特許異議申立
2023-701195
アドレノメデュリン濃度変動による予後予測の情報提供方法及びその試薬
- 審判番号
- 2023-701195
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-519602
- 登録番号
- 7270912
- 請求日
- 2023年11月13日
- 審決日
- 2024年11月20日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】東ソー株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人秀和特許事務所
- 【権利者】国立大学法人 宮崎大学
- 【権利者代理人】弁理士法人秀和特許事務所
- 【異議申立人】石井 悠太
- 審判長/審判官
- 審判長 南 宏輔
- 審判官 加々美 一恵
- 審判官 松本 隆彦
- 分類
- P1651.537-YAA(G01N) / P1651.536-YAA(G01N) / P1651.113-YAA(G01N) / P1651.121-YAA(G01N) / P1651.16 -YAA(G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第36条第6項第1号、特許法第126条第7項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第113条第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第36条、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7270912号発明「アドレノメデュリン濃度変動による予後予測の情報提供方法及びその試薬」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7270912号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~11〕について訂正することを認める。
特許第7270912号の請求項1~5、10、11に係る特許を維持する。
特許第7270912号の請求項6~9に対する特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯の概要
特許第7270912号の請求項1~11に係る特許についての出願は、平成30年5月17日(優先権主張 平成29年5月22日)を国際出願日とする出願であって、令和5年4月28日にその特許権の設定登録がされ、令和5年5月11日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 11月13日 : 特許異議申立人石井悠太(以下「申立人」という。)による請求項1~11に係る特許に対する特許異議の申立て
令和6年 2月28日付け: 取消理由通知書
令和6年 4月19日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和6年 5月17日 : 特許権者による手続補正書(令和6年4月19日提出訂正請求書を対象とするもの)の提出
令和6年 9月25日 : 申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正の内容は以下のとおりである。なお、下線部は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、「アドレノメデュリン類」とあるのを「成熟型アドレノメデュリン」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5において、「アドレノメデュリン類」とあるのを「成熟型アドレノメデュリン」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6~9を削除する。
(4)訂正事項4
(訂正事項4-1)
特許請求の範囲の請求項10において、「アドレノメデュリン類」とあるのを「成熟型アドレノメデュリン」に訂正する。
(訂正事項4-2)
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1~9いずれかに記載の方法。」とあるのを、引用する請求項を請求項1~5に減少させて「請求項1~5いずれかに記載の方法。」に訂正する。
(5)訂正事項5
(訂正事項5-1)
特許請求の範囲の請求項11において、「アドレノメデュリン類」とあるのを「成熟型アドレノメデュリン」に訂正する。
(訂正事項5-2)
特許請求の範囲の請求項11に「請求項1~10いずれかに記載の方法。」とあるのを、引用する請求項を請求項1~5及び10に減少させて「請求項1~5及び10いずれかに記載の方法。」に訂正する。
(6)一群の請求項
訂正前の請求項1~11について、請求項2~11はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~11に対応する訂正後の請求項1~11は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1は、請求項1において、「アドレノメデュリン類」をその下位概念の「成熟型アドレノメデュリン」に限定するものである。したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
