特許異議申立
2023-700736
センサ
- 審判番号
- 2023-700736
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-530033
- 登録番号
- 7208696
- 請求日
- 2023年07月14日
- 審決日
- 2024年11月19日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】トライポッド・デザイン株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
- 【異議申立人】日置 綾子
- 審判長/審判官
- 審判長 樋口 宗彦
- 審判官 加々美 一恵
- 審判官 ▲高▼見 重雄
- 分類
- P1652.113-YAA(G01N) / P1652.121-YAA(G01N) / P1652.537-YAA(G01N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第5項、特許法第134条の2第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7208696号発明「センサ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
結論
特許第7208696号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2、5~11〕、13について訂正することを認める。
特許第7208696号の請求項2、13に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯の概要
特許第7208696号の請求項2、13に係る特許についての出願は、令和3年3月17日(優先権主張 令和2年6月12日)を国際出願日として出願され、令和5年1月11日にその特許権の設定登録がされ、令和5年1月19日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯の概要は、次のとおりである。
令和5年 7月 14日 : 特許異議申立人日置綾子(以下、「申立人」という。)による請求項2、13に係る特許に対する特許異議の申立て
令和5年10月30日付け: 取消理由通知書
令和5年12月28日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和6年 4月24日付け: 取消理由通知書(決定の予告)
令和6年 6月26日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和5年12月28日提出の訂正請求書による訂正請求がなされたため、特許法第120条の5第5項の規定に基づき、申立人に対し、令和6年1月23日付けで通知書を通知して、意見書を提出する機会を与えたが、申立人からの応答はなかった。また、令和6年6月26日提出の訂正請求書による訂正請求(以下、「本件訂正」という。)がなされたため、特許法第120条の5第5項の規定に基づき、申立人に対し、令和6年8月14日付けで通知書を通知して、意見書を提出する機会を与えたが、やはり申立人からの応答はなかった。
また、特許法第120条の5第7項の規定により、令和5年12月28日にされた訂正請求は取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正の内容は以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2の「・・・センサであって、」のあとに、「機能部が蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄電部が蓄積し、機能部が、蓄積に要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出する機能を有し、第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電した電力により稼働し、」を加える訂正をする。
請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5~7、及び9~11も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項8に「請求項1~7のいずれかに記載のセンサ」と記載されているのを、「請求項1及び3~7のいずれかに記載のセンサ」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項13に「・・・検知する、」と記載されているのを、「・・・検知し、機能部が蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄電部が蓄積し、機能部が、蓄積に要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出する機能を有し、第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電した電力により稼働する、」に訂正する。
(4)一群の請求項について
なお、訂正前の請求項2、及び5~11について、請求項5~11は、請求項2を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項2、及び5~11に対応する訂正後の請求項2、及び5~11は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、独立特許要件
(1) 訂正事項1
ア 訂正の目的
訂正事項1は、「機能部」について、「機能部が蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄電部が蓄積し、機能部が、蓄積に要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出する機能を有し、」との特定を追加することにより、訂正後の請求項2に係る発明における機能部の構成及び機能を限定するものである。
また、訂正事項1は、「第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電した電力により稼働し」との記載により、訂正後の請求項2に係る発明におけるセンサを稼働する電力を限定するものである。
