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特許異議申立

2024-700274

半導体用接着剤、半導体装置の製造方法及び半導体装置

審判番号
2024-700274
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-550470
登録番号
7363798
請求日
2024年03月26日
審決日
2024年10月16日
公報発行日
2025年01月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社レゾナック
  • 【権利者代理人】長谷川 芳樹
  • 【権利者代理人】清水 義憲
  • 【権利者代理人】須藤 康洋
  • 【権利者代理人】平野 裕之
  • 【異議申立人】麻生 陽一郎
審判長/審判官
  • 審判長 恩田 春香
  • 審判官 三浦 みちる
  • 審判官 中野 浩昌
分類
P1651.113-YAA(H01L) / P1651.121-YAA(H01L) / P1651.537-YAA(H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7363798号発明「半導体用接着剤、半導体装置の製造方法及び半導体装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7363798号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。 特許第7363798号の請求項1~6に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7363798号の請求項1~6に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、2019年(令和元年)10月1日(優先権主張 平成30年10月2日)に国際出願され、令和5年10月10日にその特許権の設定登録がされ、同年10月18日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和6年 3月26日 :特許異議申立人 麻生 陽一郎(以下、「申立人」という。)による請求項1~6に係る特許に対する特許異議の申立て 令和6年 6月10日付け:取消理由通知書 令和6年 8月 7日 :特許権者による意見書及び訂正請求書(以下、この訂正請求書を「本件訂正請求書」、この訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。)の提出 令和6年 9月 2日 :申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 本件訂正の内容は、次のとおりである。(下線は訂正箇所を示すために当審で付した。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「半導体用接着剤。」とあるのを、 「半導体用接着剤(但し、無機フィラー中の10~90質量%を平均粒径が0.05μm~5μmである球形又は擬球形無機フィラーが占め、90~10質量%を平均厚さtが0.005μm~5μm、平均粒径aは0.05~15μm、アスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーが占めるものを除く)。」 に訂正する。(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~6も同様に訂正する。) 2 一群の請求項について 訂正前の請求項1~6について、請求項2~6は、いずれも請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1により訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項〔1~6〕は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について (1)訂正事項1について ア 訂正の目的の適否 訂正事項1は、「半導体用接着剤」から「無機フィラー中の10~90質量%を平均粒径が0.05μm~5μmである球形又は擬球形無機フィラーが占め、90~10質量%を平均厚さtが0.005μm~5μm、平均粒径aは0.05~15μm、アスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーが占めるもの」を除くものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項に規定する要件を満たしている。 イ 新規事項の有無 訂正事項1は、いわゆる「除くクレーム」として「無機フィラー中の10~90質量%を平均粒径が0.05μm~5μmである球形又は擬球形無機フィラーが占め、90~10質量%を平均厚さtが0.005μm~5μm、平均粒径aは0.05~15μm、アスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーが占めるもの」を除くものであって、新たな技術的事項を導入するものではないから、願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。)、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものである。 よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記アのとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 4 訂正の適否についてのまとめ 以上のとおりであるから、訂正事項1に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項に規定する要件を満たしており、かつ、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 上記「第2 訂正の適否」のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明6」といい、まとめて「本件発明」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 (a)無機フィラーを含有し、前記(a)無機フィラーが、グリシジル基を有する表面処理が施された無機フィラーを、前記(a)無機フィラー全量を基準として50質量%以上含み、 前記(a)無機フィラーの含有量が、半導体用接着剤の固形分全量を基準として3390/55.12~80質量%である、半導体用接着剤(但し、無機フィラー中の10~90質量%を平均粒径が0.05μm~5μmである球形又は擬球形無機フィラーが占め、90~10質量%を平均厚さtが0.005μm~5μm、平均粒径aは0.05~15μm、アスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーが占めるものを除く)。 【請求項2】 (b)エポキシ樹脂、(c)硬化剤、及び、(d)重量平均分子量10000以上の高分子量成分を更に含有する、請求項1に記載の半導体用接着剤。 【請求項3】 (e)フラックス剤を更に含有する、請求項1又は2に記載の半導体用接着剤。 【請求項4】 フィルム状である、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体用接着剤。 【請求項5】 半導体チップ及び配線回路基板のそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置、又は、複数の半導体チップのそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置の製造方法であって、 前記接続部の少なくとも一部を、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体用接着剤を用いて封止する工程を備える、半導体装置の製造方法。 【請求項6】 半導体チップ及び配線回路基板のそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された接続構造、又は、複数の半導体チップのそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された接続構造と、 前記接続部の少なくとも一部を封止する接着材料と、を備え、 前記接着材料は、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体用接着剤の硬化物からなる、半導体装置。」 第4 特許異議申立理由及び取消理由の概要 1 各甲号証の一覧 申立人が提出した証拠は、次のとおりである。 甲第1号証:特開2017-105883号公報 甲第2号証:特開2017-041499号公報 甲第3号証:特開2013-038175号公報 甲第4号証:鈴木敏弘、「イミダゾール化合物の色材への応用」、色材協会誌、1979年、52巻、6号、319~330頁 以下、上記「甲第1号証」~「甲第4号証」を、それぞれ「甲1」~「甲4」という。 2 特許異議申立理由の概要 申立人が特許異議申立書に記載した特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。なお、理由番号は当審で付した。 (1)申立理由1(甲1を主たる証拠とした新規性欠如) 本件訂正前の請求項1、2に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、同請求項1、2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (2)申立理由2(甲1を主たる証拠とした進歩性欠如) 本件訂正前の請求項1~6に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2、甲3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (3)申立理由3(甲2を主たる証拠とした進歩性欠如) 本件訂正前の請求項1~6に係る発明は、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (4)申立理由4(甲3を主たる証拠とした進歩性欠如) 本件訂正前の請求項1~6に係る発明は、甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 3 取消理由の概要 当審が令和6年6月10日付けで通知した取消理由通知書に記載した取消理由の概要は、次のとおりである。 (1)取消理由1(新規性) 本件訂正前の請求項1、2、4に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、同請求項1、2、4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (2)取消理由2(進歩性) 本件訂正前の請求項3~6に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された技術的事項並びに甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同請求項3~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (3)取消理由3(明確性要件) 本件特許は、本件訂正前の請求項1及び同請求項1を直接的又は間接的に引用する本件訂正前の請求項2~6に係る発明について、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 第5 当審の判断 1 各甲号証の記載 (1)甲1の記載、甲1発明 ア 甲1には、次の記載がある。(下線は当審で付した。以下同じ。) 「【請求項1】 (A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂 (B)エポキシ基と反応性を有する基を1分子中に2個以上有する硬化剤 成分(A)中のエポキシ基1当量に対し、該成分(B)中の、エポキシ基と反応性を有する基が0.8~1.25当量となる量 (C)分子量が100,000以上1,000,000未満であるアクリル樹脂 成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対して5~900質量部 (D)硬化促進剤 成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対して0.05~10質量部 (E)無機充填材 成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対して50~600質量部 (F)希釈剤 成分(A)~(D)の合計100質量部に対して10~900質量部、 及び (G)下記一般式(1)で示されるジメチルシリコーン 成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対して0.01~2質量部 【化1】 [図:0001418243000001.jpg] (式(1)中、nは、0~2,000の整数) を含み、 前記(E)無機充填材中の10~90質量%を平均粒径が0.05μm~5μmである球形又は擬球形無機フィラーが占め、90~10質量%を平均厚さtが0.005μm~5μm、平均粒径aは0.05~15μm、アスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーが占めることを特徴とする液状樹脂組成物。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は、半導体素子をリードフレームに接着するのに好適な接着剤用の液状樹脂組成物に関する。詳細には、薄膜印刷性に優れ、安定なBステージ状態を形成するリードフレームへの接着性が良好な液状樹脂組成物及びこの硬化物を用いた半導体装置に関する。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 従って、本発明は、大面積への薄膜印刷性に優れ、安定なBステージ状態を形成するリードフレームへの接着性が良好な液状樹脂組成物及び該組成物を用いたダイアタッチ方法、並びに該組成物の硬化物を有する半導体装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明者らは、上記事情に鑑み鋭意研究した結果、平均粒径が0.05μm~5μmの球形又は擬球形無機フィラーとアスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーを所定の割合で含有する液状樹脂組成物が、スクリーン印刷後の平坦性、Bステージ状態の安定性、ダイシングテープの貼付性、さらにはシリコンウエハーを個片化する際のダイシング性に優れ、かつリードフレームへの接着性が優れていることを見出し本発明に至った。なお、本明細書中「Bステージ状態」とは液状樹脂組成物が一次硬化、半硬化あるいは仮硬化した状態を意味し、「Cステージ状態」とは完全に硬化反応を終了させた状態を意味する。 【0010】 即ち、本発明は、 <1> (A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂 (B)エポキシ基と反応性を有する基を1分子中に2個以上有する硬化剤 成分(A)中のエポキシ基1当量に対し、該成分(B)中の、エポキシ基と反応性を有する基が0.8~1.25当量となる量 (C)分子量が100,000以上1,000,000未満であるアクリル樹脂 成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対して5~900質量部 (D)硬化促進剤 成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対して0.05~10質量部 (E)無機充填材 成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対して50~600質量部 (F)希釈剤 成分(A)~(D)の合計100質量部に対して10~900質量部、 及び (G)下記一般式(1)で示されるジメチルシリコーン 成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対して0.01~2質量部 【化1】 [図:0001418243000002.jpg] (式(1)中、nは、0~2,000の整数) を含み、 前記(E)無機充填材中の10~90質量%を平均粒径が0.05μm~5μmである球形又は擬球形無機フィラーが占め、90~10質量%を平均厚さtが0.005μm~5μm、平均粒径aは0.05~15μm、アスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーが占めることを特徴とする液状樹脂組成物。」 「【0067】 (F)希釈剤 希釈剤は、樹脂組成物の粘度を調整する目的で添加するものである。成分(F)は1種単独或いは2種以上を組み合わせても使用することができる。希釈剤の種類は常温で液状であれば特に限定されるものではない。好ましくは、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の混合物を溶解し、成分(D)及び成分(E)と溶解せず、沸点が150℃以上の溶剤がよい。具体的には、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、ジアセトンアルコール等のケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のグリコールエーテル、メチルセルソルブアセテート、エチルセルソルブアセテート、カルビトールアセテート等のグリコールエステル等が挙げられる。」 「【0078】 液状樹脂組成物の使用方法 本発明の液状樹脂組成物は、下記(1)~(6)を含む工程により使用することができる。 (1)液状樹脂組成物塗布工程 シリコンウエハー上に液状樹脂組成物をスクリーン印刷によって塗布する。シリコンウエハーの塗布面は、個片化して半導体チップになった際にリードフレームに接着する側の面である。 (2)接着層形成工程 工程(1)で塗布した液状樹脂組成物を60℃~200℃で1分間~3時間加熱してBステージ化することにより接着層を形成する。この接着層は、200μm以下の厚さで、表面の算術平均粗さが2μm以下である。 (3)貼付工程 接着層を介してシリコンウエハーをダイシングテープに貼り付ける。ダイシングテープの貼付方法は公知の方法に従って行えばよく、またダイシングテープも公知のものを使用できる。 (4)チップ化工程 工程(3)で作成した接着層付シリコンウエハーを複数の個片に切断して半導体チップにする。切断方法は、例えば、ダイヤモンドブレードでシリコンウエハーを切削するダイシング方法、或いはレーザーダイシング方法等により、シリコンウエハー及び接着層を互いが密着したままで複数の個片に切断する方法を用いてもよい。切断方法は用途に応じて適宜選択できる。 (5)搭載工程 個片化された接着層付半導体チップをダイシングテープから剥がし、該個片の接着層を介してリードフレーム上に搭載する。半導体チップの搭載方法は、ダイボンダーを使用する方法を用いてもよい。また、半導体チップを搭載する条件は特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択できる。半導体チップの搭載条件としては、例えば、半導体チップ搭載直前のプレヒートの温度、時間や、半導体チップ搭載時の半導体チップ及びリードフレームの温度、時間、圧力が挙げられる。