特許異議申立
2024-700527
バッテリパック
- 審判番号
- 2024-700527
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-024243
- 登録番号
- 7391060
- 請求日
- 2024年06月04日
- 審決日
- 2024年09月03日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人深見特許事務所
- 【異議申立人】田中 俊子
- 審判長/審判官
- 審判長 千葉 輝久
- 審判官 馬場 慎
- 審判官 丸山 高政
- 分類
- P1651.113-Y (H01M) / P1651.121-Y (H01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第113条第2号、特許法第29条第1号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7391060号発明「バッテリパック」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7391060号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7391060号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和3年2月18日に出願され、令和5年11月24日にその特許権の設定登録がされ、同年12月4日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和6年6月4日に特許異議申立人 田中 俊子(以下「申立人」という。)は特許異議の申立てを行った。
前記特許異議の申立てのために申立人により提出された特許異議申立書を、以下では単に「申立書」という。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明6」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
モジュールを含み、
前記モジュールは、1個以上のセルペアを含み、
前記セルペアは第1セルと第2セルとを含み、
前記第2セルは前記第1セルと隣接しており、
前記第2セルは、前記第1セルと電気的に接続されており、
前記第1セルは外装体と電極体と電極端子とを含み、
前記外装体はラミネートフィルムを含み、
前記ラミネートフィルムは樹脂層と金属層とを含み、
前記樹脂層は前記金属層を被覆しており、
前記樹脂層は第1熱可塑性樹脂を含み、
前記外装体は前記電極体を格納しており、
前記外装体の周縁に封止部が形成されており、
前記電極端子は前記電極体と接続されており、
前記電極端子は、前記封止部を貫通して前記外装体の内部から外部に導出されており、
前記電極端子は平板状であり、
前記電極端子は第1主面と第2主面とを含み、
前記第1主面は、前記第2セルの方向を向いており、
前記第2主面は、前記第1主面の反対面であり、
前記封止部は、第1領域と第2領域と第3領域とを含み、
前記第1領域は、前記第1主面と前記樹脂層との間に形成されており、
前記第2領域は、前記第2主面と前記樹脂層との間に形成されており、
前記第3領域は、前記樹脂層同士の間に形成されており、
前記第2領域は易開裂部を含み、
前記易開裂部は、前記第1セルの温度および内圧の少なくとも一方が上昇した時、前記第1領域および前記第3領域に比して、開裂しやすいように構成されており、
前記第1セルの前記電極端子は、前記第2セルの電極端子に接続されており、
前記モジュールが第3セルをさらに含み、かつ前記第3セルが、前記第1セルと隣接して、前記第2セルの反対側に配置される場合、前記第2セルの前記電極端子と接続されている前記第1セルの前記電極端子は、前記第3セルの電極端子とは接続されていない、
バッテリパック。
【請求項2】
前記第1主面は粗面部を含む、
請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項3】
前記易開裂部は第2熱可塑性樹脂を含み、
前記第2熱可塑性樹脂は、前記第1熱可塑性樹脂に比して低い融点を有する、
請求項1または請求項2に記載のバッテリパック。
【請求項4】
容器をさらに含み、
前記容器は、前記モジュールを格納しており、
前記容器の内部に排気ダクトが形成されており、
前記排気ダクトの内部に、前記易開裂部が配置されている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のバッテリパック。
【請求項5】
前記モジュールは、2個以上の前記セルペアを含み、
2個以上の前記セルペアの各々において、前記易開裂部が前記排気ダクトの内部に配置されている、
請求項4に記載のバッテリパック。
【請求項6】
バスバーをさらに含み、
前記バスバーが、前記第1セルの前記電極端子と、前記第2セルの前記電極端子とを接続している、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のバッテリパック。」
なお、本件発明1について、後の参照の便宜のために、以下のとおり分説し、「発明特定事項A」のようにして参照する。
【請求項1】
A モジュールを含み、
B 前記モジュールは、1個以上のセルペアを含み、
C 前記セルペアは第1セルと第2セルとを含み、
D 前記第2セルは前記第1セルと隣接しており、