「アドレノメデュリン類」の下位概念である「成熟型アドレノメデュリン」は、願書に添付した明細書段落【0019】の「本発明において、測定されるアドレノメデュリン類には特に限定はないが、配列番号1記載のアミノ酸配列を含むものが好ましい。また配列番号1に記載のアミノ酸配列から成るアドレノメデュリン、iAM、又はmAMの量を測定することも好ましく、特にmAM量を測定することが更に好ましい。」なる記載、及び同明細書段落【0005】の「成熟型アドレノメデュリン(以下、mAMと記載する場合もある。配列番号1に記載のアミノ酸配列のC末端がアミド化(-CONH2)したもの。)」なる記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、請求項1において、「アドレノメデュリン類」を特定するものであり、上記アのとおり特許請求の範囲を減縮するものである。したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲を拡張するものでも変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
エ 独立特許要件
本件においては、訂正前の全ての請求項1~11について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1に係る訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的の適否
訂正事項2は、請求項5において、「アドレノメデュリン類」をその下位概念の「成熟型アドレノメデュリン」に限定するものである。したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
上記(1)アで記載したとおり、「アドレノメデュリン類」を「成熟型アドレノメデュリン」に限定する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、請求項5において、「アドレノメデュリン類」を特定するものであり、上記アのとおり特許請求の範囲を減縮するものである。したがって、訂正事項2は、特許請求の範囲を拡張するものでも変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
エ 独立特許要件
本件においては、訂正前の全ての請求項1~11について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項5に係る訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的の適否
訂正事項3は、請求項6~9を削除するというものであるから、当該訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項3は、請求項6~9を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、請求項6~9を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
エ 独立特許要件
本件においては、訂正前の全ての請求項1~11について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項6~9に係る訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的の適否
訂正事項4のうち訂正事項4-1は、請求項10において、「アドレノメデュリン類」をその下位概念の「成熟型アドレノメデュリン」に限定するものである。したがって、訂正事項7-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項4のうち訂正事項4-2は、訂正前の請求項10が請求項1~9の記載を引用する記載であるところ、引用する請求項の数を減少させる訂正である。したがって、訂正事項7-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項4のうち訂正事項4-1は、「アドレノメデュリン類」を下位概念である「成熟型アドレノメデュリン」にするものであるから、上記(1)アに記載のとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。したがって、訂正事項7-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
訂正事項4のうち訂正事項4-2は、引用する請求項の数を減少させるものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4のうち訂正事項4-1は、請求項10において、「アドレノメデュリン類」を下位概念である「成熟型アドレノメデュリン」に特定するものであり、特許請求の範囲を減縮するものである。したがって、訂正事項4-1は、特許請求の範囲を拡張するものでも変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
訂正事項4のうち訂正事項4-2は、引用する請求項の数を減少させるものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。したがって、訂正事項4-2は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
エ 独立特許要件
本件においては、訂正前の全ての請求項1~11について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項10に係る訂正事項4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(5) 訂正事項5
ア 訂正の目的の適否