プレヒートは、接着層とシリコンウエハーとの密着性を向上するために行うものであり、50℃~150℃、2秒~10分で行うことが好ましい。半導体チップ搭載条件は、半導体チップの温度が25℃~250℃、基板及び他のチップの温度が25℃~200℃で、0.1秒~10秒、0.01MPa~10MPaで行うことが好ましい。 (6)硬化工程 リードフレーム上の液状樹脂組成物を硬化する。液状樹脂組成物の硬化方法は、例えば、開閉式や連続式のオーブンを使用して、液状樹脂組成物を硬化してもよい。硬化条件は、100℃~200℃、好ましくは120~180℃で、1~8時間、好ましくは1.5~3時間がよい。なお、導電性樹脂組成物の硬化は半導体装置の樹脂封止工程において同時に行ってもよい。」 「【実施例】 ・・・ 【0082】 [実施例1~13、比較例1~15] 以下に示す各成分を、表1及び表2に示す配合量でプラネタリーミキサーを用いて混合し、その混合物を3本ロールに通過させた後、25℃において再度プラネタリーミキサーで混合して、実施例1~13及び比較例1~15の液状樹脂組成物を製造した。但し、表2に示す実施例9~13及び比較例8~15は、表1の実施例1の組成比で、球状フィラーの平均粒径及び鱗状フィラーの平均厚さを変えて製造したものである。 【0083】 (A)エポキシ樹脂 (1)エポキシ樹脂(a1):合成例1で製造したシリコーン変性エポキシ樹脂(エポキシ当量291、軟化点70℃、室温(25℃)で固体状) (2)エポキシ樹脂(a2):o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:EOCN1020-55(日本化薬社製)、エポキシ当量200、軟化点57℃、室温(25℃)で固体状) (3)エポキシ樹脂(a3):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:RE310S(日本化薬社製)、エポキシ当量180、室温(25℃)で液状(粘度15Pa・s)) 【0084】 (B)硬化剤 (1)硬化剤(b1):アラルキル型フェノール樹脂(商品名:MEHC-7800H(明和化成製)、フェノール当量175、軟化点85℃、室温(25℃)で固体状) (2)硬化剤(b2):ジアリールビスフェノールA(商品名:BPA-CA(小西化学社製)、フェノール当量154、室温(25℃)で液状(粘度16Pa・s)) 【0085】 (C)熱可塑樹脂 グリシジル基含有アクリル酸エステル共重合体(商品名:SG-80Hのメチルエチルケトン留去物(ナガセクムテックス社製)分子量350,000) 【0086】 (D)硬化促進剤 2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール(商品名:2P4MHZ-PW(四国化成製)) 【0087】 (E)無機充填材 (E1)球状無機フィラー (1)球状無機フィラー(E1-1):シリカ(商品名:AEROSIL 90(日本アエロジル社製)、球状、平均粒子径0.02μm) (2)球状無機フィラー(E1-2):シリカ(商品名:SO-25R(アドマテックス社製)、球状、平均粒径0.5μm) (3)球状無機フィラー(E1-3):シリカ(商品名:N-MSR04(龍森社製),球状、平均粒径4μm) (4)球状無機フィラー(E1-4):アルミナ(商品名:AO-41R(アドマテックス社製)、球状、平均粒径10μm) (E2)鱗片状無機フィラー (5)鱗片状無機フィラー(E2-1):タルク(商品名:FH104(富士タルク工業株式会社製)、鱗片状、平均厚さ0.2μm、平均粒径4μm、アスペクト比20) (6)鱗片状無機フィラー(E2-2):タルク(商品名:FH108(富士タルク工業株式会社製)、鱗片状、平均厚さ0.2μm、平均粒径8μm、アスペクト比40) (7)鱗片状無機フィラー(E2-3):タルク(商品名:MG115(富士タルク工業株式会社製)、鱗片状、平均厚さ0.2μm、平均粒径14μm、アスペクト比70) (8)鱗片状無機フィラー(E2-4):タルク(商品名:RL119(富士タルク工業株式会社製)、鱗片状、平均厚さ0.2μm、平均粒径17μm、アスペクト比85) 上記無機フィラーをシランカップリング剤であるγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403、信越化学工業株式会社製)で予め表面処理して使用した。 【0088】 (F)希釈剤 溶剤:ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(商品名:EDGAC(ダイセル化学社製)) 【0089】 (G)ジメチルシリコーン KF-96-100cs(信越化学工業(株)製、25℃における粘度97mPa・s) ・・・ 【0093】 [スクリーン印刷後ボイド残り] 開口部140mmφ、50μm厚、メッシュが1インチ当たり200本~400本のスクリーンマスクにより、シリコンウエハー(6インチ径、0.2mm)の片面に、各液状樹脂組成物を用いて、印圧10psi、ウレタンスキージ速度25mm/sでスクリーン印刷を行った。シリコンウエハーの片側全面に薄く液状樹脂組成物を塗布し、塗布直後のボイド数と25℃/50%RHの環境下で30分間静置したときのボイド数とを下記の様に評価した。ボイド数は、シリコンウエハー表面上のボイドを顕微鏡により観察して個数を数えた。結果を表1に記載した。 ○・・・ボイドが10個未満 △・・・ボイドが11~50個 ×・・・ボイドが51個以上 【0094】 [Bステージ化後の表面の算術平均粗さ] スクリーン印刷後ボイド残りの観察試験で得られた液状樹脂組成物が塗布されたシリコンウエハー上で、該液状樹脂組成物を120℃/15分間/窒素通気の条件下でBステージ化した。該Bステージ状態の液状樹脂組成物の表面の算術平均粗さをレーザー顕微鏡(型番:VK-9700、株式会社キーエンス社製)で測定した。結果を表1に記載した。 ・・・ 【0097】 [接着性] 前記切断された2mm×2mmのシリコンウエハー片をダイシングテープからピックアップし、エポキシ組成物を介してCuリードフレーム、ニッケル・パラジウム・金メッキリードフレーム、およびAgメッキリードフレーム(100ミクロン厚、35mm×35mm)上にダイアタッチした。ダイアタッチ時の条件は、シリコンウエハー片及び基板(以下、デバイスと呼ぶ)の温度150℃として、圧力2MPa、時間0.5秒とした。その後、Bステージ状態の液状樹脂組成物(以下、接着層と呼ぶ)を125℃/1時間、さらに165℃/2時間で硬化した。硬化後、85℃、85RH%条件の下、デバイスを168時間放置した。その後、さらに最高温度が260℃のIRリフローオーブン中にデバイスを3回通過させた後、260℃でダイシェア強度を測定し、これを接着強度とした。接着強度が1MPa以上の場合は○、1MPa以下の場合は×とした。結果を表1に記載した。 【0098】 [ダイアタッチ性] 前記Bステージ化後のシリコンウエハーの液状樹脂組成物が塗布された側に、ダイシングテープ(型番:T-80MW、トーヨーアドテック社製)を貼り付け、ダイシング速度50mm/sでシリコンウエハーを5mm×5mmに個片化した。切断されたシリコンウエハー片をダイシングテープからピックアップし、接着層を介してニッケル・パラジウム・金メッキリードフレーム、(100ミクロン厚、35mm×35mm)上にダイアタッチした。ダイアタッチ時の条件は、デバイスの温度150℃として、圧力2MPa、時間0.5秒とした。その後、接着層を125℃/1時間、さらに165℃/2時間で硬化した。硬化後のデバイスにおいて、超音波索傷装置(型番:Quantam350、SONIX社製)を用いてボイド及び剥離の有無を観察した。チップ面積の5%以上の剥離やボイドが認められたものは×、5%未満であるものは○とした。結果を表1に記載した。 ・・・ 【0101】 【表1】 [図:0001418243000003.jpg] 」 イ 甲1の表1に記載された事項 上記アの段落0101の表1には、実施例3の液状樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂:(2+52)質量部と、(B)硬化剤:46質量部と、(C)熱可塑樹脂:50質量部と、(D)硬化促進剤:5質量部と、(E1)球状フィラー(E1-2):300質量部と、(E2)鱗片状フィラー(E2-1):300質量部と、(F)希釈剤:150質量部と、(G)ジメチルシリコーン:1質量部と、「KBM403」:1質量部と、を含むことが記載されている。 また、実施例6の液状樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂:(2+52)質量部と、(B)硬化剤:46質量部と、(C)熱可塑樹脂:50質量部と、(D)硬化促進剤:5質量部と、(E1)球状フィラー(E1-2):150質量部と、(E2)鱗片状フィラー(E2-1):150質量部と、(F)希釈剤:150質量部と、(G)ジメチルシリコーン:1質量部と、「KBM403」:1質量部と、を含むことが記載されている。 また、実施例8の液状樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂:52質量部と、(B)硬化剤:46質量部と、(C)熱可塑樹脂:200質量部と、(D)硬化促進剤:5質量部と、(E1)球状フィラー(E1-2):350質量部と、(E2)鱗片状フィラー(E2-1):150質量部と、(F)希釈剤:900質量部と、(G)ジメチルシリコーン:1質量部と、「KBM403」:1質量部と、を含むことが記載されている。 また、比較例6の液状樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂:(2+52)質量部と、(B)硬化剤:46質量部と、(C)熱可塑樹脂:50質量部と、(D)硬化促進剤:5質量部と、(E1)球状フィラー(E1-2):100質量部と、(F)希釈剤:150質量部と、(G)ジメチルシリコーン:1質量部と、「KBM403」:1質量部と、を含むことが記載されている。 