審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2024-700256

アルカリ洗浄剤組成物

審判番号
2024-700256
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-088950
登録番号
7347783
請求日
2024年03月19日
審決日
2025年03月25日
公報発行日
2025年06月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社ニイタカ
  • 【権利者代理人】弁理士法人WisePlus
  • 【異議申立人】安 銀珍
審判長/審判官
  • 審判長 光本 美奈子
  • 審判官 弘實 由美子
  • 審判官 村守 宏文
分類
P1651.113-YAA(C11D) / P1651.121-YAA(C11D) / P1651.537-YAA(C11D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第36条第6項第1号、特許法第126条第7項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7347783号発明「アルカリ洗浄剤組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7347783号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。 特許第7347783号の請求項3及び4に係る特許を維持する。 特許第7347783号の請求項1及び2に係る発明についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7347783号(以下「本件特許」という。)の出願(特願2019-88950号)は、令和1年5月9日の出願であって、令和5年9月11日に特許権の設定登録がされ(請求項の数4)、同年同月20日に特許掲載公報が発行された。その後、令和6年3月19日に特許異議申立人である安銀珍(以下「申立人」という。)により、本件特許の請求項1~4に係る発明に対して特許異議の申立てがされたものである。 以後の手続の経緯は、次のとおりである。 令和 6年 9月 3日付け 取消理由通知 令和 6年10月31日 特許権者による訂正の請求及び意見書の提出 令和 6年11月13日付け 訂正請求があった旨の通知 第2 本件訂正請求について 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、「特許第7347783号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、請求項1~4について訂正することを求める。」というものであり、その内容は、以下のとおりである(なお、訂正箇所に下線を付す)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項3において「前記増粘剤は、多糖類増粘剤である請求項1又は2に記載のアルカリ洗浄剤組成物。」と記載されているのを、「アルカリ金属水酸化物0.1~30質量%と、増粘剤0.01~5質量%と、SP値が11.84以上の溶剤0.1~50質量%とを含有し、前記増粘剤は、多糖類増粘剤であり、前記溶剤は、グリコール系溶剤及び/又はアルコール系溶剤であり、20℃における粘度が100mPa・s以上であり、pHが12以上であることを特徴とするアルカリ洗浄剤組成物(ただし、多相液体洗剤組成物を除く)。」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 2 一群の請求項 本件訂正前の請求項1~4について、請求項2~4はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、本件訂正前の請求項1~4に対応する訂正後の請求項1~4は、一群の請求項である。そうすると、本件訂正は一群の請求項ごとにされたものである。 3 訂正の適否の判断 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項1、2を引用する請求項3の記載を、独立形式の請求項として訂正後の請求項3とするとともに、訂正前の「SP値が10.6以上」を「SP値が11.84以上」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び同項第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とした訂正である。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、前記アのとおり、訂正前の請求項3を独立形式とするとともに、訂正前のSP値を限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 本件特許の願書に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「本件特許明細書」という。)の段落0049~0060の実施例には、SP値が11.84である1-プロパノールを用いた実施例5等が開示されているから、訂正事項1は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内の訂正に該当し、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2、3 訂正事項2、3は、それぞれ請求項1、2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そして、訂正事項1~5は、請求項を削除することにより特許請求の範囲を減縮するものであって、本件特許明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (3)特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであること 本件訂正においては、訂正前の全ての請求項である請求項1~4に対して特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。 (4)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 前記第2のとおり本件訂正請求による訂正は認められるから、本件特許の請求項3、4に係る発明(以下「本件特許発明3」、「本件特許発明4」といい、まとめて「本件特許発明」ということもある。)は次のとおりの発明である。なお、請求項1、2は、本件訂正請求により削除された。 「【請求項1】(削除) 【請求項2】(削除) 【請求項3】 アルカリ金属水酸化物0.1~30質量%と、増粘剤0.01~5質量%と、SP値が11.84以上の溶剤0.1~50質量%とを含有し、 前記増粘剤は、多糖類増粘剤であり、 前記溶剤は、グリコール系溶剤及び/又はアルコール系溶剤であり、 20℃における粘度が100mPa・s以上であり、 pHが12以上であることを特徴とするアルカリ洗浄剤組成物(ただし、多相液体洗剤組成物を除く)。 【請求項4】 前記多糖類増粘剤は、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、ペクチン及びグルコマンナンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項3に記載のアルカリ洗浄剤組成物。」 第4 特許異議の申立ての理由及び取消理由の概要及び証拠方法 1 特許異議申立書(以下「申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要 (1)申立理由1-1(甲第1号証を主引用例とする新規性欠如) 本件訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2)申立理由1-2(甲第1号証を主引用例とする進歩性欠如) 本件訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3)申立理由2(増粘剤の観点でのサポート要件違反)及び申立理由3(溶剤の観点でのサポート要件違反) 本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記ア、イの点で不備なため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 ア 申立理由2(増粘剤)について 本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、アルカリ金属水酸化物と、増粘剤と、SP値が10.6以上の溶剤とを含有する組成物に関する発明であるが、実施例には増粘剤として、キサンタンガム、ダイユータンガム、ウェランガム、グアーガムの記載しかないため、その他すべての増粘剤で本件特許発明の効果があると当業者が把握できると言えないから、本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 イ 申立理由3(溶剤)について 本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、アルカリ金属水酸化物と、増粘剤と、SP値が10.6以上の溶剤とを含有する組成物に関する発明であるが、実施例には溶剤として、ポリエチレングリコール、1-プロパノール、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンの記載しかないため、その他すべての増粘剤で本件特許発明の効果があると当業者が把握できると言えないから、本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 2 当審において通知した令和6年9月3日付け取消理由通知の取消理由 (1)取消理由1-1(甲第1号証を主引用例とする新規性欠如)(申立理由1-1に対応) 本件訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (2)取消理由1-2(甲第2号証を主引用例とする新規性欠如) 本件訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (3)取消理由2-1(甲第1号証を主引例とする進歩性欠如)(申立理由1-2に対応) 本件訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (4)取消理由2-2(甲第2号証を主引例とする進歩性欠如) 本件訂正前の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第2号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (5)取消理由3(サポート要件違反) 本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備なため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきものである。 