特許異議申立
2024-700257
研磨パッド及び研磨パッドの製造方法
- 審判番号
- 2024-700257
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-030224
- 登録番号
- 7348860
- 請求日
- 2024年03月19日
- 審決日
- 2024年07月05日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】富士紡ホールディングス株式会社
- 【権利者代理人】田中 伸一郎
- 【権利者代理人】須田 洋之
- 【権利者代理人】山崎 一夫
- 【権利者代理人】市川 さつき
- 【権利者代理人】服部 博信
- 【権利者代理人】松田 七重
- 【権利者代理人】佐々木 康匡
- 【異議申立人】田村 奈緒美
- 審判長/審判官
- 審判長 河本 充雄
- 審判官 恩田 春香
- 審判官 三浦 みちる
- 分類
- P1651.113-Y (H01L) / P1651.121-Y (H01L) / P1651.537-Y (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7348860号発明「研磨パッド及び研磨パッドの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7348860号の請求項1~8に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7348860号の請求項1~8に係る特許についての出願は、令和2年2月26日の出願であって、令和5年9月12日にその特許権の設定登録がされ、同年9月21日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和6年3月19日に特許異議申立人田村奈緒美により、特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
特許第7348860号の請求項1~8の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
第1貫通孔を有する第1の層と、
第1貫通孔よりも小さい円相当径を有する第2貫通孔を有する第2の層と、
透明樹脂部材と、
を含む研磨パッドであって、
前記第1の層は被研磨物を研磨するための研磨表面を有し、前記第1の層の研磨表面とは反対側の面には前記第2の層が接着されており、
前記研磨パッドを研磨表面側から厚さ方向に見た場合に、第1貫通孔の外周部が第2貫通孔の外周部を覆うようにして設けられており、
前記第1貫通孔の円相当径が前記第2貫通孔の円相当径より5~30mm大きく、
前記透明樹脂部材は、前記第1貫通孔内に設けられており、
前記第1の層の研磨表面には溝が設けられており、且つ
前記研磨表面を上面とし前記第2の層の前記第1の層と接着している面とは反対側の面を下面とした場合に、前記透明樹脂部材の最上部が前記溝の最下部よりも低い、前記研磨パッド。
【請求項2】
研磨パッドの研磨表面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合の前記第1貫通孔の形状及び前記第2貫通孔の形状が共に円形である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記第2の層の密度が前記第1の層の密度よりも大きい、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記第1の層の密度が0.1~0.5g/cm3である、請求項1~3のいずれか1項に記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記第1の層の圧縮弾性率が50~100%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記第1の層の圧縮率が1~60%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の研磨パッド。
【請求項7】
前記溝が、エンボス溝である、請求項1~6のいずれか1項に記載の研磨パッド。
【請求項8】
第1の層、第2の層及び透明樹脂部材を用意する工程、
前記第1の層に第1貫通孔を設ける工程、
前記第1の層と前記第2の層とを貼り合わせる工程、
前記第2の層に前記第1貫通孔よりも小さい断面積を有し、かつ前記第1貫通孔の円相当径より5~30mm小さい円相当径を有する第2貫通孔を設ける工程であって、研磨パッドを研磨表面側から厚さ方向に見た場合に、前記第2貫通孔の外周部が前記第1貫通孔の外周部に覆われるように設ける工程、及び
前記第1貫通孔内に前記透明樹脂部材を設ける工程、
を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法。」
第3 申立理由の概要
