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特許異議申立

2025-701038

分析装置

審判番号
2025-701038
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-075391
登録番号
7679179
請求日
2025年10月31日
審決日
2026年03月25日
公報発行日
2026年04月24日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社エス・テイ・ジャパン
  • 【権利者代理人】亀井 岳行
  • 【異議申立人】後藤 麻衣子
審判長/審判官
  • 審判長 南 宏輔
  • 審判官 宮澤 浩
  • 審判官 伊藤 幸仙
分類
P1651.113-Y (G01N) / P1651.121-Y (G01N) / P1651.536-Y (G01N) / P1651.537-Y (G01N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第113条第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第113条第4号
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7679179号発明「分析装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7679179号の請求項1-4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7679179号(以下「本件特許」という。)に係る出願(以下「本願」という。)は、令和2年4月21日の特許出願であって、令和7年5月9日にその請求項1-4に係る発明について特許権の設定登録がされ、同年5月19日に特許掲載公報が発行され、その後、請求項1-4に係る特許に対して、令和7年10月31日に特許異議申立人 後藤麻衣子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされたものである。 なお、令和7年10月31日提出の特許異議申立書及び証拠説明書については、令和7年12月26日提出の手続補正書及び令和8年2月12日提出の手続補正書により補正がなされ、令和7年10月31日提出の甲第1号証については、令和7年12月26日提出の手続補正書により補正がなされている。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1-4に係る発明(それぞれ以下「本件発明1-4」という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 液体状の試料を収容可能な窪み状の収容部を有するセルと、 前記セルに収容された液体の表面をアブレーションするレーザー光を出力するレーザー光源と、 前記レーザー光源から出力されたレーザー光の照射位置を移動可能な光学系と、 アブレーションされて前記セルから送り出された試料を含むエアロゾルが導入され、導入された試料を誘導結合プラズマ方式で分析を行う分析計と、 を備えたことを特徴とする分析装置。 【請求項2】 前記レーザー光源から出力されたレーザー光を反射するミラーと、前記ミラーを回転させる駆動源と、を有し、レーザー光の照射位置に応じてミラーが回転される前記光学系、 を備えたことを特徴とする請求項1に記載の分析装置。 【請求項3】 第1の軸を中心に回転可能な第1のミラーと前記第1の軸とは異なる第2の軸を中心に回転可能な第2のミラーとを有する前記ミラーと、前記第1のミラーを前記第1の軸を中心に回転させる第1の駆動源と前記第2のミラーを前記第2の軸を中心に回転させる第2の駆動源とを有する前記駆動源と、を有し、前記レーザー光源からのレーザー光を前記第1のミラーで反射し、前記第1のミラーで反射されたレーザー光を前記第2のミラーで前記試料に向けて反射すると共に、前記各ミラーを回転させる周波数である繰り返し周波数が10kHz以上である前記光学系、 を備えたことを特徴とする請求項2に記載の分析装置。 【請求項4】 レーザー光のパルス幅がフェムト秒オーダーのフェムト秒パルスレーザー光を出力する前記レーザー光源、 を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の分析装置。」 第3 異議申立理由の概要 申立人は、証拠として以下の甲第1-5号証を提出し、以下の異議申立理由(以下「異議申立理由1-4」という。)によって、本件発明1-4に係る特許を取り消すべきものである旨を主張している。 1.異議申立理由 (1)異議申立理由1.特許法第29条第1項第3号(新規性)について 本件発明1及び4は、甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、本件特許は特許法第113条第2号の規定により取消されるべきである。 (2)異議申立理由2.特許法第29条第2項(進歩性)について ア 本件発明1-4は、甲第1号証に記載された発明及び、甲第3号証-甲第5号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は特許法第113条第2号の規定により取消されるべきである。 イ また、本件発明1-4は、甲第2号証に記載された発明及び、甲第3号証-甲第5号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は特許法第113条第2号の規定により取消されるべきである。 ウ さらに、本件発明1-4は、甲第3号証に記載された発明及び、甲第1号証、甲第2号証及び甲第5号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は特許法第113条第2号の規定により取消されるべきである。 (3)異議申立理由3.特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)について 本件特許の発明の詳細な説明は、本件発明1-4を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、特許法第36条第4項第1号の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は特許法第113条第4号の規定により取消されるべきである。 (4)異議申立理由4.特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について 本件発明1-4は、本件特許の発明の詳細な説明に記載された発明ではないから、特許法第36条第6項第1号の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は特許法第113条第4号の規定により取消されるべきである。 2.証拠方法 甲第1号証:国際公開第2014/050786号 甲第2号証:Satoki Okabayashi, et al.,Evaluation of Laser Ablation in Liquid(LAL) technique as a new sampling technique for elemental and isotopic analysis using ICP-mass spectrometry,J.Anal.At.Spectrom.,2011.Vol.26,p1393-p1400 甲第3号証:「LA-ICPMSの産業化の可能性-生体イメージング分析に注目!」,月刊OPTRONICS 2017年9月号,2017年9月22日,<http://optronics-media.com/news/20170922/48353/> 甲第4号証:平田岳史、坂田周平、藤本万寿人,「レーザーアブレーションICP-MSの進歩と展望」,ぶんせき,2016年1月号,9-16頁 甲第5号証:Takaomi D. Yokoyama, et al.,Determinations of Rare Earth Element Abundance and U-Pb Age of Zircons Using Multispot Laser Ablation-Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry,Anal.Chem.,2011,Vol.83,p8892-p8899 第4 異議申立理由についての判断 1.甲第1-5号証の記載事項及び甲第1-5号証から認定される発明及び技術事項 (1)甲第1号証 本願の出願前である2014年(平成26年)4月3日に国際公開された、国際公開第2014/050786号(以下「甲1」という。)には、図面とともに次の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与した。以下同様。) ア「請求の範囲 [請求項1] 固体ターゲットの成分を分析する成分分析装置であって、 上記固体ターゲットの表面の少なくとも一箇所にレーザー光を照射して、当該少なくとも一箇所から上記固体ターゲットの微粒子を生成するレーザー照射手段と、 上記固体ターゲットを支持する支持手段と、 を備え、 上記支持手段は、上記レーザー照射手段から出射したレーザー光を透過する、分析対象成分の溶出がない材料からなり、 上記成分分析装置は、 上記微粒子を捕捉する捕捉領域であって、上記支持手段に支持された上記固体ターゲットの上記表面に接している捕捉領域を形成する捕捉領域形成部と、 上記捕捉領域形成部内部に液体を供給する液体供給手段と、 を更に備え、 上記微粒子を上記液体中に回収し、当該微粒子の成分分析を行なうことを特徴とする成分分析装置。 ・・・ [請求項3] 上記捕捉領域は、上記液体供給手段から上記捕捉領域形成部内に供給された液体によって構成されており、 上記レーザー照射手段は、上記液体が接触している上記固体ターゲットの上記表面の少なくとも一箇所にレーザー光を照射して上記微粒子を生成し、 上記微粒子が上記液体に捕捉されることにより、上記微粒子が上記液体に回収される構成となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の成分分析装置。 ・・・ [請求項6] 上記液体に回収されて当該液体に上記微粒子が分散した分散液の成分分析を行なうことによって上記微粒子の成分分析を行なう分析手段を更に備えていることを特徴とする請求項3または4に記載の成分分析装置。 ・・・ [請求項8] 上記成分分析を、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)、原子吸光分析法(AAS)、キャピラリー電気泳動法、または、イオンクロマトグラフィーを用いて行なうことを特徴とする請求項1から7までの何れか1項に記載の成分分析装置。・・・」 イ「[0001] 本発明は、固体ターゲット中に含まれる成分を分析するための装置および方法に関し、より具体的には、分析試料液を良好に調製することができる、成分を分析するための装置および方法に関するものである。」 