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特許異議申立

2026-700030

ガーネット型透明セラミックスのレーザー損傷閾値の改善方法

審判番号
2026-700030
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-032252
登録番号
7704050
請求日
2026年01月07日
審決日
2026年06月04日
公報発行日
2026年07月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】信越化学工業株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人英明国際特許事務所
  • 【異議申立人】清水 真美子
審判長/審判官
  • 審判長 深草 祐一
  • 審判官 宮澤 尚之
  • 審判官 河本 充雄
分類
P1651.121-Y (C04B) / P1651.537-Y (C04B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7704050号発明「ガーネット型透明セラミックスのレーザー損傷閾値の改善方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7704050号の請求項1~7に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件特許第7704050号の請求項1~7に係る特許(以下、「本件特許1」などといい、まとめて「本件特許」ともいう。)についての出願(以下、「本件特許出願」という。)は、令和4年3月3日に出願され、令和7年6月30日にその特許権の設定登録がされ、同年7月8日に特許掲載公報が発行された。 その後、本件特許1~7に対して、令和8年1月7日に特許異議申立人清水真美子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、令和8年2月13日に特許異議申立書に対する手続補正書(方式)が提出された。 第2 本件特許請求の範囲の記載(本件発明) 本件特許の請求項1~7に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」という。)は、願書に添付された特許請求の範囲(以下、「本件特許請求の範囲」という。)の請求項1~7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 イットリウムとアルミニウムとを含む複合酸化物の焼結体であって、光路長25mmでの波長1064nmにおける全光線透過率が84%以上で、かつ前方散乱率が0.5%以下である、レーザー光の入射面と出射面となる2つの光学面を有するガーネット型透明セラミックスにおいて、上記2つの光学面が、該2つの光学面の面粗さの平均値として算術平均高さSa≦0.70nm又は二乗平均平方根高さSq≦0.89nmの平均粗さを有することにより、上記2つの光学面の一方の面から波長1064nm、パルス幅10nsの短パルスレーザーを入射させて、他方の面から該レーザーを出射させた場合のレーザー光出射面におけるレーザー損傷閾値を10J/cm2以上とすることを特徴とするガーネット型透明セラミックスのレーザー損傷閾値の改善方法。 【請求項2】 複合酸化物が、更に、テルビウムを含むものである請求項1に記載のガーネット型透明セラミックスのレーザー損傷閾値の改善方法。 【請求項3】 複合酸化物におけるテルビウムの含有体積モル濃度がイットリウムの含有体積モル濃度以上であり、焼結体の波長1064nmにおけるベルデ定数が30rad/(T・m)以上である請求項2に記載のガーネット型透明セラミックスのレーザー損傷閾値の改善方法。 【請求項4】 上記焼結体について段階的に粒径の小さい砥粒に交換しながら複数のラップ研磨を行い、粒径0.1μm以下の砥粒を用いた最終段階のラップ研磨を行い、次いで研磨厚さ1μm未満の範囲でCMP仕上げ研磨する光学研磨を行って上記光学面とする請求項1~3のいずれか1項に記載のガーネット型透明セラミックスのレーザー損傷閾値の改善方法。 【請求項5】 ガーネット型透明セラミックスが、下記式(1)で表される複合酸化物の焼結体であり、焼結助剤としてSiO2を0質量%超0.1質量%以下含有するものである請求項1~4のいずれか1項に記載のガーネット型透明セラミックスのレーザー損傷閾値の改善方法。 (Tb1-x-yYxScy)3(Al1-zScz)5O12 (1) (式中、0.05≦x≦0.4、0≦y<0.08、0.52<1-x-y<0.95、0≦z<0.15、0.001<y+z<0.2である。) 【請求項6】 上記光学面上に、更にARコート層を有するものである請求項1~5のいずれか1項に記載のガーネット型透明セラミックスのレーザー損傷閾値の改善方法。 