特許異議申立
2024-700019
検体分析システムの制御方法および検体分析システム
- 審判番号
- 2024-700019
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-034853
- 登録番号
- 7307758
- 請求日
- 2024年01月11日
- 審決日
- 2025年03月18日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】シスメックス株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人YKI国際特許事務所
- 【異議申立人】所 智恵子
- 審判長/審判官
- 審判長 三崎 仁
- 審判官 伊藤 幸仙
- 審判官 ▲高▼見 重雄
- 分類
- P1652.113-YAA(G01N) / P1652.121-YAA(G01N) / P1652.537-YAA(G01N) / P1652.575-YAA(G01N) / 標準データ:手続:異議 / 標準データ:652・113-YAA (G01N) / 標準データ:652・121 / 標準データ:652・537 / 標準データ:652・575
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第126条第5項、特許法第29条、特許法第36条、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)、特許情報標準データ(審判)
事件の表示
特許第7307758号発明「検体分析システムの制御方法および検体分析システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7307758号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-27〕、28について訂正することを認める。
特許第7307758号の請求項10、12、15、16、23及び24に係る特許を維持する。
特許第7307758号の請求項1、5、7及び28に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7307758号の請求項1~28に係る特許についての出願は、令和3年3月4日に出願され、令和5年7月4日にその特許権の設定登録がされ、同年同月12日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1、5、7、10、12、15、16、23、24及び28に係る特許について、令和6年1月11日に特許異議申立人 所 智恵子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、同年3月19日付けで取消理由を通知し、特許権者により同年5月24日に意見書及び訂正請求書が提出されたが、当該訂正請求書に係る手続については、同年8月14日付けで手続却下の決定がなされ、同年12月23日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、特許権者により令和7年2月14日に意見書及び訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)が提出されたものである。
なお、本件訂正請求書による訂正は、下記の第2の1及び2で述べるように、実質的に請求項の削除のみを行うものであり、特許庁「審判便覧」の67-05.5の4.(1)記載の「取消理由通知(決定の予告)後において、特許異議申立人に対して意見書を提出する機会を与えない場合」の(3)(原文は○数字である)に該当することから、特許法第120条の5第5項のただし書きで規定する「特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情」があるものといえる。
したがって、当審では申立人に意見書を提出する機会を与えなかった。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
(1)本件訂正請求書での訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~27及び28について訂正することを求めるものであって、本件訂正の内容は次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8に記載の「前記スケジュールは、一又は複数の前記測定ユニットを自動的に起動する時刻の指定を含み、前記精度管理検体の供給は、指定された前記時刻より前に前記精度管理検体の加温を開始することを含む、請求項7に記載の方法。」を、「少なくとも1つの測定ユニットを含む検体分析システムの制御方法であって、ユーザによって予め登録されたスケジュールにしたがって、前記検体分析システムに含まれる一又は複数の前記測定ユニットを自動的に起動し、起動された前記測定ユニットへ精度管理検体を自動的に供給し、起動された前記測定ユニットによって前記精度管理検体を測定し、前記検体分析システムは、前記精度管理検体を加温する加温部を含み、前記精度管理検体の供給は、加温された前記精度管理検体を、起動された前記測定ユニットへ搬送することで供給することを含み、前記スケジュールは、一又は複数の前記測定ユニットを自動的に起動する時刻の指定を含み、前記精度管理検体の供給は、指定された前記時刻より前に前記精度管理検体の加温を開始することを含む、方法。」に訂正する。(請求項8の記載を引用する請求項9~27も同様に訂正する。)
ケ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項10に記載の「請求項1~9のいずれか一項」を、「請求項8または9」に訂正する。(請求項10の記載を引用する請求項11~27も同様に訂正する。)
コ 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項11に記載の「請求項1~10のいずれか一項」を、「請求項8~10のいずれか一項」に訂正する。(請求項11の記載を引用する請求項12~27も同様に訂正する。)
サ 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項12に記載の「請求項1~11のいずれか一項」を、「請求項8~11のいずれか一項」に訂正する。(請求項12の記載を引用する請求項13~27も同様に訂正する。)
シ 訂正事項12
特許請求の範囲の請求項13に記載の「請求項1~12のいずれか一項」を、「請求項8~12のいずれか一項」に訂正する。(請求項13の記載を引用する請求項14~27も同様に訂正する。)
ス 訂正事項13
特許請求の範囲の請求項15に記載の「請求項1~14のいずれか一項」を、「請求項8~14のいずれか一項」に訂正する。(請求項15の記載を引用する請求項16~27も同様に訂正する。)
セ 訂正事項14
特許請求の範囲の請求項16に「請求項1~14のいずれか一項」を、「請求項8~14のいずれか一項」に訂正する。(請求項16の記載を引用する請求項17~27も同様に訂正する。)
ソ 訂正事項15
特許請求の範囲の請求項23に記載の「請求項1~22のいずれか一項」を、「請求項8~22のいずれか一項」に訂正する。(請求項23の記載を引用する請求項24~27も同様に訂正する。)
タ 訂正事項16
特許請求の範囲の請求項24に記載の「請求項1~23のいずれか一項」を、「請求項8~23のいずれか一項」に訂正する。(請求項24の記載を引用する請求項25~27も同様に訂正する。)
チ 訂正事項17
特許請求の範囲の請求項28を削除する。
(2)訂正の単位について
訂正前の請求項1~27は、請求項2~27が請求項1を直接的又は間接的に引用していることから、訂正前の請求項1~27は、一群の請求項である。
そして、訂正事項1~16は、一群の請求項1~27についてなされたものであるから、訂正事項1~16に係る訂正は、特許法第120条の5第4項で規定する一群の請求項ごとに請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1~7及び17について
ア 訂正事項1~7及び17は、請求項1~7及び28を削除するというものであるから、訂正事項1~7及び17は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 訂正事項1~7及び17は、請求項1~7及び17を削除するというものであるから、訂正事項1~7及び17は、本件特許についての出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許の明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。また、訂正事項1~7及び17は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項1~7及び17は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項8について
ア 訂正事項8は、請求項8を、請求項1~6のいずれか一項を引用する請求項7の記載を引用するものから、請求項1を引用する請求項7の記載を引用するものへ限定し、さらに、訂正事項1~7で請求項1~7が削除されたことに伴い、独立形式請求項へ改めたものである。
よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」、及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 訂正事項8は、請求項8を、請求項1を引用する請求項7の記載を引用するものへ限定し、さらに、独立形式請求項へ改めたものであるから、訂正事項8は、本件特許の明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。また、訂正事項8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項9~16について
ア 訂正事項9~16は、多数項引用形式の請求項10~13、15、16、23及び24において、訂正事項1~7で請求項1~7が削除されたことに伴い、引用請求項数を削減したしたものである。
よって、訂正事項9~16は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 訂正事項9~16は、多数項引用形式の請求項10~13、15、16、23及び24において、引用請求項数を削減したしたものであるから、訂正事項9~16は、本件特許の明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。また、訂正事項9~16は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項9~16は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
