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特許異議申立

2024-700397

セメント組成物

審判番号
2024-700397
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-191266
登録番号
7369849
請求日
2024年04月25日
審決日
2024年06月27日
公報発行日
2024年07月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】太平洋セメント株式会社
  • 【権利者代理人】村地 俊弥
  • 【権利者】デンカ株式会社
  • 【異議申立人】田村 奈緒美
審判長/審判官
  • 審判長 日比野 隆治
  • 審判官 宮澤 尚之
  • 審判官 小野 久子
分類
P1651.121-Y (C04B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7369849号発明「セメント組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7369849号の請求項1~3に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7369849号の請求項1~3に係る特許(以下、それぞれ「本件特許1」などといい、まとめて「本件特許」という。)についての出願は、平成31年4月26日に出願された特願2019-84867号の一部を、令和4年11月30日に新たな特許出願としたものであって、令和5年10月18日にその特許権の設定登録がされ、同月26日に特許掲載公報が発行された。 その後、本件特許1~3に対して、令和6年4月25日に特許異議申立人田村奈緒美(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~3に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」などという。)は、その特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 ボーグ式を用いて算出した値として、アルミネート相(3CaO・Al2O3)の割合が8.7~15.0質量%、ビーライト(2CaO・SiO2)の割合が10.0~16.0質量%、及び、フェライト相(4CaO・Al2O3・Fe2O3)の割合が7.5~9.0質量%である普通ポルトランドセメントと、フライアッシュと、石灰石粉末を含むセメント組成物であって、 上記普通ポルトランドセメントと上記フライアッシュと上記石灰石粉末の合計量100質量%中の、上記フライアッシュと上記石灰石粉末の合計量の割合が、5.0~15.0質量%であり、 上記フライアッシュと上記石灰石粉末の合計量100質量%中の上記フライアッシュの割合が、10~90質量%であり、 上記セメント組成物は、高炉スラグ微粉末を含まない、または、上記フライアッシュと上記石灰石粉末と高炉スラグ微粉末の合計量100質量%中の上記高炉スラグ微粉末の割合が10質量%未満となるように、高炉スラグ微粉末を含み、 上記セメント組成物について、「JIS R 5203:2015(セメントの水和熱測定方法)」に準拠して、材齢28日の水和熱を測定し、かつ、「JIS R 5201:2015」に準拠して、材齢28日のモルタルの圧縮強さを測定した場合において、「(材齢28日のモルタルの圧縮強さの測定値X;単位:N/mm2)/(材齢28日のセメント組成物の水和熱の測定値Y;単位:J/g)」の値(X/Y;ただし、単位は省略する。)が、0.158以上であることを特徴とするセメント組成物。 【請求項2】 上記普通ポルトランドセメントは、ボーグ式を用いて算出した値として、エーライト(3CaO・SiO2)の割合が55.0~65.0質量%のものである請求項1に記載のセメント組成物。 【請求項3】 上記普通ポルトランドセメントは、ケイ酸率(S.M.)が2.41~2.65の範囲内のものである請求項1又は2に記載のセメント組成物。」 第3 特許異議の申立てについて 1 申立ての理由の概要 申立人が主張する申立ての理由は、概略、以下のとおりである。 ここで、申立人が提出した証拠方法は、次のものである。 甲第1号証 特開2011-132045号公報 甲第2号証 特開2018-100204号公報 甲第3号証 安藝朋子他、「省エネルギー型汎用セメントの開発」、セ メント・コンクリート論文集、2014年、第68巻、第 1号、第103~109頁 甲第4号証 安藝朋子他、「小規模プラントによる省エネルギー型汎用 セメントの試製造」、セメント・コンクリート論文集、2 015年、第69巻、第1号、第131~138頁 甲第5号証 第1回革新的セメント製造プロセス基盤技術開発事後評価 検討会資料5「革新的セメント製造プロセス基盤技術開発 の概要」、[online]、平成27年10月15日、インタ ーネット<URL:https://www.meti.go.jp/policy/tech_ev aluation/c00/C0000000H27/151015_kakusin1/kakusin1_si