特許異議申立
2024-700308
封止表面を有する静電チャック
- 審判番号
- 2024-700308
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-554099外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7356446
- 請求日
- 2024年04月02日
- 審決日
- 2025年06月18日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ラム リサーチ コーポレーション
- 【権利者代理人】弁理士法人明成国際特許事務所
- 【異議申立人】間明田 秀昭
- 分類
- P1651.113-YAA(H01L) / P1651.121-YAA(H01L) / P1651.537-YAA(H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7356446号発明「封止表面を有する静電チャック」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7356446号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~27〕について訂正することを認める。
特許第7356446号の請求項1~9、11、12、15~33に係る特許を維持する。
特許第7356446号の請求項10、13、14に係る特許についての特許異議申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7356446号の請求項1~33に係る特許(以下、「本件特許」ともいう。)についての出願は、2019年(平成31年)4月4日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2018年4月4日 米国(US)(以下、「本件特許の優先日」という。)を国際出願日として出願され、令和5年9月26日にその特許権の設定登録がされ、同年10月4日に特許掲載公報が発行された。
その特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 4月 2日 :特許異議申立人 間明田秀昭(以下、「申立人」という。)による請求項1~33に係る特許に対する特許異議の申立て
同年 5月 8日 :申立人による手続補正書(方式)の提出
同年 6月12日付け:取消理由通知
同年 9月12日 :特許権者による意見書、訂正請求書の提出
同年11月 5日 :申立人による意見書の提出
同年12月25日付け:取消理由通知(決定の予告)
令和7年 3月31日 :特許権者による意見書、訂正請求書の提出
同年 5月13日 :申立人による意見書の提出
なお、令和6年9月12日に特許権者によりされた訂正の請求については、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和7年3月31日にされた訂正請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所を示すため当審が付与した。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記複数のMCAにおける前記MCAの全ての前記上部表面領域の合計は、前記凹部表面領域および前記上部表面領域の合計の総和の3%以下である、ペデスタル。」と記載されているのを、「前記複数のMCAにおける前記MCAの全ての前記上部表面領域の合計は、前記凹部表面領域および前記上部表面領域の合計の総和の3%以下であり、前記上側環状封止表面と、前記MCAの前記上部表面とが同一平面上にあり、前記第1の距離は前記第2の距離に等しい、ペデスタル。」に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2~9、11、12、15~27も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項10を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項11に「請求項10に記載のペデスタル」と記載されているのを、「請求項1に記載のペデスタル」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項13を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項14を削除する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項10の記載を訂正前の請求項1に加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、カテゴリ-や対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、訂正事項1による訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)の請求項10の記載に基づくものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2による訂正は、請求項10を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3による訂正は、訂正事項2による訂正により削除された本件訂正前の請求項10の記載を引用する請求項11の記載を、本件訂正前の請求項10の記載が加えられた請求項1の記載を引用する記載に訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)訂正事項4、5について
訂正事項4による訂正は、請求項13を削除するものであり、訂正事項5による訂正は、請求項14を削除するものであるから、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3 まとめ
以上によれば、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、訂正後の請求項〔1~27〕について訂正を認める。
第3 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~33の特許に係る発明(以下、「本件発明1~33」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~33に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
ペデスタルであって、
本体を備え、前記本体は、
平面であり、前記本体の垂直中心軸に直角をなし、半径方向厚さを有する、上側環状封止表面と、
第1の距離だけ前記上側環状封止表面からオフセットされた下側凹部表面と、
前記下側凹部表面から突出する複数の微小接触領域(MCA)と、前記MCAの各々は、前記第1の距離以下である第2の距離だけ前記下側凹部表面からオフセットされた上部表面を有し、
前記本体内の1つ以上の電極と、を含み、
前記上側環状封止表面は、半導体基板が前記ペデスタルによって支持されている時に、前記半導体基板の外側エッジを支持するように構成され、
前記上側環状封止表面および前記MCAの前記上部表面は、前記半導体基板が前記ペデスタルによって支持されている時に、前記半導体基板を支持するように構成され、
前記1つ以上の電極は、無線周波数(RF)電力供給源、電気的接地、および直流(DC)電力供給源からなる群から選択される1つ以上の物品に電気的に接続するように構成され、
前記下側凹部表面は、凹部表面領域を有し、
前記MCAの前記上部表面の各々は、上部表面領域を有し、
前記複数のMCAにおける前記MCAの全ての前記上部表面領域の合計は、前記凹部表面領域および前記上部表面領域の合計の総和の3%以下であり、前記上側環状封止表面と、前記MCAの前記上部表面とが同一平面上にあり、前記第1の距離は前記第2の距離に等しい、ペデスタル。
【請求項2】
請求項1に記載のペデスタルであって、
前記1つ以上の電極は静電クランプ電極であり、
前記1つ以上の静電クランプ電極は、前記半導体基板が前記ペデスタルによって支持されている時、かつ前記1つ以上の静電クランプ電極が前記DC電力供給源によって給電されている時に、前記半導体基板に静電クランプ力を提供するように構成されている、ペデスタル。
【請求項3】
請求項2に記載のペデスタルであって、前記半導体基板が前記ペデスタルによって支持されている時、かつ前記1つ以上の静電クランプ電極が前記半導体基板上に前記静電クランプ力を提供する時に、前記上側環状封止表面と前記半導体基板との間に封止が形成される、ペデスタル。
【請求項4】
請求項1に記載のペデスタルであって、前記1つ以上の電極は、
前記RF電力供給源に電気的に接続し、
前記RF電力供給源からRF電力を受け取るように構成されている、ペデスタル。
【請求項5】
請求項1に記載のペデスタルであって、前記上側環状封止表面は、前記半導体基板の半径よりも小さい内側半径と、前記半導体基板の半径よりも大きい外側半径とを有する、ペデスタル。
【請求項6】
請求項5に記載のペデスタルであって、前記内側半径は約142ミリメートルである、ペデスタル。
【請求項7】
請求項6に記載のペデスタルであって、前記外側半径は約150ミリメートルである、ペデスタル。
【請求項8】
請求項1に記載のペデスタルであって、前記半径方向厚さは約25ミリメートル以下である、ペデスタル。
【請求項9】
請求項8に記載のペデスタルであって、前記半径方向厚さは約15ミリメートル以下である、ペデスタル。
【請求項10】
(削除)
【請求項11】
請求項1に記載のペデスタルであって、前記第1の距離および前記第2の距離は、0.0127ミリメートルおよび0.0381ミリメートルに等しいか、または0.0127ミリメートルおよび0.0381ミリメートルの間である、ペデスタル。
【請求項12】
請求項11に記載のペデスタルであって、前記第1の距離および前記第2の距離は0.0254ミリメートルである、ペデスタル。
【請求項13】
(削除)
【請求項14】
(削除)
【請求項15】
請求項1に記載のペデスタルであって、前記複数のMCAは、2,000を超えるMCAを含む、ペデスタル。
【請求項16】
請求項15に記載のペデスタルであって、前記複数のMCAは、4,000を超えるMCAを含む、ペデスタル。
【請求項17】
請求項15に記載のペデスタルであって、実質的に全ての前記MCAは、互いに等間隔に配置されている、ペデスタル。
【請求項18】
請求項17に記載のペデスタルであって、実質的に全ての前記MCAは、互いに3.9ミリメートル間隔で配置されている、ペデスタル。
【請求項19】
請求項15に記載のペデスタルであって、
前記複数のMCAは複数のサブ配置に分割され、
前記サブ配置の各々における前記MCAは、三角形パターン、正方形パターン、対称パターン、放射状配置、および六角形パターンの1つ以上で、前記下側凹部表面上に位置合わせされている、ペデスタル。
【請求項20】
請求項1に記載のペデスタルであって、前記MCAの各々は、平面の上部表面領域を有する円柱である、ペデスタル。
【請求項21】
請求項20に記載のペデスタルであって、前記MCAの各々の半径は、約0.35ミリメートルである、ペデスタル。
【請求項22】
請求項1に記載のペデスタルであって、前記上側環状封止表面は、約0.8128マイクロメートルから約0.2032マイクロメートルのラフネスを有する、ペデスタル。
【請求項23】
請求項1に記載のペデスタルであって、前記MCAの前記上部表面の各々は、約0.8128マイクロメートルから約0.2032マイクロメートルのラフネスを有する、ペデスタル。
【請求項24】
請求項1に記載のペデスタルであって、前記上側環状封止表面は、0.0254ミリメートルの最大範囲を有する平坦度を有する、ペデスタル。
【請求項25】
請求項1に記載のペデスタルであって、前記MCAの前記上部表面の各々は、0.0254ミリメートルの最大範囲の平坦度を有する、ペデスタル。
【請求項26】
請求項1に記載のペデスタルであって、前記本体はセラミックで構成されている、ペデスタル。
【請求項27】
請求項1に記載のペデスタルであって、
前記本体は金属または金属合金を備え、
前記本体はセラミックでコーティングされ、
前記本体はさらに、前記金属または金属合金と前記1つ以上の電極との短絡を防止するように構成されている少なくとも1つの電気的絶縁層を備えている、ペデスタル。
【請求項28】
半導体処理システムであって、
処理チャンバと、
前記処理チャンバ内の1つ以上の処理ステーションと、
前記1つ以上の処理ステーションの各々の中にある静電チャックと、前記静電チャックの各々は本体を有し、前記本体は、
平面であり、前記本体の垂直中心軸に直角をなし、半径方向厚さを有する、上側環状封止表面と、
第1の距離だけ前記上側環状封止表面からオフセットされた下側凹部表面と、
前記下側凹部表面から突出する複数の微小接触領域(MCA)と、前記MCAの各々は、前記第1の距離以下である第2の距離だけ前記下側凹部表面からオフセットされた上部表面を有し、
前記本体内の1つ以上の静電クランプ電極であって、
前記上側環状封止表面は、半導体基板が前記静電チャックによって支持されている時に、前記半導体基板の外側エッジを支持するように構成され、
前記上側環状封止表面および前記MCAの前記上部表面は、前記半導体基板が前記静電チャックによって支持されている時に、前記半導体基板を支持するように構成され、
前記1つ以上の静電クランプ電極は、前記半導体基板が前記静電チャックによって支持されている時、かつ前記1つ以上の静電クランプ電極がDC電力供給源によって給電されている時に、前記半導体基板に少なくとも1つの静電クランプ力を提供するように構成されている、1つ以上の静電クランプ電極とを含み、