【請求項7】 ガーネット型透明セラミックスが短パルスレーザーシステムに用いるものである請求項1~6のいずれか1項に記載のガーネット型透明セラミックスのレーザー損傷閾値の改善方法。」 第3 特許異議の申立てについて 1 申立ての理由の概要 申立人が主張する特許異議の申立ての理由は、概略、次のとおりである。 (1) 申立理由1(進歩性欠如) 本件発明1~3、5、6は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証~甲第4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許1~3、5、6は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2) 申立理由2(明確性要件違反) 本件発明1には、「上記2つの光学面の一方の面から波長1064nm、パルス幅10nsの短パルスレーザーを入射させて、他方の面から該レーザーを出射させた場合のレーザー光出射面におけるレーザー損傷閾値を10J/cm2以上とすること」が規定されている。 しかし、本件特許の願書に添付された明細書(以下、「本件明細書」という。)には、前記「レーザー損傷閾値を10J/cm2以上」における「レーザー損傷閾値」の測定方法や測定条件について、具体的な記載がなく、特定されていない。 なお、本件明細書の実施例、及び比較例において、「レーザー損傷閾値」の測定結果が記載されている(【0079】の【表2】、及び【0085】の【表4】)。 そして、本件明細書には、「レーザー損傷閾値の測定方法」として、「レーザー損傷閾値の測定は、ISO 21254を参考に測定した。具体的には以下の計算式を元にパルス幅10ns換算でのレーザー損傷閾値を求めた。サンプルへの入射エネルギーは、波長1064nmで出力する光源レーザーのパワーE(W)、パルス幅τ(ns)、繰り返し周波数H(Hz)、入射ビーム径D(μm)の各パラメータを用いて、以下の式でパルス幅10ns換算フルエンスFとして算出する。 F=(2×E/H)÷(π×((D×10-4)/2)2)×√(10/τ)(J/cm2) 更に、フルエンスFでサンプルの一方の光学面に入射、透過して他方の光学面(反対面)から出射してきたレーザービームをサンプルの後段に設置したパワーメータでモニターする。この状態でサンプル入射フルエンスFを徐々に上げていく。するとある時点でパワーメータの入力値が突然低下する現象が生じる。このときの入射レーザーフルエンスFmaxを、各サンプルの波長1064nmにおけるレーザー損傷閾値として読み取った。なお、測定データのバラツキも勘案して、このレーザー損傷閾値は光学面内の入射位置をずらしながら10点測定し、その平均値をレーザー損傷閾値として求めた。」(【0077】)と記載されている。 しかし、前記フルエンスFを計算するための上記計算式には、複数のパラメータを含んでいるが、実際に実施例において使用されるレーザー光の特性が不明であり、複数のパラメータについても、具体的な数値は一切記載されていない。 また、本件明細書全体を通しても、前記複数のパラメータについて、具体的な記載は存在しない。 さらに、上述したように、本件明細書には、「レーザー損傷閾値の測定方法」として、「レーザー損傷閾値の測定は、ISO 21254を参考に測定した。」(【0077】)と記載されているが、前記ISO 21254には、前記複数のパラメータに関して、具体的な数値は規定されておらず、前記複数のパラメータに関する数値に技術常識は存在しないことは、明らかである(なお、前記ISO 21254は、甲第5号証~甲第8号証を参照。)。 そうすると、本件発明1で規定する「レーザー損傷閾値」は、どのようなパラメータに基づき計算することができるのか、当業者にとって、不明確であるといえる。 また、当業者である第三者が、本件発明1で規定する「レーザー損傷閾値」をどのように回避すればよいのかも不明である。 以上によれば、本件発明1、及び、本件発明1に従属する本件発明2~7については、明確性要件に適合しないというべきである。 したがって、本件発明1~7は、不明確であり、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (3) 証拠方法 甲第1号証 特開2019-199386号公報 甲第2号証 特開2000-271764号公報 甲第3号証 特開2010-70401号公報 甲第4号証 吉田国雄他、「レーザー解説 高出力レーザー用薄膜の最近の進歩」、レーザー研究、昭和63年、第16巻、第1号、第3~13ページ 甲第5号証 INTERNATIONAL STANDARD ISO 21254-1(国際規格ISO 21254-1)英語版、及び日本語版(機械翻訳) 甲第6号証 INTERNATIONAL STANDARD ISO 21254-2(国際規格ISO 21254-2)英語版、及び日本語版(機械翻訳) 甲第7号証 INTERNATIONAL STANDARD ISO 21254-3(国際規格ISO 21254-3)英語版、及び日本語版(機械翻訳) 甲第8号証 TECHNICAL REPORT ISO/TR 21254-4(技術報告書ISO/TR 21254-4)英語版、及び日本語版(機械翻訳) 2 甲各号証の記載について (1) 甲第1号証の記載について 甲第1号証には、「常磁性ガーネット型透明セラミックス、磁気光学材料及び磁気光学デバイス」(発明の名称)に関して、次の記載がある(下線は当審が付した。