ryou5.pdf> (1) 申立理由1(甲第1号証を主たる証拠とした進歩性欠如) 本件発明1~3は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第5号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許1~3は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2) 申立理由2(甲第3号証~甲第5号証を主たる証拠とした進歩性欠如) 本件発明1~3は、甲第3号証~甲第5号証に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許1~3は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2 甲各号証の記載事項について (1) 甲第1号証の記載事項 甲第1号証には、「セメント組成物の水和熱低減方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。 ア 「【請求項1】 石灰石、石炭灰、粘土、高炉スラグ、建設発生土、下水汚泥及び鉄源からなる群より選ばれる原料の原料原単位を調整してセメントクリンカーを焼成する工程と、 前記セメントクリンカーと石膏とを混合し粉砕してセメント組成物を製造する工程とを含むセメント組成物の水和熱低減方法であって、 前記原料原単位を、セメント組成物の色調b値に基づいて調整することを特徴とするセメント組成物の水和熱低減方法。 イ 「【0013】 本発明によれば、モルタルやコンクリートの強度発現性を維持しつつ、材齢28日の水和熱を410J/g以下に低減することの可能なセメント組成物の水和熱低減方法を提供することができる。」 ウ 「【0038】 水和熱の低減が可能となるセメント組成物は、セメント組成物の色調b値に基づいて、セメントクリンカー原料の原料原単位を調整して得られるセメントクリンカーと石膏とを粉砕することによって製造することができる。石膏は、JIS R 9151「セメント用天然せっこう」に規定される品質を満足することが望ましく、具体的には、二水石膏、半水石膏、不溶性無水石膏が好適に用いられる。混合材は、JIS R 5211「高炉セメント」で規定される高炉スラグ、JIS R 5212「シリカセメント」で規定されるシリカ質混合材、JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」で規定されるフライアッシュ、石灰石を利用することができる。 【0039】 セメント組成物は、セメントクリンカーに対して、セメント組成物中のSO3含有量が前記範囲となるように石膏を配合して粉砕することが好ましい。粉砕方法としては、特に制限されないが、ボールミル等の粉砕機、セパレータ等の分級機を用いる方法が挙げられる。 【0040】 セメント組成物は、さらに混合材を添加してもよい。混合材としては、石灰石、高炉スラグ等を使用することができ、混合材は、セメント組成物の全体質量に対する混合材の合計含有割合(質量%)が、5質量%以下であることが好ましい。」 エ 「【実施例】 【0042】 以下に、実施例を挙げて本発明の内容を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。 【0043】 [セメントクリンカーの原料] ・・・ 【0044】 [セメントクリンカーの製造] ・・・ 【0045】 得られたセメントクリンカーに二水石膏をセメント組成物中のSO3含有量が2質量%となるように配合し、さらに混合材(石灰石、高炉スラグ)を石灰石4質量%と高炉スラグ1質量%で添加し、実機ミルでブレーン比表面積が3200~3280cm2/gになるように粉砕し、セメント組成物を得た。 【0046】 [セメント組成物の化学成分] <化学成分> 得られたセメント組成物中のSiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO及びSO3について、全体質量に対する含有割合(質量%)を測定した。これらの含有割合は、JIS R 5202:1998「ポルトランドセメントの化学分析方法」に準じて測定した。 <遊離酸化カルシウム量(f.CaO量)> また、セメント組成物中の遊離酸化カルシウム量(f.CaO量)について、全体質量に対する含有割合(質量%)を測定した。この含有割合は、JCAS I-01:1997「セメント中の遊離酸化カルシウムの定量方法」に準じて測定した。結果を表1に示す。 【0047】 【表1】 [図:0001412322000001.jpg] 【0048】 [セメント組成物の鉱物組成] 得られたセメント組成物の鉱物組成(C3S量、C2S量、C3A量及びC4AF量)を、ボーグ式に基づいて測定した。結果を表2に示す。 【0049】 [セメント組成物の物性] <セメント組成物の色調b値> セメント組成物の色調b値を、側色色差計(日本電色工業社製、Spectro Color Meter Se 2000)を用いて測定した。結果を表2に示す。 <セメント組成物の粉末度> セメントの粉末度(ブレーン比表面積及び45μm残)について、JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に準じて測定した。結果を表2に示す。 【0050】 [セメント組成物の水和熱] セメント組成物の材齢28日の水和熱を、JIS R 5203:1995「セメントの水和熱測定方法(溶解熱方法)」に準じて測定した。結果を表2に示す。 【0051】 [モルタル圧縮強さ] モルタル圧縮強さは、得られたセメント組成物を用いてJIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に準じて、材齢28日において測定した。結果を表2に示す。 【0052】 【表2】 [図:0001412322000002.jpg] 」 (2) 甲第2号証の記載事項 甲第2号証には、「セメント組成物の製造方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。 ア 「【請求項1】 ケイ酸率(S.M.)が1.80~2.40で、かつ、フリーライムの含有率が1.0質量%未満である普通ポルトランドセメントクリンカー粉末と、石膏と、フライアッシュと、ブレーン比表面積が5,000cm2/g以上の石灰石粉末、を含むセメント組成物の製造方法であって、 上記普通ポルトランドセメントクリンカーと、石膏と、フライアッシュと、石灰石を、同時に粉砕して、セメント組成物を得ることを特徴とするセメント組成物の製造方法。」 イ 「【0006】 ・・・ そこで、本発明の目的は、フライアッシュを適当な割合(例えば、1.0~10.0質量%)で含む場合であっても、強度発現性(特に、材齢7日~91日におけるモルタル圧縮強さ)に優れ、かつ、流動性に優れたセメント組成物を製造することのできる方法を提供することである。」 ウ 「【0023】 本発明のセメント組成物の製造方法において、普通ポルトランドセメントクリンカー粉末の量、石膏の量(SO3換算)、フライアッシュの量、及び石灰石粉末の量の合計100質量%中のフライアッシュの割合は、好ましくは1.0~10.0質量%、より好ましくは2.5~9.0質量%、特に好ましくは5.0~8.0質量%である。該割合が1.0質量%以上であれば、フライアッシュの有効活用を促進することができる。該割合が10質量%以下であれば、セメント組成物の強度発現性をより向上することができる。 【0024】 本発明のセメント組成物の製造方法において、普通ポルトランドセメントクリンカー粉末の量、石膏の量(SO3換算)、フライアッシュの量、及び石灰石粉末の量の合計100質量%中の石灰石粉末の割合は、好ましくは1.0~5.0質量%、より好ましくは1.5~4.0質量%、特に好ましくは1.8~3.0質量%である。該割合が上記数値範囲内であれば、セメント組成物の強度発現性をより向上することができる。」 エ 「【0035】 [実施例1~5] 表3に示す種類の普通ポルトランドセメントクリンカー(表3中、「クリンカー」と示す。)と、混合石膏(表3中、「石膏」と示す。)と、フライアッシュと、石灰石を、セメント組成物中の各材料の割合が表3に示すものとなるように、バッチ式ボールミルに投入した後、これらを同時に粉砕して、セメント組成物を得た。 ・・・ [実施例6] 普通ポルトランドセメントクリンカーと混合石膏とフライアッシュを、同時に粉砕して粉砕物(ブレーン比表面積3,140cm2/g)を得た後、該粉砕物に石灰石粉末を添加して混合する以外は実施例1と同様にしてセメント組成物を得た。 ・・・ 【0039】 【表3】 [図:0001412322000003.jpg] 」 (3) 甲第3号証の記載事項 甲第3号証には、「省エネルギー型汎用セメントの開発」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。 ア 「2. 実験 2.1 電気炉実験 電気炉実験により、省エネルギー型汎用セメントの設計を検討した。 (1) クリンカー焼成エネルギー評価 ・・・ 実験クリンカーの目標水準をTable 1に示す。各実験水準は、基準となる現行OPCクリンカー相当の水準1に対し、<1>高液相組成(低SM化)としてBogue式でアルミネート(C3A)18%以下、フェライト(C4AF)13%以下の範囲のもの(水準2、3、4、7、8、9)、<2>鉱化剤としてF=0.2%、SO3=2.0%を添加したもの(水準5、8、9、10)、<3>C3Sの生成促進を目的に種結晶(当社工場製の早強ポルトランドセメントクリンカーを粉砕しブレーン比表面積3,000cm2/gにしたもの)を3%添加したもの(水準7、9)、および<4>原料種に高炉スラグ微粉末(以下、BFS)を5%使用したもの(水準6、10)とし、各要因の相互作用の検討も実施した。・・・ (2) 電気炉試製セメントの品質評価 ・・・ Table 1中の鉱物組成は、現行OPC同等水準(水準1、5、6および10)、高C3A水準(水準2、3、7、8および9)、高C4AF水準(水準4)の三つに分類できる。本検討では、C3Aが13%を超える水準は水和発熱や流動性が過大になると予想されたため、実施しなかった。また、既往の文献5)より、C4AFを増加させた水準は、混合材を適用した際に強度発現性が低いことが判明しているため、同様に実施しなかった。