ア 増粘剤について(申立理由2に対応) 本件特許明細書では、実施例1~14において、アルカリ洗浄剤組成物の増粘剤としてキサンタンガムを用いた場合(実施例1~10)、ダイユータンガムを用いた場合(実施例11及び14)、ウェランガムを用いた場合(実施例12)、グアーガムを用いた場合(実施例13)について、具体的な洗浄力評価及び垂れ落ち性評価が示されており、前記課題を解決できることが推認できる。しかしながら、増粘剤は、本件特許発明の洗浄剤の技術分野以外にも、食品、医療、土木(コンクリート)等、広範な用途に適用され、キサンタンガム、ダイユータンガム、ウェランガム、グアーガム以外にも、ゼラチン、ポリエチレンオキシド等の広範な材料が選択されており、それらの増粘性は一様でないことが本件出願当時の技術常識であるところ、キサンタンガム、ダイユータンガム、ウェランガム、グアーガム以外の多種多様な増粘剤を、本件訂正前の特許発明の含有量で適用した場合にも、同等の増粘性が得られるとはいえず、そうすると、前記課題を解決できるものとは推認できない。したがって、本件訂正前の請求項1~4に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された発明ではない。 イ SP値が10.6以上の溶剤について(申立理由3に対応) 本件特許明細書では、実施例1~14において、アルカリ洗浄剤組成物のSP値が10.6以上の溶剤としてポリエチレングリコール(SP値:10.70)(実施例3)、1-プロパノール(SP値:11.84)(実施例5)、エタノール(SP値:12.58)(実施例4及び10)、プロピレングリコール(SP値:15.91)(実施例1、6、7及び11~14)、グリセリン(SP値:20.02)(実施例2、8及び9)について、具体的な洗浄力評価及び垂れ落ち性評価が示されており、前記課題を解決できることが推認できる。しかしながら、溶剤には多種多様なものが汎用されており、SP値が10.6以上の溶剤は、ポリエチレングリコール、1-プロパノール、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン以外にも、カルボン酸やニトリル系溶媒、アミン等、多くの種類が含まれており、本件出願当時の技術常識をふまえても、それらすべての溶剤について、本件特許発明の含有量でそれらの溶剤が組成物に0.1~50質量%含まれさえすれば、同等の効果が発揮されることが明らかとはいえず、そうすると、本件特許発明の課題を解決できるものとは推認できない。したがって、本件訂正前の請求項1~4に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された発明ではない。 3 証拠方法 (1)申立人が申立書とともに提出した証拠は、次のとおりである。なお、甲第1号証~甲第3号証を、以下「甲1」~「甲3」ともいう。 甲第1号証:特表平9-502757号公報 甲第2号証:特表2004-506750号公報 甲第3号証:上田伸一,山田共男,杉島正見、“添加剤の溶解性パラメータに関する考察”、塗料の研究,No.152,41頁、(2010年)、[online]、インターネット[令和6年1月30日検索] <URL: https://dl.ndl.go.jp/contents/8377716/727f3581-1d3a-4f38-88a4-76fefdd2bf7d/7fdfbace-9d61-42f7-beaa-f2fb4c9d965e/7fdfbace-9d61-42f7-beaa-f2fb4c9d965e.pdf> (2)当審において職権で追加した証拠は、次のとおりである。 文献A:特開2003-317749号公報 文献B:特開2019-33257号公報 文献C:特表2019-55941号公報 文献D:特開2013-67780号公報 文献E:特開2018-178017号公報 第5 甲号証等に記載された事項及び発明について 1 甲号証等に記載された事項 以下、下線は合議体による。 (1)甲1には、次の事項が記載されている。 (1a)「発明の詳細な説明 本発明による噴霧可能な水性洗浄剤組成物は一般的には強酸または強塩基と共に、有機界面活性剤および有効な有機増粘剤を含有するが、さらに所望により以下に例示する種々の他の任意成分を含有していてもよい。 強塩基 本発明による液状の水性洗浄剤組成物は強塩基性物質または有機もしくは無機のアルカリ源を含有する。本発明においては、塩基性物としても知られているアルカリ源は、水性系に添加したときに系のpHを約7よりも大きくするような組成物である。有機アルカリ源としては含窒素強塩基、例えば、アンモニア、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリエタノールアミンおよびトリプロパノールアミン等を用いる場合が多い。液状のモノアルカノールアミン化合物を用いる一つの利点はこれら化合物の溶剤特性に関する。十分な量のモノエタノールアミンやモノプロパノールアミン等を用いることによって十分なアルカリ性が得られるだけでなく、本発明において用いる他の成分と相俟った十分な溶解力が得られる。アルカリ源は無機アルカリを含有していてもよい。本発明による噴霧型の洗浄剤に配合する無機アルカリ成分は水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムから誘導するのが好ましく、これらの水酸化物は液状(約10~60重量%水溶液)または固体状(粉末、フレークまたはペレット)のいずれの形態で用いてもよい。好ましい形態のアルカリ金属塩基としては、約50重量%の水酸化ナトリウム水溶液または種々の粒径や形状を有する固体状のものが市販されている。その他の無機アルカリ源としては可溶性珪酸塩(例えば、メタ珪酸ナトリウム)および燐酸三ナトリウム等が例示されている。」(第10頁下から第2行~第11頁第21行) (1b)「相溶性水性溶剤 本発明による洗浄剤には相溶性溶剤を配合することができる。適当な溶剤は、本発明による使用濃度で調製される洗浄用水性組成物に可溶性である。好ましい可溶性溶剤としては低級アルカノール、低級アルキルエーテルおよび低級アルキルグリコールエーテル等が例示される。このような成分は穏やかで快いにおいのある無色の液体で、優れた溶剤およびカップリング剤であって、一般的には本発明による洗浄用水性組成物と混和する。この種の有用な溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよび混合エチレン-プロピレングリコールエーテル等が例示される。グリコールエーテルには低級アルキル(C1-8アルキル)エーテル、たとえば、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルおよびエチレングリコールモノブチルエーテル等が含まれる。洗浄剤の溶解力はモノアルカノールアミンを用いることによって高められる。」(第14頁下から第5行~第15頁第14行) (1c)「増粘剤または粘度調整剤 本発明による組成物には、該組成物に揺変性(チキソトロープ性)、即ち、非撹乱状態(剪断モード)において高粘度を保持するが、剪断力を印加すると粘度が実質状可逆的に低減し、剪断作用がなくなると元の粘度に復帰する性質を付与する成分の存在を必要とする。該組成物はこのような特性を有するために、スプレーヘッドを通して使用に供することができる。噴射剤の使用によってエーロゾル容器から噴霧される組成物は、噴射剤の圧力の影響下で送給管からエーロゾルのスプレーヘッド内へ圧送されるときに剪断作用を受けるか、またはポンプ作用スプレー内の組成物にはポンプ作用による剪断力が印加される。いずれの場合も、組成物の粘度は、汚染表面へ組成物を塗布するために用いる噴霧装置を使用して十分な量の組成物が塗布できる程度まで低下させなければならない。しかしながら、汚染表面上に塗布された組成物の粘度は、該組成物が該汚染表面上に保持されるのに十分高い粘度でなければならない。好ましくは、洗浄性成分が被処理表面上に十分な濃度で供給されると硬化した汚れまたは焼けついた汚れの剥離除去を可能にするのに十分な量の塗布層が形成されるように組成物を該表面上に塗布する。垂直表面上または傾斜表面上の汚れと組成物が接触している間は、増粘剤は組成物中の他の成分と共に、該組成物の重力による滴下、落下またはその他の運動を妨げる。組成物の配合処方は、組成物の粘度が十分な量の組成物皮膜と汚れが少なくとも1分間、好ましくは5分間もしくはそれ以上の時間にわたって接触するのに十分な粘度になるようにしておこなう。 当該分野においては種々の有機増粘剤が周知である。本発明に用いるのに好ましい増粘剤は動植物源から誘導される天然ポリマーまたはガムである。この種の増粘剤は多くの場合、十分な増粘能を有する大きな多糖分子である。 十分な溶解性を有する有機増粘剤を用いて本発明による組成物に揺変性を付与してもよい。