には、甲1には、上記のイムノブロット試験の手順について、精製した甲1組換えタンパク質(rOG5C)をアクリルアミドゲルを用いてSDS/PAGEを行った後、ポリビニリデンジフルオリド膜に電気泳動的に転写した点、当該膜を患者血清の希釈物でプローブした点が記載されている(摘記事項(甲1-7)、(甲1-9))。 さらに、甲1には、当該膜を患者血清の希釈物でプローブした後、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgEとインキュベートした点、ヒトIgE結合を検出するために、ECL Plusウェスタンブロット検出試薬を使用し、得られた光をオートラジオグラフィーフィルムで検出した点が記載されている(摘記事項(甲1-9))。 また、甲1組換えタンパク質は、ω-5グリアジンのC末端半分(178アミノ酸)からなるものであり、甲1の第4433頁図2にω-5aとして示されたアミノ酸配列の一部を有するものである(摘記事項(甲1-5))。 そうすると、甲1には以下の発明が記載されているといえる。 「WDEIA患者の血清中のω-5グリアジンに対して結合性を有するIgEを検出するための方法であって、 ポリビニリデンジフルオリド膜に転写された甲1組換えタンパク質を、WDEIA患者の血清であって、IgE抗体を含む血清の希釈物と接触させる工程; 当該膜における組換えタンパク質を、当該患者血清の希釈物と接触させた後に、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgEと、ヒトIgE結合を検出する試薬であるECL Plusウェスタンブロット検出試薬と接触させ、得られた光をオートラジオグラフィーフィルムで検出する工程を含み、 当該組換えタンパク質は、甲1の第4433頁図2にω-5aとして示されたアミノ酸配列のうちC末端から178個(第262~439位)のアミノ酸を含む、前記方法。」(以下、「甲1-7発明」という。) f 甲1-8発明 甲1には、WDEIAの主要なアレルゲンとして同定されている点が記載されている(摘記事項(甲1-1))。 また、甲1には、天然のω-5グリアジンをグリアジン混合物からRP-HPLCにより精製した点が記載されている(摘記事項(甲1-7))。 さらに、甲1には、ω-5グリアジンの推定アミノ酸配列が、第4431頁図2においてω-5aとして記載されている(摘記事項(甲1-5))。 そうすると、甲第1号証には以下の発明が記載されているといえる。 「WDEIAのアレルゲンであって、甲1の第4433頁図2にω-5aとして示されたアミノ酸配列を含む、ω-5グリアジン。」(以下、「甲1-8発明」という。) g 甲1-9発明 甲1には、ω-5グリアジンのC末端半分(178アミノ酸)からなる組換えタンパク質(甲1組換えタンパク質)が記載されている(摘記事項(甲1-1))。 また、甲1には、ω-5グリアジンの推定アミノ酸配列が、第4431頁図2においてω-5aとして記載されている(摘記事項(甲1-5))。 さらに、甲1には、甲1組換えタンパク質の分離・精製の具体的手順について、甲1組換えタンパク質をコードするDNAをPCRで増幅した後、DNA断片を発現ベクターpET-21aに挿入し、E.coli Rosettaに導入した点、甲1組換えタンパク質の高レベルの発現が得られた点、TBS緩衝液、次いで70%エタノールで抽出し、RP-HPLCで均一に分離した点、SDS/PAGEで測定したrOG5Cの見かけの分子質量(27.2kDa)は、アミノ酸配列から計算した分子質量(21.7kDa)よりも高かった点、N末端から最初の10アミノ酸は、第一メチオニンを除いて、ω-5a遺伝子のヌクレオチド配列から推定されたものと同一であることが確認された点が記載されている(摘記事項(甲1-6))。 そうすると、甲第1号証には以下の発明が記載されているといえる。 「甲1の第4433頁図2にω-5aとして示されたアミノ酸配列のうちC末端から178個(第262~439位)のアミノ酸配列をコードするDNAを含むプラスミドを大腸菌に導入し、発現した組換えタンパク質を抽出・分離し、前記組換えタンパク質の分子量とN末端から最初の10アミノ酸を確認する方法。」(以下、「甲1-9発明」という。) h 甲1-10発明 甲1には、天然のω-5グリアジン(nO5G)をグリアジン混合物からRP-HPLCにより精製した点、精製したnO5GのN末端配列(S/GRMLSPRG)が以前に報告されたω-5グリアジンと同一であることを確認した点が記載されている(摘記事項(甲1-7))。 また、甲第1号証には、ω-5グリアジンが、第4433頁図2にω-5aとして示されたアミノ酸配列を有することが記載されている(摘記事項(甲1-4)、(甲1-5))。 そうすると、甲第1号証には以下の発明も記載されているといえる。 「ω-5グリアジンをグリアジン混合物中から精製し、前記ω-5グリアジンのN末端配列が以前に報告されたω-5グリアジンと同一であることを確認する方法であって、前記ω-5グリアジンが甲1の第4433頁図2にω-5aとして示されたアミノ酸配列を含む、前記方法。」(以下、「甲1-10発明」という。) イ 甲2 (ア)甲2の記載 甲2には、次の記載がある。 (甲2-1)(第233頁アブストラクト) 「Background: A recent study has shown that the measurement of specific IgE antibodies to B-cell epitope peptides of wheat ω-5 gliadin (Pep A) and high molecular weight glutenin subunit (Pep B) are useful to diagnose wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis (WDEIA). Aims of the study: We sought to compare the sensitivity and specificity of the in vitro tests for measuring the specific IgE antibodies to recombinant ω-5 gliadin (rω-5 gliadin) with those for wheat, gluten, Pep A, and Pep B in identification of patients with WDEIA. Methods: Fifty patients with WDEIA, 25 healthy subjects and 25 patients with atopic dermatitis with specific IgE antibodies to wheat but without experience of allergic reactions after ingestion of wheat products were enrolled in this study. The concentrations of specific IgE antibodies were measured using Immuno-CAPTM. The empirical receiver operating characteristics curves (ROC) for each test were prepared and the areas under the ROC curve (AUC) were compared. Results: In patients with WDEIA, the sensitivities of the allergen-specific IgE tests for wheat, gluten, Pep A, Pep B and rω-5 gliadin were 48%, 56%, 76%, 22%, and 80%, respectively. The seven of 10 WDEIA patients with no specific IgE antibodies to rω-5 gliadin had specific IgE antibodies to Pep B. The highest AUC (0.850) was observed in the test for rω-5 gliadin. Conclusions: Measuring the concentration of specific IgE antibodies to rω-5 gliadin is more useful than to wheat, gluten, or Pep A in the identification of patients with WDEIA.」 (下線部当審訳)「背景:最近の研究により、コムギω-5グリアジンのB細胞エピトープペプチド(Pep A)と高分子量グルテニンサブユニット(Pep B)に対する特異的IgE抗体の測定が、コムギ依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA)の診断に有用であることが示されている。 研究の目的:組換ω-5グリアジン(rω-5グリアジン)に対する特異的IgE抗体を測定するためのin vitro試験の感度と特異性を、WDEIA患者の同定におけるコムギ、グルテン、Pep A、Pep Bに対するものと比較することを試みた。 ・・・ 結果:WDEIA患者では、コムギ、グルテン、Pep A、Pep B、rω-5グリアジンに対するアレルゲン特異的IgE検査の感度は、それぞれ48%、56%、76%、22%、80%であった。・・・」 (甲2-2)(第233頁左欄第1行~第234頁左欄第11行) 「Wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis (WDEIA) is a severe form of allergy in which ingestion of wheat products before physical exercise induces anaphylactic symptoms, such as hypotension, dyspnea and generalized urticaria (1). Patients with WDEIA usually have IgE antibodies to proteins from wheat flour and the symptoms are induced by type I allergic reaction (2). The mechanism of eliciting anaphylactic symptoms by exercise in WDEIA is speculated that exercise facilitates allergen absorption into the blood from the gastrointestinal tract (3, 4). The most reliable treatment therapies for WDEIA are strict elimination of wheat products and/or a limitation of exercise after wheat ingestion. Therefore, it is important to make a definitive diagnosis by a provocation test with ingestion of wheat followed by exercise. However, this provocation test possesses a risk because severe allergic reactions, such as anaphylactic shock, could be induced during the test. Sampson et al. (5) have shown the usefulness of measuring serum concentrations of foodspecificIgE in predicting clinical reactivity for egg, cow’s milk, peanut, and fish allergies. For serological diagnosis of wheat allergy including WDEIA, specific IgE to aqueous wheat proteins and wheat glutens, which are the water/salt insoluble wheat proteins, can be measured with commercially available tests. However, these tests are unsatisfactory for identification of patients with WDEIA because of their low sensitivity and specificity (6). Palosuo et al. (7) first reported that wheat ω-5 gliadin is a major allergen in WDEIA. We have clarified that approximately 80% of Japanese patients with WDEIA have specific IgE to wheat ω-5 gliadin and the rest of them have specific IgE to high molecular weight glutenin subunit (HMW-glutenin). Moreover, we have shown that the determination of specific IgE to synthetic IgE-binding epitope peptides of ω-5 gliadin (Pep A) and HMW-glutenin (Pep B) is highly useful to identify patients with WDEIA (8). Recently, we have produced a recombinant protein from the C-terminal half of ω-5 gliadin in Escherichia coli and demonstrated that the recombinant protein has sufficient ability of IgE-binding to detect the specific IgE to ω-5 gliadin in the sera of patients with WDEIA (9). In this study, we compared the sensitivity and specificity of the rω-5 gliadin-specific IgE test with those for wheat, gluten, Pep A, and Pep B in identification of patients with WDEIA.」 (下線部当審訳)「コムギ依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA)は、運動前にコムギ製品を摂取すると血圧低下、呼吸困難、全身じん麻疹などのアナフィラキシー症状を誘発する重篤なアレルギーである。WDEIA患者は通常、小麦粉由来のタンパク質に対するIgE抗体を有し、I型アレルギーにより症状が誘発される。・・・Palosuoらは、コムギω-5グリアジンがWDEIAの主要なアレルゲンであることを初めて報告した。日本人WDEIA患者の約80%がコムギω-5グリアジンに対する特異的IgEを有し、残りは高分子量グルテニンサブユニット(HMW-グルテニン)に対する特異的IgEを有することを明らかにした。さらに、ω-5グリアジン(Pep A)とHMW-グルテニン(Pep B)の合成IgE結合エピトープペプチドに対する特異的IgEの測定がWDEIA患者の同定に非常に有用であることを示した。・・・」 (甲2-3)第234頁右欄第5~11行 「Measurement of specific IgE The rω-5 gliadin, Pep A (KPQQQSPQQQFPQQQIPQQQ) and Pep B (PTSPQQSGQGQQPGQGQQ) were prepared as previously described (8, 9). Specific IgE antibodies for rω-5 gliadin, wheat, gluten, Pep A and Pep B in the sera were determined by ImmunoCAPTM according to the manufacturer’s instructions (Phadia, Uppsala, Sweden).」 (当審訳)「特異的IgEの測定 rω-5グリアジン、Pep A(KPQQQSPQQQFPQQQIPQQQ)およびPep B(PTSPQQSGQGQQPGQGQQ)は、以前に記載されたように調製した。血清中のrω-5グリアジン、コムギ、グルテン、Pep AおよびPep Bに対する特異的IgE抗体を、製造業者の指示(Phadia、Uppsala、Sweden)に従ってImmunoCAPTMによって測定した。」 (イ)甲2に記載の発明の認定 a 甲2-1発明 甲2には、WDEIA患者の血清中のω-グリアジン結合IgE抗体の測定について記載されている(摘記事項(甲2-1)、(甲2-3))。 具体的には、甲2には、コムギω-5グリアジンのB細胞エピトープペプチド(以下「Pep Aポリペプチド」という。)等とImmunoCAPを用いて、患者血清中のPep Aポリペプチド等に対する特異的IgE抗体を測定した点が記載されている(摘記事項(甲2-1)、(甲2-3))。 また、甲2には、Pep Aポリペプチドに対する特異的IgEの測定がWDEIA患者の同定に非常に有用であることが記載されており、第234頁右欄第5~11行には、Pep Aポリペプチドのアミノ酸配列が記載されている(摘記事項(甲2-2)、(甲2-3))。 そうすると、甲2には、以下の発明が記載されているといえる。 「WDEIA患者の血清中のω-グリアジン結合IgE抗体を測定するための物品の集合であって、Pep AポリペプチドとImmunoCAP中に含まれる試薬等を含み、前記Pep Aポリペプチドが甲2の第234頁右欄第5~11行に記載されたアミノ酸配列を含む、物品の集合。」(以下、「甲2-1発明」という。) b 甲2-2発明 上記アと同様に、甲2-1発明に対応するものとして、以下の発明が認定される。 「WDEIA患者の血清中のω-グリアジン結合IgE抗体を測定するためのPep Aポリペプチドであって、甲2の第234頁右欄第5~11行に記載されたアミノ酸配列を含む、Pep Aポリペプチド。」(以下、「甲2-2発明」という。) c 甲2-3発明 甲2には、WDEIA患者の血清中のω-グリアジン結合IgE抗体を測定するための手順が記載されている(摘記事項(甲2-1)、(甲2-3))。 具体的には、甲2には、Pep Aポリペプチド」等とImmunoCAPを用いて、患者血清中のPep Aポリペプチド等に対する特異的IgE抗体を測定した点が記載されている(摘記事項(甲2-1)、(甲2-3))。 また、甲2には、Pep Aポリペプチドに対する特異的IgEの測定がWDEIA患者の同定に非常に有用であることが記載されており、甲2の第234頁右欄第5~11行には、Pep Aポリペプチドのアミノ酸配列が記載されている(摘記事項(甲2-2)、(甲2-3))。 そうすると、甲第2号証には以下の発明が記載されているといえる。 「WDEIA患者の血清中のPep Aポリペプチド等に対する特異的IgE抗体を測定するための方法であって、 Pep Aポリペプチドに対する特異的IgE抗体を測定することを含み、 前記Pep Aポリペプチドは、甲2の第234頁右欄第5~11行に示されたアミノ酸配列を含む、前記方法。」(以下、「甲2-3発明」という。) ウ 甲3 (ア)甲3の記載 甲3には、以下の記載がある。 (甲3-1)(第12136頁アブストラクト) 「Wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis (WDEIA) is a severe IgE-mediated allergic reaction provoked by the combination of wheat-ingestion with intensive physical exercise over the next few hours. Among wheat proteins, ω-5 gliadin, which is one of the components of fast ω-gliadin, has been reported as a major allergen in the anaphylaxis. In this study, we detected IgE-binding epitopes within the primary sequence of ω-5 gliadin using arrays of overlapping peptides synthesized on derivatized cellulose membranes. Sera from four patients with WDEIA having specific IgE to the fast ω-gliadin were used to probe the membrane. Seven epitopes, QQIPQQQ, QQLPQQQ, QQFPQQQ, QQSPEQQ, QQSPQQQ, QQYPQQQ, and PYPP, were detected within the primary sequence of ω-5 gliadin. By using sera of 15 patients, 4 of them, QQIPQQQ, QQFPQQQ, QQSPEQQ, and QQSPQQQ, were found to be dominant epitopes. Mutational analysis of the QQIPQQQ and QQFPQQQ indicated that amino acids at positions Gln1, Pro4, Gln5, Gln6, and Gln7 were critical for IgE binding. These results will provide a useful tool for developing safer wheat products in addition to diagnostic and immunotherapy techniques for WDEIA.」 (下線部当審訳)「コムギ依存性運動誘発性アナフィラキシー(WDEIA)は、コムギ摂取とその後の数時間にわたる集中的な身体運動の組み合わせによって引き起こされる重度のIgE媒介性アレルギー反応である。コムギタンパク質の中で、ファストω-グリアジンの成分の1つであるω-5グリアジンがアナフィラキシーの主要なアレルゲンとして報告されている。本研究では、誘導体化セルロース膜上で合成された重複ペプチドのアレイを用いて、ω-5グリアジンの一次配列内にIgE結合エピトープを検出した。ファストω-グリアジンに特異的IgEを有するWDEIA患者4人の血清を用いて膜をプローブした。・・・これらの結果は、WDEIAの診断および免疫療法技術に加えて、より安全なコムギ製品を開発するための有用なツールを提供するであろう。」 (甲3-2)(第12136頁右欄第1~21行) 「Peptide Synthesis and IgE-binding Assay---Four DNA sequences of ω-5 gliadin fragments (GenBankTM accession numbers BE590673, BQ608902, BQ805830, and BQ245835) were selected from the wheat-expressed sequence tags data base. These sequences were aligned, and the assumed amino acid sequence of ω-5 gliadin was constructed (Fig. 1). Based on the assumed amino acid sequence of the ω-5 gliadin, the individual peptides were synthesized on a membrane using a SPOTs kit (Sigma), which contains a derivatized cellulose membrane (SPOTs membrane). Fmoc amino acids, by coupling Fmoc amino acids according to the manufacturer’s instructions. After washing with methanol, the SPOTs membrane was blocked overnight at 4 °C with blocking buffer (Sigma). The membrane was washed with TBST for 10 min at room temperature and then incubated overnight at 4 °C with 10% patient’s serum. The bound IgE antibodies were detected as described above with goat antihuman IgE horseradish peroxidase conjugate by using ECL Plus Western blotting detection reagents. The SPOTs membrane was used repeatedly after the following procedure. The membrane was washed in order with water, N,N-dimethylformamide (WAKO Chemical, Osaka, Japan), Regeneration buffer A (8 M urea, 10% sodium dodecyl sulfate), and Regeneration buffer B (10% (v/v) acetic acid, 50% (v/v) ethanol), rinsed with methanol twice for 10 min at room temperature, and dried.」 (下線部当審訳)「ペプチド合成およびIgE結合アッセイ-ω-5グリアジン断片の4つのDNA配列(GenBankTM受託番号BE590673、BQ608902、BQ805830、およびBQ245835)をコムギ発現配列タグデータベースから選択した。これらの配列を整列させ、ω-5グリアジンの推定アミノ酸配列を構築した(図1)。ω-5グリアジンの推定アミノ酸配列に基づいて、個々のペプチドを、誘導体化セルロース膜(SPOTs膜)を含むSPOTsキット(Sigma)を用いて膜上で合成した。・・・メタノールで洗浄した後、SPOTs膜をブロッキング緩衝液(Sigma)で4℃で一晩ブロックした。膜をTBSTで室温で10分間洗浄し、次いで、10%患者血清と共に4℃で一晩インキュベートした。結合したIgE抗体を、ECL Plusウェスタンブロッティング検出試薬を用いて、ヤギ抗ヒトIgE西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体で上記のように検出した。