以下、同様である。)。 ア 「【請求項1】 下記式(1)で表される複合酸化物の焼結体であり、焼結助剤としてSiO2を0質量%超0.1質量%以下含有し、光路長25mmでの波長1064nmにおける直線透過率が83.5%以上であることを特徴とする常磁性ガーネット型透明セラミックス。 (Tb1-x-yYxScy)3(Al1-zScz)5O12 (1) (式中、0.05≦x<0.45、0<y<0.1、0.5<1-x-y<0.95、0.004<z<0.2である。) 【請求項2】 波長1064nmでのベルデ定数が30rad/(T・m)以上である請求項1記載の常磁性ガーネット型透明セラミックス。」 イ 「【技術分野】 【0001】 本発明は、常磁性ガーネット型透明セラミックスに関し、より詳細には、光アイソレータなどの磁気光学デバイスを構成するのに好適なテルビウムを含むガーネット型透明セラミックスからなる磁気光学材料、並びに該磁気光学材料を用いた磁気光学デバイスに関する。」 ウ 「【発明が解決しようとする課題】 【0014】 本発明は上記事情に鑑みなされたもので、テルビウム及びイットリウムを含有する常磁性ガーネット型酸化物の焼結体であって、長さ25mmでの波長1064nmにおける直線透過率が83.5%以上ある常磁性ガーネット型透明セラミックス、磁気光学材料及び該磁気光学材料を用いた磁気光学デバイスを提供することを目的とする。」 エ 「【0067】 続いて、上記光学研磨したサンプルについて中心波長が1064nmとなるように設計された反射防止膜(ARコート)をコートした。ここで得られたサンプルの光学外観もチェックした。図2に、実施例1のサンプルの光学外観チェック結果をその一例として示す。図2(b)に見られるように、光学研磨した面を通してみると透明であった。なおARコートの干渉色のため外観は紫色を呈して見える。 【0068】 このようにして得られた各サンプルについてベルデ定数、熱レンズによる焦点位置の最大変化量を以下のように測定した。即ち、図1に示すように、得られた各セラミックスサンプル(ファラデー回転子110に相当する)の前後に偏光素子(偏光子120、検光子130)をセットし、このサンプルを外径32mm、内径6mm、長さ40mmのネオジム-鉄-ボロン磁石(磁石140)の中心に挿入した後、IPGフォトニクスジャパン(株)製ハイパワーレーザー(ビーム径1.6mm)を用いて、両端面から、波長1064nmのハイパワーレーザー光線を入射して、ベルデ定数を測定した。更に、ネオジム-鉄-ボロン磁石を外してから各セラミックスサンプルに前記と同様の条件にて波長1064nmのハイパワーレーザー光線を入射した。その際の熱レンズの発生を焦点位置の最大変化量として計測評価した。」 (2) 甲第2号証の記載について 甲第2号証には、「イオンビームエッチングによる光学素子表面の処理方法」(発明の名称)に関して、次の記載がある。 ア 「【請求項1】 機械的に研磨された結晶光学素子の表面にイオンビームを照射し、残留砥粒を有する表層を除去することを特徴とするイオンビームエッチングによる光学素子表面の処理方法。」 イ 「【0001】 【発明の属する技術分野】この出願の発明は、イオンビームエッチングによる光学素子表面の処理方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、結晶光学素子の表面レーザー損傷の発生を抑え、素子表面の高レーザー耐力化、長寿命化等を図ることのできる、光学素子表面の新しい処理方法に関するものである。」 ウ 「【0002】 【従来の技術とその課題】 ・・・ ・・・ 【0005】だが、砥粒を用いる光学素子の製造加工においては、砥粒が研磨表面から結晶内部に埋め込まれてしまうことが避けられないため、高いレーザー耐力・長寿命化を図るためには、結晶表面を平坦かつ清浄に保ちながら、しかも残留砥粒を効果的に除去することが必要となる。そこで、このような課題に対し、この出願の発明者らは、プラズマスパッタリング法により結晶の研磨表面をエッチングし、残留砥粒を除去することを試みてきた。だが、この方法では、エッチング速度が遅く、しかもより重大なことは、プラズマエッチング中に表面に不純物が付着し、かえってレーザー損傷の原因になるという不都合が生じることである。 