特許異議申立
2024-700425
射出成形機用ベースフレーム
- 審判番号
- 2024-700425
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-064802
- 登録番号
- 7394007
- 請求日
- 2024年05月07日
- 審決日
- 2025年01月31日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】住友重機械工業株式会社
- 【権利者代理人】アクシス国際弁理士法人
- 【異議申立人】角田 欣也
- 審判長/審判官
- 審判長 神谷 健一
- 審判官 河原 正
- 審判官 西岡 貴央
- 分類
- P1651.121-YAA(B29C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7394007号発明「射出成形機用ベースフレーム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7394007号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~14〕について訂正することを認める。
特許第7394007号の請求項1~6、8~14に係る特許を維持する。
特許第7394007号の請求項7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7394007号(以下「本件特許」という。)の請求項1~14に係る特許についての出願(特願2020-64802号)は、令和2年3月31日を出願日とする出願であって、令和 5年11月29日にその特許権の設定の登録がされ、同年12月 7日に特許掲載公報が発行された。
本件特許について、その特許掲載公報発行の日から6月以内である令和 6年 5月 7日に、特許異議申立人 角田欣也(以下「異議申立人」という。)から全請求項に対して特許異議の申立てがされた。その後の手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和 6年 8月19日付け:取消理由通知書
令和 6年10月21日 :特許権者による訂正請求書の提出(この訂正請求書による訂正の請求を、以下「本件訂正請求」という。)
令和 6年10月21日 :特許権者による意見書の提出
令和 6年10月22日 :応対記録(初回応対:令和 6年10月 8日)
令和 6年10月31日 :特許権者による手続補正書(補正対象:訂正請求書)
なお、異議申立人に対し、令和6年11月11日付けで、訂正請求があった旨の通知をしたが、異議申立人からの意見書の提出はなかった。
第2 本件訂正請求について
1 請求の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、特許第7394007号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~14について訂正することを求める、というものである。
2 訂正の内容
本件訂正請求により特許権者が求める訂正の内容は、次のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
なお、本件訂正は、一群の請求項である訂正後の請求項〔1~14〕についてなされたものである。下線は訂正箇所を示す。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記プラテン取付けプレートの前記長手方向の外縁部が、前記メインビームと溶接により接合された溶接箇所を含み、前記プラテン取付けプレートが、前記福方向の内側部分よりも外端で前記長手方向の長さを長くした形状を有するベースフレーム。」と記載されているのを、「前記プラテン取付けプレートの前記長手方向の外縁部が、前記メインビームと溶接により接合された溶接箇所を含み、前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向の内側部分よりも外端で前記長手方向の長さを長くした形状を有し、
前記プラテンが、前記幅方向に互いに間隔をおいて設けられる一対の脚部を有し、
前記プラテン取付けプレートが、一対の前記脚部のそれぞれとの固定に用いられる一対のプラテン固定箇所を有し、
前記一対のプラテン固定箇所はそれぞれ、前記長手方向において、前記内側部分が延びる範囲内にのみ配置されるベースフレーム。」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~6、8~10、14も同様に訂正する。)。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項8に「請求項1~7のいずれか一項に記載のベースフレーム。」と記載されているのを、「請求項1~6のいずれか一項に記載のベースフレーム。」に訂正する(請求項8の記載を直接的又は間接的に引用する請求項9~10、14も同様に訂正する。)。
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項9に「請求項1~8のいずれか一項に記載のベースフレーム。」と記載されているのを、「請求項1~6、8のいずれか一項に記載のベースフレーム。」に訂正する(請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する請求項10、14も同様に訂正する。)。
(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1~9のいずれか一項に記載のベースフレーム。」と記載されているのを、「請求項1~6、8、9のいずれか一項に記載のベースフレーム。」に訂正する(請求項10の記載を引用する請求項14も同様に訂正する。)。
(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項11に「前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向に互いに間隔をおいて位置する二枚のサイドプレート部材を含み、
前記プラテン取付けプレートの前記内側部分が、前記サイドプレート部材のそれぞれの前記幅方向の内端である、請求項1~10のいずれか一項に記載のベースフレーム。」と記載されているのを、「プラテンを有する型締装置を備えた射出成形機に用いられ、少なくとも前記型締装置が載置されて該型締装置を支持するベースフレームであって、
当該ベースフレームの幅方向に互いに間隔をおいて位置し、当該ベースフレームの長手方向に並んで延びる対をなすメインビームと、
前記メインビーム上に配置され、前記プラテンが取り付けられるプラテン取付けプレートと
を備え、
前記プラテン取付けプレートの前記長手方向の外縁部が、前記メインビームと溶接により接合された溶接箇所を含み、前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向の内側部分よりも外端で前記長手方向の長さを長くした形状を有し、
前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向に互いに間隔をおいて位置する二枚のサイドプレート部材を含み、
前記プラテン取付けプレートの前記内側部分が、前記サイドプレート部材のそれぞれの前記幅方向の内端であるベースフレーム。」に訂正する(請求項11の記載を直接的又は間接的に引用する請求項12~13も同様に訂正する。)。
(7) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項14に「請求項1~10のいずれか一項に記載のベースフレーム。」と記載されているのを、「請求項1~6、8~10のいずれか一項に記載のベースフレーム。」に訂正する。
2 訂正要件の判断
(1) 訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1に係る発明の「プラテン」及び「プラテン取付けプレート」を、「前記プラテンが、前記幅方向に互いに間隔をおいて設けられる一対の脚部を有し、
前記プラテン取付けプレートが、一対の前記脚部のそれぞれとの固定に用いられる一対のプラテン固定箇所を有し、
前記一対のプラテン固定箇所はそれぞれ、前記長手方向において、前記内側部分が延びる範囲内にのみ配置される」ものに限定する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項追加の有無
(ア) 本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件特許明細書等」という。)の発明の詳細な説明には、発明の実施の形態について、
【0017】に、「プラテン取付けプレート4は、ベースフレーム2の幅方向に分割されており、各メインビーム3a及び3b上に配置された二枚のサイドプレート部材5a、5bを含んで構成されている。なお、二枚のサイドプレート部材5a、5bの幅方向の相互間には、図2に示すように、たとえばサイドプレート部材5a、5bよりも厚みの薄いセンタープレート部材5cが配置されており、センタープレート部材5cの幅方向の外端と、それらの各サイドプレート部材5a、5bの幅方向の内端Eiとが溶接されている。」、
【0018】に、「上記のプラテン取付けプレート4には、図3に示すように、固定プラテン32aが取り付けられる。より詳細には、図示の例では、固定プラテン32aは、全体として実質的に、正面視で四隅に丸みのあるほぼ正方形その他の矩形をなす板状を有するとともに、その下端部の底面に、ベースフレーム2の幅方向に互いに間隔をおいて底面から突出して幅方向外側に段差のあるブロック状等の一対の脚部32eを設けたものである。・・・略・・・一方、プラテン取付けプレート4の各サイドプレート部材5aには、上記の各脚部32eの配設位置に合わせた位置にて、当該脚部32eのそれぞれのとの固定に用いられるプラテン固定箇所が設けられる。プラテン固定箇所は一例として、図示は省略するが、固定プラテン32aの各脚部32eとの締結に用いられるボルトが挿入される穴部とすることができる。但し、固定プラテン32aの取付け方法はこれに限らない。」、
