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特許異議申立

2026-700320

酸化チタン粒子及びその製造方法

審判番号
2026-700320
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-522598
登録番号
7754162
請求日
2026年04月15日
審決日
2026年08月14日
公報発行日
2026年09月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社レゾナック
  • 【権利者代理人】青木 篤
  • 【権利者代理人】三橋 真二
  • 【権利者代理人】高橋 正俊
  • 【権利者代理人】河原 肇
  • 【異議申立人】竹口 美穂
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 陽一
  • 審判官 井上 猛
  • 審判官 石川 雄太郎
分類
P1651.113-Y (C01G) / P1651.121-Y (C01G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第113条
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7754162号発明「酸化チタン粒子及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7754162号の請求項1~14に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7754162号(請求項の数14。以下、「本件特許」という。)は、2022年(令和4年)4月28日(優先権主張:令和3年5月17日)を国際出願日とする特許出願(特願2023-522598号)に係るものであって、令和7年10月6日に設定登録されたものである(特許掲載公報の発行日は、令和7年10月15日である。)。 その後、令和8年4月15日に、本件特許の請求項1~14に係る特許に対して、特許異議申立人である竹口美穂(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~14に係る発明は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1」等という。また、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。)。 【請求項1】 レーザー回折・散乱分析法により測定した酸化チタン粒子におけるD90(LD)/D50(LD)が1.0超2.0以下であり、かつ、電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)に対して、一次粒子径がD50(SEM)の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)が20ppm以下であり、D90(LD)が3000nm以下であり、D50(LD)が1000nm以下であり、BET比表面積(m2/g)が5~200m2/gである、酸化チタン粒子。 【請求項2】 電界放射型走査型電子顕微鏡で観察した酸化チタン粒子の一次粒子におけるD90(SEM)/D50(SEM)が1.0超2.0以下である、請求項1に記載の酸化チタン粒子。 【請求項3】 電界放射型走査型電子顕微鏡で観察した酸化チタン粒子の一次粒子における〔D90(SEM)-D10(SEM)〕/D50(SEM)が0.82以下である、請求項1又は2に記載の酸化チタン粒子。 【請求項4】 電界放射型走査型電子顕微鏡で観察した酸化チタン粒子の一次粒子におけるD99(SEM)/D50(SEM)が1.0超2.0以下である、請求項1又は2に記載の酸化チタン粒子。 【請求項5】 動的光散乱法により測定された酸化チタン粒子におけるD90(DLS)/D50(DLS)が、1.0超2.0以下である、請求項1又は2に記載の酸化チタン粒子。 【請求項6】 動的光散乱法により測定された酸化チタン粒子におけるD90(DLS)と電界放射型走査型電子顕微鏡で観察した酸化チタン粒子の一次粒子におけるD90(SEM)の比である、D90(DLS)/D90(SEM)が2.2以下である、請求項1又は2に記載の酸化チタン粒子。 【請求項7】 動的光散乱法により測定した酸化チタン粒子におけるD90(DLS)及び電界放射型走査型電子顕微鏡で観察した酸化チタン粒子の一次粒子のD90(SEM)が200nm以下、D50(SEM)が10~150nmである、請求項1又は2に記載の酸化チタン粒子。 【請求項8】 アナターゼ含有率が70%以上である、請求項1又は2に記載の酸化チタン粒子。 【請求項9】 硝酸銀電位差滴定法により測定した酸化チタン粒子のCl含有量が0.2質量%以下である、請求項1又は2に記載の酸化チタン粒子。 【請求項10】 Na,Al,S,Fe,Ni,Cr,Nb及びZrの含有量がそれぞれ10質量ppm以下、Si及びCの含有量がそれぞれ500質量ppm以下である、請求項1又は2に記載の酸化チタン粒子。 【請求項11】 請求項1又は2に記載の酸化チタン粒子を含む、スラリー。 【請求項12】 請求項1又は2に記載の酸化チタン粒子を含む、分散体。 【請求項13】 請求項1又は2に記載の酸化チタン粒子を含む、組成物。 【請求項14】 請求項1又は2に記載の酸化チタン粒子を含む、誘電体原料。 