ウ「[0012] 本願発明者らは、例えば先述の非特許文献1を含む周知の分析方法では比較的長時間を要し、また、固体ターゲットの或る特定の領域のみを分析対象とできないこという不都合があることに着目し、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)といった分析工程に供する試料を調製する工程に改善の余地があることを見出し、本発明を完成するに至った。上述のように、分析工程に供する試料は、固体ターゲットを、複数の酸を混合した混酸溶液を用いて分解して調製することが知られている。そこで、本願発明者らは、固体ターゲットの特定の領域から当該固体ターゲットの微粒子を生成し、この微粒子を成分分析の試料とすることを見出し、本発明を完成するに至った。」 エ「[0016] 図1は、本実施形態における不純物分析装置10(成分分析装置)の要部構成を示すブロック図である。本実施形態における不純物分析装置10は、分散液作成部1(レーザー照射手段)と、分解部2(分解手段)と、分析部3(分析手段)とを備えている。 [0017] 分散液作成部1では、液体中(捕捉領域中)においてセラミックス材料の一部を切片化して微粒子を生成して、当該微粒子を当該液体中に分散させた分散液を作成する。以下、分散液作成部1について、図2を用いて詳述する。 [0018] 図2は分散液作成部1の構成を示す図である。分散液作成部1は、ステージ12(支持手段)、ステージ12上に配された底板13(支持手段)、底板13に対向配置された蓋板16(カバー手段)、底板13と蓋板16との間に配設されて蓋板16を支持する側壁14、レーザー照射装置17を備えている。また、底板13と蓋板16と側壁14とによって囲まれる密閉空間、具体的には底板13と側壁14とによって形成される凹形状の容器(捕捉領域形成部)内部に、図示しない液体供給手段から供給された液体15(捕捉領域)が貯留され、その液体15中に浸漬した状態でセラミックス材料50が底板13上に静置される。 [0019] 分散液作成部1では、底板13上に静置された液体15に浸漬した状態のセラミックス材料50に対してレーザー光70を照射し、照射領域においてセラミックス材料50にレーザーアブレーションを起こして微粒子を生成する。生成された微粒子は、液体15中に放出され、分散する。 [0020] レーザー照射装置17から出射されるレーザー光70は、図2に示すように蓋板16を透過し、液体15中のセラミックス材料50に照射される。具体的には、レーザー光70は、セラミックス材料50における蓋板16との対向領域のうちの少なくとも一箇所に照射される。そして、照射範囲内にある固体ターゲットの表面がレーザー光70の照射を受けて切片となる。この切片が微粒子であり、微粒子は液体15に放出される(レーザー照射工程)。 [0021] レーザー照射装置17から出射されるレーザー光70は、以下の条件から適宜選択することができる。 [0022] 例えばパルス幅は、100フェムト秒~100ナノ秒の範囲から選択することが好ましい。なぜなら、パルス幅が100ナノ秒を超える場合には、粒子が効率よく生成および捕集されない場合があるからである。また、パルス幅は、100ピコ秒~100ナノ秒の範囲から選択することが更に好ましく、1ナノ秒~100ナノ秒から選択することがより一層好ましい。 [0023] また、波長は、10nm~10.6μmの範囲から選択することが好ましい。なぜなら、10nm未満であるか、もしくは、10.6μmを超える場合には、セラミックス材料が効率よく粒子を発生しない場合があるからである。また、波長は、193nm~10.6μmの範囲から選択することが更に好ましく、213nm~10.6μmから選択することがより一層好ましい。 [0024] また、レーザー照射装置17に具備されるレーザー光源としては、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、Arイオンレーザー、色素レーザー、半導体レーザー、チタンサファイヤレーザー、ガラスレーザー等が用いられる。 [0025] このような諸条件を備えたレーザー光70をセラミックス材料50に照射することにより、セラミックス材料50の微領域(表層から0.1~10μm)から微粒子を生成することができ、この微領域の不純物分析を精度良く行なうことが可能である。なお、微領域は表層から0.1~10μmの範囲に限定されるものではない。例えば、同じ箇所にレーザー光70を繰り返し照射することによって表層から10μm以上深い領域からも微粒子を生成することができ、この微粒子を不純物分析の対象とすることができる。」 オ「[0027] なおまた、セラミックス材料50のレーザー光70の照射径(光径)が、所望する照射領域よりも小さい場合には、レーザー照射装置を図示しない移動手段を用いて移動させることで照射範囲を広げて、所望する照射領域にレーザー光を照射することができる。」 カ「[0047] また、分散液作成部1では、液体15中に静置したセラミックス材料50をレーザーアブレーションして、分析対象となる微粒子を液体15中に分散させることから、気相中でレーザーアブレーションして微粒子を生成する場合と比較して、微粒子の回収率が高い。よって、正確な不純物分析を実現することができる。」 キ「[0053] ・変形例A(1) 図3は、本変形例A(1)の不純物分析装置(成分分析装置)の要部構成を示すブロック図である。 [0054] 本変形例A(1)の不純物分析装置10は、上述した分散液作成部1で生成した微粒子を分析部3において直接、分析する態様を実現する。 [0055] この態様は、分散液作成部1で生成する微粒子の粒径が1nm以下である場合に適用することができる。分散液作成部1において粒径が1nm以下である微粒子を生成するためには、レーザー照射装置のレーザー照射条件を適宜設定すればよい。」 ク「[0078] また、本発明に係る成分分析装置は、上記の構成に加えて、上記成分分析を、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)、原子吸光分析法(AAS)、キャピラリー電気泳動法、または、イオンクロマトグラフィーを用いて行なうことが可能である。」 ケ「[図2] [図:0001434191000001.jpg] 」 コ「[図3] [図:0001434191000002.jpg] 」 サ 上記「ア-コ」より、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「固体ターゲットの成分を分析する成分分析装置であって、 上記固体ターゲットの表面の少なくとも一箇所にレーザー光を照射して、当該少なくとも一箇所から上記固体ターゲットの微粒子を生成するレーザー照射手段と、 上記固体ターゲットを支持する支持手段と、 を備え、 上記支持手段は、上記レーザー照射手段から出射したレーザー光を透過する、分析対象成分の溶出がない材料からなり、 上記成分分析装置は、 上記微粒子を捕捉する捕捉領域であって、上記支持手段に支持された上記固体ターゲットの上記表面に接している捕捉領域を形成する捕捉領域形成部と、 上記捕捉領域形成部内部に液体を供給する液体供給手段と、 上記微粒子を上記液体中に回収し、上記液体に回収されて当該液体に上記微粒子が分散した分散液の成分分析を行なうことによって上記微粒子の成分分析を行なう分析手段と、 を更に備え、 上記捕捉領域は、上記液体供給手段から上記捕捉領域形成部内に供給された液体によって構成されており、 上記レーザー照射手段は、上記液体が接触している上記固体ターゲットの上記表面の少なくとも一箇所にレーザー光を照射して上記微粒子を生成し、上記微粒子が上記液体に捕捉されることにより、上記微粒子が上記液体に回収される構成となっており、 分散液作成部1は、ステージ12(支持手段)、ステージ12上に配された底板13(支持手段)、底板13に対向配置された蓋板16(カバー手段)、底板13と蓋板16との間に配設されて蓋板16を支持する側壁14、レーザー照射装置17を備え、底板13と蓋板16と側壁14とによって囲まれる密閉空間、具体的には底板13と側壁14とによって形成される凹形状の容器(捕捉領域形成部)内部に、液体供給手段から供給された液体15(捕捉領域)が貯留され、その液体15中に浸漬した状態でセラミックス材料50が底板13上に静置され、底板13上に静置された液体15に浸漬した状態のセラミックス材料50に対してレーザー光70を照射し、照射領域においてセラミックス材料50にレーザーアブレーションを起こして微粒子を生成し、生成された微粒子は、液体15中に放出され、分散するものであり、 セラミックス材料50のレーザー光70の照射径(光径)が、所望する照射領域よりも小さい場合には、レーザー照射装置を移動手段を用いて移動させることで照射範囲を広げて、所望する照射領域にレーザー光を照射することができ、 上述した分散液作成部1で生成した微粒子を分析部3において直接、分析する、 当該微粒子の成分分析を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)を用いて行なう成分分析装置。」 (2)甲第2号証 本願の出願前である2011年に公開された、「Satoki Okabayashi, et al.,Evaluation of Laser Ablation in Liquid(LAL) technique as a new sampling technique for elemental and isotopic analysis using ICP-mass spectrometry,J.Anal.At.Spectrom.,2011.Vol.26,p1393-p1400」(以下「甲2」という。)には、図面とともに次の技術事項が記載されている。 ア 「(Laser ablation in liquid (LAL)is widely used for the micro fabrications or production of nano-particles of various materials. In this study, we have evaluated the analytical capability of the LAL as a new sampling technique for elemental and isotopic analysis of solid samples. The solid sample was set into the deionized water, and the laser ablation was carried out within the water using a Ti:S femtosecond laser operating at fundamental wavelength (780 nm). The laser-induced sample particles were directly trapped and collected in the ambient water with high efficiency. We have investigated the possible elemental and isotopic fractionation during the LAL sampling. Five isotopic ratios (208Pb/238U, 238U/232Th, 208Pb/206Pb, 56Fe/54Fe and 57Fe/54Fe) were measured on the resulting sample particles obtained with various ablation conditions (fluence and repetition rate) using ICP-mass spectrometry (ICP-MS). 