好ましい増粘剤は容易な除去を可能にするのに十分な水溶性を有するものである。本発明による水性組成物に配合する可溶性有機増粘剤としては次のものが例示される:カルボキシル化ビニルポリマー(例えば、ポリアクリル酸およびそのナトリウム塩)、ホウ酸、ジエタノールアミド、ココ-ジエタノールアミド、ココ-モノエタノールアミド、ステアリック-ジエタノールアミド、エトキシル化セルロース、ヒドロキシエチルスチリルアミド、オレイック-ジエタノールアミド、ステアリック-モノエタノールアミド、セチルアルコールステロールアルコール、ポリアクリルアミド増粘剤、エタノールグリコールジステアレート、キサンタン組成物、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン生成物、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース並びに十分な水溶性を有する他の類似の水性増粘剤。本発明によるアルカリ性組成物に配合するのに好ましい増粘剤は、メルック(Merck)社のケルコ部門(Kelco Division)から次の商品名で販売されているキサンタン増粘剤である:「KELTROL」、「KELZAN AR」、「KELZAN D35」、「KELZAN S」および「KELZAN XZ」等。この種のキサンタンポリマーは高い水溶性と大きな増粘力を有するので好ましい。本発明による組成物は、水性洗浄剤または強くない水性洗浄剤組成物にキサンタン増粘剤を低濃度で配合することによって、十分な水溶性または水分散性を有する組成物として調製することができる。本発明による酸性組成物に配合するのに好ましい増粘剤には、ポリビニルアルコール増粘剤が含まれる。最も好ましい増粘剤はOH官能基から98.5モル%以上のアセテートが脱離した完全加水分解ポリビニルアルコールである。無機のアルカリ性洗浄剤用の好ましい増粘剤にはキサンタンガム誘導体が含まれる。キサンタンはキサントモナス・カンペストラス(xanthomonas campestras)の細胞外の多糖である。キサンタンはコーンシュガーまたは他のコーンスイトナー副生成物の発酵によって調製される。キサンタンはポリベーター(1→4)-D-グルコピラノシル主鎖を有しており、該主鎖はセルロースの主鎖に類似する。キサンタンガムおよびその誘導体は新規で顕著なレオロジー特性を示す。低濃度のガムは比較的高い粘度を有しているので、経済的な利用が可能となる。キサンタンガム溶液は高い疑似塑性を示す。即ち、該溶液の広い濃度範囲にわたって、一般的には瞬間可逆的なものとして理解されている急激な剪断減粘(shear thinning)が発生する。非剪断物はpHや広範囲の温度に左右されない粘度を有する。好ましいキサンタンには架橋キサンタンが含まれる。キサンタンポリマーは大きな多糖分子のヒドロキシル官能基に対して反応性を有する既知の種々の共有結合的反応性架橋剤または2価、3価または多価金属イオンを用いて架橋することができる。このような架橋キサンタンゲルは米国特許第4,782,902号明細書に開示されており、該明細書の記載内容も本願明細書の一部を成すものである。適当なキサンタン用架橋剤には金属カチオン、例えば、A3+、Fe3+、Sb3+、Zr4+および他の遷移金属カチオン等が含まれる。既知の有機架橋剤を用いてもよい。本発明において用いるのに好ましい架橋キサンタンはメルック社のケルコ部門から販売されている「KELZAN AR」である。「KELZAN AR」は、噴霧されたときに大きな粒径を有するミストまたはエーロゾルを発生する揺変性洗浄剤の調製を可能にする。」(第15頁第15行~第17頁下から第5行) (1d)「実施例 A.洗浄力 以下の配合組成物の洗浄力をフード・グリル汚れ試験またはクリスコ(Crisco)試験によって調べた。 フード・グリル汚れ試験 この試験は、施設用のフード、オーブンおよびグリルから重合化油を除去する洗浄剤の洗浄力を調べる模擬試験である。 コーンオイル[マゾラ(Mazola)社製]2.5gをステンレス鋼製シート(14インチ×14インチ)上に均一に塗布する。このシートを200℃で3時間加熱する。この加熱処理により、コーンオイルは重合して頑固なワニス様の黄色膜になる。 組成物の洗浄力は標準的な配合組成物と比較して測定する。被験組成物または標準組成物をスポイトを用いて重合化膜上に1g載せる。この操作は室温でおこなう。組成物による膜の弛みに要する時間を測定する。「膜の弛み」は、膜にしわが寄り、ステンレス鋼製シート表面から膜が水道水によって除去されるようになるまで膨れ上がることを意味する。 クリスコ試験 この試験は、施設用キッチンの硬質表面から付着直後の重合化していない油脂を除去する洗浄剤の洗浄力を調べる模擬試験である。純植物性ショートニング(クリスコ社製)1gを実験室用フードのガラス戸(10インチ×10インチ)上に均一に塗布する。 組成物の洗浄力は標準的な組成物と比較して測定する。被験組成物はアッファ・スプレー(Affa Sprayer)No.5910BAを用いて汚れ上に噴霧した。5台のスプレーを「ドミノ」方式で使用する。5台目のスプレーからの噴霧が終了後、組成物を汚れと1分間接触させ、次いで払拭する。汚れの払拭はスコット(Scott)社製の実験室用ソフト・コート・ワイプ(Soft Cote Wipe)を用いる。払拭後、硬質表面への噴霧をさらに一回おこない、次いで新しいワイプを用いて該表面を払拭する。洗浄剤の効力は最初の噴霧と各々の払拭から1分以内に測定する。満足すべき組成物はこの1分以内に汚れを乳化させて遊離させ、払拭後には硬質表面上に油脂を残存させないものであり、特に、2回目の払拭後の表面を清浄化し、汚れの筋を残さないような組成物である。 実施例1 撹拌装置を備えた適当な大きさの金属製容器内に脱イオン水3071.4g入れた。メルック社のケルコ部門の市販品である架橋キサンタンガム「KELZAN AR」7.57gを該容器内の水に撹拌下で添加した。均一な「KELZAN AR」溶液が形成された後、水酸化ナトリウムの50重量%水溶液340.65gを上記の増粘水中にゆっくりと添加し、次いで、ココアミドプロピル-ベタイン(30%)75.7gおよびナトリウムラウリルエーテルスルホネート(60重量%水溶液)18.92gを添加した。溶液が均一になるまで撹拌した後、グルコン酸ナトリウム60.56gを添加し、次いでC10-12アルキルジメチルアミンオキシド(30%)18.9gを加え、さらに、d-リモネン香料5.67gおよびブチルセロソルブ185.46gを添加した。得られた溶液に混合染料0.12gを添加した。 得られた組成物(I)の洗浄力を一般的な脂肪性汚れの除去について調べた。ガラス表面上の10インチ×10インチの領域にクリスコ社製のショートニング1gを塗布した。組成物(I)を50重量%に希釈した後、ショートニングの上記塗布部に噴霧したところ、該汚れは除去され、ガラス表面は清浄化された。この組成物を前述のフード・グリル汚れ試験に供したところ、該汚れは3分25秒間で100%除去された。組成物(I)は未希釈の場合も、50重量%に希釈した場合も、噴霧時に息を詰まらせるようなミストは発生しなかった。本発明による組成物の噴霧試験においては、スプレーヘッドとしてはアッファスプレーNo.5910BAを用いた。このスプレーヘッドを選択した理由は、強アルカリ性または強酸性の洗浄用組成物を該スプレーヘッドから噴霧したときに最も刺激性の強い噴霧物が発生することが知られているからである。このスプレーヘッドを用いて得られる刺激性のミストまたはエーロゾルの低減化は、一層悪い条件下においても該組成物が刺激性のミストまたはエーロゾルの発生量を低減させるという重要な証拠である。 実施例2 実施例1の手順に準拠し、以下の配合処方によって3種の組成物を調製した。 [図:0001423479000001.jpg] 組成物2Bを50重量%に希釈した試料をクリスコ試験に供したところ、100%の洗浄力を示した。 また、組成物2Bと2Cをフード・グリル汚れ試験に供したところ、次の結果が得られた。 [図:0001423479000002.jpg] 実施例1および2で得られたデータは、本発明による組成物の洗浄力を例証するものである。クリスコ試験およびフード・グリル汚れ試験のいずれにおいても、調理環境下において一般的に問題となる汚れは本発明による洗浄用組成物を用いることによって実質上完全に迅速に除去された。ミストの発生量を低減させる本発明による組成物は洗浄力の低下をもたらすことなく、呼吸器に対する適合性を改良する。」(第22頁第18行~第26頁第2行) (2)甲2 甲2には、以下の事項が記載されている。 (2a)「【請求項1】 調理器具及び食卓用食器具から調理汚れ、焼きつき汚れ又は焦げつき汚れを除去する硬質表面用洗浄性組成物であって、有機アミン溶媒を含有し、約24.5mN/m未満の液体表面張力を有し、10%蒸留水溶液として測定するとき、少なくとも10.5のpHを有する前記組成物。 【請求項2】 組成物が、10%蒸留水溶液として測定するとき、約11~約14、好ましくは約12~約13のpHを有する請求項1に記載の組成物。 ・・・ 【請求項9】 有機溶媒、湿潤剤及びこれらの混合物から選択される拡散助剤を含有する請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。 ・・・ 【請求項12】 拡散助剤が、アルコール溶媒、グリコール、グリコール誘導体及びこれらの混合物から選択される1以上の有機溶媒成分を含有する請求項9~11のいずれか1項に記載の組成物。 ・・・ 【請求項20】 有機アミン溶媒が、アルカノールアミン、アルキルアミン、アルキレンアミン及びこれらの混合物から選択される請求項1~19のいずれか1項に記載の組成物。」 ・・・ 【0005】本発明の組成物は、10%蒸留水溶液として測定するとき、少なくとも約10.5、好ましくは約11~14、更に好ましくは約11.5~約13.5のpHを有することが好ましい。調理汚れ、焼きつき汚れ及び焦げつき汚れを洗浄する場合、洗浄性能は、洗浄性組成物のpHの高さと関連性がある。・・・ 【0012】 本発明の組成物は、更に拡散助剤を含有することができる。