第3 特許異議の申立ての理由の概要 本件特許の請求項1~14に係る特許は、下記1~6のとおり、特許法113条2号に該当する(証拠方法は下記7を参照。以下、甲第1号証等を単に「甲1」等という。)。 1 申立理由1-1(新規性) 本件発明1~3、5~13は、甲1に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~3、5~13に係る特許は、同法113条2号に該当する。 2 申立理由1-2(新規性) 本件発明1、2、5、7~13は、甲2に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、2、5、7~13に係る特許は、同法113条2号に該当する。 3 申立理由1-3(新規性) 本件発明1、2、5、9~14は、甲3に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、2、5、9~14に係る特許は、同法113条2号に該当する。 4 申立理由2-1(進歩性) 本件発明1~13は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~13に係る特許は、同法113条2号に該当する。 本件発明14は、甲1に記載された発明及び甲4、5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項14に係る特許は、同法113条2号に該当する。 5 申立理由2-2(進歩性) 本件発明1~3、5~13は、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~3、5~13に係る特許は、同法113条2号に該当する。 本件発明14は、甲2に記載された発明及び甲4、5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項14に係る特許は、同法113条2号に該当する。 6 申立理由2-3(進歩性) 本件発明1~3、5、6、9~14は、甲3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~3、5、6、9~14に係る特許は、同法113条2号に該当する。 7 証拠方法 ・甲1 特許第4077495号公報 ・甲2 特開2006-28017号公報 ・甲3 特開2015-27924号公報 ・甲4 特開2015-182890号公報 ・甲5 特開2012-66987号公報 第4 当審における判断 以下に述べるように、特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1~14に係る特許を取り消すことはできない。 1 申立理由1-1(新規性)、申立理由2-1(進歩性) (1)甲1に記載された発明 甲1の記載(請求項1~3、5~7、【0002】~【0012】、【0018】、【0021】~【0023】、【0032】、【0037】~【0043】、表1~3、図3~6b)によれば、特に、請求項1~3、5~7、【0009】の記載を前提として、実施例2のサンプル2b(【0037】~【0043】、表1、2)の分散液に含まれる酸化チタン粒子に着目すると、甲1には、以下の発明が記載されていると認められる。 「アルコールを35体積%で含むアルコール水溶液100体積部に対し、四塩化チタンを5体積部で添加した後、元のアルコール水溶液100体積部に対し、ケイ酸ソーダを0.5体積部で添加することにより得られた、アルコール水溶液中に酸化チタンがナノ粒子の形態で分散して成る無色透明の分散液に含まれる、ナノ粒子である酸化チタン粒子であって、 ナノトラック粒度分布測定装置 UPA-EX150(日機装株式会社製)を用いて動的光散乱法により測定される、粒径分布が約3~15nmに亘り、平均粒径である50%径が5.4nmであり、90%径が8.9nmである、酸化チタン粒子。」(以下、「甲1発明」という。) (2)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明における「酸化チタン粒子」は、本件発明1における「酸化チタン粒子」に相当するから、両者は、 「酸化チタン粒子。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点1-1 本件発明1では、「レーザー回折・散乱分析法により測定した酸化チタン粒子におけるD90(LD)/D50(LD)が1.0超2.0以下であり」、「D90(LD)が3000nm以下であり、D50(LD)が1000nm以下であ」るのに対して、甲1発明では、「ナノトラック粒度分布測定装置 UPA-EX150(日機装株式会社製)を用いて動的光散乱法により測定される、」「平均粒径である50%径が5.4nmであり、90%径が8.9nmであ」る点。 ・相違点1-2 本件発明1では、「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)に対して、一次粒子径がD50(SEM)の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)が20ppm以下であ」るのに対して、甲1発明では、上記のような「粗大粒子濃度(個数基準)」が「20ppm以下」であるのかどうか不明である点。 ・相違点1-3 本件発明1では、「BET比表面積(m2/g)が5~200m2/gである」のに対して、甲1発明では、「BET比表面積(m2/g)」が「5~200m2/g」であるのかどうか不明である点。 