また、比較例7の液状樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂:54質量部と、(B)硬化剤:46質量部と、(C)熱可塑樹脂:50質量部と、(D)硬化促進剤:5質量部と、(E2)鱗片状フィラー(E2-1):100質量部と、(F)希釈剤:150質量部と、(G)ジメチルシリコーン:1質量部と、「KBM403」:1質量部と、を含むことが記載されている。 ウ 甲1に記載された発明 上記アの段落0001、0078、0082~0089、0093、0094、0098、0101及び上記イより、甲1には、実施例3について、次の発明(以下、「甲1発明a」という。)が記載されていると認められる。 「(A)エポキシ樹脂:54質量部と、 (B)硬化剤:46質量部と、 (C)熱可塑樹脂:50質量部と、 (D)硬化促進剤:5質量部と、 (E)無機充填材として、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:1質量部で表面処理された、(E1)球状無機フィラー(平均粒径0.5μm):300質量部、及び、(E2)鱗片状無機フィラー(平均厚さ0.2μm、平均粒径4μm、アスペクト比20):300質量部と、 (F)希釈剤:150質量部と、 (G)ジメチルシリコーン:1質量部と、 を含む液状樹脂組成物を、シリコンウエハー上に塗布し、加熱することにより形成され、 半導体チップを接着する接着剤に用いられる、 Bステージ状態の液状樹脂組成物(接着層)。」 また、甲1には、実施例6について、次の発明(以下、「甲1発明b」という。)が記載されていると認められる。 「(A)エポキシ樹脂:54質量部と、 (B)硬化剤:46質量部と、 (C)熱可塑樹脂:50質量部と、 (D)硬化促進剤:5質量部と、 (E)無機充填材として、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:1質量部で表面処理された、(E1)球状無機フィラー(平均粒径0.5μm):150質量部、及び、(E2)鱗片状無機フィラー(平均厚さ0.2μm、平均粒径4μm、アスペクト比20):150質量部と、 (F)希釈剤:150質量部と、 (G)ジメチルシリコーン:1質量部と、 を含む液状樹脂組成物を、シリコンウエハー上に塗布し、加熱することにより形成され、 半導体チップを接着する接着剤に用いられる、 Bステージ状態の液状樹脂組成物(接着層)。」 また、甲1には、実施例8について、次の発明(以下、「甲1発明c」という。)が記載されていると認められる。 「(A)エポキシ樹脂:52質量部と、 (B)硬化剤:46質量部と、 (C)熱可塑樹脂:200質量部と、 (D)硬化促進剤:5質量部と、 (E)無機充填材として、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:1質量部で表面処理された、(E1)球状無機フィラー(平均粒径0.5μm):350質量部、及び、(E2)鱗片状無機フィラー(平均厚さ0.2μm、平均粒径4μm、アスペクト比20):150質量部と、 (F)希釈剤:900質量部と、 (G)ジメチルシリコーン:1質量部と、 を含む液状樹脂組成物を、シリコンウエハー上に塗布し、加熱することにより形成され、 半導体チップを接着する接着剤に用いられる、 Bステージ状態の液状樹脂組成物(接着層)。」 また、甲1には、比較例6について、次の発明(以下、「甲1発明d」という。)が記載されていると認められる。 「(A)エポキシ樹脂:54質量部と、 (B)硬化剤:46質量部と、 (C)熱可塑樹脂:50質量部と、 (D)硬化促進剤:5質量部と、 (E)無機充填材として、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:1質量部で表面処理された、(E1)球状無機フィラー(平均粒径0.5μm):100質量部と、 (F)希釈剤:150質量部と、 (G)ジメチルシリコーン:1質量部と、 を含む液状樹脂組成物を、シリコンウエハー上に塗布し、加熱することにより形成され、 半導体チップを接着する接着剤に用いられる、 Bステージ状態の液状樹脂組成物(接着層)。」 また、甲1には、比較例7について、次の発明(以下、「甲1発明e」という。)が記載されていると認められる。 「(A)エポキシ樹脂:54質量部と、 (B)硬化剤:46質量部と、 (C)熱可塑樹脂:50質量部と、 (D)硬化促進剤:5質量部と、 (E)無機充填材として、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:1質量部で表面処理された、(E2)鱗片状無機フィラー(平均厚さ0.2μm、平均粒径4μm、アスペクト比20):100質量部と、 (F)希釈剤:150質量部と、 (G)ジメチルシリコーン:1質量部と、 を含む液状樹脂組成物を、シリコンウエハー上に塗布し、加熱することにより形成され、 半導体チップを接着する接着剤に用いられる、 Bステージ状態の液状樹脂組成物(接着層)。」 (2)甲2の記載、甲2発明 ア 甲2には、次の記載がある。 「【発明が解決しようとする課題】 ・・・ 【0009】 そこで、本発明は、接続信頼性及び耐リフロー性に優れる半導体用接着剤を提供することを目的とする。また、本発明は、このような半導体用接着剤を用いた半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。」 「【0024】 <半導体用接着剤> 本実施形態に係る半導体用接着剤は、半導体チップ及び配線回路基板のそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置、又は、複数の半導体チップのそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置において前記接続部の封止に用いられる半導体封止用接着剤である。本実施形態に係る半導体用接着剤は、(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤、(c)重量平均分子量10000以上の高分子成分、(d)平均粒径100nm以下の無機フィラー、及び、(e)グリシジル系シランカップリング剤を含有し、前記(d)無機フィラーの含有量が20~40質量%である。 ・・・ 【0053】 (d)成分の含有量は、半導体用接着剤の全量を基準として20~40質量%である。(d)成分の含有量が20質量%未満であると、接着力が低く耐リフロー性が低下する場合がある。(d)成分の含有量が40質量%を超えると、増粘により接続信頼性が低下する場合がある。」 「【実施例】 ・・・ 【0093】 (d)フィラー ・・・ ・グリシジル表面処理ナノシリカフィラー(株式会社アドマテックス、YA050C-SE、SEナノシリカ、平均粒径:約50nm) ・・・ 【0096】 (実施例1) 表1に示す配合量(単位:質量部)のエポキシ樹脂、硬化剤、フラックス剤、無機フィラー、有機フィラー、カップリング剤をNV60パーセントになるように有機溶媒(メチルエチルケトン)に添加した。その後、Φ1.0mm、Φ2.0mmのビーズを固形分と同質量加え、ビーズミル(フリッチュ・ジャパン株式会社、遊星型微粉砕機P-7)で30分撹拌した。その後、フェノキシ樹脂(ZX1356-2)を加え、再度、ビーズミルで30分撹拌した。撹拌に用いたビーズをろ過によって除去した。作製したワニスを小型精密塗工装置(廉井精機)で塗工し、クリーンオーブン(ESPEC製)で乾燥(70℃/10分)し、フィルム状接着剤(半導体用接着剤)を得た。 【0097】 (実施例2~4、比較例1~7) 使用した材料を下記表1に示すように変更したことを除いて実施例1と同様にしてフィルム状接着剤(半導体用接着剤)を得た。 ・・・ 【0103】 【表1】 [図:0001418243000004.jpg] 」 イ 甲2の表1に記載された事項 上記アの段落0103の表1には、実施例4のフィルム状接着剤(半導体用接着剤)が、エポキシ樹脂、硬化剤、高分子成分、無機フィラーとして「YA050C-SE」、有機フィラー、カップリング剤、フラックス剤を含み、無機フィラー量が34質量%であることが記載されている。 ウ 甲2に記載された発明 上記アの段落0024、0093、0097、0103及び上記イより、甲2には、実施例4について、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「半導体チップ及び配線回路基板のそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置、又は、複数の半導体チップのそれぞれの接続部が互いに電気的に接続された半導体装置において接続部の封止に用いられる半導体用接着剤であって、 (a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤、(c)重量平均分子量10000以上の高分子成分、(d)平均粒径100nm以下の無機フィラーとして、平均粒径約50nmのグリシジル表面処理ナノシリカフィラー、(e)グリシジル系シランカップリング剤を含有し、 (d)無機フィラーの含有量は、半導体用接着剤の全量を基準として34質量%である、 半導体用接着剤。」 (3)甲3の記載、甲3発明 ア 甲3には、次の記載がある。 「【発明が解決しようとする課題】 【0008】 ハンダバンプを有する接着剤層付チップの実装では、熱圧着によってハンダを溶融してハンダバンプと基板の電極とを接合し、接着剤を硬化させる。しかし、圧着温度は高温であり、かつ圧着時間は短時間であるため、従来の方法では、高温による発泡や圧着後のスプリングバックに起因して発生するバンプ部分のボイドを十分抑制することが難しい。 