3 独立特許要件
本件訂正請求において、特許異議の申立ての対象である請求項1、5、7、10、12、15、16、23、24及び28に係る訂正事項1、5、7、9、11、13、14、15、16及び17については、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
一方、本件訂正請求において、特許異議の申立ての対象外である請求項2~4、6、8、9、11、13、14、17~22及び25~27に係る訂正事項2~4、6、8、10、12については、上記2(1)ア、2(2)ア及び2(3)アのとおり「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正がなされたので、独立特許要件が課される。ただし、そのうちの請求項2~4及び6については、訂正事項2~4及び6により削除された。
そこで、本件訂正後の請求項8、9、11、13、14、17~22及び25~27に記載される発明(以下、それぞれ請求項の番号に対応して「本件発明8」などという。)が特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件発明8、9、11、13、14、17~22及び25~27
本件発明8、9、11、13、14、17~22及び25~27は、訂正特許請求の範囲の請求項8、9、11、13、14、17~22及び25~27に記載された事項により特定されたものと認められる。その記載は以下のとおりである。
「【請求項8】
少なくとも1つの測定ユニットを含む検体分析システムの制御方法であって、
ユーザによって予め登録されたスケジュールにしたがって、前記検体分析システムに含まれる一又は複数の前記測定ユニットを自動的に起動し、
起動された前記測定ユニットへ精度管理検体を自動的に供給し、
起動された前記測定ユニットによって前記精度管理検体を測定し、
前記検体分析システムは、前記精度管理検体を加温する加温部を含み、
前記精度管理検体の供給は、加温された前記精度管理検体を、起動された前記測定ユニットへ搬送することで供給することを含み、
前記スケジュールは、一又は複数の前記測定ユニットを自動的に起動する時刻の指定を含み、前記精度管理検体の供給は、指定された前記時刻より前に前記精度管理検体の加温を開始することを含む、方法。
【請求項9】
前記精度管理検体の供給は、指定された前記時刻の少なくとも10分前に前記精度管理検体の加温を開始することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記画面は、一又は複数の前記測定ユニットの自動起動と前記精度管理検体の自動供給のスケジュールを登録できるように構成されている、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記画面は、一又は複数の前記測定ユニットを自動的に洗浄する洗浄スケジュールをさらに登録できるように構成されており、
前記画面を介して登録された前記洗浄スケジュールにしたがって、一又は複数の前記測定ユニットの洗浄を自動的に実行することをさらに含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
洗浄の自動実行は、前記洗浄スケジュールにしたがって、洗浄液容器を一又は複数の前記測定ユニットへ搬送することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記精度管理検体は、濃度の異なる複数種類の精度管理検体を含み、
前記在庫の情報として、一つの種類の精度管理検体が複数の容器に収容された複数の精度管理検体を含む場合に、種類ごとの精度管理検体の残量の合計を表示することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記在庫の情報として、保管庫に保管されている複数の精度管理検体の情報を一覧表示することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
保管庫に保管されている複数の精度管理検体の情報は、少なくとも、精度管理検体の属性情報と、精度管理検体の残量の情報を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記属性情報は、少なくとも、前記精度管理検体の種類またはロット番号を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記在庫に含まれる少なくとも一つの前記精度管理検体の残量が所定値未満である場合に、前記精度管理検体の情報の少なくとも一部を強調表示することをさらに含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
登録された前記スケジュールと前記在庫の情報とに基づいて、前記在庫の範囲内で前記スケジュールを実行可能な日数、回数、および日付の少なくとも1つを表示する、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記消耗品は、精度管理検体および前記精度管理検体を収容して搬送するためのラックを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記検体分析システムに含まれる一又は複数の装置のシャットダウンの指示をユーザから受け付けることを含み、
前記シャットダウンの指示を受け付けた場合であって、登録された前記スケジュールに基づいて次に実行予定の自動的な精度管理検体の測定を行うために前記精度管理検体の在庫が不足する場合に、通知を実行する、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記通知は、前記精度管理検体の補充を促すメッセージを含む、請求項26に記載の方法。」
(2)証拠
申立人は、証拠として甲第1号証~甲第7号証(以下、それぞれ甲号証の番号に対応して「甲1」などという。)を提出した。甲1~甲7は、以下のとおりである。
甲1:特開2018-105807号公報
甲2:中国特許出願公開第111551757号明細書
甲3:特開2011-226868号公報
甲4:特開2013-76624号公報
甲5:特表2009-500619号公報
甲6:特開2009-168730号公報
甲7:特開2009-36513号公報
(2-1)甲1について
ア 甲1の記載
甲1には、図面とともに以下の記載がある(下線は当審において付与した。以下同様)。
(ア)「【0011】
図1は、本実施形態に係る自動分析装置1の機能構成の例を示すブロック図である。図1に示される自動分析装置1は、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース回路5、出力インタフェース回路6、記憶回路7、及び制御回路8を具備する。
・・・
【0019】
記憶回路7は、磁気的、若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。記憶回路7は、解析回路3で実行される動作プログラム、及び制御回路8で実行される動作プログラムを記憶する。記憶回路7は、解析回路3により生成される検量線を検査項目毎に記憶する。記憶回路7は、解析回路3により生成される分析データを被検試料毎に記憶する。また、記憶回路7は、有効期限管理テーブル71、及び測定予約管理テーブル72を記憶する。
・・・
【0023】
測定予約管理テーブル72は、実行する予定の標準試料を用いた測定を表す情報を記憶するテーブルである。測定予約管理テーブル72には、例えば、検査ID、及び測定種類等を示す情報が含まれる。測定種類は、標準試料を用いた測定の種類を表す。標準試料を用いた測定には、例えば、キャリブレーション測定、及びコントロール測定等が含まれる。本実施形態では、キャリブレーション測定とは、検量線を新たに作成するための測定をいう。またコントロール測定とは、作成された検量線、又は、既に設定されている検量線の精度管理に必要な測定をいう。例えば、自動シャットダウン動作中に、実行する予定の標準試料を用いた測定に係る検査ID、及び測定種類が、測定予約管理テーブル72に登録される。
【0024】
制御回路8は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路8は、記憶回路7に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。」、
(イ)「【0025】
図2は、図1に示される分析機構2の構成の一例を示す模式図である。また、図3は、図2に示される分析機構2の構成を示す斜視図である。図2、及び図3に示される分析機構2は、反応ディスク21、及び試薬庫22を備える。
【0026】
反応ディスク21は、環状に配列された複数の反応管211を保持する。反応ディスク21は、駆動機構4により、既定の時間間隔で回動と停止とが交互に繰り返される。反応管211は、例えば、ガラスにより形成されている。
【0027】
試薬庫22は、標準試料、及び被検試料に含まれる所定の成分と反応する試薬を収容する試薬容器101を複数保冷する。また、試薬庫22は、標準試料を収容する標準試料容器を複数保冷する。試薬庫22は、反応ディスク21に隣接して設けられる。なお、図2、図3に示される自動分析装置1では、試薬庫22が、反応ディスク21と隣接して設けられる例を説明するが、試薬庫22が設けられる位置はこれに限定されない。また、試薬庫22は、1つに限定されず、複数設けられていても構わない。
・・・
【0030】
また、図2、及び図3に示される分析機構2は、サンプル分注アーム23、サンプル分注プローブ24、第1試薬分注アーム25、第1試薬分注プローブ26、第2試薬分注アーム27、第2試薬分注プローブ28、攪拌ユニット29、測光ユニット210、洗浄ユニット201、及び電解質測定ユニット202を備える。
【0031】
サンプル分注アーム23は、反応ディスク21とサンプリングレーン233との間に設けられている。サンプル分注アーム23は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。サンプル分注アーム23は、一端にサンプル分注プローブ24を保持する。
【0032】
サンプル分注プローブ24は、サンプル分注アーム23の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、サンプル分注プローブ24が試料容器から試料を吸引するためのサンプル吸引位置P1が設けられている。サンプル吸引位置P1は、サンプル分注プローブ24の回動軌道と、サンプリングレーン233上の試料容器の移動軌道との交点に相当する。
【0033】
