特許異議申立
2024-700604
フリップチップパッケージ、フリップチップパッケージ基板およびフリップチップパッケージの製造方法
- 審判番号
- 2024-700604
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-106973
- 登録番号
- 7404665
- 請求日
- 2024年06月25日
- 審決日
- 2025年09月24日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】TOPPANホールディングス株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人第一国際特許事務所
- 【異議申立人】藤江 桂子
- 審判長/審判官
- 審判長 小宮 慎司
- 審判官 棚田 一也
- 審判官 河本 充雄
- 分類
- P1651.113-YAA(H01L) / P1651.121-YAA(H01L) / P1651.537-YAA(H01L) / P1651.841-YAA(H01L) / P1651.851-YAA(H01L) / P1651.853-YAA(H01L) / P1651.854-YAA(H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7404665号発明「フリップチップパッケージ、フリップチップパッケージ基板およびフリップチップパッケージの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7404665号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3、4〕、2について訂正することを認める。
特許第7404665号の請求項1~4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7404665号の請求項1~4に係る特許(以下、「本件特許」ともいう。)についての出願は、令和元年6月7日の出願であって、令和5年12月18日にその特許権の設定登録がされ、同年同月26日に特許掲載公報が発行された。
その特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 6月25日:特許異議申立人 藤江 桂子(以下、「申立人」という。)による請求項1~4に係る特許に対する特許異議の申立て
令和6年 8月28日付け:取消理由通知
同年10月 9日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年11月19日 :申立人による意見書の提出
同年12月25日付け:訂正拒絶理由通知
令和7年 1月29日 :特許権者による意見書及び手続補正書の提出
同年 3月 5日付け:取消理由通知(決定の予告)
同年 4月21日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 6月10日 :申立人による意見書の提出
なお、令和6年10月9日に特許権者によりされた訂正の請求については、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和7年4月21日にされた訂正請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所を示すため合議体が付与した。)。
(1)訂正事項1
請求項1に
「2つ以上の半導体チップを搭載するフリップチップパッケージにおいて、
第一の配線基板の半導体チップを搭載する側の面に、第一の配線基板よりも面積の小さい第二の配線基板が備えられており、
半導体チップのうち少なくとも2つは、第一の配線基板と第二の配線基板の両方に跨って電気的に接続されているとともに、第二の配線基板に形成された配線によって相互に電気的に接続されており、
第二の配線基板に形成された少なくとも一部の、配線の線幅とピッチは、第一の配線基板に形成された配線の線幅とピッチより小さく、
第二の配線基板は、絶縁層と配線層の積層体であって、一方の面のみに接続パッドを備えており、
第一の配線基板と第二の配線基板の両方に跨って電気的に接続される半導体チップは、第一の配線基板との対向距離と、前記第二の配線基板との対向距離が10μm以上100μm以下の範囲で異なる
ことを特徴とするフリップチップパッケージ。」と記載されているのを、
「2つ以上の半導体チップを搭載するフリップチップパッケージにおいて、
第一の配線基板の半導体チップを搭載する側の面に、前記第一の配線基板よりも面積の小さい第二の配線基板が備えられており、
半導体チップのうち少なくとも2つは、前記第一の配線基板と前記第二の配線基板の両方に跨って電気的に接続されているとともに、前記第二の配線基板に形成された配線によって相互に電気的に接続されており、
前記第二の配線基板に形成された少なくとも一部の、配線の線幅とピッチは、前記第一の配線基板に形成された配線の線幅とピッチより小さく、
前記第二の配線基板は、絶縁層と配線層の積層体であって、一方の面のみに接続パッドを備えており、
前記第一の配線基板と前記第二の配線基板の両方に跨って電気的に接続される半導体チップは、前記第一の配線基板との対向距離と、前記第二の配線基板との対向距離が10μm以上100μm以下の範囲で異なる
ことを特徴とするフリップチップパッケージ。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項3、4も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
請求項3に
「請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法であって、
前記第二の配線基板を製造する工程と、
前記第一の配線基板と前記第二の配線基板とを接続することでフリップチップパッケージ基板を製造する工程と、
フリップチップパッケージ基板に接続用突起を形成する工程と、
接続用突起を形成したフリップチップパッケージ基板に半導体チップを実装する工程と、を備えており、
前記第二の配線基板を製造する工程は、
支持基板上に剥離層を形成した後、ビルドアップ工法により、最上部にパッドが配置される様に多層配線積層体を形成する工程と、
支持基板から多層配線積層体を剥離し、前記第一の配線基板の所定の位置に配置し固定する工程と、
前記半導体チップに、前記半導体チップと第一の配線基板および第二の配線基板とを電気的に接続する接続突起を形成する工程と、
を備えていることを特徴とするフリップチップパッケージの製造方法。」と記載されているのを、
「請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法であって、
前記第二の配線基板を製造する工程と、
前記第一の配線基板と前記第二の配線基板とを接続することでフリップチップパッケージ基板を製造する工程と、
前記フリップチップパッケージ基板に接続用突起を形成する工程と、
前記接続用突起を形成したフリップチップパッケージ基板に半導体チップを実装する工程と、を備えており、
前記第二の配線基板を製造する工程は、
支持基板上に剥離層を形成した後、ビルドアップ工法により、最上部にパッドが配置される様に多層配線積層体を形成する工程と、
前記支持基板から前記多層配線積層体を剥離し、前記第一の配線基板の所定の位置に配置し固定する工程と、
を備えていることを特徴とするフリップチップパッケージの製造方法。」に訂正する。
(3)訂正事項3
請求項4に
「請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法であって、
前記第二の配線基板を製造する工程と、
前記第一の配線基板と前記第二の配線基板とを接続することでフリップチップパッケージ基板を製造する工程と、
フリップチップパッケージ基板に接続用突起を形成する工程と、
接続用突起を形成したフリップチップパッケージ基板に半導体チップを実装する工程と、を備えており、
前記第二の配線基板を製造する工程は、
支持基板上に剥離層を形成した後、ビルドアップ工法により、最下部にパッドが配置される様に多層配線積層体を形成する工程と、
支持基板上に形成された多層配線積層体を、前記第一の配線基板の所定の位置に配置し固定した後、支持基板を剥離する工程と、
前記半導体チップに、前記半導体チップと第一の配線基板および第二の配線基板とを電気的に接続する接続突起を形成する工程と、
を備えていることを特徴とするフリップチップパッケージの製造方法。」と記載されているのを、
「請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法であって、
前記第二の配線基板を製造する工程と、
前記第一の配線基板と前記第二の配線基板とを接続することでフリップチップパッケージ基板を製造する工程と、
前記フリップチップパッケージ基板に接続用突起を形成する工程と、
前記接続用突起を形成したフリップチップパッケージ基板に半導体チップを実装する工程と、を備えており、
前記第二の配線基板を製造する工程は、
支持基板上に剥離層を形成した後、ビルドアップ工法により、最下部にパッドが配置される様に多層配線積層体を形成する工程と、
前記支持基板上に形成された多層配線積層体を、前記第一の配線基板の所定の位置に配置し固定した後、前記支持基板を剥離する工程と、
を備えていることを特徴とするフリップチップパッケージの製造方法。」に訂正する。
(4)訂正事項4
請求項2に
「2つ以上の半導体チップを搭載するフリップチップパッケージに使用するフリップチップパッケージ基板であって、
多層配線積層体からなる、第一の配線基板と第二の配線基板を備えており、
第一の配線基板は、一方の面に、プリント配線基板との接続を行うパッドを備え、もう一方の面に、半導体チップとの接続を行うパッドを備えており、
第二の配線基板は、一方の面のみに接続パッドを備え、少なくとも2つの半導体チップとの接続を行う、前記パッドを上面にして第一の配線基板上に備えられており、
第二の配線基板の厚さが10μm以上100μm以下であり、
第二の配線基板により半導体チップ間が接続されている
ことを特徴とするフリップチップパッケージ基板。」と記載されているのを、
「2つ以上の半導体チップを搭載するフリップチップパッケージに使用するフリップチップパッケージ基板であって、
多層配線積層体からなる、第一の配線基板と第二の配線基板を備えており、
前記第一の配線基板は、一方の面に、プリント配線基板との接続を行うパッドを備え、もう一方の面に、半導体チップとの接続を行うパッドを備えており、
前記第二の配線基板は、一方の面のみに、少なくとも2つの半導体チップとの接続を行う接続パッドを備え、前記接続パッドを上面にして、前記第一の配線基板の前記半導体チップとの接続を行うパッドを備えている面に備えられており、
前記第二の配線基板の厚さが10μm以上100μm以下であり、
前記第二の配線基板により半導体チップ間が接続される
ことを特徴とするフリップチップパッケージ基板。」に訂正する。
(5)訂正事項5
明細書の【0051】に「11・・・(第二の配線基板と接続する)パッド」と記載されているのを、「11・・・(半導体チップと接続する)パッド」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1において、「前記」が記載されていなかった構成について「前記」を付し、対応関係を明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2
ア 訂正前の請求項3には、「前記第二の配線基板を製造する工程」について、「前記半導体チップに、前記半導体チップと第一の配線基板および第二の配線基板とを電気的に接続する接続突起を形成する工程」が記載されていたが、この工程は、「前記第二の配線基板を製造する工程」には該当しないから、訂正前の請求項3の記載は不明確であったところ、訂正事項2による訂正は、「前記半導体チップに、前記半導体チップと第一の配線基板および第二の配線基板とを電気的に接続する接続突起を形成する工程と、」を削除し、請求項3の記載を明瞭にするものである。
また、訂正事項2による訂正は、訂正前の請求項3において、「前記」が記載されている箇所と記載されていない箇所があり、対応関係が不明瞭な箇所があったため、「前記」が記載されていなかった構成について「前記」を付し、対応関係を明瞭にするものである。
したがって、訂正事項2による訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 申立人の主張について
申立人は、令和6年11月19日提出の意見書5ページ5~10行において、訂正事項2は、訂正前の請求項3における「前記半導体チップに、前記半導体チップと第一の配線基板および第二の配線基板とを電気的に接続する接続突起を形成する工程と、」を削除しようとしているが、特許請求の範囲を拡張しているから、訂正の目的((1)特許請求の範囲の減縮、(2)誤記又は誤訳の訂正、(3)明瞭でない記載の釈明、(4)請求項間の引用関係の解消)に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものである旨主張している。
しかし、上記アで検討したとおり、訂正事項2による訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、申立人の上記主張は採用できない。
(3)訂正事項3
ア 訂正前の請求項4には、「前記第二の配線基板を製造する工程」について、「前記半導体チップに、前記半導体チップと第一の配線基板および第二の配線基板とを電気的に接続する接続突起を形成する工程」が記載されていたが、この工程は、「前記第二の配線基板を製造する工程」には該当しないから、訂正前の請求項4の記載は不明確であったところ、訂正事項3による訂正は、「前記半導体チップに、前記半導体チップと第一の配線基板および第二の配線基板とを電気的に接続する接続突起を形成する工程と、」を削除し、請求項4の記載を明瞭にするものである。
また、訂正事項3による訂正は、訂正前の請求項4において、「前記」が記載されている箇所と記載されていない箇所があり、対応関係が不明瞭な箇所があったため、「前記」が記載されていなかった構成について「前記」を付し、対応関係を明瞭にするものである。
したがって、訂正事項3による訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 申立人の主張について
申立人は、令和6年11月19日提出の意見書5ページ下から7行~2行において、訂正事項3は、訂正前の請求項4における「前記半導体チップに、前記半導体チップと第一の配線基板および第二の配線基板とを電気的に接続する接続突起を形成する工程と、」を削除しようとしているが、特許請求の範囲を拡張しているから、訂正の目的((1)特許請求の範囲の減縮、(2)誤記又は誤訳の訂正、(3)明瞭でない記載の釈明、(4)請求項間の引用関係の解消)に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものである旨主張している。
しかし、上記アで検討したとおり、訂正事項3による訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、申立人の上記主張は採用できない。
(4)訂正事項4
ア(ア)訂正事項4による訂正は、訂正前の請求項2において、「パッド」にのみ「前記」が記載され、他の構成には「前記」が記載されていないため対応関係が不明瞭であり、さらに、「前記パッド」は、「プリント配線基板との接続を行うパッド」、「半導体チップとの接続を行うパッド」、「接続パッド」のいずれのパッドを指すのか不明確であったのを、「前記」が記載されていなかった構成について「前記」を付し、対応関係を明瞭にするとともに、「一方の面のみに接続パッドを備え、少なくとも2つの半導体チップとの接続を行う、前記パッドを上面にして」との記載を、「一方の面のみに、少なくとも2つの半導体チップとの接続を行う接続パッドを備え、前記接続パッドを上面にして、」と訂正し、「前記パッド」が、「半導体チップとの接続を行う接続パッド」であることを明確にするものであり、このことは、本件明細書等の【0011】及び【0028】の記載に基づくものであるといえる。
(イ)また、訂正事項4による訂正は、「第二の配線基板」について、「前記第一の配線基板の前記半導体チップとの接続を行うパッドを備えている面」に備えられていることを限定したものであり、このことは、本件明細書等の【0027】、【0028】、【0036】、【0037】及び【図1】、【図2】(d)、(e)の記載に基づくものであるといえる。
(ウ)さらに、訂正前の請求項2に係る発明は、「フリップパッケージ基板」の発明であるものの、「第二の配線基板により半導体チップ間が接続されている」という「フリップパッケージ基板」以外の構成を含んでいるため不明確であったところ、訂正事項4による訂正は、「第二の配線基板により半導体チップ間が接続されている」との記載を「第二の配線基板により半導体チップ間が接続される」と訂正し、フリップパッケージ基板以外の構成を含まないことを明確にするものである。
