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特許異議申立

2023-700565

フォーマー用組成物、該フォーマー用組成物入りフォーマー、及び、該フォーマー用組成物を用いた消毒方法

審判番号
2023-700565
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-073150
登録番号
7181573
請求日
2023年06月01日
審決日
2023年12月01日
公報発行日
2024年03月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社ニイタカ
  • 【権利者代理人】弁理士法人WisePlus
  • 【異議申立人】安 銀珍
審判長/審判官
  • 審判長 井上 典之
  • 審判官 齊藤 真由美
  • 審判官 冨永 保
分類
P1651.537-YAA(A61K) / P1651.113-YAA(A61K) / P1651.121-YAA(A61K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7181573号発明「フォーマー用組成物、該フォーマー用組成物入りフォーマー、及び、該フォーマー用組成物を用いた消毒方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7181573号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。 特許第7181573号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7181573号(以下「本件特許」という。)の請求項1~7に係る特許についての出願は、平成30年4月5日に出願され、令和4年11月22日にその特許権の設定登録がされ、同年12月1日にその特許掲載公報が発行され、その後、本件特許の請求項1~7に係る特許に対し、令和5年6月1日に特許異議申立人である 安 銀珍(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 その後の手続の経緯の概要は次のとおりである。 令和5年 7月24日付け 取消理由通知 同年 9月11日 応対記録(日付は初回応対日) 同年 同月22日 意見書・訂正請求書の提出(特許権者) 同年10月 6日付け 訂正請求があった旨の通知 同年11月 3日差出し 意見書の提出(申立人) 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和5年9月22日付け訂正請求書による訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~7について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下の訂正事項1及び2からなるものである(下線は、訂正による記載の変更箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 ア 訂正事項1-1 請求項1の 「界面活性剤とを含むことを特徴とするフォーマー用組成物」 との記載を、 「界面活性剤とを含み、 手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられることを特徴とするフォーマー用組成物」 に訂正する。 請求項1の記載を引用する請求項2~7についても同様に訂正する。 イ 訂正事項1-2 請求項1の 「(ただし、直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物を除く)」 との記載を、 「(ただし、(a)直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物、(b)0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物を除く)」 に訂正する。 請求項1の記載を引用する請求項2~7についても同様に訂正する。 (2)訂正事項2 請求項7の 「消毒方法」 との記載を、 「消毒方法(ただし、人間を手術、治療又は診断する方法を除く)」 に訂正する。 2 一群の請求項について 訂正事項1及び2に係る訂正前の請求項1~7について、請求項2~7は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する関係にあり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項〔1~7〕に対して請求されたものである。 3 本件訂正の適否 (1)訂正事項1について ア 訂正事項1-1について (ア)訂正の目的 訂正事項1-1は、請求項1に記載された「フォーマー用組成物」について、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」との記載を追加することによって、その対象物ないし用途を限定するものである。 したがって、訂正事項1-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)新規事項追加の有無、実質上の特許請求の拡張・変更の存否 本件明細書には、 「【0043】 ・・・本発明のフォーマー用組成物は、泡状に噴射するのに適している。 そのため、本発明の消毒方法では、上記本発明のフォーマー用組成物を泡状にして対象物に噴射するので、対象物に確実にフォーマー用組成物を接触させることができる。 ・・・ 【0046】 本発明の消毒方法において、消毒の対象物としては、手先等の生体部位や、テーブル、椅子、床、ショーケース、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器や設備等が挙げられ、特に限定されるものではない。 また、本発明の消毒方法では、フォーマー用組成物を食品に噴射して消毒を行ってもよい。」 との記載があり(下線は当審合議体が付与。以下同様。)、フォーマー用組成物を、手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品の消毒に用いることが記載されている。 したがって、訂正事項1-1は、本件特許の願書に添付した明細書、図面及び特許請求の範囲(以下、「本件明細書等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、かつ、上記のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であって、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 よって、訂正事項1-1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 イ 訂正事項1-2について 訂正事項1-2は、請求項1に記載のフォーマー用組成物から除かれる組成物として、「0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物」を追加することによって、フォーマー用組成物の範囲を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、請求項7に記載の消毒方法について、「(ただし、人間を手術、治療又は診断する方法を除く)」との記載を追加することによって、消毒方法の範囲を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (3)独立特許要件について 本件特許異議申立事件においては、訂正前の全ての請求項である請求項1~7に係る特許に対して特許異議の申立てがされているから、訂正後の請求項1~7に係る発明については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(いわゆる「独立特許要件」)は課されない。 4 訂正請求についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1~7〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 前記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正後の本件特許の請求項1~7(以下「本件請求項1」等ということがある。)の記載は、令和5年9月22日付けの訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~7に記載された以下のとおりのものである(下線は、訂正による記載の変更箇所を示す。)。 そして、本件請求項1~7に係る発明は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~7に記載された以下の事項により特定されるとおりのものと認める(以下、請求項の番号順に「本件発明1」等といい、また、これらを合わせて「本件発明」ということがある。)。 「【請求項1】 20~45重量%のエタノールと、 グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含み、 手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられることを特徴とするフォーマー用組成物(ただし、(a)直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物、(b)0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物を除く)。」 【請求項2】 前記界面活性剤の濃度は、0.10~5.00重量%である請求項1に記載のフォーマー用組成物。 【請求項3】 前記グリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンカプリル酸エステル、ポリグリセリンカプリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル及びポリグリセリンミリスチン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載のフォーマー用組成物。 【請求項4】 前記ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル及びショ糖ステアリン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1~3のいずれかに記載のフォーマー用組成物。 【請求項5】 前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1~4のいずれかに記載のフォーマー用組成物。 【請求項6】 請求項1~5のいずれかに記載のフォーマー用組成物を収容することを特徴とするフォーマー。 【請求項7】 請求項1~5のいずれかに記載のフォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする消毒方法(ただし、人間を手術、治療又は診断する方法を除く)。」 第4 申立人が申し立てた理由及び当審において通知した取消理由の概要 1 申立人が申し立てた理由 特許異議申立書(以下「申立書」という。)の記載によれば、本件訂正前の請求項1~7に係る特許について申立人が申し立てた特許異議の申立ての理由の概要は、次のとおりである。 [申立理由1](サポート要件) 本件訂正前の請求項1~7に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合しない。 よって、訂正前の請求項1~7に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。 [申立理由2](甲1を主引例とする新規性・進歩性) 本件訂正前の請求項1~3及び6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、下記の甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また、当該甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件訂正前の請求項1~3及び6に係る特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 [申立理由3](甲2を主引例とする新規性・進歩性) 本件訂正前の請求項1~3及び6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、下記の甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また、当該甲第2号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件訂正前の請求項1~3及び6に係る特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 申立人が提出した証拠方法は、下記のとおりである。 記 甲第1号証:特開2013-136709号公報 甲第2号証:特開平9-217088号公報 以下、甲第1号証及び甲第2号証を、それぞれ「甲1」及び「甲2」ということがある。 2 当審合議体が通知した取消理由の概要 本件訂正前の請求項1~7に係る特許について当審合議体が令和5年7月24日付け取消理由通知書により特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 [取消理由1](サポート要件) 本件訂正前の請求項1~7に係る発明の特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で特許法第36条第6項第1号に適合しない。 よって、本件訂正前の請求項1~7に係る発明の特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 具体的には、以下の事項を指摘している。 「してみると、上記実施例で具体的にその泡の状態が確認されている界面活性剤以外の界面活性剤を用いることを包含する本件発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえず、また、その記載や示唆がなくとも当業者が本件出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるともいえない。」 [取消理由2](新規性) 本件訂正前の請求項1~6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、下記文献1~9に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1~6に係る発明の特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 [取消理由3](進歩性) 本件訂正前の請求項1~7に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、下記文献1~9に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項1~7に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 当審合議体が提示した文献1~9は、下記のとおりである。 記 文献1:特開2013-136709号公報(甲1) 文献2:特開平9-217088号公報(甲2) 文献3:特開2002-193762号公報 文献4:特開2001-97831号公報 文献5:特開2010-263831号公報 文献6:特表2009-545523号公報 文献7:特開2004-67678号公報 文献8:特開2015-105247号公報 文献9:特開2011-37756号公報 なお、[取消理由1]は上記1の[申立理由1]に対応する同旨の理由であり、[取消理由2]及び[取消理由3]のうち、文献1又は文献2を主引例とするものは、上記1の[申立理由2]及び[申立理由3]に対応する同旨の理由である。 第5 当審の判断 当審合議体は、本件請求項1~7に係る特許は、当審合議体が通知した取消理由及び申立人が申し立てた理由により取り消すべきものではないと判断する。 その理由は以下のとおりである。 1 当審合議体が通知した取消理由について (1)理由1(サポート要件)について ア 発明の詳細な説明の記載 本件明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。なお、「・・・」は摘記の省略を示す。 摘記a) 「【技術分野】 【0001】 本発明は、フォーマー用組成物、該フォーマー用組成物入りフォーマー、及び、該フォーマー用組成物を用いた消毒方法に関する。 【背景技術】 ・・・ 【0003】 エタノール消毒剤組成物を霧状に噴霧する場合、空気も大きく移動することになるので、消毒対象に付着していた細菌等が、エタノール消毒剤組成物に触れる前に飛散してしまうことがあった。 また、エタノール消毒剤組成物を霧状に噴霧すると、エタノール消毒剤組成物が広範囲に拡散するので、その一部が無駄になることがあった。また、拡散したエタノール消毒剤組成物が、周囲の人に吸引され健康被害につながる恐れもある。さらに、着火源が近くにあると、火災の原因にもなる。 【0004】 このような問題を解消するために、エタノール消毒剤組成物をフォーマー等により泡状にして、消毒対象に噴射する方法も検討されていた。 【0005】 エタノール消毒剤組成物は、エタノールの濃度が高い程、殺菌効果が強いとされている。しかし、エタノールは、表面張力が低く消泡効果を有する。そのため、強い殺菌効果を得るためにエタノール消毒剤組成物中のエタノール濃度を高くすると、泡状になりにくいという問題があった。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 特許文献1に記載のアルコール消毒剤組成物には、高濃度のアルコールが含まれているので、高い殺菌効果が期待でき、また、シリコーン・ベースの界面活性剤が含まれているので、泡状にしやすいという効果があった。 【0009】 その一方で、例えば、食品製造時に使用する機器や設備等の消毒に特許文献1に記載のアルコール消毒剤組成物を使用すると、食品にアルコール消毒剤組成物が混入してしまう可能性がある。 特許文献1のアルコール消毒剤組成物に含まれるシリコーン・ベースの界面活性剤の人体への安全性は充分に確認されておらず、特許文献1に記載のアルコール消毒剤組成物が、人体に摂取されると、悪影響を及ぼす可能性がある。 そのため、特許文献1に記載のアルコール消毒剤組成物は、食品製造時に使用する機器や設備を消毒するのに適していないという問題点があった。 【0010】 本発明は、上記問題点を鑑みてなされた発明であり、本発明の目的は、泡状にしやすく、人体への安全性が確認されている化合物からなるフォーマー用組成物を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0011】 すなわち、本発明のフォーマー用組成物は、20~45重量%のエタノールと、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含むことを特徴とする。」 摘記b) 「【0012】 本発明のフォーマー用組成物は、20~45重量%のエタノールを含む。 エタノールの濃度がこの範囲であると、フォーマー用組成物が泡状になりやすい。 また、充分な殺菌効果も示す。 エタノールの濃度が20重量%未満であると、充分な殺菌効果が得られにくくなる。 エタノールの濃度が45重量%を超えると、エタノールの消泡効果により、フォーマー用組成物が泡状になりにくくなる。フォーマー用組成物が泡状とならない場合、液だれ等により、所望の位置以外の位置に、フォーマー用組成物が落下、飛散又は付着してしまう。 【0013】 本発明のフォーマー用組成物は、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む。 これらの界面活性剤の界面活性作用により、フォーマー用組成物を泡状にすることができる。さらに、本発明のフォーマー用組成物の使用時に、対象物を洗浄することもできる。 【0014】 本発明のフォーマー用組成物は、エタノールと、所定の界面活性剤を含むが、これらの化合物は、食品又は食品添加物として認められている化合物であり、認められた用途及び使用基準の範囲内で人体への安全性は確認されている。 【0015】 本発明のフォーマー用組成物では、上記界面活性剤の濃度は、0.10~5.00重量%であることが望ましい。 界面活性剤の濃度が0.10重量%未満であると、フォーマー用組成物が泡状になりにくくなる。 界面活性剤の濃度が5.00重量%を超えると、界面活性剤が対象物に残りやすくなる。また、性能が頭打ちになり、費用対効果が低下してしまう。 【0016】 本発明のフォーマー用組成物では、上記グリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンカプリル酸エステル、ポリグリセリンカプリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル及びポリグリセリンミリスチン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。 また、上記ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル及びショ糖ステアリン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。 また、上記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。 これらの界面活性剤はフォーマー用組成物を泡状にする効果に優れる。 【0017】 本発明のフォーマーは、上記本発明のフォーマー用組成物を収容することを特徴とする。本発明のフォーマーを用いることにより、本発明のフォーマー用組成物を泡状に噴射することができる。 【0018】 本発明の消毒方法は、上記フォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする。 上記の通り本発明のフォーマー用組成物は、泡状に噴射するのに適している。 そのため、本発明の消毒方法では、上記本発明のフォーマー用組成物を泡状にして対象物に噴射するので、対象物に確実にフォーマー用組成物を接触させることができる。 【発明の効果】 【0019】 本発明のフォーマー用組成物は、泡状になりやすく、充分な殺菌効果も示す。」 摘記c) 「【発明を実施するための形態】 【0021】 以下、本発明のフォーマー用組成物について具体的な実施形態を示しながら説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。 【0022】 本発明のフォーマー用組成物は、20~45重量%のエタノールと、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含むことを特徴とする。 以下の本発明のフォーマー用組成物の各構成材料について説明する。 【0023】 (エタノール) 本発明のフォーマー用組成物は、20~45重量%のエタノールを含む。エタノールの濃度は、25~45重量%であることが望ましく、30~40重量%であることがより望ましい。 エタノールの濃度がこの範囲であると、フォーマー用組成物が泡状になりやすい。 また、充分な殺菌効果も示す。 エタノールの濃度が20重量%未満であると、充分な殺菌効果が得られにくくなる。 エタノールの濃度が45重量%を超えると、エタノールの消泡効果により、フォーマー用組成物が泡状になりにくくなる。フォーマー用組成物が泡状とならない場合、液だれ等により、所望の位置以外の位置に、フォーマー用組成物が落下、飛散又は付着してしまう。 【0024】 (界面活性剤) 本発明のフォーマー用組成物は、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む。 これらの界面活性剤の界面活性作用により、フォーマー用組成物を泡状にすることができる。さらに、本発明のフォーマー用組成物の使用時に、対象物を洗浄することもできる。また、これらの界面活性剤の界面活性作用によりフォーマー用組成物の表面張力が変化し、エタノールの殺菌効果が高まると考えられる。 【0025】 本発明のフォーマー用組成物では、上記界面活性剤の濃度は、0.10~5.00重量%であることが望ましく、0.20~2.00重量%であることがより望ましい。 界面活性剤の濃度が0.10重量%未満であると、フォーマー用組成物が泡状になりにくくなる。 界面活性剤の濃度が5.00重量%を超えると、界面活性剤が対象物に残りやすくなる。