以上のことから、現行OPCクリンカー相当の水準(水準1)およびC3Aが13%以下の水準(水準2)を実施した。使用した混合材は石灰石微粉末(以下、LSP)、BFS、フライアッシュ(以下、FA)である。各種混合材のキャラクターをTable 2に示す。 各クリンカーはSO3=2.0%となるよう排脱二水石膏を添加し、振動型ディスクミルによりブレーン比表面積が3,400±100cm2/gとなるまで粉砕した。試製セメントの配合一覧をTable 3に示す。水準1のクリンカーを粉砕後の試料に現行OPC同等水準となるようLSP5%を添加しセメント作製した水準をブランクとした。また、各クリンカーを粉砕後の試料にLSP5%を添加し、これにさらにLSP、BFSまたはFAを5%添加した水準およびBFS、FAを単味で10%添加した水準も実施した。」(当審注:<1>、<2>、<3>、<4>は○囲い数字を示す。)(第103頁左欄第17行~第104頁右欄第17行) イ 「 [図:0001412322000004.jpg] 」(第104頁) ウ 「 [図:0001412322000005.jpg] 」(第105頁) エ 「3. 実験結果および考察 3.1 電気炉実験結果 ・・・ 電気炉焼成により得られた各水準の鉱物組成(Bogue)を確認したところ、差異は最大でC3S=1.0%、C2S=1.6%、C3A=0.3%、C4AF=0.1%であり、ほぼ目標通りであることを確認した。・・・ 各水準のセメント強さ試験結果をFig.3に示す。その結果、水準1、2のいずれのクリンカーも混合材にLSPを5%以上使用した水準では、ブランク(現行OPC相当となるよう水準1にLSPを5%添加したもの、Fig.3中にLSP5 Control)と表記)同等の強さが得られた。特に、水準2のクリンカーにLSPを5%以上使用した場合に、ブランクに対する強度増進が顕著であった。」(第105頁左欄第14行~右欄第31行) オ 「 [図:0001412322000006.jpg] 」(第107頁) (4) 甲第4号証の記載事項 甲第4号証には、「小規模プラントによる省エネルギー型汎用セメントの試製造」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。 ア 「2. 実験 2.1 ミニプラント実験 (1) 焼成実験装置 ミニプラントの概略図をFig.1に示す。前報1)では仮焼炉が備わっていないテストキルンを用い、Fig.1中に示す原料フィーダー1から原料を投入しクリンカー焼成を行った。本報では、より実機に近づけるために、テストキルンにFig.1中に示す仮焼炉および原料フィーダー2を増設し、原料が脱炭酸し易い仕様にしたミニプラントによりクリンカーを焼成した。クリンカークーラーは円筒状のロータリー式クーラー(直径500mm、長さ2,000mm)を用いた。 (2) 使用材料 ここでは工業試薬を用いることとし、化学成分が所定の値となるよう調合し、これをクリンカーの原料とした。試製クリンカーの目標組成をTable 1に示す。試験水準は前報1)の結果より、水準A(現行NCクリンカー相当)および水準B(高C3Aクリンカー)の計2水準とした。いずれもf-CaOの目標値は1.0%以下とした。 (3) 評価方法 a) クリンカー ・・・ 得られたクリンカーの評価としてJIS R 5204により化学組成を、X線回折(XRD)/リートベルト法(TOPAS BrukerAXS社製)により鉱物組成を測定した。鉱物組成の測定条件は、ターゲットCuKα、管電圧35kV、管電流350mA、走査範囲10~60°(2θ)、ステップ幅0.0234°、スキャンスピード0.13°/sとし、定量対象鉱物はエーライト(C3S)、ビーライト(C2S)-β、C3A、フェライト(C4AF)、f-CaO、f-MgOの6鉱物とした。 b) セメント 2.1(1)にて得られたクリンカーに石膏を添加しブレーン比表面積が3,400±100cm2/gになるまでテスト用のバッチ式チューブ型ボールミルで粉砕後、石灰石微粉末(以下LSP)、高炉水砕スラグ(以下BFS)、フライアッシュ(以下FA)を混合材として使用しセメントを試製した。各種混合材のキャラクターをTable 2に示す。試製セメントの水準をTable 3に示す。得られたセメントの評価として、JIS R 5204に準拠し化学組成を測定した。また、JIS R 5210の項目について水準1(試製NC)および5(高C3Aクリンカー+LSP10 %)の品質評価を行った。・・・」(第131頁左欄第23行~第132頁右欄第7行) イ 「 [図:0001412322000007.jpg] 」(第132頁) ウ 「 [図:0001412322000008.jpg] 」(第132頁) エ 「3. 実験結果および考察 3.1 ミニプラント実験 (1) クリンカー 得られたクリンカーの鉱物組成および化学組成をTable 6に示す。f-CaO量は各水準、目標範囲内であった。鉱物組成(XRD/リートベルト)も各水準ほぼ同等のC3S量であり、Al2O3増加によるC3A相の増加も確認された。一方、調合原料と焼成後に得られたクリンカーの組成に差異が見られた。」