特許異議申立
2023-701269
端子部品、二次電池および端子部品の製造方法
- 審判番号
- 2023-701269
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-008263
- 登録番号
- 7285865
- 請求日
- 2023年12月01日
- 審決日
- 2025年03月07日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
- 【権利者代理人】安部 誠
- 【権利者代理人】大井 道子
- 【権利者代理人】山根 広昭
- 【権利者代理人】天野 浩治
- 【異議申立人】日東精工 株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 岩間 直純
- 審判官 ▲高▼橋 徳浩
- 審判官 畑中 博幸
- 分類
- P1651.113-YAA(H01M) / P1651.121-YAA(H01M) / P1651.161-YAA(H01M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条の2、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7285865号発明「端子部品、二次電池および端子部品の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7285865号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3、4、6、10、11〕、7、9について訂正することを認める。
特許第7285865号の請求項1、3、4、6、7、9ないし11に係る特許を維持する。
特許第7285865号の請求項2、5、8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7285865号の請求項1ないし9に係る特許についての出願は、令和3年1月21日の出願であって、令和5年5月25日にその特許権の設定登録がされ、令和5年6月2日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年12月 1日 :特許異議申立人日東精工株式会社により請求項1ないし9に係る特許に対する特許異議の申立て
令和6年 2月 7日付け:取消理由通知
令和6年 4月 4日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和6年 5月21日 :特許異議申立人による意見書の提出
令和6年 8月19日付け:取消理由通知(決定の予告)
令和6年10月17日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和6年12月13日 :特許異議申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和6年10月17日の訂正請求の趣旨は、特許7285865号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項1ないし11について訂正することを求めるものであり、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである。
(1)訂正事項1
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に
「 第1金属と、
前記第1金属に重ねられた第2金属と
を備え、
前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が、少なくとも3箇所設けられており、
前記食い込み部のうち少なくとも1つは、
前記第1金属および前記第2金属のうち一方の金属が、開口の縁が底部よりも内側に張り出した凹部を有し、該凹部の開口の縁が他方の金属に食い込んでいる、端子部品。」
と記載されているのを、
「 第1金属と、
前記第1金属に重ねられた第2金属と
を備え、
前記第1金属は前記第2金属よりも剛性が高く、
前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が、少なくとも4箇所に設けられており、
ここで、前記第1金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、前記第1凹部の中心において頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、かつ、前記頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出した第1凸部と
を備え、
前記第2金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部と、
頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第2凸部と
を備え、
少なくとも4箇所に設けられている前記食い込み部は、
前記第1金属の前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、
前記第1金属の前記第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、
前記第2金属の前記第2凹部の開口の縁が前起第1金属に食い込んでいる食い込み部と、
前記第2金属の前記第2凸部の頂部の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部とを含む、端子部品。」に訂正する。
(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項4、6も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
訂正前の特許請求の範囲の請求項3に
「 第1金属と、
前記第1金属に重ねられた第2金属と
を備え、
前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が、少なくとも3箇所設けられており、
前記食い込み部のうち少なくとも1つは、
前記第1金属および前記第2金属のうち一方の金属が、頂部の縁が基端よりも外側に張り出した凸部を有し、該凸部の頂部の縁が他方の金属に食い込んでいる、端子部品。」
と記載されているのを、
「 第1金属と、
前記第1金属に重ねられた第2金属と
を備え、
前記第1金属は前記第2金属よりも剛性が高く、
前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が、少なくとも3箇所に設けられており、
ここで、前記第1金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、
頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部と
を備え、
前記第2金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部を備え、
前記第2凹部には、前記第1金属の最外周部が収められており、
少なくとも3箇所に設けられている前記食い込み部は、
前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、
前記第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部とを含む、端子部品。」に訂正する。
(請求項3を直接的又は間接的に引用する請求項10、11も同様に訂正する。)
(4)訂正事項4
(訂正事項4-1)
特許請求の範囲の請求項4に「前記食い込み部は楔形状である、請求項1~3のいずれか一項に記載された端子部品。」とあるうち、請求項1を引用するものについて「前記食い込み部は楔形状である、請求項1に記載された端子部品。」に訂正する。
(訂正事項4-2)
特許請求の範囲の請求項4に「前記食い込み部は楔形状である、請求項1~3のいずれか一項に記載された端子部品。」とあるうち、請求項3を引用するものについて「前記食い込み部は楔形状である、請求項3に記載された端子部品。」と記載し、新たに請求項10とする。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(6)訂正事項6
(訂正事項6-1)
特許請求の範囲の請求項6に
「 電池ケースと、
前記電池ケースに取り付けられた電極端子と
を備え、
前記電極端子は、請求項1~5のいずれか一項に記載された端子部品を含む、二次電池」とあるうち、請求項1を引用するもの、及び、請求項1を引用する請求項4を引用するものについて
「 電池ケースと、
前記電池ケースに取り付けられた電極端子と
を備え、
前記電極端子は、請求項1または4に記載された端子部品を含む、二次電池。」
に訂正する。
(訂正事項6-2)
特許請求の範囲の請求項6に
「 電池ケースと、
前記電池ケースに取り付けられた電極端子と
を備え、
前記電極端子は、請求項1~5のいずれか一項に記載された端子部品を含む、二次電池」とあるうち、請求項3を引用するもの、及び請求項3を引用する請求項4を引用するものについて
「 電池ケースと、
前記電池ケースに取り付けられた電極端子と
を備え、
前記電極端子は、請求項3または10に記載された端子部品を含む、二次電池。」
と記載し、新たに請求項11とする。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7に
「 第1金属を用意する工程と、
第2金属を用意する工程と、
前記第1金属と前記第2金属とを加圧する工程と
を含み、
前記第1金属は、
前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した凹部を備えており、
前記加圧する工程では、
前記第1金属と前記第2金属とを相互に加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させることによって、前記凹部の前記開口の縁を前記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を少なくとも3箇所形成させる、端子部品の製造方法。」
と記載されているのを、
「 第1金属を用意する工程と、
第2金属を用意する工程と、
前記第1金属と前記第2金属とを加圧する工程と
を含み、
前記第1金属は、
前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、
前記第1凹部の中心において頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、かつ、前記頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出した第1凸部と
を備え、
前記加圧する工程では、
前記第1金属と前記第2金属とを相互に加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させることによって、前記第1凹部の前記開口の縁および前記第1凸部の前記頂部の縁を前記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を少なくとも3箇所に形成させる、端子部品の製造方法。」
に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9に
「 第1金属を用意する工程と、
第2金属を用意する工程と、
前記第1金属と前記第2金属とを加圧する工程と
を含み、
前記第1金属は、
前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、
頂部の縁が基端よりも外側に張り出した凸部を備えており、
前記加圧する工程では、
前記第1金属と前記第2金属とを相互に加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させることによって、前記凸部の前記頂部の縁を前記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を少なくとも3箇所形成させる、端子部品の製造方法。」
と記載されているのを、
「 第1金属を用意する工程と、
第2金属を用意する工程と、
前記第1金属と前記第2金属とを加圧する工程と
を含み、
前記第1金属は、
前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、
頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部と
を備え、
前記第2金属は、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部を備え、
前記第2凹部は、前記第1金属の最外周部が収められる寸法であり、
前記加圧する工程では、
前記第1金属と前記第2金属とを相互に加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させることによって、前記第2金属の前記第2凹部に前記第1金属の最外周部を収め、かつ、前記第1凸部の前記頂部の縁および前起第1凹部の開口の縁を前記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を少なくとも3箇所に形成させる、端子部品の製造方法。」
に訂正する。
(10)別の訂正単位とする求め
訂正後の請求項1、3、4、6、7、10、11については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。
2 訂正要件についての判断
(1)一群の請求項について
訂正前の請求項1、2、4ないし6は、請求項2、4ないし6が訂正請求の対象である請求項1を直接的または間接的に引用しているから、請求項1、2、4ないし6は、一群の請求項である。
また、訂正前の請求項3ないし6は、請求項4ないし6が訂正請求の対象である請求項3を直接的または間接的に引用しているから、請求項3ないし6は、一群の請求項である。
そして、これら一群の請求項は、共通する請求項4ないし6を有するから、請求項1ないし6は一群の請求項であり、それに対応する訂正後の請求項1、3、4、6、10、11は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「第1金属」について、「前記第2金属よりも剛性が高く」、「前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、前記第1凹部の中心において頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、かつ、前記頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出した第1凸部とを備え」ることを限定するものである。
また、訂正事項1は、訂正前の請求項1の「第2金属」について、「前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部と、頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第2凸部とを備え」ることを限定するものである。
そして、訂正事項1は、訂正前の請求項1の「箇所設けられており」との記載が、「箇所に設けられており」の誤記(「に」の脱字)であることから、これを正すものである。
さらに、訂正事項1は、訂正前の請求項1の「食い込み部」について、少なくとも「4箇所」に設けられ、「前記第1金属の前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第1金属の前記第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第2金属の前記第2凹部の開口の縁が前起第1金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第2金属の前記第2凸部の頂部の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部とを含む」ことを限定するものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
訂正前の請求項1に記載された「第1金属」に関し、本件特許明細書の段落【0041】に「第2金属202には、・・・、第1金属201よりも剛性が低い金属が用いられうる。具体的には、・・・第1金属201が銅で構成されているのに対して、第2金属202は、アルミニウムで構成されている。」と、同段落【0038】に「第1金属201は、図5に示されているように、第2金属202が重ねられる側の面に、凹部201dと、凸部201eとを備えている。」と、同段落【0039】に「凹部201dは、開口201d1の縁201d2が底部201d3よりも内側に張り出している。」と、同段落【0040】に「凸部201eは、頂部201e1の縁201e2が基端201e3よりも外側に張り出している。・・・、凸部201eは、凹部201dの底部201d3の中心から上方に突出するように設けられている。・・・、凸部201eの頂部201e1が、凹部201dの開口201d1よりも高くなっている。」と、それぞれ記載されている。
また、訂正前の請求項1に記載された「第2金属」に関し、本件特許明細書の段落【0041】に「第1金属201と第2金属202とが重ねられた界面Fにおいて、・・・、第2金属202の縁が第1金属201に食い込んだ食い込み部A2、B2とが形成される。」、同段落【0043】に「食い込み部A2では、第1金属201に設けられた略円錐台状の凹部201dの底に第2金属202が入り込んでいる。換言すると、第2金属202のうち、・・・凹部201dに入り込んだ部位は、頂部の縁が基端よりも外側に張り出した凸部202aとなっている。」、同段落【0044】に「食い込み部B2では、第1金属201に設けられた略逆円錐状の凸部201eの基端に第2金属202が入り込んでいる。換言すると、第2金属202は、・・・凸部201eに入り込んだ部位は、開口の縁が底部よりも内側に張り出した凹部202bとなっている。」と、それぞれ記載されている。
そして、訂正前の請求項1に記載された「食い込み部」に関し、本件特許明細書の段落【0042】に「食い込み部A1では、第1金属201に設けられた凸部201eの頂部201e1の縁201e2が、第2金属202に食い込んでいる。食い込み部B1では、第1金属201に設けられた凹部201dの開口201d1の縁201d2が、第2金属202に食い込んでいる。」と、同段落【0043】の「第2金属202の・・・凸部202aの頂部の縁が第1金属201に食い込んだ状態になっている。」と、同段落【0044】の「第2金属202は、・・・凹部202bの開口の縁が第1金属201に食い込んだ状態になっている。」と、それぞれ記載されている。
さらに、上記(ア)で述べたように、訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された誤記を正すものである。
よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
イ 訂正事項2
(ア)訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
上記(ア)で述べたように、訂正事項2は請求項2を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
ウ 訂正事項3
(ア)訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項3の「第1金属」について、「前記第2金属よりも剛性が高く」、「前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部とを備え」ることを限定するものである。
また、訂正事項3は、訂正前の請求項3の「第2金属」ついて、「前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部を備え、前記第2凹部には、前記第1金属の最外周部が収められて」いることを限定するものである。
そして、訂正事項3は、訂正前の請求項3の「箇所設けられており」との記載が、「箇所に設けられており」の誤記(「に」の脱字)であることから、これを正すものである。
さらに、訂正事項3は、訂正前の請求項3の「食い込み部」について、「前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部とを含む」ことを限定するものである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
訂正前の請求項3に記載された「第1金属」に関し、本件特許明細書の段落【0041】に「第2金属202には、・・・、第1金属201よりも剛性が低い金属が用いられうる。具体的には、・・・第1金属201が銅で構成されているのに対して、第2金属202は、アルミニウムで構成されている。」と、同段落【0054】に「図6に示されている実施形態では、第1金属201の軸部201aの一端には、端部に向かうに従って広がる傾斜部201fが設けられている。・・・。第1金属201は、傾斜部201fを含む端面に、凹部201gを有している。凹部201gは、略円錐台状の空間である。凹部201gは、開口の縁が底部よりも内側に張り出している。」と記載され、図6によれば、傾斜部201fは、頂上部分の縁が基端よりも外側に張り出した凸部であることが見て取れる。
また、訂正前の請求項3に記載された「第2金属」に関し、本件特許明細書の段落【0055】に「第2金属202は、第1金属201の傾斜部201fが設けられた端面に重ねられている。第2金属202には、傾斜部201fの一部が収められている凹み202fが設けられている。」と記載され、図6によれば、傾斜部201fの一部は、第1金属201の最外周部であり、該傾斜部201fの一部が収められている凹み202fは、開口部分の縁が底部よりも内側に張り出していることが見て取れる。
そして、訂正前の請求項3の記載された「食い込み部」に関し、同段落【0057】に「食い込み部B11では、第1金属201に設けられた凹部201gの開口の縁が、第2金属202に食い込んでいる。食い込み部C11では、第1金属201に設けられた傾斜部201fの縁201f1が、第2金属202に食い込んでいる。」と記載されている。
さらに、上記(ア)で述べたように、訂正事項3は、訂正前の請求項3に記載された誤記を正するものである。
よって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
エ 訂正事項4
(ア)訂正事項4-1
a 訂正の目的
訂正事項4-1は、訂正前の請求項4が訂正前の請求項1ないし3のいずれかを引用する記載であったところ、訂正前の請求項2及び請求項3との引用関係を解消して、請求項4の引用請求項数を削減するものである。
よって、訂正事項4-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
b 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
上記aで述べたように、訂正事項4-1は、引用請求項数を削減する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項4-1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(イ)訂正事項4-2
a 訂正の目的
訂正事項4-2は、訂正前の請求項4が訂正前の請求項1ないし3のいずれかを引用する記載であったところ、訂正前の請求項1及び請求項2との引用関係を解消して新たに請求項10とすることにより引用請求項数を削減するものである。
よって、訂正事項4-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
b 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
上記aで述べたように、訂正事項4-2は、引用請求項数を削減する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項4-2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
オ 訂正事項5
(ア)訂正の目的
訂正事項5は、訂正前の請求項5を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
上記(ア)で述べたように、訂正事項5は請求項5を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
カ 訂正事項6
(ア)訂正事項6-1
a 訂正の目的
訂正事項6-1は、訂正前の請求項6の「二次電池」との記載が、「二次電池。」の誤記(「。」の脱字)であることから、これを正すものである。
また、訂正事項6-1は、訂正前の請求項6が訂正前の請求項1ないし5のいずれかを引用する記載であったところ、訂正前の請求項2、3、5との引用関係を解消して、請求項6の引用請求項数を削減するものである。
よって、訂正事項6-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
b 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
上記aで述べたように、訂正事項6-1は、引用請求項数を削減し、誤記を正すものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項6-1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(イ)訂正事項6-2
a 訂正の目的
訂正事項6-2は、訂正前の請求項6の「二次電池」との記載が、「二次電池。」の誤記(「。」の脱字)であることから、これを正すものである。
また、訂正事項6-2は、訂正前の請求項6が訂正前の請求項1ないし5のいずれかを引用する記載であったところ、訂正前の請求項1、2、5との引用関係を解消し、さらに、訂正事項4-2により訂正前の請求項3を引用する訂正前の請求項4を新たな請求項10としたことに伴い、請求項3を引用するもの、及び請求項3を引用する請求項10を引用するものについて新たな請求項11とし引用請求項数を削減するものである。
よって、訂正事項6-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
b 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