E 前記第2セルは、前記第1セルと電気的に接続されており、
F 前記第1セルは外装体と電極体と電極端子とを含み、
G 前記外装体はラミネートフィルムを含み、
H 前記ラミネートフィルムは樹脂層と金属層とを含み、
I 前記樹脂層は前記金属層を被覆しており、
J 前記樹脂層は第1熱可塑性樹脂を含み、
K 前記外装体は前記電極体を格納しており、
L 前記外装体の周縁に封止部が形成されており、
M 前記電極端子は前記電極体と接続されており、
N 前記電極端子は、前記封止部を貫通して前記外装体の内部から外部に導出されており、
O 前記電極端子は平板状であり、
P 前記電極端子は第1主面と第2主面とを含み、
Q 前記第1主面は、前記第2セルの方向を向いており、
R 前記第2主面は、前記第1主面の反対面であり、
S 前記封止部は、第1領域と第2領域と第3領域とを含み、
T 前記第1領域は、前記第1主面と前記樹脂層との間に形成されており、
U 前記第2領域は、前記第2主面と前記樹脂層との間に形成されており、
V 前記第3領域は、前記樹脂層同士の間に形成されており、
W 前記第2領域は易開裂部を含み、
X 前記易開裂部は、前記第1セルの温度および内圧の少なくとも一方が上昇した時、前記第1領域および前記第3領域に比して、開裂しやすいように構成されており、
Y 前記第1セルの前記電極端子は、前記第2セルの電極端子に接続されており、
Z 前記モジュールが第3セルをさらに含み、かつ前記第3セルが、前記第1セルと隣接して、前記第2セルの反対側に配置される場合、前記第2セルの前記電極端子と接続されている前記第1セルの前記電極端子は、前記第3セルの電極端子とは接続されていない、
AA バッテリパック。
第3 申立ての理由の概要
申立書に記載された申立理由及び証拠方法は、次のとおりである。
1 申立理由
理由1 本件発明1及び6は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1号第3号に該当するから、請求項1及び6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。(特許法第113条第2号)
理由2 本件発明1~6は、甲第1号証~甲第5号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(特許法第113条第2号)
2 証拠方法
甲第1号証 特表2020-509549号公報
甲第2号証 特許第4920812号公報
甲第3号証 特開2001-283800号公報
甲第4号証 特開2013-51121号公報
甲第5号証 特表2021-504896号公報
以下、申立人が提出した「甲第1号証」~「甲第5号証」を、それぞれ「甲1」~「甲5」という。
第4 理由1及び2についての判断
理由1(新規性)及び理由2(進歩性)の有無を判断するために、まず、以下の1において甲1発明の認定を行う。次いで、以下の2において本件発明1と甲1発明との対比を行い、以下の3において本件発明1と甲1発明との相違点について判断し、以下の4に小括する。
1 甲1発明の認定
(1)甲1の記載
甲1には、次の事項が記載されている。なお、下線は、甲1発明の認定に使用する箇所を示すことを目的に、当審で付した。
「【0037】
図2を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールは、一対のバッテリーセル10を含むセル積層体と、一対のバッテリーセル10を電気的に接続するコネクター20と、セル積層体の少なくとも一側に配置される支持フレーム30と、を含むように具現される。
【0038】
上記セル積層体は、相互対面して積層される第1バッテリーセル10及び第2バッテリーセル10を含んで構成される。上記セル積層体をなす各々のバッテリーセル10は、実質的に同じバッテリーセルであり得る。
【0039】
図3を参照すれば、上記一対のバッテリーセル10は、例えば、パウチタイプのバッテリーセルであり得る。上記バッテリーセル10は、電極組立体11、パウチケース12、電極リード15及びシーラント16を含むように具現され得る。
【0040】
具体的に図示してはいないが、上記電極組立体は、正極板、セパレーター及び負極板が少なくとも1回以上順次積層された形態を有し、絶縁性の確保のために最外郭にはセパレーターが位置することが望ましい。このような電極組立体11は、実施形態によって、巻取型、積層型または積層/折畳み型などの多様な構造を有し得る。
【0041】
上記正極板は、導電性プレートからなる正極集電板の少なくとも一面上に正極活物質がコーティングされた形態を有し、同様に、上記負極板は、導電性プレートからなる負極集電板の少なくとも一面上に負極活物質がコーティングされた形態を有する。
【0042】
上記正極板及び負極板は、正極活物質及び負極活物質がコーティングされていない非コーティング部を有し、このような非コーティング部は、電極リード15と結合する電極タブ11aとして機能する。
【0043】
上記セパレーターは、正極板と負極板との間に位置し、正極板と負極板とを電気的に絶縁し、正極板と負極板との間でリチウムイオンなどが移動できるよう多孔性膜の形態を有し得る。このようなセパレーターは、例えば、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)またはこれらの複合フィルムを用いた多孔性膜からなり得る。
【0044】