同様に、訂正後の請求項5~7、9~11は、訂正後の請求項2に記載された、「機能部が蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄電部が蓄積し、機能部が、蓄積に要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出する機能を有し、第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電した電力により稼働し、」との記載を引用することにより、訂正後の請求項5~7、及び9~11に係る発明における機能部の構成及び機能と、センサを稼働する電力を限定するものである。
このため、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、訂正前の請求項2に係る発明における、機能部の構成及び機能と、センサを稼働する電力を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
また、訂正事項1は、訂正前の請求項2の記載以外に、訂正前の請求項5~7、及び9~11の記載について訂正するものではなく、訂正後の請求項5~7、及び9~11に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
このため、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の有無
訂正事項1のうち「機能部が蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄電部が蓄積し、機能部が、蓄積に要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出する機能を有し、」について、明細書の段落【0029】の「機能部3は、蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄積する。制御部は、電荷を蓄積するのに要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出するように制御する。」との記載から、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
また、訂正事項1のうち「第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が媒体と接触することによって発電した電力により稼働し、」について、明細書の段落【0009】「本発明によれば、自立した電源で稼働することができるセンサを、提供することができる」との記載がある。また、明細書の段落【0019】「第一導電部1又は第二導電部2と媒体4の界面で、化学反応が行われ、導電部に自由電子が発生する。」、【0020】「第二導電部2から機能部3へ向かって電子が移動し、機能部3から第一導電部1へ向かって電子が移動する。すなわち、第一導電部1側から機能部3を介して第二導電部2側へ電流が生じる。例えば、第二導電部2では、導電部を構成する金属が媒体4中に陽イオンとして溶出して、自由電子が発生し、第一導電部1では、媒体4の水中の陽イオンが電子と反応し、電気的に中和される。」との記載からして、第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が媒体と接触することによってシステムが発電することは明らかである。また、明細書の段落【0071】~【0074】には、実施例として実際に媒体に各導電部を浸したシステム構築し、生じた電力によりLED電球が点滅したという記載がなされており、システムの第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電した電力によりセンサが稼働していることは明らかである。このため、訂正事項1のうち「第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が媒体と接触することによって発電した電力により稼働」することは願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。また、「第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が媒体と接触することによって発電した電力により稼働し、」の「稼働」は「機能部」の「蓄電部」が蓄電することをいうと理解できることに鑑みると、上記【0029】の「機能部3は、蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄積する。制御部は、電荷を蓄積するのに要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出するように制御する。」の記載から当該事項は明らかであるから、やはり当該事項は願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
このため、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
エ 独立特許要件
本件においては、訂正前の請求項2、及び13について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項2に係る訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
請求項2を引用する訂正後の請求項5~7、及び9~11に係る発明については、訂正事項1は訂正前のそれぞれの請求項について「機能部が蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄電部が蓄積し、機能部が、蓄積に要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出する機能を有し、第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電した電力により稼働し、」という限定を追加するものであって、訂正前のそれぞれの請求項に係る発明を減縮するものであるし、特許異議申立書で証拠として提出された下記甲第1号証~甲第7号証を参酌しても特許出願の際独立して特許を受けることができる発明でないとする理由は見出せない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定に適合する。