(エ)したがって、訂正事項4による訂正は、特許請求の範囲の減縮、及び、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 申立人の主張
(ア)半導体チップとの接続関係について(当審注:下線は当審が付与した。以下、同様である。)
a 申立人は、令和7年6月10日提出の意見書の6ページ7行~7ページ4行において、訂正事項4における「前記第二の配線基板は、一方の面のみに、少なくとも2つの半導体チップとの接続を行う接続パッドを備え、前記接続パッドを上面にして、前記第一の配線基板の前記半導体チップとの接続を行うパッドを備えている面に備えられており、」との特定の「前記半導体チップ」における「前記」は、第一の配線基板のパッドと接続される「半導体チップ」を指すものと解されるが、当該「2つの半導体チップ」における「半導体チップ」には「前記」が付されていないから、第一の配線基板のパッドと接続される「半導体チップ」とは異なる半導体チップを指すものと解され(訂正請求により必要な箇所には「前記」が付されたが、「2つの半導体チップ」には「前記」が付されていない。)、第一の配線基板に「半導体チップ」が接続され、第二の配線基板に当該「半導体チップ」とは異なる他の「2つの半導体チップ」が接続されていることとなり、「半導体チップ」と「2つの半導体チップ」とがどのような関係にあるのか不明確であるため、訂正事項4は、「特許請求の範囲の減縮」、「誤記又は誤訳の訂正」、「明瞭でない記載の釈明」、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」のいずれを目的とするものに該当しないし、また、「半導体チップ」と「2つの半導体チップ」が異なることは、本件明細書等に記載されていないから、訂正事項4は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正ではない旨主張している。
b 申立人が主張するとおり、訂正事項4における「前記第二の配線基板は、一方の面のみに、少なくとも2つの半導体チップとの接続を行う接続パッドを備え、前記接続パッドを上面にして、前記第一の配線基板の前記半導体チップとの接続を行うパッドを備えている面に備えられており、」との事項の「前記半導体チップ」における「前記」は、第一の配線基板のパッドと接続される「半導体チップ」を指すものと解され、また、上記「2つの半導体チップ」の「半導体チップ」には、「前記」が付されていない。
そして、訂正後の請求項2には、第一の配線基板のパッドと接続される「半導体チップ」と「2つの半導体チップ」の関係が記載されていない。
そこで、本件明細書等の記載を参照するに、本件明細書等には、以下の記載がある。
「【0025】
<フリップチップパッケージ基板>
本発明のフリップチップパッケージ基板は、図1に例示した様な、2つ以上の半導体チップを搭載するフリップチップパッケージ40に使用するフリップチップパッケージ基板30(図2(d)および図3(d)参照)である。
【0026】
本発明のフリップチップパッケージ基板30は、多層配線積層体からなる、第一の配線基板3と第二の配線基板5を備えている。
【0027】
第一の配線基板3は、一方の面に、狭ピッチな微細配線では無いマザーボードの様なプリント配線基板との接続を行うパッド4を備え、もう一方の面に、狭ピッチなパッドを備えた半導体チップ6、7との接続を行うパッド11を備えている。
【0028】
第二の配線基板5は、少なくとも2つの半導体チップ6、7との接続を行うパッド17を備えた面を上面にして第一の配線基板3上に備えられている。
【0029】
第二の配線基板5により、少なくとも2つ半導体チップ6、7間が接続可能となることが特徴である。」
「【図1】
[図:0001429987000001.jpg]
【図2】
[図:0001429987000002.jpg]
」
c 上記bの本件明細書等の記載によれば、第一の配線基板3は、半導体チップ6、7との接続を行うパッド11を備え、第二の配線基板5は、少なくとも2つの半導体チップ6、7との接続を行うパッド17を備えるものであるから、第一の配線基板3が備えるパッド11、及び、第二の配線基板5が備えるパッド17には、いずれも2つの半導体チップ6、7が接続されるものであるといえる。
ここで、訂正事項4には、「前記第二の配線基板は、一方の面のみに、少なくとも2つの半導体チップとの接続を行う接続パッドを備え」と特定されているから、「2つの半導体チップ」は、第二の配線基板の接続パッドと接続されるものである。
そうすると、訂正事項4において、第一の配線基板のパッドと接続される「半導体チップ」と、第二の配線基板の接続パッドと接続される「2つの半導体チップ」とは、同じ「半導体チップ」であるといえる。
したがって、第一の配線基板のパッドと接続される「半導体チップ」と「2つの半導体チップ」との関係は明確である。
(イ)「面に」について
a 申立人は、令和7年6月10日提出の意見書の7ページ6行~14行において、訂正事項4による訂正は、「第二の配線基板は、・・・第一の配線基板上に備えられており」を「前記第二の配線基板は、・・・前記第一の配線基板の前記半導体チップとの接続を行うパッドを備えている面に備えられており、」と特定し、第一の配線基板の「基板上に」から「基板の・・・面に」に変更しようとしているが、第二の配線基板が第一の配線基板の「上に」あるという限定を削除するものであり、例えば、甲第2号証(特開2014-140022号公報)のように、第二の配線基板が第一の配線基板の面内に埋め込まれて載っている態様をも包含することとなり、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものではなく、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものである旨主張している。
b(a)しかし、訂正前の請求項2の「基板上に」は、「基板の面に」と「基板の上方に」との両方の意味を含んでおり、訂正事項4による訂正は、「基板上に」を「基板の面に」と限定するものである。
(b)また、訂正事項4の「前記第二の配線基板」は、「前記第一の配線基板の前記半導体チップとの接続を行うパッドを備えている面に備えられて」いるものであるから、「第一の配線基板」の「前記半導体チップとの接続を行うパッドを備えている面」と、「第一配線基板」の「第二の配線基板」を備えている面とは、同じ面である。
一方、甲第2号証の【0025】には、「有機ブリッジ304は、基板302の凹部内に配置され」と記載されており、同【図3】を参酌すると、有機ブリッジは、基板302の凹部の底面に備えられるものであって、基板302のダイ318、319との接続を行う接点306を備えている面には備えられていない。
したがって、訂正事項4は、第二の配線基板が第一の配線基板の面内に埋め込まれて載っている態様を包含するものではない。
(ウ)「接続される」について
a 申立人は、令和6年11月19日提出の意見書の6ページ下から9行~最下行において、訂正事項4は、訂正前の請求項2における「第二の配線基板により半導体チップ間が接続されている」を「第二の配線基板により半導体チップ間が接続される」と変更しようとしているが、その意味は変わっておらず、訂正の目的((1)特許請求の範囲の減縮、(2)誤記又は誤訳の訂正、(3)明瞭でない記載の釈明、(4)請求項間の引用関係の解消) に該当せず、仮に、当該訂正事項4により「第二の配線基板により半導体チップ間が接続される可能性がある」という意味に変更しようとしているのであれば、明らかに発明特定事項を実質的に削除しようとするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものである旨主張している。
b しかし、上記ア(ウ)、(エ)で検討したとおり、訂正前の請求項2に係る発明は、「フリップパッケージ基板」の発明であるものの、「第二の配線基板により半導体チップ間が接続されている」という「フリップパッケージ基板」以外の構成を含んでいるため不明確であったところ、訂正事項4による訂正は、「第二の配線基板により半導体チップ間が接続されている」との記載を「第二の配線基板により半導体チップ間が接続される」と訂正し、フリップパッケージ基板以外の構成を含まないことを明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(エ)以上から、申立人の上記主張はいずれも採用できない。
(5)訂正事項5
訂正事項5による訂正は、本件明細書等の【0051】に記載された符号11の説明の「(第二の配線基板と接続する)パッド」との記載を「(半導体チップと接続する)パッド」とし、本件明細書等の【0020】、【0022】及び【図1】の記載との整合させるための記載であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3、4〕、2について訂正することを認める。
第3 訂正後の請求項1~4に係る発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~4に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明4」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
2つ以上の半導体チップを搭載するフリップチップパッケージにおいて、
第一の配線基板の半導体チップを搭載する側の面に、前記第一の配線基板よりも面積の小さい第二の配線基板が備えられており、
半導体チップのうち少なくとも2つは、前記第一の配線基板と前記第二の配線基板の両方に跨って電気的に接続されているとともに、前記第二の配線基板に形成された配線によって相互に電気的に接続されており、
前記第二の配線基板に形成された少なくとも一部の、配線の線幅とピッチは、前記第一の配線基板に形成された配線の線幅とピッチより小さく、
前記第二の配線基板は、絶縁層と配線層の積層体であって、一方の面のみに接続パッドを備えており、
前記第一の配線基板と前記第二の配線基板の両方に跨って電気的に接続される半導体チップは、前記第一の配線基板との対向距離と、前記第二の配線基板との対向距離が10μm以上100μm以下の範囲で異なる
ことを特徴とするフリップチップパッケージ。
【請求項2】
2つ以上の半導体チップを搭載するフリップチップパッケージに使用するフリップチップパッケージ基板であって、
多層配線積層体からなる、第一の配線基板と第二の配線基板を備えており、
前記第一の配線基板は、一方の面に、プリント配線基板との接続を行うパッドを備え、もう一方の面に、半導体チップとの接続を行うパッドを備えており、
前記第二の配線基板は、一方の面のみに、少なくとも2つの半導体チップとの接続を行う接続パッドを備え、前記接続パッドを上面にして、前記第一の配線基板の前記半導体チップとの接続を行うパッドを備えている面に備えられており、
前記第二の配線基板の厚さが10μm以上100μm以下であり、
前記第二の配線基板により半導体チップ間が接続される
ことを特徴とするフリップチップパッケージ基板。
【請求項3】
請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法であって、
前記第二の配線基板を製造する工程と、
前記第一の配線基板と前記第二の配線基板とを接続することでフリップチップパッケージ基板を製造する工程と、
前記フリップチップパッケージ基板に接続用突起を形成する工程と、
前記接続用突起を形成したフリップチップパッケージ基板に半導体チップを実装する工程と、を備えており、
前記第二の配線基板を製造する工程は、
支持基板上に剥離層を形成した後、ビルドアップ工法により、最上部にパッドが配置される様に多層配線積層体を形成する工程と、
前記支持基板から前記多層配線積層体を剥離し、前記第一の配線基板の所定の位置に配置し固定する工程と、
を備えていることを特徴とするフリップチップパッケージの製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のフリップチップパッケージの製造方法であって、
前記第二の配線基板を製造する工程と、
前記第一の配線基板と前記第二の配線基板とを接続することでフリップチップパッケージ基板を製造する工程と、
前記フリップチップパッケージ基板に接続用突起を形成する工程と、
前記接続用突起を形成したフリップチップパッケージ基板に半導体チップを実装する工程と、を備えており、
前記第二の配線基板を製造する工程は、
支持基板上に剥離層を形成した後、ビルドアップ工法により、最下部にパッドが配置される様に多層配線積層体を形成する工程と、
前記支持基板上に形成された多層配線積層体を、前記第一の配線基板の所定の位置に配置し固定した後、前記支持基板を剥離する工程と、
を備えていることを特徴とするフリップチップパッケージの製造方法。」
第4 申立理由の概要
申立人は、証拠として甲第1号証~甲第4号証(以下、「甲1」~「甲4」という。)を提出し、以下の理由により、請求項1~4に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
1 申立理由1(新規性)
請求項1、2に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
2 申立理由2-1(進歩性)
請求項1~4に係る発明は、甲1に記載された発明及び周知技術(甲2~甲4)に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
3 申立理由2-2(進歩性)
請求項1~4に係る発明は、甲2に記載された発明及び周知技術(甲1、甲3、甲4)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
4 申立理由3(サポート要件)
請求項1~4に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、請求項1~4に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
5 申立理由4(明確性要件)
請求項1~4に係る発明は、特許請求の範囲の記載が明確でないから、請求項1~4に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
[証拠方法]
甲1:国際公開第2017/138121号
甲2:特開2014-140022号公報
甲3:特開2004-146602号公報
甲4:国際公開第2018/047861号
第5 取消理由の概要
1 当審において、令和6年8月28日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
(1)取消理由1(明確性要件)
請求項1~4に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
記
ア 本件発明2は、「フリップチップパッケージ基板」の発明であるものの、「第二の配線基板により半導体チップ間が接続されている」という、「フリップチップパッケージ基板」以外の構成を有しているから明確でない(以下、「取消理由1-1」という。)。
なお、申立人は、特許異議申立書65ページ2~5行において同旨の主張をしている。
イ 本件発明3、4は、「前記第二の配線基板を製造する工程は、・・・前記半導体チップに、前記半導体チップと第一の配線基板および第二の配線基板とを電気的に接続する接続突起を形成する工程と、を備えている」ものであるが、「半導体チップ」と「第二の配線基板」とは別の構成であり、「前記半導体チップに、前記半導体チップと第一の配線基板および第二の配線基板とを電気的に接続する接続突起を形成する工程」は、「前記第二の配線基板を製造する工程」には該当しないから、本件発明3、4は明確でない(以下、「取消理由1-2」という。)。
なお、申立人は、特許異議申立書65ページ7~14行において同旨の主張をしている。
ウ(ア)本件発明1には、「第二の配線基板」の一箇所にのみ「前記」が付されているものの、他の構成には「前記」は付されていないから、対応関係が不明瞭である。
また、本件発明3、4についても、「前記」が付されている箇所と付されていない箇所があり、同様に対応関係が不明瞭である(以下、「取消理由1-3」という。)。
なお、申立人は、特許異議申立書65ページ16~25行において同旨の主張をしている。
(イ)本件発明2には、「パッド」にのみ「前記」が付されているものの、他の構成には「前記」は付されていないから、対応関係が不明瞭である。
なお、申立人は、特許異議申立書65ページ16~17行において同旨の主張をしている。
また、本件発明2に特定されている「前記パッド」は、「プリント配線基板との接続を行うパッド」、「半導体チップとの接続を行うパッド」、「接続パッド」のいずれの「パッド」を指すのか不明瞭である(以下、「取消理由1-4」という。)。