特許異議申立人田村奈緒美は、以下の甲第1号証を提出し、請求項1、4及び8に係る特許は特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるから、請求項1、4及び8に係る特許を取り消すべきものである旨、及び、主たる証拠として以下の甲第1号証、従たる証拠として以下の甲第2号証~甲第8号証を提出し、請求項1~8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1~8に係る特許を取り消すべきものである旨、並びに、請求項3~8に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、請求項3~8に係る特許を取り消すべきものである旨を主張する。
<証拠一覧>
1 主たる証拠
甲第1号証:特開2017-117976号公報
2 従たる証拠
(1)甲第2号証:特表2018-533489号公報
(2)甲第3号証:特開2003-285257号公報
(3)甲第4号証:特表2015-517926号公報
(4)甲第5号証:特開2019-93543号公報
(5)甲第6号証:特開2006-15421号公報
(6)甲第7号証:特開2019-84589号公報
(7)甲第8号証:特開2001-232554号公報
第4 甲号証の記載
1 甲第1号証の記載と甲第1号証に記載された発明
(1)甲第1号証の記載
甲第1号証(以下「甲1」という。また、甲第2号証~甲第8号証をそれぞれ「甲2」~「甲8」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は合議体が付加した。以下、同じ。)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ表面の凹凸をケミカルメカニカルポリシング(CMP)で平坦化する際に使用される研磨パッドに関し、詳しくは、研磨状況等を光学的手段により検知するための窓(光透過領域)を有する研磨パッド、及び該研磨パッドを用いた半導体デバイスの製造方法に関する。」
「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前記特許文献3に記載の研磨パッドは、研磨領域と光透過領域が同一平面になっているため、研磨領域よりも硬い光透過領域の表面が研磨時に被研磨対象物に接触し、被研磨対象物の表面にスクラッチが生じやすい。
【0010】
前記特許文献4に記載の研磨パッドは、光透過領域の表面が研磨領域の表面より凹んでいるため、光透過領域が被研磨対象物に接触することによるスクラッチの発生を抑制することはできるが、研磨中に凹んでいる部分にスラリーが堆積しやすくなるため、当該スラリーに起因するスクラッチが発生しやすい。また、当該凹んでいる部分にスラリーが堆積すると、光ビームの透過が遮られるため、光学終点検知精度が低下する。
【0011】
すなわち、被研磨対象物表面にスクラッチが生じにくく、かつ高精度の光学終点検知を安定的に行うことのできる研磨パッド、及び該研磨パッドを用いた半導体デバイスの製造方法は従来なかった。
【0012】
本発明は、ウエハ表面にスクラッチが生じにくく、かつ高精度の光学終点検知を安定的に行うことのできる研磨パッド、及び該研磨パッドを用いた半導体デバイスの製造方法を提供することを目的とする。」
「【図面の簡単な説明】
【0016】
・・・
【図2】第1の実施形態の研磨パッドを示す概略図
・・・
【図10】 実施例1に係る光透過領域の断面を示す概略図
【図11】 実施例1に係る研磨パッドの断面を示す概略図
・・・
【図18】 比較例2に係る光透過領域の断面を示す概略図
【図19】 比較例2に係る研磨パッドの断面を示す概略図」
「【0041】
前記研磨領域13の形成材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ハロゲン系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、ポリスチレン、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、エポキシ樹脂、及び感光性樹脂などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、研磨領域の形成材料は、光透過領域と同組成でも異なる組成であってもよいが、光透過領域に用いられる形成材料と同種の材料を用いることが好ましい。
【0042】
ポリウレタン樹脂は耐摩耗性に優れ、原料組成を種々変えることにより所望の物性を有するポリマーを容易に得ることができるため、研磨領域の形成材料として特に好ましい材料である。
【0043】
使用するイソシアネート成分は特に制限されず、例えば、前記イソシアネート成分が挙げられる。
【0044】
使用する高分子量ポリオールは特に制限されず、例えば、前記高分子量ポリオールが挙げられる。なお、これら高分子量ポリオールの数平均分子量は、特に限定されるものではないが、得られるポリウレタンの弾性特性等の観点から500~2000であることが好ましい。数平均分子量が500未満であると、これを用いたポリウレタンは十分な弾性特性を有さず、脆いポリマーとなる。そのためこのポリウレタンから製造される研磨領域は硬くなりすぎ、ウエハ表面のスクラッチの原因となる。また、摩耗しやすくなるため、パッド寿命の観点からも好ましくない。一方、数平均分子量が2000を超えると、これを用いたポリウレタンは軟らかくなりすぎるため、このポリウレタンから製造される研磨領域は平坦化特性に劣る傾向にある。