上記aで述べたように、訂正事項6-2は、引用請求項数を削減し、誤記を正すものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項6-2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
キ 訂正事項7
(ア)訂正の目的
訂正事項7は、訂正前の請求項7の「第1金属」について、「開口の縁が底部よりも内側に張り出した」部分を「第1」凹部と限定し、さらに、「前記第1凹部の中心において頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、かつ、前記頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出した第1凸部」を備えることを限定するものである。
また、訂正事項7は、「第2金属」に食い込ませる「第1金属」の部分を、「第1」凹部の開口の縁と「第1凸部の前記頂部の縁」に限定するものである。
そして、訂正事項7は、訂正前の請求項7の「箇所形成させる」との記載が、「箇所に形成させる」の誤記(「に」の脱字)であることから、これを正すものである。
よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
訂正前の請求項1に記載された「第1金属」に関し、本件特許明細書の段落【0048】に「第1金属は、開口の縁が底部よりも内側に張り出した部位を有する凹部および頂部の縁が基端よりも外側に張り出した部位を有する凸部のうち少なくともいずれかを備えている。」と、同段落【0052】に「第1金属201と第2金属202とを相互に加圧することによって、第2金属202は、上記凹部201dと凸部201eが形成された面に沿って塑性変形する。そして、第1金属201の凹部201dと凸部201eが第2金属202に対して入り込む。・・・。その結果、食い込み部A1、A2、B1、B2が形成され、端子部品200が製造される。」と、同段落【0042】に「食い込み部A1では、第1金属201に設けられた凸部201eの頂部201e1の縁201e2が、第2金属202に食い込んでいる。食い込み部B1では、第1金属201に設けられた凹部201dの開口201d1の縁201d2が、第2金属202に食い込んでいる。」と、それぞれ記載されている。
さらに、上記(ア)で述べたように、訂正事項7は、訂正前の請求項7に記載された誤記を正すものである。
よって、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
ク 訂正事項8
(ア)訂正の目的
訂正事項8は、訂正前の請求項8を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
上記(ア)で述べたように、訂正事項8は請求項8を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
ケ 訂正事項9
(ア)訂正の目的
訂正事項9は、訂正前の請求項9の「第1金属」について、「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部」を備えることを限定し、さらに、「頂部の縁が基端よりも外側に張り出した」部分を「第1」凸部と限定するものである。
また、訂正事項9は、訂正前の請求項9の「第2金属」について、「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部を備え、前記第2凹部は、前記第1金属の最外周部が収められる寸法であ」ることを限定するものである。
そして、訂正事項9は、第1金属と第2金属とを相互加圧し、第2金属を塑性変形させて「第2金属の前記第2凹部に第1金属の最外周部を収め」ることを限定し、さらに、「第2金属」に食い込ませる「第1金属」の部分を、「第1」凸部の頂部の縁と「第1凹部の開口の縁」に限定するものである。
さらに、訂正事項9は、訂正前の請求項9の「箇所形成させる」との記載が、「箇所に形成させる」の誤記(「に」の脱字)であることから、これを正すものである。
よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
a 訂正前の請求項9の「第1金属」に関し、本件特許明細書の段落【0054】に「図6に示されている実施形態では、第1金属201の軸部201aの一端には、端部に向かうに従って広がる傾斜部201fが設けられている。・・・。第1金属201は、傾斜部201fを含む端面に、凹部201gを有している。凹部201gは、略円錐台状の空間である。凹部201gは、開口の縁が底部よりも内側に張り出している。」と記載され、図6によれば、傾斜部201fは、頂上部分の縁が基端よりも外側に張り出した凸部であることが見て取れる。
また、訂正前の請求項9の「第2金属」に関し、同段落【0055】に「第2金属202には、傾斜部201fの一部が収められている凹み202fが設けられている。」と記載され、図6によれば、傾斜部201fの一部は、第1金属201の最外周部であり、該傾斜部201fの一部が収められている凹み202fは、開口部分の縁が底部よりも内側に張り出していることが見て取れる。
b ここで、本件特許明細書の段落【0054】ないし【0057】に記載され、図6で示された他の実施形態である端子部品200の製造方法は明記されていないものの、同段落【0048】の「上述した端子部品200の製造方法の一例を説明する。端子部品200の製造方法は、第1金属を用意する工程と、第2金属を用意する工程と、第1金属と第2金属とを加圧する工程とを含む。」との記載を参酌すれば、該他の実施形態である端子部品200の製造方法においても、「第1金属を用意する工程」、「第2金属を用意する工程」を含むことは当然のことであり、上記aも踏まえれば、「第1金属」が、開口の縁が底部よりも内側に張り出している「凹部」と、頂上部分の縁が基端よりも外側に張り出した凸部である「傾斜部」を備え、「第2金属」が、開口部分の縁が底部よりも内側に張り出した「凹部」を備え、該「凹部」が、「第1金属」の最外周部である「傾斜部」の一部が収められる寸法であると解される。
c また、同段落【0055】に「第2金属202は、第1金属201の傾斜部201fが設けられた端面に重ねられている。第2金属202には、傾斜部201fの一部が収められている凹み202fが設けられている。」と、同段落【0057】に「食い込み部B11では、第1金属201に設けられた凹部201gの開口の縁が、第2金属202に食い込んでいる。食い込み部C11では、第1金属201に設けられた傾斜部201fの縁201f1が、第2金属202に食い込んでいる。」と、それぞれ記載されている。
d ここで、同段落【0048】の「上述した端子部品200の製造方法の一例を説明する。端子部品200の製造方法は、・・・、第1金属と第2金属とを加圧する工程とを含む。」との記載、同段落【0052】の「第1金属201と第2金属202とを相互に加圧することによって、第2金属202は、上記凹部201dと凸部201eが形成された面に沿って塑性変形する。そして、第1金属201の凹部201dと凸部201eが第2金属202に対して入り込む。」との記載を参酌すれば、上記他の実施形態である端子部品200の製造方法においても、「第1金属と第2金属とを加圧する工程」を含むことは当然のことであり、上記b、cも踏まえれば、「第1金属と第2金属とを加圧する工程」では、第1金属201と第2金属202との相互加圧によって、第2金属202が塑性変形し、「第2金属」の「凹部」に、「第1金属」の最外周部である「傾斜部」の一部が収められ、かつ、凸部である「傾斜部」の頂上部分の縁、及び、「第1金属」の「凹部の開口の縁」が「第2金属」に食い込むと解される。
e さらに、上記(ア)で述べたように、訂正事項9は、訂正前の請求項9に記載された誤記を正すものである。
f 以上aないしeによれば、訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(3)独立特許要件について
上記(2)のアないしケで述べたように、訂正事項1ないし9は「特許請求の範囲の減縮」を目的とするところ、本件においては、全請求項について特許異議の申立てがされているから、訂正前の請求項1ないし9に係る訂正事項1ないし9に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
3 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
そして、特許権者から、訂正後の請求項1、3、4、6、10、11については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正する求めがあったことから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3、4、6、10、11〕、7、9について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1ないし11に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明11」という。)は、その訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された次の事項により特定されるものである。なお、下線は、訂正箇所を示す。
「【請求項1】
第1金属と、
前記第1金属に重ねられた第2金属と
を備え、
前記第1金属は前記第2金属よりも剛性が高く、
前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が、少なくとも4箇所に設けられており、
ここで、前記第1金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、
前記第1凹部の中心において頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、かつ、前記頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出した第1凸部と
を備え、
前記第2金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部と、
頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第2凸部と
を備え、
少なくとも4箇所に設けられている前記食い込み部は、
前記第1金属の前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、
前記第1金属の前記第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、
前記第2金属の前記第2凹部の開口の縁が前起第1金属に食い込んでいる食い込み部と、
前記第2金属の前記第2凸部の頂部の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部と
を含む、端子部品。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
第1金属と、
前記第1金属に重ねられた第2金属と
を備え、
前記第1金属は前記第2金属よりも剛性が高く、
前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が、少なくとも3箇所に設けられており、
ここで、前記第1金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、
頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部と
を備え、
前記第2金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部を備え、
前記第2凹部には、前記第1金属の最外周部が収められており、
少なくとも3箇所に設けられている前記食い込み部は、
前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、
前記第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部とを含む、端子部品。
【請求項4】
前記食い込み部は楔形状である、請求項1に記載された端子部品。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
電池ケースと、
前記電池ケースに取り付けられた電極端子と
を備え、
前記電極端子は、請求項1または4に記載された端子部品を含む、二次電池。
【請求項7】
第1金属を用意する工程と、
第2金属を用意する工程と、
前記第1金属と前記第2金属とを加圧する工程と
を含み、
前記第1金属は、
前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、
前記第1凹部の中心において頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、かつ、前記頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出した第1凸部と
を備え、
前記加圧する工程では、
前記第1金属と前記第2金属とを相互に加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させることによって、前記第1凹部の前記開口の縁および前記第1凸部の前記頂部の縁を前記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を少なくとも3箇所に形成させる、端子部品の製造方法。
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
第1金属を用意する工程と、
第2金属を用意する工程と、
前記第1金属と前記第2金属とを加圧する工程と
を含み、
前記第1金属は、
前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、
頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部と
を備え、
前記第2金属は、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部を備え、
前記第2凹部は、前記第1金属の最外周部が収められる寸法であり、
前記加圧する工程では、
前記第1金属と前記第2金属とを相互に加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させることによって、前記第2金属の前記第2凹部に前記第1金属の最外周部を収め、かつ、前記第1凸部の前記頂部の縁および前記第1凹部の開口の縁を前記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を少なくとも3箇所に形成させる、端子部品の製造方法。
【請求項10】
前記食い込み部は楔形状である、請求項3に記載された端子部品。
【請求項11】
電池ケースと、
前記電池ケースに取り付けられた電極端子と
を備え、
前記電極端子は、請求項3または10に記載された端子部品を含む、二次電池。」
第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
令和6年8月19日付け取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要は、次のとおりである。
(1)取消理由1(新規性)
請求項1ないし6に係る発明は、下記引用文献2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1ないし6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2)取消理由2(進歩性)
請求項1ないし9に係る発明は、下記引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
引用文献2:特開2017-103127号公報(甲第2号証)
2 引用文献2、引用発明
(1)取消理由通知(決定の予告)において引用した引用文献2(特開2017-103127号公報(甲第2号証))には、図面とともに以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審で付与した。)
「【0014】
本発明の他の側面は、上述した何れかの端子を備える蓄電池である。この蓄電池では、上述した何れかの端子が奏する上述した機能が実現される。蓄電池の性能を向上させることが可能となる。・・・。
【0019】
本発明によれば、異なる材質の2個の端子部を締結させた電気抵抗を低減可能な構造の端子を得ることができる。また、本発明によれば、電気抵抗を低減可能な構造の端子を備える蓄電池を得ることができる。更に、本発明によれば、電気抵抗を低減可能な構造の端子の製造方法を得ることができる。」
「【0022】
<端子>
端子1について、図1~図3を参照して説明する。端子1は、例えば、蓄電池用の端子として、蓄電池に設けられる。端子1は、第一端子部2と第二端子部3を締結して形成される。実施形態では、第一端子部2と第二端子部3が締結された状態を「締結状態」という(図1参照)。締結状態は、第一端子部2と第二端子部3によって端子1が形成された状態ということもできる。締結状態において、第一端子部2と第二端子部3が重なり合う方向を「軸方向」という。締結状態において、第一端子部2が配置される軸方向の側を「第一側」といい、第二端子部3が配置される軸方向の側を「第二側」という。図1に示す1点鎖線は、軸方向に重なり合った状態で第一端子部2と第二端子部3が締結された端子1の軸心Lを示す。軸方向に直交する方向を「径方向」という。径方向は、軸心Lを中心とした放射方向に一致する。
【0023】
第一端子部2は、軸方向の第二側の端部が径方向に張り出した形状を有する(図1参照)。実施形態では、径方向に張り出した部分を含む第一端子部2の軸方向の第二側の端部を、被拘束部22という。被拘束部22は、軸方向の第一側から第二側に広がった円錐台状とされる。被拘束部22は、締結状態において、第二端子部3によって拘束される。この点については、後述する。被拘束部22は、第一接触面20を含む(図2参照)。第一接触面20は、軸方向の第二側となる第一端子部2の面である。第一接触面20は、締結状態において、後述する第二端子部3の第二接触面30と接する(図1参照)。第一端子部2では、第一接触面20に複数の凸部21が形成される(図1及び図2参照)。複数の凸部21は、軸方向の第二側に突出する。複数の凸部21は、凸部21A,21B,21C,21Dを含む。実施形態では、凸部21A,21B,21C,21Dを区別しない場合、又は凸部21A,21B,21C,21Dを総称する場合、凸部21という。
・・・(中略)・・・。
【0026】
第二端子部3は、軸方向の第一側の端部が径方向に張り出した形状を有する(図1参照)。第二端子部3の軸方向の第一側の端部には、拘束部32が形成される。拘束部32は、有底筒状をした第二端子部3の部分である(図3参照)。拘束部32の底面は、第一接触面20と接する第二端子部3の第二接触面30を形成する。拘束部32には、被拘束部22が収容される。拘束部32の側壁部33の内周面は、被拘束部22の外周面に沿った形状とされる。側壁部33は、被拘束部22の外周を拘束する。即ち、側壁部33は、被拘束部22の外周を拘束するかしめ部を形成する。かしめ部としての側壁部33によって被拘束部22を拘束することで、第一端子部2と第二端子部3は、締結される。
【0027】
第二端子部3では、第二接触面30に複数の凹部31が形成される(図1及び図3参照)。複数の凹部31は、複数の凸部21に対応して設けられる(図1参照)。凸部21A,21B,21C,21Dを例とする実施形態の端子1では、凹部31は、第二接触面30に4個形成される。実施形態では、4個の凹部31を区別する場合、各凹部を、凹部31A,31B,31C,31Dという。凹部31A,31B,31C,31Dを区別しない場合、又は凹部31A,31B,31C,31Dを総称する場合、凹部31という。
【0028】
凹部31Aは、締結状態で凸部21Aに対向する第二接触面30の位置に形成された凹部である。凹部31Aは、円筒状とされる(図3参照)。凹部31Aには、締結状態において、凸部21Aが充填される(図1参照)。凹部31Aに充填された凸部21Aは、上述した通り、円筒状の凹部31Aに対応した円柱状とされる。凹部31Bは、締結状態で凸部21Bに対向する第二接触面30の位置に形成された凹部である。凹部31Bは、円環状とされる(図3参照)。凹部31Bには、締結状態において、凸部21Bが充填される(図1参照)。凹部31Bに充填された凸部21Bは、上述した通り、円環状の凹部31Bに対応した円環状とされる。凹部31Cは、締結状態で凸部21Cに対向する第二接触面30の位置に形成された凹部である。凹部31Cは、円環状とされる(図3参照)。凹部31Cには、締結状態において、凸部21Cが充填される(図1参照)。凹部31Cに充填された凸部21Cは、上述した通り、円環状の凹部31Cに対応した円環状とされる。凹部31Dは、締結状態で凸部21Dに対向する第二接触面30の位置に形成された凹部である。凹部31Dは、円環状とされる(図3参照)。凹部31Dには、締結状態において、凸部21Dが充填される(図1参照)。凹部31Dに充填された凸部21Dは、上述した通り、円環状の凹部31Dに対応した円環状とされる。
【0029】
<端子の製造方法>
端子1の製造方法について、図4~図6を参照して説明する。図4~図6に示す1点鎖線は、端子1の軸心Lに一致する。実施形態では、説明の便宜上、図4~図6に示す1点鎖線についても、軸心Lという。また、実施形態では、端子1の製造方法を、単に「製造方法」という。第一端子部2を形成する素材を、第一部材50という。第二端子部3を形成する素材を、第二部材60という。
【0030】
第一部材50は、第一材質の部材である。第二部材60は、第二材質の部材である。即ち、第一部材50と第二部材60は、異種材料とされる。第二材質は、第一材質より硬度が高い材質とされる。第一材質としては、アルミニウム又はアルミニウム合金が例示される。第二材質としては、銅又は銅合金が例示される。第一材質がアルミニウム又はアルミニウム合金で、第二材質が銅又は銅合金である場合、第一部材50のビッカース硬度は、20HV~100HVの範囲の所定値とされ、第二部材60のビッカース硬度は、50HV~200HVの範囲の所定値(但し、第一部材50より高硬度)とされる。
【0031】
第一部材50は、軸方向の第二側の端部が径方向に張り出した形状を有する(図4参照)。この径方向に張り出した部分を含む第一部材50の軸方向の第二側の端部は、製造方法によって被拘束部22へと形成される。被拘束部22へと形成される第一部材50の軸方向の第二側の端部は、第一部材50の軸方向の第二側の面を含む。第一部材50の軸方向の第二側の面は、製造方法によって第一接触面20へと形成される。実施形態では、第一接触面20へと形成される第一部材50の軸方向の第二側の面を、第一面51という。
軸方向において第一面51とは反対側となる第一部材50の第一側の面を、第三面52と いう。被拘束部22へと形成される第一部材50の軸方向の第二側の端部を、張出部53 という。張出部53において、径方向に張り出した張出部53の部分を、被拘束部22の 領域R(図1参照)に準じて、張出部53の領域Rという(図4参照)。
・・・(中略)・・・。。
【0034】
第二部材60は、軸方向の第一側の端部が径方向に張り出した形状を有する(図4参照)。第二部材60の軸方向の第一側の端部には、有底筒状をした筒部61が形成される。筒部61は、製造方法によって拘束部32へと形成される。筒部61の底面となる第二部材60の面は、そのままの状態で第二接触面30とされる。実施形態では、第二接触面30とされる第二部材60の面(筒部61の底面)を、第二面62という。第二面62には、製造方法の実施に先立ち、凹部31A,31B,31C,31Dが形成される。第二部材60を形成する加工方法としては、鍛造が例示される。第二部材60が鍛造によって形成される場合、鍛造用の金型には、凹部31A,31B,31C,31Dに対応する成形部が設けられる。凹部31A,31B,31C,31Dは、前述の成形部によって銅又は銅合金を塑性変形させて形成される。実施形態では、第二部材60を形成する鍛造用の金型の図示は、省略されている。第一部材50も、第二部材60と同様、例えば、鍛造によって形成される。
【0035】
製造方法では、第一部材50と第二部材60が、所定の加工装置に取り付けられた1組の金型を用いて塑性変形される。即ち、製造方法では、第一部材50と第二部材60が鍛造される。製造方法における第一部材50と第二部材60の塑性変形は、第一部材50と第二部材60を軸方向に押圧して行われる。実施形態では、加工装置において、軸方向の第一側に取り付けられる金型を、上金型70といい、軸方向の第二側に取り付けられる金型を、下金型80という。加工装置は、上金型70を軸方向に移動させる構成を備えることとする。このような加工装置では、第一部材50と第二部材60に対する軸方向への押圧は、上金型70を、軸方向の第二側に移動させることで行われる。この場合、押圧方向は、軸方向の第二側に向かう方向となる。
【0036】
製造方法は、収容工程と、かしめ工程と、充填工程を含む。収容工程は、張出部53を筒部61に収容する工程である。第一面51と第二面62は、張出部53が筒部61に収容された状態で接する。即ち、収容工程では、第一部材50と第二部材60が、張出部53が筒部61に収容された状態で、下金型80にセットされる(図5上段参照)。図5上段では、上金型70の図示は、省略されている。収容工程の終了後、製造方法は、かしめ工程と充填工程に移行する。かしめ工程と充填工程では、第一部材50と第二部材60が塑性変形される。
【0037】
かしめ工程は、筒部61の側壁部63を、収容工程で筒部61に収容された張出部53の側に塑性変形させる工程である。充填工程は、第一面51と第二面62を接させた状態で、第一面51に凸部21A,21B,21C,21Dを形成する工程である。充填工程では、第一部材50の所定の各部が、第二面62に形成された凹部31A,31B,31C,31Dに充填される。
【0038】