【0006】この出願の発明は、以上のとおりの事情を踏まえてなされたものであって、結晶光学素子のレーザー損傷を抑え、素子表面の高レーザー耐力化、そして長寿命化を図ることのできる、新しい光学素子表面の処理方法を提供することを課題としている。」 エ 「【0009】 【発明の実施の形態】この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。まず、この発明の方法において処理の対象となる結晶光学素子は各種のものであってよいが、光技術の中核となる非線形光学結晶としての前記CLBOやGdYCOB等の波長変換素子、あるいは紫外レーザー光の利用のためのミラーやレンズ等として有用な石英、無機フッ化物(CaF2等)などが代表的なものとして例示される。そして、この発明においては、これらの結晶光学素子が砥粒を用いて機械的(物理的)に研磨された表面を持つものが対象となる。 ・・・ 【0012】イオンビームエッチングによって、研磨表面の砥粒は効果的に除去されることになる。しかも、このイオンビームエッチングにおいては、結晶表面の平坦性、そして清浄性が確保される。これによって、光学素子の高レーザー耐力と長寿命化が図られることになる。そこで以下に実施例を示し、さらに詳しくこの出願の発明について説明する。もちろんこの発明は以下の例に限定されることはない。」 オ 「【0013】 【実施例】(被処理試料)次の2種の試料を用意した。 <1> CLBO(CsLiB6O10); 10×10×3mm3の大きさの結晶の(100)面をZrO2砥粒を用いて研磨して、表面粗さ0.2~0.6nm rmsを有する研磨表面とした。 <2> SiO2(fused silica glass); 40φ×3mmの大きさの結晶を、CeO2砥粒により研磨し、表面粗さを0.4~0.6nm rmsの研磨表面とした。 【0014】以上の2種の結晶の研磨表面には、各々、図1および図2に示したように、表面から深さ60nmまでの間に砥粒が埋め込まれていることがSIMSのZrおよびCe検出データにより確認された。(イオンビームエッチング)次の条件において、前記の2種の試料表面に対してイオンビームエッチングを行った。 【0015】 真空度(真空室):6.4×10-4Torr スパッタリングイオン:Ar(3.0×10-4Torr) 照射角 :45度 イオンビーム電圧:200~400(V) 図3は、イオンビーム電圧とエッチング速度との関係を例示したものである。およそ100nm程度の深さにまで砥料残留があるとすると、この例のイオンビームエッチングでは、約1時間以下の処理で完全にこの残留層が除去できることがわかる。 【0016】図4は、CLBOについて、処理前後の表面の状態をAFM像として示したものであり、図5は、同様にSiO2について示したものである。イオンビームエッチングにより平坦清浄表面が得られていることがわかる。また、CLBOについては、(100)面が、X線回折によっても変質していないことが確認された。 ・・・ 【0021】この結果から、イオンビームエッチング処理によって、高繰り返しレーザーの場合で寿命が2倍以上向上することが確認された。また、Nd:YAGレーザーの第3高調波(355nm)による表面レーザー損傷しきい値を、図8のシステム(シングルショット)により観察した。pulsedurationは0.85nsとした。 【0022】図9は、その結果をエッチング深さ依存性として示したものである。シングルショットの場合でも、1.4~2倍程度レーザー損傷しきい値が向上することが確認された。(レーザー損傷の評価:SiO2 )上記CLBOの場合と同様にして、表2の条件で、高繰り返しレーザーの場合の寿命について評価した。また、シングルショットのレーザー損傷しきい値についても評価した。」(当審注:「<1>」、「<2>」は、○囲いの数字を示す。) カ 「【図4】 [図:0001437411000001.jpg] 」 キ 「【図9】 [図:0001437411000002.jpg] 」 (3) 甲第3号証の記載について 甲第3号証には、「YAG多結晶基板およびその研磨方法」(発明の名称)に関して、次の記載がある。 ア 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 Y3Al5O12多結晶体(YAG多結晶体)のY、Al、O以外の不純物濃度が元素換算で3000ppm以下、気孔体積量が100ppm未満のYAG多結晶体を、算術表面粗さRaが1nm未満でかつ幅5μm以上のキズや直径5μm以上の窪みがなく、多結晶体を構成している単位結晶粒子間の高低差を5nm以下としたYAG多結晶体基板。 ・・・ 【請求項4】 Y3Al5O12多結晶体(YAG多結晶体)のY、Al、O以外の不純物濃度が元素換算で3000ppm以下、気孔体積量が100ppm未満のYAG多結晶体を、ブリネル硬度40以下の定盤と、研磨材としてアルミナまたはアルミナを主成分とした混合砥粒を用いて研磨して算術表面粗さRaが1nm未満でかつ幅5μm以上のキズや直径5μm以上の窪みがなく、多結晶体を構成している単位結晶粒子間の高低差を5nm以下とするYAG多結晶体基板の研磨方法。」 