訂正事項5のうち訂正事項5-1は、請求項11において、「アドレノメデュリン類」をその下位概念の「成熟型アドレノメデュリン」に特定するものである。したがって、訂正事項7-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項5のうち訂正事項5-2は、訂正前の請求項11が請求項1~10の記載を引用する記載であるところ、引用する請求項の数を減少させる訂正である。したがって、訂正事項5-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項5のうち訂正事項5-1は、「アドレノメデュリン類」を下位概念である「成熟型アドレノメデュリン」に特定するものであるから、上記(1)アに記載のとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。したがって、訂正事項5-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
訂正事項5のうち訂正事項5-2は、引用する請求項の数を減少させるものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5のうち訂正事項5-1は、請求項11において、「アドレノメデュリン類」を下位概念である「成熟型アドレノメデュリン」に特定するものであり、上記アに記載のとおり特許請求の範囲を減縮するものである。したがって、訂正事項5-1は、特許請求の範囲を拡張するものでも変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
訂正事項5のうち訂正事項5-2は、引用する請求項の数を減少させるものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。したがって、訂正事項5-2は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
エ 独立特許要件
本件においては、訂正前の全ての請求項1~11について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項11に係る訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
3 訂正の適否の小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~11〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
本件訂正は上記第2のとおり認められたので、本件訂正後の請求項1~5、10、11に係る発明(以下、請求項の項番にしたがい「本件訂正発明1」等という。また、本件訂正発明1等をまとめて「本件訂正発明」ということがある。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~5、10、11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
【請求項1】
敗血症又は敗血症が疑われる患者の予後を予測するための情報を提供する方法であって、下記のステップを含み、下記検体が血液成分である方法:
(a)前記患者に由来する治療介入前の検体中の成熟型アドレノメデュリン量を測定するステップ、
(b)ステップ(a)と同じ患者に由来する治療介入後の検体であって、ステップ(a)の検体を採取後12時間以降かつ治療介入後24時間以内に採取された検体中の成熟型アドレノメデュリン量を測定するステップ、
(c)前記(a)の測定値と前記(b)の測定値との差分を求めるステップ、及び
(d-1)前記(c)の差分において、(b)の測定値から(a)の測定値を差引いた値が正の場合、もしくは(a)の測定値から(b)の測定値を差引いた値が負の場合は、前記患者の予後が不良であると予測するための情報を関連づけるステップ、及び/又は
(d-2)前記(c)の差分において、(b)の測定値から(a)の測定値を差引いた値が負の場合、もしくは(a)の測定値から(b)の測定値を差引いた値が正の場合は、前記患者の予後が良好であると予測するための情報を関連づけるステップ。
【請求項2】
治療介入が手術である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(b)の検体が、治療介入後12時間以内に採取されたものである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
治療介入してから4週間以内の予後を予測するための情報を提供する、請求項1~3いずれかに記載の方法。
【請求項5】
成熟型アドレノメデュリンが配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~4いずれかに記載の方法。
【請求項10】
成熟型アドレノメデュリンを認識する抗体を用いて免疫化学的方法により測定する、請求項1~5いずれかに記載の方法。
【請求項11】
成熟型アドレノメデュリンを認識する抗体を含有することを特徴とする、請求項1~5及び10いずれかに記載の方法に使用するための測定試薬。
第4 取消理由通知に記載した取消理由の概要
令和6年2月28日付けの取消理由通知書に記載した取消理由の概要は以下のとおりである。