収容工程の終了後、加工装置は、駆動を開始する。加工装置の駆動に伴い、上金型70は、軸方向の第二側に移動され、第一部材50に接近する。上金型70は、第一成形部71で穴部54の底面のうちの所定の領域に接する(図5下段参照)。第一成形部71は、上金型70において、径方向の位置が軸心Lに一致する位置で軸方向の第二側に突出した状態で設けられる。加工装置では、上金型70の軸方向の第二側への移動が継続され、第一成形部71は、穴部54の底部の一部を、軸方向の第二側に押圧する。穴部54の底部は、穴部54の底面を含む第一部材50の部分である。これに伴い、第一成形部71と接する穴部54の底部の一部は、軸方向の第二側に塑性変形する。第一部材50では、第一面51の側で、塑性変形する穴部54の底部の一部が軸方向の第二側に隆起し、この部分が凹部31Aに充填される(図6上段参照)。
【0039】
上金型70は、軸方向の第二側への移動に伴い、第一成形部71が穴部54の底面に接し、穴部54の底部の一部を軸方向の第二側に押圧した状態のまま、第二成形部72で、張出部53と側壁部63の軸方向の第一側の各面に接する(図6上段参照)。第二成形部72は、上金型70において、第一成形部71の外周に設けられる(図4参照)。第二成形部72は、円環状とされる。第二成形部72は、領域S1で、張出部53の領域Rを、全周に亘って軸方向の第二側に押圧する。これに伴い、張出部53の領域Rは、軸方向の第二側に塑性変形する。第一部材50では、第一面51の側で、塑性変形する張出部53の領域Rのうち、凹部31Bに対向する部分が軸方向の第二側に隆起し、この部分が凹部31Bに充填される(図6下段参照)。第一部材50では、第一面51の側で、塑性変形する張出部53の領域Rのうち、凹部31Cに対向する部分が軸方向の第二側に隆起し、この部分が凹部31Cに充填される(図6下段参照)。第一部材50では、第一面51の側で、塑性変形する張出部53の領域Rのうち、凹部31Dに対向する部分が軸方向の第二側に隆起し、この部分が凹部31Dに充填される(図6下段参照)。
【0040】
第二成形部72は、領域S2で、側壁部63を、全周に亘って軸方向の第二側に押圧する。これに伴い、側壁部63は、軸方向の第二側と径方向の中心側に塑性変形する。径方向の中心側は、軸心Lの側で、且つ張出部53の側である。張出部53は、塑性変形する側壁部63によって拘束され、第一部材50と第二部材60は、締結される(図6下段参照)。第一成形部71によって連続して軸方向の第二側に押圧される穴部54の底部の一部は、継続して軸方向の第二側に塑性変形する。第一部材50では、第一面51の側で、塑性変形する穴部54の底部の一部が、継続して軸方向の第二側に隆起し、この部分が凹部31Aに充填される(図6下段参照)。」
「【0051】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は、適宜省略する。
・・・(中略)・・・。
【0061】
(4)上記では、第一端子部2と第二端子部3は、製造方法のかしめ工程で塑性変形された側壁部33で被拘束部22の外周を拘束することで、締結される(図1及び図7参照)。凹部31A,31B,31C,31Dは、径方向の寸法が軸方向の全域において同一とされる(図4及び図7参照)。複数の凹部のうちの全部又は一部の凹部では、径方向の寸法が、軸方向の第二側より軸方向の第一側で狭くなるようにしてもよい。例えば、図4に示すように第二部材を断面した状態で、軸方向の第一側が幅狭の台形となる凹部としてもよい。このような形状の凹部に凸部を充填することで、第一端子部と第二端子部を締結することができる。この場合、拘束部32が設けられた第二端子部3の軸方向の第一側の端部では、側壁部33が省略され、第二端子部の軸方向の第一側の端部は、平板状とされる。筒部61が設けられた第二部材60の軸方向の第一側の端部でも、側壁部63が省略され、第二部材の軸方向の第一側の端部は、平板状とされる。製造方法では、かしめ工程は、省略される。下金型は、下金型80の第二成形部72の領域S2が省略された構造とされる。」
「【図1】
[図:0001426795000001.jpg]
」
「【図5】
[図:0001426795000002.jpg]
」
「【図6】
[図:0001426795000003.jpg]
」
(2)上記(1)の記載事項より、次のことがいえる。
ア 段落【0022】によれば、引用文献2には、蓄電池用端子が記載され、該蓄電池用端子は、第一端子部2と第二端子部3が重なり合い締結して形成される。
イ 段落【0029】、【0030】によれば、第一端子部2はアルミニウムにより形成され、第二端子部3は銅により形成される。
ウ 段落【0023】によれば、第一端子部2は第一接触面20を有し、第二端子部3は第二接触面30を有し、第一接触面20と第二接触面30とは締結状態において接する。そして、段落【0022】によれば、締結状態とは、第一端子部2と第二端子部3が締結された状態である。
よって、蓄電池用端子において、第一端子部2は第一接触面20を有し、第二端子部3は第二接触面30を有し、第一接触面20と第二接触面30とは、第一端子部2と第二端子部3が締結された締結状態において接するといえる。
エ 段落【0023】によれば、第一端子部2の第一接触面20には、4個の凸部21A,21B,21C,21Dが形成され、段落【0027】によれば、第二端子部3の第二接触面30には、凸部21A,21B,21C,21Dに対応して4個の凹部31A,31B,31C,31Dが形成される。
そして、段落【0028】によれば、前記凹部31A,31B,31C,31Dは、締結状態で前記凸部21A,21B,21C,21Dに対向する第二接触面30の位置に形成され、締結状態において凸部21A,21B,21C,21Dが充填される。
よって、蓄電池用端子において、第一接触面20には4個の凸部21A,21B,21C,21Dが形成され、第二接触面30には第一接触面20の凸部21A,21B,21C,21Dに対向して4個の凹部31A,31B,31C,31Dが形成され、締結状態において第一接触面20の凸部21A,21B,21C,21Dが第二接触面30の凹部31A,31B,31C,31Dに充填されるといえる。
オ 図1によれば、第一端子部2の第一接触面20には、凸部21Aと凸部21Bとの間、凸部2Bと凸部21Cとの間、凸部21Cと凸部21Dとの間に、それぞれ凹部が形成され、第二端子部3の第二接触面30には、第一接触面20に形成された各凹部に対向して、凹部31Aと凹部31Bとの間、凹部31Bと凹部31Cとの間、凹部31Cと凹部31Dとの間に、それぞれ凸部が形成されていることが見て取れる。
よって、蓄電池用端子において、第一接触面20には4個の凸部21A,21B,21C,21Dのそれぞれの間に凹部が形成され、第二接触面30には、第一接触面20の各凹部に対向して、4個の凹部31A,31B,31C,31Dのそれぞれの間に凸部が形成されているといえる。
カ 段落【0061】に「凹部31A,31B,31C,31Dは、径方向の寸法が軸方向の全域において同一とされる(図4及び図7参照)。複数の凹部のうちの全部又は一部の凹部では、径方向の寸法が、軸方向の第二側より軸方向の第一側で狭くなるようにしてもよい。例えば、図4に示すように第二部材を断面した状態で、軸方向の第一側が幅狭の台形となる凹部としてもよい。」と記載されているところ、段落【0022】によれば、「軸方向」とは「締結状態において、第一端子部2と第二端子部3が重なり合う方向」であり、「第一側」とは「第一端子部2が配置される軸方向の側」であり、「第二側」とは「第二端子部3が配置される軸方向の側」であることから、引用文献2には、凹部31A,31B,31C,31Dは、径方向の寸法が、締結状態において第一端子部2と第二端子部3が重なり合う方向である軸方向の第二端子部3が配置される軸方向の側である第二側より該軸方向の第一端子部2が配置される側である第一側で狭くなり、該軸方向の該第一側が幅狭の台形となることが記載されているといえる。
(3)上記(2)によれば、引用文献2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。
「第一端子部2と第二端子部3が重なり合い締結して形成される蓄電池用端子であって、
第一端子部2はアルミニウムにより形成され、第二端子部3は銅により形成され、
第一端子部2は第一接触面20を有し、第二端子部3は第二接触面30を有し、第一接触面20と第二接触面30とは、第一端子部2と第二端子部3が締結された締結状態において接し、
第一接触面20には4個の凸部21A,21B,21C,21Dが形成され、第二接触面30には第一接触面20の凸部21A,21B,21C,21Dに対向して4個の凹部31A,31B,31C,31Dが形成され、締結状態において第一接触面20の凸部21A,21B,21C,21Dが第二接触面30の凹部31A,31B,31C,31Dに充填され、
第一接触面20には4個の凸部21A,21B,21C,21Dのそれぞれの間に凹部が形成され、第二接触面30には、第一接触面20の各凹部に対向して、4個の凹部31A,31B,31C,31Dのそれぞれの間に凸部が形成され、
前記凹部31A,31B,31C,31Dは、径方向の寸法が、締結状態において第一端子部2と第二端子部3が重なり合う方向である軸方向の第二端子部3が配置される側である第二側より該軸方向の第一端子部2が配置される側である第一側で狭くなり、該軸方向の該第一側が幅狭の台形となる、蓄電池用端子。」
(4)また、上記(1)の記載事項より、次のこともいえる。
キ 段落【0029】によれば、引用文献2には、端子の製造方法が記載されている。
ク 段落【0029】、【0031】には、第一面51を有する第一部材50が記載され、段落【0034】には、凹部31A,31B,31C,31Dが形成された第二面62を有する第二部材60が記載されている。
また、図5によれば、第二面62には、凹部31Aと凹部31Bとの間、凹部31Bと凹部31Cとの間、凹部31Cと凹部31Dとの間に、それぞれ凸部が形成されていることが見て取れる。
そして、段落【0034】の「製造方法の実施に先立ち、凹部31A,31B,31C,31Dが形成される。第二部材60を形成する加工方法としては、鍛造が例示される。・・・。第一部材50も、第二部材60と同様、例えば、鍛造によって形成される。」との記載によれば、端子の製造方法において、第一部材50及び第二部材60は端子の製造に先立ち予め鍛造によって形成する、即ち、第一部材50及び第二部材60を予め準備する工程を有しているといえる。
よって、端子の製造方法は、第一面51を有する第一部材50と、4個の凹部31A,31B,31C,31Dが形成され、各凹部のそれぞれの間に凸部が形成された第二面62を有する第二部材60とを予め準備する工程を含むといえる。
ケ 段落【0035】に「製造方法では、第一部材50と第二部材60が、所定の加工装置に取り付けられた1組の金型を用いて塑性変形される。・・・。製造方法における第一部材50と第二部材60の塑性変形は、第一部材50と第二部材60を軸方向に押圧して行われる。実施形態では、加工装置において、軸方向の第一側に取り付けられる金型を、上金型70といい、軸方向の第二側に取り付けられる金型を、下金型80という。・・・。このような加工装置では、第一部材50と第二部材60に対する軸方向への押圧は、上金型70を、軸方向の第二側に移動させることで行われる。」と、段落【0036】に「第一部材50と第二部材60が、・・・下金型80にセットされる」とそれぞれ記載され、図5、図6によれば、第一部材50の第一面51と第二部材60の第二面62が接した状態で下金型にセットされ、上金型70を下金型80に向けて移動させて第一部材50を押圧することが見て取れる。
してみると、端子の製造方法は、第一部材50の第一面51と第二部材60の第二面62が接した状態で下金型にセットされ、上金型を下金型に向けて移動させて第一部材50を押圧し塑性変形する工程が記載されているといえる。
コ 段落【0030】によれば、第一部材50はアルミニウムにより形成され、第二部材60は銅により形成される。
サ 段落【0029】によれば、第一端子部2を形成する素材が第一部材50であり、第二端子部3を形成する素材が第二部材60であり、段落【0034】によれば、第二接触面30は第二面62であるところ、上記カも踏まえれば、端子の製造方法において、第二部材60の第二面62に形成された各凹部を、径方向の寸法が、締結状態において第一部材50と第二部材60が重なり合う方向である軸方向の第二部材60が配置される側である第二側より該軸方向の第一部材50が配置される側である第一側で狭くなり、該軸方向の該第一側が幅狭の台形とすることも記載されているといえる。
シ 引用文献2の段落【0036】の「充填工程では、第一部材50と第二部材60が塑性変形される。」、【0037】の「充填工程では、第一部材50の所定の各部が、第二面62に形成された凹部31A,31B,31C,31Dに充填される。」、【0038】の「第一部材50では、第一面51の側で、塑性変形する穴部54の底部の一部が軸方向の第二側に隆起し、この部分が凹部31Aに充填される」、【0039】の「第一部材50では、第一面51の側で、塑性変形する張出部53の領域Rのうち、凹部31Bに対向する部分が軸方向の第二側に隆起し、この部分が凹部31Bに充填される(図6下段参照)。第一部材50では、第一面51の側で、塑性変形する張出部53の領域Rのうち、凹部31Cに対向する部分が軸方向の第二側に隆起し、この部分が凹部31Cに充填される(図6下段参照)。第一部材50では、第一面51の側で、塑性変形する張出部53の領域Rのうち、凹部31Dに対向する部分が軸方向の第二側に隆起し、この部分が凹部31Dに充填される」、段落【0040】の「第一部材50では、第一面51の側で、塑性変形する穴部54の底部の一部が、継続して軸方向の第二側に隆起し、この部分が凹部31Aに充填される」とそれぞれ記載されていることから、第一部材50と第二部材60を塑性変形する場合、第二面62に形成された各凹部31A,31B,31C,31Dに対向する第一面51の部分が、塑性変形して隆起し各凹部31A,31B,31C,31Dに充填されるといえる。
してみると、上記ク、ケも踏まえれば、第一部材50を押圧し塑性変形する工程では、前記第二面62に形成された各凹部31A,31B,31C,31Dに対向する前記第一面51の部分が、塑性変形して隆起し各凹部31A,31B,31C,31Dに充填されるといえる。
(5)上記(4)によれば、引用文献2には以下の発明(以下、「引用発明2a」という。)が記載されている。
「端子の製造方法であって、
第一面51を有する第一部材50と、4個の凹部31A,31B,31C,31Dが形成され、各凹部のそれぞれの間に凸部が形成された第二面62を有する第二部材60とを予め準備する工程と、
第一部材50の第一面51と第二部材60の第二面62が接した状態で下金型にセットされ、上金型を下金型に向けて移動させて第一部材50を押圧し塑性変形する工程とを含み、
第一部材50はアルミニウムにより形成され、第二部材60は銅により形成され、
第二部材60の第二面62に形成された各凹部は、径方向の寸法が、締結状態において第一部材50と第二部材60が重なり合う方向である軸方向の第二部材60が配置される側である第二側より該軸方向の第一部材50が配置される側である第一側で狭くなり、該軸方向の該第一側が幅狭の台形とされ、
第一部材50を押圧し塑性変形する工程では、前記第二面62に形成された各凹部31A,31B,31C,31Dに対向する前記第一面51の部分が、塑性変形して隆起し各凹部31A,31B,31C,31Dに充填される、端子の製造方法。」
3 取消理由についての当審の判断
本件訂正により、訂正前の請求項2、5、8は削除されたため、訂正後の請求項1、3、4、6、7、9、10、11について判断する。
(1)取消理由1(新規性)について
ア 本件発明1について
(ア)引用発明2との対比
a 引用発明2の「銅により形成され」る「第二端子部3」は、本件発明1の「第1金属」に相当し、引用発明2の「第二端子部3」と「重なり合い締結」され、「アルミニウムにより形成」される「第一端子部2」は、本件発明1の「第1金属に重ねられた第2金属」に相当する。
b 引用発明2の「第一端子部2はアルミニウムにより形成され、第二端子部3は銅により形成され」ることは、本件発明1の「第1金属は前記第2金属よりも剛性が高」いことに相当する。
c 本件発明1は、「第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が、少なくとも4箇所に設けられて」いるのに対し、引用発明2はその旨特定されていない点で相違する。
d 引用発明2において、「第一接触面20」と「接」した「第二接触面30」は、本件発明1の「第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面」に相当する。
また、引用発明2は「第二接触面30には第一接触面20の凸部21A,21B,21C,21Dに対向して4個の凹部31A,31B,31C,31Dが形成され」るところ、「凹部31A,31B,31C,31Dは、径方向の寸法が、締結状態において第一端子部2と第二端子部3が重なり合う方向である軸方向の第二端子部3が配置される側である第二側より該軸方向の第一端子部2が配置される側である第一側で狭くなり、該軸方向の該第一側が幅狭の台形となる」ことから、引用発明2の「第二接触面30」に形成された「凹部31A,31B,31C,31D」は、「径方向の寸法」が「第一側」、即ち、凹部の開口側が、「第二側」、即ち、凹部の底面側より幅狭であるといえ、本件発明1の「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部」に相当する。
そして、引用発明2では、上記「凹部31A,31B,31C,31D」の「径方向の寸法」は開口側が底面側より幅狭であることを踏まえると、「第二接触面30」の「凹部31A,31B,31C,31Dのそれぞれの間に」形成された「凸部」は、頂上部分の縁が基端部分よりも外側に張り出していると解される。してみると、引用発明2において、「凹部31A,31B,31C,31Dのそれぞれの間に」形成され、頂上部分の縁が基端部分よりも外側に張り出している「凸部」と本件発明1とは「頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部」である点で共通する。
よって、引用発明2において、「第二端子部3」は、「第一接触面20」と「接」する「第二接触面30」に、「径方向の寸法」は開口側が底面側より幅狭である「凹部31A,31B,31C,31D」と、「凹部31A,31B,31C,31Dのそれぞれの間に」形成され、頂上部分の縁が基端部分よりも外側に張り出している「凸部」とを備えることと本件発明1とは、「第1金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部とを備え」る点で共通する。
ただし、第1凸部に関し、本件発明1は「第1凹部の中心において」頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、「頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出し」ているのに対し、引用発明2はその旨特定されていない点で相違する。
e 引用発明2において、「第二接触面30」と「接」した「第一接触面20」は、本件発明1の「第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面」に相当する。
そして、引用発明2では、「第一接触面20」に「4個の凸部21A,21B,21C,21D」と、「4個の凸部21A,21B,21C,21Dのそれぞれの間」に「凹部」と、が形成される。
してみると、引用発明2において、「第二接触面30」と「接」した「第一接触面20」に、「4個の凸部21A,21B,21C,21D」と、「4個の凸部21A,21B,21C,21Dのそれぞれの間」に形成される「凹部」とを備えることと本件発明1とは、「第2金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、第2凹部と、第2凸部とを備え」る点で共通する。
ただし、第2凹部に関し、本件発明1は「開口の縁が底部よりも内側に張り出し」ているのに対し、引用発明2はその旨特定されておらず、また、第2凸部に関し、本件発明1は「頂部の縁が基端よりも外側に張り出し」ているのに対し、引用発明2はその旨特定されていない点で相違する。
f 本件発明1は「少なくとも4箇所に設けられている前記食い込み部は、前記第1金属の前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第1金属の前記第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第2金属の前記第2凹部の開口の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第2金属の前記第2凸部の頂部の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部とを含む」のに対し、引用発明2はその旨特定されていない点で相違する。
g 引用発明2の「蓄電池用端子」は、本件発明1の「端子部品」に相当する。
上記aないしgによれば、本件発明1と引用発明2との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「第1金属と、
前記第1金属に重ねられた第2金属と
を備え、
前記第1金属は前記第2金属よりも剛性が高く、
ここで、前記第1金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、
頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部と
を備え、
前記第2金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
第2凹部と、
第2凸部と
を備える、端子部品。」
[相違点1]
本件発明1は、「第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が、少なくとも4箇所に設けられて」いるのに対し、引用発明2はその旨特定されていない点。
[相違点2]
第1凸部に関し、本件発明1は「第1凹部の中心において」頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、「頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出し」ているのに対し、引用発明2はその旨特定されていない点。
[相違点3]
第2凹部に関し、本件発明1は「開口の縁が底部よりも内側に張り出し」ているのに対し、引用発明2はその旨特定されておらず、また、第2凸部に関し、本件発明1は「頂部の縁が基端よりも外側に張り出し」ているのに対し、引用発明2はその旨特定されていない点。
[相違点4]
本件発明1は「少なくとも4箇所に設けられている前記食い込み部は、前記第1金属の前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第1金属の前記第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第2金属の前記第2凹部の開口の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第2金属の前記第2凸部の頂部の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部とを含む」のに対し、引用発明2はその旨特定されていない点。
(イ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点2について判断する。
引用文献2には、第二端子部3の第二接触面30に形成された「凹部31A,31B,31C,31D」の中心に凸部を設け、さらに、該凸部の頂部が「凹部31A,31B,31C,31D」の開口よりも高く突出させる記載や示唆は見当たらない。
してみると、相違点2は実質的な相違である。
(ウ)小括
したがって、相違点2は実質的な相違であるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、引用文献2に記載された発明ではない。
イ 本件発明3について
(ア)引用発明2との対比
a 引用発明2の「銅により形成され」る「第二端子部3」は、本件発明3の「第1金属」に相当し、引用発明2の「第二端子部3」と「重なり合い締結」され、「アルミニウムにより形成され」る「第一端子部2」は、本件発明3の「第1金属に重ねられた第2金属」に相当する。
b 引用発明2の「第一端子部2はアルミニウムにより形成され、第二端子部3は銅により形成され」ることは、本件発明3の「第1金属は前記第2金属よりも剛性が高」いことに相当する。
c 本件発明3は、「第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が、少なくとも3箇所に設けられて」いるのに対し、引用発明2はその旨特定されていない点で相違する。
d 引用発明2において、「第一接触面20」と「接」した「第二接触面30」は、本件発明3の「第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面」に相当する。
また、引用発明2は「第二接触面30には第一接触面20の凸部21A,21B,21C,21Dに対向して4個の凹部31A,31B,31C,31Dが形成され」るところ、「凹部31A,31B,31C,31Dは、径方向の寸法が、締結状態において第一端子部2と第二端子部3が重なり合う方向である軸方向の第二端子部3が配置される側である第二側より該軸方向の第一端子部2が配置される側である第一側で狭くなり、該軸方向の該第一側が幅狭の台形となる」ことから、引用発明2の「第二接触面30」に形成された「凹部31A,31B,31C,31D」は、「径方向の寸法」が「第一側」、即ち、凹部の開口側が、「第二側」、即ち、凹部の底面側より幅狭であるといえ、本件発明3の「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部」に相当する。
そして、引用発明2では、上記「凹部31A,31B,31C,31D」の「径方向の寸法」は開口側が底面側より幅狭であることを踏まえると、「第二接触面30」の「凹部31A,31B,31C,31Dのそれぞれの間に」形成された「凸部」は、頂上部分の縁が基端部分よりも外側に張り出していると解され、本件発明3の「頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部」に相当する。
してみると、引用発明2において、「第二端子部3」は、「第一接触面20」と「接」する「第二接触面30」に、「径方向の寸法」は開口側が底面側より幅狭である「凹部31A,31B,31C,31D」と、「凹部31A,31B,31C,31Dのそれぞれの間に」形成され、頂上部分の縁が基端部分よりも外側に張り出している「凸部」とを備えることは、本件発明3の「第1金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部とを備え」ることに相当する。