上記パウチケース12は、金属層及びこれを囲む樹脂層を含む多層構造のフィルム形態を有する外装材からなるパウチケースであり得、このようなパウチケース12は、上部ケース及び下部ケースから構成され得る。
【0045】
このように上記パウチケース12が、上部ケース及び下部ケースから構成される場合、下部ケースは、電極組立体を収容するために膨らんで突出した収容部13を備える。また、上記上部ケースは、膨らんで突出した収容部13を備えてもよく、このような収容部13が形成されていない扁平な形状を有しても良い。
【0046】
即ち、上記バッテリーセル10は、両面が突出した形態の両面突出型バッテリーセルであってもよく、これとは異なり、一面のみが突出した形態の一面突出型バッテリーセルであってもよい。本発明の図面においては、図示の便宜上、バッテリーセル10が両面突出型バッテリーセルである場合のみを示しているが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0047】
一方、上記バッテリーセルが両面突出型バッテリーセルである場合において、上部ケース及び下部ケースの各々は、収容部13の外周領域となる封止部14を備え得る。また、上記バッテリーセル10が一面突出型バッテリーセルである場合において、下部ケースは、収容部13の外周領域となる封止部14を備え、上部ケースは、下部ケースの封止部14と当接する領域に形成される封止部14を備え得る。
【0048】
上記パウチケース12は、収容部13内に電極組立体を収容し、上部ケース及び下部ケース各々の封止部14が当接して熱溶着することで封止される。このように、上部ケース及び下部ケースの封止部14は、相互当接した状態で熱溶着によって接合されるように、熱溶着性を有する樹脂材質からなり得る。
【0049】
上記電極リード15は、電極組立体の電極タブ11aに接続し、パウチケース12の外部へ引き出されることで電極組立体と外部部品とを電気的に接続する媒介体の役割を果たす構成要素であって、正極板に接続する正極リード及び負極板に接続する負極リードを含む。より具体的に、上記正極リードは、正極板に備えられた正極非コーティング部に接続し、負極リードは、負極板に備えられた負極非コーティング部に接続する。
【0050】
一つのバッテリーセル10に備えられた正極リード及び負極リードは、相互同じ方向または相互反対方向へ引き出され得、本発明の図面では正極リード及び負極リードが相互反対方向へ引き出された形態のバッテリーセル10のみが図示されている。
【0051】
一方、本発明の説明に際し、上記封止部14のうち電極リード15が引き出される方向に位置する封止部14を、テラス部(Terrace portion)と称する。
【0052】
上記シーラント16は、パウチケース12の外部へ引き出される電極リード15と封止部14の内側面との間で封止力の低下が発生することを防止するために、封止部14の内側面と電極リード15との間に介される。
【0053】
上記バッテリーセル10は、上述したように、上部ケースと下部ケースとを熱溶着して封止しているため、内部にガスが発生して内圧が一定水準以上に上昇した場合、封止部14の熱溶着部位が破裂してベンティングが行われる。
【0054】
上記バッテリーセル10は、特に、電極リード15が引き出される方向に位置する封止部14と電極組立体11との間に形成される内部ガス捕集空間Sにガスが集まるようになり、これによって内圧が一定水準以上となる場合、電極リード15が引き出される方向に位置する封止部14からベンティングが行われるようになる(即ち、図3の矢印方向へベンティングが行われるようになる)。
【0055】
本発明の一実施例によるバッテリーモジュールは、このようなベンティング方向を考慮して、後述するように、セル積層体の少なくとも一側に支持フレーム30を配置し、ベンティングガスの噴射圧力を用いてバッテリーセル10の間の電気的接続を遮断するように設計されたものである。
【0056】
上記コネクター20は、相互隣接するバッテリーセル10同士を電気的に接続するために適用される構成要素であって、電気抵抗を最小化しながらもバッテリーセル10にベンティングが行われる場合、迅速かつ確実に破断可能にするために、例えば、複数の金属ワイヤの形態で具現され得る。
【0057】
この場合、個々の上記金属ワイヤは、離接した一対のバッテリーセル10各々の電極リード15と溶接などによって連結され得、以下に説明するベンティングガスの噴射圧力によってこのような金属ワイヤと電極リード15との溶接部位が破断して隣接するバッテリーセル10間の電気的接続が遮断される。
【0058】
上記支持フレーム30は、セル積層体の少なくとも一側に配置されるものであって、電極リード15が通過する一対のリードスリット31を備え、また、ベンティングガスが噴射される通路を提供する噴射スリット32を備える。上記支持フレーム30は、絶縁性を有する樹脂材質であり得る。
【0059】
上記一対のリードスリット31は各々、第1バッテリーセル10及び第2バッテリーセル10の電極リード15が通過して外部に露出できるように、支持フレーム30の下面と上面との間を貫通して形成される。上記電極リード15は、上方へ延びてリードスリット31の外側に露出し、露出した電極リード15の端部は折り曲がってフレーム30の上面に装着されて支持される。
【0060】
上記噴射スリット32は、コネクター20と対応する位置に形成され、バッテリーセル10のベンティング時に排出されるベンティングガスがコネクター20に向けて噴射されるようにする通路として機能する。上記噴射スリット32は、第1バッテリーセル10及び第2バッテリーセル10各々のテラス部の間に形成される空間Gと対応する位置に形成される。