拡散助剤は、有機アミンと汚れの間の界面張力を減らすように働くため、有機アミンは汚れの湿潤性を高めることができる。本明細書の組成物に拡散助剤を添加すると、拡散助剤は組成物の表面張力を下げることができる。このとき、拡散助剤は、拡散助剤自体の表面張力より組成物の表面張力を下げることができるものが好ましい。特に有用な拡散助剤は、表面張力を約26mN/m未満、好ましくは約24.5mN/m未満、更に好ましくは約24mN/m未満、とりわけ約23mN/m未満に下げることができるものである。表面張力は、本明細書では25℃で測定する。 理論に縛られることは望ましくないが、有機アミンは汚れに浸透し、汚れを水和させると考えられている。拡散助剤は、有機アミンと汚れの間の界面作用を促進し、汚れの膨潤を助ける。汚れの浸透及び膨潤により、汚れと基材間の結合力が弱まると考えられる。得られた組成物は、焼きついた重合汚れを金属基材から除去するのに特に有効である。 【0013】 本明細書に用いる拡散助剤は、一般に有機溶媒、湿潤剤及びこれらの混合物から選択することができる。好ましい実施例では、拡散助剤の液体表面張力は、約30mN/m未満、好ましくは約28mN/m未満、更に好ましくは約26mN/m未満、最も好ましくは約24.5mN/m未満である。拡散助剤として機能できる好適な有機溶媒には、アルコール溶媒、グリコール溶媒及びグリコール誘導体及びこれらの混合物が含まれる。本明細書に用いるのに好ましい拡散助剤は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びプロピレングリコールブチルエーテルの混合物である。 ・・・ 【0014】・・・ 本発明において非常に好ましい硬質表面用洗浄性組成物は混合溶媒系を含有し、この混合溶媒系は、拡散助剤として働く共溶媒と組み合わせた有機アミン溶媒に基づく。また、焼きついた重合汚れを最適に除去するという観点から、非常に好ましい組成物は、好ましくは水混和性十分な溶媒と共に、制限された水混和性を有する溶媒(本明細書においてはカップリング溶媒と呼ぶ)を含有する。両溶媒は、組成物中で、ある一定の濃度で存在することが好ましい。本発明の別の観点では、調理汚れ、焼きつき汚れ及び焦げつき汚れを調理器具及び食卓用食器具から除去する硬質表面用洗浄性組成物を提供し、この組成物は、約10%~約40%、好ましくは約12%~約20%の有機溶媒を含有し、この中に約1%~約15%の有機アミン溶媒及び約7%~約30%の拡散助剤として働く溶媒を含み、更に少なくとも約3.5%の水混和性の溶媒及び少なくとも約3.5%の制限された水混和性を有するカップリング溶媒を含有する。 【0015】 本明細書において水混和性の溶媒とは、25℃においてどんな割合でも水と混和することができる溶媒である。制限された混和性を有するカップリング溶媒とは、25℃においてある一定の割合では水と混和できるが、割合によっては混和できない溶媒である。溶媒は、25℃で約30質量%未満、好ましくは約20質量%未満の水に対する溶解度を有することが好ましい。また、溶媒に対する水の溶解度も、25℃で約30質量%未満、好ましくは約20質量%未満であることが好ましい。 本明細書において好ましい拡散助剤は、水混和性十分な有機溶媒と制限された水混和性を有するカップリング有機溶媒の混合物を含有し、水混和性有機溶媒とカップリング有機溶媒との比率が約4:1~約1:20、好ましくは約2:1~約1:6、更に好ましくは約1.5:1~約1:3である。その他の好適な拡散助剤は、約30mN/m未満、好ましくは約28mN/m未満、更に好ましくは約26mN/m未満、より好ましくは約24.5mN/m未満の液体表面張力を有する湿潤剤を含有する。好ましい湿潤剤はアミンオキシドである。非常に好ましい拡散助剤は、カップリング溶媒と湿潤剤の混合物を含有する。 【0016】 本発明の別の観点では、調理器具及び食卓用食器具から調理汚れ、焼きつき汚れ及び焦げつき汚れを除去する硬質表面用洗浄性組成物を提供し、この組成物は、有機アミン溶媒、制限された水混和性を有するカップリング溶媒及び湿潤剤を含有し、約26mN/m未満、好ましくは約24.5mN/m未満の液体表面張力を有する。 本明細書における組成物は更に、表面張力を低下させる特性を示す特徴を有する。この特性は、重合汚れに対して最適な除去性能を確保するために重要であると考えられる。本発明の別の観点では、調理器具及び食卓用食器具から調理汚れ、焼きつき汚れ及び焦げつき汚れを除去する硬質表面用洗浄性組成物を提供し、この組成物は、有機溶媒系及び湿潤剤を含有する。このとき、有機溶媒系は、少なくとも有機アミン溶媒成分を含有し、湿潤剤は、溶媒系の表面張力を湿潤剤の表面張力より少なくとも1mN/m低下させるのに有効であるものである。 【0017】 本発明の組成物は、約24mN/m未満、好ましくは約23.5mN/m未満の表面張力を有することが好ましい。 本明細書に用いるのに好適な有機アミン溶媒には、アルカノールアミン、アルキルアミン、アルキレンアミン及びこれらの混合物が含まれる。」 (2b)「【0020】 上記の溶媒パラメータとは別に、本発明の組成物は、ある種のレオロジーパラメータ及びその他の性能パラメータにも適合する必要がある。これらのパラメータには、スプレーが可能な特性及び表面に密着可能な特性が共に含まれる。例えば、製品を垂直なステンレススチール面にスプレーするとき、製品は約1cm/s未満、好ましくは約0.1cm/s未満の流速を有することが望ましい。この場合には、製品は剪断減粘性流体の形態であり、約0~約0.8、好ましくは約0.3~約0.7、更に好ましくは約0.4~約0.6の剪断指数(n)(Herschel-Bulkey型)を有する。非常に好ましいのは、0.5以下の剪断指数を有する剪断減粘性液である。一方、流体粘稠度指数は、約0.1~約50Pa.snの範囲に及ぶことができるが、約1Pa.sn未満であることが好ましい。更に好ましい流体粘稠度指数は、約0.20~約0.15Pa.snである。製品は、試料10ml及びS-31スピンドルを使用してシリンダー粘度計のBrookfield(LVDII型)で測定するとき、速度3rpmにおいて約0.1~約200Pa s、好ましくは約0.3~約20Pa sの粘稠度を有することが好ましい。本明細書に用いるのに特に有用な組成物は、速度6rpmのとき約1Pa s超過、好ましくは約2~約4Pa s、速度30rpmにおいて約2Pa s未満、好ましくは約0.8~約1.2Pa s、及び速度60rpmにおいて約1Pa s未満、好ましくは約0.3~約0.5Pa sの粘稠度を有する。レオロジーは室温条件下(25℃)で測定する。 【0021】 本明細書に用いるのに好適な増粘剤成分には、粘弾性且つ揺変性の増粘剤成分が挙げられ、その濃度は、約0.1重量%~約10重量%、好ましくは約0.25重量%~約5重量%、最も好ましくは約0.5重量%~約3重量%である。好適な増粘剤成分には、分子量が約500,000~約10,000,000、好ましくは約750,000~約4,000,000のポリマーが含まれる。好ましい架橋ポリカルボキシレートポリマーは、好ましくはカルボキシビニルポリマーである。このような化合物は、米国特許第2,798,053号(1957年7月2日発行、Brown)に開示されている。この特許には、カルボキシビニルポリマーの製造方法も開示されている。カルボキシビニルポリマーは揮発性液体の有機炭化水素に実質的には不溶性であり、空気露出時に寸法安定性である。 【0022】 その他の好適な増粘剤成分には、無機粘土(例えば、ラポナイト、ケイ酸アルミニウム、ベントナイト、燻蒸シリカ)が含まれる。好ましい粘土増粘剤成分は、天然産でも、合成品であってもよい。好ましい合成粘土には、Southern Clay Products, IncからLaponite(商標)の名前で市販されている合成スメクタイト型粘土が挙げられる。特に有用なものは、LaponiteRDなどのゲル形成等級及びLaponiteRDSなどのゾル形成等級である。天然産粘土には、ある種のスメクタイト及びアタパルジャイト粘土が含まれる。粘土及び高分子増粘剤の混合物も本明細書に用いるのに好適である。本明細書に用いるのに好ましいのは、最大径が約100nm未満の平均的な小板のサイズを有する合性スメクタイト型粘土(例えば、Laponite及びその他の合性粘土)である。Laponiteは層状構造を有し、この層状構造は、水に分散するとき、厚さ約1nm、直径約25nmの円盤形の結晶の形態になる。本明細書において小板サイズは、優れたスプレー能力、安定性、レオロジー及び密着性、並びに望ましい美的価値を提供するために重要である。 【0023】 本組成物に使用可能なその他の種類の増粘剤には、キサンタンガム、イナゴマメゴム、グアーガムなどの天然ゴム類が含まれる。セルロースタイプの増粘剤では、ヒドロキシエチル及びヒドロキシメチルセルロース(Dow Chemicalから市販されているETHOCEL及びMETHOCEL(登録商標))も使用することができる。天然ゴム類は、組成物をスプレーするとき、液滴のサイズに影響を与えると考えられる。TSIAerosizerを使用して測定するとき、液滴が約3~約10μm、好ましくは約4~約7μmの幾何学的に等しい平均直径を有すると、臭いを減少させるのに役立つことが確認されている。本明細書に用いるのに好ましい天然ゴムは、キサンタンガムである。 【0024】 スプレー能力、密着性、安定性及び汚れ浸透性能の観点から、本明細書において非常に好ましいのは、Laponite及びキサンタンガムの混合物である。更に、Laponite及びキサンタンガムの混合物は、製品の美的価値を高め、同時に溶媒臭も減少させる。」 (2c)「【0025】 好ましい実施例では、硬質表面用洗浄性組成物は、少なくとも1つの汚れ膨潤剤として働く溶媒成分を含む有機溶媒系を含有し、このとき、有機溶媒系はアルコール、アミン、エステル、グリコールエーテル、グリコール、テルペン類及びこれらの混合物から選択され、少なくとも1つの有機アミン溶媒成分を含有する。