前記DC電力供給源は前記静電クランプ電極に電気的に接続されており、
前記半導体基板を前記静電クランプ上(当審注:「上記静電クランプ」は、「上記静電クランプ電極」の明らかな誤記であるから、以下では「上記クランプ電極」と記載する。)に配置するように構成されているエンドエフェクタと、
メモリおよび1以上のプロセッサを有するコントローラとを備え、
前記メモリは前記1つ以上のプロセッサによる実行時に前記1つ以上のプロセッサに、
前記エンドエフェクタに、前記半導体基板を前記静電チャック上に配置させ、
前記エンドエフェクタが前記半導体基板を前記静電チャック上に位置合わせしている間に、前記半導体基板上に第1の静電クランプ力を生じさせるために、前記DC電力供給源に、前記少なくとも1つの静電クランプ電極に対して電力を供給させ、
前記エンドエフェクタが前記半導体基板を前記静電チャック上に位置合わせした後に、前記半導体基板上に前記第1の静電クランプ力とは異なる第2の静電クランプ力を生じさせるために、前記DC電力供給源に、前記少なくとも1つの静電クランプ電極に対して電力を供給させる、命令を格納する、半導体処理システム。
【請求項29】
請求項28に記載の半導体処理システムであって、
前記メモリは更に、前記1つ以上のプロセッサによる実行時に前記1つ以上のプロセッサに、
前記半導体基板を前記静電チャック上に位置合わせする前に、前記第1の静電クランプ力を前記半導体基板上に提供するために、前記DC電力供給源に、電力を前記少なくとも1つの静電クランプ電極に供給させる命令を格納する、半導体処理システム。
【請求項30】
請求項29に記載の半導体処理システムであって、
前記第2の静電クランプ力の大きさは、前記第1の静電クランプ力の大きさよりも大きい、半導体処理システム。
【請求項31】
半導体処理システムであって、
処理チャンバと、
前記処理チャンバ内の1つ以上の処理ステーションと、
前記1つ以上の処理ステーションの各々の中にあるペデスタルと、前記ペデスタルの各々は本体を有し、前記本体は、
平面であり、前記本体の垂直中心軸に直角をなし、半径方向厚さを有する、上側環状封止表面と、
第1の距離だけ前記上側環状封止表面からオフセットされた下側凹部表面と、
前記下側凹部表面から突出する複数の微小接触領域(MCA)と、前記MCAの各々は、前記第1の距離以下である第2の距離だけ前記下側凹部表面からオフセットされた上部表面を有し、
前記本体内の1つ以上の電極であって、
前記上側環状封止表面は、半導体基板が前記ペデスタルによって支持されている時に、前記半導体基板の外側エッジを支持するように構成され、
前記上側環状封止表面および前記MCAの前記上部表面は、前記半導体基板が前記ペデスタルによって支持されている時に、前記半導体基板を支持するように構成され、
前記1つ以上の電極は、無線周波数(RF)電力供給源に電気的に接続するように構成された、1つ以上の電極と、を含み、
電気的接地に電気的に接続さている前記ペデスタルの上方にあるシャワーヘッドと、
前記1つ以上の電極に電気的に接続されている前記RF電力供給源と、
前記半導体基板を前記ペデスタル上に配置するように構成されているエンドエフェクタと、
前記1つ以上の電極に電気的に接続されている直流(DC)電源と、
メモリおよび1以上のプロセッサを有するコントローラとを備え、
前記メモリは前記1つ以上のプロセッサによる実行時に前記1つ以上のプロセッサに、
前記エンドエフェクタに、前記半導体基板を前記ペデスタル上に配置させ、
前記半導体基板が前記ペデスタル上に位置合わせされる前に、前記半導体基板上に静電クランプ力を提供するために、前記DC電力供給源に、前記少なくとも1つの静電クランプ電極に対して電力を供給させ、
前記ペデスタルと前記シャワーヘッドとの間にプラズマを発生させるために、前記RF電力供給源に、RF電圧を前記1つ以上の電極に供給させる、命令を格納する、半導体処理システム。
【請求項32】
請求項31に記載の半導体処理システムであって、前記プラズマが前記ペデスタルと前記シャワーヘッドとの間に生成されている間、前記静電クランプ力は前記基板に印加されない、半導体処理システム。
【請求項33】
請求項31に記載の半導体処理システムであって、
前記1つ以上の電極の少なくとも1つは、前記半導体基板が前記ペデスタルによって支持されている時、かつ前記1つ以上の電極の少なくとも1つが前記DC電源によって給電されている時に、前記半導体基板に静電クランプ力を提供するように構成され、
前記メモリは、さらに、前記1つ以上のプロセッサによる実行時に前記1つ以上のプロセッサに、前記半導体基板が前記ペデスタルによって支持されている時に、前記静電クランプ力を前記半導体基板上に提供するために、前記DC電源に、電力を前記1つ以上の電極に供給させる命令を格納する、半導体処理システム。」
第4 申立理由の概要
申立人は、証拠として甲第1号証~甲第12号証(以下、「甲1」~「甲12」という。)を提出し、以下の理由により、請求項1~33に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
なお、甲10~甲12は、令和6年11月5日提出の意見書に添付されたものである。
(1)申立理由1(新規性)
本件発明1、5、13、20、26は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3項に該当するから、請求項1、5、13、20、26に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)申立理由2(進歩性)
本件発明2~4、7~9、14、16は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基いて、本件発明6、21、22は、甲1に記載された発明に基いて、本件発明10は、甲1に記載された発明及び甲3に記載された事項に基いて、本件発明11、12、17~19は、甲1に記載された発明及び甲2、甲3に記載された事項に基いて、本件発明15は、甲1に記載された発明及び甲2又は甲3に記載された事項に基いて、本件発明23は、甲1に記載された発明及び甲4に記載された事項に基いて、本件発明24、25は、甲1に記載された発明及び甲5に記載された事項に基いて、本件発明27は、甲1に記載された発明及び甲6に記載された事項に基いて、本件発明28~31、33は、甲6に記載された発明及び甲7、甲8に記載された事項に基いて、本件発明32に記載された発明は、甲6に記載された発明及び甲7~甲9に記載された事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2~4、6~12、14~19、21~25、27~33に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
[証拠方法]
甲1:特開2012-216774号公報
甲2:特開2000-106392号公報
甲3:特開2014-116433号公報
甲4:特開2017-212374号公報
甲5:特開2005-109169号公報
甲6:特開平10-41378号公報
甲7:特開2003-258057号公報
甲8:特開2002-270680号公報
甲9:再公表特許WO2009/144938号
甲10:実用新案登録第3187554号公報
甲11:特開2009-111243号公報
甲12:特開2003-86664号公報
第5 取消理由通知に記載した取消理由について
1 当審において、令和6年6月12日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)取消理由1-1(新規性)
請求項1、5、13、20、26に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件請求項1、5、13、20、26に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2)取消理由1-2(進歩性)
請求項1、5~9、13、14、20~26は、甲1に記載された発明に基いて、請求項2~4に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基いて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1~9、13、14、20~26に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 当審において、令和6年12月25日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
(1)取消理由2(明確性要件)
本件特許は、特許請求の範囲の請求項13、14の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
第6 甲号証の記載及び甲号証に記載された発明
1 甲1(特開2012-216774号)
(1)甲1には以下の記載がある(当審注:下線は当審が付与した。以下、同様である。)。
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基板支持部上に基板を載置すると、例えば基板支持部の上面に付着していた異物等が基板の裏面に付着してしまう場合があった。また、例えば基板と基板支持部との間に気体が挟み込まれ、基板が横滑りしてしまう場合があった。
【0005】
本発明の目的は、基板支持部上に載置された基板の裏面への異物の付着及び基板の横滑りを抑制することが可能な基板処理装置、半導体装置の製造方法、基板処理方法及びサセプターカバーを提供することにある。」
「【発明を実施するための形態】
【0012】
<本発明の第1実施形態>
(1)基板処理装置の構成
本発明の第1実施形態に係る基板処理装置について、図1を用いて以下に説明する。図1は、本実施形態に係る基板処理装置としての変形マグネトロン型プラズマ処理装置100の断面図である。
・・・
【0016】
(基板支持部)
処理室201の底側中央には、ウエハ200を支持する基板支持部217が設けられている。基板支持部217は、例えば石英(SiO2)等の非金属材料からそれぞれ形成されるサセプタ219及びサセプタカバー218を有しており(図2参照)、ウエハ200上に形成される膜等への金属汚染を低減することができるように構成されている。サセプタ219及びサセプタカバー218については後述する。
・・・
【0018】
基板支持部217は、下側容器211とは電気的に絶縁されている。基板支持部217内部にはインピーダンス調整電極217cが装備されている。インピーダンス調整電極217cは、インピーダンス調整部としてのインピーダンス可変機構274を介して接地されている。インピーダンス調整電極217cは、後述する第1の電極としての筒状電極215に対する第2の電極として機能する。インピーダンス可変機構274はコイルや可変コンデンサから構成されており、コイルのインダクタンス及び抵抗並びに可変コンデンサの容量値を制御することにより、インピーダンス調整電極217c及び基板支持部217を介して、ウエハ200の電位(バイアス電圧)を制御できるように構成されている。
・・・
【0033】
(2)基板支持部の構成
次に、本実施形態の基板支持部217が備えるサセプタ219及びサセプタカバー218について、主に図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る基板処理装置が備える基板支持部217を示す模式図であって、(a)は基板支持部217の平面図であり、(b)は基板支持部217のA-A断面図である。
【0034】
図2(b)に示すように、基板支持部217は、ヒータ217bやインピーダンス調整電極217cが埋め込まれたサセプタ219と、例えば厚さが0.7mm以上1.5mm以下の円板状のサセプタカバー218とを有する。サセプタカバー218は、サセプタ219に着脱自在に設けられている。サセプタ219及びサセプタカバー218の径や各部のサイズは、支持するウエハ200の径に応じて定められる。以下においては、200mm~450mmの範囲であって、例えば300mm径のウエハ200に対応するサセプタ219及びサセプタカバー218について説明する。
【0035】
(凸領域および凹領域)
サセプタカバー218は、ウエハ200の一部を下方から支持する凸領域としての外周支持部218mを有する。外周支持部218mは、例えばウエハ200の縁から半径方向内側に向けて3mm未満の領域を支持するよう構成されている。このとき、外周支持部218mは、例えばウエハ200を囲うように切れ目なく縁側を支持する。また、外周支持部218mがウエハ200の裏面と接触する幅wは、3mm未満であって例えば1.5mm以下とする。
【0036】
また、サセプタカバー218は、外周支持部218mの内側に凹領域としての中央凹部218dを有する。中央凹部218dは、例えばサセプタカバー218の表面にザグリ加工により設けられ、外周支持部218mにより支持されたウエハ200に接触しないように構成されている。
・・・
【0040】
なお、サセプタカバー218の外周支持部218mは、ウエハ200の底面縁側を下方から支持されるように構成されており、ウエハ200の側部(ウエハ200の側面)には接触しないように構成されている。すなわち、外周支持部218mの上面は、ウエハ200側部に嵌合するような段差状には形成されておらず、平坦状に構成されている。これにより、ウエハ200の側部とサセプタカバー218との接触によるパーティクルの発生を抑制することができ、基板処理の品質を向上させることが可能となる。
・・・
【0043】
(補助凸領域)