【0061】
上記噴射スリット32は、一対のリードスリット31の間に形成され、リードスリット31と同様に支持フレーム30の下面と上面との間を貫通して形成され、噴射スリットの下部32aは、噴射スリットの上部32bよりも広い幅を有する。
【0062】
上記噴射スリットの下部32aは、バッテリーセル10から排出されたベンティングガスが優先的に集まる空間であり、噴射スリットの上部32bは、このような噴射スリットの下部32aよりも狭い幅を有することで噴射スリットの下部32aに集まったベンティングガスが強い圧力で上方へ噴射されるようにする。
【0063】
このように本発明の一実施例によるバッテリーモジュールは、噴射スリット32を通して噴射されるベンティングガスを用してコネクター20と電極リード15との連結部位を破断して隣接したバッテリーセル10との電気的接続を遮断することができる。
【0064】
上記ベンティングガスの噴射圧力を高めるためには、噴射スリット32以外の他の空間からベンティングガスが抜け出されないように封止されることが望ましい。これによって、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールは、支持フレーム30とセル積層体との接合部位が封止された構造を有し得る。
【0065】
また、上記ベンティングガスは、リードスリット31の内側面と電極リード15との間に形成される空間によって漏出し得るため、これを防止するために、リードスリット31の内側面と電極リード15との間に形成される空間には、封止部材が介され得る。」
「【0070】
本発明に適用されるバッテリーセル10は、電極リード15が引き出される方向のみに封止部14が形成されるものではなく、収容部13の周りに全体的に封止部14が形成された構造を有するので、内圧の増加時に支持フレーム30の外側においてもベンティングが行われる可能性は存在する。
【0071】
図6及び図7を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールは、上述したように支持フレーム30の外側でベンティングが行われることを防止するために、シーラント16にベンティングパターン部16aが形成された構造を有する。
【0072】
上記ベンティングパターン部16aは、シーラント16の厚さをなす面のうち、電極組立体11と対向する面に一定の深さで形成される切欠き(notch)である。即ち、上記ベンティングパターン部16aは、電極リード15の延長方向、即ち、長手方向に沿って形成される。
【0073】
上記ベンティングパターン部16aの少なくとも一部は、パウチケース12の封止部14と重なる領域内に位置する。したがって、上記パウチケース12の内部にガスが発生した場合、ベンティングパターン部16aが形成された領域に圧力が集中(図6の矢印参照)することで、パウチケース12の封止が迅速に解除される。
【0074】
このように、シーラント16にベンティングパターン部16aを形成してシーラント16とパウチケース12との接着力を部分的に減少させることで所望領域でベンティングが行われるように調節することができる。本発明の他の実施例によるバッテリーモジュールにおいて、ベンティングパターン部16aが形成された領域は支持フレーム30の内部空間であるため、ベンティング時に噴射スリット32から集中的にガスを噴射することが可能になる。
【0075】
上記ベンティングパターン部16aは、電極リード15の両面のいずれか一面上のみに形成してもよいが(図7参照)、ベンティングがより容易に行われるようにするために電極リード15の両面上に共に形成(図8参照)してもよい。」
「【図2】
[図:0001415331000001.jpg]
」
「【図3】
[図:0001415331000002.jpg]
」
「【図4】
[図:0001415331000003.jpg]
」
「【図6】
[図:0001415331000004.jpg]
」
「【図7】
[図:0001415331000005.jpg]
」
「【図8】
[図:0001415331000006.jpg]
」
・図2~4、6~8より、電極リード15は平板状であることが見てとれる。また、図2及び4より、一方のバッテリーセル10(第1バッテリーセル10)の電極リード15の両面のうち一面は、相互対面する他方のバッテリーセル10(第2バッテリーセル10)の方向を向いていることが見てとれる。
(2)甲1に記載された発明
前記(1)によれば、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、甲1発明を以下のa~mに分説し、「構成a」のようにして参照する。
「a バッテリーモジュールは、一対のバッテリーセル10を含むセル積層体と、一対のバッテリーセル10を電気的に接続するコネクター20と、セル積層体の少なくとも一側に配置される支持フレーム30と、を含み、(【0037】)
b 上記セル積層体は、相互対面して積層される第1バッテリーセル10及び第2バッテリーセル10を含んで構成され、上記セル積層体をなす各々のバッテリーセル10は、実質的に同じバッテリーセルであり、(【0038】)
c 上記バッテリーセル10は、電極組立体11、パウチケース12、電極リード15及びシーラント16を含み、(【0039】)
d1 上記パウチケース12は、金属層及びこれを囲む樹脂層を含む多層構造のフィルム形態を有する外装材からなり、上部ケース及び下部ケースから構成され、(【0044】)