・・・」 (甲3-3)第12137頁左欄第26~57行 「Multiple IgE-binding Epitopes in the ω-5 Gliadin --- Because no cDNA and genomic DNA sequence of ω-5-type gliadins has been reported, we collected four DNA fragment sequences of ω-5 type gliadins from the wheat-expressed sequence tags data base based on the N-terminal and internal protein sequences (23, 24). We then aligned these sequences and constructed an assumed amino acid sequence of ω-5 gliadin (Fig. 1). The molecular mass of the assumed ω-5 gliadin was calculated at 48-kDa, suggesting that it was almost full-length because the determination of molecular mass by matrix-assisted laser desorption ionization time-of-flight revealed a range of 44-55 kDa for the ω-5-type gliadins (24). 66 overlapping peptides were synthesized by the SPOTs method to determine which regions of the assumed ω-5 gliadin were recognized by the serum IgE of the patients with WDEIA. Each peptide was 13 amino acids long and offset by six amino acids. Individual sera from four patients (patients 1, 2, 3, and 5) whose serum had specific IgE to fast ω-gliadin predominantly were selected and used to map the IgE-binding region in the assumed amino acid sequence of ω-5 gliadin. Fig. 2 summarizes the IgE-binding peptides of each of the four patients. Many IgE-binding peptides were detected; however, most of these positive sequences were overlapped among the tested patients. From the results of the alignment of the IgE-bound peptide sequences, we expected that common epitope sequences are QQIPQQQ (peptides 10, 26, and 43), QQFPQQQ (peptides 5, 8, 21, 32, 36, 37, 39, 40, 45, 46, 47, 49, 51, 52, 53, 54, 58, and 60), and QQLPQQQ (peptides 13, 18, 23, 24, 28, 34, 41, and 50). Peptides 38, 57, and 64 also reacted to the sera commonly in four patients, respectively. The sera of patient 3reacted with two other peptides (peptides 61 and 62), indicating proper epitopes to this patient.」 (下線部当審訳)「ω-5グリアジンの複数のIgE結合エピトープ・・・ WDEIA患者の血清中IgEにより、想定ω-5グリアジンのどの領域が認識されるかを決定するために、SPOTs法により66の重複ペプチドを合成した。各ペプチドは13アミノ酸長で、6アミノ酸オフセットされていた。主にファストω-グリアジンに特異的なIgEを有する4人の患者(患者1、2、3、5)の個々の血清を選択し、ω-5グリアジンの想定されるアミノ酸配列におけるIgE結合領域のマッピングに用いた。図2に4人の患者のIgE結合ペプチドをまとめた。多くのIgE結合ペプチドが検出されたが、これらの陽性配列のほとんどは試験した患者間で重複していた。IgE結合ペプチド配列のアラインメントの結果から、共通のエピトープ配列はQQIPQQQ(ペプチド10、26、43)、QQFPQQQ(ペプチド5、8、21、32、36、37、39、40、45、46、47、49、51、52、53、54、58、60)、QQLPQQQ(ペプチド13、18、23、24、28、34、41、50)であると予想された。ペプチド38、57、64もそれぞれ4人の患者で共通に血清と反応した。・・・」 (甲3-4)(第12138頁図2) 推定ω-5グリアジン由来の66個のペプチドのアミノ酸配列が記載されている。 [図:0001427947000003.jpg] (当審訳)「図2 推定-5グリアジンの配列に由来する重複ペプチドの反応性 推定-5グリアジンの配列に由来する重複ペプチドの反応性。Aはドットブロット法、BはIgE結合の定量分析。ペプチドを合成した膜を、各患者の10%血清とWDEIAでインキュベートした(患者1、2、3、5)。結合したIgE抗体を化学発光法によりオートラジオグラフィーフィルム上で検出し、スポット強度を測定した。」 (イ)甲3に記載の発明の認定 a 甲3-1発明 甲3には、WDEIA患者の血清IgEを検出するにあたり、ω-5グリアジンの推定アミノ酸配列に基づく66個の重複ペプチド、誘導体化セルロース膜、ブロッキング緩衝液、TBST、ヤギ抗ヒトIgE西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体、ウェスタンブロッティング検出試薬等を用いた点が記載されている(摘記事項(甲3-1)~(甲3-3))。 また、甲3には、IgE結合ペプチド配列の共通のエピトープ配列はQQIPQQQ(ペプチド10)、QQFPQQQ(ペプチド5、8、21、32、36、37、39、40、45、46、47、49、51、52、53、54、58、60)、QQLPQQQ(ペプチド28、41)であると予想された点が記載されている(摘記事項(甲3-3))。甲3の第12138頁図2には、さらに、上記共通のエピトープ配列を有するポリペプチドのアミノ酸配列が記載されている(摘記事項(甲3-4))。 そうすると、甲3には、以下の発明が記載されているといえる。 「WDEIA患者の血清中のω-グリアジン結合IgE抗体を測定するための物品の集合であって、ω-5グリアジンの重複ポリペプチド、誘導体化セルロース膜、ブロッキング緩衝液、TBST、ヤギ抗ヒトIgE西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体、ウェスタンブロッティング検出試薬等を含み、前記ポリペプチドが、甲3の第12138頁図2にポリペプチド5、8、9、10、21、28、31、32、36、37、39、40、41、45、46、47、48、49、51、52、53、54、57、58、59、60として示されたアミノ酸配列を含む、物品の集合。」(以下、「甲3-1発明」という。) b 甲3-2発明 上記アと同様に、甲3-1発明に対応するものとして、以下の発明が認定される。 「WDEIA患者の血清中のω-グリアジン結合IgE抗体を測定するためのω-5グリアジンの重複ポリペプチドであって、甲3の第12138頁図2にポリペプチド5、8、9、10、21、28、31、32、36、37、39、40、41、45、46、47、48、49、51、52、53、54、57、58、59、60として示されたアミノ酸配列を含む、前記重複ポリペプチド。」(以下、「甲3-2発明」という。) c 甲3-3発明 甲3には、WDEIA患者の血清IgEを検出するために、ω-5グリアジンの推定アミノ酸配列に基づいて66個の重複ペプチドを、誘導体化セルロース膜上で合成した点、SPOTs膜をブロッキング緩衝液ブロックした点、膜をTBSTで洗浄した点、10%患者血清と一晩インキュベートした点、結合したIgE抗体を、ヤギ抗ヒトIgE西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体とECL Plusウェスタンブロッティング検出試薬を用いて検出した点が記載されている(摘記事項(甲3-1)~(甲3-3))。 また、甲3には、IgE結合ペプチド配列の共通のエピトープ配列はQQIPQQQ(ペプチド10)、QQFPQQQ(ペプチド5、8、21、32、36、37、39、40、45、46、47、49、51、52、53、54、58、60)、QQLPQQQ(ペプチド28、41)であると予想された点が記載されている(摘記事項(甲3-3))。甲3の第12138頁図2には、さらに、上記共通のエピトープ配列を有するポリペプチドのアミノ酸配列が記載されている(摘記事項(甲3-4))。 そうすると、甲3には以下の発明が記載されているといえる。 「WDEIA患者の血清IgEを検出する方法であって、 各ペプチドを誘導体化セルロース膜上に合成し、10%患者血清と共に4℃で一晩インキュベートする工程、 各ペプチドに結合したIgE抗体を、ECL Plusウェスタンブロッティング検出試薬を用いて検出する工程を含み、 当該各ペプチドは、甲3の第12138頁図2にペプチド5、8、9、10、21、28、31、32、36、37、39、40、41、45、46、47、48、49、51、52、53、54、57、58、59、60として示されたアミノ酸配列を含む、前記方法。」(以下、「甲3-3発明」という。) エ 甲4 (ア)甲4の記載 甲4には、次の記載がある。 (甲4-1)(第739頁アブストラクト) 「Wheat proteins were fractionated into salt-soluble, glutenin-rich, and gliadin-rich fractions. Reactivities of these protein fractions with sera of patients with wheat-associated allergies were examined under various conditions. The relative reactivity of the fractions was generally in the order glutenin-rich > gliadin-rich >> salt-soluble fractions, although their reactivities were variable among patients and among the reaction conditions, indicating that the kind, the number and the epitope of allergens were variable among patients. To identify major allergens, α-, γ- and ω-gliadin, and low-molecular-mass (LMM)- and high-molecular-mass (HMM)-glutenin genes were expressed in Escherichia coli by means of a pET vector. Recombinant gliadins and glutenins were partially purfied on the basis of the solubilities of prolamin and glutelin. The partially purified recombinant proteins were reacted with the patients’ sera. LMM glutenin containing many Gln-Gln-Gln-Pro-Pro motifs, which was identified to be IgE-binding epitope [Tanabe, S., Arai, S., Yanagihara, Y., Mita, H., Takahashi, K. & Watanabe, M. (1996) Biochem. Biophys. Res. Commun. 219, 2902293], exhibited the highest reactivity. The next highest reactivities were observed on α-gliadin and γ-gliadin, which had not been identified as allergens.」 (下線部当審訳)「コムギタンパク質を塩可溶性画分、グルテニンに富む画分、グリアジンに富む画分に分画した。これらのタンパク質画分とコムギアレルギー患者の血清との反応性を種々の条件下で調べた。・・・」 (甲4-2)(第740頁右欄下から第19~10行) 「Immunoassay using the recombinant gliadins and glutenins. The pellets of partially purified recombinant gliadins and glutenins were dissolved in 10 mM aluminium lactate, 0.1 M 2-mercaptoethanol and 2 M urea (buffer A), or 0.1 M Tris/HCl pH 8.0, 8 M urea and 0.1 M 2-mercaptoethanol (buffer B) to give 1 μg/μl recombinant proteins. 