【0020】に、「プラテン取付けプレートが外縁部にこのような溶接箇所を有する場合、固定プラテンからの種々の外力の作用により、当該溶接箇所で溶接割れが生じるおそれがある。より詳細には、・・・略・・・固定プラテンでは、金型装置を型締状態にする際等に、・・・略・・・可動プラテン側に倒れるような変形が生じ得る。この際に、固定プラテンの下端部の脚部が取り付けられたプラテン取付けプレートでは、固定プラテンの当該変形に伴い、特に長手方向の外縁部がメインビームから引き離される向きの外力が作用し、これが外縁部での溶接割れを招くことがある。このことは、成形品の製造を比較的短いサイクルで繰り返し行うハイサイクル成形を行う場合に顕著になる。」、「かかる溶接割れを防止するべく、上述したような外力による溶接箇所での応力を緩和するため、プラテン取付けプレートを長手方向に長くして、固定プラテンが取り付けられる箇所から外縁部を離すとともに、プラテン取付けプレートの表面積等の寸法を、当該外力に十分対抗できるように増大させることが考えられる。」、「但し、たとえば固定プラテンと可動プラテンとの間でその下方側のスペースは、金型装置内で成形された成形品を取り出す際に空けておく必要がある等といった理由から、プラテン取付けプレートの寸法を単純に増大させることはできない。」、
【0021】に、「これに対し、この実施形態では、プラテン取付けプレート4が、ベースフレーム2の幅方向の内側部分Piよりも外端Eeで長手方向の長さを長くした形状を有するものとする。それにより、プラテン取付けプレート4の外縁部Ed1、Ed2の溶接箇所を、少なくとも外端Eeの近傍で十分に、プラテン固定箇所から離して位置させることが可能になり、当該溶接箇所での溶接割れを有効に抑制することができる。また、プラテン取付けプレート4の幅方向の内側部分Piは、長手方向の長さが相対的に短くなり、その内側部分Piにおける外縁部Ed1及び/又はEd2の近傍に、所要のスペースを確保しやすくなる。この実施形態では、プラテン取付けプレート4がサイドプレート部材5a、5bを含んで構成されており、プラテン取付けプレート4の内側部分Piの長手方向の長さは、サイドプレート部材5a、5bの幅方向の内端Eiでの長手方向の長さとすることができる。」、
【0022】に、「より好ましくは、プラテン取付けプレート4の外縁部Ed1及びEd2のうちの少なくとも一方が、幅方向の上述した外端Eeを含む外側部分に、内側部分Piよりも長手方向の外側に突き出る突出縁部6を有するものとする。プラテン取付けプレート4の幅方向の外側部分への突出縁部6の形成により、幅方向の内側の所要のスペースは確保しつつ、突出縁部6に設けられるメインビーム3a及び3bとの溶接箇所が、プラテン固定箇所から、より確実に離れて位置することになる。」との記載がある(下線は、合議体が付した。)。
また、図3は、以下のものである。
【図3】
[図:0001422430000001.jpg]
(イ) そうすると、上記の本件特許明細書等の記載からみて、プラテンを、前記(ベースフレームの)幅方向に互いに間隔をおいて設けられる一対の脚部を有するものとすること、プラテン取付けプレートを、一対の前記脚部のそれぞれとの固定に用いられる一対のプラテン固定箇所を有するものとすること、及び、前記一対のプラテン固定箇所はそれぞれ、前記長手方向において、前記内側部分が延びる範囲内にのみ配置されるものとすることはその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者という。)によって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
(ウ) してみると、訂正事項1に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記ア及びイに照らせば、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。
エ 請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~6、8~10、14についても同様である。
オ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項1に係る訂正は、訂正要件を満たす。
(2) 訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2に係る訂正は、請求項7を削除する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項追加の有無
上記アに照らせば、訂正事項2に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記ア及びイに照らせば、訂正事項2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項2に係る訂正は、訂正要件を満たす。
(3) 訂正事項3~5、7について
ア 訂正の目的
訂正事項3~訂正事項5及び訂正事項7に係る訂正は、訂正前の請求項8~請求項10及び請求項14がそれぞれ請求項7の記載を引用するところ、訂正事項2に係る訂正により、請求項7が削除されたことに伴い、請求項8~請求項10及び請求項14において、引用する請求項から請求項7を削除し、記載の整合を図るものであるから、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 新規事項追加の有無
上記アに照らせば、訂正事項3~訂正事項5及び訂正事項7に係る訂正は、いずれも本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記ア及びイに照らせば、訂正事項3~訂正事項5及び訂正事項7に係る訂正は、いずれも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。
エ 請求項8の記載を直接的又は間接的に引用する請求項9、10、14、請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する請求項10、14、請求項10の記載を引用する請求項14についても同様である。
オ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項3~訂正事項5及び訂正事項7に係る訂正は、いずれも訂正要件を満たす。
(4) 訂正事項6について
ア 訂正の目的
訂正事項6は、訂正前の請求項11の記載が訂正前の請求項1~10の記載を引用する記載であったものを、請求項1のみを引用するものとするとともに、請求項1の記載を請求項11に書き下して請求項1の記載を引用しないものとし、請求項間の引用関係を解消して独立形式の記載に改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び、同第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
イ 新規事項追加の有無
上記アに照らせば、訂正事項6に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記ア及びイに照らせば、訂正事項6に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。
エ 請求項11の記載を直接的又は間接的に引用する請求項12~13についても同様である。
オ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項6に係る訂正は、訂正要件を満たす。
3 まとめ
本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とし、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、特許第7394007号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~14〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
本件訂正は、上記第2のとおり認められたので、本件訂正後の請求項1~6、8~14に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本件特許発明1」といい、請求項2以降についても同様とする。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6、8~14に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
プラテンを有する型締装置を備えた射出成形機に用いられ、少なくとも前記型締装置が載置されて該型締装置を支持するベースフレームであって、
当該ベースフレームの幅方向に互いに間隔をおいて位置し、当該ベースフレームの長手方向に並んで延びる対をなすメインビームと、
前記メインビーム上に配置され、前記プラテンが取り付けられるプラテン取付けプレートと
を備え、
前記プラテン取付けプレートの前記長手方向の外縁部が、前記メインビームと溶接により接合された溶接箇所を含み、前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向の内側部分よりも外端で前記長手方向の長さを長くした形状を有し、
前記プラテンが、前記幅方向に互いに間隔をおいて設けられる一対の脚部を有し、
前記プラテン取付けプレートが、一対の前記脚部のそれぞれとの固定に用いられる一対のプラテン固定箇所を有し、
前記一対のプラテン固定箇所はそれぞれ、前記長手方向において、前記内側部分が延びる範囲内にのみ配置されるベースフレーム。
【請求項2】
前記プラテン取付けプレートの前記外縁部の少なくとも一方が、前記幅方向の前記外端を含む外側部分に、前記内側部分よりも前記長手方向の外側に突き出る突出縁部を有する請求項1に記載のベースフレーム。
【請求項3】
前記プラテン取付けプレートに固定プラテンが取り付けられ、
前記プラテン取付けプレートの各外縁部のうち、少なくとも、前記長手方向で可動プラテン側に位置する外縁部が、前記突出縁部を有する請求項1に記載のベースフレーム。
【請求項4】
前記プラテン取付けプレートが、前記内側部分における前記可動プラテン側の外縁部に隣接する位置に、前記突出縁部よりも前記長手方向の内側に窪んで成形品取出しスペースの一部を構成する空所を有する請求項3に記載のベースフレーム。
【請求項5】
前記突出縁部の前記長手方向の長さが、前記幅方向の全域にわたって一定である請求項2~4のいずれか一項に記載のベースフレーム。
【請求項6】
対をなす前記メインビームのそれぞれのフレーム設置面側に該メインビームから間隔をおいて配置されて、前記長手方向に延びる対をなすフレーム基部と
前記メインビームと前記フレーム基部との間に設けられた支柱と
をさらに備え、
前記プラテン取付けプレートの前記外端が、前記長手方向で、当該プラテン取付けプレートのフレーム設置面側に位置する前記支柱の配置領域と重複する長さを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のベースフレーム。」