中央凹部218dは、ウエハ200の一部を下方から補助的に支持する補助凸領域としての中央支持部218sを有する。中央支持部218sは、例えば突起状に1つ以上、好ましくは複数個、さらに好ましくは3つ以上設けられている。図2(a)に示す例では、3つの中央支持部218sが、サセプタカバー218の外周縁との同心円上に、それぞれ略同距離だけ離れて、例えば貫通孔218aの開口位置とは約60°ずれた位置に配置されている。3つの中央支持部218sは、所定のピッチ円直径(PCD:Pitch Circle Diameter)dとなるよう配置され、例えばピッチ円直径dを145mm以上155mm以下とすることができる。
【0044】
また、中央支持部218sは、例えば外周支持部218mよりも低く形成されており、外周支持部218mとの高低差hは例えば0.1mm以上0.2mm以下である。なお、サセプタカバー218の表面(中央凹部218dの表面)に対してザグリ加工を行うことで中央支持部218sを形成する場合、中央支持部218sの高さは例えば0.04mm~0.1mm程度とすることができる。また、サセプタカバー218の表面(中央凹部218dの表面)に例えば円板状の石英部材等を設置することで中央支持部218sを形成する場合、中央支持部218sの高さは例えば0.5mm程度とすることができる。なお、外周支持部218mの高さ(中央凹部218dの深さ)は、これら中央支持部218sの高さに0.1mm~0.2mmを加えたものになる。
【0045】
このように、ウエハ200を縁側で支持する外周支持部218mに対し、その内側に、中央支持部218sを外周支持部218mよりも低く設けたので、ウエハ200の撓みを補正しつつ、ウエハ200との接触圧力を更に下げて裏面の異物を低減することができる。また、ウエハ200とインピーダンス調整電極217cとの間に存在するキャパシタンスが減り、静電力を低減させることができる。【0046】
なお、中央支持部218sを例えば円柱形とする場合、その上端面(支持面)の直径は例えば2.8mmよりも小さくすることが好ましい。このように構成した場合、ウエハ200をいわゆる点で支持すること、すなわち、ウエハ200と中央支持部218sとの接触面積を小さくすることができるようになる。その結果、ウエハ200と中央支持部218sとの接触によるパーティクルの発生を効果的に抑制することができるようになる。
・・・
【0049】
なお、サセプタカバー218の表面には研磨等を施して、表面粗さRaを小さくすることが好ましい。例えば石英等から構成されるサセプタカバー218は、切削したのみの仕上げでは、表面粗さRaが例えば2.5μm程度となっており、ウエハ200の表面の異物が増加する原因となる場合がある。係る異物は、例えば図3に示すモデルにより発生すると考えられる。すなわち、図3に示すように、基板支持部217上に載置されたウエハ200は、基板支持部217が備えるヒータ217bにより加熱されて膨張する。このとき、サセプタカバー218の表面が粗いと、ウエハ200とサセプタカバー218の外周支持部218mとが擦れて異物Pが発生し、舞い上がった異物Pが例えばウエハ200の表面に付着する。
・・・
【0064】
なお、上記プラズマ処理工程において、ウエハ200はプラズマ中で帯電し、サセプタ219内部のインピーダンス調整電極217cに引きつけられる。これにより、基板支持部217の上面にウエハ200が吸着した状態となる。本実施形態では、中央支持部218sを外周支持部218mよりも低く形成しているので、係る状態であっても中央支持部218sとウエハ200との接触圧力の増大が緩和され、異物の増加を抑えることができる。ウエハ200の吸着状態は、後述のウエハ200の搬出時まで保たれる。
・・・
【0087】
(k)また、本実施形態によれば、中央支持部218sの表面粗さRaは2.5μmよりも小さい。これにより、ウエハ200が基板支持部217上に載置されて膨張しても、ウエハ200と外周支持部218mとが擦れて異物Pが発生することを抑制でき、ウエハ200の表面の異物を低減することができる。」
「【0108】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0109】
例えば、上述の実施形態では、基板支持部217は、サセプタ219に着脱自在なサセプタカバー218を有するとしたが、凸領域や凹領域、補助凸領域等が、サセプタの表面の削り出しやサセプタの表面への接合等、様々な手法によりサセプタと一体的に形成されることで基板支持部が構成されていてもよい。別体のサセプタカバー218を設ける構成ではハンドリング強度等を考慮に入れた所定厚さを要するが、一体型であれば全体をより薄く形成することが可能である。このため、ヒータ217bとの距離を縮めて昇温速度を向上させたり、より高温の基板処理を行ったりすることができる。また、インピーダンス調整電極217cとの距離を縮めてウエハ200への荷電粒子の引き込み強度を高めることが容易となる。
【0110】
また、上述の実施形態では、基板支持部217は石英から形成されるとしたが、例えば窒化アルミニウム(AlN)、セラミックス等の他の非金属材料から形成されていてもよい。サセプタ219とサセプタカバー218とで異なる材質とすることも可能である。」
「【実施例】
【0119】
(実施例1)
まずは、本発明の実施例1について比較例とともに説明する。本実施例では、上述の実施形態と同様の基板支持部を備えるMMT装置にてウエハを処理し、裏面の異物の個数を測定した。このとき、中央支持部を外周支持部よりも0.2mm低く形成し、中央支持部のウエハを支持する面の直径が1.8mm及び3mmのものについて実験した。つまり、それぞれ3つある中央支持部の面積の総和は、約8mm2及び約21mm2である。また、比較例として、従来の略平坦な上面を有する基板支持部を備えるMMT装置にて処理したウエハについても、裏面の異物の個数を測定した。測定した異物のサイズは、実施例に係るもの(直径が1.8mm及び3mm)が0.15μmであり、比較例に係るものが0.3μmである。
・・・
【0123】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について比較例とともに説明する。本実施例に係る基板支持部は、ウエハの支持位置を示す太さ1.5mm、長さ40mm、位置精度±0.5mmの印を4箇所に有し、研磨仕上げにより表面粗さRaが0.1μmの基板支持部とした。また、比較例に係る基板支持部は、印を有さず、かつ、研磨仕上げを施さない、表面粗さRaが2.5μmの上面が略平坦な基板支持部とした。それぞれの基板支持部を備えるMMT装置でウエハを処理し、ウエハ表面の異物の個数を測定した。測定した異物のサイズは0.15μmである。」
「【図2】
[図:0001426809000001.jpg]
」
(2)甲1に記載された発明
上記(1)の記載によれば、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている(当審注:括弧内は根拠となる甲1の段落番号である。)。
「ウエハ200を支持する基板支持部217であって、(【0016】)
基板支持部217は、ヒータ217bやインピーダンス調整電極217cが埋め込まれたサセプタ219と、円板状のサセプタカバー218とを有し、(【0016】、【0034】)
インピーダンス調整電極217cは、インピーダンス調整部としてのインピーダンス可変機構274を介して接地され、第1の電極としての筒状電極215に対する第2の電極として機能し、インピーダンス可変機構274はコイルや可変コンデンサから構成されており、コイルのインダクタンス及び抵抗並びに可変コンデンサの容量値を制御することにより、インピーダンス調整電極217c及び基板支持部217を介して、ウエハ200の電位(バイアス電圧)を制御できるように構成されており、(【0018】)
200mm~450mmの範囲であって、例えば、300mm径のウエハ200に対応するサセプタ219及びサセプタカバー218であって、(【0034】)
サセプタカバー218は、ウエハ200の一部を下方から支持する凸領域としての外周支持部218mを有し、外周支持部218mは、例えばウエハ200の縁から半径方向内側に向けて3mm未満の領域を支持するよう構成されており、このとき、外周支持部218mは、例えばウエハ200を囲うように切れ目なく縁側を支持するものであり、(【0035】)
サセプタカバー218は、外周支持部218mの内側に凹領域としての中央凹部218dを有し、(【0036】)
サセプタカバー218の外周支持部218mは、ウエハ200の底面縁側を下方から支持されるように構成されており、外周支持部218mの上面は、平坦状に構成されており、(【0040】)
中央凹部218dは、ウエハ200の一部を下方から補助的に支持する補助凸領域としての中央支持部218sを有し、中央支持部218sは、例えば突起状に1つ以上、好ましくは複数個、さらに好ましくは3つ以上設けられており、(【0043】)
中央支持部218sは、例えば外周支持部218mよりも低く形成されており、中央支持部218sの高さは例えば0.04mm~0.1mm程度とすることができ、外周支持部218mの高さは、中央支持部218sの高さに0.1mm~0.2mmを加えたものであり、(【0044】)
中央支持部218sを例えば円柱形とする場合、その上端面(支持面)の直径は例えば2.8mmよりも小さくすることが好ましく、(【0046】)
サセプタカバー218の表面には研磨等を施して、表面粗さRaを小さくすることが好ましく、(【0049】)
プラズマ処理工程において、ウエハ200はプラズマ中で帯電し、サセプタ219内部のインピーダンス調整電極217cに引きつけられ、これにより、基板支持部217の上面にウエハ200が吸着した状態となり、(【0064】)
中央支持部218sの表面粗さRaは2.5μmよりも小さく、(【0087】)
基板支持部217は、例えば窒化アルミニウム(AlN)、セラミックス等の他の非金属材料から形成されていてもよく、(【0110】)
中央支持部のウエハを支持する面の直径は1.8mm及び3mm、つまり、それぞれ3つある中央支持部の面積の総和は、約8mm2及び約21mm2であり、(【0119】)
基板支持部は、研磨仕上げにより表面粗さRaが0.1μmである、(【0123】)
基板支持部217。」
2 甲3(特開2014-116433号公報)
甲3には以下の記載がある。
「【0026】
図1A及び図1Bに示されるように、基板保持部材10は、円形板状の保持部材本体11と、保持部材本体11の上面に形成された円環状の環状凸部12(第1の環状凸部)と、保持部材本体11の上面に環状凸部12の内側に形成された2つの環状凸部13a,13b(第2の環状凸部)と、保持部材本体11の上面の環状凸部12の内側の領域に配置された複数のピン14とを備える。」
「【0033】
複数のピン14は、一定間隔でほぼ均一に保持部材本体11上面の内殻領域15及び外殻領域17a,17bに配置され、例えば近接する3本のピン14が正三角形になるように配置されている。保持部材本体11上面からのピン14の高さは一定の高さ(例えば、0.05mm~0.3mm)に、ピン径は一定の大きさ(0.10mm~1.0mm)に形成されている。
【0034】
また、保持部材本体11に載置された基板を支持するピン14の先端は、環状凸部13a,13bの上端と比較して高く突出し、環状凸部12の上端と同じ高さに位置するように形成されている。また、ピン14の先端は環状凸部12と同様、ラウンド加工が施されている。」
「【0058】
(実験結果)
実施例として、直径310mmで厚さ12mmの円形板状の保持部材本体の上面に同心状に形成された、保持部材本体に半径148mmで保持部材本体上面からの高さ0.1mm、幅0.2mmの円環状の第1の環状凸部と、第1の環状凸部内側に形成された2つの第2の環状凸部(半径100mmで保持部材本体上面からの高さ0.09mmの環状凸部と、半径50mmで保持部材本体上面からの高さ0.09mmの環状凸部)とを有する基板保持部材を形成した。
【0059】
また、実施例の基板保持部材は、SiCで形成され、保持部材本体上面の第2の環状凸部内側の領域に所定間隔(5mm)で配置された約2800個の高さ0.1mmで直径0.25mmのピンを備える。ピンの先端と第1の環状凸部の上端は、曲率半径5μmになるようにラウンド加工を行った。」
「【図1】
[図:0001426809000002.jpg]
【図2】
[図:0001426809000003.jpg]
」
3 甲6(特開平10-41378号公報)
(1)甲6には以下の記載がある。
「【0004】静電チャックは、高密度プラズマ反応のような製造工程中に半導体ウェーハをクランプする装置として、半導体産業では幅広く用いられてきた。静電チャックは、ウェーハをチャックに固定するために、正負にそれぞれ帯電された表面間の静電気力を用いる。ある種の静電チャックを製作する場合、アルミニウムのようなプロセスに適した金属を適切な支持ペデスタルに機械加工し、ペデスタルの上面をグリットブラスト加工(grit blasting)する。次に、セラミックのような誘電体材料層が、ペデスタル上面にプラズマ溶射され、ウェーハを支持する滑らかな平坦面になるまで研削する。代替として、数多くの著名なサプライヤから入手できるKapton(商標)のようなポリマーフィルムを、誘電体として用いてもよい。基板の化学処理中、誘電体層の一側に正電荷を、他側に負電荷を生じさせることによって、チャンバ壁と金属ペデスタル間に、直流高電圧を印加して、チャックが機能する。この電荷が、誘電体層の両側間に実質的に均一な吸引クーロン力を発生し、誘電体層にウェーハを固定する。代替として、複数の電極をペデスタルに形成してもよい。」
「【0015】一実施態様において、幾つかの突出部が、熱伝達ガスの流れを基板の下側で促進する空間を提供するために、基板支持体の上部から多数の突出部が延在する。従って、熱伝達は、基板及び基板支持体の表面粗さとは実質的に無関係になる。突出部は、静電チャックの上部面全体にわたって均等な間隔を空け、突出部間の間隙の非接触面積は、前記突出部の接触面積よりも大きいことが望ましい。