甲第1号証 特開平7-128282号公報
甲第2号証 特開2004-191177号公報
甲第3号証 特開2005-134135号公報
甲第4号証 特開2006-53057号公報
甲第5号証 特開2016-114376号公報
甲第6号証 特開2020-134258号公報
甲第7号証 オーム社編「カラー版 電気百科事典」、オーム社、1983年、10~11、248~249頁
オ 小括
よって、訂正事項1は訂正要件を満たす。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の請求項8が請求項2の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1により請求項8の発明特定事項を請求項2に追加することに伴い、請求項2を引用しないようにするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無
訂正事項2は、訂正前の請求項8が引用する請求項2を引用しなくするものであるから、明らかに特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、また、新規事項の追加をするものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
ウ 独立特許要件
訂正事項2は、訂正前の請求項8が引用する請求項2を引用しなくするものであるから、明らかに特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に適合するものである。
エ 小括
よって、訂正事項2は訂正要件を満たす。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的
訂正事項3は、「機能部」について、「機能部が蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄電部が蓄積し、機能部が、蓄積に要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出する機能を有し、」との特定を追加することにより、訂正後の請求項13に係る発明における機能部の構成及び機能を限定するものである。
また、本件訂正は、「第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電した電力により稼働」との記載により、訂正後の請求項13に係る発明における装置を稼働する電力を限定するものである。
このため、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、訂正前の請求項13に係る発明における、機能部の構成及び機能と、装置を稼働する電力を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
このため、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 新規事項の有無
訂正事項3のうち「機能部が蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄電部が蓄積し、機能部が、蓄積に要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出する機能を有し、」について、明細書の段落【0029】の「機能部3は、蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄積する。制御部は、電荷を蓄積するのに要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出するように制御する。」との記載から、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
また、訂正事項3のうち「第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が媒体と接触することによって発電した電力により稼働し、」について、明細書の段落【0009】「本発明によれば、自立した電源で稼働することができるセンサを、提供することができる」との記載がある。また、明細書の段落【0019】「第一導電部1又は第二導電部2と媒体4の界面で、化学反応が行われ、導電部に自由電子が発生する。」、【0020】「第二導電部2から機能部3へ向かって電子が移動し、機能部3から第一導電部1へ向かって電子が移動する。すなわち、第一導電部1側から機能部3を介して第二導電部2側へ電流が生じる。例えば、第二導電部2では、導電部を構成する金属が媒体4中に陽イオンとして溶出して、自由電子が発生し、第一導電部1では、媒体4の水中の陽イオンが電子と反応し、電気的に中和される。」との記載からして、第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が媒体と接触することによってシステムが発電することは明らかである。また、明細書の段落【0071】~【0074】には、実施例として実際にシステム構築し、生じた電力によりLED電球が点滅したという記載がなされており、システムの第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電した電力によりセンサが稼働していることは明らかである。このため、訂正事項3のうち「第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が媒体と接触することによって発電した電力により稼働」することは願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。また、「第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が媒体と接触することによって発電した電力により稼働し、」の「稼働」は「機能部」の「蓄電部」が蓄電することをいうと理解できることに鑑みると、上記【0029】の「機能部3は、蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄積する。制御部は、電荷を蓄積するのに要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出するように制御する。」の記載から当該事項は明らかであるから、やはり当該事項は願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