」(1393頁上段1-10行) (当審訳:液体レーザーアブレーション(LAL)は、さまざまな材料の微細加工やナノ粒子の製造に広く使用されています。この研究では、固体サンプルの元素分析およぴ同位体分析のための新しいサンプリング手法としてのLALの分析能力を評価しました。 固体サンプルを脱イオン水の中に置き、基本波長(780nm)で動作するTi:Sフェムト秒レーザーを使用して水中でレーザーアブレーションを実行しました。レーザーで誘導されたサンプル粒子は高効率で周囲水中に直接捕捉され、収集されました。我々は、LALサンプリング中に起こり得る元素および同位体分別を調査しました。様々なアブレーション条件(フルエンスおよび繰り返し周波数)で得られた試料粒子について、ICP質量分析(ICP-MS)を用いて5つの同位体比(208Pb/238U, 238U/232Th, 208Pb/206Pb, 56Fe/54Fe and 57Fe/54Fe)を測定しました。) イ「(Experimental Laser Ablation in Liquid (LAL) In the case of the LAL technique, a sample was set in the liquid and laser ablation was carried out within the liquid (Fig. 1).)」(1394頁左欄下から6-5行) (当審訳:実験 液中レーザーアブレーション LAL法の場合、液体中にサンプルをセットし、液体中でレーザーアブレーションを行います。(図1)) ウ「Sample decomposition Dissolution experiments were carried out under clean conditions better than class 1000 at the Laboratory for Planetary Sciences (LPS), Kyoto University. The resulting sample particles in suspension were sampled by a pipette and transferred to clean PTFE vials (Savillex, Minnetonka, USA ). For the NIST SRM 610 glass, the resulting sample suspension was heated to dryness at 80 ℃, and the sample cakes were decomposed by the mixture of 0.3 mL of conc. HF (21 mol dm-3) and 0.3 mL ofconc. HCl04 (12 mol dm-3) at 90 ℃, 120℃ and 160℃ successively. The sample solution was then heated at 190℃ to dryness. About 0.3 mL of conc. HCl04 (12 mol dm-3) was added to the sample cake, and was heated up to 90℃, 120℃ and 160℃ successively, and the sample was heated to 190℃. To convert the insoluble Fe into soluble Fe chloride, the sample was attacked by 0.2 mL of cone. HCl (6 mol dm-3) at 80℃ until dryness, and the resulting sample cake was redissolved in 6 mL of HN03 (2v%) (modified after the procedure Yokoyama et al., 1999). For the IRMM- 014 metal, the resulting sample particles were dissolved in 6 M HCl (0.3 mL) at 80 °C until dryness, and the resulting sample cake was re-dissolved in a 0.5v% HCl (20 mL). Then the resulting solutions were introduced into the ICP through nebulization using MicroMist Nebulizer (Glass Expansion, West Melbourne, Australia).」(1394頁右欄下から3行-1395頁左欄21行) (当審訳:サンプル分解 溶解実験は、京都大学惑星科学研究室(LPS)において、クラス1000以上のクリーンな条件下で実施されました。得られた懸濁液中のサンプル粒子をピペットでサンプリングし、清潔なPTFEバイアル(Savillex, Minnetonka, USA)に移しました。 NIST SRM 610ガラスの場合、得られたサンプル懸濁液を80℃で加熱乾燥し、サンプルケーキを0.3mLの濃塩酸の混合物によって分解しました。HF(21mol dm-3)および濃塩酸0. 3mL HClO4(12mol dm-3)を 90℃、120℃、160℃ で連続的に加えます。次に、サンプル溶液を190℃で加熱して乾燥させました。濃塩酸約0. 3mL HClO4(12mo 1 dm-3)をサンプルケーキに添加し、90℃、120℃、160℃まで連続的に加熱し、サンプルを190℃まで加熱しました。不溶性のFeを可溶性のFe塩化物に変換するために、サンプルを80℃で0.2mLの濃塩酸(6 mol dm-3)で攻撃し、乾燥させ、得られたサンプルケーキを6mLのHN03(2 v%)に再溶解した(横山ら、1999年の手順に従って修正)。 IRMM-014金属の場合、得られたサンプル粒子を80℃で6M HCl(0.3mL)に乾燥するまで溶解し、得られたサンプルケーキを0.5v% HCl(20mL)に再溶解しました。次に、得られた溶液を、MicroMist Nebulizer (Glass Expansion、West Melbourne、Australia製)を使用した噴霧によってICPに導入しました。) エ「Collection efficiency Based on the volume of the sample ablated and the concentration of analytes, we can estimate the collection efficiency of the analytes through the LAL procedures. The depth and the width of rastered line were measured using the optical microscope. In the case of LAL sampling on the IRMM-014 at 20 J cm-2 and 250 Hz, both the depth and the width were approximately 20μm. As described above, since the 200μm-long line was rastered 40 times, the ablated sample volume was ~1.6 x 106 μm3. The collected sample was dissolved in 20 mL of 0.5v% HCI.)」(1396頁右欄3-12行) (当審訳:収集効率 アブレーションされたサンプルの量と分析物の濃度に基づいて、LAL手順による分析物の収集効率を推定できます。ラスター線の深さと幅は光学顕微鏡を用いて測定しました。IRMM-014で20Jcm-2、250HzでLALサンプリングを行った場合、深さと幅は両方とも約20μmでした。前述したように、長さ200μmのラインを40回ラスタリングしたため、アプレーションされたサンプルの体積は約1.6 X 106μm3でした。収集したサンプルを20mLの0.5v% HClに溶解しました。) オ「Fig.1 [図:0001434191000003.jpg] 」 カ 前記「ア-オ」より、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「固体サンプルを脱イオン水の中に置き、基本波長(780nm)で動作するTi:Sフェムト秒レーザーを使用して水中で、長さ200μmのラインを40回ラスタリングするレーザーアブレーションを実行し、レーザーで誘導されたサンプル粒子は高効率で周囲水中に直接捕捉され、収集され、 得られた懸濁液中のサンプル粒子をピペットでサンプリングし、乾燥及び再溶解処理を行い、得られた溶液を噴霧によってICPに導入し、 ICP質量分析(ICP-MS)を用いて固体サンプルの元素分析およぴ同位体分析を行う装置。」 (3)甲第3号証 本願の出願前である2017年9月22日に公開された、「LA-ICPMSの産業化の可能性-生体イメージング分析に注目!」,月刊OPTRONICS 2017年9月号,2017年9月22日,<http://optronics-media.com/news/20170922/48353/>」(以下「甲3」という。)には、図面とともに次の技術事項が記載されている。 ア「LA-ICPMSとは LA-ICPMSは物質にレーザー光を照射し,発生した固体エアロゾルを大気圧高温プラズマ(ICP)によりイオン化して質量分析するという手法である。LA-ICPMSは四重極型ICPMSとセクターフィールド型ICPMSを用いたものがあるが,一般的に普及しているのは四重極型である。」(1頁「LA-ICPMSとは」の章、1-4行) イ「一方,定量分析の課題を解決する手段として,フェムト秒レーザーを用いる標準添加法が期待されている。一般的な標準添加法は,分析対象となる試料と,それに近い含有物質を持つ標準物質をレーザーアブレーションし,含有元素の濃度を測定するが,標準物質の色や硬さの違いによって,両者のアブレーションの量が変わり,主成分の誤差につながるという問題がある(マトリックス効果と呼ばれている)。 