【0016】突出部の高さ、即ち、基板と基板支持体の上部との間隙は、最適化されている。先ず、自由分子熱伝達を確保して、電界によるガス分解を防ぐために、十分小さい間隙を選択する。加えて、基板上の突出部の接触点での異常形成を防ぐために、間隙の大きさは、誘電体の厚さ全体と比較して小さくしなければならない。これらの接触点の誘電値は、間隙と比べると、実質的に異なる誘電値を有し、接触点毎に電界を異ならせる。第2に、ガスの圧力分布が素早く安定状態に到達するよう、間隙は十分大きくなければならず、それによって、工程立上げ時間が影響を受けることはない。その高さは伝達ガスの平均的自由行程よりも低いことが望ましい。突出部の大きさは、ガス用空間を最大化する一方で、基板を過度に反らさないで支持するのに十分な大きさである。
」
「【0019】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の原理による静電チャック14を含む代表的なウェーハ処理装置2を示す。静電チャックは一例として用いられており、静電チャック14以外の基板支持体を用いることもできる。静電チャック14は、装置2の高密度プラズマ反応チャンバ8内の半導体ウェーハWを支持して電気的に保持する。
・・・
【0022】静電チャック14を採用するこのシステムは、プラズマ反応チャンバ8用に、従来の電気回路要素を包含する。電気回路要素には、直流電源24及びRF電源27が含まれる。直流電源24は、例えば+700ボルトや-1200ボルトの適切なクランプ電圧を、静電チャック14と(接地された)チャンバ壁との間に供給する。電源24は、直流電源24をRF電源27から絶縁する低域フィルタ26を介して、静電チャック14に接続される。
【0023】RF電源は、プラズマ反応電力を提供する。RFソース電源及びバイアス電源はそれぞれ、インピーダンス整合回路網28を介してチャンバと接続され、ソース電源は誘導アンテナ30に接続され、バイアス電源は静電チャック14に接続される。ソースRF発生器は、所望の化学反応に必要な、プラズマ状態のイオンを生じる。バイアスRFはそれらのイオンをウェーハ基板へ向けて駆動する。バイアス電源及び直流電圧両方の接地基準は、接地された上部電極32である。直流電源24は、ウェーハWを静電保持する電界を生成させるために、クランプ電圧をペデスタルに供給する。ウェーハWを解放したい時(つまり「チャックから外」したい時)に、ウェーハの解放を早めたい場合は、電源24をゼロ出力電圧か、又は逆極性電圧に切り替えてもよい。
・・・
【0026】熱交換器33、真空ポンプ37、ヘリウム供給装置53及びヒータ43は全て、記憶装置45に保存されたプログラムで作動するコントローラ39によって制御される。コントローラ39は、直流電源24及びRF電源27も、図1に示されていない他のウェーハ処理システムと同じように制御する。ウェーハの温度にフィードバックを与えるため、コントローラ39に接続した温度センサ96も示す。
・・・
【0029】図3は、本発明による静電チャック64の一実施形態の平面図である。滑らかな上面に代わって、多数の溝を表面に設けてあり、多数の突出部66が形成されている。これら突出部の中央ゾーン68は、シール72によって、周縁ゾーン70と隔てられている。シール72は、突出部を設けるべく溝を形成するようにはしない単なる領域であり、ウェーハと本質的に均一に接触する固体表面を形成する。外側のシール74は、ヘリウムガスのチャンバ内への漏洩を最小化するためのバリアを提供している。
・・・
【0035】熱伝導は、主にヘリウムガスを介して行われるので、突出部の大きさと数、及びシール領域を最小にすることが望ましい。従って、基板の全面積にわたり、接触面積は非接触面積よりも小さくなければならない。他方、シールはガス漏れを防ぐことが必要であり、突出部は、ウェーハを機械的に支持することのできる大きさと間隔でなければならない。加えて、最適化するために他の要因がある。突出部間の、基板と基板支持体との間隙を決める突出部の高さは、プロセス立ち上げ時間に悪影響を及ぼすことなく、ゾーン全体へ迅速にガスが分布するような高さでなければならない。通常、これは、およそ数秒オーダーでなければならず、好ましくは、10秒以下で分布させるのが好ましい。
・・・
【0043】図4は、誘電体86の誘電厚に変化を持たせた静電チャック64の一実施形態の側面図である。ウェーハ82はチャック上に取り付けられている。チャックは、誘電体86で覆われた電極部84を包含する。誘電体は静電チャックの上部を横切り、側面90に沿って延在する。図から分かるように、誘電体は中央部92で厚く、周縁部94で薄くなっている。この側面図には、多数の突出部70を示し、また内側シール72と外側シール74も示している。」
「【図1】
[図:0001426809000004.jpg]
」
「【図3】
[図:0001426809000005.jpg]
【図4】
[図:0001426809000006.jpg]
」
(2)甲6に記載された発明
上記(1)の記載によれば、甲6には、以下の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されている(当審注:括弧内は根拠となる甲6の段落番号である。)。
「静電チャック14を含むウェーハ処理装置2であって、(【0019】)
静電チャック14は、ウェーハ処理装置2の高密度プラズマ反応チャンバ8内の半導体ウェーハWを支持して電気的に保持し、(【0019】)
静電チャック64は、多数の溝を表面に設けてあり、多数の突出部66が形成されており、これら突出部の中央ゾーン68は、シール72によって、周縁ゾーン70と隔てられており、シール72は、突出部を設けるべく溝を形成するようにはしない単なる領域であり、ウェーハと本質的に均一に接触する固体表面を形成するものであり、外側のシール74は、ヘリウムガスのチャンバ内への漏洩を最小化するためのバリアを提供し、(【0029】)
プラズマ反応チャンバ8用に電気回路要素を包含し、電気回路要素には、直流電源24及びRF電源27が含まれ、直流電源24は、クランプ電圧を、静電チャック14とチャンバ壁との間に供給し、(【0022】)
RF電源は、プラズマ反応電力を提供し、直流電源24は、半導体ウェーハWを静電保持する電界を生成させるために、クランプ電圧をペデスタルに供給し、(【0023】)
直流電源24及びRF電源27は、記憶装置45に保存されたプログラムで作動するコントローラ39により制御され、(【0026】)
チャックは、誘電体86で覆われた電極部84を包含する、(【0043】)
ウェーハ処理装置2。」
4 甲7(特開2003-258057号公報)
(1)甲7には、以下の記載がある。
「【0030】搬送装置40は、例えば昇降部41及びアーム部42を有した多軸自由度を有したロボットにより構成されている。また、アーム部42の先端部には、静電チャック43が配設されている。また、昇降部41はアーム部42を昇降動作させるものであり、またアーム部42は静電チャック43を水平方向に移動させる。これにより、搬送装置40は静電チャック43を任意位置に移動できる構成となっている。
・・・
【0032】静電チャック43は、チャック本体44内に静電吸着用電極45及び複数の溝部48等を設けた構成とされている。静電吸着用電極45は配線46により電圧印加される構成とされており、そして電圧印加されることにより発生するクーロン力によりウェハWを吸着する構成とされている(クーロン力がウェハWの吸引力となる)。
・・・
【0037】処理室30は、例えば図示しないプラズマエッチング処理装置が設けられており、ウェハWの裏面(回路のない側)をエッチングし薄型化するバックサイドエッチング処理を実施する。この処理室30は、図示しない真空装置に接続されることにより、その内部を所定のVAC(減圧雰囲気)としうる構成とされている。また、処理室30の内部には、ウェハWを装着するためのステージ33が設けられている。
【0038】このステージ33は、図18及び図19を用いて説明した搬送装置40に設けられた静電チャック43と同じ構造とされている(以下、図18及び図19に示した構成と同一構成については、同一符号を付して説明する)。即ち、静電チャック34はチャック本体44内に静電吸着用電極45及び複数の溝部48等を設けた構成とされている。静電吸着用電極45は配線46により電圧印加され、これにより発生するクーロン力によりウェハWを吸着する。
・・・
【0064】続いて、図8に示すように、搬送装置40はウェハWを処理室30の静電チャック34上に装着する。ウェハWが静電チャック34上に装着されると、静電チャック34が起動(ON)してウェハWの吸引を開始する。この状態において、搬送装置40の静電チャック43は依然としてウェハWの保持を維持している。
【0065】そして、静電チャック34がONとなりウェハWの吸引が開始された後、静電チャック43は静電吸着用電極45に対する電圧印加が停止され、これによりウェハWの吸着を停止(OFF)する。このように、静電チャック43から静電チャック34にウェハWを受け渡す際においても、静電チャック43がウェハWを保持している状態中に静電チャック34を駆動(ON)してウェハWを静電チャック34に保持し、その後に静電チャック43によるウェハWの保持を解除(OFF)する方法を採用している。
【0066】これにより、静電チャック43から静電チャック34にウェハWを受け渡す際においても、ウェハWには静電チャック43或いは静電チャック34のいずれかのチャックの吸引力が常に印加された状態を維持する。このため、ウェハWを搬送装置40から処理室30のステージ33に受け渡す時に、ウェハWに反りや曲がりが発生することを防止でき、ウェハWの平坦性を維持することができる。
・・・
【0072】ウェハWが静電チャック43から静電チャック34に受け渡されると、ガス供給装置は停止され静電チャック43からのガス噴射が停止されると共に、図10に示すように搬送装置40が駆動して静電チャック43は再びロードロック室20内に移動する。そして、シャッター32が閉じられ、処理室30内においてプラズマエッチング装置を用いてウェハWに対するバックサイドエッチング処理が実施される。」
「【図7】
[図:0001426809000007.jpg]
【図8】
[図:0001426809000008.jpg]
【図9】
[図:0001426809000009.jpg]
【図10】
[図:0001426809000010.jpg]
【図11】
[図:0001426809000011.jpg]
【図12】
[図:0001426809000012.jpg]
」
(2)甲7に記載された事項
上記(1)の記載によれば、甲7には、以下の事項(以下、「甲7に記載された事項」という。)が記載されている(当審注:括弧内は根拠となる甲7の段落番号である。)。
「搬送装置40は、昇降部41及びアーム部42を有した多軸自由度を有したロボットにより構成され、アーム部42の先端部には、静電チャック43が配設され(【0030】)、
静電チャック43は、チャック本体44内に静電吸着用電極45及び複数の溝部48等を設けた構成とされ、静電吸着用電極45は配線46により電圧印加される構成とされており、そして電圧印加されることにより発生するクーロン力によりウェハWを吸着する構成とされ(【0032】)、
処理室30の内部には、ウェハWを装着するためのステージ33が設けられ(【0037】)、このステージ33は、搬送装置40に設けられた静電チャック43と同じ構造とされ、すなわち、静電チャック34はチャック本体44内に静電吸着用電極45を設けた構成とされ、静電吸着用電極45は配線46により電圧印加され、これにより発生するクーロン力によりウェハWを吸着するものであり(【0038】)、
続いて、搬送装置40はウェハWを処理室30の静電チャック34上に装着し、ウェハWが静電チャック34上に装着されると、静電チャック34が起動(ON)してウェハWの吸引を開始し、この状態において、搬送装置40の静電チャック43は依然としてウェハWの保持を維持しており(【0064】)、
静電チャック43から静電チャック34にウェハWを受け渡す際においても、ウェハWには静電チャック43或いは静電チャック34のいずれかのチャックの吸引力が常に印加された状態を維持する(【0066】)こと。」
5 甲8(特開2002-270680号公報)
(1)甲8には以下の記載がある。
「【0028】静電チャック20は、アルミナ等のセラミックにより形成されている。静電チャック20は電極30を内蔵しており、この電極30は電気リード線32を介して電源装置34に接続されている。この電源装置34により電極30に通電すると、静電チャック20と半導体ウェハWとの間にクーロン力が発生し、半導体ウェハWが静電チャック20に吸着される。電源装置34には、電極30に印加する電圧を制御するための制御装置36が接続されている。
・・・
【0035】まず、半導体ウェハWを処理チャンバ12内に導入して静電チャック20の所定位置に搭載する。次に、静電チャック20の電極30への電圧の印加を開始する。ここでは、直径が200mmで150μm以上の反りを有する半導体ウェハWを吸着し、この半導体ウェハWを500℃程度に温度上昇させてスパッタリング処理を行うときに、最大で900Vの電圧を印加し静電チャック20上に半導体ウェハWを吸着して支持するプロセスについて例示的に説明する。
【0036】図2に示すように、まず時刻t=0secのときに制御装置36から電源装置34に向かって信号を発して、静電チャック20の電極30に380ボルト(V0)の電圧を一度に印加する。これと同時に、図示しないガス供給源からの伝熱用ガスを、ガス導入路42、ガス導入孔19a、及びガス導入孔44を通してガス停滞用溝46に供給する。これにより、半導体ウェハWが効率よく温度上昇される。なお伝熱用ガスとしては、熱交換効率に優れたヘリウムガスや、アルゴンガス、窒素ガスなどを用いることができる。