・・・
【0049】
前記研磨層11は、微細発泡体であることが好ましい。微細発泡体にすることにより表面の微細孔にスラリーを保持することができ、研磨速度を大きくすることができる。
・・・
【0059】
ポリウレタン発泡体の比重は、0.5~1.3であることが好ましい。比重が0.5未満の場合、研磨領域の表面強度が低下し、被研磨対象物のプラナリティが低下する傾向にある。また、1.3より大きい場合は、研磨領域表面の気泡数が少なくなり、プラナリティは良好であるが、研磨速度が低下する傾向にある。
・・・
【0062】
前記研磨領域13は、被研磨対象物と接触する表面に、スラリーを効率よく保持・更新するための溝が設けられていることが好ましい。
・・・
【0066】
前記研磨パッド10は、前記研磨領域13を有する前記研磨層11、及び光透過領域12のみからなっていても良く、当該研磨層11と他の層(例えばクッション層)との積層体、及び前記光透過領域12からなっていても良い。」
「【0092】
<実施例1>
〔光透過領域の作製〕
熱可塑性ポリウレタンA1098A(東洋紡績社製)及びミラクトンE567(日本ポリウレタン社製)を用い、インジェクション成型にて研磨層の開口部(直径方向56mm×円周方向20mm)に合う大きさの光透過領域30を作製した。図10は当該光透過領域30の概略断面図である。図10において、D1は4.08°、H1は4mm、W1は56mmである。
【0093】
〔研磨層の作製〕
反応容器内に、ポリエーテル系プレポリマー(ユニロイヤル社製、アジプレンL-325、NCO重量%:9.15重量%)100重量部、及びシリコーン系界面活性剤(東レダウコーニングシリコーン社製、SH-192)3重量部を混合し、温度を80℃に調整した。撹拌翼を用いて、回転数900rpmで反応系内に気泡を取り込むように約4分間激しく撹拌を行った。そこへ予め120℃で溶融した4,4’-メチレンビス(o-クロロアニリン)(イハラケミカル社製、イハラキュアミンMT)26重量部を添加した。その後、約1分間撹拌を続けてパン型のオープンモールドへ反応溶液を流し込んだ。この反応溶液の流動性がなくなった時点でオーブン内に入れ、110℃で6時間ポストキュアを行い、ポリウレタン発泡体ブロックを得た。このポリウレタン発泡体ブロックをバンドソータイプのスライサー(フェッケン社製)を用いてスライスし、ポリウレタン発泡体シート(平均気泡径50μm、比重0.86、D硬度55度)を得た。次にこのシートをバフ機(アミテック社製)を使用して、所定の厚さに表面バフをし、厚み精度を整えたシートとした(厚さ:4.0mm)。このバフ処理をしたシートを直径61cmに打ち抜き、溝加工機(東邦鋼機社製)を用いて表面に溝幅0.40mm、溝ピッチ3.1mm、溝深さ1.50mmの同心円状の溝加工を行った。このシートの溝加工面と反対側の面にラミ機を使用して、両面テープ(積水化学工業社製、ダブルタックテープ、厚さ:0.10mm)を貼り合わせて両面テープ付き研磨層11を作製した。
【0094】
〔研磨パッドの作製〕
表面をバフがけし、コロナ処理したポリエチレンフォーム(東レ社製、トーレペフ、厚さ:1.27mm)からなるクッション層40を、作製した両面テープ付き研磨層の接着面にラミ機を用いて貼り合わせて研磨シートを作製した。次に、研磨シートに直径方向56mm×円周方向20mmの大きさの開口部を形成した。そして、両面に接着剤層を有する透明支持フィルム50(基材:ポリエチレンテレフタレート、厚さ:50μm)を研磨シートのクッション層に貼り合わせて積層体を得た。その後、該積層体の開口部内の透明支持フィルムに光透過領域30を貼り付けて研磨パッド100を作製した。図11は、実施例1に係る研磨パッド100の構成を示す概略断面図である。」
「【0104】
<比較例2>
〔光透過領域の作製〕
形状を変更した以外は前記光透過領域30と同様の方法で光透過領域34を作製した。図18は当該光透過領域34の概略断面図である。図18において、H7(合議体注:図18から「H4」は「H7」の誤記であるから、「H7」と表記する。)は1.5mm、W3は56mmである。
【0105】
〔研磨層の作製〕
前記実施例1と同様に行った。
【0106】
〔研磨パッドの作製〕
前記光透過領域30の代わりに前記光透過領域34を用いた以外は実施例1と同様の方法で研磨パッド104を作製した。図19は、実施例3に係る研磨パッド104の構成を示す概略断面図である。
【0107】
【表1】
[図:0001413363000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001413363000002.jpg]
」
「【図10】
[図:0001413363000003.jpg]