理由1(サポート要件)この出願は、mAMについての特定をアドレノメデュリン類全般まで拡張ないし一般化できないから、特許請求の範囲の請求項1~11の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由2(明確性)この出願は、「治療介入後24時間以内」の始点が治療介入を開始した時点となるのか、治療介入が終了した時点となるのかのいずれになるのか、当業者にとって明確でないから、特許請求の範囲の請求項1~11の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
第5 判断
1 取消理由通知に記載したサポート要件について
上記第2に示したとおり、本件訂正により本件訂正発明ではアドレノメデュリン類が成熟型アドレノメデュリンに訂正された。よって、mAMについての特定をアドレノメデュリン類全般まで拡張ないし一般化できないという当該サポート要件違反は、本件訂正によって明らかに解消されている。
2 取消理由通知に記載した明確性要件について
本件明細書の段落【0052】には、実施例4の標題として「実施例4:ICU入室後6時間、12時間、および24時間のデータからICU入室時(0時間)のデータを減じた濃度での予後予測」との記載がある。この記載中の「ICU入室時(0時間)」との表記から、「ICU入室時」を治療介入を開始した時点であると理解することができる。また、医療の現場実態からして、ICUは早急な治療を必要とする患者が入室するものであって、患者入室から速やかに治療が開始されることは、当業者の技術常識から明らかである。とすると、ICU入室時を0時間として、治療介入開始した時点であると便宜的に解釈することは、自然なものと理解できる。このため、「治療介入後24時間以内」の始点は治療介入を開始した時点であると解釈でき、「治療介入後24時間以内」の始点について本件訂正発明に不明確な点はない。
第6 取消理由通知で採用しなかった異議申立理由について
1 取消理由通知で採用しなかった異議申立理由
申立人は、取消理由通知で採用しなかった異議申立理由で、以下の旨を申し立てている。
(1)特許法第36条関連
ア 用語「アドレノメデュリン類」について
末尾に「類」が付いた用語「アドレノメデュリン類」の範囲は、本件特許発明1の記載からは直ちには理解できず、不明確である。同じ理由により、本件特許発明2~11もまた、明確性要件を欠く。
以上より、本件特許発明1~11に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たさない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
イ 差分の正負だけでは予後は予測できないことについて
本件請求項には、測定値の差分が「正の場合」、「負の場合」として規定されるに過ぎず、閾値も、検体間の有意差も特定されていないため、測定値にわずかな変動があれば予後の予測が可能であるということになる。本件特許発明は、2つの検体間のあらゆる程度の差分に対して予後の予測が可能であるとは言えない。そして本件特許明細書には差分がどの程度であれば予後の予測が可能であるかについての記載は無い。よって、本明細書の発明の詳細な説明は、本件特許発明1~11に係る発明について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない。
また本件特許発明1の方法について測定値の差分が「正の場合」、「負の場合」として規定される場合には2つの検体間のあらゆる程度の差分が包含されるところ、差分の程度にかかわらず意味のある予後の予測の情報を提供できるとはいえないから、実施例4に開示された内容を、本件特許発明1の範囲まで拡張ないし一般化できるとは言えない。
以上より、本件特許発明1~11に係る特許は、特許法第36条第4項第1号および第36条第6項第1号の規定を満たさない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
ウ 本件特許発明1~11の「予後の予測」について
「予後が不良」と「予後が良好」について本件明細書で定義はなく、それぞれどのような状態であるか客観的な基準となるものが規定されていない。このため、差分の正負に基づいて「生存~死亡間の程度や割合を予測すること」が、「予後が良好」及び「予後が不良」のいずれに相当するのかは、明確ではない。
加えて、「生存/死亡の二者を識別し予測する」場合も、「生存~死亡間の程度や割合を予測する」場合も、「予後が良好」または「予後が不良」を識別する時点(検体測定からどれくらいの期間が経過した後、例えば数週間、数ヶ月、数年、数十年等で識別するのか)を規定していない。
以上に述べた理由により、本件発明1の記載は、明確性要件を欠く。
また、本件特許明細書には、生存、死亡以外の状態を予後指標として実際に予測できたことは記載されていない。加えて、4週間後以外の任意の時点において実際に予後できたことについても記載されていない。そもそも、実施例4には4週間後の始点も明確に記載されていない。
このため、本件特許発明1~11に係る特許は、特許法第36条第6項第1号、第36条第6項第2号、第36条第4項第1号の規定を満たさない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
エ 本件特許発明1~11の「治療介入」について
用語「治療介入」の定義は本明細書には記載されていない。本件明細書には、治療介入の例示としては「手術」があるのみである(本件明細書段落【0012】、【0018】)。本件特許発明1の「治療介入」には、手術以外にも病院外での治療や、抗生物質治療など、様々な軽度の治療も含み得るため、その範囲が不明である。
よって、本件特許発明1は、明確性要件を欠く。
また、「手術」は、侵襲の程度や、部位などに応じて様々な種類のものを含みうるから、その範囲は不明である。
よって、本件特許発明2は、明確性要件を欠く。