【0009】 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、圧着後のバンプ部分のボイドを十分に低減することができ、フリップチップ実装による半導体装置の製造における生産性を向上させることができる半導体装置の製造方法、それに用いるフィルム状接着剤及び接着剤シートを提供することを目的とする。」 「【0015】 本発明はまた、熱硬化性樹脂とイミダゾール系硬化剤とを含有し、180℃における粘度が40~350Pa・sであり、180℃におけるゲルタイムが15~60秒であり、250℃におけるゲルタイムが3~10秒であるフィルム状接着剤であって、ハンダバンプが形成された機能面を有する半導体ウェハを準備し、該半導体ウェハの機能面にフィルム状接着剤を貼り付け、半導体ウェハの機能面とは反対側の面を研削して半導体ウェハを薄化し、半導体素子又は半導体素子搭載用支持部材に接着するために用いられる、フィルム状接着剤を提供する。」 「【0047】 フィルム状接着剤(接着剤層)2は、フィラーを含有することができる。フィラーとしては、無機フィラー及び有機フィラーがあり、求める用途によりどちらを用いてもよい。 【0048】 無機フィラーは、フィルム状接着剤(接着剤層)の取扱い性向上、熱伝導性向上、溶融粘度の調整及びチキソトロピック性付与、弾性率の向上などを目的として添加することができ、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が挙げられる。これらのフィラーは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。 ・・・ 【0050】 フィルム状接着剤(接着剤層)2における無機フィラーの含有量は、フィルム状接着剤全量100質量部に対して1~100質量部が好ましい。係る含有量が1質量部未満であると、添加効果が十分に得られない傾向があり、100質量部を超えると、接着剤層の貯蔵弾性率の上昇、接着性の低下、ボイド残存による電気特性の低下等の問題が発生しやすくなる傾向がある。 ・・・ 【0053】 有機フィラーとして、コアシェル型の構造を有し、コア層とシェル層で組成が異なる有機微粒子を用いることもできる。コアシェル型の有機微粒子として、具体的には、シリコーン-アクリルゴムをコアとしてアクリル樹脂をグラフトした粒子、アクリル共重合体をコアとしてアクリル樹脂をグラフトとした粒子等が挙げられる。」 「【実施例】 ・・・ 【0110】 <接着剤シートの作製> (実施例1~6、比較例1~5) 下記表2又は3に示す組成比(単位:質量部)にて各成分を配合し、以下の工程を経て、フィルム状接着剤を作製した。 【0111】 まず、熱硬化性樹脂、硬化剤、フラックス成分、及び高分子量成分を、トルエンと酢酸エチルの混合溶媒中に溶解して、接着剤組成物のワニスを得た。得られたワニスを計量し、フィラーを下記表2又は3に示す組成比の割合となるように添加し、撹拌して分散物を得た。 【0112】 次に、得られた分散物を、支持基材としてのセパレータフィルム(PETフィルム、厚み38μm)上にロールコータを用いて塗布した後、70℃のオーブンで10分間乾燥させた。こうして、基材上に厚み30μmのフィルム状接着剤(接着剤層)が形成された接着シートを得た。 ・・・ 【0116】 表2及び表3において、各記号は下記のものを意味する。 ・・・ SE-2050:(株)アドマテックス社製、シリカ粒子(平均粒径0.5μm)。 SE2050-SEJ:(株)アドマテックス社製、グリシジルシラン表面処理シリカ粒子(平均粒径0.5μm)。 EXL-2655:ロームアンドハースジャパン(株)社製、コアシェルタイプ有機微粒子。 ・・・ 【0125】 【表2】 [図:0001418243000005.jpg] 」 イ 甲3の表2に記載された事項 上記アの段落0125の表2には、実施例1のフィルム状接着剤が、高分子量成分30質量部と、エポキシ樹脂(45+15+5)質量部と、フラックス成分2質量部と、硬化剤2質量部と、フィラーとして、「SE2050」37.5質量部、「SE2050-SEJ」37.5質量部、「EXL-2655」10質量部とを含有することが記載されている。 また、実施例5のフィルム状接着剤が、高分子量成分30質量部と、エポキシ樹脂(30+15+20)質量部と、フラックス成分5質量部と、硬化剤5質量部と、シランカップリング剤1質量部と、フィラーとして、「SE2050」50質量部、「SE2050-SEJ」50質量部とを含有することが記載されている。 ウ 甲3に記載された発明 上記アの段落0015、0047、0048、0053、0110、0116、0125及び上記イより、甲3には、実施例1について、次の発明(以下、「甲3発明a」という。)が記載されていると認められる。 「高分子量成分30質量部と、エポキシ樹脂65質量部と、フラックス成分2質量部と、硬化剤2質量部と、無機フィラーとして、平均粒径0.5μmのシリカ粒子37.5質量部と、無機フィラーとして、平均粒径0.5μmのグリシジルシラン表面処理シリカ粒子37.5質量部と、有機フィラーとして、コアシェルタイプ有機微粒子10質量部とを含有し、 半導体素子又は半導体素子搭載用支持部材に接着するために用いられる、フィルム状接着剤。」 また、甲3には、実施例5について、次の発明(以下、「甲3発明b」という。)が記載されていると認められる。 「高分子量成分30質量部と、エポキシ樹脂65質量部と、フラックス成分5質量部と、硬化剤5質量部と、シランカップリング剤1質量部と、無機フィラーとして、平均粒径0.5μmのシリカ粒子50質量部と、無機フィラーとして、平均粒径0.5μmのグリシジルシラン表面処理シリカ粒子50質量部とを含有し、 半導体素子又は半導体素子搭載用支持部材に接着するために用いられる、フィルム状接着剤。」 2 取消理由3(特許法第36条第6項第2号)について 事案に鑑み、取消理由3から検討する。 (1)「半導体用接着剤の固形分全量」の記載について ア 当審では、取消理由通知書において、特許請求の範囲に記載された、「前記(a)無機フィラーの含有量が、半導体用接着剤の固形分全量を基準として3390/55.12~80質量%である」について、(b)エポキシ樹脂や(c)硬化剤として、室温で液状の材料を用いる場合に、当該室温で液状の材料が、上記特定事項の「固形分全量」に含まれるのか否かが明確でないために、特許請求の範囲に記載された発明が明瞭であるとはいえず、本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものである旨通知した。 イ それに対して、特許権者は、令和6年8月7日提出の意見書において、 「エポキシ樹脂や硬化剤として液状の材料を使用する場合、これらの液状の材料が、接着剤としての役割を担う成分であるにもかかわらず、「半導体用接着剤の固形分全量」に含まれないという解釈が生じ得るような記載は、本件特許の明細書中にはない。」(意見書5頁下から3行~6頁1行)、 「本件特許の明細書の段落【0099】には、実施例1のフィルム状接着剤の作製について、「エポキシ樹脂「EP1032」12.4g、「YL7175」0.72g、硬化剤「2MAOK」0.9g、グルタル酸1.2g、無機フィラー「SEナノシリカ」33.9g、アクリル樹脂「LA4285」6.0g、及び、シクロヘキサノン(樹脂ワニス中の固形分量が49質量%になる量)を仕込み、直径1.0mmのジルコニアビーズを固形分と同質量加え、・・・」と記載されている。この記載から、本件訂正発明では、固形分ではない成分としては、シクロヘキサノンのような有機溶媒を想定しており、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分は液状であっても固形分に含まれる、と当業者は理解できる。」(意見書6頁2行~11行) 旨主張する。 ウ 本件明細書の段落0099の記載「シクロヘキサノン(樹脂ワニス中の固形分量が49質量%になる量)」によると、樹脂ワニス中のシクロヘキサノン以外の成分が固形分であると理解でき、特許権者の上記イの主張のとおり、本件明細書等においては、シクロヘキサノンのような有機溶媒を除く成分が「固形分」であり、本件発明における「固形分全量」には、有機溶媒を除く成分が含まれ、(b)エポキシ樹脂や(c)硬化剤は含まれることが明確である。よって、本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとの取消理由3は解消した。 (2)申立人の主張について 申立人は、令和6年9月2日提出の意見書において、 「更に付け加えておくと、本件請求項1は、「半導体用接着剤」の発明であるにもかかわらず、請求項1に規定されているのは、(a)無機フィラーのことだけで、その他の接着剤としての必須要件が全く欠落している。したがって、最低限請求項2以降の要件が請求項1に加算されなければ、接着剤としての要件が成り立たない。」(意見書3頁11行~14行) 旨主張する。 しかしながら、本件特許の請求項1~6には、いずれも、「半導体用接着剤」との記載によって半導体用の接着剤であることが特定されており、接着剤を構成するエポキシ樹脂、硬化剤、高分子量成分といった具体的な成分を含有することが、明確性要件を判断するに際して、必須要件であるとはいえないから、本件発明1が半導体用接着剤であることは明確である。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 3 申立理由1、2及び取消理由1、2(特許法第29条第1項第3号、及び同条第2項)について (1)甲1発明a~cを主引用発明とした新規性及び進歩性についての検討 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1発明a~cとをまとめて対比する。 (a)上記1(1)ウのとおり、甲1発明a~cは、それぞれ「半導体チップを接着する接着剤に用いられる、Bステージ状態の液状樹脂組成物(接着層)」であるから、本件発明1と甲1発明a~cとは、「半導体用接着剤」である点で共通する。 (b)甲1発明a~cの「(E)無機充填材」は、本件発明1の「(a)無機フィラー」に相当する。 