「【請求項8】
前記プラテン取付けプレートの直下位置に設けられ、対をなす前記メインビームの前記幅方向の相互間に延びて該メインビームどうしを連結する連結ビームをさらに備える請求項1~6のいずれか一項に記載のベースフレーム。
【請求項9】
対をなす前記メインビームのそれぞれが、互いに溶接により接合された二本の梁部材を有する請求項1~6、8のいずれか一項に記載のベースフレーム。
【請求項10】
前記プラテン取付けプレートに匪定プラテンが取り付けられ、
各メインビーム上で、前記プラテン取付けプレートの可動プラテン側に隣接して設けられ、前記固定プラテンに対する前記可動プラテンの離隔及び接近変位を案内するガイド部材が敷設される対をなすガイド用プレートをさらに備える請求項1~6、8、9のいずれか一項に記載のベースフレーム。
【請求項11】
プラテンを有する型締装置を備えた射出成形機に用いられ、少なくとも前記型締装置が載置されて該型締装置を支持するベースフレームであって、
当該ベースフレームの幅方向に互いに間隔をおいて位置し、当該ベースフレームの長手方向に並んで延びる対をなすメインビームと、
前記メインビーム上に配置され、前記プラテンが取り付けられるプラテン取付けプレートと
を備え、
前記プラテン取付けプレートの前記長手方向の外縁部が、前記メインビームと溶接により接合された溶接箇所を含み、前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向の内側部分よりも外端で前記長手方向の長さを長くした形状を有し、
前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向に互いに間隔をおいて位置する二枚のサイドプレート部材を含み、
前記プラテン取付けプレートの前記内側部分が、前記サイドプレート部材のそれぞれの前記幅方向の内端であるベースフレーム。
【請求項12】
二枚の前記サイドプレート部材の前記幅方向の相互間に配置されたセンタープレート部材をさらに備え、
前記プラテン取付けプレートの各サイドプレート部材の前記内端が、前記センタープレート部材と溶接により接合されてなる請求項11に記載のベースフレーム。
【請求項13】
前記プラテン取付けプレートの各サイドプレート部材の前記内端が、前記メインビームの前記福方向の内側面よりも該幅方向の内側に突出して位置してなる請求項11又は12に記載のベースフレーム。
【請求項14】
前記プラテン取付けプレートが、対をなすメインビーム間に架け渡された一枚の架設プレート部材を含む請求項1~6、8~10のいずれか一項に記載のベースフレーム。」
第4 取消しの理由の概要
(本件訂正請求による訂正前の)本件特許の請求項1~10、14に係る特許に対して、令和 6年 8月19日付けで特許権者に通知した取消しの理由(以下「取消理由」といい、この通知を「取消理由通知」という。)の概要は、次のとおりである。
「●理由1(進歩性)
本件特許の請求項1~10、14に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~10、14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(引用例等一覧)
甲2:特開2000-289069号公報(特許異議申立人が証拠として提出した甲第2号証。「甲第2号証」を「甲2」と略す。他も同様とする。)
甲3:特開2004-276553号公報
甲1:特開2016-124274号公報
甲4:特開2000-84979号公報」
(合議体注:甲2あるいは甲3は、主引用例である。甲1あるいは甲4は、周知の技術を例示する文献であるか、あるいは副引用例である。)
第5 当審の判断
1 甲2を主引用例とする進歩性について
(1) 甲2に記載された事項
ア 甲2の記載
甲2には、以下の事項が記載されている。
(ア) 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形機の型締機構に関する。
・・・略・・・
【0002】
【従来の技術】
・・・略・・・
【0009】従来の射出成形機の型締機構が備える、固定プラテンを固定するための構造では、固定プラテンをベースフレーム上において2本の支柱上に単に固定するだけであるため、固定プラテンの傾きを抑制することができないという問題点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は従来の問題点を解決し、射出成形機の型締機構において固定プラテンの傾きを抑制することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、金型の取り付けによって発生する、固定プラテンを移動プラテン側に傾斜させる方向の応力に対して、この応力と均衡する作用力が固定プラテンに加わるように型締機構を構成することによって、固定プラテンの傾きを抑制するものである。
【0012】本発明の射出成形機の型締機構は、射出成形機のベースフレーム上に固定プラテンを設けた射出成形機の型締機構において、固定プラテンのノズルタッチ側の面の下部にリブを設け、ベースフレームに設けた支柱とリブとを連結し、この連結によって固定プラテンを支える構成とする。
【0013】固定プラテンは、型締軸線の向きにおいて移動プラテン側の面とノズルタッチ側の面を備える。移動プラテン側の面には金型が取りつけられ、移動プラテン側に取り付けられた金型と対向して配置される。リブは、移動プラテン側の面と反対側のノズルタッチ側の面において下部に設けられ。固定プラテンの下方に配置される支柱の上端と連結される。
【0014】支柱は、リブと連結することによって固定プラテンを支持するものであり、先端部分は少なくともリブの下端部分と接触する位置に配置される。なお、リブと連結する支柱は、メインプレートにリブを固定するために専用に設けた支柱とすることも、あるいは、上下のメインパイプを接続する支柱を兼用することもできる。なお、ベースフレーム部において、リブが連結する部分は上記の支柱の他に、支柱と連結された、あるいは一体に形成されたメインパイプとすることができる。
【0015】本発明の射出成形機の型締機構において固定プラテンに金型を取り付けると、固定プラテンには固定プラテンを移動プラテン側に傾ける応力が発生し、該応力はリブを介してメインプレート側の支柱に伝えられる。支柱はメインプレートに固定されているため、リブに対して前記応力と均衡する作用力を発生する。この応力とリブによる作用力との均衡によって、固定プラテンは移動プラテン側に傾くことなくベースフレーム上で垂直の姿勢を維持する。
【0016】これによって、固定プラテンと移動プラテンとの間において、型盤平行度を高精度に維持することができ、金型の開閉時での高い平行度を要する精密成形において大きな効果を奏することができる。固定プラテン自体のベースフレームへの固定は、従来と同様に、固定プラテンの両端の下部を2本の上メインパイプに連結することによって行うことができる。
【0017】本発明の型締機構が備えるリブは、固定プラテンの中心線上においてノズルタッチ側に向かって形成する構成とすることができる。この構成の場合には、リブと連結する支柱は、固定プラテンの中心線上において固定プラテンに対してノズルタッチ側に設ける。このリブ及び支柱の配置によって、固定プラテンは3角形に配置された3本の支柱上に設置されることになる。したがって、従来の固定プラテンの支持構造は2本の支柱による直線的なものであるのに対して、本発明の支持構造は3角形に配置された3本の支柱による立体的なものであるため、金型の取り付けによる固定プラテンの傾きを抑制することができる。
【0018】
・・・略・・・上記したリブと支柱との連結、固定プラテンとメインパイプとの連結は、ボルト締めや溶接など周知の連結手段を適用することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の射出成形機の型締機構を説明するための射出成形機の全体図であり、図2,3は本発明の射出成形機の型締機構の斜視図であり、図4,5,6は本発明の射出成形機の型締機構の側面図、正面図、及び断面図である。
・・・略・・・
【0020】図1において、射出成形機1は、従来の射出成形機と同様に、ベースフレーム3上に型締機構2、射出装置9を配備し、型締装置2を構成する固定プラテン4と移動プラテン5との間で金型を型締めし、射出装置9のシリンダアセンブリ92をスライドさせて先端のノズルタッチ93を固定プラテン4の中央孔に押し付け、ホッパーから供給された樹脂をシリンダアセンブリ92を通ってノズルタッチ93から金型(図示していない)間に射出することによって成形を行う。
【0021】型締機構2は、固定プラテン4、移動プラテン5、及びリアプラテン6を型締軸線に沿って備え、固定プラテン4とリアプラテン6とをタイバー7で結合し、該タイバー7に移動プラテン5を移動可能に装着する。
・・・略・・・
【0022】ベースフレーム3は、2本の上メインパイプ31及び2本の下メインパイプ32と、支柱30,33~36と、図示したいない(当合議体注:「図示したいない」は「図示していない」の誤記であると認められる。)横柱の組み合わせによって構成する。なお、支柱34は固定プラテン4の下方に配置して固定プラテン4の本体を支持し、支柱30は固定プラテン4に設けられたリブ10の下方に配置してリブ10を支持する。また、支柱33,35,36は、ベースフレーム3上に配設する装置や機構に応じて所定位置に配置する。
【0023】図2,3は本発明の射出成形機の型締機構の一部の固定プラテンを支持する構成を、ノズルタッチ側(図示していない)から見て示している。
・・・略・・・
【0025】ベースフレーム3は、型締軸線に沿って平行に配置した下メインパイプ32a,32bと同じく型締軸線に沿って平行に配置した上メインパイプ31a,31bとを備え、また、上下メインパイプを連結する支柱34a,34bを固定プラテン4の両端のほぼ下方位置に備える。さらに、リブ10脚部の下方にリブ10を支持する支柱30を備える。支柱30は、固定プラテン4の中心線上において固定プラテン4に対してノズルタッチ側(図示していない)に配置する。なお、支柱34bは支柱30の後方に位置するため、図2には示されていない。
【0026】平行するメインパイプ間は横柱によって連結される。なお、図2では、下メインパイプ32aと下メインパイプ32bを連結する横柱37のみを示し、上メインパイプ31aと上メインパイプ31bを連結する横柱は示していない。
【0027】固定プラテン4と上メインパイプ31a及び上メインパイプ31bとの連結は連結用のプレート11を挟んで行うことができ、連結面の平坦性や連結強度を高めたり、連結作業の操作性を向上させることができる。