また、単に「手術」といっても侵襲の程度や、部位などに応じて様々な種類のものがあり、手術の種類によって患者が受ける手術ストレスが異なることは技術常識である。当業者にとって手術の種類の違いによる患者への負担の違いにより、患者の予後も影響を受けることは明らかであり、当業者は「治療介入」、「手術」との記載しかない本明細書の発明の詳細な説明の記載に基づいて、実施例において「治療介入」としてどのような行為が行われたときに患者の予後を予測し得たのかを理解することができない。
したがって当業者は「治療介入」、「手術」との記載しかない本発明の発明な詳細に基づいて、どのような行為が「治療介入」に該当するかを理解することができず、本件特許の方法を実施することができない。
よって、本明細書の発明の詳細な説明は、本件特許発明1~18に係る発明について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない。
このため、本件特許発明1~11に係る特許は、特許法第36条第6項第1号、第36条第6項第2号、第36条第4項第1号の規定を満たさない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
オ 本件特許発明1~11の「血液成分」について
「血液成分」には全血、血球、血清、血漿等が含まれると理解できるところ(本件明細書段落【0014】)、実施例において実際にアドレノメデュリン類の測定を行い、予後良好群と予後不良群とを分別できたとして開示されているのは検体が血漿である場合のみである。
したがって実施例に開示された内容を、本件特許発明1の範囲まで拡張ないし一般化できるとは言えない。
よって、本件特許発明1~11に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定を満たさない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
(2)甲1、甲2、甲3、甲5に基づく新規性、進歩性欠如
本件特許発明1、3~11は、甲第1、2、3、5号証それぞれに基づいて新規性がない。また、本件特許発明1~11は、甲第1~5号証それぞれを主引用例として進歩性がない。
よって、請求項1、3~11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、また、請求項1~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3)甲4に基づく拡大先願
本件特許発明1、3~11は、甲第4号証に基づいて拡大先願の規定を満たさない。
よって、請求項1、3~11に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 判断
(1)について
ア 用語「アドレノメデュリン類」について
上記第2のとおり、本件補正により「アドレノメデュリン類」は「成熟型アドレノメデュリン」に訂正されており、申立人の主張する明確性違反は明らかに解消されている。このため、本件訂正発明は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしている。
イ 差分の正負だけでは予後は予測できないことについて
測定結果の意味を判断する際に、誤差を念頭に判断することは、当業者にとって技術常識である。このため、本件訂正発明においても、誤差を考慮した上で差分の正負が意味するところを判断して予後予測に供していることは明らかである。このため、本件訂正発明は、特許法第36条第4項第1号および第36条第6項第1号の規定を満たしている。
ウ 本件訂正発明の「予後の予測」について
予後とは、ある疾患が存在する場合、当該疾患の結果、将来どのような状態になるかを示すものであって、生存か死亡を意味したり、後遺症の有無を意味したりすることは、当業者にとって周知である。そして、本件訂正発明は敗血症又は敗血症が疑われる患者を対象としているが、敗血症は生死に関わる深刻な疾患であることや、本件明細書では予後として生存/死亡を採用していることから、本件訂正発明においては、「予後の予測」は生存か死亡かを予測するものと理解できる。
また、予後に関する生存か死亡かは、当該疾患を原因とした生存か死亡であることは明らかであるから、本件訂正発明は当該疾患を原因とした生存か死亡かを判定できる程度の時点での状態に関するものであることも、当業者にとって明らかである。
このため、本件訂正発明は、特許法第36条第6項第1号、第36条第6項第2号、第36条第4項第1号の規定を満たしている。
エ 本件訂正発明の「治療介入」について
敗血症の治療として、病原となった微生物を体内から除去するための手術や抗生物質などの薬剤投与が一般的に実施されていることは、当業者にとって周知である。とすると、本件訂正発明の「治療介入」がこれらのことを指し示すことは当業者にとって明らかであるので、本件訂正発明は明確であるし、当業者が実施可能であるし、本件明細書に記載されたものである。このため、本件訂正発明は、特許法第36条第4項第1号、第36条第6項第1号、および第36条第6項第2号の規定を満たしている。
オ 本件訂正発明の「血液成分」について
血液を用いた検査において、血液を血漿として用いるか、血清として用いるか、全血として用いるか等、血液をどの状態で使用するかは、検査項目に応じて適切なものを当業者が適宜選択できるものである。このため、当業者であれば、「血液成分」として、検査項目に応じて適切な血液状態を選択するものであるから、本件訂正発明は、本件明細書に記載されたものであって、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしている。