2 μl each of the protein solutions was spotted on a nitrocellulose membrane. The proteins on the membrane were reacted with human sera and detected by a goat anti-(human IgE) conjugated to alkaline phosphatase as described above.」 (当審訳)「組換えグリアジンおよびグルテニンを用いたイムノアッセイ。 部分的に精製された組換えグリアジンおよびグルテニンのペレットを、10mM乳酸アルミニウム、0.1M 2-メルカプトエタノールおよび2M尿素(緩衝液A)、または0.1M Tris/HCl pH8.0、8M尿素および0.1M 2-メルカプトエタノール(緩衝液B)に溶解して、1μg/μlの組換えタンパク質を得た。各タンパク質溶液2μlをニトロセルロース膜上にスポットした。膜上のタンパク質をヒト血清と反応させ、上記のようにアルカリホスファターゼに結合させたヤギ抗(ヒトIgE)によって検出した。」 (甲4-3)第742頁左欄第12行~右欄第11行 「Cloning and sequencing of genes encoding glutenins and gliadins. For identification of proteins responsible for the reactivities of the glutenin-rich and the gliadin-rich fractions, preparation of homogeneous proteins by expression of the corresponding DNA in E. coli is a powerful method. Since the cloned genes encoding glutenins and gliadins do not contain an intron [19], we attempted to clone genomic genes encoding glutenins and gliadins using PCR technology. For PCR reactions, we employed the primers listed in Table 2, which were designed based on the nucleotide sequences extracted from GenBank. Since Watanabe and coworkers [4] reported that Gln-Gln-Gln-Pro-Pro is an IgE-binding epitope, we designed primers for a major LMM glutenin containing a few Gln-Gln-Gln-Pro-Pro motifs and for a minor LMM glutenin containing many Gln-Gln-Gln- Pro-Pro motifs. The primers for HMM glutenin were common to x and y types. PCR products of about 800 bp for α-gliadin, 800 bp for γ-gliadin, 1000 bp for ω-gliadin, 2300 bp and 1900 bp for x and y types of HMM glutenin, and 900 bp and 1100 bp for LMM glutenin, respectively, were obtained (Fig. 2). The resultant fragments were inserted into pET-21d or pET-24d to construct expression plasmids. Partial nucleotide sequences (<400 bp) of five clones for each construct were determined from the 5’ ends, indicating that all clones for each construct were the same as each other, except clones for the major LMM glutenin. For the major LMM glutenin, two sequences were observed. Nucleotide sequences of one clone for α-, γ- and ω-gliadins, and a minor LMM glutenin (LMM glutenin 3), and two clones for a major LMM glutenin (LMM glutenins 1 and 2) were determined. More than 60% of nucleotide sequences of HMM-glutenin x-type (HMM-x) and y-type (HMM-y) genes were determined, indicating that HMM-x and HMM-y correspond to 1Ax2 and 1Dy10, respectively. The gene for ω-gliadin cloned here coded a species containing a repeat motif of PQQPFPQQ with a molecular mass of about 40 kDa. Each gliadin and glutenin species has a characteristic domain structure and a characteristic distribution of cysteine residues [6, 20]. The amino acid sequences deduced from the nucleotide sequences of individual gliadin and glutenin genes determined here satisfied all these characteristics. LMM glutenins 1 and 2 and LMM glutenin 3 contained 2 and 15 Gln- Gln-Gln-Pro-Pro motifs, respectively.」 (下線部当審訳)「グルテニンとグリアジンをコードする遺伝子のクローニングと配列決定。 ・・・ここでクローニングされたω-グリアジン遺伝子は、約40kDaの分子量でPQQPFPQQの反復モチーフを含む種をコードしていた。・・・」 (甲4-4)(第742頁右欄第12行~第743頁左欄第12行) 「Expression and partial purification of recombinant gliadins and glutenins.Expression of gliadins and glutenins in E. coli BL21(DE3) cells harboring individual expression plasmids cultured in test tubes was assessed by SDS/PAGE (Fig. 3). The densitometric scanning of the gels indicates that the expression levels of α-, γ- and ω-gliadins, LMM glutenins and HMM-x were about 10215% and about 5% of the total E. coli proteins, respectively, compared with the gels of the total proteins from the cells harboring the expression vector pET-21d alone. Since the expression level of HMM-y was very low, we attempted the expression of only the central repetitive domain of y-type (HMM-yRepeat) using the primers listed in Table 2 and obtained an expression level of about 5%. All gliadins and glutenins were expressed at such levels using pET-21d except LMM glutenin 3. pET-24d was suitable for LMM glutenin 3. For large-scale culture, the expression levels of HMM glutenins were lowered to around 122%, but those of others did not vary. Extractions of expressed gliadins and glutenins from the cells were attempted with 70% ethanol. Although 80% ω-gliadin and 70% HMM-yRepeat were soluble, others were completely insoluble (data not shown). Addition of 2-mercaptoethanol (to 0.1 M) to 70% ethanol solubilized 60% A-gliadin, but not other protein. Then, we attempted to solubilize proteins using 10 mM aluminium lactate, 0.1 M 2-mercaptoethanol. α-Gliadin, ω-gliadin, HMM-x and HMM-yRepeat were almost completely soluble, but the other protein required the addition of 2 M urea for complete solubilization. All the recombinant gliadins and glutenins precipitated dominantly by neutralization, resulting in purities of about 90% (α-, γ- and ω-gliadins) (Fig. 4), 70% (LMM glutenins 1, 2 and 3), although the purities of HMM glutenins were low: about 10% (HMM-x) and 35% (HMM-yRepeat). The lower purity of HMM glutenins may be due to lower expression levels (122%) than the others (102 15%). To verify the identities of the recombinant proteins, their Nterminal amino acid sequences were determined. The sequences determined coincided with those predicted from the nucleotide sequences of individual genes. The N-terminal methionine was retained in γ-gliadin, ω-gliadin, HMM-x, HMM-yRepeat and LMM glutenins 1 and 2, but cleaved in LMM glutenin 3. For α-gliadin, cleaved and non-cleaved forms were obtained. These phenomena are consistent with the proposal of Sherman et al.[21] that the specificity of methionine aminopeptidase is determined by the size of the side chain of the penultimate residue.」 (下線部当審訳)「組換えグリアジンとグルテニンの発現と部分精製。試験管で培養した個々の発現プラスミドを保有するE.coli BL21(DE3)細胞におけるグリアジンとグルテニンの発現をSDS/PAGEで評価した(図3)。・・・ 大量培養では、HMMグルテニンの発現レベルは約1-2%に低下したが、他のグルテニンの発現レベルは変化しなかった。発現したグリアジンとグルテニンの細胞からの抽出を70%エタノールで試みた。80%ω-グリアジンと70%HMM-yRepeatは可溶性であったが、他は完全に不溶性であった(データは示されていない)。・・・すべての組換えグリアジンとグルテニンは主に中和により沈殿した。その結果、純度は約90%(α-、γ-、ω-グリアジン)(図4)、70%(LMMグルテニン1、2、3)であったが、HMMグルテニンの純度は約10%(HMM-x)、35%(HMM-yRepeat)と低かった。・・・ 組換えタンパク質の同一性を確認するために、それらのN末端アミノ酸配列を決定した。決定された配列は、個々の遺伝子のヌクレオチド配列から予測された配列と一致した。