・・・略・・・
【0029】図4に示す側面図は、型締機構の固定プラテン4及び支柱30,34の部分を射出成形機の型締軸線と平行する方向から見た図である。なお、図4において、右方向はノズルタッチ側であり、左方向は移動プラテン側である。また、図5に示す正面図は、型締機構の固定プラテン4及び支柱30,34の部分を射出成形機のノズルタッチ側から見た図である。
【0030】固定プラテン4はノズルタッチ側にリブ10を備え、該リブ10の下方位置に支柱30を備える。リブ10と支柱30とは、直接にあるいはプレート11を介して連結する。連結は、ボルト締めや溶接等の周知の連結手段を適用することができる。また、固定プラテン4の下方位置に支柱34を備え、リブ10と同様に、直接にあるいはプレート11を介して連結する。なお、固定プラテン4にはタイバーを通して固定するためのタイバー用穴42が形成される。
【0031】図6は図4中のA-Aの位置から上方を見た断面を示している。図6において、上メインパイプ31a及びプレート11を挟んで支柱34aの上方には固定プラテン4の一方の端部側が位置し、上メインパイプ31b及びプレート11を挟んで支柱34bの上方には固定プラテン4の他方の端部側が位置する。また、プレート11を挟んで支柱30の上方には固定プラテン4のリブ11の底面が位置する。」
(イ) 「【図1】
[図:0001422430000002.jpg]
【図2】
[図:0001422430000003.jpg]
【図3】
[図:0001422430000004.jpg]
【図4】
[図:0001422430000005.jpg]
【図5】
[図:0001422430000006.jpg]
【図6】
[図:0001422430000007.jpg]
」
イ 甲2に記載された発明
上記アの甲2の本発明の射出成形機の型締機構を説明するための【0019】~【0022】、【0025】~【0027】、【0030】~【0031】及び【図1】~【図6】等の記載からみて、甲2には、「射出成形機1」に用いられる「ベースフレーム3」の発明として、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認められる。
「射出成形機1に用いられるベースフレーム3であって、
射出成形機1は、ベースフレーム3上に型締機構2、射出装置9を配備し、(【0020】)
型締機構2は、固定プラテン4、移動プラテン5、及びリアプラテン6を型締軸線に沿って備え、(【0021】)
ベースフレーム3は、2本の上メインパイプ31及び2本の下メインパイプ32と、支柱30,33~36と、横柱の組み合わせによって構成され、支柱34は固定プラテン4の下方に配置して固定プラテン4の本体を支持し、支柱30は固定プラテン4に設けられたリブ10の下方に配置してリブ10を支持し、支柱33,35,36は、ベースフレーム3上に配設する装置や機構に応じて所定位置に配置され、(【0022】)
下記の【図2】及び【図3】の斜視図に示されるように、
ベースフレーム3は、型締軸線に沿って平行に配置した下メインパイプ32a,32bと同じく型締軸線に沿って平行に配置した上メインパイプ31a,31bとを備え、上下メインパイプを連結する支柱34a,34bを固定プラテン4の両端のほぼ下方位置に備え、(【0025】)
平行するメインパイプ32aと下メインパイプ32b間は横柱37によって連結され、上メインパイプ31aと上メインパイプ31b間は図示されない横柱によって連結され、(【0026】)
固定プラテン4と上メインパイプ31a及び上メインパイプ31bとの連結は連結用のプレート11を挟んで行い、連結面の平坦性や連結強度を高めたり、連結作業の操作性を向上させ、(【0027】)
固定プラテン4はノズルタッチ側にリブ10を備え、該リブ10の下方位置に支柱30を備え、リブ10と支柱30とは、プレート11を介して連結され、連結は、ボルト締めや溶接等の周知の連結手段を適用することができ、固定プラテン4の下方位置に支柱34を備え、リブ10と同様にプレート11を介して連結され、(【0030】)
下記の【図6】の断面図に示されるように、上メインパイプ31a及びプレート11を挟んで支柱34aの上方には固定プラテン4の一方の端部側が位置し、上メインパイプ31b及びプレート11を挟んで支柱34bの上方には固定プラテン4の他方の端部側が位置し、プレート11を挟んで支柱30の上方には固定プラテン4のリブ11の底面が位置する、(【0031】)
射出成形機1に用いられるベースフレーム3。
【図2】
[図:0001422430000008.jpg]
【図3】
[図:0001422430000009.jpg]
【図6】
[図:0001422430000010.jpg]
」
(2) 本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と、甲2発明を対比する。
(ア) プラテン、型締装置、射出成形機
a 甲2発明の「ベースフレーム3」においては、「射出成形機1は、ベースフレーム3上に型締機構2、射出装置9を配備し」、「型締機構2は、固定プラテン4、移動プラテン5、及びリアプラテン6を型締軸線に沿って備え」る。
b 上記aより、甲2発明の「固定プラテン4」及び「型締機構2」は、それぞれ本件特許発明1の「プラテン」、及び、「プラテンを有する」とされる「型締装置」に相当する。
また、甲2発明の「射出成形機1」は、本件特許発明1の、「プラテンを有する型締装置を備えた」とされる「射出成形機」に相当する。
(イ) ベースフレーム
a 上記(ア)aより、甲2発明の「ベースレーム3」は、その「上に型締機構2」が「配備」される。
b 甲2発明の「ベースフレーム3は、2本の上メインパイプ31及び2本の下メインパイプ32と、支柱30,33~36と、横柱の組み合わせによって構成され」る。
そして、甲2発明の「ベースフレーム3は、型締軸線に沿って平行に配置した下メインパイプ32a,32bと同じく型締軸線に沿って平行に配置した上メインパイプ31a,31bとを備え、上下メインパイプを連結する支柱34a,34bを固定プラテン4の両端のほぼ下方位置に備え」、「支柱34は固定プラテン4の下方に配置して固定プラテン4の本体を支持し、支柱30は固定プラテン4に設けられたリブ10の下方に配置してリブ10を支持」する。
c そうすると、上記(ア)より、甲2発明の「ベースフレーム3」は、本件特許発明1の、「プラテンを有する型締装置を備えた射出成形機に用いられ、少なくとも前記型締装置が載置されて該型締装置を支持する」とされる、「ベースフレーム」に相当する。
(ウ) メインビーム、プラテン取付けプレート
a 甲2発明の「ベースフレーム3」おいては、「固定プラテン4と上メインパイプ31a及び上メインパイプ31bとの連結は連結用のプレート11を挟んで行い」、「上メインパイプ31a及びプレート11を挟んで支柱34aの上方には固定プラテン4の一方の端部側が位置し、上メインパイプ31b及びプレート11を挟んで支柱34bの上方には固定プラテン4の他方の端部側が位置」する。
b そうすると、上記(イ)より、甲2発明の「上メインパイプ31a,31b」は、本件特許発明1の、「当該ベースフレームの幅方向に互いに間隔をおいて位置し、当該ベースフレームの長手方向に並んで延びる対をなす」とされる、「メインビーム」に相当する。
また、甲2発明の「プレート11」は、本件特許発明1の、「前記メインビーム上に配置され、前記プラテンが取り付けられる」とされる、「プラテン取付けプレート」に相当する。
また、本件特許発明1と甲2発明は、「メインビームと」、「プラテン取付けプレートと」「を備え」ている点で共通する。
c 甲2発明の「プレート11」は、【図3】及び【図6】に示される形状からみて、「ベースフレーム3」の幅方向の内側部分よりも外端で、「ベースフレーム3」の長手方向の長さを長くした形状を有する。
そうすると、上記bより、甲2発明は、本件特許発明1の、「前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向の内側部分よりも外端で前記長手方向の長さを長くした形状を有する」との構成を具備する。
イ 一致点及び相違点
上記アの対比結果を踏まえと、本件特許発明1と甲2発明は、
「 プラテンを有する型締装置を備えた射出成形機に用いられ、少なくとも前記型締装置が載置されて該型締装置を支持するベースフレームであって、
当該ベースフレームの幅方向に互いに間隔をおいて位置し、当該ベースフレームの長手方向に並んで延びる対をなすメインビームと、
前記メインビーム上に配置され、前記プラテンが取り付けられるプラテン取付けプレートと
を備え、
前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向の内側部分よりも外端で前記長手方向の長さを長くした形状を有するベースフレーム。」の構成で一致し、以下の点で相違する。
(相違点2-1-1)
本件特許発明1においては、「前記プラテン取付けプレートの前記長手方向の外縁部が、前記メインビームと溶接により接合された溶接箇所を含」むのに対して、甲2発明においては、これが明らかでない点。
(相違点2-1-2)
本件特許発明1においては、「前記プラテンが、前記幅方向に互いに間隔をおいて設けられる一対の脚部を有し」、「前記プラテン取付けプレートが、一対の前記脚部のそれぞれとの固定に用いられる一対のプラテン固定箇所を有し」、「前記一対のプラテン固定箇所はそれぞれ、前記長手方向において、前記内側部分が延びる範囲内にのみ配置され」ているのに対して、甲2発明においては、これが明らかでない点。
ウ 判断
事案に鑑み、相違点2-1-2についてまず検討する。
(ア) 甲2発明においては、「固定プラテン4と上メインパイプ31a及び上メインパイプ31bとの連結は」、「リブ10と同様に」「連結用のプレート11を挟んで行い」、「上メインパイプ31a及びプレート11を挟んで支柱34aの上方には固定プラテン4の一方の端部側が位置し、上メインパイプ31b及びプレート11を挟んで支柱34bの上方には固定プラテン4の他方の端部側が位置」するものであるところ、「プレート11を介して連結され」る「リブ10と支柱30と」の「連結は、ボルト締めや溶接等の周知の連結手段を適用することができ」るものであって、甲2発明の【図2】、【図3】及び【図6】はそれぞれ以下のものである。
【図2】
[図:0001422430000011.jpg]
【図3】
[図:0001422430000012.jpg]
【図6】
[図:0001422430000013.jpg]