(2)甲1、甲2、甲3、甲5に基づく新規性、進歩性欠如
ア 甲1に基づく新規性、進歩性欠如
(ア)甲1発明
甲第1号証として申立人が提出した特表2016-521351号公報(以下、「甲1」という。【請求項1】、【請求項2】、【請求項19】、【0017】、【0018】、【0021】、【0027】、【0029】、【0030】、【0095】、【0099】、【0100】等参照))には以下の発明(以下、「甲1発明」という)が記載されている。
(甲1発明)
輸液蘇生又は昇圧剤投与を必要とする対象を確定するインビトロ方法であって:
・該対象の血液中の、成熟ADMのレベルを決定する工程;
・該レベルを、該対象の輸液蘇生又は昇圧剤投与の必要性と相関させる工程:を含み、ここで該対象は、該対象の体液中の成熟ADMのレベルが閾値を上回る場合に、かかる必要性を有するものとして確定される方法であって、
対象患者は、ADMを入院中毎日測定し、院内死亡率と相関させる、
方法。
(イ)対比、判断
本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明は「ステップ(a)の検体を採取後12時間以降かつ治療介入後24時間以内に採取された検体中の成熟型アドレノメデュリン類を測定するステップ」(なお、ステップ(a)は、「患者に由来する治療介入前の検体中の成熟型アドレノメデュリン量を測定するステップ」のことを示す。)を有するか不明な点で、本件訂正発明1と少なくとも相違する。
上記相違点について検討する。甲1発明では「ADMを入院中毎日測定」するものであって、日にち単位で測定を行っているものの、時間単位での測定は念頭に置いていない。そして、日にち単位での測定は、一日のうちのいつ測定作業を行うかは明らかでなく、その結果、入院時の時刻によって、次の日の測定が「検体を採取後12時間以降かつ治療介入後24時間以内」になるとは必ずしも限らない。また、甲1には「ステップ(a)の検体を採取後12時間以降かつ治療介入後24時間以内に採取された検体中の成熟型アドレノメデュリン類を測定するステップ」にすることについて示唆や動機も記載されていないし、当該事項が周知であるといった事情も見当たらない。申立人が副引用例として提出した甲第6~8、10、11、13号証にも、当該相違点に係る構成は開示されていない。
また、本件明細書の【0052】や図10を参酌するに、「ステップ(a)の検体を採取後6時間」後に採取された検体を使用した場合は患者の予後を予測できないのに対し、本件訂正発明1が「ステップ(a)の検体を採取後12時間以降かつ治療介入後24時間以内に採取された検体中の成熟型アドレノメデュリン量を測定するステップ」を有することで、本件訂正発明1では当該予後の予測が可能になるという効果を有することが、読み取れる。
とすると、本件訂正発明1は甲1発明ではないし、甲1発明から当業者が容易になし得たものでもない。本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~5、10、11も同様に、甲1発明ではないし、甲1発明をもとに当業者が容易になし得たものでもない。
イ 甲2に基づく新規性、進歩性欠如
(ア)甲2発明
甲第2号証として申立人が提出した、Hirata et al. Increased circulating adrenomedullin, a novel vasodilatory peptide, in sepsis. J Clin Endocrinol Metab. 1996(以下、「甲2」という。ABSTRACT、第1449頁左欄最後の段落、Methods- Patients(第1149頁右欄~第1150頁左欄)、Methods ? Measurement of plasma immunoreactive (ir)-hAM(第1450頁左欄第1段落~右欄第2段落)、Results(第1451頁等)等参照)には、以下の発明(以下、「甲2発明」)が記載されていると認められる。
(甲2発明)
敗血症でICUに入院した対象の血漿中hAM濃度を、ICU入院直後とその後1~3日おきに測定し、生存者と非生存者で濃度の推移を見る方法。
(イ)対比、判断
本件訂正発明1と甲2発明とを対比すると、甲2発明は「ステップ(a)の検体を採取後12時間以降かつ治療介入後24時間以内に採取された検体中の成熟型アドレノメデュリン類を測定するステップ」(なお、ステップ(a)は、「患者に由来する治療介入前の検体中の成熟型アドレノメデュリン量を測定するステップ」のことを示す。)を有するか不明な点で、本件訂正発明1と少なくとも相違する。
そして、それに対する判断は上記ア(イ)で示したとおりである。
とすると、本件訂正発明1は甲2発明ではないし、甲2発明から当業者が容易になし得たものでもない。本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~5、10、11も同様に、甲2発明ではないし、甲2発明をもとに当業者が容易になし得たものでもない。
ウ 甲3に基づく新規性、進歩性欠如
(ア)甲3発明
甲第3号証として申立人が提出した、Marino et al. Plasma adrenomedullin is associated with short-term mortality and vasopressor requirement in patients admitted with sepsis. Crit Care. 2014(以下、「甲3」という。Abstract、ADM measurement(第2頁左欄)、Result(第3頁右欄~第4頁左欄第1段落)、Discussion(第6頁左欄第3段落)、テーブル1~2、図1、図4等参照)には、以下の発明(以下、「甲3発明」)が記載されていると認められる。