」
「【図11】
[図:0001413363000004.jpg]
」
「【図18】
[図:0001413363000005.jpg]
」
「【図19】
[図:0001413363000006.jpg]
」
(2)甲1に記載された技術的事項と甲1発明
ア 上記(1)から、甲1には、以下の技術的事項が記載されているといえる。
(ア)甲1に記載された技術は、研磨状況等を光学的手段により検知するための窓(光透過領域)を有する研磨パッドに関するものであり(【0001】)、ウエハ表面にスクラッチが生じにくく、かつ高精度の光学終点検知を安定的に行うことのできる研磨パッドを提供することを課題とすること(【0012】)。
(イ)実施例1の研磨パッド100及び比較例2の研磨パッド104は、いずれも、クッション層40と、両面に接着剤層を有する透明支持フィルム50と、研磨層11との積層体、及び光透過領域30、34から構成されたものである(【0016】、【0066】、図11、図19)。
また、図2、11、19から、実施例1と比較例2に係る研磨パッドの断面を示す概略図において、クッション層40には、研磨層11の開口部14の下方に開口が形成されており、研磨層11を表面側から厚さ方向に見た場合に、クッション層40の開口の直径方向の長さは、研磨層11の開口部14の直径方向の長さよりも短いことが見てとれる。
(ウ)実施例1の研磨パッド100の光透過領域30は、熱可塑性ポリウレタンA1098A(東洋紡績社製)及びミラクトンE567(日本ポリウレタン社製)を用い、インクジェット成型にて研磨層の開口部(直径方向56mm×円周方向20mm)に合う大きさに作製したものである(【0092】)。
(エ)実施例1の研磨パッド100の研磨層11は、厚さ4.0mmであり、被研磨対象物と接触する表面に溝深さ1.50mmの同心円状の溝加工された両面テープ付き研磨層11として作製したものである(【0062】、【0093】)。
(オ)実施例1の研磨パッド100は、積層体の開口部14内の、両面に接着剤層を有する透明支持フィルム50に光透過領域30を貼り付けて作製したものである(【0094】、図11)。
(カ)比較例2は、形状を変更した以外は実施例1の光透過領域30と同様の方法で、光透過領域の断面を示す概略図である図18におけるH7が1.5mmの光透過領域34を作製し、実施例1と同様に研磨層11を作製し、光透過領域34を用いた以外は実施例1と同様の方法で研磨パッド104を作製したものである(【0016】、【0104】~【0106】、図18、図19)から、上記(ウ)~(オ)を参酌すると、比較例2において、研磨層11には、直径方向56mm×円周方向20mmの開口部14が形成され、研磨層11は、厚さ4.0mmであり、被研磨対象物と接触する表面に溝深さ1.50mmの同心円状の溝加工された両面テープ付き研磨層11として作製したものであり、研磨パッド104は、積層体の開口部14内の、両面に接着剤層を有する透明支持フィルム50に光透過領域34を貼り付けて作製したものである。
イ 上記アから、甲1には、比較例2の研磨パッド104について、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「クッション層40と、両面に接着剤層を有する透明支持フィルム50と、研磨層11との積層体、及び光透過領域34から構成された研磨パッド104であって、
研磨層11には、直径方向56mm×円周方向20mmの開口部14が形成され、
研磨層11は、厚さ4.0mmであり、被研磨対象物と接触する表面に溝深さ1.50mmの同心円状の溝加工された両面テープ付き研磨層11として作製したものであり、
クッション層40には、研磨層11の開口部14の下方に開口が形成されており、研磨層11を表面側から厚さ方向に見た場合に、クッション層40の開口の直径方向の長さは、研磨層11の開口部14の直径方向の長さよりも短く、
研磨パッド104は、積層体の開口部14内の、両面に接着剤層を有する透明支持フィルム50に光透過領域34を貼り付けて作製したものであり、
光透過領域34は、熱可塑性ポリウレタンA1098A(東洋紡績社製)及びミラクトンE567(日本ポリウレタン社製)を用い、インクジェット成型にて作製したものである、研磨パッド104。」
2 甲2、甲3に記載された周知技術と技術的事項
(1)研磨パッドにおいて、光学終点検知を行うための光透過部材(甲2の窓112、甲3の透光窓部材2)を設置する開口部において、研磨層(甲2の研磨層104、甲3の研磨層1)の開口部(甲2の第1開口106、甲3の研磨層1の開口部)の寸法をクッション層(甲2の第1弾性率を有する基礎層102、甲3のクッション層5)の開口部(甲2の第2開口108、甲3の研磨層1の開口部)の寸法よりも大きくすることは、本件特許出願前における周知技術である(甲2の段落【0012】、【0016】、図1A、図1B、甲3の段落【0013】~【0015】、【0027】、図2参照)。