上記【図3】及び【図6】に示された「プレート11」に形成された4つの穴からみて、甲2発明の「固定プラテン4」は、ベースフレーム3幅方向に突出する一対の突出部分を含む、「固定プラテン4」両端下部が、(【図3】及び【図6】に示された)「移動プラテン5」側に形成されたの「プレート11」の2つの穴を用いて、(「周知の連結手段」として例示されている)「ボルト締め」によって「プレート11」に「連結」(固定)されていると理解できる。
そうすると、甲2発明においては、「プレート11」(「プラテン取付けプレート」)が、前記(一対の)「固定プラテン4」両端下部との固定に用いられる、一対の「固定プラテン4」(両端下部)固定箇所(「移動プラテン5」側の2つの穴)を有している、とまではいえる。
しかしながら、「脚」とは、下方にあって支えるものと一般的に解されるところ、【図2】、【図3】及び【図6】からみて、甲2発明の「固定プラテン4」両端下部に含まれる上記「ベースフレーム3」幅方向に突出する(一対の)突出部分は、「固定プラテン4」の下方にあって「固定プラテン4」を支える「脚」ということはできないし、
仮に、上記「ベースフレーム3」幅方向に突出する(一対の)突出部分が、「一対の脚部」に相当し、甲2発明の「プレート11」が、「一対の脚部」のそれぞれとの固定に用いられる一対の「固定プラテン4」固定箇所を有するということがいえたとしても、【図3】及び【図6】に示される「移動プラテン5」側の2つの穴の「ベースフレーム3」の長手方向の位置からみて、「移動プラテン5」側の2つの穴(一対の「プラテン4固定箇所」)はそれぞれ、「ベースフレーム3」長手方向において、(その「外端でベースフレーム3長手方向の長さを長くした形状を有する」とされる)「ベースフレーム3」「幅方向」の「前記内側部分」が延びる範囲内にのみ配置されているとまではいえない。
(イ) そして、甲2には、「固定プラテン4」と「プレート11」との連結(手段)について、「リブ10と同様」(【0030】)、あるいは、【0016】及び【0018】に、それぞれ「固定プラテン自体のベースフレームへの固定は、従来と同様に、固定プラテンの両端の下部を2本の上メインパイプに連結することによって行うことができる」及び「固定プラテンとメインパイプとの連結は、ボルト締めや溶接など周知の連結手段を適用することができる」と記載されているだけであり、甲2には、「ベースフレーム3」幅方向の内側部分よりも外端でベースフレーム3長手方向の長さを長くした形状を有する「プレート11」(プラテン取付けプレート)の一対の「固定プラテン4」固定箇所に着目し、これら「固定プラテン4」固定箇所を、「ベースフレーム3」長手方向において、前記内側部分が延びる範囲内にのみ配置することについては記載も示唆もされていない。
また、ベースフレーム幅方向の内側部分よりも外端でベースフレーム長手方向の長さを長くした形状を有するプラテン取付けプレートの(プラテンが有する一対の脚部のそれぞれとの固定用いられる)一対のプラテン固定箇所を、ベースフレーム長手方向において、前記内側部分が延びる範囲内にのみ配置することは、異議申立人が提出した甲1、甲3及び甲4には記載も示唆もされておらず、本件特許出願時の周知技術であるとも、当業者の技術常識であるともいうことはできない。
さらに、本件特許発明1は、相違点2-1-2に係る構成を具備することにより、本件特許発明1の構成が奏する効果として、「「ベースフレーム3」では、「プレート11」に、「固定プラテン4」が倒れる方向に変形するときの外力等が繰返し作用すると、耐久性が低下するおそれがあ」り(本件特許明細書【0005】)、「上述した外力に抗するため、「プレート11」の表面積等の寸法を大きくすることが考えられるが、「ベースフレーム3」での所要のスペース上等の制約から、「プレート11」の寸法を単純に大きくすることはできない」ところ(同【0006】)、「プラテン取付けプレート4の幅方向の外側部分への突出縁部6の形成により、幅方向の内側の所要のスペースは確保しつつ、突出縁部6に設けられるメインビーム3a及び3bとの溶接箇所が、プラテン固定箇所から、より確実に離れて位置することにな」り(【0021】)、「耐久性を向上させることができる射出成形機用ベースフレームを提供すること」ができる(同【0007】)という優れた効果を奏する。
(ウ) してみると、甲2発明において、相違点2-1-2に係る本件特許発明1の構成とすることが、当業者が容易に想到し得たことであるということはできない。
ベースフレーム幅方向に互いに間隔をおいて設けられる一対の脚部を有する固定プラテンが周知であることを含めて検討しても、上記判断は変わらない。
(エ) 小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲2に記載された発明、甲1~甲4に記載された事項及び本件特許出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(3) 本件特許発明2~6、8~10、14について
本件特許発明2~6、8~10、14は、本件特許発明1の構成を全て具備し、これに限定を加えたものである。
そうすると、上記(2)ウで述べたとおり、本件特許発明1は、甲2に記載された発明、甲1~甲4に記載された事項及び本件特許出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない以上、本件特許発明2~6、8~10、14についても、同様な理由により、甲2に記載された発明、甲1~甲4に記載された事項及び本件特許出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない。
2 甲3を主引用例とする進歩性について
(1) 甲3に記載された事項
ア 甲3の記載
甲3には、以下の事項が記載されている。
(ア) 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機に関し、特に射出成形機のベースフレームに特徴を有する射出成形機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
射出成形機の型締機構においては、固定プラテンに取り付けられた固定側金型と、可動プラテンに取り付けられた可動側金型とを、可動プラテンを移動させて型の開閉、型締めを行うものである。そのため、可動側金型を固定側金型に対して平行に移動させる必要がある。すなわち固定側金型の面に対して垂直方向に可動側金型が移動し、かつ可動側金型の固定側金型との接合面は平行に保持される必要がある。この平行度が崩れると、金型の開閉動作が円滑に実行できなくなり、さらには、片当たりの型締めとなり、成形不良が生じ易くなる。又金型の破損が生じる可能性が大きくなる。
【0003】
そこで、この可動側金型を固定側金型に対して平行度を保持して移動させるようにするために、通常、可動プラテンにスライドプレート、ローラ、直動ガイド等のプラテンサポートを取り付け、射出成形機のベースフレーム上に設けた支持面上を摺動させ可動プラテン及び可動側金型を平行移動させている・・・略・・・。
【0004】
しかし、図8に示すようにベースフレーム1は、その自重、該ベースフレーム1上に載置され移動する可動プラテン6の重量、さらには、固定プラテン5やリアプラテン7の重量の影響を受けて撓みが生じる。その結果、固定側、可動側の金型の平行度、すなわち固定プラテン5と可動プラテン6の平行度はこのベースフレーム1の撓みによって影響を受ける。固定プラテン5と可動プラテン6の平行度はベースフレームの剛性に依存することになる。
【0005】
固定プラテンと可動プラテンの平行度を高精度に保持するには、ベースフレームの剛性を上げる必要があるが、ベースフレームには固定プラテンやリアプラテンの重量も加わるものであるから、撓みを抑え、高精度の平行度を保持できる剛性を有するベースフレームを得るには非常にコストがかかるという問題がある。
・・・略・・・
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
可動プラテンを固定プラテンに対して平行に移動させるためにベースフレーム上にスライドプレートやローラ等のプラテンサポートを設けたとしても、ベースフレーム自体が撓めば、可動プラテンの平行移動の精度が低下する。又、ベースフレーム上にさらにプレート等の補強部材を設け、該補強部材の上で可動プラテンを移動させるようにしても、ベースフレーム自体には、固定プラテン、リアプラテン、可動プラテンの重量が加わることになるので、ベースフレームの撓みが発生し、可動プラテンの平行移動を高精度に保持することは難しい。
そこで、本発明の目的は、ベースフレームの撓みを少なくすると共に、可動プラテンの平行移動の精度を向上させた射出成形機を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1に係わる発明は、タイバーによって連結された固定プラテンとリアプラテン及びタイバーに沿ってスライドする可動プラテンを持ち、固定プラテンと可動プラテンにより金型の型開閉を行う型締機構が床面上にベースフレームを介して載置された射出成形機において、固定プラテン及びリアプラテンを支持するベースフレームと前記可動プラテンを支持するベースフレームとが別々に床面上に載置されていることを特徴とするものである。
・・・
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態における射出成形機の正面図、図2は図1におけるA-A線矢視図である。
本実施形態では、第1、第2の2つのベースフレーム1a,1bが設けられ、第1のベースフレーム1a上には、射出機構3、型締機構2の固定プラテン5が固定され、又、型締機構2のリアプラテン7が摺動自在に載置されている。この実施形態では、型締機構2としてダブルトグル機構が用いられており、固定プラテン5には4本のタイバー8の一端がナット等により取り付けられている。
・・・略・・・
【0015】
タイバー8には、可動プラテン6が挿入され、該可動プラテン6とリアプラテン7間にはダブルトグル機構9が配設され、該ダブルトグル機構9を駆動するサーボモータ等の駆動源10がリアプラテン7に設けられている。該駆動源10を駆動してダブルトグル機構9を作動させ、可動プラテン6をタイバー8に沿ってスライドさせ、固定プラテン5に取り付けられた固定側金型12と可動プラテン6に取り付けられた可動側金型13の金型開閉、型締めを行う。
【0016】
可動プラテン6には、スライドプレート、ローラ、直動ガイド等から構成されるプラテンサポート11が下端に取り付けられており、このプラテンサポート11は、可動プラテン6の移動によって第2のベースフレーム1b上を摺動し、可動プラテン6を支えるものである。図2に示すように第2のベースフレーム1bは、第1のベースフレーム1aとは間隙を設け別体で構成されている。
・・・略・・・
【0017】