好適な有機溶媒は、アルカノールアミン、アルキルアミン、アルキレンアミン、及びこれらの混合物を含む有機アミン溶媒、芳香族アルコール、脂肪族アルコール(好ましくはC4~C10)、環式脂肪族アルコール、及びこれらの混合物を含むアルコール溶媒、C2~C3の(ポリ)アルキレングリコール、グリコールエーテル、グリコールエステル、及びこれらの混合物を含むグリコール及びグリコール誘導体、並びに有機アミン溶媒、アルコール溶媒、グリコール及びグリコール誘導体から選択される混合物から選択されることができる。非常に好ましい有機アミン溶媒には、米国特許第5,540,846号に開示されているような2-アミノアルカノール溶媒が含まれる。 【0026】 本発明の好ましい組成物では、有機溶媒は、有機アミン(とりわけアルカノールアミン)溶媒及びグリコールエーテル溶媒を好ましくは約3:1~約1:3の重量比で含有する。このときグリコールエーテル溶媒は、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル及びこれらの混合物から選択される。本明細書に用いるのに好ましい有機アミンは、アルカノールアミン、とりわけモノエタノールアミン、メチルアミンエタノール及び2-アミノ-2-メチルプロパノールである。好ましい組成物では、グリコールエーテルはジエチレングリコールモノブチルエーテル及びプロピレングリコールブチルエーテルの混合物であり、その重量比は好ましくは約1:2~約2:1である。 ・・・ 【0038】 本明細書に使用可能な溶媒には、以下のi)~v)が含まれる。i)アルコール。例えば、ベンジルアルコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、フルフリルアルコール、1,2-ヘキサンジオール及びその他類似の物質。ii)アミン。例えば、アルカノールアミン(例えば、一級アルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、β-アミノアルカノール)、二級アルカノールアミン(ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2-(メチルアミノ)エタノール)、三級アルカノールアミン(トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン))、アルキルアミン(一級アルキルアミン(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノペンチルアミン、シクロヘキシルアミン)、二級アルキルアミン(ジメチルアミン))、アルキレンアミン(一級アルキレンアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン))及びその他類似の物質。iii)エステル。例えば、乳酸エチル、メチルエステル、アセト酢酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート及びその他類似の物質。iv)グリコールエーテル。例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル及びその他類似の物質。v)グリコール。例えば、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール(2-メチル-2,4-ペンタンジオール)、トリエチレングリコール、組成物及びジプロピレングリコール及びその他類似の物質及びこれらの混合物。 【0039】 汚れ膨潤剤として本明細書に用いるのに好ましい溶媒には、アルカノールアミン(とりわけモノエタノールアミン)、β-アミノアルカノール(とりわけ2-アミノ-2-メチルプロパノール(第三炭素にアミン基を有するβ-アミノアルカノールの中で最も分子量が小さいため、アミン基の反応性を最低限に抑える))及びこれらの混合物が含まれる。 拡散助剤として本明細書に用いるのに好ましい溶媒には、グリコール及びグリコールエーテルが含まれ、とりわけジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル及びこれらの混合物が含まれる。」 (2d)「【0067】 (実施例) 実施例に使用されている略語 実施例において、成分名の略語は次の意味を有する。 【0068】 【表1】 [図:0001423479000003.jpg] 【0069】 以下の実施例では、割合はすべて重量で表す。 【0070】 実施例1~16 実施例1~16は、食品の調理汚れ、焼きつき汚れ及び焦げつき汚れを除去しやすくするために、食器洗い前に使用する前処理用組成物について説明する。実施例の組成物を洗い物に適用する。洗い物は、140℃で2時間焼いたパイレックス容器のラザーニャ、150℃で2時間調理したステンレススチール容器のラザーニャ、150℃で2時間調理したステンレススチール容器のポテトとチーズ、150℃で2時間調理したステンレススチール容器の卵黄及び120℃で1時間調理した後、180℃で1時間調理したソーセージといった異なる汚れと異なる基材から構成される。洗い物を実施例の組成物に10分間浸け置きした後、冷たい水道水ですすぐ。その後、典型的な食器洗い用洗剤組成物で、洗い物を手で、あるいは自動食器洗い機(例えば、Bosch6032食器洗い機)で洗浄する(55℃、下洗いは行わない)。典型的な食器洗い用洗剤組成物は、例えば、アルカリ性成分、ビルダー、酵素、漂白剤、漂白剤触媒、非イオン性界面活性剤、石鹸泡抑制剤、銀腐食防止剤、汚れ懸濁化ポリマーなどを含有する。洗い物を実施例の組成物で処理し、その後、食器洗い機で洗浄したところ、食品の調理汚れ、焼きつき汚れ及び焦げつき汚れがきれいに除去された。 ・・・ 【0073】 【表4】 [図:0001423479000004.jpg] 【0074】 【表5】 [図:0001423479000005.jpg] 【0075】 実施例はすべて、25℃における液体表面張力が24.5mN/m未満、pHが12以上及びステンレススチール基材上の重合油脂汚れにおける45分間の汚れ膨潤指数が少なくとも200%である。」 (3)文献A 文献Aには、以下の事項が記載されている。 (3a)「【0081】・・・ここでいう溶解性パラメータは、原口勇次著、「コーティングの科学」p.65-68に記載の値を使用できる。また、記載されていない化合物は、Fedorsによる計算方法で求めることができる(R.F.Fedors,Polymer Eng.Sci.,14巻,147ページ(1974年))。 【0082】具体例としては・・・2-ブトキシエタノール(ブチルセロソルブ)(沸点:170℃、SP:10.81(cal/mol)1/2(計算値))・・・」(合議体注:「(cal/mol)1/2」は、「(cal/cm3)1/2」の誤記であると認められる。) (4)文献B 文献Bには、以下の事項が記載されている。 (4a)「【0010】 ・・・なお、本発明におけるSP値は、ロバートエフフェイダース(Robert F. Fedors)らの著によるポリマーエンジニアリングアンドサイエンス(Polymerengineering and science)第14巻、147~154ページに記載されている方法で計算したものである。 ・・・ 【0024】 ・・・エチレングリコールモノブチルエーテル(SP値:10.8(cal/cm3)1/2)」 (5)文献C 文献Cには、以下の事項が記載されている。 (5a)「【0016】 Fedors法とは、Fedorsによって提案された分子構造から溶解度パラメータ(SP値)を推算する方法をいい、そのSP値δは、下記式に従って、構造単位ごとの凝集エネルギーEcoh(cal/mol)とモル分子容V(cm3/mol)から求めることができる。 【0017】 δ=[ΣEcoh/ΣV]1/2 〔式中、δはSP値、Ecohは凝集エネルギー(cal/mol)、Vはモル分子容(cm3/mol)を示す。〕 ・・・ 【0019】 ・・・成分(A)のアルカノールアミンの具体例を、そのSP値と共に示すと・・・モノエタノールアミン(14.26)・・・(括弧内の数値はFedors法によるSP値(cal/cm3)1/2を示す)。 【0025】 ・・・そのような化合物の具体例としては、エチレングリコール(17.84)、ジエチレングリコール(14.97)、プロピレングリコール(15.91)、ジプロピレングリコール(13.56)・・・(括弧内の数値はFedors法によるSP値(cal/cm3)1/2を示す)。」 (6)文献D 文献Dには、以下の事項が記載されている。 (6a)「【0010】 本発明において水溶性有機溶剤の規定に利用するSP値(δ)[単位:(cal/cm3)1/2]は、Fedors法により求められる値である。・・・ ・・・ 【0026】 [単位:(cal/cm3)1/2]が11.0以上16.0以下である水溶性有機溶剤の具体例としては、括弧内にSP値を示すと、メタノール(13.8)、エタノール(12.6)、n-プロパノール(11.8)、2-プロパノール(11.6)、n-ブタノール(11.3)、2-メチル-1-プロパノール(11.1)、2-ブタノール(11.1)・・・ジエチレングリコール(15.0)、トリエチレングリコール(13.6)・・・プロピレングリコール(15.1) ・・・ 【0030】 ・・・SP値が11.0未満の水溶性有機溶剤の具体例としては、括弧内にSP値を示すと・・・」 (7)文献E 文献Eには、以下の事項が記載されている。 (7a)「【0024】 溶剤(C)としては、飛散防止の観点から、SP値が10.0以上の親水性の高い溶剤を使用する。 溶剤の親水性の指標としてはSP値を使用することができる。溶剤のSP値(溶解度パラメーター)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、Polymer HandBook(Second Edition) 第IV章 Solubility Parameter Valuesに記載があり、その値を用いた。単位は(cal/cm)1/2であり、25℃ における値を指す。なお、データの記載がないものについては、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1967)に記載の方法で計算することができる。 ・・・ 【0045】 比較例で使用した溶剤(C)は下記の通りである。 ジエチレングリコールモノブチルエーテル: 日本乳化剤(株)製 ブチルジグリコール SP値9.5 ジプロピレングリコールモノメチルエーテル: 日本乳化剤(株)製 メチルプロピレンジグリコール SP値9.6 ジプロピレングリコールモノブチルエーテル: 日本乳化剤(株)製 ブチルプロピレンジグリコール SP値8.2 ジエチレングリコールモノベンジルエーテル: 日本乳化剤(株)製 ベンジルジグリコール SP値9.6 エチレングリコールモノイソプロピルエーテル: 日本乳化剤(株)製 イソプロピルグリコール SP値9.2 エチレングリコールモノイソブチルエーテル: 日本乳化剤(株)製 イソブチルグリコール SP値8.9 プロピレングリコールモノブチルエーテル: 日本乳化剤(株)製 ブチルプロピレングリコール SP値8.9 トリエチレングリコールモノブチルエーテル: 日本乳化剤(株)製 ブチルトリグリコール SP値9.6」 2 甲1及び甲2に記載された発明 (1)甲1に記載された発明 摘記事項1a及び1dから、甲1には、実施例2の組成物2Cとして、 「以下の配合処方による、アルカリ源を含有する洗浄剤組成物。 水 81.85重量% 架橋キサンタンガム「KELZAN AR」(メルック(Merck)社のケルコ(Kelco)部門の市販品) 0.2重量% 水酸化ナトリウム(50wt%水溶液) 9.0重量% ココアミドプロピルベタイン(30%有効成分) 2.0重量% グルコン酸ナトリウム 1.0重量% C10-12ジメチルアミンオキシド(30%有効成分) 0.5重量% d-リモネン(香料) 0.15重量% ブチルセロソルブ 5.0重量%」の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 (2)甲2に記載された発明 摘記事項2dの記載から、甲2には、実施例10~12、14~16の組成物として、 「以下の組成からなる、pHが12以上の食器洗い用洗剤組成物。 Laponite粘土(合性層状ケイ酸塩、Southern Clay Products,Inc.から市販されている) 0.5重量% キサンタンガム 0.3重量% ケイ酸ナトリウム 0.3重量% 水酸化ナトリウム 1.0重量% ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル) 5,00重量% DowanolPNB(プロピレングリコールブチルエーテル) 5.00重量% MEA(モノエタノールアミン) 5.00重量% 炭酸塩(無水炭酸ナトリウム) 2.00重量% C16AO(ヘキサデシルジメチルアミンオキシド) 3.00重量% マスキング香料 0.1重量% 香料 0.1重量% 水 総量が100重量%に達する量」の発明(以下「甲2発明A」という。)、 「以下の組成からなる、pHが12以上の食器洗い用洗剤組成物。 Laponite粘土(合性層状ケイ酸塩、Southern Clay Products,Inc.から市販されている) 0.8重量% キサンタンガム 0.2重量% ケイ酸ナトリウム 0.3重量% 水酸化ナトリウム 1.0重量% ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル) 5,00重量% DowanolPNB(プロピレングリコールブチルエーテル) 5.00重量% MEA(モノエタノールアミン) 5.00重量% 炭酸塩(無水炭酸ナトリウム) 2.00重量% C16AO(ヘキサデシルジメチルアミンオキシド) 1.5重量% マスキング香料 0.1重量% 香料 0.1重量% 水 総量が100重量%に達する量」の発明(以下「甲2発明B」という。)、 「以下の組成からなる、pHが12以上の食器洗い用洗剤組成物。 Laponite粘土(合性層状ケイ酸塩、Southern Clay Products,Inc.から市販されている) 0.6重量% キサンタンガム 0.4重量% ケイ酸ナトリウム 0.3重量% 水酸化ナトリウム 1.0重量% ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル) 5,00重量% DowanolPNB(プロピレングリコールブチルエーテル) 5.00重量% MEA(モノエタノールアミン) 5.00重量% 炭酸塩(無水炭酸ナトリウム) 2.00重量% C16AO(ヘキサデシルジメチルアミンオキシド) 1.5重量% SLF18(低発泡性界面活性剤、C9(PO)3(EO)12(PO)15という式でOlin Corporationから市販されている) 1.5重量% マスキング香料 0.1重量% 香料 0.1重量% 水 総量が100重量%に達する量」の発明(以下「甲2発明C」という。)、 「以下の組成からなる、pHが12以上の食器洗い用洗剤組成物。 Laponite粘土(合性層状ケイ酸塩、Southern Clay Products,Inc.から市販されている) 1.25重量% キサンタンガム 0.15重量% ケイ酸ナトリウム 0.75重量% 水酸化ナトリウム 0.4重量% ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル) 5,00重量% DowanolPNB(プロピレングリコールブチルエーテル) 5.00重量% MEA(モノエタノールアミン) 5.00重量% 炭酸塩(無水炭酸ナトリウム) 2.00重量% C16AO(ヘキサデシルジメチルアミンオキシド) 1.0重量% シクロデキストリン(βシクロデキストリン、Cerestarから市販されている) 1.00重量% マスキング香料 0.2重量% 香料 0.2重量% 水 総量が100重量%に達する量」の発明(以下「甲2発明D」という。)、 「以下の組成からなる、pHが12以上の食器洗い用洗剤組成物。 Laponite粘土(合性層状ケイ酸塩、Southern Clay Products,Inc.から市販されている) 0.8重量% キサンタンガム 0.2重量% ケイ酸ナトリウム 0.3重量% 水酸化ナトリウム 1.0重量% ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル) 5,00重量% DowanolPNB(プロピレングリコールブチルエーテル) 5.00重量% MEA(モノエタノールアミン) 5.00重量% 炭酸塩(無水炭酸ナトリウム) 2.00重量% C16AO(ヘキサデシルジメチルアミンオキシド) 1.5重量% ACNI(C9/11H19/23EO8-シクロへキシルアセタールという式で表されるアルキル末端保護非イオン性界面活性剤) 1.5重量% マスキング香料 0.1重量% 香料 0.1重量% 水 総量が100重量%に達する量」の発明(以下「甲2発明E」という。)、 「以下の組成からなる、pHが12以上の食器洗い用洗剤組成物。 Laponite粘土(合性層状ケイ酸塩、Southern Clay Products,Inc.から市販されている) 0.3重量% キサンタンガム 0.4重量% ケイ酸ナトリウム 0.3重量% 水酸化ナトリウム 1.0重量% ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル) 5,00重量% DowanolPNB(プロピレングリコールブチルエーテル) 5.00重量% MEA(モノエタノールアミン) 5.00重量% 炭酸塩(無水炭酸ナトリウム) 2.00重量% C16AO(ヘキサデシルジメチルアミンオキシド) 1.5重量% SLF18(低発泡性界面活性剤、C9(PO)3(EO)12(PO)15という式でOlin Corporationから市販されている) 1.5重量% マスキング香料 0.2重量% 水 総量が100重量%に達する量」の発明(以下「甲2発明F」という。)が記載されていると認める。 第6 当審における判断 1 取消理由1-1、2-1(甲第1号証を主引用例とする新規性欠如、進歩性欠如)について (1)本件特許発明3 ア 対比 甲1発明の「アルカリ源を含有する洗浄剤組成物」は、多相を構成するものではなく、アルカリ源は、水性系に添加したときに系のpHを約7よりも大きくするような組成物であるから(摘記事項1a参照)、本件特許発明3の「アルカリ洗浄剤組成物(ただし、多相液体洗剤組成物を除く)」に相当する。 甲1発明の「水酸化ナトリウム」は、本件特許発明3の「アルカリ金属水酸化物」に相当し、甲1発明の「水酸化ナトリウム」の配合量は、「50wt%水溶液」として「9.0重量%」であって、固形分換算では4.5(=9.0×50/100)重量%であるから、本件特許発明3の「アルカリ金属水酸化物」の配合量「0.1~30質量%」を充足する。 甲1発明の「架橋キサンタンガム「KELZAN AR」(メルック(Merck)社のケルコ(Kelco)部門の市販品)」は、アルカリ性組成物に配合するのに好ましい増粘剤であり、キサンタンガムが多糖類であることは技術常識であるから(摘記事項1c参照)、本件特許発明3の「多糖類増粘剤」に相当し、甲1発明の「架橋キサンタンガム」の配合量「0.2重量%」は、本件特許発明3の「増粘剤」の配合量「0.01~30質量%」を充足する。 甲1の摘記事項1bには、洗浄剤に配合する適当な相溶性水性溶剤の一例として、エチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられており、また、ブチルセロソルブがエチレングリコールモノブチルエーテルであることが一般的に知られていることから、甲1発明の「ブチルセロソルブ」は、本件特許発明3の「溶媒」に相当し、甲1発明の「ブチルセロソルブ」の配合量0.5重量%は、本件特許発明3の「溶剤」の配合量「0.1~50質量%」を充足する。 そうすると、本件特許発明3と甲1発明は、 「アルカリ金属水酸化物0.1~30質量%と、増粘剤0.01~50質量%と、溶剤0.1~50質量%とを含有し、前記増粘剤は、多糖類増粘剤であるアルカリ洗浄剤組成物(ただし、多相液体洗剤組成物を除く)。