【0037】次に、20ボルト/0.5secの割合で静電チャック20の電極30に印加する電圧をステップ状に上昇させる信号を、制御装置36から電源装置34に向かって発する。すると、電源装置34により静電チャック20に印加される電圧がステップ状に上昇され、半導体ウェハWが静電チャック20上に徐々に吸着される。そして、13秒(tu)が経過して時刻t=13secで電圧が900ボルト(V1)に達したところで、2秒間(tm)だけ電圧を900ボルトに維持する信号を、制御装置36から電源装置34に向かって発する。これにより、静電チャック20に印加される電圧が900ボルトの高電圧に維持され、強い吸着力により半導体ウェハWの反りが矯正される。そして、時刻t=15secで電圧を500ボルト(V2)に下げ、電圧を500ボルトに維持する信号を、制御装置36から電源装置34に向かって発する。このとき、900ボルトの電圧を印加することで半導体ウェハWの反りは矯正されているため、それより低い500ボルトの電圧でも半導体ウェハWを確実に吸着して支持することができる。」
「【図2】
[図:0001426809000013.jpg]
」
(2)甲8に記載された事項
上記(1)の記載によれば、甲8には、以下の事項(以下、「甲8に記載された事項」という。)が記載されている(当審注:括弧内は根拠となる甲8の段落番号である。)。
「静電チャック20は電極30を内蔵し、この電極30は電源装置34に接続され、この電源装置34により電極30に通電すると、静電チャック20と半導体ウェハWとの間にクーロン力が発生し、半導体ウェハWが静電チャック20に吸着され(【0028】)、
半導体ウェハWを処理チャンバ12内に導入して静電チャック20の所定位置に搭載し、次に、静電チャック20の電極30への電圧の印加を開始し(【0035】)、
まず時刻t=0secのときに、静電チャック20の電極30に380ボルト(V0)の電圧を一度に印加し(【0036】)、
次に、電源装置34により静電チャック20に印加される電圧がステップ状に上昇され、半導体ウェハWが静電チャック20上に徐々に吸着され、そして、時刻t=13secで電圧が900ボルト(V1)に達したところで、2秒間(tm)だけ電圧を900ボルトに維持し、これにより、静電チャック20に印加される電圧が900ボルトの高電圧に維持され、強い吸着力により半導体ウェハWの反りが矯正され、そして、時刻t=15secで電圧を500ボルト(V2)に下げ、電圧を500ボルトに維持する信号を、制御装置36から電源装置34に向かって発し、このとき、900ボルトの電圧を印加することで半導体ウェハWの反りは矯正されているため、それより低い500ボルトの電圧でも半導体ウェハWを確実に吸着して支持することができる(【0037】)こと。」
6 甲10(実用新案登録第3187554号公報)
甲10には以下の記載がある。
「【請求項1】
ウエハを載置するウエハ載置面を有し、電極が埋設されたセラミックス製の静電チャックであって、
前記ウエハ載置面には、ウエハを支持する複数の突起が形成され、
前記複数の突起は、表面粗さRaが0.2~0.4μmであり、前記複数の突起がウエハに接触する総面積をウエハの面積で除した割合(百分率)である面積率が2~60%である、
静電チャック。
【請求項2】
前記複数の突起は、前記ウエハ載置面上にほぼ均等に分布されるように形成された円形状の突起と、前記ウエハ載置面の外周に沿って形成された環状突起とで構成されている、
請求項1に記載の静電チャック。」
「【0013】
ウエハ載置面12には、ウエハWを支持する複数の突起16が形成されている。複数の突起16は、ウエハ載置面12上にほぼ均等に分布されるように形成された複数の円形状の突起16aと、ウエハ載置面12の外周に沿って形成された1つの環状突起16bとで構成されている。円形状の突起16a及び環状突起16bの表面は、表面粗さRaが0.2~0.4μmである。また、円形状の突起16a及び環状突起16bがウエハWに接触する総面積をウエハWの面積で除した割合(百分率)である面積率が2~60%である。」
「【0019】
ESCの寸法は、直径が298mm、静電電極よりも下側の厚みが3mm、静電電極の上側の厚みが1.0mmであった。ウエハ載置面には直径1mm、高さ8μmの円形状の突起をウエハ載置面上にほぼ均等に分布するように形成すると共に、そのウエハ載置面の外周に沿って幅1mmの環状突起を高さ8μmとなるように形成した。円形状の突起の数は、面積率が表1に示す所定の値になるように設定した。また、円形状の突起及び環状突起の表面は、表面粗さRaが表1に示す所定の値になるようにポリッシュした。更に、ウエハ載置面のうち突起同士の間にはガスを導入する直径1mmのガス孔を貫通させた。ESCのうち静電電極よりも下側の層には、静電電極に到達する座繰り孔を開け、給電端子を静電電極にロウ付けした。」
「【図1】
[図:0001426809000014.jpg]
【図2】
[図:0001426809000015.jpg]
」
7 甲11(特開2009-111243号公報)
甲11には以下の記載がある。
「【請求項1】
被処理基板を載置し静電気力により吸着固定する静電チャックであって、前記被処理基板を載置する面側に複数の突起と、前記複数の突起を囲むようにシールリングとを備え、
前記複数の突起の配置ピッチをaとし、
前記複数の突起の内、最も前記シールリングへ近接した突起の中心と前記シールリングの内周部との最短距離をbとしたとき、
b≧a×0.3
であり、
かつ前記複数の突起先端と前記シールリングの上面が同一平面上となるように前記複数の突起を配置したことを特徴とする静電チャック。」
「【0008】
本発明者らは上記のような目的から、例えば突起径0.2mm、ドッ及びシールリングの高さ50μm、シールリング幅0.5mmという条件の下で、それぞれ突起の配置(粗密)が異なる静電チャックを複数種類製作し性能評価を行った。静電チャックの吸着性能に関しては全ての静電チャックにおいて設計どおりの性能が得られたが、突起の配置を疎(突起の間隔10mm以上)にした静電チャックにおいては、基板の冷却性能にムラが発生するという現象が見られた。」
「【図1】
[図:0001426809000016.jpg]
」
「【図3】
[図:0001426809000017.jpg]
【図4】
[図:0001426809000018.jpg]
」
8 甲12(特開2003-86664号公報)
甲12には以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸着固定装置及びその製造方法に関し、更に詳しくは、IC、LSI、VLSI等の半導体装置の製造ライン等において好適に用いられ、シリコンウエハ等の板状試料を、パーティクルの発生等の不具合が生じることなしに固定、矯正、搬送等を行うことが可能な吸着固定装置及びその製造方法に関するものである。」
「【0019】
【発明の実施の形態】本発明の吸着固定装置及びその製造方法の一実施の形態について説明する。ここでは、プラズマ発生用の高周波電極が一体化され、ヒータ電極が一体化されていない形式の静電チャックを例にとり説明する。なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0020】図1は本発明の一実施形態の静電チャックを示す平面図、図2は図1のA領域を拡大した要部拡大断面図であり、この図2では、静電チャックの構成に対する理解を容易にするためにプラズマ処理装置の構成を加えてある。図に示すように、静電チャック11は、金属板12の上に平面基板としての誘電体13が接合され、この誘電体13内に内部電極14が埋設あるいは挟持されている。
【0021】誘電体13の上面には、He等の冷却ガスが漏れないように0.3mmの幅で後述する凸部15、15…と同じ高さの周縁壁13aが形成され、さらに、この内側が吸着面(吸着固定面)13bとされ、この吸着面13b内は凹凸面とされ、多数の凸部15、15…が立設されている。なお、周縁壁13aは、誘電体13と一体的に形成しても、別個の部材として形成してもよい。」
「【図1】
[図:0001426809000019.jpg]
【図2】
[図:0001426809000020.jpg]
」
「【図4】
[図:0001426809000021.jpg]
」
なお、甲2は本件発明2~4、7~9、11、12、14~19に対して提出された証拠であり、甲4は本件発明23に対して提出された証拠であり、甲5は本件発明24、25に対して提出された証拠であり、甲9は本件発明32に対して提出された証拠であるから摘記を省略する。
第7 取消理由1-1(新規性)、取消理由1-2(進歩性)、申立理由1(新規性)、申立理由2(進歩性)について
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「基板支持部217」は、「ウエハ200を支持する」ものであり、「ヒータ217bやインピーダンス調整電極217cが埋め込まれたサセプタ219と、円板状のサセプタカバー218とを有」するものである。
一方、本件発明1の「ペデスタル」は、「半導体基板」を「支持」するものであり、「本体を備え」るものである。
そうすると、甲1発明の「基板支持部217」、「ヒータ217bやインピーダンス調整電極217cが埋め込まれたサセプタ219と、円板状のサセプタカバー218」は、本件発明1の「ペデスタル」、「本体」にそれぞれ相当する。
イ(ア)甲1発明における「基板支持部217」の「サセプタカバー218」は、「ウエハ200の一部を下方から支持する凸領域としての外周支持部218mを有し」、「外周支持部218mの上面は、平坦状に構成されて」いるものであるところ、甲1の【図2】(b)を参酌すると、「外周支持部218mの上面」は、「基板支持部217」の垂直中心軸に直角をなしているといえる。
また、甲1発明における「基板支持部217」の「サセプタカバー218」は「円板状」であり、当該「サセプタカバー218」が有する「外周支持部218m」は、「例えばウエハ200の縁から半径方向内側に向けて3mm未満の領域を支持するよう構成されており、このとき、外周支持部218mは、例えばウエハ200を囲うように切れ目なく縁側を支持するものであり」、「外周支持部218mの上面は、平坦状に構成されて」いるものであるところ、甲1の【図2】(a)、(b)を参酌すると、「外周支持部218mの上面」は、平面視では環状であり、断面視では半径方向厚さを有し、「ウエハ200」と「外周支持部218mの上面」との間は封止されているといえる。
したがって、甲1発明における「基板支持部217」の「サセプタカバー218」が有する「外周支持部218mの上面」は、本件発明1の「平面であり、前記本体の垂直中心軸に直角をなし、半径方向厚さを有する、上側環状封止表面」に相当する。
(イ)甲1発明における「基板支持部217」の「サセプタカバー218」は、「外周支持部218mの内側に凹領域としての中央凹部218dを有し」ているから、「中央凹部218d」の表面は、「外周支持部218mの上面」から第1の距離だけオフセットされているといえる。
したがって、「基板支持部217」の「サセプタカバー218」の「中央凹部218d」の表面は、本件発明1の「第1の距離だけ前記上側環状封止表面からオフセットされた下側凹部表面」に相当する。
(ウ)甲1発明における「基板支持部217」の「サセプタカバー218」は、「外周支持部218mの内側に凹領域としての中央凹部218dを有し」ており、「中央凹部218d」は、「ウエハ200の一部を下方から補助的に支持する補助凸領域としての中央支持部218sを有し、中央支持部218sは、例えば突起状に1つ以上、好ましくは複数個、さらに好ましくは3つ以上設けられており」、「中央支持部218s」は、「例えば外周支持部218mよりも低く形成されており、中央支持部218sの高さは例えば0.04mm~0.1mm程度とすることができ」、「中央支持部218sを例えば円柱形とする場合、その上端面(支持面)の直径は例えば2.8mmよりも小さくすることが好まし」いものであるから、「基板支持部217」の「中央支持部218s」は、「中央凹部218d」表面から突出する複数の微小接触領域であるといえ、また、「中央支持部218s」の各々は、第1の距離以下である第2の距離だけ「中央凹部218d」の表面からオフセットされた上部表面を有しているといえる。
したがって、甲1発明における「基板支持部217」の「サセプタカバー218」が有する「中央凹部218d」の表面、当該「中央凹部218d」が有する「中央支持部218s」は、本件発明1の「下側凹部表面」、「前記下側凹部表面から突出する複数の微小接触領域(MCA)」にそれぞれ相当し、本件発明1と甲1発明とは、「前記MCAの各々は、前記第1の距離以下である第2の距離だけ前記下側凹部表面からオフセットされた上部表面を有し」ている点で共通する。
(エ)甲1発明における「基板支持部217」の「サセプタ219」には、「インピーダンス調整電極217cが埋め込まれ」ているから、「インピーダンス調整電極217c」は、「基板支持部217」内の1つ以上の電極であるといえる。
そうすると、甲1発明の「インピーダンス調整電極217c」は、本件発明1の「前記本体内の1つ以上の電極」に相当する。
(オ)以上によれば、本件発明1と甲1発明とは、「本体」が、「上側環状封止表面」と、「下側凹部表面」と、「複数の微小接触領域(MCA)」と、「1つ以上の電極」と、を含んでいる点で一致する。
ウ 上記イ(ア)で検討したとおり、甲1発明における「基板支持部217」の「サセプタカバー218」が有する「外周支持部218mの上面」は、本件発明1の「平面であり、前記本体の垂直中心軸に直角をなし、半径方向厚さを有する、上側環状封止表面」に相当するものであるところ、甲1発明の「外周支持部218m」は、「例えばウエハ200を囲うように切れ目なく縁側を支持するものであ」るから、「外周支持部218mの上面」は、「ウエハ200」が「基板支持部217」によって支持されている時に、「ウエハ200」の「縁側」、すなわち、外側エッジを支持するように構成されているといえる。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、「前記上側環状封止表面は、半導体基板が前記ペデスタルによって支持されている時に、前記半導体基板の外側エッジを支持するように構成され」ている点で一致する。