また、サンプル分注プローブ24の回動軌道上の、サンプル吸引位置P1とは異なる位置には、サンプル分注プローブ24が吸引した試料を反応管211へ吐出するためのサンプル吐出位置P2が設けられている。サンプル吐出位置P2は、サンプル分注プローブ24の回動軌跡と、反応ディスク21に保持されている反応管211の移動軌道との交点に相当する。
【0034】
また、サンプル分注プローブ24の回動軌道上の、サンプル吸引位置P1及びサンプル吐出位置P2とは異なる位置には、サンプル分注プローブ24が反応管211から標準試料を吸引するための希釈試料吸引位置P11が設けられている。希釈試料吸引位置P11は、サンプル分注プローブ24の回動軌跡と、反応ディスク21に保持されている反応管211の移動軌道とのサンプル吐出位置P2以外の交点に相当する。
【0035】
サンプル分注プローブ24は、駆動機構4によって駆動され、サンプル吸引位置P1、サンプル吐出位置P2、及び希釈試料吸引位置P11において上下方向に移動する。また、サンプル分注プローブ24は、制御回路8の制御に従い、サンプル吸引位置P1の直下に位置する試料容器から試料を吸引する。また、サンプル分注プローブ24は、制御回路8の制御に従い、希釈試料吸引位置P11の直下に位置する反応管211から標準試料を吸引する。また、サンプル分注プローブ24は、制御回路8の制御に従い、吸引した試料、又は吸引した標準試料を、サンプル吐出位置P2の直下に位置する反応管211へ吐出する。
【0036】
第1試薬分注アーム25は、試薬庫22の外周近傍に設けられている。第1試薬分注アーム25は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第1試薬分注アーム25は、一端に第1試薬分注プローブ26を保持する。
【0037】
第1試薬分注プローブ26は、第1試薬分注アーム25の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、試薬吸引位置P3が設けられている。試薬吸引位置P3は、第1試薬分注プローブ26の回動軌道と、試薬庫22内で外側の円周に配列される試薬容器101の開口部の移動軌道との交点に相当する。また、第1試薬分注プローブ26の回動軌道上には、第1試薬分注プローブ26が吸引した試薬を反応管211へ吐出するための第1試薬吐出位置P4が設定されている。第1試薬吐出位置P4は、第1試薬分注プローブ26の回動軌道と、反応ディスク21に保持されている反応管211の移動軌道との交点に相当する。
【0038】
第1試薬分注プローブ26は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置P3、及び第1試薬吐出位置P4において上下方向に移動する。
【0039】
また、第1試薬分注プローブ26は、制御回路8の制御に従い、試薬吸引位置P3の直下に位置する試薬容器101から試薬を吸引する。また、第1試薬分注プローブ26は、制御回路8の制御に従い、吸引した試薬を第1試薬として、第1試薬吐出位置P4の直下に位置する反応管211へ吐出する。
【0040】
また、第1試薬分注プローブ26は、制御回路8の制御に従い、試薬吸引位置P3の直下に位置する試料容器から標準試料を吸引する。また、第1試薬分注プローブ26は、制御回路8の制御に従い、吸引した標準試料を、第1試薬吐出位置P4の直下に位置する反応管211へ吐出する。
・・・
【0044】
攪拌ユニット29は、反応ディスク21の外周近傍に設けられている。攪拌ユニット29は、第1攪拌アーム、及び第1攪拌アームの先端に設けられる第1攪拌子を有する。攪拌ユニット29は、第1攪拌子により、反応ディスク21上の第1撹拌位置に配置される反応管211内に収容されている試料と第1試薬とを攪拌する。また、攪拌ユニット29は、第2攪拌アーム、及び第2攪拌アームの先端に設けられる第2攪拌子をさらに有する。攪拌ユニット29は、第2攪拌子により、反応ディスク21上の第2攪拌位置に配置される反応管211内に収容されている試料、第1試薬、及び第2試薬を攪拌する。
【0045】
測光ユニット210は、反応管211内に吐出された試料と試薬との混合液における所定の成分を光学的に測定する。測光ユニット210は、光源、及び光検出器を有する。測光ユニット210は、制御回路8の制御に従い、光源から反応管211へ光を照射する。光検出器は、反応管211内の標準試料と試薬との混合液を通過した光を検出し、検出した光の強度に基づいて例えば吸光度で表される標準データを生成する。また、光検出器は、反応管211内の被検試料と試薬との混合液を通過した光を検出し、検出した光の強度に基づいて例えば吸光度で表される被検データを生成する。測光ユニット210は、生成した標準データ、及び被検データを解析回路3へ出力する。
・・・
【0047】
電解質測定ユニット202は、反応管211内の混合液中に存在する特定電解質の測定を行う。電解質測定ユニット202は、例えば特定電解質から発生するイオン濃度を測定する。」
(ウ)「【0052】
図1に示される制御回路8は、本実施形態に係る動作プログラムを実行することで、本実施形態に係る処理を実現する。具体的には、制御回路8は、動作プログラムを実行することで、システム制御機能81、測定要否判定機能82、起動時刻設定機能83、測定設定機能84、及び標準試料測定機能85を有する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能81、測定要否判定機能82、起動時刻設定機能83、測定設定機能84、及び標準試料測定機能85が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することによりシステム制御機能81、測定要否判定機能82、起動時刻設定機能83、測定設定機能84、及び標準試料測定機能85を実現しても構わない。
・・・
【0054】
また、制御回路8は、予め設定された時刻になると、自動分析装置1の起動処理を開始する。自動分析装置1の起動処理には、自動分析装置1の電源オン、及び自動分析装置1が備えるOS(operation system)の立ち上げ等が含まれる。制御回路8は、自動分析装置1の起動処理が完了すると、自動スタートアップ動作を実行する。自動スタートアップ動作には、測定を開始するために必要な予め設定された保守動作、例えば自動分析装置1が備える各ユニットの動作確認、及び反応ディスク21に保持された反応管211を洗浄する洗浄動作等が含まれる。
・・・
【0057】
起動時刻設定機能83は、予め指定された時刻から実際に装置を起動する時刻までに必要な遡及時間を算出し、実際に自動分析装置1が起動される時刻を設定する機能である。遡及時間は、例えば自動分析装置1の起動から標準試料を用いた測定の完了までの時間であり、自動分析装置1の起動処理に必要な時間(自動立ち上げ処理時間)、自動スタートアップ動作に必要な時間(自動スタートアップ時間)、及び標準試料を用いた測定に係る所要時間(先行標準試料測定完了時間)を含む。なお、制御回路8は、標準試料を用いた測定に係る所要時間のみを遡及時間として算出してもよい。
・・・
【0067】
測定設定機能84は、自動スタートアップ動作の後に実行するキャリブレーション測定、又は/及びコントロール測定を設定する機能である。具体的には、制御回路8は、測定要否判定機能82により所定の検査項目について測定が必要であると判定されたキャリブレーション測定、又は/及びコントロール測定を、検査項目と関連付けて記憶回路7に記憶される測定予約管理テーブル72に登録する。
【0068】
標準試料測定機能85は、自動スタートアップ動作が完了すると、キャリブレーション測定、又は/及びコントロール測定を実施する機能である。具体的には、制御回路8は、測定予約管理テーブル72に登録されているキャリブレーション測定、又は/及びコントロール測定に関するレコードから実行すべきキャリブレーション測定、又は/及びコントロール測定を特定する。制御回路8は、自動スタートアップ動作が完了すると、特定したキャリブレーション測定、又は/及びコントロール測定を検査項目毎に実行する。」
(エ)「【0069】
次に、以上のように構成された自動分析装置1が、キャリブレーション測定、又は/及びコントロール測定を測定予約管理テーブル72に登録する際の動作を、図4及び図5を用いて説明する。図4及び図5は、本実施形態に係る自動分析装置1がキャリブレーション測定、又は/及びコントロール測定を測定予約管理テーブル72に登録する際の制御回路8の動作を示すフローチャートの例である。
・・・
【0073】
制御回路8は、自動分析装置1が自動起動されるように設定されていると判定した場合(ステップSA1のYes)、表示回路61を制御して自動分析装置1の起動処理に関する設定を受け付けるための装置起動設定画面を表示する。制御回路8は、自動分析装置1の起動処理に関する設定を、入力インタフェース回路5を介して受け付ける(ステップSA2)。図6は、本実施形態に係る表示回路61に表示される、装置起動設定画面の一例を表す図である。
【0074】
図6に示される装置起動設定画面では、例えば自動起動時刻(第1の時刻)、及び運用終了時刻を設定可能である。自動起動時刻は、自動分析装置1が自動起動される時刻であり、例えば操作者により入力インタフェース回路5を介して指定される。運用終了時刻は、例えば患者から採取される試料に係る測定の終了が予定される時刻である。
・・・
【0076】
また、図6に示される装置起動設定画面では、キャリブレーション測定を実施するか否かを検査項目毎に設定可能である。例えば、図6に示される装置起動設定画面には、検査ID「A」、「B」、「C」、及び「D」と表示されている列の1列右側に、キャリブレーション測定を実施するか否かを設定可能なチェックボックスが設けられている。
【0077】
操作者は、入力インタフェース回路5を介して、チェックボックスに「レ」を入力することにより、キャリブレーション測定を実施するか否かを設定できる。図6の例では、検査ID「A」、「B」、「C」、及び「D」について、キャリブレーション測定の実施が「有効」に設定されている。
【0078】
また、図6に示される装置起動設定画面では、コントロール測定を実施するか否かを検査項目毎に設定可能である。例えば、図6に示される装置起動設定画面には、検査ID「A」、「B」、「C」、及び「D」と表示されている列の2列右側に、コントロール測定を実施するか否かを設定可能なチェックボックスが設けられている。
【0079】
操作者は、入力インタフェース回路5を介して、チェックボックスに「レ」を入力することにより、コントロール測定を実施するか否かを設定できる。図6の例では、検査ID「A」について、キャリブレーション測定の実施が「有効」に設定されている。また、図6の例では、検査ID「B」、「C」、及び「D」について、キャリブレーション測定の実施が「無効」に設定されている。
・・・
【0110】
制御回路8は、遡及時間を算出した後、ステップSA2において設定された自動起動時刻を修正(設定)する(ステップSA14)。例えば、制御回路8は、ステップSA2において自動起動時刻が「2016/10/11 8:00」と設定されているため、この時刻からステップSA11において算出した3360秒、すなわち56分を差し引いて、自動起動時刻を「2016/10/11 8:00」から「2016/10/11 7:04」に修正する。