(2)基礎層102と、基礎層102上に取付けられた研磨層104と、研磨層104の開口内に収容され、接着剤層で下側の基礎層102に取付けられた窓とを有する研磨パッド100であって、研磨層104を貫通する第1開口106と基礎層102を貫通する第2開口108の平面視で見た形状は、共に略矩形状であり、断面において、基礎層102の露出部分110の幅(W)はほぼ100~300ミル(合議体注:2.54~7.62mm)である研磨パッド100(甲2の段落【0015】、【0016】、【0020】、【0021】、図1A、図1B参照)。
(3)研磨層とクッション層と接着テープからなる積層構造からなり、該研磨層の一部に一体に形成された透光窓部材を有する研磨パッドであって、研磨層の開口部の寸法が19×57mmであり、研磨層に接着されたクッション層(ゴムシート部)の開口部の寸法が13×50mmである研磨パッド(甲3の段落【0013】~【0015】、【0027】、図2参照)。
第5 当審の判断
1 特許法第29条第1項第3号、同条第2項について
(1)請求項1に係る発明について
ア 対比
請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。また、請求項2~8に係る発明をそれぞれ順に「本件発明2」~「本件発明8」という。また、本件発明1~8をまとめて「本件発明」ともいう。)と甲1発明を対比する。
(ア)甲1発明の「研磨パッド104」は、本件発明1の「研磨パッド」に相当する。
(イ)甲1発明の「研磨層11」の「表面」は、「被研磨対象物と接触する表面」であるから、「被研磨対象物」、「表面」は、それぞれ本件発明1の「被研磨物」、「研磨表面」に相当し、甲1発明の「研磨層11」は、本件発明1の「第1の層」に相当する。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、「前記第1の層は被研磨物を研磨するための研磨表面を有」する点で一致する。
(ウ)甲1発明の「研磨パッド104」は、「クッション層40と、両面に接着剤層を有する透明支持フィルム50と、研磨層11との積層体、及び光透過領域34から構成された研磨パッド104」であるから、研磨層11の表面とは反対側の面にはクッション層40が接着されているといえる。また、甲1発明の「クッション層40」は、本件発明1の「第2の層」に相当する。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、「前記第1の層の研磨表面とは反対側の面には前記第2の層が接着されて」いる点で一致する。
(エ)甲1発明は、「研磨層11には」、「開口部14が形成され」、「クッション層40には、研磨層11の開口部14の下方に開口が形成されており、研磨層11を表面側から厚さ方向に見た場合に、クッション層40の開口の直径方向の長さは、研磨層11の開口部14の直径方向の長さよりも短」いものであるから、甲1発明の「開口部14」、「クッション層40の開口」は、それぞれ本件発明1の「第1貫通孔」、「第2貫通孔」に相当する。
また、甲1発明は、「研磨パッド104」を「研磨層11」の「表面側から厚さ方向に見た場合に」、「開口部14の直径方向」の外周部が、「クッション層40の開口の直径方向」の外周部を覆うようにして設けられているといえる。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、「前記研磨パッドを研磨表面側から厚さ方向に見た場合に、第1貫通孔の」直径方向の「外周部が第2貫通孔の」直径方向の「外周部を覆うようにして設けられて」いる点で共通する。
(オ)甲1発明の「光透過領域34」は、「熱可塑性ポリウレタンA1098A(東洋紡績社製)及びミラクトンE567(日本ポリウレタン社製)を用い、インクジェット成型にて作製したものである」から、本件発明1の「透明樹脂部材」に相当する。
また、甲1発明において、「研磨層11」には、「開口部14が形成され」、「研磨パッド104は、積層体の開口部14内の、両面に接着剤層を有する透明支持フィルム50に光透過領域34を貼り付けて作製したものであ」るから、「光透過領域34」は、研磨層11の開口部14内に設けられたものであるといえる。
さらに、甲1発明は、「クッション層40」と、「透明支持フィルム50と、研磨層11との積層体、及び光透過領域34から構成された研磨パッド104」であるから、本件発明1と甲1発明とは、「第1貫通孔を有する第1の層と、第2貫通孔を有する第2の層と、透明樹脂部材と、を含む研磨パッドであって」、「前記透明樹脂部材は、前記第1貫通孔内に設けられて」いる点で共通する。
(カ)甲1発明において、「研磨層11」は、「被研磨対象物と接触する表面に」「同心円状の溝加工された」ものであるから、本件発明1と甲1発明とは、「前記第1の層の研磨表面には溝が設けられて」いる点で一致する。
(キ)以上をまとめると、本件発明1と甲1発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「第1貫通孔を有する第1の層と、
第2貫通孔を有する第2の層と、
透明樹脂部材と、
を含む研磨パッドであって、