2 当審において、令和7年3月5日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
(1)取消理由2(明確性要件)
請求項2に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
記
ア 本件発明2は、「フリップチップパッケージ基板」の発明であるものの、「第二の配線基板により半導体チップ間が接続されている」という、「フリップチップパッケージ基板」以外の構成を有しているから明確でない。
なお、この取消理由は、上記1(1)アの取消理由1-1と同じ内容であるから、以下、まとめて「取消理由1-1」という。)
イ 本件発明2には、「パッド」にのみ「前記」が付されているものの、他の構成には「前記」は付されていないから、対応関係が不明瞭である。
また、本件発明2に特定されている「前記パッド」は、「プリント配線基板との接続を行うパッド」、「半導体チップとの接続を行うパッド」、「接続パッド」のいずれの「パッド」を指すのか不明瞭である。
なお、この取消理由は、上記1(1)ウ(イ)の取消理由1-4と同じ内容であるから、以下、まとめて「取消理由1-4」という。)
第6 甲号証の記載、甲号証に記載された発明等
1 甲1(国際公開第2017/138121号)
(1)甲1には、以下の記載がある。
「[技術分野]
[0001] 本発明は、半導体装置に関し、例えば、半導体チップなどの複数の半導体部品が配線部材を介して互いに電気的に接続された半導体装置に適用して有効な技術に関する。」
「[0025] 図1に示す半導体装置PKG1および半導体装置PKGh1(図28参照)のそれぞれは、パッケージ基板である配線基板10と、配線基板10の上面10t上に搭載される半導体部品20および半導体部品30と、半導体部品20と半導体部品30との間を電気的に接続する配線部材であるインタポーザ40(図28ではインタポーザ40h)と、を有している。インタポーザ(ブリッジチップ)40は、配線基板10を介さずに、半導体部品20と半導体部品30とを電気的に接続する複数の配線経路を備えた配線部材である。
・・・
[0038] ここで、半導体部品20と半導体部品30とを電気的に接続する方法として、図28に示す半導体装置PKGh1のように、配線基板10上にインタポーザ40hを搭載し、インタポーザ40h上に半導体部品20と半導体部品30とを搭載する方法が考えられる。半導体装置PKGh1の場合、半導体部品20および半導体部品30の全体がインタポーザ40hに搭載されている。言い換えれば、半導体装置PKGh1が有する半導体部品20および半導体部品30のそれぞれは、インタポーザ40hを介して配線基板10と電気的に接続されている。
[0039] このため、半導体装置PKGh1の場合、シリアル通信方式で信号SG1が伝送される信号伝送経路Lsg1の一部分は、インタポーザ40hを通過する。インタポーザ40hは、パラレル通信方式で信号SG2が伝送される信号伝送経路Lsg2が形成される配線部材である。このため、インタポーザ40hでは、配線基板10と比較して断面積が小さい微細な配線が高密度で配置されている。言い換えれば、インタポーザ40hの配線設計において適用される設計ルールは、配線基板10の配線設計において適用される設計ルールと比較して、配線の厚さ、配線幅、および隣り合う配線間距離の設計基準値が小さい。例えば、図28に示す例では、信号伝送経路Lsg1の一部を構成する半導体部品20の端子PD1に接続されるバンプ電極BPh1の体積は、図1に示すバンプ電極(導電性部材)BP1の体積より小さく、バンプ電極(導電性部材)BP2やバンプ電極(導電性部材)BP3と同程度の体積である。
・・・
[0068] 図2や図4に示す例では、半導体部品20および半導体部品30は、例えばシリコンなどの半導体材料から成る半導体基板、半導体基板の主面に形成された複数の半導体素子、半導体基板の主面上に積層された配線層、および配線層を介して複数の半導体素子と電気的に接続されている複数の端子を備える半導体チップである。・・・
・・・
[0078] 図4に示す例では、互いに対向するように配置されている半導体部品20の端子21と配線基板10のボンディングパッド16とは、バンプ電極51を介して電気的に接続されている。また、互いに対向するように配置されている半導体部品の端子31と配線基板10のボンディングパッド16とは、バンプ電極52を介して電気的に接続されている。このように互いに対向した端子間を、バンプ電極を介して電気的に接続する方法をフリップチップ接続方式と呼ぶ。
[0079] また、図4に示すように、半導体部品20とインタポーザ40、および半導体部品30とインタポーザ40のそれぞれは、複数のバンプ電極(導電性部材)53を介して電気的に接続されている。複数のバンプ電極53のそれぞれは、インタポーザ40と、半導体部品20または半導体部品30を電気的に接続する導電性部材であって、インタポーザ40と半導体部品20の間、およびインタポーザ40と半導体部品30の間に、それぞれ配置されている。複数のバンプ電極53には、図1に示す端子PD2に接続されるバンプ電極BP2が含まれる。また、複数のバンプ電極53には、図1に示す端子PD3に接続されるバンプ電極BP3が含まれる。また、複数のバンプ電極53には、図1に示す端子PD5に接続されるバンプ電極BP5が含まれる。また、バンプ電極53は、半田ボール、あるいは柱状に形成された金属部材である。
[0080] 本実施の形態では、半導体部品20とインタポーザ40、および半導体部品30とインタポーザ40は、それぞれフリップチップ接続方式により電気的に接続さている。すなわち、図5に示すように、互いに対向するように配置されている半導体部品20の端子22とインタポーザ40のボンディングパッド(端子、中継基板端子)41とは、バンプ電極53を介して電気的に接続されている。また、図6に示すように、互いに対向するように配置されている半導体部品の端子32とインタポーザ40のボンディングパッド(端子、中継基板端子)42とは、バンプ電極53を介して電気的に接続されている。なお、インタポーザ40が有する複数のボンディングパッド(端子、中継基板端子)のうち、図5に示すように半導体部品20と厚さ方向に重なる位置に配置されるものをボンディングパッド41と呼び、図6に示すように、半導体部品30と厚さ方向に重なる位置に配置されるものをボンディングパッド42と呼ぶ。
[0081] また、図5に示すボンディングパッド41と図6に示すボンディングパッド42とは、インタポーザ40が有する配線43を介して互いに電気的に接続されている。つまり、図4に示す半導体部品20と半導体部品30は、インタポーザ40の配線43を介して電気的に接続されている。
[0082] また、本実施の形態では、厚さ方向(すなわち、配線基板10の上面10tに直交するZ方向)において、インタポーザ40は、半導体部品20と配線基板10との間に位置する部分、および半導体部品30と配線基板10との間に位置する部分を有している。また、図5に示すように、インタポーザ40の下面40bと配線基板10の上面10tとの間には隙間が空いており、隙間には、樹脂体55が配置されている。このように、半導体部品20、30と配線基板10との間にインタポーザ40の一部分が配置されている場合、バンプ電極53の高さ(図4に示すZ方向の長さ)は、バンプ電極51およびバンプ電極52の高さ(図4に示すZ方向の長さ)より小さい。例えば、バンプ電極51およびバンプ電極52のそれぞれの高さ(厚さ)は、100μm程度である。一方、複数のバンプ電極53のそれぞれの高さ(厚さ)は、30μm程度である。
・・・
[0092] 図4に示す配線基板10は、積層された複数の配線層を備える、所謂、多層配線基板である。図4に示す例では、配線基板10は上面10t側から順に、配線層L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、および配線層L8の合計8層の配線層を備える。複数の配線層のそれぞれは、配線13などの導体パターンを有し、隣り合う導体パターンは、絶縁層14により覆われている。ただし、配線基板10が備える配線層の数は、図4に示す例に限定されず、例えば、8層よりも少なくても良いし、8層よりも多くても良い。
・・・
[0094] また、配線基板10は、各配線層の間に設けられ、積層された配線層を厚さ方向に接続する層間導電路であるビア配線15VW、およびコア層14cを厚さ方向に貫通する導電路であるスルーホール配線15TWを有する。変形例として上記したようにコアレス基板を用いる場合には、スルーホール配線15TWは有していなくても良い。また、配線基板10の上面10tには、複数のボンディングパッド(基板端子、半導体部品接続用端子)16が形成されている。
・・・
[0096] また、配線基板10の下面10bには、複数のランド(外部端子、半田ボール接続用パッド)12が形成されている。複数のランド12のそれぞれには、半田ボール11が接続されており、図1に示す実装基板MB1と半導体装置PKG1とは、図4に示す半田ボール11を介して電気的に接続される。すなわち、複数の半田ボール11は、半導体装置PKG1の外部接続端子として機能する。
・・・
[0118] <インタポーザ>
図4に示すように、インタポーザ40は、半導体部品20に接続される複数のボンディングパッド41(図5参照)および半導体部品30に接続される複数のボンディングパッド42(図6参照)が配置された上面(面、中継端子配置面)40t、上面40tとは反対側の下面(面、裏面)40b、および上面40tと下面40bの間に配置された側面40s(図5および図6参照)を有する。また、インタポーザ40は、図2および図8に示すように平面視において四角形の外形形状を成す。
[0119] 図5および図6に示すように、インタポーザ40は、主面44tを有する半導体基板(基材)44と、主面44tと上面40tとの間に配置された複数の配線層とを有する。図5および図6に示す例では、インタポーザ40は上面40t側から順に、配線層M1、M2、および配線層M3の合計3層の配線層を備える。ただし、インタポーザ40が備える配線層の数は、図5に示す例に限定されず、例えば、3層よりも少なくても良いし、3層より多くても良い。
[0120] 複数の配線層のそれぞれは、配線43などの複数の導体パターンを有し、導体パターンのそれぞれは、複数の配線間、および隣り合う配線層間を絶縁する絶縁層45により覆われている。絶縁層45は、例えば、酸化珪素(SiO)などの半導体材料の酸化物から成る、無機絶縁層である。また、複数の配線層のうち、最上層(上面40tに最も近い層)に設けられた配線層M1には、複数のボンディングパッド41(図5参照)および複数のボンディングパッド42(図6参照)が配置されている。配線層M1は、絶縁層45上に設けられ、保護絶縁膜であるパッシベーション膜46に覆われている。」
「
[図:0001429987000003.jpg]
[図:0001429987000004.jpg]
[図:0001429987000005.jpg]
[図:0001429987000006.jpg]
[図:0001429987000007.jpg]
」
(2)甲1に記載された発明
ア 上記(1)の[0025]には、「半導体装置PKG1および半導体装置PKGh1(図28参照)のそれぞれは、パッケージ基板である配線基板10と、配線基板10の上面10t上に搭載される半導体部品20および半導体部品30と、半導体部品20と半導体部品30との間を電気的に接続する配線部材であるインタポーザ40(図28ではインタポーザ40h)と、を有している。インタポーザ(ブリッジチップ)40は、配線基板10を介さずに、半導体部品20と半導体部品30とを電気的に接続する複数の配線経路を備えた配線部材である」と記載されているから、半導体装置PKG1は、パッケージ基板である配線基板10と、配線基板10の上面10t上に搭載される半導体部品20及び半導体部品30と、半導体部品20と半導体部品30との間を電気的に接続する配線部材であるインタポーザ40と、を有しているものであり、また、インタポーザ40は、配線基板10を介さずに、半導体部品20と半導体部品30とを電気的に接続する複数の配線経路を備えた配線部材である。
また、パッケージ基板である配線基板10は、半導体部品20及び半導体部品30を搭載する半導体装置PKG1に使用するものであるといえる。
イ 上記(1)の[0038]には、「配線基板10上にインタポーザ40hを搭載し、インタポーザ40h上に半導体部品20と半導体部品30とを搭載する」と記載されているから、配線基板10上にインタポーザ40hが搭載され、インタポーザ40h上に半導体部品20と半導体部品30とが搭載されているといえる。
ウ 上記(1)の[0039]には、「インタポーザ40hの配線設計において適用される設計ルールは、配線基板10の配線設計において適用される設計ルールと比較して、配線の厚さ、配線幅、および隣り合う配線間距離の設計基準値が小さい」と記載されている。
なお、上記「インタポーザ40h」は、上記アの[0025]の「インタポーザ40(図28ではインタポーザ40h)」との記載から、「インタポーザ40」と同じものであるといえるから、以下、「インタポーザ40」と記載する。
エ 上記(1)の[0068]には、「半導体部品20および半導体部品30は、・・・半導体チップである」と記載されている。
オ 上記(1)の[0078]には、「図4に示す例では、互いに対向するように配置されている半導体部品20の端子21と配線基板10のボンディングパッド16とは、バンプ電極51を介して電気的に接続されている。また、互いに対向するように配置されている半導体部品の端子31と配線基板10のボンディングパッド16とは、バンプ電極52を介して電気的に接続されている。このように互いに対向した端子間を、バンプ電極を介して電気的に接続する方法をフリップチップ接続方式と呼ぶ」と記載され、同[図4]から、半導体部品30の端子31が見て取れるから、半導体部品20と配線基板10とはフリップチップ接続方式により電気的に接続され、半導体部品30と配線基板10とはフリップチップ接続方式により電気的に接続されているといえる。
また、配線基板10には、半導体部品20及び半導体部品30がフリップチップ接続方式により電気的に接続されるものであるといえる。
カ 上記(1)の[0079]には、「また、図4に示すように、半導体部品20とインタポーザ40、および半導体部品30とインタポーザ40のそれぞれは、複数のバンプ電極(導電性部材)53を介して電気的に接続されている。」と記載されている。
キ 上記(1)の[0080]には、「半導体部品20とインタポーザ40、および半導体部品30とインタポーザ40は、それぞれフリップチップ接続方式により電気的に接続さている」と記載されている。
ク 上記(1)の[0082]には、「インタポーザ40の下面40bと配線基板10の上面10tとの間には隙間が空いており、隙間には、樹脂体55が配置されている。このように、半導体部品20、30と配線基板10との間にインタポーザ40の一部分が配置されている場合、バンプ電極53の高さ(図4に示すZ方向の長さ)は、バンプ電極51およびバンプ電極52の高さ(図4に示すZ方向の長さ)より小さい。例えば、バンプ電極51およびバンプ電極52のそれぞれの高さ(厚さ)は、100μm程度である。一方、複数のバンプ電極53のそれぞれの高さ(厚さ)は、30μm程度である」と記載されているから、インタポーザ40の下面40bと配線基板10の上面10tとの間には隙間が空いており、隙間には、樹脂体55が配置され、バンプ電極53の高さは、バンプ電極51及びバンプ電極52の高さより小さく、バンプ電極51及びバンプ電極52のそれぞれの高さ(厚さ)は、100μm程度である一方、複数のバンプ電極53のそれぞれの高さ(厚さ)は、30μm程度であるといえる。
ケ 上記(1)の[0092]には、「配線基板10は、積層された複数の配線層を備える、所謂、多層配線基板である」と記載されている。
コ 上記(1)の[0094]には、「配線基板10の上面10tには、複数のボンディングパッド(基板端子、半導体部品接続用端子)16が形成されている」と記載されている。
サ 上記(1)の[0096]には、「配線基板10の下面10bには、複数のランド(外部端子、半田ボール接続用パッド)12が形成されている。複数のランド12のそれぞれには、半田ボール11が接続されており、図1に示す実装基板MB1と半導体装置PKG1とは、図4に示す半田ボール11を介して電気的に接続される。」と記載されているから、配線基板10は、下面10bに、半田ボール11を介して実装基板MB1と電気的に接続される複数のランド(外部端子、半田ボール接続用パッド)12が形成されているといえる。
シ 上記(1)の[0118]には、「図4に示すように、インタポーザ40は、半導体部品20に接続される複数のボンディングパッド41(図5参照)および半導体部品30に接続される複数のボンディングパッド42(図6参照)が配置された上面(面、中継端子配置面)40t、上面40tとは反対側の下面(面、裏面)40b、および上面40tと下面40bの間に配置された側面40s(図5および図6参照)を有する」と記載されており、[図4]から、インタポーザ40の上面40tとは反対側の下面(面、裏面)40b、及び上面40tと下面40bの間に配置された側面40sには、ボンディングパッドは見て取れない。