【0111】
最後に、制御回路8は、表示回路61を制御し、自動分析装置1の起動に関する設定結果を表示する(ステップSA14)。図9は、本実施形態に係る表示回路61に表示される自動分析装置1の起動に関する設定結果の例を表す図である。図9に示されるように、自動分析装置1の起動に関する設定結果には、例えば検査項目毎に、登録された標準試料を用いた測定の測定種類、当該測定に必要な試料、第1試薬、及び第2試薬が表示されている。
・・・
【0115】
また、図9に示される表示回路61には、変更前自動起動時刻、及び変更後自動起動時刻が表示されている。変更前自動起動時刻は、例えば図6に示される装置起動設定画面において、入力インタフェース回路5を介して入力された自動起動時刻(第1の時刻)である。変更後自動起動時刻は、例えば変更前自動起動時刻から遡及時間を差し引いた時刻である。図9の例では、変更前自動起動時刻は、「2016年10月11日08時00分」と表示されている。また、変更後自動起動時刻は、「2016年10月11日07時04分」と表示されている。これにより、自動分析装置1が実際に起動される時刻を明確に確認することができる。
・・・
【0118】
また、図9に示される表示回路61には、操作者が自動分析装置1の起動に関する設定結果を承諾することを促す承諾ボタンB2が表示されている。図9に示される承諾ボタンB2にカーソルが合せられると、自動分析装置1の起動に関する設定結果の内容が確定される。」
(オ)「【0119】
次に、自動分析装置1が、装置起動後に、予約された標準試料測定を自動的に実施する際の動作を、図10を用いて説明する。図10は、本実施形態に係る自動分析装置1が、装置起動後に、設定された標準試料測定を自動的に実施する際の制御回路8の動作を示すフローチャートの例である。
【0120】
制御回路8は、図5に示されるステップSA14において修正された自動分析装置1の起動時刻「2016/10/11 7:04」になると、システム制御機能81を実行する。システム制御機能81の実行により制御回路8は、自動分析装置1の起動、すなわち自動分析装置1の電源オン、及び自動分析装置1が備えるOSの立ち上げ等を開始する(ステップSB1)。
【0121】
制御回路8は、自動分析装置1の起動後、自動スタートアップ動作を実行する(ステップSB2)。
・・・
【0123】
制御回路8は、登録されたキャリブレーション測定、及び/又はコントロール測定が存在する場合(ステップSB3のYes)、標準試料測定機能85を実行する。標準試料測定機能85の実行により制御回路8は、当該キャリブレーション測定、及び/又はコントロール測定を実施する(ステップSB4)。例えば、制御回路8は、図8に示される検査ID「A」に係るキャリブレーション測定、検査ID「A」に係るコントロール測定、及び検査ID「C」に係るキャリブレーション測定を実施する。制御回路8は、表示回路61を制御し、「標準試料測定実施中」の旨を表示する。図11は、標準試料を用いた測定が実施されている間、標準試料測定実施中の旨を表示する表示回路61の表示例を表す図である。
【0124】
図11の例では、表示回路61には、検査ID「A」に係るキャリブレーション測定を表す領域が、斜線でハイライト表示されている。このハイライト表示は、検査ID「A」に係るキャリブレーション測定が実施中であることを表している。また、図11の例では、斜線でハイライト表示されていない検査ID「A」に係るコントロール測定、及び「C」に係るキャリブレーション測定は、実施中でないこと表す。測定は、例えば、検査ID「A」に係るキャリブレーション測定、検査ID「A」に係るコントロール測定、及び検査ID「C」に係るキャリブレーション測定の順で実施される。これにより、自動分析装置1は、操作者が想定しない時刻に起動した場合であっても、操作者を驚かせることなく、標準試料を用いた測定を実施することが可能となる。
【0125】
制御回路8は、登録されたキャリブレーション測定、及び/又はコントロール測定を全て実施した後、表示回路61を制御し、測定実施結果を表示する(ステップSB5)。図12は、本実施形態に係る表示回路61に表示される測定実施結果の例を表す図である。図12に示されるように、測定実施結果には、例えば検査項目毎に、実施された測定の測定種類、及び実施結果が表示されている。」
(カ)図1
[図:0001423456000001.jpg]
(キ)図2
[図:0001423456000002.jpg]
(ク)図4
[図:0001423456000003.jpg]
(ケ)図5
[図:0001423456000004.jpg]
(コ)図6
[図:0001423456000005.jpg]
(サ)図7
[図:0001423456000006.jpg]
(シ)図8
[図:0001423456000007.jpg]
(ス)図9
[図:0001423456000008.jpg]
(セ)図10
[図:0001423456000009.jpg]
(ソ)図11
[図:0001423456000010.jpg]
(タ)図12
[図:0001423456000011.jpg]
イ 甲1に記載された発明
前記アの記載及び図面を総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。ここで、各構成単位末尾の括弧内には、主たる認定根拠となる甲1の記載箇所を示す。
「(a)分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース回路5、出力インタフェース回路6、記憶回路7、及び制御回路8を具備する自動分析装置1おいて、(【0011】)
記憶回路7は、測定予約管理テーブル72を記憶し、(【0019】)
測定予約管理テーブル72は、実行する予定の標準試料を用いた測定を表す情報を記憶するテーブルであり、標準試料を用いた測定には、キャリブレーション測定、及びコントロール測定等が含まれ、キャリブレーション測定とは、検量線を新たに作成するための測定をいい、またコントロール測定とは、作成された検量線、又は、既に設定されている検量線の精度管理に必要な測定をいい、(【0023】)
制御回路8は、自動分析装置1の中枢として、記憶回路7に記憶されている動作プログラムを実行する、(【0024】)
自動分析装置1の制御方法であって、(【0024】、【0011】)
(b)分析機構2は、反応ディスク21、及び試薬庫22を備え、(【0025】)
反応ディスク21は、複数の反応管211を保持し、(【0026】)
試薬庫22は、標準試料を収容する標準試料容器を複数保冷し、(【0027】)
分析機構2は、サンプル分注アーム23、サンプル分注プローブ24、第1試薬分注アーム25、第1試薬分注プローブ26、攪拌ユニット29、測光ユニット210、及び電解質測定ユニット202を備え、(【0030】)
サンプル分注アーム23は、反応ディスク21とサンプリングレーン233との間に設けられ、サンプル分注アーム23は、一端にサンプル分注プローブ24を保持し、(【0031】)
サンプル分注プローブ24は、サンプル分注アーム23の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動し、この回動軌道上には、サンプル分注プローブ24が試料容器から試料を吸引するためのサンプル吸引位置P1が設けられ、サンプル吸引位置P1は、サンプル分注プローブ24の回動軌道と、サンプリングレーン233上の試料容器の移動軌道との交点に相当し、(【0032】)
サンプル分注プローブ24の回動軌道上の、サンプル吸引位置P1とは異なる位置には、サンプル分注プローブ24が吸引した試料を反応管211へ吐出するためのサンプル吐出位置P2が設けられ、サンプル吐出位置P2は、サンプル分注プローブ24の回動軌跡と、反応ディスク21に保持されている反応管211の移動軌道との交点に相当し、(【0033】)
第1試薬分注アーム25は、試薬庫22の外周近傍に設けられ、第1試薬分注アーム25は、一端に第1試薬分注プローブ26を保持し、(【0036】)
第1試薬分注プローブ26は、第1試薬分注アーム25の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動し、この回動軌道上には、試薬吸引位置P3が設けられ、試薬吸引位置P3は、第1試薬分注プローブ26の回動軌道と、試薬庫22内で外側の円周に配列される試薬容器101の開口部の移動軌道との交点に相当し、第1試薬分注プローブ26の回動軌道上には、第1試薬分注プローブ26が吸引した試薬を反応管211へ吐出するための第1試薬吐出位置P4が設定され、第1試薬吐出位置P4は、第1試薬分注プローブ26の回動軌道と、反応ディスク21に保持されている反応管211の移動軌道との交点に相当し、(【0037】)
第1試薬分注プローブ26は、制御回路8の制御に従い、試薬吸引位置P3の直下に位置する試料容器から標準試料を吸引し、第1試薬分注プローブ26は、制御回路8の制御に従い、吸引した標準試料を、第1試薬吐出位置P4の直下に位置する反応管211へ吐出し、(【0040】)
攪拌ユニット29は、反応ディスク21の外周近傍に設けられ、攪拌ユニット29は、反応管211内に収容されている試料と試薬とを攪拌し、(【0044】)
測光ユニット210は、反応管211内に吐出された試料と試薬との混合液における所定の成分を光学的に測定し、(【0045】)
電解質測定ユニット202は、反応管211内の混合液中に存在する特定電解質の測定を行い、(【0047】)
(c)制御回路8は、動作プログラムを実行することで、(【0052】)
予め設定された時刻になると、自動分析装置1の起動処理を開始し、自動分析装置1の起動処理が完了すると、自動スタートアップ動作を実行し、(【0054】)
予め指定された時刻から実際に装置を起動する時刻までに必要な遡及時間を算出し、実際に自動分析装置1が起動される時刻を設定し、遡及時間は、自動分析装置1の起動処理に必要な時間(自動立ち上げ処理時間)、自動スタートアップ動作に必要な時間(自動スタートアップ時間)、及び標準試料を用いた測定に係る所要時間(先行標準試料測定完了時間)を含み、(【0057】)
キャリブレーション測定、又は/及びコントロール測定を、検査項目と関連付けて記憶回路7に記憶される測定予約管理テーブル72に登録し、(【0067】)
測定予約管理テーブル72に登録されているキャリブレーション測定、又は/及びコントロール測定に関するレコードから実行すべきキャリブレーション測定、又は/及びコントロール測定を特定し、自動スタートアップ動作が完了すると、特定したキャリブレーション測定、又は/及びコントロール測定を検査項目毎に実行し、(【0068】)
(d)自動分析装置1がキャリブレーション測定、又は/及びコントロール測定を測定予約管理テーブル72に登録する際の制御回路8の動作について、(【0069】)