(甲3発明)
敗血症が疑われる患者の血漿中のADMを、救急入院時とその後4日間測定し、28日死亡率を調べる方法。
(イ)対比、判断
本件訂正発明1と甲3発明とを対比すると、甲3発明は「ステップ(a)の検体を採取後12時間以降かつ治療介入後24時間以内に採取された検体中の成熟型アドレノメデュリン類を測定するステップ」(なお、ステップ(a)は、「患者に由来する治療介入前の検体中の成熟型アドレノメデュリン量を測定するステップ」のことを示す。)を有するか不明な点で、本件訂正発明1と少なくとも相違する。
そして、それに対する判断は上記ア(イ)で示したとおりである。
とすると、本件訂正発明1は甲3発明ではないし、甲3発明から当業者が容易になし得たものでもない。本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~5、10、11も同様に、甲3発明ではないし、甲3発明をもとに当業者が容易になし得たものでもない。
エ 甲5に基づく新規性、進歩性欠如
(ア)甲5発明
甲第5号証として申立人が提出した、「敗血症に対するPMX施行時の血漿アドレノメデュリン濃度の変動」、医薬の門2002年42巻2号26-29(以下、「甲5」という。サマリー、II症例、図1、図2、p28左欄下から4行~右欄17行等参照)には、以下の発明(以下、「甲5発明」)が記載されていると認められる。
(甲5発明)
敗血症患者の血中の成熟型AMを、ICU入院時から断続的に測定する方法。
また、甲5には以下の技術的事項が記載されている。
(甲5に記載された技術的事項)
敗血症時に血中AMが高値を持続するものは予後が悪い一方、速やかにAMが低下する症例においては予後が良好であること。
(イ)対比、判断
本件訂正発明1と甲5発明とを対比すると、甲5発明は「ステップ(a)の検体を採取後12時間以降かつ治療介入後24時間以内に採取された検体中の成熟型アドレノメデュリン類を測定するステップ」(なお、ステップ(a)は、「患者に由来する治療介入前の検体中の成熟型アドレノメデュリン量を測定するステップ」のことを示す。)を有するか不明な点で、本件訂正発明1と少なくとも相違する。
そして、それに対する判断は上記ア(イ)で示したとおりである。また、甲5に記載された技術的事項を勘案しても、上記相違点に係る構成に到達することはない。
とすると、本件訂正発明1は甲5発明ではないし、甲5発明から当業者が容易になし得たものでもない。本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~5、10、11も同様に、甲5発明ではないし、甲5発明をもとに当業者が容易になし得たものでもない。
(3)甲4に基づく拡大先願
ア 甲4発明
甲第4号証として申立人が提出した、特表2019-502104号公報(以下、「甲4」という。請求項1、【0001】、【0020】、【0023】、【0024】、【0026】、【0028】、【0032】、【0068】、【0070】、【0071】、【0093】、【0097】、【0109】、【0125】、【0132】、【0148】、【0191】等参照)には、以下の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲4発明)
対象の細胞外液量状態、体液バランス、塩分バランス及び/又は血球量状態を決定する方法であって、前記対象から得られた試料においてプロアドレノメデュリン(proADM)又はその断片のレベルを決定することを含み、好ましくは、前記断片がMR-proADMである、方法であって、
マーカー及び/又はパラメータの決定は、毎時実施することもでき、例えば、1回目の測定が患者の入院時に実施されてもよく、次に例えば1時間毎、2時間毎又は5時間毎に測定が繰り返されてもよく、
proADM又はその断片、好ましくはMR-proADMのレベル、及び任意選択的に、決定されたパラメータのレベルは、それ以前の時点において決定されたマーカー又はパラメータの1つのレベル/値、又はそれ以前の2つ以上の時点から計算したレベル/値の平均のいずれかと比較される。マーカーレベルの変化が対象の細胞外液量状態の指標である、
方法。
イ 対比、判断
本件訂正発明1と甲4発明とを対比すると、甲4発明は「ステップ(a)の検体を採取後12時間以降かつ治療介入後24時間以内に採取された検体中の成熟型アドレノメデュリン類を測定するステップ」(なお、ステップ(a)は、「患者に由来する治療介入前の検体中の成熟型アドレノメデュリン量を測定するステップ」のことを示す。)を有するか不明な点で、本件訂正発明1と少なくとも相違する。
そして、上記(2)ア(イ)で示したとおり、当該相違点は実質的である。
とすると、本件訂正発明1は甲4発明と同一ではない。本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~5、10、11も同様に、甲4発明と同一ではない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~5、10、11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~5、10、11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件特許の請求項6~9に係る特許は、上記のとおり、本件訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項6~9に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701195