型締機構2を構成する固定プラテン5及びリアプラテン7は、第1のベースフレーム1aに取り付けられて支持されているが、可動プラテン6は第2のベースフレーム1bで支持される構造となっている。
・・・略・・・
【0019】
第2のベースフレーム1bは、第1のベースフレーム1aと別体で構成されているから、第1のベースフレーム1aが撓んだとしても図3に示すように、第2のベースフレーム1bはその影響を受けないので、可動プラテン6は固定プラテンに対して平行度を従来と比べて高精度に維持して移動させることができる。
【0020】
図4は、本発明の第2の実施形態における第1、第2のベースフレーム1a,1bのみを示す斜視図である。第1のベースフレーム1aは、第1の実施形態と同様に、射出機構3,型締機構2の固定プラテン5,リアプラテン7を支持し、第2のベースフレーム1bは、型締機構2の可動プラテン6をプラテンサポート11を介して摺動自在に支える点では、第1の実施形態と同一である。相違する点は、第1の実施形態においては第2のベースフレーム1bと第1のベースフレーム1aは接続されておらず別体で構成されていた。しかし、この第2の実施形態では、第1のベースフレーム1aと第2のベースフレーム1bは第1のベースフレーム1aの撓みの影響が少ない固定プラテン5側で、図4において符号P1で示すような位置で溶接等により接合し固定されている。
【0021】
第2のベースフレーム1bを第1のベースフレーム1aの固定プラテン側で溶接等により固定する場合には、上面が第1のベースフレーム1a上面と一致するように高さを調整して固定し、マウント22によって、第2のベースフレーム1bの上面の水平度を調整する。
・・・略・・・
【0027】
【発明の効果】
本発明は、固定プラテン、リアプラテンの重量により、これを支えるベースフレームが撓んでも、可動プラテンを支持するベースフレームはその影響を受けず、可動プラテンの重量を支えるのみであるから、撓み量は小さくなり、可動プラテンの傾きを小さく抑えることができる。これにより、固定プラテンに対する平行度を精度高く保持でき、金型の開閉、型締めを精度よく行うことができる。又、型締め動作の精度を向上させるには、可動プラテンを支えるベースフレームのみの剛性を上げればよく、ベース全体の剛性を上げるよりも低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の正面図である。
【図2】図1におけるA-A線矢視図である。
【図3】第1の実施形態におけるベースフレームの撓みを説明する説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態におけるベースフレームのみを示す斜視図である。
・・・略・・・・
【図8】従来の射出成形機におけるベースフレームの撓みを説明する説明図である。
【符号の説明】
1a 第1のベースフレーム
1b 第2のベースフレーム
2 型締機構
3 射出機構
4,22,23 マウント
5 固定プラテン
6 可動プラテン
7 リアプラテン
8 タイバー
9 ダブルトグル機構
10 駆動源
11 プラテンサポート
12 固定側金型
13 可動側金型
14 ダイハイトナット
20 固定部材
21 連結部材」
(イ) 「【図1】
[図:0001422430000014.jpg]
【図2】
[図:0001422430000015.jpg]
【図3】
[図:0001422430000016.jpg]
【図4】
[図:0001422430000017.jpg]
・・・略・・・
【図8】
[図:0001422430000018.jpg]
」
イ 甲3に記載された発明
(ア) 上記アの甲3の記載からみて、甲3には、「第2のベースフレーム1bと第1のベースフレーム1aは接続されておらず別体で構成され」(【0020】)た、甲3でいう本発明の「第1の実施形態」の「射出成形機」(【0014】~【0017】、【0019】、【図1】(本発明の第1の実施形態の正面図)及び【図2】(図1におけるA-A線矢視図))とは、
「第1のベースフレーム1aは」、「射出機構3,型締機構2の固定プラテン5,リアプラテン7を支持し、第2のベースフレーム1bは、型締機構2の可動プラテン6をプラテンサポート11を介して摺動自在に支える点では」「同一である」が、「第1のベースフレーム1aと第2のベースフレーム1bは第1のベースフレーム1aの撓みの影響が少ない固定プラテン5側で、図4において符号P1で示すような位置で溶接等により接合し固定されている」点で相違する「第2の実施形態」の「射出成形機」(【0020】及び【図4】(第2の実施形態におけるベースフレームのみを示す斜視図))が記載されている。
(イ) 上記ア及び上記(ア)より、甲3には、「第2の実施形態」の「射出成形機」に用いられる、【図4】にその斜視図が示された、「第1、第2のベースフレーム1a,1b」の発明として、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認められる。
「 射出成形機に用いられる、下記の【図4】にその斜視図が示された、第1、第2のベースフレーム1a,1bであって、第1のベースフレーム1aは、射出機構3,型締機構2の固定プラテン5,リアプラテン7を支持し、第2のベースフレーム1bは、型締機構2の可動プラテン6をプラテンサポート11を介して摺動自在に支えるものであり、(【0020】)
第1のベースフレーム1a上には、射出機構3、型締機構2の固定プラテン5が固定され、型締機構2のリアプラテン7が摺動自在に載置され、型締機構2としてダブルトグル機構が用いられており、固定プラテン5には4本のタイバー8の一端がナット等により取り付けられ、(【0014】)
タイバー8には、可動プラテン6が挿入され、該可動プラテン6とリアプラテン7間にはダブルトグル機構9が配設され、該ダブルトグル機構9を駆動するサーボモータ等の駆動源10がリアプラテン7に設けられ、該駆動源10を駆動してダブルトグル機構9を作動させ、可動プラテン6をタイバー8に沿ってスライドさせ、固定プラテン5に取り付けられた固定側金型12と可動プラテン6に取り付けられた可動側金型13の金型開閉、型締めを行い、(【0015】)
可動プラテン6には、プラテンサポート11が下端に取り付けられており、プラテンサポート11は、可動プラテン6の移動によって第2のベースフレーム1b上を摺動し、可動プラテン6を支え、(【0016】)
型締機構2を構成する固定プラテン5及びリアプラテン7は、第1のベースフレーム1aに取り付けられて支持されているが、可動プラテン6は第2のベースフレーム1bで支持される構造となっており、(【0017】)
第1のベースフレーム1aと第2のベースフレーム1bは第1のベースフレーム1aの撓みの影響が少ない固定プラテン5側で、【図4】において符号P1で示すような位置で溶接等により接合し固定されている、(【0020】)
第1、第2のベースフレーム1a,1b。
【図4】
[図:0001422430000019.jpg]
」
(2) 本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と甲3発明を対比する。
(ア) プラテン、型締装置、射出成形機
a 甲3発明の「第1、第2のベースフレーム1a,1b」は、「射出成形機に用いられる」ものであって、「第1のベースフレーム1a上には、射出機構3、型締機構2の固定プラテン5が固定され、型締機構2のリアプラテン7が摺動自在に載置され」、「型締機構2を構成する固定プラテン5及びリアプラテン7は、第1のベースフレーム1aに取り付けられて支持されているが、可動プラテン6は第2のベースフレーム1bで支持される構造となって」いる。
また、甲3発明の「可動プラテン6には、プラテンサポート11が下端に取り付けられており、プラテンサポート11は、可動プラテン6の移動によって第2のベースフレーム1b上を摺動し、可動プラテン6を支え」ることにより、「第2のベースフレーム1bは、型締機構2の可動プラテン6をプラテンサポート11を介して摺動自在に支えるもの」である。
b 甲3発明の「固定プラテン5」、「リアプラテン7」及び「可動プラテン6」は、本件特許発明1の「プラテン」に相当する。
また、甲3発明の「型締機構2」は、本件特許発明1の、「プラテンを有する」とされる、「型締装置」に相当する。
そうすると、甲3発明の「射出成形機」は、本件特許発明1の、「プラテンを有する型締装置を備えた」とされる、「射出成形機」に相当する。
(イ) ベースフレーム
a 上記(ア)より、甲3発明においては、「第1、第2のベースフレーム1a,1b」上に「型締機構2」(「固定プラテン5」、「可動プラテン6」等)が載置、支持されるといえる。
b 甲3発明の斜視図【図4】からみて、「第1、第2のベースフレーム1a,1b」は、それぞれが、その幅方向に互いに感覚をおいて位置し、その長手方向に並んで延びる対をなす上側メインビームと下側メインビームを備えて、それぞれのベースフレームを構成している、ということができる。
c そうすると、甲3発明の「第1、第2のベースフレーム1a,1b」は、本件特許発明1の、「少なくとも前記型締装置が載置されて該型締装置を支持する」とされる、「ベースフレーム」に相当する。
(ウ) メインビーム、プラテン取付けプレート
a 甲3発明の斜視図【図4】からみて、「第1、第2のベースフレーム1a,1b」は、上記(イ)bで述べた、(それぞれの)対を成す上側メインビームの上に共通のプレート部材(以下「甲3発明共通プレート部材」という。)を備えていることが理解できる。
また、同【図4】及び技術常識より、「第1、第2のベースフレーム1a,1b」の上側メインビーム上の甲3発明共通プレート部材上に「型締機構2の固定プラテン5が固定され」ることは明らかである(第2の実施形態の前提である、第1の実施形態の正面図【図1】からも理解できる。)
b 上記(イ)bと上記aより、甲3発明の「第1、第2のベースフレーム1a,1b」の(それぞれの)対を成す上側メインビームは、本件特許発明1の「メインビーム」に相当し、両者は、「当該ベースフレームの幡方向に互いに間隔をおいて位置し、当該ベースフレームの長手方向に並んで延びる対をなす」点において共通する。
上記aで述べた甲3発明共通プレート部材は、本件特許発明1の「プラテン取付けプレート」に相当し、両者は、「前記メインビーム上に」「配置され、前記プラテンが取り付けられる」点で共通する。
c 上記bより、本件特許発明1と、甲3発明とは、「メインビームと」、「プラテン取付けプレートと」「を備え」ている点で共通する。
d 上記aの甲3発明共通プレート部材は、【図4】からみて、「第1、第2のベースフレーム1a,1b」の幅方向の内側部分よりも外端で、「第1、第2のベースフレーム1a,1b」の長手方向の長さを長くした形状を有する。