e 引用発明2において、「第二接触面30」と「接」した「第一接触面20」は、本件発明3の「第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面」に相当する。
そして、引用発明2では、「第一接触面20には4個の凸部21A,21B,21C,21Dのそれぞれの間に凹部が形成され」る。
してみると、引用発明2において、「第二接触面30」と「接」した「第一接触面20」に、「4個の凸部21A,21B,21C,21Dのそれぞれの間」に形成される「凹部」を備えることと本件発明3とは「第2金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、第2凹部を備え」る点で共通する。
ただし、第2凹部に関し、本件発明3は「開口の縁が底部よりも内側に張り出し」、「第1金属の最外周部が収められて」いるのに対し、引用発明2はその旨特定されていない点で相違する。
f 本件発明3は「少なくとも3箇所に設けられている前記食い込み部は、前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前起第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部とを含む」のに対し、引用発明2はその旨特定されていない点で相違する。
g 引用発明2の「蓄電池用端子」は、本件発明3の「端子部品」に相当する。
上記aないしgによれば、本件発明3と引用発明2との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「第1金属と、
前記第1金属に重ねられた第2金属と
を備え、
前記第1金属は前記第2金属よりも剛性が高く、
ここで、前記第1金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、
頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部と
を備え、
前記第2金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
第2凹部を備えた、端子部品。」
[相違点5]
本件発明3は「第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が、少なくとも3箇所に設けられて」いるのに対し、引用発明2はその旨特定されていない点。
[相違点6]
第2凹部に関し、本件発明3は「開口の縁が底部よりも内側に張り出し」、「第1金属の最外周部が収められて」いるのに対し、引用発明2はその旨特定されていない点。
[相違点7]
本件発明3は「少なくとも3箇所に設けられている前記食い込み部は、前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前起第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部とを含む」のに対し、引用発明2はその旨特定されていない点。
(イ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点6について判断する。
引用文献2には、第一端子部2の「4個の凸部21A,21B,21C,21D」のそれぞれの間に形成された凹部に、第二端子部3の最外周部を収めるように構成する記載や示唆は見当たらない。
してみると、相違点6は実質的な相違である。
(ウ)小括
したがって、相違点6は実質的な相違であるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、引用文献2に記載された発明ではない。
ウ 本件発明4、6について
請求項4、6は、請求項1を引用するものであり、本件発明4、6は、引用する本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明1に対する理由と同様な理由により、本件発明4、6は、引用文献2に記載された発明ではない。
エ 本件発明10、11について
請求項10、11は、請求項3を引用するものであり、本件発明10、11は、引用する本件発明3の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明3に対する理由と同様な理由により、本件発明10、11は、引用文献2に記載された発明ではない。
オ まとめ
以上から、請求項1、3、4、6、10、11に係る発明は、引用文献2に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、請求項1、3、4、6、10、11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではない。
(2)取消理由2(進歩性)について
ア 本件発明1について
(ア)引用発明2との対比
上記(1)ア(ア)で検討したように、本件発明1と引用発明2との相違点は以下のとおりである。
[相違点1]
本件発明1は、「第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が、少なくとも4箇所に設けられて」いるのに対し、引用発明2はその旨特定されていない点。
[相違点2]
第1凸部に関し、本件発明1は「第1凹部の中心において」頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、「頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出し」ているのに対し、引用発明2はその旨特定されていない点。
[相違点3]
第2凹部に関し、本件発明1は「開口の縁が底部よりも内側に張り出し」ているのに対し、引用発明2はその旨特定されておらず、また、第2凸部に関し、本件発明1は「頂部の縁が基端よりも外側に張り出し」ているのに対し、引用発明2はその旨特定されていない点。
[相違点4]
本件発明1は「少なくとも4箇所に設けられている前記食い込み部は、前記第1金属の前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第1金属の前記第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第2金属の前記第2凹部の開口の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第2金属の前記第2凸部の頂部の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部とを含む」のに対し、引用発明2はその旨特定されていない点。
(イ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点2について判断する。
上記(1)ア(イ)で検討したように、引用文献2には、第二端子部3の第二接触面30に形成された「凹部31A,31B,31C,31D」の中心に凸部を設け、さらに、該凸部の頂部が「凹部31A,31B,31C,31D」開口よりも高く突出させる記載や示唆は見当たらない。
そして、引用発明2の「凹部31A,31B,31C,31D」の中心に凸部を設け、該凸部の頂部が「凹部31A,31B,31C,31D」の開口よりも高く突出するような構成とする格別な理由もなく、それを裏付ける証拠も提出されていない。
よって、相違点2に係る構成は、引用発明2に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。
(ウ)特許異議申立人の主張について
a 特許異議申立人は、令和6年12月13日提出の意見書において、引用文献2の段落番号0061に記載された事項ならびに、引用文献2の図1等を上下逆さにすれば明らかなように、引用文献2に記載された発明(以下、引用発明2という)と訂正発明1との相違点は、訂正発明1の第1金属および第2金属について、その剛性の大小関係が引用発明2の第一端子部および第二端子部のそれとは異なる点のみで、その他の構成については一致し、該相違点について検討すると、電池端子において異種金属材料を接合して構成することは周知技術であり、これら金属材料は各々任意に選択されるものであるから、第1金属および第2金属について、その剛性の大小関係を訂正発明1のように選択することは単なる設計事項である旨主張する。(3頁20ないし34行)
b しかし、上記(1)ア(ア)で検討したように、本件発明1と引用発明2とは、相違点1ないし相違点4の点で相違するものであるところ、特許異議申立人は、「引用文献2の段落番号0061に記載された事項ならびに、引用文献2の図1等を上下逆さにすれば明らか」との理由のみで、「引用文献2に記載された発明(以下、引用発明2という)と訂正発明1との相違点は、訂正発明1の第1金属および第2金属について、その剛性の大小関係が引用発明2の第一端子部および第二端子部のそれとは異なる点のみ」であると結論付けており、本件発明1と引用発明2との発明特定事項に係る対比について何等説明していないことから、特許異議申立人の相違点に対する主張は妥当なものとは認められず採用できない。
c また、仮に、本件発明1と引用発明2との相違点が、特許異議申立人の主張する相違点のみであるとしても、引用文献2の段落【0008】ないし【0010】によれば、引用発明2は、異なる材質の2個の端子部を締結させた端子において電気抵抗を低減可能な技術を提供するという課題を解決するために、電気伝導性を有する第一材質によって形成される第一端子部と、電気伝導性を有し且つ前記第一材質より硬度が高い材質によって形成される第二端子部と、を備え、前記第一端子部は、前記第一端子部の第一接触面に凸部を備え、前記第二端子部は、前記第二端子部の第二接触面に凹部を備え、前記凸部を、前記第一端子部と前記第二端子部とが締結された締結状態で、前記凹部に充填させるものであるから、第一端子部の凸部が第二端子部の凹部に充填される程度に、第一端子部の第一材質が第二端子部の材質よりも硬度が低い材質とすることは必要不可欠であることは明らかであり、引用発明2において、第一端子部2の材質を第二端子部3の材質より硬度が高い材質とすることに動機付けはなく、むしろ阻害要因があるといえる。
してみると、「電池端子において異種金属材料を接合して構成すること」が周知技術であるとしても、引用発明2において、第一端子部2の材質を第二端子部3の材質より硬度が高い材質とすることは当業者が容易に想到し得ないことである。
よって、特許異議申立人の「第1金属および第2金属について、その剛性の大小関係を訂正発明1のように選択することは単なる設計事項である」との主張は採用できない。
(エ)小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものではない。
イ 本件発明3について
(ア)引用発明2との対比
上記(1)イ(ア)で検討したように、本件発明3と引用発明2との相違点は以下のとおりである。
[相違点5]
本件発明3は「第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が、少なくとも3箇所に設けられて」いるのに対し、引用発明2はその旨特定されていない点。
[相違点6]
第2凹部に関し、本件発明3は「開口の縁が底部よりも内側に張り出し」、「第1金属の最外周部が収められて」いるのに対し、引用発明2はその旨特定されていない点。
[相違点7]
本件発明3は「少なくとも3箇所に設けられている前記食い込み部は、前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前起第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部とを含む」のに対し、引用発明2はその旨特定されていない点。
(イ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点6について判断する。
上記(1)イ(イ)で検討したように、引用文献2には、第一端子部2の「4個の凸部21A,21B,21C,21D」のそれぞれの間に形成された凹部に、第二端子部3の最外周部を収めるように構成する記載や示唆は見当たらない。
そして、引用発明2の「4個の凸部21A,21B,21C,21D」のそれぞれの間に形成された凹部に、第二端子部3の最外周部を収めるように構成する格別な理由もなく、それを裏付ける証拠も提出されていない。
よって、相違点6に係る構成は、引用発明2に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。
(ウ)異議申立人の主張について
a 特許異議申立人は、令和6年12月13日提出の意見書において、引用文献2の図1等を上下逆さにすれば明らかなように、訂正発明3と引用発明2との相違点は、訂正発明1の第1金属部材および第2金属部材の剛性の大小関係が、引用発明2の第一端子部および第二端子部のそれとは異なる点のみであり、この相違点についても単なる設計事項である旨主張する。(第4頁18ないし23行)
b しかし、上記ア(ウ)bでも述べたのと同様に、本件発明3と引用発明2との発明特定事項に係る対比について何等説明していないことから、特許異議申立人の相違点に対する主張は妥当なものとは認められず採用できない。
また、上記ア(ウ)cでも述べたのと同様に、引用文献2の段落【0008】ないし【0010】によれば、引用発明2において、第一端子部2の材質を第二端子部3の材質より硬度が高い材質とすることに動機付けはなく、むしろ阻害要因があるといえる。
(エ)小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものではない。
ウ 本件発明4、6について
請求項4、6は請求項1を引用するものであり、本件発明4、6は、本件発明1の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様な理由により、本件発明4、6は、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ 本件発明7について
(ア)引用発明2aとの対比
a 引用発明2aにおいて、「銅により形成され」る「第二部材60」及び「アルミニウムにより形成され」る「第一部材50」は、本件発明7の「第1金属」及び「第2金属」にそれぞれ相当する。
よって、引用発明2aの「第二部材60」と「第一部材50」とを「予め準備する工程」は、本件発明7の「第1金属を用意する工程と、第2金属を用意する工程」に相当する。
b 引用発明2aの「第一部材50の第一面51と第二部材60の第二面62が接した状態で下金型にセットされ、上金型を下金型に向けて移動させて第一部材50を押圧し塑性変形する工程」は、本件発明7の「第1金属と前記第2金属とを加圧する工程」に相当する。
c 引用発明2aにおいて「第一部材50はアルミニウムにより形成され、第二部材60は銅により形成され」ていることから、第二部材60は第一部材50よりも剛性が高いといえ、本件発明7の「第1金属は、前記第2金属よりも剛性が高」いことに相当する。
また、引用発明2aは「第二部材60」の「第二面62」には、「4個の凹部31A,31B,31C,31Dが形成され」るところ、「第二面62に形成された各凹部は、径方向の寸法が、締結状態において第一部材50と第二部材60が重なり合う方向である軸方向の第二部材60が配置される側である第二側より該軸方向の第一部材50が配置される側である第一側で狭くなり、該軸方向の該第一側が幅狭の台形とされ」ることから、引用発明2aの「第二面62」に形成された「凹部31A,31B,31C,31D」は、「径方向の寸法」が「第一側」、即ち、凹部の開口側が、「第二側」、即ち、凹部の底面側より幅狭であるといえ、本件発明7の「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部」に相当する。
そして、引用発明2aでは、上記「凹部31A,31B,31C,31D」の「径方向の寸法」は開口側が底面側より幅狭であることを踏まえると、「第二面62」の「凹部31A,31B,31C,31D」「のそれぞれの間に」形成された「凸部」は、頂上部分の縁が基端部分よりも外側に張り出していると解される。してみると、引用発明2aにおいて、「凹部31A,31B,31C,31D」「のそれぞれの間に」形成され、頂上部分の縁が基端部分よりも外側に張り出している「凸部」と本件発明7とは「頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部」である点で共通する。
よって、引用発明2aにおいて、「第二部材60」は、「第一部材50」よりも剛性が高く、「径方向の寸法」は開口側が底面側より幅狭である「凹部31A,31B,31C,31D」と、頂上部分の縁が基端部分よりも外側に張り出している「凸部」とを備えることと本件発明7とは、「第1金属は、前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部とを備え」る点で共通する。
ただし、第1凸部に関し、本件発明7は「第1凹部の中心において」頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、「頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出し」ているのに対し、引用発明2aはその旨特定されていない点で相違する。
d 引用発明2aの「第一部材50を押圧し塑性変形する工程では、前記第二面62に形成された各凹部31A,31B,31C,31Dに対向する前記第一面51の部分が、塑性変形して隆起し各凹部31A,31B,31C,31Dに充填される」ことと本件発明7とは、「前記加圧する工程では、前記第1金属と前記第2金属とを加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させる」点で共通する。
ただし、加圧する工程に関し、本件発明7は第1金属と第2金属とを「相互」に加圧し、「前記第1凹部の前記開口の縁および前記第1凸部の前記頂部の縁を記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を少なくとも3箇所に形成させる」のに対し、引用発明2aは「第二部材50」に「第一部材50を押圧し」、「第二面62に形成された各凹部31A,31B,31C,31Dに対向する前記第一面51の部分」を「各凹部31A,31B,31C,31Dに充填」する点で相違する。
e 引用発明2aの「端子の製造方法」は、本件発明7の「端子部品の製造方法」に相当する。
上記aないしeによれば、本件発明7と引用発明2aとの一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「第1金属を用意する工程と、
第2金属を用意する工程と、
前記第1金属と前記第2金属とを加圧する工程と
を含み、
前記第1金属は、
前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、
頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部と
を備え、
前記加圧する工程では、前記第1金属と前記第2金属とを加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させる、端子部品の製造方法。」
[相違点8]
第1凸部に関し、本件発明7は「第1凹部の中心において」頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、「頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出し」ているのに対し、引用発明2aはその旨特定されていない点。
[相違点9]
加圧する工程に関し、本件発明7は第1金属と第2金属とを「相互」に加圧し、「前記第1凹部の前記開口の縁および前記第1凸部の前記頂部の縁を記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を少なくとも3箇所に形成させる」のに対し、引用発明2aは「第二部材50」に「第一部材50を押圧し」、「第二面62に形成された各凹部31A,31B,31C,31Dに対向する前記第一面51の部分」を「各凹部31A,31B,31C,31Dに充填」する点。
(イ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点8について判断する。
引用文献2には、第二端子部3の第二接触面30に形成された「凹部31A,31B,31C,31D」の中心に凸部を設け、さらに、該凸部の頂部が「凹部31A,31B,31C,31D」開口よりも高く突出させる記載や示唆は見当たらない。
そして、引用発明2の「凹部31A,31B,31C,31D」の中心に凸部を設け、該凸部の頂部が「凹部31A,31B,31C,31D」の開口よりも高く突出するような構成とする格別な理由もなく、それを裏付ける証拠も提出されていない。
よって、相違点8に係る構成は、引用発明2aに基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。
(ウ)異議申立人の主張について
a 特許異議申立人は、令和6年12月13日提出の意見書において、以下の点について主張する。
(a)訂正発明1に対して述べた内容と同様の理由により、訂正発明7は、引用文献2に記載された発明に基づいて容易に想到可能な発明である。(4頁2ないし3行)
(b)本件特許権者は、意見書において、「引用発明2は、第1部材(第一端子部)をスムーズに塑性変形させるには、第二端子部の硬度が第一端子部よりも高いことは必須の構成である」と主張しているものの、異種金属同士の機械的接合における塑性変形は、金型による拘束状態と、金属材料の加工硬化の過程に大きく依存し、何も塑性変形前の各金属の硬度の大小関係だけが影響するものではないから、当該主張は、引用発明2において第一端子部と第二端子部の金属材料を変更し、これら金属の硬度の大小関係を置換することの阻害要因にはなり得ない。また訂正発明7のように、金型による拘束状態が不明な形態で両金属を上下から加圧して機械的に接合する電池端子の製造方法においては、第1金属の硬度が第2金属よりも高いものを用意することに技術的意義はなく、格別の困難性も見当たらない。(4頁5ないし14行)
b 上記各主張について検討する。
(a)主張(a)について
上記(イ)で述べたように、上記ア(イ)で判断した理由と同様の理由により、相違点8に係る「第1凸部」の構成は、引用発明2aに基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。
よって、特許異議申立人の主張(a)は採用できない。
(b)主張(b)について
上記ア(ウ)bで述べたように、引用発明2において、第一端子部2の材質を第二端子部3の材質より硬度が高い材質とすることに動機付けはなく、むしろ阻害要因があるといえる。
また、本件発明7では、「第1凹部の前記開口の縁および前記第1凸部の前記頂部の縁を前記第2金属に食い込ませ」る程度に「第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させる」ことから、該第2金属の硬度が第1金属よりも低いものを用意することは必要不可欠であり、技術的意義がないとはいえない。
よって、特許異議申立人の主張(b)は採用できない。
(エ)小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明7は、引用発明2aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
オ 本件発明9について
(ア)引用発明2aとの対比
a 引用発明2aにおいて、「銅により形成され」る「第二部材60」及び「アルミニウムにより形成され」る「第一部材50」は、本件発明9の「第1金属」及び「第2金属」にそれぞれ相当する。
よって、引用発明2aの「第二部材60」と「第一部材50」とを「予め準備する工程」は、本件発明9の「第1金属を用意する工程と、第2金属を用意する工程」に相当する。
b 引用発明2aの「第一部材50の第一面51と第二部材60の第二面62が接した状態で下金型にセットされ、上金型を下金型に向けて移動させて第一部材50を押圧し塑性変形する工程」は、本件発明9の「第1金属と前記第2金属とを加圧する工程」に相当する。
c 引用発明2aにおいて「第一部材50はアルミニウムにより形成され、第二部材60は銅により形成され」ていることから、第二部材60は第一部材50よりも剛性が高いといえ、本件発明9の「第1金属は、前記第2金属よりも剛性が高」いことに相当する。
また、引用発明2aは「第二部材60」の「第二面62」には、「4個の凹部31A,31B,31C,31Dが形成され」るところ、「第二面62に形成された各凹部は、径方向の寸法が、締結状態において第一部材50と第二部材60が重なり合う方向である軸方向の第二部材60が配置される側である第二側より該軸方向の第一部材50が配置される側である第一側で狭くなり、該軸方向の該第一側が幅狭の台形とされ」ることから、引用発明2aの「第二面62」に形成された「凹部31A,31B,31C,31D」は、「径方向の寸法」が「第一側」、即ち、凹部の開口側が、「第二側」、即ち、凹部の底面側より幅狭であるといえ、本件発明9の「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部」に相当する。
そして、引用発明2aでは、上記「凹部31A,31B,31C,31D」の「径方向の寸法」は開口側が底面側より幅狭であることを踏まえると、「第二面62」の「凹部31A,31B,31C,31D」「のそれぞれの間に」形成された「凸部」は、頂上部分の縁が基端部分よりも外側に張り出していると解され、本件発明9の「頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部」に相当する。
よって、引用発明2aにおいて、「第二部材60」は、「第一部材50」よりも剛性が高く、「径方向の寸法」は開口側が底面側より幅狭である「凹部31A,31B,31C,31D」と、頂上部分の縁が基端部分よりも外側に張り出している「凸部」とを備えることは、本件発明9の「第1金属は、前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部とを備え」ることに相当する。
d 本件発明9は「前記第2金属は、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部を備え、前記第2凹部は、前記第1金属の最外周部が収められる寸法であ」るのに対し、引用発明2aはその旨特定されていない点で相違する。