このため、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
エ 独立特許要件
本件においては、訂正前の請求項2、及び13について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項13に係る訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
オ 小括
よって、訂正事項3は訂正要件を満たす。
(4)訂正の適否の小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2、5~11〕、13について訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
本件訂正は上記第2のとおり認められたので、本件訂正後の請求項2、5~11、13に係る発明(以下、請求項の番号に従い「本件訂正発明2」等という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項2、5~11、13に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
【請求項 2】
第一導電部及び第二導電部と、
媒体と、
機能部と
を備え、
第一導電部及び機能部は接続されており、
第二導電部及び機能部は接続されており、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触し、
第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、
第一導電部及び第二導電部が異なる素材からなり、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電する、システムを備えるセンサであって、
機能部が蓄電部を有し、
第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄電部が蓄積し、
機能部が、蓄積に要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出する機能を有し、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電した電力により稼働し、
システム内の所定の電圧が、所定の条件を満たすことを検知する、センサ。
【請求項 5】
機能部が、昇圧回路又は降圧回路を備える、請求項1~4のいずれかに記載のセンサ。
【請求項 6】
機能部が、昇圧回路又は降圧回路を備え、
システム内の所定の電圧が、昇圧回路又は降圧回路の入力電圧又は出力電圧である、請求項2又は4に記載のセンサ。
【請求項 7】
機能部が、出力インピーダンスを変換する変換機能を有する、請求項1~6のいずれかに記載のセンサ。
【請求項 8】
機能部が蓄電部を有し、
第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄電部が蓄積し、
蓄積に要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出する機能を有する、請求項1及び3~7のいずれかに記載のセンサ。
【請求項 9】
機能部が出力電圧変換部を有する、請求項1~8のいずれかに記載のセンサ。
【請求項 10】
機能部の入力インピーダンスが非線形な電流-電圧特性を有する、請求項1~9のいずれかに記載のセンサ。
【請求項 11】
媒体が水分を含有する土を含むものである、請求項1~10のいずれかに記載のセンサ。
【請求項 13】
第一導電部及び第二導電部と、
機能部と
を備え、
第一導電部及び機能部は接続されており、
第二導電部及び機能部は接続されており、
第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、
第一導電部及び第二導電部が異なる素材からなり、
第一導電部及び第二導電部に媒体を接触させることで構成され、発電するシステム内の所定の電圧が、所定の条件を満たすことを検知し、
機能部が蓄電部を有し、
第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄電部が蓄積し、
機能部が、蓄積に要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出する機能を有し、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電した電力により稼働する、装置。
第4 取消理由の概要
令和6年4月24日付けの取消理由通知(決定の予告)の概要は、以下のとおりである。
1.(新規性)請求項2、13に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項2、13に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
2.(進歩性)請求項2、13に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2、13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
引用文献等一覧
甲第4号証 特開2006-53057号公報
第5 当審の判断
1 甲第4号証の記載
特開2006-53057号公報(甲第4号証。以下「甲4」という。)には、以下の記載がある。(下線は、合議体が付した。)
【請求項1】
開口を有する筐体と、
この筐体内に配設された少なくとも1対の電極と、
少なくともこれらの電極間に配設された電解質およびセパレータ膜と、
前記電極に接続された電子回路と
を有し、
前記1対の電極は、それぞれイオン化傾向の異なる金属材料、合金材料および金属酸化物の何れかから成り、前記開口から前記筐体内に水分が侵入すると、前記電解質の水溶液との化学変化によって電池のアノードおよびカソードとして作用し、