そうすると、上記bより、甲3発明は、本件特許発明1の、「前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向の内側部分よりも外端で前記長手方向の長さを長くした形状を有する」との構成を具備する。
イ 一致点及び相違点
上記アの対比結果を踏まえると、本件特許発明1と甲3発明は、
「 プラテンを有する型締装置を備えた射出成形機に用いられ、少なくとも前記型締装置が載置されて該型締装置を支持するベースフレームであって、
当該ベースフレームの幅方向に互いに間隔をおいて位置し、当該ベースフレームの長手方向に並んで延びる対をなすメインビームと、
前記メインビーム上に配置され、前記プラテンが取り付けられるプラテン取付けプレートと
を備え、
前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向の内側部分よりも外端で前記長手方向の長さを長くした形状を有するベースフレーム。」の構成で一致し、以下の点で相違する。
(相違点3-1-1)
本件特許発明1においては、「前記プラテン取付けプレートの前記長手方向の外縁部が、前記メインビームと溶接により接合された溶接箇所を含」むのに対して、甲3発明においては、これが明らかでない点。
(相違点3-1-2)
本件特許発明1においては、「前記プラテンが、前記幅方向に互いに間隔をおいて設けられる一対の脚部を有し」、「前記プラテン取付けプレートが、一対の前記脚部のそれぞれとの固定に用いられる一対のプラテン固定箇所を有し」、「前記一対のプラテン固定箇所はそれぞれ、前記長手方向において、前記内側部分が延びる範囲内にのみ配置され」ているのに対して、甲3発明においては、これが明らかでない点。
ウ 判断
事案に鑑み、相違点3-1-2についてまず検討する。
(ア) 甲3でいう「本発明」は、「射出成形機に関し、特に射出成形機のベースフレームに特徴を有する射出成形機に関するものであ」り、「ベースフレームの撓みを少なくすると共に、可動プラテンの平行移動の精度を向上させた射出成形機を提供する」ことを課題として、タイバーによって連結された固定プラテンとリアプラテン及びタイバーに沿ってスライドする可動プラテンを持ち、固定プラテンと可動プラテンにより金型の型開閉を行う型締機構が床面上にベースフレームを介して載置された射出成形機において、固定プラテン及びリアプラテンを支持するベースフレームと前記可動プラテンを支持するベースフレームとが別々に床面上に載置されていることを課題解決手段とするものであるところ、
甲3には、固定プラテン5を、「第1、第2のベースフレーム1a,1b」幅方向に互いに間隔を置いて設けられる一対の脚部を有する構成とし、甲3発明共通プレート部材(プラテン取付けプレート)を、一対の前記脚部のそれぞれとの固定に用いられる一対の「固定プラテン5」固定箇所を有する構成とすること、及び、「第1、第2のベースフレーム1a,1b」幅方向の内側部分よりも外端で「第1、第2のベースフレーム1a,1b」長手方向の長さを長くした形状を有する甲3発明共通プレート部材(プラテン取付けプレート)の一対の「固定プラテン5」固定箇所に着目し、これら「固定プラテン5」固定箇所を、「第1、第2のベースフレーム1a,1b」長手方向において、前記内側部分が延びる範囲内にのみ配置することについては記載も示唆もされていない。
また、ベースフレーム幅方向の内側部分よりも外端でベースフレーム長手方向の長さを長くした形状を有するプラテン取付けプレートの(プラテンが有する一対の脚部のそれぞれとの固定用いられる)一対のプラテン固定箇所を、ベースフレーム長手方向において、前記内側部分が延びる範囲内にのみ配置することは、異議申立人が提出した甲1、甲2及び甲4には記載も示唆もされておらず、本件特許出願時の周知技術であるとも、当業者の技術常識であるともいうことはできない。
(イ) そして、本件特許発明1は、相違点1に係る構成を具備することにより、本件特許発明1の構成が奏する効果として、「プラテン取付けプレート4の幅方向の外側部分への突出縁部6の形成により、幅方向の内側の所要のスペースは確保しつつ、突出縁部6に設けられるメインビーム3a及び3bとの溶接箇所が、プラテン固定箇所から、より確実に離れて位置することにな」り(【0021】)、「耐久性を向上させることができる射出成形機用ベースフレームを提供すること」ができる(同【0007】)との優れた効果を奏する。
(ウ) してみると、甲3発明において、相違点3-1-2に係る本件特許発明1の構成とすることが、当業者が容易に想到し得たことであるということはできない。
ベースフレーム幅方向に互いに間隔をおいて設けられる一対の脚部を有する固定プラテンが周知であることを含めて検討しても、上記判断は変わらない。
(エ) 小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲3に記載された発明、甲1~甲4に記載された事項及び本件特許出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(3) 本件特許発明2~6、8~10、14について
本件特許発明2~6、8~10、14は、本件特許発明1の構成を全て具備し、これに限定を加えたものである。
そうすると、上記(2)ウで述べたとおり、本件特許発明1は、甲3に記載された発明、甲1~甲4に記載された事項及び本件特許出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない以上、本件特許発明2~6、8~10、14についても、同様な理由により、甲3に記載された発明、甲1~甲4に記載された事項及び本件特許出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない。
第6 令和 6年 8月19日付けの取消理由通知書において採用しなかった異議申立ての理由について
1 甲1を主引用例とする進歩性(特許法第29条第2項)
(1) 異議申立人の主張
異議申立人は、特許異議申立書13~16、25~35頁において、甲1の【0002】、【0005】、【0018】(第1の実施形態)、【図1】、【図5】及び【図6】の記載に基づき、甲1発明の「ベースフレーム4」を認定し、本件特許発明1~14は、甲1発明、甲1~甲4の記載及び周知技術(射出成形機のベースフレームを構成する複数の部材どうしを溶接により接合すること(甲2~甲4等))に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである、と主張する。
(2) 甲1を主引用例とする進歩性についての判断
ア 本件特許発明1について
(ア) 対比
本件特許発明1と、甲1の【0002】~【0006】、【図5】~【図7】等に記載された背景技術としての「一般的な射出成形機」の構成を前提として、【0018】~【0021】、【図1】~【図3】等の記載から理解される、一実施形態の射出成形機に用いられる「ベースフレーム4」の発明(以下「甲1発明」という。)、を対比すると、両者は、以下の点で少なくとも相違する。
(相違点1)
本件特許発明1においては、「前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向の内側部分よりも外端で前記長手方向の長さを長くした形状を有」するのに対して、甲1発明においては、「プラテン取付けプレート」は、【図6】に図示されるにとどまる点。
ここで、甲1の【図6】は以下のものである。
【図6】
[図:0001422430000020.jpg]
(イ) 判断
相違点1について検討する。
a 甲1においては、プラテン取付けプレートについては、【図6】において図示されるだけであり、発明の詳細な説明においてプラテン取付けプレートについては何ら言及されていない。
そうしてみると、たとえ甲3の【図4】~【図7】あるいは甲2の【図3】に、ベースフレーム幅方向の内側部分よりも外端でベースフレーム長手方向の長さを長くした形状を有するプラテン取付けプレートが示されているとしても、甲1発明において、甲3の【図4】~【図7】あるいは甲2の【図3】に図示されたプラテン取付けプレートに着目し、これを採用する動機付けはない。
してみると、甲1発明において、相違点1に係る本件特許発明1の構成とすることが、当業者が容易になし得たことであるということはできない。
b 小括
他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1に記載された発明、甲1~甲4に記載された事項及び本件特許出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
したがって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。
イ 本件特許発明2~6、8~10、14について
本件特許発明2~6、8~10、14は、本件特許発明1の構成を全て具備し、これに限定を加えたものである。
そうすると、上記ア(イ)で述べたとおり、本件特許発明1は、甲1に記載された発明、甲1~甲4に記載された事項、本件特許出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない以上、本件特許発明2~6、8~10、14についても、同様な理由により、甲1に記載された発明、甲1~甲4に記載された事項及び本件特許出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない。
ウ 本件特許発明11について
(ア) 対比
本件特許発明11と甲1発明とを対比すると、両者は、上記ア(ア)で抽出した相違点1と同じ点で少なくとも相違する。
(イ) 判断
相違点1についての判断は、上記ア(イ)で述べたとおりであり、同様な理由により、本件特許発明11は、甲1に記載された発明、甲1~甲4に記載された事項及び本件特許出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
したがって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。
エ 本件発明12、13について
本件特許発明12、13は、本件特許発明11の構成を全て具備し、これに限定を加えたものである。
そうすると、上記ウ(イ)で述べたとおり、本件特許発明11は、甲1に記載された発明、甲1~甲4に記載された事項及び本件特許出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない以上、本件特許発明12、13についても、同様な理由により、甲1に記載された発明、甲1~甲4に記載された事項及び本件特許出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない。