また、性能が頭打ちになり、費用対効果が低下してしまう。 【0026】 本発明のフォーマー用組成物では、グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンに脂肪酸が1つ結合したエステルであるモノグリセリド、グリセリンに脂肪酸が2つ結合したエステルであるジグリセリド、グリセリンに脂肪酸が3つ結合したエステルであるトリグリセリドであってもよい。 また、グリセリン有機酸脂肪酸エステルや、ポリグリセリン脂肪酸エステルであってもよい。 ・・・ 【0029】 ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンカプリル酸エステル、ポリグリセリンカプリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル及びポリグリセリンミリスチン酸エステルが挙げられる。 【0030】 これらのグリセリン脂肪酸エステルの中では、ポリグリセリンカプリル酸エステル及び/又はポリグリセリンラウリン酸エステルが望ましい。 【0031】 本発明のフォーマー用組成物では、ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖べヘン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステルであってもよい。 これらの中では、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル及びショ糖ステアリン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。 ・・・ 【0034】 本発明のフォーマー用組成物では、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステルであってもよい。 これらの中では、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステルであることが望ましい。 【0035】 これらの界面活性剤はフォーマー用組成物を泡状にする効果に優れる。さらに、これらの界面活性剤が含まれていると、本発明のフォーマー用組成物の使用時に、対象物を洗浄することもできる。 ・・・ 【0041】 これまで、本発明のフォーマー用組成物を構成する化合物(エタノール、界面活性剤等)について説明してきたが、これらの人体への安全性は確認されている。 すなわち、これらの化合物は、食品又は食品添加物として認められている化合物であり、認められた用途及び使用基準の範囲内で人体への安全性は確認されている。そのため、本発明のフォーマー用組成物が人体に摂取されたとしても安全である。 さらに、食品又は食品添加物として認められた化合物のみで構成されたフォーマー用組成物の場合、食品を製造する設備や機器に使用した時、手指の消毒に使用した時に、設備、機器、手指に残留した成分が食品に接触したとしても安全である。 また、本発明のフォーマー用組成物には、食品又は食品添加物として認められていない化合物を含まないことが望ましい。」 摘記d) 「【0042】 次に、本発明のフォーマー用組成物の使用方法、すなわち、本発明の消毒方法について説明する。 本発明の消毒方法は、上記本発明のフォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする。 【0043】 上記の通り本発明のフォーマー用組成物は、泡状に噴射するのに適している。 そのため、本発明の消毒方法では、上記本発明のフォーマー用組成物を泡状にして対象物に噴射するので、対象物に確実にフォーマー用組成物を接触させることができる。 【0044】 本発明のフォーマー用組成物を、泡状に噴射する手段として、ハンドガンタイプのフォーマー、泡ポンプタイプのフォーマー等、通常のフォーマーを用いることができる。 このようなフォーマーは、キャニヨン株式会社、株式会社吉野工業所、株式会社ライフプラテック、竹本容器株式会社等から購入することができる。」 摘記e) 「【0045】 また、本発明のフォーマー用組成物を収容するフォーマーは本発明のフォーマーでもある。 【0046】 本発明の消毒方法において、消毒の対象物としては、手先等の生体部位や、テーブル、椅子、床、ショーケース、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器や設備等が挙げられ、特に限定されるものではない。 また、本発明の消毒方法では、フォーマー用組成物を食品に噴射して消毒を行ってもよい。 【0047】 また、本発明のフォーマー用組成物を対象物に噴射した後、テーブルクロス等の布により、本発明のフォーマー用組成物を拭き取ってもよい。」 摘記f) 「【実施例】 ・・・ 【0049】 (実施例1~11)及び(比較例1~3) 表1及び表2に示す配合で、実施例1~11及び比較例1~3のフォーマー用組成物を作製した。 なお、表1及び表2中、化合物の製造元等は以下の通りである。 エタノール:発酵アルコール95度1級(第一アルコール株式会社製) ショ糖脂肪酸エステル:リョートーシュガーエステルL-1695(三菱化学フーズ株式会社製) グリセリン脂肪酸エステル:サンソフトNO.760(太陽化学株式会社製) ポリグリセリン脂肪酸エステル:SYグリスターML-500(阪本薬品工業株式会社製) ソルビタン脂肪酸エステル:ポエムC-250(理研ビタミン株式会社製) ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル:ウィルサーフTF-20(日油株式会社製) グリセリン:ショクテングリセリンRG(阪本薬品工業株式会社製) クエン酸:精製クエン酸(無水)(扶桑化学工業株式会社製) 炭酸水素ナトリウム:重炭酸ナトリウム(食添用)(東ソー株式会社製) 【0050】 【表1】 [図:0001407841000001.jpg] 【0051】 【表2】 [図:0001407841000002.jpg] 【0052】 (大腸菌に対する殺菌効果の評価) (1)大腸菌(Escherichia coli NBRC3972)を普通ブイヨン培地に接種し、35℃で24時間培養し菌液とした。 【0053】 (2)各実施例及び各比較例のフォーマー用組成物と菌液とを99:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、SCD培地に1白金耳移植し、35℃で48時間培養後、菌の生死を判定した。 【0054】 (3)SCD培地に濁りが見られた場合、菌が死滅しなかったと判断し、濁りが見られない場合菌が死滅したと判断した。 結果を表1及び2に示す。評価基準は以下の通りである。 A:大腸菌が死滅した。 B:大腸菌が死滅しなかった。 【0055】 (水平面への噴射後の泡の状態の評価) キャニヨン株式会社製フォーマー(型番:T-95 C7NFN)、株式会社吉野工業所製フォーマー、株式会社ライフプラテック製フォーマー、及び、竹本容器株式会社製フォーマー(型番:Z-305-101(F1))の4種のフォーマーを準備した。 【0056】 次に、各実施例及び各比較例のフォーマー用組成物を、各フォーマーに入れ、水平面に対し、15cmの距離から噴射した。 5秒後のフォーマー用組成物の状態を目視で観察し、泡の状態を評価した。評価基準は、以下の通りである。 A:4種のフォーマー全てにおいて、泡状に吐出され、5秒後の目視確認時も泡の状態を維持した。 B:1~3種のフォーマーにおいて、泡が吐出され、5秒後の目視確認時も泡の状態を維持した。 C:4種のフォーマー全てにおいて、泡状に吐出されなかった。 ・・・ 【0058】 また、実施例1~11及び比較例1~3のフォーマー用組成物を用いた「水平面への噴射後の泡の状態の評価」の結果を表1及び2に示す。 【0059】 (垂直面への噴射後の泡の状態の評価) 竹本容器株式会社製フォーマー(型番:Z-305-101(F1))を準備した。 次に、各実施例及び各比較例のフォーマー用組成物を、竹本容器株式会社製フォーマーに入れ、垂直面に対し、30cmの距離から噴射した。 噴射直後、5秒後及び10秒後のフォーマー用組成物の状態を目視で観察し、泡の状態を評価した。評価基準は、以下の通りである。 A:噴射直後、5秒後及び10秒後の目視確認時に泡が観察され、液だれも殆どなかった。 B:5秒後及び/又は10秒後の目視確認時に泡が観察されず、液だれが生じていた。 C:噴射直後の目視確認時に泡が観察されず、液だれが生じていた。 ・・・ 【0061】 また、実施例1~11及び比較例1~3のフォーマー用組成物を用いた「垂直面への噴射後の泡の状態の評価」の結果を表1及び2に示す。 【0062】 表1に示すように、実施例1~11のフォーマー用組成物は、「大腸菌に対する殺菌効果の評価」、「水平面への噴射後の泡の状態の評価」及び「垂直面への噴射後の泡の状態の評価」のいずれの評価も良好であった。 一方、表2に示すように、エタノールの濃度が低い比較例1及び界面活性剤を含んでいない比較例2のフォーマー用組成物は、「大腸菌に対する殺菌効果の評価」が良好でなく、大腸菌に対し充分な殺菌効果を示さなかった。 また、表2に示すように、界面活性剤を含んでいない比較例2、及び、エタノールの濃度が高い比較例3のフォーマー用組成物は、「水平面への噴射後の泡の状態の評価」及び「垂直面への噴射後の泡の状態の評価」が良好でなく、泡が形成されなかった。」 イ 本件発明が解決しようとする課題 本件請求項1~7の記載、並びに、本件明細書及び図面の全体の記載事項、特に摘記aの【0010】の記載事項からみて、本件発明1~5が解決しようとする課題は、 「泡状にしやすく、人体への安全性が確認されている化合物からなるフォーマー用組成物を提供すること」 であり、本件発明6が解決しようとする課題は、 「泡状にしやすく、人体への安全性が確認されている化合物からなるフォーマー用組成物を収容するフォーマーを提供すること」 であり、本件発明7が解決しようとする課題は、 「泡状にしやすく、人体への安全性が確認されている化合物からなるフォーマー用組成物を用いる消毒方法を提供すること」 であると認められる。 ウ 判断 (ア)本件発明1について 本件明細書には、背景技術として、エタノール消毒剤組成物を霧状に噴霧する際の問題点を解決するために、泡状にして噴霧する方法が検討されていたが、強い殺菌効果を得るためにエタノール濃度を高くすると、泡状になりにくいという問題があったこと、このような問題を解決するためのシリコーン・ベースの界面活性剤を用いた消毒剤組成物は、泡状にしやすいという効果があったが、当該界面活性剤は人体への安全性が十分に確認されていないため、人体に悪影響を及ぼす可能性があったり、食品製造時に使用する機器や設備を消毒するのに適していないという問題点があったこと、「本発明」は、かかる問題点を、所定の濃度のエタノールと所定の界面活性剤とを含むフォーマー用組成物とすることによって解決したものであること、が記載されている(摘記a)。 そして、本件明細書には、エタノールの濃度について、殺菌効果及び泡の状態を考慮して20~45重量%とすること、界面活性剤の種類を泡の状態等を考慮して本件発明1で特定されるものとすることが記載され、さらに、本件発明のフォーマー用組成物を構成する化合物は、人体への安全性も確認されていることが記載され、フォーマー用組成物を、手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品の消毒に用いることが記載されている(摘記b、摘記c及び摘記d)。 さらに、本件明細書には、本件発明1の成分についての特定事項を全て備えた実施例1~11のフォーマー用組成物について、大腸菌に対する殺菌効果の評価、水平面への噴射後の泡の状態の評価及び垂直面への噴射後の泡の状態の評価について、いずれも良好(A評価)であったことが記載されている(摘記f)。当該組成物について、エタノールの濃度は、20.00%(実施例1)、25.00%(実施例2、3)、30.00%(実施例4、5)、35.00%(実施例6、7)、37.88%(実施例8)、40.00%(実施例9、10)、45.00%(実施例11)であって、本件発明1で特定されたエタノールの濃度の範囲の全体にわたって実施例が存在するといえる。界面活性剤の種類については、ショ糖脂肪酸エステルのみ(実施例2、11)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(グリセリン脂肪酸エステルに相当する。)