前記電子回路は、前記電極間に生じた電位差によって起動して漏水が発生したことを報知する
ことを特徴とする漏水センサー。
(中略)
【請求項3】
開口を有する筐体と、
この筐体内に配設された金属電極および大気中の酸素を電気化学的に還元する触媒が添加されたカーボン電極と、
少なくとも前記金属電極と前記カーボン電極との間に配設された電解質およびセパレータ膜と、
前記金属電極および前記カーボン電極に接続された電子回路と
を有し、
前記金属電極および前記カーボン電極は、前記開口から前記筐体内に水分が侵入すると、前記電解質の水溶液との化学変化によって電池のアノードおよびカソードとして作用し、
前記電子回路は、前記金属電極と前記カーボン電極の間に生じた電位差によって起動して漏水が発生したことを報知する
ことを特徴とする漏水センサー。
(中略)
【0005】
上述したような課題を解決するために、本発明にかかる漏水センサーは、開口を有する筐体と、この筐体内に配設された少なくとも1対の電極と、少なくともこれらの電極間に配設された電解質およびショートを防ぐためのセパレータ膜と、電極に接続された電子回路とを有し、1対の電極は、それぞれイオン化傾向の異なる金属材料、合金材料および金属酸化物の何れかから成り、開口から筐体内に水分が侵入すると、電解質の水溶液との化学変化によって電池のアノードおよびカソードとして作用し、電子回路は、電極間に生じた電位差によって起動して漏水が発生したことを報知することを特徴とする。筐体内部に水分が供給されると、電解質が溶解し電解液が生成され、この電解液と2つの電極により化学変化が生じ、2つの電極間に電位差が発生する。
(中略)
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、漏水が発生して筐体内部に水分が侵入すると、筐体内部で化学変化が発生して電極間に生じる電位差により電子回路が起動する。このように本発明では、外部からの電力供給なしで漏水が発生したことを報知することができる。これにより、電気配線や電池が不要なので、低コストを実現することができる。また、面倒な電気配線や電池交換が不要なので、使い勝手がよい。
(中略)
【0015】
正極11は、二酸化マンガンを含む材料から構成され、筐体10の上面の内側に配設される。
ここで、正極11の材料は、漏水により生じた水分が筐体内部に流入したときに電池反応の速度を増加させるために微粒子状であるのが好ましい。
二酸化マンガンは、導電率が低く内部抵抗が大きくなる可能性がある。このため、導電助剤として正極の重量当たり30~40%のカーボン粉末と、バインダーとして正極の重量当たり10~20%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリ塩化ビニデン(PVDF)を二酸化マンガン粉末と混合し、ロールプレスなどよって膜状に成型したコンポジット電極を正極11として用いるようにしてもよい。
【0016】
負極12は、亜鉛を含む材料から構成され、筐体10の底面の内側に配設される。
このような負極12は、シート状の亜鉛箔を筐体10の底面の内側に配設することにより構成するようにしてもよい。また、正極12の場合と同様、カーボン粉末およびバインダーを亜鉛粉末に混合したコンポジット電極を用いるようにしてもよい。
このように、正極11を筐体10の上面に配設し、負極12を筐体10の底面に配設することにより、正極11と負極12とが筐体10内部で対向するように配設される。
(中略)
【0020】
電界質15の量は、漏水により筐体内部が水分で満たされたとき、電解液の濃度が3mol/l以上になるように設定するのが望ましい。また、筐体10の構造から大量に電解質15を添加できる場合は、電解液濃度が8mol/l程度になるのが好適である。・・・
【0021】
電子回路16は、ブザーやスピーカ等の音響装置、LED(Light Emitting Diode)等の発光装置、無線信号を発信する通信装置等から構成される。この電子回路16は、正極11に接続された導線17と負極12に接続された導線18に接続されており、これらの導線17,18を介して漏水により発生した電力が供給され、この電力により動作する。・・・
(中略)
【0026】
このような漏水センサー1に水分が供給されると、漏水センサー1の表面に配設された吸収体20を構成するポリマーの内部に水分が吸収される。この水分は、毛細管現象で吸収体20内部を浸透して導水路21に到達し、この導水路21から筐体10内部に供給される。筐体10内部に供給された水分は、電解質15を溶解して電解液を生成する。すると、以下の化学式にしたがって、正極11と負極12との間に電位差が発生する。
【0027】
正極:2MnO2+2H2O+2e-→2MnOOH+2OH-
負極:Zn+4OH-→Zn(OH)42-+2e-
全反応:Zn+2MnO2+2H2O+2OH-→Zn(OH)42-+2MnOOH
【0028】
この反応により、漏水センサー1のサイズにも依存するが、1V程度の電圧、1~10mA程度の電流、すなわち1~10mW程度の電力が得られ、この電力によって電子回路16が起動し、漏水を警告する信号、アラームなどの警報、LEDなどの警告灯の点灯が可能となる。
(中略)
【0056】
このような漏水センサー2に水分が供給されると、漏水センサー2の表面に配設された吸収体40を構成するポリマーの内部に水分が吸収される。この水分は、毛細管現象で吸収体40内部を浸透して導水路41に到達し、この導水路41から筐体30内部に供給される。筐体30内部に供給された水分は、電解質35を溶解して電解液を生成する。すると、以下の化学式にしたがって、正極31と負極32との間に電位差が発生する。
なお、以下の化学式は、負極32に亜鉛を用いた場合の反応を示している。
【0057】
正極:O2+2H2O+4e-→4OH-
負極:2Zn+8OH-→2Zn(OH)42-+4e-
全反応:2Zn+O2+2H2O+4OH-→2Zn(OH)42-
【0058】
この反応により、漏水センサー1のサイズにも依存するが、1V程度の電圧、1~10mA程度の電流、すなわち1~10mW程度の電力が得られ、この電力によって電子回路36が起動し、漏水を警告する信号、アラームなどの警報、LEDなどの警告灯の点灯が可能となる。
また、図1~2は以下のとおりである。