エ 甲1発明の「外周支持部218m」は、「ウエハ200の一部を下方から支持する凸領域としての外周支持部218m」であり、また、「中央支持部218s」は、「ウエハ200の一部を下方から補助的に支持する補助凸領域としての中央支持部218s」であるから、「外周支持部218mの上面」及び「中央支持部218s」表面は、「ウエハ200」が「基板支持部217」によって支持されている時に、「ウエハ200」を支持するように構成されているといえる。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「前記上側環状封止表面および前記
MCAの前記上部表面は、前記半導体基板が前記ペデスタルによって支持されている時に、前記半導体基板を支持するように構成され」ている点で一致する。
オ 甲1発明の「インピーダンス調整電極217c」は、「インピーダンス調整部としてのインピーダンス可変機構274を介して接地されて」いるから、電気的接地の物品に電気的に接続するよう構成されているといえる。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「前記1つ以上の電極は、無線周波数(RF)電力供給源、電気的接地、および直流(DC)電力供給源からなる群から選択される1つ以上の物品に電気的に接続するように構成され」ている点で一致する。
カ(ア)甲1発明において、「中央支持部218s」は、「さらに好ましくは3つ以上設けられており」、「中央支持部のウエハを支持する面の直径は1.8mm及び3mm、つまり、それぞれ3つある中央支持部の面積の総和は、約8mm2及び約21mm2」であるから、「中央支持部218s」の上部表面の各々は、上部表面領域を有しているといえ、その領域の合計は、約8mm2及び約21mm2である。
(イ)甲1発明において、「ウエハ200」は、「例えば、300mm径」であるところ、「サセプタカバー218」は、「ウエハ200の一部を下方から支持する凸領域としての外周支持部218mを有し、外周支持部218mは、例えばウエハ200の縁から半径方向内側に向けて3mm未満の領域を支持するよう構成されており、このとき、外周支持部218mは、例えばウエハ200を囲うように切れ目なく縁側を支持するものであり」、かつ、「外周支持部218mの内側に凹領域としての中央凹部218dを有し」ている。
そうすると、甲1発明の「中央凹部218d」は、平面視では円形であって、その半径は、最大で(300mm-3mm×2)/2=147mmであるといえる。
また、甲1発明の「中央凹部218d」は、凹部表面領域を有しているといえ、当該凹部表面領域、及び、上記「3つ」の「中央支持部218s」における「中央支持部218s」の全ての上部表面領域の合計は、最大で(147mm)2×π≒67887mm2である。
(ウ)そうすると、甲1発明において、「3つ」の「中央支持部218s」における「中央支持部218s」の全ての上部表面領域の合計の「中央凹部218d」の凹部表面領域、及び、「3つ」の「中央支持部218s」における「中央支持部218s」の全ての上部表面領域の合計の総和に対する比は、約8mm2/67887mm2≒0.00012=0.012%、又は、約21mm2/67887mm2≒0.00031=0.031%である。
(エ)以上から、甲1発明において、「中央凹部218d」は、凹部表面領域を有し、「中央支持部218s」の上部表面の各々は、上部表面領域を有し、「3つ」の「中央支持部218s」における「中央支持部218s」の全ての上部表面領域の合計は、「中央凹部218d」の凹部表面領域、及び、「3つ」の「中央支持部218s」における「中央支持部218s」の全ての上部表面領域の合計の総和の3%以下であるといえる。
したがって、甲1発明の「3つ」の「中央支持部218s」における「中央支持部218s」の全ての上部表面領域の合計、「中央凹部218d」の凹部表面領域、及び、「3つ」の「中央支持部218s」における「中央支持部218s」の全ての上部表面領域の合計は、本件発明1の「前記複数のMCAにおける前記MCAの全ての前記上部表面領域の合計」、「前記凹部表面領域および前記上部表面領域の合計の総和」にそれぞれ相当し、本件発明1と甲1発明とは、「前記下側凹部表面は、凹部表面領域を有し、前記MCAの前記上部表面の各々は、上部表面領域を有し、前記複数のMCAにおける前記MCAの全ての前記上部表面領域の合計は、前記凹部表面領域および前記上部表面領域の合計の総和の3%以下である」点で一致する。
キ 以上によれば、本件発明1と甲1発明との一致点と相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「ペデスタルであって、
本体を備え、前記本体は、
平面であり、前記本体の垂直中心軸に直角をなし、半径方向厚さを有する、上側環状封止表面と、
第1の距離だけ前記上側環状封止表面からオフセットされた下側凹部表面と、
前記下側凹部表面から突出する複数の微小接触領域(MCA)と、前記MCAの各々は、前記第1の距離以下である第2の距離だけ前記下側凹部表面からオフセットされた上部表面を有し、
前記本体内の1つ以上の電極と、を含み、
前記上側環状封止表面は、半導体基板が前記ペデスタルによって支持されている時に、前記半導体基板の外側エッジを支持するように構成され、
前記上側環状封止表面および前記MCAの前記上部表面は、前記半導体基板が前記ペデスタルによって支持されている時に、前記半導体基板を支持するように構成され、
前記1つ以上の電極は、無線周波数(RF)電力供給源、電気的接地、および直流(DC)電力供給源からなる群から選択される1つ以上の物品に電気的に接続するように構成され、
前記下側凹部表面は、凹部表面領域を有し、
前記MCAの前記上部表面の各々は、上部表面領域を有し、
前記複数のMCAにおける前記MCAの全ての前記上部表面領域の合計は、前記凹部表面領域および前記上部表面領域の合計の総和の3%以下である、ペデスタル。」
<相違点>
相違点1:本件発明1は、「前記上側環状封止表面と、前記MCAの前記上部表面とが同一平面上にあり、前記第1の距離は前記第2の距離に等しい」のに対し、甲1発明は、「中央支持部218sは、例えば外周支持部218mよりも低く形成されており、中央支持部218sの高さは例えば0.04mm~0.1mm程度とすることができ、外周支持部218mの高さは、中央支持部218sの高さに0.1mm~0.2mmを加えたものであ」る点。
(2)相違点1についての判断
ア 新規性について
甲1発明において、「中央支持部218sは、例えば外周支持部218mよりも低く形成されており、中央支持部218sの高さは例えば0.04mm~0.1mm程度とすることができ、外周支持部218mの高さは、中央支持部218sの高さに0.1mm~0.2mmを加えたもの」であるから、甲1発明は、「外周支持部218m」の表面と、「中央支持部218s」の表面とが同一平面上にあるものではない。
したがって、相違点1は実質的なものである。
よって、本件発明1は、甲1発明ではない。
イ 進歩性について
上記第6 1(1)における甲1の【0004】~【0005】の記載によれば、甲1発明が解決しようとする課題は、基板支持部上に載置された基板の裏面への異物の付着及び基板の横滑りを抑制することが可能な基板処理装置を提供することである。
そして、同【0045】には、「このように、ウエハ200を縁側で支持する外周支持部218mに対し、その内側に、中央支持部218sを外周支持部218mよりも低く設けたので、ウエハ200の撓みを補正しつつ、ウエハ200との接触圧力を更に下げて裏面の異物を低減することができる。」と記載されている。
そうすると、甲1発明において「外周支持部218m」の表面と、「中央支持部218s」の表面とが同一平面上にあるようにすると、ウエハ200の裏面の異物を低減できなくなり、その結果、上記課題を解決できなくなる。
したがって、甲1発明において、「外周支持部218m」の表面と、「中央支持部218s」の表面とが同一平面上にあるようにすること、すなわち、相違点1に係る本件発明1の構成とすることには阻害要因があり、このことは、甲2~甲12のいずれの記載にも左右されるものではない。
したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲12に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(3)申立人の主張について
a 申立人は、令和6年11月5日提出の意見書2ページ下から10行~6ページ14行において、「上側環状封止表面と、MCAの上部表面とが同一平面上にある」こと、及び「第1の距離は前記第2の距離に等しい」ことは、異議申立書において主張のとおり甲3に明確に記載されているのみならず、いずれも本件特許の優先日以前に公開された甲10から甲12にも明記されており、周知技術にすぎず、ウエハが載置されるペデスタルは、ウエハを処理するためにウエハを平面に保持するものであって、ウエハの吸着方式が真空吸着か静電吸着かを問わず、ウエハが平面に保持されるように支持することが基本的な当業者の認識であるため「MCAの上部表面」と「上側環状封止表面」とを同一平面上に配置するために「MCAの上部表面」と「上側環状封止表面」の高さを等しくすることは、まず最初に当業者が当然に設計上考えることであり、そこに何らの創意工夫は存在していないし、本件発明1と同じく静電吸着方式のペデスタルである甲10から甲12は、その当業者の認識に基づいて設計されているものであり、上側環状封止表面よりMCAの上部表面の高さが低いもの(甲1の【0044】参照)を、上側環状封止表面よりMCAの上部表面の高さが等しいものに変更することに関して、特段の技術的な困難性は見いだせないから、静電吸着方式のペデスタルの周知技術を甲1発明に適用し、上側環状封止表面とMCAの上部表面とを同一平面上にし、第1の距離と第2の距離を等しくすることは、当業者が容易に想到することにすぎない旨主張し、令和7年5月13日提出の意見書の4ページ8行~5ページ最下行において、同旨の主張をしている。
b しかし、上記(2)イで検討したとおり、甲1発明において、「外周支持部218m」の表面と、「中央支持部218s」の表面とが同一平面上にあるようにすること、すなわち、相違点1に係る本件発明1の構成とすることには阻害要因があるから、申立人が主張するとおり、「上側環状封止表面と、MCAの上部表面とが同一平面上にある」こと、及び「第1の距離は前記第2の距離に等しい」ことが、本件特許の優先日以前において周知技術であったとしても、甲1発明において、当該周知技術を採用することは、当業者であれば容易に想到し得るとはいえない。
したがって、申立人の上記主張はいずれも採用できない。
(4)小括
以上によれば、本件発明1は、甲1発明ではなく、また、甲1発明及び甲2~甲12に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本件発明5、20、26について
本件発明5、20、26は、本件発明1の全ての構成を有するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲1発明ではない。
3 本件発明2~9、11、12、15~27について
本件発明2~9、11、12、15~27は、本件発明1の全ての構成を有するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲1発明及び甲2~甲12に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 本件発明28について
(1)対比
本件発明28と甲6発明とを対比する。
ア 甲6発明において、「ウェーハ処理装置2」は、「静電チャック14」を含み、「静電チャック14は、ウェーハ処理装置2の高密度プラズマ反応チャンバ8内の半導体ウェーハWを支持して電気的に保持」するものであるから、半導体を処理するシステム、すなわち、半導体処理システムであるといえる。
したがって、本件発明28と甲6発明は、「半導体処理システム」である点で共通する。
イ 甲6発明の「ウェーハ処理装置2の高密度プラズマ反応チャンバ8」は、「半導体ウェーハW」を処理するものであるといえるから、本件発明28の「処理チャンバ」に相当し、本件発明28と甲6発明とは、「処理チャンバ」を有している点で共通する。
ウ 本件発明28において、「静電チャック」は、「前記処理チャンバ内の1つ以上の処理ステーション」の「各々の中」にあるものである。
一方、甲6発明の「静電チャック14」は、「ウェーハ処理装置2の高密度プラズマ反応チャンバ8内の半導体ウェーハWを支持して電気的に保持」するものであるから、「ウェーハ処理装置2」は、少なくとも1つの処理ステーションを有し、「静電チャック14」は、「高密度プラズマ反応チャンバ8」内の少なくとも1つの処理ステーションの中にあるといえる。
したがって、甲6発明と本件発明28とは、「前記処理チャンバ内の1つ以上の処理ステーションと、前記1つ以上の処理ステーションの各々の中にある静電チャック」を有している点で共通する。
エ 甲6発明の「静電チャック64」は、「多数の溝を表面に設けてあり、多数の突出部66が形成されており、これら突出部の中央ゾーン68は、シール72によって、周縁ゾーン70と隔てられており、シール72は、突出部を設けるべく溝を形成するようにはしない単なる領域であり、ウェーハと本質的に均一に接触する固体表面を形成するものであり、外側のシール74は、ヘリウムガスのチャンバ内への漏洩を最小化するためのバリアを提供する」ものであり、甲6の【図3】、【図4】(上記第6 3)の記載を参酌すると、「静電チャック64」は本体を有し、当該本体において、「外側のシール74」の表面は、平面であり、本体の垂直中心軸に直角をなし、半径方向厚さを有する、上側環状封止表面であり、「多数の溝」の下面は、第1の距離だけ上側環状封止表面からオフセットされた下側凹部表面であり、「多数の突出部66」は、下側凹部表面から突出する複数の微小接触領域(MCA)であるといえる。