のみ(実施例4、9)又はポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステルのみ(実施例3、5、7、8)であるか、ショ糖脂肪酸エステルとごく少量のグリセリン脂肪酸エステルの組合せ(実施例1)、ポリグリセリン脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルの組合せ(実施例6)、ショ糖脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルの組合せ(実施例10)についての実施例が存在する。 これらの記載によれば、本件発明1は、高濃度のエタノールが、界面活性剤に対して消泡作用を有するとの技術常識がある中、泡状にしやすいエタノールの濃度で、人体に対して安全な界面活性剤を配合することにより、界面活性作用によってエタノールの殺菌効果が高まる等の効果を奏することを見出したものであり(摘記aの【0003】~【0011】、摘記bの【0012】~【0016】)、実際に20~45重量%のエタノール濃度で人体に対して安全な界面活性剤を用いて、高い殺菌効果を奏することが示された、上記実施例1~11のフォーマー用組成物については、当業者が上記イの課題を解決できると認識できるといえる。 また、上記実施例1~11で用いられていない、プロピレングリコール脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンや、ポリグリセリン脂肪酸エステル以外のグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル以外のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルといった界面活性剤を含む本件発明1に係るものについても、本件明細書には、その界面活性作用によって、フォーマー用組成物を泡状にすることができること、対象物を洗浄することもできること、それらの界面活性作用によりフォーマー用組成物の表面張力が変化し、エタノールの殺菌効果が高まると考えられること、食品又は食品添加物として認められている化合物であり、認められた用途及び使用基準の範囲内で人体への安全性は確認されていることが記載されており(摘記bの【0013】及び【0014】、摘記cの【0024】及び【0041】)、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル以外のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルについても、界面活性剤として使用されるものであることが発明の詳細な説明に記載されている(摘記bの【0016】、摘記cの【0034】)。 そうしてみれば、上記実施例に示されていない界面活性剤についても,エタノール濃度20~45重量%で用いれば、同様の作用を有すると考えられるから、当業者が上記課題を解決できると認識できるといえる。 なお、令和5年9月22日に特許権者が提出した意見書に記載された追試(実験例A~G)において、本件発明1の成分についての特定事項を全て備え、界面活性剤として、プロピレングリコール脂肪酸エステル(実験例A)、オレイン酸ナトリウム(実験例B)、レシチン(実験例C)、ステアロイル乳酸カルシウム(実験例D)、植物ステロール(実験例E)、キラヤサポニン(実験例F)及びグリセリン脂肪酸エステル(実験例G)を含む、フォーマー用組成物について、上記各評価が良好(A評価)であったことが具体的に確認できることも、上記判断と矛盾するものではない。 してみると、本件発明1は、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が上記イの課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 (イ)本件発明2について 本件発明2は、本件発明1のフォーマー組成物において、界面活性剤の濃度を「0.10~5.00重量%」に特定するものである。 本件明細書には、界面活性剤の濃度が0.33%(実施例1)~1.00%(実施例3等)である具体的なフォーマー用組成物が実施例1~11として記載されており、また、本件明細書には、「界面活性剤の濃度が0.10重量%未満であると、フォーマー用組成物が泡状になりにくくなる。界面活性剤の濃度が5.00重量%を超えると、界面活性剤が対象物に残りやすくなる。また、性能が頭打ちになり、費用対効果が低下してしまう。」として、泡の状態や対象物への残留性等の観点から、0.10~5.00重量%とすることが記載されている(摘記bの【0015】、摘記cの【0025】)。 したがって、本件発明2は、本件発明1と同様に、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が上記イの課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 (ウ)本件発明3~5について 本件発明3は、本件発明1又は2のフォーマー組成物において、「グリセリン脂肪酸エステル」を、「ポリグリセリンカプリル酸エステル、ポリグリセリンカプリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル及びポリグリセリンミリスチン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種」に特定するものである。 本件発明4は、本件発明1~3のいずれかのフォーマー組成物において、「ショ糖脂肪酸エステル」を、「ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル及びショ糖ステアリン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種」に特定するものである。 本件発明5は、本件発明1~4のいずれかのフォーマー組成物において、「ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル」を、「ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種」に特定するものである。 本件発明3~5において特定する、これら界面活性剤については、本件明細書において、泡状にする効果に優れるもの等として記載されている(摘記bの【0016】、摘記cの【0026】~【0035】)。 したがって、本件発明3~5は、本件発明1と同様に、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が上記イの課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 (エ)本件発明6~7について 本件発明6は、本件発明1~5のいずれかのフォーマー用組成物を「収容することを特徴とするフォーマー」である。 本件発明7は、本件発明1~5のいずれかのフォーマー用組成物を「泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする消毒方法(ただし、人間を手術、治療又は診断する方法を除く)」である。 本件明細書には、フォーマー用組成物を収容するフォーマー及びフォーマー用組成物を泡状にして対象物に噴射する消毒方法について記載されている(摘記bの【0017】及び【0018】、摘記d、摘記e、摘記f)。 したがって、本件発明6~7は、本件発明1と同様に、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が上記イの課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 エ 取消理由1についてのまとめ 以上のとおり、本件発明1~7は、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、発明の詳細な説明に記載したものである。 したがって、取消理由1は理由がない。 (2)取消理由2(新規性)及び取消理由3(進歩性)について ア 引用文献の記載事項及び引用発明 (ア)文献1 文献1には以下の記載がある。 摘記1a) 「【請求項1】 界面活性剤、1価アルコール、水、油性溶剤およびピレスロイド系殺虫成分を含有する原液、ならびに 液化石油ガスおよびジメチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも一種の噴射剤からなる発泡性エアゾール組成物を、 エアゾール容器に充填してなる発泡性ガラス用洗浄剤であり、 洗浄後のガラスに、殺虫効果および防虫効果を付与する発泡性ガラス用洗浄剤。 【請求項2】 前記発泡性エアゾール組成物中の、 前記界面活性剤の含有量が0.1~10質量%、 前記1価アルコールの含有量が15~40質量%、 前記水の含有量が50~70質量%、 前記油性溶剤の含有量が0.1~5質量%、 前記ピレスロイド系殺虫成分の含有量が0.01~1質量%、 前記噴射剤の含有量が3~20質量%である、 請求項1記載の発泡性ガラス用洗浄剤。 【請求項3】 前記界面活性剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステルである、 請求項1または2記載の発泡性ガラス用洗浄剤。」 摘記1b) 「【0019】 前記界面活性剤としては、・・・、特に限定されることなく使用することができる。具体的には、・・・、モノラウリン酸デカグルセリル、・・・などのポリグリセリン脂肪酸エステル、・・・、などの非イオン性界面活性剤;・・・;などがあげられる。なかでも、発泡性を調整しやすいという点から非イオン性界面活性剤であることが好ましく、特に泡の消えやすさ(消泡性)を調整しやすい点からポリグリセリン脂肪酸エステルであることがより好ましい。」 摘記1c) 「【0046】 実施例1 フェンプロパトリン0.09部(質量部、以下同様)をミリスチン酸イソプロピル1.71部に溶解し、ついでモノラウリン酸デカグリセリル1.35部、グリセリン脂肪酸エステル1.8部、95%エチルアルコール27.0部を加えて溶液とした。これに精製水58.05部を加え攪拌し、エマルジョン状の原液288g得た。該原液を耐圧容器に充填し、次いで耐圧容器の開口部にバルブを取り付け、バルブから液化石油ガス(*3)32gを充填し、発泡性ガラス用洗浄剤を調製した。 【0047】 モノラウリン酸デカグリセリル(*1) 1.35 グリセリン脂肪酸エステル(*2) 1.8 95%エチルアルコール 27.0 フェンプロパトリン 0.09 ミリスチン酸イソプロピル 1.71 水 58.05 液化石油ガス(*3) 10.0 合計 100.0 (質量%) *1:サンソフトM-12J(商品名)、太陽化学株式会社製 *2:チラバゾールKN-20(商品名)、太陽化学株式会社製 *3:プロパン、ノルマルブタン、イソブタンの混合物 【0048】 実施例2 フェンプロパトリン0.09部をミリスチン酸イソプロピル1.71部に溶解し、ついでモノラウリン酸デカグリセリル1.35部、グリセリン脂肪酸エステル1.8部、95%エチルアルコール25.0部を加えて溶液とした。これに精製水55.05部を加え攪拌し、エマルジョン状原液272gを得た。該原液を耐圧容器に充填し、次いで耐圧容器の開口部にバルブを取り付け、バルブから液化石油ガス48gを充填し、発泡性ガラス用洗浄剤を調製した。 【0049】 モノラウリン酸デカグリセリル(*1) 1.35 グリセリン脂肪酸エステル(*2) 1.8 95%エチルアルコール 25.0 フェンプロパトリン 0.09 ミリスチン酸イソプロピル 1.71 水 55.05 液化石油ガス(*3) 15.0 合計 100.0 (質量%) 【0050】 比較例1 モノラウリン酸デカグリセリル1.35部、グリセリン脂肪酸エステル1.8部、95%エチルアルコール25.0部を混合し、これに精製水59.85部を加え攪拌し、エマルジョン状原液272gを得た。該原液を耐圧容器に充填し、次いで耐圧容器の開口部にバルブを取り付け、バルブから液化石油ガス48gを充填し、発泡性ガラス用洗浄剤を調製した。 【0051】 モノラウリン酸デカグリセリル(*1) 1.35 グリセリン脂肪酸エステル(*2) 1.8 95%エチルアルコール 27.0 水 59.85 液化石油ガス(*3) 10.0 合計 100.0 (質量%)」 そうすると、文献1には、特に摘記1cの実施例及び比較例の記載からみて、次の発明(以下「文献1発明」という。)が記載されていると認められる。 