[図:0001419316000001.jpg]
[図:0001419316000002.jpg]
2 引用発明
上記1より、甲4には以下の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。なお、参考のため、認定の根拠となった主な箇所を括弧内に示す。
(甲4発明)
開口を有する筐体と、
この筐体内に配設された少なくとも1対の電極と、
少なくともこれらの電極間に配設された電解質およびセパレータ膜と、
前記電極に接続された電子回路と
を有し、
前記1対の電極は、それぞれイオン化傾向の異なる金属材料、合金材料および金属酸化物の何れかから成る正極11と負極12であり、前記開口から前記筐体内に水分が侵入すると、前記電解質の水溶液との化学変化によって電池のアノードおよびカソードとして作用し、
前記電子回路は、前記電極間に生じた電位差によって起動して漏水が発生したことを報知する
ことを特徴とする漏水センサーであって、(請求項1、【0021】、図1)
電子回路16は、ブザーやスピーカ等の音響装置、LED(Light Emitting Diode)等の発光装置、無線信号を発信する通信装置等から構成され、この電子回路16は、正極11に接続された導線17と負極12に接続された導線18に接続されており、これらの導線17,18を介して漏水により発生した電力が供給され、この電力により動作し、(【0021】)
漏水センサー1に水分が供給されると、漏水センサー1の表面に配設された吸収体20を構成するポリマーの内部に水分が吸収され、この水分は、毛細管現象で吸収体20内部を浸透して導水路21に到達し、この導水路21から筐体10内部に供給され、筐体10内部に供給された水分は、電解質15を溶解して電解液を生成し、正極11と負極12との間に電位差が発生する、(【0026】)
漏水センサー。
3 請求項2についての対比、判断
(1)対比
本件訂正発明2と甲4発明とを対比する。
甲4発明の「正極11」「負極12」は、それぞれ本件訂正発明2の「第1導電部」「第2導電部」に相当する。
甲4発明の「電解質を溶解」して生成された「電解液」は、本件訂正発明2の「媒体」に相当する。
本件訂正発明2の「機能部」は本件明細書【0024】において「機能部3は、例えば、通電することで所定の機能を実行するものをいう。機能部3は、電力を消費して所定の機能を発揮する電力消費部、導電部にて発生した電気を蓄電する蓄電部、昇圧回路や降圧回路のように出力する電圧を変換する出力電圧変換部等、回路を制御するマイコン等の制御部、他の装置と無線による通信が可能な通信部等を含むことができる。」と定義づけられている。これに対し、甲4発明の「電子回路」は、「ブザーやスピーカ等の音響装置、LED(Light Emitting Diode)等の発光装置、無線信号を発信する通信装置等から構成され」「電極間に生じた電位差によって起動して漏水が発生したことを報知する」ものであり、前記定義中、少なくとも「通電することで所定の機能を実行するもの」であること、および「電力を消費して所定の機能を発揮する電力消費部」であることに相当する要素であるといえるから、本件訂正発明2の「機能部」に相当する。
甲4発明の「電子回路16は、正極11に接続された導線17と負極12に接続された導線18に接続されて」いる構成は、本件訂正発明2の「第一導電部及び機能部は接続されており、第二導電部及び機能部は接続されて」いる構成に相当する。
甲4発明の「漏水センサー1に水分が供給されると、漏水センサー1の表面に配設された吸収体20を構成するポリマーの内部に水分が吸収され、この水分は、毛細管現象で吸収体20内部を浸透して導水路21に到達し、この導水路21から筐体10内部に供給され、筐体10内部に供給された水分は、電解質15を溶解して電解液を生成し、正極11と負極12との間に電位差が発生」し、「漏水により発生した電力が供給されこの電力により動作」する構成は、正極負極と電解液がそれぞれ接触して両極のイオン化傾向の違いから起電力が生じるという電池の作用機序に鑑みるに、電解質を溶解して生成した電解液が正極負極に接触していることは明らかであるから、本件訂正発明2の「第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触」する構成、および「第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電する、システムを備えるセンサ」である構成に相当する。
甲4発明の「電極間に配設されたセパレータ膜」を有することは、本件訂正発明2の「第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触」であることに相当する。
甲4発明の「1対の電極は、それぞれイオン化傾向の異なる金属材料、合金材料および金属酸化物の何れかから成る正極11と負極12」であることは、本件訂正発明2の「第一導電部及び第二導電部が異なる素材からな」ることに相当する。
甲4発明の「漏水センサー」は、本件訂正発明2の「センサ」に相当する。
とすると、本件訂正発明2と甲4発明とは、以下の点で一致し、また一応相違する。
(一致点)
第一導電部及び第二導電部と、
媒体と、
機能部と
を備え、
第一導電部及び機能部は接続されており、
第二導電部及び機能部は接続されており、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触し、
第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、
第一導電部及び第二導電部が異なる素材からなり、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電する、システムを備えるセンサ。
(相違点1)
本件訂正発明2のセンサが「システム内の所定の電圧が、所定の条件を満たすことを検知する」ものであるのに対し、甲4発明ではそうであるか不明な点。
(相違点2)
本件訂正発明2のセンサが「機能部が蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄電部が蓄積し、機能部が、蓄積に要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出する機能を有」するものであるのに対し、甲4発明ではそうであるか不明な点。
(相違点3)