前記第1の層は被研磨物を研磨するための研磨表面を有し、前記第1の層の研磨表面とは反対側の面には前記第2の層が接着されており、
前記研磨パッドを研磨表面側から厚さ方向に見た場合に、第1貫通孔の直径方向の外周部が第2貫通孔の直径方向の外周部を覆うようにして設けられており、
前記透明樹脂部材は、前記第1貫通孔内に設けられており、
前記第1の層の研磨表面には溝が設けられている、前記研磨パッド。」
<相違点1>
「第2の層」が有する「第2貫通孔」について、本件発明1は、「第1貫通孔よりも小さい円相当径を有する」ものであるのに対し、甲1発明は、「クッション層40には、研磨層11の開口部14の下方に開口が形成されており、研磨層11を表面側から厚さ方向に見た場合に、クッション層40の開口の直径方向の長さは、研磨層11の開口部14の直径方向の長さよりも短」いものの、「クッション層40」の「開口」について、本件発明1のような特定はなされていない点。
<相違点2>
本件発明1では、「前記研磨パッドを研磨表面側から厚さ方向に見た場合に、第1貫通孔の外周部が第2貫通孔の外周部を覆うようにして設けられて」いるのに対し、甲1発明では、「クッション層40には、研磨層11の開口部14の下方に開口が形成されており、研磨層11を表面側から厚さ方向に見た場合に、クッション層40の開口の直径方向の長さは、研磨層11の開口部14の直径方向の長さよりも短」いものの、本件発明1のような特定はなされていない点。
<相違点3>
本件発明1は、「前記第1貫通孔の円相当径が前記第2貫通孔の円相当径より5~30mm大き」いのに対し、甲1発明では、「研磨層11」の「開口部14」と「クッション層40」の「開口」について、そのような特定はなされていない点。
<相違点4>
本件発明1は、「前記研磨表面を上面とし前記第2の層の前記第1の層と接着している面とは反対側の面を下面とした場合に、前記透明樹脂部材の最上部が前記溝の最下部よりも低い」のに対し、甲1発明では、「光透過領域34」の最上部と、「研磨層11」の表面の「溝」の最下部との高低の関係について、本件発明1のような特定はなされていない点。
イ 判断
(ア)特許法第29条第1項第3号について
a 相違点3について
事案に鑑み、まず、相違点3について検討する。
(a)本件発明における「円相当径」について、本件明細書の段落【0015】には、
「(円相当径)
本明細書及び特許請求の範囲において、円相当径とは、測定対象の図形が有する面積に相当する、真円の直径のことである。」と記載されている。
(b)まず、甲1発明における、「開口部14」(第1貫通孔)の「円相当径」(以下「円相当径R1」という。)について検討する。
甲1発明において、「研磨層11には、直径方向56mm×円周方向20mmの開口部14が形成され」たものであるところ、甲1の段落【0019】及び図2から、当該「開口部14」は、略矩形状であるといえる。
したがって、甲1発明における「開口部14」(第1貫通孔)の「円相当径R1」は、開口部14の面積S=56×20=π×((円相当径R1)/2)2の式から求めることができる。
(c)次に、甲1発明における、「クッション層40」(第2の層)に形成された「開口」(第2貫通孔)の「円相当径」(以下「円相当径R2」という。)について検討する。
甲1発明における上記「開口」(第2貫通孔)について、上記第4の1(2)ア(イ)のとおり、甲1の図11や図19から、実施例1と比較例2に係る研磨パッドの断面を示す概略図において、「クッション層40」には、開口部14の下方に「開口」が形成されていることが見てとれるのみで、甲1には、比較例2の研磨パッド104や実施例1の研磨パッド100について、研磨層11を表面側から厚さ方向に見た場合の「クッション層40」に形成された「開口」の平面形状及び寸法、又は「クッション層40」に形成された「開口」の平面形状の「面積」について、記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明における上記「開口」の「円相当径R2」の寸法の具体的な数値範囲を特定することはできない。
(d)以上のとおりであるから、甲1発明及び甲1に記載された技術的事項に基づき、「開口部14」の「円相当径R1」が上記「開口」の「円相当径R2」より「5~30mm大き」いとの構成を導くことはできない。
したがって、相違点3は、実質的な相違点であるといえる。
b よって、相違点1、2、4について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明であるとはいえない。
(イ)特許法第29条第2項について
次に、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲8に記載された技術的事項又は周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるか、否かについて検討する。
a 相違点3について
まず、相違点3について検討する。