2 甲2を主引用例とする本件特許発明11~13についての進歩性(特許法第29条第2項)
(1) 異議申立人は、特許異議申立書16~20、43~45頁において、甲2の【0018】、【0020】、【0022】~【0023】、【0027】、【0029】及び【図1】~【図4】の記載に基づき、甲2発明の「ベースフレーム3」を認定し、甲4の図6、図7に、幅方向において互いに間隔を置いて位置する二枚のベース用平鋼(40)が示されているように、幅方向に互いに間隔を置いて位置する二枚のサイドプレート部材を含むプラテン取付けプレートは周知の構成であることから、本件特許発明11~13は、甲2発明、甲1~4の記載及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、と主張する。
(2) 甲2を主引用例とする本件特許発明11~13についての進歩性についての判断
ア 本件特許発明11について
(ア) 対比
本件特許発明11と甲2発明(上記「第5」1(1)イ参照)を対比すると、両者は、以下の点で少なくとも相違する。
(相違点2-11)
本件特許発明11においては、「前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向に互いに間隔をおいて位置する二枚のサイドプレート部材を含み」、「前記プラテン取付けプレートの前記内側部分が、前記サイドプレート部材のそれぞれの前記幅方向の内端である」のに対して、甲2発明においては、「プレート11」は、【図3】に図示されたものである点。
ここで、【図3】は以下のものである。
【図3】
[図:0001422430000021.jpg]
(イ) 判断
相違点2-11について検討する。
a 甲2発明の【図3】からは、「プレート11」が、「ベースフレーム3」幅方向の内側部分よりも外端で、「ベースフレーム3」長手方向の長さを長くした形状を有する1枚のプレート部材が示されていることまでは把握することができるものの、【図3】からは、「ベースフレーム3」の幅方向の前記内側部分が、それぞれの「ベースフレーム3」幅方向の内端である、「ベースフレーム3」幅方向に互いに間隔をおいて位置する二枚のサイドプレート部材が示されているとはいえない。
b そして、甲2には、「ベースフレーム3」幅方向の内側部分よりも外端で、「ベースフレーム3」長手方向の長さを長くした形状を有するプレート11を、「ベースフレーム3」幅方向の内端を、「ベースフレーム3」の幅方向の前記内側部分とした、「ベースフレーム3」幅方向に互いに間隔をおいて位置する二枚のサイドプレート部材を含む構成とすることは記載も示唆もされていない。
また、ベースフレーム幅方向の内側部分よりも外端でベースフレーム長手方向の長さを長くした形状を有するプラテン取付けプレートを、それぞれのベースフレーム幅方向の内端を、ベースフレーム幅方向の前記内側部分とした、ベースフレーム幅方向に互いに間隔をおいて位置する二枚のサイドプレート部材を含む構成とすることは、甲1、甲3~甲4のいずれにも記載も示唆もされておらず、また、本件特許出願時に周知の技術であるとも、当業者の技術常識であるともいうことはできない。
c さらに言えば、甲2発明の「プレート11」の構成として、甲4に記載された二枚のベース用平鋼(40)のような二枚の(サイド)プレート部材に着目して、これを採用する動機付けはないし、仮に、「プレート11」として、甲4の二枚のベース用平鋼(40)のような二枚の矩形の(サイド)プレート部材を採用することができたとしても、相違点2-11の構成には至らない(プラテン取付けプレートにおいて、ベースフレーム内側部分が存在しない構成となってしまう。)。
d してみると、甲2発明において、相違点2-11に係る本件特許発明11の構成とすることが、当業者が容易になし得たことであるということはできない。
e 小括
他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明11は、甲2に記載された発明、甲1~甲4に記載された記載及び本件特許出願時の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
したがって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。
イ 本件発明12、13について
本件特許発明12、13は、本件特許発明11の構成を全て具備し、これに限定を加えたものである。
そうすると、上記ア(イ)で述べたとおり、本件特許発明11は、甲2に記載された発明、甲1~4に記載された事項及び本件特許出願時の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない以上、本件特許発明12、13についても、同様な理由により、甲2に記載された発明、甲1~甲4に記載された事項及び本件特許出願時の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
3 甲3を主引用例とする本件特許発明11~13についての進歩性(特許法第29条第2項)
(1) 異議申立人は、特許異議申立書20~23、53~55頁において、甲3の【0002】~【0004】、【図5】~【図7】の記載に基づき、甲3発明の「射出成形機の第1のベースフレーム1a」を認定し、甲4の図6、図7に、幅方向において互いに間隔を置いて位置する二枚のベース用平鋼(40)が示されているように、幅方向に互いに間隔を置いて位置する二枚のサイドプレート部材を含むプラテン取付けプレートは周知の構成であることから、本件特許発明11~13は、甲3発明、甲1~甲4の記載及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、と主張する。
(2) 甲3を主引用例とする本件特許発明11~13についての進歩性についての判断
ア 本件特許発明11について
(ア) 対比
本件特許発明11と甲3発明とを対比すると、両者は、以下の点で少なくとも相違する。
(相違点3-11)
本件特許発明11においては、「前記プラテン取付けプレートが、前記幅方向に互いに間隔をおいて位置する二枚のサイドプレート部材を含み」、「前記プラテン取付けプレートの前記内側部分が、前記サイドプレート部材のそれぞれの前記幅方向の内端である」のに対して、甲3発明においては、「プレート11」は、【図4】に図示されたものである点。
ここで、【図4】は以下のものである。
【図4】
[図:0001422430000022.jpg]
(イ) 判断
相違点3-11について検討する。
a 甲3発明の【図4】からは、プラテン取付けプレート(甲3発明共通プレート部材)が、「第1のベースフレーム1a」幅方向の内側部分よりも外端で、「第1のベースフレーム1a」長手方向の長さを長くした形状を有する1枚のプラテン取付けプレートが示されていることまでは把握することができるものの、【図4】からは、「第1のベースフレーム1a」の幅方向の前記内側部分が、それぞれの「第1のベースフレーム1a」幅方向の内端である、「第1のベースフレーム1a」幅方向に互いに間隔をおいて位置する二枚のサイドプレート部材が示されているとはいえない。
b そして、甲3には、プラテン取付けプレート(甲3発明共通プレート部材)幅方向の内側部分よりも外端で、「第1のベースフレーム1a」長手方向の長さを長くした形状を有するプラテン取付けプレートを、「第1のベースフレーム1a」幅方向の内端を、「第1のベースフレーム1a」の幅方向の前記内側部分とした、「第1のベースフレーム1a」幅方向に互いに間隔をおいて位置する二枚のサイドプレート部材を含む構成とすることは記載も示唆もされていない。
また、ベースフレーム幅方向の内側部分よりも外端でベースフレーム長手方向の長さを長くした形状を有するプラテン取付けプレートを、それぞれのベースフレーム幅方向の内端を、ベースフレーム幅方向の前記内側部分とした、ベースフレーム幅方向に互いに間隔をおいて位置する二枚のサイドプレート部材を含む構成とすることは、甲1、甲2、甲4のいずれにも記載も示唆もされておらず、また、本件特許出願時に周知の技術であるとも、当業者の技術常識であるともいうことはできない。
c さらに言えば、甲3発明のプラテン取付けプレート(甲3発明共通プレート部材)の構成として、甲4に記載された二枚のベース用平鋼(40)のような二枚の(サイド)プレート部材に着目して、これを採用する動機付けはないし、仮に、プラテン取付けプレートとして、甲4の二枚のベース用平鋼(40)のような二枚の矩形の(サイド)プレート部材を採用することができたとしても、相違点3-11の構成には至らない(プラテン取付けプレートにおいて、ベースフレーム内側部分が存在しない構成となってしまう。)。
d してみると、甲3発明において、相違点3-11に係る本件特許発明11の構成とすることが、当業者が容易になし得たことであるということはできない。
e 小括
他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明11は、甲3に記載された発明、甲1~甲4に記載された事項及び本件特許出願時の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
したがって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。
イ 本件発明12、13について
本件特許発明12、13は、本件特許発明11の構成を全て具備し、これに限定を加えたものである。
そうすると、上記ア(イ)で述べたとおり、本件特許発明11は、甲3に記載された発明、甲1~甲4に記載された事項及び本件特許出願時の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない以上、本件特許発明12、13についても、同様な理由により、甲3に記載された発明、甲1~甲4に記載された事項及び本件特許出願時の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
第7 むすび
請求項1~6、8~14に係る特許は、いずれも、取消理由通知書に記載した取消しの理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。
また、他に請求項1~6、8~14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項7に係る特許は、本件訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項2に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700425