そうすると、インタポーザ40は、上面40tのみに、半導体部品20に接続される複数のボンディングパッド41及び半導体部品30に接続される複数のボンディングパッド42を備えているといえる。
ス 上記(1)の[0119]には、「インタポーザ40は、主面44tを有する半導体基板(基材)44と、主面44tと上面40tとの間に配置された複数の配線層とを有する」と記載され、[0120]には、「複数の配線層のそれぞれは、配線43などの複数の導体パターンを有し、導体パターンのそれぞれは、複数の配線間、および隣り合う配線層間を絶縁する絶縁層45により覆われている」と記載されているから、インタポーザ40は、複数の配線層を有し、複数の配線層のそれぞれは、配線43などの導体パターンを有し、導体パターンのそれぞれは、複数の配線間及び隣り合う配線間を絶縁する絶縁層45により覆われているといえる。
セ 以上によれば、甲1には、以下の発明が記載されているといえる(なお、括弧内は、根拠となる項番である。)。
「パッケージ基板である配線基板10と、配線基板10の上面10t上に搭載される半導体部品20及び半導体部品30と、半導体部品20と半導体部品30との間を電気的に接続する配線部材であるインタポーザ40と、を有している半導体装置PKG1であって、(上記ア)
インタポーザ40は、配線基板10を介さずに、半導体部品20と半導体部品30とを電気的に接続する複数の配線経路を備えた配線部材であり、(上記ア)
配線基板10上にインタポーザ40が搭載され、インタポーザ40上に半導体部品20と半導体部品30とが搭載され、(上記イ)
インタポーザ40の配線設計において適用される設計ルールは、配線基板10の配線設計において適用される設計ルールと比較して、配線の厚さ、配線幅、及び隣り合う配線間距離の設計基準値が小さく、(上記ウ)
半導体部品20及び半導体部品30は、半導体チップであり、(上記エ)
半導体部品20と配線基板10とはフリップチップ接続方式により電気的に接続され、半導体部品30と配線基板10とはフリップチップ接続方式により電気的に接続され、(上記オ)
半導体部品20とインタポーザ40、及び半導体部品30とインタポーザ40のそれぞれは、複数のバンプ電極53を介して電気的に接続され、(上記カ)
半導体部品20とインタポーザ40、及び半導体部品30とインタポーザ40は、それぞれフリップチップ接続方式により電気的に接続され、(上記キ)
インタポーザ40の下面40bと配線基板10の上面10tとの間には隙間が空いており、隙間には、樹脂体55が配置されており、バンプ電極53の高さは、バンプ電極51及びバンプ電極52の高さより小さく、バンプ電極51及びバンプ電極52のそれぞれの高さ(厚さ)は、100μm程度である一方、複数のバンプ電極53のそれぞれの高さ(厚さ)は、30μm程度であり、(上記ク)
インタポーザ40は、上面40tのみに、半導体部品20に接続される複数のボンディングパッド41及び半導体部品30に接続される複数のボンディングパッド42を備え、(上記シ)
インタポーザ40は、複数の配線層を有し、複数の配線層のそれぞれは、配線43などの導体パターンを有し、導体パターンのそれぞれは、複数の配線間及び隣り合う配線間を絶縁する絶縁層45により覆われている(上記ス)
半導体装置PKG1。」(以下、「甲1発明1」という。)
「半導体部品20及び半導体部品30を搭載する半導体装置PKG1に使用する、パッケージ基板である配線基板10であって、(上記ア)
半導体部品20及び半導体部品30は、半導体チップであり、(上記エ)
配線基板10には、半導体部品20及び半導体部品30がフリップチップ接続方式により電気的に接続されるものであり(上記オ)
配線基板10は、積層された複数の配線層を備える、いわゆる、多層配線基板であり、(上記ケ)
配線基板10の上面10tには、複数のボンディングパッド(基板端子、半導体部品接続用端子)16が形成され、(上記コ)
配線基板10は、下面10bに、半田ボール11を介して実装基板MB1と電気的に接続される複数のランド(外部端子、半田ボール接続用パッド)12が形成されている(上記サ)
配線基板10。」(以下、「甲1発明2」という。)
(3)申立人の主張について
ア 申立人は、特許異議申立書の26ページ1~7行において、甲1には、「b.配線基板10の半導体部品20、30を搭載する側の面に」、「インタポーザ40が備えられており、」との構成を有する甲1発明1が記載されている旨主張している。
イ しかし、上記(2)イで検討したとおり、甲1(上記(1))の[0038]の記載から、配線基板10上にインタポーザ40が搭載され、インタポーザ40上に半導体部品20と半導体部品30とが搭載されているものであり、上記(2)クで検討したとおり、甲1(上記(1))の[0082]の記載から、インタポーザ40の下面40bと配線基板10の上面10tとの間には隙間が空いており、隙間には、樹脂体55が配置されているものである。
そうすると、甲1においては、配線基板10の半導体部品20と半導体部品30とを搭載する側に、インタポーザ40が備えられているものであり、配線基板10の半導体部品20と半導体部品30とを搭載する側の面に、インタポーザ40が備えられているものではない。
したがって、甲1には、「b.配線基板10の半導体部品20、30を搭載する側の面に」、「インタポーザ40が備えられており、」との構成が記載されているとはいえない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
2 甲2(特開2014-140022号公報)
(1)甲2には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
実施形態は、集積回路(IC)ダイ、マルチチップパッケージおよびこれらに関連する方法に関する。より詳細には、実施形態は、高密度接続構造を有するダイを相互接続するために、有機パッケージ基板の有機ブリッジを使用することに関する。」
「【0009】
図1は、ある実施形態に係る、一般的なマイクロエレクトロニクスの工程を示した図である。図に示すように、参照番号100で示される工程は、基板製造工程102、ブリッジ製造工程104およびこれらのアセンブリ工程108から構成されており、これらの工程により、マルチチップパッケージ110のようなマイクロエレクトロニクスパッケージ/デバイスが製造される。
【0010】
点線で示されているダイ製造工程106は、ダイを、アセンブリ工程108で基板上およびブリッジで組み立てることができ、または、後で別個の工程で組み立てることができることを意味している。ダイ製造工程106は、最終製品に組み込まれる所望のダイを製造できる任意の工程であってよい。本開示では重要でないことから、ダイ製造工程106について詳細に説明はしない。
・・・
【0018】
有機ブリッジ214は、ロケーション220に配置された接続構造216、および、ロケーション222に配置された接続構造218を有する。接続構造216および接続構造218は、複数の接点、例えば、208で示されるような接点を含んでよい。接続構造216および218内の様々な接点が、導電経路によって接続される。図2には、導電経路の例が、210として示されている。様々な接点間の接続は、有機ブリッジ214によって接続されるダイに適切なようになっている。点線で示されているロケーション220および221は、有機ブリッジ214によって接続されたダイが配置される予定の場所である。
・・・
【0021】
図3は、ある実施形態に係る、基板内に配置された有機ブリッジ202の断面図である。参照番号300で示されているアセンブリは、基板302および有機ブリッジ304を備えてもよい。基板302は、図1の基板製造工程102で形成された基板のような、パッケージ基板302であってもよく、エポキシのような有機ポリマーで形成されてもよい。
【0022】
基板302は、ダイ318および319を基板302に接続する、接点306を有する。接点306およびこれに連結された導電経路(図示せず)は、基板302の適切な設計規則に従ってもよい。一実施形態において、基板302の設計規則では、組み込み有機ブリッジ304の設計規則よりも大きな寸法(例えば、接点306の寸法)を可能とする。一例では、基板302は、約40μmの配線幅および約40μmの配線間隔の設計規則を使用して形成される。同様に、積層される層が存在する場合には、これらの層の厚みを、有機ブリッジ304を形成するのに使用される層の厚みよりも、大きくすることができる。
【0023】
基板302は、有機ブリッジ304を受容する凹部を有する。基板302の誘電体層およびその他の層の厚み、ならびに、有機ブリッジ304の厚みに応じて、凹部を、最も外側の層または複数の外側の層にまで延在させる。このような凹部を、例えば、レーザスクライビングによって、基板302内に形成することができる。
【0024】
有機ブリッジ304は、エポキシのような有機ポリマーで形成されてもよい。有機ブリッジ304の有機ポリマーは、基板302の有機ポリマーと同じであってもよいし、異なっていてもよい。有機ブリッジ304の様々な層の一部が、様々なパターンで示されているが、これは、図面上で周りの要素と区別して見えるようにするためである。
【0025】
有機ブリッジ304は、基板302の凹部内に配置されて、有機ポリマーを使用して、有機ブリッジ304が凹部に接着される。有機ポリマーは、色素結合フィルム、エポキシ、または、有機ブリッジ304を基板302に十分接着できるその他の種類の有機ポリマーであってもよい。図3では、有機ブリッジ304を基板302へ接合する様子が、参照番号308で示されている。基板302および有機ブリッジ304は共に、有機ポリマーを含むので、欠け、クラックおよび剥離のような2つの異種の材料の界面で活性するような問題を最小にするような態様で、層308は、有機ブリッジ304を基板302に接合できる。
【0026】
有機ブリッジ304は、図3では、層310、312、314および316として表されている。層310は、有機ブリッジ304の金属層であり、ブリッジ304の一部分とみなしてもよい。層314は、誘電体層312に埋め込まれた金属配線層である。誘電体層312は、エポキシのような有機ポリマーであり、交互に配置された(interleaved)複数の誘電体層312を表している。層316は、パッド層であり、例えば、接続構造204を有機ブリッジ304の一部として形成可能な場所である。一実施形態では、有機ブリッジ304の設計規則は、約3μmの配線幅および約3μmの配線間隔を含む。別の実施形態では、有機ブリッジ304の設計規則は、一部の領域または一部の層では、約3μm未満の配線幅および配線間隔を使用し、ブリッジの別の領域および層ではこれよりも大きな配線幅および配線間隔を使用する(例えば、約10μmの配線幅および約10μmの配線間隔)。
・・・
【0028】
一実施形態では、有機ブリッジ304は、基板302を有さず、約15μmの厚みを有する。別の実施形態では、有機ブリッジ304は、基板302を有さず、約20μm未満の厚みを有する。別の実施形態では、有機ブリッジ304は、基板302を有さず、約30μm未満の厚みを有する。有機ブリッジ304は基板302を有さないので、有機ブリッジ304が配置される凹部の外形に一致する傾向がある。このような実施形態では、基板302がないこと、および、有機ブリッジ304が薄いことにより、基板302の表面層の半田マスクキャビティに有機ブリッジ304を組み込むことが可能になり、超ファインピッチダイを直接、熱圧着ボンディングにより接続することが可能となる。」
「【図1】
[図:0001429987000008.jpg]
」
「【図3】
[図:0001429987000009.jpg]
」
(2)甲2に記載された発明
ア 上記(1)における【0021】には、「参照番号300で示されているアセンブリは、基板302および有機ブリッジ304を備えてもよい」と記載されているから、アセンブリ300は、基板302及び有機ブリッジ304を備えるといえる。
イ 上記(1)の【0022】には、「基板302は、ダイ318および319を基板302に接続する、接点306を有する。接点306およびこれに連結された導電経路(図示せず)は、基板302の適切な設計規則に従ってもよい」と記載されているから、基板302は、一方の面に、ダイ318及びダイ319を基板302に接続する接点306、及びこれに連結された導電経路を有しており、ダイ318及びダイ319は、基板302の接点306に接続されているといえる。
ウ 上記(1)の【0022】には、「基板302は、約40μmの配線幅および約40μmの配線間隔の設計規則を使用して形成される」と記載され、同【0026】には、「有機ブリッジ304の設計規則は、約3μmの配線幅および約3μmの配線間隔を含む」と記載されているから、基板302は、約40μmの配線幅及び約40μmの配線間隔であり、有機ブリッジ304の設計規則は、約3μmの配線幅及び約3μmの配線間隔であるといえる。
エ 上記(1)の【0023】には、「基板302は、有機ブリッジ304を受容する凹部を有する」と記載され、同【0025】には、「有機ブリッジ304は、基板302の凹部内に配置されて、有機ポリマーを使用して、有機ブリッジ304が凹部に接着される」と記載されているから、基板302は、有機ブリッジ304を受容する凹部を有し、有機ブリッジ304は、基板302の凹部内に配置されて、有機ポリマーを使用して、有機ブリッジ304が凹部に接着されるものである。
オ 上記(1)の【0026】には、「有機ブリッジ304は、図3では、層310、312、314および316として表されている。層310は、有機ブリッジ304の金属層であり、ブリッジ304の一部分とみなしてもよい。層314は、誘電体層312に埋め込まれた金属配線層である。誘電体層312は、エポキシのような有機ポリマーであり、交互に配置された(interleaved)複数の誘電体層312を表している。層316は、パッド層であり」と記載されているから、有機ブリッジ304は、金属層310、交互に配置された複数の誘電体層312、誘電体層312に埋め込まれた金属配線層314、パッド層316からなるといえる。
カ 上記(1)の【0009】には、「基板製造工程102、ブリッジ製造工程104およびこれらのアセンブリ工程108から構成されており、これらの工程により、マルチチップパッケージ110のようなマイクロエレクトロニクスパッケージ/デバイスが製造される」と記載され、同【0010】には、「ダイ製造工程106は、ダイを、アセンブリ工程108で基板上およびブリッジで組み立てることができ、または、後で別個の工程で組み立てることができることを意味している」と記載されているから、マルチチップパッケージ110は、基板、ブリッジ及びダイを備えているといえる。
ここで、上記基板、ブリッジは、上記アにおける基板302、有機ブリッジ304にそれぞれ対応するから、以下、基板302、有機ブリッジ304と記載し、上記ダイは、上記イにおけるダイ318及びダイ319に対応するから、以下、ダイ318及びダイ319と記載する。
キ 上記(1)の【0018】には、「様々な接点間の接続は、有機ブリッジ214によって接続されるダイに適切なようになっている。点線で示されているロケーション220および221は、有機ブリッジ214によって接続されたダイが配置される予定の場所である」と記載されているから、ダイ318及びダイ319は、有機ブリッジ214によって接続されるといえる。
ここで、上記有機ブリッジ214は、上記アの有機ブリッジ304に対応するから、以下、有機ブリッジ304と記載する。
ク 上記(1)の【0028】には、「一実施形態では、有機ブリッジ304は、基板302を有さず、約15μmの厚みを有する」と記載されている。
ケ 以上によれば、甲2には、以下の発明が記載されているといえる。(なお、括弧内は、根拠となる項番である。)
「基板302、有機ブリッジ304及びダイ318及びダイ319を備えるマルチチップパッケージ110であって、(上記カ)
基板302は、一方の面に、ダイ318及びダイ319を基板302に接続する接点306、及びこれに連結された導電経路を有し、ダイ318及びダイ319は、基板302の接点306に接続され、(上記イ)
基板302は、約40μmの配線幅及び約40μmの配線間隔であり、有機ブリッジ304の設計規則は、約3μmの配線幅及び約3μmの配線間隔であり、(上記ウ)
基板302は、有機ブリッジ304を受容する凹部を有し、有機ブリッジ304は、基板302の凹部内に配置されて、有機ポリマーを使用して、有機ブリッジ304が凹部に接着され、(上記エ)
有機ブリッジ304は、金属層310、交互に配置された複数の誘電体層312、誘電体層312に埋め込まれた金属配線層314、パッド層316からなり、(上記オ)
ダイ318及びダイ319は、有機ブリッジ304によって接続される(上記キ)
マルチチップパッケージ110。」(以下、「甲2発明1」という。)
「基板302及び有機ブリッジ304を備えるアセンブリ300であって、(上記ア)