d2 下部ケースは、電極組立体を収容する収容部13を備え、上部ケースは収容部13を備えてもよく、(【0045】)
d3 上部ケース及び下部ケースの各々は、収容部13の外周領域となる封止部14を備え、(【0047】)
d4 上記パウチケース12は、収容部13内に電極組立体を収容し、上部ケース及び下部ケース各々の封止部14が当接して熱溶着することで封止され、上部ケース及び下部ケースの封止部14は、相互当接した状態で熱溶着によって接合されるように、熱溶着性を有する樹脂材質からなり、(【0048】)
e 上記電極リード15は、電極組立体の電極タブ11aに接続し、パウチケース12の外部へ引き出され、(【0049】)
f 上記封止部14のうち電極リード15が引き出される方向に位置する封止部14を、テラス部と称し、(【0051】)
g 上記シーラント16は、封止部14の内側面と電極リード15との間に介され、(【0052】)
h 上記バッテリーセル10は、内圧が一定水準以上となる場合、電極リード15が引き出される方向に位置する封止部14からベンティングが行われ、(【0054】)
i シーラント16にベンティングパターン部16aを形成してシーラント16とパウチケース12との接着力を部分的に減少させることで所望領域でベンティングが行われるように調節することができ、(【0074】)
j 上記ベンティングパターン部16aは、電極リード15の両面のいずれか一面上のみに形成してもよいが、ベンティングがより容易に行われるようにするために電極リード15の両面上に共に形成してもよく、(【0075】)
k 電極リード15は平板状であり、第1バッテリーセル10の電極リード15の両面のうち一面は、第2バッテリーセル10の方向を向いており、(図2~4、6~8)
l1 上記コネクター20は、相互隣接するバッテリーセル10同士を電気的に接続するために適用される構成要素であって、複数の金属ワイヤの形態で具現され、(【0056】)
l2 個々の上記金属ワイヤは、離接した一対のバッテリーセル10各々の電極リード15と溶接などによって連結される、(【0057】)
m バッテリーモジュール。」
2 本件発明1と甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(1)発明特定事項A「モジュールを含み、」について
本件特許の明細書の「モジュール500は、2個以上のセル100(単電池)がZ軸方向に積層されることにより形成されている。」(【0037】)との記載によれば、本件発明1の「モジュール」は、2個以上のセルにより形成されるものと解される。
そうすると、甲1発明の「一対のバッテリーセル10を含むセル積層体」(構成a)は、2個のバッテリーセルを含むから、本件発明1の「モジュール」に相当する。
(2)発明特定事項B「前記モジュールは、1個以上のセルペアを含み、」、発明特定事項C「前記セルペアは第1セルと第2セルとを含み、」、発明特定事項D「前記第2セルは前記第1セルと隣接しており、」、発明特定事項E「前記第2セルは、前記第1セルと電気的に接続されており、」について
ア 甲1発明の「セル積層体」は、「一対のバッテリーセル10を含む」(構成a)、すなわち、1個のセルペアを含むものである。
そうすると、前記(1)を踏まえれば、本件発明1と甲1発明とは、「前記モジュールは、1個のセルペアを含」む点で一致する。
イ 甲1発明の「セル積層体」は、「第1バッテリーセル10及び第2バッテリーセル10を含」んでおり(構成b)、当該「第1バッテリーセル10」、「第2バッテリーセル10」が、それぞれ、本件発明1の「第1セル」、「第2セル」に相当する。
ウ 甲1発明の「第1バッテリーセル10及び第2バッテリーセル10」は「相互対面して積層される」(構成b)ものであり、「バッテリーセル10同士」は「相互隣接する」(構成l1)ものである。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「前記第2セルは前記第1セルと隣接して」いる点で一致する。
エ 甲1発明は「一対のバッテリーセル10を電気的に接続するコネクター20」「を含」む(構成a)から、第2バッテリーセル10は第1バッテリーセル10とコネクターにより電気的に接続されている。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「前記第2セルは、前記第1セルと電気的に接続されて」いる点で一致する。
(3)発明特定事項F「前記第1セルは外装体と電極体と電極端子とを含み、」について
甲1発明は「上記セル積層体をなす各々のバッテリーセル10は、実質的に同じバッテリーセルであり」(構成b)、「上記バッテリーセル10は、電極組立体11、パウチケース12、電極リード15及びシーラント16を含」む(構成c)から、「第1バッテリーセル10」は、「電極組立体11、パウチケース12、電極リード15及びシーラント16を含」んでいる。
そうすると、甲1発明の「第1バッテリーセル10」が含む「パウチケース12」、「電極組立体11」、「電極リード15」が、それぞれ、本件発明1の「第1セル」が含む「外装体」、「電極体」、「電極端子」に相当する。
(4)発明特定事項G「前記外装体はラミネートフィルムを含み、」、発明特定事項H「前記ラミネートフィルムは樹脂層と金属層とを含み、」、発明特定事項I「前記樹脂層は前記金属層を被覆しており、」、発明特定事項J「前記樹脂層は第1熱可塑性樹脂を含み、」、発明特定事項K「前記外装体は前記電極体を格納しており、」、発明特定事項L「前記外装体の周縁に封止部が形成されており、」について