・・・」 (甲4-5)第743頁左欄第13~35行 「Allergenicity of recombinant gliadins and glutenins.Reactivities of recombinant gliadins and glutenins with patients’ sera are shown in Fig. 5. Recombinant proteins were dissolved in buffer A or B. Five of ten patients (patients E, F, G, H and I) exhibited highest reactivity with LMM glutenin 3, which contains 15 Gln-Gln-Gln-Pro-Pro motifs, dissolved in buffer B. Patients D, G, H and I exhibited fairly high reactivity with α- and/or γ-gliadins (especially dissolved in buffer A), although all patients except H exhibited no reactivity with ω-gliadin. Generally reactivity of patients with LMM glutenins 1 and 2 was very low. Some patients exhibited reactivity with HMM glutenins. However, there is a possibility that the reactivity with HMM glutenin is an artifact, because the samples of HMM glutenin contained a large amount of E. coli proteins, and the reactivities of sera with E.coli proteins were also variable (data not shown). The expression system of HMM glutenins should be improved for the precise evaluation of their reactivity. These results obtained here were consitent with those shown in Fig. 1 and those of Watanabe et al. [1], supporting the proposal by Watanabe et al. [2] and Tanabe et al. [4] that a major allergen of wheat is LMM glutenin containing many Gln-Gln-Gln-Pro-Pro motifs and suggesting that some patients’ sera recognize α- and/or γ-gliadins as an allergen.」 (下線部当審訳)「組換えグリアジンおよびグルテニンのアレルゲン性。組換えグリアジンおよびグルテニンと患者血清との反応性を図5に示す。・・・患者D、G、HおよびIは、α-および/またはγ-グリアジン(特に緩衝液Aに溶解)とかなり高い反応性を示したが、Hを除くすべての患者はω-グリアジンと反応性を示さなかった。・・・」 (イ)甲4に記載の発明の認定 a 甲4-1発明 甲4には、コムギアレルギー患者の血清中のω-グリアジン結合IgEを検出するためのイムノアッセイについて記載されている(摘記事項(甲4-1)、(甲4-2))。 具体的には、甲4には、上記患者血清中のω-グリアジン結合IgEを検出するにあたり、ω-グリアジン、ニトロセルロース膜、アルカリホスファターゼに結合させたヤギ抗ヒトIgEを使用した点が記載されている(摘記事項(甲4-1)、(甲4-2))。 また、甲4には、ω-グリアジン遺伝子は、PQQPFPQQの反復モチーフをコードしている点が記載されている(摘記事項(甲4-3))。 そうすると、甲4には、以下の発明が記載されているといえる。 「コムギアレルギー患者の血清中のω-グリアジン結合IgEを検出するための物品の集合であって、ω-グリアジン、ニトロセルロース膜、アルカリホスファターゼに結合させたヤギ抗ヒトIgE等を含み、前記ω-グリアジンが、PQQPFPQQのアミノ酸配列を含む、物品の集合。」(以下、「甲4-1発明」という。) b 甲4-2発明 上記アと同様に、甲4-1発明に対応するものとして、以下の発明が認定される。 「コムギアレルギー患者の血清中のω-グリアジン結合IgEを検出するためのω-グリアジンであって、PQQPFPQQのアミノ酸配列を含む、前記ω-グリアジン。」(以下、「甲4-2発明」という。) c 甲4-3発明 甲4には、コムギアレルギー患者の血清中のω-グリアジン結合IgEを検出するためのイムノアッセイの手順が記載されている(摘記事項(甲4-1)、(甲4-2))。 具体的には、甲第4号証には、ω-グリアジンをニトロセルロース膜上にスポットし、患者血清と反応させ、アルカリホスファターゼに結合させたヤギ抗ヒトIgEによって検出した点が記載されている(摘記事項(甲4-1)、(甲4-2))。 また、甲第4号証には、ω-グリアジン遺伝子は、PQQPFPQQの反復モチーフをコードしている点が記載されている(摘記事項(甲4-3))。 そうすると、甲第4号証には以下の発明が記載されているといえる。 「コムギアレルギー患者の血清中のω-グリアジン結合IgEを検出するための方法であって、 ニトロセルロース膜上にスポットされたω-グリアジンを前記患者血清と反応させる工程; アルカリホスファターゼに結合させたヤギ抗ヒトIgE抗体によってω-グリアジンと前記患者血清との反応を検出する工程を含み、当該ω-グリアジンは、PQQPFPQQのアミノ酸配列を含む、前記方法。」(以下、「甲4-3発明」という。) d 甲4-4発明 甲4には、ω-グリアジン等の組換えタンパク質の発現プラスミドを保有するE.coli BL21(DE3)の大量培養した点、細胞からω-グリアジンを抽出し、ω-グリアジン等の組換えタンパク質の同一性を確認するために、それらのN末端アミノ酸配列を決定した点、決定された配列は、個々の遺伝子のヌクレオチド配列から予測された配列と一致した点が記載されてる(摘記事項(甲4-4))。 また、甲4には、ω-グリアジン遺伝子は、PQQPFPQQの反復モチーフをコードしている点が記載されている(摘記事項(甲4-3))。 そうすると、甲第4号証には以下の発明が記載されているといえる。 「ω-グリアジンを大腸菌培養物から抽出し、その同一性をN末端配列を決定することにより確認する方法であって、前記ω-グリアジンが、PQQPFPQQの反復モチーフを有する、前記方法」(以下、「甲4-4発明」という。) オ 甲5 (ア)甲5の記載 甲5には、次の記載がある。 (甲5-1) 「【請求項10】 配列番号26~110のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはそのT細胞-、IgA-またはIgE-結合応答を抑制または減弱するように改変された該ポリペプチドの低アレルギー性形態、および所望による医薬上許容される賦形剤、担体、緩衝剤および/または希釈剤を含む医薬組成物。」 (甲5-2) 「【請求項17】 -セリアック病、疱疹状皮膚炎またはIgE媒介アレルギーを有することが疑われる哺乳動物からの体液または組織試料と、配列番号26~110のいずれか1つのアミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチド、または該ポリペプチドと抗体用エピトープを共有するその断片もしくは変異体とを接触させ;次いで -該ポリペプチドまたはポリペプチド群に特異的に結合しているIgAまたはIgE抗体の試料中の存在を検出することを含み; ここに、該ポリペプチドまたはポリペプチド群に特異的に結合するかかる抗体の存在は、セリアック病、疱疹状皮膚炎またはIgE媒介アレルギーを示すことを特徴とするセリアック病、疱疹状皮膚炎またはIgE媒介アレルギーのin vitro診断方法。」 (甲5-3) 「【請求項19】 配列番号26~110のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチド、または該ポリペプチドと抗体用エピトープを共有する断片もしくは変異体または請求項10もしくは11に記載の組成物を含む請求項14~18のいずれか1記載の方法を行なうための診断用キット。」 (甲5-4) 「【0016】 本発明のさらなる態様は、配列番号26~110のいずれか1つのアミノ酸配列を有するポリペプチド、または前記ポリペプチドと抗体用エピトープを共有するその断片もしくは変異体を、アレルゲン抽出物および/または少なくとも1つの精製アレルゲン成分を含む組成物に添加する工程を含む、アレルゲン組成物の製造方法を提供する。」 (甲5-5) 「【0036】 実施例2 発現および精製 クローン175およびGlub3-23 537個のヌクレオチドを含むクローン175配列(配列番号1)および1107個のヌクレオチドを含むGluB3-23(配列番号51)および6個のHisコドンをpET17b大腸菌発現ベクターにクローニングした。pET 17b-C175およびpET 17b-GluB3-23構築物は、大腸菌BL21(DE3)に形質転換した。形質転換細胞は、37℃にて100mg/lのアンピシリンを含有する1リットルのルリアブロス培地中で増殖させた。細胞は0.4~0.6のOD600まで増殖させ、次いで、過剰発現を0.5mMの終末濃度までのイソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)の添加によって誘導した。その後、細菌をさらに4時間増殖させ;細胞を遠心分離によって収集し、-20℃で一晩凍結した。透明な細胞溶解物を調製し、NiNTAクロマトグラフィーをQIAexpressionist handbook(QIAGEN, Hilden, Germany)によって行った。タンパク質含有画分をプールし、10mM NaH2PO4で透析した。タンパク濃度はBCA Assay Kit(Novagen)で決定した。」 (甲5-6) 「【0044】 実施例4 組換えタンパク質のIgE反応性 GluB3-23は、小麦依存性食物アレルギーにおける主要アレルゲンである。 GluB3-23およびC175に対する小麦食物アレルギー患者のIgE反応性をドットブロット分析によりテストし、図10および図11に示した。0.5μgの精製組換えタンパク質(GluB3-23およびC175)、2μgの水性小麦種子(WSE)抽出物および0.5μgのヒト血清アルブミン(HSA)をニトロセルロース(Whatman Protran ニトロセルロース膜, Sigma Aldrich)片にドットし、緩衝液A(50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7、4、0.5%w/v BSA、0.5%v/vツイーン-20、0.05%w/v NaN3)でブロックした後、小麦食物アレルギーに苦しむ患者からの1:10希釈血清とインキュベートした。結合IgE Abは1:10希釈125I標識抗ヒトIgE Abで検出し、オートラジオグラフィにより視覚化した。」 (イ)甲5に記載の発明の認定 a 甲5-1発明 甲5には、配列番号51、97のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む請求項17記載の方法を行なうための診断用キットが記載されている(摘記事項(甲5-3))。また、甲5の請求項17には、IgE媒介アレルギーのin vitro診断方法が記載されている(摘記事項(甲5-4))。 そうすると、甲5には、以下の発明が記載されているといえる。 「甲5に記載の配列番号51、97のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、IgE媒介アレルギーの診断用キット。」(以下、「甲5-1発明」という。) b 甲5-2発明 上記アと同様に、甲5-1発明に対応するものとして、以下の発明が認定される。 「IgE媒介アレルギーの診断用キットに含まれる医薬組成物であって、甲5に記載の配列番号51、97のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、医薬組成物。」(以下、「甲5-2発明」という。) c 甲5-3発明 甲5には、「IgE媒介アレルギーのin vitro診断方法であって、 IgE媒介アレルギーを有することが疑われる哺乳動物からの体液または組織試料と、配列番号51、97のアミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドとを接触させ;次いで 該ポリペプチドに特異的に結合しているIgE抗体の試料中の存在を検出することを含み; ここに、該ポリペプチドに特異的に結合する抗体の存在は、IgE媒介アレルギーを示すことを特徴とする前記診断方法」が記載されている(摘記事項(甲5-2))。 ここで、甲5の上記方法において、「該ポリペプチドに特異的に結合する抗体の存在は、IgE媒介アレルギーを示す」という事項は、上記ポリペプチドに対する抗体が存在する場合にIgE媒介アレルギーと診断されることを意味するから、前記事項は、対象がIgE媒介アレルギーであることを診断するための指標を提供するものといえる。 そうすると、甲5には、以下の発明が記載されているといえる。 「対象がIgE媒介アレルギーであることを診断するための指標を提供する方法であって、 IgE媒介アレルギーを有することが疑われる哺乳動物からの体液または組織試料と、甲5に記載の配列番号51、97のアミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドとを接触させ;次いで 該ポリペプチドに特異的に結合しているIgE抗体の試料中の存在を検出することを含み ここに、該ポリペプチドに特異的に結合する抗体の存在は、IgE媒介アレルギーを示すことを特徴とする、前記方法。」(以下、「甲5-3発明」という。) d 甲5-4発明 甲5には、「GluB3-23は、小麦依存性食物アレルギーにおける主要アレルゲンである。」と記載されている(摘記事項(甲5-6))。また、甲5に記載のGluB3-23は、同号証の配列番号51のアミノ酸配列を有するポリペプチドである(摘記事項(甲5-5))。 そうすると、甲5には、以下の発明が記載されているといえる。 