また、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランはグリシジル基を有する化合物であるから、甲1発明a~cの「γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:1質量部で表面処理された」、「(E1)球状無機フィラー」及び「(E2)鱗片状無機フィラー」は、いずれも本件発明1の「グリシジル基を有する表面処理が施された無機フィラー」に相当する。 (c)甲1発明a~cの「(E)無機充填材」は、「(E1)球状無機フィラー」及び「(E2)鱗片状無機フィラー」のみで構成され、「(E1)球状無機フィラー」及び「(E2)鱗片状無機フィラー」を「(E)無機充填材」全量を基準として100質量%含むといえるから、本件発明1と甲1発明a~cとは、「(a)無機フィラーを含有し、前記(a)無機フィラーが、グリシジル基を有する表面処理が施された無機フィラーを、前記(a)無機フィラー全量を基準として50質量%以上含」む点で一致する。 (d)甲1発明aの「液状樹脂組成物」は、「(A)エポキシ樹脂:54質量部と、(B)硬化剤:46質量部と、(C)熱可塑樹脂:50質量部と、(D)硬化促進剤:5質量部と、(E)無機充填材として、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:1質量部で表面処理された、(E1)球状無機フィラー(平均粒径0.5μm):300質量部、及び、(E2)鱗片状無機フィラー(平均厚さ0.2μm、平均粒径4μm、アスペクト比20):300質量部と、(F)希釈剤:150質量部と、(G)ジメチルシリコーン:1質量部と、を含む」ものである。上記2(1)で検討したように、本件発明1の「半導体用接着剤の固形分全量」には、有機溶媒を除く成分が含まれると解されるから、「(F)希釈剤:150質量部」を除いた、「Bステージ状態の液状樹脂組成物(接着層)」における「(E)無機充填材」の含有量は、(300+300)/(54+46+50+5+300+300+1)=600/756=約79.4質量%である。 同様に、甲1発明bの「液状樹脂組成物」は、「(A)エポキシ樹脂:54質量部と、(B)硬化剤:46質量部と、(C)熱可塑樹脂:50質量部と、(D)硬化促進剤:5質量部と、(E)無機充填材として、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:1質量部で表面処理された、(E1)球状無機フィラー(平均粒径0.5μm):150質量部、及び、(E2)鱗片状無機フィラー(平均厚さ0.2μm、平均粒径4μm、アスペクト比20):150質量部と、(F)希釈剤:150質量部と、(G)ジメチルシリコーン:1質量部と、を含む」ものであるから、「(F)希釈剤:150質量部」を除いた、「Bステージ状態の液状樹脂組成物(接着層)」における「(E)無機充填材」の含有量は、(150+150)/(54+46+50+5+150+150+1)=300/456=約65.8質量%である。 同様に、甲1発明cの「液状樹脂組成物」は、「(A)エポキシ樹脂:52質量部と、(B)硬化剤:46質量部と、(C)熱可塑樹脂:200質量部と、(D)硬化促進剤:5質量部と、(E)無機充填材として、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:1質量部で表面処理された、(E1)球状無機フィラー(平均粒径0.5μm):350質量部、及び、(E2)鱗片状無機フィラー(平均厚さ0.2μm、平均粒径4μm、アスペクト比20):150質量部と、(F)希釈剤:900質量部と、(G)ジメチルシリコーン:1質量部と、を含む」ものであるから、「(F)希釈剤:900質量部」を除いた、「Bステージ状態の液状樹脂組成物(接着層)」における「(E)無機充填材」の含有量は、(350+150)/(52+46+200+5+350+150+1)=500/804=約62.2質量%である。 甲1発明a~cそれぞれの上記「(E)無機充填材」の含有量の数値79.4質量%、65.8質量%、62.2質量%は、いずれも本件発明1の「(a)無機フィラーの含有量」の数値範囲「3390/55.12~80質量%」、すなわち、約61.5~80質量%に含まれるものである。したがって、本件発明1と甲1発明a~cとは、「前記(a)無機フィラーの含有量が、半導体用接着剤の固形分全量を基準として3390/55.12~80質量%である」点で一致する。 (e)甲1発明a~cの「(E)無機充填材」は、「平均粒径0.5μm」の「(E1)球状無機フィラー」と「平均厚さ0.2μm、平均粒径4μm、アスペクト比20」の「(E2)鱗片状無機フィラー」を、それぞれ「300質量部」:「300質量部」=50質量%:50質量%、「150質量部」:「150質量部」=50質量%:50質量%、「350質量部」:「150質量部」=70質量%:30質量%の割合で含有するものであるから、本件発明1と甲1発明a~cとは、「(但し、無機フィラー中の10~90質量%を平均粒径が0.05μm~5μmである球形又は擬球形無機フィラーが占め、90~10質量%を平均厚さtが0.005μm~5μm、平均粒径aは0.05~15μm、アスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーが占めるものを除く)」点で相違する。 (f)以上によれば、本件発明1と甲1発明a~cとは、次の点で一致し、相違する。 <一致点> 「(a)無機フィラーを含有し、前記(a)無機フィラーが、グリシジル基を有する表面処理が施された無機フィラーを、前記(a)無機フィラー全量を基準として50質量%以上含み、 前記(a)無機フィラーの含有量が、半導体用接着剤の固形分全量を基準として3390/55.12~80質量%である、半導体用接着剤。」 <相違点1> 本件発明1が、「(但し、無機フィラー中の10~90質量%を平均粒径が0.05μm~5μmである球形又は擬球形無機フィラーが占め、90~10質量%を平均厚さtが0.005μm~5μm、平均粒径aは0.05~15μm、アスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーが占めるものを除く)」ものであるのに対し、甲1発明a~cは、それぞれ「平均粒径0.5μm」の「(E1)球状無機フィラー」と「平均厚さ0.2μm、平均粒径4μm、アスペクト比20」の「(E2)鱗片状無機フィラー」を50質量%:50質量%、50質量%:50質量%、70質量%:30質量%の割合で含む点。 (イ)相違点1についての判断 上記1(1)アの段落0008によれば、甲1の課題は、「大面積への薄膜印刷性に優れ、安定なBステージ状態を形成するリードフレームへの接着性が良好な液状樹脂組成物及び・・・該組成物の硬化物を有する半導体装置を提供すること」である。同段落0009によれば、この課題を解決するための手段として、「平均粒径が0.05μm~5μmの球形又は擬球形無機フィラーとアスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーを所定の割合で含有する液状樹脂組成物」であって、同請求項1及び同段落0010によれば、「(E)無機充填材中の10~90質量%を平均粒径が0.05μm~5μmである球形又は擬球形無機フィラーが占め、90~10質量%を平均厚さtが0.005μm~5μm、平均粒径aは0.05~15μm、アスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーが占めること」が甲1においては必須要件とされる。 甲1発明a~cにおいて、「無機フィラー中の10~90質量%を平均粒径が0.05μm~5μmである球形又は擬球形無機フィラーが占め、90~10質量%を平均厚さtが0.005μm~5μm、平均粒径aは0.05~15μm、アスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーが占めるものを除く」ものとすることは、甲1の上記記載及び技術常識から理解される甲1の技術思想に反することになるから、阻害要因を有する。 よって、本件発明1は、甲1発明a~cではなく、また、甲1発明a~cに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。そのことは、他の甲号証の記載によっても左右されない。 イ 本件発明2~6について 本件発明2~6は、本件発明1に対して、さらに発明特定事項を追加したものを含む発明である。 よって、上記アで示した本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2~6は、甲1発明a~cではなく、また、甲1発明a~cに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)甲1発明d、eを主引用発明とした新規性及び進歩性についての検討 ア 本件発明1について (ア) 対比 本件発明1と甲1発明d、eとをまとめて対比する。 (a)上記1(1)ウのとおり、甲1発明d、eは、それぞれ「半導体チップを接着する接着剤に用いられる、Bステージ状態の液状樹脂組成物(接着層)」であるから、本件発明1と甲1発明d、eとは、「半導体用接着剤」である点で共通する。 (b)甲1発明d、eの「(E)無機充填材」は、本件発明1の「(a)無機フィラー」に相当する。 また、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランはグリシジル基を有する化合物であるから、甲1発明d、eの「γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:1質量部で表面処理された」、「(E1)球状無機フィラー」及び「(E2)鱗片状無機フィラー」は、いずれも本件発明1の「グリシジル基を有する表面処理が施された無機フィラー」に相当する。 (c)甲1発明d、eの「(E)無機充填材」は、それぞれ「(E1)球状無機フィラー」又は「(E2)鱗片状無機フィラー」のいずれかのみで構成され、「(E1)球状無機フィラー」又は「(E2)鱗片状無機フィラー」を「(E)無機充填材」全量を基準として100質量%含むといえるから、本件発明1と甲1発明d、eとは、「(a)無機フィラーを含有し、前記(a)無機フィラーが、グリシジル基を有する表面処理が施された無機フィラーを、前記(a)無機フィラー全量を基準として50質量%以上含」む点で一致する。 (d)甲1発明dの「液状樹脂組成物」は、「(A)エポキシ樹脂:54質量部と、(B)硬化剤:46質量部と、(C)熱可塑樹脂:50質量部と、(D)硬化促進剤:5質量部と、(E)無機充填材」「:100質量部と、(F)希釈剤:150質量部と、(G)ジメチルシリコーン:1質量部と、を含む」ものである。上記2(1)で検討したように、本件発明1の「半導体用接着剤の固形分全量」には、有機溶媒を除く成分が含まれると解されるから、「(F)希釈剤:150質量部」を除いた、「Bステージ状態の液状樹脂組成物(接着層)」における「(E)無機充填材」の含有量は、100/(54+46+50+5+100+1)=100/256=約39.1質量%である。 同様に、甲1発明eの「液状樹脂組成物」は、「(A)エポキシ樹脂:54質量部と、(B)硬化剤:46質量部と、(C)熱可塑樹脂:50質量部と、(D)硬化促進剤:5質量部と、(E)無機充填材」「:100質量部と、(F)希釈剤:150質量部と、(G)ジメチルシリコーン:1質量部と、を含む」ものであるから、「(F)希釈剤:150質量部」を除いた、「Bステージ状態の液状樹脂組成物(接着層)」における「(E)無機充填材」の含有量は、100/(54+46+50+5+100+1)=100/256=約39.1質量%である。 甲1発明d、eそれぞれの上記「(E)無機充填材」の含有量の数値39.1質量%は、いずれも本件発明1の「(a)無機フィラーの含有量」の数値範囲「3390/55.12~80質量%」、すなわち、約61.5~80質量%には含まれないものである。したがって、本件発明1と甲1発明d、eとは、「前記(a)無機フィラーの含有量が、半導体用接着剤の固形分全量を基準として3390/55.12~80質量%」ではない点で相違する。 (e)甲1発明d、eの「(E)無機充填材」は、それぞれ「(E1)球状無機フィラー」又は「(E2)鱗片状無機フィラー」のいずれかのみで構成されるから、本件発明1と甲1発明d、eとは、「(但し、無機フィラー中の10~90質量%を平均粒径が0.05μm~5μmである球形又は擬球形無機フィラーが占め、90~10質量%を平均厚さtが0.005μm~5μm、平均粒径aは0.05~15μm、アスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーが占めるものを除く)」点で一致する。 (f)以上によれば、本件発明1と甲1発明d、eとは、次の点で一致し、相違する。 <一致点> 「(a)無機フィラーを含有し、前記(a)無機フィラーが、グリシジル基を有する表面処理が施された無機フィラーを、前記(a)無機フィラー全量を基準として50質量%以上含む、半導体用接着剤(但し、無機フィラー中の10~90質量%を平均粒径が0.05μm~5μmである球形又は擬球形無機フィラーが占め、90~10質量%を平均厚さtが0.005μm~5μm、平均粒径aは0.05~15μm、アスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーが占めるものを除く)。」 <相違点2> 「(a)無機フィラーの含有量」について、本件発明1では、「3390/55.12~80質量%」であるのに対し、甲1発明d、eでは、それぞれ「約39.1質量%」である点。 (イ)相違点2についての判断 本件明細書の段落0008によれば、本件特許が解決しようとする課題は「室温放置後の粘度増加を抑制すること」であり、同段落0107~0108の表1、表2によれば、「(a)無機フィラーの含有量」が「3390/55.12~80質量%」である実施例1、実施例2のフィルム状接着剤において、「室温放置前後の粘度増加率」が抑制されることが開示されている。上記の課題は、甲1には何ら開示されておらず、甲1発明d、eにおいて、「(E)無機充填材」の含有量を、「約39.1質量%」から、大きく異なる数値範囲「3390/55.12~80質量%」に変更することの動機付けはない。 よって、本件発明1は、甲1発明d、eではなく、また、甲1発明d、eに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。そのことは、他の甲号証の記載によっても左右されない。 (ウ)申立人の主張について 申立人は、令和6年9月2日提出の意見書において、 「すなわち、甲第1号証の比較例6,7は訂正により除かれていない発明であるから、本件訂正後の発明の要件を具備している。その本件訂正後の発明の要件を具備している比較例6,7は、公知文献である甲第1号証に記載されているのであるから、そもそも訂正後の本件発明の新規性は無いと言うことが証明されていると言える。」(意見書2頁6行~11行) 旨主張する。 しかしながら、上記(ア)で説示したとおり、本件発明1と甲1発明d、e、すなわち、甲1の比較例6、7とは相違点2で相違するから、申立人の「甲第1号証の比較例6,7」は「本件訂正後の発明の要件を具備している」との主張は妥当ではない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 イ 本件発明2~6について 本件発明2~6は、本件発明1に対して、さらに発明特定事項を追加したものを含む発明である。 よって、上記アで示した本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2~6は、甲1発明d、eではなく、また、甲1発明d、eに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 申立理由3、4(特許法第29条第2項)について (1)甲2発明を主引用発明とした進歩性についての検討 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 (a)上記1(2)ウのとおり、甲2発明は「半導体用接着剤」であるから、本件発明1と甲2発明とは、「半導体用接着剤」である点で共通する。 (b)甲2発明の「(d)無機フィラー」及び「グリシジル表面処理ナノシリカフィラー」は、それぞれ本件発明1の「(a)無機フィラー」及び「グリシジル基を有する表面処理が施された無機フィラー」に相当する。 (c)甲2発明の「(d)無機フィラー」は、「グリシジル表面処理ナノシリカフィラー」のみで構成され、「グリシジル表面処理ナノシリカフィラー」を「(d)無機フィラー」全量を基準として100質量%含むといえるから、本件発明1と甲2発明とは、「(a)無機フィラーを含有し、前記(a)無機フィラーが、グリシジル基を有する表面処理が施された無機フィラーを、前記(a)無機フィラー全量を基準として50質量%以上含」む点で一致する。 (d)甲2発明の「(d)無機フィラーの含有量」は、「半導体用接着剤の全量を基準として34質量%」であるから、本件発明1の「(a)無機フィラーの含有量」の数値範囲「3390/55.12~80質量%」、すなわち、約61.5~80質量%には含まれないものである。したがって、本件発明1と甲2発明とは、「前記(a)無機フィラーの含有量が、半導体用接着剤の固形分全量を基準として3390/55.12~80質量%」でない点で相違する。 (e)甲2発明の「(d)無機フィラー」は、「平均粒径約50nmのグリシジル表面処理ナノシリカフィラー」のみで構成されるから、本件発明1と甲2発明とは、「(但し、無機フィラー中の10~90質量%を平均粒径が0.05μm~5μmである球形又は擬球形無機フィラーが占め、90~10質量%を平均厚さtが0.005μm~5μm、平均粒径aは0.05~15μm、アスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーが占めるものを除く)」点で一致する。 (f)以上によれば、本件発明1と甲2発明とは、次の点で一致し、相違する。 <一致点> 「(a)無機フィラーを含有し、前記(a)無機フィラーが、グリシジル基を有する表面処理が施された無機フィラーを、前記(a)無機フィラー全量を基準として50質量%以上含む、半導体用接着剤(但し、無機フィラー中の10~90質量%を平均粒径が0.05μm~5μmである球形又は擬球形無機フィラーが占め、90~10質量%を平均厚さtが0.005μm~5μm、平均粒径aは0.05~15μm、アスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーが占めるものを除く)。」 <相違点3> 「(a)無機フィラーの含有量」について、本件発明1では、「3390/55.12~80質量%」であるのに対し、甲2発明では、「34質量%」である点。 (イ)相違点3についての判断 上記1(2)アの段落0024によれば、甲2において、「(d)無機フィラーの含有量」を「20~40質量%」とすることは必須要件とされ、同段落0053には、「(d)成分の含有量が40質量%を超えると、増粘により接続信頼性が低下する場合がある。」との記載がある。同段落0009によれば、甲2の課題は「接続信頼性及び耐リフロー性に優れる半導体用接着剤を提供すること」であるから、甲2発明において、上記課題に反して、「(d)無機フィラーの含有量」を、40質量%よりも大きい「3390/55.12~80質量%」とすることは、阻害要因を有する。 よって、本件発明1は、甲2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。そのことは、他の甲号証の記載によっても左右されない。 イ 本件発明2~6について 本件発明2~6は、本件発明1に対して、さらに発明特定事項を追加したものを含む発明である。 