(第133頁右欄第8~16行) オ 「 [図:0001412322000009.jpg] 」(第133頁) (5) 甲第5号証の記載事項 甲第5号証には、「省エネセメントの開発」(第36頁の見出し)に関して、次の事項が記載されている。 ア 「●使用クリンカー組成(電気炉焼成品) [図:0001412322000010.jpg] 」(第36頁) イ 「●圧縮強さ試験結果 [図:0001412322000011.jpg] 」(第36頁) 3 当審の判断 (1) 申立理由1(甲第1号証を主たる証拠とした進歩性欠如)について ア 甲第1号証に記載された発明(甲1発明) (ア) 甲第1号証には、前記2(1)ア~ウによれば、モルタルやコンクリートの強度発現性を維持しつつ、材齢28日の水和熱を410J/g以下に低減することの可能なセメント組成物の水和熱低減方法、及び、水和熱の低減が可能となるセメント組成物が記載されている。 そして、前記2(1)エによれば、水和熱の低減が可能となるセメント組成物について、実施例5には、セメントクリンカーに二水石膏を配合し、さらに石灰石を4質量%と高炉スラグを1質量%で添加して、実機ミルで粉砕して得られたセメント組成物が記載され(【0045】)、当該セメント組成物について、ボーグ式に基づいて測定した鉱物組成が、C3S量57.8質量%、C2S量15.5質量%、C3A量10.0質量%、C4AF量8.9質量%であること(【0048】、【0052】【表2】)、JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に準じて測定した材齢28日のモルタル圧縮強さが、65.4N/mm2であること(【0051】、【0052】【表2】)、及び、JIS R 5203:1995「セメントの水和熱測定方法(溶解熱方法)」に準じて測定した材齢28日の水和熱が、393J/gであること(【0050】、【0052】【表2】)が記載されている。 (イ) 前記(ア)の記載事項を、実施例5の「セメント組成物」に注目して整理すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「セメントクリンカーに二水石膏を配合し、さらに石灰石を4質量%と高炉スラグを1質量%で添加して、実機ミルで粉砕して得られたセメント組成物であって、 ボーグ式に基づいて測定した鉱物組成が、C3S量57.8質量%、C2S量15.5質量%、C3A量10.0質量%、C4AF量8.9質量%であり、 JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に準じて測定した材齢28日のモルタル圧縮強さが、65.4N/mm2であり、 JIS R 5203:1995「セメントの水和熱測定方法(溶解熱方法)」に準じて測定した材齢28日の水和熱が、393J/gである、セメント組成物。」 イ 本件発明1について (ア) 本件発明1と甲1発明との対比 a 本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者の対応関係は次のとおりに解することができる。 (a) 甲1発明の「ボーグ式に基づいて測定した鉱物組成が、C3S量57.8質量%、C2S量15.5質量%、C3A量10.0質量%、C4AF量8.9質量%であ」ることは、本件発明1の「ボーグ式を用いて算出した値として、アルミネート相(3CaO・Al2O3)の割合が8.7~15.0質量%、ビーライト(2CaO・SiO2)の割合が10.0~16.0質量%、及び、フェライト相(4CaO・Al2O3・Fe2O3)の割合が7.5~9.0質量%である」との規定を満足する。 (b) 前記(a)を踏まえると、甲1発明の「セメント組成物」は、本件発明1の「普通ポルトランドセメント」の「セメント」に相当すると共に、当該「セメント」を含む「セメント組成物」に相当する。 (c) 甲1発明の「セメントクリンカーに二水石膏を配合し、さらに石灰石を4質量%と高炉スラグを1質量%で添加して、実機ミルで粉砕して得られたセメント組成物」は、高炉スラグ微粉末を含んでいないことから、本件発明1の「上記セメント組成物は、高炉スラグ微粉末を含まない、または、上記フライアッシュと上記石灰石粉末と高炉スラグ微粉末の合計量100質量%中の上記高炉スラグ微粉末の割合が10質量%未満となるように、高炉スラグ微粉末を含み」との規定を満足する。 (d) 甲1発明の「JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に準じて測定した材齢28日のモルタル圧縮強さが、65.4N/mm2であり、JIS R 5203:1995「セメントの水和熱測定方法(溶解熱方法)」に準じて測定した材齢28日の水和熱が、393J/gである」ことは、当該モルタル圧縮強さと当該水和熱の比(モルタル圧縮強さ/水和熱)が0.166(=65.4N/mm2/393J/g)になることから、本件発明1の「上記セメント組成物について、「JIS R 5203:2015(セメントの水和熱測定方法)」に準拠して、材齢28日の水和熱を測定し、かつ、「JIS R 5201:2015」に準拠して、材齢28日のモルタルの圧縮強さを測定した場合において、「(材齢28日のモルタルの圧縮強さの測定値X;単位:N/mm2)/(材齢28日のセメント組成物の水和熱の測定値Y;単位:J/g)」の値(X/Y;ただし、単位は省略する。)