ア 甲1発明の「パウチケース12」は、「金属層及びこれを囲む樹脂層を含む多層構造のフィルム形態を有する外装材からな」る(構成d1)ものである。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「前記外装体はラミネートフィルムを含み」、「前記ラミネートフィルムは樹脂層と金属層とを含み」、「前記樹脂層は前記金属層を被覆して」いる点で一致する。
イ 甲1発明の「パウチケース12」は、「上部ケース及び下部ケースから構成され」(構成d1)、「下部ケースは、電極組立体を収容する収容部13を備え、上部ケースは収容部13を備えてもよく」(構成d2)、「収容部13内に電極組立体を収容し」ている(構成d4)。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「前記外装体は前記電極体を格納して」いる点で一致する。
ウ 甲1発明の「上部ケース及び下部ケースの各々は、収容部13の外周領域となる封止部14を備え」ている(構成d3)。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「前記外装体の周縁に封止部が形成されて」いる点で一致する。
エ 甲1発明の「パウチケース12」は、「金属層及びこれを囲む樹脂層を含む多層構造のフィルム形態を有する外装材からなり、上部ケース及び下部ケースから構成され」(構成d1)、「上部ケース及び下部ケース各々の封止部14が当接して熱溶着することで封止され、上部ケース及び下部ケースの封止部14は、相互当接した状態で熱溶着によって接合されるように、熱溶着性を有する樹脂材質からな」る(構成d4)から、上部ケースの樹脂層と下部ケースの樹脂層とを相互当接した状態で熱溶着によって接合しており、甲1発明の「樹脂層」は「熱溶着性を有する樹脂材質からな」るものである。
ここで、「熱溶着性を有する樹脂」とは、技術常識を踏まえると熱可塑性樹脂であると認められ、樹脂層の材質である熱可塑性樹脂を「第1熱可塑性樹脂」と呼ぶことは任意である。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「前記樹脂層は第1熱可塑性樹脂を含」む点で一致する。
(5)発明特定事項M「前記電極端子は前記電極体と接続されており、」について
甲1発明の「電極リード15」は、「電極組立体の電極タブ11aに接続し」ている(構成e)。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「前記電極端子は前記電極体と接続されて」いる点で一致する。
(6)発明特定事項N「前記電極端子は、前記封止部を貫通して前記外装体の内部から外部に導出されており、」について
甲1発明の「電極リード15」は、「電極組立体の電極タブ11aに接続し、パウチケース12の外部へ引き出され」(構成e)、「封止部14のうち電極リード15が引き出される方向に位置する封止部14を、テラス部と称し」ている(構成f)ところ、「電極リード15」は、「封止部14(テラス部)」を貫通して「パウチケース12の外部へ引き出され」ていることは明らかである。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「前記電極端子は、前記封止部を貫通して前記外装体の内部から外部に導出されて」いる点で一致する。
(7)発明特定事項O「前記電極端子は平板状であり、」、発明特定事項P「前記電極端子は第1主面と第2主面とを含み、」、発明特定事項Q「前記第1主面は、前記第2セルの方向を向いており、」、発明特定事項R「前記第2主面は、前記第1主面の反対面であり、」について
甲1発明は、「電極リード15は平板状であり、第1バッテリーセル10の電極リード15の両面のうち一面は、第2バッテリーセル10の方向を向いて」いる(構成k)。
ここで、電極リード15の両面のうち、第2バッテリーセル10の方向を向いている一面を「第1主面」と呼び、その反対面を「第2主面」と呼ぶことは任意である。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「前記電極端子は平板状であり」、「前記電極端子は第1主面と第2主面とを含み」、「前記第1主面は、前記第2セルの方向を向いており」、「前記第2主面は、前記第1主面の反対面であ」る点で一致する。
(8)発明特定事項S「前記封止部は、第1領域と第2領域と第3領域とを含み、」、発明特定事項T「前記第1領域は、前記第1主面と前記樹脂層との間に形成されており、」、発明特定事項U「前記第2領域は、前記第2主面と前記樹脂層との間に形成されており、」、発明特定事項V「前記第3領域は、前記樹脂層同士の間に形成されており、」について
ア 前記(6)のとおり、甲1発明は「封止部14のうち電極リード15が引き出される方向に位置する封止部14を、テラス部と称し」ており(構成f)、前記(7)のとおり、電極リード15の両面のうち、第2バッテリーセル10の方向を向いている一面を「第1主面」と呼び、その反対面を「第2主面」と呼ぶとき、「テラス部」のうち「第1主面」と「樹脂層」との間の部分を「第1領域」と呼ぶことは任意であり、「テラス部」のうち「第2主面」と「樹脂層」との間の部分を「第2領域」と呼ぶことは任意である。