イ 相違点1-1の検討 (ア)まず、相違点1-1が実質的な相違点であるか否かについて検討する。 a 甲1には、甲1発明の酸化チタン粒子に関し、「レーザー回折・散乱分析法により測定した」、「D90(LD)」や「D50(LD)」については記載されていない。また、技術常識を考慮しても、甲1発明の酸化チタン粒子であれば、必ず、「レーザー回折・散乱分析法により測定した」、「D90(LD)/D50(LD)」が「1.0超2.0以下」であるとともに、「D90(LD)」が「3000nm以下」であり、「D50(LD)」が「1000nm以下」であるともいえない。 そうすると、甲1発明の酸化チタン粒子が、相違点1-1に係る発明特定事項を備えているかどうかは、不明である。 b この点、申立人は、本件明細書には、レーザー回折・散乱分析法(LD)による測定では、酸化チタン粒子を含む分散液の状態で測定することが記載されている(【0022】、【0092】)ところ、(甲1発明の認定の基礎とした)甲1の実施例2のサンプル2bは、酸化チタン粒子が一次粒子の状態で存在している分散液である(【0021】、図6b)から、上記サンプル2bをレーザー回折・散乱分析法(LD)により測定した場合、動的光散乱法(DLS)により測定される値と同程度の値になる蓋然性が高く、上記サンプル2bの「D50(LD)」、「D90(LD)」は、それぞれ、5.4nm程度、8.9nm程度であると考えられ、そうすると、「D90(LD)/D50(LD)」は約1.6(=8.9/5.4)であると主張する(申立書27~28頁)。 しかしながら、レーザー回折・散乱分析法(LD)と動的光散乱法(DLS)とでは、測定原理が異なるものであるから、同じサンプルを対象として測定したとしても、両者で同程度の値になる蓋然性が高いとはいえない。また、そのようなことを示す具体的な根拠も見当たらない。 よって、申立人の主張は、前提を欠くものであり、採用できない。 c 以上によれば、相違点1-1は実質的な相違点である。 (イ)次に、相違点1-1の容易想到性について検討する。 甲1には、甲1発明の酸化チタン粒子に関し、「レーザー回折・散乱分析法により測定した」、「D90(LD)」や「D50(LD)」については記載されておらず、また、技術常識を考慮しても、甲1発明の酸化チタン粒子であれば、必ず、「レーザー回折・散乱分析法により測定した」、「D90(LD)/D50(LD)」が「1.0超2.0以下」であるとともに、「D90(LD)」が「3000nm以下」であり、「D50(LD)」が「1000nm以下」であるともいえない。 そうすると、甲1発明において、相違点1-1に係る発明特定事項を備えさせることが動機付けられるとはいえない。この点、酸化チタン粒子の技術分野における技術常識(周知技術を含む)や、誘電体原料として酸化チタン粒子を用いる旨の甲4、5の記載を考慮しても、変わるものではない。 以上によれば、甲1発明において、相違点1-1に係る発明特定事項を備えさせることは、当業者が容易に想到することができたとはいえない。 ウ 相違点1-2の検討 (ア)まず、相違点1-2が実質的な相違点であるか否かについて検討する。 a 甲1には、甲1発明の酸化チタン粒子に関し、「一次粒子径が」「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)」「の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)」については記載されていない。また、技術常識を考慮しても、甲1発明の酸化チタン粒子であれば、必ず、「一次粒子径が」「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)」「の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)」が「20ppm以下」であるともいえない。 そうすると、甲1発明の酸化チタン粒子が、相違点1-2に係る発明特定事項を備えているかどうかは、不明である。 b この点、申立人は、(甲1発明の認定の基礎とした)甲1の実施例2のサンプル2bは、酸化チタン粒子が一次粒子の状態で分散したものであり、図6b(透過電子顕微鏡写真)からも粒子の大きさが5nm前後で均一であることから、上記サンプル2bのD50(SEM)は5nm程度であると考えられるところ、一次粒子径が約80nm(=約5nm×16)を超える粗大粒子は、図6b(透過電子顕微鏡写真)では認められず、表1の粒径分布によれば、体積基準で0.00%であるから、100万個以上の粒子について確認しても、一次粒子径が約80nmを超える粗大粒子は存在しない蓋然性が高いと主張する(申立書28~29頁)。 しかしながら、仮に、サンプル2bのD50(SEM)が5nm程度であると解したとしても、図6b(透過電子顕微鏡写真)は、申立人も自認するように、「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した」ものではなく、また、表1の粒径分布も、動的光散乱法(DLS)により測定されたもの(【0009】、【0038】)であって、「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した」ことにより測定されたものではないから、サンプル2bについて、「一次粒子径が」「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)」「の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)」が実際に「20ppm以下」であるかどうかは、不明である。 