これを解決するものとして,試料と標準物質の二つをレーザーアブレーションによって時間配分を変えて混ぜ合わせ,エアロゾルをイオン化して質量分析計で計測するという手法がある。しかし,これにも課題があり,エアロゾルの組成が変化してしまう。 そこで試料と2種類の含有元素の濃度が異なる標準物質を用い,時間配分を変えてレーザーアブレーションを行なうという手法が提案されている。この手法では,エアロゾルの化学組成を一定にできるという。この手法を,ガルバノ光学系を用いたフェムト秒レーザーで可能にする研究開発を行なっているのは,東京大学・大学院理学系研究科・教授の平田岳史氏だ。 平田氏によれば,ガルバノ光学系を採用した理由について「試料を含む,3つの物質をアブレーションするため,ステージ構造のものでは,ステージが撓む恐れがあるほか,試料が動いてしまう可能性がある。これを解決するため」としている。 また,フェムト秒レーザーを用いる優位性について,一つ目は色や硬さなど異なる試料に対して,ほぼ同じ量をアブレーションすることができること,二つ目は,高繰り返し発振が可能なため,試料を高速に混ぜ合わせることができる点が挙げられる。」(2頁「課題は定量分析」の章、8-26行) ウ「LA-ICPMSは医学応用にも展開が期待されている。特に生体イメージング分析が注目されており,その研究開発は活発化しているという。生体イメージング分析手法には電子顕微鏡やCIMS(化学イオン化質量分析)などがあるが,LA-ICPMSを用いる優位性は広い領域(試料を大きいサイズのまま)を高速に分析することができる点にあるとされている。」(3頁「生体元素イメージングへの適用」の章、1-4行) エ「 [図:0001434191000004.jpg] 図1 ガルバノ光学系を搭載したLA-ICPMS 」 オ 前記「ア及びエ」より、「ガルバノ光学系を搭載したLA-ICPMSにおいて、光源からのフェムト秒レーザー光をガルバノ光学系によりサンプルに対し2次元平面状に高速スキャンして照射し、サンプルから生じたセル内のエアロゾルを、大気圧高温プラズマ(ICP)によりイオン化して質量分析する分析計に、キャリアガスで導入していること」が看て取れる。 カ 前記「ア-オ」より、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。 「物質にレーザー光を照射し,発生した固体エアロゾルを大気圧高温プラズマ(ICP)によりイオン化して質量分析するLA-ICPMSであり、ガルバノ光学系を搭載したLA-ICPMSにおいて、 光源からのフェムト秒レーザー光をガルバノ光学系によりサンプルに対し2次元平面状に高速スキャンして照射し、 サンプルから生じたセル内のエアロゾルを、大気圧高温プラズマ(ICP)によりイオン化して質量分析する分析計に、キャリアガスで導入する、 ガルバノ光学系を搭載したLA-ICPMS。」 (4)甲第4号証 本願の出願前である2016年に公開された、「平田岳史、坂田周平、藤本万寿人,「レーザーアブレーションICP-MSの進歩と展望」,ぶんせき,2016年1月号,9-16頁」(以下「甲4」という。)には、図面とともに次の技術事項が記載されている。 ア「LAでは試料構成元素のイオンや蒸気(気体)、これらの一部が再凝縮した固体粒子、さらには試料から直接放出された大小様々な試料破片(エアロゾル)が生成される。したがって、LAは「元素の気化」と「機械的な破砕・掘削」が平行して起こっていると考えるべきであり、レーザーによる単なる「気化」あるいは「機械的な破砕」と表現するのは適切ではない。このLA現象を用いることで、固体試料の化学分析に利用することが可能である。例えば、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-MES)法やICP質量分析(ICP-MS)法の励起・イオン源(ICP)に、LAにより生成された元素蒸気や試料エアロゾルを導入することで、固体試料の化学分析を迅速かつ高感度で調べることができる。」(9頁の左欄「1 レーザーアブレーション試料導入法」の章 9-22行) イ「図5(a)にはナノ秒レーザー(ArFエキシマーレーザー)を用いた場合、図5(b)にはフェムト秒レーザー(Yb:KGWレーザー:パルス幅200フェムト秒)を用いてLAした場合を示す。」 (12頁右欄18-21行) ウ「例えばFernandezらは、 ガルバノ光学系と呼ばれる特殊なレーザー光学系を用いることで二つの試料をほぼ同時にLAする装置を開発した。ガルバノ光学系は、90°の角度で直交する2枚の可動式反射鏡を組み込んだ光学システムで、反射鏡の角度を変更させることでレーザー照射点を高速で移動させることが可能となる(図7)。」(14頁左欄「6 LA-ICPMSの工業材料への応用」の章 15-21行) エ「7 液中レーザーアブレーション法(LAL法) 標準物質の入手が困難な場合、あるいは同重体等の質量スペクトル干渉の影響が顕著な場合、 固体試料の局所部分のみをLAし、試料をエアロゾル化・溶液化することも有効である。試料を溶液化することで、マトリックス組成を揃える、あるいは共存・妨害元素を除去することができる。筆者らの研究グループでは、固体試料の特定部分のみをサンプリングし、溶液化する方法として液中レーザーアブレーション法(laser ablation in liquid; LAL:図9)を開発した。固体試料は液体(通常は水)内に設置し、液中で直接LAを行う。LAにより生成したエアロゾルはそのまま液中に捕獲されるため、エアロゾルの損失はほとんどない。LALによりLA後にピペットを用いて液体を回収すれば、生成したエアロゾルを損失することなく回収できる。LAL法で生成したエアロゾルのサイズは100nm以下であるため、回収試料は酸・アルカリ等で溶解化でき、必要に応じてマトリックス元素の化学分離・除去、分析対象元素の分離回収が可能である。このLAL法は、適当な標準物質が入手できない場合、あるいはマトリックス効果が顕著である場合等に有効である。 LAL法は、通常のLA法にはないいくつかの利点を有する。例えば複数のポイントをアブレー ションすることで試料を「積分・平均化」することができ、試料の平均的化学組成(バルク組成)を分析する場合に有効である。また試料が小さい場合や、組織・構造が複雑でレーザービーム径を絞り込む必要がある場合では、1スポットでのLAでは十分な信号強度が得られないことがある。この場合は、小さなレーザー径でのサンプリングを繰り返し、複数のサンプリングポイントから得られた試料を液体内で積分することで分析に必要な試料量を回収することが可能となる。 さらにLAL法では、 液体(これまでは水を使用)を選択することで、ある特定の化学種あるいは元素のみを選択的に抽出できる可能性もある。これまでは難しいと考えられていた固体試料の直接化学種形態別分析を実現するレーザーサンプリング法になるものと期待できる。LAL法は、高感度であるが局所分析ができない質量分析計(例えば表面電離型質量分析計)と組み合わせることで、超高感度局所分析の実現も期待できる。」 (15頁左欄4行目-右欄7行目) オ「図1 レーザー試料導入法の概念図 [図:0001434191000005.jpg] 」 カ「図7 ガルバノ光学系を組み込んだLA装置 [図:0001434191000006.jpg] 」 キ 前記「オ」より、図1からは、「セル内のエアロゾルをキャリアガスで分析計に導入していること」が看て取れる。 ク 前記「ア、オ、カ及びキ」より、図7からは、「ガルバノ光学系を組み込んだLA装置において、 レーザ光源からのレーザー光をガルバノ光学系によりセル内の試料に対し2次元平面状に高速走査して照射し、 試料から、試料構成元素のイオンや蒸気(気体)、これらの一部が再凝縮した固体粒子、さらには試料から直接放出された大小様々な試料破片(エアロゾル)が生成され、それらをセルからキャリヤーガス及びメークアップガスにより試料エアロゾルとして、ICP質量分析(ICP-MS)法の励起・イオン源(ICP)に送る」ことが看て取れる。 ケ 前記「ア-ク」より、甲4には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。 「ガルバノ光学系を組み込んだLA装置において、 レーザ光源からのレーザー光をガルバノ光学系によりセル内の試料に対し2次元平面状に高速走査して照射し、 試料から、試料構成元素のイオンや蒸気(気体)、これらの一部が再凝縮した固体粒子、さらには試料から直接放出された大小様々な試料破片(エアロゾル)が生成され、それらをセルからキャリヤーガス及びメークアップガスにより試料エアロゾルとして、ICP質量分析(ICP-MS)法の励起・イオン源(ICP)に送る、 LA装置。」 (5)甲第5号証 本願の出願前である2011年に公開された、「Takaomi D. Yokoyama, et al.,Determinations of Rare Earth Element Abundance and U-Pb Age of Zircons Using Multispot Laser Ablation-Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry,Anal.Chem.,2011,Vol.83,p8892-p8899」(以下「甲5」という。)には、図面とともに次の技術事項が記載されている。 ア「ABSTRACT: We have developed a new calibration technique for multielement determination and U-Pb dating of zircon samples using laser ablation-inductively coupled plasma mass spectrometry (ICPMS) coupled with galvanometric optics.」