(a)甲1発明は、「研磨層11を表面側から厚さ方向に見た場合に、クッション層40の開口の直径方向の長さは、研磨層11の開口部14の直径方向の長さよりも短」いものであるものの、クッション層40の円周方向の長さが不明なので、甲1発明において、研磨層11の開口部14の円相当径とクッション層40の開口の円相当径の大小関係は不明である。
ここで、上記第4の2に示したとおり、研磨パッドにおいて、光学終点検知を行うための光透過部材(甲2の窓112、甲3の透光窓部材2)を設置する開口部において、研磨層(甲2の研磨層104、甲3の研磨層1)の開口部(甲2の第1開口106、甲3の研磨層1の開口部)の寸法をクッション層(甲2の第1弾性率を有する基礎層102、甲3のクッション層5)の開口部(甲2の第2開口108、甲3の研磨層1の開口部)の寸法よりも大きくすることは、本件特許出願前における周知技術である。
(b)しかしながら、甲1には、「クッション層40」の「開口」の「円相当径」に関連する記載や示唆はなく、甲2、3にも、「クッション層40」の「開口」の「円相当径」に関連する記載や示唆はない。
(c)そして、甲1発明は、比較例2の研磨パッド104についての発明であるから、甲1発明において、「研磨層11」の「開口部14」と「クッション層40」の「開口」について、「円相当径」に着目し、前者の円相当径を後者の円相当径より5~30mm大きいものとする動機付けはなく、このことは、甲2、甲3に記載された上記周知技術及び上記技術的事項に左右されるものではない。
さらに、甲4~甲8からも、この点が導かれる記載を見出せない。
(d)よって、甲1発明において、甲2~甲8に記載された技術的事項又は周知技術に基づいて、相違点3に係る本件発明1の構成を採用することは当業者が容易に想到することができたものではない。
b したがって、相違点1、2、4について判断するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~8に記載された技術的事項又は周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(ウ)判断についてのまとめ
以上のとおり、本件発明1は、甲1発明であるとはいえない。
また、本件発明1は、甲1発明及び甲2~8に記載された技術的事項又は周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(エ)特許異議申立人の主張について
a(a)特許異議申立人田村奈緒美(以下「申立人」という。)は、特許異議申立書の「3 申立ての理由」の「(4)(4-1)ウ」(37~38ページ参照。)において、以下のとおり主張する。
「一方、甲第1号証には、クッション層40にも開口部が形成さていることが認められるが・・・、クッション層40の開口部の断面形状は明記されていない。
しかしながら、記載事項1-4の図19から、径方向においてはクッション層40の開口部よりも研磨層11の開口部の方が大きく、研磨層11の開口部とクッション層40の開口部との寸法比(研磨層の開口部/クッション層の開口部)は、約3/2であることが把握される。すなわち、クッション層40の開口部の径方向の長さは、研磨層11の開口部の径方向の長さ56mmの約2/3、つまり37mm程度であることが把握される。
・・・
また、円周方向における研磨層11の開口部とクッション層40の開口部との寸法比率は、直径方向断面(図19)と同程度と理解され得るため、クッション層40の開口部の円周方向長さは、研磨層11の開口部の約2/3、すなわち約13.3mmであることが理解され得る。
そうすると、クッション層40の開口部の円相当径R40は、以下のように求められる。
・・・
よって、研磨層11の開口部の円相当径(約38mm)は、クッション層40の開口部の円相当径(約25mm)よりも、約13mm大きいことが把握できる。」
(b)しかし、甲1は、公開特許公報であるところ、図面は、発明の具体的構成を図示してその技術的内容を理解しやすくするため、明細書の補助手段として使用される任意書面であって、明細書の記載を補完するものであり、設計図面に要求されるような正確性をもって図示されるとは限らない。よって、一般に、公開特許公報の図面における寸法は、寸法の数字などが明細書又は図面に記載されていないときは、必ずしも発明の寸法を正確に表すものではない。
そして、上記(ア)a(c)のとおり、甲1には、比較例2の研磨パッド104や実施例1の研磨パッド100について、「クッション層40」に形成された「開口」の平面形状及び寸法、又は「クッション層40」に形成された「開口」の平面形状の「面積」について、記載も示唆もされていないから、甲1から、「研磨層11の開口部とクッション層40の開口部との寸法比(研磨層の開口部/クッション層の開口部)は、約3/2であることが把握される。」とはいえず、また、甲1から、「クッション層40の開口部の円周方向長さは、研磨層11の開口部の約2/3、すなわち約13.3mmであることを理解され得る。」とはいえない。
よって、申立人の上記の主張を採用することはできない。
b(a)申立人は、特許異議申立書の「3 申立ての理由」の「(4)(4-2)ウ(ア)」(41~42ページ参照。)において、以下のとおり主張する。