よって、申立人の主張は採用できない。 c 以上によれば、相違点1-2は実質的な相違点である。 (イ)次に、相違点1-2の容易想到性について検討する。 甲1には、甲1発明の酸化チタン粒子に関し、「一次粒子径が」「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)」「の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)」については記載されておらず、また、技術常識を考慮しても、甲1発明の酸化チタン粒子であれば、必ず、「一次粒子径が」「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)」「の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)」が「20ppm以下」であるともいえない。 そうすると、甲1発明において、相違点1-2に係る発明特定事項を備えさせることが動機付けられるとはいえない。この点、酸化チタン粒子の技術分野における技術常識(周知技術を含む)や、誘電体原料として酸化チタン粒子を用いる旨の甲4、5の記載を考慮しても、変わるものではない。 以上によれば、甲1発明において、相違点1-2に係る発明特定事項を備えさせることは、当業者が容易に想到することができたとはいえない。 エ 相違点1-3の検討 (ア)まず、相違点1-3が実質的な相違点であるか否かについて検討する。 a 甲1には、甲1発明の酸化チタン粒子に関し、「BET比表面積(m2/g)」については記載されていない。また、技術常識を考慮しても、甲1発明の酸化チタン粒子であれば、必ず、「BET比表面積(m2/g)」が「5~200m2/g」であるともいえない。 そうすると、甲1発明の酸化チタン粒子が、相違点1-3に係る発明特定事項を備えているかどうかは、不明である。 b(a)この点、申立人は、(甲1発明の認定の基礎とした)甲1の実施例2のサンプル2bについて、一次粒子径が5nm程度の均一な大きさで凝集なく分散していれば、アナターゼ型二酸化チタンの密度は3.9g/cm3であることから、BET比表面積は、308m2/g(=6000/(3.9×5))となり、本件発明1の「5~200m2/g」を満たしていないところ、甲1には、分散液に含まれるナノ粒子の平均粒径が「約1~100nmの範囲内」や「約1~10nmの範囲内」にできることが記載されており(【0022】)、例えば、一次粒子の平均粒径を10nmとし、これをBET比表面積に換算すれば154m2/gとなるから、甲1には、(BET)比表面積が「5~200m2/g」の酸化チタン粒子が記載されていると主張する(申立書29頁)。 (b)しかしながら、申立人の主張を前提としても、申立人も自認するとおり、甲1発明の酸化チタン粒子が、「BET比表面積(m2/g)」について、「5~200m2/g」を満たすものとはいえない。 (c)また、申立人の主張は、甲1には、一次粒子の平均粒径が10nmである酸化チタン粒子という、甲1発明とは別の発明(以下、「甲1別発明」という。)が記載されていることをいうものと解されるが、甲1には一次粒子の平均粒径が実際に10nmである酸化チタン粒子の具体例が記載されているわけではないから、甲1に甲1別発明が記載されているとはいえない。 (d)仮に、甲1の「約1~100nmの範囲内」や「約1~10nmの範囲内」との記載のみから、甲1に甲1別発明が記載されていると解したとしても、そのような甲1別発明の酸化チタン粒子が備える特性(粒径分布、50%径、90%径)は、(申立人が一次粒子径が5nm程度であると主張する)甲1発明の酸化チタン粒子が備える特性(粒径分布、50%径、90%径)とは異なるものであり、その具体的な内容は不明である。そうすると、仮に、甲1発明の酸化チタン粒子が所定の特性(粒径分布、50%径、90%径)を備えることを前提とした申立人の上記イ(ア)bの主張や、上記ウ(ア)bの主張が妥当なものであったとしても、甲1別発明の酸化チタン粒子が、実際に相違点1-1や相違点1-2に係る発明特定事項を備えているかどうかは、不明というほかない。 (e)よって、申立人の主張はいずれにしろ採用できない。 c 以上によれば、相違点1-3は実質的な相違点である。 (イ)次に、相違点1-3の容易想到性について検討する。 a 甲1には、甲1発明の酸化チタン粒子に関し、「BET比表面積(m2/g)」については記載されておらず、また、技術常識を考慮しても、甲1発明の酸化チタン粒子であれば、必ず、「BET比表面積(m2/g)」が「5~200m2/g」であるともいえない。 そうすると、甲1発明において、相違点1-3に係る発明特定事項を備えさせることが動機付けられるとはいえない。この点、酸化チタン粒子の技術分野における技術常識(周知技術を含む)や、誘電体原料として酸化チタン粒子を用いる旨の甲4、5の記載を考慮しても、変わるものではない。 以上によれば、甲1発明において、相違点1-3に係る発明特定事項を備えさせることは、当業者が容易に想到することができたとはいえない。 