基板302は、一方の面に、ダイ318及びダイ319を基板302に接続する接点306、及びこれに連結された導電経路を有し、ダイ318及びダイ319は、基板302の接点306に接続されるものであり、(上記イ)
基板302は、有機ブリッジ304を受容する凹部を有し、有機ブリッジ304は、基板302の凹部内に配置されて、有機ポリマーを使用して、有機ブリッジ304が凹部に接着され、(上記エ)
有機ブリッジ304は、金属層310、交互に配置された複数の誘電体層312、誘電体層312に埋め込まれた金属配線層314、パッド層316からなり、(上記オ)
ダイ318及びダイ319は、有機ブリッジ304によって接続される、(上記キ)
有機ブリッジ304は、約15μmの厚みを有する(上記ク)
アセンブリ300。」(以下、「甲2発明2」という。)
(3)申立人の主張について
ア 申立人は、令和7年6月10日提出の意見書の11ページ13~21行において、甲2には、「k.有機ブリッジ304は」、「基板302のダイ318、319との接続を行う接点306を備えている面に備えられており、」との構成を有する甲2発明2が記載されている旨主張している。
イ しかし、上記(2)イで検討したとおり、甲2(上記(1))の【0022】の記載から、基板302は、一方の面に、ダイ318及びダイ319を基板302に接続する接点306、及びこれに連結された導電経路を有しており、ダイ318及びダイ319は、基板302の接点306に接続されるものであり、上記(2)エで検討したとおり、甲2(上記(1))の【0023】、【0025】の記載から、基板302は、有機ブリッジ304を受容する凹部を有し、有機ブリッジ304は、基板302の凹部内に配置されて、有機ポリマーを使用して、有機ブリッジ304が凹部に接着されるものであり、上記(2)オで検討したとおり、甲2(上記(1))の【0026】の記載から、有機ブリッジ304は、金属層310、交互に配置された複数の誘電体層312、誘電体層312に埋め込まれた金属配線層314、パッド層316からなるものであるから、基板302、ダイ318及びダイ319、基板302の接点306、有機ブリッジ304、有機ブリッジ304のパッド層316、基板302の凹部のそれぞれの位置関係を勘案すると、有機ブリッジ304は、有機ブリッジ304のパッド層316を上面にして、基板302の凹部内に配置されているといえる。
そうすると、甲2において、有機ブリッジ304は、パッド層316を上面にして、基板302の凹部の底面に設けられるものであり、基板302のダイ318及びダイ319との接続を行う接点306を備えている面に備えられるものではない。
したがって、甲2には、「基板302のダイ318、319との接続を行う接点306を備えている面に備えられており、」との構成が記載されているとはいえない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
3 甲3(特開2004-146602号公報)
甲3には、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気信号と光信号との伝送を可能として情報信号の高速、高容量伝送化を図ることを可能とする光・電気配線混載ハイブリット回路基板及びその製造方法、並びに光・電気配線混載ハイブリット回路モジュール及びその製造方法に関する。」
「【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ハイブリッド型回路基板は、例えば電気配線部を構成する適宜の配線パターンが形成された一般的なプリント配線基板の主面上に、光配線部を構成する光導波路が形成されて構成される。また、ハイブリッド型基板は、微細化、高密度化が図られて比較的高精度に形成される場合に、例えばシリコン基板や石英基板或いはガラス基板を用いてその主面上に配線パターンを有する薄膜多層配線層を形成しかつこの薄膜多層配線層上に光配線部を構成する光導波路が形成される。
・・・
【0010】
ところで、プリント基板は、比較的廉価であるとともにビアを介して配線層形成面と実装面との間の電気的接続の対応が可能であるといった特徴を有しているが、一般に配線パターン等の精度が数10um~数100um程度である。ハイブリッド型回路基板においては、光学素子と光導波路との高精度のカップリングを考慮した場合に、その位置合せに数um程度の精度が要求されるとともに、配線パターンの高精度化、微細化も要求される。ハイブリッド型回路基板においては、今後さらなる半導体チップの入出力パッドの微細化が進み、また半導体チップ間の高バンド幅に伴うバス配線数の増加による狭ピッチ化等に伴ってプリント基板の採用が困難であるといった問題があった。」
「【0022】
回路モジュール1には、微細配線回路部4の第2の主面4b上に、光配線回路部5とともに情報信号等の送信側半導体チップ7Aや情報信号等の受信側半導体チップ7B(以下、代表して説明する場合には、半導体チップ7と総称する。)が実装されている。回路モジュール1には、光配線回路部5の第2の主面5b上に、発光素子8Aと受光素子8B(以下、代表して説明する場合には、光学素子8と総称する。)が実装されている。
・・・
【0031】
微細配線回路部4は、第2の主面4bの中央領域4b1が光配線回路部5の実装領域とされるとともに、この中央領域4b1の両側領域4b2、4b3がそれぞれ半導体チップ7の実装領域とされる。微細配線回路部4には、中央領域4b1に、光配線回路部5、換言すれば光学素子8を電気的に接続する第1の接続端子16が形成されるとともに、両側領域4b2、4b3に小型化や微小化或いは多ピン化が図られた半導体チップ7を電気的に接続する複数の第2の接続端子17が形成されている。第1の接続端子16と第2の接続端子17には、上述したベース基板部3の各接続端子と同様に端子形成処理が施される。
・・・
【0042】
回路モジュール1においては、上述したように微細配線回路部4が半導体プロセスを用いてベース基板部3と別工程によって製作される。微細配線回路部4の製造工程には、図5に示すように剥離層13が形成されたダミー基板12が供給され、このダミー基板12上に微細電気配線層14が形成される。ダミー基板12には、絶縁性、耐熱性或いは耐薬品性を有しかつ高精度の平坦面を形成可能なシリコン基板やガラス基板が用いられる。
【0043】
剥離層13は、ダミー基板12の第1の主面12a上に成膜形成され、後述するように成膜形成された微細配線回路部4をダミー基板12から剥離する作用を奏する。剥離層13は、後述する微細配線回路部4のプロセス温度以上の加熱処理を行うことにより剥離性が生じる樹脂材や、酸性溶液或いはアルカリ溶液により溶解する金属等により成膜され、微細電気配線層14の形成プロセスに対して耐性を有しかつ剥離作用が奏されればよい。剥離層13は、例えばスパッタ法によりダミー基板12の第1の主面12a上に均一な厚みで銅やアルミニウムの金属薄膜層を形成し、この金属薄膜層の表面に例えばスピンコート法によりポリイミド樹脂等の樹脂層を成膜形成してなる。
【0044】
微細配線回路部4の製造工程は、剥離層13上に、半導体プロセスにより例えば絶縁樹脂層と微細配線層とからなる単位配線層を多層化して、図6に示すように微細電気配線層14を形成する。絶縁樹脂層には、例えば低誘電率で低Tanδ特性、すなわち高周波特性や耐熱性或いは耐薬品性を有する絶縁性誘電材料、例えばベンゾシクロブテン、ポリイミド樹脂、ポリノルボルネン、液晶ポリマ、エポキシ系樹脂或いはアクリル系樹脂が用いられ、スピンコート法等の適宜の成膜法によって成膜形成される。
・・・
【0050】
微細配線回路部4の製造工程においては、ダミー基板12に対して、第2の主面4b側を第1層として多層の単位配線層からなる微細電気配線層14が形成される。微細配線回路部4の製造工程においては、第1層の単位配線層に上述した光配線回路部5を接続するための第1の接続端子16や半導体チップ7の実装用の第1の接続端子17が形成される。微細配線回路部4の製造工程においては、ダミー基板12上において最上層となる第1の主面4aを構成する単位配線層に接続端子18が適宜形成されており、この接続端子18に対してベース基板部3との電気的接続を行うための端子形成処理が施される。
・・・
【0055】
微細配線回路部4の製造工程においては、図11矢印で示すように第1中間体26を反転して最上層の接着層15を実装面として、この第1中間体26をベース基板部3の第2の主面3b上に実装する。微細配線回路部4の製造工程においては、この場合接続バンプ24、換言すれば各接続端子18がベース基板部3の第2の主面3b側に相対して形成された各第2の接続端子11bとそれぞれ位置決めされて接合される。微細配線回路部4の製造工程においては、第1中間体26を組み合わせたベース基板部3に例えばリフロー半田処理が施されることによって、図12に示すようにベース基板部3に対して第1中間体26がしっかりと接合固定されて第2中間体27を製作する。微細配線回路部4の製造工程においては、この場合に接着層15を硬化させる温度条件での加熱を行った後に接続バンプ24を溶融する温度条件での加熱が行われる。
【0056】
微細配線回路部4の製造工程においては、第2中間体27について所定の冷却を行った後に、図13に示すように微細配線回路部4をベース基板部3に残して剥離層13を介してダミー基板12を剥離する処理が施される。微細配線回路部4の製造工程においては、例えば剥離層13の樹脂材に剥離性が生じる温度以上の加熱処理や、酸性溶液或いはアルカリ溶液に浸漬する処理を施すことによってダミー基板12の剥離が行われる。」
「【図1】
[図:0001429987000010.jpg]
」
「【図10】
[図:0001429987000011.jpg]
【図11】
[図:0001429987000012.jpg]
【図12】
[図:0001429987000013.jpg]
【図13】
[図:0001429987000014.jpg]
」
4 甲4(国際公開第2018/047861号)
甲4には、以下の記載がある。
「[0013] 例えば、現在のハイバンドメモリ(HBM)の仕様に対応するためには、インターポーザ3では配線幅を2μm以上6μm以下にする必要がある。特性インピーダンスを50Ωに合わせるためには、配線幅が2μm、配線高さが2μmの場合、配線間の絶縁膜厚は2.5μmとなる。配線も含めた1層の厚さは4.5μmとなり、この厚さで5層のインターポーザ3を製作する場合、インターポーザ3は、総厚25μm程度と極薄のインターポーザとなる。つまり、インターポーザ3の総厚を10μm程度にするためには、上記4.5μm厚の層を2層積層すればよい。ただし、電気特性の損失を抑える必要がある場合、電気抵抗を低くするために、配線厚を厚くする必要があり、その場合インピーダンスを調整するために絶縁層も厚くする必要が生じる。層数が5層であってもインターポーザ3の総厚が100μm程度になる場合もある。さらに、半導体チップ4等のデバイスチップのピン数増加や電源ラインやグランド層を組み合わせることにより、インターポーザ3の積層数を増やす必要が生じ、インターポーザ3の総厚が300μm程度になる場合もある。
[0014] なお、インターポーザ3の総厚が300μmを超える場合には、可撓性が低くなり、反りが発生する場合がある。また、インターポーザ3の総厚が10μmに満たない場合には、耐久性が低くなり、インターポーザ3が破損する場合がある。
このような薄いインターポーザ3とFCBGA用配線基板1との接合を、平坦性を確保した上で行うためには、図2に示すようにインターポーザ3の一部となる微細な配線層3aを、後で配線層3aとキャリア基板5とに分離するための剥離層6を形成したキャリア基板5の上に形成する。なお、図2(b)は図2(a)の半田バンプ24を含む一部分を拡大したものである。また、図2(b)に示すように、剥離層6と接続パッド14との間には、例えば、接着層7や銅箔11が形成されていてもよい。
[0015] そして、このキャリア基板5に形成されたままの配線層3aを、図3に示すように、別に製造したFCBGA用配線基板1にフリップチップ実装する。そして、FCBGA用配線基板1と配線層3aとの間をアンダーフィル2等の樹脂により固めた後、キャリア基板5等を配線層3aから剥離し、配線層3aに形成された半導体チップ4との接合用の接続パッド14を露出させる。これによって、本発明の一実施形態に係る配線基板100が形成される。なお、図3では、図2(b)に示した接着層7や銅箔11の記載を省略している。」
「[図1]
[図:0001429987000015.jpg]
」
「[図3]
[図:0001429987000016.jpg]
」
第7 取消理由1(明確性要件)、取消理由2(明確性要件)、申立理由4(明確性要件)について
1 取消理由1-1(明確性要件)について
訂正事項4による訂正により、訂正前の請求項2の「第二の配線基板により半導体チップ間が接続されている」は「第二の配線基板により半導体チップ間が接続される」に訂正され、「フリップチップパッケージ基板」以外の構成を有しているものではなくなったから、取消理由1-1は解消した。
2 取消理由1-2(明確性要件)について
訂正事項2及び3による訂正によって、訂正前の請求項3及び4の「前記半導体チップに、前記半導体チップと第一の配線基板および第二の配線基板とを電気的に接続する接続突起を形成する工程と、」は削除されたから、取消理由1-2は解消した。
3 取消理由1-3(明確性要件)について
訂正事項1~3による訂正によって、訂正後の請求項1、3、4には「前記」が付され、対応関係が明確になったから、取消理由1-3は解消した。
4 取消理由1-4(明確性要件)について
訂正事項4による訂正によって、訂正後の請求項2には「前記」が付され、対応関係が明確になり、また、訂正前の請求項2の「前記パッド」は、「前記接続パッド」に訂正され、当該「前記接続パッド」は、「第二の配線基板」が「備え」る「少なくとも2つの半導体チップとの接続を行う接続パッド」であることが明確になったから、取消理由1-4は解消した。
5 申立人の主張
(1)ア 申立人は、特許異議申立書の64ページ下から6行~最下行において、請求項1に係る発明は、「半導体チップは、第一の配線基板との対向距離と、前記第二の配線基板との対向距離が10μm以上100μm以下の範囲で異なる」と特定しているが、2つの対向距離が共に「10μm以上100μm以下の範囲であってかつ両者が異なるという意味か、2つの対向距離の差異が「10μm以上100μm以下の範囲」なのか不明確である。訂正前の請求項1を引用する請求項3、4に係る発明についても同様である旨主張している。
イ しかし、本件訂正請求により訂正された明細書又は本件特許の願書に添付した図面(以下、「本件訂正明細書等」という。)の【0037】の「次に、図2(e)に示すように、半導体チップ6及び7を第一の配線基板3及び第二の配線基板5に接続する。この様にして、本発明のフリップチップパッケージ40を作製することができる。
接続は接続用突起8、9によって行われる。このとき、半導体チップ6、7から第一の配線基板3までの対向距離(半導体チップ6、7と第一の配線基板3との向き合った面間の距離)18と、同じく半導体チップ6及び7から第二の配線基板5までの対向距離(半導体チップ6、7と第二の配線基板5との向き合った面間の距離)19は、第二の配線基板5の厚さの分だけ異なる。そのため接続用突起8と、接続用突起9は、第二の配線基板5の厚さ(およそ10μm以上100μm以下)の分だけ異なる高さとする。接続用突起8、9の形成方法については後述する。」との記載によれば、本件発明1の「半導体チップは、前記第一の配線基板との対向距離と、前記第二の配線基板との対向距離が10μm以上100μm以下の範囲で異なる」は、2つの対向距離の差異が「10μm以上100μm以下の範囲」であるといえるから、本件発明1は明確であり、請求項1の記載を引用する本件発明3、4も同様である。
(2)「接続パッド」について
ア 申立人は、令和7年6月10日提出の意見書の8ページ7行~最下行において、本件発明2は、第一の配線基板に「半導体チップ」が接続され、第二の配線基板に当該「半導体チップ」とは異なる他の「2つの半導体チップ」が接続されていることとなり、「半導体チップ」と「2つの半導体チップ」とがどのような接続関係にあるのか不明確である旨主張している。
イ しかし、本件明細書等の【0025】~【0029】、【図1】、【図2】は、本件訂正請求によって訂正されていないから、上記第2 2(4)イ(ア)b、cで検討したのと同様に、本件発明2において、第一の配線基板のパッドと接続される「半導体チップ」と、第二の配線基板の接続パッドと接続される「2つの半導体チップ」とは、同じ「半導体チップ」であるといえる。
したがって、第一の配線基板のパッドと接続される「半導体チップ」と「2つの半導体チップ」との関係は明確である。
(3)「半導体チップ間」の接続について