イ 前記(4)エのとおり、甲1発明は、上部ケースの樹脂層と下部ケースの樹脂層とを相互当接した状態で熱溶着によって接合して封止しているから、甲1発明の「封止部14」のうち、樹脂層同士の間に形成されている部分を「第3領域」と呼ぶことは任意である。
ウ 前記ア及びイによれば、本件発明1と甲1発明とは、「前記封止部は、第1領域と第2領域と第3領域とを含み」、「前記第1領域は、前記第1主面と前記樹脂層との間に形成されており」、「前記第2領域は、前記第2主面と前記樹脂層との間に形成されており」、「前記第3領域は、前記樹脂層同士の間に形成されて」いる点で一致する。
(9)発明特定事項W「前記第2領域は易開裂部を含み、」、発明特定事項X「前記易開裂部は、前記第1セルの温度および内圧の少なくとも一方が上昇した時、前記第1領域および前記第3領域に比して、開裂しやすいように構成されており、」について
ア 甲1発明の「バッテリーセル10」は、「内圧が一定水準以上となる場合、」「テラス部」「からベンティングが行われ」る(構成f、h)ものであり、「シーラント16は、封止部14の内側面と電極リード15との間に介され」(構成g)、「シーラント16にベンティングパターン部16aを形成してシーラント16とパウチケース12との接着力を部分的に減少させることで所望領域でベンティングが行われるように調節することができ」(構成i)、「上記ベンティングパターン部16aは、電極リード15の両面のいずれか一面上のみに形成してもよいが、ベンティングがより容易に行われるようにするために電極リード15の両面上に共に形成してもよ」い(構成j)ものである。
イ 前記アによれば、甲1発明の「ベンティングパターン部16a」は、第1バッテリーセル10の内圧が一定水準以上となる場合、テラス部からベンディングが行われるようにするものであり、テラス部がテラス部以外の封止部に比べて開裂しやすいように構成されるもの、すなわち、「第3領域」(前記(8)イを参照)に比して開裂しやすいように構成されるものといえるから、本件発明1の「易開裂部」に相当する。
ウ 前記アによれば、甲1発明の「ベンティングパターン部16a」は、「電極リード15の両面のいずれか一面上のみに形成」されるが、このとき、「第1主面」及び「第2主面」(前記(7)を参照)のいずれに形成されるかが特定されておらず、すなわち、「ベンティングパターン部16a」は「第2領域」(前記(8)アを参照)に形成されることが特定されていない。
エ 前記アによれば、甲1発明の「ベンティングパターン部16a」は、「電極リード15の両面上に共に形成」されるが、このとき、「第2主面」すなわち「第2領域」に形成された「ベンティングパターン部16a」は、「第3領域」に比して開裂しやすいように構成されているが、「第1主面」すなわち「第1領域」に形成された「ベンティングパターン部16a」に比して開裂しやすいように構成されていることが特定されていない(なお、「第1主面」及び「第2主面」は、前記(7)を参照。「第1領域」~「第3領域」は、前記(8)ア及びイを参照。)。
オ 前記ア~エによれば、本件発明1と甲1発明とは、「易開裂部を含み、」、「前記易開裂部は、前記第1セルの温度および内圧の少なくとも一方が上昇した時、前記第3領域に比して、開裂しやすいように構成されて」いる点で共通する。
ただし、本件発明1は、「第2領域」は易開裂部を含み、当該易開裂部は、「第1領域」に比して、開裂しやすいように構成されるのに対し、甲1発明には、その点が特定されていない。
(10)発明特定事項Y「前記第1セルの前記電極端子は、前記第2セルの電極端子に接続されており、」について
甲1発明の「コネクター20」は、「相互隣接するバッテリーセル10同士を電気的に接続するために適用される構成要素であって、複数の金属ワイヤの形態で具現され」(構成l1)、「個々の上記金属ワイヤは、離接した一対のバッテリーセル10各々の電極リード15と溶接などによって連結される」(構成l2)ものであるから、一対のバッテリーセル10(第1バッテリーセル10及び第2バッテリーセル10)各々の電極リード15は連結されている。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「前記第1セルの前記電極端子は、前記第2セルの電極端子に接続されて」いる点で一致する。
(11)発明特定事項Z「前記モジュールが第3セルをさらに含み、かつ前記第3セルが、前記第1セルと隣接して、前記第2セルの反対側に配置される場合、前記第2セルの前記電極端子と接続されている前記第1セルの前記電極端子は、前記第3セルの電極端子とは接続されていない、」について
本件発明1において、「第3セル」は任意の構成であり、「第3セル」を有しない場合、当該発明特定事項Zは、何ら発明を特定していないと解される。
なお、前記(2)アのとおり、本件発明1と甲1発明とは、「前記モジュールは、1個のセルペアを含」む点で一致しており、本件発明1と甲1発明とは「第3セル」を有しない。
(12)発明特定事項AA「バッテリパック」について
甲1発明の「バッテリーモジュール」は、「一対のバッテリーセル10を含むセル積層体」「を含」む(構成a)ものであり、前記(1)によれば、本件発明1の「モジュール」を含むといえるから、本件発明1の「バッテリーパック」に相当する。
(13)一致点及び相違点
前記(1)~(12)によれば、本件発明1と甲1発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「 モジュールを含み、
前記モジュールは、1個のセルペアを含み、
前記セルペアは第1セルと第2セルとを含み、
前記第2セルは前記第1セルと隣接しており、