「小麦依存性食物アレルギーにおけるアレルゲンであって、甲5に記載の配列番号51のアミノ酸配列を有するポリペプチドである、前記アレルゲン。」(以下、「甲5-4発明」という。) カ 甲6 甲6には、次の記載がある。 (甲6-1)第332頁アブストラクト 「Food allergy is an adverse immune response to certain kinds of food. Although any food can cause allergic reactions, chicken egg, cow's milk, wheat, shellfish, fruit, and buckwheat account for 75% of food allergies in Japan. Allergen-specific immunoglobulin E (IgE) antibodies play a pivotal role in the development of food allergy. Recent advances in molecular biological techniques have enabled the efficient analysis of food allergens. As a result, many food allergens have been identified, and their molecular structure and IgE-binding epitopes have also been identified. Studies of allergens have demonstrated that IgE antibodies specific to allergen components and/or the peptide epitopes are good indicators for the identification of patients with food allergy, prediction of clinical severity and development of tolerance. In this review, we summarize our current knowledge regarding the allergens and IgE epitopes in the well-researched allergies to chicken egg, cow's milk, wheat, shrimp, and peanut.」 (下線部当審訳)「・・・アレルゲンの研究により、アレルゲン成分やペプチドエピトープに特異的なIgE抗体は、食物アレルギー患者の同定、臨床重篤度の予測、耐性発現の良い指標であることが示されている。・・・」 キ 甲7 (ア)甲7の記載 甲7には、次の記載がある。 (甲7-1) 「【請求項1】 卵アレルギーの診断キットであって、以下(1)~(3)のタンパク質の少なくとも一つ: (1)(1A)ビテロゲニン-3(Vitellogenin-3)のC末端部分を含むタンパク質又はその変異体であって、卵に対するアレルギーの抗原である、以下の(1A-a)~(1A-e)のいずれかのタンパク質: ・・・・・・ (2)(2A)ビテロゲニン-3(Vitellogenin-3)のC末端部分を含むタンパク質又はその変異体であって、卵に対するアレルギーの抗原である、以下の(2A-a)~(2A-e)のいずれかのタンパク質: ・・・・・・ (3)(3A)ビテロゲニン-1(Vitellogenin-1)の中央部分若しくはリポビテリン-1(Lipovitelin-1)のC末端部分を含むタンパク質、又はそれらの変異体であって、卵に対するアレルギーの抗原である、以下の(3A-a)~(3A-e)のいずれかのタンパク質: ・・・・・・ を抗原として含む、前記診断キット。」 (甲7-2) 「【請求項3】 卵アレルギーの診断用組成物であって、請求項1において(1)~(3)または請求項2において(4)~(10)として特定されるタンパク質の少なくとも一つを抗原として含む、前記診断用組成物。」 (甲7-3) 「【請求項4】 対象の卵アレルギーを診断するための指標を提供する方法であって、以下の工程: (i)対象から得られた試料を抗原に接触させる、ここで当該試料はIgE抗体が含まれる溶液である; (ii)対象から得られた試料中のIgE抗体と当該抗原との結合を検出する; (iii)対象のIgE抗体と当該抗原との結合が検出された場合、対象が卵アレルギーであることの指標が提供される; を含み、ここで当該抗原は、請求項1において(1)~(3)または請求項2において(4)~(10)として特定されるタンパク質の少なくとも一つである、前記方法。」 (甲7-4) 「【0038】 本明細書において抗原とは、アレルギー反応を惹起させる物質であり、アレルゲンコンポーネントとも称される。抗原は好ましくはタンパク質である。」 (甲7-5) 「【0040】 抗原の特定 卵に含まれるタンパク質について、上記の手法を利用して卵に対するアレルギーの抗原の特定を行った。具体的には、生の鶏卵を卵黄と卵白とに分け、それぞれに含まれる卵タンパク質を下記の条件で2次元電気泳動に供した。」 (甲7-6) 「【0043】 その結果、鶏卵のタンパク質について上記の条件で2次元電気泳動を行った際のゲルにおいて、スポット1~3の抗原が、卵に対するアレルギー患者であって食物依存性運動誘発アナフィラキシーと診断された患者のIgE抗体に特異的に結合することを明らかにした(3)。・・・」 (イ)甲7に記載の発明の認定 a 甲7-1発明 甲7には、「卵アレルギーの診断キットであって、(1)~(3)のタンパク質の少なくとも一つ:・・・を抗原として含む、前記診断キット」が記載されている(摘記事項(甲7-1)、以下、「甲7-1発明」という。)。 b 甲7-2発明 甲7には、「卵アレルギーの診断用組成物であって、請求項1において(1)~(3)・・・として特定されるタンパク質の少なくとも一つを抗原として含む、前記診断用組成物。」が記載されている(摘記事項(甲7-2)、以下、「甲7-2発明」という。)。 c 甲7-3発明 甲7には、「対象の卵アレルギーを診断するための指標を提供する方法であって、以下の工程: (i)対象から得られた試料を抗原に接触させる、ここで当該試料はIgE抗体が含まれる溶液である; (ii)対象から得られた試料中のIgE抗体と当該抗原との結合を検出する; (iii)対象のIgE抗体と当該抗原との結合が検出された場合、対象が卵アレルギーであることの指標が提供される; を含み、ここで当該抗原は、請求項1において(1)~(3)・・・として特定されるタンパク質の少なくとも一つである、前記方法。」が記載されている(摘記事項(甲7-3)、以下、「甲7-3発明」という。)。 ク 甲8 (ア)甲8の記載 甲8には、次の記載がある。 (甲8-1) 「【請求項1】 魚アレルギーの診断キットであって、以下(1)~(9)のタンパク質の少なくとも一つ: (1)(1A)α-アクチニン-3(Alpha-actinin-3)またはその変異体であって、魚に対するアレルギーの抗原である、以下の(1A-a)~(1A-e)のいずれかのタンパク質: ・・・・・・ (2)(2A)EEF1A2バインディングプロテイン-ライク(EEF1A2 binding protein-like)またはその変異体であって、魚に対するアレルギーの抗原である、以下の(2A-a)~(2A-e)のいずれかのタンパク質: ・・・・・・ (3)(3A)α-1,4-グルカンホスホリラーゼ(Alpha-1,4-glucan phosphorylase)またはその変異体であって、魚に対するアレルギーの抗原である、以下の(3A-a)~(3A-e)のいずれかのタンパク質: ・・・・・・ (4)(4A)エロンゲーションファクター2(Elongation factor 2)またはその変異体であって、魚に対するアレルギーの抗原である、以下の(4A-a)~(4A-e)のいずれかのタンパク質: ・・・・・・ (5)(5A)ヒートショックコグネート70kDaプロテイン(Heat shock cognate 70 kDa protein)またはその変異体であって、魚に対するアレルギーの抗原である、以下の(5A-a)~(5A-e)のいずれかのタンパク質: ・・・・・・ (6)(6A)セロトランスフェリン(Serotransferrin)またはその変異体であって、魚に対するアレルギーの抗原である、以下の(6A-a)~(6A-e)のいずれかのタンパク質: ・・・・・・ (7)(7A)ミオシンバインディングプロテインH-ライク(Myosin binding protein H-like)またはその変異体であって、魚に対するアレルギーの抗原である、以下の(7A-a)~(7A-e)のいずれかのタンパク質: ・・・・・・ (8)(8A)デスミン(フラグメント)(Desmin (Fragment))またはその変異体であって、魚に対するアレルギーの抗原である、以下の(8A-a)~(8A-e)のいずれかのタンパク質: ・・・・・・ (9)(9A)キャッピングプロテイン(アクチンフィラメント)マッスルZ-ラインベータ(Capping protein (Actin filament) muscle Z-line beta)またはその変異体であって、魚に対するアレルギーの抗原である、以下の(9A-a)~(9A-e)のいずれかのタンパク質: ・・・・・・ を抗原として含む、前記診断キット。」 (甲8-2) 「【請求項3】 魚アレルギーの診断用組成物であって、請求項1において(1)~(9)として特定されるタンパク質の少なくとも一つ、または請求項2において(10)~(14)として特定されるタンパク質の少なくとも一つ、を抗原として含む、前記診断用組成物。」 (甲8-3) 「【請求項4】 対象の魚アレルギーを診断するための指標を提供する方法であって、以下の工程: (i)対象から得られた試料を抗原に接触させる、ここで当該試料はIgE抗体が含まれる溶液である; (ii)対象から得られた試料中のIgE抗体と当該抗原との結合を検出する; (iii)対象のIgE抗体と当該抗原との結合が検出された場合、対象が魚アレルギーであることの指標が提供される; を含み、ここで当該抗原は、請求項1において(1)~(9)として特定されるタンパク質の少なくとも一つ、または請求項2において(10)~(14)として特定されるタンパク質の少なくとも一つ、である、前記方法。」 (甲8-4) 「【0042】 本明細書において抗原とは、アレルギー反応を惹起させる物質であり、アレルゲンコンポーネントとも称される。抗原は好ましくはタンパク質である。」 (甲8-5) 「【0044】 抗原の特定 魚に含まれるタンパク質について、上記の手法を利用して魚に対するアレルギーの抗原の特定を行った。具体的には、魚の身からタンパク質を抽出し、下記の条件で2次元電気泳動に供した。」 (甲8-6) 「【0047】 その結果、魚のタンパク質について上記の条件で2次元電気泳動を行った際のゲルにおいて、以下のスポットが、魚に対するアレルギー患者であって即時型アレルギーと診断された患者のIgE抗体に特異的に結合することを明らかにした。・・・・・・」 (イ)甲8に記載の発明の認定 a 甲8-1発明 甲8には、「魚アレルギーの診断キットであって、(1)~(3)のタンパク質の少なくとも一つ:・・・を抗原として含む、前記診断キット」が記載されている(摘記事項(甲8-1)、以下、「甲8-1発明」という。)。 b 甲8-2発明 甲8には、「魚アレルギーの診断用組成物であって、請求項1において(1)~(3)・・・として特定されるタンパク質の少なくとも一つを抗原として含む、前記診断用組成物。」が記載されている(摘記事項(甲8-2)、以下、「甲8-2発明」という。)。 c 甲8-3発明 甲8には、「対象の魚アレルギーを診断するための指標を提供する方法であって、以下の工程: (i)対象から得られた試料を抗原に接触させる、ここで当該試料はIgE抗体が含まれる溶液である; (ii)対象から得られた試料中のIgE抗体と当該抗原との結合を検出する; (iii)対象のIgE抗体と当該抗原との結合が検出された場合、対象が魚アレルギーであることの指標が提供される; を含み、ここで当該抗原は、請求項1において(1)~(3)・・・として特定されるタンパク質の少なくとも一つである、前記方法。」が記載されている(摘記事項(甲8-3)、以下、「甲8-3発明」という。)。 ケ 甲第9号証 (ア)甲9の記載 甲9には、次の記載がある。 (甲9-1) 「【請求項1】 ウズラの卵に対するアレルギーの診断キットであって、二次元電気泳動において分子量35kDa~50kDaおよび等電点5~9のスポットとして現れ、そして、配列番号1または配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むウズラ由来のタンパク質、を抗原として含む、前記診断キット。」 (甲9-2) 「【請求項3】 対象のウズラの卵に対するアレルギーを診断するための指標を提供する方法であって、以下の工程: (i)対象から得られた試料を抗原に接触させる、ここで当該試料はIg抗体が含まれる溶液である; (ii)対象から得られた試料中のIgE抗体と当該抗原との結合を検出する; (iii)対象のIgE抗体と当該抗原との結合が検出された場合、対象がウズラの卵に対するアレルギーであることの指標が提供される; を含み、ここで当該抗原は以下のウズラ由来のタンパク質: (1)二次元電気泳動において分子量35kDa~50kDaおよび等電点5~9のスポットとして現れ、そして、配列番号1または配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質;または (2)二次元電気泳動において分子量30kDa~50kDaおよび等電点7~12のスポットとして現れ、そして、配列番号13、配列番号15および配列番号16からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むタンパク質; である、前記方法。」 (甲9-3) 「【請求項4】 ウズラの卵に対するアレルギーの診断用組成物であって、以下のウズラ由来のタンパク質: (1)二次元電気泳動において分子量35kDa~50kDaおよび等電点5~9のスポットとして現れ、そして、配列番号1または配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質; または (2)二次元電気泳動において分子量30kDa~50kDaおよび等電点7~12のスポットとして現れ、そして、配列番号13、配列番号15および配列番号16からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むタンパク質; を抗原として含む、前記診断用組成物。」 (甲9-4) 「【0017】 本明細書において抗原とは、アレルギー反応を惹起させる物質であり、アレルゲンコンポーネントとも称される。抗原は好ましくはタンパク質である。」 (甲9-5) 「【0018】 抗原の特定 ウズラの卵に含まれるタンパク質について、上記の手法を利用してウズラの卵に対するアレルギーの原因となる抗原の特定を行った。具体的には、ウズラ卵黄のタンパク質を下記の条件で2次元電気泳動に供した。」 (甲9-6) 「【0021】 その結果、ウズラ卵黄のタンパク質について上記の条件で2次元電気泳動を行った際のゲルにおいて、分子量45kDa付近、等電点5~9に現れるスポット(以下、当該スポットを構成するタンパク質を「スポット1の抗原」と記載する)、および分子量35kDa付近、等電点7~12に現れるスポット(以下、当該スポットを構成するタンパク質を「スポット2の抗原」と記載する)が、ウズラの卵に対するアレルギーの患者のIgE抗体に特異的に結合することを明らかにした。」 (甲9-7) 「【0041】 診断キット・診断方法 本発明は、ウズラの卵に対するアレルギーを診断するための指標を提供する方法であって、以下の工程: (i)対象から得られた試料を上記スポット1の抗原またはスポット2の抗原に接触させる; (ii)対象から得られた試料中のIgE抗体と当該抗原との結合を検出する; (iii)対象のIgE抗体と当該抗原との結合が検出された場合、対象がウズラの卵に対するアレルギーであることの指標が提供される; を含む、前記方法を提供する。」 (甲9-8) 「【0047】 本発明はまた、上記スポット1の抗原またはスポット2の抗原を含むウズラの卵に対するアレルギーの診断キットを提供する。本発明の診断キットは、上記のウズラの卵に対するアレルギーを診断するための指標を提供する方法、または下記の診断方法に用いてもよい。本発明の診断キットは、上記スポット1の抗原またはスポット2の抗原を含むほか、酵素標識された抗IgE抗体および当該酵素の基質となる発色基質または発光基質を含んでいてもよい。また、蛍光標識された抗IgE抗体を用いてもよい。本発明の診断キットにおいて、抗原は担体に固定化された状態で提供されてもよい。・・・」 (甲9-9) 「【0048】 本発明はまた、上記スポット1の抗原またはスポット2の抗原を含むウズラの卵に対するアレルギーの診断用組成物を提供する。本発明の診断用組成物は、下記の診断方法に用いることができる。本発明の診断用組成物は、必要に応じて本発明の抗原とともに一般的に用いられる、薬学的に許容される担体や添加剤を含んでいてもよい。」 (イ)甲9に記載の発明の認定 a 甲9-1発明 「ウズラの卵に対するアレルギーの診断キットであって、二次元電気泳動において分子量35kDa~50kDaおよび等電点5~9のスポットとして現れ、そして、配列番号1または配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むウズラ由来のタンパク質、を抗原として含む、前記診断キット。」(摘記事項(甲9-1)、以下、「甲9-1発明」という。) b 甲9-2発明 「ウズラの卵に対するアレルギーの診断用組成物であって、以下のウズラ由来のタンパク質: (1)二次元電気泳動において分子量35kDa~50kDaおよび等電点5~9のスポットとして現れ、そして、配列番号1または配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質; または (2)二次元電気泳動において分子量30kDa~50kDaおよび等電点7~12のスポットとして現れ、そして、配列番号13、配列番号15および配列番号16からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むタンパク質; を抗原として含む、前記診断用組成物。」(摘記事項(甲9-3)、以下、「甲9-2発明」という。) c 甲9-3発明 「対象のウズラの卵に対するアレルギーを診断するための指標を提供する方法であって、以下の工程: (i)対象から得られた試料を抗原に接触させる、ここで当該試料はIg抗体が含まれる溶液である; (ii)対象から得られた試料中のIgE抗体と当該抗原との結合を検出する; (iii)対象のIgE抗体と当該抗原との結合が検出された場合、対象がウズラの卵に対するアレルギーであることの指標が提供される; を含み、ここで当該抗原は以下のウズラ由来のタンパク質: (1)二次元電気泳動において分子量35kDa~50kDaおよび等電点5~9のスポットとして現れ、そして、配列番号1または配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質;または (2)二次元電気泳動において分子量30kDa~50kDaおよび等電点7~12のスポットとして現れ、そして、配列番号13、配列番号15および配列番号16からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むタンパク質; である、前記方法。」(摘記事項(甲9-2)、以下、「甲9-3発明」という。) (2)対比・判断 ア 本件発明1について (ア)甲1を主引例するケース a 甲1-1発明との対比・判断 本件発明1と甲1-1発明とを対比する。 甲1-1発明のWDEIAはアレルギー性疾患の一種である。また、アレルゲン成分やペプチドエピトープに特異的なIgE抗体は、食物アレルギー患者の同定、臨床重篤度の予測、耐性発現の良い指標であることは技術常識である(例えば、摘記事項(甲6-1)を参照。)から、「WDEIA患者の血清中に存在し、ω-5グリアジンに対して結合性を有するIgEを検出」することは、アレルギーの診断においても行われるものである。 また、甲1-1発明における、ω-5グリアジン、ポリビニリデンジフルオリド膜、スキムミルク、TBST、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgE、ウェスタンブロット検出試薬等は、「WDEIA患者の血清中に存在し、ω-5グリアジンに対して結合性を有するIgEを検出」という目的のために使用する道具一式であるから、前記物品の集合はキットであるといえる。 したがって、甲1-1発明の「WDEIA患者の血清中に存在し、ω-5グリアジンに対して結合性を有するIgEを検出するための物品の集合」は、本件発明1の「アレルギーの診断キット」に相当する。 しかし、甲1-1発明のω-5グリアジンは、本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドにも相当しない。 したがって、本件発明1は甲1-1発明と同一ではないので、特許法第29条第1項第3号に該当しない。 そして、本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドは、甲1~9のいずれにも記載されていないから、本件発明1は、甲1-1発明と甲1~9の記載事項を組み合わせても、本件発明の「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)のポリペプチドの少なくとも一つを含む、アレルギーの診断キット」を想到することは当業者にとって容易ではない。また、甲1-1発明におけるアミノ酸配列は、本件発明1の「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のペプチドのいずれの配列と異なるものであるから、後者の配列を前者の配列から想到することは当業者にとって容易ではない。 よって、本件請求項1に係る特許は、特許法29条2項第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 b 甲1-2発明との対比・判断 本件特許発明1と甲1-2発明とを対比する。 上記aと同様の理由により、甲1-2発明の「WDEIA患者の血清中に存在し、ω-5グリアジンに対して結合性を有するIgEを検出するための物品の集合」は、本件発明1の「アレルギーの診断キット」に相当する。 しかし、甲1-2発明のω-5グリアジンの重複ペプチドは、本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドにも相当しない。 したがって、本件発明1は甲1-2発明と同一ではないので、特許法第29条第1項第3号に該当しない。 そして、本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドは、甲1~9のいずれにも記載されていないから、本件発明1は、甲1-2発明と甲1~9の記載事項を組み合わせても、本件発明の「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)のポリペプチドの少なくとも一つを含む、アレルギーの診断キット」を想到することは当業者にとって容易ではない。また、甲1-2発明におけるアミノ酸配列は、本件発明1の「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のペプチドのいずれの配列と異なるものであるから、後者の配列を前者の配列から想到することは当業者にとって容易ではない。 よって、本件請求項1に係る特許は、特許法29条2項第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 c 甲1-3発明との対比・判断 本件発明1と甲1-3発明とを対比する。 上記aと同様の理由により、甲1-3発明の「WDEIA患者の血清中に存在し、ω-5グリアジンに対して結合性を有するIgEを検出するための物品の集合」は、本件発明1の「アレルギーの診断キット」に相当する。 しかし、甲1-3発明の甲1組換えタンパク質は、本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのアミノ酸配列を含むものではない。 したがって、本件発明1は甲1-3発明と同一ではないので、特許法第29条第1項第3号に該当しない。 そして、本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドは、甲1~9のいずれにも記載されていないから、本件発明1は、甲1-3発明と甲1~9の記載事項を組み合わせても、本件発明の「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)のポリペプチドの少なくとも一つを含む、アレルギーの診断キット」を想到することは当業者にとって容易ではない。また、甲1-3発明におけるアミノ酸配列は、本件発明1の「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のペプチドのいずれの配列と異なるものであるから、後者の配列を前者の配列から想到することは当業者にとって容易ではない。 よって、本件請求項1に係る特許は、特許法29条2項第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 (イ)甲2を主引例とするケース 本件発明1と甲2-1発明とを対比する。 上記(ア)aに記載したのと同様の理由により、甲2-1発明の「WDEIA患者の血清中のω-グリアジン結合IgE抗体を測定するための物品の集合」は、本件発明1の「アレルギーの診断キット」に相当する。 しかし、甲2-1発明のPep Aポリペプチドは、本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドにも相当しない。 したがって、本件発明1は甲2-1発明と同一ではないので、特許法第29条第1項第3号に該当しない。 そして、本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドは、甲1~9のいずれにも記載されていないから、本件発明1は、甲2-1発明と甲1~9の記載事項を組み合わせても、本件発明の「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)のポリペプチドの少なくとも一つを含む、アレルギーの診断キット」を想到することは当業者にとって容易ではない。また、甲2-1発明におけるアミノ酸配列は、本件発明1の「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のペプチドのいずれの配列と異なるものであるから、後者の配列を前者の配列から想到することは当業者にとって容易ではない。 よって、本件請求項1に係る特許は、特許法29条2項第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 (ウ)甲3を主引例とするケース 本件発明1と甲3-1発明とを対比する。 上記(ア)aに記載したのと同様の理由により、甲3-1発明の「WDEIA患者の血清中のω-グリアジン結合IgE抗体を測定するための物品の集合」は、本件特許発明1の「アレルギーの診断キット」に相当する。 しかし、甲3-1発明のポリペプチドは、本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドにも相当しない。 したがって、本件発明1は甲3-1発明と同一ではないので、特許法第29条第1項第3号に該当しない。 そして、本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドは、甲1~9のいずれにも記載されていないから、本件発明1は、甲3-1発明と甲1~9の記載事項を組み合わせても、本件発明の「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)のポリペプチドの少なくとも一つを含む、アレルギーの診断キット」を想到することは当業者にとって容易ではない。