ア 申立人は、令和7年6月10日提出の意見書の9ページ2行~13行において、本件発明2は、「前記第二の配線基板により半導体チップ間が接続される」と特定しているが、他の必要な個所には「前記」を付す訂正がなされたのに対し、「半導体チップ」には「前記」を付す訂正がなされていないことから、第一の配線基板のパッドと接続される「半導体チップ」、「2つの半導体チップ」とは異なる半導体チップである、又は異なる半導体チップである態様を含みうると解され、第二の配線基板には、「半導体チップ」及び「2つの半導体チップ」がどのように接続されているのか不明確であり、また、「前記第二の配線基板により半導体チップ間が接続される」は、第二の配線基板上のみに2つの半導体チップが搭載されており、これらの2つの半導体チップが第二の配線基板により接続されていることを意味する、又はそのように接続されている態様を含みうる記載となっており、発明の範囲が不明確である旨主張している。
イ しかし、上記(2)イで検討したとおり、本件発明2において、第一の配線基板のパッドと接続される「半導体チップ」と、第二の配線基板の接続パッドと接続される「2つの半導体チップ」とは、同じ「半導体チップ」である。
また、本件発明2において、「第二の配線基板」は、「少なくとも2つの半導体チップとの接続を行う接続パッドを備え」るものであるから、「前記第二の配線基板により半導体チップ間が接続される」とは、「第二の配線基板」により、「第一の配線基板」及び「第二の配線基板」に接続される「少なくとも2つの半導体チップ」間が接続されるものであるといえる。
したがって、本件発明2の「前記第二の配線基板により半導体チップ間が接続される」は、明確である。
(4)「接続される」について
ア 申立人は、令和7年6月10日提出の意見書の9ページ15行~下から3行において、本件発明2は、「前記第二の配線基板により半導体チップ間が接続される」と特定しているが、半導体チップ間が「接続される」とは、例えば第二の配線基板が有する回路により「電気的に接続される」ことなのか、2つの半導体チップを接着するために介在する層により「物理的に接続される」ことなのか不明確である旨主張している。
イ しかし、本件訂正明細書等の【0022】の「第一の半導体チップ6と第二の半導体チップ7は、第二の配線基板5に形成されたパッド17とビア16と配線10によって相互に電気的に接続されている。」との記載によれば、本件発明2の「前記第二の配線基板により半導体チップ間が接続される」は、「半導体チップ間」が、「第二の配線基板」が有するパッドとビアと配線によって電気的に接続されることを意味するものといえるから、本件発明2は明確である。
(5)以上から、申立人の上記主張はいずれも採用できない。
6 小括
以上のとおりであるから、本件発明1~4は、特許請求の範囲の記載が明確である。
よって、取消理由1(明確性要件)、取消理由2(明確性要件)、申立理由4(明確性要件)には理由がない。
第8 申立理由1(新規性)、申立理由2-1(進歩性)について
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明1とを対比する。
ア 甲1発明1は、「パッケージ基板である配線基板10と、配線基板10の上面10t上に搭載される半導体部品20及び半導体部品30と、半導体部品20と半導体部品30との間を電気的に接続する配線部材であるインタポーザ40と、を有している半導体装置PKG1」であり、「半導体部品20及び半導体部品30」は、「半導体チップ」であり、また、「半導体部品20と配線基板10とはフリップチップ接続方式により電気的に接続され、半導体部品30と配線基板10とはフリップチップ接続方式により電気的に接続されており、半導体部品20とインタポーザ40、及び半導体部品30とインタポーザ40は、それぞれフリップチップ接続方式により電気的に接続されている」ものであるから、「半導体装置PKG1」は、「半導体部品20及び半導体部品30」を搭載するフリップチップパッケージであるといえる。
したがって、甲1発明1の「半導体チップ」である「半導体部品20及び半導体部品30」、「半導体装置PKG1」は、本件発明1「半導体チップ」、「フリップチップパッケージ」にそれぞれ相当し、本件発明1と甲1発明1とは、「2つ以上の半導体チップを搭載するフリップチップパッケージ」である点で一致する。
イ 甲1発明1は、「配線基板10上にインタポーザ40が搭載され、インタポーザ40上に半導体部品20と半導体部品30とが搭載され」、「インタポーザ40の下面40bと配線基板10の上面10tとの間には隙間が空いており、隙間には、樹脂体55が配置され」、「半導体部品20と配線基板10とはフリップチップ接続方式により電気的に接続され、半導体部品30と配線基板10とはフリップチップ接続方式により電気的に接続され、半導体部品20とインタポーザ40、及び半導体部品30とインタポーザ40は、それぞれフリップチップ接続方式により電気的に接続され」ているから、「配線基板10」の「半導体部品20と半導体部品30」とを搭載する側に、「インタポーザ40」が備えられており、「インタポーザ40」は、「配線基板10」よりも面積が小さいといえる。
また、甲1発明1において、「インタポーザ40」は、「配線基板10を介さずに、半導体部品20と半導体部品30とを電気的に接続する複数の配線経路を備えた配線部材」であるから、配線基板であるといえる。
そうすると、甲1発明1の「配線基板10」、「インタポーザ40」は、本件発明1の「第一の配線基板」、「第二の配線基板」にそれぞれ相当し、本件発明1と甲1発明1とは、「第一の配線基板の半導体チップを搭載する側」に、「前記第一の配線基板よりも面積の小さい第二の配線基板が備えられて」いる点で共通する。
ウ 甲1発明1は、「配線基板10上にインタポーザ40が搭載され、インタポーザ40上に半導体部品20と半導体部品30とが搭載されており」、「半導体部品20と配線基板10とはフリップチップ接続方式により電気的に接続され、半導体部品30と配線基板10とはフリップチップ接続方式により電気的に接続され、半導体部品20とインタポーザ40、及び半導体部品30とインタポーザ40は、それぞれフリップチップ接続方式により電気的に接続され」ているから、「半導体部品20と半導体部品30」は、「配線基板10」と「インタポーザ40」の両方に跨がって電気的に接続されているといえる。
また、甲1発明1において、「インタポーザ40は、配線基板10を介さずに、半導体部品20と半導体部品30とを電気的に接続する複数の配線経路を備えた配線部材」であるから、「インタポーザ40」に形成された「配線経路」によって相互に「電気的に接続」されているといえる。
そうすると、本件発明1と甲1発明1とは、「半導体チップのうち少なくとも2つは、前記第一の配線基板と前記第二の配線基板の両方に跨って電気的に接続されているとともに、前記第二の配線基板に形成された配線によって相互に電気的に接続されて」いる点で一致する。
エ 甲1発明1において、「インタポーザ40の配線設計において適用される設計ルールは、配線基板10の配線設計において適用される設計ルールと比較して、配線の厚さ、配線幅、及び隣り合う配線間距離の設計基準値が小さ」いから、「インタポーザ40」に形成された少なくとも一部の、配線と配線幅のピッチは、「配線基板10」に形成された配線幅とピッチより小さいといえる。
したがって、本件発明1と甲1発明1とは、「前記第二の配線基板に形成された少なくとも一部の、配線の線幅とピッチは、前記第一の配線基板に形成された配線の線幅とピッチより小さ」い点で一致する。
オ 甲1発明1の「インタポーザ40」は、「複数の配線層を有し、複数の配線層のそれぞれは、配線43などの導体パターンを有し、導体パターンのそれぞれは、複数の配線間及び隣り合う配線間を絶縁する絶縁層45により覆われている」から、絶縁層45と配線43の積層体であるといえる。
そうすると、甲1発明1の「配線43」、「絶縁層43」は、本件発明1の「絶縁層」、「配線層」にそれぞれ相当し、本件発明1と甲1発明1とは、「前記第二の配線基板は、絶縁層と配線層の積層体であ」る点で一致する。
また、甲1発明1の「インタポーザ40」は、「上面40tのみに、半導体部品20に接続される複数のボンディングパッド41及び半導体部品30に接続される複数のボンディングパッド42を備え」ており、他にパッドを備えていないから、「上面40t」のみに「半導体部品20に接続される複数のボンディングパッド41及び半導体部品30に接続される複数のボンディングパッド42」を備えているといえる。
そうすると、甲1発明1の「上面40t」、「半導体部品20に接続される複数のボンディングパッド41及び半導体部品30に接続される複数のボンディングパッド42」は、本件発明1の「一方の面」、「接続パッド」にそれぞれ相当し、本件発明1と甲1発明1とは、「前記第二の配線基板」は、「一方の面のみに接続パッドを備えて」いる点で一致する。
カ 甲1発明1において、「半導体部品20と配線基板10とはフリップチップ接続方式により電気的に接続され、半導体部品30と配線基板10とはフリップチップ接続方式により電気的に接続され、半導体部品20とインタポーザ40、及び半導体部品30とインタポーザ40は、それぞれフリップチップ接続方式により電気的に接続され」るから、「半導体部品20」及び「半導体部品30」は、「配線基板10」と「インタポーザ40」の両方に跨がって「電気的に接続され」るといえる。
また、甲1発明1において、「半導体部品20とインタポーザ40、及び半導体部品30とインタポーザ40のそれぞれは、複数のバンプ電極53を介して電気的に接続され」、「バンプ電極53の高さは、バンプ電極51及びバンプ電極52の高さより小さく、バンプ電極51及びバンプ電極52のそれぞれの高さ(厚さ)は、100μm程度である一方、複数のバンプ電極53のそれぞれの高さ(厚さ)は、30μm程度」であるから、「半導体部品20」及び「半導体部品30」は、「配線基板10」との対向距離と、「インタポーザ40」との対向距離が、100μm-30μm=70μm程度で異なるといえ、当該70μmは、10μm以上100μm以下の範囲に含まれる。
そうすると、本件発明1と甲1発明1とは、「前記第一の配線基板と前記第二の配線基板の両方に跨って電気的に接続される半導体チップは、前記第一の配線基板との対向距離と、前記第二の配線基板との対向距離が10μm以上100μm以下の範囲で異なる」点で一致する。
キ 以上によれば、本件発明1と甲1発明1との一致点と相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「2つ以上の半導体チップを搭載するフリップチップパッケージにおいて、
第一の配線基板の半導体チップを搭載する側に、前記第一の配線基板よりも面積の小さい第二の配線基板が備えられており、
半導体チップのうち少なくとも2つは、前記第一の配線基板と前記第二の配線基板の両方に跨って電気的に接続されているとともに、前記第二の配線基板に形成された配線によって相互に電気的に接続されており、
前記第二の配線基板に形成された少なくとも一部の、配線の線幅とピッチは、前記第一の配線基板に形成された配線の線幅とピッチより小さく、
前記第二の配線基板は、絶縁層と配線層の積層体であって、一方の面のみに接続パッドを備えており、
前記第一の配線基板と前記第二の配線基板の両方に跨って電気的に接続される半導体チップは、前記第一の配線基板との対向距離と、前記第二の配線基板との対向距離が10μm以上100μm以下の範囲で異なる
ことを特徴とするフリップチップパッケージ。」
<相違点>
相違点1-1:本件発明1は、「第一の配線基板の半導体チップを搭載する側の面」に、「第二の配線基板が備えられて」いるのに対し、甲1発明1は、「配線基板10」の「半導体部品20と半導体部品30」とを搭載する側に、「インタポーザ40」が備えられているものの、「インタポーザ40の下面40bと配線基板10の上面10tとの間には隙間が空いており、隙間には、樹脂体55が配置されており」、「配線基板10」の「半導体部品20と半導体部品30」とを搭載する側の面に、「インタポーザ40」が備えられていない点。
(2)相違点1-1についての判断
ア 新規性について
上記(1)キの相違点1-1のとおり、甲1発明1は、「配線基板10」の「半導体部品20と半導体部品30」とを搭載する側に、「インタポーザ40」が備えられているものの、「インタポーザ40の下面40bと配線基板10の上面10tとの間には隙間が空いており、隙間には、樹脂体55が配置されており」、「配線基板10」の「半導体部品20と半導体部品30」とを搭載する側の面に、「インタポーザ40」が備えられていないから、相違点1-1は、実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は、甲1発明1ではない。
イ 進歩性について
(ア)甲2発明1において、「基板302は、一方の面に、ダイ318及びダイ319を基板302に接続する接点306、及びこれに連結された導電経路を有し、ダイ318及びダイ319は、基板302の接点306に接続され」、「基板302は、有機ブリッジ304を受容する凹部を有し、有機ブリッジ304は、基板302の凹部内に配置されて、有機ポリマーを使用して、有機ブリッジ304が凹部に接着され、有機ブリッジ304は、金属層310、交互に配置された複数の誘電体層312、誘電体層312に埋め込まれた金属配線層314、パッド層316からなり、ダイ318及びダイ319は、有機ブリッジ304によって接続される」ものであるから、「基板302」、「ダイ318及びダイ319」、「基板302の接点306」、「有機ブリッジ304」、「有機ブリッジ304」の「パッド層316」、「基板302の凹部」の位置関係を勘案すると、「基板302」の「ダイ318及びダイ319」を搭載する側の面に、「有機ブリッジ304」が備えられているといえる。
そうすると、甲2発明1は、相違点1-1に係る本件発明1の構成を備えているといえる。
しかし、甲2発明1において、「基板302は、一方の面に、ダイ318及びダイ319を基板302に接続する、接点306及びこれに連結された導電経路を有し」、「基板302は、有機ブリッジ304を受容する凹部を有し、有機ブリッジ304は、基板302の凹部内に配置されて、有機ポリマーを使用して、有機ブリッジ304が凹部に接着され」、「ダイ318及びダイ319は、有機ブリッジ304によって接続されている」から、「ダイ318及びダイ319」は、「基板302」との対向距離と、「有機ブリッジ304」との対向距離が同じであるといえる。
そうすると、甲2発明1は、本件発明1の「半導体チップは、前記第一の配線基板との対向距離と、前記第二の配線基板との対向距離が10μm以上100μm以下の範囲で異なる」との構成を備えていない。
したがって、甲1発明1に甲2発明1を適用しても、本件発明1の構成は得られない。
(イ)また、甲3、甲4のいずれにも、「マルチチップパッケージ110」において、「配線基板10」の「半導体部品20と半導体部品30」とを搭載する側の面に、「インタポーザ40」を備えることは、記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明1に、甲3、甲4に記載された事項を適用しても、相違点1-1に係る本件発明1の構成は得られない。
(ウ)よって、本件発明1は、甲1発明1、甲2発明1及び甲3、甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
(3)小括
以上から、本件発明1は、甲1発明1ではなく、また、甲1発明1、甲2発明1及び甲3、甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
2 本件発明3、4について
本件発明3、4は、本件発明1の全ての構成を有する方法の発明であるから、本件発明1と同様の理由により、甲1に記載された発明、甲2発明1及び甲3、甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものでもない。
3 本件発明2について
(1)対比
本件発明2と甲1発明2とを対比する。
ア 甲1発明2の「配線基板10」は、「半導体部品20及び半導体部品30を搭載する半導体装置PKG1に使用する、パッケージ基板」であり、「半導体部品20及び半導体部品30」は、「半導体チップ」であり、また、「配線基板10には、半導体部品20及び半導体部品30がフリップチップ接続方式により電気的に接続されるもの」であるから、「配線基板10」は、「半導体部品20及び半導体部品30」を搭載するフリップチップパッケージに使用するフリップチップパッケージ基板であるといえる。
したがって、甲1発明2の「半導体部品20及び半導体部品30」、「半導体装置PKG1」、「配線基板10」は、本件発明2の「半導体チップ」、「フリップチップパッケージ」、「フリップチップパッケージ基板」にそれぞれ相当し、本件発明2と甲1発明2とは、「2つ以上の半導体チップを搭載するフリップチップパッケージに使用するフリップチップパッケージ基板」である点で一致する。
イ 甲1発明2の「配線基板10」は、「積層された複数の配線層を備える、いわゆる、多層配線基板」であるから、多層配線積層体であるといえる。