本件訂正発明2のセンサが「第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電した電力により稼働」するのに対し、甲4発明ではそうであるか不明な点。
(2) 判断
ア 相違点1について
甲4発明の電子回路(本件訂正発明2の「機能部」に相当)は、「ブザーやスピーカ等の音響装置、LED(Light Emitting Diode)等の発光装置、無線信号を発信する通信装置等から構成され、この電子回路16は、正極11に接続された導線17と負極12に接続された導線18に接続されており、これらの導線17、18を介して漏水により発生した電力が供給され、この電力により動作」するものであって、LED発光装置を一態様として含むものである。ここで、LED発光装置は、電圧が低いと電流が流れても発光せず、ある電圧を超えた時点で電圧上昇に対する電流の増え方が急になり、電流の量に応じて発光するようになることは技術常識であるから、甲4発明の「電極間に生じた電位差によって起動して漏水が発生したことを報知する」構成が電極間の電圧が所定の値を超えた時点でLED発光をするものであることは、当業者に明らかである。とすると、甲4発明は、「両電極間の電圧」がLED発光装置を発光させる値を超えるという「所定の条件」を満たすことを検知しているといえるから、本件訂正発明2の「システム内の所定の電圧が、所定の条件を満たすことを検知する」構成を備えているといえる。
また、他の電子回路の形態である音響装置や通信装置においても、音響を発生させる際や通信を発生させる際に、両極間の電圧は一定の値を超えてはじめて音響発生や通信発生が可能となることは技術常識であるから、甲4発明はこれらの形態においても同様に、本件訂正発明2の「システム内の所定の電圧が、所定の条件を満たすことを検知する」構成を備えているといえる。
したがって、上記相違点は実質的ではない。
イ 相違点2について
相違点2に係る構成は、甲4に記載も示唆もされていない。また、上記第2の2(1)エで記載した、甲第1号証(【0035】~【0039】、【0043】、【0044】、【0046】~【0048】図1、図2、図4等参照)、甲第2号証(【0008】、【0016】、【0018】、【0022】、【0027】、図2等参照)、甲第3号証(【0019】~【0021】、【0023】、図2~4等参照)、甲第5号証(【0017】、【0021】~【0022】、【0027】、【0038】~【0042】、図1、図2等参照)、甲第6号証(【0020】、【0025】、【0026】、【0030】、図1等参照)を検討しても、当該相違点に係る構成は記載も示唆もされていない。さらに、当該相違点に係る構成が当業者にとって周知であるといった事情も見いだせない。
このため、引用発明において、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものではない。
ウ 相違点3について
甲4発明の漏水センサは、「1対の電極は、それぞれイオン化傾向の異なる金属材料、合金材料および金属酸化物の何れかから成る正極11と負極12であり、前記開口から前記筐体内に水分が侵入すると、前記電解質の水溶液との化学変化によって電池のアノードおよびカソードとして作用」するものであって、「漏水センサー1に水分が供給されると、漏水センサー1の表面に配設された吸収体20を構成するポリマーの内部に水分が吸収され、この水分は、毛細管現象で吸収体20内部を浸透して導水路21に到達し、この導水路21から筐体10内部に供給され、筐体10内部に供給された水分は、電解質15を溶解して電解液を生成し、正極11と負極12との間に電位差が発生する」ものである。とすると、甲4発明の漏水センサにおいて、「第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触すること」により「電力」が「発電」しているといえる。そして、甲4発明の漏水センサでは「電子回路16は、正極11に接続された導線17と負極12に接続された導線18に接続されており、これらの導線17、18を介して漏水により発生した電力が供給され、この電力により動作」するものであるから、「第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電した電力により稼働」しているといえる。
したがって、上記相違点は実質的ではない。
エ 小括
上記ア~ウのとおりであるから、本件訂正発明2は甲4発明でないし、甲4発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
4 請求項13についての対比、判断
(1)対比
甲4発明の「漏水センサー1に水分が供給されると、漏水センサー1の表面に配設された吸収体20を構成するポリマーの内部に水分が吸収され、この水分は、毛細管現象で吸収体20内部を浸透して導水路21に到達し、この導水路21から筐体10内部に供給され、筐体10内部に供給された水分は、電解質15を溶解して電解液を生成し、正極11と負極12との間に電位差が発生」し、「漏水により発生した電力が供給され、この電力により動作」する構成は、本件訂正発明13の「第一導電部及び第二導電部に媒体を接触させることで構成され」る「発電するシステム」に相当する。
そして、上記3(1)を鑑みるに、本件訂正発明13と甲4発明との一致点、相違点は以下のとおりである。
(一致点)
第一導電部及び第二導電部と、
機能部と
を備え、
第一導電部及び機能部は接続されており、
第二導電部及び機能部は接続されており、
第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、
第一導電部及び第二導電部が異なる素材からなり、
第一導電部及び第二導電部に媒体を接触させることで構成され、
発電するシステムを有する、装置。
(相違点1)
本件訂正発明13の装置が、「発電するシステム内の所定の電圧が、所定の条件を満たすことを検知する」ものであるのに対し、甲4発明ではそうであるか不明な点。
(相違点2)
本件訂正発明13の装置の機能部が「蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄電部が蓄積し、機能部が、蓄積に要した時間よりも短い時間で、蓄積した電荷を放出する機能を有」するのに対し、甲4発明ではそうではない点。
(相違点3)