制御回路8は、自動分析装置1が自動起動されるように設定されていると判定した場合(ステップSA1のYes)、表示回路61を制御して自動分析装置1の起動処理に関する設定を受け付けるための装置起動設定画面を表示し、制御回路8は、自動分析装置1の起動処理に関する設定を、入力インタフェース回路5を介して受け付け(ステップSA2)、(【0073】)
装置起動設定画面では、自動起動時刻(第1の時刻)を設定可能であり、操作者により入力インタフェース回路5を介して指定され、(【0074】)
装置起動設定画面では、操作者は、入力インタフェース回路5を介して、キャリブレーション測定を実施するか否かを設定でき、(【0076】、【0077】)
装置起動設定画面では、操作者は、入力インタフェース回路5を介して、コントロール測定を実施するか否かを設定でき、(【0078】、【0079】)
制御回路8は、遡及時間を算出した後、ステップSA2において設定された自動起動時刻を修正(設定)し(ステップSA14)、(【0110】)
最後に、制御回路8は、表示回路61を制御し、自動分析装置1の起動に関する設定結果を表示し(ステップSA14)、自動分析装置1の起動に関する設定結果には、例えば検査項目毎に、登録された標準試料を用いた測定の測定種類、当該測定に必要な試料、第1試薬、及び第2試薬が表示され、(【0111】)
また、表示回路61には、変更前自動起動時刻、及び変更後自動起動時刻が表示され、変更前自動起動時刻は、装置起動設定画面において、入力インタフェース回路5を介して入力された自動起動時刻(第1の時刻)であり、変更後自動起動時刻は、変更前自動起動時刻から遡及時間を差し引いた時刻であり、これにより、自動分析装置1が実際に起動される時刻を明確に確認することができ、(【0115】)
表示回路61には、操作者が自動分析装置1の起動に関する設定結果を承諾することを促す承諾ボタンB2が表示され、承諾ボタンB2にカーソルが合せられると、自動分析装置1の起動に関する設定結果の内容が確定され、(【0118】)
(e)自動分析装置1が、装置起動後に、設定された標準試料測定を自動的に実施する際の制御回路8の動作について、(【0119】)
制御回路8は、ステップSA14において修正された自動分析装置1の起動時刻になると、自動分析装置1の起動を開始し(ステップSB1)、(【0120】)
制御回路8は、自動分析装置1の起動後、自動スタートアップ動作を実行し(ステップSB2)、(【0121】)
制御回路8は、登録されたキャリブレーション測定、及び/又はコントロール測定が存在する場合(ステップSB3のYes)、当該キャリブレーション測定、及び/又はコントロール測定を実施し(ステップSB4)、制御回路8は、表示回路61を制御し、「標準試料測定実施中」の旨を表示し、(【0123】)
表示回路61には、検査ID「A」に係るキャリブレーション測定を表す領域が、斜線でハイライト表示され、このハイライト表示は、検査ID「A」に係るキャリブレーション測定が実施中であることを表し、また、斜線でハイライト表示されていない検査ID「A」に係るコントロール測定、及び「C」に係るキャリブレーション測定は、実施中でないこと表し、測定は、例えば、検査ID「A」に係るキャリブレーション測定、検査ID「A」に係るコントロール測定、及び検査ID「C」に係るキャリブレーション測定の順で実施され、(【0124】)
制御回路8は、登録されたキャリブレーション測定、及び/又はコントロール測定を全て実施した後、表示回路61を制御し、測定実施結果を表示し(ステップSB5)、測定実施結果には、例えば検査項目毎に、実施された測定の測定種類、及び実施結果が表示されている、(【0125】)
自動分析装置1の制御方法。」
(2-2)甲2について
甲2には、以下の記載がある。各摘記部分について日本語の訳文を付記した。
(ア)「
[図:0001423456000012.jpg]
」
「【0046】本方法を実行する端末は、ユーザに対話型インタフェースを提示し、ユーザが上記の情報を設定することができる。端末は、ユーザが必要に応じて、酵素、イオン、タンパク質などの複数の異なる品質管理項目情報を追加し、それらの品質管理時間および品質管理規則を個別に設定することを可能にすることができる。異なる品質管理項目の品質管理時間及び品質管理規則は同一又は異なるものであってもよく、具体的にはユーザの必要に応じて設定する。」
(イ)「
[図:0001423456000013.jpg]
」
「【0047】本発明の実施形態により提供される品質管理方法は、体液検出システムを品質管理に適用し、ユーザが実験室のニーズに基づいて品質管理項目、品質管理時間及び品質管理規則を設定することを許可し、これらの設定情報を入力した後、システムの各モジュールを使って品質管理された製品を時間通りに吸い上げて測定しさらに、あらかじめ設定された品質管理規則に従って品質管理の結果を自動的に得て、品質管理の仕事を自動化とパーソナライズ化を実現して、各種の臨床医療実験室の品質管理に対する需要を満たすことができて、人為的な操作が品質管理の過程に与える影響を回避して、品質管理の仕事の効率と品質管理の結果の正確性を高めることができる。」
(ウ)「
[図:0001423456000014.jpg]
」
「【0061】図1に示すようなシステムでは、多くの分析装置16が同時に設置されることが多いが、ある分析装置16がある品質管理項目を実行するように指定するために、分析装置情報をユーザ設定情報に含めることもできる。例として、分析装置情報とその他の情報との対応関係は以下のとおりである。」
(エ)「
[図:0001423456000015.jpg]
」
「【0087】例示的な実施形態として、ある検出項目の移動平均値が予め設定されたしきい値を超えたときに、品質管理製品が救急通路113を通って検出項目に対応する分析装置に入った後、分析装置16を制御して、予め設定された品質管理規則に従って、検出項目に対応する品質管理製品の室内品質管理データを収集し、室内品質管理データを分析する。具体的には、異なる検出項目に対応する品質管理規則は、実情に応じて6シグマ規則の中から少なくとも1つの規則を選択して品質管理を行うことができ、品質管理規則は以下を含むことができる: 13s、22s、32s、r4s、6x、8x、9x、10X、15sなど。」
(オ)「
[図:0001423456000016.jpg]
」
「【0088】制御規則は13Sを例に挙げて室内の品質管理データが品質管理規則13sを超えた場合、品質管理の結果が暴走であると判定し、品質管理の結果が暴走である場合、現在の測定項目の体液サンプルに対して再検査を行う。具体的には、測定項目の移動平均値が予め設定された閾値を超えた場合、分析装置がサンプル検査を継続すれば、検査対象のラベルを持つ体液サンプルに対して再検査を行うことができる。移動平均値があらかじめ設定されたしきい値を初めて超えるとランダムなイベントを防ぐために連続する複数の体液サンプルにおける移動平均値が予め設定された閾値を超えた数が予め設定された数よりも大きい場合後続のサンプルについてのみ表示されているので、検査対象のラベルの付いた体液サンプルについてのみ再検査を行うと、見落としが生じる可能性がありますので、移動平均値が予め設定した閾値を超える体液サンプルが出現する前のいくつかのサンプルについても再検査を行う必要がある。具体的には、移動平均値が最初に設定したしきい値を超えた時から品質管理品を用いて品質管理を行い、品質管理の結果が暴走した時までのすべてのサンプルを再検査する。」
(カ)「
[図:0001423456000017.jpg]
」
「【0089】本発明の実施例はさらに臨床検査品質制御装置を提供し、以下を含む:少なくとも1つのプロセッサ;および少なくとも1つのプロセッサと通信接続するメモリ;そのうち、メモリは1つのプロセッサに実行される指令を記憶し、指令は少なくとも1つのプロセッサに実行され、少なくとも1つのプロセッサに前記臨床医療体液検査品質制御方法を実行させる。」
(キ)「
[図:0001423456000018.jpg]
」
「【0093】入力装置106はユーザが指令を入力するのに用いる装置である、且つキーボード、マウス、マイクとタッチスクリーンなどの中の一つ或は複数を含む。」
(ク)「
[図:0001423456000019.jpg]
」
「【0094】出力装置108は外部(例えばユーザ)に各種情報(例えば画像と/或は音声)を出力できる、且つ表示器、スピーカーなどの一つ或は複数を含むことができる。代替的に、入カデバイス106および出カデバイス108は、同じ対話型デバイス(例えば、タッチスクリーン)を用いて一体化されてもよい。」
(2-3)甲3について
甲3には、図面とともに以下の記載がある。
ア「【請求項1】
検体が収容された複数の検体管を設置可能な検体管設置部と、
それぞれの前記検体に対応した少なくとも1つの検査項目に基づいて、前記検体の分析を実行する分析実行部と、
を備えた検体分析装置であって、
検体が収容された検体管の位置と、前記検体の分析内容と、を含む分析オーダを設定する分析オーダ設定部と、
前記分析オーダと、適用条件と、を関連付けた分析オーダ情報を登録する分析オーダ情報登録部と、
前記適用条件に対応する現在値を取得する現在値取得部と、
前記適用条件が前記現在値と合致した前記分析オーダ情報を選択する分析オーダ情報選択部と、
を備えることを特徴とする検体分析装置。」
イ「【請求項7】
請求項6に記載の検体分析装置であって、
表示部を備え、
当該表示部には、前記分析オーダの編集を行う分析オーダ編集画面を表示可能であるとともに、
前記表示部には、ユーザが操作することにより前記分析オーダ編集画面を呼び出すための分析オーダ編集画面呼出部が表示されており、
前記分析オーダ編集画面呼出部が操作されると、
前記現在値取得部によって前記現在値が取得され、
前記分析オーダ情報選択部によって適用条件が前記現在値と合致する分析オーダ情報が選択され、
前記分析オーダ情報適用確認部は、前記分析オーダ情報に基づいて分析オーダの作成を行うか否かの確認メッセージを前記表示部に表示することを特徴とする検体分析装置。」
ウ「【請求項8】
請求項1から5までの何れか一項に記載の検体分析装置であって、
前記適用条件は、日付、曜日、時刻、又は分析回数のうち、少なくとも何れか1つを指定することが可能であることを特徴とする検体分析装置。」
エ「【0068】
以下、分析オーダ情報の登録について説明する。分析オーダ情報の登録を行う場合、ユーザは、操作部5を適宜操作して分析オーダ情報登録ボタン43を押す。これをトリガーとして、制御部7は、図5のフローを開始させるとともに、表示部4に分析オーダ情報登録画面を表示させる。この分析オーダ情報登録画面の表示例を、図6に示す。図6に示すように、この分析オーダ情報登録画面には、分析オーダ情報識別情報入力欄71と、適用条件入力欄72と、分析オーダ情報内容入力欄73と、分析オーダ情報保存ボタン74と、が表示される。」
オ「【0072】