(8892頁1-3行) (当審訳:要約:ガルバノ光学系と組み合わせたレーザーアブレーション装置と誘導結合プラズマ質量分析(ICPMS)とを使用して、ジルコンサンプルの多元素測定とU-Pb年代測定のための新しいキャリブレーション手法を開発した。) イ「 [図:0001434191000007.jpg] 」 (8892頁右上) ウ「It is widely recognized that the combination of inductively coupled plasma mass spectrometry (ICPMS) and laser ablation (LA) sample introduction led to one of the most sensitive and versatile analytical techniques for the elemental analyses of solid samples. Recently we have developed a new analytical technique using a femtosecond (fs)-LA-ICPMS technique, which enabled us to determine the trace-element abundances directly from metallic or various opaque minerals, including sulphides or elemental deposits, with a spatial resolution of better than 10 μm. In femtosecond-laser ablation there is no significant difference between the depths of ablation pits in glass and zircon materials ablated under identical experimental conditions, while in conventional nanosecond (nanosecond) laser ablation, the resulting crater depth on the zircon crystals was almost half the level of that obtained for glass material. Both, the thermally induced and particle size-related elemental fractionations, which have been thought to be the main sources of analytical error in LA-ICPMS analysis, could be reduced in the femtosecond-laser ablation.」(8892頁左欄1-18行)) (当審訳:誘導結合プラズマ質量分析法(ICPMS)とレーザーアブレーション(LA)試料導入法の組み合わせは、 固体試料の元素分析において最も感度が高く汎用性の高い分析法の一つであることは広く認識されています。最近、我々はフェムト秒(fs)-LA-ICPMS法を用いた新たな分析法を開発しました。この技術により、金属鉱物や硫化物、元素鉱床などの様々な不透明鉱物から微量元素の存在量を、10μm以上の空間分解能で直接測定することが可能になりました。フェムト秒レーザーアブレーションでは、同一実験条件下でアブレーションしたガラス材料とジルコン材料のアブレーションピットの深さに大きな差はありませんが、従来のナノ秒(nanosecond) レーサーアプレーションでは、ジルコン結晶に生じたクレーターの深さはガラス材料の場合のほぼ半分でした。LA-ICPMS分析における分析誤差の主な原因であると考えられてきた、熱誘起および粒子サイズに関連した元素分別は、フェムト秒レーザーアブレーションによって軽減できます。) エ「With the use of galvanometric optics, a laser rastering speed of higher than 200 mm s-1 could be achieved and the resulting sample aerosols released from two solid materials (unknown sample and standard material spiked with enriched isotopes) were mixed within the cell and were transported into the ICP. With the solid-spiking LA-ICP-IDMS technique, a relative deviation of better than 10% from certified values could be achieved for Cu, Zn, Sn, and Pb. One great advantage of using the ID technique is that the measured isotope ratio data should be less sensitive to matrix components of the solid sample, leading to an improvement of precision or trueness of measurement results. Another advantage of using galvanometric devices is the possibility to ablate comparably larger sample areas, covering 100 μm × 1 mm. With laser ablation at high repetition rates (e.g., 10 kHz) and fast scanning speeds, the potential contribution of sample heterogeneity effects, as common in single spot ablation, could be minimized. Fernandez et al. reported that the relative standard deviation of the results could be significantly improved at repetition rates higher than 7.5 kHz.」(8893頁左欄1-19行) (当審訳:ガルバノメトリック光学系を使用することで、 200mm s-1を超えるレーザーラスター速度を実現でき、2つの固体材料(未知のサンプルと濃縮同位体を添加した標準材料)から放出されたサンプルエアロゾルがセル内で混合され、ICPに輸送された。固体をスパイクするLA-ICP-IDMS技術により、Cu、 Zn、Sn、 Pbについて認証値からの相対偏差を10%未満に抑えることができました。ID技術を使用する大きな利点の1つは、測定された同位体比データが固体サンプルのマトリックス成分の影響を受けにくくなり、測定結果の精度や真度が向上することです。ガルバノメトリック装置を使用するもう1つの利点は、100μm X 1mmという比較的広いサンプル領域をアブレーションできることです。高い繰り返し周波数(例えば10kHz)と高速スキャン速度でのレーザーアプレーションにより、 単一スポットアブレーションでよく見られるサンプルの不均一性の影響を最小限に抑えることができます。Fernandezらは、結果の相対標準偏差が7.5kHzを超える繰り返し周波数で大幅に改善されると報告しました。) オ 前記「イ」より、「セル内にある固体サンプルと標準試料1-3との複数位置を、レーザー光をガルバノ光学系により2次元的に照射位置を変更することにより、複数位置でレーザーアブレーションし、生じたサンプルエアロゾルを、HeキャリアガスとArメークアップガスとでICPイオン源に送る」ことが看て取れる。 カ 前記「ア-オ」より、甲5には、次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。 「ガルバノ光学系と組み合わせたレーザーアブレーション装置と誘導結合プラズマ質量分析(ICPMS)とを使用した装置において、 セル内にある固体サンプルと標準試料1-3との複数位置を、レーザー光をガルバノ光学系により2次元的に照射位置を変更することにより、複数位置でレーザーアブレーションし、生じたサンプルエアロゾルを、HeキャリアガスとArメークアップガスとでICPイオン源に送る、 装置。」 2.本件発明1の項目分けについて 本件発明1は、前記「第2」に示したとおりであるが、以下の異議申立理由1及び2の検討のために以下のように、構成A-Eに構成分けを行う。 「【請求項1】 A 液体状の試料を収容可能な窪み状の収容部を有するセルと、 B 前記セルに収容された液体の表面をアブレーションするレーザー光を出力するレーザー光源と、 C 前記レーザー光源から出力されたレーザー光の照射位置を移動可能な光学系と、 D アブレーションされて前記セルから送り出された試料を含むエアロゾルが導入され、導入された試料を誘導結合プラズマ方式で分析を行う分析計と、 E を備えたことを特徴とする分析装置。」 3.<異議申立理由1>特許法第29条第1項第3号(新規性)について (1)本件発明1と甲1発明との対比・判断について ア 対比 甲1発明を本件発明1と対比する。 (ア)構成Aについて a 甲1発明の「固体ターゲット」である「セラミックス材料50」は、本件発明1の「試料」に相当する。 b 甲1発明の「底板13と蓋板16と側壁14とによって囲まれる密閉空間、具体的には底板13と側壁14とによって形成される凹形状の容器(捕捉領域形成部)」は、その内部に「液体供給手段から供給された液体15(捕捉領域)が貯留され、その液体15中に浸漬した状態でセラミックス材料50が底板13上に静置され」ることから、本件発明1の「試料を収容可能な窪み状の収容部を有するセル」に相当する。 c よって、甲1発明と本件発明1とは、構成Aのうち、「試料を収容可能な窪み状の収容部を有するセル」である点で共通する。 (イ)構成Bについて a 甲1発明の「上記固体ターゲットの表面の少なくとも一箇所にレーザー光を照射して、当該少なくとも一箇所から上記固体ターゲットの微粒子を生成するレーザー照射手段」は、本件発明1の「アブレーションするレーザー光を出力するレーザー光源」に相当する。 b よって、甲1発明と本件発明1とは、構成Bのうち、「アブレーションするレーザー光を出力するレーザー光源」である点で共通する。 (ウ)構成Cについて a 甲1発明は、「セラミックス材料50のレーザー光70の照射径(光径)が、所望する照射領域よりも小さい場合には、レーザー照射装置を移動手段を用いて移動させることで照射範囲を広げて、所望する照射領域にレーザー光を照射することができ」ることから、甲1発明は、レーザー光源から出力されたレーザー光の照射位置を移動可能な光学系を備えていると認められる。 b よって、甲1発明は、本件発明1の構成Cに相当する構成を備えている。 (エ)構成Dについて a 甲1発明の「分析部3」は、「底板13上に静置された液体15に浸漬した状態のセラミックス材料50に対してレーザー光70を照射し、照射領域においてセラミックス材料50にレーザーアブレーションを起こして微粒子を生成し」、その「微粒子の成分分析を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)を用いて行なう」ことから、本件発明1の「導入された試料を誘導結合プラズマ方式で分析を行う分析計」に相当する。 b よって、甲1発明と本件発明1とは、構成Dのうち、「導入された試料を誘導結合プラズマ方式で分析を行う分析計」である点で共通する。 (オ)構成Eについて a 甲1発明の「微粒子の成分分析を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)を用いて行なう成分分析装置」は、本件発明1の「分析装置」に相当する。 b よって、甲1発明は、本件発明1の構成Eに相当する構成を備えている。 以上によれば、本件発明1と甲1発明とは、次の一致点及び相違点を有する。 (一致点) A’ 試料を収容可能な窪み状の収容部を有するセルと、 B’ アブレーションするレーザー光を出力するレーザー光源と、 C 前記レーザー光源から出力されたレーザー光の照射位置を移動可能な光学系と、 D’ 導入された試料を誘導結合プラズマ方式で分析を行う分析計と、 E を備えた、分析装置。 (当審注:構成A’、構成B’、構成D’は、それぞれ構成A、構成B、構成Dと異なる点がある構成であることを示す。) (相違点1)構成A,B,Dについて 本件発明1は、「液体状の試料」であり、その「液体状の試料」を「セル」の「窪み状の収容部」に「収容」し、「収容された液体の表面」をレーザー光で「アブレーション」し、「アブレーションされて前記セルから送り出された試料を含むエアロゾル」を分析計で分析するのに対し、甲1発明は、「固体ターゲット」である「セラミックス材料50」を「底板13と側壁14とによって形成される凹形状の容器(捕捉領域形成部)内部に、液体供給手段から供給された液体15(捕捉領域)が貯留され、その液体15中に浸漬した状態でセラミックス材料50が底板13上に静置され、底板13上に静置された液体15に浸漬した状態のセラミックス材料50に対してレーザー光70を照射し、照射領域においてセラミックス材料50にレーザーアブレーションを起こして微粒子を生成し」、その「微粒子を分析部3において直接、分析する」点。 イ 上記相違点についての判断 相違点1について検討する。 (ア)本件発明1は、液体状の試料の分析を行う場合に、レーザー光の照射位置を変更可能にすることを技術的課題とした(段落【0006】参照。)発明である。当該課題を解決するために、本件発明1では、「液体状の試料」を「セル」の「窪み状の収容部」に「収容」し、「収容された液体の表面」を照射位置を移動可能な光学系を用いたレーザー光で「アブレーション」し、「アブレーションされて前記セルから送り出された試料を含むエアロゾル」を分析計で分析する構成を採用している。当該構成を採用することにより、液体状の試料を移動させることを不要とし、液体状の試料を移動することにより生じる問題点(液体がこぼれる、液体の表面に波が発生する、等。本件特許明細書の段落【0005】参照。)を解消している。 (イ) 一方、甲1発明は、セラミックス材料50をレーザーアブレーションして微粒子を生成し、その微粒子がセラミックス材料50の周囲(捕捉領域形成部)に配置した液体に放出され、分散するようにして、試料であるセラミックス材料50のレーザー光が照射された特定の部分からの微粒子を液体で捕捉する(甲1の明細書の段落[0025]参照。)ようにした発明である。すなわち、甲1発明が解決する課題は、分析対象のある特定の領域だけを検査対象とすること(甲1の明細書の段落[0006]参照。)であり、当該課題を解決するために甲1発明においては、セラミックス材料50という固体ターゲットの特定の領域にアブレーション用のレーザー光が照射されるように、レーザー照射装置を移動手段を用いて移動させる構成を採用している。そして、液体に捕捉された当該セラミックス材料50の微粒子を誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)の装置にどのように導入するかについても甲1発明においては明示はされていない。 (ウ) ゆえに、本件発明1と甲1発明とは、解決しようとする課題が異なっており、上記相違点1に係る技術事項は、本件発明1が液体試料をレーザーアブレーションする際に生じる課題に対応するために備えた技術事項であり、甲1発明の課題を解決する手段とはその技術思想が異なり、実質的な相違点であることは明らかである。特に、液体試料は全体が均一な成分となり、特定の領域のみが成分が異なるということは無いことが当業者における技術常識であるから、甲1発明を液体試料に対して採用するという動機がないことは明らかである。したがって、上記相違点1に係る技術事項は、甲1発明における単なる設計的事項や、甲1発明を実施するに際しての当業者の通常の創作能力の発揮における微差にすぎないとはいえないものである。 (エ)したがって、上記相違点1は、甲1発明と本件発明1との相違点であり、甲1発明と本件発明1とが同一である又は実質的に同一である、とはいえない。 ウ 申立人の主張について (ア)申立人は、令和8年2月12日付け手続補正書により全文補正された特許異議申立書(以下「異議申立書」という。)の第18-19頁において、本件発明1は甲1に記載されていると主張する。 (イ)前記「(ア)」における主張において、申立人は、本件発明1の「液体状の試料」とは、本件特許明細書の段落【0016】の 「【0016】 ・・・なお、本願明細書及び特許請求の範囲において、「液体状の試料」とは、試料自体が液体状の場合だけでなく、溶媒中に試料がイオンとして溶けている場合や溶媒中に試料の微粒子が分散している場合のように液体中に試料が存在する場合も含む意味で使用している。・・・」 という記載を挙げ、甲1発明の「分散液(微粒子を液体中に分散させた分散液)」が、本件発明1の「液体状の試料」に相当すると主張する。 (ウ)しかしながら、甲1発明における分析対象は、固体ターゲットであるセラミックス材料50であり、甲1発明ではセラミックス材料50にレーザーアブレーションを行うことから、甲1発明の試料は、液体状の試料ではなく、固体状の試料である。よって、上記「(イ)」の申立人の主張は採用することができない。 (エ)また、申立人は前記「(ア)」における主張のうち、甲1発明の「分散液作成部1で生成した微粒子を分析部3において直接、分析する」ことが、本件発明1の「アブレーションされて前記セルから送り出された試料を含むエアロゾル」を分析計に導入することに相当すると主張する。 (オ)しかしながら、甲1発明の液体15(微粒子を含む)をどのように誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)で分析するかについては、甲1に詳述されていないし、液体を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)で分析するには、ネブライザ(噴霧器)で微小な液滴状にして噴霧して測定が行われることが一般的である(本件特許明細書の【0002】参照。)と認められることから、甲1発明においても上記一般的な手法が採用されていると認められる。よって、上記「(エ)」の申立人の主張は採用することができない。 (カ)以上のことから、申立人の主張は採用することができない。 エ 小括 以上の検討より、本件発明1と甲1発明とは相違点1において相違し、両者は同一であるとはいえず、また両者は実質的に同一であるともいえない。 (2)本件発明4と甲1発明との対比・判断について 本件発明4は、本件発明1の発明特定事項を全て備えていることから、本件発明4と甲1発明とは、少なくとも、上記相違点1において相違する。 よって、前記「(1)」で検討したのと同様の理由により、本件発明4と甲1発明とは相違点1において少なくとも相違し、両者は同一であるとはいえず、また両者は実質的に同一であるともいえない。 (3)理由1についてのまとめ 以上のことから、本件発明1及び4は、甲1発明と同一であるとはいえず、また甲1発明と実質的に同一であるともいえないから、申立人の特許法第29条第1項第3号についての異議申立理由は、理由がない。 4.<異議申立理由2>特許法第29条第2項(進歩性)について (1)甲1を主引例としたときの、本件発明1-4の進歩性の検討 ア 対比 甲1発明と本件発明1との対比は、前記「3.(1)ア」で検討したとおりであり、甲1発明と本件発明1との相違点は、前記「相違点1」である。 イ 判断 (ア)甲2発明における、レーザーアブレーションの対象は、脱イオン水の中に置かれた固体サンプルであり、液体状の試料ではない。 (イ)甲3発明における、レーザーアブレーションの対象は、物質であり、液体状の試料とは明記されていない。 (ウ)甲4発明における、レーザーアブレーションの対象は、試料であり、液体状の試料とは明記されていない。 (エ)甲5発明における、レーザーアブレーションの対象は、固体サンプル及び標準試料であり、液体状の試料ではない。 (オ)前記「(ア)ないし(エ)」より、甲2-甲5には、レーザーアブレーションの対象を液体状の試料とする技術思想は開示されていない。したがって、レーザーアブレーションの対象が液体状の試料の場合に対する技術的工夫である、前記相違点1に係る技術事項についても、甲2-甲5には、記載も示唆もされていない。 (カ)そして、前記「3.(1)ウ(オ)」で説示したとおり、液体を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)で分析するには、ネブライザ(噴霧器)で微小な液滴状にして噴霧して測定が行われることが、本件特許の出願時に一般的であると認められることから、前記相違点1に係る技術事項は、本件特許の出願時に周知の技術であるとも認められない。 (キ)したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2-甲5に記載された技術事項及び周知技術から、容易に想到できたものとはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立人の本件発明1と甲1発明との対比判断に関する主張は、前記「3.(1)ウ」で検討したとおり、採用することはできない。 エ 小括 以上の検討より、甲1発明及び甲2-甲5に記載された技術事項及び周知技術から本件発明1を導き出すことは、当業者ならば容易になし得たことであるとはいえない。 そして、本件発明2-4は、本件発明1の発明特定事項を全て備えていることから、本件発明2-4と甲1発明とは、少なくとも、前記相違点1において相違するものであり、前記相違点1については、前記「イ及びウ」で検討したとおりであることから、甲1発明と、甲2-甲5に記載された技術事項と、及び周知技術とから本件発明2-4を導き出すことは、当業者ならば容易になし得たことであるとはいえない。 (2)甲2を主引例としたときの、本件発明1-4の進歩性の検討 ア 甲2発明と本件発明1との対比 甲2発明を本件発明1と対比する。 (ア)構成Aについて a 甲2発明の「固体サンプル」は、本件発明1の「試料」に相当する。 b 甲2発明は、「固体サンプルを脱イオン水の中に置」くことから、脱イオン水と固体サンプルを収容する容器を備えるものであるから、当該容器は、本件発明1の「試料を収容可能な窪み状の収容部を有するセル」に相当する。 c そうすると、甲2発明と本件発明1とは、構成Aのうち、「試料を収容可能な窪み状の収容部を有するセル」である点で共通する。 (イ)構成Bについて a 甲2発明は、「基本波長(780nm)で動作するTi:Sフェムト秒レーザーを使用して水中で、長さ200μmのラインを40回ラスタリングするレーザーアブレーションを実行」することから、「基本波長(780nm)で動作するTi:Sフェムト秒レーザー」を発生する光源を備えるものであるから、当該光源は、本件発明1の「アブレーションするレーザー光を出力するレーザー光源」に相当する。 