オ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1に記載された発明並びに周知技術及び甲4、5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)本件発明2~14について 本件発明2~14は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであるが、上記(2)で述べたとおり、本件発明1が、甲1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1に記載された発明並びに周知技術及び甲4、5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上、本件発明2~14についても同様に、甲1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1に記載された発明並びに周知技術及び甲4、5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)まとめ 以上のとおり、本件発明1~3、5~13は、甲1に記載された発明であるとはいえない。 また、本件発明1~13は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 さらに、本件発明14は、甲1に記載された発明及び甲4、5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、申立理由1-1(新規性)、申立理由2-1(進歩性)によっては、本件特許の請求項1~14に係る特許を取り消すことはできない。 2 申立理由1-2(新規性)、申立理由2-2(進歩性) (1)甲2に記載された発明 甲2の記載(請求項1~3、13~15、【0001】~【0013】、【0054】、【0056】、【0059】~【0071】、表1、図1)によれば、特に、実施例1(【0063】~【0069】)で得られたTiO2粉末のうち、表1の「時間2」の欄の特性を有するものに着目すると、甲2には、以下の発明が記載されていると認められる。 「BETによる平均表面積が114.1m2/gであり、 動的光散乱による粒度データが、d10が27nm、d50が41nm、d90が76nmであり、 nmの単位での重さによる粒度分布が、52nm超が28.6重量%、104nm超が4.2重量%、208nm超が1.4重量%である、TiO2粉末。」(以下、「甲2発明」という。) (2)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 (ア)甲2発明における「TiO2粉末」は、二酸化チタン粒子の集合体であることが明らかであり、本件明細書の「二酸化チタン(TiO2)を酸化チタンと略称する」(【0002】)との記載も踏まえると、本件発明1における「酸化チタン粒子」に相当する。 (イ)甲2発明における「BETによる平均表面積」は、甲2の記載(【0059】、【0060】)によれば、N2のような気体吸着によるか、あるいは、電子顕微鏡の使用により平均粒度を決定した後、その平均粒度と式「S=6/〔(Dia)(Den)〕」(Sはm2/gで表した比表面積、Diaはmで表した平均粒子直径、Denはg/m3で表した粒子の密度)を用いて計算することにより、決定されるもの(BET比表面積)ではあるものの、甲2発明の認定の基礎とした実施例1では、いずれの方法で決定されたものであるのか、不明である。 一方、本件発明1における「BET比表面積」は、本件明細書の「マウンテック製比表面積測定装置(マックソーブ)で測定した。測定用ガスには窒素を用いた。」(【0089】)との記載によれば、窒素ガスの吸着により測定したものと認められる。 そうすると、本件発明1と甲2発明とは、「BET比表面積」の数値自体は一致するものの、その測定方法の点も含めて一致するとはいえない。 (ウ)以上によれば、本件発明1と甲2発明とは、 「酸化チタン粒子。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点2-1 本件発明1では、「レーザー回折・散乱分析法により測定した酸化チタン粒子におけるD90(LD)/D50(LD)が1.0超2.0以下であり」、「D90(LD)が3000nm以下であり、D50(LD)が1000nm以下であ」るのに対して、甲2発明では、「動的光散乱による粒度データが、d10が27nm、d50が41nm、d90が76nmであ」る点。 ・相違点2-2 本件発明1では、「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)に対して、一次粒子径がD50(SEM)の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)が20ppm以下であ」るのに対して、甲2発明では、上記のような「粗大粒子濃度(個数基準)」が「20ppm以下」であるのかどうか不明である点。 ・相違点2-3 BET比表面積が、本件発明1では、「5~200m2/g」であり、窒素ガスの吸着により測定したものであるのに対して、甲2発明では、「114.1m2/g」ではあるものの、窒素ガスの吸着により測定したものであるのかどうか不明である点。 イ 相違点2-1の検討 (ア)まず、相違点2-1が実質的な相違点であるか否かについて検討する。 a 甲2には、甲2発明のTiO2粉末に関し、「レーザー回折・散乱分析法により測定した」、「D90(LD)」や「D50(LD)」については記載されていない。また、技術常識を考慮しても、甲2発明のTiO2粉末であれば、必ず、「レーザー回折・散乱分析法により測定した」、「D90(LD)/D50(LD)」が「1.0超2.0以下」であるとともに、「D90(LD)」が「3000nm以下」であり、「D50(LD)」が「1000nm以下」であるともいえない。 