e 引用発明2aの「第一部材50を押圧し塑性変形する工程では、前記第二面62に形成された各凹部31A,31B,31C,31Dに対向する前記第一面51の部分が、塑性変形して隆起し各凹部31A,31B,31C,31Dに充填される」ことと本件発明9とは、「前記加圧する工程では、前記第1金属と前記第2金属とを加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させる」点で共通する。
ただし、加圧する工程に関し、本件発明9は第1金属と第2金属とを「相互」に加圧し、「前記第2金属の前記第2凹部に前記第1金属の最外周部を収め、かつ、前記第1凸部の前記頂部の縁および前記第1凹部の開口の縁を前記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を少なくとも3箇所に形成させる」のに対し、引用発明2aは「第二部材50」に「第一部材50を押圧し」、「第二面62に形成された各凹部31A,31B,31C,31Dに対向する前記第一面51の部分」を「各凹部31A,31B,31C,31Dに充填」する点で相違する。
f 引用発明2aの「端子の製造方法」は、本件発明9の「端子部品の製造方法」に相当する。
上記aないしfによれば、本件発明9と引用発明2aとの一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「第1金属を用意する工程と、
第2金属を用意する工程と、
前記第1金属と前記第2金属とを加圧する工程と
を含み、
前記第1金属は、
前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部と、
頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部と
を備え、
前記加圧する工程では、
前記第1金属と前記第2金属とを加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させる、端子部品の製造方法。」
[相違点10]
本件発明9は「前記第2金属は、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部を備え、 前記第2凹部は、前記第1金属の最外周部が収められる寸法であ」るのに対し、引用発明2aはその旨特定されていない点。
[相違点11]
加圧する工程に関し、本件発明9は第1金属と第2金属とを「相互」に加圧し、「前記第2金属の前記第2凹部に前記第1金属の最外周部を収め、かつ、前記第1凸部の前記頂部の縁および前記第1凹部の開口の縁を前記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を少なくとも3箇所に形成させる」のに対し、引用発明2aは「第二部材50」に「第一部材50を押圧し」、「第二面62に形成された各凹部31A,31B,31C,31Dに対向する前記第一面51の部分」を「各凹部31A,31B,31C,31Dに充填」する点。
(イ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点10について判断する。
引用文献2には、端子の製造方法で用いられる「第一部材50」に凹部を形成し、該凹部が第二部材50の最外周部が収められる寸法である記載や示唆は見当たらない。
そして、引用文献2の段落【0037】に「充填工程は、第一面51と第二面62を接させた状態で、第一面51に凸部21A,21B,21C,21Dを形成する工程である。充填工程では、第一部材50の所定の各部が、第二面62に形成された凹部31A,31B,31C,31Dに充填される。」と記載によれば、第一部材50の第一面51に形成される「凸部21A,21B,21C,21D」は、第一部材50の所定の各部が、第二部材60の第二面62に形成された凹部31A,31B,31C,31Dに充填されることで形成される。
ここで、同段落【0050】には「例えば、第一部材に複数の凸部を予め設け、第二部材に複数の凹部を予め設けた上で、端子の製造方法に、複数の凸部を複数の凹部にそれぞれ嵌め込む工程を含めることもできる(充填工程は省略)。この場合、第一端子部と第二端子部が高精度に締結された端子とするためには、第一部材における複数の凸部と第二部材における複数の凹部の寸法精度及び位置精度を、適切に管理しなければならない。上述した実施形態の製造方法によれば、塑性変形し、凹部31A,31B,31C,31Dに充填される第一部材50の部分によって第一面51(第一接触面20)に、凸部21A,21B,21C,21Dを形成することができる。そのため、予め第一部材に設けた凸部を第二部材の凹部に嵌め込む場合と比較し、前述した管理が容易となる。その結果、第一端子部2と第二端子部3が高精度に締結された端子1とすることができる。」と記載されていることから、第一部材50に複数の凸部を予め設けること、即ち、該複数の凸部間の凹部を予め設けることに動機付けはなく、むしろ阻害要因があるといえる。
よって、相違点10に係る構成は、引用発明2aに基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。
(ウ)特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、令和6年12月13日提出の意見書において、訂正発明7に対して述べた内容と同様の理由により、訂正発明9は、引用発明2に基づいて容易に想到可能な発明である旨主張する。(4頁下から8ないし7行)
しかし、上記エ(ウ)b(b)で述べたように、引用発明2aにおいて、第一端子部2の材質を第二端子部3の材質より硬度が高い材質とすることに動機付けはなく、むしろ阻害要因があるといえる。また、上記(イ)でも述べたように、相違点10の「第2凹部」に係る構成は、引用発明2aに基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。
よって、特許異議申立人の主張は採用できない。
(エ)小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明9は、引用発明2aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
カ 本件発明10、11
請求項10、11は請求項3を引用するものであり、本件発明10、11は、本件発明3の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明3についての判断と同様な理由により、本件発明10、11は、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
キ まとめ
以上から、請求項1、3、4、6、7、9ないし11に係る発明は、引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求項1、3、4、6、7、9ないし11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
第5 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について
1 訂正前の請求項1ないし9に係る特許に対する特許異議申立理由の概要
(1)申立理由1(新規性)
請求項1ないし6、9に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された甲第1号証に記載された発明であるから、特許第29条第1項第3号に該当し、請求項1ないし6、9に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2)申立理由2(進歩性)
請求項7、8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術及び甲第3号証に記載された技術に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項7、8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3)申立理由3(拡大先願)
請求項1ないし9に係る発明は、本件特許出願の出願日前の特許出願であって、本件特許の出願後に出願公開がされた甲第4号証の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という。)に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の出願の発明者が本件特許の出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、その出願人が上記特許の出願人と同一でもないから、請求項1ないし9に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。
2 提出された証拠
特許異議申立人が提出した証拠は次のとおりである。
甲第1号証の1:特開2018-1209号公報
甲第1号証の2:特開2018-1209号公報の図6(a)および図9(b)の要部拡大図)
甲第2号証:特開2017-103127号公報
甲第3号証:特開平11-285775号公報
甲第4号証:特開2022-104017号公報
3 甲各号証の記載事項
(1)甲第1号証
ア 甲第1号証には、次の事項が記載されている。(下線は、当審で付与した。)
「【0002】
従来、車載用リチウム電池にあっては、電極端子に溶接等によりリード線等を取付けることから、電極端子には導電率の高い銅部材と耐食性の高いアルミ部材とを接合してなる複合部品が使用されている。通常、この種の複合部品の製造にあっては、当該複合部品の用途に適する金属材料でなる被接合部材、例えば図17(a)に示す袋穴105aを持つアルミ部材でなる平板部材105と、図17(b)に示す銅部材でなる棒状の接合部材104とをあらかじめ所定の形状に成形しておき、その後に両部材を接合する方法が用いられている。」
「【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る金属部材の接合方法(以下、第1接合方法という)を図面に基づき説明する。図2に示すように、1は第1接合方法により製造される複合部品を外部電極として使用する用途の一例を示すリチウム電池である。このリチウム電池1は複数枚の電池パック1aを収納する電池缶1bを有し、この電池缶1bの上面には正極側外部電極端子(図示せず)と負極側外部電極端子(以下、負側外部端子という)3とが取付けられている。前記電池パック1aは上端に正、負の各電極端子1a1,1a2を有し、隣接する二つの電池パック1a,1aの一方の負電極端子1a2と他方の電池パック1aの正電極端子1a1間にはバスバー1cが接続され、複数の電池パック1a,1aが直列に接続されている。また、最後列の電池パック1aの負電極端子1a2にもバスバー1cが連接されており、このバスバー1cの端部には前述の負側外部端子3が接続されている。
【0015】
前記負側外部端子3は、図5に示すように銅部材でなる接合部材4と、この接合部材4よりも柔らかいアルミ部材でなる被接合部材5とからなっている。前記接合部材4は、被接合部材5に対して貫通していてもよいが、本実施形態では非貫通の部材について説明する。この接合部材4は、棒状の軸部4aと、外周が非円形状の一例である歯形状である段部4bと、これに連続しかつこれから突出する突部4c(図3(b)参照)とを有している。また、前記被接合部材5は前記接合部材4の段部4bおよび突部4cを覆う所定厚さの平板状をなす平板部5bを有するが、図3(a)および(図3(b)に示すように当該成形が行われる前には前述の接合部材4の段部4bおよび突部4cが嵌合可能な袋穴でなる穴部5aを有している。前記負側外部端子3は、図4(a)および図4(b)並びに図5に示すように被接合部材5の穴部5aに接合部材4の段部4bおよび突部4cを嵌合させ、この状態で被接合部材5を接合部材4の突部4cが露出しないように圧縮しながら接合部材4の突部4cを塑性変形させ、その突端を外方に扁平させて接合部材4にアンダーカット部4ccを形成しつつそのアンダーカット部4ccに被接合部材5の余肉を回り込ませて、両部材同士を抜脱不能に密着させて接合する接合構造Sを有している。また、前記接合構造Sは言い換えれば、図1に示すように前記圧縮の際に一部が変形せずに残る突部4cを有しており、この突部4cに対して当該圧縮により変形する被接合部材5の穴部5a(図3(a)参照)の内面に形成される前記突部4cへの密着面Cを有している。これにより、前記突部4cを一部変形させたり、当該突部4cにあらかじめ突起(図示せず)を設けたりするだけで、抜け止め効果が得られて大きな軸線方向の強度が得られる。 」
「【0017】
前記負側外部端子3は、図1、図3および図4に示す第1接合方法により製造されている。すなわち、この第1接合方法は接合部材4の製造工程(図示せず)と、被接合部材5の製造工程(図示せず)とを有している。また、この第1接合方法は接合部材4を被接合部材5の穴部5aに嵌合させる嵌合工程と、被接合部材5の予備成形工程と、被接合部材5の成形工程とを有している。前記嵌合工程は、図4(a)に示すように接合部材4の軸部4aを受け型6内でノックアウトピン7により位置決めし、その上方から接合部材4の段部4bおよび突部4cに対して被接合部材5を前進させて、これらを嵌合させるように構成されている。この場合、被接合部材5の前進方向は、上方からに限定されるものではなく、接合部材4と被接合部材5を横方向に配置することにより水平方向からとすることもできる。
【0018】
前記被接合部材5の予備成形工程は、図4(b)に示すように接合部材4の段部4bおよび突部4cに嵌合する被接合部材5を圧縮して予備成形部5cを成形する予備成形押し型(図示せず)を有している。この予備成形押し型は、仕上げ成形前の予備形状部に対応する成形穴(図示せず)を有し、受け型6に対して前進して被接合部材5の上部を圧縮して予備成形部5cを成形する。この時、接合部材4の段部4bおよび突部4cと被接合部材5の穴部5aの内壁との間隙に被接合部材5の余肉が回り込み、接合部材4の軸部4aを受け型6で保持した状態でこれら部材が仮接合される。これにより、被接合部材5は延性の良好な材質でないときでも、成形工程において所定厚みの平板状に成形される。この予備成形工程は、第1接合方法にあっては必須の工程ではなく、被接合部材5が延性の良好な柔らかい金属部材でなるときには、被接合部材5を嵌合工程から直接成形工程で成形してもよい。
【0019】
前記成形工程は、図1に示すように被接合部材5の予備成形部5cから所定厚さの平板部5bを成形するための成形押し型(図示せず)を有している。この成形押し型は、前記予備成形部5cに対して上方から前進して予備成形部5cを所定の厚さまたは所定厚さと所定形状とを備える平板部5bに成形する。この時、成形押し型の下死点は平板部5bの厚さ、被接合部材5の延性、接合部材4の突部4cと被接合部材5の穴部5aとの嵌合深さ、接合部材4の硬度等から接合部材4の突部4cが露出しないように考慮されている。
【0020】
上記第1接合方法において、図4(a)に示すように受け型6内で接合部材4の軸部4aがノックアウトピン7により位置決めされ、同時にその段部4bが受け型6の上面で保持される。その後、被接合部材5をその穴部5aが接合部材4の段部4bおよび突部4cに嵌合するように前進させた後に、図4(b)に示すように予備成形押し型が受け型6に対して前進し、被接合部材5の上部を圧縮して予備成形部5cが成形される。この時、予備成形押し型が接合部材4よりも柔らかい被接合部材5を介して接合部材4の突部4cを塑性変形させ、その上端外周をわずかに外方に扁平させてアンダーカット部4ccを形成し始める。
【0021】
前記予備成形押し型を後退させた後に、図1に示すように成形押し型が受け型6に対して所定下死点まで前進する。この成形押し型の前進にともなって、成形押し型が前記予備成形部5cを圧縮して予備成形部5cから接合部材4の突部4cが露出しないように所定厚さの平板部5bが成形される。この時、予備成形部5cを圧縮する圧縮力を利用して被接合部材5を前記接合部材4との嵌合強度を高める方向に変形させる。すなわち、前記被接合部材5の加工硬化を利用して突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccが形成され、同時にそのアンダーカット部4ccに予備成形部5cの余肉が回り込む。これにより、両部材同士を抜脱不能に接合する接合構造Sが得られる。しかも、前記平板部5bを成形する際の圧縮により穴部5aを穴径が狭まる方向に変形して、穴部5aの内面を接合部材4の突部4cの外面に密着するので、これら部材は非貫通接合状態で、すなわち接合個所の気密性を保持して接合される。前述の被接合部材5は、平板状に成形される際に、接合部材4の突部4cの形状によって、接合部材4に対して抜脱不能にも、抜脱可能にも接合可能であるが、突部4cにアンダーカット部4ccが形成されることにより、本実施形態では接合部材4に対して抜脱不能に接合される。
【0022】
また、被接合部材5が平板状に成形される際には、外周が歯形状となっている段部4bの間隙に被接合部材5の余肉が回り込んで、平板部5bの首下に大円柱段部4b1が形成されるので、十分な回転方向の強度が得られる。」
「【0027】
図9(a)および図9(b)は、それぞれ本発明の第1接合方法の第2変形例、第3変形例に係る接合構造S2、S3である。前記接合構造S2は図9(a)に示すように接合部材4として段部4bと突部4cとを有する部材を使用している。この接合構造S2は、接合部材4の段部4bを受け型(図示せず)内に保持した状態で被接合部材を成形して得られる構造である。この接合構造S2は前述の第1変形例と同様に接合部材4の突部4cが露出しないように被接合部材5を圧縮して所定厚みの平板部5bを成形しつつ、被接合部材5を圧縮する圧縮力を利用して被接合部材5を前記接合部材4との嵌合強度を高める方向に変形させる構造でなっている。すなわち、前記被接合部材5の加工硬化を利用して突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccが成形され、このアンダーカット部4ccに予備成形部5cの余肉が回り込む構造、言い換えれば第1接合方法と同様の密着面Cを有する構造となっている。また、 前記平板部5bの首下には前述の第1変形例と同様に大円柱段部4b1が成形される。これにより、接合構造S2も首下に大円柱段部4b1を有していることから、回転方向の強度が大きい負側外部端子3を得ることができる。
【0028】
また、前記接合構造S3は図9(b)に示すように接合部材4として段部4bと突部4cとの間に小円柱段部4b2を有する部材を使用している。この接合構造S3は、前述の第2変形例と同様に接合部材4の突部4cが露出しないように被接合部材5を圧縮して所定厚みの平板部5bを成形しつつ、被接合部材5を圧縮する圧縮力を利用して被接合部材5を前記接合部材4との嵌合強度を高める方向に変形させる構造でなっている。すなわち、前記被接合部材5の加工硬化を利用して突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccが成形され、このアンダーカット部4ccが段部4bとの間および小円柱段部4b2との間に被接合部材5の余肉が回り込む構造、言い換えれば第1接合方法と同様の密着面Cを有する構造となっている。また、前記平板部5bの首下には前述の第2変形例と同様に大円柱段部4b1が成形される。これにより、接合構造S3も回転方向の強度が大きい負側外部端子3を得ることができる。」
「【図3】
[図:0001426795000004.jpg]
」
「【図5】
[図:0001426795000005.jpg]
」
「【図9】
[図:0001426795000006.jpg]
」
イ 甲第1号証に記載された上記事項により、次のことがいえる。
(ア)上記段落【0014】、【0017】によれば、甲第1号証には、「第1接合方法」により製造される「負側外部端子」が記載されている。
(イ)段落【0015】によれば、該「負側外部端子」は、「銅部材でなる接合部材4と、この接合部材4よりも柔らかいアルミ部材でなる被接合部材5とからな」り、「両部材同士を抜脱不能に密着させて接合する接合構造S」を有する。
また、図5に示された接合構造Sや、図9bに示された接合構造S3によれば、接合構造は、接合部材4と被接合部材5と重ねて接合されることが見て取れる。
よって、甲第1号証に記載された負側外部端子は、銅部材でなる接合部材4と、この接合部材4よりも柔らかいアルミ部材でなる被接合部材5とからなり、両部材同士を重ね接合する接合構造を有するといえる。
(ウ)段落【0028】によれば、第1接合方法の第3変形例に係る接合構造S3は、接合部材4として段部4bと突部4cとの間に小円柱段部4b2を有する部材を使用し、被接合部材5を圧縮して所定厚みの平板部5bを成形しつつ、被接合部材5を圧縮する圧縮力を利用して、突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccを成形し、このアンダーカット部4ccが段部4bとの間および小円柱段部4b2との間に被接合部材5の余肉が回り込む構造となることが記載され、図9(b)によれば、接合構造S3において、アンダーカット部と段部4bとの間及び小円柱段部4b2との間に被接合部材5の余肉が回り込むことが見て取れる。
ここで、上記(ア)の「第1接合方法及」び上記(イ)の「接合構造S」に関し、以下の記載がある。
「【0015】
・・・。この接合部材4は、棒状の軸部4aと、外周が非円形状の一例である歯形状である段部4bと、これに連続しかつこれから突出する突部4c(図3(b)参照)とを有している。また、前記被接合部材5は前記接合部材4の段部4bおよび突部4cを覆う所定厚さの平板状をなす平板部5bを有するが、図3(a)および(図3(b)に示すように当該成形が行われる前には前述の接合部材4の段部4bおよび突部4cが嵌合可能な袋穴でなる穴部5aを有している。前記負側外部端子3は、図4(a)および図4(b)並びに図5に示すように被接合部材5の穴部5aに接合部材4の段部4bおよび突部4cを嵌合させ、この状態で被接合部材5を接合部材4の突部4cが露出しないように圧縮しながら接合部材4の突部4cを塑性変形させ、その突端を外方に扁平させて接合部材4にアンダーカット部4ccを形成しつつそのアンダーカット部4ccに被接合部材5の余肉を回り込ませて、両部材同士を抜脱不能に密着させて接合する接合構造Sを有している。」
「【0017】
前記負側外部端子3は、図1、図3および図4に示す第1接合方法により製造されている。・・・。また、この第1接合方法は接合部材4を被接合部材5の穴部5aに嵌合させる嵌合工程と、被接合部材5の予備成形工程と、被接合部材5の成形工程とを有している。」
「【0020】
上記第1接合方法において、・・・、被接合部材5をその穴部5aが接合部材4の段部4bおよび突部4cに嵌合するように前進させ・・・、被接合部材5の上部を圧縮して予備成形部5cが成形される。この時、予備成形押し型が・・・被接合部材5を介して接合部材4の突部4cを塑性変形させ、その上端外周をわずかに外方に扁平させてアンダーカット部4ccを形成し始める。
【0021】
・・・、成形押し型が前記予備成形部5cを圧縮して・・・所定厚さの平板部5bが成形される。この時、予備成形部5cを圧縮する圧縮力を利用して・・・突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccが形成され、同時にそのアンダーカット部4ccに予備成形部5cの余肉が回り込む。これにより、両部材同士を抜脱不能に接合する接合構造Sが得られる。しかも、前記平板部5bを成形する際の圧縮により穴部5aを穴径が狭まる方向に変形して、穴部5aの内面を接合部材4の突部4cの外面に密着するので、これら部材は非貫通接合状態で、すなわち接合個所の気密性を保持して接合される。」
そして、接合構造S3は、上記段落【0015】に記載された接合構造Sと同様に「第1接合方法」を用いて製造されるものであり、段落【0015】、【0017】、【0020】及び【0021】の上記記載を考慮すれば、接合構造S3に係る第1接合方法では、被接合部材5が、接合部材4の小円柱段部4b2及び突部4cが嵌合可能な袋穴である穴部を有し、被接合部材5の穴部に接合部材4の小円柱段部4b2及び突部4cを嵌合させた状態で被接合部材5が圧縮されると解される。
してみれば、接合構造S3は、接合部材4として段部4bと突部4cとの間に小円柱段部4b2を有する部材を使用し、被接合部材5は、接合部材4の小円柱段部4b2及び突部4cが嵌合可能な袋穴である穴部を有し、被接合部材5の穴部に接合部材4の小円柱段部4b2及び突部4cを嵌合させた状態で被接合部材5を圧縮して所定厚みの平板部5bを成形しつつ、被接合部材5を圧縮する圧縮力を利用して、突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccを成形し、このアンダーカット部4ccと段部4bとの間及び小円柱段部4b2との間に被接合部材5の余肉が回り込む構造であるといえる。
(エ)段落【0021】によれば、「第1接合方法」では、「成形押し型が前記予備成形部5cを圧縮して・・・所定厚さの平板部5bが成形される。この時、予備成形部5cを圧縮する圧縮力を利用して・・・突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccが形成され、同時にそのアンダーカット部4ccに予備成形部5cの余肉が回り込」み、「前記平板部5bを成形する際の圧縮により穴部5aを穴径が狭まる方向に変形」することから、「第1接合方法」を用いた接合構造S3においても、平板部5bを成形する際の圧縮により穴部5aの穴径が入口に向かって狭まるといえる。
(オ)よって、上記(ア)ないし(エ)によれば、第1接合方法の第3変形例に係る接合構造S3に着目すると、甲第1号証には以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
「銅部材でなる接合部材4と、この接合部材4よりも柔らかいアルミ部材でなる被接合部材5とからなり、両部材同士を重ね接合する接合構造を有する負側外部端子であって、
接合構造は、
接合部材4として段部4bと突部4cとの間に小円柱段部4b2を有する部材を使用し、被接合部材5は、接合部4材の小円柱段部4b2及び突部4cが嵌合可能な袋穴である穴部を有し、被接合部材5の穴部に接合部材4の小円柱段部4b2及び突部4cを嵌合させた状態で被接合部材5を圧縮して所定厚みの平板部5bを成形しつつ、被接合部材5を圧縮する圧縮力を利用して、突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccを成形し、このアンダーカット部4ccと段部4bとの間及び小円柱段部4b2との間に被接合部材5の余肉が回り込む構造であり、
平板部5bを成形する際の圧縮により穴部5aを穴径が入口に向かって狭まる、