b そうすると、甲2発明と本件発明1とは、構成Bのうち、「アブレーションするレーザー光を出力するレーザー光源」である点で共通する。 (ウ)構成Cについて a 甲2発明は、「固体サンプルを脱イオン水の中に置き、基本波長(780nm)で動作するTi : Sフェムト秒レーザーを使用して水中で、長さ200μmのラインを40回ラスタリングするレーザーアブレーションを実行」することから、甲2発明は、レーザー光源から出力されたレーザー光の照射位置を移動可能な光学系を備えていると認められる。 b そうすると、甲2発明は、本件発明1の構成Cに相当する構成を備えている。 (エ)構成Dについて a 甲2発明は、「得られた溶液を噴霧によってICPに導入し、ICP質量分析(ICP-MS)を用いて固体サンプルの元素分析およぴ同位体分析を行う」ことから、ICP質量分析(ICP-MS)装置を備えていると認められるから、当該ICP質量分析(ICP-MS)は、本件発明1の「導入された試料を誘導結合プラズマ方式で分析を行う分析計」に相当する。 b そうすると、甲2発明と本件発明1とは、構成Dのうち、「導入された試料を誘導結合プラズマ方式で分析を行う分析計」である点で共通する。 (オ)構成Eについて a 甲2発明の「ICP質量分析(ICP-MS)を用いて固体サンプルの元素分析およぴ同位体分析を行う装置」は、本件発明1の「分析装置」に相当する。 b そうすると、甲2発明は、本件発明1の構成Eに相当する構成を備えている。 以上によれば、本件発明1と甲2発明とは、次の一致点及び相違点を有する。 (一致点) A’ 試料を収容可能な窪み状の収容部を有するセルと、 B’ アブレーションするレーザー光を出力するレーザー光源と、 C 前記レーザー光源から出力されたレーザー光の照射位置を移動可能な光学系と、 D’ 導入された試料を誘導結合プラズマ方式で分析を行う分析計と、 E を備えた、分析装置。 (当審注:構成A’、構成B’、構成D’は、それぞれ構成A、構成B、構成Dと異なる点がある構成であることを示す。) (相違点2)構成A,B,Dについて 本件発明1は、「液体状の試料」であり、その「液体状の試料」を「セル」の「窪み状の収容部」に「収容」し、「収容された液体の表面」をレーザー光で「アブレーション」し、「アブレーションされて前記セルから送り出された試料を含むエアロゾル」を分析計で分析するのに対し、甲2発明は、「固体サンプル」を「水中で、長さ200μmのラインを40回ラスタリングするレーザーアブレーションを実行」し、「レーザーで誘導されたサンプル粒子は高効率で周囲水中に直接捕捉され、収集され、得られた懸濁液中のサンプル粒子をピペットでサンプリングし、乾燥及び再溶解処理を行い、得られた溶液を噴霧によってICPに導入」し、「ICP質量分析(ICP-MS)を用いて固体サンプルの元素分析およぴ同位体分析を行う」する点。 イ 上記相違点についての判断 相違点2について検討する。 相違点2は、前記相違点1で相違するとした、本件発明1の試料が「液体状の試料」であることにより生じる技術事項についてのものであり、前記「(1)イ」で検討したのと同様の理由により、前記相違点2に係る技術事項について、甲1、甲3-甲5には、記載も示唆もされていないし、本件特許の出願時に周知の技術であるとも認められない。 したがって、本件発明1は、甲2発明及び甲1、甲3-甲5に記載された技術事項及び周知技術から、容易に想到できたものとはいえない。 ウ 申立人の主張について (ア)申立人は、異議申立書の第21-22頁において、甲2発明に甲3,甲4又は甲5に記載された事項を適用して本件発明1とすることは、当業者ならば容易になし得る旨主張する。 (イ)前記「(ア)」における主張において、申立人は、甲2発明の「脱イオン水中の固体サンプル」が本件発明1の「液体状の試料」に相当すると主張する。 (ウ)しかしながら、甲2発明における分析対象は、固体サンプルであり、甲2発明では固体サンプルにレーザーアブレーションを行うことから、甲2発明の試料は、液体状の試料ではなく、固体状の試料である。よって、上記「(イ)」の申立人の主張は採用することができない。 (エ)また、申立人は前記「(ア)」における主張のうち、本件発明1の「アブレーションされて前記セルから送り出された試料を含むエアロゾル」を分析計に導入することについては、甲3-甲5に記載されている旨主張する。 (オ)しかしながら、申立人が引用する甲3-甲5の記載事項は、合議体が認定した前記相違点2を埋めるものではないから、前記相違点2に係る前記「イ」の判断の結論が変わるものではない。 (カ)以上のことから、申立人の主張は採用することができない。 エ 小括 以上の検討より、甲2発明及び甲1、甲3-甲5に記載された技術事項及び周知技術から本件発明1を導き出すことは、当業者ならば容易になし得たことであるとはいえない。 そして、本件発明2-4は、本件発明1の発明特定事項を全て備えていることから、本件発明2-4と甲1発明とは、少なくとも、前記相違点2において相違するものであり、前記相違点2については、前記「イ及びウ」で検討したとおりであることから、甲2発明と、甲1、甲3-甲5に記載された技術事項と、及び周知技術とから本件発明2-4を導き出すことは、当業者ならば容易になし得たことであるとはいえない。 (3)甲3を主引例としたときの、本件発明1-4の進歩性の検討 ア 甲3発明と本件発明1との対比 甲3発明を本件発明1と対比する。 (ア)構成Aについて a 甲3発明の「サンプル」は、本件発明1の「試料」に相当する。 b 甲3発明の「セル」は、サンプルへのレーザー光照射により、サンプルから生じたエアロゾルを内部に保つものであるから、本件発明1の「試料を収容可能な」「セル」に相当する。 c そうすると、甲3発明と本件発明1とは、構成Aのうち、「試料を収容可能な」「セル」である点で共通する。 (イ)構成Bについて a 甲3発明の「光源」は「フェムト秒レーザー光をガルバノ光学系によりサンプルに対し2次元平面状に高速スキャンして照射」するための光源であるから、本件発明1の「アブレーションするレーザー光を出力するレーザー光源」に相当する。 b そうすると、甲3発明と本件発明1とは、構成Bのうち、「アブレーションするレーザー光を出力するレーザー光源」である点で共通する。 (ウ)構成Cについて a 甲3発明の「ガルバノ光学系」は、「フェムト秒レーザー光をガルバノ光学系によりサンプルに対し2次元平面状に高速スキャンして照射」するための光学系であるから、本件発明1の「レーザー光源から出力されたレーザー光の照射位置を移動可能な光学系」に相当する。 b そうすると、甲3発明は、本件発明1の構成Cに相当する構成を備えている。 (エ)構成Dについて a 甲3発明は「サンプルから生じたセル内のエアロゾルを、大気圧高温プラズマ(ICP)によりイオン化して質量分析する分析計に、キャリアガスで導入する」ことから、甲3発明の「大気圧高温プラズマ(ICP)によりイオン化して質量分析する分析計」は、本件発明1の「アブレーションされて前記セルから送り出された試料を含むエアロゾルが導入され、導入された試料を誘導結合プラズマ方式で分析を行う分析計」に相当する。 b そうすると、甲3発明は、本件発明1の構成Dに相当する構成を備えている。 (オ)構成Eについて a 甲3発明の「ガルバノ光学系を搭載したLA-ICPMS」は、「サンプルから生じたセル内のエアロゾルを、大気圧高温プラズマ(ICP)によりイオン化して質量分析する」ことから、本件発明1の「分析装置」に相当する。 b そうすると、甲3発明は、本件発明1の構成Eに相当する構成を備えている。 以上によれば、本件発明1と甲3発明とは、次の一致点及び相違点を有する。 (一致点) A” 試料を収容可能なセルと、 B’ アブレーションするレーザー光を出力するレーザー光源と、 C 前記レーザー光源から出力されたレーザー光の照射位置を移動可能な光学系と、 D アブレーションされて前記セルから送り出された試料を含むエアロゾルが導入され、導入された試料を誘導結合プラズマ方式で分析を行う分析計と、 E を備えた、分析装置。 (当審注:構成A”、構成B’は、それぞれ構成A、構成Bと異なる点がある構成であることを示す。) (相違点3)構成A,Bについて 本件発明1は、「液体状の試料」であり、その「液体状の試料」を「セル」の「窪み状の収容部」に「収容」し、「収容された液体の表面」をレーザー光で「アブレーション」するのに対し、甲3発明は、「セル」内の「サンプル」を「光源からのフェムト秒レーザー光をガルバノ光学系によりサンプルに対し2次元平面状に高速スキャンして照射し」て「アブレーション」する点。 イ 上記相違点についての判断 相違点3について検討する。 相違点3は前記相違点1で相違するとした、本件発明1の試料が「液体状の試料」であることにより生じる技術事項についてのものであり、前記「(1)イ」で検討したのと同様の理由により、前記相違点3に係る技術事項について、甲1、甲2、甲4及び甲5には、記載も示唆もされていないし、本件特許の出願時に周知の技術であるとも認められない。 したがって、本件発明1は、甲3発明及び甲1、甲2、甲4及び甲5に記載された技術事項及び周知技術から、容易に想到できたものとはいえない。 ウ 申立人の主張について (ア)申立人は、異議申立書の第24-25頁において、甲3発明に甲1及び甲2に記載された事項を適用して本件発明1とすることは、当業者ならば容易になし得る旨主張する。 (イ)前記「(ア)」における主張において、申立人は、甲3発明のセルを甲1及び甲2にも記載されている凹形状の容器で置換適用して構成Aを備えるようにすることは、当業者ならば容易になし得たことであると主張する。 (ウ)しかしながら、申立人が引用する甲1-甲2の記載事項は、前記「(1)及び(2)」で検討したとおり、合議体が認定した前記相違点3を埋めるものではないから、前記相違点3に係る前記「イ」の判断の結論が変わるものではない。 (エ)以上のことから、申立人の主張は採用することができない。 エ 小括 以上の検討より、本件発明1は、甲3発明及び甲1、甲2に記載された技術事項及び周知技術から当業者が容易になし得たことであるとはいえない。 そして、本件発明2-4は、本件発明1の発明特定事項をすべて備えていることから、本件発明2-4と甲1発明とは、少なくとも、前記相違点3において相違するものであり、前記相違点3については、前記「イ及びウ」で検討したとおりであることから、甲3発明と、甲1、甲2、甲4及び甲5に記載された技術事項、及び周知技術とから本件発明2-4を導き出すことは、当業者ならば容易になし得たことであるとはいえない。 (4)理由2についてのまとめ 以上のことから、本件発明1-4は、甲1-甲5に記載された発明、甲1-甲5に記載された技術事項、及び周知技術から当業者が容易になし得たものであるとはいえないから、申立人の特許法第29条第2項についての異議申立理由は、理由がない。 5.<異議申立理由3>特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)について (1)申立人の主張 申立人は、異議申立書の第27-28頁において、 「試料が「それ自体が液体状」(以下、「液体試料」という)であれば、レーザ一アブレーションのレーザー光における熱エネルギーによって一部が加熱されて蒸気になるため、蒸気をキャリアガスで分析計2に搬送することができる。