「以下の実施例1若しくは2又は比較例1の処方を耐圧容器に充填した発泡性ガラス用洗浄剤。 実施例1: モノラウリン酸デカグリセリル(*1) 1.35 グリセリン脂肪酸エステル(*2) 1.8 95%エチルアルコール 27.0 フェンプロパトリン 0.09 ミリスチン酸イソプロピル 1.71 水 58.05 液化石油ガス(*3) 10.0 合計 100.0 (質量%) *1:サンソフトM-12J(商品名)、太陽化学株式会社製 *2:チラバゾールKN-20(商品名)、太陽化学株式会社製 *3:プロパン、ノルマルブタン、イソブタンの混合物 実施例2: モノラウリン酸デカグリセリル(*1) 1.35 グリセリン脂肪酸エステル(*2) 1.8 95%エチルアルコール 25.0 フェンプロパトリン 0.09 ミリスチン酸イソプロピル 1.71 水 55.05 液化石油ガス(*3) 15.0 合計 100.0 (質量%) 比較例1: モノラウリン酸デカグリセリル(*1) 1.35 グリセリン脂肪酸エステル(*2) 1.8 95%エチルアルコール 27.0 水 59.85 液化石油ガス(*3) 10.0 合計 100.0 (質量%)」 (イ)文献2 文献2には、以下の記載がある。 摘記2a) 「【請求項1】脂肪酸とグリシドールから合成された、モノエステル体含有率の高いポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの1種または2種以上を0.5~10重量%と、炭素原子数が1~3である低級1価アルコールの1種又は2種以上を30~60重量%と、水30~60重量%と、炭素原子数が12~22である高級アルコールの1種又は2種以上を0.1~5重量%とを配合した原液と、噴射剤とからなることを特微とする泡状洗浄剤。 【請求項2】脂肪酸とグリシドールから合成された、モノエステル体含有率の高いポリグリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンおよび油基材をあわせた量が50~70重量%である請求項1記載の泡状洗浄剤。」 摘記2b) 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、泡状であるために、洗浄したい部分に有効に塗布でき、しかも安全性が高く、水によって洗い流さずタオルなどで拭き取るだけでも汚れを落とすことが可能で、使用中、使用後のさっぱりした感触に優れた、新規な拭き取リタイプの泡状洗浄剤に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、シヤンプーは頭髪を洗浄した後に水やお湯で濯ぐことが必要であり、病気や怪我などで入浴ができない場合や、簡単に水を使うことの出来ない場所では、頭髪の洗浄は困難である。このため、すすぎの不要な拭き取リタイプの洗浄料が考案されている。 ・・・ 【0004】 【発明が解決しようとする課題】・・・ 【0008】したがって、本発明の目的は、安全性が高く、泡状で、洗浄したい部分に有効に塗布でき、しかも水によって洗い流さずタオルなどで拭き取るだけでも汚れを落とすことが可能で、使用後のさっぱりした感触にすぐ新規な拭き取りタイプの洗浄料を提供することにある。 ・・・ 【0026】・・・。本発明において用いられる非電解質系界面活性剤は上記の成分に加えて、ソルビタン脂肪酸エステル、・・・、グリセリン脂肪酸エステル、・・・、ポリグリセリン脂肪酸エステル、・・・等が挙げられる。」 摘記2c) 「【0041】[参考例1]窒素導入管、撹拌機、冷却管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた1リットルの4ツ口フラスコにラウリン酸0.5mol(100.16g)とリン酸(85%品)0.0622gを加え、140℃に加熱した。次いで、反応温度を140℃に保ちながらグリシドール3.0mol(222.24g)を5時間かけて滴下し、さらに温度を保ち、26時間反応を続けた。冷却後反応物を取り出し、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステルを約300g得た。 【0042】得られたポリグリセリンモノラウリン酸エステルを下記した高速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略す。)の分析条件で評価したところ、モノ置換率は87.7%であった。 ・・・ 【0048】また、それぞれを比較参考例2、3とする。実施例、比較例を以下に示す。 【0049】表1記載の配合組成からなる泡状洗浄剤を調製し、その安全性、発泡性、泡持続性、洗浄力、安定性を比較例と共に示した。 【0050】 表1 実施例 比較例 1 2 3 1 2 3 A1 1.0 A2 1.0 A3 1.0 A4 1.0 A5 1.0 A6 1.0 特性 安定性 ○ ○ ○ × ○ ○ 安全性(蛋白質変性率) ◎ ◎ ◎ △ ◎ ◎ 発泡性 ○ ○ ○ △ △ △ 泡持続性 ○ ○ ○ △ △ △ 使用感 (使用時) ○ ○ ○ △ ○ ○ (使用後) ○ ○ ○ △ ○ ○ ・・・ 【0052】下記の組成のムース状洗浄料を調製し、表1と同様の項目につき評価した。 【0053】<実施例4> (成分名) (重量%) 参考例1で得たポリグリセリン脂肪酸エステル(A1) 2.5 セトステアリルアルコール 2.0 香料 0.2 精製水 53.5 エチルアルコール 35.0 L.P.G. 7.0 ・・・ <実施例6> (成分名) (重量%) 参考例1で得たポリグリセリン脂肪酸エステル(A1) 1.2 ベヘニルアルコール 0.5 POE(4)ステアリルエーテル 1.0 オレンジ油 0.1 香料 0.1 精製水 47.1 エチルアルコール 45.0 L.P.G. 5.0 実施例4~6の泡状洗浄剤は、いずれも安全性が高く、発泡性、泡持続性、洗浄力に優れ、安定性も良好なものであった。」 摘記2d) 「【目的】 安全性が高く、水によって洗い流さずタオルなどで拭き取るだけでも汚れを落とすことが可能で、使用中、使用後のさっぱりした感触に優れた、新規な拭き取リタイプの泡状洗浄剤を開発すること。」 そうすると、文献2には、特に摘記2cの実施例の記載からみて、次の発明(以下「文献2発明」という。)が記載されていると認められる。 「以下の実施例4又は6の組成を有するムース状洗浄料。 実施例4: (成分名) (重量%) 参考例1で得たポリグリセリン脂肪酸エステル(A1) 2.5 (ポリグリセリンモノラウリン酸エステル) セトステアリルアルコール 2.0 香料 0.2 精製水 53.5 エチルアルコール 35.0 L.P.G. 7.0 実施例6: (成分名) (重量%) 参考例1で得たポリグリセリン脂肪酸エステル(A1) 1.2 (ポリグリセリンモノラウリン酸エステル) ベヘニルアルコール 0.5 POE(4)ステアリルエーテル 1.0 オレンジ油 0.1 香料 0.1 精製水 47.1 エチルアルコール 45.0 L.P.G. 5.0」 (ウ)文献3 文献3には、可溶型水性整髪料についての記載がある(請求項1)ところ、実施例3及び4として、モノラウリン酸POE(20)ソルビタン2.0質量%、エタノール40.0質量%を含有する、ノンガスフォーマー容器(ポンプフォーマー:メッシュ内蔵のポンプ式、大和製罐社製)に充填したホイップ状整髪料、また、実施例7として、モノラウリン酸デカグリセリル2.0質量%、エチルアルコール30.0質量%を含有する、ポンプフォーマー(大和製罐社製)に充填したホイップ状整髪料が記載されている(【0029】~【0033】、【0040】及び【0041】)。 そうすると、文献3には、以下の発明(以下「文献3発明」という。)が記載されていると認められる。 「以下の実施例3、4又は7の処方のホイップ状整髪料。 表1に記載の製造例1或いは2の処方の固形整髪剤を用いて、表2に記載の処方の可溶型水性整髪料とし、それを、ノンガスフォーマー容器(ポンプフォーマー:メッシュ内蔵のポンプ式、大和製罐社製)に充填した実施例3或いは4の処方のホイップ状整髪料、 [図:0001407841000003.jpg] [図:0001407841000004.jpg] 又は、次の組成の可溶型水性整髪料を常法により調製した後、ポンプフォーマー(大和製罐社製)に充填して得た実施例7の処方のホイップ状整髪料。 [図:0001407841000005.jpg] [図:0001407841000006.jpg] (表中、各成分についての数字は質量%を表す。) 」 (エ)文献4 文献4には、毛髪化粧料についての記載がある(請求項1)ところ、実施例9として、ヤシ油脂肪酸ソルビタン0.3重量%、エタノール20.0重量%を含有するヘアフォーム用の原液が記載されている(【0018】)。 そうすると、文献4には、以下の発明(以下「文献4発明」という。)が記載されていると認められる。 「以下の処方の実施例9のヘアフォーム用原液。 [図:0001407841000007.jpg] 」 (オ)文献5 文献5には、泡状に噴出する害虫捕獲エアゾールについての記載がある(請求項1)ところ、実施例1及び2(本発明1及び比較1~4)として、ポリソルベート60又は80、すなわちポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(特開2015-229761号公報、【0032】参照。)0.6、4.3又は0.05w/v%、エタノール30w/v%を含有する、エアゾール缶に入れる害虫捕獲エアゾール原液が記載されている(【0020】及び【0023】)。 そうすると、文献5には、以下の発明(以下「文献5発明」という。)が記載されていると認められる。 「実施例1又は2(下記表1の本発明1又は比較1~4の処方に加えて、パラオキシ安息香酸メチルを0.05w/v%を含み、残部は水。)の処方である、エアゾール缶に入れて泡状に噴出するための害虫捕獲エアゾール原液。 [図:0001407841000008.jpg] 」 (カ)文献6 文献6には、以下の記載がある。 摘記6a) 「【請求項1】 0.1~5%(w/w)の過酸化水素、 21~55%(w/w)のC2~C6アルコール、及び 0.01~2%(w/w)の泡立ち増強剤 を含む、泡を提供する為の水性組成物。 ・・・ 【請求項6】 該泡立ち増強剤が、i)アルコキシル化非イオン性界面活性剤、ii)窒素含有の両性又は非イオン性界面活性剤、iii)線状C12~C24αオレフィンスルホネート、及びiv)C12~C20スルホサクシネートの少なくとも1から選ばれる、請求項1~5のいずれか1項の組成物。」 摘記6b) 「【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0016】 すなわち、数分以内で殺菌することができ、使用後のリンスを必要とせず(すなわち使用後放置(leave-on use)に適当であり)、手及び/又は腕をこすることによる乾燥を可能とし、且つ、繰り返しの使用後にねばつきを生じず、皮膚の刺激を引き起こさず及び/又は脱脂しないことにおいて皮膚にやさしい、皮膚及び/又は粘膜に対する使用の為の組成物を利用することが非常に望ましい。 【課題を解決するための手段】 【0017】 第1の局面において、本発明は、C2~C6アルコール、過酸化水素及び泡立ち増強剤(foam booster)を含む、皮膚及び/又は粘膜を殺菌する為の殺生物性組成物を提供する。正確な配量(dosing)を提供する為に、接触表面及び接触時間を増加する為に、及びすなわち十分な殺生物的効能を提供する為に、並びに、例えばスプレー製剤の場合のように適用された用量が手からこぼれおちること及び垂れるおちることを回避する為に、泡の形での該殺生物性組成物を適用することが非常に有利であるとわかった。」 摘記6c) 「【0033】 泡立ち増強剤は好ましくは、i)アルコキシル化非イオン性界面活性剤、ii)窒素含有の両性又は非イオン性界面活性剤、iii)線状C12~C24αオレフィンスルホネート、及びiv)C12~C20スルホサクシネートの少なくとも1つから選ばれうる。 ・・・ 【0041】 さらに有利なアルコキシル化非イオン性界面活性剤はポリソルベートである。ポリソルベートは、ソルビトールに基づく乳化剤である。好ましいポリソルベートは、ポリソルベート20、40、60又は80であり、例えばUniqemaのTweenシリーズ、CognisのEumulgin SML、SMO及びSMSなどである。 ・・・ 【0045】 該窒素含有の両性又は非イオン性界面活性剤は好ましくは、アミンオキシド、ベタイン、アミド、ヒドロキシスルタイン及び/又はイミダゾリン誘導体である。・・・。 ・・・ 【0047】 ・・・好ましいベタインは、C10~C18アルキルジメチルベタイン、例えばラウリルベタイン、及び/又はC10~C18アルキルアミドプロピルジメチルベタイン、例えばカプリル/カプラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、及び/又はオレアミドプロピルベタインなどである。」 摘記6d) 「【0086】 組成物V 20% エタノール 10% イソプロピルアルコール 1% 過酸化水素 0.2% Tween 80 0.2% Tego Betain L7(ココアミドプロピルベタイン) 0.2% 乳酸 0.1% Dequest pH ca. 5」 文献6には、泡を提供する為の水性組成物についての記載がある(請求項1)ところ、組成物Vとして、Tween 80、すなわちポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル(特開2015-40174号公報、【0050】参照。)0.2重量%、エタノール20重量%を含有する組成物が記載されている(摘記6d)。 そうすると、文献6には、以下の発明(以下「文献6発明」という。)が記載されていると認められる。 「以下の組成物Vの処方の泡を提供する為の水性組成物。 組成物V 20% エタノール 10% イソプロピルアルコール 1% 過酸化水素 0.2% Tween 80 0.2% Tego Betain L7(ココアミドプロピルベタイン) 0.2% 乳酸 0.1% Dequest pH ca. 5」 (キ)文献7 文献7には、ヘアワックス製品についての記載がある(請求項1)ところ、実施例4の4Bとして、ポリグリセリル-10ジステアレート5g、エタノール(94.7%品)29.15gを含有する調合物92重量%と、プロパン/ブタン(4.8バール)8重量%からなる、アルミニウム-エーロゾル投与器内に充填したエーロゾル-ヘアワックスフォームが記載されている(【0027】~【0029】)。 そうすると、文献7には、以下の発明(以下「文献7発明」という。)が記載されていると認められる。 「以下の表の4Bの処方の調合物92重量%と、プロパン/ブタン(4.8バール)8重量%からなるアルミニウム-エーロゾル投与器内に充填したエーロゾル-ヘアワックスフォーム。 [図:0001407841000009.jpg] (表中、各成分についての数字はgによる量を表す。) 」 (ク)文献8 文献8には、泡沫状毛髪化粧料についての記載がある(請求項1)ところ、ポンプフォーマー容器に充填したこと、比較例2として、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン1.0質量%、エタノール20.0質量%を含有する泡沫状ヘアトリートメントが記載されている(【0021】及び【0029】~【0030】)。 そうすると、文献8には、以下の発明(以下「文献8発明」という。)が記載されていると認められる。 「以下の表の比較例2の処方のポンプフォーマー容器に充填した泡沫状ヘアトリートメント。 [図:0001407841000010.jpg] 」 (ケ)文献9 文献9には、泡状毛髪化粧料についての記載がある(請求項1)ところ、実施例1~7及び9並びに比較例1~3として、ジイソステアリン酸ポリグリセリル1.5質量%、エタノール30.0質量%を含有するエアゾール原液を95質量%又は90質量%含有する泡状毛髪化粧料又はスタイリングフォームが記載されている(【0036】、【0037】及び【0042】)。 そうすると、文献9には、以下の発明(以下「文献9発明」という。)が記載されていると認められる。 「以下の表1の実施例1~7或いは比較例1~3の処方の泡状毛髪化粧料 [図:0001407841000011.jpg] (表中の各成分についての数値は質量%を表す。)又は以下の実施例9の処方のスタイリングフォーム。 <エアゾール原液> 配合量(%) (1)エタノール 30.0 (2)ポリオキシプロピレン(40)ブチルエーテル 1.0 (3)ジイソステアリン酸ポリグリセリル 0.5 (4)イソステアリルアルコール 0.5 (5)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 2.5 (6)ポリオキシエチレンイソセチルエーテル 3.0 (7)メチルポリシロキサン 1.0 (8)ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル 1.0 (9)ポリクオタニウムー22 5.0 (10)ポリクオタニウムー11 1.5 (12)グルコシルトレハロース 5.0 (13)ユチャ油 1.0 (14)パラベン 0.1 (15)ポリクオタニウムー56 0.1 (16)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 0.5 (17)香料 0.5 (18)アルギニン 0.1 (19)グルタミン酸ナトリウム 0.1 (20)サボンソウエキス 0.5 (21)加水分解コラーゲン 0.2 (22)精製水 残 分 <ガス充填> (23)エアゾール原液 95.0 (24)噴射剤(液化石油ガス) 5.0」 イ 対比・判断 (ア)本件発明1について a 文献1発明について 本件発明1と文献1発明とを対比する。 文献1には、界面活性剤の例として「モノラウリン酸デカグルセリル」などの「ポリグリセリン脂肪酸エステル」が記載されており(摘記1bの【0019】)、また、グリセリン脂肪酸エステルが界面活性剤として用いられることは周知であるから(文献2の摘記2bの【0026】を参照)、文献1発明の「モノラウリン酸デカグリセリル」及び「グリセリン脂肪酸エステル」は、本件発明1の「グリセリン脂肪酸エステル」である「界面活性剤」に相当する。 文献1発明が「95%エチルアルコール」を27.0又は25.0質量%(エチルアルコールとして約25.7又は23.8質量%に相当する。)含有することは、本件発明1が「20~45重量%のエタノール」を含むことに相当する。 文献1発明の「発泡性ガラス用洗浄剤」は、本件発明1の「フォーマー用組成物」に相当する。 文献1発明は、「直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物」ではなく、「0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物」でもない。 してみると、本件発明1と文献1発明とは、 「20~45重量%のエタノールと、 グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含む、フォーマー用組成物(ただし、(a)直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物、(b)0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物を除く)。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> フォーマー用組成物について、本件発明1が、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」と特定しているのに対し、文献1発明は、そのような特定がない点。 上記相違点について検討する。 文献1発明は「発泡性ガラス用洗浄剤」であって、文献1には、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」ことは記載されていない。 したがって、相違点1は実質的な相違点であるから、本件発明1は文献1に記載された発明であるとはいえない。 また、文献1には、発泡性ガラス用洗浄剤を、手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いることについて記載も示唆もなく、文献1に記載の発泡性ガラス用洗浄剤をかかる用途に用いる動機付けも認められないから、相違点1に係る本件発明1の技術的事項を採用することは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 したがって、本件発明1は、文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 b 文献2発明について 文献2には、界面活性剤の例として「ポリグリセリン脂肪酸エステル」が記載されている(摘記2bの【0026】)から、文献2発明の「ポリグリセリン脂肪酸エステル」は、本件発明1の「グリセリン脂肪酸エステル」である「界面活性剤」に相当する。 文献2発明が「エチルアルコール」を35.0又は45.0重量%含有することは、本件発明1が「20~45重量%のエタノール」を含むことに相当する。 文献2発明の「ムース状洗浄料」は、本件発明1の「フォーマー用組成物」に相当する。 文献2発明は、「直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物」ではなく、「0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物」でもない。 してみると、本件発明1と文献2発明とは、 「20~45重量%のエタノールと、 グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含む、フォーマー用組成物(ただし、(a)直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物、(b)0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物を除く)。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点2> フォーマー用組成物について、本件発明1が、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」と特定しているのに対し、文献2発明は、そのような特定がない点。 上記相違点について検討する。 文献2発明は「ムース状洗浄料」であって、文献2には、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」ことは記載されていない。 したがって、相違点2は実質的な相違点であるから、本件発明1は文献2に記載された発明であるとはいえない。 また、文献2は、専ら頭髪の洗浄について記載されており(摘記2b)、泡状洗浄剤を、手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いることについての記載も示唆もなく、文献2に記載の泡状洗浄剤をかかる用途に用いる動機付けも認められないから、相違点2に係る本件発明1の技術的事項を採用することは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 したがって、本件発明1は、文献2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 c 文献3発明について 文献3には、界面活性剤の例として「モノラウリン酸POE(20)ソルビタン」及び「モノラウリン酸デカグリセリル」が記載されている(【0016】)から、文献3発明の「モノラウリン酸POE(20)ソルビタン」及び「モノラウリン酸デカグリセリル」は、本件発明1の「ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル」及び「グリセリン脂肪酸エステル」である「界面活性剤」に相当する。 文献3発明が「エタノール」を40.0質量%又は「エチルアルコール」を30.0質量%含有することは、本件発明1が「20~45重量%のエタノール」を含むことに相当する。 文献3発明の「ホイップ状整髪料」は、本件発明1の「フォーマー用組成物」に相当する。 文献3発明は、「直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物」ではなく、「0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物」でもない。 してみると、本件発明1と文献3発明とは、 「20~45重量%のエタノールと、 グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含む、フォーマー用組成物(ただし、(a)直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物、(b)0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物を除く)。