「仮に、・・・相違するとしても、例えば、甲第3号証の記載事項3-3・・・周知技術である。
詳しくは、甲第2号証には、記載事項2-3によれば、・・・記載されている。
また、甲第3号証には、記載事項3-3によれば、・・・記載されている。
このように第2の層に窓部材のための接着領域を設けることなどを目的として、第2貫通孔を覆うように第1貫通孔を形成し、第1貫通孔に対する第2貫通孔の円相当径を適宜変更することは、当業者の設計的事項である。」
(b)(b1)そもそも、甲1~甲3には、開口の「円相当径」に関連する記載や示唆はない。
(b2)一方、上記(イ)a(c)に示したとおり、甲1発明において、「研磨層11」の「開口部14」と「クッション層40」の「開口」について、「円相当径」に着目し、前者の円相当径を後者の円相当径より5~30mm大きいものとする動機付けはなく、このことは、甲2~甲8の記載及び上記周知技術に左右されるものではないから、甲1発明において、「第2の層に窓部材のための接着領域を設けることなどを目的として、第2貫通孔を覆うように第1貫通孔を形成し、第1貫通孔に対する第2貫通孔の円相当径を適宜変更することは、当業者の設計的事項である。」ということはできない。
よって、申立人の上記の主張を採用することはできない。
(2)本件発明2~8について
本件発明2~7は、それぞれ、本件発明1に対して、更に発明特定事項を追加した発明であり、本件発明8は、請求項1~7のいずれか1項に記載の研磨パッドを引用する発明である。
よって、上記(1)イで示した理由と同様の理由により、本件発明2~8は、甲1発明であるはいえず、また、本件発明2~8は、甲1発明及び甲2~8に記載された技術的事項又は周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 特許法第36条第6項第2号について
(1)本件発明3~8について
ア(ア)本件の請求項3には、「前記第2の層の密度が前記第1の層の密度よりも大きい」と記載されている。
請求項3が直接的又は間接的に引用する請求項1、2には、「第2の層」及び「第1の層」それぞれの層に関連して、以下のように記載されている。
「第1貫通孔を有する第1の層」、「第1貫通孔よりも小さい円相当径を有する第2貫通孔を有する第2の層」、「前記第1の層の研磨表面には溝が設けられており」、
「研磨パッドの研磨表面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合の前記第1貫通孔の形状及び前記第2貫通孔の形状が共に円形である」
(イ)ここで、「密度」とは、「物質の単位体積の質量。」(広辞苑 第四版 株式会社岩波書店、1991年11月15日、2462ページ)を意味するから、物質の体積及び質量を測定ないし求めることができれば、その物質の密度は、一義的な数値として求めることができるといえる。
(ウ)請求項3に係る発明の「研磨パッド」の「第1の層」及び「第2の層」それぞれの体積は、一般的な方法で測定できるものであり、「第1の層」及び「第2の層」それぞれの質量も、一般的な方法で測定できるものであるから、当該体積及び質量に基づき、「第1の層」及び「第2の層」のそれぞれの密度は、一義的な数値として求めることができる。
したがって、請求項3に記載された「前記第2の層の密度」及び「前記第1の層の密度」は、明確である。
よって、本件発明3及び請求項3の記載を引用する本件発明4~8は、明確である。
イ 申立人の主張について
(ア)申立人は、特許異議申立書「3 申立ての理由」の「(4)(4-3)」(51ページ参照。)において、以下のとおり主張する。
「本件の請求項3には、・・・と記載されている。
次に、本件明細書の【0013】には・・・【0022】には、・・・2層以上で構成されているもよい。」と記載されている。
一方、本件明細書には、各層の密度の測定方法が記載されておらず、また、第1の層または第2の層の少なくともいずれかが2層以上の場合、第2の層と第1の層との密度の大小関係をどのように決定すべきかが記載されていない。
・・・
したがって、本件発明3、および請求項3に従属する請求項4~8に係る本件発明4~8は、不明確である。」
(イ)しかしながら、本件明細書に、第1の層と第2の層の密度の測定方法が記載されていなくても、また、第1の層または第2の層の少なくともいずれかが2層以上の場合であっても、上記ア(ウ)のとおり、第1の層の密度と第2の層の密度は一義的な数値として求めることができるから、請求項3の記載は明確である。
したがって、本件発明3及び請求項3の記載を引用する本件発明4~8は明確であり、本件の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に掲げる要件に適合するものである。
よって、申立人の上記の主張を採用することはできない。
第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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