が、0.158以上である」との規定を満足する。 b 前記aで検討した対応関係に照らすと、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致しているといえる。 (相違点1) 鉱物組成が特定された「セメント」について、本件発明1は、「普通ポルトランドセメント」であるのに対して、甲1発明は、その点が明らかでない点。 (相違点2) 本件発明1は、鉱物組成が特定された「普通ポルトランドセメント」以外に、「フライアッシュと、石灰石粉末」を含み、「上記普通ポルトランドセメントと上記フライアッシュと上記石灰石粉末の合計量100質量%中の、上記フライアッシュと上記石灰石粉末の合計量の割合が、5.0~15.0質量%であり、上記フライアッシュと上記石灰石粉末の合計量100質量%中の上記フライアッシュの割合が、10~90質量%であ」るのに対して、甲1発明は、鉱物組成が特定された「セメント組成物」以外に、フライアッシュと石灰石粉末を含まない点。 (イ) 相違点の検討 事案に鑑み、相違点2から検討を始めると、甲第2号証~甲第5号証には、前記2(2)~(5)に摘記したとおり、セメントクリンカーに、フライアッシュと石灰石粉末を加えたセメント組成物は記載されているものの、セメント組成物に、フライアッシュや石灰石粉末を添加することで、当該セメント組成物の材齢28日のセメント組成物の水和熱の値、あるいは、「(材齢28日のモルタルの圧縮強さの測定値X;単位:N/mm2)/(材齢28日のセメント組成物の水和熱の測定値Y;単位:J/g)」の値がどのような影響を受けるかについては記載も示唆もされていないし、また、このようなことが技術常識であるとの証拠もない。 したがって、甲1発明において、「(材齢28日のモルタルの圧縮強さの測定値X;単位:N/mm2)/(材齢28日のセメント組成物の水和熱の測定値Y;単位:J/g)」の値が0.158以上であることを満たしつつ、フライアッシュと石灰石粉末を所望の範囲に添加すること、すなわち、相違点2に係る本件発明1の特定事項とすることは、当業者にとって容易想到の事項であるといえない。 (ウ) 申立人の主張について 申立人は、上記相違点2に関して、セメント組成物の強度発現性を向上させる観点から、甲1発明に甲第2号証~甲第5号証に記載された事項を組み合わせることは、当業者が適宜最適化し得る設計的事項である旨を主張している(特許異議申立書第15頁第18行~第16頁第25行)。 しかしながら、甲第2号証~甲第5号証には、フライアッシュと石灰石粉末を添加した場合に、セメント組成物の水和熱がどのように変化するかについて記載されていないため、前記(イ)で検討したとおり、甲第2号証~甲第5号証の記載を参酌しても、甲1発明において、相違点2に係る本件発明1の特定事項とすることは、当業者にとって容易想到の事項であるといえない。 よって、申立人の上記主張は採用できない。 (エ) 小括 したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲第2号証~甲第5号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 ウ 本件発明2、3について 本件発明2、3は、本件発明1の特定事項を全て含むものであるから、前記イで検討したのと同様の理由により、本件発明2、3は、甲1発明及び甲第2号証~甲第5号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 エ 申立理由1についての結論 以上の検討のとおり、申立理由1に理由はない。 (2) 申立理由2(甲第3号証~甲第5号証を主たる証拠とした進歩性欠如)について ア 甲第3号証~甲第5号証に記載された発明 (ア) 甲第3号証に記載された発明(甲3発明) 甲第3号証には、前記2(3)アによれば、C3Aが13%以下の水準(水準2)のクリンカーを得て、このクリンカーにSO3が2.0%となるよう排脱二水石膏を添加し、振動型ディスクミルで粉砕し、この粉砕した試料に、石灰石微粉末(LSP)、高炉スラグ微粉末(BFS)、フライアッシュ(FA)を添加して、試製セメントとすることが記載されている。 また、前記2(3)ア、イ及びエによれば、C3Aが13%以下の水準(水準2)のクリンカーの鉱物組成(Bogue)について、目標鉱物組成は、C3Sが60.0%、C2Sが15.0%、C3Aが13.0%、C4AFが8.5%であり、得られたクリンカーの鉱物組成の目標値との差異は、最大でC3S=1.0%、C2S=1.6%、C3A=0.3%、C4AF=0.1%であったことが記載されている。 さらに、前記2(3)ア、ウ、エ及びオによれば、C3Aが13%以下の水準(水準2)のクリンカーに二水石膏を添加して粉砕した試料90%に対して、石灰石微粉末(LSP)5%、フライアッシュ(FA)5%を添加することや、得られた試製セメントの圧縮強さの結果が記載され、Fig.3(前記2(3)オ)からは、上記試製セメントの材齢28日の圧縮強さが65N/mm2程度であることが見て取れる。 