負側外部端子。」
(カ)一方、段落【0014】、【0015】、【0017】によれば、甲第1号証には、接合構造Sを有する「負側外部端子」の「第1接合方法」が記載され、「第1接合方法」は、接合部材4の製造工程と、被接合部材5の製造工程と、嵌合工程と、予備成形工程と、成形工程とを有している。
また、段落【0017】によれば、前記嵌合工程は、接合部材4の軸部4aを受け型6内で位置決めし、その上方から接合部材4の段部4bおよび突部4cに対して被接合部材5の穴部5aを前進させて、これらを嵌合させる工程である。
そして、段落【0018】、【0020】によれば、前記予備成形工程では、接合部材4の段部4bおよび突部4cに嵌合する被接合部材5を圧縮して予備成形部5cを成形する予備成形押し型を、受け型6に対して前進して被接合部材5の上部を圧縮して予備成形部5cを成形し、この時、接合部材4の段部4bおよび突部4cと被接合部材5の穴部5aの内壁との間隙に被接合部材5の余肉が回り込むとともに、予備成形押し型が被接合部材5を介して接合部材4の突部4cを塑性変形させ、その上端外周をわずかに外方に扁平させてアンダーカット部4ccを形成し始めるものである。
さらに、段落【0019】、【0021】によれば、前記成形工程は、予備成形押し型を後退させた後、被接合部材5の予備成形部5cから所定厚さの平板部5bを成形するための成形押し型を、前記予備成形部5cに対して上方から前進して予備成形部5cを圧縮して平板部5bに成形し、この時、予備成形部5cを圧縮する圧縮力を利用して、突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccが形成され、同時にそのアンダーカット部4ccに予備成形部5cの余肉が回り込み、両部材同士を抜脱不能に接合する接合構造Sが得られ、平板部5bを成形する際の圧縮により穴部5aを穴径が狭まる方向に変形して、穴部5aの内面を接合部材4の突部4cの外面に密着させるものである。
(キ)ここで、段落【0028】には「接合構造S3は図9(b)に示すように接合部材4として段部4bと突部4cとの間に小円柱段部4b2を有する部材を使用している。この接合構造S3は、・・・被接合部材5を圧縮して所定厚みの平板部5bを成形しつつ、被接合部材5を圧縮する圧縮力を利用して・・・突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccが成形され、このアンダーカット部4ccが段部4bとの間および小円柱段部4b2との間に被接合部材5の余肉が回り込む構造・・・となっている。」と記載され、図9(b)によれば、アンダーカット部4ccと段部4bとの間および小円柱段部4b2との間に被接合部材5の余肉が回り込むことが見て取れる。
そして、段落【0027】によれば、接合構造S3は、接合構造Sと同様の「第1接合方法」により製造されるものである。
してみると、上記(カ)も踏まえれば、接合構造S3を有する「負型外部端子」の「第1接合方法」において、被接合部材5が、接合部材4の小円柱段部4b2及び突部4cが嵌合可能な袋穴である穴部5aを有するといえる。また、「嵌合工程」では、接合部材4の軸部4aを受け型6内で位置決めし、その上方から接合部材4の小円柱段部4b2および突部4cに対して被接合部材5の穴部5aを前進させて、これらを嵌合させ、「予備成型工程」では、接合部材4の小円柱段部4b2および突部4cに嵌合する被接合部材5を圧縮して予備成形部5cを成形する予備成形押し型を、受け型6に対して前進して被接合部材5の上部を圧縮して予備成形部5cを成形し、この時、接合部材4の小円柱段部4b2および突部4cと被接合部材5の穴部5aの内壁との間隙に被接合部材5の余肉が回り込むとともに、予備成形押し型が被接合部材5を介して接合部材4の突部4cを塑性変形させ、その上端外周をわずかに外方に扁平させてアンダーカット部4ccを形成し始め、「成型工程」では、予備成形押し型を後退させた後、被接合部材5の予備成形部5cから所定厚さの平板部5bを成形するための成形押し型を、前記予備成形部5cに対して上方から前進して予備成形部5cを圧縮して平板部5bに成形し、この時、予備成形部5cを圧縮する圧縮力を利用して、突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccが形成され、同時にこのアンダーカット部4ccと段部4bとの間および小円柱段部4b2との間に被接合部材5の余肉が回り込み、両部材同士を抜脱不能に接合する接合構造S3が得られるともに、平板部5bを成形する際の圧縮により穴部5aを穴径が狭まる方向に変形して、穴部5aの内面を接合部材4の突部4cの外面に密着されると解される。
(ク)してみると、上記(イ)、(カ)及び(キ)によれば、接合構造S3に係る「第1接合方法」に着目すると、甲第1号証には以下の発明(以下、「甲1発明a」という。)が記載されているといえる。
「段部4bと突部4cとの間に小円柱段部4b2を有する接合部材4の製造工程と、接合部材4の小円柱段部4b2及び突部4cが嵌合可能な袋穴である穴部5aを有する被接合部材5の製造工程と、嵌合工程と、予備成形工程と、成形工程とを含む負型外部端子の第1接合方法であって、
接合部材4は銅部材からなり、被接合部材5は接合部材よりも柔らかいアルミ部材からなり、
前記嵌合工程では、接合部材4の軸部4aを受け型6内で位置決めし、その上方から接合部材4の小円柱段部4b2および突部4cに対して被接合部材5の穴部5aを前進させて、これらを嵌合させ、
前記予備成形工程では、接合部材4の小円柱段部4b2及び突部4cに嵌合する被接合部材5を圧縮して予備成形部5cを成形する予備成形押し型を、受け型6に対して前進して被接合部材4の上部を圧縮して予備成形部5cを成形し、この時、接合部材5の小円柱段部4b2及び突部4cと被接合部材5の穴部の内壁との間隙に被接合部材5の余肉が回り込むとともに、前記予備成形押し型が被接合部材5を介して接合部材4の突部4cを塑性変形させ、その上端外周をわずかに外方に扁平させてアンダーカット部4ccを形成し始め、
前記成形工程では、前記予備成形押し型を後退させた後、被接合部材5の予備成形部5cから所定厚さの平板部5bを成形するための成形押し型を、前記予備成形部5cに対して上方から前進して、予備成形部5cを圧縮して平板部5bに成形し、この時、予備成形部5cを圧縮する圧縮力を利用して、突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccを形成し、同時にこのアンダーカット部4ccと段部4bとの間及び小円柱段部4b2との間に被接合部材5の余肉が回り込み、両部材同士を抜脱不能に接合する接合構造3が得られるとともに、平板部5bを成形する際の圧縮により穴部を穴径が狭まる方向に変形して、穴部5aの内面を接合部材4の突部4cの外面に密着させる、第1接合方法。」
(2)甲第2号証
甲第2号証は、取消理由通知において引用した引用文献であって、甲第2号証に記載された事項は、上記第4 2(1)で述べたとおりである。
そして、甲第2号証には、上記第4 2(5)で述べたのと同様に、以下の技術(以下、「甲第2号証に記載された技術」という。)が記載されている。
「端子の製造方法であって、
第一面51を有する第一部材50と、4個の凹部31A,31B,31C,31Dが形成され、各凹部のそれぞれの間に凸部が形成された第二面62を有する第二部材60とを予め準備する工程と、
第一部材50の第一面51と第二部材60の第二面62が接した状態で下金型にセットされ、上金型を下金型に向けて移動させて第一部材50を押圧し塑性変形する工程とを含み、
第一部材50はアルミニウムにより形成され、第二部材60は銅により形成され、
第二部材60の第二面62に形成された各凹部は、径方向の寸法が、締結状態において第一部材50と第二部材60が重なり合う方向である軸方向の第二部材60が配置される側である第二側より該軸方向の第一部材50が配置される側である第一側で狭くなり、該軸方向の該第一側が幅狭の台形とされ、
第一部材50を押圧し塑性変形する工程では、前記第二面62に形成された各凹部31A,31B,31C,31Dに対向する前記第一面51の部分が、塑性変形して隆起し各凹部31A,31B,31C,31Dに充填されること。」
(3)甲第3号証
ア 甲第3号証には、図面とともに、次の事項が記載されている。(下線は、当審が付与した。)
「【0026】
【実施例1】本発明の実施例1について、図1~図3を参照して説明する。図1は本発明実施例1のチャンバーに配置した半導体製造装置又は薄型ディスプレー製造装置の基板ホルダーを示す図で、図1(a)は断面図、図1(b)平面図である。加熱ヒーター及び熱電対(7)、異種金属若しくは異種材料(8)のような内部装着部品をアルミニウム部材(1)、(2)を接合して包み込んでいる基板ホルダーで、加熱ヒーター及び熱電対の端子(9)が設けられ、チャンバー(10)に配置する。アルミニウム部材(1)、(2)の接合面には、その全周に四角形に環状溝と環状突出部を形成し、挿入後これを鍛圧圧縮により充満させ、これをさらに圧縮し、メタルフローを生じさせた締結部(3)を密閉し、物理的に金属接合するものである。チャンバーに配置した。
【0027】図2(a)(b)、図3(a)(b)(c)は、本発明実施例1の基板ホルダーの製造工程を示す図である。図2(a)に示すように、アルミニウム部材(1)、(2)には加熱ヒーター及び熱電対等の内部装着部品(7)を装着する窪みを形成している。アルミニウム部材(1)の接合面には断面コの字状の環状溝(4)を設け、またアルミニウム部材(2)の接合面には対向する断面コの字状の環状突出部(5)を設ける。図2(b)は環状溝(4)、環状突出部(5)を拡大して示した図で、環状溝(4)の巾をa、深さをbであり、環状突出部(5)の巾をc、高さをdとした。
【0028】次いで、図3(a)に示すように、アルミニウム部材(1)、(2)に内部装着部品(7)を装着し、環状溝(4)に環状突出部(5)を組み合わせた。図3(b)は環状溝(4)と環状突出部(5)の組み合わせを拡大して示した図で、巾aの環状溝(4)内に巾cの環状突出部(5)が入り、また環状溝(4)の深さbより、環状突出部(5)の高さdが長くなっている。このように環状溝(4)に環状突出部(5)を組み合わせ、図3(a)の矢印のように鍛圧した。鍛圧により図3(c)に示すように、変形後にa´=c´、b´=d´になり、環状溝(4)内で環状突出部(5)は圧縮され充満される。それにより締結部は密閉される。また鍛圧では、板厚全体を圧縮することでより効果的に締結部は物理的に圧着(金属接合)した密閉状態が得られる。」
「【0034】図7~図9は、環状溝と環状突出部の変形例を示す。図7(a)(b)は、アルミニウム部材(1)の接合面に断面が台形の環状溝(23)を設け、またアルミニウム部材(2)には対向する断面が台形の環状突出部(24)を設けたものである。この場合も台形の環状溝(23)と台形の環状突出部(24)の大きさは環状溝に環状突出部が充満されるようする。環状溝、環状突出部の機械加工が容易であり、また鍛圧時の空気の巻き込みは起り難いものである。
【0035】図8は、環状溝(25)の断面が逆台形で、環状突出部(26)が断面コの字状のものである。これは環状溝に環状突出部を嵌合させることにより、高い密閉度が保たれるとともに、機械的にも強い締結がなされるものである。図9は、断面コの字状環状溝(27)の角取りしたものであり、また環状突出部(28)が山型のものである。これは環状溝(27)に環状突出部(28)を組み合わせ易くしたものである。」
「【図2】
[図:0001426795000007.jpg]
」
「
[図:0001426795000008.jpg]
」
イ 甲第3号証に記載された上記事項により、次のことがいえる。
(ア)上記段落【0026】、【0027】によれば、甲第3号証には、内部装着部品をアルミニウム部材(1)、(2)を接合して包み込む基板ホルダーの製造工程が記載されている。
(イ)同段落【0027】、【0028】によれば、基板ホルダーの製造工程では、アルミニウム部材(1)、(2)には加熱ヒーター及び熱電対等の内部装着部品(7)を装着する窪みを形成し、アルミニウム部材(1)の接合面に環状溝(4)を設け、またアルミニウム部材(2)の接合面に環状突出部(5)を設け、アルミニウム部材(1)、(2)に内部装着部品(7)を装着し、環状溝(4)に環状突出部(5)を組み合わせ鍛圧することにより、環状溝(4)内で環状突出部(5)が圧縮され充満し、それにより密閉される。
(ウ)同段落【0035】によれば、環状溝(25)の断面は逆台形で、環状突出部(26)は断面コの字状である。
(エ)よって、上記(ア)ないし(ウ)によれば、甲第3号証には以下の技術(以下、「甲第3号証に記載された技術」という。)が記載されている。
「内部装着部品をアルミニウム部材(1)、(2)を接合して包み込む基板ホルダーの製造工程であって、
アルミニウム部材(1)、(2)には加熱ヒーター及び熱電対等の内部装着部品(7)を装着する窪みを形成し、アルミニウム部材(1)の接合面に環状溝(4)を設け、またアルミニウム部材(2)の接合面に環状突出部(5)を設け、アルミニウム部材(1)、(2)に内部装着部品(7)を装着し、環状溝(4)に環状突出部(5)を組み合わせ鍛圧することにより、環状溝(4)内で環状突出部(5)が圧縮され充満し、それにより密閉され、
環状溝(25)の断面は逆台形で、環状突出部(26)は断面コの字状であること。」
(4)甲第4号証
ア 甲第4号証に係る先願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という。)には、次の事項が記載されている(なお、下線は当審が付与した。)
「【0010】
以下、本発明である異種金属部品接合方法を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、接合前の部材の形状を示すものであり、図1(b)に示す銅材料でなる第1金属部材10と、図1(a)に示すアルミニウム材でなる第2金属部材20とが接合される。これら第1金属部材10および第2金属部材20は、予め別個に成形され準備されるものであり、例えば、冷間圧造加工によって成形される。
【0012】
第1金属部材10は、平板状の頭部11と、これに一体成形される軸部12とから構成される。また、頭部11の上面は、有底の袋穴部13を有している。この袋穴部13は、その内周壁が逆テーパー状に成形されており、この逆テーパー部14は、底部に向かうに従って、袋穴部13が拡がる方向に傾斜している。さらに、袋穴部13の開口縁部15は円弧状に成形されている。
【0013】
第2金属部材20は、円柱状を成しており、その端部21は、上記第1金属部材10の袋穴部13の開口面積よりも十分に大きく成形されている。
【0014】
図2は、上記第1金属部材10と第2金属部材20との接合方法を示す図である。受け型1は、段付きの挿入孔1aを有しており、第1金属部材10の頭部11を段付き部に吊下し、挿入孔1aに第1金属部材10の軸部12を遊嵌するようにして、第1金属部材10を挿入孔1aに保持するように構成されている。
【0015】
続いて、第2金属部材20の端部21が上記第1金属部材10の袋穴部13を塞ぐようにして設置される。そして、パンチピン3を下方に前身させて、第2金属部材20のもう一方の端部22側から第2金属部材20を軸方向に圧縮することにより、第2金属部材20の端部21が塑性変形により流動し、第1金属部材10の袋穴部13へ充填される。これとともに、第2金属部材20は圧縮力により扁平する。
【0016】
続けて、図3に示すように、第1金属部材10の袋穴部13に、第2金属部材20の端部21が完全に充填されるまで、かつ第2金属部材20が平板状になるまで圧縮することにより、第1金属部材10と第2金属部材20は接合される。
【0017】
接合が完了すると、受け型1の挿入孔1aの下方に配置されたノックアウトピン2を上方へ前進させることにより、異種金属接合体は、受け型1から排出される。
【0018】
上記接合方法によって製造された異種金属接合体は、第1金属部材10の逆テーパー部14が抜け方向に対し引っかかりになるため、高い抜け強度が得られる。また、第1金属部材10の袋穴部13には第2金属部材20の端部21が完全に充填されるため、高い密着性が得られる。さらに、第1金属部材10の開口縁部15が円弧状に成形されているので、塑性変形した第2金属部材20の端部21が第1金属部材10の袋穴部13へ流動し易いようになっている。
【0019】
このような作用効果を有する異種金属接合体は、例えば、リチウムイオン電池(図示せず)の負極端子への用途として好適であり、第1金属部材10の軸部12がリチウムイオン電池内部の集電板(図示せず)に接続され、第2金属部材20はリチウムイオン電池の外部に露出しバスバー(図示せず)に接続される。本発明によって製造された異種金属接合体は、高い密着性で接合されているので、電気導電性に優れるため、リチウムイオン電池の負極端子に利用された場合、電気抵抗値を低く抑えることができる。」
「【図1】
[図:0001426795000009.jpg]
」
「【図2】
[図:0001426795000010.jpg]
」
「【図3】
[図:0001426795000011.jpg]
」
イ 先願明細書等の上記記載事項及び図面から、次のことがいえる。
(ア)段落【0017】、【0018】によれば、先願明細書等には、異種金属接合体が記載されている。また、段落【0019】によれば、異種金属接合体は負極端子として用いられる。
(イ)段落【0016】、【0017】によれば、異種金属接合体は、第1金属部材10と第2金属部材20が接合されたものであり、図1ないし図3によれば、第1金属部材10と第2金属部材とが重ねられていることが見て取れる。
してみると、異種金属接合体は、第1金属部材10と第2金属部材20とを重ねて接合されたものといえる。
(ウ)段落【0011】によれば、第1金属部材10は銅材料からなり、第2金属部材20はアルミニウム材からなる。
(エ)段落【0012】によれば、第1金属部材10は、内周壁が逆テーパー状に成形され、この逆テーパー部14が底部に向かうに従って拡がる方向に傾斜する有邸の袋穴部13を有している。そして、図3によれば、該袋穴部13は、第2金属部材20が重ねられた第1金属部材10の面に有していることが見て取れる。
よって、第1金属部材10は、第1金属部材10と第2金属部材20が重ねられた面に、内周壁が逆テーパー状に成形され、この逆テーパー部14が底部に向かうに従って拡がる方向に傾斜する有邸の袋穴部13を有するといえる。
(オ)段落【0016】、【0018】によれば、第1金属部材10の袋穴部13には第2金属部材20が完全に充填される。ここで、図3によれば、第2金属部材20は、第1金属部材10が重ねられた面に突部を有していることが見て取れ、当該突部は、第1金属部材10の袋穴部13に第2金属部材20が完全に充填されて形成されたものであると解される。
よって、第2金属部材10は、第1金属部材10と第2金属部材20が重ねられた面に、第1金属部材10の袋穴部13に第2金属部材20が完全に充填されて形成された突部を有するといえる。
(カ)よって、上記(ア)ないし(オ)によれば、先願明細書等には次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている。
「第1金属部材10と第2金属部材20とを重ねて接合され、負極端子として用いる異種金属接合体であって、
第1金属部材10は銅材料からなり、第2金属部材20はアルミニウム材からなり、
第1金属部材10は、第1金属部材10と第2金属部材20が重ねられた面に、内周壁が逆テーパー状に成形され、この逆テーパー部14が底部に向かうに従って拡がる方向に傾斜する有邸の袋穴部13を有し、
第2金属部材10は、第1金属部材10と第2金属20が重ねられた面に、第1金属部材10の袋穴部13に第2金属部材20が完全に充填されて形成された突部を有する、異種金属接合体。」
(キ)また、段落【0010】、【0018】、【0019】によれば、負極端子として用いる異種金属接合体を製造するための異種金属部品接合方法が記載されている。
(ク)段落【0011】によれば、異種金属部品接合方法は、第1金属部材10および第2金属部材20を、予め別個に成形し準備する工程を有しているといえる。
(ケ)段落【0012】、【0014】ないし【0016】によれば、内周壁が逆テーパー状に成形され、この逆テーパー部14が、底部に向かうに従って拡がる方向に傾斜している袋穴部13を有する第1金属部材10を、受け型1の段付きの挿入孔1aで保持し、第2金属部材20が上記第1金属部材10の袋穴部13を塞ぐようにして設置され、第2金属部材20を軸方向に圧縮することにより、第2金属部材20が塑性変形により流動し、第1金属部材10の袋穴部13に第2金属部材20が完全に充填されるまで、第2金属部材20を圧縮する工程が記載されているといえる。
(コ)よって、上記(キ)ないし(ケ)、及び(ア)、(ウ)によれば、先願明細書等には次の発明(以下、「先願発明a」という。)も記載されている。
「負極端子として用いる異種金属接合体を製造するための異種金属部品接合方法であって、
第1金属部材10および第2金属部材20を、予め別個に成形し準備する工程と、
内周壁が逆テーパー状に成形され、この逆テーパー部14が、底部に向かうに従って拡がる方向に傾斜している袋穴部13を有する第1金属部材10を、受け型1の段付きの挿入孔1aで保持し、第2金属部材20が上記第1金属部材10の袋穴部13を塞ぐようにして設置され、第2金属部材20を軸方向に圧縮することにより、第2金属部材20が塑性変形により流動し、第1金属部材10の袋穴部13に第2金属部材20が完全に充填されるまで、第2金属部材20を圧縮する工程とを備え、
第1金属部材10は銅材料からなり、第2金属部材20はアルミニウム材からなる、
異種金属部品接合方法。」
4 申立理由に対する当審の判断
本件訂正により、訂正前の請求項2、5、8は削除されたため、訂正後の請求項1、3、4、6、7、9ないし11について判断する。
(1)申立理由1(新規性)について
ア 本件発明1について
(ア)甲1発明との対比
a 甲1発明の「銅部材でなる接合部材4」は、本件発明1の「第1金属」に相当する。また、甲1発明の「接合部材4」に「重ね接合」される「被接合部材5」は、本件発明1の「第1金属に重ねられた第2金属」に相当する。
b 甲1発明の「接合部材4」は「銅部材」からなり、「被接合部材5」は「接合部材4よりも柔らかいアルミ部材」からなることから、「接合部材4」は「被接合部材5」よりも剛性が高いといえ、本件発明1の「第1金属は前記第2金属よりも剛性が高」いことに相当する。
c 甲1発明において、「接合構造」は「被接合部材5を圧縮して所定厚みの平板部5bを成形しつつ、被接合部材5を圧縮する圧縮力を利用して、突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccを成形し、このアンダーカット部4ccと段部4bとの間及び小円柱段部4b2との間に被接合部材5の余肉が回り込む構造」であることから、「接合部材4」と「被接合部材5」とが重ねられた面に、「外方に扁平さ」れた「突部4cの突端」が「被接合部材5」に食い込むと解される。
してみると、甲1発明において「接合部材4」と「被接合部材5」とが重ねられた面に、「外方に扁平さ」れた「突部4cの突端」が「被接合部材5」に食い込むことと本件発明1とは、「第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が設けられて」いる点で共通する。
ただし、食い込み部に関し、本件発明1は「少なくとも4箇所」に設けられているのに対し、甲1発明はその旨特定されていない点で相違する。
d 甲1発明の「接合構造」は、「被接合部材5の穴部に接合部材4の小円柱段部4b2及び突部4cを嵌合させた状態で被接合部材5を圧縮して所定厚みの平板部5bを成形しつつ、被接合部材5を圧縮する圧縮力を利用して、突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccが成形され」ることから、甲1発明では、「接合部材4」が、「接合部材4」と「被接合部材5」が「重」なる面に、「突端」が「外方に扁平さ」れた「突部4c」を有するといえる。
してみると、甲1発明において、「接合部材4」が、「接合部材4」と「被接合部材」が「重」なる面に、「突端」が「外方に扁平さ」れた「突部4c」を有することと本件発明1とは、「第1金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部を備え」る点で共通する。
ただし、第1金属に関し、本件発明1は「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部」を備え、「第1凸部」は「第1凹部の中心において」頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、「頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出し」ているのに対し、甲1発明はその旨特定されていない点で相違する。
e 甲1発明では、「被接合部材5の穴部に接合部材4の小円柱段部4b2及び突部4cを嵌合させた状態で被接合部材5を圧縮して所定厚みの平板部5bを成形し」「平板部5bを成型する際の圧縮により穴部5aを穴径が入口に向かって狭まる」ことから、「被接合部材5」は、「接合部材4」と「被接合部材5」が「重」なる面に、「穴径が入口に向かって狭まる」「穴部5a」を有するといえる。
してみると、甲1発明において、「被接合部材5」は、「接合部材4」と「被接合部材5」が「重」なる面に、「穴径が入口に向かって狭まる」「穴部5a」を有することと本件発明1とは、「第2金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部を備え」る点で共通する。
ただし、第2金属に関し、本件発明1は「頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第2凸部」を備えているのに対し、甲1発明はその旨特定されていない点で相違する。
f 上記c、dを踏まえれば、甲1発明において「接合部材4」と「被接合部材5」とが重ねられた面に、「外方に扁平さ」れた「突部4cの突端」が「被接合部材5」に食い込むことと本件発明1とは、「食い込み部は、前記第1金属の前記第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部を含む」点で共通する。
ただし、食い込み部に関し、本件発明1は「前記1金属の前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第2金属の前記第2凹部の開口の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第2金属の前記第2凸部の頂部の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部とを含む」のに対し、甲1発明はその旨特定されていない点で相違する。