また、甲1発明2において、「配線基板10の上面10tには、複数のボンディングパッド(基板端子、半導体部品接続用端子)16が形成され、配線基板10は、下面10bに、半田ボール11を介して実装基板MB1と電気的に接続される複数のランド(外部端子、半田ボール接続用パッド)12が形成されている」から、「下面10b」に、「実装基板MB1」との接続を行う「複数のランド(外部端子、半田ボール接続用パッド)12」を備え、「上面10t」に、「半導体部品」との接続を行う「複数のボンディングパッド(基板端子、半導体部品接続用端子)16」を備えているといえる。
そうすると、甲1発明2の「配線基板10」、「下面10b」、「実装基板MB1」、「複数のランド(外部端子、半田ボール接続用パッド)12」、「上面10t」、「複数のボンディングパッド(基板端子、半導体部品接続用端子)16」は、本件発明2の「多層配線積層体からなる・・・第一の配線基板」、「一方の面」、「プリント配線基板」、「プリント配線基板との接続を行うパッド」、「もう一方の面」、「半導体チップとの接続を行うパッド」にそれぞれ相当し、本件発明2と甲1発明2とは、「多層配線積層体からなる」、「第一の配線基板」「を備えており」、「前記第一の配線基板は、一方の面に、プリント配線基板との接続を行うパッドを備え、もう一方の面に、半導体チップとの接続を行うパッドを備えて」いる点で共通する。
ウ 以上によれば、本件発明2と甲1発明2との一致点と相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「2つ以上の半導体チップを搭載するフリップチップパッケージに使用するフリップチップパッケージ基板であって、
多層配線積層体からなる、第一の配線基板を備えており、
前記第一の配線基板は、一方の面に、プリント配線基板との接続を行うパッドを備え、もう一方の面に、半導体チップとの接続を行うパッドを備えている
ことを特徴とするフリップチップパッケージ基板。」
<相違点>
相違点1-2:本件発明2は、「多層配線積層体からなる」、「第二の配線基板を備えて」いるのに対し、甲1発明2は、そのような構成を備えていない点。
相違点1-3:本件発明2は、「前記第二の配線基板は、一方の面のみに、少なくとも2つの半導体チップとの接続を行う接続パッドを備え、前記接続パッドを上面にして、前記第一の配線基板の前記半導体チップとの接続を行うパッドを備えている面に備えられており、前記第二の配線基板の厚さが10μm以上100μm以下であり、前記第二の配線基板により半導体チップ間が接続される」のに対し、甲1発明2は、そのような構成を備えていない点。
(2)相違点についての判断
相違点1-2及び相違点1-3は、いずれも「第二の配線基板」に関するものであるから一緒に検討する。
ア 新規性について
甲1発明2は、相違点1-2及び相違点1-3に係る本件発明2の構成である「第二の配線基板」に相当する構成を備えていない。
したがって、相違点1-2及び相違点1-3は、実質的な相違点である。
イ 進歩性について
甲1発明2は、「半導体部品20及び半導体部品30を搭載する半導体装置PKG1に使用する、パッケージ基板である配線基板10」であるところ、「配線基板10」に「半導体部品20及び半導体部品30を搭載」した「半導体装置PKG1」は、甲1発明1であって、その構成は、「パッケージ基板である配線基板10と、配線基板10の上面10t上に搭載される半導体部品20及び半導体部品30と、半導体部品20と半導体部品30との間を電気的に接続する配線部材であるインタポーザ40と、を有し」、「インタポーザ40は、配線基板10を介さずに、半導体部品20と半導体部品30とを電気的に接続する複数の配線経路を備えた配線部材であり」、配線基板10上にインタポーザ40が搭載され、インタポーザ40上に半導体部品20と半導体部品30とが搭載され」る構成を含むものである。
そして、上記1(1)イで検討したとおり、甲1発明1の「インタポーザ40」は、本件発明1の「第二の配線基板」に相当するものであるから、本件発明2の「第二の配線基板」に対応するといえる。
しかし、甲1発明1において、「インタポーザ40の下面40bと配線基板10の上面10tとの間には隙間が空いており、隙間には、樹脂体55が配置されて」おり、「インタポーザ40」は、「配線基板10」の「半導体部品20と半導体部品30」との接続を行うパッドを備えている面に備えられているものではない。
また、甲2~甲4のいずれにも、「インタポーザ40」を、「配線基板10」の「半導体部品20と半導体部品30」との接続を行うパッドを備えている面に備えることは、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明2に甲2~甲4に記載された事項を適用しても、相違点1-2及び相違点1-3に係る本件発明2の構成のうち、「前記第二の配線基板」は、「前記第一の配線基板の前記半導体チップとの接続を行うパッドを備えている面に備えられており」との構成は得られない。
したがって、相違点1-2及び相違点1-3に係る本件発明2の構成のその他の構成について判断するまでもなく、本件発明2は、甲1発明2及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
(3)小括
以上から、本件発明2は、甲1発明2ではなく、また、甲1発明2及び甲2~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
第9 申立理由2-2(進歩性)について
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲2発明1とを対比する。
ア 甲2の【0001】には、「集積回路(IC)ダイ」と記載されており、当該「集積回路(IC)」が半導体チップであることは技術常識であるから、甲2発明1の「ダイ318及びダイ319」は、いずれも半導体チップであるといえる。
そうすると、甲2発明1の「ダイ318」、「ダイ319」は、本件発明1の「半導体チップ」に相当する。
イ 甲2発明1の「マルチチップパッケージ110」は、「一方の面に、基板302、有機ブリッジ304及びダイ318及びダイ319を備え」、「ダイ318及びダイ319は、基板302の接点306に接続され」るものであるから、「ダイ318及びダイ319」を搭載するフリップチップパッケージであるといえる。
そうすると、本件発明1と甲2発明1とは、「2つ以上の半導体チップを搭載するフリップチップパッケージ」である点で一致する。
ウ 甲2発明1の「基板302」は、「一方の面に、ダイ318及びダイ319を基板302に接続する、接点306及びこれに連結された導電経路を有し」ているから配線基板であるといえる。
また、甲2発明1の「有機ブリッジ304」は、「金属層310、交互に配置された複数の誘電体層312、誘電体層312に埋め込まれた金属配線層314、パッド層316からなる」ものであるから、配線基板であるといえる。
さらに、甲2発明1の「基板302」は、「有機ブリッジ304を受容する凹部を有し、有機ブリッジ304は、基板302の凹部内に配置されて、有機ポリマーを使用して、有機ブリッジ304が凹部に接着されるものであ」るから、「基板302」の面積は、「有機ブリッジ304」の面積より小さいといえる。
そして、甲2発明1において、「基板302は、一方の面に、ダイ318及びダイ319を基板302に接続する、接点306及びこれに連結された導電経路を有し、ダイ318及びダイ319は、基板302の接点306に接続され」、「基板302は、有機ブリッジ304を受容する凹部を有し、有機ブリッジ304は、基板302の凹部内に配置されて、有機ポリマーを使用して、有機ブリッジ304が凹部に接着されるものであり」、「ダイ318及びダイ319は、有機ブリッジ304によって接続されている」ことから、「基板302」の「ダイ318及びダイ319」を搭載する側の面に、「有機ブリッジ304」が備えられているといえる。
そうすると、甲2発明1の「基板302」、「有機ブリッジ304」は、本件発明1の「第一の配線基板」、「第二の配線基板」にそれぞれ相当し、甲2発明1と本件発明1とは、「第一の配線基板の半導体チップを搭載する側の面に、前記第一の配線基板よりも面積の小さい第二の配線基板が備えられて」いる点で一致する。
エ 甲2発明1において、「基板302は、一方の面に、ダイ318及びダイ319を基板302に接続する、接点306及びこれに連結された導電経路を有し、ダイ318及びダイ319は、基板302の接点306に接続され」、「有機ブリッジ304は、金属層310、交互に配置された複数の誘電体層312、誘電体層312に埋め込まれた金属配線層314、パッド層316からなり」、「ダイ318及びダイ319は、有機ブリッジ304によって接続されている」ことから、「ダイ318及びダイ319」は、「基板302」と「有機ブリッジ304」の両方に跨がって電気的に接続されているとともに、「有機ブリッジ304」に形成された「金属配線層314」によって相互に電気的に接続されているといえる。
そうすると、甲2発明1の「有機ブリッジ304」に形成された「金属配線層314」は、本件発明1の「前記第二の配線基板に形成された配線」に相当し、本件発明1と甲2発明1とは、「半導体チップのうち少なくとも2つは、前記第一の配線基板と前記第二の配線基板の両方に跨って電気的に接続されているとともに、前記第二の配線基板に形成された配線によって相互に電気的に接続されて」いる点で一致する。
オ 甲2発明1において、「基板302は、約40μmの配線幅及び約40μmの配線間隔であり、有機ブリッジ304の設計規則は、約3μmの配線幅及び約3μmの配線間隔であ」るから、「有機ブリッジ304」に形成された配線の「配線幅」と「配線間隔」は、「基板302」に形成された配線の「配線幅」と「配線間隔」より小さいといえる。
そうすると、甲2発明1の「有機ブリッジ304」に形成された配線の「配線幅」と「配線間隔」、「基板302」に形成された配線の「配線幅」と「配線間隔」は、本件発明1の「前記第二の配線基板に形成された少なくとも一部の、配線の線幅とピッチ」、「前記第一の配線基板に形成された配線の線幅とピッチ」にそれぞれ相当し、本件発明1と甲2発明1とは、「前記第二の配線基板に形成された少なくとも一部の、配線の線幅とピッチは、前記第一の配線基板に形成された配線の線幅とピッチより小さ」い点で一致する。
カ 甲2発明1において、「基板302は、有機ブリッジ304を受容する凹部を有し、有機ブリッジ304は、基板302の凹部内に配置されて、有機ポリマーを使用して、有機ブリッジ304が凹部に接着され、有機ブリッジ304は、金属層310、交互に配置された複数の誘電体層312、誘電体層312に埋め込まれた金属配線層314、パッド層316からな」るものであるから、「有機ブリッジ304」は、「誘電体層312」と「金属配線層314」の積層体であって、一方の面のみに「パッド層316」を備えているといえる。
そうすると、甲2発明1の「誘電体層312」、「金属配線層314」、「パッド層316」は、本件発明1の「絶縁層」、「配線層」、「接続パッド」にそれぞれ相当し、本件発明1と甲2発明1とは、「前記第二の配線基板は、絶縁層と配線層の積層体であって、一方の面のみに接続パッドを備えて」いる点で一致する。
キ 上記エで検討したとおり、甲2発明1において、「ダイ318及びダイ319」は、「基板302」と「有機ブリッジ304」の両方に跨がって電気的に接続されているものである。
また、甲2発明1において、「基板302は、一方の面に、ダイ318及びダイ319を基板302に接続する、接点306及びこれに連結された導電経路を有し」、「基板302は、有機ブリッジ304を受容する凹部を有し、有機ブリッジ304は、基板302の凹部内に配置されて、有機ポリマーを使用して、有機ブリッジ304が凹部に接着され」、「ダイ318及びダイ319は、有機ブリッジ304によって接続されている」から、「ダイ318及びダイ319」は、「基板302」との対向距離と、「有機ブリッジ304」との対向距離が同じであるといえる。
そうすると、甲2発明1において、「基板302」と「有機ブリッジ304」の両方に跨がって電気的に接続されている「ダイ318及びダイ319」は、「基板302」との対向距離と、「有機ブリッジ304」との対向距離が同じであり、10μm以上100μm以下の範囲で異なるとはいえない。
ク 以上から、本件発明1と甲2発明1との一致点と相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「2つ以上の半導体チップを搭載するフリップチップパッケージにおいて、
第一の配線基板の半導体チップを搭載する側の面に、前記第一の配線基板よりも面積の小さい第二の配線基板が備えられており、
半導体チップのうち少なくとも2つは、前記第一の配線基板と前記第二の配線基板の両方に跨って電気的に接続されているとともに、前記第二の配線基板に形成された配線によって相互に電気的に接続されており、
前記第二の配線基板に形成された少なくとも一部の、配線の線幅とピッチは、前記第一の配線基板に形成された配線の線幅とピッチより小さく、
前記第二の配線基板は、絶縁層と配線層の積層体であって、一方の面のみに接続パッドを備えている
ことを特徴とするフリップチップパッケージ。」
<相違点>
相違点2-1:「前記第一の配線基板と前記第二の配線基板の両方に跨って電気的に接続される半導体チップ」について、本件発明1は、「前記第一の配線基板との対向距離と、前記第二の配線基板との対向距離が10μm以上100μm以下の範囲で異なる」のに対し、甲2発明1は、「基板302」と「有機ブリッジ304」の両方に跨がって電気的に接続されている「ダイ318及びダイ319」は、「基板302」との対向距離と、「有機ブリッジ304」との対向距離が同じであり、10μm以上100μm以下の範囲で異なるものではない点。
(2)相違点2-1についての判断
ア 上記第8 1(1)カで検討したとおり、本件発明1と甲1発明1とは、「前記第一の配線基板と前記第二の配線基板の両方に跨って電気的に接続される半導体チップは、前記第一の配線基板との対向距離と、前記第二の配線基板との対向距離が10μm以上100μm以下の範囲で異なる」点で一致するから、甲1発明1は、相違点2-1に係る本件発明1の構成を備えているといえる。
しかし、上記第8 1(1)キで検討したとおり、本件発明1と甲1発明1とは、本件発明1は、「第一の配線基板の半導体チップを搭載する側の面」に、「第二の配線基板が備えられて」いるのに対し、甲1発明1は、「配線基板10」の「半導体部品20と半導体部品30」とを搭載する側に、「インタポーザ40」が備えられているものの、「インタポーザ40の下面40bと配線基板10の上面10tとの間には隙間が空いており、隙間には、樹脂体55が配置されており」、「配線基板10」の「半導体部品20と半導体部品30」とを搭載する側の面に、「インタポーザ40」が備えられていない点で相違する。
そうすると、甲2発明1に甲1発明1の構成を適用しても、本件発明1の構成は得られない。
イ また、相違点2-1に係る本件発明1の構成は、「前記第一の配線基板と前記第二の配線基板の両方に跨って電気的に接続される半導体チップ」が前提となる構成であるところ、甲3、甲4には、当該前提となる構成は記載も示唆もされていない。
したがって、甲2発明1に甲3、甲4に記載された事項を適用しても、相違点2-1に係る本件発明1の構成は得られない。
ウ よって、本件発明1は、甲2発明1、甲1発明1及び甲3、甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
(3)小括
以上から、本件発明1は、甲2発明1、甲1発明1及び甲3、甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
2 本件発明3、4について
本件発明3、4は、本件発明1の全ての構成を有する方法の発明であるから、本件発明1と同様の理由により、甲2に記載された発明、甲1発明1及び甲3、甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
3 本件発明2について
(1)対比
本件発明2と甲2発明2とを対比する。
ア 上記1(1)アの検討を参酌すると、甲2発明2の「ダイ318」、「ダイ319」は、本件発明2の「半導体チップ」に相当する。
また、上記1(1)イの検討を参酌すると、甲2発明2の「基板302及び有機ブリッジ304を備えるアセンブリ300」は、2つ以上の半導体チップを搭載するフリップチップパッケージに使用するものであるといえる
そうすると、本件発明2と甲2発明2は、「2つ以上の半導体チップを搭載するフリップチップパッケージに使用するフリップチップパッケージ基板」である点で一致する。
イ 甲2発明2の「基板302」は、「一方の面に、ダイ318及びダイ319を基板302に接続する、接点306及びこれに連結された導電経路を有し」ているから多層配線積層体であるといえる。
また、甲2発明2の「有機ブリッジ304」は、「一方の面に、金属層310、交互に配置された複数の誘電体層312、誘電体層312に埋め込まれた金属配線層314、パッド層316からなる」ものであるから、多層配線積層体であるといえる。