分析オーダ情報の適用条件は、各分析オーダ情報が適用される条件を指定するものであり、分析オーダ情報ごとに異なる適用条件を設定することができる。本実施形態では、日付又は曜日と、時間又はラウンド番号を指定することができるようになっている。例えば図6の例では、曜日入力欄49に「Mon(月曜日)」が入力され、時間入力欄51には「00:00~11:59」と入力されている。この場合、「毎週月曜日の0時00分から11時59分までの間」が当該分析オーダ情報の適用条件となる。」
カ「【0074】
なお、日付と曜日の何れを適用条件として使用するかは、日付/曜日選択欄48によって指定する。日付/曜日選択欄48は、プルダウンリスト式の入力欄であり、「Day(日付)」と「Week(曜日)」の何れか一方を選択することができるようになっている。日付/曜日選択欄48で「Week」を選択すると、図6に示すように、日付/曜日選択欄48の右側に曜日入力欄49が表示される。これにより、適用条件として曜日を入力することができる。一方、日付/曜日選択欄48で「Day」を選択すると、図7に示すように、日付/曜日選択欄48の右側に日付入力欄55が表示される。これにより、適用条件として日付を入力することができる。なお、日付としては、月内の日付(1日~31日)のうち何れかを指定できる他、「月末」又は「毎日」を指定することもできる。また、期間(何日から何日までの間など)を指定することができても良い。」
キ 図6
[図:0001423456000020.jpg]
(2-4)甲4について
甲4には、図面とともに以下の記載がある。
ア「【請求項1】
検体を処理する検体処理部と、
前記検体処理部を停止状態にする前記検体処理部の停止動作の実行指示を受け付ける制御部と、
出力部と、
を備え、
前記制御部は、前記検体処理部の停止動作の実行指示を受け付けると、次回の起動動作の完了までに消耗品が不足する場合には、発生する消耗品の不足に関する消耗品不足情報を、前記出力部に出力させるように構成されている、
検体処理装置。」
イ「【請求項6】
前記制御部は、消耗品の残量と、前記検体処理部を停止状態から測定可能な状態にする起動動作における消耗品の使用量とに基づいて、次回の起動動作の完了までに発生する消耗品の不足に関する消耗品不足情報を、前記出力部に出力させるように構成されている、
請求項1乃至5の何れか一項に記載の検体処理装置。」
ウ「【請求項7】
前記制御部は、前記検体処理部の停止動作の実行指示を受け付けた場合に、次回の起動動作における消耗品の使用量を決定し、消耗品の残量と、決定された消耗品の使用量とに基づいて、次回の起動動作の完了までに発生する消耗品の不足に関する消耗品不足情報を、前記出力部に出力させるように構成されている、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の検体処理装置。」
エ「【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理装置は、検体を処理する検体処理部と、前記検体処理部を停止状態にする前記検体処理部の停止動作の実行指示を受け付ける制御部と、出力部と、を備え、前記制御部は、前記検体処理部の停止動作の実行指示を受け付けると、次回の起動動作の完了までに消耗品が不足する場合には、発生する消耗品の不足に関する消耗品不足情報を、前記出力部に出力させるように構成されている。」
オ「【0008】
このような構成とすることにより、次回の起動動作の完了までに発生する消耗品切れを事前に予測し、予測結果をオペレータに通知することができる。消耗品切れが予測された場合には、消耗品の補充又は交換をオペレータが実施することにより、起動動作における消耗品切れの発生を防止することができる。また、起動動作の途中において消耗品切れによる動作中断が生じることを抑制し、速やかに起動動作を完了して検体処理を開始することが可能となる。」
カ「【0010】
上記態様において、前記制御部は、検体処理部に起動動作を実行させる予定時刻を設定可能であり、設定された前記予定時刻に到達した場合に、前記検体処理部に前記起動動作を実行させるように構成されていてもよい。自動的に起動動作が実行されるときには、オペレータが検体処理装置のそばにいないことが考えられる。上記の構成とすることで、オペレータが不在の間に消耗品の不足が発生し、検体処理装置の動作が長時間中断されることを防止することができる。」
キ「【0095】
ステップS310において、次回スタートアップ動作において試薬切れが発生すると判定された場合には(ステップS310においてYES)、CPU51aは、次回スタートアップ動作において試薬切れが発生する可能性があることをオペレータに通知するための第2通知画面を表示部52に表示させ、スピーカー55からアラーム音を出力させる(ステップS311)。図13は、第2通知画面を示す図である。第2通知画面D300には、次回スタートアップ動作において試薬切れが発生する可能性があり、試薬を交換する必要があることを示すメッセージが含まれる。また、第2通知画面D300には、試薬交換動作の実行を指示するためのOKボタンB301が設けられている。ボタンB301は、マウスの左ボタンのクリック動作等により選択可能であり、オペレータがこのボタンB301を選択することにより、検体処理装置1に試薬の交換動作の実行指示が与えられる。」
ク 図9
[図:0001423456000021.jpg]
ケ 図13
[図:0001423456000022.jpg]
(2-5)甲5について
甲5には、以下の記載がある。
ア「【請求項1】
試料識別手段(8)を含む管(3、19、23)内に保存され、かつ、栓(3a)によって好ましくは密閉された全血液試料の分析を準備する方法であって、以下の連続的なステップ、即ち、
a)前記管(3、19、23)を保管区域(6、11、12)内に置き、かつ、患者の身元、前記管(3、19、23)内に含まれた前記血液試料に行うべき種類の分析を知り、かつ、各管が分析前に受けるべき準備の種類を自動的に判断するために読み取り手段(9)の助けを借りて前記識別手段(8)を読み取って自動制御装置(5)において読み取られた情報を記録することによって前記血液管を識別するステップと、
b)ロボット把持部および前記自動制御装置(5)によって制御された移動手段(24、25、26、27)の助けを借りて前記管を個別に抜き取って、かつ、前記保管区域(6、11、12)から前記管と前記血液試料とを準備する少なくとも1つの準備区域(10)に移動させるステップと、
c)前記試料識別手段(8)から読み取られた前記情報およびオペレータによって前記自動制御装置(5)に入力された情報もしくは前記試料識別手段(8)から読み取られた前記情報またはオペレータによって前記自動制御装置(5)に入力された情報の関数としてオペレータによって判断される準備シーケンスの適用において前記準備区域(10)内で前記管および前記試料を準備するステップであって、少なくとも、前記シーケンスが、前記管内に含まれた前記血液の成分の全てを共に混合させるために前記管を攪拌するステップを含む前記ステップと、
d)準備直後に、前記ロボット把持部および移動手段(24、25、26、27)の助けを借りて全血液の自動分析装置(28、30)にアクセスすることができる少なくとも1つのアクセス区域(13a、13b)に前記管を個別に移動させて、前記管の前記識別手段から読み取られた前記情報の関数として前記管(3、19、23)内に含まれた前記血液試料を分析するステップと、
e)分析後に前記アクセス区域(13a、13b)から前記管(3、19、23)を前記分析装置(28、30)から引き抜して、前記ロボット把持部と移動手段との助けを借りて前記保管区域(6、11、12)において置き換えるステップと、
好ましくは、
f)他のサンプルについて作業a)からe)を繰り返すステップと
によって特徴づけられる方法。」
イ「【請求項5】
ステップc)において、前記試料の温度が、好ましくは、加熱によって設定される、請求項4に記載の方法。」
ウ「【請求項8】
前記全血液試料を準備かつ分析する前に、品質管理が、血液の対照試料を含む管(19)を使用して行われ、前記対照試料管が、前記ロボット把持部および移動手段(24、25、26、27)がアクセスすることができる冷蔵保存区域(11)内に保存され、前記対照試料管(19)が、未知の全血液の管(3)と同様に加熱かつ準備され、その後、前記分析装置(28)内に連続的に導入され、かつ、前記ロボット把持部および移動手段によって前記冷蔵区域(11)内の開始場所に置き換えられるように、自動的に回収される、請求項1から請求項7のいずれかに記載の方法。」
エ「【0027】
大半の国々で有効である国レベルの法規に従って、未知の血液試料の分析を進める前に毎日、自動分析装置の精度を確認することが必要とされる。そういう理由から、本発明に従って、全血液試料を準備かつ分析する前に、血液の対照試料が、分析装置の品質管理を行うために使用され、対照試料は、ロボット把持部および移動手段がアクセス可能である冷蔵区域内に保存され、血液の対照試料は、未知の全血液試料と同様に加熱されて準備され、その後、分析装置内に導入され、自動的に回収されて、最後に、ロボット把持部および移動手段によって冷蔵区域内の開始場所に置き換えられる。」
オ「【0028】
妥当な場合には、特定の州で有効でありおよび特定の検出器で適用されているような、もしくは、特定の州であるか、または、特定の検出器で適用されているような分析規格類を満足するために、少なくとも1つの血液の対照試料管の分析は、分析装置内で所定数の全血液試料を準備かつ分析した後で定期的に準備され、血液対照試料管は、抜き取られて、準備され、かつ、分析装置内に供給されて、その後、ロボット把持部および移動手段によって回収かつ保管される。」
(2-6)甲6について
甲6には、図面とともに以下の記載がある。
ア「【請求項1】
検体を自動的に分析する装置と、装置を操作するための操作画面を備え、且つ分析項目毎にキャリブレーション又は精度管理を行う必要が発生したことをオペレータに知らせる機能を有する自動分析装置において、将来の一定期間に対するキャリブレーション及び精度管理の実施スケジュール表を自動的に作成・表示する機能を有することを特徴とする自動分析装置。」
イ「【請求項5】
請求項2記載の自動分析装置において、
前記精度管理の実施予定を立てるための実施予測の一手段として、前回の精度管理実施時刻と精度管理実施間隔とから次回以降の精度管理実施時刻を特定し、当該精度管理実施時刻をスケジュール表に入れる機能を有することを特徴とする自動分析装置。」
ウ「【請求項8】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記キャリブレーション又は前記精度管理の実施必要時期をオペレータが独自に判断し、手動で前記スケジュール表の内容を追加・削除・編集することを可能としたことを特徴とする自動分析装置。」
エ「【0007】
本発明の目的は、キャリブレーションや精度管理の実施に対し、実施直前だけでなく、将来の一定期間における実施を予測し、スケジュール表を作成・表示することで、ユーザが試料や試薬の事前準備や在庫管理を効率的に行うことができるシステムを提供することにある。」