本件訂正発明13の装置が「第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電した電力により稼働」するのに対し、甲4発明ではそうであるか不明な点。
(2)判断
上記3(2)と同様の理由により、相違点2は実質的であるし、相違点2に係る構成は、当業者が容易になし得たものではない。このため、本件訂正発明13は甲4発明でないし、甲4発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
第6 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
1 甲第1~3、5号証に基づく新規性欠如、進歩性欠如
(1)甲1~3、5発明
甲第1号証(【0035】~【0039】、【0043】、【0044】、【0046】~【0048】図1、図2、図4等参照)、甲第2号証(【0008】、【0016】、【0018】、【0022】、【0027】、図2等参照)、甲第3号証(【0019】~【0021】、【0023】、図2~4等参照)、甲第5号証(【0017】、【0021】~【0022】、【0027】、【0038】~【0042】、図1、図2等参照)には、それぞれ以下の発明(以下、「甲1~3、5発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲1~3、5発明)
第一導電部及び第二導電部と、
媒体と、
機能部と
を備え、
第一導電部及び機能部は接続されており、
第二導電部及び機能部は接続されており、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触し、
第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、
第一導電部及び第二導電部が異なる素材からなり、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電する、システムを備えるセンサ。
(2)合議体の判断
本件訂正発明2と甲1~3、5発明を対比すると、少なくとも上記第5の3(1)で述べた相違点2の点で、両者は相違する。
そして、当該点は、甲第1~3、5号証のいずれにも記載されていないし、示唆もされていない。また、甲4にも記載も示唆もされていないのは上記第5の3(2)で述べたとおりである。
このため、本件訂正発明2は甲1~3、5発明でないし、甲1~3、5発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
同様に、本件訂正発明13と甲1~3、5発明を対比すると、少なくとも上記第5の4(1)で述べた相違点2の点で、両者は相違する。
そして、当該点は、甲第1~3、5号証のいずれにも記載されていないし、示唆もされていない。また、甲4にも記載も示唆もされていないのは上記第5の4(2)で述べたとおりである。
このため、本件訂正発明13は甲1~3、5発明でないし、甲1~3、5発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
2 甲第6号証に基づく特許法第29条の2違反
(1)甲6発明
甲第6号証(【0020】、【0025】、【0026】、【0030】、図1等参照)には、以下の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲6発明)
第一導電部及び第二導電部と、
媒体と、
機能部と
を備え、
第一導電部及び機能部は接続されており、
第二導電部及び機能部は接続されており、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触し、
第一導電部及び第二導電部は、互いに非接触であり、
第一導電部及び第二導電部が異なる素材からなり、
第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電する、システムを備えるセンサ。
(2)合議体の判断
本件訂正発明2と甲6発明を対比すると、少なくとも上記第5の3(1)で述べた相違点2の点で、両者は相違する。そして、当該相違点2は、実質的である。
このため、本件訂正発明2は甲6発明と同一ではない。
同様に、本件訂正発明13と甲6発明を対比すると、少なくとも上記第5の4(1)で述べた相違点2の点で、両者は相違する。そして、当該相違点2は、実質的である。
このため、本件訂正発明13は甲6発明と同一ではない。
3 特許法第36条第6項第1号違反
(1)特許異議申立書で、申立人は以下の旨、主張をしている。
本件発明2,13の課題は「自立した電源で稼働するセンサを提供する」ことである。「自立した電源で稼働する」とは、第1導電部および第2導電部と媒体とが接触することにより生じた電力により、機能部を稼働する全ての電力を賄うことを意味する。
しかし、本件発明2、13は、機能部を稼働する電力の由来については何ら特定していない。このため、機能部を稼働させる電力の一部または全部が第一導電部および第二導電部による発電に由来しない態様も含まれている。
したがって、本件発明2、13の範囲には、本件発明の課題を解決しない態様が含まれており、また、本件明細書に記載されていない態様が含まれている。
(2)合議体の判断
本件訂正発明2、13はいずれも「機能部が蓄電部を有し、第一導電部及び/又は第二導電部から供給される電荷を蓄電部が蓄積」するものであり、「第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電した電力により稼働」する際の電力は、蓄電部に蓄電された電力を当然に含むものである。とすると、機能部を稼働する電力は、第一導電部及び第二導電部の少なくとも一部が該媒体と接触することによって発電した電力により全て賄えることとなり、本件訂正発明2、13は、その解決しようとする課題を解決できないとはいえない。
よって、本件訂正発明2、13は、発明の詳細な説明に記載されたものではない、とはいえない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項2、13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項2、13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-700736