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点3> フォーマー用組成物について、本件発明1が、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」と特定しているのに対し、文献3発明は、そのような特定がない点。 上記相違点について検討する。 文献3発明は「ホイップ状整髪料」であって、文献3には、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」ことは記載されていない。 したがって、相違点3は実質的な相違点であるから、本件発明1は文献3に記載された発明であるとはいえない。 また、文献3には、可溶型水性整髪料を、手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いることについて記載も示唆もなく、文献3に記載の可溶型水性整髪料をかかる用途に用いる動機付けも認められないから、相違点3に係る本件発明1の技術的事項を採用することは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 したがって、本件発明1は、文献3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 d 文献4発明について 文献4発明の「ヤシ油脂肪酸ソルビタン」は、本件発明1の「ソルビタン脂肪酸エステル」に相当する物質であり、ソルビタン脂肪酸エステルが界面活性剤として用いられることは周知であるから(文献2の摘記2bの【0026】を参照)、本件発明1の「ソルビタン脂肪酸エステル」である「界面活性剤」に相当する。 文献4発明が「エタノール」を20.0重量%含有することは、本件発明1が「20~45重量%のエタノール」を含むことに相当する。 文献4発明の「ヘアフォーム用原液」は、本件発明1の「フォーマー用組成物」に相当する。 文献4発明は、「直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物」ではなく、「0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物」でもない。 してみると、本件発明1と文献4発明とは、 「20~45重量%のエタノールと、 グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含む、フォーマー用組成物(ただし、(a)直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物、(b)0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物を除く)。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点4> フォーマー用組成物について、本件発明1が、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」と特定しているのに対し、文献4発明は、そのような特定がない点。 上記相違点について検討する。 文献4発明は「ヘアフォーム用原液」であって、文献4には、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」ことは記載されていない。 したがって、相違点4は実質的な相違点であるから、本件発明1は文献4に記載された発明であるとはいえない。 また、文献4には、毛髪化粧料を、手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いることについて記載も示唆もなく、文献4に記載の毛髪化粧料をかかる用途に用いる動機付けも認められないから、相違点4に係る本件発明1の技術的事項を採用することは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 したがって、本件発明1は、文献4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ない。 e 文献5発明について 文献5には、界面活性剤の例として「ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類」が記載されている(【0008】)から、文献5発明の「ポリソルベート60又は80」、すなわちポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、本件発明1の「ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル」である「界面活性剤」に相当する。 文献5発明が「エタノール」を30w/v%含有することは、本件発明1が「20~45重量%のエタノール」を含むことに相当する。 文献5発明の「泡状に噴出するための害虫捕獲エアゾール原液」は、本件発明1の「フォーマー用組成物」に相当する。 文献5発明は、「直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物」ではなく、「0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物」でもない。 してみると、本件発明1と文献5発明とは、 「20~45重量%のエタノールと、 グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含む、フォーマー用組成物(ただし、(a)直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物、(b)0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物を除く)。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点5> フォーマー用組成物について、本件発明1が、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」と特定しているのに対し、文献5発明は、そのような特定がない点。 上記相違点について検討する。 文献5発明は「害虫捕獲エアゾール原液」であって、文献5には、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」ことは記載されていない。 したがって、相違点5は実質的な相違点であるから、本件発明1は文献5に記載された発明であるとはいえない。 また、文献5には、害虫捕獲エアゾールを、手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いることについて記載も示唆もなく、文献5に記載の害虫捕獲エアゾールをかかる用途に用いる動機付けも認められないから、相違点5に係る本件発明1の技術的事項を採用することは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 したがって、本件発明1は、文献5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 f 文献6発明について 文献6には、界面活性剤の例として「Tweenシリーズ」が記載されている(【0041】)から、文献6発明の「Tween 80」、すなわちポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステルは、本件発明1の「ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル」である「界面活性剤」に相当する。 文献6発明が「エタノール」を20重量%含有することは、本件発明1が「20~45重量%のエタノール」を含むことに相当する。 文献6発明の「泡を提供する為の水性組成物」は、本件発明1の「フォーマー用組成物」に相当する。 文献6発明は「直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物」ではない。 しかし、文献6発明は、文献6の請求項1に記載された「0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物」に相当する組成物であり、本件発明1において、ただし書き(b)により除かれている組成物に相当する。 してみると、本件発明1と文献6発明とは、 「20~45重量%のエタノールと、 グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含む、フォーマー用組成物(ただし、(a)直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物を除く)。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点6a> 本件発明1は、「(b)0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物」を除くとしているのに対し、文献6発明は、当該除かれている水性組成物に該当する組成物である点。 <相違点6b> 本件発明は、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」と特定しているのに対し、文献6発明は、そのような特定がない点。 事案に鑑みて、上記相違点6aについて検討する。 相違点6aは実質的な相違点であるから、相違点6bについて検討するまでもなく、本件発明1は文献6に記載された発明であるとはいえない。 また、文献6に記載された発明は、「0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物」に関するものであって(摘記6a)、文献6の記載からみて、当該組成物とすることによって、文献6に記載の課題を解決したものであると解することができるから、当業者が、文献6発明について、上記水性組成物の範囲外の組成物とすることが動機付けられるとはいえない。 したがって、相違点6aに係る本件発明1の技術的事項を採用することは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 してみると、相違点6bについて検討するまでもなく、本件発明1は、文献6に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 g 文献7発明について 文献7発明の「ポリグリセリル-10ジステアレート」は、本件発明1の「グリセリン脂肪酸エステル」に相当する物質であり、ポリグリセリン脂肪酸エステルが界面活性剤として用いられることは周知であるから(上記a及びbを参照。)、本件発明1の「グリセリン脂肪酸エステル」である「界面活性剤」に相当する。 文献7発明が「エタノール」を約25.4(=29.15×0.947×0.92)重量%含有することは、本件発明1が「20~45重量%のエタノール」を含むことに相当する。 文献7発明の「エーロゾル-ヘアワックスフォーム」は、本件発明1の「フォーマー用組成物」に相当する。 文献7発明は、「直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物」ではなく、「0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物」でもない。 してみると、本件発明1と文献7発明とは、 「20~45重量%のエタノールと、 グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含む、フォーマー用組成物(ただし、(a)直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物、(b)0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物を除く)。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点7> フォーマー用組成物について、本件発明1が、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」と特定しているのに対し、文献7発明は、そのような特定がない点。 