そうすると、甲2発明のTiO2粉末が、相違点2-1に係る発明特定事項を備えているかどうかは、不明である。 b この点、申立人は、本件明細書の記載(【0022】)によれば、D50(LD)とD90(LD)は、酸化チタン粒子の凝集状態を示す指標であるので、(甲2発明の認定の基礎とした)甲2の実施例1のTiO2粉末について、同様に分散液の状態で測定される「D50(LD)」と「D90(LD)」は、それぞれ、動的光散乱法によるD50(DLS)(d50:41nm)とD90(DLS)(d90:76nm)と同程度の値になる蓋然性が高く、上記TiO2粉末の「D90(LD)/D50(LD)」は、約1.85(=76/41)であると主張する(申立書36頁)。 しかしながら、上記1(2)イ(ア)bと同様、レーザー回折・散乱分析法(LD)と動的光散乱法(DLS)とでは、測定原理が異なるものであるから、同じサンプルを対象として測定したとしても、両者で同程度の値になる蓋然性が高いとはいえない。また、そのようなことを示す具体的な根拠も見当たらない。 よって、申立人の主張は、前提を欠くものであり、採用できない。 c 以上によれば、相違点2-1は実質的な相違点である。 (イ)次に、相違点2-1の容易想到性について検討する。 甲2には、甲2発明のTiO2粉末に関し、「レーザー回折・散乱分析法により測定した」、「D90(LD)」や「D50(LD)」については記載されておらず、また、技術常識を考慮しても、甲2発明のTiO2粉末であれば、必ず、「レーザー回折・散乱分析法により測定した」、「D90(LD)/D50(LD)」が「1.0超2.0以下」であるとともに、「D90(LD)」が「3000nm以下」であり、「D50(LD)」が「1000nm以下」であるともいえない。 そうすると、甲2発明において、相違点2-1に係る発明特定事項を備えさせることが動機付けられるとはいえない。この点、酸化チタン粒子の技術分野における技術常識(周知技術を含む)や、誘電体原料として酸化チタン粒子を用いる旨の甲4、5の記載を考慮しても、変わるものではない。 以上によれば、甲2発明において、相違点2-1に係る発明特定事項を備えさせることは、当業者が容易に想到することができたとはいえない。 ウ 相違点2-2の検討 (ア)まず、相違点2-2が実質的な相違点であるか否かについて検討する。 a 甲2には、甲2発明のTiO2粉末に関し、「一次粒子径が」「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)」「の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)」については記載されていない。また、技術常識を考慮しても、甲2発明のTiO2粉末であれば、必ず、「一次粒子径が」「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)」「の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)」が「20ppm以下」であるともいえない。 そうすると、甲2発明のTiO2粉末が、相違点2-2に係る発明特定事項を備えているかどうかは、不明である。 b この点、申立人は、本件明細書の実施例及び比較例から、BET比表面積径(x)とD50(SEM)(y)には、酸化チタン粒子の製法によらず、y=0.63×x+8.24との相関がみられる(BET比表面積径(x)は、x=6×1000/(密度g/cm3×BET比表面積m2/g)で求めた。実施例及び比較例の酸化チタンはほぼアナターゼ型であるため、密度は約3.9g/cm3を用いた。)ところ、(甲2発明の認定の基礎とした)甲2の実施例1のTiO2粉末においても上記の相関であると考えられるため、上記TiO2粉末のD50(SEM)は、17.8nm程度(=0.63×(6×1000/(3.9×114.1))+8.24)と考えられ、そうすると、粗大粒子の最小値は285nm程度(=17.8×16)となることを前提として、甲2の表1から、上記TiO2粉末の質量基準の粒度分布を求め、これを個数基準に換算すると、上記TiO2粉末のD50(SEM)の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)は20ppm以下となる蓋然性が高いと主張する(申立書37~39頁)。 しかしながら、申立人が本件明細書の実施例及び比較例から導き出したという上記の相関が、あらゆる酸化チタン粒子に当てはまるかどうかは不明であり、また、そもそも、上記の相関は、本件特許の優先日前に知られたものではないから、このような相関の存在を前提として、甲2の実施例1のTiO2粉末のD50(SEM)を求めることは、妥当とはいえない。また、実施例及び比較例の酸化チタンはほぼアナターゼ型であるため、密度は約3.9g/cm3を用いたとの点も、実施例及び比較例ごとにアナターゼ含有率が異なっていることを考慮していない点で、妥当とはいえない。 よって、申立人の主張はいずれにしろ採用できない。 c 以上によれば、相違点2-2は実質的な相違点である。 (イ)次に、相違点2-2の容易想到性について検討する。 