よって、上記アで示した本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2~6は、甲2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)甲3発明a、bを主引用発明とした進歩性についての検討 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲3発明a、bとをまとめて対比する。 (a)上記1(3)ウのとおり、甲3発明a、bは、それぞれ「半導体素子又は半導体素子搭載用支持部材に接着するために用いられる、フィルム状接着剤」であるから、本件発明1と甲3発明a、bとは、「半導体用接着剤」である点で共通する。 (b)甲3発明a、bの「無機フィラー」及び「グリシジルシラン表面処理シリカ粒子」は、それぞれ本件発明1の「(a)無機フィラー」及び「グリシジル基を有する表面処理が施された無機フィラー」に相当する。 (c)甲3発明a、bの「無機フィラー」は、それぞれ37.5質量部、50質量部の同量ずつの「シリカ粒子」と「グリシジルシラン表面処理シリカ粒子」のみで構成され、「グリシジルシラン表面処理シリカ粒子」を「無機フィラー」全量を基準として50質量%含むといえるから、本件発明1と甲3発明a、bとは、「(a)無機フィラーを含有し、前記(a)無機フィラーが、グリシジル基を有する表面処理が施された無機フィラーを、前記(a)無機フィラー全量を基準として50質量%以上含」む点で一致する。 (d)甲3発明aは「高分子量成分30質量部と、エポキシ樹脂65質量部と、フラックス成分2質量部と、硬化剤2質量部と、無機フィラーとして、平均粒径0.5μmのシリカ粒子37.5質量部と、無機フィラーとして、平均粒径0.5μmのグリシジルシラン表面処理シリカ粒子37.5質量部と、有機フィラーとして、コアシェルタイプ有機微粒子10質量部」とを含有するから、「フィルム状接着剤」における「無機フィラー」の含有量は、(37.5+37.5)/(30+65+2+2+37.5+37.5+10)=75/184=約40.8質量%である。 また、甲3発明bは「高分子量成分30質量部と、エポキシ樹脂65質量部と、フラックス成分5質量部と、硬化剤5質量部と、シランカップリング剤1質量部と、無機フィラーとして、平均粒径0.5μmのシリカ粒子50質量部と、無機フィラーとして、平均粒径0.5μmのグリシジルシラン表面処理シリカ粒子50質量部」とを含有するから、「フィルム状接着剤」における「無機フィラー」の含有量は、(50+50)/(30+65+5+5+1+50+50)=100/206=約48.5質量%である。 甲3発明a、bそれぞれの上記「無機フィラーの含有量」の数値40.8質量%、48.5質量%は、いずれも本件発明1の「(a)無機フィラーの含有量」の数値範囲「3390/55.12~80質量%」、すなわち、約61.5~80質量%には含まれないものである。したがって、本件発明1と甲3発明a、bとは、「前記(a)無機フィラーの含有量が、半導体用接着剤の固形分全量を基準として3390/55.12~80質量%」でない点で相違する。 (e)甲3発明a、bの「無機フィラー」は、「平均粒径0.5μmのシリカ粒子」と「平均粒径0.5μmのグリシジルシラン表面処理シリカ粒子」のみで構成されるから、本件発明1と甲3発明a、bとは、「(但し、無機フィラー中の10~90質量%を平均粒径が0.05μm~5μmである球形又は擬球形無機フィラーが占め、90~10質量%を平均厚さtが0.005μm~5μm、平均粒径aは0.05~15μm、アスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーが占めるものを除く)」点で一致する。 (f)以上によれば、本件発明1と甲3発明a、bとは、次の点で一致し、相違する。 <一致点> 「(a)無機フィラーを含有し、前記(a)無機フィラーが、グリシジル基を有する表面処理が施された無機フィラーを、前記(a)無機フィラー全量を基準として50質量%以上含む、半導体用接着剤(但し、無機フィラー中の10~90質量%を平均粒径が0.05μm~5μmである球形又は擬球形無機フィラーが占め、90~10質量%を平均厚さtが0.005μm~5μm、平均粒径aは0.05~15μm、アスペクト比(平均粒径a/平均厚さt)が2~100の鱗片状無機フィラーが占めるものを除く)。」 <相違点4> 「(a)無機フィラーの含有量」について、本件発明1では、「3390/55.12~80質量%」であるのに対し、甲3発明a、bでは、それぞれ「約40.8質量%」、「約48.5質量%」である点。 (イ)相違点4についての判断 上記1(3)アの段落0050によれば、甲3において、「無機フィラーの含有量は、フィルム状接着剤全量100質量部に対して1~100質量部が好ましい。」とされ、同段落0050には、「100質量部を超えると、接着剤層の貯蔵弾性率の上昇、接着性の低下、ボイド残存による電気特性の低下等の問題が発生しやすくなる傾向がある。」との記載がある。同段落0009によれば、甲3の課題は「ボイドを十分に低減すること」であるから、甲3発明a、bにおいて、上記課題に反して、「無機フィラーの含有量」を、「フィルム状接着剤全量100質量部に対して」「100質量部」、すなわち、100/(100+100)=50質量%よりも大きい「3390/55.12~80質量%」とすることは、阻害要因を有する。 よって、本件発明1は、甲3発明a、bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。そのことは、他の甲号証の記載によっても左右されない。 イ 本件発明2~6について 本件発明2~6は、本件発明1に対して、さらに発明特定事項を追加したものを含む発明である。 よって、上記アで示した本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2~6は、甲3発明a、bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)申立人の主張について ア 申立人は、特許異議申立書において、 (ア) 「ところが、本件明細書段落(0029)には以下のように記載されている。 「【0029】(a)成分の含有量は、半導体用接着剤の固形分全量を基準として、10~80質量%であることが好ましく、15~60質量%であることがより好ましく、20~50質量%であることが更に好ましい。この含有量が10質量%以上であると、接着力及び耐リフロー性をより向上できる傾向があり、80質量%以下であると、増粘により接続信頼性が低下することを抑制できる傾向がある。」 すなわち、本件発明において、無機フィラーの含有量は、固形分全量を基準として、20~50質量%であることが更に好ましいのであって、補正した範囲3390/55.12(約61.5)~80質量%は、好ましい範囲ではない。」(特許異議申立書17頁3行~12行)、 (イ)「本件実施例でも、補正根拠となった実施例1(無機フィラー含有量約61.5%)よりも、実施例2(無機フィラー含有量約30.8%)の方が、粘度増加率が低くよりよいデータとなっている(本件表1,表2参照)。」(特許異議申立書17頁12行~15行)、 (ウ)「このように、本件審査経緯で行われた補正は、無機フィラーの含有量を、単に甲第2号証(引用文献1)、甲第3号証(引用文献2)でよいとされた範囲や、記載された範囲の外にしただけのもので、自らも本件明細書段落(0029)に記載しているように、その効果はそれぞれの引用文献に記載された範囲より劣るものであるにすぎない。・・・ したがって、本件発明は、甲第2号証(引用文献1)、甲第3号証(引用文献2)記載の発明より効果が劣る退歩的発明であり、構成の困難性も、効果の顕著性もないものであるから、進歩性は認められず、審査の段階で拒絶されるべきものであった。」(特許異議申立書17頁16行~26行) 旨主張する。 イ 上記(ア)の主張について、本件明細書の段落0029には、「(a)成分の含有量は、半導体用接着剤の固形分全量を基準として、10~80質量%であることが好ましく、15~60質量%であることがより好ましく、20~50質量%であることが更に好ましい。」と記載され、20~50質量%であることが更に好ましいとされるものの、「補正した範囲3390/55.12(約61.5)~80質量%」は、好ましい範囲とされている「10~80質量%」に含まれるから、当該主張は根拠がない。 ウ 上記(イ)の主張について、本件明細書の段落0107の表1に示された実施例2において、「(a)無機フィラーの含有量」は、申立人のいう「約30.8%」ではなく、正しくは、「(17+17)×100/(17+17+12.4+0.72+0.9+6.0+1.2)=3400/55.22=約61.57%」と計算されるべきである。 したがって、本件明細書の実施例1及び実施例2は、いずれも「(a)無機フィラーの含有量」が「3390/55.12~80質量%」であり、本件発明に係る実施例であるところ、同段落0108の表2と同段落0109の記載「表2の評価結果より、・・・実施例1及び実施例2のフィルム状接着剤では、室温放置前後の粘度増加率が20%以下であり、経時的な粘度増加が抑制されていることが確認された。」に示されるように、いずれも「室温放置前後の粘度増加率」が低いものである。 エ 上記(ウ)の主張について、上記(1)、(2)のとおり、甲2、甲3から、相違点3、相違点4に係る本件発明の構成を導くことはできない。 オ したがって、申立人の上記主張は採用できない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。 そして、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700274

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