g 甲1発明の「負側外部端子」は、本件発明1の「端子部品」に相当する。
上記aないしgによれば、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「第1金属と、
前記第1金属に重ねられた第2金属と
を備え、
前記第1金属は前記第2金属よりも剛性が高く、
前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が設けられており、
ここで、前記第1金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部
を備え、
前記第2金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部
を備え、
前記食い込み部は、
前記第1金属の前記第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部を含む、端子部品。」
[相違点12]
食い込み部に関し、本件発明1は「少なくとも4箇所」に設けられているのに対し、甲1発明はその旨特定されていない点。
[相違点13]
第1金属に関し、本件発明1は「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部」を備え、「第1凸部」は「第1凹部の中心において」頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、「頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出し」ているのに対し、甲1発明はその旨特定されていない点。
[相違点14]
第2金属に関し、本件発明1は「頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第2凸部」を備えているのに対し、甲1発明はその旨特定されていない点。
[相違点15]
食い込み部に関し、本件発明1は「前記1金属の前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第2金属の前記第2凹部の開口の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第2金属の前記第2凸部の頂部の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部とを含む」のに対し、甲1発明はその旨特定されていない点。
(イ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点13について判断する。
甲第1号証には、接合部材4に「凹部」を設け、さらに、該凹部を「開口の縁が底部より内側に張り出」す構成とする記載や示唆も見当たらない。
また、甲第1号証には、接合部材4において、該「凹部の中心」に突部4cを設け、突部4cの頂上部分を該「凹部の開口よりも高く突出」する構成とする記載や示唆も見当たらない。
してみると、相違点13は実質的な相違である。
(ウ)小括
したがって、相違点13は実質的な相違であるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明ではない。
イ 本件発明3について
(ア)甲1発明との対比
a 甲1発明の「銅部材でなる接合部材4」は、本件発明3の「第1金属」に相当する。また、甲1発明の「接合部材4」に「重ね接合」される「被接合部材5」は、本件発明3の「第1金属に重ねられた第2金属」に相当する。
b 甲1発明の「接合部材4」は「銅部材」からなり、「被接合部材5」は「接合部材4よりも柔らかいアルミ部材」からなることから、「接合部材4」は「被接合部材5」よりも剛性が高いといえ、本件発明3の「第1金属は前記第2金属よりも剛性が高」いことに相当する。
c 甲1発明において、「接合構造」は「被接合部材5を圧縮して所定厚みの平板部5bを成形しつつ、被接合部材5を圧縮する圧縮力を利用して、突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccを成形し、このアンダーカット部4ccと段部4bとの間及び小円柱段部4b2との間に被接合部材5の余肉が回り込む構造」であることから、「接合部材4」と「被接合部材5」とが重ねられた面に、「外方に扁平さ」れた「突部4cの突端」が「被接合部材5」に食い込むと解される。
してみると、甲1発明において「接合部材4」と「被接合部材5」とが重ねられた面に、「外方に扁平さ」れた「突部4cの突端」が「被接合部材5」に食い込むことと本件発明3とは、「第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が設けられて」いる点で共通する。
ただし、食い込み部に関し、本件発明3は「少なくとも3箇所」に設けられているのに対し、甲1発明はその旨特定されていない点で相違する。
d 甲1発明の「接合構造」は、「被接合部材5の穴部に接合部材4の小円柱段部4b2及び突部4cを嵌合させた状態で被接合部材5を圧縮して所定厚みの平板部5bを成形しつつ、被接合部材5を圧縮する圧縮力を利用して、突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccが成形され」ることから、甲1発明では、「接合部材4」が、「接合部材4」と「被接合部材5」が「重」なる面に、「突端」が「外方に扁平さ」れた「突部4c」を有するといえる。
してみると、甲1発明において、「接合部材4」が、「接合部材4」と「被接合部材5」が「重」なる面に、「突端」が「外方に扁平さ」れた「突部4c」を有することと本件発明3とは、「第1金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部を備え」る点で共通する。
ただし、第1金属に関し、本件発明3は「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部」を備えているのに対し、甲1発明はその旨特定されていない点で相違する。
e 甲1発明では、「被接合部材5の穴部に接合部材4の小円柱段部4b2及び突部4cを嵌合させた状態で被接合部材5を圧縮して所定厚みの平板部5bを成形し」「平板部5bを成型する際の圧縮により穴部5aを穴径が入口に向かって狭まる」ことから、「被接合部材5」は、「接合部材4」と「被接合部材5」が「重」なる面に、「穴径が入口に向かって狭まる」「穴部5a」を有するといえる。
してみると、甲1発明において、「被接合部材5」は、「接合部材4」と「被接合部材5」が「重」なる面に、「穴径が入口に向かって狭まる」「穴部5a」を有することと本件発明3とは、「第2金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部を備え」る点で共通する。
ただし、第2金属に関し、本件発明3は「第2凹部には、前記第1金属の最外周部が収められて」いるのに対し、甲1発明はその旨特定されていない点で相違する。
f 上記c、dを踏まえれば、甲1発明において「接合部材4」と「被接合部材5」とが重ねられた面に、「外方に扁平さ」れた「突部4cの突端」が「被接合部材5」に食い込むことと本件発明3とは、「食い込み部は、前記第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部を含む」点で共通する。
ただし、食い込み部に関し、本件発明3は「前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部を含む」のに対し、甲1発明はその旨特定されていない点で相違する。
g 甲1発明の「負側外部端子」は、本件発明3の「端子部品」に相当する。
上記aないしgによれば、本件発明3と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「第1金属と、
前記第1金属に重ねられた第2金属と
を備え、
前記第1金属は前記第2金属よりも剛性が高く、
前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が設けられており、
ここで、前記第1金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部
を備え、
前記第2金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部
を備え、
前記食い込み部は、
前記第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部を含む、端子部品。」
[相違点16]
食い込み部に関し、本件発明3は「少なくとも3箇所」に設けられているのに対し、甲1発明はその旨特定されていない点。
[相違点17]
第1金属に関し、本件発明3は「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部」を備えているのに対し、甲1発明はその旨特定されていない点。
[相違点18]
第2金属に関し、本件発明3は「第2凹部には、前記第1金属の最外周部が収められて」いるのに対し、甲1発明はその旨特定されていない点。
[相違点19]
食い込み部に関し、本件発明3は「前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部を含む」のに対し、甲1発明はその旨特定されていない点。
(イ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点17について判断する。
甲第1号証には、接合部材4に「凹部」を設け、該「凹部」が「開口の縁が底部より内側に張り出」す構成とする記載や示唆も見当たらない。
してみると、相違点17は実質的な相違である。
(ウ)小括
したがって、相違点17は実質的な相違であるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲第1号証に記載された発明ではない。
ウ 本件発明4、6について
請求項4、6は、請求項1を引用するものであり、本件発明4、6は、引用する本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明1に対する理由と同様な理由により、本件発明4、6は、甲第1号証に記載された発明ではない。
エ 本件発明9について
(ア)甲1発明aとの対比
a 甲1発明aにおいて、「接合部材4の製造工程」により「接合部材4」が用意されることから、本件発明9の「第1金属を用意する工程」に相当する。また、「被接合部材5の製造工程」により「被接合部材5」が用意されることから、本件発明9の「第2金属を用意する工程」に相当する。
b 甲1発明aの「成形工程」では、「被接合部材4の上部を圧縮して」「成形」された「予備成形部5cを圧縮して平板部5bに成形」することから、「成形工程」は、本件発明9の「第1金属と前記第2金属とを加圧する工程」に相当する。
c 甲1発明aにおいて、「接合部材4は銅部材からなり、被接合部材5は接合部材よりも柔らかいアルミ部材からな」ることから、「接合部材4」は「被接合部材5」よりも剛性が高いといえ、本件発明9の「第1金属は、前記第2金属よりも剛性が高」いことに相当する。
また、甲1発明aの「接合部材4」が「突部4c」を有することと本件発明9とは、「第1金属」は「第1凸部を備え」る点で共通する。
してみると、甲1発明aにおいて、「接合部材4」は、「被接合部材5」よりも剛性が高く、かつ、「突部4c」を有することと本件発明9とは、「第1金属は、前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、第1凸部を備え」ている点で共通する。
ただし、第1金属に関し、本件発明9は「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部」を備え、「第1凸部」は「頂部の縁が基端よりも外側に張り出し」ているのに対し、甲1発明aはその旨特定されていない点で相違する。
d 甲1発明aの「被接合部材4」が「袋穴である穴部5a」を有することと本件発明9とは、「第2金属は、第2凹部を備え」ている点で共通する。
ただし、第2凹部に関し、本件発明9は「開口の縁が底部よりも内側に張り出し」、「第1金属の最外周部が収められる寸法であ」るのに対し、甲1発明aはその旨特定されていない点で相違する。
e 甲1発明aの「成形工程」において、「被接合部材4の上部を圧縮して」「成形」された「予備成形部5cを圧縮して平板部5bに成形」することと本件発明9とは、「第1金属と前記第2金属とを加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させる」点で共通する。
また、甲1発明aの「成形工程」では、「予備成形部5cを圧縮する圧縮力を利用して、突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccを形成し、同時にこのアンダーカット部4ccと段部4bとの間及び小円柱段部4b2との間に被接合部材5の余肉が回り込」むことから、「接合部材4」と「被接合部材5」とが重ねられた面に、「外方に扁平さ」れた「突部4cの突端」が「被接合部材5」に食い込むと解される。してみると、甲1発明aにおいて、「接合部材4」と「被接合部材5」とが重ねられた面に、「外方に扁平さ」れた「突部4cの突端」が「被接合部材5」に食い込むことと本件発明9とは、「前記第1凸部の前記頂部の縁を前記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を形成させる」点で共通する。
したがって、上記bも踏まえれば、上記甲1発明aの「成形工程」では、「被接合部材4の上部を圧縮して」「成形」された「予備成形部5cを圧縮して平板部5bに成形」し、「接合部材4」と「被接合部材5」とが重ねられた面に、「外方に扁平さ」れた「突部4cの突端」が「被接合部材5」に食い込むことと本件発明9とは、「加圧する工程では、第1金属と前記第2金属とを加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させることによって、前記第1凸部の前記頂部の縁を前記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を形成させる」点で共通する。
ただし、加圧する工程に関し、本件発明9は、第1金属と第2金属とを「相互」に加圧し、「前記第2金属の前記第2凹部に関第1金属の最外周部を収め、かつ、」「前記第1凹部の開口の縁を前記第2金属に食い込ませ」、食い込み部を「少なくとも3箇所」に形成させるのに対し、甲1発明aは「接合部材4」に対して「非接合部材4」を「圧縮」し、「外方に扁平さ」れた「突部4cの突端」が「被接合部材5」に食い込む点で相違する。
f 甲1発明aの「負側外部端子の第1接合方法」は、本件発明9の「端子部品の製造方法」に相当する。
上記aないしfによれば、本件発明9と甲1発明aとの一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「第1金属を用意する工程と、
第2金属を用意する工程と、
前記第1金属と前記第2金属とを加圧する工程と
を含み、
前記第1金属は、
前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、
第1凸部
を備え、
前記第2金属は、
第2凹部
を備え、
前記加圧する工程では、
第1金属と前記第2金属とを加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させることによって、前記第1凸部の前記頂部の縁を前記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を形成させる、端子部品の製造方法。」
[相違点20]
第1金属に関し、本件発明9は「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部」を備え、「第1凸部」は「頂部の縁が基端よりも外側に張り出し」ているのに対し、甲1発明aはその旨特定されていない点。
[相違点21]
第2凹部に関し、本件発明9は「開口の縁が底部よりも内側に張り出し」、「第1金属の最外周部が収められる寸法であ」るのに対し、甲1発明aはその旨特定されていない点。
[相違点22]
加圧する工程に関し、本件発明9は、第1金属と第2金属とを「相互」に加圧し、「前記第2金属の前記第2凹部に関第1金属の最外周部を収め、かつ、」「前記第1凹部の開口の縁を前記第2金属に食い込ませ」、食い込み部を「少なくとも3箇所」に形成させるのに対し、甲1発明aは「接合部材4」に対して「非接合部材4」を「圧縮」し、「外方に扁平さ」れた「突部4cの突端」が「被接合部材5」に食い込む点。
(イ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点20について判断する。
甲第1号証に記載された「第1接合方法」の「接合部材4の製造工程」において、接合部材4に「凹部」を形成し、該「凹部」を「開口の縁が底部よりも内側に張り出」す構成とする記載や示唆は見当たらない。
してみると、相違点20は実質的な相違である。
(ウ)小括
したがって、相違点20は実質的な相違であるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明9は、甲第1号証に記載された発明ではない。
オ 本件発明10、11について
請求項10、11は、請求項3を引用するものであり、本件発明10、11は、引用する本件発明3の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明3に対する理由と同様な理由により、本件発明10、11は、甲第1号証に記載された発明ではない。
カ まとめ
以上から、請求項1、3、4、6、9ないし11に係る発明は、甲第1号証に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当せず、請求項1、3、4、6、9ないし11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではない。
(2)申立理由2(進歩性)について
本件発明7について
ア 甲1発明aとの対比
(ア)甲1発明aにおいて、「接合部材4の製造工程」により「接合部材4」が用意されることから、本件発明7の「第1金属を用意する工程」に相当する。また、「被接合部材5の製造工程」により「被接合部材5」が用意されることから、本件発明7の「第2金属を用意する工程」に相当する。
(イ)甲1発明aの「成形工程」では、「被接合部材4の上部を圧縮して」「成形」された「予備成形部5cを圧縮して平板部5bに成形」することから、「成形工程」は、本件発明7の「第1金属と前記第2金属とを加圧する工程」に相当する。
(ウ)甲1発明aにおいて、「接合部材4は銅部材からなり、被接合部材5は接合部材よりも柔らかいアルミ部材からな」ることから、「接合部材4」は「被接合部材5」よりも剛性が高いといえ、本件発明7の「第1金属は、前記第2金属よりも剛性が高」いことに相当する。
また、甲1発明aの「接合部材4」が「突部4c」を有することと本件発明7とは、「第1金属」は「第1凸部を備え」る点で共通する。
してみると、甲1発明aにおいて、「接合部材4」は、「被接合部材5」よりも剛性が高く、「突部4c」を有することと本件発明7とは、「第1金属は、前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、第1凸部を備え」ている点で共通する。
ただし、第1金属に関し、本件発明7は「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部」を備え、「第1凸部」は「前記第1凹部の中心において頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、かつ、前記頂部が前記1凹部の開口よりも高く突出し」ているのに対し、甲1発明aはその旨特定されていない点で相違する。
(エ)甲1発明aの「成形工程」において、「被接合部材4の上部を圧縮して」「成形」された「予備成形部5cを圧縮して平板部5bに成形」することと本件発明7とは、「第1金属と前記第2金属とを加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させる」点で共通する。
また、甲1発明aの「成形工程」では、「予備成形部5cを圧縮する圧縮力を利用して、突部4cの突端を外方に扁平させて接合部材4に十分な大きさのアンダーカット部4ccを形成し、同時にこのアンダーカット部4ccと段部4bとの間及び小円柱段部4b2との間に被接合部材5の余肉が回り込」むことから、「接合部材4」と「被接合部材5」とが重ねられた面に、「外方に扁平さ」れた「突部4cの突端」が「被接合部材5」に食い込むと解される。してみると、甲1発明aにおいて、「接合部材4」と「被接合部材5」とが重ねられた面に、「外方に扁平さ」れた「突部4cの突端」が「被接合部材5」に食い込むことと本件発明7とは、「前記第1凸部の前記頂部の縁を前記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を形成させる」点で共通する。
したがって、上記甲1発明aの「成形工程」では、「被接合部材5の上部を圧縮して」「成形」された「予備成形部5cを圧縮して平板部5bに成形」して、「接合部材4」と「被接合部材5」とが重ねられた面に、「外方に扁平さ」れた「突部4cの突端」が「被接合部材5」に食い込むことと本件発明7とは、「加圧する工程では、第1金属と前記第2金属とを加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させることによって、前記第1凸部の前記頂部の縁を前記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を形成させる」点で共通する。
ただし、加圧する工程に関し、本件発明7は、第1金属と第2金属とを「相互」に加圧し、「前記第1凹部の前記開口の縁」を第2金属に食い込ませ、食い込み部を「少なくとも3箇所」に形成させるのに対し、甲1発明aは「接合部材4」に対して「非接合部材4」を「圧縮」し、「外方に扁平さ」れた「突部4cの突端」が「被接合部材5」に食い込む点で相違する。
(オ)甲1発明aの「負側外部端子の第1接合方法」は、本件発明7の「端子部品の製造方法」に相当する。
上記(ア)ないし(オ)によれば、本件発明7と甲1発明aとの一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「第1金属を用意する工程と、
第2金属を用意する工程と、
前記第1金属と前記第2金属とを加圧する工程と
を含み、
前記第1金属は、
前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、
第1凸部を備え、
前記加圧する工程では、
前記第1金属と前記第2金属とを加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させることによって、前記第1凸部の前記頂部の縁を前記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を形成させる、端子部品の製造方法。」
[相違点23]
第1金属に関し、本件発明7は「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部」を備え、「第1凸部」は「前記第1凹部の中心において頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、かつ、前記頂部が前記1凹部の開口よりも高く突出し」ているのに対し、甲1発明aはその旨特定されていない点。
[相違点24]
加圧する工程に関し、本件発明7は、第1金属と第2金属とを「相互」に加圧し、「前記第1凹部の前記開口の縁」を第2金属に食い込ませ、「かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を少なくとも3箇所に形成させる」のに対し、甲1発明aは「接合部材4」に対して「被接合部材5」を「圧縮」し、「外方に扁平さ」れた「突部4cの突端」が「被接合部材5」に食い込む点。
イ 相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点23について判断する。
(ア)甲第1号証には、「第1接合方法」の「接合部材4の製造工程」において、接合部材4に「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部」を形成し、さらに、接合部材4が有する突部4cを「前記第1凹部の中心において頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、かつ、前記頂部が前記1凹部の開口よりも高く突出」するよう構成する記載や示唆は見当たらない。
また、甲1発明aの「成形工程」では、被接合部材4の上部が圧縮されて成形された予備成形部5cを、さらに圧縮して平板部5bに成形し、この時の圧縮力を利用して、突部4cの突端を外方に扁平させており、甲1発明aの「接合部材4の製造工程」において、接合部材4が有する突部4cを予め「頂部の縁が基端よりも外側に張り出」す構成とする格別な理由はない。
(イ)ここで、上記3(2)で述べたように、甲第2号証には、「端子の製造方法であって、第一面51を有する第一部材50と、4個の凹部31A,31B,31C,31Dが形成され、各凹部のそれぞれの間に凸部が形成された第二面62を有する第二部材60とを予め準備する工程と、第一部材50の第一面51と第二部材60の第二面62が接した状態で下金型にセットされ、上金型を下金型に向けて移動させて第一部材50を押圧し塑性変形する工程とを含み、第一部材50はアルミニウムにより形成され、第二部材60は銅により形成され、第二部材60の第二面62に形成された各凹部は、径方向の寸法が、締結状態において第一部材50と第二部材60が重なり合う方向である軸方向の第二部材60が配置される側である第二側より該軸方向の第一部材50が配置される側である第一側で狭くなり、該軸方向の該第一側が幅狭の台形とされ、第一部材50を押圧し塑性変形する工程では、前記第二面62に形成された各凹部31A,31B,31C,31Dに対向する前記第一面51の部分が、塑性変形して隆起し各凹部31A,31B,31C,31Dに充填されること」の技術(「甲第2号証に記載された技術」)が記載されている。