オ「【0008】
本発明のもうひとつの目的は、スケジュール表を作成するためのキャリブレーションや精度管理の実施予測論理を複数提示し、それらのうちの単独もしくは複数をユーザが選択可能とし、さらに作成されたスケジュール表を手動でも編集可能とすることで、それぞれのユーザ施設の運用形態に適したスケジュール表を作成することができるシステムを提供することにある。」
カ「【0010】
自動分析装置の操作画面に、キャリブレーション及び精度管理実施スケジュール表を表示する画面を設ける。このスケジュール表は分析項目毎に将来の一定期間、例えば現時点から一ヶ月後までのキャリブレーション又は精度管理実施予定を示すスケジュール表である。このスケジュール表はユーザの必要に応じて帳票や各種メディアに出力可能とする。また別の画面にスケジュール表作成のためのキャリブレーション及び精度管理の実施推定方法を選択する画面を設ける。」
キ「【0021】
本発明の一実施形態であるキャリブレーション・精度管理スケジュール表示画面を図1に示した。本画面は操作画面2-23上に表示される諸画面の一つとする。1-1は現在の時刻を示す時刻表示エリア、1-2はスケジュール表示の対象となるスケジュール期間入力エリア、1-3はその期間内のスケジュール表を当該画面に表示させることを装置に指示するため表示ボタンである。オペレータが1-2のスケジュール期間を入力後、1-3の表示ボタンを押すことにより、1-4に示されるスケジュール表を表示する。スケジュール表内の1-5はキャリブレーションもしくは精度管理の実施予定日時、1-6は分析項目、1-7は、キャリブレーションか精度管理かを示す実施種別を表す。1-8はキャリブレーションや精度管理がなぜ予定されたのかを示す実施理由の表示エリアである。1-9にタイプとして、キャリブレーションの場合リニアやブランクなどのキャリブレーションのタイプを表示する。ここで、リニアとは2本以上の濃度の異なる標準試料を用いて、直線検量線を求める方式、ブランクとは、濃度ゼロの標準試料一本のみを用い、既作成の検量線のブランク補正のみを行う方式である。精度管理の場合は、測定に用いるコントロール検体の種類を表示する。1-10はスクロールバーであり、表示項目数が多く、一画面に表示しきれない場合スクロールさせて表示させるためのものである。」
ク 図1
[図:0001423456000023.jpg]
(2-7)甲7について
甲7には、以下の記載がある。
ア「【請求項1】
検体容器を架設する検体ラック、または試薬容器を架設する試薬ディスクの少なくともいずれかについて、検体容器または試薬容器の実際の物理的配置と同じ配置状態を表示する表示手段と、
予め分類された検体または試薬の種類を指定する指定手段と、
該指定手段で指定された検体または試薬を他のものと識別して表示するように前記表示手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。」
イ「【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記指定手段は、表示してある凡例から選択するものであることを特徴とする自動分析装置。」
ウ「【請求項9】
請求項2記載の自動分析装置において、
前記凡例は、空きポジション,残量なし,残量不足,キャリブレーション情報の少なくともいずれかを表示するものであることを特徴とする自動分析装置。」
エ「【0020】
装置の情報は記憶部にすべて格納されている。表示する情報は入力部からの設定する場合と、あらかじめ記憶部に設定されている。その設定に応じて、画面に表示されている。多くの量の情報が、複数の状態を持っている場合、表示する領域が変わらなければ、スクロールをさせたり、画面数を増やす必要がでてくる。複数の状態があれば、列を分けて表示をする。凡例を使って種類が視覚的にわかるようにするだけでは、検索性が上がらない。そこで、凡例表示の種類ごとに選択できる手段を設ける。選択する手段は、凡例には、図・イラストに説明を付け、感覚的、あるいは、視覚的に表示し、装置に不慣れな操作者にもわかるようにし、直感的な操作を可能とした。凡例選択の手段としては、チェックボックスの有効/無効,ボタンの押し下げによる色合いの違い,凡例ボタンの凹凸感の違い,凡例エリアの形状変化などで行う。はっきり選択されたことが視覚的に変化していることが必要である。」
オ「【0037】
また、図1において、表示部10は、分析項目設定情報や測定結果等の各種の画面表示を行う。また、入力部11は、分析条件,メンテナンス等の各種情報の入力を行う。また、記憶部12は、各機構を制御するための予め定めたシーケンス(プログラム)および分析項目,測定結果等の各種情報を記憶している。図1の記載のほかに、シリンジやポンプ等を構成要素として持ち、それらも含め、全て、記憶部12に記憶されているシーケンスに従って、制御部13により制御される。記憶部12には装置内部の記憶装置と操作部のパーソナルコンピュータ内の記憶装置の2種類が存在する場合がある。その場合、分析装置内にある記憶装置は常に操作部の記憶装置と通信ケーブルに接続され、情報の受け渡しを行っている。本実施例は操作部内のパーソナルコンピュータの記憶装置を記憶部12としている例である。図1の表示部10はディスプレイや液晶モニターなどの接続が可能である。」
カ「【0038】
記憶部12には試薬,洗剤,希釈液,消耗品など装置運用に必要な品目の残量や状態を記録し、定期的、あるいは変化があった場合に制御部を介して情報を伝え、表示部10で表示する。」
(3)本件発明8の新規性・進歩性について
(3-1)対比
本件発明8と甲1発明とを対比する。
ア
(ア)甲1発明(【0025】)の「反応ディスク21」は、本件発明8の「一又は複数の測定ユニット」に相当する。甲1発明(【0024】、【0011】)の「自動分析装置1の制御方法」は、本件発明8の「検体分析システムの制御方法」に相当する。
(イ)してみると、甲1発明の「反応ディスク21」を含む「自動分析装置1の制御方法」は、本件発明8の「少なくとも1つの測定ユニットを含む検体分析システムの制御方法」に相当する。
イ
(ア)甲1発明(【0023】、【0067】、【0076】、【0077】、【0078】、【0079】)の「操作者」によって「登録」された「実行する予定の標準試料を用いた測定を表す情報」、及び甲1発明(【0057】、【0074】、【0110】、【0115】)の「操作者により」「入力された自動起動時刻」から、「操作者」によって「登録」された「標準試料を用いた測定に係る所要時間(先行標準試料測定完了時間)を含む」「遡及時間を差し引いた」「変更後自動起動時刻」は、本件発明8の「ユーザによって予め登録されたスケジュール」に相当する。
(すなわち、甲1発明(【0111】、【0118】)の「操作者」によって「承諾」された「自動分析装置1の起動に関する設定結果」(図9参照)である「実行する予定の標準試料を用いた測定を表す情報」・「変更後自動起動時刻」が、本件発明8の「ユーザによって予め登録されたスケジュール」に相当する。)
(イ)また、甲1発明(【0120】、【0121】、【0123】)は、「修正された自動分析装置1の起動時刻になると、自動分析装置1の起動を開始し」、「自動分析装置1の起動後、自動スタートアップ動作を実行し」、「キャリブレーション測定、及び/又はコントロール測定を実施」するから、「自動分析装置1の起動を開始」することは、「自動分析装置1」に含まれる「反応ディスク21」「の起動を開始」することを含むことは明らかである。
(ウ)してみると、甲1発明の「操作者」によって「登録」された「実行する予定の標準試料を用いた測定」のため、「変更後自動起動時刻」「になると、」「自動分析装置1」に含まれる「反応ディスク21」の「起動を開始」することは、本件発明8の「ユーザによって予め登録されたスケジュールにしたがって、前記検体分析システムに含まれる一又は複数の前記測定ユニットを自動的に起動」することに相当する。
ウ
(ア)甲1発明(【0023】)の「精度管理に必要な測定」に「用い」られる「標準試料」は、本件発明1の「精度管理検体」に相当する。
(イ)また、甲1発明(【0040】、【0045】、【0047】)は、「試薬庫22」の「試料容器から標準試料を吸引」し、「吸引した標準試料を」「反応ディスク21」の「反応管211へ吐出」するところ、上記イ(イ)を踏まえると、甲1発明(【0119】)は、「起動を開始」した「反応ディスク21」へ「標準試料」を「自動的に」供給することは明らかである。
(ウ)してみると、甲1発明の「起動を開始」した「反応ディスク21」へ「標準試料」を「自動的に」供給することは、本件発明8の「起動された前記測定ユニットへ精度管理検体を自動的に供給」することに相当する。
エ 上記ウ(イ)を踏まえると、甲1発明(【0119】)の「起動を開始」した「反応ディスク21」の「測光ユニット210」・「電解質測定ユニット202」によって「標準試料」を「測定」することは、本件発明8の「起動された前記測定ユニットによって前記精度管理検体を測定する」することに相当する。
(3-2)一致点・相違点
上記(3-1)から、本件発明8と甲1発明との一致点・相違点は、以下のとおりである。
(ア)一致点
「少なくとも1つの測定ユニットを含む検体分析システムの制御方法であって、
ユーザによって予め登録されたスケジュールにしたがって、前記検体分析システムに含まれる一又は複数の前記測定ユニットを自動的に起動し、
起動された前記測定ユニットへ精度管理検体を自動的に供給し、
起動された前記測定ユニットによって前記精度管理検体を測定する、ことを含む方法。」
(イ)相違点
本件発明8は、前記検体分析システムは、「前記精度管理検体を加温する加温部を含み」、前記精度管理検体の供給は、「加温された前記精度管理検体を、起動された前記測定ユニットへ搬送することで供給することを含み」、前記スケジュールは、「一又は複数の前記測定ユニットを自動的に起動する時刻の指定を含み」、前記精度管理検体の供給は、「指定された前記時刻より前に前記精度管理検体の加温を開始することを含む」のに対し、甲1発明は、この点につき不明である点。
(3-3)判断
上記相違点について検討する。
甲5には、「自動全血液分析装置に付随する自動準備装置(合わせて検体分析システムに相当)は、対照試料(精度管理検体に相当)を加熱する加熱装置18(加温部に相当)を含み、対照試料の供給は、加熱された対照試料を、自動全血液分析装置の起動された測定ユニットヘ搬送することで供給すること」が開示されている。すなわち、甲5には、上記相違点に係る、検体分析システムが「前記精度管理検体を加温する加温部を含み」、精度管理検体の供給が「加温された前記精度管理検体を、起動された前記測定ユニットへ搬送することで供給することを含」むことについては、開示されているといえる。