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 溶剤が、本件特許発明3では、「SP値が11.84以上」の「グリコール系溶剤及び/又はアルコール系溶剤」であるに対して、甲1発明では、「ブチルセロソルブ」である点 <相違点2> 組成物の粘度が、本件特許発明3では「20℃」で「100mPa・s以上」であるのに対して、甲1発明ではそのような特定がされていない点 <相違点3> 組成物の液性が、本件特許発明3では「pH12以上」であるのに対して、甲1発明ではそのような特定がされていない点 イ 相違点についての判断 まず、前記相違点1について検討する。 甲1発明の「ブチルセロソルブ」は、化学式CH3(CH2)3O(CH2)2OHで表される、エチレングリコールのモノブチルエーテルの慣用名であり、そのSP値(溶解度パラメータ)は、R.F.Fedors.Polymer Engineering Science,14 p147(1967)の記載方法(以下「Fedorsの推算法」という。)にしたがって算出すると、「10.8」(文献Aの摘記事項3a、文献Bの摘記事項4a参照)である。 また、甲1の摘記事項1bには、「洗浄剤には相溶性溶剤を配合することができ・・・適当な溶剤は、本発明による使用濃度で調製される洗浄用水性組成物に可溶性で・・・低級アルカノール、低級アルキルエーテルおよび低級アルキルグリコールエーテル等が例示される」と記載され、より具体的な例示として、「メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール」(以下「アルコール系溶剤」という。)、「エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール」(以下「グリコール系溶剤」という。)が記載されているものの、甲1の実施例で使用されている相溶性溶剤は、低級アルキルグリコールエーテルに相当するブチルセロソルブのみであるし、甲1には、有機溶媒のSP値の好適範囲についての記載や示唆は見当たらない。 そして、例示されたアルコール系溶剤/グリコール系溶剤には、SP値が11.84以上のもの、具体的には、メタノール(SP値:13.8)、エタノール(SP値:12.6)、n-プロパノール(SP値:11.84)、エチレングリコール(SP値:17.84)、ジエチレングリコール(SP値:14.97)、トリエチレングリコール(SP値:13.6)、プロピレングリコール(15.91)、ジプロピレングリコール(13.56)だけでなく、SP値が11.84未満のもの、具体的には、2-プロパノール(SP値:11.6)、n-ブタノール(SP値:11.3)、2-ブタノール(SP値:11.1)が含まれている(SP値については、文献Cの摘記事項5a及び文献Dの摘記事項6a参照)。 そうすると、甲1には、相溶性水溶性溶剤として、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤が例示されてはいるものの、甲1発明のブチルセロソルブ(SP値:10.8)を、実施例の裏付けがないアルコール系溶剤又はグリコール系溶剤、特にSP値が11.84以上のものに転換する動機付けがあるとはいえない。 ウ 申立人の主張 申立人は、申立書において、以下の(ア)、(イ)のとおり主張する。 (ア)甲第1号証の実施例には、ブチルセロソルブを5.0重量%含むアルカリ洗浄剤組成物が記載され、そのSP値は10.8であり、この値は本件訂正前の本件特許発明1のSP値範囲である「10.6以上」を満たす。 (イ)甲第2号証には有機溶剤としてブチルカルビトールを用いることが記載され、ブチルカルビトールは、本件特許発明の実施例で溶剤として用いられているジエチレングリコールモノブチルエーテルと同じもので、また、甲第2号証には、好ましいハンセン溶解度パラメータの下限を記載しており、したがって、甲第1号証に記載された発明において、甲第2号証に記載された技術を適用し、好ましい溶解度パラメータをもつ溶剤を適宜選択し、本件訂正前の本件特許発明1に至ることは、当業者が容易に想到できる。 しかしながら、ブチルセロソルブ(SP値:10.8)、ブチルカルビトール(SP値:10.51)は、いずれも本件特許発明3のSP値範囲である「11.84以上」を満たすものではなく、甲1、甲2のいずれにも本件特許発明3のSP値範囲を動機付ける記載は見当たらないから、前記出願人の主張はいずれも採用できない。 エ 小括 したがって、相違点2、3について検討するまでもなく、本件特許発明3は、甲1に記載された発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当するものではないし、甲1発明及び甲1、甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではないから、同法第113条第2号の規定により、本件特許発明3に係る特許を取り消されるべきものとはいえない。 (2)本件特許発明4 本件特許発明4は、本件特許発明3を引用し、さらに限定したものであり、前記本件特許発明3と甲1発明との相違点1~3と同じ相違点を有するものであるから、本件特許発明4は、甲1に記載された発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当するものではないし、甲1発明及び甲1、甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでもないから、同法第113条第2号の規定により、本件特許発明4に係る特許を取り消されるべきものとはいえない。 2 取消理由1-2、2-2(甲第2号証を主引用例とする新規性欠如、進歩性欠如)について (1)本件特許発明3について ア 対比 甲2発明A~Fの「pHが12以上の食器洗い用洗剤組成物」は、多相を構成するものではないから、本件特許発明3の「pHが12以上であるアルカリ洗浄剤組成物(ただし、多相液体洗剤組成物を除く)」に相当する。 甲2発明A~Fの「水酸化ナトリウム」は、本件特許発明3の「アルカリ金属水酸化物」に相当し、甲2発明A~Fの「水酸化ナトリウム」の配合量は、本件特許発明3の「アルカリ金属水酸化物」の配合量「0.1~30質量%」を充足する。 甲2の摘記事項2bには、本組成物に使用可能な増粘剤としてキサンタンガムが挙げられており、キサンタンガムが多糖類であることは技術常識であるから、甲2発明A~Fの「キサンタンガム」は、本件特許発明3の「多糖類増粘剤」に相当し、甲2発明A~Fの「キサンタンガム」の配合量は、本件特許発明3の「増粘剤」の配合量「0.01~5質量%」を充足する。 甲2の摘記事項2cには、有機溶媒は、有機アミン(とりわけアルカノールアミン)溶媒及びグリコールエーテル溶媒を含有することが好ましいと記載され、グリコールエーテル溶媒として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、有機アミン溶媒として、モノエタノールアミンが挙げられていることから、甲2発明A~Fの「ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)」、「DowanolPNB(プロピレングリコールブチルエーテル)」及び「MEA(モノエタノールアミン)」は、本件特許発明1の「溶剤」に相当し、甲2発明A~Fの「ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)」、「DowanolPNB(プロピレングリコールブチルエーテル)」及び「MEA(モノエタノールアミン)」の配合量は、本件特許発明3の「溶剤」の配合量「0.1~50質量%」を充足する。 そうすると、本件特許発明3と甲2発明A~Fは、 「アルカリ金属水酸化物0.1~30質量%と、増粘剤0.01~50質量%と、溶剤0.1~50質量%とを含有し、前記増粘剤は、多糖類増粘剤であり、pHが12以上であるアルカリ洗浄剤組成物(ただし、多相液体洗剤組成物を除く)。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1’> 溶剤が、本件特許発明3では、「SP値が11.84以上」の「グリコール系溶剤及び/又はアルコール系剤」であるに対して、甲2発明では、「ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)」、「DowanolPNB(プロピレングリコールブチルエーテル)」及び「MEA(モノエタノールアミン)」である点 <相違点2’> 組成物の粘度が、本件特許発明3では「20℃」で「100mPa・s以上」であるのに対して、甲2発明A~Fではそのような特定がされていない点 イ 相違点についての判断 まず、前記相違点1’について検討する。 甲2発明A~Fの「ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)」、「DowanolPNB(プロピレングリコールブチルエーテル)」及び「MEA(モノエタノールアミン)」のSP値(溶解度パラメータ)は、Fedorsの推算法にしたがって算出すると、それぞれ、「9.5」、「8.9」及び「14.26」である(文献Cの摘記事項5a及び文献Eの摘記事項7a参照)。 また、甲2の摘記事項2cには、「好ましい実施例では、硬質表面用洗浄性組成物は、少なくとも1つの汚れ膨潤剤として働く溶媒成分を含む有機溶媒系を含有し、このとき、有機溶媒系はアルコール、アミン、エステル、グリコールエーテル、グリコール、テルペン類及びこれらの混合物から選択され」ると記載され、より具体的な例示として、「i)アルコール。例えば、ベンジルアルコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、フルフリルアルコール、1,2-ヘキサンジオール及びその他類似の物質・・・v)グリコール。