そうすると、甲2発明2の「基板302」、「有機ブリッジ304」は、本件発明2の「第一の配線基板」、「第二の配線基板」にそれぞれ相当し、本件発明2と甲2発明2とは、「多層配線積層体からなる、第一の配線基板と第二の配線基板を備えて」いる点で一致する。
ウ 甲2発明2において、「基板302は、一方の面に、ダイ318及びダイ319を基板302に接続する接点306、及びこれに連結された導電経路を有し」ているから、甲2発明2の「ダイ318及びダイ319を基板302に接続する接点306」は、本件発明2の「半導体チップとの接続を行うパッド」に相当し、本件発明2と甲2発明2とは、「前記第一の配線基板」は、「もう一方の面に、半導体チップとの接続を行うパッドを備えて」いる点で共通する。
エ 甲2発明2において、「有機ブリッジ304は、金属層310、交互に配置された複数の誘電体層312、誘電体層312に埋め込まれた金属配線層314、パッド層316からなり」、「ダイ318及びダイ319は、有機ブリッジ304によって接続される」ものであるから、「有機ブリッジ304」の「パッド層316」は、「ダイ318及びダイ319」との接続を行うものであるといえる。
そうすると、甲2発明2の「有機ブリッジ304」は、一方の面のみに、「ダイ318及びダイ319」との接続を行う「パッド層31」を備えているといえる。
したがって、甲2発明2の「パッド層31」は、本件発明2の「接続パッド」に相当し、本件発明2と甲2発明2とは、「前記第二の配線基板は、一方の面のみに、少なくとも2つの半導体チップとの接続を行う接続パッドを備え」ている点で共通する。
オ 甲2発明2において、「基板302は、一方の面に、ダイ318及びダイ319を基板302に接続する接点306、及びこれに連結された導電経路を有し、ダイ318及びダイ319は、基板302の接点306に接続されるものであり、有機ブリッジ304は、金属層310、交互に配置された複数の誘電体層312、誘電体層312に埋め込まれた金属配線層314、パッド層316からなり、基板302は、有機ブリッジ304を受容する凹部を有し、有機ブリッジ304は、基板302の凹部内に配置されて、有機ポリマーを使用して、有機ブリッジ304が凹部に接着され、ダイ318及びダイ319は、有機ブリッジ304によって接続される」ものであるから、「基板302」、「ダイ318及びダイ319」、「基板302の接点306」、「有機ブリッジ304」、「有機ブリッジ304」の「パッド層316」、「基板302の凹部」の位置関係を勘案すると、「有機ブリッジ304」は、「有機ブリッジ304」の「パッド層316」を上面にして、「基板302の凹部内に配置されて」いるといえる。
そうすると、「有機ブリッジ304」は、「パッド層316」を上面にして、「基板302の凹部」の底面に設けられており、「基板302」の「ダイ318及びダイ319」との接続を行う「接点306」を備えている面に備えられるものではない。
カ 甲2発明2において、「有機ブリッジ304は、約15μmの厚みを有する」ものであり、当該「約15μm」は、「10μm以上100μm以下」の範囲に含まれる。
そうすると、本件発明2と甲2発明2とは、「前記第二の配線基板の厚さが10μm以上100μm以下であ」る点で一致する。
キ 甲2発明2において、「ダイ318及びダイ319は、有機ブリッジ304によって接続される」ものであるから、「有機ブリッジ304」により「ダイ318及びダイ319」間が接続されるといえる。
そうすると、本件発明2と甲2発明2とは、「前記第二の配線基板により半導体チップ間が接続される」点で一致する。
ク 以上によれば、本件発明2と甲2発明2との一致点と相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「2つ以上の半導体チップを搭載するフリップチップパッケージに使用するフリップチップパッケージ基板であって、
多層配線積層体からなる、第一の配線基板と第二の配線基板を備えており、
前記第一の配線基板は、もう一方の面に、半導体チップとの接続を行うパッドを備えており、
前記第二の配線基板は、一方の面のみに、少なくとも2つの半導体チップとの接続を行う接続パッドを備え、
前記第二の配線基板の厚さが10μm以上100μm以下であり、
前記第二の配線基板により半導体チップ間が接続される
フリップチップパッケージ基板。」
<相違点>
相違点2-2:本件発明2は、「第一の配線基板」が、「一方の面に、プリント配線基板との接続を行うパッドを備え」ているのに対し、甲2発明2は、そのような構成を有しているかどうか不明である点。
相違点2-3:について、本件発明2は、「第二の配線基板」が、「前記接続パッドを上面にして、前記第一の配線基板の前記半導体チップとの接続を行うパッドを備えている面に備えられて」いるのに対し、甲2発明2は、「有機ブリッジ304」が、「パッド層316」を上面にして、「基板302の凹部」の底面に設けられており、「基板302」の「ダイ318及びダイ319」との接続を行う「接点306」を備えている面に備えられるものではない点。
(2)相違点についての判断
ア 事案に鑑み、相違点2-3から検討する。
甲1、甲3、甲4のいずれにも、「有機ブリッジ304」を、「基板302」の「ダイ318及びダイ319」との接続を行う「接点306」を備えている面に備えられるようにすることは、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲2発明2に甲1、甲3、甲4に記載された事項を適用しても、相違点2-3に係る本件発明2の構成は得られない。
したがって、甲2発明2において、相違点2-3に係る本件発明2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
イ よって、相違点2-2について判断するまでもなく、本件発明2は、甲2発明2及び甲1、甲3、甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)小括
以上から、本件発明2は、甲2発明2及び甲1、甲3、甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
第10 申立理由3(サポート要件)について
1(1)申立人は、特許異議申立書の63ページ3行~19行において、本件発明1の「半導体チップは、第一の配線基板との対向距離と、前記第二の配線基板との対向距離が10μm以上100μm以下の範囲で異なる」は、
解釈a.半導体チップと第一の配線基板との対向距離Aが10μm以上100μm以下の範囲であり、半導体チップと第二の配線基板との対向距離Bが10μm以上100μm以下の範囲であって、かつ対向距離AとBとが異なる数値である、という意味であるとも、
解釈b.半導体チップと第一の配線基板との対向距離Aと、半導体チップと第二の配線基板との対向距離Bの差異が10μm以上100μm以下である、という意味であるとも、解釈されるのに対し、発明の詳細な説明の【0037】には、「接続用突起8と、接続用突起9は、第二の配線基板5の厚さ(およそ10μm以上100μm以下)の分だけ異なる高さとする。」(上記解釈b)としか記載されておらず、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものでなく、請求項1の記載を引用する本件発明3、4についても同様である旨主張している。
(2)しかし、上記第7 5(1)イで検討したとおり、発明の詳細な説明の【0037】の記載によれば、本件発明1の「半導体チップは、前記第一の配線基板との対向距離と、前記第二の配線基板との対向距離が10μm以上100μm以下の範囲で異なる」は、2つの対向距離の差異が「10μm以上100μm以下の範囲」であるといえるから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、請求項1の記載を引用する本件発明3、4も同様である。
2(1)申立人は、特許異議申立書の63ページ20行~64ページ下から8行において、本件発明1、2の目的は、高コストとなる複雑な工程を使用せずに、2つ以上の半導体チップを搭載可能とする狭ピッチな微細配線に対応可能なフリップチップパッケージおよびフリップチップパッケージ基板を提供することであり(本件訂正明細書等【0008】)、ここでいう「高コストとなる複雑な工程」とは、フリップチップパッケージ基板のブリッジを埋め込む部分に凹部を、フリップチップパッケージ基板の上面とブリッジの上面を面一に形成して、その面に形成した配線による結線を可能にしておくことである(本件訂正明細書等【0006】)ところ、
ア 本件発明1は「半導体チップは、第一の配線基板との対向距離と、前記第二の配線基板との対向距離が10μm以上100μm以下の範囲で異なる」と特定しているが、半導体チップと第一の配線基板との対向距離Aと半導体チップと第二の配線基板との対向距離Bとの大小関係が特定されておらず、半導体チップと第一の配線基板との対向距離Aよりも、半導体チップと第二の配線基板との対向距離Bの方が大きい態様を包含しており、この態様を実現するには、第一の配線基板に凹部を形成し、凹部に第二の配線基板を埋め込む必要があるため、本件発明1は、「高コストとなる複雑な工程を使用せず」という目的を達成しえない態様を包含しており、
イ また、本件発明2は「第二の配線基板の厚さが10μm以上100μm以下であり」と特定しているが、第一の配線基板と第二の配線基板との位置関係が特定されておらず、第一の配線基板に凹部を形成し、凹部に第二の配線基板を埋め込まれている態様を包含しているため、本件発明2は、「高コストとなる複雑な工程を使用せず」(【0008】)という目的を達成しえない態様を包含しており、当然のことながら、発明の詳細な説明には、第一の配線基板に凹部を形成し、凹部に第二の配線基板を埋め込まれている実施形態が開示されておらず、本件発明1、2は、本件の課題を解決できることを当業者が認識できる範囲を超えているといえるから、出願時の技術常識に照らしても、本件発明1、2の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないし、請求項1の記載を引用する本件発明3、4についても同様である旨主張している。
(2)上記(1)アの主張について
本件訂正明細書等の「【0037】
次に、図2(e)に示すように、半導体チップ6及び7を第一の配線基板3及び第二の配線基板5に接続する。この様にして、本発明のフリップチップパッケージ40を作製することができる。
接続は接続用突起8、9によって行われる。このとき、半導体チップ6、7から第一の配線基板3までの対向距離(半導体チップ6、7と第一の配線基板3との向き合った面間の距離)18と、同じく半導体チップ6及び7から第二の配線基板5までの対向距離(半導体チップ6、7と第二の配線基板5との向き合った面間の距離)19は、第二の配線基板5の厚さの分だけ異なる。そのため接続用突起8と、接続用突起9は、第二の配線基板5の厚さ(およそ10μm以上100μm以下)の分だけ異なる高さとする。接続用突起8、9の形成方法については後述する。」及び【図2】(e)の
「
[図:0001429987000017.jpg]
」の記載によれば、本件発明1において、「半導体チップ」と「第一の配線基板」との対向距離18(対向距離A)よりも、「半導体チップ」と「第二の配線基板」との対向距離19(対向距離B)の方が小さいものであるから、本件発明1は、半導体チップと第一の配線基板との対向距離Aよりも、半導体チップと第二の配線基板との対向距離Bの方が大きい態様を包含するものではない。
したがって、申立人の上記(1)アの主張は前提において誤っている。
(3)上記(1)イの主張について
本件発明2において、「第二の配線基板」は、「前記第一の配線基板の前記半導体チップとの接続を行うパッドを備えている面に備えられて」いるものであるから、「第一の配線基板」の「前記半導体チップとの接続を行うパッドを備えている面」と、「第一配線基板」の「第二の配線基板」を備えている面とは、同じ面である。
そうすると、申立人が主張する「第一の配線基板に凹部を形成し、凹部に第二の配線基板を埋め込まれている態様」は、第二の配線基板が、第一の配線基板に形成された凹部の底面に備えられるものであって、第二の配線基板の半導体チップとの接続を行うパッドを備えている面に備えられるものではない。
したがって、本件発明2は、「第一の配線基板」に凹部を形成し、凹部に「第二の配線基板」を埋め込まれている態様を包含するものではない。
よって、申立人の上記(1)イの主張は前提において誤っている。
3 「面に」について
(1)申立人は、令和7年6月10日提出の意見書の10ページ5行~12行において、上記第2 2(4)イ(イ)aに記載した主張を参照しつつ、本件発明2は、「前記第二の配線基板は、・・・前記第一の配線基板の前記半導体チップとの接続を行うパッドを備えている面に備えられており、」と特定し、第二の配線基板が第一の配線基板の面に備えられていることを特定しているが、発明の詳細な説明等には、第二の配線基板が第一の配線基板の面上に備えられているものしか記載されておらず、本件発明2は、発明の課題を達成しえない態様を包含している旨主張している。
(2)しかし、本件発明2の「前記第二の配線基板は、・・・前記第一の配線基板の前記半導体チップとの接続を行うパッドを備えている面に備えられており、」との事項は、本件訂正明細書等の【0027】、【0028】、【0036】~【0037】及び【図1】、【図2】(d)、(e)に記載されているといえる。
そして、申立人が主張する「第二の配線基板が第一の配線基板の面上に備えられている」は、第二の配線基板が第一の配線基板の面の上方に備えられているものを含んでいるが、そのようなものは、本件訂正明細書等には記載されていない。
したがって、申立人の上記主張は前提において誤っている。
4 「接続パッド」について
(1)申立人は、令和7年6月10日提出の意見書の10ページ14行~18行において、上記第7 5(2)アに記載した主張を参照しつつ、本件発明2は、「半導体チップ」と「2つの半導体チップ」が異なる半導体チップである態様を含みうるが、発明の詳細な説明等にそのような態様は記載されておらず、本件発明2は発明の課題を解決しえない態様を包含している旨主張している。
(2)しかし、上記第7 5(2)イで検討したとおり、本件発明2において、第一の配線基板のパッドと接続される「半導体チップ」と、第二の配線基板の接続パッドと接続される「2つの半導体チップ」とは、同じ「半導体チップ」であるから、本件発明2は、「半導体チップ」と「2つの半導体チップ」が異なる半導体チップである態様を含み得るものではない。
したがって、申立人の上記主張は前提において誤っている。
5 「半導体チップ間」の接続について
(1)申立人は、令和7年6月10日提出の意見書10ページ20行~最下行において、本件発明2における「前記第二の配線基板により半導体チップ間が接続される」は、第二の配線基板上のみに複数の半導体チップが搭載され、これらの複数の半導体チップが第二の配線基板により接続されている態様を包含しているが、発明の詳細な説明等には、半導体チップが第一の配線基板と第二の配線基板の両方に跨って接続されている態様しか記載されておらず、本件発明2は発明の課題を解決しえない態様を包含している旨主張している。
(2)しかし、上記第7 5(2)イで検討したとおり、本件発明2において、第一の配線基板のパッドと接続される「半導体チップ」と、第二の配線基板の接続パッドと接続される「2つの半導体チップ」とは、同じ「半導体チップ」であるから、本件発明2は、「第二の配線基板」上のみに「複数の半導体チップ」が搭載され、これらの「複数の半導体チップ」が「第二の配線基板」により接続されている態様を包含するものではない。
したがって、申立人の上記主張は前提において誤っている。
6 「接続される」について
(1)申立人は、令和7年6月10日提出の意見書11ページ2行~8行において、本件発明2における「前記第二の配線基板により半導体チップ間が接続される」は、2つの半導体チップを接着するために介在する層により「物理的に接続される」態様を包含しているが、請求項1や発明の詳細な説明等には、第二の配線基板が有する回路により「電気的に接続される」態様しか記載されておらず、本件発明2は発明の課題を解決しえない態様を包含している旨主張している。
(2)しかし、上記第7 5(4)イで検討したとおり、本件発明2の「前記第二の配線基板により半導体チップ間が接続される」は、「半導体チップ間」が、「第二の配線基板」が有するパッドとビアと配線によって電気的に接続されることを意味するものといえるから、本件発明2は、「2つの半導体チップ」を接着するために介在する層により「物理的に接続される」態様を包含するものではない。
したがって、申立人の上記主張は前提において誤っている。
7 以上から、申立人の上記主張はいずれも採用できない。
8 小括
以上のとおりであるから、本件発明1~4は、発明の詳細な説明に記載されたものである。
よって、申立理由3(サポート要件)には理由がない。
第11 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700604