また、甲3-1発明におけるアミノ酸配列は、本件発明1の「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のペプチドのいずれの配列と異なるものであるから、後者の配列を前者の配列から想到することは当業者にとって容易ではない。 よって、本件請求項1に係る特許は、特許法29条2項第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 (エ)甲4を主引例とするケース 本件発明1と甲4-1発明とを対比する。 上記(ア)aに記載したのと同様の理由により、甲4-1発明の「コムギアレルギー患者の血清中のω-グリアジン結合IgEを検出するための物品の集合」は、本件特許発明1の「アレルギーの診断キット」に相当する。 しかし、甲4-1発明のω-グリアジンは、本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドにも相当しない。 したがって、本件発明1は甲4-1発明と同一ではないので、特許法第29条第1項第3号に該当しない。 そして、本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドは、甲1~9のいずれにも記載されていないから、本件発明1は、甲4-1発明と甲1~9の記載事項を組み合わせても、本件発明の「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)のポリペプチドの少なくとも一つを含む、アレルギーの診断キット」を想到することは当業者にとって容易ではない。また、甲4-1発明におけるアミノ酸配列は、本件発明1の「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のペプチドのいずれの配列と異なるものであるから、後者の配列を前者の配列から想到することは当業者にとって容易ではない。 よって、本件請求項1に係る特許は、特許法29条2項第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 (オ)甲5を主引例とするケース 本件発明1と甲5-1発明とを対比する。 甲5-1発明の「IgE媒介アレルギー」は、アレルギーの一種であるから、同発明のキットは「アレルギーの診断キット」である。 甲5-1発明の配列番号51、97のアミノ酸配列は、本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドにも相当しない。 したがって、本件発明1は甲5-1発明と同一ではないので、特許法第29条第1項第3号に該当しない。 そして、本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドは、甲1~9のいずれにも記載されていないから、本件発明1は、甲5-1発明と甲1~9の記載事項を組み合わせても、本件発明の「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)のポリペプチドの少なくとも一つを含む、アレルギーの診断キット」を想到することは当業者にとって容易ではない。また、甲5-1発明におけるアミノ酸配列は、本件発明1の「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のペプチドのいずれの配列と異なるものであるから、後者の配列を前者の配列から想到することは当業者にとって容易ではない。 よって、本件請求項1に係る特許は、特許法29条2項第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 (カ)甲7を主引例とするケース a 対比 本件発明1と甲7-1発明とを対比する。 甲7-1発明の「卵アレルギー」はアレルギーの一種であるから、同発明の「卵アレルギーの診断キット」は「アレルギーの診断キット」である。 また、甲7-1発明の「(1)~(3)のタンパク質の少なくとも一つ」は、卵アレルギーの抗原であって、「タンパク質」は「ポリペプチド」であり、本件発明1の「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)のポリペプチドの少なくとも一つ」は「アレルギー」の抗原となるものであるから、両者は、検出対象とするアレルギーの抗原であるポリペプチドを含むことで共通する。 したがって、本件発明1と甲7-1発明は、以下の点で一致する。 (一致点) 「検出対象とするアレルギーの抗原であるポリペプチドを含むアレルギーの診断キット。」 そして、両発明は、以下の点で相違する。 (相違点) 「本件発明1は、本件特許の請求項1の(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)のポリペプチドの少なくとも一つを含むものであるのに対し、甲7-1発明は、甲7の請求項1の(1)~(3)に記載されたタンパク質を抗原として含むものである点。」 b 相違点の検討 甲7に記載の「甲7の請求項1の(1)~(3)に記載されたタンパク質」は、鶏卵由来のタンパク質であって、対象患者のIgE抗体に特異的に結合するものである(摘記事項(甲7-1)、(甲7-5)、(甲7-6))。 また、甲1~4には、WDEIA患者の血清IgEと特異的に結合するωグリアジン及びω-5グリアジンノの一部を含むポリペプチドが記載されているが、本件特許の請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドにも相当しないので、甲7-1発明のアレルギーの抗原を、甲1~4のいずれかに記載のωグリアジン又はポリペプチドに換えても、本件発明1の上記相違点に係る構成を充足しない。また、甲5~9にも本件特許の請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれかのペプチドに相当するものは記載されていないので、甲7-1発明と甲5~9の記載事項を組み合わせても、本件発明1の上記相違点に係る構成を想到することは当業者にとって容易ではない。 よって、本件発明1は、甲7-1発明及び甲1~9のいずれかの記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、本件請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 (キ)甲8又は甲9を主引例とするケース 甲8、9には、本件発明1に関連しうる記載として、甲7と同様の記載があるが(摘記事項(甲8-1)~(甲8-6)、(甲9-1)~(甲9-3)、(甲9-6)~(甲9-9))、本件発明1は、上記(カ)aの対比、及び(カ)bの相違点の検討と同様の理由により、甲8-1発明又は甲9-1発明と、甲1~9のいずれかの記載事項とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、本件請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 イ 本件発明2について 上記アで検討したように甲1~5、7~9のいずれにも、本件請求項2が引用する本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドに相当するものが記載されていないため、本件発明2は、甲1-4発明、甲1-5発明、甲1-6発明、甲2-2発明、甲3-2発明、甲4-2発明及び甲5-2発明のいずれの発明とも同一とはいえず、特許法第29条第1項第3号に該当しない。また、上記アと同様の理由により、本件発明2は、甲1-4発明、甲1-5発明、甲1-6発明、甲2-2発明、甲3-2発明、甲4-2発明及び甲5-2発明のいずれに基づいても当業者が容易に発明をすることができたものではなく、甲1-4発明、甲1-5発明、甲1-6発明、甲2-2発明、甲3-2発明、甲4-2発明及び甲5-2発明、甲7-2発明、甲8-2発明又は甲9-2発明、及び甲1~9のいずれかの記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、本件請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 ウ 本件発明3について 上記アで検討したように甲1~5、7~9のいずれにも、本件請求項3が引用する本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドに相当するものが記載されていないため、本件発明3は、甲1-7発明、甲2-3発明、甲3-3発明、甲4-3発明及び甲5-3発明のいずれの発明とも同一とはいえず、特許法第29条第1項第3号に該当しない。また、上記アと同様の理由により、本件発明3は、甲1-7発明、甲2-3発明、甲3-3発明、甲4-3発明及び甲5-3発明のいずれに基づいても当業者が容易に発明をすることができたものではなく、甲1-7発明、甲2-3発明、甲3-3発明、甲4-3発明、甲5-3発明、甲7-3発明、甲8-3発明又は甲9-3発明、及び甲1~9のいずれかの記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、本件請求項3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 エ 本件発明4、5について 上記アで検討したように甲1~5、7~9のいずれにも、本件請求項4、5が直接又は間接的に引用する本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドに相当するものが記載されていないため、本件発明4、5は、甲1-8発明、甲2-2発明、甲3-2発明、甲4-2発明及び甲5-4発明のいずれの発明とも同一とはいえず、特許法第29条第1項第3号に該当しない。また、上記アと同様の理由により、本件発明4、5は、甲1-8発明、甲2-2発明、甲3-2発明、甲4-2発明及び甲5-4発明のいずれに基づいても当業者が容易に発明をすることができたものではなく、甲1-8発明、甲2-2発明、甲3-2発明、甲4-2発明、甲5-4発明、甲7-3発明、甲8-3発明又は甲9-3発明、及び甲1~9のいずれかの記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、本件請求項4、5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 オ 本件発明8について 上記アで検討したように甲1~5、7~9のいずれにも、本件請求項8が引用する本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドに相当するものが記載されていないため、本件発明8は、甲1-4発明、甲1-5発明、甲1-6発明、甲2-2発明、甲3-2発明、甲4-2発明及び甲5-2発明のいずれの発明とも同一とはいえず、特許法第29条第1項第3号に該当しない。また、上記アと同様の理由により、本件発明8は、甲1-4発明、甲1-5発明、甲1-6発明、甲2-2発明、甲3-2発明、甲4-2発明又は甲5-2発明、及び甲1~9のいずれかの記載事項に基づいても当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件請求項8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 カ 本件発明9について 上記アで検討したように甲1、4のいずれにも、本件請求項9が引用する本件請求項1で特定されている「(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)」のいずれのペプチドに相当するものが記載されていないため、本件発明9は、甲1-9発明、甲1-10発明及び甲4-4発明のいずれの発明とも同一とはいえず、特許法第29条第1項第3号に該当しない。また、上記アと同様の理由により、本件発明9は、甲1-9発明、甲1-10発明又は甲4-4発明、及び甲1~9のいずれかの記載事項に基づいても当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件請求項9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 2 取消理由3(申立理由3)について 本件訂正により、取消理由3(申立理由3)で不明確とされた、請求項8、9の「請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチド」という記載は、「請求項1において(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)として特定されるポリペプチドの少なくとも一つ」に訂正され、この訂正後の記載は、(E1)、(E3)、(E8)、(E18)および(E39)のいずれか1つ以上のポリペプチドを意味することが明らかであるから、該記載を含む本件請求項8、9の記載で特定される本件発明8、9は、第三者に不測の不利益をもたらす程不明確ということはできない。 よって、本件請求項8、9の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとはいえない。 第6 むすび 上記第5のとおり、本件特許の請求項1~5、8及び9に係る特許は、取消理由及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~5、8及び9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700644

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  • 2023-701195異議申立 / 2024-11-20 / 訂正認容アドレノメデュリン濃度変動による予後予測の情報提供方法及びその試薬
    共通の審決分類: 113・G01N、121・G01N、537・G01N
  • 2023-700736異議申立 / 2024-11-19 / 訂正認容センサ
    共通の審決分類: 113・G01N、121・G01N、537・G01N

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