ここで、「エアロゾル」とは、一般的に、気体中に分散している微粒子など、あるいは微粒子などが分散している気体を意味し、「蒸気」は含まれないと解される。とすると、上記液体試料からは「エアロゾル」が生成されることがないため、「生成した液体試料のエアロゾル」をキャリアガスで搬送することはできない。 試料が「液体中に存在する」場合、レーザーアブレーションを行うと、レーザー光の熱エネルギーによる部分的な気化と、上記レーザー光の衝撃エネルギーよる部分的な破砕とによってエアロゾルが発生するが(例えば、甲第4号証の9ページ「1 レーザーアブレーション試料導入法」の9~16行目)、このエアロゾルは上記「液体中」に閉じ込められて放出されることはなく、したがってセル11内に浮遊することもないからキャリアガスで搬送して分析計2に導入することはできない。 本件特許明細書には、「液体中に存在する試料」にレーザーアブレーションを行って得た上記液体中のエアロゾルをどのように回収して分析計2に導入するのかについての説明がない。 したがって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件特許の請求項1に係る発明、及び請求項1を引用する請求項2-4に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。」 旨主張する。 (2)当審の判断 ア 本件特許明細書には、段落【0013】-【0027】に発明を実施するための形態が記載されている。当該記載には、 (ア)「【0016】 ・・・ 図2において、セル11には、液体を収容可能な収容部の一例としてのウェル11aが形成されている。ウェル11aには、液体状の試料Sが収容されている。なお、本願明細書及び特許請求の範囲において、「液体状の試料」とは、試料自体が液体状の場合だけでなく、溶媒中に試料がイオンとして溶けている場合や溶媒中に試料の微粒子が分散している場合のように液体中に試料が存在する場合も含む意味で使用している。 ・・・」 (イ)「【0017】 また、セル11の上方には、レーザーアブレーション装置21が配置されている。レーザーアブレーション装置21は、セル11の試料Sにレーザー光を照射して、試料Sをアブレーションする。 ・・・」 (ウ)「【0020】 ・・・ 第2ガルバノミラー25とセル11との間には、光学部材の一例としてのレンズ26が配置されている。レンズ26は、フェムト秒レーザー光22aの焦点の位置が試料Sの表面となるように、通過するフェムト秒レーザー光22aを集光する。」 と記載されていることから、セル11内のウェル11aに収容されている液体状の試料Sの表面に、フェムト秒レーザー光22aの焦点の位置が試料Sの表面となるように、レンズ26によりフェムト秒レーザー光22aを集光して照射して、試料Sをアブレーションすることが、本件特許明細書に記載されていると認められる。 イ 本件特許明細書には、セル11からどのように試料Sのエアロゾルを回収するのかについての説明はない。しかしながら、本件特許の出願前に公知である甲3-甲5にも、セル内の試料Sのエアロゾルを回収し、キャリアガスにより分析計に送る技術が開示されていることから、本件特許明細書に記載が無くても当業者は、セル11内の試料のエアロゾルを分析計2に導入することは当業者が実施できると認められる。 ウ ここで、前記「(1)」にも記載した申立人の主張について検討すると、申立人は、セル内の液体状の試料Sをレーザーアブレーションしたときには、エアロゾルが生じないことを主張するものと認められる。しかしながら、液体試料をレーザーアブレーションすることについては、本件特許明細書の段落【0004】に示されている「D. Gunther,他3名、”Direct Liquid ablation: a new calibration strategy for laser ablation-ICP-MS microanalysis of solids and liquids”、Fresenius J Anal.Chem.(1997)359:390-393」に開示されているように、本件特許出願前において公知であり、当該文献には、droplets(solution)(当審注:液滴(溶液)のこと)をArF(193nm)excimer laserでレーザーアブレーションし、キャリアガスにてELAN 6000 ICP-MS(Perkin Elmer Corp)にablation cellからtransportation tubeにて送ることが開示されている(p390-p391のExperimentalの章を参照のこと。)。そうすると、液滴(溶液)をレーザーアブレーションすれば、エアロゾルが生じ、そのエアロゾルをキャリアガスでICP-MS分析計に導入して分析することができることは、本件特許出願前に公知であると認められる。 エ 以上のことから、前記「(1)」に示した申立人の主張は採用することはできない。 (3)理由3についてのまとめ したがって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1及び請求項1を引用する本件発明2-4に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないとはいえないから、申立人の特許法第36条第4項第1号についての異議申立理由は、理由がない。 6.<異議申立理由4>特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について (1)申立人の主張 申立人は、異議申立書の第29頁において、 「i)上記実施可能要件の箇所で述べたように、本件特許の請求項1に係る発明は発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。また、出願時の技術常識に照らしても、請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。請求項1を引用する請求項2-4に係る発明にも同様のことがいえる。」 「ii)本件特許の請求項3には、「各ミラーを回転させる周波数である繰り返し周波数が10kHz以上である」ことが記載されている。請求項3、請求項3が引用する請求項2、及び請求項2が引用する請求項1には「レーザー光」が記載されているが、「パルス光」であることは特定されていない。また、レーザー光がパルス光であって上記繰り返し周波数が10kHz以上である場合に、上記パルス光の繰り返し周波数が幾つであるかが特定されていない。パルスレーザー光の繰り返し周波数と、ガルバノミラーの繰り返し周波数とを同期させることで所望する位置に上記パルスレーザー光を照射することができるものであるところ、上記レーザー光が連続光である場合、又は上記レーザー光がパルス光であってその繰り返し周波数が10KHz以上でない(上記ミラーの繰り返し周波数と同期していない)場合、上記ミラーの繰り返し周波数を10kHz以上とすることの目的(意味)あるいは効果が何であるのかが本件特許明細書に記載されていない。また、出願時の技術常識に照らしても、請求項3に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるともいえない。 したがって、請求項3に係る発明、及び請求項3を引用する請求項4に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された発明ではない。」 旨主張する。 (2)当審の判断 ア 前記「5.」で検討したとおり、本件特許明細書には、段落【0013】-【0027】に発明を実施するための形態が記載されており、当該記載には本件発明1-4の実施態様が記載されていると認められる。 イ また、本件発明3における「前記各ミラーを回転させる周波数である繰り返し周波数が10kHz以上である」ことについては、本件特許明細書の段落【0025】に「繰り返し周波数が10KHz」の実施態様が記載されている。さらに同段落には「したがって、照射位置の数が同じ場合に、繰り返し周波数が低い場合に比べて、フェムト秒レーザー光22aを照射するのに必要な時間が短縮される。」と記載されていることから、ミラーの繰り返し周波数を10kHz以上とすることの目的(意味)あるいは効果が本件特許明細書に記載されていると認められる。 ウ 申立人は、前記「(1)」に示した主張において、「パルスレーザー光の繰り返し周波数と、ガルバノミラーの繰り返し周波数とを同期させることで所望する位置に上記パルスレーザー光を照射することができるものであるところ、」と主張しているが、本件発明1-4において、液体状の試料Sをレーザーアブレーションする際には、セル11内の液体状の試料Sがエアロゾル化されればよいのであり、液体状の試料Sの表面のどこか任意の位置をそれぞれレーザー照射していけば事足りるのであるから、必ずしもパルスレーザー光の繰り返し周波数と、ガルバノミラーの繰り返し周波数とを同期させる必要は無い。 エ また、申立人は、前記「(1)」に示した主張において、「また、出願時の技術常識に照らしても、請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。請求項1を引用する請求項2~4に係る発明にも同様のことがいえる。」及び「また、出願時の技術常識に照らしても、請求項3に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるともいえない。」と主張する。しかしながら、本件発明1-4が解決しようとする課題は、液体状の試料をレーザーアブレーションして得られたエアロゾルをICP質量分析計に送る際に、レーザー光の照射位置を変更可能にする(段落【0006】参照。)というものであり、当該課題は、液体状の試料をセルの窪み状の収容部に収容すること(構成A)及び、レーザー光の照射位置を移動可能な光学系を用いること(構成C)で、液体状の試料を動かすことなくレーザー光の試料に対する照射位置を変更することを可能として解決している。したがって、本件発明1-4は、本件発明1-4が解決しようとする課題を解決する手段を備えており、本件発明1-4が、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えていると判断されるものではない。 オ 以上のことから、前記「(1)」に示した申立人の主張は採用することはできない。 (3)理由4についてのまとめ したがって、本件発明1-4は、発明の詳細な説明に記載された発明ではないとはいえないから、申立人の特許法第36条第6項第1号についての異議申立理由は、理由がない。 7.まとめ 以上のとおりであるので、上記「第3」に示した異議申立理由1-4は、いずれも理由がない。 第5 むすび 以上のとおり、申立人が特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-701038

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