イ 「【技術分野】 【0001】 この発明はYAG多結晶体基板およびその研磨方法に関するものである。」 ウ 「【発明が解決しようとする課題】 ・・・ 【0012】 この発明は、Y、Al、O以外の不純物濃度が元素換算して3000ppm以下、気孔体積量が100ppm未満で算術表面粗さRaが1nm未満でかつ幅5μm以上のキズと直径5μm以上の窪みがなく、多結晶体を構成している単位結晶粒子間の高低差が5nm以下の多結晶体基板を得ようとするものである。さらにYAG多結晶体基板全面の平坦度も100nm未満に容易に加工することができる。これによってYAG多結晶体を光学的用途で広く利用できるようにする。」 エ 「【実施例】 【0024】 (実施例1) Si、Ca、K、Mg、Feなどの不純物の濃度が3000ppm以下、気孔体積量が100ppm以下のYAG多結晶体を15mm(縦)×15mm(横)×3mm(厚さ)の形状に加工した。これを錫合金製の定盤(エンギス社製)と0.5μmのダイヤモンド砥粒で片面研磨機(エンギス社製)を用いて研磨してYAG多結晶体基板を得た。この試料中心部の690μm×520μm四角形の範囲を走査型白色干渉顕微鏡(ザイゴ社製)で評価したところ、算術平均粗さRaは1.2nmで表面に幅10μm程度のキズが数多く確認された。 【0025】 次いで、表面のキズを除去し表面粗さも良好にするために定盤に錫合金、研磨材に粒径0.8μmのアルミナを用いて研磨した。同様に、表面の状態と算術平均粗さを走査型白色干渉顕微鏡で、平坦度の測定はレーザ干渉計(フジノン社製)により測定した。その結果、算術平均粗さRaは0.62nmで、結晶粒子単位の段差は5nm以下で5μm幅のキズや直径5μm以上の窪みも無く平坦度も85nmと良好な面状態のYAG多結晶体基板を得た。 ・・・ 【0030】 ・・・これらの結果を表1にまとめて示した。 【表1】 [図:0001437411000003.jpg] 【0031】 (実施例2) 実施例1と同様の15mm(縦)×15mm(横)×3mm(厚さ)のYAG多結晶体を用意した。これを定盤に錫合金、研磨材にアルミナとダイヤモンドの混合砥粒を用いて研磨した。この場合混合砥粒の濃度は純水により20%に調整した。アルミナ砥粒の粒径は0.8μm、ダイヤモンド砥粒の粒径は0.5μm、アルミナ:ダイヤモンドの重量比は2対1とした。このYAG多結晶体基板の面には、粒界部分の凹みや窪み、5μm幅以上のキズはなかった。また算術表面粗さRaは0.53nm、平坦度は60nmであった。 【0032】 (実施例3) 実施例2と同様のサイズのYAG多結晶体を、実施例2と同じ定盤と混合砥粒を用いて実施例2と同じようにして研磨した。しかし、この場合はアルミナ:ダイヤモンドの重量比は9対1とした。このYAG多結晶体基板の面には、粒界部分の凹みや窪み、5μm幅以上のキズはなかった。算術表面粗さRaは0.48nm、平坦度は60nmであった。 ・・・ 【0036】 これらの結果を表2にまとめて示した。 【表2】 [図:0001437411000004.jpg] 」 (4) 甲第4号証の記載について 甲第4号証には、「高出力レーザー用薄膜の最近の進歩」(タイトル)に関して、次の記載がある。 ア 「また反射防止(AR)膜では,第1層目に膜厚λ/2の低屈折率材料をアンダーコートする6),高反射(HR)膜の場合は,膜厚λ/2の低屈折率材料を最終層にオーバーコートすることによってレーザー耐力を向上させている7)。」(第4ページ左欄第1~5行) イ 「本稿では,高出力レーザー用蒸着膜の最近の進歩について述べる。透過型で用いるAR膜や偏光膜に対しては,基板の表面粗さ及び研磨の際に基板表面に残存している研磨材料とレーザー耐力との関係に関してレビューする。また,基板の表面粗さとHR膜のレーザー耐力についても述べ,最後に高出力レーザー用として新たに開発された膜製作法についてもふれる。」(第4ページ左欄下から第2行~右欄第6行) ウ 「3.1.1 基板の表面粗さとレーザー耐力 蒸着基板表面には,研磨によって微視的なクラック,ピット,スクラッチなどが生じ,これら表面欠陥による電場の増強が基板表面のレーザー耐力を低下させるという観測がBloember-genによって発表された10)。例えば,光学ガラスBK-7の表面のクラック部にレーザー光が入射した場合,クラック内部の電界は約2.3倍まで増強される。このように,基板表面の傷によって電界強度が増■(当審注:「増強」の誤記。)されるので,蒸着基板としてはできる限り表面粗さの小さいものを使用することが要求される12)。 Fig.2は,BK-7基板上にAR膜を蒸着した場合の基板表面粗さに対するAR膜のレーザー損傷しきい値を示す13)。」