したがって、甲6発明の「外側のシール74」の表面、「多数の溝」の下面、「多数の突出部66」は、本件発明28の「上側環状封止表面」、「下側凹部表面」、「複数の微小接触領域(MCA)」にそれぞれ相当し、本件発明28と甲6発明とは、「前記静電チャックの各々は本体を有し、前記本体は、
平面であり、前記本体の垂直中心軸に直角をなし、半径方向厚さを有する、上側環状封止表面と、
第1の距離だけ前記上側環状封止表面からオフセットされた下側凹部表面と、
前記下側凹部表面から突出する複数の微小接触領域(MCA)と」を有している点で共通する。
オ(ア)甲6発明において、「直流電源24は、半導体ウェーハWを静電保持する電界を生成させるために、クランプ電圧をペデスタルに供給し」、「チャックは、誘電体86で覆われた電極部84を包含する」ものであるから、「半導体ウェーハWを静電保持する電界を生成させるため」の「クランプ電圧」が、「電極部84」に供給されることは明らかである。
また、上記エで検討したとおり、甲6発明の「静電チャック64」は本体を有するものである。
そうすると、甲6発明は、「静電チャック64」が有する本体内に、半導体ウェーハWを静電保持する電界を生成させるためのクランプ電圧が供給される「電極部84」、すなわち静電クランプ電極を1つ以上有しているといえる。
(イ)甲6発明において、「静電チャック64は、多数の溝を表面に設けてあり、多数の突出部66が形成されており、これら突出部の中央ゾーン68は、シール72によって、周縁ゾーン70と隔てられており、シール72は、突出部を設けるべく溝を形成するようにはしない単なる領域であり、ウェーハと本質的に均一に接触する固体表面を形成するものであり、外側のシール74は、ヘリウムガスのチャンバ内への漏洩を最小化するためのバリアを提供し」、「直流電源24は、半導体ウェーハWを静電保持する電界を生成させるために、クランプ電圧をペデスタルに供給」するものであり、甲6の【図3】、【図4】(上記第6 3)の記載を参酌すると、「外側のシール74」の表面は、「半導体ウェーハW」が「静電チャック64」によって支持されている時に、「半導体ウェーハW」の外側エッジを支持するように構成され、「外側のシール74」の表面及び「多数の突出部66」の上部表面は、「半導体ウェーハW」が「静電チャック64」によって支持されている時に、「静電チャック64」が「半導体ウェーハW」を支持するように構成されているといえる。
(ウ)上記(ア)及び(イ)の検討を参酌すると、甲6発明において、「電極部84」は、「半導体ウェーハW」が「静電チャック64」によって支持されている時、かつ「電極部84」が「直流電源24」によって給電されている時に、「半導体ウェーハW」に少なくとも1つの静電クランプ力を提供するように構成され、「直流電源24」は「電極部84」に電気的に接続されているといえる。
(エ)以上によれば、甲6発明の「半導体ウェーハW」、「多数の突出部66」の上部表面、「直流電源24」は、本件発明28の「半導体基板」、「前記MCAの前記上部表面」、「DC電力供給源」に相当し、本件発明28と甲6発明とは、「前記本体内の1つ以上の静電クランプ電極であって、
前記上側環状封止表面は、半導体基板が前記静電チャックによって支持されている時に、前記半導体基板の外側エッジを支持するように構成され、
前記上側環状封止表面および前記MCAの前記上部表面は、前記半導体基板が前記静電チャックによって支持されている時に、前記半導体基板を支持するように構成され、
前記1つ以上の静電クランプ電極は、前記半導体基板が前記静電チャックによって支持されている時、かつ前記1つ以上の静電クランプ電極がDC電力供給源によって給電されている時に、前記半導体基板に少なくとも1つの静電クランプ力を提供するように構成されている、1つ以上の静電クランプ電極とを含み、
前記DC電力供給源は前記静電クランプ電極に電気的に接続されて」いる点で共通する。
カ 甲6発明において、「直流電源24及びRF電源27は、記憶装置45に保存されたプログラムで作動するコントローラ39により制御され」るものであるから、「コントローラ39」は、「記憶装置45」すなわちメモリ、及び、1以上のプロセッサを備えているといえる。
したがって、甲6発明の「記憶装置45」、「コントローラ39」は、本件発明28の「メモリ」、「コントローラ」にそれぞれ相当し、本件発明28と甲6発明とは、「メモリおよび1以上のプロセッサを有するコントローラとを備え」ている点で共通する。
キ 以上によれば、本件発明28と甲6発明との一致点と相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「半導体処理システムであって、
処理チャンバと、
前記処理チャンバ内の1つ以上の処理ステーションと、
前記1つ以上の処理ステーションの各々の中にある静電チャックと、前記静電チャックの各々は本体を有し、前記本体は、
平面であり、前記本体の垂直中心軸に直角をなし、半径方向厚さを有する、上側環状封止表面と、
第1の距離だけ前記上側環状封止表面からオフセットされた下側凹部表面と、
前記下側凹部表面から突出する複数の微小接触領域(MCA)と、
前記本体内の1つ以上の静電クランプ電極であって、
前記上側環状封止表面は、半導体基板が前記静電チャックによって支持されている時に、前記半導体基板の外側エッジを支持するように構成され、
前記上側環状封止表面および前記MCAの前記上部表面は、前記半導体基板が前記静電チャックによって支持されている時に、前記半導体基板を支持するように構成され、
前記1つ以上の静電クランプ電極は、前記半導体基板が前記静電チャックによって支持されている時、かつ前記1つ以上の静電クランプ電極がDC電力供給源によって給電されている時に、前記半導体基板に少なくとも1つの静電クランプ力を提供するように構成されている、1つ以上の静電クランプ電極とを含み、
前記DC電力供給源は前記静電クランプ電極に電気的に接続されており、
メモリおよび1以上のプロセッサを有するコントローラとを備える、半導体処理システム。」
<相違点>
相違点2-1:本件発明28は、「前記MCAの各々は、前記第1の距離以下である第2の距離だけ前記下側凹部表面からオフセットされた上部表面を有し」ているのに対して、甲6発明は、そのような構成を有しているか不明である点。
相違点2-2:本件発明28は、「前記半導体基板を前記静電クランプ電極上に配置するように構成されているエンドエフェクタ」を備えているのに対し、甲6発明は、そのような構成を有しているか不明である点。
相違点2-3:本件発明28は、「前記メモリは前記1つ以上のプロセッサによる実行時に前記1つ以上のプロセッサに、
前記エンドエフェクタに、前記半導体基板を前記静電チャック上に配置させ、
前記エンドエフェクタが前記半導体基板を前記静電チャック上に位置合わせしている間に、前記半導体基板上に第1の静電クランプ力を生じさせるために、前記DC電力供給源に、前記少なくとも1つの静電クランプ電極に対して電力を供給させ、
前記エンドエフェクタが前記半導体基板を前記静電チャック上に位置合わせした後に、前記半導体基板上に前記第1の静電クランプ力とは異なる第2の静電クランプ力を生じさせるために、前記DC電力供給源に、前記少なくとも1つの静電クランプ電極に対して電力を供給させる、命令を格納する」のに対し、甲6発明は、そのような構成を有しているかどうか不明である点。
(2)相違点についての判断
ア 事案に鑑み、相違点2-3から検討する。
(ア)甲7に記載された事項について
a 上記第6 4(2)で示した甲7に記載された事項においては、「処理室30の内部には、ウェハWを装着するためのステージ33が設けられ(【0037】)、このステージ33は、搬送装置40に設けられた静電チャック43と同じ構造とされ、すなわち、静電チャック34はチャック本体44内に静電吸着用電極45を設けた構成とされ、静電吸着用電極45は配線46により電圧印加され、これにより発生するクーロン力によりウェハWを吸着するものであり(【0038】)、続いて、搬送装置40はウェハWを処理室30の静電チャック34上に装着し、ウェハWが静電チャック34上に装着されると、静電チャック34が起動(ON)してウェハWの吸引を開始し、この状態において、搬送装置40の静電チャック43は依然としてウェハWの保持を維持して」いるから、「ウェハW」を「静電チャック34上」に配置させた後に、「ウェハW」に静電クランプ力を生じさせるために「静電チャック34」の「静電吸着用電極45」に対して電力を供給しているといえる。
ここで、「ウェハW」を「静電チャック34上」に配置させたときには、「ウェハW」の「静電チャック34」上への位置合わせは終了しているといえる。
そうすると、甲7に記載された事項においては、「ウェハW」を「静電チャック34」上に位置合わせした後に、「ウェハW」に静電クランプ力を生じさせるために「静電チャック34」の「静電吸着用電極45」に対して電力を供給しているといえるから、甲7に記載された事項の「ウェハW」、「静電チャック34」、「静電吸着用電極45」は、本件発明28の「半導体基板」、「静電チャック」、「静電クランプ電極」にそれぞれ相当するが、甲7に記載された事項においては、「ウェハW」を「静電チャック34」上に位置合わせしている間に、「ウェハW」上に静電クランプ力を生じさせるために、「静電吸着用電極45」に対して電力を供給しているものではない。
b したがって、甲7に記載された事項は、相違点2-3に係る本件発明28の構成のうち、「前記半導体基板を前記静電チャック上に位置合わせしている間に、前記半導体基板上に第1の静電クランプ力を生じさせるために、前記DC電力供給源に、前記少なくとも1つの静電クランプ電極に対して電力を供給させ」るとの構成を備えているとはいえない。
(イ)甲8に記載された事項について
a 上記第6 5(2)で示した甲8に記載された事項においては、「半導体ウェハWを処理チャンバ12内に導入して静電チャック20の所定位置に搭載し、次に、静電チャック20の電極30への電圧の印加を開始」するものであるから、「半導体ウェハW」を「静電チャック20」上に配置させた後に、「半導体ウェハW」を静電クランプ力を生じさせるために「静電チャック20の電極30」に対して電力を供給しているといえる。
ここで、「半導体ウェハW」を「静電チャック20」上に配置させたときには、「半導体ウェハW」の「静電チャック20」上への位置合わせは終了しているといえる。
そうすると、甲8に記載された事項においては、「半導体ウェハW」の「静電チャック20」上への位置合わせした後に、「半導体ウェハW」を静電クランプ力を生じさせるために「静電チャック20の電極30」に対して電力を供給しているといえるから、甲8に記載された事項の「半導体ウェハW」、「静電チャック20」、「静電チャック20の電極30」は、本件発明28の「半導体基板」、「静電チャック」、「静電クランプ電極」にそれぞれ相当するといえるものの、甲8に記載された事項においては、「半導体ウェハW」を「静電チャック20」上に位置合わせしている間に、「半導体ウェハW」上に静電クランプ力を生じさせるために、「静電チャック20の電極30」に対して電力を供給させているものではない。
b したがって、甲8に記載された事項は、相違点2-3に係る本件発明28の構成のうち、「前記半導体基板を前記静電チャック上に位置合わせしている間に、前記半導体基板上に第1の静電クランプ力を生じさせるために、前記DC電力供給源に、前記少なくとも1つの静電クランプ電極に対して電力を供給させ」るとの構成を備えているとはいえない。
(ウ)以上によれば、甲7及び甲8に記載された事項は、いずれも相違点2-3に係る本件発明28の構成のうち、「前記半導体基板を前記静電チャック上に位置合わせしている間に、前記半導体基板上に第1の静電クランプ力を生じさせるために、前記DC電力供給源に、前記少なくとも1つの静電クランプ電極に対して電力を供給させ」るとの構成を備えているとはいえないから、甲6発明において、甲7、甲8に記載された事項を適用したとしても、相違点2-3に係る本件発明28の構成は得られない。
イ したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明28は、甲6発明及び甲7、甲8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(3)小括
以上によれば、本件発明28は、甲6発明及び甲7、甲8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5 本件発明29、30について
本件発明29、30は、本件発明28の全ての構成を有するものであるから、本件発明28と同様の理由により、甲6発明及び甲7、甲8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
6 本件発明31について
(1)対比
本件発明31と甲6発明とを対比する。
ア 甲6発明において、「ウェーハ処理装置2」は、「静電チャック14」を含み、「静電チャック14は、ウェーハ処理装置2の高密度プラズマ反応チャンバ8内の半導体ウェーハWを支持して電気的に保持」するものであるから、半導体を処理するシステム、すなわち、半導体処理システムであるといえる。
したがって、本件発明31と甲6発明は、「半導体処理システム」である点で共通する。
イ 甲6発明の「ウェーハ処理装置2の高密度プラズマ反応チャンバ8」は、「半導体ウェーハW」を処理するものであるといえるから、本件発明31の「処理チャンバ」に相当し、本件発明31と甲6発明とは、「処理チャンバ」を有している点で共通する。