甲2には、甲2発明のTiO2粉末に関し、「一次粒子径が」「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)」「の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)」については記載されておらず、また、技術常識を考慮しても、甲2発明のTiO2粉末であれば、必ず、「一次粒子径が」「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)」「の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)」が「20ppm以下」であるともいえない。 そうすると、甲2発明において、相違点2-2に係る発明特定事項を備えさせることが動機付けられるとはいえない。この点、酸化チタン粒子の技術分野における技術常識(周知技術を含む)や、誘電体原料として酸化チタン粒子を用いる旨の甲4、5の記載を考慮しても、変わるものではない。 以上によれば、甲2発明において、相違点2-2に係る発明特定事項を備えさせることは、当業者が容易に想到することができたとはいえない。 エ 小括 以上のとおりであるから、相違点2-3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2に記載された発明であるとはいえず、また、甲2に記載された発明並びに周知技術及び甲4、5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)本件発明2~14について 本件発明2~14は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであるが、上記(2)で述べたとおり、本件発明1が、甲2に記載された発明であるとはいえず、また、甲2に記載された発明並びに周知技術及び甲4、5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上、本件発明2~14についても同様に、甲2に記載された発明であるとはいえず、また、甲2に記載された発明並びに周知技術及び甲4、5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)まとめ 以上のとおり、本件発明1、2、5、7~13は、甲2に記載された発明であるとはいえない。 また、本件発明1~3、5~13は、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 さらに、本件発明14は、甲2に記載された発明及び甲4、5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、申立理由1-2(新規性)、申立理由2-2(進歩性)によっては、本件特許の請求項1~3、5~14に係る特許を取り消すことはできない。 3 申立理由1-3(新規性)、申立理由2-3(進歩性) (1)甲3に記載された発明 甲3の記載(請求項1、5、7、【0002】~【0009】、【0011】、【0014】、【0018】、【0021】、【0022】、【0041】~【0057】、表1~4)によれば、特に、請求項5、7の記載を前提として、実施例2で得られた酸化チタン粒子(【0046】~【0048】、表1、3)に着目すると、甲3には、以下の発明が記載されていると認められる。 「全Cl含有量aが120質量ppmであり、 レーザー回折・散乱分析法により測定したD90/D50をXとし、窒素吸着によるBET法により測定したBET比表面積をY(m2/g)とした場合、X/Yが0.05であり、 D90/D50(X)が1.26であり、D90が0.58μmであり、D50が0.46μmであり、 BET比表面積Yが25m2/gである、酸化チタン粒子。」(以下、「甲3発明」という。) (2)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲3発明とを対比する。 (ア)甲3発明における「酸化チタン粒子」は、本件発明1における「酸化チタン粒子」に相当する。 (イ)甲3発明において、「レーザー回折・散乱分析法により測定した」「D90/D50(X)が1.26であり、D90が0.58μmであり、D50が0.46μmであ」ることは、本件発明1において、「レーザー回折・散乱分析法により測定した」「D90(LD)/D50(LD)が1.0超2.0以下であり」、「D90(LD)が3000nm以下であり、D50(LD)が1000nm以下であ」ることに相当する。 (ウ)甲3発明において、「BET比表面積Yが25m2/gである」ことは、本件発明1において、「BET比表面積(m2/g)が5~200m2/gである」ことに相当する。 (エ)以上によれば、本件発明1と甲3発明とは、 「レーザー回折・散乱分析法により測定した酸化チタン粒子におけるD90(LD)/D50(LD)が1.0超2.0以下であり、かつ、D90(LD)が3000nm以下であり、D50(LD)が1000nm以下であり、BET比表面積(m2/g)が5~200m2/gである、酸化チタン粒子。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点3-1 本件発明1では、「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)に対して、一次粒子径がD50(SEM)の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)が20ppm以下であ」るのに対して、甲3発明では、上記のような「粗大粒子濃度(個数基準)」が「20ppm以下」であるのかどうか不明である点。 イ 相違点3-1の検討 (ア)まず、相違点3-1が実質的な相違点であるか否かについて検討する。 