しかしながら、甲5には、上記相違点に係る、スケジュールが「一又は複数の前記測定ユニットを自動的に起動する時刻の指定を含み」、精度管理検体の供給が「指定された前記時刻より前に前記精度管理検体の加温を開始すること」に相当する構成について記載も示唆もない。そして、当該構成は、甲2~4、6及び7に記載も示唆もなく、本件出願時における技術常識であるともいえない。
してみると、上記相違点は実質的な相違点であるから、本件発明8は甲1発明ではない。また、甲1発明において、甲2~7の記載及び本件出願時の技術常識を踏まえても、上記相違点に係る本件発明8の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることではない。
そして、本件発明8が奏する「ユーザがウェイクアップ時刻として指定時刻には、QC検体の加温から測定までが完了している状態にすることができ、ユーザは指定時刻にすぐに測定ユニットを使用して検査を開始できる。」(【0218】)という効果は、甲1発明、甲2~7の記載及び本件出願時の技術常識から予測される範囲のものとはいえない。
よって、本件発明8は、甲1発明ではなく、また、甲1発明、甲2~7の記載及び本件出願時の技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条の規定により特許を受けることができないとはいえない。
(4)本件発明9、11、13、14、17~22及び25~27の新規性・進歩性について
本件発明9、11、13、14、17~22及び25~27は、請求項8の記載を直接的又は間接的に引用する発明であるから、上記(3)と同様の理由により、甲1発明ではなく、また、甲1発明、甲2~7の記載及び本件出願時の技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条の規定により特許を受けることができないとはいえない。
(5)本件発明8、9、11、13、14、17~22及び25~27の記載要件等について
請求項8、9、11、13、14、17~22及び25~27の記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確ではなく、また、発明の詳細な説明の記載から把握される課題が解決できることを当業者が認識できないものでもない。また、本件発明8、9、11、13、14、17~22及び25~27は、実施に際して過度の試行錯誤を要するものともいえない。
してみると、本件発明8、9、11、13、14、17~22及び25~27は、明確性、サポート及び実施可能に関する記載要件について、特許法第36条に規定する要件を満たしていないとはいえない。
また、その他に、本件発明8、9、11、13、14、17~22及び25~27が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由もない。
(6)独立特許要件についてのまとめ
以上のことから、本件発明8、9、11、13、14、17~22及び25~27は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合するので、特許出願の際独立して特許を受けることができるものといえる。
4 訂正の適否についてのまとめ
上記2及び3のとおり、訂正事項1~17に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項ないし第7項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-27〕、28について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記第2のとおり本件訂正が認められるから、特許異議の申立ての対象である本件訂正後の請求項10、12、15、16、23及び24に係る発明(以下、それぞれ請求項の番号に対応して「本件発明10」などという。)は、訂正特許請求の範囲の請求項10、12、15、16、23及び24に記載された事項により特定されるものと認められる。その記載は以下のとおりである。なお、請求項1、5、7及び28は、本件訂正により削除された。
「【請求項10】
スケジュールの登録を受け付ける画面を表示することをさらに含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項12】
前記画面は、前記精度管理検体の測定を行う一又は複数の前記測定ユニットの指定を受け付け、
前記精度管理検体の供給は、指定された前記測定ユニットに前記精度管理検体を供給することを含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
実行予定の複数のスケジュールを時系列に表示する画面を表示することをさらに含む、請求項8~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記精度管理検体の在庫の情報を記憶すること、および前記在庫の情報を表示することをさらに含む、請求項8~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記スケジュールは、曜日ごとに登録可能である、請求項8~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
登録されたスケジュールを実行するために必要な消耗品が不足する場合に、通知を行うことをさらに含む、請求項8~23のいずれか一項に記載の方法。」
第4 申立理由の概要
申立人は、以下の申立理由により、請求項1、5、7、10、12、15、16、23、24及び28に係る特許は取り消すべきものである旨主張している。申立理由の要旨は、以下のとおりである。
1 申立理由1(明確性)
本件の請求項1、5、7、10、12、15、16、23、24及び28に係る発明は、明確でないから、本件の請求項1、5、7、10、12、15、16、23、24及び28係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
したがって、本件の請求項1、5、7、10、12、15、16、23、24及び28に係る特許は、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
2 申立理由2(新規性)
本件の請求項1、5、10及び28に係る発明は、甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、本件の請求項1、5、10及び28に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
3 申立理由3(進歩性)
本件の請求項1、5、7、10、12、15、16、23、24及び28に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2~7に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件の請求項1、5、7、10、12、15、16、23、24及び28に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第1項第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
第5 取消理由の概要
当審が令和6年12月23日に特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、以下のとおりである。
1 取消理由1(新規性)
本件の請求項1、5、10、15及び28に係る発明は、甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、本件の請求項1、5、10、15及び28に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
2 取消理由2(進歩性)
本件の請求項1、5、7、10、12、15、16、23、24及び28に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2~7に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件の請求項1、5、7、10、12、15、16、23、24及び28に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第1項第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
第6 当審の判断
1 本件発明10、12、15、16、23及び24の新規性・進歩性について
上記第4の申立理由2及び3並びに上記第5の取消理由1及び2について、まとめて判断する。
本件発明10、12、15、16、23及び24は、請求項8の記載を直接的又は間接的に引用する発明であるから、上記第2の3(3)と同様の理由により、甲1発明ではなく、また、甲1発明、甲2~7の記載及び本件出願時の技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条の規定により特許を受けることができないとはいえない。
2 本件発明10、12、15、16、23及び24の明確性要件について
上記第4の申立理由1について、申立人は、請求項10、12、15、16、23及び24の記載は、「測定ユニットを自動的に起動」するとは、「単に測定ユニットの主電源をONにすることを意味するのか、それとも、測定ユニットが自動的に起動されることに加えて、起動された測定ユニットに検体容器が自動的に供給され、実際に検体の測定業務を開始できる状態(既にスタートアップ動作が完了している状態)にすることをも含む意味であるのか、文言上一義的ではない。」と主張する(特許異議申立書第4頁3~8行)。
しかしながら、「測定ユニットを自動的に起動」するとは、少なくとも測定ユニットが自動的に起動された状態にすることであるから、請求項10、12、15、16、23及び24の記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確ではない。
してみると、本件発明10、12、15、16、23及び24は、明確性要件について、特許法第36条に規定する要件を満たしていないとはいえない。
第7 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立理由によっては、本件請求項10、12、15、16、23及び24に係る特許を取り消すことはできない。
さらに、他に本件請求項10、12、15、16、23及び24に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項1、5、7及び28に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項1、5、7及び28に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700019