例えば、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール(2-メチル-2,4-ペンタンジオール)、トリエチレングリコール」が記載されているものの、甲2の実施例で使用されている有機溶媒は、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、DowanolPNB(プロピレングリコールブチルエーテル)及びMEA(モノエタノールアミン)のみであるし、甲2には、有機溶媒のSP値の好適範囲についての記載や示唆は見当たらない。 そうすると、甲2には、有機溶媒として、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤が例示されてはいるものの、甲2発明のブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、DowanolPNB(プロピレングリコールブチルエーテル)及びMEA(モノエタノールアミン)を、実施例の裏付けがないアルコール系溶剤又はグリコール系溶剤、特にSP値が11.84以上のものに転換する動機付けがあるとはいえない。 ウ 小括 したがって、相違点2’について検討するまでもなく、本件特許発明3は、甲2に記載された発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当するものではないし、甲2発明及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではないから、同法第113条第2号の規定により、本件特許発明3に係る特許を取り消されるべきものとはいえない。 (2)本件特許発明4について 本件特許発明4は、本件特許発明3を引用し、さらに限定したものであり、前記本件特許発明3と甲2発明との相違点1’、2’と同じ相違点を有するものであるから、本件特許発明4は、甲2に記載された発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当するものではないし、甲2発明及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでもないから、同法第113条第2号の規定により、本件特許発明4に係る特許を取り消されるべきものであるとすることはできない。 3 取消理由3(サポート要件違反)について (1)申立人の主張 前記第4 1(3)で述べたとおり、申立人は申立書において、本件訂正前の特許請求の範囲について、請求項1~4に係る特許は、以下の理由から、発明の詳細な説明に記載された発明でない旨を主張する。 ア 増粘剤について 本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、アルカリ金属水酸化物と、増粘剤と、SP値が10.6以上の溶剤とを含有する組成物に関する発明であるが、実施例には増粘剤として、キサンタンガム、ダイユータンガム、ウェランガム、グアーガムの記載しかないため、その他すべての増粘剤で本件特許発明の効果があると当業者が把握できると言えないから、本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 イ 溶剤について 本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、アルカリ金属水酸化物と、増粘剤と、SP値が10.6以上の溶剤とを含有する組成物に関する発明であるが、実施例には溶剤として、ポリエチレングリコール、1-プロパノール、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンの記載しかないため、その他すべての増粘剤で本件特許発明の効果があると当業者が把握できると言えないから、本件訂正前の請求項1~4に係る特許は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 (2)検討 ア 本件特許発明の課題 本件特許発明の課題は、本件特許の明細書の段落0008の記載からみて、「洗浄対象面への付着性に優れ、洗浄力が高いアルカリ洗浄剤組成物を提供すること」であると認める。 イ 増粘剤に関する主張についての判断 本件特許発明3における「増粘剤」は、「多糖類増粘剤」に特定されている。 本件特許の明細書の段落0023~0024には、「増粘剤としては・・・多糖類増粘剤が好ましい・・・増粘剤の含有量は0.01~5質量%であり・・・増粘剤の含有量が上記範囲内であると、洗浄剤組成物の粘度が適度な範囲に調整される」と記載されており、多糖類増粘剤を前記含有量で用いることで、洗浄対象面への付着に好適な範囲に洗浄剤組成物の粘度を調整できるものと理解されるし、段落0050~0060には、実施例1~14として、代表的な増粘多糖類であるキサンタンガム(実施例1~10)、ダイユータンガム(実施例11、14)、ウェランガム(実施例12)、グアーガム(実施例13)を用いた態様において、所望の洗浄力評価及び垂れ落ち性評価が得られたことが、具体的なデータの裏付けをもって示されている。 してみると、増粘剤としてキサンタンガム、ダイユータンガム、ウェランガム、グアーガム等の多糖類増粘剤を本件特許発明3の含有量で用いることで、前記課題を解決できるものと理解できる。 ウ 溶剤に関する主張についての判断 本件特許発明3における「溶剤」は、「SP値が11.84以上」の「グリコール系溶剤及び/又はアルコール系溶剤」に特定されている。 本件特許の明細書の段落0025~0026には、「SP値が10.6以上の溶剤とは、SP値が10.6以上の有機溶剤である限り特に限定されない・・・またSP値が10.6以上の溶剤としては、例えばグリコールエーテル系溶剤、グリコール系溶剤、アルコール系溶剤が挙げられ・・・上記SP値が10.6以上の溶剤の含有量は、0.1~50質量%であり・・・SP値が10.6以上の溶剤の含有量が上記範囲内であると、洗浄剤組成物の各成分を充分に溶解でき、本発明の効果を充分に発揮できる」と記載されており、SP値が10.6以上の溶剤を前記含有量で用いることで、アルカリ金属水酸化物と増粘剤とを充分に溶解でき、高い洗浄力と洗浄対象面への付着性を発揮できるものと理解されるし、段落0050~0060には、実施例1~14として、SP値が10.6以上のグリコール系溶剤として、ポリエチレングリコール(SP値:10.70)(実施例3)、プロピレングリコール(SP値:15.91)(実施例1、6、7及び11~14)、グリセリン(SP値:20.02)(実施例2、8及び9)、SP値が10.6以上のアルコール系溶剤として、1-プロパノール(SP値:11.84)(実施例5)、エタノール(SP値:12.58)(実施例4及び10)を用いた態様において、所望の洗浄力評価及び垂れ落ち性評価が得られたことが具体的なデータの裏付けをもって示されている(SP値については、文献Cの摘記事項5a及び文献Dの摘記事項6a参照)。 そうすると、溶剤として、その他増粘多糖類を所定の含有量で用いることで、前記課題を解決できるものと推認される。 エ 小括 したがって、本件特許発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであると認められる。 第6 むすび 以上のとおり、申立書に記載した特許異議の申立ての理由及び令和6年9月3日付け取消理由通知の取消理由によっては、本件特許発明3、4に係る特許を取り消すことはできず、他に本件特許発明3、4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項1、2は、前記のとおり、訂正の請求により削除された。これにより、申立人による、請求項1、2に係る特許についての特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700256

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決26件(安 銀珍、株式会社ニイタカ)
  • 2023-700565異議申立 / 2023-12-01 / 訂正認容フォーマー用組成物、該フォーマー用組成物入りフォーマー、及び、該フォーマー用組成…
    同じ当事者: 安 銀珍、株式会社ニイタカ
  • 2019-701014異議申立 / 2020-09-11 / 訂正認容ウイルス不活性化剤、ノロウイルス不活性化剤及び衛生資材
    同じ当事者: 安 銀珍、株式会社ニイタカ
  • 2026-700132異議申立 / 2026-04-21 / 維持ウイルス不活化用組成物
    同じ当事者: 安 銀珍
  • 2025-701153異議申立 / 2026-03-18 / 維持発泡性薬効付与組成物、及びそれを用いた薬効付与方法
    同じ当事者: 安 銀珍
  • 2025-700044異議申立 / 2025-11-28 / 訂正認容ウイルス不活化製剤
    同じ当事者: 安 銀珍
同じ論点・分野の審決(審決分類)248件(113・C11D、121・C11D、537・C11D)
  • 2023-701192異議申立 / 2025-05-14 / 請求成立(取消)自動食器洗浄機用洗浄剤組成物および自動食器洗浄機による食器の洗浄方法
    共通の審決分類: 113・C11D、121・C11D、537・C11D
  • 2023-700611異議申立 / 2025-03-27 / 訂正認容繊維製品用液体洗浄剤組成物
    共通の審決分類: 113・C11D、121・C11D、537・C11D
  • 2021-701012異議申立 / 2024-09-03 / 訂正認容液体洗浄剤組成物
    共通の審決分類: 113・C11D、121・C11D、537・C11D
  • 2022-700584異議申立 / 2024-02-07 / 訂正認容繊維製品の洗浄方法および洗浄液
    共通の審決分類: 113・C11D、121・C11D、537・C11D
  • 2022-700711異議申立 / 2023-03-29 / 訂正認容洗濯用シート
    共通の審決分類: 113・C11D、121・C11D、537・C11D

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存