これらの記載事項を、C3Aが13%以下の水準(水準2)のクリンカーから得た「試製セメント」に注目して整理すると、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。 「C3Sが60.0±1.0%、C2Sが15.0±1.6%、C3Aが13.0±0.3%、C4AFが8.5±0.1%である鉱物組成(Bogue)のクリンカーに二水石膏を添加して粉砕した試料90%に対して、石灰石微粉末(LSP)5%、フライアッシュ(FA)5%を添加した試製セメントであって、 材齢28日の圧縮強さが65N/mm2程度である、試製セメント。」 (イ) 甲第4号証に記載された発明(甲4発明) 甲第4号証には、前記2(4)アによれば、高C3Aクリンカー(水準B)を得て、このクリンカーに石膏を添加し、バッチ式チューブ型ボールミルで粉砕後、石灰石微粉末(LSP)、高炉スラグ微粉末(BFS)、フライアッシュ(FA)を使用し試製セメントを得たことが記載されている。 また、前記2(4)ア、イ、エ及びオによれば、高C3Aクリンカー(水準B)の鉱物組成(Bogue)について、目標鉱物組成は、C3Sが61.0%、C2Sが13.3%、C3Aが13.0%、C4AFが9.0%であり、得られたクリンカーの鉱物組成は、C3Sが49.0%、C2Sが25.7%、C3Aが12.6%、C4AFが10.2%であることが記載されている。 さらに、前記2(4)ア及びウによれば、Table 3のNo.6の試製セメントとして、高C3Aクリンカー(水準B)に石膏を添加して粉砕した後に、石灰石微粉末(LSP)5%、フライアッシュ(FA)5%を添加した試製セメントが記載されている。 これらの記載事項を、高C3Aクリンカー(水準B)から得た「試製セメント」に注目して整理すると、甲第4号証には、次の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。 「C3Sが49.0%、C2Sが25.7%、C3Aが12.6%、C4AFが10.2%である鉱物組成(Bogue)の高C3Aクリンカーに石膏を添加して粉砕した後、石灰石微粉末(LSP)5%、フライアッシュ(FA)5%を添加した試製セメント。」 (ウ) 甲第5号証に記載された発明(甲5発明) 甲第5号証には、前記2(5)アによれば、水準が「高C3A」のクリンカーの鉱物組成(Bogue)が、C3S:63.1%、C2S:14.9%、C3A:11.6%、C4AF:8.7%であることが記載されている。 また、前記2(5)イの図には、「Clinker No.」が「高C3A」であり、「Admixture content(%)」が「LSP5,FA5」であること、すなわち、高C3Aクリンカーに、LSPを5%、FAを5%で添加したセメントが記載されており、当該セメントの材齢28日の圧縮強さが65N/mm2程度であることも見て取れる。 これらの記載事項を整理すると、甲第5号証には、次の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。 「C3Sが63.1%、C2Sが14.9%、C3Aが11.6%、C4AFが8.7%である鉱物組成(Bogue)の高C3Aクリンカーに、LSP5%、FA5%を添加したセメントであって、 材齢28日の圧縮強さが65N/mm2程度である、セメント。」 イ 本件発明1について (ア) 本件発明1と甲3発明との対比・検討 a 本件発明1と甲3発明とを対比すると、両者の対応関係は次のとおりに解することができる。 (a) 甲3発明の「試製セメント」は、本件発明1の「セメント組成物」に相当する。 (b) 甲3発明の「クリンカーに二水石膏を添加して粉砕した試料」は、本件発明1の「普通ポルトランドセメント」の「セメント」に相当する。 (c) 甲3発明の「クリンカーに二水石膏を添加して粉砕した試料90%に対して、石灰石微粉末(LSP)5%、フライアッシュ(FA)5%を添加した」ことは、本件発明1の「セメントと上記フライアッシュと上記石灰石粉末の合計量100質量%中の、上記フライアッシュと上記石灰石粉末の合計量の割合が、5.0~15.0質量%であり、上記フライアッシュと上記石灰石粉末の合計量100質量%中の上記フライアッシュの割合が、10~90質量%であり」との規定を満足する。 (d) 甲3発明の「試製セメント」は、高炉スラグ微粉末を含んでいないことから、本件発明1の「上記セメント組成物は、高炉スラグ微粉末を含まない、または、上記フライアッシュと上記石灰石粉末と高炉スラグ微粉末の合計量100質量%中の上記高炉スラグ微粉末の割合が10質量%未満となるように、高炉スラグ微粉末を含み」との規定を満足する。 b 前記aで検討した対応関係に照らすと、本件発明1と甲3発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致しているといえる。 (相違点3) 「セメント」に関して、本件発明1は、「ボーグ式を用いて算出した値として、アルミネート相(3CaO・Al2O3)の割合が8.7~15.0質量%、ビーライト(2CaO・SiO2)の割合が10.0~16.0質量%、及び、フェライト相(4CaO・Al2O3・Fe2O3)の割合が7.5~9.0質量%である普通ポルトランドセメント」であるのに対して、甲3発明は、「C3Sが60.0±1.0%、C2Sが15.0±1.6%、C3Aが13.0±0.3%、C4AFが8.5±0.1%である鉱物組成(Bogue)のクリンカーに二水石膏を添加して粉砕した試料」であり、当該試料は、その鉱物組成が明らかでないし、普通ポルトランドセメントであることも明らかでない点。 (相違点4) 本件発明1は、「上記セメント組成物について、「JIS R 5203:2015(セメントの水和熱測定方法)」に準拠して、材齢28日の水和熱を測定し、かつ、「JIS R 5201:2015」に準拠して、材齢28日のモルタルの圧縮強さを測定した場合において、「(材齢28日のモルタルの圧縮強さの測定値X;単位:N/mm2)/(材齢28日のセメント組成物の水和熱の測定値Y;単位:J/g)」の値(X/Y;ただし、単位は省略する。)が、0.158以上である」のに対して、甲3発明は、材齢28日の圧縮強さが65N/mm2程度であるものの、「(材齢28日のモルタルの圧縮強さの測定値X;単位:N/mm2)/(材齢28日のセメント組成物の水和熱の測定値Y;単位:J/g)」の値が明らかでない点。 c 相違点の検討 (a) 相違点3について検討すると、クリンカーに二水石膏を添加して得られるセメントの鉱物組成は、クリンカーの鉱物組成と異なる値となることが技術常識であり、甲3発明の「クリンカーに二水石膏を添加して粉砕した試料」の鉱物組成が当該「クリンカー」の鉱物組成と同じであるといえないし、また、当該「試料」の鉱物組成が、本件発明1の「普通ポルトランドセメント」の鉱物組成に関する規定を満たしていることを裏付ける証拠もないから、相違点3は実質的なものである。 (b) 次に、相違点4について検討すると、甲3発明の「試製セメント」の「(材齢28日のモルタルの圧縮強さの測定値X;単位:N/mm2)/(材齢28日のセメント組成物の水和熱の測定値Y;単位:J/g)」の値が0.158以上であることを示す証拠はないから、相違点4も、実質的な相違点である。 (c) そして、甲第3号証には、「試料」の鉱物組成(Bogue)の値を所定の範囲に調整すると共に、「(材齢28日のモルタルの圧縮強さの測定値X;単位:N/mm2)/(材齢28日のセメント組成物の水和熱の測定値Y;単位:J/g)」の値を所定の範囲に調整する動機付けとなる記載はないから、甲3発明において、相違点3及び4に係る本件発明1の特定事項とすることは、当業者にとって容易想到の事項といえない。 d 申立人の主張について 申立人は、上記相違点4に関して、甲3発明は、本件発明1の普通ポルトランドセメントの鉱物組成、及び、普通ポルトランドセメント、フライアッシュ、石灰石粉末の含有割合と一致していることを根拠として、甲3発明の「(材齢28日のモルタルの圧縮強さの測定値X;単位:N/mm2)/(材齢28日のセメント組成物の水和熱の測定値Y;単位:J/g)」の値は、0.158以上になる蓋然性が高い旨を主張している(特許異議申立書第20頁第10行~第21頁第9行)。 しかしながら、前記c(a)に示したとおり、甲3発明の「試料」の鉱物組成は、本件発明1の「普通ポルトランドセメント」の鉱物組成と一致しているといえないから、申立人の上記主張は採用できない。 e 小括 したがって、本件発明1は、甲3発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 (イ) 本件発明1と甲4発明との対比・検討 本件発明1と甲4発明とを対比すると、両者は、前記(ア)bに示した相違点3、4と同様な点で少なくとも相違する。 そして、前記(ア)cでの検討と同様な理由により、甲4発明において、当該相違点に係る本件発明1の特定事項とすることは、当業者にとって容易想到の事項といえない。 したがって、本件発明1は、甲4発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 (ウ) 本件発明1と甲5発明との対比・検討 本件発明1と甲5発明とを対比すると、両者は、前記(ア)bに示した相違点3、4と同様な点で少なくとも相違する。 そして、前記(ア)cでの検討と同様な理由により、甲5発明において、当該相違点に係る本件発明1の特定事項とすることは、当業者にとって容易想到の事項といえない。 したがって、本件発明1は、甲5発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 ウ 本件発明2、3について 本件発明2、3は、本件発明1の特定事項を全て含むものであるから、前記イで検討したのと同様の理由により、本件発明2、3は、甲3発明~甲5発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 エ 申立理由2についての結論 以上の検討のとおり、申立理由2に理由はない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許1~3を取り消すことはできない。 また、他に本件特許1~3を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700397

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