(第5ページ左欄第13行~末行) エ 「 [図:0001437411000005.jpg] 」(第5ページ左欄) オ 「(2)BK-7基板の化学処理によるレーザー耐力向上 ・・・ Fig.6は,化学処理した基板上に波長1μm用のAR膜を蒸着し,パルス幅1nsのYAGレーザー光でレーザー耐力を測定した実験結果を示す。横軸と縦軸は,それぞれAR膜のレーザー損傷しきい値とサルプル数を示す。光学研磨のあと普通の洗浄をした基板(斜線部)を用いたAR膜のレーザー損傷しきい値が3~8J/cm2であったのに対し,化学処理をした基板上のAR膜のレーザー損傷しきい値は8~13J/cm2と大幅に向上した。」(第7ページ左欄第15行~右欄第5行) カ 「 [図:0001437411000006.jpg] 」(第7ページ左欄) 3 当審の判断 (1) 申立理由1(進歩性欠如)について ア 甲第1号証に記載された発明 (ア) 甲第1号証には、前記2(1)アによれば、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 「下記式(1)で表される複合酸化物の焼結体であり、焼結助剤としてSiO2を0質量%超0.1質量%以下含有し、光路長25mmでの波長1064nmにおける直線透過率が83.5%以上であることを特徴とする常磁性ガーネット型透明セラミックス。 (Tb1-x-yYxScy)3(Al1-zScz)5O12 (1) (式中、0.05≦x<0.45、0<y<0.1、0.5<1-x-y<0.95、0.004<z<0.2である。)」 イ 本件発明1について (ア) 対比 甲1発明の「下記式(1)で表される複合酸化物の焼結体であ」る「常磁性ガーネット型透明セラミックス。 (Tb1-x-yYxScy)3(Al1-zScz)5O12 (1) (式中、0.05≦x<0.45、0<y<0.1、0.5<1-x-y<0.95、0.004<z<0.2である。)」は、本件発明1の「イットリウムとアルミニウムとを含む複合酸化物の焼結体であ」る「ガーネット型透明セラミックス」に相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、「イットリウムとアルミニウムとを含む複合酸化物の焼結体であるガーネット型透明セラミックス」の点で一致し、以下の点で相違している。 <相違点> 本件発明1は、「光路長25mmでの波長1064nmにおける全光線透過率が84%以上で、かつ前方散乱率が0.5%以下である、レーザー光の入射面と出射面となる2つの光学面を有するガーネット型透明セラミックスにおいて、上記2つの光学面が、該2つの光学面の面粗さの平均値として算術平均高さSa≦0.70nm又は二乗平均平方根高さSq≦0.89nmの平均粗さを有することにより、上記2つの光学面の一方の面から波長1064nm、パルス幅10nsの短パルスレーザーを入射させて、他方の面から該レーザーを出射させた場合のレーザー光出射面におけるレーザー損傷閾値を10J/cm2以上とすることを特徴とするガーネット型透明セラミックスのレーザー損傷閾値の改善方法」であるのに対して、甲1発明は、このようなレーザー損傷閾値の改善方法についての特定がない点。 (イ) 判断 a 甲第2号証には、前記2(2)アによれば、機械的に研磨された結晶光学素子の表面にイオンビームを照射し、残留砥粒を有する表層を除去するイオンビームエッチングによる光学素子表面の処理方法が記載されており(【請求項1】)、その具体例として、前記2(2)オ、キによれば、CLBO(CsLiB6O10)結晶の(100)面をZrO2砥粒で研磨して、表面粗さ0.2~0.6nm rmsを有する研磨表面とし、試料表面に対してイオンビームエッチングを行うことで、1.4~2倍程度レーザー損傷しきい値が向上することが記載されている(【0013】、【0014】、【0021】、【0022】、【図9】)。 また、甲第4号証には、前記2(4)ア、イによれば、透過型で用いる反射防止(AR)膜について、基板の表面粗さとレーザー耐力との関係が記載されており、前記2(4)ウによれば、Fig.2には、光学ガラスBK-7基板上にAR膜を蒸着した場合の基板表面粗さに対するAR膜のレーザー損傷しきい値が示され、前記2(4)エのFig.2によれば、基板表面粗さが小さくなるほど、AR膜のレーザー損傷しきい値が高くなることが見て取れる。 したがって、甲第2号証及び甲第4号証には、レーザー損傷しきい値の改善方法が記載されているといえる。 しかしながら、甲第2号証及び甲第4号証に記載された方法は、ガーネット型透明セラミックスを対象とするものでないし、レーザー光の入射面と出射面となる2つの光学面の面粗さと、レーザー光出射面におけるレーザー損傷しきい値との関係を示すものでない。 