しかしながら、甲第2号証には、アルミニウムにより形成される第一部材50と銅から形成される第二部材60を接した状態で下金型にセットし、上金型を下金型に向けて移動させて第一部材50を押圧し塑性変形する端子の製造方法において、第二部材60の第二面62に形成された「凹部31A,31B,31C,31D」の中心に凸部を設け、さらに、該凸部の頂部が「凹部31A,31B,31C,31D」の開口よりも高く突出させる記載や示唆は見当たらない。
してみれば、甲1発明aに甲第2号証に記載された技術を適用したとしても、相違点23に係る構成を導き出すことはできない。
(ウ)また、上記3(3)で述べたように、甲第3号証には、「内部装着部品をアルミニウム部材(1)、(2)を接合して包み込む基板ホルダーの製造工程であって、アルミニウム部材(1)、(2)には加熱ヒーター及び熱電対等の内部装着部品(7)を装着する窪みを形成し、アルミニウム部材(1)の接合面に環状溝(4)を設け、またアルミニウム部材(2)の接合面に環状突出部(5)を設け、アルミニウム部材(1)、(2)に内部装着部品(7)を装着し、環状溝(4)に環状突出部(5)を組み合わせ鍛圧することにより、環状溝(4)内で環状突出部(5)が圧縮され充満し、それにより密閉され、環状溝(25)の断面は逆台形で、環状突出部(26)は断面コの字状であること」の技術(「甲第3号証に記載された技術」)が記載されている。
しかし、甲1発明aは、銅部材からなる接合部材4の小円柱段部4b2および突部4cにアルミ部材からなる被接合部材5の穴部5aを嵌合させ、被接合部材5を圧縮して予備成形部5cを成形し、さらに予備成形部5cを圧縮して平板部5bに成形する、負側外部端子の第1接合方法であるから、甲1発明aと甲第3号証に記載された技術とは、接合部材の材料、及び、成形工程が異なり、さらに、技術分野も異なるものである。
してみると、甲1発明aに甲第3号証に記載された技術を適用することを当業者は容易に想到し得ないといえる。
また、仮に、甲1発明aに甲第3号証に記載された技術を適用できたとしても、甲第3号証には、第2金属よりも剛性が高い第1金属が「第1凹部の中心において頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、かつ、前記頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出した第1凸部」を備えることの記載や示唆は見当たらないから、甲1発明aに甲第3号証に記載された技術を適用したとしても、相違点23に係る構成を導き出すことはできない。
(エ)よって、相違点23に係る構成は、甲1発明a、甲第2号証に記載された技術及び甲第3号証に記載された技術に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。
ウ まとめ
以上から、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明7は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術及び甲第3号証に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、請求項7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
(3)申立理由3(拡大先願)について
ア 本件発明1について
(ア)先願発明との対比
a 先願発明の「第1金属部材10」は、本件発明1の「第1金属」に相当する。また、先願発明の「第1金属部材10」と「重ねて接合され」る「第2金属部材20」は、本件発明1の「第1金属に重ねられた第2金属」に相当する。
b 先願発明では、「第1金属部材10は銅材料からなり、第2金属部材20はアルミニウム材からな」ることから、「第1金属部材10」は「第2金属部材20」よりも剛性が高いといえ、本件発明1の「第1金属は前記第2金属よりも剛性が高」いことに相当する。
c 本件発明1は「前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が、少なくとも4箇所に設けられて」いるのに対し、先願発明ではその旨特定されていない点で相違する。
d 先願発明の「第1金属部材10は、第1金属部材10と第2金属部材20が重ねられた面に、内周壁が逆テーパー状に成形され、この逆テーパー部14が底部に向かうに従って拡がる方向に傾斜する有邸の袋穴部13を有」することと本件発明1とは、「第1金属は、前記第1金属と前記第2属とが重ねられた界面に、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部を備え」る点で共通する。
ただし、第1金属に関し、本件発明1は「第1凹部の中心において頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、かつ、前記頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出した第1凸部」を備えるのに対し、先願発明はその旨特定されていない点で相違する。
e 先願発明の「第2金属部材10」が有する「突部」は、「第1金属部材10」が有する「内周壁が逆テーパー状に成形され、この逆テーパー部14が底部に向かうに従って拡がる方向に傾斜する有邸の袋穴部13」に「第2金属部材20が完全に充填されて形成された」ものであることから、該「突部」の頂上部分の縁は基端部分より外側に張り出していると解される。
してみると、先願発明において、「第2金属部材10は、第1金属部材10と第2金属20が重ねられた面に」、頂上部分の縁が基端部分より外側に張り出している「突部」を有することと本件発明1とは、「前記第2金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第2凸部を備え」る点で共通する。
ただし、第2金属に関し、本件発明1は「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部」を備えるのに対し、先願発明はその旨特定されていない点で相違する。
f 本件発明1は「少なくとも4箇所に設けられている前記食い込み部は、前記第1金属の前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第1金属の前記第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第2金属の前記第2凹部の開口の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第2金属の前記第2凸部の頂部の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部とを含む」のに対し、先願発明はその旨特定されていない点で相違する。
g 先願発明の「負極端子として用いる異種金属接合体」は、本件発明1の「端子部品」に相当する。
上記aないしgによれば、本件発明1と先願発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「第1金属と、
前記第1金属に重ねられた第2金属と
を備え、
前記第1金属は前記第2金属よりも剛性が高く、
ここで、前記第1金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部
を備え、
前記第2金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第2凸部
を備える、端子部品。」
[相違点25]
本件発明1は「前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が、少なくとも4箇所に設けられて」いるのに対し、先願発明ではその旨特定されていない点。
[相違点26]
第1金属に関し、本件発明1は「第1凹部の中心において頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、かつ、前記頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出した第1凸部」を備えるのに対し、先願発明はその旨特定されていない点。
[相違点27]
第2金属に関し、本件発明1は「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部」を備えるのに対し、先願発明はその旨特定されていない点。
[相違点28]
本件発明1は「少なくとも4箇所に設けられている前記食い込み部は、前記第1金属の前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第1金属の前記第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第2金属の前記第2凹部の開口の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部と、前記第2金属の前記第2凸部の頂部の縁が前記第1金属に食い込んでいる食い込み部とを含む」のに対し、先願発明はその旨特定されていない点。
(イ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点26について判断する。先願明細書には、第1金属部材10に「凸部」を設け、さらに、該「凸部」が「袋穴部13」の「中心において頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、かつ、前記頂部」が「袋穴部13」の開口よりも高く突出させる記載や示唆は見当たらず、また、この点が課題解決のための具体化手段における微差であることを裏付ける証拠も提出されていない。
(ウ)小括
よって、その他の相違点について判断するまでもなく、本件発明1に係る発明は、先願発明と実質同一ではない。
イ 本件発明3について
(ア)先願発明との対比
a 先願発明の「第1金属部材10」は、本件発明3の「第1金属」に相当する。また、先願発明の「第1金属部材10」と「重ねて接合され」る「第2金属部材20」は、本件発明3の「第1金属に重ねられた第2金属」に相当する。
b 先願発明では、「第1金属部材10は銅材料からなり、第2金属部材20はアルミニウム材からな」ることから、「第1金属部材10」は「第2金属部材20」よりも剛性が高いといえ、本件発明3の「第1金属は前記第2金属よりも剛性が高」いことに相当する。
c 本件発明3は「前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が、少なくとも3箇所に設けられて」いるのに対し、先願発明ではその旨特定されていない点で相違する。
d 先願発明の「第1金属部材10は、第1金属部材10と第2金属部材20が重ねられた面に、内周壁が逆テーパー状に成形され、この逆テーパー部14が底部に向かうに従って拡がる方向に傾斜する有邸の袋穴部13を有」することと本件発明3とは、「第1金属は、前記第1金属と前記第2属とが重ねられた界面に、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部を備え」る点で共通する。
ただし、第1金属に関し、本件発明3は「頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部」を備えるのに対し、先願発明はその旨特定されていない点で相違する。
e 本件発明3は「第2金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部を備え、前記第2凹部には、前記第1金属の最外周部が収められて」いるのに対し、先願発明はその旨特定されていない点で相違する。
f 本件発明3は「少なくとも3箇所に設けられている前記食い込み部は、前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前起第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部とを含む」のに対し、先願発明はその旨特定されていない点で相違する。
g 先願発明の「負極端子として用いる異種金属接合体」は、本件発明3の「端子部品」に相当する。
上記aないしgによれば、本件発明3と先願発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「第1金属と、
前記第1金属に重ねられた第2金属と
を備え、
前記第1金属は前記第2金属よりも剛性が高く、
ここで、前記第1金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部を備える、端子部品。」
[相違点29]
本件発明3は「前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属のうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部が、少なくとも3箇所に設けられて」いるのに対し、先願発明ではその旨特定されていない点。
[相違点30]
第1金属に関し、本件発明3は「頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部」を備えるのに対し、先願発明はその旨特定されていない点。
[相違点31]
本件発明3は「第2金属は、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部を備え、前記第2凹部には、前記第1金属の最外周部が収められて」いるのに対し、先願発明はその旨特定されていない点。
[相違点32]
本件発明3は「少なくとも3箇所に設けられている前記食い込み部は、前記第1凹部の開口の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部と、前起第1凸部の頂部の縁が前記第2金属に食い込んでいる食い込み部とを含む」のに対し、先願発明はその旨特定されていない点。
(イ)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点31について判断する。
先願明細書には、第2金属部材20に「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部」を設け、さらに、該「第2凹部」に「第1金属部材10」の最外周部を収める記載や示唆は見当たらず、また、この点が課題解決のための具体化手段における微差であることを裏付ける証拠も提出されていない。
(ウ)小括
よって、その他の相違点について判断するまでもなく、本件発明3は、先願発明と実質同一ではない。
ウ 本件発明4、6について
請求項4、6は請求項1を引用するものであり、本件発明4、6は、本件発明1の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様な理由により、本件発明4、6は、先願発明と実質同一ではない。
エ 本件発明7について
(ア)先願発明aとの対比
a 先願発明aの「第1金属部材10および第2金属部材20を、予め別個に成形し準備する工程」は、本件発明7の「第1金属を用意する工程と、第2金属を用意する工程」に相当する。
b 先願発明aの「第1金属部材10を、受け型1の段付きの挿入孔1aで保持し、第2金属部材20が上記第1金属部材10の袋穴部13を塞ぐようにして設置され、第2金属部材20を軸方向に圧縮する」工程は、本件発明7の「前記第1金属と前記第2金属とを加圧する工程」に相当する。
c 先願発明aでは、「第1金属部材10は銅材料からなり、第2金属部材20はアルミニウム材からなる」ことから、「第1金属部材10」は「第2金属部材」よりも剛性が高いといえ、本件発明7の「第1金属は、前記第2金属よりも剛性が高」いことに相当する。
また、先願発明aの「第1金属部材10」が有する「内周壁が逆テーパー状に成形され、この逆テーパー部14が、底部に向かうに従って拡がる方向に傾斜している袋穴部13」は、本件発明7の「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部」に相当する。
してみると、先願発明aにおいて、「第1金属部材10」は「第2金属部材」よりも剛性が高く、「内周壁が逆テーパー状に成形され、この逆テーパー部14が、底部に向かうに従って拡がる方向に傾斜している袋穴部13」を有することと本件発明7とは、「記第1金属は、前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部を備え」る点で共通する。
ただし、第1金属に関し、本件発明7は「前記第1凹部の中心において頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、かつ、前記頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出した第1凸部を備え」るのに対し、先願発明aはその旨特定されていない点で相違する。
d 先願発明aにおいて「第2金属部材20を軸方向に圧縮することにより、第2金属部材20が塑性変形により流動し、第1金属部材10の袋穴部13に第2金属部材20が完全に充填されるまで、第2金属部材20を圧縮する」ことと本件発明7とは、「前記加圧する工程では、第1金属と前記第2金属とを加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させる」点で共通する。
ただし、加圧する工程に関し、本件発明7は、第1金属と第2金属とを「相互」に加圧し、「前記第1凹部の前記開口の縁および前記第1凸部の前記頂部の縁を記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を少なくとも3箇所に形成させる」のに対し、先願発明aは、「第2金属部材20が塑性変形により流動し、第1金属部材10の袋穴部13に第2金属部材20が完全に充填されるまで、第2金属部材20を圧縮する」点で相違する。
e 先願発明aの「負極端子として用いる異種金属接合体を製造するための異種金属部品接合方法」は、本件発明7の「端子部品の製造方法」に相当する。
上記aないしeによれば、本件発明7と先願発明aとの一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「第1金属を用意する工程と、
第2金属を用意する工程と、
前記第1金属と前記第2金属とを加圧する工程と
を含み、
前記第1金属は、
前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部
を備え、
前記加圧する工程では、
前記第1金属と前記第2金属とを加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させる、端子部品の製造方法。」
[相違点33]
本件発明7は「前記第1凹部の中心において頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、かつ、前記頂部が前記第1凹部の開口よりも高く突出した第1凸部を備え」るのに対し、先願発明aはその旨特定されていない点。
[相違点34]
加圧する工程に関し、本件発明7は、第1金属と第2金属とを「相互」に加圧し、「前記第1凹部の前記開口の縁および前記第1凸部の前記頂部の縁を記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を少なくとも3箇所に形成させる」のに対し、先願発明aは、「第2金属部材20が塑性変形により流動し、第1金属部材10の袋穴部13に第2金属部材20が完全に充填されるまで、第2金属部材20を圧縮する」点。
(イ)相違点に対する判断
事案に鑑みて、相違点33について判断する。
先願明細書には、「第1金属部材10」に、「袋穴部13」の中心において頂部の縁が基端よりも外側に張り出し、かつ、前記頂部が「袋穴部13」の開口よりも高く突出した凸部を形成する記載や示唆は見当たらず、また、この点が課題解決のための具体化手段における微差であることを裏付ける証拠も提出されていない。
(ウ)小括
よって、その他の相違点について判断するまでもなく、本件発明7は、先願発明aと実質同一ではない。
オ 本件発明9について
(ア)先願発明aとの対比
a 先願発明aの「第1金属部材10および第2金属部材20を、予め別個に成形し準備する工程」は、本件発明9の「第1金属を用意する工程と、第2金属を用意する工程」に相当する。
b 先願発明aの「第1金属部材10を、受け型1の段付きの挿入孔1aで保持し、第2金属部材20が上記第1金属部材10の袋穴部13を塞ぐようにして設置され、第2金属部材20を軸方向に圧縮する」工程は、本件発明9の「前記第1金属と前記第2金属とを加圧する工程」に相当する。
c 先願発明aでは、「第1金属部材10は銅材料からなり、第2金属部材20はアルミニウム材からなる」ことから、「第1金属部材10」は「第2金属部材」よりも剛性が高いといえ、本件発明9の「第1金属は、前記第2金属よりも剛性が高」いことに相当する。
また、先願発明aの「第1金属部材10」が有する「内周壁が逆テーパー状に成形され、この逆テーパー部14が、底部に向かうに従って拡がる方向に傾斜している袋穴部13」は、本件発明9の「開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部」に相当する。
してみると、先願発明aにおいて、「第1金属部材10」は「第2金属部材」よりも剛性が高く、「内周壁が逆テーパー状に成形され、この逆テーパー部14が、底部に向かうに従って拡がる方向に傾斜している袋穴部13」を有することと本件発明9とは、「第1金属は、前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部を備え」る点で共通する。
ただし、第1金属に関し、本件発明9は「頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部を備え」るのに対し、先願発明aはその旨特定されていない点で相違する。
d 本件発明9は「第2金属は、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部を備え、前記第2凹部は、前記第1金属の最外周部が収められる寸法であ」るのに対し、先願発明aは、この旨特定されていない点で相違する。
e 先願発明aにおいて「第2金属部材20を軸方向に圧縮することにより、第2金属部材20が塑性変形により流動し、第1金属部材10の袋穴部13に第2金属部材20が完全に充填されるまで、第2金属部材20を圧縮する」することと本件発明9とは、「加圧する工程では、第1金属と前記第2金属とを加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させる」点で共通する。
ただし、加圧する工程に関し、本件発明9は第1金属と第2金属とを「相互」に加圧し、「前記第2金属の前記第2凹部に前記第1金属の最外周部を収め、かつ、前記第1凸部の前記頂部の縁および前記第1凹部の開口の縁を前記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を少なくとも3箇所に形成させる」のに対し、先願発明aは、「第2金属部材20が塑性変形により流動し、第1金属部材10の袋穴部13に第2金属部材20が完全に充填されるまで、第2金属部材20を圧縮する」点で相違する。
f 先願発明aの「負極端子として用いる異種金属接合体を製造するための異種金属部品接合方法」は、本件発明9の「端子部品の製造方法」に相当する。
上記aないしfによれば、本件発明9と先願発明aとの一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「第1金属を用意する工程と、
第2金属を用意する工程と、
前記第1金属と前記第2金属とを加圧する工程と
を含み、
前記第1金属は、
前記第2金属よりも剛性が高く、かつ、
開口の縁が底部よりも内側に張り出した第1凹部
を備え、
前記加圧する工程では、
前記第1金属と前記第2金属とを加圧し、前記第2金属を前記第1金属に対して塑性変形させる、端子部品の製造方法。」
[相違点35]
第1金属に関し、本件発明9は「頂部の縁が基端よりも外側に張り出した第1凸部を備え」るのに対し、先願発明aはその旨特定されていない点。
[相違点36]
本件発明9は「第2金属は、開口の縁が底部よりも内側に張り出した第2凹部を備え、前記第2凹部は、前記第1金属の最外周部が収められる寸法であ」るのに対し、先願発明aは、この旨特定されていない点。
[相違点37]
加圧する工程に関し、本件発明9は第1金属と第2金属とを「相互」に加圧し、「前記第2金属の前記第2凹部に前記第1金属の最外周部を収め、かつ、前記第1凸部の前記頂部の縁および前記第1凹部の開口の縁を前記第2金属に食い込ませ、かつ、前記第1金属と前記第2金属とが重ねられた界面に、前記第1金属と前記第2金属とのうち一方の金属の縁が他方の金属に食い込んだ食い込み部を少なくとも3箇所に形成させる」のに対し、先願発明aは、「第2金属部材20が塑性変形により流動し、第1金属部材10の袋穴部13に第2金属部材20が完全に充填されるまで、第2金属部材20を圧縮する」点。
(イ)相違点に対する判断
事案に鑑みて、相違点36について判断する。
先願明細書には、「第2金属部材20」に、開口の縁が底部よりも内側に張り出した凹部を形成し、さらに、該凹部が、「第1金属部材10」の最外周部が収められる寸法である記載や示唆は見当たらず、また、この点が課題解決のための具体化手段における微差であることを裏付ける証拠も提出されていない。
(ウ)小括
よって、その他の相違点について判断するまでもなく、本件発明9は、先願発明aと実質同一ではない。
カ 本件発明10、11について
請求項10、11は請求項3を引用するものであり、本件発明10、11は、本件発明3の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明3についての判断と同様な理由により、本件発明10、11は、先願発明と実質同一ではない。
キ まとめ
以上のとおり、請求項1、3、4、6、7、9ないし11に係る発明は、甲第4号証に係る先願明細書等に記載された発明と実質同一であるとはいえないから、請求項1、3、4、6、7、9ないし11に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、3、4、6、7、9ないし11に係る特許を取り消すことはできない。また、他に本件請求項1、3、4、6、7、9ないし11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項2、5、8に係る特許は、上記のとおり訂正により削除された。
これにより、特許異議申立人による特許異議の申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定より却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701269