ウ 本件発明31において、「ペデスタル」は、「前記処理チャンバ内の1つ以上の処理ステーション」の「各々の中」にあるものである。
一方、甲6発明の「静電チャック14」は、「ウェーハ処理装置2の高密度プラズマ反応チャンバ8内の半導体ウェーハWを支持して電気的に保持」するものであるから、「ウェーハ処理装置2」は、少なくとも1つの処理ステーションを有し、「静電チャック14」は、「高密度プラズマ反応チャンバ8」内の少なくとも1つの処理ステーションの中にあるといえる。
したがって、甲6発明と本件発明31とは、「前記処理チャンバ内の1つ以上の処理ステーションと、前記1つ以上の処理ステーションの各々の中にあるペデスタルと」を有している点で共通する。
エ 甲6発明の「静電チャック64」は、「多数の溝を表面に設けてあり、多数の突出部66が形成されており、これら突出部の中央ゾーン68は、シール72によって、周縁ゾーン70と隔てられており、シール72は、突出部を設けるべく溝を形成するようにはしない単なる領域であり、ウェーハと本質的に均一に接触する固体表面を形成するものであり、外側のシール74は、ヘリウムガスのチャンバ内への漏洩を最小化するためのバリアを提供する」ものであり、甲6の【図3】、【図4】(上記第6 3)の記載を参酌すると、「静電チャック64」は本体を有し、当該本体において、「外側のシール74」の表面は、平面であり、本体の垂直中心軸に直角をなし、半径方向厚さを有する、上側環状封止表面であり、「多数の溝」の下面は、第1の距離だけ上側環状封止表面からオフセットされた下側凹部表面であり、「多数の突出部66」は、下側凹部表面から突出する複数の微小接触領域(MCA)であるといえる。
したがって、甲6発明の「外側のシール74」の表面、「多数の溝」の下面、「多数の突出部66」は、本件発明31の「上側環状封止表面」、「下側凹部表面」、「複数の微小接触領域(MCA)」にそれぞれ相当し、本件発明31と甲6発明とは、「前記静電チャックの各々は本体を有し、前記本体は、
平面であり、前記本体の垂直中心軸に直角をなし、半径方向厚さを有する、上側環状封止表面と、
第1の距離だけ前記上側環状封止表面からオフセットされた下側凹部表面と、
前記下側凹部表面から突出する複数の微小接触領域(MCA)と」を有している点で共通する。
オ(ア)甲6発明において、「チャックは、誘電体86で覆われた電極部84を包含する」ものである。
また、上記エで検討したとおり、甲6発明の「静電チャック64」は本体を有するものである。
そうすると、甲6発明は、「静電チャック64」が有する本体内に、「電極部84」を1つ以上有しているといえる。
(イ)甲6発明において、「静電チャック64は、多数の溝を表面に設けてあり、多数の突出部66が形成されており、これら突出部の中央ゾーン68は、シール72によって、周縁ゾーン70と隔てられており、シール72は、突出部を設けるべく溝を形成するようにはしない単なる領域であり、ウェーハと本質的に均一に接触する固体表面を形成するものであり、外側のシール74は、ヘリウムガスのチャンバ内への漏洩を最小化するためのバリアを提供し」、「直流電源24は、半導体ウェーハWを静電保持する電界を生成させるために、クランプ電圧をペデスタルに供給」するものであり、甲6の【図3】、【図4】(上記第6 3)の記載を参酌すると、「外側のシール74」の表面は、「半導体ウェーハW」が「静電チャック64」によって支持されている時に、「半導体ウェーハW」の外側エッジを支持するように構成され、「外側のシール74」の表面及び「多数の突出部66」の上部表面は、「半導体ウェーハW」が「静電チャック64」によって支持されている時に、「静電チャック64」が「半導体ウェーハW」を支持するように構成されているといえる。
(ウ)甲6発明において、「RF電源は、プラズマ反応電力を提供し」、「チャックは、誘電体86で覆われた電極部84を包含する」ものであるから、「電極部84」は、「RF電源」に電気的に接続されることは明らかである。
(エ)以上によれば、甲6発明の「電極部84」、「半導体ウェーハW」、「多数の突出部66」の上部表面、「RF電源」は、本件発明31の「1つ以上のクランプ電極」、「半導体基板」、「前記MCAの前記上部表面」、「無線周波数(RF)電力供給源」に相当し、本件発明31と甲6発明とは、「前記本体内の1つ以上の電極であって、
前記上側環状封止表面は、半導体基板が前記ペデスタルによって支持されている時に、前記半導体基板の外側エッジを支持するように構成され、
前記上側環状封止表面および前記MCAの前記上部表面は、前記半導体基板が前記ペデスタルによって支持されている時に、前記半導体基板を支持するように構成され、
前記1つ以上の電極は、無線周波数(RF)電力供給源に電気的に接続するように構成され」ている点で共通する。
カ 上記オ(ウ)の検討を参酌すると、甲6発明は、「電極部84」に電気的に接続されている「RF電源」を備えているといえるから、本件発明31と甲6発明とは、「前記1つ以上の電極に電気的に接続されている前記RF電力供給源」を備えている点で共通する。
キ 甲6発明において、「直流電源24は、半導体ウェーハWを静電保持する電界を生成させるために、クランプ電圧をペデスタルに供給し」、「チャックは、誘電体86で覆われた電極部84を包含する」ものであるから、「直流電源24」が、「電極部84」に電気的に接続されることは明らかである。
したがって、本件発明31と甲6発明とは、「前記1つ以上の電極に電気的に接続されている直流(DC)電源」を備えている点で共通する。
ク 甲6発明において、「直流電源24及びRF電源27は、記憶装置45に保存されたプログラムで作動するコントローラ39により制御され」るものであるから、「コントローラ39」は、「記憶装置45」すなわちメモリ、及び、1以上のプロセッサを備えているといえる。
したがって、甲6発明の「記憶装置45」、「コントローラ39」は、本件発明31の「メモリ」、「コントローラ」にそれぞれ相当し、本件発明31と甲6発明とは、「メモリおよび1以上のプロセッサを有するコントローラとを備え」ている点で共通する。
ケ 以上によれば、本件発明31と甲6発明との一致点と相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「半導体処理システムであって、
処理チャンバと、
前記処理チャンバ内の1つ以上の処理ステーションと、
前記1つ以上の処理ステーションの各々の中にあるペデスタルと、前記ペデスタルの各々は本体を有し、前記本体は、
平面であり、前記本体の垂直中心軸に直角をなし、半径方向厚さを有する、上側環状封止表面と、
第1の距離だけ前記上側環状封止表面からオフセットされた下側凹部表面と、
前記下側凹部表面から突出する複数の微小接触領域(MCA)と、を有し、
前記本体内の1つ以上の電極であって、
前記上側環状封止表面は、半導体基板が前記ペデスタルによって支持されている時に、前記半導体基板の外側エッジを支持するように構成され、
前記上側環状封止表面および前記MCAの前記上部表面は、前記半導体基板が前記ペデスタルによって支持されている時に、前記半導体基板を支持するように構成され、
前記1つ以上の電極は、無線周波数(RF)電力供給源に電気的に接続するように構成された、1つ以上の電極と、を含み、
前記1つ以上の電極に電気的に接続されている前記RF電力供給源と、
前記1つ以上の電極に電気的に接続されている直流(DC)電源と、
メモリおよび1以上のプロセッサを有するコントローラとを備える、半導体処理システム。」
<相違点>
相違点3-1:本件発明31は、「前記MCAの各々は、前記第1の距離以下である第2の距離だけ前記下側凹部表面からオフセットされた上部表面を有し」ているのに対し、甲6発明は、そのような構成を有しているか不明である点。
相違点3-2:本件発明31は、「電気的接地に電気的に接続さている前記ペデスタルの上方にあるシャワーヘッド」を備えているのに対し、甲6発明は、そのような構成を有しているか不明である点。
相違点3-3:本件発明31は、「前記半導体基板を前記ペデスタル上に配置するように構成されているエンドエフェクタ」を備えているのに対し、甲6発明は、そのような構成を有しているか不明である点。
相違点3-4:本件発明31は、「前記メモリは前記1つ以上のプロセッサによる実行時に前記1つ以上のプロセッサに、
前記エンドエフェクタに、前記半導体基板を前記ペデスタル上に配置させ、
前記半導体基板が前記ペデスタル上に位置合わせされる前に、前記半導体基板上に静電クランプ力を提供するために、前記DC電力供給源に、前記少なくとも1つの静電クランプ電極に対して電力を供給させ、
前記ペデスタルと前記シャワーヘッドとの間にプラズマを発生させるために、前記RF電力供給源に、RF電圧を前記1つ以上の電極に供給させる、命令を格納する」のに対し、甲6発明は、そのような構成を有しているかどうか不明である点。
(2)相違点についての判断
ア 事案に鑑み相違点3-4から検討する。
(ア)甲7に記載された事項について
a 上記4(2)ア(ア)aで検討したとおり、甲7に記載された事項においては、「ウェハW」を「静電チャック34」上に位置合わせした後に、「ウェハW」に静電クランプ力を提供するために「静電チャック34」の「静電吸着用電極45」に対して電力を供給しているといえるから、甲7に記載された事項の「ウェハW」、「静電チャック34」、「静電吸着用電極45」は、本件発明31の「半導体基板」、「ペデスタル」、「静電クランプ電極」にそれぞれ相当するが、甲7に記載された事項においては、「ウェハW」が「静電チャック34」上に位置合わせされる前に、「ウェハW」上に静電クランプ力を提供するために「静電チャック34」の「静電吸着用電極45」に対して電力を供給しているものではない。
b したがって、甲7に記載された事項は、相違点3-4に係る本件発明31の構成である「前記半導体基板が前記ペデスタル上に位置合わせされる前に、前記半導体基板上に静電クランプ力を提供するために、前記DC電力供給源に、前記少なくとも1つの静電クランプ電極に対して電力を供給させ」ることを備えているとはいえない。
(イ)甲8に記載された事項について
a 上記4(2)ア(イ)aで検討したとおり、甲8に記載された事項においては、「半導体ウェハW」の「静電チャック20」上への位置合わせした後に、「半導体ウェハW」を静電クランプ力を生じさせるために「静電チャック20の電極30」に対して電力を供給しているといえるから、甲8に記載された事項の「半導体ウェハW」、「静電チャック20」、「静電チャック20の電極30」は、本件発明31の「半導体基板」、「ペデスタル」、「静電クランプ電極」にそれぞれ相当するといえるものの、甲8に記載された事項においては、「半導体ウェハW」が「静電チャック20」上に位置合わせされる前に、「半導体ウェハW」上に静電クランプ力を提供するために、「静電チャック20の電極30」に対して電力を供給させているものではない。
b したがって、甲8に記載された事項は、相違点3-4に係る本件発明31の構成である「前記半導体基板が前記ペデスタル上に位置合わせされる前に、前記半導体基板上に静電クランプ力を提供するために、前記DC電力供給源に、前記少なくとも1つの静電クランプ電極に対して電力を供給させ」ることを備えているとはいえない。
(ウ)以上によれば、甲7及び甲8に記載された事項は、いずれも相違点3-4に係る本件発明31の構成のうち「前記半導体基板が前記ペデスタル上に位置合わせされる前に、前記半導体基板上に静電クランプ力を提供するために、前記DC電力供給源に、前記少なくとも1つの静電クランプ電極に対して電力を供給させ」るとの構成を備えていとはいえないから、甲6発明において、甲7、甲8に記載された事項を適用したとしても、相違点3-4に係る本件発明31の構成は得られない。
イ したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明31は、甲6発明及び甲7、甲8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(3)小括
以上によれば、本件発明31は、甲6発明及び甲7、甲8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
7 本件発明32、33について
本件発明32、33は、本件発明31の全ての構成を有するものであるから、本件発明31と同様の理由により、甲6発明及び甲7~甲9に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
8 まとめ
以上のとおりであるから、請求項1、5、20、26に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではなく、請求項1~9、11、12、15~33に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、取消理由1-1(新規性)、取消理由1-2(進歩性)、申立理由1(新規性)、申立理由2(進歩性)は、理由がない。
第8 取消理由2(明確性要件)
取消理由2(明確性要件)は、請求項13、14に対するものであるが、請求項13、14は、本件訂正により削除されたから、取消理由2(明確性要件)は解消した。
第9 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~9、11、12、15~33に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~9、11、12、15~33に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項10、13、14は、本件訂正により削除されたため、本件特許の請求項10、13、14に対して、申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700308