前記第2セルは、前記第1セルと電気的に接続されており、
前記第1セルは外装体と電極体と電極端子とを含み、
前記外装体はラミネートフィルムを含み、
前記ラミネートフィルムは樹脂層と金属層とを含み、
前記樹脂層は前記金属層を被覆しており、
前記樹脂層は第1熱可塑性樹脂を含み、
前記外装体は前記電極体を格納しており、
前記外装体の周縁に封止部が形成されており、
前記電極端子は前記電極体と接続されており、
前記電極端子は、前記封止部を貫通して前記外装体の内部から外部に導出されており、
前記電極端子は平板状であり、
前記電極端子は第1主面と第2主面とを含み、
前記第1主面は、前記第2セルの方向を向いており、
前記第2主面は、前記第1主面の反対面であり、
前記封止部は、第1領域と第2領域と第3領域とを含み、
前記第1領域は、前記第1主面と前記樹脂層との間に形成されており、
前記第2領域は、前記第2主面と前記樹脂層との間に形成されており、
前記第3領域は、前記樹脂層同士の間に形成されており、
易開裂部を含み、
前記易開裂部は、前記第1セルの温度および内圧の少なくとも一方が上昇した時、前記第3領域に比して、開裂しやすいように構成されており、
前記第1セルの前記電極端子は、前記第2セルの電極端子に接続されている、
バッテリパック。」
<相違点>
本件発明1は、「第2領域」は易開裂部を含み、当該易開裂部は、「第1領域」に比して、開裂しやすいように構成されるのに対し、甲1発明には、その点が特定されていない点。
3 本件発明1と甲1発明との相違点についての判断
前記2(13)で示した相違点について、以下、検討する。
(1)前記2(9)ウのとおり、甲1には、「ベンティングパターン部16a」は「電極リード15の両面のいずれか一面上のみに形成」されることが記載されているが、このとき、「ベンティングパターン部16a」は「第2領域」に形成されることについて記載も示唆もない。
(2)前記2(9)エのとおり、甲1には、「ベンティングパターン部16a」は「電極リード15の両面上に共に形成」されることが記載されているが、このとき、「第2領域」に形成された「ベンティングパターン部16a」は、「第1領域」に形成された「ベンティングパターン部16a」に比して開裂しやすいように構成されることについて記載も示唆もない。
(3)加えて、「第2領域」は易開裂部を含み、当該易開裂部は、「第1領域」に比して、開裂しやすいように構成されることについて、甲2~甲5のいずれにも開示も示唆もされていないし、技術常識でもない。
(4)前記(1)~(3)によれば、当該相違点は、当業者といえども、甲1発明から容易に想到し得たものとは認められない。
(5)申立人は、当該相違点について、以下のとおり主張する。
「(xxiii)甲第1号証の段落【0071】に記載のベンティングパターン部16aは、本件発明1の構成1Wと対応する。」(申立書の30頁)
以下、当該主張について検討する。
甲1の【0071】には、次の記載がある。
「【0071】
図6及び図7を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールは、上述したように支持フレーム30の外側でベンティングが行われることを防止するために、シーラント16にベンティングパターン部16aが形成された構造を有する。」
当該記載箇所には、ベンティングパターン部16aを、電極リード15の両面のいずれか一面上のみに形成した構造が記載されていると認められる。
しかしながら、前記(1)のとおり、このとき「ベンティングパターン部16a」は「第2領域」に形成されることについて記載も示唆もない。
したがって、当該主張は採用できない。
(6)本件発明1と甲1発明との相違点についての小括
前記(1)~(5)によれば、本件発明1と甲1発明との相違点は、甲1発明から容易に想到し得たものではない。
また、当該相違点は、その他の証拠及び技術常識によっても容易に想到し得るものではない。
4 理由1及び2についての小括
(1)本件発明1と甲1発明とは、前記2(13)に示した相違点を有するから、本件発明1は、甲1発明であるとは認められない。
そして、本件発明6は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、さらに別の発明特定事項を備えるものである。
そうすると、本件発明6と甲1発明とは、少なくとも前記2(13)に示した相違点を有するから、本件発明6は、甲1発明であるとは認められない。
以上によれば、理由1には理由がない。
(2)前記3(6)によれば、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲5に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
そして、本件発明2~6は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、さらに別の発明特定事項を備えるものである。
そうすると、本件発明2~6と甲1発明とは、少なくとも前記2(13)に示した相違点を有し、当該相違点については前記3のとおりであるから、本件発明2~6も、甲1発明及び甲2~甲5に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
以上によれば、理由2には理由がない。
第5 むすび
前記第4によれば、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700527