b 甲第3号証には、前記2(3)アによれば、Y3Al5O12多結晶体(YAG多結晶体)のY、Al、O以外の不純物濃度が元素換算で3000ppm以下、気孔体積量が100ppm未満のYAG多結晶体を、ブリネル硬度40以下の定盤と、研磨材としてアルミナまたはアルミナを主成分とした混合砥粒を用いて研磨して算術表面粗さRaが1nm未満でかつ幅5μm以上のキズや直径5μm以上の窪みがなく、多結晶体を構成している単位結晶粒子間の高低差を5nm以下とするYAG多結晶体基板の研磨方法が記載され(【請求項4】)、その具体例として、前記2(3)エによれば、算術平均粗さRaは0.62nmで、結晶粒子単位の段差は5nm以下で5μm幅のキズや直径5μm以上の窪みも無く平坦度も85nmと良好な面状態のYAG多結晶体基板(実施例1)、粒界部分の凹みや窪み、5μm幅以上のキズがなく、算術表面粗さRaが0.53nm、平坦度が60nmのYAG多結晶体基板(実施例2)、粒界部分の凹みや窪み、5μm幅以上のキズがなく、算術表面粗さRaが0.48nm、平坦度が60nmのYAG多結晶体基板(実施例3)が得られたことが記載されている(【0025】、【0031】、【0032】)。 したがって、甲第3号証には、ガーネット型セラミックスの表面粗さを小さくする方法が記載されているといえる。 しかしながら、甲第3号証には、ガーネット型セラミックスの全光線透過率や前方散乱率が記載されておらず、さらに、レーザー光の入射面と出射面となる2つの光学面の面粗さと、レーザー光出射面におけるレーザー損傷しきい値との関係についても記載されていない。 c そうしてみると、甲第2号証~甲第4号証の記載を参酌しても、「光路長25mmでの波長1064nmにおける全光線透過率が84%以上で、かつ前方散乱率が0.5%以下である、レーザー光の入射面と出射面となる2つの光学面を有するガーネット型透明セラミックス」に対して、レーザー光の入射面と出射面となる2つの光学面の面粗さを特定値以下とすることにより、レーザー光出射面におけるレーザー損傷しきい値を大きくすることが、本件特許出願時の公知技術あるいは技術常識ということはできない。 d したがって、甲1発明において、「光路長25mmでの波長1064nmにおける全光線透過率が84%以上で、かつ前方散乱率が0.5%以下である、レーザー光の入射面と出射面となる2つの光学面を有するガーネット型透明セラミックスにおいて、上記2つの光学面が、該2つの光学面の面粗さの平均値として算術平均高さSa≦0.70nm又は二乗平均平方根高さSq≦0.89nmの平均粗さを有することにより、上記2つの光学面の一方の面から波長1064nm、パルス幅10nsの短パルスレーザーを入射させて、他方の面から該レーザーを出射させた場合のレーザー光出射面におけるレーザー損傷閾値を10J/cm2以上とする」、「ガーネット型透明セラミックスのレーザー損傷閾値の改善方法」とすること、すなわち、相違点に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得ることであるといえない。 よって、本件発明1は、甲1発明、及び甲第2号証~甲第4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。 (ウ) 申立人の主張について ア 申立人は、特許異議申立書の第34~36ページにおいて、前記相違点に係る本件発明1の発明特定事項を「光路長25mmでの波長1064nmにおける全光線透過率が84%以上で、かつ前方散乱率が0.5%以下である、レーザー光の入射面と出射面となる2つの光学面を有するガーネット型透明セラミックスにおいて」(構成B)、「上記2つの光学面が、該2つの光学面の面粗さの平均値として算術平均高さSa≦0.70nm又は二乗平均平方根高さSq≦0.89nmの平均粗さを有することにより」(構成C)、「上記2つの光学面の一方の面から波長1064nm、パルス幅10nsの短パルスレーザーを入射させて、他方の面から該レーザーを出射させた場合のレーザー光出射面におけるレーザー損傷閾値を10J/cm2以上とする」(構成D)、及び「ガーネット型透明セラミックスのレーザー損傷閾値の改善方法」(構成E)と分割した上で、構成Bは、甲第1号証の記載に基づき、構成Cは、甲第2号証及び甲第3号証の記載に基づき、構成Dは、甲第2号証及び甲第4号証の記載に基づき、構成Eは、甲第2号証及び甲第4号証の記載に基づき、それぞれ、容易に想到できる旨を主張している。 イ しかしながら、前記相違点に係る本件発明1の発明特定事項は、処理対象(構成B)、処理手段(構成C)、処理目標(構成D、E)を特定しており、互いに関連しているから、一体に判断されるべきものである。 そして、前記(イ)で検討したとおり、甲1発明において、前記相違点に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得ることであるといえない。 したがって、申立人の前記主張は採用できない。 ウ 本件発明2~7について 本件発明2~7は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付したものであるから、前記イの本件発明1についての検討と同様の理由により、本件発明2~7は、甲1発明、及び甲第2号証~甲第4号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。 