a 甲3には、甲3発明の酸化チタン粒子に関し、「一次粒子径が」「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)」「の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)」については記載されていない。また、技術常識を考慮しても、甲3発明の酸化チタン粒子であれば、必ず、「一次粒子径が」「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)」「の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)」が「20ppm以下」であるともいえない。 そうすると、甲3発明の酸化チタン粒子が、相違点3-1に係る発明特定事項を備えているかどうかは、不明である。 b この点、申立人は、上記2(2)ウ(ア)bと同様に、BET比表面積径(x)とD50(SEM)(y)には、酸化チタン粒子の製法によらず、y=0.63×x+8.24との相関がみられる(BET比表面積径(x)は、x=6×1000/(密度g/cm3×BET比表面積m2/g)で求めた。実施例2の酸化チタン粒子はルチル化率が51%であるため、密度は約4.0g/cm3を用いた。)ところ、(甲3発明の認定の基礎とした)甲3の実施例2の酸化チタン粒子においても上記の相関であると考えられるため、上記酸化チタン粒子のD50(SEM)は、46nm程度(=0.63×(6×1000/(4.0×25))+8.24)と考えられ、そうすると、粗大粒子の最小値は736nm程度(=46×16)となることを前提として、本件明細書の実施例1や比較例1の酸化チタン粒子と、甲3の実施例2の酸化チタン粒子を、D90(LD)や粗大粒子の最低粒子径について比較することにより、本件明細書の実施例1や比較例1の酸化チタン粒子における粗大粒子濃度(個数基準)に基づいて、甲3の実施例2の酸化チタン粒子における粗大粒子濃度(個数基準)を推定し、20ppm以下となる蓋然性が高いと主張する(申立書45~46頁)。 しかしながら、上記2(2)ウ(ア)bと同様に、申立人が本件明細書の実施例及び比較例から導き出したという上記の相関が、あらゆる酸化チタン粒子に当てはまるかどうかは不明であり、また、そもそも、上記の相関は、本件特許の優先日前に知られたものではないから、このような相関の存在を前提として、甲3の実施例2の酸化チタン粒子のD50(SEM)を求めることは、妥当とはいえない。 よって、申立人の主張はいずれにしろ採用できない。 c 以上によれば、相違点3-1は実質的な相違点である。 (イ)次に、相違点3-1の容易想到性について検討する。 甲3には、甲3発明の酸化チタン粒子に関し、「一次粒子径が」「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)」「の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)」については記載されておらず、また、技術常識を考慮しても、甲3発明の酸化チタン粒子であれば、必ず、「一次粒子径が」「電界放射型走査型電子顕微鏡で100万個以上の粒子について観察した一次粒子のD50(SEM)」「の16倍を超える粗大粒子濃度(個数基準)」が「20ppm以下」であるともいえない。 そうすると、甲3発明において、相違点3-1に係る発明特定事項を備えさせることが動機付けられるとはいえない。この点、酸化チタン粒子の技術分野における技術常識(周知技術を含む)を考慮しても、変わるものではない。 以上によれば、甲3発明において、相違点3-1に係る発明特定事項を備えさせることは、当業者が容易に想到することができたとはいえない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲3に記載された発明であるとはいえず、また、甲3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)本件発明2~14について 本件発明2~14は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであるが、上記(2)で述べたとおり、本件発明1が、甲3に記載された発明であるとはいえず、また、甲3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上、本件発明2~14についても同様に、甲3に記載された発明であるとはいえず、また、甲3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)まとめ 以上のとおり、本件発明1、2、5、9~14は、甲3に記載された発明であるとはいえない。 また、本件発明1~3、5、6、9~14は、甲3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、申立理由1-3(新規性)、申立理由2-3(進歩性)によっては、本件特許の請求項1~3、5、6、9~14に係る特許を取り消すことはできない。 第5 むすび 以上のとおり、特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1~14に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2026-700320

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