上記相違点について検討する。 文献7発明は「エーロゾル-ヘアワックスフォーム」であって、文献7には、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」ことは記載されていない。 したがって、相違点7は実質的な相違点であるから、本件発明1は文献7に記載された発明であるとはいえない。 また、文献7には、ヘアワックス製品を、手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いることについて記載も示唆もなく、文献7に記載のヘアワックス製品をかかる用途に用いる動機付けも認められないから、相違点7に係る本件発明1の技術的事項を採用することは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 したがって、本件発明1は、文献7に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 h 文献8発明について 文献8発明の「モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン」は、本件発明1の「ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル」に相当する物質であり、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが界面活性剤として用いられることは周知であるから(上記c、e及びfを参照)、本件発明1の「ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル」である「界面活性剤」に相当する。 文献8発明が「エタノール」を20.0質量%含有することは、本件発明1が「20~45重量%のエタノール」を含むことに相当する。 文献8発明の「泡沫状ヘアトリートメント」は、本件発明1の「フォーマー用組成物」に相当する。 文献8発明は、「直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物」ではなく、「0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物」でもない。 してみると、本件発明1と文献8発明とは、 「20~45重量%のエタノールと、 グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含む、フォーマー用組成物(ただし、(a)直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物、(b)0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物を除く)。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点8> フォーマー用組成物について、本件発明1が、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」と特定しているのに対し、文献8発明は、そのような特定がない点。 上記相違点について検討する。 文献8発明は「泡沫状ヘアトリートメント」であって、文献8には、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」ことは記載されていない。 したがって、相違点8は実質的な相違点であるから、本件発明1は文献8に記載された発明であるとはいえない。 また、文献8には、泡沫状毛髪化粧料を、手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いることについて記載も示唆もなく、文献8に記載の泡沫状毛髪化粧料をかかる用途に用いる動機付けも認められないから、相違点8に係る本件発明1の技術的事項を採用することは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 したがって、本件発明1は、文献8に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 i 文献9発明について 文献9発明の「ジイソステアリン酸ポリグリセリル」は、本件発明1の「グリセリン脂肪酸エステル」に相当する物質であり、ポリグリセリン脂肪酸エステルが界面活性剤として用いられることは周知であるから(上記a及びbを参照。)、本件発明1の「グリセリン脂肪酸エステル」である「界面活性剤」に相当する。 文献9発明が「エタノール」を28.5又は27.0(=30.0×0.95又は30.0×0.90)質量%含有することは、本件発明1が「20~45重量%のエタノール」を含むことに相当する。 文献9発明の「泡状毛髪化粧料」及び「スタイリングフォーム」は、本件発明1の「フォーマー用組成物」に相当する。 文献9発明は、「直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物」ではなく、「0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物」でもない。 してみると、本件発明1と文献9発明とは、 「20~45重量%のエタノールと、 グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含む、フォーマー用組成物(ただし、(a)直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00~86.00重量%である殺菌剤組成物、(b)0.1~5重量%の過酸化水素、21~55重量%のC2~C6アルコール、及び0.01~2重量%の泡立ち増強剤を含む、泡を提供する為の水性組成物を除く)。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点9> フォーマー用組成物について、本件発明1が、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」と特定しているのに対し、文献9発明は、そのような特定がない点。 上記相違点について検討する。 文献9発明は「泡状毛髪化粧料」及び「スタイリングフォーム」であって、文献9には、「手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いられる」ことは記載されていない。 したがって、相違点9は実質的な相違点であるから、本件発明1は文献9に記載された発明であるとはいえない。 また、文献9には、泡状毛髪化粧料を、手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いることについての記載も示唆はなく、文献9に記載の泡状毛髪化粧料をかかる用途に用いる動機付けも認められないから、相違点9に係る本件発明1の技術的事項を採用することは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 したがって、本件発明1は、文献9に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (イ)本件発明2~7について 本件発明2~5は、本件発明1のフォーマー用組成物をさらに技術的に限定したフォーマー用組成物であり、本件発明6は、本件発明1~5のいずれかのフォーマー用組成物を収容することを特徴とするフォーマーであり、本件発明7は、本件発明1~5のいずれかのフォーマー用組成物を泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする消毒方法(ただし、人間を手術、治療又は診断する方法を除く)である。 そして、上記(ア)で述べたとおり、本件発明1は、文献1~9に記載された発明であるとはいえず、文献1~9に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないのであるから、本件発明2~6は、文献1~9に記載された発明であるとはいえず、本件発明2~7は、文献1~9に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 取消理由2及び取消理由3についてのまとめ 以上のとおり、本件発明1~6は、文献1~9に記載された発明であるとはいえず、本件発明1~7は、文献1~9に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって、取消理由2及び取消理由3は理由がない。 2 申立人が主張する申立理由について (1)申立理由1について 申立理由1は、取消理由1に対応する同旨の理由であり、上記1(1)で述べたとおり、理由がない。 (2)申立理由2及び申立理由3について 申立理由2及び申立理由3は、本件訂正前の請求項1~3及び6に係る発明について、甲1(文献1)及び甲2(文献2)を主引例とする理由である点で、取消理由2及び取消理由3に対応する同旨の理由であるから、上記1(2)で述べたとおり、理由がない。 3 申立人の主張について 申立人は、申立書及び意見書において、以下の主張をしている。 i) 甲1(文献1)について、ガラス以外に使用することも容易に想到できること(申立書13頁)、文献1の組成から、防虫成分等を除き、「厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに食品」に適用することは当業者が容易に想到できること(意見書1~3頁)。 ii)甲2(文献2)について、甲2に記載されているのはエタノールを含む組成物に関するものであり、エタノールによって殺菌効果は当然に備わっていること(申立書15頁)。 iii)文献5について、文献5の薬剤を含まないから台所でも使いやすいとの記載、エタノールの消毒効果が本願の発明時に公知であったことから、文献5をもとに、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品の消毒に適用することは、当業者であれば容易に想到できること(意見書3頁)。 申立人の上記主張について検討する。 i)について 文献1に記載の発明は、洗浄後のガラスに、殺虫効果および防虫効果を付与する発泡性ガラス用洗浄剤に関するものであり、必須成分として含まれるピレスロイド系殺虫成分が洗浄後にも残存すると解され、そのような洗浄剤を人体への安全性が求められる、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品へ適用することが当業者が容易になし得たものであるとはいえない。また、必須成分とされるピレスロイド殺虫成分を除く動機付けがあるともいえない。 ii)について エタノールに殺菌効果があることが周知であるとしても、上記2(イ)で述べたとおり、文献2には、専ら毛髪に適用することが記載されているから、手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いることが当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 iii)について 文献5に記載の発明は、害虫捕獲エアゾールであり(上記1(2)ア(オ))、文献5に、台所でも使いやすいとの記載があったとしても、それはあくまで害虫捕獲エアゾールとしての使用であり、かかる用途のエアゾールを用途が全く異なる、手先、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器及び設備、並びに、食品からなる群より選択される少なくとも1種の消毒に用いるものとすることが当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 したがって、上記申立人の主張はいずれも採用することができない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正することを認める。 本件請求項1~7に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由、並びに、申立人による特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、取り消すことができない。 また、他に本件請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700565

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