エ 申立理由1(進歩性欠如)についての結論 以上のとおりであるから、申立理由1に理由はない。 (2) 申立理由2(明確性要件違反)について ア 明確性要件の判断手法 特許請求の範囲の記載が明確性要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載だけでなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 以下、この観点に立って検討する。 イ 明確性要件に対する判断 (ア) まず、申立人の前記1(2)の主張について検討する。 a 本件明細書の【0077】には、「(レーザー損傷閾値の測定方法) レーザー損傷閾値の測定は、ISO 21254を参考に測定した。具体的には以下の計算式を元にパルス幅10ns換算でのレーザー損傷閾値を求めた。サンプルへの入射エネルギーは、波長1064nmで出力する光源レーザーのパワーE(W)、パルス幅τ(ns)、繰り返し周波数H(Hz)、入射ビーム径D(μm)の各パラメータを用いて、以下の式でパルス幅10ns換算フルエンスFとして算出する。 F=(2×E/H)÷(π×((D×10-4)/2)2)×√(10/τ)(J/cm2) 更に、フルエンスFでサンプルの一方の光学面に入射、透過して他方の光学面(反対面)から出射してきたレーザービームをサンプルの後段に設置したパワーメータでモニターする。この状態でサンプル入射フルエンスFを徐々に上げていく。するとある時点でパワーメータの入力値が突然低下する現象が生じる。このときの入射レーザーフルエンスFmaxを、各サンプルの波長1064nmにおけるレーザー損傷閾値として読み取った。なお、測定データのバラツキも勘案して、このレーザー損傷閾値は光学面内の入射位置をずらしながら10点測定し、その平均値をレーザー損傷閾値として求めた。」と記載されている。 b 前記aの記載には、レーザー損傷評価において、光源レーザーの波長、入射フルエンス、パルス幅が特に重要な指標であるとの技術常識を踏まえると、使用する光源レーザーの波長が1064nmであることが特定されているし、さらに、使用する光源レーザーのパワーE(W)、パルス幅τ(ns)、繰り返し周波数H(Hz)、入射ビーム径D(μm)の各パラメータを用いて、パルス幅10ns換算のフルエンスFとすることも示されている。 c また、前記aの記載によれば、(a)波長1064nmで出力する任意の光源レーザーを用いて、そのパワーE(W)、パルス幅τ(ns)、繰り返し周波数H(Hz)、入射ビーム径D(μm)の各パラメータから、パルス幅10ns換算のフルエンスFを算出すること、(b)前記光源レーザーのレーザービームをサンプルの一方の光学面に入射、透過して他方の光学面から出射させ、出射してきたレーザービームをサンプルの後段に設置したパワーメータでモニターできるように配置すること、(c)この状態で、前記光源レーザーの各パラメータのうち、例えば、パワーEを徐々に上げることで、サンプル入射フルエンスFを徐々に上げていき、ある時点でパワーメータの入力値が突然低下したときの入射レーザーフルエンスFmaxを、サンプルの波長1064nmにおけるレーザー損傷閾値として読み取ること、及び(d)光学面内の入射位置をずらしながら10点測定し、その平均値をレーザー損傷閾値とすることが理解できる。 d そして、本件請求項1の「上記2つの光学面の一方の面から波長1064nm、パルス幅10nsの短パルスレーザーを入射させて、他方の面から該レーザーを出射させた場合のレーザー光出射面におけるレーザー損傷閾値を10J/cm2以上とする」との記載は、前記aの測定方法によって測定された値であることを理解できるから、当該記載は、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるといえない。 (イ) また、本件請求項1~7のその余の記載をみても、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確な記載は見当たらないから、前記アの判断手法を本件に当てはめると、本件特許請求の範囲の請求項1~7の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定された要件に適合する。 ウ 申立理由2(明確性要件違反)についての結論 以上のとおりであるから、申立理由2に理由はない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許1~7を取り消すことはできない。 また、他に本件特許1~7を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2026-700030

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